説明

3−シアノキノリン錠剤製剤およびそれらの用途

【課題】API粒子サイズ変化に強く、患者における使用にとって経時変化および保存中により安定である4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルなどの3−シアノキノリン化合物の安定な固形製剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、3−シアノキノリン、SKI−606を含み、クロスカルメロースナトリウム、Tweenまたは両方をさらに含む固形組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あるシアノキノリン化合物の製剤に関する。特に、本発明は、3−シアノキノリン化合物、4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルの、超崩壊剤クロスカルメロースナトリウム、界面活性剤ポリエチレンオキシドソルビタンモノオレエート(ポリソルベート/ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80(商標))、または両方をさらに含む安定な錠剤を対象とする。
【背景技術】
【0002】
ある3−シアノキノリン化合物および薬学的に許容できるそれらの塩は、タンパク質キナーゼ阻害剤であり、抗腫瘍活性を持ち、したがって、少なくとも部分的に、この受容体の調節解除によって生じる癌などのある疾患状態を治療するのに有用である。受容体チロシンキナーゼは、細胞複製を開始する生化学的シグナルの伝達に重要である。受容体チロシンキナーゼは、細胞膜にまたがる大きな酵素であり、上皮成長因子受容体(EGFR)などの成長因子のための細胞外結合ドメインおよびタンパク質中のチロシンアミノ酸をリン酸化し、それによって、細胞増殖に影響を与えるキナーゼとして機能する細胞内部分を持つ。異なる受容体チロシンキナーゼに結合する成長因子のファミリーに基づいて、様々なクラスの受容体チロシンキナーゼが知られている(Wilks、Advances in Cancer Research、1993、60、43〜73)。分類は、EGFR、TGFα、NeuおよびerbB受容体などの受容体チロシンキナーゼのEGFRファミリーを含むクラスI受容体チロシンキナーゼ、インスリンおよびIGFI受容体ならびにインスリン関連受容体(IRR)などの受容体チロシンキナーゼのインスリンファミリーを含むクラスII受容体チロシンキナーゼならびにPDGFα、PDGFβおよびコロニー刺激因子1(CSF1)受容体などの受容体チロシンキナーゼの血小板由来成長因子(PDGF)ファミリーを含むクラスIII受容体チロシンキナーゼを包含する。
【0003】
あるチロシンキナーゼは、細胞内にある非受容体チロシンキナーゼの1クラスに属し、腫瘍細胞の運動性、播種および侵襲性、その後に、転移性の腫瘍成長に影響を与えるものなどの生化学的シグナルの伝達に関与していることも知られている(Ulkichら、Cell、1990、61、203〜212、Bolenら、FASEB J.、1992、6、3403〜3409、Brickellら、Critical Reviews in Oncogenesis、1992、3、401〜406、Bohlenら、Oncogene、1993、8 2025〜2031、Courtneidgeら、Semin.Cancer Biol.、1994、5、239〜246、Lauffenburgerら、Cell、1996、84、359〜369、Hanksら、BioEssays、1996、19、137〜145、Parsonsら、Current Opinion in Cell Biology、1997、9、187〜192、Brownら、Biochimica et Biophysica Acta、1996、1287、121〜149およびSchlaepferら、Progress in Biophysics and Molecular Biology、1999、71、435〜478)。Src、LynおよびYesチロシンキナーゼなどのSrc−ファミリー、AbIおよびArgなどのAbIファミリーならびにJak1およびTyk2などのJakファミリーを包含する様々なクラスの非受容体チロシンキナーゼが知られている。
【0004】
SKI−606、またはボスチニブとも呼ばれる3−シアノキノリン化合物4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルは、pH8.0における固有溶解度がおおよそ0.06μg/mLである弱塩基である。pH8未満で、化合物SKI−606の溶解度は、イオン化によって、pHの低下につれて指数関数的に増加する。しかしながら、SKI−606の分解が、加水分解を通じて低いpHの水溶液(pH3以下)で観察されたものの、化合物は、5より高いpHで比較的安定である。
【0005】
3−シアノキノリンの既存固形製剤に関する一部の問題は、活性医薬成分(API)の粒子サイズに左右されるように見える可変性の溶出を包含する。基準と違って、第III相製剤におけるより小さなAPI(D90約20ミクロン)は、問題のある溶出規格の結果として、より大きなAPI(D90約40ミクロン)について使用される類似の処理条件の下で、溶出を遅らせるように見えた。このことは、より大きな錠剤(より高力価)でより一層観察された。
【0006】
さらに、経時変化/保存後の製剤の加速溶出特性も、初期の時点で観察された(室温と加速条件の両方における経時変化での溶出の小さいが有意なシフト)。結果は、2つの溶出方法、すなわち、下でさらに議論される0.1N HCl法およびCTAB/pH5アセテート法で提示される。後者の方法は、0.1N HCl法が最初の10〜20分以内にすべての薬物を放出することが分かっているため、30分までの時点における溶出プロファイルをより良く示すために選択された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,297,795号
【特許文献2】米国特許第6,297,258号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Wilks、Advances in Cancer Research、1993、60、43〜73
【非特許文献2】Ulkichら、Cell、1990、61、203〜212
【非特許文献3】Bolenら、FASEB J.、1992、6、3403〜3409
【非特許文献4】Brickellら、Critical Reviews in Oncogenesis、1992、3、401〜406
【非特許文献5】Bohlenら、Oncogene、1993、8 2025〜2031
【非特許文献6】Courtneidgeら、Semin.Cancer Biol.、1994、5、239〜246
【非特許文献7】Lauffenburgerら、Cell、1996、84、359〜369
【非特許文献8】Hanksら、BioEssays、1996、19、137〜145
【非特許文献9】Parsonsら、Current Opinion in Cell Biology、1997、9、187〜192
【非特許文献10】Brownら、Biochimica et Biophysica Acta、1996、1287、121〜149
【非特許文献11】Schlaepferら、Progress in Biophysics and Molecular Biology、1999、71、435〜478
【非特許文献12】Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology、1997、Dilip Parikh、Marcel Dekker,Inc。ISBN 0−8247−9882−1、309頁
【非特許文献13】25Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology、1997、Dilip Parikh、Marcel Dekker,Inc.ISBN 0−8247−9882−1、338〜368頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、API粒子サイズ変動に強く、患者における使用にとって経時変化および保存中により安定である4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルなどの3−シアノキノリン化合物の安定な固形製剤を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書には、2つの革新的技法、すなわち、溶出および安定性の特性を改善するために、崩壊剤タイプ(および、崩壊剤比)を変えること、ならびに、やはり溶出および安定性の特性を改善するために、ポロキサマーを、ポリエチレンオキシドソルビタンモノオレエート(ポリソルベート/ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80))のような液体界面活性剤で置き換えることが開示される。
【0011】
第一の実施形態において、本発明は、4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルを含む3−シアノキノリンの薬学的に許容できる固形組成物を提供する。ある実施形態において、そのような固形組成物は、錠剤として提供される。一部の実施形態において、本発明は、4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルを含む単位剤形を提供する。
【0012】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル20〜80または30〜80重量パーセントと、(b)1つまたは複数の湿潤剤0.1〜20重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0013】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル25〜80または30〜80重量パーセントと、(b)1つまたは複数の湿潤剤0.1〜20重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供し、この組成物の顆粒内構成成分は、組成物の82.5重量パーセントをさらに占め、顆粒外構成成分は、組成物の17.5重量パーセントを占める。
【0014】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル25〜80または30〜80重量パーセント、(b)1つまたは複数の結合剤0.1〜5.0重量パーセント、(c)1つまたは複数の充填剤1〜25重量パーセント、(d)1つまたは複数の崩壊剤0.1〜5重量パーセント、(e)1つまたは複数の湿潤剤0.1〜5重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)1つまたは複数の充填剤1〜25重量パーセントおよび(g)1つまたは複数の滑沢剤0.1〜5重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0015】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル25〜80または30〜80重量パーセント、(b)ポビドン0.5〜5.0重量パーセント、(c)微結晶性セルロース1〜25重量パーセント、(d)クロスカルメロースナトリウム0.2〜5重量パーセント、(e)ポロキサマー0.5〜5重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース1〜25重量パーセントおよび(g)ステアリン酸マグネシウム0.5〜5重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0016】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル約69重量パーセント、(b)ポビドン約2重量パーセント、(c)微結晶性セルロース約6.5重量パーセント、(d)クロスカルメロースナトリウム約2重量パーセント、(e)ポロキサマー約3重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース約15重量パーセントおよび(g)ステアリン酸マグネシウム約0.5重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0017】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル25〜80または30〜80重量パーセント、(b)1つまたは複数の結合剤0.5〜5.0重量パーセント、(c)1つまたは複数の充填剤1〜25重量パーセント、(d)1つまたは複数の崩壊剤0.5〜5重量パーセント、(e)1つまたは複数の湿潤剤0