説明

3‐置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類及びその用途

【発明の詳細な説明】
本発明は一般式(I)


〔式中、R1は低級アルキル基を示し、R2はハロアルコキシ基を示し、R3はハロゲン原子をを示し、R4はシアノアルキル基、シアノアルケニル基、低級ジアルコキシホスフィニルアルキル基、1,3−ジオキソラン−2−イル基、−C(R5−COR6(式中、R5は同一又は異なっても良く、水素原子又は低級アルキル基を示し、R6は水酸基、低級アルコキシ基又は低級アルキルチオ基を示す。)、−CH=N−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基又は低級アルコキシカルボニルアルキル基を示す。)、−CH=CH−COR8(式中、R8は低級アルキル基、低級アルコキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)、−CH2−A−R9(式中、R9は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルコキシカルボニルアルキル基又は低級アシルアルキルカルボニル基を示し、Aは酸素原子又は硫黄原子を示す。)又は

(式中、R10は水酸基又は低級アルコキシ基を示し、R11は低級アルコキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)を示し、X及びYは同一又は異なっても良く、ハロゲン原子を示す。〕
で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類及び該化合物を有効成分とする除草剤に関するものである。
本発明者等は新規な除草剤を創出すべく、鋭意研究を重ねた結果、一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類が文献未記載の新規化合物であり、且つ低薬量で雑草に対して強い除草作用を有することを見出し、本発明を完成させたものである。
本発明の従来技術としては、例えば特開昭50−117936号、同52−91861号、同54−70270号及び同55−9062号公報等にピラゾール系化合物が開示されているが、本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類は全く開示されておらず、しかも本発明の3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類はこれらの公報記載の化合物に比較して低薬量で優れた除草効果を有するものである。
本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類は下記に図示する構造異性体を有し、これらの構造異性体は本発明の3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を製造する際に、同時に生成し、適当な分離方法、例えば再結晶法、カラムクロマトグラフィー法等で分離することにより製造することができるものであり、本発明はこれらの構造異性体をも包含するものである。


(式中、R1、R2、R3、R4、X及びYは前記に同じ。)
本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体の塩類としては、、例えば塩酸、硫酸等の鉱酸の塩類の他に、例えばパラトルエンスルホン酸等の有機酸の塩類を例示することができる。
本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類の代表的な製造方法としては、例えば下記に図示する製造方法を例示することができる。


(式中、R1、R2、R3、X及びYは前記に同じくし、R7-1は低級アルキル基、低級アルケニル基又は低級アルコキシカルボニルアルキル基を示し、Zはハロゲン原子を示し、n及びmは1〜2の整数を示す。但し、nとmの和は3とする。)
即ち一般式(II)で表されるピラゾール類を不活性溶媒の存在下にハロゲン化剤を反応させ、一般式(II−1)で表されるピラゾール類を製造し、該一般式(II−1)で表されるピラゾール類を単離し、又は単離せずして不活性溶媒の存在下にヘキサメチレンテトラミンによりソムレット(Sommelet)反応を行い、更に酸加水分解反応し、一般式(II−2)で表されるピラゾール類を製造し、次いで該一般式(II−2)で表されるピラゾール類を不活性溶媒及び塩基の存在下にヒドロキシルアミン若しくはその塩と反応させ、一般式(I−1)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体とし、次いで、該一般式(I−1)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を不活性溶媒及び塩基の存在下に一般式(III−1)で表されるハライド類と反応させることにより一般式(I−2)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
A−1. 一般式(II)→一般式(II−1)
本反応で使用できる不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、メチルセロソルブ、ジエチルエーテル等の鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラハイドロフラン等の環状エーテル類、スルホラン、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の不活性溶媒を使用することができ、これらの不活性溶媒は単独で若しくは混合して使用することもできる。
本反応で使用できるハロゲン化剤としては、例えば塩素、臭素、、N−ブロモスクシイミド(NBS)、N−クロロスクシイミド(NCS)、次亜ハロゲン酸ターシャリーブチル、トリクロロメタンスルホニルハロゲニド等のハロゲン化剤を使用することができ、NBS、NCSをハロゲン化剤として使用する場合は、触媒として過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、光等を使用して行うのが好ましい。
ハロゲン化剤の使用量は一般式(II)で表されるピラゾール類に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択して使用すれば良い。
反応温度は0℃乃至使用する不活性溶媒の沸点域から選択して使用すれば良い。
反応時間は反応規模及び反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、反応液から常法により、例えば溶媒留去、溶媒抽出等の操作を行い、必要に応じて再結晶法、カラムクロマトグラフィー法等で精製することにより、一般式(II−1)で表されるピラゾール類を製造することができる。
A−2. 一般式(II−1)→一般式(II−2)
本反応は第一反応としてソムレット反応及び第二反応として酸加水分解反応からなり、第一反応で使用できる不活性溶媒としては、例えば氷酢酸等の有機酸類、塩酸、硫酸等の鉱酸類、水等を単独で若しくは混合して使用することができる。
ヘキサメチレンテトラミンの使用量は一般式(II−1)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体に対して等モル使用すれば良いが、過剰に使用することもできる。
反応温度は10℃乃至使用する不活性溶媒の沸点域から選択すれば良く、好ましくは30乃至180℃の範囲で行うのが良い。
反応終了後、目的物を含む反応液を第二反応に供すれば良い。
酸加水分解反応では、第一反応で得られた目的物を含む反応液をそのまま、又は必要に応じて大過剰の塩酸、硫酸等の鉱酸類を添加して反応を行えば良く、好ましくは塩酸等の鉱酸を添加して行うのが良い。
反応温度は80℃乃至180℃の範囲から選択される。
反応時間は反応規模及び反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、A−1と同様にすることにより、一般式(II−2)で表されるピラゾール類を製造することができる。
A−3. 一般式(II−2)→一般式(I−1)
本反応で使用できる不活性溶媒としては、例えばA−1で使用できる不活性溶媒を使用することができる。
本反応で使用できる塩基としては、無機塩基又は有機塩基を使用することができ、無機塩基としては、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属原子若しくはアルカリ土類金属原子の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート等を、有機塩基としてはトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)等の有機塩基を使用することができる。
塩基の使用量としては、一般式(II−2)で表されるピラゾール類に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択すれば良い。
本反応は等モル反応である各反応剤は等モル使用すれば良いが、ヒドロキシルアミン又はその塩類を一般式(II−2)で表されるピラゾール類に対して過剰に使用することもできる。
反応温度は0℃乃至150℃の範囲から選択して使用すれば良く、好ましくは10℃乃至100℃の範囲から選択される。
反応時間は反応規模及び反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、A−1と同様にすることにより一般式(I−1)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
A−4. 一般式(I−1)→一般式(I−2)
本反応で使用できる不活性溶媒としては、例えばA−1で使用できる不活性溶媒を使用することができる。
本反応で使用できる塩基としてはA−3で使用できる塩基を使用し、A−3と同様にすることにより、一般式(I−2)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。


