説明

3−フェニル−シンノリン類縁体とそれを用いた抗腫瘍剤

本発明は3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩とそれを有効成分とする細胞増殖阻害剤・抗腫瘍剤に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩、並びにそれらを有効成分とする抗腫瘍剤等に関する。
【背景技術】
悪性腫瘍とは正常の生体機構からはずれて生体内で増殖を続け、治療をしなければ宿主の死を招くような細胞群である。悪性腫瘍の治療は、外科的な切除、放射線照射、ホルモン療法又は化学療法が一般的であり、特に悪性固形腫瘍の治療においては外科的手術が第一選択となっている。放射線療法、ホルモン療法及び化学療法は、手術前又は手術後の補助療法あるいは手術による治療が不可能と判断された悪性固形腫瘍の治療に用いられるのが一般的である。ホルモン療法や化学療法等は、手術で切除する範囲を狭め、又、手術によって切除しきれない腫瘍を縮小・消失させ再発を予防するために使用されている。しかしながら、手術は癌患者に対して肉体的・精神的な苦痛を与え、更に、腫瘍が転移していれば切除は広範囲にわたることとなり手技的にも困難を極めているのが現状である。化学療法が悪性固形腫瘍に対して主たる治療方法ではないのは重篤な副作用がなく臨床上有効な抗腫瘍剤が事実上存在しなかったからである。従って、悪性固形腫瘍に対して優れた抗腫瘍効果を有する抗腫瘍剤が望まれている。
一方、下記の非特許文献1には中枢神経系に作用を持つシンノリン誘導体が、非特許文献2にはモノアミンオキシダーゼ阻害作用を有するシンノリン誘導体が報告されている。しかしながら、本発明の下記一般式(1)で表されるシンノリン類縁体についてはこれら文献には記載が無く、又、シンノリン類縁体が抗腫瘍作用を有することも記載されていない。
又、下記の非特許文献3にはシンノリン誘導体の合成や反応が記載されているが、シンノリン類縁体が抗腫瘍作用を有することは記載がない。
文献リスト
【非特許文献1】Rashmi K.Shah et al.、Central Nervous System Active 5−Oxo−1,4,5,6,7,8−Hexahydrocinnolines、Journal of Medicinal Chemistry、1976、vol.19、p.508−511
【非特許文献2】Angelo Carotti et al.、Inhibition of Monoamine Oxidase−B by Condensed Pyridazines and Pyrimidines:Effects of Lipophilicity and Structure−Activity Relationships、Journal of Medicinal Chemistry、1998、vol.41、p.3812−3820
【非特許文献3】K.Nagarajan et al.、Synthesis & Reactions of 4,6,7,8−Tetrahydro−5(1H)−cinnolinones、Indian Journal of Chemistry,1986、vol.25B、p.697−708
【発明の開示】
本発明者等は3−フェニル−シンノリン類縁体又はその薬学的に許容される塩が細胞増殖阻害活性及び抗腫瘍活性を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の1)〜14)に関する。
1)下記一般式(1)又は(2)

[式中、JはA−C−B(Cは炭素原子を示す)を示し、AはO−Y基(Oは酸素原子、Yは水素原子、フェニル基で置換されていてもよい低級アルキル基、低級アシル基若しくは保護されていてもよいアミノ酸残基を示す)を示し、Bは水素原子、低級アルキル基又はAと共にカルボニル基若しくは置換イミノ基を示し、Kは(CHを示し、LはN−W(Nは窒素原子を示す)若しくはW−C−W’(Cは炭素原子を示す)を示し、W、W’はそれぞれ独立して、水酸基、低級アルコキシル基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基、フェニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基若しくは水素原子を示し、Mは(CHを示し、あるいはJ−K−L−MがC(O−Y)=CH−C(W)=CH(Y及びWは上記と同じ意味を示す)を示し、Zは酸素原子若しくはN−Q(Qはアミノ基、低級アルキルアミノ基、水酸基あるいは低級アルコキシル基を示す)を示し、X,X’はそれぞれ独立して低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシル基、ハロゲノ低級アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子若しくは水素原子を示し、m、qはそれぞれ独立して0〜3までの整数を示し、n、n’はそれぞれ独立して0又は1を示す]で表される3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
2)3−フェニル−シンノリン類縁体が下記一般式(3)

[式中、AはO−Y基(Yは水素原子、フェニル基で置換されていてもよい低級アルキル基、低級アシル基又は保護されていてもよいアミノ酸残基を示す)を示し、Bは水素原子、低級アルキル基又はAと共にカルボニル基若しくは置換イミノ基を示し、LはN−WあるいはW−C−W’を示し、W、W’はそれぞれ独立して、水酸基、低級アルコキシル基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基、フェニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又は水素原子を示し、Xは低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシル基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し、X’は低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシル基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、m、qはそれぞれ独立して0〜3までの整数を示し、n、n’はそれぞれ独立して0又は1を示す]で表される化合物である上記1)記載の抗腫瘍剤。
3)Bが水素原子であり、LがW−C−W’であり、W、W’がそれぞれ独立して水酸基、低級アルコキシル基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基又は水素原子であり、Xが3−トリフルオロメチル基、3−ニトロ基、3−シアノ基又は3−ブロモ基であり、X’が水素原子であり、m、qがともに1であり、nが0又は1、n’が0である上記2)記載の抗腫瘍剤。
4)W,W’がそれぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基であり、Xが3−トリフルオロメチル基である上記3)記載の抗腫瘍剤。
5)Yがグリシル基、アラニル基、バリル基又はα−グルタミル基であり、Bが水素原子であり、LがH−C−CHであり、Xが3−トリフルオロメチル基、X’が水素原子であり、m、qがともに1であり、nが0又は1、n’が0である上記2)記載の抗腫瘍剤。
6)3−フェニル−シンノリン類縁体が下記一般式(4)

[式中、X,X’はそれぞれ独立して低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシル基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、Yはフェニル基で置換されていてもよい低級アルキル基、低級アシル基又は水素原子を示し、Wは水酸基、低級アルコキシル基、フェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基、フェニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又は水素原子を示す]で表される化合物である上記1)記載の抗腫瘍剤。
7)Xがトリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、X’が水素原子であり、Wが水酸基、低級アルコキシル基、フェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基である上記6)記載の抗腫瘍剤。
8)Xが3−トリフルオロメチル基、3−ニトロ基、3−シアノ基又は3−ハロゲン原子であり、Wが無置換の低級アルキル基である上記7)記載の抗腫瘍剤。
9)3−フェニル−シンノリン類縁体が下記一般式(5)