.2〜5重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)1つまたは複数の充填剤1〜25重量パーセント、(g)1つまたは複数の崩壊剤0.5〜5重量パーセントおよび(h)1つまたは複数の滑沢剤0.5〜5重量パーセントを含む、速溶性の薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0018】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル50〜80重量パーセント、(b)ポビドン0.5〜5.0重量パーセント、(c)微結晶性セルロース1〜25重量パーセント、(d)クロスカルメロースナトリウム0.5〜5重量パーセント、(e)ポロキサマー0.2〜5重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース1〜25重量パーセント、(g)クロスカルメロースナトリウム0.5〜5重量パーセントおよび(h)ステアリン酸マグネシウム0.5〜5重量パーセントを含む、速溶性の薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0019】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル約69重量パーセント、(b)ポビドン約2重量パーセント、(c)微結晶性セルロース約6.5重量パーセント、(d)クロスカルメロースナトリウム約2重量パーセント、(e)ポロキサマー約3重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース約15重量パーセント、(d)クロスカルメロースナトリウム約2重量パーセントおよび(h)ステアリン酸マグネシウム約0.5重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0020】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル25〜80または30〜80重量パーセント、(b)ポビドン、(c)微結晶性セルロース、(d)クロスカルメロースナトリウム0.2〜5重量パーセント、(e)ポロキサマーと、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロースおよび(g)ステアリン酸マグネシウムとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0021】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル約69重量パーセント、(b)ポビドン、(c)微結晶性セルロース、(d)クロスカルメロースナトリウム約2重量パーセント、(e)ポロキサマーと、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロースおよび(g)ステアリン酸マグネシウムとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0022】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル50〜80重量パーセント、(b)ポビドン、(c)微結晶性セルロース、(d)クロスカルメロースナトリウム0.5〜5重量パーセント、(e)ポロキサマーと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース、(g)クロスカルメロースナトリウム0.5〜5重量パーセントおよび(h)ステアリン酸マグネシウムとを含む、速溶性の薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0023】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル約69重量パーセント、(b)ポビドン、(c)微結晶性セルロース、(d)クロスカルメロースナトリウム約2重量パーセント、(e)ポロキサマーと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース、(g)クロスカルメロースナトリウム約2重量パーセントおよび(h)ステアリン酸マグネシウムとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0024】
本発明は、顆粒内構成成分として、4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル低くて約25重量パーセント、20重量パーセント、またはさらには15重量パーセント、およびクロスカルメロースナトリウム約0.25〜5重量パーセント、0.5〜5重量パーセント、1〜3重量パーセント、3重量パーセント、2重量パーセントまたは1重量パーセントと、顆粒外構成成分として、クロスカルメロースナトリウム約.25〜5重量パーセント、0.5〜5重量パーセント、1〜3重量パーセント、3重量パーセント、2重量パーセントまたは1重量パーセントとを、組成物の残りの部分を占める上記のような追加の顆粒内および顆粒外構成成分と共に含む、薬学的に許容できる組成物、例えば、小児科使用に適している組成物をさらに提供する。
【0025】
本発明は、顆粒内構成成分としての4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル、およびクロスカルメロースナトリウム約0.25〜5重量パーセント、0.5〜5重量パーセント、1〜3重量パーセント、3重量パーセント、2重量パーセントまたは1重量パーセントと、顆粒外構成成分としてのクロスカルメロースナトリウム約.25〜5重量パーセント、0.5〜5重量パーセント、1〜3重量パーセント、3重量パーセント、2重量パーセントまたは1重量パーセントとを、組成物の残りの部分を占める上記のような追加の顆粒内および顆粒外構成成分と共に含む、薬学的に許容できる組成物をさらに提供する。
【0026】
本発明のさらなる実施形態は、上記の顆粒を圧縮することにより形成される錠剤または錠剤コアを包含し、前記コアは、例えば、4%までのポリマーフィルムコーティングで、従来の手段によりコーティングされていてもよく、前記ポリマーは、従来のコーティングポリマーからなる。例示的なポリマーコーティングは、ポリビニルアルコールおよびPEG3350(オパドライレッドIIおよびイエローII)を使用して塗布される。
【0027】
本発明は、4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルを含む、速溶性の薬学的に許容できる固形組成物も提供する。
【0028】
本発明は、4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルを含む、安定な薬学的に許容できる固形組成物を調製する方法も提供する。
【0029】
本発明は、有効量の4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルを含む薬学的に許容できる固形組成物を対象に投与することを含む、癌を治療するための方法も提供する。
【0030】
SKI−606の本発明の固形組成物は、とりわけ、小児、若年、成人および老年対象を包含するがそれに限定されないヒトまたは動物対象に投与するのに有用である。
【0031】
第二の実施形態において、本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内および/または顆粒外構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル25〜80重量パーセントと、(b)1つまたは複数の湿潤剤0.1〜20重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0032】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル25〜80重量パーセント、(b)1つまたは複数の結合剤0.5〜5.0重量パーセント、(c)1つまたは複数の充填剤1〜25重量パーセント、(d)1つまたは複数の崩壊剤0.5〜5重量パーセント、(e)1つまたは複数の湿潤剤0.2〜5重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)1つまたは複数の充填剤1〜25重量パーセント、(g)1つまたは複数の湿潤剤0.5〜5.0重量パーセントおよび(h)1つまたは複数の滑沢剤0.5〜5重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0033】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル50〜80重量パーセント、(b)ポビドン0.5〜5.0重量パーセント、(c)微結晶性セルロース1〜25重量パーセント、(d)クロスポビドン0.5〜5重量パーセント、(e)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80)(商標)0.5〜5重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース1〜25重量パーセント、(g)クロスポビドン0.5〜5重量パーセントおよび(h)ステアリン酸マグネシウム0.1〜5重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0034】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル約69重量パーセント、(b)ポビドン約2重量パーセント、(c)微結晶性セルロース約19.5重量パーセント、(d)クロスポビドン約3重量パーセント、(e)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80)(商標)約1重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース約4重量パーセント、(g)クロスポビドン約1重量パーセントおよび(h)ステアリン酸マグネシウム約0.5重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0035】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル約69重量パーセント、(b)ポビドン約2重量パーセント、(c)微結晶性セルロース約19.5重量パーセント、(d)クロスポビドン約3重量パーセント、(e)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80)(商標)約1重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース約4重量パーセント、(g)クロスポビドン約1重量パーセントおよび(h)ステアリン酸マグネシウム約0.5重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0036】
本発明は、組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル約69重量パーセント、(b)ポビドン約2重量パーセント、(c)微結晶性セルロース約19.5重量パーセント、(d)クロスポビドン約1重量パーセント、(e)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80)(商標)約1重量パーセントと、組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース約4重量パーセント、(g)クロスポビドン約3重量パーセントおよび(h)ステアリン酸マグネシウム約0.5重量パーセントとを含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0037】
本発明は、4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルを含む、安定な薬学的に許容できる固形組成物を調製する方法も提供する。
【0038】
本発明は、有効量の4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルを含む薬学的に許容できる固形組成物を対象に投与することを含む、癌を治療するための方法も提供する。
【0039】
SKI−606の本発明の固形組成物は、とりわけ、小児、若年、成人および老年対象を包含するがそれに限定されないヒトまたは動物対象に投与するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】異なる崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム対クロスポビドン)を比較するSKI−606製剤についての錠剤溶出速度を要約する図である。