(式中、R1、R2、R3、X及びYは前記に同じくし、R7-1は低級アルコキシカルボニルアルキル基を示し、Zはハロゲン原子を示す。)
即ち一般式(II−2)で表されるプラゾール類を不活性溶媒の存在下に還元剤を反応させ、一般式(I−3)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造し、該一般式(I−3)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を単離し、又は単離せずして不活性溶媒及び塩基の存在下に一般式(III−2)で表されるハライド類と反応させることにより、一般式(I−4)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
B−1. 一般式(II−2)→一般式(I−3)
本反応で使用できる不活性溶媒としては、例えば一般的にジメチルエーテル、ジエチルエーテル等の鎖状エーテル類、ジオキサン等の環状エーテル類等を使用することができるが、還元剤としてNaBH4を使用する場合はメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジグリム、水等を使用することもでき、これらの不活性溶媒は単独で又は混合して使用することもできる。
還元剤としては、例えばLiAlH4、NaBH4、NaBH3CN等の還元剤を使用することができ、使用量は一般式(II−2)で表されるピラゾール類に対して1/2乃至過剰モルの範囲から選択すれば良い。
反応温度は0℃乃至使用する不活性溶媒の沸点域から選択して使用すれば良く、好ましくは0℃乃至100℃の範囲から選択される。
反応時間は反応規模及び反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、反応液から常法により、例えば溶媒留去、溶媒抽出等の操作を行い、必要に応じて再結晶法、カラムクロマトグラフィー法等で精製することにより、一般式(I−3)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
B−2. 一般式(I−3)→一般式(I−4)
本反応で使用できる不活性溶媒としては、本反応の進行を著しく阻害しないものであれば良く、例えばA−1で使用される不活性溶媒以外に水を使用することができる。又、水及び水に不溶の有機溶媒との混合溶媒を使用する場合は、塩基とともに相間移動触媒を使用することもできる。
本反応は等モル反応であるので、各反応剤は等モル使用すれば良く、一般式(III−2)で表されるハライド類を過剰に使用することもできる。
本反応で使用できる塩基としては、A−3で使用できる塩基を使用することができる。塩基の使用量は、一般式(I−3)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択して使用すれば良い。
反応温度は0℃乃至使用する不活性溶媒の沸点域から選択すれば良く、好ましくは0℃乃至100℃の範囲で行われる。
反応時間は反応規模及び反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲から選択すれば良い。
反応終了後、B−1と同様にすることにより、一般式(I−4)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。


(式中、R1、R2、R3、A、X、Y及びZは前記に同じくし、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を示し、R9-2は低級アルキル基、低空アルケニル基、低級アルキニル基、アシルアルキルカルボニル基又はジアルコキシホスフィニル基を示し、R9-3は低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基又はアシルアルキルカルボニル基を示し、R9-4は低級アルキル基を示す。)
即ち、一般式(II−1′)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を不活性溶媒及び塩基の存在下に、一般式(III−3)で表される化合物又は一般式(III−4)で表される化合物と反応させることにより、一般式(I−5)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
本反応はB−2と同様にすることにより、一般式(I−5)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。


