説明

24個の環原子を有する置換アリール乳酸含有シクロデプシぺプチドの製造方法

【課題】置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチドの効果的な製造方法を提供する。
【解決手段】4−ニトロフェニル乳酸を無菌条件下で、無胞子不完全菌目(Agonomycetales)に属する種である真菌株、Mycelia steriliaの主培養液に添加し、発酵を継続し、培養物から抽出精製することにより、あるいは該真菌株から単離された酵素製剤にロイシン、乳酸、ATP、S−アデノシル−L−メチオニン、4−ニトロフェニル乳酸等の基質を添加しインビトロで反応させることにより、24個の環原子を有する置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチドの新規な製造方法からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その幾つかが既知である、24個の環原子を有する置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチドの新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物法による24個の環原子を有する種々の環状、アリール乳酸含有デプシペプチド、例えば、PF 1022A、PF 1022B、PF 1022C、PF 1022DおよびPF 1022Eの製造は既に記載された(シクロオクタデプシペプチドの発酵:特許文献1;非特許文献1における、ミセリア・ステリリア(Mycelia sterilia)(FERM BP−2671;前名称 FERM P−10504)からのPF 1022A;同一の培養物から単離された:PF 1022B、PF 1022CおよびPF 1022D:特許文献2、PF 1022E:特許文献3を参照)。
【0003】
PF 1022群の化合物は以下の式(I)を有する:
【0004】
【表1】

【0005】
また、24個の環原子を有する多種類の環状、置換アリール乳酸含有デプシペプチドが化学合成法によって製造することができることは既に開示された(シクロオクタデプシペプチドの全合成:特許文献4;特許文献5;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5[PF 1022A];特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10を参照)。
【0006】
さらに、24個の環原子を有する一定のアリール乳酸含有シクロデプシペプチドは殺内部寄生体剤として使用することができることは知られている(例えば、特許文献11;特許文献12;特許文献13;特許文献14;特許文献15;特許文献16;特許文献17;特許文献18を参照)。
【0007】
化学合成法によって、一定のシクロオクタデプシペプチドのフェニル乳酸フラグメント中の置換基Rの広範な変形が可能になるが(特許文献19;特許文献20;特許文献21;特許文献22;特許文献23を参照)、現在まで、微生物法では、非置換D−フェニル乳酸含有シクロオクタデプシペプチドだけが好適には生成した(R=−H;PF 1022A、PF 1022B、PF 1022CおよびPF 1022Dを参照)。
【0008】
D−(4−ヒドロキシフェニル)乳酸含有シクロオクタデプシペプチド PF 1022E(R=4−ヒドロキシ;特許文献24を参照)の既に記載した発酵の外には、他の置換アリール乳酸含有シクロオクタデプシペプチドの発酵的製造は現在まで開示されていなかった。
【0009】
【特許文献1】特許文献1:欧州特許出願公開第382173号明細書
【特許文献2】特開平5‐170740号公報
【特許文献3】特開平6−184126号公報
【特許文献4】特開平5−229997号公報
【特許文献5】特開平5−320148号公報
【特許文献6】国際公開第94/19334号明細書
【特許文献7】国際公開第95/19053号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第634408号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第626375号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第626376号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第382号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第503538号明細書
【特許文献13】国際公開第93/19053号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開第0634408号明細書
【特許文献15】国際公開第94/19334号明細書
【特許文献16】国際公開第95/07272号明細書
【特許文献17】欧州特許出願公開第626375号明細書
【特許文献18】欧州特許出願公開第626376号明細書
【特許文献19】国際公開第94/19334号明細書
【特許文献20】国際公開第95/19053号明細書
【特許文献21】欧州特許出願公開第634408号明細書
【特許文献22】欧州特許出願公開第626375号明細書
【特許文献23】欧州特許出願公開第626376号明細書
【非特許文献1】T.Sasaki et al.,J.Antibiotics 45,1992,692−697
【非特許文献2】Makoto Ohyama et al.,Biosci.Biotech.Biochem.58(6),1994,1193−1194頁
【非特許文献3】Makio Kobayshi et al.,Annu.Rep.Sankyo Res.Lab.46,1994,67−75頁
【非特許文献4】Stephen J.Nelson et al.,J.Antibiotics 47,(11),1994,1322−1327頁
【非特許文献5】J.Scherkenbeck et al.,Tetrahedron 51(31),1995,8459−8470頁
【発明の開示】
【0010】
それ故、本発明は、無胞子不完全菌目(Agonomycetales)に属する種である真菌(fungal)株またはそれらから単離された酵素製剤による24個の環原子を有する置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチドの製造方法に関する。
【0011】
本発明による方法では、一般式(I)