【図2】クロスポビドンを包含するSKI−606製剤についての加速安定性での溶出を要約する図である。特に初期の時点において錠剤溶出に有意なシフトがあるように見える。
【図3】クロスカルメロースナトリウムを包含するSKI−606製剤についての加速安定性での溶出を要約する図である。この場合には、シフト(図2と比較して)は観察されない。
【図4】錠剤溶出速度に対する、SKI−606製剤中の様々な顆粒内および顆粒外(IGおよびEG)クロスカルメロースナトリウム濃度の影響を要約する図である。
【図5】錠剤溶出速度に対する、SKI−606製剤中の様々な顆粒内および顆粒外(IGおよびEG)クロスポビドン濃度の影響を要約する図である。ここでは、クロスポビドンの比に対する溶出の強い濃度依存性を示す幅広い溶出が観察される。D90のAPIを含有する製剤は、D90=40または60ミクロンのAPIを含有する残りと溶出が著しく異なるように見える。
【図6】2%結合剤、および2%顆粒内および顆粒外崩壊剤を含有するクロスポビドン含有SKI−606製剤についての溶出に対する活性医薬成分(API)粒子サイズの影響を要約する図である。
【図7A】クロスカルメロースナトリウムをベースとするSKI−606製剤についてのCTAB/アセテートと0.1N HCl媒体の両方におけるAPI粒子サイズの影響の欠如を要約する図である。CTAB/アセテート媒体は、0.1N HClよりも識別力のある媒体と見なされた。これを、クロスポビドンをベースとする錠剤製剤において錠剤溶出に対する共通点のないAPI粒子サイズの影響を明瞭に示す図9AおよびBと比較されたい。
【図7B】クロスカルメロースナトリウムをベースとするSKI−606製剤についてのCTAB/アセテートと0.1N HCl媒体の両方におけるAPI粒子サイズの影響の欠如を要約する図である。CTAB/アセテート媒体は、0.1N HClよりも識別力のある媒体と見なされた。これを、クロスポビドンをベースとする錠剤製剤において錠剤溶出に対する共通点のないAPI粒子サイズの影響を明瞭に示す図9AおよびBと比較されたい。
【図8】120〜190Nの範囲内の錠剤硬度に対するクロスカルメロースナトリウムをベースとするSKI−606製剤(ランA、BおよびC)の溶出依存性の欠如を要約する図であり、製剤の溶出頑健性を証明している。錠剤の硬度は、製造設定において修正されることが日常的に必要とされることがあり、この製剤は、そのようにする能力を明確に提供する。
【図9A】0.1N HCl中のクロスポビドンをベースとする製剤についての錠剤(100および500mg力価)溶出に対するAPI粒子サイズの影響を要約する図である。これを、この依存性を示さない図7AおよびBと比較および対比されたい。
【図9B】0.1N HCl中のクロスポビドンをベースとする製剤についての錠剤(100および500mg力価)溶出に対するAPI粒子サイズの影響を要約する図である。これを、この依存性を示さない図7AおよびBと比較および対比されたい。
【図10】2週までの開放皿加速安定性での500mgのクロスポビドンをベースとするSKI−606製剤の錠剤溶出の上方シフトを要約する図である。溶出データは、様々な結合剤割合および崩壊剤比の2つの製剤について示されている。有意な溶出差が、両バッチについて、錠剤溶出の初期に観察され、加速安定性での溶出再現性の欠如を示している。これを、安定性でいなかる差も示さない図11におけるクロスカルメロースナトリウムをベースとする製剤と比較および対比されたい。
【図11】図10におけるクロスポビドン(CPV)バッチと類似の条件下、安定性でのクロスカルメロースナトリウム(CCS)をベースとする製剤のあらゆる溶出シフトの欠如を要約する図である。
【図12】500および100mg力価錠剤についての加速経時変化条件下、0.1N HCl中でのクロスポビドン(CPV)SKI−606製剤についての追加の溶出シフトデータを示す図である。一貫した上昇傾向が、0.1N HClにおける両力価について観察される。
【図13】様々な濃度の湿潤剤(ポロキサマー)を含むSKI−606製剤についての比較溶出プロファイルを要約する図である。ポロキサマーは、濃度依存的に錠剤溶出を減少させる予想外の影響を有することが観察される。
【図14】SKI−606製剤における顆粒溶出に対する湿潤剤の影響を要約する図である。この影響は、ポロキサマー濃度の増加が、顆粒溶出の増加をもたらしたことを示している。
【図15】湿潤剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80)を含有するSKI−606製剤(API D90=38ミクロン)についての40℃と40℃/75%RHの両方における6週までの開放皿条件での加速経時変化の影響を要約する図である。開放皿における厳しい安定性条件下でさえ無視できるシフトであるように見えることが観察される。
【図16】湿潤剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80)を含有するSKI−606製剤(API D90=18ミクロン)についての40℃と40℃/75%RHの両方における6週までの開放皿条件での加速経時変化の影響を要約する図である。開放皿における厳しい安定性条件下でさえ無視できるシフトであるように見えることが観察される。
【図17】ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80)を含有するSKI−606製剤における錠剤溶出に対するAPI粒子サイズの影響の欠如を要約する図である。
【図18】乾燥剤付きボトル中の500mgコーティングされた500mg力価のクロスカルメロースをベースとする製剤(2%結合剤ならびに2%顆粒内および顆粒外CCS)についての乾燥剤付きボトルにおける加速安定性での溶出を要約する図である。40℃/75%RHにおいて6カ月で観察される溶出のシフトはない。
【図19】乾燥剤付きボトル中の500mgコーティングされた500mg力価のクロスカルメロースをベースとする製剤(2%結合剤ならびに2%顆粒内および顆粒外CCS)についての乾燥剤のないボトルにおける加速安定性での溶出を要約する図である。40℃/75%RHにおいて6カ月で観察されるほんの少しのシフトがある。
【図20】乾燥剤付きボトル中の100mgコーティングされた500mg力価のクロスカルメロースをベースとする製剤(2%結合剤ならびに2%顆粒内および顆粒外CCS)についての乾燥剤付きボトルにおける加速安定性での溶出を要約する図である。40℃/75%RHにおいて6カ月で観察される溶出のシフトはない。
【図21A】乾燥剤付きボトル中のスケールアップ(100Kg)バッチ溶出安定性を要約する図である。CTAB/アセテート緩衝液(A)における安定性での溶出のシフトはないかそれに近く、0.1N HCl(B)におけるシフトはない。
【発明を実施するための形態】
【0041】
1.定義:
本明細書で使用されるように、「有効量」の化合物または薬学的に許容できる組成物は、望ましい治療的および/または予防的効果を達成することができる。一部の実施形態において、「有効量」とは、タンパク質チロシンキナーゼの変調に関係する障害または状態の1つまたは複数の症状を治療するのに十分である、化合物、または化合物を含有する組成物の少なくとも最小量である。ある実施形態において、「有効量」の、化合物、または化合物を含有する組成物は、異常なチロシンキナーゼ受容体に関係する症状、関係する疾患(例えば、悪性および良性腫瘍成長を包含する癌)を治療するのに十分である。
【0042】
「対象」という用語は、本明細書で使用されるように、哺乳動物を意味し、ヒトおよび家畜(例えば、ウマ、イヌ、ネコなど)などの動物対象を包含する。
【0043】
本明細書で使用されるような「苦しむ」または「苦しむこと」という用語は、患者が診断されたか、有すると疑われている1つまたは複数の状態を指す。
【0044】
「治療する」または「治療すること」という用語は、本明細書で使用されるように、障害もしくは状態、または障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を部分的または完全に、軽減、阻害、その発症を遅延、予防、改善および/または緩和することを指す。
【0045】
「治療上活性な薬剤」または「活性な薬剤」は、予防的および治療的治療を包含する、療法(例えば、ヒト療法、獣医療法)にとって有用である、生物学的に活性な物質を包含する物質を指す。治療上活性な薬剤は、薬物化合物である有機分子、ペプチド、タンパク質、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成のポリペプチドまたはタンパク質、タンパク質に連結している小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、およびビタミンを包含する。治療上活性な薬剤は、疾患、状態、または障害の治療、予防、遅延、低減または改善のために医薬として使用される任意の物質を包含する。本発明の製剤において有用な治療上活性な薬剤には、オピオイド受容体アンタゴニスト化合物、オピオイド鎮痛性化合物などがある。治療上活性な薬剤として有用な化合物のさらに詳細な説明は、下で提供される。治療上活性な薬剤は、例えば、第二の化合物の効力を増強するか第二の化合物の有害作用を低減することにより、第二の化合物の効果または有効性を増加させる化合物を包含する。
【0046】
本明細書で使用されるような「単位剤形」という表現は、治療すべき対象にとって適切な本発明の製剤の物理的に分離した単位を指す。しかしながら、本発明の組成物の全1日用法は、健全な医学的判断の範囲内で主治医により決定されるであろうことが理解されるであろう。任意の特定の対象または有機体についての具体的な有効投与量レベルは、治療されている障害および障害の重症度、用いられる具体的な活性な薬剤の活性、用いられる具体的な組成物、対象の年齢、体重、一般的健康、性別および食事、投与の時間、および用いられる具体的な活性な薬剤の排泄の速度、治療の期間、用いられる(1つまたは複数の)具体的な化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物および/または追加の療法を包含する様々な要因、ならびに医学的技術分野においてよく知られている同様な要因に左右されるであろう。
【0047】
手短に言えば、「乾燥混和物」材料は、カプセル剤を充填するか錠剤を圧縮する前に一緒に物理的に混和される。Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology、1997、Dilip Parikh、Marcel Dekker,Inc.ISBN 0−8247−9882−1、309頁を参照されたい。
【0048】
乾式造粒(スラッギングまたはローラーコンパクション)において、顆粒内材料は、スラグまたはローラーコンパクションを調製するために混和される。材料は、粉砕され、顆粒外材料と混和され、カプセル充填または錠剤20圧縮と続く。湿式造粒は、顆粒内材料を混和することを必要とする。結合剤の有無にかかわらず、(高剪断、低剪断造粒機を使用して)混和物を水で湿式造粒し、(100℃までの温度を使用して)乾燥する。材料は、粉砕され、顆粒外材料と混和され、カプセル充填または錠剤圧縮と続く。25Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology、1997、Dilip Parikh、Marcel Dekker,Inc.ISBN 0−8247−9882−1、338〜368頁を参照されたい。
【0049】
2.薬学的に許容できる組成物および製剤:
ある実施形態において、本発明の薬学的に許容できる組成物は、SKI−606と、例えば、1つまたは複数の結合剤、担体、粘度調整剤および懸濁化剤、湿潤剤、甘味料、pH調整剤、矯味剤、保存剤ならびにそれらの組合せなど、1つまたは複数の他の賦形剤とを含む。当業者は、特定の構成成分が列挙されているカテゴリーが、限定していることを意図するものではないことを容易に認識するであろう。一部の場合において、特定の構成成分は、2つ以上のカテゴリーに適切にフィットするかもしれない。また、認識されているように、同じ構成成分は、例えば、成分の量および/または他の成分および/または(1つまたは複数の)活性化合物の存在に応じて、特定の製剤との関連で、時に異なる機能を果たすか、2つ以上の機能を果たすことがある。
【0050】
ある実施形態において、本発明は、SKI−606とも呼ばれる4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルを含む薬学的に許容できる固形組成物を提供する。SKI−606は、米国特許第7,297,795号に記載されているように、SKI−606を調製する方法と一緒に、米国特許第6,297,258号に記載されている。SKI−606は、下記の構造を有し、
【0051】
【化1】

