説明

3−カルボキシプロピル−アミノテトラリン化合物の結晶形態

本発明は、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の結晶性固体形態を提供する。本発明は、かかる結晶性固体形態を含む薬学的組成物、かかる結晶性固体形態を使用して、ミューオピオイド受容体活性に関連する疾患を治療する方法、及びかかる結晶性固体形態の調製に有用であるプロセスも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミューオピオイド受容体拮抗物質として有用である3−カルボキシプロピル−アミノテトラリン化合物の結晶形態を対象とする。本発明は、かかる結晶性化合物を含む薬学的組成物、ミューオピオイド受容体活性によって媒介される病状を治療又は改善するためにかかる化合物を使用する方法、及びかかる化合物の調製に有用なプロセスも対象とする。
【背景技術】
【0002】
ミューオピオイド受容体拮抗物質は、ミューオピオイド受容体活性によって媒介される病状の治療又は改善に有用であることが期待される。特に、末梢選択的ミューオピオイド受容体拮抗物質は、オピオイド誘導性腸管機能不全(opioid−induced bowel dysfunction)、術後腸閉塞などの症状の治療に有用であることが期待される。本願譲受人に譲渡された、2007年12月11日に出願された米国仮特許出願第61/007,220号、及び2008年4月30日に出願された同61/049,219号、及び2008年12月10日に出願された米国特許出願第12/331,659号は、3−カルボキシプロピル−アミノテトラリン化合物を開示している。特に、化合物(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸(化合物1):
【0003】
【化1】

は、ミューオピオイド受容体拮抗活性を示すとして、これらの出願に具体的に開示されている。
【0004】
この化合物を治療薬として有効に使用するためには、容易に製造することができ、かつ許容される化学的及び物理的安定性を有する、固体状態の形態を有することが望ましいであろう。例えば、例えば約160℃又は約180℃を超える温度で、熱的に安定であり、潮解性でなく、それによって材料の加工及び貯蔵を容易にする、物理的形態を有することが極めて望ましいであろう。結晶性固体は、製品の純度及び安定性を高めるために、非晶形態よりも一般に好ましい。
【0005】
化合物1の結晶形態は、これまで報告されていない。したがって、潮解性でなく、好都合な熱安定性を示す、化合物1の安定結晶形態が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸(1)の2つの異なる結晶性固体形態、及び化合物1の結晶性塩酸塩を提供する。
【0007】
驚くべきことに、結晶性化合物1の一形態は、温度約162℃未満で有意な熱的事象を示さず、室温で相対湿度約2%から約90%に曝露すると約2.5%未満の重量変化を示すことが見いだされた。さらに、結晶性化合物1も化合物1の結晶性塩酸塩も、室温で最高約90%の相対湿度に曝露しても潮解性ではない。
【0008】
様々な用途のうちで、本発明の結晶性固体形態は、ミューオピオイド受容体活性によって媒介される病状を治療又は改善する薬学的組成物の調製に有用であることが期待される。したがって、その組成物態様の別の一態様においては、本発明は、薬学的に許容される担体と結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸又は本結晶性塩酸塩とを含む、薬学的組成物を提供する。
【0009】
本発明は、ミューオピオイド受容体拮抗物質を用いた治療によって改善される疾患又は症状、例えば、胃腸管運動低下障害を治療又は改善する方法であって、治療有効量の結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸(1)又は化合物1の結晶性塩酸塩をほ乳動物に投与することを含む、方法も提供する。
【0010】
本発明は、さらに、オピオイド誘導性腸管機能不全又は術後腸閉塞を治療する方法であって、治療有効量の結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸(1)又は化合物1の結晶性塩酸塩をほ乳動物に投与することを含む、方法も提供する。
【0011】
別の一方法態様においては、本発明は、形態Iの結晶性化合物1を調製するプロセスであって、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸(1)を約3%から約20%の水を含む極性希釈剤中に分散させて、結晶化プロセス混合物を形成すること、プロセス混合物を少なくとも約12時間保持すること、及び生成した結晶をプロセス混合物から単離することを含む、プロセスを提供する。
【0012】
更に別の一方法態様においては、本発明は、形態Iの結晶性化合物1を調製するプロセスであって、保護された中間体(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステルを約10%から約20%の水を含む極性希釈剤の存在下で接触水素化分解によって脱保護して、結晶性化合物1を形成することを含む、プロセスを提供する。
【0013】
関連した組成物態様においては、本発明は、上記保護された化合物1前駆体の調製に有用である、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステル及び亜硫酸水素塩付加体、ナトリウム;(S)−3−ベンジルオキシカルボニル−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−ブタン−1−スルホナートを提供する。
【0014】
本発明は、療法用の又は医薬品としての本明細書に記載の本発明の結晶性固体形態、並びに医薬品の製造における、特にほ乳動物におけるミューオピオイド受容体活性に関連する障害の治療用薬品の製造のための、本発明の結晶性固体形態の使用も提供する。
【0015】
本発明の種々の態様を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の結晶形態I(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【図2】図2は、本発明の結晶形態I(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の示差走査熱量測定(DSC)トレース(右側縦軸)及び熱重量分析(TGA)トレース(左側縦軸)である。
【図3】図3は、本発明の結晶形態I(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の動的水分収着(DMS)トレースである。
【図4】図4は、本発明の結晶形態II(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【図5】図5は、本発明の結晶形態II(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の示差走査熱量測定(DSC)トレースである。
【図6】図6は、本発明の(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の結晶性塩酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【図7】図7は、本発明の(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の結晶性塩酸塩の示差走査熱量測定(DSC)トレース(右側縦軸)及び熱重量分析(TGA)トレース(左側縦軸)である。
【図8】図8は、本発明の(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステルの結晶性塩酸塩のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【図9】図9は、本発明の(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステルの結晶性塩酸塩の示差走査熱量測定(DSC)トレースである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸(1)の結晶性固体形態を提供する。
【0018】
定義
本発明の化合物、組成物及び方法を記述するときに、以下の用語は、別段の記載がない限り、以下の意味を有する。
【0019】
「治療有効量」という用語は、治療を必要とする患者に投与するときに、治療に十分な量を意味する。
【0020】
本明細書では「治療」という用語は、以下の行為の1つ以上を含む、ほ乳動物(特に、ヒト)などの患者における疾患、障害又は病状の治療を意味する。
【0021】
(a)疾患、障害又は病状の発生を予防すること、すなわち、患者の予防処置、
(b)疾患、障害又は病状を改善すること、すなわち、別の治療薬の作用を中和することを含めて、患者における疾患、障害又は病状を解消又は退行させること、
(c)疾患、障害又は病状を抑制すること、すなわち、患者における疾患、障害又は病状の発生を遅延又は抑止すること、又は
(d)患者における疾患、障害又は病状の症候を軽減すること。
【0022】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、「one」及び「the」は、特に明示しない限り、複数形も包含し得ることに留意しなければならない。
【0023】
命名規則
化合物1は、AutoNomソフトウェア(MDL Information Systems,GmbH,Frankfurt,Germany)において実行されるIUPAC規則に従って、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸と命名される。二環式1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ基は、一般名「アミノテトラリン」でも知られる。
【0024】
本発明の結晶形態
一態様においては、本発明は、2つの異なる形態の結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸(1)を提供する。
【0025】
一態様においては、形態Iの結晶性化合物1は、2θ値6.92±0.20及び15.34±0.20における回折ピーク、並びに10.24±0.20、11.48±0.20、12.32±0.20、13.46±0.20、14.04±0.20、17.30±0.20、18.06±0.20、20.30±0.20、21.42±0.20、23.48±0.20、25.54±0.20、26.96±0.20、29.30±0.20及び30.72±0.20から選択される2θ値における、3個以上及び4個以上の回折ピークを含めて、2個以上の回折ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴づけられる。特に、この態様においては、形態Iは、6.92±0.20、10.24±0.20、13.46±0.20、15.34±0.20、18.06±0.20及び21.42±0.20から選択される2θ値における、4個以上の回折ピークを含めて、3個以上の回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。結晶形態Iは、さらに、6.92±0.20、10.24±0.20、13.46±0.20、15.34±0.20、18.06±0.20及び21.42±0.20の2θ値における回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0026】
粉末X線回折の分野では周知のとおり、XRPDスペクトルのピーク位置は、相対ピーク高さよりも試料調製及び機器形状の詳細などの実験の詳細に敏感ではない。したがって、一態様においては、結晶性化合物1の形態Iは、ピーク位置が図1に示すものに実質的に一致するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0027】
結晶形態Iの構造は、さらに、以下の格子パラメータを与える単結晶X線回折分析によって特徴づけられる。すなわち、単位格子は、寸法a=7.546A、b=17.003A、c=20.628A、格子体積(V)2646.7Aの斜方晶であり、計算密度は1.151g/cmであり、空間群はP2である。生成した分子構造は、非対称単位格子が水も他の溶媒分子も含まず、上記立体化学と一致することを裏付ける。カルボキシ基のC−O結合距離、並びにアミン窒素周囲の結合長さ及び結合角は、双性イオン分子である結晶形態Iの化合物1と一致し、以下に模式的に示されるように、プロトンはカルボン酸からアミン窒素に転移した。
【0028】
【化2】