【0012】
【化1】

【0013】
式中、
は、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、環状アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールアルコキシ、シクロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アルコキシスルホニル、アルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニルを表し、それらの各々は場合により置換された、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、カルボキシル、カルバモイル、シアノであるか、または、適切には、置換された環状アミノ基であることができ、そして
、RおよびRは、相互に独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、ヘテロアリールメチルまたはベンジル基を表し、ベンジル基は場合により水素、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、環状アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールアルコキシ、シクロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アルコキシスルホニル、アルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニルよりなる群からの基によって置換され、群の各々は場合により置換された、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、カルボキシル、カルバモイル、シアノであることができるか、または場合により適切な環状アミノ基によって置換されているが、
が4−ヒドロキシを表し、
が非置換ベンジルを表し、
そして他の基が上記の意味を有する、
式(I)で示される化合物は除く、
で示される24個の環原子を有する置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチドは、
a)一般式(II)、(III)、(IV)および(V)
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、R、R、RおよびRは上記の意味を有す)
で示される光学活性またはラセミアミノ酸、或いは
b)一般式(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、R、R、RおよびRは上記の意味を有す)
で示される光学活性またはラセミ2−ヒドロキシ−カルボン酸を、
適切な栄養溶液中の無胞子不完全菌目に属する種である真菌株の存在下または緩衝系中のこれらの真菌株から単離されたシンテターゼの存在下で反応させ、次いで所望の24個の環原子を有する置換されたアリール乳酸含有シクロデプシペプチドを単離することによって製造される。
【0018】
一般式(I)で示される24個の環原子を有する置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチド並びにそれらの酸付加塩および金属塩錯体は、特に医学および獣医学の分野において、内部寄生体の防除に顕著に適する。
【0019】
上記一般式における基それ自体または基の成分として、場合により置換されたアルキルは、好適には1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキルを示す。挙げることのできる例は、場合により置換されたメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチルおよび2−エチルブチルである。好適には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n
−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられてもよい。
【0020】
上記一般式における基それ自体または基の成分として、場合により置換されたアルケニルは、好適には1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニルを示す。挙げることのできる例は、場合により置換されたビニル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニルおよび1−エチル−2−メチル−2−プロペニルである。好適には、場合により置換されたエテニル、2−プロペニル、2−ブテニルまたは1−メチル−2−プロペニルを挙げることができる。
【0021】
上記一般式における基それ自体上または基の成分として、場合により置換されたシクロアルキルは、好適には3〜10個、特に3、5もしくは7個の炭素原子を有する一、二または三環式シクロアルキルを表す。挙げることのできる例は、場合により置換されたシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルおよびアダマンチルである。
【0022】
上記一般式における基それ自体または基の成分として、場合により置換されたアルコキシは、好適には1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシを表す。挙げることのできる例は、場合により置換されたメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシである。
【0023】
上記一般式における基それ自体または基の成分として、場合により置換されたアルキルチオは、好適には1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキリチオを表す。挙げることのできる例は、場合により置換されたメチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオおよびtert−ブチルチオである。
【0024】
上記一般式における基それ自体または基の成分として、場合により置換されたアルコキシカルボニルは、好適には1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシカルボニルを表す。挙げることのできる例は、場合により置換されたメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルである。