一水和物として単離される。3−シアノキノリン化合物、4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルは、pH8.0における固有溶解度がおおよそ0.06μg/mLである弱塩基である。pH8未満で、化合物SKI−606の溶解度は、イオン化によって、pHの低下につれて指数関数的に増加する。しかしながら、SKI−606の分解が、加水分解を通じて低いpHの水溶液で観察されたものの、化合物は、5より高いpHで比較的安定であり、その場合、4−アミノキノリン基は、イオン化されていない。
【0052】
ある実施形態において、本発明のSKI−606製剤は、粒子サイズ、保存時の加速溶出、および保存による限定された安定性に依存するように見える、可変性の溶出を包含する3−シアノキノリンの固形製剤に関する1つまたは複数の問題を取り除く。本発明のクロスカルメロースSKI−606製剤は、従来の崩壊剤(例えば、クロスポビドン、崩壊時間約18〜20分)を用いた同等のSKI−606製剤よりも速い崩壊時間(2〜7分の)を示す。
【0053】
ある実施形態において、本発明のSKI−606製剤は、高剪断湿式造粒またはパンコーティングにより調製されるフィルムコーティングされたSKI−606製剤を含む。他の実施形態において、フィルムコーティングされたSKI−606錠剤製剤は、他の従来のコーティング技法により調製される。
【0054】
崩壊時間を、従来の崩壊剤、クロスポビドン、およびクロスカルメロースナトリウムを使用するSKI−606製剤について比較し、表2に要約した。この場合における顆粒内崩壊剤は、3%w/wで一定に保った。2つの製剤は、著しく異なる崩壊時間を有し、例えば、2%顆粒外(EG)SKI−606/CCS製剤についての錠剤崩壊時間(DT)は、DTが22分であるSKI−606/CPV製剤と比較して、3.5分に過ぎない。さらに、錠剤DTは、すべてのSKI−606/CPV製剤について錠剤硬度に強く依存することも観察される一方で、SKI−606/CCS製剤については、そのような依存性は観察されない。例えば、3%IGおよび2%EG SKI−606/CPV製剤についてさえ、低硬度および高硬度錠剤についてのDT時間は、14分(範囲)も変化する一方で、SKI−606/CCS製剤は、3.5分まで変化するに過ぎない。この知見は、SKI−606/CCS製剤が、錠剤硬度に関して頑健性であったこと、本発明のSKI−606製剤の錠剤製造可能性特性に関する有意な改善を示している。
【0055】
本発明のSKI−606製剤の錠剤溶出(図1を参照)を、0.1N HCl中でも行い、錠剤溶出は、SKI−606/CPV製剤について使用されるものよりも低い崩壊剤濃度にて10および15分でSKI−606/CCS製剤についてより速いことを明らかにした。さらに、データは、より低い結合剤濃度が、特に初期の時点で溶出を増強することも示唆した。
【0056】
ある実施形態において、類似の溶出結果を提供する本発明のSKI−606製剤中のクロスカルメロースナトリウム(CCS)の量は、以下の通りである。
1.0〜2%w/w顆粒内濃度
2.1〜3%w/w顆粒外濃度
3.結合剤(ポビドン濃度)も、1〜2%w/wと変わることがある。
【0057】
ある実施形態において、本発明のSKI−606製剤における顆粒内構成成分と顆粒外構成成分の比を3:1から2:2まで変化させた。
【0058】
ある実施形態において、1つの顆粒内(IG)構成成分、微結晶セルロース(MCC)を含む充填剤を、顆粒内部分から顆粒外(EG)構成成分に移し、本発明のSKI−606製剤における錠剤化中のより速い崩壊時間を容易にした。顆粒外充填剤構成成分の量を、SKI−606製剤の重量に対して4重量%から15重量%まで増加させた。
【0059】
ある実施形態において、EG構成成分中のMCCのグレードを、Avicel PH101(商標)からAvicel PH102(商標)に変え、錠剤混和物流動を容易にした。
【0060】
ある実施形態において、APIの粒子サイズの減少が、溶出速度の増加を一般的に引き起こすという一般的な知見と違って、SKI606製剤については、API粒子サイズを減少させることが、より高いD90 API粒子サイズの製剤と同一の様式で処理される場合に、製剤の溶出を低下させる傾向があることが観察された。したがって、図6に要約されているように、API粒子サイズが低ければ低いほど、溶出速度は遅くなり、API粒子サイズが高ければ高いほど、溶出速度は速くなることが観察された。
【0061】
溶出を最大化するために、既存の製剤についての1つの可能なアプローチは、SKI−606のような薬物の粒子サイズを増加させることである。溶出を減速するために、アプローチは、より低い粒子サイズのAPIを使用することである。
【0062】
ある実施形態において、ヒトまたは動物対象へ投与される場合のインビボ効果を保持するために、本発明のSKI−606製剤中のポロキサマー濃度の変更は行わなかった。
【0063】
ある実施形態において、本発明の製剤は、1つまたは複数の非律速性の層、膜またはコーティングを含有することができる。製剤における非律速性の層の場所は重要ではない。例えば、非律速性の層は、少なくとも1つのコアと腸溶コーティングまたは律速機構の間に存在していてよい。あるいは、非律速性の層は、腸溶コーティングまたは律速機構を取り囲むかコーティングすることができる。非律速性の層は、1つまたは複数のポリマー、ならびに、可塑剤、色素/乳白剤などであるがそれらに限定されない、当技術分野において知られている他の成分で製造することができる。使用することができるポリマーの例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコールを包含するが、これらに限定されるものではない。使用することができる可塑剤の例は、(1つまたは複数の)ポリエチレングリコール、グリセリン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチルおよび鉱油を包含するが、これらに限定されるものではない。使用することができる色素/乳白剤の例は、水溶性の染料、色素、および天然産物を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0064】
ある実施形態において、本発明の製剤は、少なくとも1つの腸溶コーティングを包含することもできる。メタクリル酸およびメタクリル酸エステルコポリマー、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、アクリル酸エチル/メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートトリメリテート、シェラックおよびそれらの組合せの溶液または分散液を包含するがこれらに限定されない、任意の腸溶コーティングを本発明において使用することができる。さらに、本発明の製剤で使用される腸溶コーティングは、単一または複数の層として形成することができる。コーティングの厚さは、当業者により容易に決定することができるが、胃の酸性環境において製剤を保護するのに十分でなければならない。
【0065】
ある実施形態において、SKI−606の固形の薬学的に許容できる組成物は、1つの従来の崩壊剤、クロスポビドンを、クロスカルメロースナトリウムで置き換えることに基づいて発明し、SKI−606製剤の改善された安定性および一様な溶出速度を予想外に得た(表1および図1〜3を参照)。
【0066】
湿潤剤は、当技術分野においてよく知られており、典型的には、薬物の放出および吸収を容易にする。例示的な湿潤剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリソルベート、セチルアルコール、グリセロール脂肪酸エステル(例えば、トリアセチン、グリセロールモノステアレートなど)、ポリオキシメチレンステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、塩化ベンザルコニウム、ポリエトキシル化ヒマシ油、およびドキュセートナトリウムなど、ならびにそれらの組合せを包含する。一部の実施形態において、湿潤剤は、例えば、Polysorbate80(商標)、グリセリン、Polysorbate65(商標)、polysorbate60(商標)USP、Polysorbate40(商標)USP、Polysorbate20(商標)USP、オクトキシノール−9、Nonoxynol−10(商標)USP、Poloxamer235(商標)、Poloxamer188(商標)USPを包含するが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、提供される湿潤剤は、製剤の総重量に対して、約0.1重量%〜約5重量%、約1.0重量%〜約4重量%、または約3.0重量%を占める。ある実施形態において、湿潤剤は、例えば、Poloxamer188(商標)(ルトロール(Lutrol)F−68)を包含するがこれに限定されないポロキサマーである。
【0067】
適当な結合剤(「希釈剤」および/または「充填剤」とも呼ばれる)は、当技術分野において知られている。例えば、適当な結合剤および充填剤は、デンプン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、キシリトール、アスパルテーム、マンニトール、デンプン、PVP(ポリビニルピロリドン)、低分子量HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、微結晶性セルロース(MCC)、低分子量HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、低分子量カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、アカシア、デキストリン、スクロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、およびポリメタクリレートを包含するが、これらに限定されるものではない。充填剤は、微結晶性セルロース、デンプン、ラクチトール、ラクトース、適当な無機カルシウム塩、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸、またはそれらの組合せからなる群から選択される試剤を包含する。一部の実施形態において、結合剤および充填剤は、製剤の総重量に対して、約1重量%〜約25重量%または約21.5重量%を占める。一部の実施形態において、結合剤は、Avicel PH101(商標)およびAvicel PH102(商標)を包含するがこれに限定されない1つまたは複数のグレードのMCCである。
【0068】
本発明のSKI−606製剤中への(1つまたは複数の)適当な崩壊剤の組み入れは、溶出を容易にする。適当な崩壊剤は、当技術分野において知られており、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、あるシリケート、炭酸ナトリウム、クロスポビドン(架橋PVP)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、アルファ化デンプン(デンプン1500)、微結晶性デンプン、水溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ベーガム(Veegum))またはそれらの組合せを包含するが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、崩壊剤は、クロスポビドンである。一部の実施形態において、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0069】
一部の実施形態において、適当な滑沢剤が、本発明のSKI−606製剤に包含される。適当な滑沢剤または流動促進剤は、例えば、ステアレート、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびマグネシウム塩、ステアリン酸マグネシウムを包含する。使用される滑沢剤の量は、組成物の重量に対して、約0.5重量%を包含する1つまたは複数の滑沢剤0.2〜5重量パーセントである。一部の実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0070】
1つまたは複数の保存剤の添加は、SKI−606を包含する組成物において特に有用であることがあり、分解および/または沈殿からの保護を提供することができる。適切な保存剤は、当業者に知られており、任意の薬学的に許容できる保存剤を包含する。従来の保存剤は、安息香酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸、プロピルパラベン、メチルパラベン、ブチル化ヒドロキシトルエン、プロピオネート、ソルビン酸カリウム、インディナビルおよびそれらの組合せを包含するが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、提供される保存剤は、製剤の総重量に対して、約0.05重量%〜約0.25重量%または約0.1%を占める。
【0071】
提供される組成物は、単位剤形に製剤化することができる。そのような製剤は、当業者によく知られている。ある実施形態において、本発明は、錠剤としての固形剤形を含む製剤を提供する。他の実施形態において、本発明は、経口投与のための溶液を提供する。一部の実施形態において、単位剤形は、SKI−606 50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、または500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mgを含有する。一部の実施形態において、単位剤形は、SKI−606 5mg〜500mg、または10mg〜450mgを含有する。一部の実施形態において、単位剤形は、50mg、75mg、100mg、150mg、250mg、300mg、または500mgを含有する。一部の実施形態において、単位剤形は、500mgを超えるSKI−606を含有する。
【0072】
一部の実施形態において、用いられるSKI−606の有効用量は、用いられる特定の化合物、投与の様式および治療されている状態の重症度に応じて変わることがある。しかしながら、一般に、満足のいく結果は、本発明の化合物が、場合により1日当たり2〜4回の分割投与量か、持続放出形態で与えられる、体重1kg当たり約0.5〜約1000mgの1日用量で投与される場合に得られる。1日総用量は、約1〜1000mg、好ましくは、約2〜500mgであると予測される。内用に適している剤形は、固形または液体の薬学的に許容できる担体との緊密な混加物中に活性化合物約0.5〜1000mgを含む。この用量レジメンは、最適な治療応答を提供するために調整することができる。例えば、いくつかの分割投与量を毎日投与することができ、または、投与量を、治療状況の緊急性により指示されるように比例して低減することができる。
【0073】
一部の実施形態において、SKI−606の医薬組成物は、調製および投与の容易さの観点から、固形組成物、特に、錠剤および硬質充填または液体充填カプセル剤である。好ましい実施形態において、SKI−606の経口投与が好ましい。
【0074】
癌の治療については、本発明のSKI−606製剤を、他の抗腫瘍物質または放射線療法と組み合わせて投与することができる。これらの他の物質または放射線治療法は、本発明の化合物と同時か異なる時間に与えることができる。これらの組合せ療法は、相乗作用を及ぼし、改善された有効性をもたらす。例えば、本発明の化合物を、タキソールまたはビンブラスチンなどの有糸分裂阻害剤、シスプラチンまたはシクロホスファミドなどのアルキル化剤、5−フルオロウラシルまたはヒドロキシ尿素などの抗代謝剤、アドリアマイシンまたはブレオマイシンなどのDNAインターカレーター、エトポシドまたはカンプトテシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、アンギオスタチンなどの抗血管新生剤、およびタモキシフェンなどの抗エストロゲン剤と組み合わせて使用することができる。
【0075】
米国特許第6,297,258号においてSKI−606および他の3−シアノキノリン化合物について開示されている結果に基づき、本発明のSKI−606製剤は、新生物を治療する、新生物の成長を阻害する、または新生物を根絶するのに有用である、有意な有効性の有用な抗新生物剤である。特に、本発明の化合物は、乳房、腎臓、膀胱、口、喉頭、食道、胃、大腸、卵巣、または肺のものなどのEGFRを発現する新生物を治療し、その成長を阻害し、または根絶するのに有用である。さらに、本発明の化合物は、erbB2(Her2)癌遺伝子により産生される受容体タンパク質を発現する乳房の新生物を治療し、その成長を阻害し、または根絶するのに有用である。得られた結果に基づき、本発明の化合物は、多発性嚢胞腎の治療にも有用である。
【0076】
3.組合せ生成物および組合せ投与:
ある実施形態において、本発明の組成物、およびそれらの製剤は、本明細書に記載されているような1つまたは複数の障害を治療するために単独で投与することができ、あるいは、本明細書に記載されているような1つまたは複数の障害を治療するのに有用な1つまたは複数の他の活性な薬剤と組み合わせて(同時か順次にかにかかわらず)投与することができる。したがって、本発明の組成物、またはそれらの製剤は、1つまたは複数の活性な薬剤と同時に、それらに先立って、またはそれらの後に投与することができる。
【0077】
ある実施形態において、本発明の組成物は、SKI−606に加えて、SKI−606ではない1つまたは複数の他の活性な薬剤を包含する。一部の実施形態において、本発明の製剤は、別の抗癌化合物とSKI−606の両方を含む。
【0078】
本発明の組合せ組成物中に存在する追加の(1つまたは複数の)活性な薬剤の量は、典型的には、唯一の治療用薬剤として活性な薬剤を含む組成物として通常投与される量と同程度であろう。本発明のある実施形態において、追加の活性な薬剤の量は、唯一の治療用薬剤としてその化合物を含む組成物中に通常存在する量の約50〜100%の範囲であろう。
【0079】
ある実施形態において、本発明の製剤は、便秘および腸機能障害の改善に役立つ胃腸障害のための従来の療法と併せておよび/または組み合わせて使用することもできる。例えば、従来の療法は、腸管の機能的刺激、便軟化剤、緩下剤(例えば、ジフェニルメタン緩下剤、瀉下性緩下剤、浸透圧性緩下剤、塩類緩下剤など)、膨張性薬剤および緩下剤、潤滑剤、静脈内水分補給、ならびに経鼻胃減圧を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0080】
4.本発明の組成物の用途およびキット:
提供される組成物、およびそれらの製剤は、血管新生が関わる癌、免疫抑制、鎌状赤血球貧血、血管創傷、および網膜症を包含する状態の治療、炎症関連障害(例えば、過敏性腸症候群)、免疫抑制、慢性炎症の治療にも有用である。
【0081】
さらなる実施形態において、本発明の組成物、およびそれらの製剤の使用の獣医学的応用例(例えば、家畜、例えば、ウマ、イヌ、ネコなどの治療)が提供される。したがって、ヒト対象について上で議論されているものに類似した獣医学的応用例における提供されている製剤の使用が企図されている。
【0082】
本発明の組成物、およびそれらの製剤が、組合せ療法で用いることができること、すなわち、本発明の組成物、およびそれらの製剤が、1つまたは複数の他の望ましい療法もしくは医学的手順と同時に、それらに先立って、またはそれらの後に投与することができることも理解されるであろう。組合せレジメンにおいて用いるための特定の組合せ療法(治療剤または手順)は、望ましい治療剤および/または手順ならびに達成すべき望ましい治療効果の適合性を考慮に入れるであろう。用いられる療法が、同じ障害について望ましい効果を達成することができること(例えば、ある製剤を、同じ障害を治療するために使用される別の化合物と同時に投与することができる)、または用いられる療法が、異なる効果(例えば、任意の有害作用の制御)を達成することができることも理解されるであろう。本明細書で使用されるように、特定の疾患、または状態を治療または予防するために通常投与される追加の治療用化合物は、「治療されている疾患、または状態にとって適切である」として知られている。
【0083】
他の実施形態において、本発明の組成物、およびそれらの製剤、ならびに単位剤形は、癌の治療に有用な医薬品を包含するがそれに限定されない医薬品の調製に有用である。
【0084】
本発明の組成物、およびそれらの製剤、ならびに容器(例えば、ホイルまたはプラスチックパッケージ、または他の適当な容器)を含む医薬用のパックおよび/またはキットが本発明によりさらに包含される。場合により、使用説明書が、そのようなキットでさらに提供される。
【0085】
本明細書に記載されている本発明をより十分に理解するために、下記の実施例を記載する。これらの実施例は、例示目的のみのためであって、決して本発明を限定すると解釈されるべきでないことが理解されるべきである。
【0086】
本発明の態様の各々のすべての特徴は、必要な変更を加えて、すべての他の態様に当てはまる。
【0087】
(実施例1および2)
SKI−606の薬学的に許容できる組成物の調製
SKI−606は、米国特許第6,297,258号および第7,297,795号のうちの1つまたは複数に詳細に記載されている方法に従って調製される。SKI−606の例示的な本発明の製剤および比較SKI−606製剤を表1に要約する。
【0088】
【表1】

