説明

3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体からなる美白剤、並びにその美白剤を含有する美白用皮膚外用剤、化粧料

【課題】美白効果と高い安全性を有する美白剤、並びにその美白剤を含有する美白用皮膚外用剤、化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】すなわち、本発明は、下記式(1)で示される3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体からなる美白剤を提供するものである。式(1)中、Rは水素原子、又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜12のアルキル基である。
【化4】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体からなる美白剤、並びにその美白剤を含有する美白用皮膚外用剤、化粧料であって、メラニンの生成を抑制し、日焼け後の色素沈着、しみ・そばかす、あるいは肝斑などの予防および改善に有効な美白剤、美白用皮膚外用剤、化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚における色素異常には、日焼け後の色素沈着、しみ・そばかす、あるいは肝斑などがあげられる。このような色素沈着症の発生機序については、いまだ不明な点が多いが、一般的にはホルモンの異常や太陽光に含まれる紫外線の刺激が原因となってメラニン色素が生合成され、これらが皮膚内に異常沈着するものと考えられている。
【0003】
このメラニン色素は、皮膚内では表皮基底層に存在するメラニン細胞(メラノサイト)内のメラニン生成顆粒(メラノソーム)において生合成され、生合成されたメラニンは隣接する表皮細胞へ拡散する。メラノサイト内におけるメラニン生成反応は、次のようなものが考えられている。すなわち、アミノ酸であるチロシンが酵素チロシナーゼの作用によりドーパキノンとなり、これが酵素的または非酵素的に反応が進行し、最終的に黒色のメラニンが生成される過程がメラニン色素の生成過程である。したがって、こうしたメラニン色素の生成反応の第一段階であるチロシナーゼの作用を抑制することがメラニン生成の抑制に重要である。
【0004】
こうしたことから、以前より、日焼け後の色素沈着、しみ・そばかす、あるいは肝斑などの予防および改善を目的に、乳液、化粧水、クリーム、ジェル、パック、洗浄料、ファンデーション、軟膏などの皮膚外用剤には、アスコルビン酸およびその誘導体、グルタチオンなどの美白成分が配合されている。たとえばアスコルビン酸誘導体を配合するものとして、下記特許文献1や特許文献2のような出願がなされ、グルタチオンを配合するものとして、下記特許文献3のような出願がなされている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−104864公報
【特許文献2】特開2003−73252公報
【特許文献3】特開平5−301811公報
【0006】
しかし、これらの美白成分を配合した化粧料では、美白成分の効果が十分でなく、或いは製剤中で変質するなどして十分な効果が得られていないのが実情である。一方、近年、ハイドロキノンを配合した皮膚外用剤が、皮膚科や美容クリニックなどで用いられている。一応、ハイドロキノンにはメラニン生成抑制効果が確認されているが、使用中のかぶれ、刺激が高頻度で発生することから、安全性に問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、美白効果と高い安全性を有する美白剤、並びにその美白剤を含有する美白用皮膚外用剤、化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等はこのような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体が優れたメラニン生成抑制効果を有すること、さらにこの3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体を美白剤として用いることにより、製剤中において安定で、使用中のかぶれや刺激などの問題のない、皮膚への安全性の高い皮膚外用剤や化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記式(1)で示される3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体からなる美白剤を提供するものである。式(1)中、Rは水素原子、又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜12のアルキル基である。
【0010】
【化2】

【0011】
また本発明は、このような3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体からなる美白剤を含有する美白用皮膚外用剤及び化粧料を提供するものである。美白用皮膚外用剤中において、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノンおよびその誘導体は0.001%〜20.0重量%含有されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の美白剤は、優れたメラニン生成抑制効果を有し、かつ安全性の高いものである。また本発明の美白剤、美白用皮膚外用剤、化粧料は、美白効果に優れ、製剤中において安定であり、皮膚への安全性も高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の美白剤は、上述のように下記式(1)で示される3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体からなるものである。
【0014】
【化3】