【0025】
上記一般式における基それ自体または基の成分として、場合により置換されたアルキルカルボニルは、好適には1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキルカルボニルを表す。挙げることのできる例は、場合により置換されたメチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニルおよびtert−ブチルカルボニルである。
【0026】
上記一般式において、場合により置換されたアリールアルキルは、好適にはアリール部分および/またはアルキルにおいて場合により置換されており、好適にはアリール部分に炭素原子6個または10個、特に8個有し(好適にはフェニルまたはナフチル、特にフェニル)、そしてアルキル部分に炭素原子を1〜4個、特に1〜2個有するものであり、アルキル部分が直鎖状もしくは分岐鎖状であることのできる、アリールアルキルを表す。場合により置換されたベンジルおよびフェニルエチルを好ましい例として挙げることができる。
【0027】
上記一般式における基それ自体または基の成分として、場合により置換されたヘタリル(hetaryl)は、好適には1〜3個、特に1または2個の、同一もしくは異なるヘテロ芳香族基を有する5〜7員環を表す。ヘテロ芳香族基におけるヘテロ原子は酸素、硫黄または窒素である。場合により置換されたフリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3−および1,2,4−トリアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−、1,3,4−、1,2,4−および1,2,5−オキサジアゾリル、アゼピニル、ピロリル、ピリジル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−、1,2,4−および1,2,3−トリアジニル、1,2,4−、1,3,2−、1,3,6−および1,2,6−オキサジニル、オキセピニル、チエピニル並びに1,2,4−ジアゼピニルを好ましい例として挙げることができる。
【0028】
上記一般式の置換された基は、一つまたはそれ以上、好適には1〜3個、特に1〜2個の、同一もしくは異なる置換基を持つことができる。好ましい例として挙げることのできる置換基は:
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルのような好適には1〜4個、特に1〜2個の炭素原子を有するアルキル;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシのような好適には1〜4個、特に1〜2個の炭素原子を有するアルコキシ;メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオおよびtert−ブチルチオのようなアルキルチオ;ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチルのような、好適には1〜4個、特に1〜2個の炭素原子および好適には1〜5個、特に1〜3個のハロゲン原子を有し、ハロゲン原子が同一もしくは異なりそしてハロゲン原子として好適にはフッ素、塩素または臭素特にフッ素または塩素であるハロゲンノアルキル;ヒドロキシル;ハロゲン、好適にはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素、特にフッ素および塩素;シアノ;ニトロ;アミノ;メチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジメチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、メチル−n−ブチルアミノのような、好適にはアルキル当たり1〜4個、特に1〜2個の炭素原子を有するモノアルキルアミノおよびジアルキルアミノ;メチルカルボニルのようなアルキルカルボニル基;メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルのような、好適には2〜4個、特に2〜3個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル;1〜4個、特に1〜2個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル;トリフルオロメチルスルフィニルのような、1〜4個、特に1〜2個の炭素原子および1〜5個のハロゲン原子を有するハロゲノスルフィニル;スルホニル(−SO−OH);メチルスルホニルおよびエチルスルホニルのような好適には1〜4個、特に1ない2個の炭素原子を有するアルキルスルホニル或いはトリフルオロメチルスル
ホニルのような、1〜4個、特に1〜2個の炭素原子および1〜5個のハロゲン原子を有するハロゲノアルキルスルホニルである。
【0029】
可能で適切な環状アミノ基は、ヘテロ原子として一つまたはそれ以上の窒素を有するヘテロ芳香族基または脂肪族環系であり、式中、ヘテロ環は飽和もしくは不飽和の、環系もしくは数種の縮合環系であることができ、そして場合により窒素、酸素および硫黄などのような他のヘテロ原子を含有す。追加的には、環状アミノ基はまたスピロ環または橋かけ環系を表すことができる。環状アミノ基を形成する原子数は、例えば、それらが3〜8個の原子よりなる単環系の場合および7〜11個の原子の三環系の場合、制限されない。
【0030】
挙げることのできる環状アミノ基の例は、1−アゼチジニル、ピロリジノ、2−ピロリン−1−イル、1−ピロリル、ピペリジノ、1,4−ジヒドロピリジン−1−イル1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル、ホモピペリジノのような、ヘテロ原子として窒素を有する飽和および不飽和単環式環系であり;挙げることのできる環状アミノ基の例は、1−イミダゾリジニル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、1−トリアゾリル、1−テトラゾリル、1−ピペラゾニル、1−ホモピペラジニル、1,2−ジヒドロピリダジン−1−イル、1,2−ジヒドロプロピリミジン−1−イル、ペルヒドロピリミジン−1−イルおよび1,4−ジアザシクロヘプタン−1−イルのような、ヘテロ原子のような2個またはそれ以上の窒素原子を有する飽和および不飽和の単環式環系であり;挙げることのできる環状アミノ基の例は、オキサゾリジン−3−イル、イソキサゾリド−2−イル、モルホリンまたは2,6−ジメチルモルホリノのような、ヘテロ原子として1〜3個の窒素原子および1〜2個の酸素原子を有する飽和および不飽和の単環式環系であり;挙げることのできる環状アミノ基の例は、ヘテロ原子として1〜3個の窒素原子および1〜2個の硫黄原子を有する飽和および不飽和の単環式環系であり、挙げることのできる環状アミノ基の例は、インドール−1−イル、1,2−ジヒドロベンゾイミダゾール−1−イル、ペルヒドロピロロ−[1,2−a]ピリジン−2−イルのような、飽和および不飽和の縮合環式環系であり;挙げることのできる環状アミノ基の例は、2−アザスピロ[4,5]−デカン−2−イルのようなスピロ環式環系であり;言及されてもよい環状アミノ基の例は、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イルのような橋かけヘテロ環式環系である。