【0089】
500mg力価の錠剤を、適切なツーリング機器を使用して圧縮し、錠剤を、低い(11〜13kp)、目標の(14〜16kp)および高い(17〜19kp)硬度で圧縮した。次いで、これらの錠剤を、0.1N HCl中で崩壊時間について評価した。
【0090】
比較SKI−606製剤は、高剪断湿式造粒、湿式粉砕、流動層乾燥、乾式粉砕、混和および続いてフィルムコーティングする錠剤への圧縮のプロセスにより調製した。この製剤は、絶食個体における高率の胃刺激と関係していた。
【0091】
崩壊時間を、従来の崩壊剤、クロスポビドン、およびクロスカルメロースナトリウムを使用するSKI−606製剤について比較し、表2に要約した。この場合における顆粒内崩壊剤は、3%w/wで一定に保った。2つの製剤は、著しく異なる崩壊時間を有し、例えば、2%顆粒外(EG)CCS製剤についての錠剤崩壊時間(DT)は、DTが22分であるCPV製剤と比較して、3.5分に過ぎない。さらに、錠剤DTは、すべてのCPV製剤について錠剤硬度に強く依存することも観察される一方で、CCS製剤については、そのような依存性は観察されない。例えば、2%CPV製剤についてさえ、低硬度および高硬度錠剤についてのDT時間は、14分も変化する一方で、CCS製剤は、3.5分まで変化するに過ぎない。この知見は、CCS製剤が、錠剤硬度に関して頑健性であったという事実を示している。このことは、特に、錠剤は、即時放出性錠剤であることを意味していることから、錠剤製造可能性特性に関する有意な改善である。
【0092】
【表2】