[式中、W、W’はそれぞれ独立に水素原子あるいは低級アルキル基を示し、Xはハロゲノ低級アルキル基を示し、Zは酸素原子又はN−Qを示し、Qはアミノ基、低級アルキルアミノ基、水酸基あるいは低級アルコキシル基を示す]で表される化合物である上記1)記載の抗腫瘍剤。
10)Wが水素原子又はメチル基、W’が水素原子又はメチル基、Xが3−トリフルオロメチル基、Zが酸素原子である上記9)記載の抗腫瘍剤。
11)Wが水素原子又はメチル基、W’が水素原子又はメチル基、Xが3−トリフルオロメチル基、ZがN−NHである上記9)記載の抗腫瘍剤。
12)3−フェニル−シンノリン類縁体が7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オン、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール、7−メチル−1−オキシ−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール、5−グリシルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン、5−(L−アラニルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン、5−(L−バリルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン、5−(L−α−グルタミルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンである上記1)記載の抗腫瘍剤。
13)上記1)〜12)のいずれか1項に記載の3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩を有効成分とする細胞増殖阻害剤。
14)上記1)〜12)のいずれか1項に記載の3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩、ただし、Zが酸素原子である化合物を除く。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の抗腫瘍剤は、上記一般式(1)又は(2)で表される3−フェニル−シンノリン類縁体、又はその生理学的に許容される塩を有効成分とする。
一般式(1)又は(2)の置換基において「低級アルキル基」とは、特に断らない限り炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。これらのうち好ましい基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基が挙げられ、特に好ましい基としてはメチル基が挙げられる。
一般式(1)又は(2)の置換基において「低級アシル基」とは、無置換の炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアシル基であり、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、n−ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基等が挙げられ、これらのうち好ましい基としてはアセチル基が挙げられる。
又、一般式(1)の置換基において「保護されていてもよいアミノ酸残基」とは、側鎖及び/又はN末が保護されていてもよい必須アミノ酸として通常知られているα−アミノ酸の残基が挙げられる。但し、その絶対配置はL又はDのどちらでもよい。酸素原子との結合は、主鎖又は側鎖のカルボン酸基とのエステル結合が好ましい。保護される官能基としてはアミノ基、カルボキシル基、グアニジノ基、水酸基、チオール基等が挙げられ、保護基としては特に限定されず、通常のペプチド合成反応等に使用される保護基が挙げられる。代表的な保護基を具体的に示すと、tert−ブトキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基のようなアルコキシカルボニル基、メチル基、tert−ブチル基又はベンジル基のようなアルキル基、アセチル基又はベンゾイル基のようなアシル基等が挙げられる。即ち、保護されていてもよいアミノ酸残基としては例えば、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル基、O−ベンジル−D−チロシル基、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−プロリル基、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニル基、L−アラニル基、L−バリル基、L−α−グルタミル基、グリシル基等が挙げられる。好ましい基としては例えば、L−アラニル基、L−バリル基、L−α−グルタミル基、グリシル基等が挙げられる。
一般式(1)の置換基においてフェニル基で置換されている低級アルキル基としては、具体的にはベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、ベンジル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基等である。
一般式(1)又は(2)の置換基において「低級アルコキシル基」とは、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシル基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられ、これらのうち好ましい基としてはメトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
一般式(1)又は(2)の置換基において水酸基、低級アルコキシル基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を有している低級アルキル基とは、1個〜複数個の同一又は異なった置換基を有する低級アルキル基であり、具体的にはヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシ−2−プロピル基、ベンジル基、メトキシメチル基等が挙げられ、好ましくはヒドロキシメチル基、ベンジル基等である。
一般式(1)又は(2)においてLがN(窒素原子)−Wとは、Wが置換した窒素原子を含む脂肪族複素環を意味する。Lとして具体的にはN−メチル、N−ベンジル、N−メトキシメチル又はN−(2−ヒドロキシ)メチル基等が挙げられ、好ましくはN−ベンジル基又はN−メチル基である。
一般式(1)又は(2)においてLがW−C(炭素原子)−W’とは、W及びW’が置換した脂肪族炭素環を意味し、W、W’として具体的には、Wが水素原子でW’がメチル基、エチル基、イソプロピル基、エトキシカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシ−2−プロピル基、フェニル基若しくは水素原子等が挙げられ、又、W、W’が共にメチル基等が挙げられる。好ましくは、Wが水素原子、W’がメチル基、イソプロピル基である。
又、一般式(1)又は(2)において「低級アルコキシカルボニル基」とは、上記の低級アルコキシル基がカルボニル基と結合した基であり、具体的に例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基等が挙げられ、好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基である。
一般式(1)又は(2)において「低級アルキルアミノ基」とは、上記の低級アルキル基が窒素原子に1〜2個結合した基であり、具体的には例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基等が挙げられる。
一般式(1)のJはA−C(炭素原子)−Bであるが、A、Bはカルボニル基(C=O)又は置換イミノ基(C=N−(置換基))を形成してもよい。置換イミノ基の置換基としては、アミノ基、低級アルキルアミノ基、水酸基あるいは低級アルコキシル基等が挙げられる。
一般式(1)又は(2)において「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、好ましくは臭素原子、フッ素原子である。
一般式(1)又は(2)において「低級アシルアミノ基」とは、上記の低級アシル基が結合したアミノ基が挙げられ、具体的に例えばホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられ、好ましくはアセチルアミノ基である。
一般式(1)又は(2)において「ハロゲノ低級アルキル基」における低級アルキル基としては、上記の低級アルキル基と同様な基が挙げられ、好ましい基も同様である。「ハロゲノ低級アルキル基」のハロゲン原子としては、上記と同じくフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。ハロゲン原子の置換数としては1個から置換可能な最大個数まで本発明に含まれ、複数個置換している場合、置換しているハロゲン原子は同一でも異なっていてもよい。具体的には例えば、1−クロロプロピル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1,1−ジフルオロ−1−クロロエチル基等が挙げられ、好ましくはペンタフルオロエチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられ、特に好ましくはトリフルオロメチル基である。
J−K−L−MがC(O−Y)=CH−C(W)=CH(Y及びWは上記と同じ意味を示す)とは、ピリダジン環にベンゼン環が縮環したシンノリン骨格構造を有することを意味する。具体的には例えば、上記一般式(4)で表わされる化合物である。
一般式(1)又は(2)においてX及びX’はベンゼン環上に置換しており、その位置は特に限定されず、すべての異性体は本発明に含まれるが、好ましくは3位モノ置換体(X’が水素原子)であり、好ましい置換基はトリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、臭素原子等が挙げられ、特に3−トリフルオロメチル基が好ましい。
本発明の一般式(1)において、m、qとは、それぞれ独立して0〜3までの整数であり、ピリダジン環に縮環した4〜10員環を形成するが、好ましくは5〜7員環であり、特に好ましくはm、qがともに1である6員環の場合である。
本発明の一般式(1)においてn、n’が1であるとは、N−オキシドを意味し、n、n’がともに0又はn、n’のどちらかが1である場合が好ましい。
本発明の抗腫瘍剤の有効成分である3−フェニル−シンノリン類縁体には、上記一般式(3)で表される化合物も含まれる。一般式(3)の化合物においてフェニル基で置換されていてもよい低級アルキル基、低級アシル基、保護されていてもよいアミノ酸残基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、フェニル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、ハロゲン原子、置換イミノ基とは、一般式(1)における各置換基と同様な意味であり、好ましい基も同様である。又、、m、q、n、n’とは、一般式(1)におけるm、q、n、n’と同様であり、好ましい範囲も同様である。
特に好ましくは、一般式(3)のBが水素原子であり、LがW−C−W’であり、W、W’がそれぞれ独立して水酸基、低級アルコキシル基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基又は水素原子であり、Xが3−トリフルオロメチル基、3−ニトロ基、3−シアノ基又は3−ブロモ基であり、X’が水素原子であり、m、qがともに1であり、nが0又は1、n’が0である化合物が挙げられ、更に好ましくは、W,W’がそれぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基であり、Xが3−トリフルオロメチル基である化合物が挙げられる。又、Yがグリシル基、アラニル基、バリル基又はα−グルタミル基であり、Bが水素原子であり、LがH−C−CHであり、Xが3−トリフルオロメチル基、X’が水素原子であり、m、qがともに1であり、nが0又は1、n’が0である化合物も好ましい。
一般式(3)の化合物としては、例えば以下の表1に具体的に示す化合物が挙げられる。表中、Phはフェニル基、Etはエチル基、Meはメチル基、Acはアセチル基、Bnはベンジル基、Bocはtert−ブトキシカルボニル基、tBuはtert−ブチル基を示し、mixとはsyn体とanti体の混合物を意味し、アミノ酸は通常使用される略号を用いている。




本発明の抗腫瘍剤の有効成分である3−フェニル−シンノリン類縁体には、上記一般式(4)で表される化合物も含まれる。一般式(4)の化合物において低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシル基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、フェニル基で置換されていてもよい低級アルキル基、低級アシル基、フェニル基、カルボキシル基としては、一般式(1)における各置換基と同様な意味であり、好ましい基も同様である。
特に好ましくは、一般式(4)のXがトリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、X’が水素原子であり、Wが水酸基、低級アルコキシル基、フェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基である化合物が挙げられ、更に好ましくは、Xが3−トリフルオロメチル基、3−ニトロ基、3−シアノ基又は3−ハロゲン原子であり、Wが無置換の低級アルキル基である化合物が挙げられる。
一般式(4)の化合物として具体的には、例えば、3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール、7−フェニル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール、7−(2−メトキシエチル)−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール、7−エトキシカルボニル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール、3−(3−シアノフェニル)−7−メチルシンノリン−5−オール、3−(2−エチルフェニル)−7−メチルシンノリン−5−オール、3−(3−エトキシフェニル)−7−メチルシンノリン−5−オール、3−(3−アセチルアミノフェニル)−5−アセチルオキシ−7−メチルシンノリン、5−メトキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン、5−アセチルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン、5−ベンジルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン、5−アセチルオキシ−7−メチル−3−(3−ニトロフェニル)シンノリン、3−(2−フルオロフェニル)−7−イソプロピル−5−メトキシシンノリン、3−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−7−ヒドロキシメチルシンノリン−5−オール、7−ベンジル−5−エトキシ−3−(2−メトキシカルボニルフェニル)シンノリン、3−(3−アセチルアミノフェニル)シンノリン−5−オール、3−(2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−5−ヒドロキシシンノリン−7−カルボン酸、3−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−5−ヒドロキシシンノリン−7−カルボン酸等が挙げられ、好ましくは7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール、5−メトキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン、5−アセチルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン又は5−ベンジルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリンである。
本発明の抗腫瘍剤の有効成分である3−フェニル−シンノリン類縁体には、上記一般式(5)で表される化合物も含まれる。一般式(5)の化合物において低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基、低級アルキルアミノ基、低級アルコキシル基としては、一般式(1)又は(2)における各置換基と同様な意味であり、好ましい基も同様である。
特に好ましくは、Wが水素原子又はメチル基、W’が水素原子又はメチル基、Xが3−トリフルオロメチル基、Zが酸素原子又はN−NHである化合物が挙げられる。
一般式(5)の化合物として具体的には、例えば、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オン、7,7−ジメチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オン、7−メチル−3−(4−クロロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オン、3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オンが挙げられる。
上記一般式(1)で表わされる3−フェニル−シンノリン類縁体としては、具体的には7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オン、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール、7−メチル−1−オキシ−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール、5−グリシルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン、5−(L−アラニルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン、5−(L−バリルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン、5−(L−α−グルタミルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン等が好ましい。
本発明に使用される3−フェニル−シンノリン類縁体には、該化合物が不斉炭素を有し、光学活性体あるいはラセミ体として存在する場合にはそれらの光学活性体、それらの混合物あるいはラセミ体等がすべて包含される。更に、該化合物の水和物又は溶媒和物も含まれる。
又、イミノ結合(C=N)に基づく立体異性体及びそれらの混合物も上記3−フェニル−シンノリン類縁体にすべて含まれる。
本発明において生理学的に許容される塩としては、塩酸、硫酸等の鉱酸との塩、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、安息香酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩等が挙げられる。又、これらの塩は通常の造塩反応に付すことにより容易に調製される。
本発明の抗腫瘍剤には、生体内における生理的条件(例えば,「医薬品の開発・第7巻 分子設計」、広川書店、1990年、163〜198頁に記載されているような生理的条件)下、例えば酵素や胃酸等による酸化反応、還元反応、加水分解反応等により変換され、抗腫瘍活性を示す3−フェニル−シンノリン類縁体も含まれる。
本発明の抗腫瘍剤は、3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩を単独又は賦形剤あるいは担体と混合して懸濁液、乳剤、注射剤、吸入剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、経口用液剤、座剤、経皮用液剤、経皮用貼付剤、軟膏剤、経粘膜液剤、経粘膜添付剤等の製剤とし、経口的に、又は非経口的に投与される。賦形剤又は担体等の添加剤としては薬剤学的に許容されるものが選ばれ、その種類及び組成は投与経路や投与方法によって決まる。例えば注射剤の場合、一般に食塩、グルコースやマンニトール等の糖類が望ましい。経口剤の場合、でんぷん、乳糖、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム等が望ましい。所望に応じて上記製剤中に助剤、安定剤、湿潤剤、又は乳化剤、緩衝液及びその他の通常使用される添加剤が含まれていてもよい。
製剤中における本化合物の含量は製剤により種々異なるが、通常、0.1〜100重量%、好ましくは1〜98重量%である。例えば注射剤の場合には、通常、0.1〜30重量%、好ましくは1〜10重量%の有効成分を含むようにすることがよい。経口剤の場合には、添加剤とともに錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、ドライシロップ剤等の形態で用いられる。カプセル剤、錠剤、顆粒、散剤は一般に5〜100重量%、好ましくは25〜98重量%の有効成分を含む。
投与量は、患者の年令、性別、体重、症状、治療目的等により決定されるが、治療量は通常、非経口投与で0.001〜100mg/kg/日であり、経口投与では0.01〜500mg/kg/日、好ましくは0.1〜100mg/kg/日、これを1回で、あるいは2〜4回に分けて投与する。
本発明に使用される3−フェニル−シンノリン類縁体の製造法は、例えば、上記非特許文献3に記載されている方法に準じて可能であり、下記の実施例にも合成例を示すが、特に限定されない。
具体的には例えば、下記一般式(6)で表されるα−ハロゲノ置換アセトフェノン誘導体は、東京化成(株)等から購入可能な化合物もあり、又、市販又は公知文献に準じた製法で入手容易なアセトフェノン誘導体を、ハロゲン化剤として、N−ハロゲノスクシンイミド、あるいは臭素、ヨウ素等のハロゲン単体もしくは過臭化臭化ピリジニウムのような塩等を用いトルエン、テトラヒドロフラン等の反応溶媒中室温から加熱還流下反応させることで容易にハロゲン化することにより得ることもできる。