【0031】
本発明に従って製造することができる24個の環原子を有する飽和アリール乳酸含有シクロデプシペプチドは一般的に、一般式(I)
【0032】
【化4】

【0033】
によって特定される。
【0034】
好適に製造される一般式(I)で示される化合物は、
式中、
が、4個までの炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル;6個までの炭素原子を有する環状アルキル、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル;アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ;シクロアルコキシ、特にシクロプロピルオキシ;アルケニルオキシ、特にアリルオキシ;ジオキソアルキレン、特にジオキソメチレン;アルキルアミノ、特にメチルアミノ、エチルアミノ;ジアルキルアミノ、特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ;アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル;アルキルアミノカルボニル、特にメチルアミノカルボニル;ジアルキルアミノカルボニル、特にジメチルアミノカルボニル;アルキルアミノスルホニル、特にメチルアミノスルホニル;ジアルキルアミノスルホニル、特にジメチルアミノスルホニル;アルキルチオ、特にメチルチオまたはtert−ブチルチオ;アルキルスルフィニル、特にメチルスルフィニルまたはtert−ブチルスルフィニル;アルキルスルホニル、特にメチルスルホニルまたはtert−ブチルスルホニル;ヘテロアリールスルホニル、特にN−モルホリノスルホニルまたはN−ピラゾリルスルホニルを表し、それらの各々は場合により置換された、ヒドロキシル、ハロゲン、特に臭素、塩素、フッ素もしくはヨウ素、ニトロ、アミノ、カルボキシル、カルバモイル、シアノまたは、適切には、置換された環状アミノ基、特にN−ピロリジノ、N−ピペリジノ、N−モルホリノ、N−(2,6−ジメチル−モルホリノ)、N−メチルピペラジノ、N−チオモルホリノまたはN−ジオキソチオモルホリノであることができ、そして
およびRが、4個までの炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル、特にメチルを表し、そして
が、4個までの炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル、特にメチルを表すか、或いは水素;4個までの炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル;6個までの炭素原子を有する環状アルキル、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル;アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ、
プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ;シクロアルコキシ、特にシクロプロピルオキシ;アルケニルオキシ、特にアリルオキシ;ジオキソアルキレン、特にジオキソメチレン;アルキルアミノ、特にメチルアミノ、エチルアミノ;ジアルキルアミノ、特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ;アルコキシカルボニル、特にメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル;アルキルアミノカルボニル、特にメチルアミノカルボニル;ジアルキルアミノカルボニル、特にジメチルアミノカルボニル;アルキルアミノスルホニル、特にメチルアミノスルホニル;ジアルキルアミノスルホニル、特にジメチルアミノスルホニル;アルキルチオ、特にメチルチオまたはtert−ブチルチオ;アルキルスルフィニル、特にメチルスルフィニルまたはtert−ブチルスルフィニル;アルキルスルホニル、特にメチルスルホニルまたはtert−ブチルスルホニル;ヘテロアリールスルホニル、特にN−モルホリノスルホニルまたはN−ピラゾリルスルホニルよりなる群からの基によって場合により置換されているベンジル基を表し、それらの各々は場合により置換された、ヒドロキシル、ハロゲン、特に臭素、塩素、フッ素もしくはヨウ素;ニトロ、アミノ、カルボキシル、カルバモイル、シアノであることができるか、或いはそれは適切な環状アミノ基、特にN−ピロリジノ、N−ピペリジノ、N−モルホリノ、N−(2,6−ジメチルモルホリノ)、N−メチルピペラジノ、N−チオモルホリノもしくはN−ジオキソチオモルホリノによって場合により置換されているが、
が4−ヒドロキシを表し、
が非置換ベンジルを表し、
そして他の基は上記の意味を有する
式(I)で示される化合物は除く、
ものである。
【0035】
特に好適に製造される一般式(I)で示される化合物は、
式中、
が、アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ;アルキルアミノ、特にメチルアミノ、エチルアミノ;ジアルキルアミノ、特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ;ヒドロキシル;ハロゲン、特に臭素、塩素、フッ素もしくはヨウ素;ニトロ;アミノ;適切には、置換された環状アミノ基、特にN−モルホリノ、N−メチルピペラジノまたはN−ジオキソチオモルホリノを表し、そして
およびRが、4個までの炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル、特にメチルを表し、そして
