説明

3−アミジノフェニルアラニン誘導体を合成するための方法

【課題】3−シアノフェニルアラニン誘導体を用いる、薬学的に活性なウロキナーゼインヒビターであるエナンチオマーとして純粋な3−アミジノフェニルアラニン誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】3−ヒドロキシアミジノ−及び3−アミドラゾノ−フェニルアラニン誘導体又はそれらのアセチル化誘導体を穏和な条件(H又はギ酸アンモニウム、Pd/C(約10%)、エタノール/水、周囲温度、常圧、又はH、Pd/C、AcOH又はHCl/エタノール、1〜3bar)下で還元し、3−アミジノフェニルアラニン誘導体を99.9%までのエナンチオマー純度で製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全化学収率が改良され、エナンチオマー過剰率が高められた、3−アミジノフェニルアラニン誘導体を合成するための方法に関する。これらの3−アミジノフェニルアラニン誘導体は、特に有効な種類のウロキナーゼインヒビターである(WO00/1758)。
【0002】
ウロキナーゼインヒビターを調製するためのWO00/1758に記載される合成方法は、置換3−シアノフェニルアラニン誘導体のシアノ官能基をアミジノ官能基に変換するための方法を含む。この方法の欠点は、ニトリル官能基のアミジノ官能基への複数工程の変換により製造される収率が不十分であること、硫化水素及びヨウ化メチルのような発癌性試薬の使用、並びに副生成物としてメチルメルカプタンが毒性の高いガスの形態で放出されることである。この方法は、かなりの量の装置及び追加の分離プロセスを必要とする。さらに、ラセミ化及びそれによるさらに低いエナンチオマー過剰率が考慮されなければならない。
【0003】
塩酸ヒドロキシルアミン/トリエチルアミンを用い、その後、Pd触媒による水素化(10bar/AcOH/50℃)を用いたパラ位のニトリル基のアミジノ官能基への変換は、Tetrahedron 51、12047〜68(1995)(図3)に記載されている。しかし、この反応条件は非常に厳しいため、この化学収率及び化学純度は満足できるものではない。エナンチオマー過剰率についての示唆はない。
【0004】
Tetrahedron Letters 40、7067〜71(1999)において、ニトリルから芳香族アミジンを調製するための新規で温和な方法は、他の全ての公知の方法よりもさらに利点があるべきであることが記載されている。この反応は、約60℃の温度でアセチルシステイン及びアンモニアを用いて行なわれる。この方法の欠点は、妥当な収率がπ電子不足状態(=π電子吸引性)の芳香族を用いた状態でのみ得られ得るという事実である。
【0005】
驚くべきことに、ヒドロキシルアミンを用いた、一般式(III)の置換フェニルアラニン誘導体の芳香族3−シアノ官能基の、一般式(I)の対応する化合物の3−アミジノ官能基への変換、及び、その後のPd−C(10%)上で水素を用いた一般式(IIa)のオキシアミジンの還元、又はPd−C(10%)上で無水酢酸(acetanhydride)とギ酸アンモニウムとを用いた系中で生成する対応するアセチルオキシアミジンの還元が、穏やかな反応条件下で起こり得ることがわかった(以下の図1を参照)。ここでは、高い化学収率及び純度を有する反応生成物が、少ない装置を用いて得ることができ、ラセミ化はおこらない。
【0006】
さらに、EP0739886A2は、対応するニトリルから4−アミドラゾノ−フェニルアラニン誘導体を合成するための方法を記載する。ここで、このニトリルは、最初に、ヒドラジンと反応してヒドラゾノアミド(アミドラゾン)を形成する様式で、対応するチオアミドに変換され、これがチオイミドエステル誘導体を介して活性化される。
【0007】
ニトリル基のアミドラゾンへの直接変換は、J.Heterocyclic Chem.26、1623(1989)に記載されている。ここで、シアノで置換されたπ電子不足のヘテロ芳香族(すなわち、シアノ基は求核攻撃を受けやすい)は、所定の時間、ヒドラジンとともに加熱され、これによりアミドラゾンが、中程度の収率で得られた。
【0008】
さらに、驚くべきことに、電子吸引基に結合していない活性化されていないニトリルはまた、同様の条件下でヒドラジンに変換可能であることがわかっている。従って、式(III)の化合物は、良好な収率で、式(IIb)のアミドラゾンに変換可能である(図1を参照)。
【0009】
驚くべきことに、これらのアミドラゾン(式(IIa)のアミドオキシムと同様に)は、式(I)のアミジンに還元可能であることもわかっている(図1を参照)。すなわち、置換されていないアミドラゾンを置換されていないアミジンへ直接変換する反応は、これまではアリールアミドラゾンとアリールジアゾニウム塩とのアザ転移反応の場合において(Vestn.Slov.Kem.Drus.(1980)、27(3)、251〜64)、記載されているのみである。
【0010】
【化1】