【0015】
式(1)においてRは水素原子、又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。尚、Rの好ましい具体例としては水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。式(1)で示されるこれらの化合物は、たとえばマルトールとアニリン又はアルキルアニリンを反応させることにより合成することができる。
【0016】
また本発明の美白用皮膚外用剤、及び化粧料は、上記のような3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体からなる美白剤を含有するものである。
【0017】
本発明の美白用皮膚外用剤において有効な美白効果を得るために、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体の配合量は、通常乾燥固形分として0.0001〜50重量%とすることが好ましい。0.0001重量%未満では本発明の効果が充分に得られない可能性があり、一方、50重量%を超えても、その増量に見合った効果の向上は認められないからである。この観点から、0.001〜20重量%がより好ましい。
【0018】
本発明の美白用皮膚外用剤中には本発明の効果を損なわない範囲において、一般に化粧料で用いられ、あるいは医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる各種任意成分を必要に応じて適宜配合することができる。このような任意成分として、例えば、精製水、エタノール、油性成分、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、薬効成分、粉体、紫外線吸収剤、色素、香料、乳化安定剤等を挙げることができる。
【0019】
本発明の美白用皮膚外用剤の形態は、液状、乳液、軟膏、クリーム、ゲル、エアゾール、石けん等皮膚に適用可能な性状のものであれば問われるものではなく、必要に応じて適宜基剤成分等を配合して所望の形態の美白用皮膚外用剤を調製することができる。また、本発明の美白用皮膚外用剤は、医薬品、医薬部外品又は化粧料等の多様な分野において適用可能である。
【0020】
本発明の美白用皮膚外用剤は、日焼け後の色素沈着、しみ・そばかす、あるいは肝斑などの予防および改善に用いることが可能である。なお、ここに示した色素沈着症状は例示であり、これらの色素沈着症状に本発明の美白用皮膚外用剤の適用が限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例は、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノンの調製例についての実施例である。その調製例について説明すると、先ずマルトール(150g)及びアニリン(236.35g)を濃硫酸(110ml)と水(3676ml)の混合溶媒中に懸濁させて、95℃で72時間撹拌した。
【0022】
20℃まで冷却した後、析出した結晶を濾取し、次に水で洗浄し、50℃で減圧乾燥した。さらに得られた粗結晶を熱メタノール(900ml)に溶解し、活性炭(7.8g)を加えて、70℃で1時間撹拌した。熱時ろ過し、濾液を20℃まで冷却、続いて氷冷し、析出した結晶を濾取した。濾取した結晶を冷メタノールで数回洗浄し、50℃で減圧乾燥を行い、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン(113g)を得た。
【0023】
(実施例2)
本実施例は、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−ブチルフェニル−4−ピリジノンの調製例についての実施例である。その調製例について説明すると、先ずマルトール(15g)及び4−ブチルアニリン(37.9g)を濃硫酸(11ml)と水(367ml)の混合溶媒中に懸濁させて、95℃で72時間撹拌した。
【0024】
20℃まで冷却した後、析出した結晶を濾取し、次に水で洗浄し、50℃で減圧乾燥した。さらに得られた粗結晶を熱メタノール(100ml)に溶解し、活性炭(1.5g)を加えて、70℃で1時間撹拌した。熱時ろ過し、濾液を20℃まで冷却、続いて氷冷し、析出した結晶を濾取した。濾取した結晶を冷メタノールで数回洗浄し、50℃で減圧乾燥を行い、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−ブチルフェニル−4−ピリジノン(10.3g)を得た。
【0025】
(実施例3)
本実施例では、マウス由来のB16メラノーマ培養細胞を用いたチロシナーゼ活性阻害試験を行った。
【0026】
被験化合物としては、式(1)におけるRがHの場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノンの他、RがCH3の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−メチルフェニル−4−ピリジノン、RがC25の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−エチルフェニル−4−ピリジノン、RがC49の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−ブチルフェニル−4−ピリジノン、RがC817の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−オクチルフェニル−4−ピリジノン、RがC1225の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−ドデシルフェニル−4−ピリジノンを用いた。
【0027】
その試験方法について説明すると、先ず10重量%ウシ胎児血清(ICN社製)を含むダルベッコ改変イーグル培地(シグマ社製)にB16メラノーマ細胞を懸濁し、96ウェルマイクロプレート(IWAKI社製)に播種し、CO2インキュベーター(95容量%空気、5容量%二酸化炭素)内、37℃の条件下で24時間培養した。
【0028】
24時間後、マイクロプレート中の培地を除去し、PBS0.2mlで1回洗浄した後、0.05mlの1重量%トリトンX−100を含む50mMリン酸緩衝液(pH6.8)を加えて、細胞を溶解し、チロシナーゼ溶液とした。次に被験化合物をエタノールに溶解した溶液、基質である0.2質量%L−ドーパ溶液を添加し、37℃で3時間インキュベートした。
【0029】
3時間後、405nmにおける吸光度を測定した。チロシナーゼ阻害活性は、上記被験化合物の添加濃度が12.5mM、25mM、及び50mMとなる3種類のものを準備し、それぞれ3種類のものについて行った。チロシナーゼ阻害活性の算出は、被験化合物の溶液に代えて溶媒として用いたエタノールを添加したものをコントロールとして405nmにおける吸光度を測定し、その吸光度に対する比率を求めることによって行った。すなわち、コントロールの吸光度を100%として各被験化合物溶液のチロシナーゼ阻害率を算出した。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
尚、表1においては、被験化合物の上記式(1)におけるRがHの場合はR=H、RがCH3の場合はR=CH3等の表示を行っている。表1からも明らかなように、被験化合物溶液の阻害率は、いずれも50%以上であった。特に、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−メチルフェニル−4−ピリジノン、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−エチルフェニル−4−ピリジノンの阻害率は78%以上と高く、また濃度が高いほど、阻害率も高くなることがわかった。このことから、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノンおよびその誘導体は、マウス由来のB16メラノーマ培養細胞のチロシナーゼ活性を阻害することがわかった。
【0032】
(実施例4)
本実施例では、マウス由来のB16メラノーマ培養細胞を用いたメラニン生成抑制試験を行った。
【0033】
被験化合物としては、式(1)におけるRがHの場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノンの他、RがCH3の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−メチルフェニル−4−ピリジノン、RがC25の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−エチルフェニル−4−ピリジノン、RがC49の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−ブチルフェニル−4−ピリジノン、RがC817の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−オクチルフェニル−4−ピリジノン、RがC1225の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−ドデシルフェニル−4−ピリジノンを用いた。
【0034】
その試験方法について説明すると、先ず10重量%ウシ胎児血清(ICN社製)を含むダルベッコ改変イーグル培地(シグマ社製)にB16メラノーマ細胞を懸濁し、6ウェルマイクロプレート(IWAKI社製)に播種し、CO2インキュベーター(95容量%空気、5容量%二酸化炭素)内、37℃の条件下で24時間培養した。
【0035】
24時間後、マイクロプレート中の培地を除去し、あらかじめ被験化合物が、それぞれ最終濃度5mM、50mM、及び500mMとなるように添加された10重量%ウシ胎児血清(ICN社製)を含むダルベッコ改変イーグル培地(シグマ社製)を加えて、CO2インキュベーター(95容量%空気、5容量%二酸化炭素)内、37℃の条件下で6日間培養した。培地を除去し、PBS1mlで1回洗浄したのち、0.2mlの1N水酸化ナトリウム溶液を加えて、細胞を完全に溶解した。
【0036】
この細胞溶解液の405nmにおける吸光度を測定した。細胞溶解液中のメラニン量は、合成メラニン(シグマ社製)を標準メラニンとして作成した検量線から求めた。また、細胞溶解液中のタンパク質量はDCプロテインアッセイ(バイオラッド社製)を用いて求めた。メラニン生成量は、タンパク質量中のメラニン量で比較した。被験化合物のメラニン生成抑制効果は、被験化合物の溶液に代えて溶媒として用いたエタノールを添加した10重量%ウシ胎児血清(ICN社製)を含むダルベッコ改変イーグル培地で培養した時のメラニン産生量を100とした場合の値(比率)で示した。その結果を表2に示す。表2においても、被験化合物の上記式(1)におけるRがHの場合はR=H、RがCH3の場合はR=CH3等の表示を行っている。
【0037】
表2からも明らかなように、3種類の濃度の3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン溶液のメラニン産生量は、それぞれ99%、78%、52%であり、
この他、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−メチルフェニル−4−ピリジノンについては、それぞれ96%、66%、48%、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−エチルフェニル−4−ピリジノンについては、それぞれ98%、56%、58%、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−ブチルフェニル−4−ピリジノンについては、それぞれ88%、62%、48%、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−オクチルフェニル−4−ピリジノンについては、それぞれ101%、74%、55%、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−ドデシルフェニル−4−ピリジノンについては、それぞれ103%、90%、63%となった。
【0038】
いずれの被験化合物においても、濃度が5mMの場合はさほどメラニン産生量を抑制させることができなかったが、被験化合物の濃度が50mM及び500mMの場合は、優れたメラニン産生量を抑制効果が認められた。特に被験化合物の添加濃度が高いほど、メラニン産生量を抑制効果が向上した。このことから、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン及びその誘導体は、マウス由来のB16メラノーマ培養細胞のメラニン産生量を抑制させることがわかった。
【0039】
【表2】