が、4個までの炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル、特にメチルを表すか、或いは水素;アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ;アルキルアミノ、特にメチルアミノ、エチルアミノ;ジアルキルアミノ、特にジメチルアミノ、ジメチルアミノ;ヒドロキシル;ハロゲン、特に臭素、塩素、フッ素またはヨウ素;ニトロ;アミノよりなる群からの基によって場合により置換されているか、或いは適切な環状アミノ基、特にN−モルホリノ、N−メチルピペラジノまたはN−ジオキソチオモルホリノによって置換されているベンジル基を表すが、
が4−ヒドロキシを表し、
が非置換ベンジルを表し、
そして他の基が上記の意味を有する、
式(I)で示される化合物は例外とする、
それらである。
【0036】
一般式(I)で示される極めて特に好適な製造された化合物は、
式中、
が、アルコキシ、特にメトキシ、tert−ブトキシ;ヒドロキシル;ハロゲン、特に臭素、塩素、フッ素もしくはヨウ素;ニトロ;アミノ;ジアルキルアミノ、特にジメチルアミノ、または適切には、置換された環状アミノ基、特にN−モルホリノを表し、そして
およびRがメチルを表し、そして
が、水素;アルコキシ、特にメトキシ、tert−ブトキシ;ヒドロキシル;ハロゲン、特に臭素、塩素、フッ素もしくはヨウ素;ニトロ、アミノ;ジアルキルアミノ、特にジメチルアミノよりなる群からの基によって場合により置換されているか、或いは適切な環状アミノ基、特にN−モルホリノニよって場合により置換されているベンジルを表すが、
が4−ヒドロキシルを表し、
が非置換ベンジルを表し、
そして他の基が上記の意味を有する、
式(I)で示される化合物は例外とする、
それらである。
【0037】
本発明による製造条件下では、一般式(I)で示される光学活性な、立体異性型の化合物が形成される。
【0038】
しかし、好適には、α−アミノ酸が(S)−立体配置(L型)を有しそして2−ヒドロキシ−カルボン酸が(R)−立体配置(D型)を有する一般式(I)で示される化合物が形成される。
【0039】
詳細には、一般式(I)で示される以下の光学活性化合物を挙げることができる:
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル
−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−3−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−2−アミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ヒドロキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−
ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチ
ル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−3−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−2−メトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−3−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−2−tert−ブトキシ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−3−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−2−N−モルホリノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラク
チル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ジメチルアミノ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ヨードフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−3−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−
L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−2−ブロムフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−4−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−3−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−3−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)、
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−2−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−2−クロルフェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−)。
【0040】
一般式(I)で示される化合物は幾つかの場合に知られている(例えば、国際公開第94/19334号明細書;国際公開第95/19053号明細書;欧州特許出願公開第626375号明細書;欧州特許出願公開第626376号を参照)。
【0041】
24個の環原子を有する置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチド(I)の製造のための本発明による方法aにおいて、4−ニトロフェニル−アラニン(R=4−NO)が式(II)で示されるアミノ酸として使用される場合、方法は、例えば、以下の反応スキームによって表すことができる。
【0042】
【化5】

【0043】
式(II)〜(V)は、本発明による方法aを行うための出発物質として必要なアミノ酸の一般的定義を提供する。これらの式では、R、R、RおよびRは好適には、本発明による式(I)で示される物質の説明に関連して、これらの置換基に好適であるとして既に記載されたそれらの基を表す。
【0044】
出発物質として使用された天然または合成アミノ酸は、それらがキラルである場合、(S)−または(R)−立体配置(L−またはD−型)で存在することができる。しかし、(S)−立体配置を有するα−アミノ酸は好適である。