【0011】
従って、本発明の目的は、高い化学収率及び純度で、並びにラセミ化を起こさずに、できるだけ少ない装置を用いて、一般式(III)の3−シアノフェニルアラニン誘導体を、一般式Iの3−アミジノ誘導体、又は酸を用いて形成されるそれらの塩に変換するための方法であり、ここで、上記の3−アミジノ誘導体又はそれらの塩は、L−又はD−立体配置の化合物として存在し、式中、Rは、
(a)式
【化2】


〔式中、p=1及びr=2であり、Rは、ベンジルオキシカルボニル、ベンジルアミノカルボニル又は2−チエニルヒドラジノカルボニルであるか、又はp=2及びr=1であり、Rは、エトキシカルボニル、2−プロピルオキシカルボニル、2−プロピルアミノカルボニル、メチルアミノカルボニル又はメチルであるかのいずれかである〕
の基;又は
(b)式
【化3】


〔式中、Rは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アセチル又はプロピオニルである〕
の基である。
【0012】
本発明の方法の第1の実施形態において、ニトリル基をアミジノ官能基へ変換する反応は、還流温度で、アルコール性水溶液中炭酸ナトリウムの存在下、塩酸ヒドロキシルアミンを用いて、有利には、式(III)の化合物を1〜5倍過剰の塩酸ヒドロキシルアミン/0.5〜0.6当量の炭酸ナトリウムと共に、アルコール性−水溶液、好ましくはエタノール性−水溶液中、2〜20時間、好ましくは4〜10時間沸騰させることによって、一般式(IIa)のアミドオキシム中間体を経て起こる。しかし、塩酸ヒドロキシルアミンを用いたニトリル(III)の変換はまた、アルコール性溶液中、トリエチルアミンの存在下で、さらなる有機溶媒(例えば塩化メチレン)の存在下又は非存在下で、室温で行なうことが可能である。
【0013】
アミドオキシム官能基のその後に続く還元は、水素ガス又はギ酸アンモニウムのいずれかを用いて(有利には、少なくとも4倍過剰量で適用される)、置換されていないアミドオキシムから直接出発することによって、又は塩酸の存在下で無水酢酸を用いて系中で製造されるアセチル化アミドオキシムを介してのいずれかで、有利には20〜60℃で、有利には1:1〜20:1、好ましくは3:1〜10:1、理想的には5:1の比の、アルコール性−水溶液、好ましくはエタノール性−水溶液中で、Pd/Cの存在下、有利には1〜50%、好ましくは5〜30%のPd/C(約10%)の存在下で、有利には常圧及び10〜50℃、好ましくは20〜30℃、理想的には室温で行なわれる。しかし、還元はまた、アルコール性、酢酸−含有溶液中、Pd/C存在下で、約1〜3barの圧力での水素化によって行なうことができる。
【0014】
本発明の方法の第2の実施形態において、一般式(III)の3−シアノフェニルアラニン誘導体を一般式Iの3−アミジノ誘導体へ変換する反応は、有利には2〜20時間、好ましくは4〜10時間、式(III)の化合物を、アルコール性溶液、好ましくはエタノール性溶液中の過剰のヒドラジンと沸騰させることによって、一般式(IIb)のアミドラゾン中間体を介して行なう。アミドラゾン中間体(IIb)を対応するアミジン(I)へ還元する反応は、アミドオキシム(IIa)から出発する化合物と同じ条件下で行なう。
【0015】
本発明のさらなる目的は、図1に示されるような一般式(II)の化合物であり、特に、(L)−又は(D)−エナンチオマーとして、(E)−又は(Z)−異性体又は(E/Z)−混合物として、遊離塩基として、又は酸を用いて形成されるそれらの塩としての、以下の式(IV)及び(V)
【化4】