【0040】
(実施例5)
本実施例では、ヒト皮膚モデルを用いて色素沈着抑制試験を行った。その試験方法について説明すると、先ずヒト皮膚モデルMEL−300A(クラボウ)の上部に被験化合物を含む乳液製剤を50ml添加し、8日間培養した。培地はメラニン合成促進因子を含むLLMM培地を用い、2日毎に交換した。
【0041】
被験化合物としては、式(1)におけるRがHの場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノンの他、RがCH3の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−メチルフェニル−4−ピリジノン、RがC25の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−エチルフェニル−4−ピリジノン、RがC49の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−ブチルフェニル−4−ピリジノン、RがC817の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−オクチルフェニル−4−ピリジノン、RがC1225の場合の3−ヒドロキシ−2−メチル−N−ドデシルフェニル−4−ピリジノンを用いた。
【0042】
各被験化合物および陽性対照としてのアルブチンを含む乳液製剤の調製は、次のように行った。処方例1に示す乳液を調製し、あらかじめ溶解した被験化合物のうち3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−オクチルフェニル−4−ピリジノンについては濃度が0.05重量%、それ以外の被験化合物については濃度が0.1重量%、アルブチンの濃度が2重量%となるように添加し、ボルテックスミキサーで撹拌した。このように調製した被験化合物を含む乳液製剤についてL*値を測定することによる色素沈着抑制試験を行った。
【0043】
(処方例1)
組成 配合量(重量%)
(1)流動パラフィン 4.0%
(2)ワセリン 3.0%
(3)グリセリン 5.0%
(4)1,3−ブチレングリコール 5.0%
(5)POEグリセロールトリイソステアリン酸エステル 1.8%
(6)メチルセルロース 0.3%
(7)水 残量
【0044】
L*値の測定は次のように行った。すなわち、培養終了後のヒト皮膚モデルをPBSにより洗浄し、10%ホルマリンを含む中性緩衝液で固定した。培養カップから皮膚組織を剥がしとり、水分を軽く拭った後、組織の反射光を分光光度計により求めた。分光光度計としては、「分光光度計UV−2450(株式会社島津製作所製)」を用いた。得られた反射光のスペクトルからL*a*b*表色系へ変換し、L*値を求めた。L*値の測定による色素沈着抑制試験の結果を表3に示す。
【0045】
【表3】