誘導される原子位置から予測されるX線粉末回折ピークは、観察されたXRPDパターンと良く一致する。
【0029】
別の一態様においては、結晶形態Iは、高温に曝露されたときのその挙動によって特徴づけられる。図2に示すように、示差走査熱量測定(DSC)トレースは、吸熱流のピークを示し、約164℃から約168℃を含めて約162℃から約170℃の範囲の溶融転移と認められる。熱重量分析(TGA)トレースは、融点未満の温度でさほど重量減少せず、ステッププロファイルは、融点付近の温度における化合物1 1モル当たり1モルの水の損失と一致する。水の放出は、化学分解反応に起因し得る。
【0030】
結晶形態Iは、可逆的な収着/脱着プロファイルを有し、やや吸湿性の傾向があることが示された。形態Iは、図3に示すように、2%から90%相対湿度の湿度範囲で室温で約2.5%未満の重量増加を示した。特に、形態Iは、経口製剤が典型的に製造される湿度範囲である40%から75%相対湿度の範囲で約1%未満の重量増加を示した。
【0031】
別の一態様においては、本発明は、結晶形態IIの化合物1を提供する。結晶形態IIは、図4のXRPDパターン及び図5のDSCプロファイルによって確認される。一態様においては、結晶形態IIは、2θ値9.05±0.20及び16.52±0.20における回折ピークを有し、9.80±0.20、12.44±0.20、12.92±0.20、14.21±0.20、15.62±0.20、17.27±0.20、19.04±0.20、19.85±0.20、21.29±0.20、22.43±0.20、23.48±0.20、23.99±0.20及び26.09±0.20から選択される2θ値における3個以上及び4個以上の回折ピークを含めて2個以上の回折ピークを有する、X線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴づけられる。特に、この態様においては、形態IIは、9.05±0.20、9.80±0.20、12.44±0.20、12.92±0.20、16.52±0.20、23.99±0.20及び26.09±0.20から選択される2θ値における、3個以上及び4個以上の回折ピークを含めて、2個以上の回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。形態IIは、さらに、9.05±0.20、9.80±0.20、12.44±0.20、12.92±0.20、16.52±0.20、23.99±0.20及び26.09±0.20における回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。更に別の一態様においては、結晶形態IIは、ピーク位置が図4に示すものに実質的に一致するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0032】
図5に示す熱的挙動は、温度約114℃から115℃において変化する準安定形態としての結晶形態IIの特性と一致し、温度約157℃における化学分解に付随する融点を有する。
【0033】
更に別の一態様においては、本発明は、化合物1の結晶性塩酸塩を提供する。
【0034】
一態様においては、本発明の結晶性塩酸塩は、6.80±0.20、9.80±0.20、12.71±0.20、13.31±0.20、15.14±0.20、19.97±0.20、21.44±0.20、22.64±0.20、23.27±0.20、24.44±0.20及び25.37±0.20から選択される2θ値におれる3個以上及び4個以上の回折ピークを含めて2個以上の回折ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンによって特徴づけられる。別の一態様においては、化合物1の結晶性塩酸塩は、ピーク位置が図6に示すものに実質的に一致するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0035】
結晶性塩酸塩は、図7に示すように、その示差走査熱量測定(DSC)トレースによっても特徴づけられ、約185℃から約193℃の範囲の吸熱流において溶融転移と認められる第1のピーク、及び分解現象に一致すると理解される約220℃から約140℃の範囲の第2のピークを示す。実施例8、9及び10で調製される結晶性塩酸塩の試料は、約2%相対湿度から約90%相対湿度の範囲の相対湿度に室温で曝露されたときにその外観及び流動性を保持した。
【0036】
本発明の結晶形態のこれらの諸性質を以下の実施例で更に説明する。
【0037】
合成手順及び中間体
化合物1、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸は、下記実施例に記載の手順を使用して、又は本願の背景技術の項に示された本願譲受人に譲渡された米国特許出願に記載の手順を使用して、入手が容易な出発材料から固体非晶形態で調製することができる。
【0038】
一調製方法においては、本発明の結晶形態Iは、アモルファス化合物1を極性希釈剤中に溶解させて、結晶化プロセス混合物を形成すること、及びプロセス混合物を約12時間から約4日間保持することによって、調製される。典型的には、結晶化プロセスは、ほぼ周囲温度で実施される。適切な希釈剤としては、メタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、アセトニトリル、これらのうちの1種類以上と水の混合物などが挙げられる。例示的希釈剤系としては、アセトニトリル、メタノール及び水、例えば、約69%のアセトニトリル、約21%のメタノール及び約10%の水の混合物、1−プロパノール、アセトニトリル及び水、特に約95%から約97%の(2:1 1−プロパノール:アセトニトリル)と約5%から約3%の水の混合物、メタノールと水、例えば、約90%のメタノールと約10%の水の混合物、並びにアセトニトリルと水、例えば、約84%のアセトニトリルと約16%の水の混合物が挙げられる。化合物1は、典型的には、プロセス混合物中に約150mg/mLから約700mg/mLの濃度で存在する。
【0039】
水が希釈剤系中に存在しないときには、プロセス混合物をある期間上記範囲の上限で保持することが有用である(結晶化を4日間進行させた下記実施例4を参照されたい。)。したがって、結晶形態Iの調製に有用なプロセスは、極性希釈剤と約3%から約20%の水を含む希釈剤に化合物1を溶解させて、プロセス混合物を形成すること、プロセス混合物を少なくとも約12時間保持すること、及び生成した結晶を回収することを含む。
【0040】
反応終了後、結晶形態Iは、ろ過、濃度、遠心分離などの任意の従来の手段によって、プロセス混合物から単離される。
【0041】
別の一調製方法においては、結晶形態Iは、有利には、以下のプロセスに従って、化合物1の保護前駆体2から直接調製される。
【0042】
【化3】

スキームAに要約したように、ベンジルで保護されたアルデヒド4をアミノテトラリン中間体3と反応させて、ベンジルで保護された前駆体2を提供する。これを脱保護して、結晶形態Iの化合物1を提供する。アルデヒド試薬4は、好都合には、対応する亜硫酸水素塩付加体5からin situで調製される。
【0043】
典型的なプロセスにおいては、不活性希釈剤中の約1から約1.5当量のアルデヒド4の溶液は、亜硫酸水素塩付加体5を同数の当量の水酸化ナトリウムで処理することによって生成される。次いで、アルデヒド4をアミノテトラリン3及び約1から約3当量のトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤と接触させる。アミノテトラリン3は、酸性塩、典型的には塩酸塩として提供し得る。反応は、典型的には、温度約0℃から約30℃で約2から約24時間、又は反応が実質的に完結するまで実施される。保護された中間体2は、好都合には、結晶性塩酸塩として固体形態で単離される。
【0044】
最後に、中間体2は、典型的には遷移金属触媒、例えばパラジウム又は白金を使用して、接触水素化分解によって脱ベンジル化されて、結晶形態Iを提供する。中間体2が塩型で提供されるときには、まず、塩基で処理することによって中間体の中性型がin situで生成される。反応は、水素化分解に適合し、かつ結晶化の助けになるように選択された希釈剤中で実施される。水とメタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、アセトニトリル及び/又はジメチルホルムアミドなどの別の極性希釈剤とを含む混合物は、この反応に適している。約10%から約20%の水を含む混合物、例えば、アセトニトリルと約10%から約20%の水の混合物は、脱ベンジル化反応に有利に使用される。反応生成物の結晶形態Iは、ろ過などの従来手段によって単離することができる。
【0045】
したがって、一方法態様においては、他のプロセスの中でも、本発明は、化合物1の結晶形態Iを調製するプロセスであって、ベンジルで保護された中間体2を約10%から約20%の水を含む極性希釈剤の存在下で接触水素化分解によって脱保護して、結晶形態Iを形成するプロセスを提供する。
【0046】
追加の一方法態様においては、本発明は、化合物1の結晶形態Iを調製するプロセスであって、(a)保護されたアルデヒド4をアミノテトラリン3と反応させて、保護された中間体2を提供すること、及び(b)ベンジルで保護された中間体2を約10%から約20%の水を含む極性希釈剤の存在下で接触水素化分解によって脱保護して、結晶形態Iを形成することを含む、プロセスを提供する。
【0047】
酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフランなど、水素化分解に適合し、結晶化を促進しない希釈剤中での中間体2の脱保護によって、必ずしも結晶形態ではないが、化合物1が調製される。更に別の一方法態様においては、本発明は、化合物1を調製するプロセスであって、(a)保護されたアルデヒド4をアミノテトラリン3と反応させて、保護された中間体2を提供すること、及び(b)ベンジルで保護された中間体2を接触水素化分解によって脱保護して、化合物1を提供することを含む、プロセスを提供する。
【0048】
さらに、一組成物態様においては、本発明は、化合物1の調製に有用である、ベンジルで保護されたアルデヒド4、(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸ベンジルエステル、及び亜硫酸水素塩付加体5、ナトリウム(S)−3−ベンジルオキシカルボニル−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−ブタン−1−スルホナートを提供する。調製8に記載のように、ベンジルで保護された亜硫酸水素塩付加体5は、その合成が調製7に記載された対応する亜硫酸水素メチルエステル、ナトリウム(S)−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−3−メトキシカルボニル−ブタン−1−スルホナートから調製することができる。あるいは、亜硫酸水素塩付加体5は、調製7のプロセスに類似したプロセスによって、類似のベンジルで保護されたカルボン酸(5a)及びアルコール(5b)中間体を介して、調製することができる。
【0049】
【化4】

