説明

3−フェニルピラゾロ[5,1−b]チアゾール化合物の製造方法

【課題】副腎皮質刺激ホルモン放出因子受容体拮抗活性を有する3−フェニルピラゾロ[5,1−b]チアゾール化合物の工業的に有利な製造方法の提供。
【解決手段】式(II)


[式中、Rは、メトキシ基、シアノ基、シクロブチルオキシメチル基、メトキシメチル基またはエトキシメチル基を意味し;Rは、メトキシ基または塩素原子を意味する。]で表される化合物のニトロソ基を還元し、得られた還元体を単離することなくアミノ基の保護基で修飾することにより、保護アミノ基置換−3−フェニルピラゾロ[5,1−b]チアゾール化合物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−フェニルピラゾロ[5,1−b]チアゾール化合物の製造方法に関する。かかる製造方法で得られる化合物は、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(Corticotropin−releasing factor;以下、「CRF」という。)受容体拮抗作用を有する化合物の製造中間体として有用である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下記式
【化1】

[式中、
は式−A11−A12を意味し;
はテトラヒドロフリルメチル基、テトラヒドロピラニルメチル基またはテトラヒドロピラニル基を意味し;
11は単結合、メチレン基または1,2−エチレン基を意味し;
12はC1−6アルキル基、C3−6シクロアルキル基またはメチル基を有するC3−6シクロアルキル基を意味し;
はメトキシ基、シアノ基、シクロブチルオキシメチル基、メトキシメチル基またはエトキシメチル基を意味し;
はメトキシ基または塩素原子を意味する。]で表される3−フェニルピラゾロ[5,1−b]チアゾール化合物は、CRF受容体拮抗作用を有していることが記載されている。また、当該特許文献には、上記化合物の製造中間体として、下記式
【化2】

で示される化合物およびその製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第09/128383号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の上記製造中間体の製造方法は、高価な試薬を必要とする点、カラム精製の必要性や工程数の多さから、収率が高くなく、環境に対する負荷も小さくない点から、必ずしも工業的製法として十分とは言えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、発明者が鋭意検討の結果、本発明を見出すに至った。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<6>に関する。
<1>式(II)
【化3】

[式中、Rは、メトキシ基、シアノ基、シクロブチルオキシメチル基、メトキシメチル基またはエトキシメチル基を意味し;
は、メトキシ基または塩素原子を意味する。]で表される化合物を還元して、式(III)
【化4】

[式中、RおよびRは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程および
式(III)で表される化合物を単離することなくアミノ基の保護基で修飾して、式(IV)
【化5】

[式中、RおよびRは、前記と同意義であり;Prは、アミノ基の保護基を意味する。]で表される化合物を得る工程を含む、式(IV)で表される化合物の製造方法。
<2>アミノ基の保護試薬の存在下で還元反応を行うことにより、還元および保護を一段階で行うことを特徴とする<1>記載の製造方法。
<3>式(V)
【化6】

[式中、Rは、メトキシ基、シアノ基、シクロブチルオキシメチル基、メトキシメチル基またはエトキシメチル基を意味し;
は、メトキシ基または塩素原子を意味し;
はC1−6アルキル基または6−10員アリールC1−6アルキル基を意味する。]で表される化合物を加水分解して、式(V’)
【化7】

[式中、RおよびRは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程、
式(V’)で表される化合物を脱炭酸して、式(V’’)
【化8】

[式中、RおよびRは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程および
式(V’’)で表される化合物をニトロソ化して、式(II)
【化9】

[式中、RおよびRは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程をさらに含む、<1>または<2>記載の製造方法。
<4>式(VI)
【化10】

[式中、Rは、C1−6アルキル基または6−10員アリールC1−6アルキル基を意味し;
Xは、ハロゲン原子を意味する。]で表される化合物をNH基の保護基で修飾して、式(VII)
【化11】

[式中、RおよびXは、前記と同意義であり;
Prは、NH基の保護基を意味する。]で表される化合物を得る工程、
式(VII)で表される化合物を式MS[式中、Mは、アルカリ金属またはアンモニオ基を意味する。]で表される化合物と反応させ、次いで式(VII)の化合物と式MSで表される化合物との反応生成物と式(VIII)
【化12】