(式中、R1、R2、R3、X、Y及びZは前記に同じくし、R8-1は低級アルキル基を示し、R8-2は低級アルコキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)
即ち、一般式(II−2)で表されるピラゾール類と一般式(III−5)で表されるケトン類とを不活性溶媒及び塩基の存在下に反応させるか、又は一般式(II−2)で表されるピラゾール類と酸無水物とを不活性溶媒及び塩基の存在下に反応させ、一般式(I−6)で表される3−置換フェニルピラゾール類を製造し、次いで不活性溶媒の存在下、又は不存在下にハロゲン化剤と反応させ、一般式(II−3)で表される酸ハライド類を製造し、該酸ハライド類を不活性溶媒及び塩基の存在下に一般式(III−6)で表される化合物と反応させることにより、一般式(I−7)で表される3−置換フェニルピラゾール類を製造することができる。
D−1. 一般式(II−2)→一般式(I−7)又は一般式(I−6)
本反応は不活性溶媒の存在下に反応を行えば良いが、好ましくは反応剤として使用する酸無水物又は一般式(III−5)で表されるケトン類を溶媒として使用するのが好ましい。
本反応で使用できる塩基としては、例えば酢酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウム等の無機塩基を使用することができ、塩基の使用量は一般式(II−2)で表されるピラゾール類に対して、触媒量から等モル乃至過剰モルの範囲から選択することができ、好ましくは若干過剰に使用するのが良い。
反応温度は室温乃至使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すれば良く、好ましくは30〜200℃の範囲である。
反応時間は反応量、反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲である。
反応終了後、B−2と同様にすることにより、一般式(I−6)又は一般式(I−7)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
D−2. 一般式(I−6)→一般式(II−3)
本反応で使用できる不活性溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラハイドロフラン等の環状エーテル類を使用することができる。ハロゲン化剤としては、例えば塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン等を使用することができる。
ハロゲン化剤の使用量は一般式(I−6)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体に対して等モル乃至過剰モルの範囲から選択すれば良く、好ましくは過剰量使用するのが良い。
反応温度は室温乃至使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すれば良い。
反応時間は反応量、反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲である。
反応終了後、B−2と同様にすることにより、一般式(II−3)で表される酸ハライド類を製造することができる。
D−3. 一般式(II−3)→一般式(I−7)
本反応は目的とするエステル類に相当するアルコール類の過剰量と反応すれば良く、この場合アルコール類は不活性溶媒としての働きもするものである。
又、不活性溶媒及び塩基の存在下にエステルに相当するアルコール類と反応させることもできる。この場合に使用できる不活性溶媒としては、例えば酸ハライド化で使用できる不活性溶媒を使用することができ、アルコール類の使用量は等モル乃至過剰モル使用すれば良い。
本反応で使用できる塩基としては、例えばA−3で使用できる塩基を使用することができる。
反応温度は0℃乃至使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すれば良く、好ましくは0℃乃至150℃の範囲で行うのが良い。
反応時間は反応量、反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲である。
反応終了後、B−2と同様にすることにより、一般式(I−7)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。


(式中、R1、R2、R3、X、Y及びZは前記に同じくし、R4-1は低級アルキル基又は低級アルケニル基を示し、R4-2は水素原子、低級アルキル基又は低級アルケニル基を示す。)
即ち、一般式(II−1′)で表されるピラゾール類を不活性溶媒及び塩基の存在下に、式III−6の化合物と反応させて一般式(I−8)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造し、更に該一般式(I−8)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を一般式(III−7)で表されるハライド類と不活性溶媒及び塩基の存在下に反応させることにより、一般式(I−9)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
E−1. 一般式(II−1′)→一般式(I−8)
本反応はB−2と同様にすることにより、一般式(I−8)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
E−2. 一般式(I−8)→一般式(I−9)
本反応はA−4と同様にすることにより、一般式(I−9)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。


(式中、R1、R2、R3、R5、X、Y及びZは前記に同じくし、R6-1は低級アルコキシ基又は低級アルキルチオ基を示す。)
即ち、E法で得られた一般式(I−8)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を不活性溶媒及び塩基の存在下にアルキル化剤でアルキル化し、一般式(I−10)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造し、次いで該一般式(I−10)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を塩酸、硫酸等の鉱酸の存在下に加水分解反応を行い、一般式(I−11)で表される3−置換フェニルピラゾール類を製造し、更に該一般式(I−11)で表される3−置換フェニルピラゾール類を不活性溶媒の存在下、又は不存在下にハロゲン化剤と反応させ、一般式(II−4)で表される酸ハライド類を製造し、該酸ハライド類を不活性溶媒及び塩基の存在下に一般式(III−8)で表される化合物と反応させることにより、一般式(I−12)で表される3−置換フェニルピラゾール類を製造することができる。
F−1. 一般式(I−8)→一般式(I−10)
本反応で使用できる不活性溶媒としては、例えばA−1で使用できる不活性溶媒の他にジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の不活性溶媒を使用することができる。
本反応で使用できる塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基の他、カリウムターシャリーブトキサイド等のアルコラート類を使用することができる。
塩基の使用量は一般式(I−8)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体に対して、一般式(I−10)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体のR5の置換数に応じて等モルから2倍モル前後の範囲から選択することができる。
本反応は等モル反応であるので、各反応剤を等モル使用すれば良いが、一般式(I−10)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体のR5の置換数に応じて、アルキル化剤の量を選択すれば良い。
反応温度は0℃乃至使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すれば良く、好ましくは0〜150℃の範囲である。
反応時間は反応量、反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲である。
反応終了後、A−1と同様にすることにより、一般式(I−10)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
F−2. 一般式(I−10)→一般式(I−11)
本反応は塩酸、硫酸等の鉱酸の水溶液を不活性溶媒及び反応剤として、酸加水分解反応を行えば良い。
反応温度は80℃乃至250℃の範囲から選択すれば良く、好ましくは80℃乃至200℃の範囲で行うのが良い。
反応時間は反応量、反応温度等により一定しないが、数分乃至48時間の範囲である。
反応終了後、目的物を含む反応液を氷水中に注ぎ、析出物を濾集するか、溶媒抽出等により目的物を単離し、必要に応じて再結晶法、カラムクロマトグラフィー法等で精製することにより、一般式(I−11)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
F−3. 一般式(I−11)→一般式(II−4)
本反応はD−2と同様に行うことにより、一般式(II−4)で表されるピラゾール類を製造することができる。
F−4. 一般式(II−4)→一般式(I−12)
本反応はD−3と同様に行うことにより、一般式(I−12)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。