更に別の一組成物態様においては、本発明は、ベンジルで保護された前駆体2、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステル及びその塩酸塩を提供する。化合物2の結晶性塩酸塩は、図8のXRPDパターン、及び温度約205℃から約210℃において融点と一致した吸熱流におけるピークを示す図9のDSCプロファイルによって特徴づけられる。結晶形態の薬学的中間体は、結晶化から生ずる典型的な精製と、貯蔵に対して非結晶性材料よりも大きな安定性が期待されることの両方で望ましい。
【0050】
下記実施例に記載のように、結晶形態IIは、アモルファス化合物1をアルコール、例えば、イソプロパノール又はイソプロパノールとアセトニトリルを濃度約150mg/mLから約700mg/mLで含む極性希釈剤中に溶解させて、結晶化プロセス混合物を形成すること、及びプロセス混合物を約1日未満保持することによって調製される。場合によっては、抗溶媒、例えば1:1アセトニトリル:酢酸エチルを、保持期間前にプロセス混合物に添加して、溶液からの結晶化を促進することができる。
【0051】
本発明の結晶性塩酸塩は、有利には、化合物1のアモルファス塩酸塩から調製される。化合物1のアモルファス塩は、場合によっては加熱、続いて徐冷して、酢酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの中極性溶媒中に濃度約20mg/mLから約350mg/mLで分散され、次いで約3日間から約12日間保持される。生成する結晶は、従来のように単離することができる。
【0052】
薬学的組成物
本発明の結晶性固体形態は、典型的には、薬学的組成物又は製剤の形で患者に投与される。かかる薬学的組成物は、経口、直腸、膣、経鼻、吸入、(経皮を含めた)局所及び非経口投与方法を含めて、ただしそれだけに限定されない任意の許容される投与経路によって患者に投与することができる。
【0053】
したがって、その組成物態様の一つにおいては、本発明は、薬学的に許容される担体又は賦形剤と治療有効量の化合物1の結晶性固体形態又は化合物1の結晶性塩酸塩とを含む、薬学的組成物を対象とする。場合によっては、かかる薬学的組成物は、必要に応じて、別の治療薬及び/又は製剤を含むことができる。組成物を考察すると、「本発明の固体形態」という用語は、化合物1の結晶形態I及びII、並びに化合物1の結晶性塩酸塩を含むと理解される。
【0054】
本発明の薬学的組成物は、典型的には、治療有効量の活性薬剤を含む。しかし、当業者は、薬学的組成物が、治療有効量を超える、すなわち、バルク組成物、又は治療有効量未満、すなわち、治療有効量を得るために複数回投与用に設計された個々の単位用量を含むことができることを認識するであろう。
【0055】
典型的には、かかる薬学的組成物は、約0.1から約95重量%の活性薬剤、好ましくは約5から約70重量%、より好ましくは約10から約60重量%の活性薬剤を含むであろう。
【0056】
任意の従来の担体又は賦形剤を本発明の薬学的組成物に使用することができる。特定の担体若しくは賦形剤又は担体若しくは賦形剤の組合せの選択は、特定の患者の治療に使用される投与方法、又は医学的症状若しくは疾患状態のタイプに依存するであろう。なお、特定の投与方法に適切な薬学的組成物の調製は、薬学分野の当業者の範囲内に十分ある。さらに、本発明の薬学的組成物に使用される担体又は賦形剤は、商業的に入手可能である。更なる説明として、従来の製剤技術は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Lippincott Williams&White,Baltimore,Maryland(2000)、及びH.C.Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Edition,Lippincott Williams&White,Baltimore,Maryland(1999)に記載されている。
【0057】
薬学的に許容される担体として役立ち得る材料の代表例としては、以下が挙げられるが、それだけに限定されない:ラクトース、グルコース、スクロースなどの糖;コーンスターチ、ジャガイモデンプンなどのデンプン;微結晶セルロースなどのセルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなどのその誘導体;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオ脂、坐剤ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチル、ラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;並びに薬学的組成物に使用される他の無毒適合性物質。
【0058】
薬学的組成物は、典型的には、活性薬剤を薬学的に許容される担体及び1種類以上の任意に選択される成分と徹底的に十分に混合又はブレンドすることによって調製される。次いで、生成した均一ブレンド混合物は、従来の手順及び装置を使用して、錠剤、カプセル剤、丸剤などに成形又は充填することができる。
【0059】
本発明の薬学的組成物は、好ましくは、単位剤形としてパッケージされる。「単位剤形」という用語は、患者への投薬に適切な物理的に分離した単位を指す。すなわち、各単位は、所望の治療効果を単独で、又は1種類以上の追加の単位と組み合わせて、生ずるように計算された所定量の活性薬剤を含む。例えば、かかる単位剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤など、又は非経口投与に適切な単位パッケージとすることができる。
【0060】
一実施形態においては、本発明の薬学的組成物は、経口投与に適切である。経口投与に適切な薬学的組成物は、所定量の本発明の化合物を活性成分として各々含む、カプセル剤、錠剤、丸剤、ロゼンジ剤、カシェ剤、糖衣錠剤、散剤、顆粒剤の形、又は水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油型若しくは油中水型乳濁液として、又はエリキシル剤若しくはシロップ剤としてなどとすることができる。
【0061】
固体剤形(すなわち、カプセル剤、錠剤、丸剤などとして)の経口投与が意図されるときには、本発明の薬学的組成物は、典型的には、活性薬剤と、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウムなどの1種類以上の薬学的に許容される担体とを含む。場合によっては又はあるいは、かかる固体剤形は、デンプン、微結晶セルロース、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸などの充填剤又は増量剤;カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアラビアゴムなどの結合剤;グリセロールなどの湿潤剤;寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリカート、及び/又は炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;パラフィンなどの溶解遅延剤;第四級アンモニウム化合物などの吸収促進物質;セチルアルコール及び/又はモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;カオリン及び/又はベントナイトクレイなどの吸収剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及び/又はその混合物などの潤滑剤;着色剤;並びに緩衝剤も含むことができる。
【0062】
離型剤、湿潤剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤及び抗酸化剤も本発明の薬学的組成物中に存在することができる。薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;及びクエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤などが挙げられる。錠剤、カプセル剤、丸剤などのコーティング剤としては、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタートフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー、酢酸トリメリット酸セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナートなどの腸溶コーティングに使用されるものなどが挙げられる。
【0063】
本発明の薬学的組成物は、例として、異なる割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は別のポリマーマトリックス、リポソーム及び/又はミクロスフェアを使用して、活性薬剤を徐放又は制御放出するように処方することもできる。さらに、本発明の薬学的組成物は、場合によっては不透明化剤を含んでもよく、胃腸管の特定の部分において、活性成分のみを、又は活性成分を優先的に、場合によっては遅延方式で、放出するように処方することもできる。使用可能な埋め込み組成物の例としては、重合体物質及びワックスが挙げられる。活性薬剤は、適宜、上記賦形剤の1種類以上を用いてマイクロカプセル化形態とすることもできる。
【0064】
適切な経口投与用液体剤形としては、実例として、薬学的に許容される乳濁液剤、マイクロエマルジョン剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられる。液体剤形は、典型的には、活性薬剤、及び例えば水などの不活性希釈剤、又はエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚種油、オリーブ油、ひまし油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステルなどの他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、並びにその混合物を含む。懸濁液は、活性成分に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、トラガカントなどの懸濁剤、及びその混合物を含むことができる。
【0065】
本発明の固体形態は、(例えば、静脈内、皮下、筋肉内又は腹腔内注射によって)非経口的に投与することもできる。非経口投与の場合、活性薬剤は、典型的には、例として、無菌水溶液、食塩水、プロピレングリコールなどの低分子量アルコール、ポリエチレングリコール、植物油、ゼラチン、オレイン酸エチルなどの脂肪酸エステルなどを含めて、適切な非経口投与用ビヒクルと混合される。非経口製剤は、1種類以上の抗酸化剤、可溶化剤、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤又は分散剤を含むこともできる。これらの製剤は、無菌注射用媒体、殺菌剤、ろ過、照射又は熱の使用によって無菌にすることができる。
【0066】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、吸入投与用に処方される。適切な吸入投与用薬学的組成物は、典型的には、エアロゾル又は粉末の形である。かかる組成物は、一般に、定量吸入器、ドライパウダー吸入器、ネブライザー、類似の送達装置などの周知の送達装置を使用して投与される。
【0067】
加圧容器を使用した吸入によって投与するときには、本発明の薬学的組成物は、典型的には、活性成分、及びジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、他の適切なガスなどの適切な噴霧剤を含む。さらに、薬学的組成物は、本発明の化合物と粉末吸入器における使用に適した粉末とを含む、(例えば、ゼラチンでできた)カプセル又はカートリッジの形とすることができる。適切な粉末基剤としては、例として、ラクトース又はデンプンが挙げられる。
【0068】
本発明の固体形態は、公知の経皮送達系及び賦形剤を使用して経皮投与することもできる。例えば、活性薬剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウラート、アザシクロアルカン−2−オンなどの透過促進剤と混合することができ、貼付剤又は類似の送達系に混ぜ込むことができる。ゲル化剤、乳化剤及び緩衝剤を含めた追加の賦形剤を必要に応じてかかる経皮組成物に使用することができる。
【0069】
必要に応じて、本発明の固体形態は、1種類以上の別の治療薬と組み合わせて投与することができる。この実施形態においては、本発明の固体形態は、別の治療薬と物理的に混合されて、両方の薬剤を含む組成物を形成する。又は各薬剤は、別々の異なる組成物中に存在し、患者に同時に又は逐次的に投与される。
【0070】
例えば、本発明の固体形態は、従来の手順及び装置を使用して、第2の治療薬と組み合わせて、化合物1と第2の治療薬とを含む組成物を形成することができる。さらに、治療薬は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、本発明の塩、第2の治療薬及び薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物を形成することができる。この実施形態においては、組成物の成分は、典型的には、混合又はブレンドされて、物理的混合物を生成する。次いで、物理的混合物は、本明細書に記載の経路のいずれかを使用して治療有効量で投与される。あるいは、治療薬は、患者に投与するまで分離したままとすることができる。この実施形態においては、薬剤は、投与前に物理的に混合されず、同時に、又は別々の時間に、別々の組成物として投与される。かかる組成物は、別々にパッケージすることができ、又はキットとして一緒にパッケージすることができる。キット中の2種類の治療薬は、同じ投与経路によって、又は異なる投与経路によって、投与することができる。
【0071】
本活性薬剤に適合する任意の治療薬を第2の治療薬として使用することができる。特に、ミューオピオイド受容体拮抗作用以外の機序によって作用する運動促進薬を本化合物と併用することができる。例えば、テガセロド、レンザプリド、モサプリド、プルカロプリド、1−イソプロピル−1H−インダゾール−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−(4−アセチルピペラジン−1−イル)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド、1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド、4−(4−{[(2−イソプロピル−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボニル)アミノ]メチル}−ピペリジン−1−イルメチル)ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステルなどの5−HT受容体作動物質を第2の治療薬として使用することができる。
【0072】
追加の有用な運動促進薬としては、5−HT受容体作動物質(例えば、プモセトラグ)、5−HT1A受容体拮抗物質(例えば、AGI001)、アルファ−2−デルタリガンド(例えば、PD−217014)、塩素イオンチャネル開口薬(例えば、ルビプロストン)、ドパミン拮抗物質(例えば、イトプリド、メトクロプラミド、ドンペリドン)、GABA−B作動物質(例えば、バクロフェン、AGI006)、カッパオピオイド作動物質(例えば、アシマドリン)、ムスカリン性M及びM拮抗物質(例えば、アコチアミド)、モチリン作動物質(例えば、ミテムシナール)、グアニル酸シクラーゼ活性化物質(例えば、MD−1100)及びグレリン作動物質(例えば、Tzp101、RC1139)が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0073】
さらに、本発明の固体形態は、オピオイド治療薬と組み合わせることができる。かかるオピオイド剤としては、モルフィン、ペチジン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコンチン(Oxycontin)、オキシコドン、ヒドロコドン、スフェンタニル、フェンタニル、レミフェンタニル、ブプレノルフィン、メサドン及びヘロインが挙げられるが、それだけに限定されない。
【0074】
かかる治療薬の多数の追加の例は、当分野で公知であり、任意のかかる公知の治療薬を本発明の化合物と併用することができる。第2の薬剤(単数又は複数)は、含まれるときには、治療有効量で、すなわち本発明の化合物と同時投与するときに治療上有益な効果をもたらす任意の量で、存在する。本発明の化合物と組み合わせて投与される他の治療薬の適切な用量は、典型的には、約0.05μg/日から約100mg/日の範囲である。
【0075】
したがって、本発明の薬学的組成物は、場合によっては、上記第2の治療薬を含む。
【0076】
以下の実施例は、本発明の代表的薬学的組成物を説明するものである。
【0077】
製剤例A:経口投与用硬カプセル剤
本発明の固体形態(50g)、噴霧乾燥ラクトース(200g)及びステアリン酸マグネシウム(10g)を徹底的にブレンドする。生成した組成物を硬カプセルに充填する(組成物260mg/カプセル)。
【0078】
製剤例B:経口投与用硬カプセル剤
本発明の固体形態(20mg)、デンプン(89mg)、微結晶セルロース(89mg)及びステアリン酸マグネシウム(2mg)を徹底的にブレンドし、次いでNo.45メッシュU.S.篩に通す。生成した組成物を硬カプセルに充填する(組成物200mg/カプセル)。
【0079】
製剤例C:経口投与用ゼラチンカプセル剤
本発明の固体形態(10mg)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(50mg)及びデンプン粉末(250mg)を徹底的にブレンドし、次いでゼラチンカプセルに充填する(組成物310mg/カプセル)。
【0080】
製剤例D:経口投与錠剤
本発明の固体形態(5mg)、デンプン(50mg)及び微結晶セルロース(35mg)をNo.45メッシュU.S.篩に通し、徹底的に混合する。ポリビニルピロリドン溶液(10wt%水溶液、4mg)を生成粉末と混合し、次いでこの混合物をNo.14メッシュU.S.篩に通す。こうして生成した顆粒を50〜60℃で乾燥させ、No.18メッシュU.S.篩に通す。次いで、No.60メッシュU.S.篩にあらかじめ通した、カルボキシメチルスターチナトリウム(4.5mg)、ステアリン酸マグネシウム(0.5mg)及びタルク(1mg)を顆粒に添加する。混合後、混合物を錠剤機で圧縮して、錠剤100mgを得る。
【0081】
製剤例E:経口投与錠剤
本発明の固体形態(25mg)、微結晶セルロース(400mg)、ヒュームド二酸化ケイ素(10mg)及びステアリン酸(5mg)を徹底的にブレンドし、次いで圧縮して錠剤(組成物440mg/錠剤)を形成する。
【0082】
製剤例F:単一割線入り経口投与錠剤
本発明の固体形態(15mg)、コーンスターチ(50mg)、クロスカルメロースナトリウム(25mg)、ラクトース(120mg)及びステアリン酸マグネシウム(5mg)を徹底的にブレンドし、次いで圧縮して単一割線入り錠剤(組成物215mg/錠剤)を形成する。
【0083】
製剤例G:経口投与用懸濁液剤
以下の成分を徹底的に混合して、懸濁液10mL当たり活性成分100mgを含む経口投与用懸濁液剤を形成する。
【0084】
【表1】