の化合物である。
【0016】
以下の実施例は、本発明を制限することなく、本発明の改良された合成法及び新規な中間体の合成法をさらに説明するものである。
【0017】
実施例に従って得られる溶出物及び生成物の分析を、H−NMR、HPLCエレクトロスプレーMS又は元素分析を用いて行なった。エナンチオマー過剰率を、HPLC及びキラル分析カラムを用いた公知の方法によって決定した。一般式(III)の出発化合物及びそれらの製造は、公知である(例えば、WO00/17158)。
【0018】
実施例1:
(A)N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−3−オキソアミジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド
N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−3−シアノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド75.4g(0.126mol)を、エタノール1.5Lに溶解し、この溶液を、塩酸ヒドロキシルアミン32.5g(0.47mol)及びNaCO25.4g(0.24mol)を水0.5Lに含む溶液と混合し、6時間還流させた(80℃)。溶媒を蒸発させた後に得られた粗生成物を酢酸エチル1.5L中にとり、水(3×0.5L)で抽出し、飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。収率:71.3g(90%)。
【0019】
(B)N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−3−アミジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド塩酸塩
(A)で得られたN−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−3−オキサミジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド71.3g(0.113mol)を、エタノール0.71Lに溶解し、その溶液を、10%パラジウム炭素14.2gを水140mLに含む懸濁物と混合した。飽和するまで水素を注入し、常圧で完全に変換するまで水素化した(約5時間)。懸濁物をセライト上でろ過し、エタノール/水(9:1)で洗浄し、溶媒を蒸発させた。得られた粗生成物を、シリカゲル60(酢酸エチル/2−プロパノール、8:2)上で精製し、最終的に、Amberlite IRA−400(Cl型)上、2−プロパノール/水(8:2)中で対応する塩酸塩に変換した。収率:65.4g(89%)、エナンチオマー過剰率:(L)体99.9%。
【0020】
(C)N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−3−アミジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド塩酸塩
N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−3−オキサミジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド71.3g(0.113mol)を、エタノール0.71Lに溶解し、この溶液を、無水酢酸45.6g(0.46mol)と混合し、室温で10分間攪拌した。その後、1NのHCl 0.46Lを添加し、暖かくなった溶液をさらに10分間攪拌した。室温まで冷却した後、ギ酸アンモニウム29g(0.46mol)を添加し、混合物を5分間攪拌した。10%Pd/C14.2gを水140mLに含む懸濁物を添加した後、混合物を室温で24時間攪拌した。反応終了をHPLCで確認した後、懸濁物をセライト上でろ過し、水/エタノールの1:9混合物で洗浄し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をEtOAc1.5Lにとり、1NのHCl 0.5Lで3回、水及び飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させた。酢酸エチル/2−プロパノール(8:2)を用いたシリカゲル60によるクロマトグラフィー精製、対応する塩酸塩へ変換するための2−プロパノール/水(8:2)中のAmberlite IRA−400(Cl型)上のイオン交換クロマトグラフィーの後、生成物62.5g(85%)を得た。エナンチオマー過剰率:(L)体99.9%。
【0021】
実施例2:
(A)N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−(L)−3−オキサミジノ−フェニルアラニル−ニペコチン酸ベンジルアミド
N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−(L)−3−シアノフェニルアラニル−ニペコチン酸ベンジルアミド2.3g(3.6mmol)をエタノール45mLに溶解し、この溶液を塩酸ヒドロキシルアミン0.94g(13.6mmol)と混合した後、NaCO0.74g(7mmol)を水15mLに含む溶液と混合し、6時間還流させた(80℃)。溶媒を蒸発させた後に得られた粗生成物を酢酸エチル100mLにとり、水(3×30mL)で抽出し、飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。収率:2.1g(87%)。
【0022】
(B)N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−(L)−3−アミジノ−フェニルアラニル−ニペコチン酸ベンジルアミド塩酸塩
(A)で得られたN−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−(L)−3−オキサミジノ−フェニルアラニル−ニペコチン酸ベンジルアミド2.1g(3.1mmol)を、エタノール20mLに溶解し、この溶液を、10%パラジウム炭素0.4gを水5mLに含む懸濁物と混合した。飽和するまで水素を注入し、常圧で完全に変換するまで水素化した(約4時間)。懸濁物をセライト上でろ過し、エタノール/水(9:1)で洗浄し、溶媒を蒸発させた。得られた粗生成物を、シリカゲル60(酢酸エチル/2−プロパノール、8:2)上で精製し、Amberlite IRA−400(Cl型)上、2−プロパノール/水(8:2)中で最終的に対応する塩酸塩に変換した。収率:1.74g(85%)、エナンチオマー過剰率:(L)体99.7%。
【0023】
実施例3:
(A)N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−3−アミドラゾノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシ−カルボニルピペラジド
N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−3−シアノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド75.4g(0.126mol)を、エタノール1.5Lに溶解し、この溶液を100%ヒドラジン水和物溶液18.1g(0.47mol)と混合し、6時間還流させた(8時間)。溶媒を蒸発させた後に得られた粗生成物を酢酸エチル1.5Lにとり、水(3×0.5L)で抽出し、飽和NaClで洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、溶媒を蒸発させた。収率:65.7g(83%)。
【0024】
(B)N−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−3−アミジノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド塩酸塩
(A)で得られたN−α−2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル−3−アミドラゾノ−(L)−フェニルアラニン−4−エトキシカルボニルピペラジド65.5g(0.104mol)を、エタノール0.66Lに溶解し、この溶液を、10%パラジウム炭素13.1gを水130mLに含む懸濁物と混合した。飽和するまで水素を注入し、常圧で完全に変換するまで水素化した(約5時間)。懸濁物をセライト上でろ過し、エタノール/水(9:1)で洗浄し、溶媒を蒸発させた。得られた粗生成物を、シリカゲル60(酢酸エチル/2−プロパノール、8:2)上で精製し、Amberlite IRA−400(Cl型)上、2−プロパノール/水(8:2)中で最終的に対応する塩酸塩に変換した。収率:54.1g(80%)、エナンチオマー過剰率:(L)体99.8%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(IIa)
【化5】