[式中、Rは、メトキシ基、シアノ基、シクロブチルオキシメチル基、メトキシメチル基またはエトキシメチル基を意味し;
は、メトキシ基または塩素原子を意味し;
は、ハロゲン原子を意味する。]で表される化合物とを反応させて、式(IX)
【化13】

[式中、R、R、RおよびPrは、前記と同意義である。]で表される化合物を製造する工程および
式(IX)で表される化合物を脱保護と同時に環化させて、式(V)
【化14】

[式中、R、RおよびRは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程をさらに含む、<3>記載の製造方法。
<5>式(VI)
【化15】

[式中、Rは、C1−6アルキル基または6−10員アリールC1−6アルキル基を意味し;
Xは、ハロゲン原子を意味する。]で表される化合物をNH基の保護基で修飾して、式(VII)
【化16】

[式中、RおよびXは、前記と同意義であり;
Prは、NH基の保護基を意味する。]で表される化合物を得る工程、
式(VII)で表される化合物を式MS[式中、Mは、アルカリ金属またはアンモニオ基を意味する。]で表される化合物と反応させ、次いで式(VII)の化合物と式MSで表される化合物との反応生成物と式(VIII)
【化17】

[式中、Rは、メトキシ基、シアノ基、シクロブチルオキシメチル基、メトキシメチル基またはエトキシメチル基を意味し;
は、メトキシ基または塩素原子を意味し;
は、ハロゲン原子を意味する。]で表される化合物とを反応させて、式(IX)
【化18】

[式中、R、R、RおよびPrは、前記と同意義である。]で表される化合物を製造する工程および
式(IX)で表される化合物を脱保護と同時に環化させて、式(V)
【化19】

[式中、R、R、RおよびPrは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程を含む、式(V)で表される化合物の製造方法。
<6>Rがエトキシメチル基であり、Rがメトキシ基であり、RがC1−6アルキル基であり、Prがtert−ブトキシカルボニル基であり、Prが1−イソプロポキシエチル基であり、Xが臭素原子であり、Xが臭素原子である、<1>〜<5>のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、CRF受容体拮抗作用を有する3−フェニルピラゾロ[5,1−b]チアゾール化合物を工業的に有利に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書中においては、化合物の構造式が便宜上一定の異性体を表すことがあるが、本発明には化合物の構造上生ずる総ての幾何異性体、光学異性体、立体異性体、互変異性体等の異性体および異性体混合物を含み、便宜上の式の記載に限定されるものではなく、いずれか一方の異性体でも、各異性体を任意の比率で含む混合物でもよい。従って例えば、本発明の化合物には、光学活性体およびラセミ体が存在することがありえるが、本発明においてはいずれにも限定されず、ラセミ体であっても、各光学活性体のいずれかであっても、各光学活性体を任意の比率で含む混合物でもよい。
【0008】
本明細書における「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を意味し、具体例としては、例えばメチル基、エチル基、1−プロピル基(n−プロピル基)、2−プロピル基(i−プロピル基)、2−メチル−1−プロピル基(i−ブチル基)、2−メチル−2−プロピル基(tert−ブチル基)、1−ブチル基(n−ブチル基)、2−ブチル基(s−ブチル基)、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−メチル−1−ブチル基、3−メチル−1−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、3−メチル−2−ブチル基、2,2−ジメチル−1−プロピル基、1−へキシル基、2−へキシル基、3−へキシル基、2−メチル−1−ペンチル基、3−メチル−1−ペンチル基、4−メチル−1−ペンチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−2−ペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、2−メチル−3−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基、2,3−ジメチル−1−ブチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2,2−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3,3−ジメチル−2−ブチル基、2,3−ジメチル−2−ブチル基等が挙られる。
【0009】
本明細書における「6−10員アリールC1−6アルキル基」とは、6−10員環芳香族炭化水素基が1ないし3個結合した「C1−6アルキル基」を意味し、具体例としては、例えばベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
【0010】
本明細書における「アミノ基の保護基」とは、−NH基を保護するために用いられる置換基であり、例えば文献記載の保護基[プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis),T.W.グリーン(T.W.Greene)著、John Wiley&Sons社(1981)年参照]を用いることができ、具体的には、ベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等が挙げられ、好適にはtert−ブトキシカルボニル基である。
【0011】
本明細書における「NH基の保護基」とは、ピラゾールのNH基を保護するために用いられる置換基であり、例えば文献記載の保護基[プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis),T.W.グリーン(T.W.Greene)著、John Wiley&Sons社(1981)年参照]を用いることができ、具体的には、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基等が挙げられ、好適には1−イソプロポキシエチル基である。
【0012】
本明細書における「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味し、好適には臭素原子である。
【0013】
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
【0014】
製造方法A
本発明に係る式(V)の化合物は、製造方法Aにより製造することができる。
【化20】