(式中、R1、R2、R3、R11、X、Y及びZは前記に同じくし、R10-1は低級アルコキシ基を示す。)
即ち、F法で得られる一般式(I−12′)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を不活性溶媒及び塩基の存在下に、蟻酸メチル等の蟻酸アルキルと反応させ、一般式(I−13)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造し、次いで該一般式(I−13)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を不活性溶媒及び塩基の存在下に、一般式(III−9)で表されるハライド類と反応させることにより、一般式(I−13)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
G−1. 一般式(I−12′)→一般式(I−13)
本反応は例えばF−1の製造方法と同様に行うことにより、一般式(I−13)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
G−2. 一般式(I−13)→一般式(I−14)
本反応は例えばA−4の製造方法と同様に行うことにより、一般式(I−14)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。


(式中、R1、R2、R3、X及びYは前記に同じ。)
即ち、一般式(II−2)で表されるピラゾール類を不活性溶媒及び触媒の存在下に1,2−エタンジオールと反応させることにより、一般式(I−15)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
本反応で使用できる不活性溶媒としては、例えばD−2の製造方法で使用できる不活性溶媒を挙げることができる。
本反応で使用できる触媒としては酸性触媒若しくは脱水剤を使用することができ、例えば塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸、イオン交換樹脂、シリカゲル、分子ふるい等を使用することができ、好ましくはパラトルエンスルホン酸を使用して、共沸脱水するのが良く、触媒の使用量は触媒量から一般式(II−2)で表されるピラゾール類に対して等モルの範囲から選択すれば良い。
本反応は等モル反応であるので、一般式(II−2)で表されるピラゾール類と1,2−エタンジオールを等モル使用すれば良く、1,2−エタンジオールを過剰に使用することもできる。
反応温度は0℃乃至使用する不活性溶媒の沸点域の範囲から選択すれば良く、好ましくは30℃乃至200℃の範囲で行うのが良い。
反応時間は反応量、反応温度により一定しないが、数分乃至48時間の範囲である。
反応終了後、A−1と同様にすることにより、一般式(I−15)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を製造することができる。
(I) 塩 類 本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体の塩類としては、例えば塩類、硫酸等の鉱酸の塩の他、有機酸、例えばパラトルエンスルホン酸等の塩を例示することができ、これらの塩はA〜Hの製造方法により製造された一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体を鉱酸、有機酸等で処理することにより、一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体の塩類を製造することができる。
以下に本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類の代表的な化合物を第1表に例示するが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。






第1表中、物性が結晶物又は油状物に記載した化合物のNMRデータを第2表に示す。




本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を製造する際の原料化合物である、一般式(II)で表されるピラゾール類の代表的な製造方法としては、例えば下記に図示する製造方法を挙げることがきる。


(式中、R1、R2、R3、X、Y及びZは前記に同じ、R2-1はハロアルキル基を示す。)
即ち、一般式(IX)で表される化合物と炭酸ジエチルとを反応させ、一般式(VIII)で表される化合物を製造し、次いで該化合物(VIII)と一般式(VII)で表されるヒドラジン類とを反応させ、一般式(VI)で表されるピラゾール類を製造し、更に該一般式(VI)で表されるピラゾール類と一般式(V)で表されるハライド類を反応させ、一般式(IV)で表されるピラゾール類を製造し、該一般式(IV)で表されるピラゾール類をハロゲン化することにより、一般式(II)で表されるピラゾール類を製造することができる。
以下に本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類の代表的な実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1.1−1. 3(5−プロモメチル−4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾールの製造