【0045】
挙げることのできる例は:
Aad、Abu、jAbu、ABz、2ABz、εAca、Ach、Acp、Adpd、Ahb、Aib、βAib、Ala、βAla、ΔAla、Alg、All、Ama、Amt、Ape、Apm、Apr、Arg、Asn、Asp、Asu、Aze、Azi、Bai、Bph、Can、Cit、Cys、(Cys)、Cyta、Daad、Dab、Dadd、Dap、Dapm、Dasu、Djen、Dpa、Dtc、Fel、Gln、Glu、Gly、Guv、hAla、hArg、hCys、hGln、hGlu、His、hiIle、hLeu、hLys、hMet、hPhe、hPro、hSer、hThr、hTrp、hTyr、Hyl、Hyp、3Hyp、Ile、Ise、Iva、Kyn、Lant、Lcn、Leu、Lsg、Lys、βLys、ΔLys、Met、Mim、Min、nArg、Nle、Nva、Oly、Orn、Pan、Pec、Pen、Phe、Phg、Pic、Pro、ΔPro、Pse、Pse、Pya、Pyr、Pza、Qin、Ros、Sar、Sec、Sem、Ser、Thi、βThi、Thr、Thy、Thx、Tia、Tle、Tly、Trp、Trta、Tyr、Val、Nal、Tbg、Chg、Thiaである(例えば、Houben−Weyl,有機化学の方法(Methoden der Organischen Chemie),第XV/1および2巻,Stuttgart,1974年を参照)。
【0046】
しかし、好適には、置換フェニルアラニン(Phe)を挙げることができる。一般式(II)で示される置換フェニルアラニンでは、Rは好適には、本発明による式(I)で示される物質の説明に関連して、この置換基に好適であるとして既に記載された基を表す。
【0047】
24個の環原子を有する置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチド(I)の製造のための本発明による方法bでは、4−ニトロフェニル−乳酸(R=4−NO)が式(VI)で示される2−ヒドロキシ−カルボン酸として使用される場合、方法bは、例えば、以下の反応スキームによって表すことができる。
【0048】
【化6】

【0049】
式(VI)〜(IX)は、本発明による方法bを行うための出発物質として必要な2−ヒドロキシ−カルボン酸の一般的定義を提供する。
【0050】
これらの式では、R、R、RおよびRは、好適には、本発明による式(I)で示される物質の説明に関連して、これらの置換基に好適であるとして既に記載されたそれらの基を表す。
【0051】
出発物質として使用された2−ヒドロキシ−カルボン酸は、それらがキラルである場合、(S)−または(R)−立体配置(L−またはD−型)で存在することができる。しかし、(S)−立体配置を有する2−ヒドロキシ−カルボン酸は好適である。
【0052】
挙げることのできる例は:
Hyac、Hyba、Hydd、Hyde、Hyic、Hyiv、Hymb、Hypp、Hypr(Lac)、Hytd、Hyud、Hyva、PhLac(例えば、Houben−Weyl,有機化学の方法(Methoden der Organischen Chemie),第XV/1および2巻,Stuttgart,1974年を参照。
【0053】
しかし、好適には、置換フェニル乳酸(PhLac)を挙げることができる。一般式(VI)で示される置換フェニル乳酸では、Rは好適には、本発明による式(I)で示される物質の説明に関連して、この置換基に好適であるとして既に記載された基を表す。
【0054】
本発明による方法aおよびbを行うために言及されてもよい適切な真菌株は無胞子不完全菌目に属する種であるミセリア・ステリリア(Myceliasterilia)である。
【0055】
特に、ブダペスト条約に従ってBrunswickのドイツ微生物保存機関(the German Collection for Microorganisms)(DMS)に寄託番号DSM10345として1995年11月30日に寄託された真菌株ミセリア・ステリリア541−11を挙げることができる。
【0056】
方法はまた微生物から単離されたシンテターゼを用いて行うこともできる。これに必要なシクロデプシペプチド・シンテターゼは、文献から既知である方法によって上記の真菌株から単離することができる(例えば、エンニアチン・シンテターゼの単離(Isolation of enniatin synthetase):R.Pieper,H.Kleinkauf,R.Zocher,J.Antibiotics 45,1993
,1273−1277頁;西独特許出願公開第4406025号明細書を参照)。
【0057】
無胞子不完全菌目に属する種である真菌株の発酵は、適切な栄養溶液の存在下で、それ自体が既知である方法によって行われる。これらの栄養溶液は、真菌の増殖に必要な塩並びに炭素源および窒素源を含有する。
【0058】
本発明による方法を行うために適切で可能な有機塩は、周期表のII乃至VIII亜族の元素のすべてのアルカリ金属塩、アルカリ土金属塩および金属塩である。
【0059】
これらについて挙げることのできる例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルトまたはニッケルの酢酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、亜リン酸塩、亜リン酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、炭酸塩および炭酸水素塩である。
【0060】
好適には、アルカリ土類金属、特にマグネシウム、並びに周期表のII、VIIおよびVIII亜族の金属、例えば、亜鉛、マンガンおよび鉄の酢酸塩、ハロゲン化物、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩および硝酸塩が使用される。
【0061】
本発明による方法を行うための可能な炭素源は炭水化物および炭水化物含有生成物である。
【0062】
これらについて挙げることのできる例は、ペントース、特にリボース、ヘキソース、特にグルコースおよびフラクトースのような単糖、二糖、特にスクロース、マルトースおよびラクトース、三糖、特にラフィノース、並びに四、五および六糖のようなオリゴ糖である。
【0063】
好適には、ヘキソース、特にグルコースのような単糖、および二糖、特にスクロースのようなオリゴ糖が使用される。
【0064】
本発明による方法を行うための可能な窒素源はアミノ三および窒素含有塩である。
【0065】