[式中、R、R、R、Pr、XおよびXは前記と同意義である。]
【0015】
本発明の製造方法Aにおける工程A−1は、化合物(VI)のNH基を保護する工程であり、通常の保護反応によって行うことができる。化合物(VI)には互変異性体が存在し、したがって化合物(VII)には位置異性体が存在する。この位置異性体の存在比は反応条件によって変化し、どちらか一方のみでも混合物でもよい。保護基が例えば1−イソプロポキシエチル基の場合、化合物(VI)に対して0.01〜0.5当量の酸触媒存在下、1〜5当量のイソプロピルビニルエーテルを反応させることにより行うことができる。酸触媒としてはピリジニウム p−トルエンスルホネートが好ましく用いられる。
本反応は窒素、アルゴンなどの不活性気体の気流下または雰囲気下でも行うことができる。
本反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。上記反応に使用される溶媒は、出発化合物をある程度溶解し、かつ、本反応を阻害するものでなければ特に限定されない。具体的には、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N―メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリル、イソブチロニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、スルホランなどのスルホン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、炭酸ジエチルなどのエステル類またはこれら溶媒の混合溶媒を挙げることができ、好適には、テトラヒドロフランである。
反応温度は、特に限定されず、好適には0℃〜溶媒の還流温度であり、より好適には室温である。
【0016】
本発明の製造方法Aにおける工程A−2は、化合物(VII)を硫化ナトリウムと反応させ、次いで化合物(VIII)と反応させることにより、化合物(IX)を得る工程である。
硫化ナトリウムとの反応は、窒素、アルゴンなどの不活性気体の気流下または雰囲気下でも行うことができる。
【0017】
本反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。上記反応に使用される溶媒は、出発化合物をある程度溶解し、かつ、本反応を阻害するものでなければ特に限定されない。具体的には、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N―メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブなどのアルコール類;アセトニトリル、イソブチロニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、スルホランなどのスルホン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、炭酸ジエチルなどのエステル類もしくは水またはこれら溶媒の混合溶媒を挙げることができ、好適には、アミド類またはスルホキシド類であり、より好適には、ジメチルホルムアミドである。
硫化ナトリウムは、化合物(VII)に対して1〜2モル当量用いることができ、好適には、1〜1.5モル当量である。
反応温度は、特に限定されず、好適には、室温〜溶媒の還流温度であり、より好適には、50〜120℃である。
反応時間は、特に限定されず、好適には、10分〜96時間であり、より好適には、30分〜24時間である。
【0018】
化合物(VII)と硫化ナトリウムの反応後、必要に応じて冷却し、ろ過またはデカンテーションによって反応液から過剰の硫化ナトリウムを除くことができ、特に単離精製することなく化合物(VIII)との反応を行うことができる。また、硫化ナトリウムを除去することなく化合物(VIII)との反応を行うことができる。
化合物(VIII)との反応は、上記反応液に化合物(VIII)を加えて行うことができる。
化合物(VIII)は、化合物(VII)に対して0.8〜1.5モル当量用いることができ、好適には、0.9〜1.1モル当量である。
反応温度は特に限定されず、好適には0〜50℃であり、より好適には、室温である。
反応時間は、特に限定されず、好適には、10分〜96時間であり、より好適には30分〜24時間である。
【0019】
本発明の製造方法Aにおける工程A−3は、化合物(IX)を脱保護すると同時に環化させて化合物(V)を得る工程である。
脱保護反応は、保護基によって異なるが、通常の方法を用いることができ、例えば保護基が1−イソプロポキシエチル基の場合は、化合物(IX)に対して1〜10モル当量の酸を用いて加水分解することができる。
本反応に使用される酸は、特に限定されないが、好適には、塩化水素、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸が用いられ、より好適には5規定塩酸である。
本反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。上記反応に使用される溶媒は、出発化合物をある程度溶解し、かつ、本反応を阻害するものでなければ特に限定されない。具体的には、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N―メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブなどのアルコール類;アセトニトリル、イソブチロニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、スルホランなどのスルホン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、炭酸ジエチルなどのエステル類もしくは水またはこれら溶媒の混合溶媒を挙げることができ、好適には、アルコール類またはアルコール類と水の混合溶媒であり、より好適には、イソプロパノールまたはイソプロパノールと水の混合溶媒である。
反応温度は、特に限定されず、好適には、−30℃〜溶媒の還流温度であり、より好適には、0〜80℃である。
反応時間は、特に限定されず、好適には、1〜96時間であり、より好適には、3〜24時間である。
本発明の製造方法Aにおける工程A−1から工程A−3にかけて化合物(VII)および化合物(IX)を単離精製することなくワンポットで化合物(V)を得ることができる。
【0020】
製造方法B
本発明に係る式(IV)の化合物は、製造方法Aと製造方法Bとを組み合わせて製造することができる。
【化21】