4−クロロ−3−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メチルフェニル)−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール6.9g(20ミリモル)を四塩化炭素100ml中に懸濁させ、N−臭化サクシイミド3.97g(22ミリモル)、過酸化ベンゾイルを触媒量加え、還流下に5時間反応を行った。反応終了後、反応液中の不溶物を濾去し、濾液を減圧下に濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、目的物5.69gを粘稠物として得た。
物性:粘稠物 収率:62% NMR(δ,CDCl3/TMS,ppm)
3.83(3H,s),4.53(2H,s),6.67(1H,t,J=72Hz),7.22(1H,d,J=10Hz),7.60(1H,d,J=8Hz)。
1−2. 4−クロロ−3−(4−クロロ−5−シアノメチル−2−フルオロフェニル)−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾールの製造(化合物No.1)。


3−(5−ブロモメチル−4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール2.0g(4.8ミリモル)をイソプロピルアルコール15ml中に溶解させ、該溶液を、シアン化ナトリウム0.29g(6.0ミリモル)を含む水溶液0.3ml中へ、室温下に40分かけて滴下した。滴下終了後、室温下に更に1時間反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを減圧下に留去し、残渣に水を加え、目的物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗、乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、目的物1.40gを結晶物として得た。
物性:m.p.85.5℃ 収率:80%実施例22−1. 2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロベンズアルデヒドの製造

4−クロロ−3−(4−クロロ−5−ジブロモメチル−2−フルオロフェニル)−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール14.4g(30ミリモル)を濃塩酸50mlに懸濁させ、還流下に5時間反応を行った。反応終了後、反応混合物を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで目的物を抽出し、抽出液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、水洗、乾燥し、減圧下に濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、目液物を6.0g得た。
物性:m.p.107.3℃ 収率 59%2−2. 4−クロロ−3−(4−クロロ−2−フルオロ−5−ヒドロキシメチルフェニル)−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾールの製造(化合物No.18)


2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロベンズアルデヒド0.6g(1.7ミリモル)を無水エタノール10ml中に溶解し、該溶液に水素化ホウ素ナトリウム0.06g(1.7ミリモル)を加え、室温下に1時間反応を行った後、更に水素化ホウ素ナトリウム0.06g(1.7ミリモル)を加え、反応を行った。反応終了後、反応液を水中に注ぎ、希塩酸で酸性とした後、目的物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗、乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物0.56gを結晶物として得た。
物性:m.p.99.1℃ 収率:93%実施例3. 2−〔2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロベンジルオキシ〕プロピオン酸エチルの製造(化合物No.10)


4−クロロ−3−(4−クロロ−2−フルオロ−5−ヒドロキシメチルフェニル)−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール0.50g(1.4ミリモル)をアセトン20ml中に溶解し、該溶液に炭酸カリウム0.40g(2.9ミリモル)、α−ブロモプロピオン酸エチル0.66g(3.6ミリモル)を加え、還流下に3時間反応を行った。反応終了後、反応液を水中に注ぎ、目的物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗、乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物0.25gを油状物として得た。
物性:nD 1.5260(20.1℃) 収率:39%実施例4 2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロフェニル酢酸の製造(化合物No.12)


4−クロロ−3−(4−クロロ−5−シアノメチル−2−フルオロフェニル)−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール1.10g(3.0ミリモル)を50%硫酸水溶液に懸濁させ、還流下に15分反応を行った。反応終了後、反応液を水中に注ぎ、目的物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗、乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣を酢酸エチルで再結晶させた目的物1.0gを結晶物として得た。
物性:162.9℃ 収率:89%実施例5. 2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロ桂皮酸の製造(化合物No.19)


2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロベンズアルデヒド0.70g(2.0ミリモル)、無水酢酸10ml、酢酸ナトリウム0.25g(3.0ミリモル)の混合液を還流下に10時間反応を行った。反応終了後、反応液を水中に注ぎ、目的物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗、乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣を再結晶させ目的物0.61gを結晶物として得た。
物性:結晶物 収率:80%実施例6. 〔2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロフェニルメチレン〕アザノールの製造(化合物No.24)


2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロベンズアルデヒド1.40g(4.1ミリモル)をエタノール2ml中に溶解させ、該溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩0.37g(5.4ミリモル)を水0.6mlに溶解させた溶液を、室温下に滴下した。滴下終了後、水酸化ナトリウム0.21g(5.4ミリモル)を水0.6mlに溶解させた溶液を反応液に更に滴下し、滴下終了後、室温下に2時間反応を行った。反応終了後、反応液を水中に注ぎ、目的物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗、乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣を再結晶させ目的物0.64gを結晶物として得た。
物性:m.p.147.1℃ 収率:44%実施例7. 2−〔2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロフェニルメチレンアザニルオキシ〕プロピオン酸エチルの製造(化合物No.30)