製剤例H:乾燥粉末組成物
本発明の微粉化固体形態(1mg)をラクトース(25mg)とブレンドし、次いでゼラチン吸入カートリッジに充填する。カートリッジの内容物を粉末吸入器を使用して投与する。
【0085】
製剤例J:注射用製剤
本発明の固体形態(0.1g)を0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液(15mL)とブレンドする。生成した溶液のpHを1N塩酸水溶液又は1N水酸化ナトリウム水溶液でpH6に調節する。次いで、クエン酸塩緩衝剤中の無菌等張食塩溶液を添加して、総体積20mLにする。
【0086】
特定の投与方法に適切な本発明の任意の固体形態(すなわち、結晶形態I若しくは形態II又は結晶性塩酸塩)を上で考察した薬学的組成物に使用することができることが理解されるであろう。
【0087】
有用性
本活性薬剤(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸は、ミューオピオイド受容体における拮抗物質であり、したがって本発明の結晶性固体形態は、ミューオピオイド受容体によって媒介される、又はミューオピオイド受容体活性に関連する病状、すなわちミューオピオイド受容体拮抗物質を用いた治療によって改善される病状の治療に有用であることが期待される。特に、本発明の固体形態は、オピオイド鎮痛薬の使用に付随する有害作用、すなわち、便秘、胃内容排出低下、腹痛、鼓脹、悪心、胃食道逆流などのオピオイド誘導性腸管機能不全と総称される症候の治療に有用であることが期待される。本固体形態は、術後腸閉塞、腹部又は他の手術後に起こる胃腸管運動低下障害の治療に有用であることも期待される。さらに、化合物1などのミューオピオイド受容体拮抗化合物を使用して、オピオイド誘導性悪心及びおう吐を後退させることができることが示唆された。
【0088】
化合物1は、動物モデルにおいて胃腸(GI)管の運動性を増大させることが示されたので、本発明の固体形態は、ヒトを含めたほ乳動物における運動性低下に起因するGI管の障害の治療に有用であることが期待される。かかるGI運動障害としては、実例として、慢性便秘、便秘が主な過敏性腸症候群(C−IBS)、糖尿病性及び特発性胃不全麻ひ、並びに機能性消化不良が挙げられる。
【0089】
したがって、一態様においては、本発明は、ほ乳動物における胃腸管運動を増大させる方法であって、薬学的に許容される担体及び本発明の固体形態を含む、治療有効量の薬学的組成物をほ乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0090】
GI管の運動性低下障害、又はミューオピオイド受容体によって媒介される他の症状の治療に使用するときには、本発明の固体形態は、典型的には、1日1回又は1日複数回経口投与される。ただし、他の投与形態を使用することもできる。例えば、特に術後腸閉塞の治療に使用するときには、本発明の固体形態を非経口的に投与することができる。1回に投与される活性薬剤量、又は1日に投与される総量は、典型的には、治療すべき症状、選択された投与経路、投与される実際の化合物及びその相対活性、個々の患者の年齢、体重及び反応、患者の症候の重症度などを含めて、関連する状況に照らして、医師によって決定される。
【0091】
GI管の運動性低下障害、又はミューオピオイド受容体によって媒介される他の障害の治療に適切な用量は、約0.0007から約1.4mg/kg/日を含めて、活性薬剤約0.0007から約20mg/kg/日の範囲であろう。平均70kgのヒトの場合、これは、活性薬剤約0.05から約100mg/日の量であろう。
【0092】
本発明の一態様においては、本発明の固体形態を使用して、オピオイド誘導性腸管機能不全を治療する。オピオイド誘導性腸管機能不全の治療に使用するときには、本発明の固体形態は、典型的には、1日1回又は1日複数回経口投与される。好ましくは、オピオイド誘導性腸管機能不全を治療する用量は、約0.05から約100mg/日の範囲であろう。
【0093】
本発明の別の一態様においては、本発明の固体形態を使用して、術後腸閉塞を治療する。術後腸閉塞の治療に使用するときには、本発明の固体形態は、典型的には、1日1回又は1日複数回経口又は静脈内投与される。好ましくは、術後腸閉塞を治療する用量は、約0.05から約100mg/日の範囲であろう。
【0094】
本発明は、ミューオピオイド受容体活性に関連する疾患又は症状を有するほ乳動物を治療する方法であって、治療有効量の本発明の固体形態又は本発明の固体形態を含む薬学的組成物をほ乳動物に投与することを含む、方法も提供する。
【0095】
本活性薬剤は、場合によっては、別の治療薬(単数又は複数)と組み合わせて、特に、非ミューオピオイド機序によって作用する運動促進薬と組み合わせて投与される。したがって、別の一態様においては、本発明の方法及び組成物は、治療有効量の別の運動促進薬を更に含む。
【0096】
上述したように、本発明の固体形態はミューオピオイド受容体拮抗物質である。したがって、本発明は、さらに、ほ乳動物においてミューオピオイド受容体に拮抗する方法であって、本発明の固体形態をほ乳動物に投与することを含む、方法も提供する。
【0097】
他の諸性質の中でも、本活性薬剤は、ミューオピオイド受容体に強力に結合し、ミュー受容体機能アッセイにおいてほとんど又は全く受容体活性化作用を示さないことが見いだされた。したがって、本発明の固体形態は、強力なミューオピオイド受容体拮抗物質である。さらに、活性薬剤は、動物モデルにおいて中枢神経系活性に比べて優性に末梢活性を示した。したがって、本発明の固体形態は、痛覚消失の有益な中枢効果に干渉せずに、オピオイド誘導性GI運動性低下を後退させると予想することができる。これらの諸性質及び本発明の化合物の有用性は、当業者に周知の種々のin vitro及びin vivoアッセイによって示すことができる。代表的アッセイを以下の実施例において更に詳述する。
【実施例】
【0098】
以下の合成及び生物学的実施例は、本発明を説明するために提供するものであって、本発明の範囲を限定するものと決して解釈すべきではない。下記実施例において、以下の略語は、別段の記載がない限り、以下の意味を有する。以下に定義されない略語は、その一般に認められた意味を有する。
【0099】
DCM=ジクロロメタン
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
MeOH=メタノール
MeTHF=2−メチルテトラヒドロフラン
MTBE=tert−ブチルメチルエーテル
psi=ポンド/平方インチ
RT=室温
試薬及び溶媒を商業的供給業者(Aldrich、Fluka、Sigmaなど)から購入し、更に精製せずに使用した。別段の記載がない限り、反応を窒素雰囲気下で実施した。反応混合物の経過を薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び質量分析法によってモニターした。反応混合物を各反応において具体的に記述したように調製した。一般に、それを抽出並びに温度及び溶媒依存性沈殿などの別の精製方法によって精製した。反応生成物の特性分析を質量及びH−NMR分光測定によって常法に従って実施した。NMR測定では、試料を重水素化溶媒(CDOD、CDCl又はDMSO−d)に溶解させ、H−NMRスペクトルをVarian Gemini2000装置(400MHz)を用いて標準観察条件下で測定した。化合物の質量分析同定をApplied Biosystems(Foster City,CA)モデルAPI150 EX装置又はAgilent(Palo Alto,CA)モデル1200LC/MSD装置を用いたエレクトロスプレーイオン化法(ESMS)によって実施した。含水量をBrinkmann(Westbury,NY)Metrohm Karl Fischer Model813電量計を使用したKarl−Fischer滴定によって測定した。純度をHPLCによって以下の条件で測定した。
【0100】
カラム:Zorbax SB−Aq、5μm.4.6×250mm
カラム温度:40℃
流量:1.0mL/min
移動相:A=水/ACN(98:2)+0.1%TFA
B=水/ACN(10:90)+0.1%TFA、
注射体積:10μL
検出器波長:214nm
化合物を水/ACN(50:50)に約1mg/mLで溶解させ、以下の勾配で20分間分析した(時間(min)/%B):0/10、2.5/20、9/75、15/90、17/90、18/10、20/10。
【0101】
調製1:7,7−ジエチル−5−ヒドロキシ−1a,2,7,7a−テトラヒドロ−1−アザ−シクロプロパ[b]ナフタレン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
a.7−アミノ−6−ブロモ−8,8−ジエチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オール臭化水素酸塩
フラスコに7,7−ジエチル−5−メトキシ−1a,2,7,7a−テトラヒドロ−1H−1−アザ−シクロプロパ[b]ナフタレン(268g、1.16mol)及び臭化水素(1.97L、17.38mol)、続いて臭化テトラ−N−ブチルアンモニウム(38g、0.12mol)を添加した。反応混合物を撹拌しながら100℃で終夜加熱し、室温に冷却し、次いで撹拌された酢酸エチル(2.5L)に注いだ。生成物をろ過によって単離し、ろ過ケーキを酢酸エチル(2×200mL)で洗浄し、乾燥させて、粗生成物(370g)を紫がかった固体として得た。粗生成物をエタノール(1.50L)に懸濁させ、次いで80℃で30分間加熱した。生成したスラリーを室温に1時間冷却し、ろ過した。フラスコ及びろ過ケーキをエタノール(2×100mL)、次いで酢酸エチル(100mL)で洗浄し、終夜乾燥させて、標記化合物(275g、約96%純度)を得た。
【0102】
b.7,7−ジエチル−5−ヒドロキシ−1a,2,7,7a−テトラヒドロ−1−アザ−シクロプロパ[b]ナフタレン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
7−アミノ−6−ブロモ−8,8−ジエチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オール臭化水素酸塩(20.0g、52.8mmol)と酢酸エチル(200mL)のスラリーに、1.0M水酸化ナトリウム水溶液(106mL)を添加した。反応混合物を25℃で2時間撹拌し、ジ−tert−ブチルジカルボナート(15g、68mmol)の酢酸エチル(5mL)溶液を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。酢酸エチル(135mL)の2/3を除去後、ヘプタン(135mL)を添加し、生成したスラリーを室温で30分間、次いで5℃で終夜撹拌した。スラリーをろ過し、ろ過ケーキを水(100mL)でリンスし、ヘプタン(50mL)でリンスし、減圧乾燥させて標記化合物(14.3g)を得た。
【0103】
調製2:トランス−(7−シアノ−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
a.トランス−(1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
7,7−ジエチル−5−ヒドロキシ−1a,2,7,7a−テトラヒドロ−1−アザ−シクロプロパ[b]ナフタレン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(170.0g、535.6mmol)とメタノール(1700mL)のスラリーにp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(13.4g、53.6mmol)を添加し、反応混合物を40℃で4時間撹拌した。体積を回転蒸発によって約300mLに減少させると、濃白色スラリーが生成した。生成物をろ過によって単離し、ろ過ケーキを冷メタノール(50mL)で洗浄し、3時間風乾して、標記化合物(150g)を得た。ろ液を約50mLに減少させ、0℃で2時間撹拌し、ろ過し、乾燥させて、追加の生成物(25g)を得た。
【0104】
b.トランス−トリフルオロ−メタンスルホン酸7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イルエステル
トランス−(1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(195.0g、0.558mol)、トリエチルアミン(160mL、1.1mol)及び酢酸エチル(2000mL)の混合物を室温で15分間撹拌し、0℃に冷却し、続いて内部温度を4℃未満に維持しながら塩化トリフルオロメタンスルホニル(150g、0.89mol)を徐々に添加した。生成したスラリーを0℃で1時間撹拌した。追加のトリエチルアミン(16mL)、続いて追加の塩化トリフルオロメタンスルホニル(15.0g)を、温度を5℃未満に維持しながら徐々に添加した。反応混合物を室温で更に1時間撹拌した。希釈鹹水(1.0L)を添加し、反応混合物を室温で10分間撹拌した。層分離させ、有機層を希NaHCO(1.0L)で洗浄し、次いで回転蒸発によって28℃で約350mLに濃縮し、室温で30分間撹拌した。ヘプタン(700mL)を添加し、生成したスラリーを室温で30分間撹拌し、4℃に冷却し、1時間撹拌した。固体をろ過し、ヘプタンで洗浄し、次いで減圧乾燥させて、標記化合物(193.0g、>97%純度)を得た。ろ液を濃縮し、酢酸イソプロピルとヘプタンの混合物(1:3、60mL)中で30分間スラリーにし、ろ過し、乾燥させて、追加の生成物(45.0g、>97%純度)を得た。
【0105】
c.トランス−(7−シアノ−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
トリフルオロ−メタンスルホン酸7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルエステル(236.6g、0.49mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(851mL、10.99mol)及び水(23.8mL、1.32mol)に室温で溶解させた。溶液を5分間窒素パージし、次いで家庭用掃除機に5分間接続した。窒素パージと真空曝露を2回繰り返した。反応混合物にシアン化亜鉛(34.2g、0.29mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(4.4g、4.8mmol)及び1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(5.4g、9.7mmol)を撹拌しながら添加した。反応混合物を5分間窒素パージし、窒素下で110℃で1時間加熱し、室温に冷却し、次いでセライトに通してろ過した。ろ過した反応混合物を水(3L)に徐々に添加し、撹拌しながら0℃に冷却し、0℃で30分間撹拌し、次いでろ過した。ろ過ケーキを水(500mL)で洗浄し、2時間風乾し、エタノール(1L)中で撹拌しながら1時間スラリーにし、次いでろ過して標記化合物を得た(165.0g、>96%純度)。ろ液を乾燥させ(21.6g)、エタノール(110mL)に撹拌しながら1時間溶解させ、生成したスラリーをろ過し、減圧乾燥させて、追加の生成物(10.2g、>98%純度)を得た。
【0106】
この実施例及び以下の実施例においては、接頭辞トランスとは、(2S),(2S)ジアステレオマーと(2R),(2R)ジアステレオマーの混合物を指す。
【0107】
調製3:トランス−(7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
調製2の生成物(160.0g、446.3mmol)とメタノール(3.3L)のスラリーを55℃で15分間加熱し、過ホウ酸ナトリウム一水和物(280g、2800mmol)及び水(330mL)を添加し、反応混合物を55℃で終夜加熱した。追加の過ホウ酸ナトリウム一水和物(90g)を添加し、反応混合物を55℃で終夜加熱し、次いで室温に冷却し、無機固体をろ別した。ろ液を5Lフラスコに移し、溶媒の大部分を回転蒸発によって除去した。生成したスラリーに水(1.1L)及び酢酸エチル(450mL)を添加し、反応混合物を室温で20分間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水(200mL)、次いで酢酸エチル(200mL)で洗浄し、乾燥させて、標記化合物(123g、約95%純度)を得た。ろ液を濃縮乾固させ、減圧乾燥させて、追加の生成物(18g、65%純度)を得た。
【0108】
調製4:トランス−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド
内部温度を20℃未満に維持しながら、塩化アセチル(278.8mL、3920mmol)をエタノール(382mL、6530mmol)に−5℃で2時間滴下した。生成した溶液を、10℃に冷却されたトランス−(7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(123.0g、327mmol)とエタノール(500mL)のスラリーに、内部温度を30℃未満に維持しながら15分間分割添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、回転蒸発によって約200mLに濃縮した。酢酸エチル(200mL)を添加し、生成したスラリーを0℃で30分間撹拌し、ろ過し、乾燥させて、標記化合物の塩酸塩(102g、>98%純度)を白色固体として得た。
【0109】
調製5:炭酸4−ニトロ−フェニルエステル(R)−1−フェニル−エチルエステル
(R)−1−フェニル−エタノール(60.6g、0.496mol)、ピリジン(42.5mL、0.526mol)及び2−メチル−テトラヒドロフラン(600mL)の混合物を0℃に冷却し、内部温度を5℃未満に維持しながらクロロギ酸p−ニトロフェニル(100g、0.496mol)を15分間添加した。反応混合物を室温に加温し、2時間撹拌した。反応混合物に1.0M HCl水溶液(300mL)を添加した。層を分離させた。有機層を1N HCl(300mL)及び鹹水(300mL)で洗浄し、ろ過し、回転蒸発によって濃縮乾固させ、減圧乾燥させて、標記化合物(140g)を透明黄色オイルとして得た。
【0110】
調製6:(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド
a.((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステル
炭酸4−ニトロ−フェニルエステル(R)−1−フェニル−エチルエステル(102g、357mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(200mL)及びトリエチルアミン(32.7mL、235mmol)の混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物にトランス−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(100g、320mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(320mL)及びトリエチルアミン(98.0mL、703mmol)を添加した。反応混合物を85℃で5時間加熱し、次いで室温で終夜撹拌した。DMF約90%を70℃における蒸留によって除去し、生成した濃厚な油を室温に冷却し、次いで酢酸エチル(1.5L)と希釈鹹水(500mL)に分配した。有機層を1M NaOH(3×500mL)で洗浄し、NaSOを用いて脱水した。溶媒の大部分を回転蒸発によって除去し、3体積の酢酸エチルを添加し、生成したスラリーを室温で30分間撹拌し、ろ過し、乾燥させて、標記化合物を得た(48g、>99%化学及び光学純度)。
【0111】
ろ液を1M NaOH(200mL)、次いで希釈鹹水(2×200mL)で洗浄した。溶媒の大部分を回転蒸発によって除去して、濃厚な油を得た。これに酢酸エチル(100mL)を添加した。標記化合物のひとつまみの種晶を添加し、反応混合物を約30分間撹拌後、0℃で冷蔵した。生成した希薄スラリーを5分間撹拌し、ろ過した。フラスコ及びろ過ケーキを酢酸エチル(2×15mL)で洗浄して、追加の標記化合物(4.1g、97%化学及び>99%光学純度、38%総収率)を得た。
【0112】
b.(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸アミド
内部温度を30℃未満に維持しながら、塩化アセチル(193mL、2710mmol)をエタノール(260mL、4500mmol)に−5℃で40分間滴下した。生成した溶液を((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステル(49.0g、115mmol)とエタノール(200mL)の混合物に10℃で5分間添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌し、回転蒸発によって約100mLに濃縮した。酢酸エチル(100mL)を添加し、生成したスラリーを0℃で30分間撹拌し、ろ過した。ろ過ケーキを酢酸エチルで洗浄し、乾燥させて、標記化合物の塩酸塩(30g、>99%純度)を得た。ろ液の体積をほぼ乾燥状態に減少させた。イソプロピルアルコール(20mL)を添加し、生成した濃厚スラリーを30分間撹拌し、ろ過した。ろ過ケーキを酢酸エチル(2×20mL)で洗浄し、終夜減圧乾燥させて、追加の標記化合物(5.5g、>97%純度)を得た。
【0113】
【化5】