の3−ヒドロキシアミジノ−フェニルアラニン誘導体を合成する方法
{ここで、一般式(IIa)の誘導体は、L−又はD−エナンチオマーとして、(E)−又は(Z)−異性体又は(E/Z)−混合物として、遊離塩基として、又は酸を用いて形成されるそれらの塩として存在し、式中、Rは、
(a)式
【化6】


〔式中、p=1及びr=2であり、Rは、ベンジルオキシカルボニル、ベンジルアミノカルボニル又は2−チエニルヒドラジノカルボニルであるか、又はp=2及びr=1であり、Rは、エトキシカルボニル、2−プロピルオキシカルボニル、2−プロピルアミノカルボニル、メチルアミノカルボニル又はメチルであるかのいずれかである〕
の基;又は
(b)式
【化7】


〔式中、Rは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、アセチル又はプロピオニルである〕
の基である}であって、
一般式(III)
【化8】


〔式中、Rは上述の意味を有する〕
のニトリルを、還流温度でアルコール性水溶液中、炭酸ナトリウムの存在下で、塩酸ヒドロキシルアミンを用いて変換する工程を含む方法。
【請求項2】
一般式IIIのニトリルの変換が、トリエチルアミンのアルコール性溶液存在下で、可能であればさらなる有機溶媒を添加して、塩酸ヒドロキシルアミンを用いて室温で行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩化メチレンがさらなる有機溶媒として使用されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1〜5倍過剰の塩酸ヒドロキシルアミンが使用され、炭酸ナトリウムの量が、塩酸ヒドロキシルアミンに対して0.5〜0.6mol当量であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
還流下でエタノール性水溶液中で変換する工程を含む、請求項1〜4に記載の方法。
【請求項6】
一般式(IIb)
【化9】