〔2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロフェニルメチレン〕アザノール0.20g(0.5ミリモル)をアセトニトリル20ml中に溶解し、該溶液に炭酸カリウム0.15g(1.1ミリモル)、α−ブロモプロピオン酸エチル0.20g(1.1ミリモル)を加え、還流下に3時間反応を行った。反応終了後、反応液を水中に注ぎ、目的物を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗、乾燥後、減圧下に溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物0.18gを油状物として得た。
物性:nD 1.5354(21.9℃) 収率70% 本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類は、例えばノビエ(タイヌビエの俗称、イネ科一年生草、水田の代表的強害草)、タマガヤツリ(カヤツリグサ科の一年生草、水田の害草)、マツバイ(カヤツリグサ科多年生草、湿地、水路、水田に発生、水田の代表的多年生害草)、ウリカワ(オモダカ科、湿地、溝、水田に発生する多年生害草)、ホタルイ(カヤツリグサ科多年生草、湿地、水路、水田に発生)、エンバク(イネ科一年生草、山野、畑地に発生)、メヒシバ(イネ科一年生草、畑、樹園地の代表的強害草)、ギシギシ(タデ科多年生草、畑地、道端に発生)、コゴメガヤツリ(カヤツリグサ科一年生草、畑地、道端に発生)、アオビユ(ヒユ科一年生草、畑地、道端、空地に発生)、ヤエムグラ(アカネ科一年生草、畑地の強害草)、オオイヌフグリ(ゴマノハグサ科、畑地、樹園地の強害草)、カミツレ(キク科、畑地の強害草)、イチビ(アオイ科、畑地の強害草)、オナモミ(キク科一年生草、畑地の強害草)、マルバアサガオ(ヒルガオ科、畑地の強害草)等の水田、畑地、樹園地、湿地等に発生する一年生及び多年生雑草を防除する作用を有する。
本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類は、出芽前及び出芽後にある雑草に対して優れた防除作用を示すことから、有用植物の植え付け予定地に予め処理するとか、有用植物の植え付け後(有用植物が樹園の如く既に定植されている場合を含む。)雑草の発生始期から生育期に処理することにより本発明除草剤の有する特徴がある生理活性を効果的に発現させることができる。
しかし本発明除草剤はこのような態様においてのみ使用されねばならないというものではなく、例えば本発明除草剤は水田用若しくは畑地用除草剤として使用することができるばかりでなく、一般雑草の除草剤としても使用することができ、例えば刈り取り跡、、休耕田畑、畦畔、農道、水路、牧草造成地、墓地、公園、道路、運動場、建物の周辺の空き地、開墾地、線路、森林等の一般雑草の駆除の為に使用することもできる。この場合、雑草の発生始期までに処理するのが経済的にも最も効果的であるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、生育期にある雑草を防除するのが可能である。
本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を除草剤として使用する場合、農薬製剤上の常法に従い、使用上都合の良い形状に製剤して使用するのが一般的である。
即ち、本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類は、これらを適当な不活性担体に、又は必要に応じて補助剤と一緒に、適当な割合に配合して溶解、分離、懸濁、混合、含浸、吸着若しくは付着させ、適宜の剤形、例えば懸濁剤、乳剤、液剤、水和剤、粒剤、粉剤、錠剤等に製剤して使用すれば良い。
本発明で使用できる不活性担体としては固体又は液体の何れであっても良く、固体の担体になりうる材料としては、例えばダイズ粉、穀物粉、木粉、樹皮粉、鋸粉、タバコ茎粉、クルミ殻粉、ふすま、繊維素粉末、植物エキス抽出後の残渣、粉砕合成樹脂等の合成重合体、粘土類(例えばカオリン、ベントナイド、酸性白土等)、タルク類(例えばタルク、ピロフィライト等)、シリカ類(例えば珪藻土、珪砂、雲母、ホワイトカーボン〔含水微粉珪素、含水珪酸ともいわれる合成高分散珪酸で、製品により珪酸カルシウムを主成分として含むものである。〕)、活性炭、イオウ粉末、軽石、焼成珪藻土、レンガ粉砕物、フライアッシュ、砂、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム等の無機鉱物性粉末、硫安、硝安、燐安、尿素、塩安等の化学肥料、堆肥等を挙げることができる。
これらは単独で若しくは二種以上の混合物の形で使用される。
液体の担体になりうる材料としては、それ自体溶媒能を有するものの他、溶媒能を有さずとも補助剤の助けにより有効成分化合物を分散させうることとなるものから選択され、例えば代表例として次に挙げる担体を例示できるが、これらは単独で若しくは2種以上の混合物の形で使用され、例えば水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(例えばエチルエーテル、ジオキサン、セロソルブ、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(例えばガソリン、鉱油等)、芳香族炭化水素類(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、アルキルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(倒えばジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等)、エステル類(例えば酢酸エチル、ジイソプロピルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ニトリル類(例えばアセトニトリル等)、ジメチルスルホキシド類等を挙げることができる。
他の補助剤としては、次に例示する代表的な補助剤をあげることができ、これらの補助剤は目的に応じて使用され、単独で、ある場合は二種以上の補助剤を併用し、又ある場合には全く補助剤を使用しないことも可能である。
有効成分化合物の乳化、分散、化溶化及び/又は湿潤の目的のために界面活性剤が使用され、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、アルキルアリールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸縮合物、リグニンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル等の界面活性剤を例示することができる。
又有効成分化合物の分散安定化、粘着及び/又は結合の目的のために、次に例示する補助剤を使用することもでき、例えばカゼイン、ゼラチン、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、松根油、糖油、ベントナイト、リグニンスルホン酸塩等の補助剤を使用することもできる。
固体製品の流動性改良のために次に挙げる補助剤を使用することもでき、例えばワックス、ステアリン酸塩、燐酸アルキルエステル等の補助剤を使用できる。
懸濁性製品の解こう剤として、例えばナフタレンスルホン酸縮合物、縮合燐酸塩等の補助剤を使用することもできる。
消泡剤としては、例えばシリコーン油等の補助剤を使用することもできる。
有効成分化合物の配合割合は必要に応じて加減することができ、例えば粉剤或いは粒剤とする場合は0.01〜50重量%、又乳剤或いは水和剤とする場合も同様0.01〜50数量%が適当である。
本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を有効成分とする除草剤は、各種雑草を枯殺し若しくは生育を抑制するために、そのまま、又は水等で適宜希釈し、若しくは懸濁させた形で殺草若しくは生育抑制に有効な量を、当該雑草に、又は当該雑草の発生若しくは生育が好ましくない場所において、茎葉又は土壌に適用して使用する。
本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を有効成分とする除草剤の使用量は種々の因子、例えば目的、対象雑草、雑草又は作物の発生/生育状況、雑草の発生傾向、天候、環境条件、剤型、施用方法、施用場所、施用時期等により変動するが、有効成分化合物としてヘクタール当たり0.1g乃至5kgの範囲から目的に応じて適宜選択すれば良い。
本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を有効成分とする除草剤を水田用又は畑地用除草剤として使用する場合は、例えば有効成分量としてヘクタール当たり100g以下の薬量で、作物に対して薬害をおこさず、且つ目的とする雑草を選択的に防除できる薬量を選択すれば良く、又、非農耕地用除草剤として使用する場合は、有効成分量としてヘクタール当たり100g以上の薬量で、目的とする雑草を枯殺できる薬量を選択すれば良い。
本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を有効成分とする除草剤を更に防除対象草種、防除適期の拡大のため、或いは薬量の低減をはかる目的で他の除草剤と混合して使用することも可能である。
以下に本発明組成物の代表的な試験例及び処方例を例示する。尚、処方例中、部とあるのは重量部を示す。
試験例1. 出芽後の水稲雑草に対する除草効果 1万分の1アールポットに土壌を詰め、水田状態にし、水田雑草であるノビエ、ホタルイの種子、ミズガヤツリ及びウリカワの塊茎を一葉期になるように調整した。これに本発明化合物(第1表記載の化合物)を有効成分とする薬剤を所定濃度の散布液として処理した。処理21日後に除草効果を調査し、無処理と比較して殺草率を算出し、大記の基準に従って判定を行った。同時に水稲に対する薬害を調査して下記の基準で薬害を判定した。
除草活性の判定基準 5…95%以上殺草 4…70%以上95%未満殺草 3…50%以上70%未満殺草 2…30%以上50%未満殺草 1…10%以上30%未満殺草 0…10%未満殺草薬害の判定基準 0…薬害なし。
1…褐変を生じるが、初期に回復し生育抑制は殆どなし。
2…褐変とともに、明らかな生育抑制が見られるが、早い段階に回復する。
3…褐変及び生育抑制が顕著であり、回復が遅い。
4…褐変及び生育抑制が顕著であり、枯死する個体も見られる。
5…全ての個体が殆ど枯死する。
結果を第3表に示す。