[式中、Eはハロゲン原子を示し、X,X’は前記と同じ意味を示す。]
一方、上記一般式(1)のLがW−C−W’である化合物の製造に使用する1,3−シクロアルカンジオン類は、例えば、1,3−ペンタンジオンや1,3−シクロヘプタンジオン等についてはアルドリッチ(株)等から購入可能である。又、下記一般式(7)で表される1,3−シクロヘキサンジオン誘導体には購入可能な化合物もあるが、必要に応じて下記スキームに従い、メチルビニルケトン誘導体(8)とマロン酸エステル誘導体(9)をナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシドあるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物存在下、水、メタノール、エタノール等の溶媒中室温から加熱還流下反応させることでも調製される。

[式中、Rは低級アルキル基を示し、W,W’は上記と同じ意味を示す。]
あるいは、以下のように、レゾルシノール誘導体(10)をメタノール、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中白金、パラジウム等の触媒存在下水素添加することで調製することも可能である。

[式中Wは上記と同じ意味を示す。]
又、一般式(1)のLがN−Wである化合物の製造に使用しうる例えば5−アザ−1,3−シクロヘキサンジオン誘導体(7b)は、Archiv der Pharmazie、1967、No.300、p91−94に記載されている方法に準じる方法にて調製可能である。即ち、一般式(11)で表されるグリシン誘導体とブロモアセトフェノンとを炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム又は炭酸セシウム等の塩基存在下、エタノール、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中室温から加熱還流下反応させて得られるケトエステル(12)をナトリウムメトキシド、カリウム−tert−ブトキシドあるいは水素化ナトリウムのような塩基存在下エタノール、tert−ブタノールあるいはジメチルスルホキシド等の有機溶媒中0℃から室温下反応させることで目的の(7b)を得ることができる。

[式中、Rは低級アルキル基を示し、Wは上記と同じ意味を示す。]
上記の1,3−シクロアルカンジオン誘導体と上記一般式(6)の化合物をジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等の有機溶媒中、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の塩基存在下、室温から加熱還流下反応させ、一般式(13)で表される化合物へと導かれる。

[式中、K、L、M、X、X’は上記と同じ意味を示す。]
一般式(13)で表される化合物をメタノール、エタノール等の有機溶媒中トリエチルアミン、ピリジン等の塩基存在下、塩酸ヒドラジンと室温から加熱還流下反応させることで一般式(14)で表される4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シンノリン−5−オン誘導体を得ることができる。

[式中、K、L、M、X、X’は上記と同じ意味を示す。]
更に該化合物に、例えば、ピリジン、トリエチルアミン等の塩基性溶媒中加熱還流することによる空気酸化、パラジウム、白金等の金属触媒存在下、メタノール、エタノール又はテトラヒドロフラン等の有機溶媒中加熱還流することによる酸化、アセトン、メタノール、テトラヒドロフランあるいはそれらの混合溶媒中、硝酸アンモニウムセリウム(IV)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン等の酸化剤を作用させ下記一般式(1a)で表わされる化合物を得ることが可能である。

[式中、K、L、M、X、X’は上記と同じ意味を示す。]
更に、一般式(1a)で表される化合物をテトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等の有機溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムあるいはリチウム−トリ−tert−ブトキシアルミノハイドライド等の還元剤、又はメチルリチウム、イソプロピルマグネシウムブロミド等のアルキル金属化合物を氷冷下から室温で反応させることで一般式(1)のJがH−C−OHであり、n及びn’が0で表される化合物へと導くことができる。
更に、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル等の有機溶媒中、ピリジン、トリエチルアミン等の塩基存在又は非存在下、塩化アセチル、臭化プロパノイル等の酸塩化物を反応させる、又はN−tert−ブトキシカルボニル−L−バリン、N−ベンジルオキシカルボニル−D−プロリンのような保護アミノ酸を、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド等の縮合剤を用いジメチルアミノピリジン等の存在下反応させる、アミノ酸の保護基を常法に従いトリフルオロメタンスルホン酸、塩酸、水素添加等を用いて除去する、あるいはN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又はテトラヒドロフランのような有機溶媒中、tert−ブトキシカリウム、水素化ナトリウムあるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミンのような塩基存在下ヨウ化メチル、臭化ベンジル等のハロゲン化アルキルを反応させること、で一般式(1)におけるYが種々の化合物を製造することができる。
又、一般式(1)のn及びn’が0の化合物に、塩化メチレン、クロロホルム等の有機溶媒中、m−クロロ過安息香酸、過酢酸等の酸化剤を氷冷下から室温で反応させることで一般式(1)で表されるN−オキシド化合物(n及び/又はn’が1)へと導くことができる。
一般式(1a)で表される化合物(W又はW’のいずれかが水素原子)を酢酸、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒存在あるいは非存在下、臭化銅(II)、塩化リチウム、又はヨウ素等のハロゲン化剤と室温から加熱還流下反応させ、もし必要であればコリジン、トリエチルアミン又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の塩基を作用させることで上記一般式(4)で表わされる化合物へと導くことも可能である。又、一般式(1a)で表される化合物(W又はW’のいずれかが水素原子)を直接酸化反応に付すことにより上記一般式(4)で表わされる化合物へと導くことも可能である。
得られた化合物を通常のフェノール性水酸基の変換反応に付すことにより、更に種々の誘導体が製造可能である。例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル等の有機溶媒中、ピリジン、トリエチルアミン等の塩基存在又は非存在下、塩化アセチル、臭化プロパノイル等の酸塩化物を反応させ各種のアシル基を導入したり、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中、t−ブトキシカリウム、水素化ナトリウムあるいはN,N−ジイソプロピルエチルアミンのような塩基存在下ヨウ化メチル、臭化ベンジル等のハロゲン化アルキルを反応させ各種のアルキル基を導入することができる。
更に、上記一般式(14)又は(1a)で表される化合物を、塩酸ヒドラジン、塩酸エチルヒドラジン、塩酸メチルヒドラジン等の低級アルキルヒドラジン類、あるいは塩酸ヒドロキシルアミン、塩酸メトキシルアミンや塩酸O−エチルヒドロキシルアミン等の低級アルキルヒドロキシルアミン類と、メタノール、エタノール等の有機溶媒中ピリジン、トリエチルアミン等の塩基存在下室温から加熱還流下反応させ、必要に応じて酸化反応に付することによりイミノ結合を有する誘導体へと導くこともできる。
上記の各製法により得られる反応混合物から目的化合物を単離、精製するためには、定法による溶媒抽出、濃縮、蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等が適宜用い得る。
本発明には、上記一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩を有効成分とする細胞増殖阻害剤も含まれる。本発明の抗腫瘍剤として一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される上記化合物と同様な化合物が細胞増殖阻害剤として使用でき、具体的な化合物も同様である。
更に本発明には、上記一般式(1)又は(2)で表され、一般式(2)におけるZが酸素原子である化合物以外の3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩も含まれる。即ち、本発明には下記一般式(1)又は(2)