調製7:ナトリウム(S)−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−3−メトキシカルボニル−ブタン−1−スルホナート
a:(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−ヒドロキシ−酪酸メチルエステル
(S)−2−シクロヘキシルメチル−コハク酸1−メチルエステル(60.0g、263mmol)とテトラヒドロフラン(600mL)の混合物を室温で撹拌し、次いで−5℃に30分間冷却した。内部温度を0℃未満に維持しながら、反応混合物に1.0Mボランのテトラヒドロフラン(520mL)溶液を45分間滴下した。反応混合物にMeOH(100mL)を滴下して反応をクエンチした。反応混合物を回転蒸発によって約100mLに濃縮した。(トリフルオロメチル)ベンゼン(200mL)を添加し、体積を回転蒸発によって25mLに減少させた。(トリフルオロメチル)ベンゼン(100mL)を生成した濃厚な油に添加し、体積を約25mLに減少させて、粗製標記生成物(56.3g)を得た。
【0114】
b.ナトリウム(S)−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−3−メトキシカルボニル−ブタン−1−スルホナート
(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−ヒドロキシ−酪酸メチルエステル(44.8g、209mmol)とDCM(310mL)の混合物を撹拌しながら5℃に冷却した。反応混合物に臭化カリウム(2.5g、21mmol)と炭酸水素ナトリウム(2.4g、29mmol)の蒸留水(130mL)溶液、次いで2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)(0.33g、2.1mmol)を添加し、続いて内部温度を6〜8℃の範囲に維持しながら、次亜塩素酸ナトリウム(140mL、210mmol)を速度130mL/hで添加した。反応混合物を15分間撹拌し、DCM(200mL)を添加した。層分離させ、有機層を飽和鹹水(200mL)で洗浄し、NaSOを用いて脱水した。
【0115】
有機層にEtOAc(40mL)を添加し、続いて亜硫酸水素ナトリウム(21.8g、209mmol)を添加した。反応溶液を濃縮して、DCMの半分(約175mL)を回転蒸発によって除去した。水(2mL)を反応溶液に添加し、それを室温で終夜撹拌した。生成したスラリーをろ過し、ろ過ケーキを終夜減圧乾燥させて、標記化合物(61.9g)を得た。
【0116】
【化6】