尚、比較対照化合物Aは特開昭52−91861号公報第5頁記載の3−フェニル−5−メチルチオピラゾールを、Bは同公報第4頁の例1に記載の化合物を、Cは特開昭54−70270号公報に記載のNo.8を、そしてDは特開昭55−9062号公報第9頁に記載の化合物No.159を比較対照化合部として使用した。




第3表に示す如く、本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類は、有効成分量でヘクタール当たり5kgの薬量で、水田出芽後の処理で各供試雑草に対して強い除草効果を示すが、稲に対しても薬害を生じる。しかしながら更に薬量を低減することにより所期の除草効果を維持し、稲に対する薬害は軽減される。
試験例2. 出芽前の畑地雑草に対する除草効果 縦10cm×横20cm×高さ5cmのポリエチレン製バットに土壌を詰め、これに畑地雑草であるノビエ、イチビ、オナモミ、オオイヌノフグリ、ヤエムグラ及び畑作作物としてダイズ及びコムギの種子を播種覆土した。
これに本発明化合物(第1表記載の化合物)を有効成分とする薬剤を所定濃度の散布液として処理した、処理14日後に除草効果を調査し、試験例1と同様にして殺草率を算出し、判定を行った。同時にダイズ及びコムギに対する薬害を調査し試験例1の基準に従って薬害を判定した。
結果を第4表に示す。