これらについて挙げることのできる例は、上記の天然および合成アミノ酸、または硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムまたは上記の金属の硝酸塩および亜硝酸塩のような窒素含有塩である。
【0066】
好適には、上記の天然アミノ酸および硝酸アンモニウムのような窒素含有塩が使用される。
【0067】
発酵法のために使用された真菌株は、最初に、それ自体が既知である方法によって、例えば、糖蜜/コーンスティープリカーよりなる培地中で培養される。培養が起こった後、菌糸体が単離される。自由(free)培養物の製造のために、炭素源および無機塩よりなる赤カビ(Fusarium)規定培地(FDM)に菌糸体を植菌し、そして再び発酵させる。数日後、FDM主培養物は前培養物の各1mlの“uberimpten”によって製造され、同様に発酵させることができる。
【0068】
次いで実際の発酵は式(II)〜(V)または(VI)〜(IX)で示される化合物の存在下で行われる。
【0069】
発酵期間は1〜30日である。発酵は、+5℃〜+40℃、好適には+15℃〜+35℃、特に好適には+25℃〜+30℃の範囲内の温度で行われる。それは無菌条件下にて常圧下で行われる。
【0070】
発酵を行うために、式(II)〜(V)または(VI)〜(IX)で示される化合物は一般的に5mM〜100mM、好適には5mM〜70mMの濃度で使用される。
【0071】
発酵が完了した後、菌糸体は培養物から取り出し、そして濾液は場合により有機溶媒で数回抽出し、ホモジナイズし、次いで濾過する。得られた培養濾液は常法で抽出し、乾燥し、真空下で濃縮する。
【0072】
得られたシクロデプシペプチド粗生成物は、カラムクロマトグラフィーまたは向流分配によって常法で精製することができる。どれが最適な方法であるかは場合場合により決定されなければならない(製造実施例も参照)。
【0073】
本発明による方法が単離されたシクロデプシペプチド・シンテターゼの存在下で行われる場合、水性緩衝系中で、金属塩、S−アデノシル−L−メチオニン(SAM)およびアデノシン三リン酸(ATP)の存在下で行われる。
【0074】
挙げることのできる金属は:リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウムまたはバリウムの酢酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、亜リン酸塩、亜リン酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、炭酸塩および炭酸水素塩である。
【0075】
好適には、アルカリ土類金属塩、例えば、フッ化マグネシウム、硫酸マグネシウムまたは酢酸マグネシウムが使用される。
【0076】
本発明による方法aおよびbは水性緩衝液中で行われる。
【0077】
これについて挙げることのできる例は市販の緩衝液、例えば、pH1.0の場合は特にグリシン−塩酸、pH2.0〜4.0の場合は特にクエン酸塩−塩酸、pH5.0〜6.0の場合は特にクエン酸塩−水酸化ナトリウム溶液、pH7.0の場合は特にリン酸塩、特にホウ酸塩−塩酸、およびpH8.0、pH9.0〜10.0の場合は特にホウ酸/塩化カリウム−水酸化ナトリウム溶液である。
【0078】
方法は好適には「生理学的範囲」内、即ち、6.0〜9.5のpHで行われ、そしてこのためにリン酸緩衝液、特にリン酸水素カリウム/リン酸水素二ナトリウムまたはリン酸水素カリウム/リン酸水素二カリウムが好適には使用される。
【0079】
方法を行う場合、一般的に2mM〜8mM、好適には3mM〜5mMの式(II)〜(V)または(VI)〜(IX)で示される化合物、S−アデノシル−L−メチオニン(SAM)、3mM〜9mM,好適には4mM〜6mMのアデノシン三リン酸(ATP)、および2mM〜25mM、好適には5mM〜15mMのアルカリ土類金属塩、10mM〜100mM、好適には40mM〜60mMの緩衝液が、100μg〜1000μg、好適には200μg〜600μgの単離シクロデプシペプチド・シンテターゼと共に生体外で使用される。
【0080】
酵素的生体外合成の反応時間は2分乃至24時間である。酵素的生体外合成は、0℃〜+50℃、好適には+10℃〜+35℃、特に好適には+20℃〜+30℃の温度範囲内で行われる。
【0081】
それは、6.5〜9.5、好適には7.0〜8.0のpH範囲内で進行し、pHは全反応の間は緩衝液の添加によって7.3の一定に維持される。
【0082】
好適には、方法は無菌反応条件下および常圧下で行われる。
【0083】
酵素的生体外合成は水の添加によって停止することができる。
【0084】
式(II)〜(V)で示される化合物が使用される場合、酵素的生体外合成を、対応するトランスアミナーゼまたはデヒドロゲナーゼの存在下で、行うことは有利である。
【0085】
後処理のために、水性相は有機溶媒で数回抽出し、乾燥しそして真空下で濃縮する。
【0086】
得られたシクロデプシペプチド粗生成物はカラムクロマトグラフィーまたは向流分配によって常法で精製することができる。どれが最適な方法かはまた場合場合により決定しなければならない(製造実施例も参照)。
【0087】
製造実施例
【実施例1】
【0088】
シクロ(−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ニトロ−フェニルラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−ロイシル−D−4−ニトロ−フェニルラクチル−)
【0089】
【化7】

【0090】
方法aによる製造
4−ニトロ−フェニルアラニンのインビボでの取り込み:
50mMの濃度の4−ニトロ−フェニルアラニンを、無菌条件下で、無胞子不完全菌目(Agonomycetales)に属する種であるミセリア・ステリリア(Mycelia sterilia)の3日令である主培養液に添加し、発酵をさらに3日間継続する。次いで、菌糸体を赤カビ属(Fusaria)の培養物から取り出し、凍結乾燥した後、メタノールで数回抽出する。次いで収集した有機相を蒸発乾固する。
【0091】
方法bによる製造
4−ニトロ−フェニル乳酸のインビボでの取り込み:
50mMの濃度の4−ニトロ−フェニル乳酸を、無菌形態で、無胞子不完全菌目に属する種であるのミセリア・ステリリアの3日令である主培養液に添加し、発酵をさらに3日間継続する。次いで、菌糸体を赤カビの培養物から取り出し、凍結乾燥した後、メタノールで数回抽出する。次いで収集した有機相を蒸発乾固する。
【0092】
方法aおよびbによって得た生成物を、調製用HPLC(RP−18/アセトニトリル−水)によって精製する。
【0093】