調製8:ナトリウム(S)−3−ベンジルオキシカルボニル−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−ブタン−1−スルホナート
a.(S)−2−シクロヘキシルメチル−4,4−ジメトキシ−酪酸メチルエステル
ナトリウム(S)−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−3−メトキシカルボニル−ブタン−1−スルホナート(400.0g、1.26mol)とメタノール(2L)のスラリーに4.0M HClの1,4−ジオキサン(400mL)溶液を添加し、反応混合物を15分間撹拌した。トリメトキシメタン(340mL、3.11mol)を添加し、反応混合物を50℃で終夜加熱し、次いで室温に冷却した。白色固体をろ別し、廃棄した。溶媒の大部分をろ液から回転蒸発によって除去した。酢酸エチル(800mL)を添加すると、さらに沈殿が生成した。白色沈殿をろ過除去した。溶媒をろ液から回転蒸発によって、次いで高真空下で室温で終夜除去して、標記化合物(211g)を濃厚な油として得た。
【0117】
【化7】

b.カリウム(S)−2−シクロヘキシルメチル−4,4−ジメトキシ−ブチラート
水酸化カリウム(289.6g、2322mmol)を前段階の生成物(200.0g、0.77mol)のメタノール(700mL)溶液に一括添加し、反応混合物を室温で20時間撹拌した。反応混合物がpH約8になるまで(緑がかった色からオレンジ色への色変化)塩化水素(130mL、1.5mol)を徐々に添加すると、微細固体の沈殿が生成した。固体をろ過除去した。溶媒をろ液から除去した。アセトニトリル(1L)を粗生成物に添加し、生成したスラリーを室温で終夜撹拌した。濃厚スラリーをろ過し、ろ過ケーキをアセトニトリル(50mL)で洗浄し、乾燥させて、標記化合物の第1の収量(133g)をオフホワイト固体として得た。溶媒をろ液から除去し、次いでそれを減圧乾燥させて、ペースト状固体約100gを得た。MTBE(500mL)を添加し、固体を室温で終夜撹拌すると、濃厚スラリーが生成した。これをろ過し、高真空下で乾燥させて、標記化合物の第2の収量(82g)を得た。
【0118】
【化8】

c:(S)−2−シクロヘキシルメチル−4,4−ジメトキシ−酪酸ベンジルエステル
臭化ベンジル(50.54mL、424.9mmol)をアセトニトリル(2.0L)中の前段階の生成物(150.0g、531.1mmol)のスラリーに一括添加し、不均一反応混合物を室温で終夜撹拌した。追加の臭化ベンジル(5.05mL、42.49mmol)を添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。固体をろ過除去した。ろ液を回転蒸発によって、次いで高真空下で終夜乾燥させて、標記化合物(162g)を得た。
【0119】
【化9】

d.ナトリウム(S)−3−ベンジルオキシカルボニル−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−ブタン−1−スルホナート
前段階の生成物(160.0g、478.4mmol)とアセトニトリル(1.0L)の混合物に1.0M HCl水溶液(1.2L)を添加し、反応混合物を35〜40℃で2時間加熱した。酢酸エチル(1.2L)を添加し、相分離させ、有機層を塩水(1L)で洗浄した。亜硫酸水素ナトリウム(74.7g、718mmol)を湿潤有機層に添加し、反応混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒の大部分を回転蒸発によって除去し、アセトニトリル(1L)を添加し、生成したスラリーを室温で終夜撹拌した。生成した濃白色スラリーをろ過し、ろ過ケーキをアセトニトリル(2×100mL)で洗浄し、減圧乾燥させて、標記化合物(200g、>98%純度)を白色固体として得た。
【0120】
【化10】

(実施例1)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸
a.(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸メチルエステル
ナトリウム(S)−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−3−メトキシカルボニル−ブタン−1−スルホナート(25.8g、81.5mmol)と2−メチル−テトラヒドロ−フラン(300mL)のスラリーに1.0M NaOH水溶液(76.1mL)を添加し、反応混合物を室温で20分間撹拌した。反応混合物に(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(17.0g、54.3mmol)を添加した。反応混合物を室温で40分間撹拌し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(46.1g、217mmol)を4分割添加した。最初の2回添加後、反応混合物を室温で終夜撹拌した。水(200mL)及びMeTHF(100mL)を添加し、相分離させ、有機層を1M NaOH(2×200mL)、NaSOを用いて脱水された希釈鹹水(200mL)で洗浄し、溶媒を除去して、粗製標記中間体(22g)をガラス状黄色固体として得た。
【0121】
粗生成物をMicrosorb 100−10BDS4インチカラムを使用した逆相クロマトグラフィーによって精製した。粗生成物を1:1アセトニトリル:1M HCl水溶液(150mL)溶媒混合物に溶解させ、水(0.1%HCl)/アセトニトリル移動相(10〜40%勾配)で溶出させた。純粋画分(>98%)を混合し、アセトニトリルの大部分を回転蒸発によって除去し、pHを固体NaCOを用いてpH約12に調節し、精製生成物をMeTHF(3×1L)で抽出した。混合有機層をNaSOを用いて脱水し、溶媒を除去して、標記化合物(16.5g)を得た。
【0122】
b.(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸メチルエステル(12.0g、25.4mmol)のメタノール溶液に5.0M NaOH(25mL)を添加し、反応混合物を30℃で8時間、次いで25℃で終夜加熱した。メタノール溶媒の大部分を回転蒸発によって25℃で除去し、水(100mL)及び酢酸イソプロピル(100mL)を添加し、生成した混合物を15分間撹拌した。3層のうち下の2層を酢酸イソプロピル(100mL)で抽出した。下層を−5℃に冷却し、MeTHF(200mL)を添加し、次いで濃HCl(約15mL)をpH約2まで分割添加した。相分離させ、水層をMeTHF(100mL)で洗浄し、混合有機層をNaSOを用いて脱水した。有機溶媒の大部分を回転蒸発によって除去し、酢酸エチル(200mL)を添加し、体積を50mLに減少させた。酢酸エチル(200mL)を添加し、生成したスラリーを室温で3時間撹拌/すりつぶした。生成物を窒素下でろ過し、48時間減圧乾燥させて、標記化合物の塩酸塩(11g、98.2%純度)を白色固体として得た。
【0123】
【化11】

(実施例2)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸塩酸塩(2.18g、4.40mmol)をメタノール(30mL)及び水(30mL)に溶解させ、1.0M NaOH(4.65mL)を添加した。メタノールを回転蒸発によって除去すると、沈殿が生成した。1.0M HCl(0.045mL)を添加すると、さらに沈殿が生成した。固体をDCM:イソプロピルアルコール(4:1、3×40mL)で抽出し、硫酸ナトリウムを用いて脱水した。水(30mL)を添加し、有機物を回転蒸発によって除去すると、水中にゴム状沈殿が生成した。アセトニトリル(25mL)を添加し、反応混合物を凍結乾燥させて、標記化合物をアモルファス固体として得た。(1.99g)。
【0124】
(実施例3)
結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸
a.(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステル塩酸塩
MeTHF(2.0L)と水(600mL)中の調製8の生成物であるナトリウム(S)−3−ベンジルオキシカルボニル−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−ブタン−1−スルホナート(160g、400mmol)の懸濁液に1.0M NaOH水溶液(400mL)を添加し、反応混合物を室温で90分間撹拌した。相分離させ、溶液を体積約300mLに濃縮した。
【0125】
生成した濃縮溶液をDMF(1L)中の(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(100.0g、319.7mmol)のスラリーに添加した。生成したスラリーを室温で2時間撹拌し、反応混合物を0℃に冷却し、続いてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(169g、799mmol)を15分間分割添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌し、10℃に冷却し、次いで1.0M NaOH水溶液(3L)及び酢酸エチル(5L)を添加した。反応混合物を10分間撹拌し、相分離させ、有機層を希釈鹹水(1:1、2L)で洗浄した。有機層に1.0M HCl水溶液(520mL、520mmol)を添加し、酢酸エチルの大部分を回転蒸発によって除去した。水(500mL)及びエタノール(1L)を添加し、体積を回転蒸発によって約1Lに徐々に減少させた。生成したオフホワイトの易流動性スラリーを室温で終夜撹拌した。生成物をろ過によって単離し、フラスコ及びろ過ケーキを水(2×200mL)で洗浄し、次いで乾燥させて、標記化合物(175g)を白色固体として得た(約99%純度、アミノテトラリン試薬に基づく収率90%)。
【0126】
【化12】

b.結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸
前段階の生成物(175.0g、299mmol)を酢酸エチル(2.5L)、水(1L)及び1.0M NaOH水溶液(300mL、299mmol)に分配した。相分離させ、有機層を希釈鹹水(1:1、250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水した。溶媒を回転蒸発によって除去し、得られた生成物を高真空下で終夜乾燥させて、遊離塩基中間体(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステル(約160g)を粘着性固体として得た。
【0127】
遊離塩基中間体をアセトニトリル(1.6L)と水(300mL)の混合物に溶解させた。溶液の半分(1L)に炭素担持10%パラジウム(10g、9mmol)(ウェット)を添加した。反応混合物を窒素、次いで水素で2分間パージし、次いで10〜15psi Hに室温で3時間曝露した。反応混合物をセライトに通してろ過し、フラスコ及びろ過ケーキをアセトニトリル(50mL)で洗浄した。黄色がかったろ液をチオール変性シリカ(10g)と一緒に室温で2時間撹拌し、次いでセライトに通してろ過した。溶媒の大部分を回転蒸発によって25℃で除去した。アセトニトリル(500mL)を添加し、溶媒の大部分を回転蒸発によって除去した。追加のアセトニトリル(500mL)を添加すると、粘着性固体の沈殿が急速に生成した。反応混合物を室温で終夜激しく撹拌すると、易流動性オフホワイトスラリーが生成した。生成物をろ過によって単離し、ろ過ケーキをアセトニトリル(2×50mL)で洗浄し、次いで減圧乾燥させて、結晶性標記化合物(56g、98.8%純度)を得た。含水量0.49%(w/w)。
【0128】
【化13】