[式中、JはA−C−B(Cは炭素原子を示す)を示し、AはO−Y基(Oは酸素原子、Yは水素原子、フェニル基で置換されていてもよい低級アルキル基、低級アシル基若しくは保護されていてもよいアミノ酸残基を示す)を示し、Bは水素原子、低級アルキル基又はAと共にカルボニル基若しくは置換イミノ基を示し、Kは(CHを示し、LはN−W(Nは窒素原子を示す)若しくはW−C−W’(Cは炭素原子を示す)を示し、W、W’はそれぞれ独立して、水酸基、低級アルコキシル基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基、フェニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基若しくは水素原子を示し、Mは(CHを示し、あるいはJ−K−L−MがC(O−Y)=CH−C(W)=CH(Y及びWは上記と同じ意味を示す)を示し、ZはN−Q(Qはアミノ基、低級アルキルアミノ基、水酸基あるいは低級アルコキシル基を示す)を示し、X,X’はそれぞれ独立して低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシル基、ハロゲノ低級アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子若しくは水素原子を示し、m、qはそれぞれ独立して0〜3までの整数を示し、n、n’はそれぞれ独立して0又は1を示す]で表される3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩が含まれる。
又、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表わされ、一般式(5)におけるZが酸素原子である化合物以外の3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩も本発明に含まれる。
具体的には、一般式(2)若しくは一般式(5)においてZが酸素原子である化合物以外の上記一般式(1)〜(5)に例示したすべての化合物が挙げられる。
【実施例】
以下実施例、試験例、参考例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
本実施例において、ESIとはElectron Spray Ionizationの、FABとはFast Atom Bombardmentの略であり、分子量測定質量分析におけるイオン化法の1つである。
水素核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)はTMS(テトラメチルシラン)等を基準としたδ値で表わす。
実施例1 7−フェニル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例2で得られた7−フェニル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オンの粗生成物(603mg)のピリジン(5mL)溶液を70℃で3日間攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し黄色の粗生成物を得た。更に懸濁精製(ヘキサン/酢酸エチル=3mL/0.5mL)を行い目的化合物(124.0mg、48.9% in 2steps)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
2.93−3.23(2H、complex)、3.51−3.75(2H、copplex)、3.76−3.97(1H、m)、7.20−7.49(5H、m)、7.70(1H、t、J=7.8Hz)、7.80(1H、d、J=7.8Hz)、8.31−8.42(1H、m)、8.46(1H、brs)
MS(ESI)
m/z 369 [M+H]
実施例2 5−オキソ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−7−カルボン酸エチルエステルの合成
参考例1において、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに参考例3で得られる3−ヒドロキシ−5−オキソ−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチルを用いて同様の反応を行い、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで、目的の化合物を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.26(3H、dt、J=1.8、7.1Hz)、3.04(2H、d、J=6.4Hz)、3.62−3.87(2H、m)、4.19(1H、q、J=7.1Hz)、7.69(1H、t、J=7.7Hz)、7.80(1H、d、J=8.0Hz)、8.31(1H、s)、8.34(1H、d、J=7.7Hz)、8.44(1H、s)
MS(ESI)
m/z 365 [M+H]
実施例3 5−ヒドロキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−7−カルボン酸エチルエステルの合成
実施例2で得られた5−オキソ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−7−カルボン酸エチルエステル(100mg、0.274mmol)のエタノール(0.5mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(10.4mg,0.274mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、1規定の硫酸水素カリウム水溶液(1mL)でクエンチし、酢酸エチル(3mL)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥後乾燥剤を濾別し有機層を減圧濃縮し得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜1/2)で精製し、目的の化合物(65mg、64.8%)を淡黄色固体として得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.30(3H、t、J=7.1Hz)、2.11(1H、ddd、J=8.2、9.5、13.5Hz)、2.56(1H、dq、J=3.1、13.5Hz)、3.00−3.18(2H、complex)、3.38−3.63(2H、m)、4.21(2H、q、J=7.1Hz)、4.92(1H、brt、J=7.2Hz)、7.65(1H、t、J=7.7Hz)、7.75(1H、brd、J=7.8Hz)、8.09(1H、s)、8.32(1H、d、J=7.7Hz)、8.37(1H、brs)
MS(ESI)
m/z 367 [M+H]
実施例4 5−ヒドロキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−7−カルボン酸の合成
実施例3で得られた5−ヒドロキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−7−カルボン酸エチルエステル(60mg、0.164mmol)をジオキサン(1mL)に溶解させ、濃塩酸を0.1mL加え終夜攪拌を行った。反応液を濃縮し、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、1規定硫酸水素ナトリウム水溶液で弱酸性とし酢酸エチルで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過して得られる有機層を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=10/1)で精製し目的の化合物(3mg、5.4%)を得た。
MS(ESI)
m/z 339 [M+H]
実施例5 5−オキソ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−7−カルボン酸の合成
実施例2で得られる、5−オキソ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−7−カルボン酸エチルエステル(100mg、0.274mmol)を実施例4と同様に酸加水分解を行うことで目的の化合物(67.7mg、73.5%)を得た。
MS(ESI)
m/z 337 [M+H]
実施例6 7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例66で得られた、5−オキソ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン(1g、3.28mmol)を実施例3と同様に処理することで目的の化合物(917.9mg、90.9%)を白色固体として得た。そのsyn/anti比はHPLCでおよそ9/1であった。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.22(3H、d、J=6.6Hz)、1.51(1H、q、J=12.2Hz)、1.88−2.44(1H、m)、2.24−2.42(1H、m)、2.73(1H、ddd、J=1.1、11.7、18.0Hz)、3.41(1H、ddd、J=1.8、5.2、17.8Hz)、4.90(1H、q、J=5.8、11.3Hz)、7.62(1H、t、J=7.7Hz)、7.73(1H、d、J=7.8Hz)、8.14(1H、d、J=1.1Hz)、8.29(1H、d、J=8.0Hz)、8.34(1H、s)
MS(ESI)
m/z 309 [M+H]
実施例7 7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例6で得られた、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(92.5mg、0.3mmol)のベンゼン溶液(16mL)にトリフェニルフォスフィン(480mg、1.47mmol)、4−ニトロ安息香酸(221mg、1.32mmol)及びアゾジカルボン酸ジエチル(0.23mL、1.47mmol)を加え室温で1時間攪拌した。反応液をそのままシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、anti−(±)−7−メチル−5−(4−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを得た。得られた化合物をメタノール(5mL)に溶解し、2規定水酸化ナトリウム(1mL)を加え室温で1時間反応させた。蒸留水(2mL)及び酢酸エチル(5mL)を加え抽出後得られる有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後有機層を減圧濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し目的の化合物(45mg、48.7%)を白色固体として得た。そのsyn/anti比はHPLCでおよそ7/93であった。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.20(3H、d、J=6.7Hz)、1.78(1H、ddd、J=4.5、10.7、14.0Hz)、2.01−2.15(1H、m)、2.20−2.45(1H、m)、2.71(1H、dd、J=10.1、17.6Hz)、3.41(1H、ddd、J=1.3、4.9、17.6Hz)、4.97(1H、t、J=4.3Hz)、7.63(1H、t、J=7.7Hz)、7.73(1H、d、J=7.7Hz)、7.92(1H、s)、8.25−8.36(2H、complex)
MS(ESI)
m/z 309 [M+H]
実施例8 syn−5−{N−(tert−ブチルオキシカルボニル)−L−プロリル}オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
N−(tert−ブチルオキシカルボニル)−L−プロリン(21mg、0.098mmol)、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(23.4mg、0.076mmol)及びN,N−ジメチルアミノピリジン(触媒量)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液にジシクロヘキシルカルボジイミド(24mg、0.114mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液にヘキサン/酢酸エチル(1/1、1ml)を加え,径10mmX15mmのシリカゲルカラムに展着した。酢酸エチルで溶出し、溶出液を減圧濃縮した。残渣を分取薄層TLC(0.5mm厚、20cmX20cm、2枚、ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、低極性成分(17.4mg)ならびに高極性成分(17.5mg)として目的化合物のジアステレオマーを2種類得た。又同時にanti体のジアステレオマー混合物を5.1mg得た。
MS(ESI)
m/z 506 [M+H]
実施例9 syn−(−)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例8で得られた低極性成分であるsyn−ジアステレオマー(17.4mg)のメタノール(1ml)溶液に1規定水酸化ナトリウム水溶液(3滴)を加え,室温で3.25時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣を酢酸エチルで径10mmX15mmのシリカゲルカラムに展着した。酢酸エチルで溶出し、溶出液を減圧濃縮した。残渣を分取薄層TLC(0.5mm厚、20cmX10cm、ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、目的の化合物(10.1mg)を得た。
MS(ESI)
m/z 309 [M+H]
[α]25 −131° (c0.51、メタノール)
実施例10 syn−(+)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例8で得られた高極性成分であるsyn−ジアステレオマー(17.5mg)を用いて実施例9と同様に処理することで目的の化合物(9.8mg)を得た。
MS(ESI)
m/z 309 [M+H]
[α]25 +135° (c0.49、メタノール)
実施例11 5−アセチルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例6で得られた、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(61.6mg,0.2mmol)のピリジン(1mL)溶液に氷冷下無水酢酸(0.027mL、0.24mmol)を加え室温で2時間反応させた。反応液をそのまま減圧濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、目的化合物(57.6mg、82.3%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.23(3H、d、J=6.6Hz)、1.51(1H、q、J=12.3Hz)、2.07−2.27(1H、m)、2.24(3H、s)、2.32−2.46(1H、m)、2.80(1H、ddd、J=1.4、11.5、17.8Hz)、3.44(1H、ddd、J=1.8、5.1、17.9Hz)、6.03(1H、dd、J=6.1、10.8Hz)、7.65(1H、t、J=7.7Hz)、7.68(1H、s)、7.75(1H、d、J=7.6Hz)、8.23(1H、d、J=7.7Hz)、8.33(1H、brs)
MS(ESI)
m/z 351 [M+H]、291 [M+H−CHCOOH]
実施例12 7−メチル−1−オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オールの合成
実施例6で得られた、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(90mg、0.294mmol)の塩化メチレン溶液に、氷冷下3−クロロ過安息香酸(122.5mg、0,71mmol)を加え2時間反応させた。溶媒を濃縮した後3%炭酸カリウム水溶液(1mL)及び酢酸エチル(3mL)を加え抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜0/1)で精製し、目的の化合物(49.2mg、51.6%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.22(3H、d、J=6.6Hz)、1.51(1H、dd、J=12.3Hz)、1.66−2.20(2H、complex)、2.21−2.36(1H、m)2.40(1H、dd、J=11.3、19.3Hz)、3.24(1H、dd、J=5.3、19.3Hz)、4.88(1H、dd、J=5.5,11.4Hz)、7.60(1H、t、J=7.8Hz)、7.69(1H、d、J=7.7Hz)、8.19(1H、d、J=7.8Hz)、8.25(1H、brs)
MS(ESI)
m/z 325 [M+H]
実施例13 5−オキソ−1−オキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリンの合成
実施例66で得られた5−オキソ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン(306mg、1mmol)を実施例12と同様に処理することで目的化合物(124mg、38%)を得た。
MS(ESI)
m/z 323 [M+H]
実施例14 7−ヒドロキシメチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
水素化リチウムアルミニウム(14.5mg、0.38mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)懸濁液に、実施例2で得られた5−オキソ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−7−カルボン酸エチルエステル(92.8mg、0.25mmol)を−40℃で加えた。そのまま1時間攪拌後、徐々に室温まで昇温した。酢酸エチル(3mL)及び1規定塩酸(0.5mL)を加え反応をクエンチし、更に蒸留水(2mL)を加え抽出した。飽和食塩水で洗浄後得られる有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別し、有機層を減圧濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=10/1)で精製し、目的の化合物(29.9mg、36.3%)を得た。
MS(ESI)
m/z 325 [M+H]
実施例15 3−(3−シアノフェニル)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例1において、2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの替わりに2−ブロモ−3’−シアノアセトフェノン、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 264 [M+H]
実施例16 3−(3−シアノフェニル)−7−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例15で得られた3−(3−シアノフェニル)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンを実施例3と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 266 [M+H]
実施例17 7,7−ジメチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
参考例1において、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1、実施例3と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 323 [M+H]
実施例18 3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
参考例1において、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1、実施例3と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 295 [M+H]
実施例19 3−(3−ブロモフェニル)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例1において、2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの替わりに2,3’−ジブロモアセトフェノン、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 317,319 [M+H]
実施例20 7−メチル−3−(3−ニトロフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例1において、2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの替わりに2−ブロモ−3’−ニトロアセトフェノン、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 284 [M+H]
実施例21 7−メチル−3−(3−トリル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例1において、2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの替わりに2−ブロモ−3’−メチルアセトフェノン、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 253 [M+H]
実施例22 3−(3−メトキシカルボニルフェニル)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例1において、2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの替わりに3−(2’−ブロモアセチル)安息香酸メチル、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 297 [M+H]
実施例23 3−(3−アセチルアミノフェニル)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例1において、2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの替わりに3−(2’−ブロモアセチル)アセトアニリド、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 296 [M+H]
実施例24 3−(3−フルオロフェニル)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例1において、2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの替わりに2−ブロモ−3’−フルオロアセトフェノン、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 257 [M+H]
実施例25 3−(3−メトキシフェニル)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例1において、2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの替わりに2−ブロモ−3’−メトキシアセトフェノン、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで目的の化合物を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.27(3H、d、J=6.2Hz)、2.37−2.59(2H、complex)、2.78−3.14(2H、complex)、3.51−3.67(1H、m)、3.92(3H、s)、7.07(1H、ddd、J=1.0,2.6,8.2Hz)、7.45(1H、t、J=8.0Hz)、7.66(1H、ddd、J=1.1、1.5、7.7Hz)、7.78(1H、dd、J=1.6、2.6Hz)、8.25(1H、s)
MS(ESI)
m/z 269 [M+H]
実施例26 7−ベンジル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−c]ピリダジン−3−オンの合成
参考例1において、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに1−ベンジル−5−ヒドロキシ−1,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−3−オンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 384 [M+H]
実施例27 7−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例3で得られる5−ヒドロキシ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−7−カルボン酸エチルエステル(5mg、0.01mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を−20℃に冷却し、3規定−臭化メチルマグネシウムのテトラヒドロフラン溶液(0.3mL、0.9mmol)を加え昇温しながら終夜攪拌した。反応液に酢酸エチル(3mL)及び1規定硫酸水素ナトリウム溶液(1mL)を加え分液した。得られる有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し得られる有機層を減圧濃縮して目的の化合物(4.5mg、93.9%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.21(3H、s)、1.24(3H、s)、1.58−1.74(1H、m)、1.94−2.14(1H、m)、2.42−2.56(1H、m)、3.03(1H、dd、J=11.0、17.6Hz)、3.41(1H、dd、J=5.2、17.6Hz)、4.88(1H、dd、J=5.3、10.4Hz)、7.62(1H、t、J=7.7Hz)、7.73(1H、d、J=7.7Hz)、8.08(1H、brs)、8.28(1H、d、J=7.7Hz)、8.34(1H、brs)
MS(ESI)
m/z 353 [M+H]
実施例28 3−((2−フルオロ−5−トリフルオロメチル)フェニル)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例1において、2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの替わりに2−ブロモ−2’−フルオロ−5’−トリフルオロメチルアセトフェノン、5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用い同様に処理することで得られる生成物を、引き続き参考例2、実施例1と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 325 [M+H]
実施例29 3−((2−フルオロ−5−トリフルオロメチル)フェニル)−7−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例28で得られた3−((2−フルオロ−5−トリフルオロメチル)フェニル)−7−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンを実施例3と同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 327 [M+H]
実施例30 5,7−ジメチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例66で得られた、5−オキソ−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン(200mg、0.65mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、−20℃まで冷却した。反応液に3規定−塩化メチルマグネシウムのテトラヒドロフラン溶液(0.26mL,0.78mmoL)を加え昇温しながら3時間反応させた。反応液に蒸留水(1mL)を加えクエンチし、酢酸エチル(5mL)及び1規定硫酸水素ナトリウム水溶液(5mL)を加え抽出し、有機層を飽和食塩水(3mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1〜1/1)で精製し、目的の化合物(74.1mg、35%)を淡黄色結晶として得た。
MS(ESI)
m/z 323 [M+H]
実施例31 5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例6で得られる、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(10mg、0.03mmoL)をテトラヒドロフラン及びジクロロメタン(0.5mL/0.5mL)の混合溶媒に溶解し、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(9mg、0.045mmoL)、N,N−ジメチルアミノピリジン(触媒量)及びN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニン(9mg、0.045mmoL)を加え室温で終夜攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 480 [M+H]
実施例32 5−(L−アラニル)オキシ−7−メチル−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例31で得られた、5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンをジオキサン(0.5mL)に溶解し、氷冷下4規定塩化水素/ジオキサン(0.5mL)を加え終夜反応させた。反応液を濃縮乾固することで目的化合物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 380 [M+H]
実施例33 5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−(tert−ブチル)−α−アスパラチル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例31において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニンの代わりに、N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−(tert−ブチル)−α−アスパラギン酸を用い同様に操作することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 580 [M+H]
実施例34 5−(α−アスパラチル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例33で得られた、5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−(tert−ブチル)−α−アスパラチル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 424 [M+H]
実施例35 5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−α−(tert−ブチル)−β−アスパラチル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例31において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニンの代わりに、N−(tert−ブトキシカルボニル)−α−(tert−ブチル)−β−アスパラギン酸を用い同様に操作することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 580 [M+H]
実施例36 5−(β−アスパラチル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例35で得られた、5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−β−(tert−ブチル)−β−アスパラチル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 424 [M+H]
実施例37 5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−γ−(tert−ブチル)−α−グルタミル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例31において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニンの代わりに、N−(tert−ブトキシカルボニル)−γ−(tert−ブチル)−α−グルタミン酸を用い同様に操作することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 594 [M+H]
実施例38 5−(α−グルタミル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例37で得られた、5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−γ−(tert−ブチル)−α−グルタミル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 438 [M+H]
実施例39 5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−α−(tert−ブチル)−γ−グルタミル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例31において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニンの代わりに、N−(tert−ブトキシカルボニル)−α−(tert−ブチル)−γ−グルタミン酸を用い同様に操作することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 594 [M+H]
実施例40 5−(γ−グルタミル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例39で得られた、5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−α−(tert−ブチル)−γ−グルタミル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 438 [M+H]
実施例41 5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例31において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニンの代わりに、N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシンを用い同様に操作することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 466 [M+H]
実施例42 5−グリシルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例41で得られた、5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 366 [M+H]
実施例43 5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ロイシル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例31において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニンの代わりに、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ロイシンを用い同様に操作することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 480 [M+H]
実施例44 5−(L−ロイシルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例43で得られた、5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ロイシル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 380 [M+H]
実施例45 5−(N(α)、N(ε)−(ジ−tert−ブトキシカルボニル)−L−リシル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例31において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニンの代わりに、N(α)、N(ε)−(ジーtert−ブトキシカルボニル)−L−リシンを用い同様に操作することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 637 [M+H]
実施例46 5−(L−リシルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・3酸塩の合成
実施例45で得られた、5−(N(α)、N(ε)−(ジーtert−ブトキシカルボニル)−L−リシル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 437 [M+H]
実施例47 5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−メチオニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例31において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニンの代わりに、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−メチオニンを用い同様に操作することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 539 [M+H]
実施例48 5−(L−メチオニルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例47で得られた、5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−メチオニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 439 [M+H]
実施例49 5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例31において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニンの代わりに、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニンを用い同様に操作することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 556 [M+H]
実施例50 5−(L−フェニルアラニルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例49で得られた、5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−フェニルアラニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 456 [M+H]
実施例51 5−(L−プロリルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例8で得られた、高極性成分であるsyn−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−プロリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 406 [M+H]
実施例52 5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例31において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−アラニンの代わりに、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリンを用い同様に操作することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 508 [M+H]
実施例53 5−(L−バリルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例52で得られた、5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に処理することで目的物を白色固体として得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、DMSO−d
1.02(3H、d、J=6.9Hz)、1.07(3H、d、J=6.9Hz)、1.17(3H,d,J=6.4Hz)、1.54(1H,q,J=11.6Hz)、2.10−2.45(3H,complex)、2.81(1H,dd,J=11.1,17.5Hz)、2.37−2.59(2H、complex)、2.78−3.14(2H、complex)、3.51−3.67(1H、m)、3.92(3H、s)、6.11(1H,dd,J=6.1,10.1Hz)、7.82(1H,t,J=7.7Hz)、7.92(1H,d、J=7.9Hz)、8.55(1H,s)、8.63(1H,d,J=7.7Hz)、8.68(1H,s)、8.85−9.03(2H,br)
[α]25+105.2°(C1.016、MeOH)
m.p.201−3℃
MS(ESI)
m/z 408 [M+H]
実施例54 (5S,7S)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−D−フェニルアラニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例6で得られる7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール(27.8g,90.4mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(181mL)溶液に、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(26g,135.7mmol)及びN−(tert−ブトキシカルボニル)−D−フェニルアラニン(31.2g、117.6mmol)を加え、N−メチルピロリドン(36ml)で洗いこむ。混合液中に水冷下、N,N−ジメチルアミノピリジン(1.2g、9.0mmol)を加え、一晩攪拌した。反応液に酢酸エチル(0.6L)、蒸留水(0.3L)を加え抽出される有機層を5%硫酸水素カリウム水溶液(400mL)、飽和重曹水(300mL)、10%食塩水(300mL)で順次洗浄した。有機層を濃縮後得られる残渣にエタノール(187mL)を加え室温で終夜攪拌した。生じた結晶を濾取し、エタノール(35mL)で洗浄し目的の表記化合物(14.8g)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.18(3H,d,J=6.5Hz)、1.22−1.38(1H,m)、71(9H,s)、1.90−2.23(2H,complex)、2.72(1H,dd,J=11.5,17.9Hz)、3.10(2H,d,J=7.1Hz)、3.40(1H,ddd,J=1.4,5.0,17.7Hz)、4.52(1H,q,J=7.1Hz)、5.02(1H,d,J=6.5Hz)、6.07(1H,dd,J=5.9,11.1Hz)、7.01−7.40(5H,complex)、7.60(1H,t,J=7.8Hz)、7.92(1H,s)、8.32(1H,d,J=7.7Hz)、8.55(1H,s)
MS(ESI)
m/z 556 [M+H]
実施例55 (5S,7S)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例54で得られた(5S,7S)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−D−フェニルアラニル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン(280g,0.5mol)のメタノール(1.2L)溶液に室温で1規定水酸化ナトリウム水溶液(0.6L)を加え40℃で終夜反応を行った。反応液を10℃に冷却し、蒸留水(1.8L)を加え4時間懸濁攪拌後結晶を濾取することで表記化合物を得た。得られた化合物は実施例10で得られた化合物と一致した。
実施例56 (5R,7R)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例54において、N−(tert−ブトキシカルボニル)−D−フェニルアラニンの代わりにN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリン、エタノールの代わりに2−プロパノールを用い同様に処理することで目的の化合物を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.03(6H,dd,J=5.7,6.8Hz)、1.24(3H,d,J=6.6Hz)、1.48(9H,s)、1.51−1.69(1H,m)、2.04−2.37(3H,complex)、2.79(1H,dd,J=11.4,17.9Hz)、3.44(1H,ddd、J=1.7,4.9,17.9Hz)、4.15(1H,dd,J=6.0,7.9Hz)、5.01(1H,d,J=7.8Hz)、6.18(1H,dd,J=4.7Hz)、7.61(1H,t,J=7.8Hz)、7.73(1H,d)、8.00(1H,s)、8.35(1H,d,J=7.4Hz)、8.56(1H,s)
MS(ESI)
m/z 508 [M+H]
実施例57 (5R,7R)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例56で得られる(5R,7R)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例55と同様に操作することで目的の表記化合物を得た。得られた化合物は実施例9で得られた化合物と一致した。
実施例58 (−)−(5R,7R)−5−L−バリルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例56で得られる(5R,7R)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に操作することで目的の表記化合物を白色固体として得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、DMSO−d
0.87−1.22(10H,complex)、1.60(1H,q,J=12.0Hz)、2.12−2.40(3H,complex)、2.81(1H,dd,J=11.4,17.6Hz)、3.30(1H,dd,J=4.3,17.6Hz)、4.04(1H,t,J=4.8Hz)、6.22(1H,dd,J=5.9,10.6Hz)、7.81(1H,t,J=7.8Hz)、7.92(1H,d,J=8.0Hz)、8.46−8.70(2H,complex)、8.82−9.04(2H,br)
[α]25 −68.8°(C0.999、MeOH)
m.p.162−5℃
MS(FAB)
m/z 408 [M+H]
実施例59 (5S,7R)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例7において4−ニトロ安息香酸の替わりに(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリン、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの替わりに、(5R,7R)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールを用いて光延反応を行い、表記化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 508 [M+H]
実施例60 (5S,7R)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例59で得られた(5S,7R)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例55と同様に処理することで目的の表記化合物を得た。
実施例61 (+)−(5S,7R)−5−L−バリルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例59で得られた(5S,7R)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に操作することで目的の表記化合物を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、DMSO−d
0.92(3H,d,J=3.7Hz)、0.96(3H,d,J=3.7Hz)、1.13(3H,d,J=6.6Hz)、1.72−1.92(1H,m)、2.02−2.36(3H,complex)、2.72(1H,dd,J=11.4,17.6Hz)、3.36(1H,dd,J=4.3,17.6Hz)、3.79(1H,brt,J=4.5Hz)、6.12(1H,brs)、7.82(1H,t,J=7.6Hz)、7.92(1H,d,J=8.0Hz)、7.98−8.50(1H,br)、8.52(1H,d,J=8.5Hz)、8.60(1H,s)、8.70−8.88(2H,br)
[α]25 +36.9°(C0.975、MeOH)
m.p.186−9℃
MS(FAB)
m/z 408 [M+H]
実施例62 (5R,7S)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンの合成
実施例7において4−ニトロ安息香酸の替わりに(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリン、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの替わりに、(5S,7S)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールを用いて光延反応を行い、表記化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 508 [M+H]
実施例63 (5R,7S)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オールの合成
実施例62で得られた(5R,7S)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例55と同様に処理することで目的の表記化合物を得た。
実施例64 (−)−(5R,7S)−5−L−バリルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン・2塩酸塩の合成
実施例62で得られた(5R,7S)−5−(N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリル)オキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンを実施例32と同様に操作することで目的の表記化合物を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、DMSO−d
0.95−1.06(6H,complex)、1.15(3H,d,J=6.6Hz)、1.77−2.34(4H,complex)、2.74(1H,dd,J=10.9,17.4Hz)、3.37(1H,dd,J=4.2,17.5Hz)、3.75−3.90(1H,m)、6.20(1H,brt,J=3.3Hz)、7.82(1H,t,J=7.7Hz)、7.93(1H,t,J=7.7Hz)、8.50−8.59(2H,complex)、8.70−8.88(3H,complex)
[α]25 −15.8°(C1.010、MeOH)
m.p.181−5℃
MS(FAB)
m/z 408 [M+H]
参考例1 3−ヒドロキシ−2−[2−オキソ−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−エチル]−5−フェニルシクロヘキサ−2−エノンの合成
2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノン(534.1mg、2mmol)及び5−フェニル−1,3−シクロヘキサンジオン(376.5mg、2mmol)のクロロホルム(2mL)溶液に、炭酸カリウム(276.4mg、2mmol)を加え室温で終夜懸濁攪拌した。反応液に酢酸エチル(5mL)を加え不溶物を濾別し得られる有機層を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、得られる粗生成物を更に懸濁精製(ヘキサン1mL/酢酸エチル0.2mL)して目的化合物(257.8mg、35.0%)を得た。
MS(ESI)
m/z 375 [M+H]
参考例2 7−フェニル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オンの合成
参考例1で得られた3−ヒドロキシ−2−[2−オキソ−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−エチル]−5−フェニルシクロヘキサ−2−エノン(257.8mg、0.69mmol)のエタノール(1mL)溶液に塩酸ヒドラジン(72.3mg、0.69mmol)及びトリエチルアミン(0.19mL、1.38mmol)を加え室温で1時間攪拌した。反応液に蒸留水(3mL)を加え生じた黄色結晶を濾取し、目的の粗生成物(603mg)を得た。
MS(ESI)
m/z 371 [M+H]
参考例3 3−ヒドロキシ−5−オキソ−シクロヘキサ−3−エンカルボン酸エチルの合成
3,5−ジヒドロキシ安息香酸(25g、162.2mmol)のエタノール(200mL)懸濁液に硫酸(3mL)を加え室温で一晩、65℃で4日間加熱攪拌を行った。反応液を減圧濃縮した後、氷水(約300mL)中に攪拌しながら注ぎ込んだ。生じた白色結晶を濾取して3,5−ジヒドロキシ安息香酸エチル(22.8g、77.2%)を得た。
3,5−ジヒドロキシ安息香酸エチル(10g、54.89mmol)をエタノール(15mL)に溶解し、ギ酸ナトリウム(4.48g,65.87mmol)を加えた後、反応容器内を30℃で15分間窒素置換した。パラジウム炭素(364mg)を加え30℃で3時間、40℃で終夜反応を行った。触媒を濾別し、1規定塩酸で中和した後に減圧濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜0/1)で精製して目的の化合物(1.53g、15.1%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.26(3H、dt、J=1.8、7.1Hz)、2.66(2H、d、J=2.7Hz)2.83(1H、dd、J=1.8、6.6Hz)、3.01−3.19(1H、m)、3.32−3.55(1H、m)、4.18(2H、q、J=7.2Hz)、5.51(1H、s)、5.80−6.10(1H、br)
MS(ESI)
m/z 185 [M+H]
参考例4 5−ヒドロキシ−1−メチル−1,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−3−オンの合成
N−メチルグリシンエチルエステル塩酸塩(3.06g、20mmol)のエタノール(30mL)溶液に炭酸水素ナトリウム(3.36g、40mmol)及びブロモアセトン(1.68mL、20mmol)を加え60℃で終夜攪拌した。反応液を濾過後減圧濃縮して得られる残渣に10%塩酸(250mL)及び酢酸エチル(250mL)を加え分液した。得られる水層に炭酸水素ナトリウムをpH>7になるまで加え、酢酸エチル(250mL)で抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮して目的のN−メチル−N−(2−オキソプロピル)−グリシンエチルエステル(2.58g、74%)を得る。得られた化合物をtert−ブタノール(40mL)に溶解し、tert−ブトキシカリウム(1.67g、14.9mmol)を加え、室温で30分攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/30%アンモニア水=6/2.5/0.5)で精製することで目的の化合物(1.83g、96%)を得た。
MS(ESI)
m/z 128 [M+H]
参考例5 1−ベンジル−5−ヒドロキシ−1,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−3−オンの合成
参考例4において、N−メチルグリシンエチルエステル塩酸塩の替わりにN−ベンジルグリシンエチルエステル塩酸塩を用い同様に処理することで目的の化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 204 [M+H]
実施例65 7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オンの合成
参考例7で得られた3−ヒドロキシ−5−メチル−2−[2−オキソ−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−エチル]−シクロヘキサ−2−エノン(438.7mg、1.4mmol)のエタノール(14mL)溶液に塩酸ヒドラジン(177mg、1.7mmol)及びトリエチルアミン(0.49mL、3.5mmol)を加え室温で3時間攪拌した。反応液を濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=30/1)で精製し目的化合物(100.9mg、23.3%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.13(3H、d、J=5.9Hz)、2.00−2.60(5H、complex)、3.27(1H、d、J=9.3Hz)、3.57(1H、d、J=9.3Hz)、7.49(1H、brs)、7.54(1H、brd、J=7.9Hz)、7.65(1H、brd、J=7.7Hz)、7.94(1H、brd、J=7.8Hz)、8.08(1H、brs)
MS(ESI)
m/z 309 [M+H]
実施例66 7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
実施例65で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オン(136.2mg、0.44mmol)のピリジン(1mL)溶液にp−トルエンスルホン酸1水和物(84mg、0.44mmol)を加え室温で3日間攪拌した。反応液を濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=30/1)で精製し目的化合物(89.0mg、66.1%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.28(3H、d、J=1.3Hz)、2.40−2.62(2H、complex)、2.80−2.89(1H、m)、2.90−3.19(1H、m)、3.55−3.70(1H、m)、7.68(1H、brt、J=7.7Hz)、7.74(1H、brd、J=7.7Hz)、8.29(1H、s)、8.34(1H、brd、J=7.3Hz)、8.44(1H、brs)
MS(ESI)
m/z 307 [M+H]
実施例67 [7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−イリデン]ヒドラジンの合成
実施例65で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−シンノリン−5−オン(230mg、0.74mmol)のエタノール(3mL)溶液に塩酸ヒドラジン(77.3mg、0.74mmol)及びトリエチルアミン(0.206mL、1.48mmol)を加え室温で終夜攪拌した。反応液を濃縮して得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し目的化合物(29.5mg、12.5%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.26(3H、d、J=1.3Hz)、2.03(1H、dd、J=10.6、16.4Hz)、2.06−2.36(1H、m)、2.75(1H、ddd、J=1.6、4.4、16.4Hz)、2.83(1H、dd、J=10.8、16.5Hz)、3.49(1H、ddd、J=1.5、3.6、16.5Hz)、4.5−6.5(2H、m)、7.65(1H、t、J=7.7Hz)、7.75(1H、d、J=7.8Hz)、8.26−8.47(3H、complex)
MS(ESI)
m/z 321 [M+H]
実施例68 3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例7で用いられる5−メチル−1、3−シクロヘキサンジオンの替わりに、市販の1,3−シクロヘキサンジオンを用いて反応をし、引き続き実施例65、続いて実施例66と同様に処理することで目的化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 293 [M+H]
実施例69 7,7−ジメチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オンの合成
参考例7で用いられる5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンの替わりに、市販の5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンを用いて反応をし、引き続き実施例65、続いて実施例66と同様に処理することで目的化合物を得た。
MS(ESI)
m/z 321 [M+H]
参考例6 2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノンの合成
市販の3’−トリフルオロメチルアセトフェノン(79.6g、0.423mol)のトルエン(423mL)溶液に、氷冷下過臭化臭化ピリジニウム(135.4g、0.423mol)を加え室温まで昇温しながら5時間攪拌した。反応液を再び氷冷し、蒸留水400mLを滴下して反応を停止してから分液した。トルエン層を飽和重曹水400mLで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥しトルエンを減圧濃縮した後、減圧蒸留を行い目的化合物(92.35g、81.7%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
4.46(2H、s)、7.66(1H、brt、J=7.9Hz)、7.88(1H、brd、J=7.6Hz)、8.19(1H、brd、J=7.5Hz)、8.25(1H、brs)
b.p.92℃/3mmHg
参考例7 3−ヒドロキシ−5−メチル−2−[2−オキソ−2−(3−トリフルオロメチルフェニル)−エチル]−シクロヘキサ−2−エノンの合成
参考例6で得られた2−ブロモ−3’−トリフルオロメチルアセトフェノン(63.5g、0.238moL)及び5−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン(30g、0.238moL)のクロロホルム(240mL)溶液に、炭酸カリウム(32.9g、0.238moL)を加え室温で終夜攪拌した。反応液を濾過し、得られた白色固体を蒸留水(300mL)に懸濁させ氷冷下濃塩酸(30mL)を滴下した。酢酸エチル(700mL)及びエタノール(50mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過して得られる有機層を減圧濃縮後得られる残渣に酢酸エチル(200mL)を加え室温で4時間懸濁攪拌を行った。結晶を濾取して目的の化合物(25.7g、34.6%)を得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、CDCl
1.06(3H、d、J=5.9Hz)、1.98−2.63(5H、complex)、3.77(1H、d、J=13.6Hz)、4.29(1H、d、J=13.6Hz)、7.63(1H、brt、J=7.6Hz)、7.87(1H、brd、J=7.8Hz)、8.43−8.52(2H、complex)、9.64(1H、s)
MS(ESI)
m/z 313 [M+H]
実施例70 7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オールの合成
実施例66で得られる7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オン(306mg,1.0mmol)の酢酸エチル(1mL)溶液に臭化銅(II)(446mg,2.0mmol)を加え8時間加熱還流下反応を行った。反応液に飽和重曹水(2mL)を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧濃縮した後得られる残渣に酢酸エチル(1mL)を加え、得られる固体を濾取することで目的物(17mg、5.5%)を黄色固体として得た。
H−NMR(200MHzFT、TMS、DMSO−d
2.54(3H,s)、7.02(1H,s)、7.79(1H,s)、7.80−7.95(2H,complex)、8.52−8.69(2H,complex)、11.1(1H,s)
MS(ESI)
m/z 305 [M+H]
実施例71 5−メトキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリンの合成
実施例70で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール(30.4mg、0.1mmol)のアセトン(5mL)溶液に、ヨウ化メチル(0.006mL、0.11mmol)及び炭酸カリウム(13.8mg,0.11mmol)を加え、室温で終夜反応させた。反応液を減圧濃縮して得られる残渣に蒸留水(1mL)を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧濃縮し得られる残渣をHPLCカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し目的の化合物(5mg、15%)を白色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 319 [M+H]
実施例72 5−アセチルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリンの合成
実施例70で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール(60mg、0.2mmol)のピリジン(2mL)溶液に無水酢酸(3mL)を加え、室温で終夜反応させた。反応液を減圧濃縮し、蒸留水(1mL)を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧濃縮し得られる残渣をHPLCカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し目的の化合物(25mg、36%)を淡黄色固体として得た。
MS(ESI)
m/z 347 [M+H]
実施例73 5−ベンジルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリンの合成
実施例70で得られた7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール(60mg、0.2mmol)のアセトン(5mL)溶液に臭化ベンジル(0.024mL)及び炭酸カリウム(28mg,0.2mmol)を加え室温で終夜攪拌した。その後3時間加熱還流を行った。反応液に更に臭化ベンジル(0.024mL)及び炭酸カリウム(28mg,0.2mmol)を加え終夜室温で攪拌した。反応液を減圧濃縮し、蒸留水(1mL)を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧濃縮し得られる残渣をHPLCカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し目的の化合物(8mg、10%)を得た。
MS(ESI)
m/z 395 [M+H]
試験例1 乳癌細胞MCF−7及びMDA−MB−453を用いた in vitroにおける抗腫瘍効果
2000個のMCF−7、4000個のMDA−MB−453を10%血清添加のRPMI 1640培地(旭テクノクラス社)を用い96穴プレートに播種した。各細胞を37℃、5%CO/95%Airの条件下で24時間培養後、実施例1、2、6、9〜13、20、24、26、27、65,66,70,71,72及び73の化合物を添加し、更に3日間培養した。細胞を0.05%のMethylene Blue溶液で染色し、660nMの吸光度をマイクロプレートリーダー(Benchmark Plus・BIO RAD製)で測定した。増殖抑制率は下記式で求め、実施例1、2、6、9〜13、20、24、26、27、65,66,70,71,72及び73の化合物の50%細胞増殖抑制濃度を表2に示した。
増殖抑制率=(1−薬剤添加の吸光度÷対照群の吸光度)×100