【0093】
【表3】

【0094】
本発明のSKI−606製剤の錠剤溶出(図1を参照)を、0.1N HCl中でも行い、錠剤溶出が、CPVについて使用されるものよりも低い濃度にて10および15分でCCS製剤についてより速いことを明らかにした。さらに、データは、より低い結合剤濃度が、特に初期の時点で、溶出を増強することも示唆した。
【0095】
これらの試みは、終点が水投入に極めて影響されやすいCPV製剤と違って、造粒終点に急には達せず、CCS製剤崩壊時間(DT)が錠剤硬度に影響されないという点で、CCS製剤が処理可能性の点から優れていたことを示している。結合剤を低減することは、CPVにとっての十分な溶出と相関することがある。
【0096】
崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウムを包含する本発明のSKI−606製剤について、表3に要約されているように、溶出が、15分においてAPI粒子サイズに対して敏感でないことも明らかである。さらに、試験されたすべてのIG/EG範囲について、15分におけるCCS製剤についてより低い溶出を与えた唯一の比は、1%/0%顆粒内/顆粒外崩壊剤である。すべての他のレベルについて、放出は、90%を超える。
【0097】
【表4】

【0098】
これらの試験は、造粒終点を確認することが容易であった(過造粒のリスク低下)、クロスカルメロースナトリウム製剤についての崩壊時間が錠剤硬度によりあまり影響を受けなかった、結合剤(ポビドン)濃度を低減することが錠剤崩壊の速度に対するその影響によって予想されるようなCPV製剤のより高い溶出速度をもたらすという点で、クロスカルメロースナトリウム製剤が製造可能性の観点から優れていることを示している。結合剤の変更は、結合剤濃度に関係なく優れた錠剤崩壊時間および溶出を示すCCS製剤にとって必要と見なされなかった。
【0099】
広範囲な実験の結果は、クロスカルメロースナトリウム製剤が、原薬粒子サイズの可変性および安定性での製品についての溶出プロファイルの一貫性に関して、より頑健性であることを立証した。一部の利点が、錠剤崩壊時間ならびに混和物流動の両方を改善するために微結晶性セルロースの顆粒内対顆粒外の比を変化させ、ポロキサマーおよび結合剤を参照組成物と同じに保つことにより見られた。
【0100】
崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウムを包含する本発明のSKI−606製剤について、溶出が、表2および3に要約されているように、より小さな粒子サイズについて低いことも明白である。
【0101】
さらに、40℃(乾燥および湿潤)において、どちらの崩壊剤についても2および4週目で不適合性も分解も見られないことが観察された。40℃および40℃/75%RH条件における安定性試験でのバッチは、図2および3に要約されているように、溶出シフトがCPVで観察され、CCSでは観察されないことを示した。
【0102】
測定されたデータおよび結果に基づき、製剤に対して最小限の変更を加えながら、溶出に対するAPI可変性の影響と安定性での溶出シフトが共に対処されることから、クロスカルメロース製剤は、優れたSKI−606錠剤製剤を提供するように見える(したがって、結合剤ポビドンおよびポロキサマーをそれぞれ2%および3%の一定に保つことに決めた)。崩壊剤タイプおよびIG/EG崩壊剤比は、臨床における3:1から2:2(%w/w)に変更した。図4および図5は、それぞれクロスカルメロースとクロスポビドンの両方について顆粒内および顆粒外崩壊剤比を変化させることによる溶出に対する影響について記載している。
【0103】
(実施例3)
SKI−606の速溶性の薬学的に許容できる組成物の調製
SKI−606は、米国特許第6,297,258号および第7,297,795号のうちの1つまたは複数に詳細に記載されている方法に従って調製される。SKI−606の例示的な本発明の速溶性製剤および比較SKI−606製剤を表4に要約する。
【0104】
【表5】