H−NMR(600MHz、CDCl、δ):7.43(d,8H,=CHメタ;4−NO−ベンジル);8.15;8.18(2d,8H,=CHオルト;4−NO−ベンジル)ppm[配座異性体混合物] APCI−MS m/z(%):1040(MH,13)
【0094】
4−ニトロ−フェニル乳酸のインビボでの取り込み:
50〜100μgの酵素を、4mMのジチオスレイトール、20%のグリセロールおよび以下の基質を持つトリス緩衝液pH7.8の混合物の200μl中にて26℃で2時間インキュベートする:
5mM ATP、
10mM MgCl
2mM L−ロイシン、
0.5mM S−アデノシル−L−メチオニン、
2mM D−乳酸、
50〜100μM D−4−ニトロ−フェニル乳酸。
【0095】
次いで全反応混合物を酢酸エチルで抽出し、生成した生成物をクロマトグラフィーに付す(TLC、HPLC)。
【0096】
下記の表1に示した一般式(I)で示される化合物を、LDLDLDLD立体異性体として同様に製造することができる:
【0097】
【表2】

【0098】
培養、前培養および主培養
1.寒天上の培養
寒天上の真菌培養物の培養の場合、以下の培地を使用する:
グルコース 2.0%、
ペプトン 1.0%、
酵母エキス 1.0%、
麦芽エキス 1.0%、
KHPO 0.05%、
寒天 1.5%。
【0099】
次いで121℃での滅菌を20分間行う。
滅菌後の培地のpHは=7.0である。
【0100】
2.液体培養
a)コーンスティープ/糖蜜培地:
関係するミセリア・ステリリア株を、糖蜜(30g/l)、コーンスティープリカー(10g/l)およびグルコース(30g/l)よりなる培地中で培養する。
【0101】
前培養物の製造のために、培地に寒天プレートからの菌糸体を接種し、振盪装置上で約3日間の後、さらに同一培地のフラスコ(内容物、各々100ml)に接種するのに使用する。
【0102】
b)代替培地:
別法として、以下の培地もまた、真菌培養物の培養に使用することができる:
コムギ胚芽エキス 2.0%
ファーマメディア(Pharmamedia) 1.0%、
MgSO・7HO 0.2%、
NaCl 0.2%、
澱粉 2.6%、
麦芽シロップ 6.0%、
CaCO 0.3%。
【0103】
次いで121℃での滅菌は20分間行う。
滅菌後の培地のpHは7.5である。
【0104】
以下の供給実験の場合、関係する前駆物質(例えば、4−ニトロフェニルアラニン、4−ニトロフェニル乳酸、4−アミノフェニルアミン、4−アミノフェニル乳酸)を3日令の培養物に添加する;最終濃度は50mMである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

式中、
は、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、環状アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールアルコキシ、シクロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アルコキシスルホニル、アルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニルを表し、それらの各々は場合により置換された、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、カルボキシル、カルバモイル、シアノであるか、または、適切には、置換された環状アミノ基であることができ、そして
、RおよびRは、相互に独立して、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、ヘテロアリールメチルまたはベンジル基を表し、ベンジル基は場合により水素、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル、環状アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールアルコキシ、シクロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アルコキシスルホニル、アルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニルよりなる群からの基によって置換され、群の各々は場合により置換された、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、カルボキシル、カルバモイル、シアノであることができるか、または場合により適切な環状アミノ基によって置換されているが、
但し、Rが4−ヒドロキシを表し、
が非置換ベンジルを表し、そして他の基が上記の意味を有する、
式(I)で示される化合物は除く、
で示される24個の環原子を有する置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチドの製造方法であって、
a)一般式(II)、(III)、(IV)および(V)
【化2】

(式中、R、R、RおよびRは上記の意味を有す)
で示される光学活性またはラセミアミノ酸、或いは
b)一般式(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)
【化3】

(式中、R、R、RおよびRは上記の意味を有す)
で示される光学活性またはラセミ2−ヒドロキシ−カルボン酸を、
緩衝系中で、適切な栄養溶液中の置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチドの生産能を有する無胞子不完全菌目(Agonomycetales)に属する種である真菌株の存在下またはこれらの真菌株から単離された酵素製剤もしくはシンテターゼの存在下で反応させ、次いで所望の24個の環原子を有する置換アリール乳酸含有シクロデプシペプチドを単離することを特徴とする、一般式(I)で示されるペプチドの製造方法。

【公開番号】特開2008−92952(P2008−92952A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271390(P2007−271390)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【分割の表示】特願平9−520934の分割
【原出願日】平成8年11月25日(1996.11.25)
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen,Germany
【Fターム(参考)】