表1から明らかなように、実施例1、2、6、9〜13、20、24、26、27、65,66,70,71,72及び73の化合物は乳癌細胞の増殖を抑制する抗腫瘍効果を有している。
更に、4000個の乳癌細胞T−47Dを用いて上記と同様な条件下、実施例65又は66の化合物を添加し試験をしたところ、IC50値が0.67μg/ml、0.28μg/mlとなり、乳癌細胞T−47Dにも抗腫瘍効果を示した。
試験例2 乳癌腫瘍ZR−75−1を用いたin vivoにおける抗腫瘍効果
雌、ヌードマウスの背側部皮下に乳癌腫瘍ZR−75−1を移植し、腫瘍が対数増殖を始めた時点から実施例66及び実施例53の化合物を500mg/kgの用量で1日1回14日間連続経口投与した。経時的に腫瘍の短径及び長径を測定し、下記式にて腫瘍の体積を求めた。投与開始時の腫瘍体積を1とした相対腫瘍体積を求め、治療群の腫瘍体積を対照群の腫瘍体積で割った値(T/C)で効果を判定した。
腫瘍体積=短径×短径×長径/2
実施例66及び実施例53の化合物を投与開始後15日目のT/Cはそれぞれ30.3%及び34.0%であり、実施例66及び実施例53の化合物はin vivoにおいても乳癌腫瘍の増殖を抑制する抗腫瘍効果を有していることを示した。
【産業上の利用可能性】
本発明により、腫瘍の予防又は治療に有効に使用し得るシンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩、並びにシンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩を有効成分とする抗腫瘍剤・細胞増殖阻害剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)又は(2)