【0046】
表3からも明らかなように、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−ブチルフェニル−4−ピリジノン、3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−オクチルフェニル−4−ピリジノン及び3−ヒドロキシ−2−メチル−N−ドデシルフェニル−4−ピリジノンのL*値はアルブチンに比較して著しく高く、色素沈着抑制効果が優れていることがわかった。
【0047】
(実施例6)
本実施例では、美白効果の試験を行った。上記のとおり、優れた美白剤である3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノンを配合した化粧水を調製し、その美白効果、すなわち色素沈着症状の改善効果について調べた。
【0048】
その試験方法について説明すると、先ず女性パネル(26〜52歳)20名をランダムに2グループに分け、一方のグループには処方例2を、もう一方のグループには比較例1を、毎日朝と夜の2回、3ケ月間にわたって洗顔後に顔面に塗布した。試験開始前および終了後の色素沈着の状態を比較して評価した。色素沈着の改善状態は、表4に示す判定基準に従って評価し、各グループ10名の平均スコアを算出した。結果は表5に示した。
【0049】
(処方例2)
組成 配合量(重量%)
(1)POE(20)オレイルアルコールエーテル 0.5%
(2)メチルセルロース 0.2%
(3)クインスシード 0.1%
(4)エタノール 10.0%
(5)3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン 0.2%
(6)水 残量
【0050】
(比較例1)
組成 配合量(重量%)
(1)POE(20)オレイルアルコールエーテル 0.5%
(2)メチルセルロース 0.2%
(3)クインスシード 0.1%
(4)エタノール 10.0%
(5)水 残量
【0051】
【表4】