【0105】
製剤の胃刺激作用は、胃および上部胃腸管における長引く滞留時間の結果であることがある。本発明のSKI−606製剤は、胃腸管においてより速やかに可溶化する、薬物の比較的速溶性の塩も提供する。薬物の速溶性の塩は、2〜3例を挙げると、クエン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、ジ−塩酸塩、ジ−メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩および塩酸塩を包含し、胃腸管内でより速やかに溶出または崩壊し、迅速な薬物溶出を引き起こすのに有用なSKI−606製剤を提供する。
【0106】
より速やかに崩壊する製剤は、現行の製剤にわずかな変更を加えることにより調製した。このことは、製剤に下記の変更を組み入れること、すなわち、崩壊剤クロスポビドンをクロスカルメロースナトリウムで置き換えることにより行った。この崩壊剤は、クロスポビドンによる「ウィッキング」作用が崩壊を促進するのと比較して、初期崩壊時間を促進する「膨張」作用により作用する。クロスポビドンに匹敵する濃度において、より速やかな崩壊作用を発揮することが分かっている。崩壊剤を置き換えることに加えて、行った追加の変更は、微結晶性セルロースの比の変更であった。微結晶性セルロース、Avicel PH101を、顆粒内で低減し、顆粒外で増加させ、崩壊剤効力の改善に役立てた。グレードも、Avicel 101から、より大きな粒子サイズの102に変更し、混和物流動および圧縮性を改善した。このアプローチは、それらが共に、胃における胃転帰を改善すると予想される、より速やかに崩壊および溶出する錠剤を与えることが分かった。本発明のSKI−606製剤は、このアプローチに基づいている。
【0107】
(実施例4)
コーティングされた錠剤としてのSKI−606の薬学的に許容できる組成物の調製
SKI−606は、米国特許第6,297,258号および第7,297,795号のうちの1つまたは複数に詳細に記載されている方法に従って調製される。2つの異なる単位用量におけるSKI−606の本発明の製剤からの例示的なコーティングされた錠剤を表5に要約する。
【0108】
【表6】

【0109】
乾燥混和物およびコーティング部分:
【0110】
【表7】

【0111】
SKI−606製剤およびSKI−606製剤のコーティングされた錠剤は、以下の通り調製した:
【0112】
製造手順
SKI−606製剤およびSKI−606製剤のコーティングされた錠剤は、以下の通り調製した:
25Kgのバッチサイズのために下記の成分を秤量した:
SKI−606一水和物
17.241Kg
微結晶性セルロース(Avicel PH101)1.624Kg
クロスカルメロースナトリウム0.5Kg
ポビドンK−25 0.5Kg
Poloxamer 0.75Kg
1.ポビドンおよびポロキサマーを精製水中に溶かした。
2.顆粒内部分のSKI−606、微結晶性セルロース(PH101)、およびクロスカルメロースナトリウムを高剪断造粒機に加え、最短で4分にわたって、または均一になるまで混ぜた。乾燥成分を、必要に応じてスクリーンに通し、事前混和に先立って塊を除いてもよい。
3.混ぜながら、ステップ1溶液を高剪断造粒機に加え、適当な造粒が達成されるまで混ぜた。必要に応じて、満足な造粒終点を達成するために水量を調整してもよい。
4.必要に応じて、乾燥する前の均一な造粒を容易にするために、造粒物をミルまたはスクリーンに通してもよい。
5.満足な終点に達するまで、流動層乾燥機中で造粒物を乾燥した。この時点におけるLODは、試験温度条件下で1〜1.5%w/wの目標で3%w/w未満であるべきである。
6.混和のための満足な粒子サイズ分布を容易にするために、適切な篩またはスクリーンを備えたミルに乾燥した造粒物を通した。ステップ10のためにこの一部をとっておく。
7.造粒物を適当なブレンダーに加えた。必要に応じて、最短で5分にわたり、または均一になるまで乾燥した標準サイズの造粒物を混ぜる。
8.乾燥した造粒物の得られた収率に基づいて顆粒外成分の量を計算する。
9.乾燥混和成分は、混和に先立ってスクリーンに通してもよい。必要に応じて、ステップ10における混和のための微結晶性セルロースの試料をとっておく。微結晶性セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムをミキサーに加え、10分にわたり、または均一になるまで混和する。
10.ステップ6からの造粒物の一部かステップ9からの微結晶性セルロース(PH102)のどちらかをステアリン酸マグネシウムに加え、滑沢剤事前混和物を形成させるために混ぜた。滑沢剤事前混和物をステップ9のブレンダーに加え、最短で2分にわたり、または均一になるまで混ぜる。
11.十分な硬度にて、適切な工具を使用して造粒物を圧縮する。
【0113】
コーティング懸濁液の調製および塗布
1.混ぜる前に、ドライカラーを、必要に応じて、スクリーンに通した。適当なミキサーおよびタンクを使用し、カラーコートを精製水に加え、満足な懸濁液が形成されるまで混ぜた。懸濁液を、適切なスクリーンに通してふるい分けしてもよい。
2.コーティング懸濁液5Kgを、合計3%wt/wtの重量増加のためにベッドに塗布した。これは、必要に応じて、錠剤重量増加により検証してもよい。
【0114】
【表8】

【0115】
SKI−606製剤およびSKI−606製剤のコーティングされた錠剤は、バッチサイズ1Kgのコア錠剤について以下の通り調製した:
下記の成分を秤量した:
SKI−606一水和物
718.4g
微結晶性セルロース(Avicel PH101)46.23g
クロスポビドン 10.0g
ポビドンK−25 20.00g
Poloxamer 188 30.00g
1.ステップ1からのSKI−606、微結晶性セルロースおよびクロスポビドンを20メッシュスクリーンに通し、成分を、高剪断ミキサーに加えた。
2.低プラウ速度で(インペラーのみ)2分にわたって高剪断造粒機中、ステップ2において成分を混ぜた。
3.Poloxamer 188およびポビドンK−25を、別のミキサー中で精製水に溶かした。低いミキサー速度を使用して泡の発生を避けた。
4.インペラーおよびチョッパー速度を低い設定に設定する。ポンプを使用してステップ4からの溶液を加え、ステップ3におけるミックスを造粒した。必要に応じて、造粒溶液が使い果たされた場合に、低速度のチョッパーおよびインペラーでさらに2〜5分にわたって混合を続けた。造粒終点に達するまで、混合しながら必要に応じて追加の精製水を加えた。望ましい造粒終点についてチェックした。造粒するのに使用した水の総量および総混合時間ならびに可能な場合に電力またはトルク読み取り値を記録する。
5.70℃±5℃の入口推奨設定値温度の流動層乾燥機中で1.5%〜2.5%の推奨L.O.D.範囲まで造粒物を乾燥した。秤量し、収率を記録した。
6.乾燥した造粒物を、低速のComil(推奨ミル速度700rpm以下および推奨スクリーン:20メッシュ)に通した。秤量し、収率を記録した。
最終混和物:
7.ステップ7における収率に基づいて、(顆粒外)乾燥添加物に必要とされる成分の量を計算した。
8.ステップ9からの粉砕した造粒物を適当なサイズのV−ブレンダー中に移した。
9.微結晶性セルロース(PH101)、クロスポビドンを秤量し、20メッシュスクリーンに通し、ステップ11におけるV−ブレンダーに加えた。増圧バー活性化なしに10分にわたって混和する。
10.ステアリン酸マグネシウムを30メッシュスクリーンに通し、ステップ12の造粒物の等しい部分と共にバッグ混和し、V−ブレンダーに加えた。増圧バーなしに2分にわたって混和する。
11.秤量し、収率を記録した。
知られている重量および硬度にて錠剤を圧縮し、圧縮錠剤をフィルムコーティングした。
【0116】
ある実施形態において、本発明のSKI−606製剤は、図10および12に要約されているように、3−シアノキノリンの固形製剤に関する1つまたは複数の問題、すなわち、あるSKI−606製剤(比較実施例を参照)についての、緩衝液中または酸性条件下で試験された場合の可変性の溶出および室温と加速条件の両方における経時変化での小さいが有意な溶出のシフトを受ける傾向を取り除く。図11は、クロスカルメロース製剤についての溶出シフトの欠如を示している。図12は、既存の製剤における溶出シフトを示している。SKI−606比較製剤におけるPoloxamer 188は、観察される溶出のシフトに関与していた。ポロキサマーは、室温において固体であるが、その融点48〜52℃に近い温度およびその前後で液化を受ける傾向がある。実際に、図13および14に要約されている試験は、クロスポビドンをベースとする製剤中のポロキサマーが、錠剤が溶出でシフトする理由であることを明らかにした。
【0117】
ある実施形態において、SKI−606錠剤製剤を、SKI−606製剤の重量に対して0、1.5、3、4.5および6%w/wの範囲でポロキサマーの量を変えながら調製した。意外にも、0.1N HCl中で試験された場合、製剤のパーセントポロキサマー含有量に対する錠剤溶出の明らかな依存性が存在することが観察された。図13は、0.1N HCl中での類似の水および結合剤添加速度における錠剤溶出に対する様々なポロキサマー含有量の影響を要約している。実際に、ポロキサマーは、試験された錠剤について、特に初期の時点で放出を遅らせるように見えることが観察される。ポロキサマーは、濃度依存的に15および30分における初期錠剤溶出を遅らせるように見えた。表8を参照されたい。
【0118】
【表9】