[式中、JはA−C−B(Cは炭素原子を示す)を示し、AはO−Y基(Oは酸素原子、Yは水素原子、フェニル基で置換されていてもよい低級アルキル基、低級アシル基若しくは保護されていてもよいアミノ酸残基を示す)を示し、Bは水素原子、低級アルキル基又はAと共にカルボニル基若しくは置換イミノ基を示し、Kは(CHを示し、LはN−W(Nは窒素原子を示す)若しくはW−C−W’(Cは炭素原子を示す)を示し、W、W’はそれぞれ独立して、水酸基、低級アルコキシル基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基、フェニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基若しくは水素原子を示し、Mは(CHを示し、あるいはJ−K−L−MがC(O−Y)=CH−C(W)=CH(Y及びWは上記と同じ意味を示す)を示し、Zは酸素原子若しくはN−Q(Qはアミノ基、低級アルキルアミノ基、水酸基あるいは低級アルコキシル基を示す)を示し、X,X’はそれぞれ独立して低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシル基、ハロゲノ低級アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子若しくは水素原子を示し、m、qはそれぞれ独立して0〜3までの整数を示し、n、n’はそれぞれ独立して0又は1を示す]で表される3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
【請求項2】
3−フェニル−シンノリン類縁体が下記一般式(3)