[式中、R、R、RおよびPrは前記と同意義である。]
【0021】
本発明の工程B−1は、化合物(V)のエステルを塩基存在下加水分解して、化合物(V’)を得る工程であり、窒素、アルゴンなどの不活性気体の気流下または雰囲気下でも行うことができる。
本反応で用いる塩基としては、特に制限はないが、好適には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウムなどを用いることができ、より好適には5規定水酸化ナトリウム水溶液である。使用される塩基は、化合物(V)に対して1〜10モル当量であり、より好適には1〜5モル当量である。
本反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。上記反応に使用される溶媒は、出発化合物をある程度溶解し、かつ、本反応を阻害するものでなければ特に限定されない。具体的には、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N―メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブなどのアルコール類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、スルホランなどのスルホン類もしくは水またはこれら溶媒の混合溶媒を挙げることができ、好適には、アルコール類またはアルコール類と水の混合溶媒であり、より好適には、エタノールまたはエタノールと水の混合溶媒である。
反応温度は、特に限定されず、好適には、室温〜溶媒の還流温度であり、より好適には、40〜80℃である。
反応時間は、特に限定されず、好適には、10分〜96時間であり、より好適には、1〜24時間である。
【0022】
本発明の工程B−2は、化合物(V’)のカルボキシル基を酸の存在下または非存在下脱炭酸させて、化合物(V’’)を得る工程であり、窒素、アルゴンなどの不活性気体の気流下または雰囲気下でも行うことができる。
本反応で使用される酸は、特に限定されないが、好適には、塩化水素、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸が用いられ、より好適には5規定塩酸である。使用される酸は、化合物(V’)に対して1〜10モル当量であり、より好適には1〜5モル当量である。
本反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。上記反応に使用される溶媒は、出発化合物をある程度溶解し、かつ、本反応を阻害するものでなければ特に限定されない。具体的には、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N―メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブなどのアルコール類もしくは水またはこれら溶媒の混合溶媒を挙げることができ、好適には、アルコール類またはアルコール類と水の混合溶媒であり、より好適には、2−プロパノールまたは2−プロパノールと水の混合溶媒である。
反応温度は、特に限定されず、好適には、室温〜溶媒の還流温度であり、より好適には、40〜100℃である。
反応時間は、特に限定されず、好適には、30分〜96時間であり、より好適には、1〜24時間である。
【0023】
本発明の工程B−3は、化合物(V’’)を溶媒中、酸の存在下、ニトロソ化剤と反応させることにより、化合物(II)を得る工程である。
溶媒としては、出発原料をある程度溶解するものであり、かつ、反応を阻害しないものであれば、特に制限はないが、好適には、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸等で、これらを単独または混合溶媒として用いることができる。
ニトロソ化剤は特に限定されないが、好適には亜硝酸ナトリウムなどがあげられる。この場合、ニトロソ化剤は、化合物(V’’)に対して1〜1.5モル当量用いることが好ましい。
用いる酸は出発原料、使用する溶媒等により異なり、特に限定されないが、好適には酢酸、塩酸、硫酸等である。酸は、化合物(V’’)に対して2〜10モル当量用いることができる。
反応温度は、通常、出発原料、溶媒、その他反応に用いる試薬によって異なり、通常、−5℃〜室温である。