注記:以下の実施例の本文では、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸を化合物1と表記する。
【0129】
(実施例4)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の結晶化(形態I)
アモルファス化合物1(100mg、0.22mmol)をイソプロパノール(0.83mL)に溶解させた。4日後、結晶が溶液中に認められた。母液の上澄みを流し、1:1アセトニトリル:酢酸エチル(0.2mL、次いで追加の0.3mL)を添加して、標記化合物のスラリーを得た。
【0130】
(実施例5)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の結晶化(形態I)
アモルファス化合物1(33mg、0.072mmol)を、あらかじめ混合されたアセトニトリル(0.04mL)、1−プロパノール(0.0605mL)及び水(0.0035mL)の溶液に溶解させ、プロセス混合物を室温で終夜撹拌した。沈殿が約1時間以内に形成し始めた。固体をろ過によって収集し、3:2アセトニトリル:イソプロパノール(2mL)で洗浄し、減圧乾燥させて、標記化合物を得た。
【0131】
(実施例6)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の結晶化(形態I)
アモルファス化合物1(84.2mg、0.18mmol)を水(0.003mL)とメタノール(0.027mL)の混合物に溶解させ、次いで水(0.013mL)とアセトニトリル(0.090mL)の混合物を添加した。結晶が2分以内に認められた。プロセス混合物を撹拌せずに3日間室温で保持した。母液の上澄みを流し、固体を減圧ろ過によって単離し、アセトニトリルで洗浄して標記化合物(54mg、64%収率)を得た。
【0132】
(実施例7)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の結晶化(形態II)
アモルファス化合物1(70mg、0.15mmol)を、あらかじめ混合されたアセトニトリル(0.136mL)とイソプロパノール(0.090mL)の溶液に溶解させ、プロセス混合物を室温で終夜撹拌した。沈殿が約1時間以内に形成し始めた。固体をろ過によって収集し、3:2アセトニトリル:イソプロパノール(2mL)で洗浄し、減圧乾燥させて、標記化合物を得た(64mg)。
【0133】
(実施例8)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸塩酸塩の結晶化
化合物1のアモルファス塩酸塩(56.7mg、0.12mmol)をジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)(0.50mL)に分散させ、50℃に20分間加熱し、終夜徐々に冷却した。プロセス混合物を周囲温度で11日間放置した。生成した結晶を単離し、DEGDME(約0.1mL)で洗浄して、標記化合物を得た。
【0134】
(実施例9)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸塩酸塩の結晶化
化合物1のアモルファス塩酸塩(72.2mg、0.15mmol)を酢酸エチル(1.0mL)に分散させ、1分間未満超音波処理し、50℃に加熱し、徐々に冷却した。プロセス混合物を周囲温度で3日間放置した。生成した結晶を単離して、標記化合物を得た。
【0135】
(実施例10)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸塩酸塩の結晶化
化合物1のアモルファス塩酸塩(50mg、0.11mmol)を酢酸エチル(0.5mL)に分散させ、室温で4日間撹拌した。生成した結晶を単離して、標記化合物を得た(30mg)。
【0136】
実施例11〜15
本発明の固体形態の諸性質
実施例3及び7で調製された結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸(化合物1)の試料、及び実施例9で調製された化合物1の結晶性塩酸塩の試料、並びに実施例3aで調製された結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステル塩酸塩(化合物2の塩酸塩)の試料を、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)によって分析した。
【0137】
(実施例11)
X線粉末回折
図1、4及び6のX線粉末回折パターンは、Cu Kα(30.0kV、15.0mA)照射を使用したRigaku回折計を用いて得られた。分析は、角度計を用いて、2から40°の範囲で連続スキャンモード2°/分(図1)又は3°/分(図4、6及び8)、ステップサイズ0.03°で運転して実施された。試料を石英試料ホルダー上で粉末材料の薄層として調製した。装置をケイ素標準を用いて較正した。図8は、Thermo XTRAモデルARL回折計を用いて、2から40°の範囲で1.22°/分、ステップサイズ0.03°でスキャンして得られた。
【0138】
(実施例12)
熱分析
示差走査熱量測定(DSC)は、TA Instruments Model Q−100モジュールを使用して実施された。データは、TA Instruments Thermal Advantage for Q Series(商標)ソフトウェアを使用して収集、分析された。試料約1〜10mgをふた付きアルミニウムパンに正確に計量した。試料を5℃から典型的には265℃まで10℃/minの線形加熱勾配で評価した。DSCセルを、使用中に乾燥窒素でパージした。化合物1の結晶性塩酸塩及び化合物2の結晶性塩酸塩の結晶形態I及び形態IIの試料の代表的DSCトレースをそれぞれ図2、5、7及び9に示す。
【0139】
熱重量分析(TGA)をTA Instruments Model Q−500モジュールを使用して実施した。データは、TA Instruments Thermal Advantage for Q Series(商標)ソフトウェアを使用して収集、分析された。試料約1〜5mgを白金クレードル上のアルミニウムパンに入れ、周囲温度から300℃まで線形加熱速度10℃/minでスキャンした。天秤及び炉チャンバーを、使用中に窒素パージした。結晶形態I及び化合物1の結晶性塩酸塩の試料の代表的TGAトレースもそれぞれ図2及び7に示す。
【0140】
(実施例13)
動的水分収着評価
動的水分収着(DMS)評価を、VTI大気微量天秤SGA−100システム(VTI Corp.,Hialeah,FL33016)を使用して25℃で実施した。試料サイズ約5〜10mgを使用し、湿度を分析開始時に周囲値に設定した。典型的なDMS分析は、3又は4スキャンからなった:5%RH/ステップのスキャン速度で周囲から2%相対湿度(RH)、2%RHから90%RH、90%RHから5%RH、及びある場合には第2の吸着2%RHから90%RH。質量を2分ごとに測定し、試料の質量が5連続ポイントで0.02%以内で安定しているときに、RHを次の値(±5%RH)に変化させた。実施例3で調製された結晶形態Iの試料の代表的DMSトレースを図3に示す。
【0141】
(実施例14)
X線回折結晶構造分析
実施例6で調製された寸法0.20×0.10×0.06mmの結晶形態Iの針状結晶を分析した。X線回折結晶構造データを、Mo Kα照射を使用したNonius Kappa−CCD回折計を使用して得た。全球データをθ=27.5度まで温度120°Kで収集し、SHELX−97ソフトウェアを使用して分析した。以下の格子パラメータが誘導された:単位格子は、寸法a=7.546A、b=17.003A、c=20.628A、格子体積(V)2646.7Aの斜方晶であり、計算密度は1.151g/cmであり、空間群はP2である。誘導された原子位置から予測される粉末X線回折ピークは、目視検査によって、実験的に決定されたピーク位置とよく一致すると判定された。
【0142】
アッセイ1:ヒトミュー、ヒトデルタ及びモルモットカッパオピオイド受容体に対する放射性リガンド結合アッセイ
a.膜調製
ヒトミューオピオイド又はモルモットカッパ受容体cDNAを安定的に移入されたCHO−K1(Chinese Hamster Ovary)細胞を、37℃の5%CO加湿恒温器中の10%FBS、100単位/mlペニシリン−100μg/mLストレプトマイシン及び800μg/mL Geneticinを補充したHam’s−F12培地からなる培地中で増殖させた。受容体発現レベル(それぞれ、Bmax約2.0及び約0.414pmol/mgタンパク質)を、膜放射性リガンド結合アッセイにおいて[H]−ジプレノルフィン(比活性約50〜55Ci/mmol)を使用して測定した。
【0143】
細胞を80〜95%コンフルエント(<25継代培養)まで増殖させた。細胞系の継代培養では、細胞単層を室温で5分間インキュベートし、5mM EDTAを補充したPBS10mL中で機械撹拌によって収集した。再懸濁後、細胞を新しい遠心分離用増殖培地40mLに1000rpmで5分間移し、適切な分割比で新しい増殖培地に再懸濁させた。
【0144】
膜調製では、5mM EDTAのPBS溶液と一緒に穏やかに機械撹拌し、続いて遠心分離(2500g5分間)によって、細胞を収集した。ペレットをAssay Buffer(50mM 4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES))、pH7.4に再懸濁させ、Polytron粉砕機を用いて氷上でホモジナイズした。得られた粉砕物を遠心分離し(1200g5分間)、ペレットを廃棄し、上清を遠心分離した(40,000g20分間)。ペレットをAssay Buffer中に再懸濁させることによって1回洗浄し、続いてさらに遠心分離した(40,000g20分間)。最終ペレットをAssay Bufferに再懸濁させた(当量1 T−225フラスコ/1mLアッセイ緩衝剤)。タンパク質濃度をBio−Rad Bradford Protein Assayキットを使用して測定し、膜を必要になるまで凍結アリコートで−80℃で貯蔵した。
【0145】
ヒトデルタオピオイド受容体(hDOP)膜をPerkin Elmerから購入した。[H]−ナトリンドール(Natrindole)放射性リガンド結合アッセイにおける飽和分析で測定されたこれらの膜の報告されたK及びBmaxは、それぞれ0.14nM(pK=9.85)及び2.2pmol/mgタンパク質であった。タンパク質濃度は、Bio−Rad Bradford Protein Assayキットを使用して測定された。膜を必要になるまで凍結アリコートで−80℃で貯蔵した。
【0146】
b.放射性リガンド結合アッセイ
放射性リガンド結合アッセイを、Axygen 1.1mLディープウェル96ウェルポリプロピレンアッセイプレート中で、0.025%ウシ血清アルブミン(BSA)を補充したAssay Buffer中の適切な量の膜タンパク質(ミュー、デルタ及びカッパそれぞれ約3、約2及び約20μg)を含む全アッセイ体積200μLで実施した。放射性リガンドのK値を決定する飽和結合試験を、0.001nM〜5nMの範囲の8〜12の異なる濃度の[H]−ジプレノルフィンを使用して実施した。化合物のpKi値を決定する置換アッセイを、ミュー、デルタ及びカッパそれぞれ0.5、1.2及び0.7nMの[H]−ジプレノルフィンを用いて、10pM〜100μMの範囲の11の化合物濃度で実施した。
【0147】
1サイト競合の3パラメータモデルを使用したGraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を用いた非線形回帰分析によって結合データを分析した。曲線最小値は、10μMナロキソンの存在下で測定して、非特異的結合の値に固定された。試験化合物のK値は、Prismにおいて、最適IC50値及び放射性リガンドのK値からCheng−Prusoffの式(K=IC50/(1+([L]/K))を使用して計算された。式中、[L]=[H]−ジプレノルフィンの濃度である。結果は、K値の負の十進法対数pKとして表される。
【0148】
これらのアッセイにおいて高いpK値を有する試験化合物は、ミュー、デルタ又はカッパオピオイド受容体に対して高い結合親和性を有する。化合物1は、ヒトミューオピオイド受容体においてpK値9.4を示した。
【0149】
アッセイ2:ヒトミューオピオイド受容体を発現するCHO−K1細胞から調製された膜におけるミューオピオイド受容体の作動物質媒介性活性化
このアッセイでは、試験化合物の効力及び固有活性値を、ヒトミューオピオイド受容体を発現するCHO−K1細胞から調製された膜における受容体活性化後に存在する結合GTP−Eu量を測定することによって求めた。
【0150】
a.ミューオピオイド受容体膜調製:
ヒトミューオピオイド受容体(hMOP)膜を上述したように調製し、又はPerkin Elmerから購入した。[H]−ジプレノルフィン放射性リガンド結合アッセイにおける飽和分析で測定された購入された膜の報告されたpK及びBmaxは、それぞれ10.06及び2.4pmol/mgタンパク質であった。タンパク質濃度は、Bio−Rad Bradford Protein Assayキットを使用して測定された。膜を必要になるまで凍結アリコートで−80℃で貯蔵した。凍結乾燥GTP−Eu及びGDPを、再蒸留HOでそれぞれ10μM及び2mMに希釈し、次いで混合し、室温で30分間静置した後、−20℃で貯蔵するために個々のアリコート試料に移した。
【0151】
b.ヒトmu GTP−Euヌクレオチド交換アッセイ
GTP−Euヌクレオチド交換アッセイを、DELPHIA GTP結合キット(Perkin/Elmer)を使用し、AcroWell96ウェルろ板中で製造者の仕様書に従って実施した。膜を上述したように調製し、アッセイ開始前に、アリコートをAssay Buffer(50mM HEPES、pH7.4 25℃)で濃度200μg/mLに希釈し、次いでPolytronホモジナイザーを使用して10秒間ホモジナイズした。試験化合物をDMSO中の10mM原液として受け取り、0.1%BSAを含むAssay Buffer中に400μMまで希釈し、次いで40pM80μM−GDP及びGTP−Euの範囲の10種類の濃度の化合物を生成するように作製された連続(1:5)希釈物をAssay Bufferでそれぞれ4μM及び40nMに希釈した。10mM MgCl、50mM NaCl及び0.0125%BSAで希釈された膜タンパク質5μg、10pM〜20μM)の試験化合物、1μM GDP及び10nM GTP−Euを含む総体積100μLでアッセイを実施した(最終アッセイ濃度)。(12.8pM〜1μMの範囲の)DAMGO(Tyr−D−Ala−Gly−(メチル)Phe−Gly−オール)濃度−反応曲線がプレートごとに含まれた。
【0152】
アッセイプレートを、Assay Buffer25μL、試験化合物25μL並びにGDP及びGTP−Eu25μLの添加後のアッセイ直前に調製した。アッセイを膜タンパク質25μLの添加によって開始し、30分間インキュベートした。次いで、アッセイプレートを、10〜12in.Hgに調節された家庭用掃除機に接続されたWaters真空マニホールドを用いてろ過し、室温GTP Wash Solution(2×300mL)で洗浄した。プレートの底部をふき取って、過剰の液体を除去した。次いで、プレートを即時に読んで、Packard Fusion Plate ReaderVehicle上のTime Resolved Fluorescence (TRF)を測定することによって結合GTP−Eu量を求めた。DMSOは1%最終アッセイ濃度を超えない。
【0153】
結合GTP−Eu量は、試験化合物によるミューオピオイド受容体の活性化度に比例する。百分率で表される固有活性(IA)は、試験化合物による活性化で観察された結合GTP−Eu量と、完全作動物質(IA=100)であると推定されるDAMGOによる活性化で観察された量の比として求められた。化合物1は、このアッセイで−8の固有活性を示した。したがって、本活性薬剤は、拮抗物質であることが示された。
【0154】
アッセイ3:In Vivo有効性のラットモデル
このアッセイでは、試験化合物の有効性を、末梢活性を評価する消化管通過モデルで評価した。この試験は、Institutional Animal Care and Use Committee at Theravance,Inc.によって認可され、National Academy of Sciencesによって刊行されたGuide for the Care and Use of Laboratory Animals(著作権1996)に従った。
【0155】
a.ラット胃内容排出アッセイ
試験化合物をラット胃内容排出アッセイで評価して、ロペラミドによって誘導される胃内容排出の遅延を逆転するその能力を求めた。ラットを終夜絶食させた後、試験化合物又はビヒクルを静脈内、皮下、筋肉内又は経口投与経路によって0.001から約30ミリグラム/キログラム(mg/kg)の用量で投与した。試験化合物の投与に続いて、用量1mg/kgのロペラミド、又はビヒクルを皮下投与した。ロペラミド又はビヒクル投与5分後に、非栄養素の非吸収性の木炭の食餌を経口経管栄養によって投与した。実験の60分間、動物に水を自由に摂らせた。次いで、動物を二酸化炭素窒息によって安楽死させ、続いて開胸し、胃を慎重に切除した。胃を下部食道括約筋及び幽門括約筋において結さつして、組織除去中の更なる排出を防止した。次いで、胃の重量を結さつ糸除去後に測定した。
【0156】
b.データ解析及び結果
GraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を使用してデータを解析した。逆転率曲線をS字形用量反応(可変勾配)モデルを使用した非線形回帰分析によって構築し、最適ID50値を計算した。曲線最小値及び最大値をそれぞれ(0%逆転を示す)ロペラミド対照値及び(100%逆転を示す)ビヒクル対照値に固定した。結果は、ロペラミドの効果の50%逆転に必要な用量であるID50としてミリグラム/キログラム単位で表される。経口投与された化合物1は、胃内容排出モデルにおいてID50値が0.09mg/kgであった。
【0157】
本発明をその具体的実施形態に関連して記述したが、当業者は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更を加えることができ、等価物で置換できることを理解すべきである。さらに、多数の改変を加えて、特定の状況、材料、物質組成、プロセス、プロセスステップ(単数又は複数)を本発明の目的、精神及び範囲に適合させることができる。すべてのかかる改変は、添付した特許請求の範囲内にあるものとする。さらに、すべての上記刊行物、特許及び特許文献は、参照によって個々に援用されたかのごとく、参照により全体が本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の結晶性固体形態、又は(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の結晶性塩酸塩。
【請求項2】
前記結晶性固体形態が結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸である、請求項1に記載の結晶性固体形態。
【請求項3】
前記結晶性固体形態が、6.92±0.20及び15.34±0.20の2θ値における回折ピークを有するX線粉末回折パターンであって、10.24±0.20、11.48±0.20、12.32±0.20、13.46±0.20、14.04±0.20、17.30±0.20、18.06±0.20、20.30±0.20、21.42±0.20、23.48±0.20、25.54±0.20、26.96±0.20、29.30±0.20及び30.72±0.20から選択される2θ値における2個以上の回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる、請求項2に記載の結晶性固体形態。
【請求項4】
前記X線粉末回折パターンが、6.92±0.20、10.24±0.20、13.46±0.20、15.34±0.20、18.06±0.20及び21.42±0.20から選択される2θ値における3個以上の回折ピークを含む、請求項3に記載の結晶性固体形態。
【請求項5】
前記結晶性固体形態が、ピーク位置が図1に示すパターンのピーク位置と実質的に一致するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる、請求項2に記載の結晶性固体形態。
【請求項6】
前記結晶性固体形態が、温度約162℃から約170℃で吸熱流の最大を示す、加熱速度10℃/分で記録される示差走査熱量測定トレースによって特徴づけられる、請求項2に記載の結晶性固体形態。
【請求項7】
前記結晶性固体形態が、図2に示すものと実質的に一致する示差走査熱量測定トレースによって特徴づけられる、請求項2に記載の結晶性固体形態。
【請求項8】
前記結晶性固体形態が、9.05±0.20及び16.52±0.20の2θ値における回折ピークを有するX線粉末回折パターンであって、9.80±0.20、12.44±0.20、12.92±0.20、14.21±0.20、15.62±0.20、17.27±0.20、19.04±0.20、19.85±0.20、21.29±0.20、22.43±0.20、23.48±0.20、23.99±0.20及び26.09±0.20から選択される2θ値における2個以上の回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる、請求項2に記載の結晶性固体形態。
【請求項9】
前記X線粉末回折パターンが、9.05±0.20、9.80±0.20、12.44±0.20、12.92±0.20、16.52±0.20、23.99±0.20及び26.09±0.20から選択される2θ値における2個以上の回折ピークを含む、請求項8に記載の結晶性固体形態。
【請求項10】
前記結晶性固体形態が、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸の結晶性塩酸塩である、請求項1に記載の結晶性固体形態。
【請求項11】
前記結晶性固体形態が、6.80±0.20、9.80±0.20、12.71±0.20、13.31±0.20、15.14±0.20、19.97±0.20、21.44±0.20、22.64±0.20、23.27±0.20、24.44±0.20及び25.37±0.20から選択される2θ値における2個以上の回折ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる、請求項10に記載の結晶性固体形態。
【請求項12】
薬学的に許容される担体と、請求項1から11のいずれか一項に記載の結晶性固体形態とを含む、薬学的組成物。
【請求項13】
結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸(化合物1)を調製するプロセスであって、約10%から約20%の水を含む極性希釈剤の存在下で接触水素化分解によって(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステルを脱保護して、結晶性化合物1を形成することを含む、プロセス。
【請求項14】
結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸(化合物1)を調製するプロセスであって、
(a)(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸ベンジルエステル(4)を
【化14】