[式中、AはO−Y基(Yは水素原子、フェニル基で置換されていてもよい低級アルキル基、低級アシル基又は保護されていてもよいアミノ酸残基を示す)を示し、Bは水素原子、低級アルキル基又はAと共にカルボニル基若しくは置換イミノ基を示し、LはN−WあるいはW−C−W’を示し、W、W’はそれぞれ独立して、水酸基、低級アルコキシル基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基、フェニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又は水素原子を示し、Xは低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシル基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を示し、X’は低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシル基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、m、qはそれぞれ独立して0〜3までの整数を示し、n、n’はそれぞれ独立して0又は1を示す]で表される化合物である請求項1記載の抗腫瘍剤。
【請求項3】
Bが水素原子であり、LがW−C−W’であり、W、W’がそれぞれ独立して水酸基、低級アルコキシル基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基又は水素原子であり、Xが3−トリフルオロメチル基、3−ニトロ基、3−シアノ基又は3−ブロモ基であり、X’が水素原子であり、m、qがともに1であり、nが0又は1、n’が0である請求項2記載の抗腫瘍剤。
【請求項4】
W,W’がそれぞれ独立して水素原子又は低級アルキル基であり、Xが3−トリフルオロメチル基である請求項3記載の抗腫瘍剤。
【請求項5】
Yがグリシル基、アラニル基、バリル基又はα−グルタミル基であり、Bが水素原子であり、LがH−C−CHであり、Xが3−トリフルオロメチル基、X’が水素原子であり、m、qがともに1であり、nが0又は1、n’が0である請求項2記載の抗腫瘍剤。
【請求項6】
3−フェニル−シンノリン類縁体が下記一般式(4)