反応時間は、通常、出発原料、溶媒、その他反応に用いる試薬、反応温度によって異なり、好適には、試薬を加えた後、上記温度にて1〜24時間である。
【0024】
なお、工程B−2および工程B−3は、化合物(V’’)を単離せずにワンポットで反応することもできる。
【0025】
本発明の工程B−4は、化合物(II)を還元剤と反応させて化合物(III)を得る工程である。
本反応で使用される還元剤は、通常ニトロソ基の還元に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、化合物(II)に対して3〜10モル当量の亜ジチオン酸ナトリウム等が好ましく用いられる。
本反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。上記反応に使用される溶媒は、出発化合物をある程度溶解し、かつ、本反応を阻害するものでなければ特に限定されない。具体的には、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N―メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブなどのアルコール類;アセトニトリル、イソブチロニトリルなどのニトリル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、炭酸ジエチルなどのエステル類もしくは水またはこれら溶媒の混合溶媒を挙げることができ、好適には、エステル類と水の混合溶媒であり、より好適には、酢酸エチルと水の混合溶媒である。
反応温度は、特に限定されず、好適には、−30℃〜溶媒の還流温度であり、より好適には、0〜50℃である。
反応時間は、特に限定されず、好適には、10分〜96時間であり、より好適には、30分〜24時間である。
【0026】
本発明の工程B−5は、化合物(III)のアミノ基を保護試薬と反応させて化合物(IV)を得る工程である。
アミノ基の保護試薬としては、公知のものを用いることができるが、例えば二炭酸ジ−tert−ブチルなどを挙げることができる。化合物(III)に対して1〜3モル当量を用いることができる。
本反応は、溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。上記反応に使用される溶媒は、出発化合物をある程度溶解し、かつ、本反応を阻害するものでなければ特に限定されない。具体的には、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N―メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンなどのアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブなどのアルコール類;アセトニトリル、イソブチロニトリルなどのニトリル類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、炭酸ジエチルなどのエステル類もしくは水またはこれら溶媒の混合溶媒を挙げることができ、好適には、ハロゲン化炭化水素類、エステル類と水の混合溶媒であり、より好適には、酢酸エチルと水の混合溶媒である。
反応温度は、特に限定されず、好適には、−30℃〜溶媒の還流温度であり、より好適には、0〜50℃である。
反応時間は、特に限定されず、好適には、10分〜96時間であり、より好適には、30分〜24時間である。
【0027】
なお、工程B−4および工程B−5は、化合物(III)を単離せずにワンポットで反応させる。また、保護試薬存在下に還元反応を行うことによって一段階で行うこともできる。
【0028】
化合物(VI)は後述の参考例5および6に記載の方法に準じて容易に調製することができ、化合物(VIII)は、後述の参考例Aに記載の方法に準じて容易に調製することができる。
【0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。本明細書において、室温とは20〜30℃の範囲で、好ましくは約25℃を意味する。
【実施例】
【0030】
参考例1 3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾ−ル−4−カルボン酸エチルエステル
【化22】