第4表に示す如く、本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類は、有効成分量でヘクタール当たり5kgの薬量で、畑出芽前の処理で各供試雑草に対して強い除草効果を示すが、コムギ、ダイズに対しても薬害を生じる。しかしながら更に薬量を低減することにより所期の除草効果を維持し、コムギ、ダイズに対する薬害は軽減される。
試験例3. 出芽後の畑地雑草に対する除草効果 縦10cm×横20cm×高さ5cmのポリエチレン製バットに土壌を詰め、これに下記に示す畑地有害雑草、コムギ及びコムギの種子を及び畑作作物としてダイズ及びコムギの種子を播種覆土し、各々下記の葉期になるまで生育させ、これに本発明化合物(第1表記載の化合物)を有効成分とする薬剤を所定濃度の散布液として処理した。処理14日後に除草効果を調査し、試験例1と同様にして殺草率を算出し、判定を行った。同時にダイズ及びコムギに対する薬害を調査し試験例1の基準に従って薬害を判定した。
供試雑草種及びその葉期並びにダイズ及びコムギの葉期 ノビエ 2葉期 イチビ 2葉期 オオイヌノフグリ 1葉期 オナモミ 1葉期 ヤエムグラ 2葉期 コムギ 2葉期 ダイズ 1葉期 結果を第5表に示す。


第5表に示す如く、本発明の一般式(I)で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類は、有効成分量ヘクタール当たり5kgの薬量で、畑出芽後処理で各供試雑草に対して強い除草効果を示すが、コムギ、ダイズに対しても薬害を生じる。しかし、更に薬量を低減することにより所期の除草効果を維持し、且つコムギ、ダイズに対する薬害は軽減されるものである。
処方例1. 化合物No.1 50部 クレー・ホワイトカーボンのクレーを主とする混合物 45部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 5部 以上を均一に混合粉砕して水和剤とする。
処方例2. 化合物No.5 5部 ベントナイト・クレーの混合物 90部 リグニンスルホン酸カルシウム 5部 以上を均一に混合粉砕し、適量の水を加えて混練し、造粒、乾燥して粒剤とする。
処方例3. 化合物No.15 50部 キシレン 40部 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルとアルキルベンゼンスルホン酸カルシウムとの混合物 10部 以上を均一に混合溶解して、乳剤とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】一般式(I)


〔式中、R1は低級アルキル基を示し、R2はハロアルコキシ基を示し、R3はハロゲン原子を示し、R4はシアノアルキル基、シアノアルケニル基、低級ジアルコキシホスフィニルアルキル基、1,3−ジオキソラン−2−イル基、−C(R5−COR6(式中、R5は同一又は異なっても良く、水素原子又は低級アルキル基を示し、R6は水酸基、低級アルコキシ基又は低級アルキルチオ基を示す。)、−CH=N−OR7(式中、R7は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基又は低級アルコキシカルボニルアルキル基を示す。)、−CH=CH−COR8(式中、R8は低級アルキル基、低級アルコキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)、−CH2−A−R9(式中、R9は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルコキシカルボニルアルキル基又は低級アシルアルキルカルボニル基を示し、Aは酸素原子又は硫黄原子を示す。)又は

(式中、R10は水酸基又は低級アルコキシ基を示し、R11は低級アルコキシ基又は低級アルケニルオキシ基を示す。)を示し、X及びYは同一又は異なっても良くハロゲン原子を示す。〕
で表される3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類。
【請求項2】R1が低級アルキル基を示し、R2がハロアルコキシ基を示し、R3がハロゲン原子を示し、R4が−CH2−A−R9(式中、R9は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルコキシカルボニルアルキル基又は低級アシルアルキルカルボニル基を示し、Aは酸素原子又は硫黄原子を示す。)を示し、X及びYが同一又は異なっても良く、ハロゲン原子を示す請求項第1項記載の3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類。
【請求項3】R1が低級アルキル基を示し、R2がフルオロアルコキシ基を示し、R3がハロゲン原子を示し、R4が−CH2−A−R9(式中、R9は低級アルコキシカルボニルアルキル基を示し、Aは酸素原子を示す。)を示し、X及びYは同一又は異なっても良く、ハロゲン原子を示す請求項第2項記載の3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類。
【請求項4】R1がメチル基を示し、R2がジフルオロメトキシ基を示し、R3が塩素原子を示し、R4が−CH2−A−R9(式中、R9は低級アルコキシカルボニルアルキル基を示し、Aは酸素原子を示す。)を示し、Xがフッ素原子を示し、Yが塩素原子を示す請求項第3項記載の3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類。
【請求項5】下記の化合物である請求項第3項記載の3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類。
■ 2−〔2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロベンジルオキシ〕酢酸エチル■ 2−〔2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロベンジルオキシ〕酢酸イソプロピル■ 2−〔2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−フルオロベンジルオキシ〕プロピオン酸エチル
【請求項6】請求項第1項記載の3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を有効成分として含有することを特徴とする除草剤。
【請求項7】請求項第2項記載の3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を有効成分として含有することを特徴とする除草剤。
【請求項8】請求項第3項記載の3−置換フェニルプラゾール誘導体又はその塩類を有効成分として含有することを特徴とする除草剤。
【請求項9】請求項第4項記載の3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を有効成分として含有することを特徴とする除草剤。
【請求項10】請求項第5項記載の3−置換フェニルピラゾール誘導体又はその塩類を有効成分として含有することを特徴とする除草剤。

【特許番号】第2704662号
【登録日】平成9年(1997)10月9日
【発行日】平成10年(1998)1月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−289273
【出願日】平成1年(1989)11月7日
【公開番号】特開平3−151367
【公開日】平成3年(1991)6月27日
【出願人】(999999999)日本農薬株式会社