[式中、X,X’はそれぞれ独立して低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アシルアミノ基、低級アルコキシル基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、Yはフェニル基で置換されていてもよい低級アルキル基、低級アシル基又は水素原子を示し、Wは水酸基、低級アルコキシル基、フェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基、フェニル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基又は水素原子を示す]で表される化合物である請求項1記載の抗腫瘍剤。
【請求項7】
Xがトリフルオロメチル基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、X’が水素原子であり、Wが水酸基、低級アルコキシル基、フェニル基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい低級アルキル基である請求項6記載の抗腫瘍剤。
【請求項8】
Xが3−トリフルオロメチル基、3−ニトロ基、3−シアノ基又は3−ハロゲン原子であり、Wが無置換の低級アルキル基である請求項7記載の抗腫瘍剤。
【請求項9】
3−フェニル−シンノリン類縁体が下記一般式(5)

[式中、W、W’はそれぞれ独立に水素原子あるいは低級アルキル基を示し、Xはハロゲノ低級アルキル基を示し、Zは酸素原子又はN−Qを示し、Qはアミノ基、低級アルキルアミノ基、水酸基あるいは低級アルコキシル基を示す]で表される化合物である請求項1記載の抗腫瘍剤。
【請求項10】
Wが水素原子又はメチル基、W’が水素原子又はメチル基、Xが3−トリフルオロメチル基、Zが酸素原子である請求項9記載の抗腫瘍剤。
【請求項11】
Wが水素原子又はメチル基、W’が水素原子又はメチル基、Xが3−トリフルオロメチル基、ZがN−NHである請求項9記載の抗腫瘍剤。
【請求項12】
3−フェニル−シンノリン類縁体が7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−6H−シンノリン−5−オン、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール、7−メチル−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)シンノリン−5−オール、7−メチル−1−オキシ−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン−5−オール、5−グリシルオキシ−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン、5−(L−アラニルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン、5−(L−バリルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリン、5−(L−α−グルタミルオキシ)−7−メチル−3−(3−トリフルオロメチル)−5,6,7,8−テトラヒドロシンノリンである請求項1記載の抗腫瘍剤。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩を有効成 細胞増殖阻害剤。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の3−フェニル−シンノリン類縁体又はその生理学的に許容される塩、ただし、Zが酸素原子である化合物を除く。

【国際公開番号】WO2004/052866
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【発行日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502366(P2005−502366)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015767
【国際出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】