【0052】
表5に美白効果試験の結果を示す。
【0053】
【表5】

【0054】
表5からも明らかなように処方例2を用いたパネルに色素沈着症状に対する改善効果が認められ、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノンを含有する化粧水が、日焼け後の色素沈着、しみ・そばかす、あるいは肝斑などを予防および改善し、美しい肌とすることが明らかとなった。
【0055】
尚、処方例2については、上記試験期間中に含有成分の析出、分離、凝集、変臭、変色といった製剤の状態変化は全く見られなかった。また、処方例2を使用したグループにおいて、皮膚の刺激反応や皮膚感作性反応を示したパネルは存在しなかった。
【0056】
(その他の実施例)
尚、上記実施例1及び実施例2では、マルトールとアニリン及びマルトールとオクチルアニリンとを用い、濃硫酸と水の混合溶媒中に懸濁させて撹拌し、20℃まで冷却した後、析出した結晶を濾取し、水での洗浄、減圧乾燥して得られた粗結晶を熱メタノールに溶解し、活性炭を加えて撹拌し、熱時ろ過し、濾液を20℃まで冷却、氷冷し、析出した結晶を濾取し、濾取した結晶を冷メタノールで洗浄、減圧乾燥することによって3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン及び3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−オクチルフェニル−4−ピリジノンを調製したが、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノンの調製法は上記実施例1に限定されるものではない。また3−ヒドロキシ−2−メチル−N−n−オクチルフェニル−4−ピリジノンの調製法は実施例2に限定されるものではなく、他の調製法によって調製してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)[式(1)中、Rは水素原子、又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜12のアルキル基である。]で表される3−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−4−ピリジノン又はその誘導体からなる美白剤。
【化1】

【請求項2】
請求項1記載の美白剤を含有することを特徴とする美白用皮膚外用剤。
【請求項3】
美白剤が0.001%〜20.0重量%含有されている請求項2記載の美白用皮膚外用剤。
【請求項4】
請求項1記載の美白剤を含有することを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2009−234959(P2009−234959A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81282(P2008−81282)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000112266)ピアス株式会社 (49)
【Fターム(参考)】