(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸アミド(3)と反応させて、
【化15】

(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステル(2)を提供すること、
【化16】

及び
(b)約10%から約20%の水を含む極性希釈剤の存在下で接触水素化分解によって式2の該化合物を脱保護して、結晶性化合物1を提供すること
を含む、プロセス。
【請求項15】
結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸を調製するプロセスであって、
(a)(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸を、約3%から約20%の水を含む極性希釈剤中に分散させて、混合物を形成すること、
(b)該混合物を少なくとも約12時間保持すること、及び
(c)該結晶性(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸を該混合物から単離すること
を含む、プロセス。
【請求項16】
化学名(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸ベンジルエステルで示される式4の化合物、又はその亜硫酸水素塩付加体である
【化17】

化学名ナトリウム(S)−3−ベンジルオキシカルボニル−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−ブタン−1−スルホナートで示される式5
【化18】

の化合物。
【請求項17】
化学名(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステルで示される式2
【化19】

の化合物、又はその塩酸塩。
【請求項18】
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステルの結晶性塩酸塩。
【請求項19】
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸を調製するプロセスであって、
(a)(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸ベンジルエステル(4)を(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド(3)と反応させて、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステル(2)を提供すること、及び
(b)化合物2を接触水素化分解によって脱保護して、(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸を提供すること
を含む、プロセス。
【請求項20】
ほ乳動物においてミューオピオイド受容体拮抗物質を用いた治療によって改善される疾患又は病状の治療に使用される、請求項1から11のいずれか一項に記載の結晶性固体形態。
【請求項21】
前記疾患又は症状がオピオイド誘導性腸管機能不全又は術後腸閉塞である、請求項20に記載の結晶性固体形態。
【請求項22】
前記疾患又は症状が胃腸管運動低下障害である、請求項20に記載の結晶性固体形態。
【請求項23】
ほ乳動物におけるオピオイド剤の使用に付随する副作用の軽減又は予防に使用される、請求項1から11のいずれか一項に記載の結晶性固体形態。
【請求項24】
ミューオピオイド受容体拮抗物質を用いた治療によって改善される病状を有するほ乳動物を治療する方法であって、薬学的に許容される担体と請求項1から11のいずれか一項に記載の結晶性固体形態とを含む薬学的組成物を該ほ乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記病状がオピオイド誘導性腸管機能不全又は術後腸閉塞である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ほ乳動物におけるオピオイド剤の使用に付随する副作用を軽減又は予防する方法であって、オピオイド剤と請求項1から11のいずれか一項に記載の結晶性固体形態とを該ほ乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項27】
ほ乳動物において胃腸管運動を促進する方法であって、薬学的に許容される担体と請求項1から11のいずれか一項に記載の結晶性固体形態とを含む薬学的組成物を該ほ乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項28】
ほ乳動物においてミューオピオイド受容体に拮抗する方法であって、薬学的に許容される担体と請求項1から11のいずれか一項に記載の結晶性固体形態とを含む薬学的組成物を該ほ乳動物に投与することを含む、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2012−511580(P2012−511580A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540855(P2011−540855)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/067271
【国際公開番号】WO2010/068649
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(500154711)セラヴァンス, インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】