【0119】
錠剤中のポロキサマーは、初期に溶出を遅らせる傾向があるが、表9に要約されているデータに見られるように、0.1N HCl媒体中ではもっと遅い時点で加速安定性での溶出を加速することが分かった。
【0120】
【表10】

【0121】
加速安定性で、ポロキサマーは、0%w/wから3%w/wまで濃度依存的に溶出シフトを引き起こす。3%ポロキサマー濃度を超えると、溶出シフトは、明らかな傾向なしに頭打ちになる。これらの結果は、ポロキサマーが、安定性で溶出シフトを起こさせることがあることを立証している。経時変化および加速温度でのポロキサマー鎖は、より可動性になると考えられ、したがって、錠剤において顆粒をまとめる代わりに、可動性ポリマー鎖は、錠剤を「軟化」する傾向がある。このことは、経時的な顆粒軟化ならびに崩壊傾向の増加の結果としてかもしれない。安定性での崩壊時間の低下も見られる。錠剤が崩壊するとすぐに、錠剤中の顆粒は実際に、すべての知られている界面活性剤と極めて類似した挙動を示す。界面活性剤の増加は、図14に見られるように、顆粒溶出を増加させる傾向がある。
【0122】
この溶出シフト問題は、製剤中で、界面活性剤としても機能する湿潤剤ポロキサマーを置き換えることにより、本発明のSKI−606製剤により取り除かれた。低融点界面活性剤(室温で液体であったもの)の使用は、この問題に対処するのに役立つかもしれない。ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(商標)またはpolysorbate80(商標)i)は、使用において一般的に使用される界面活性剤の1つである。試験されるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80(商標))の濃度は、製剤中で3%ポロキサマーの代わりに1%とした。これを、崩壊剤としての3%IGおよび1%EG CPVを含むCPV製剤で使用した。これが許容できると見なされたのは、この濃度で試験される溶出および他の製造可能性特性が許容できるからである。さらに、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80)(商標)は、一般的に使用される薬学的に許容できる湿潤剤であり、界面活性剤としても機能する。
【0123】
溶出シフトに対処することに加えて、活性医薬成分API粒子サイズに関するこれらの製剤の頑健性の試験が望ましい。比較SKI−606製剤API粒子サイズは、溶出に影響するように見え、すなわちAPI粒子サイズが小さければ小さいほど、溶出は遅くなる。SKI/Tween−80製剤について、この影響は、最小限に抑えられるか無視しうるものであり(図17)、代替湿潤剤ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80)(商標)を含むSKI−606製剤は、比較SKI−606製剤よりも経時変化において優れていた(図15および16)。
【0124】
(実施例11および12)
SKI−606の薬学的に許容できる組成物の調製
SKI−606は、米国特許第6,297,258号および第7,297,795号のうちの1つまたは複数に詳細に記載されている方法に従って調製される。SKI−606の例示的な本発明の製剤および比較SKI−606製剤を表10に要約する。
【0125】
【表11】

【0126】
湿潤剤としてポリオキシチレンソルビタンモノオレエート(Tween−80)を含む代替SKI−606製剤を表11〜13に要約する。
【0127】
【表12】

【0128】
【表13】

【0129】
【表14】

【0130】
比較SKI−606製剤は、高剪断湿式造粒、湿式粉砕、流動層乾燥、乾式粉砕、混和および続いてフィルムコーティングする錠剤への圧縮のプロセスにより調製した。
【0131】
ある実施形態において、本発明のSKI−606製剤は、高剪断湿式造粒またはパンコーティングにより調製されるフィルムコーティングされたSKI−606製剤を含む。他の実施形態において、フィルムコーティングされたSKI−606錠剤製剤は、他の従来のコーティング技法により調製される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顆粒内構成成分として、(a)組成物の重量に対して4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル20〜80重量パーセント、(b)ポビドン、(c)微結晶性セルロース、(d)組成物の重量に対してクロスカルメロースナトリウム0.25〜5重量パーセント、(e)ポロキサマーと、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロースおよび(g)ステアリン酸マグネシウムとを含む、薬学的に許容できる組成物。
【請求項2】
顆粒内構成成分として、(a)組成物の重量に対して4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル25〜80重量パーセント、(b)ポビドン、(c)微結晶性セルロース、(d)組成物の重量に対してクロスカルメロースナトリウム0.25〜5重量パーセント、(e)ポロキサマーと、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロースおよび(g)ステアリン酸マグネシウムとを含む、薬学的に許容できる組成物。
【請求項3】
4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルの量が、組成物の重量に対して約69重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
クロスカルメロースナトリウムの量が、組成物の重量に対して顆粒内部分において約1〜3重量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
クロスカルメロースナトリウムの量が、組成物の重量に対して顆粒外部分において約1〜3重量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ポビドンの量が、組成物の重量に対して約2重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
微結晶性セルロースの量が、組成物の重量に対して約21.5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
顆粒内構成成分としての微結晶性セルロースの量が組成物の重量に対して約6.5重量%であり、顆粒外構成成分としての微結晶性セルロースの量が組成物の重量に対して約15重量%であり、または両方である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ポロキサマーの量が、組成物の重量に対して約3重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ステアリン酸マグネシウムの量が、組成物の重量に対して約0.5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の重量に対して、顆粒内構成成分として、(a)4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル25〜80重量パーセント、(b)ポビドン0.5〜5.0重量パーセント、(c)微結晶性セルロース1〜25重量パーセント、(d)クロスカルメロースナトリウム0.5〜5重量パーセント、(e)ポロキサマー0.2〜5重量パーセントと、素錠/コア錠剤の組成物の重量に対して、顆粒外構成成分として、(f)微結晶性セルロース1〜25重量パーセント、(g)クロスカルメロースナトリウム0.5〜5重量パーセントおよび(h)ステアリン酸マグネシウム0.5〜5重量パーセントを含む、経口投与のための薬学的に許容できる組成物。
【請求項12】
4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルの量が、組成物の重量に対して約69重量%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
クロスカルメロースナトリウムの量が、組成物の重量に対して顆粒内部分において約1〜3重量%である、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
クロスカルメロースナトリウムの量が、組成物の重量に対して顆粒外部分において約1〜3重量%である、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項15】
ポビドンの量が組成物の重量に対して約2重量%であり、微結晶性セルロースの量が組成物の重量に対して約21.5重量%であり、ポロキサマーの量が組成物の重量に対して約3重量%であり、またはステアリン酸マグネシウムの量が組成物の重量に対して約0.5重量%である、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
顆粒内構成成分としての微結晶性セルロースの量が組成物の重量に対して約6.5重量%であり、顆粒外構成成分としての微結晶性セルロースの量が組成物の重量に対して約15重量%であり、または両方である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
顆粒内構成成分として、組成物の重量に対して4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリル25〜80重量パーセント、および組成物の重量に対してクロスカルメロースナトリウム0.25〜5重量パーセントと、微結晶性セルロース、およびステアリン酸マグネシウムを含んでいてもよい顆粒外構成成分とを含む、薬学的に許容できる組成物。
【請求項18】
4−(2,4−ジクロロ−5−メトキシ−フェニルアミノ)−6−メトキシ−7−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−キノリン−3−カルボニトリルの経口懸濁液の形態である、請求項1または11に記載の組成物。
【請求項19】
湿式造粒されたフィルムコーティングされた錠剤の形態、またはパンコーティングされた錠剤の形態である、請求項1または請求項11に記載の組成物。
【請求項20】
有効量の請求項1または請求項11に記載の組成物を投与することを含む、癌を治療するための方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21−1】
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【図21−2】
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【公開番号】特開2011−12063(P2011−12063A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−151063(P2010−151063)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】