の3−アミドラゾノ−フェニルアラニン誘導体を合成する方法
{ここで、一般式(IIb)の誘導体は、L−又はD−エナンチオマーとして、(E)−又は(Z)−異性体又は(E/Z)−混合物として、遊離塩基として、又は酸を用いて形成されるそれらの塩として存在し、
式中、Rは、請求項1に示される意味を有する}であって、
請求項1に定義される一般式(III)のニトリルを、過剰のヒドラジンと共に、アルコール性溶液中で還流する工程を含む方法。
【請求項7】
エタノール性溶液中で2〜20時間、好ましくは4〜10時間、還流する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
一般式(I)
【化10】


の3−アミジノ−フェニルアラニン誘導体又は酸を用いて形成されるそれらの塩を合成するための方法{ここで、一般式(I)の誘導体又はそれらの塩は、L−又はD−立体異性体のいずれかとして存在し、Rは請求項1に示される意味を有する}であって、
アルコール性水溶液中のPd/C存在下で水素又はギ酸アンモニウムを用いて、請求項1に定義される一般式(IIa)の化合物又は請求項6に定義される一般式(IIb)の化合物を、還元する工程を含む方法
{これらの化合物はL−又はD−エナンチオマーとして、(E)−又は(Z)−異性体又は(E/Z)−混合物として存在し、Rは請求項1で示される意味を有する}。
【請求項9】
請求項1に定義される一般式(IIa)又は請求項6に定義される式(IIb)の化合物が、1〜3barの圧力で、アルコール性、酢酸−又は塩化水素−含有溶液中のPd/C存在下で水素化されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
塩酸の存在下、無水酢酸を用いて一般式(IIa)又は(IIb)の化合物を、対応するアセトキシアミジノ又はアセトアミノアミジノ誘導体に変換する工程と、アルコール性水溶液中のPd/C存在下、水素又はギ酸アンモニウムを用いてそれらを還元する工程とを含む、請求項8に記載の方法の変形方法。
【請求項11】
アセトキシアミジノ及びアセトアミノアミジノ誘導体をそれぞれ、1〜3barの圧力で、アルコール性、酢酸−又は塩化水素−含有溶液中のPd/C存在下、水素化することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(IIa)又は(IIb)の前記化合物を、対応するアセトキシアミジノ又はアセトアミノアミジノ誘導体へ変換する工程が、20〜60℃の温度で行なわれることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
1:1〜20:1の比率、好ましくは3:1〜10:1の比率、特に5:1の比率のエタノール性−水溶液中での還元を含む、請求項8、10及び12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
1〜50%、好ましくは5〜30%のPd/C(約10%)存在下での還元を含む、請求項8、10、12及び13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
10〜50℃、好ましくは20〜30℃の温度での還元を含む、請求項8、10及び12〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも4倍過剰のギ酸アンモニアを用いた還元を含む、請求項8、10及び12〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
(L)−又は(D)−エナンチオマーとして、(E)−又は(Z)−異性体又は(E/Z)−混合物として、遊離塩基として、又は酸を用いて形成されるそれらの塩としての、一般式(IIa)
【化11】


〔式中、Rは請求項1に示される意味を有する〕
の化合物。
【請求項18】
(L)−又は(D)−エナンチオマーとして、(E)−又は(Z)−異性体又は(E/Z)−混合物として、遊離塩基として、又は酸を用いて形成されるそれらの塩としての、一般式(IIb)
【化12】


〔式中、Rは請求項1に示される意味を有する〕
の化合物。
【請求項19】
(L)−又は(D)−エナンチオマーとして、(E)−又は(Z)−異性体又は(E/Z)−混合物として、遊離塩基として、又は酸を用いて形成されるそれらの塩としての、式(IV)及び(V)
【化13】


の請求項17又は18に記載の化合物。

【公開番号】特開2010−265288(P2010−265288A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152309(P2010−152309)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【分割の表示】特願2003−571265(P2003−571265)の分割
【原出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(501022343)ヴィレックス アクチェンゲゼルシャフト (9)
【氏名又は名称原語表記】Wilex AG
【住所又は居所原語表記】Grillparzer Strasse 10, D−81675 Muenchen,Germany
【Fターム(参考)】