エトキシメチレンマロン酸ジエチル(220.0g)を1−ブタノ−ル(1.1L)に溶解し攪拌した。氷冷下にヒドラジン水和物(50.9g)を7分間かけて滴下した。酢酸(110mL)を投入し、65℃で10時間41分加熱した。水冷で室温まで冷却した後に、ヘプタン(1.54L)を50分間かけて滴下した。ヘプタン滴下終了後57分経過した時点から1時間10分氷冷した。得られた析出物を濾過し、1−ブタノ−ルとヘプタンの1:3混合液(110mL)で洗浄を行い、ヘプタン(220mL)で溶媒置換を行った。このものを60℃で減圧乾燥し、目的とする3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾ−ル−4−カルボン酸エチルエステル(125.4g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ 7.89(s、1H)、4.15(q、J=7.2Hz、2H)、3.34(s、1H)、1.23(t、J=7.2Hz、3H)
【0031】
参考例2 1−アセチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾ−ル−4−カルボン酸エチルエステル
【化23】

3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾ−ル−4−カルボン酸エチルエステル(124.8g)をテトラヒドロフラン(750mL)と酢酸(375mL)混合液中で攪拌した。無水酢酸(97.9g)を加え、15時間30分後に50℃で減圧濃縮した。濃縮残渣を氷冷し、攪拌しながら水(1200mL)を44分かけて滴下した。得られた析出物をろ取し、水(250mL)で洗浄を行った。湿体を70℃で減圧乾燥し、目的とする1−アセチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾ−ル−4−カルボン酸エチル(143.6g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ 11.56(s、1H)、8.53(s、1H)、4.21(q、J=7.2Hz、2H)、2.55(s、3H)、1.26(t、J=7.2Hz、3H)
【0032】
参考例3 1−アセチル−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
【化24】

1−アセチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(10g)をジメチルホルムアミド(100mL)に加え撹拌した。炭酸カリウム(6.98g)を添加し、ジメチル硫酸(4.78mL)を室温で添加した。室温で2時間撹拌後、10%塩化アンモニウム水溶液(200mL)を投入し、水層を塩化ナトリウムで飽和させた後に、酢酸エチル(100mL×3)で抽出を行った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮を行なった。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル)で精製し、さらに得られた精製品をt−ブチルメチルエーテル(10mL)で加熱懸濁した。懸濁液を室温まで冷却後、4℃で終夜撹拌した。析出物をろ取し、結晶ケークを冷却したt−ブチルメチルエーテル(5mL)で洗浄した。湿体を減圧乾燥して、目的とする1−アセチル−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(2.63g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 8.54(s、1H)、4.31(q、J=7.2Hz、2H)、4.05(s、3H)、2.63(s、3H)、1.35(t、J=7.2Hz、3H)
【0033】
参考例4 3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
【化25】

1−アセチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(57.887g)をジメチルホルムアミド(579mL)に加え、0℃で撹拌した。炭酸カリウム(40.4g)を添加し、ジメチル硫酸(27.6mL)を同温度で添加した。10分後に反応液を室温に戻し、さらに1時間15分撹拌後、メタノール(60mL)を加えて室温で1時間20分攪拌した。炭酸カリウム(20.2g)を添加し、メタノール(230mL)を投入後、40℃で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を投入し、減圧濃縮して、濃縮残渣に飽和塩化ナトリウム水溶液(400mL)を添加した。酢酸エチル(500mL×4)で抽出し、有機層を減圧濃縮した。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル)で精製し、目的とする3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(42.7g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 7.90(s、1H)、4.30(q、J=7.2Hz、2H)、4.02(s、3H)、1.34(t、J=7.2Hz、3H)
【0034】
参考例5 5−ブロモ−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
【化26】

3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(46.5g)をエタノール(300mL)に加え、0℃で撹拌した。酢酸ナトリウム水溶液(酢酸ナトリウム(112g)/水(450mL))を添加し、臭素(14mL)を20分かけて滴下した。0℃で1時間40分撹拌した後、さらに臭素(14mL)を20分かけて滴下した。10分後に反応液を室温に戻し、50分間撹拌した後、水(250mL)を投入した。酢酸エチル(400mL)で2回抽出し、有機層を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(500mL)で2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮を行なった。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル)で精製し、目的とする5−ブロモ−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(50.722g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 10.60(brs、1H)、4.34(q、J=7.2Hz、2H)、3.99(s、3H)、1.37(t、J=7.2Hz、3H)
【0035】
参考例6 5−ブロモ−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
【化27】

1−アセチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(50.00g)をN,N−ジメチルホルムアミド(250mL)に加え室温で攪拌した。炭酸ナトリウム(29.50g)を加えて氷冷下撹拌した。硫酸ジメチル(26.3mL)を27分かけて滴下し、氷冷下4時間15分撹拌した。反応液に水(50mL)を加え、60℃で5時間21分加熱した。反応液を氷冷し、水(200mL)を加えた。N−ブロモスクシンイミド(67.50g)を1/6ずつ、10分おきに分割して加え、室温で23時間18分撹拌した。反応液を氷冷し、水(250mL)を加えた。5N塩酸(35mL)を加えて反応液をpH2に調整し、酢酸エチル(500mL)で抽出した。水層を酢酸エチル(500mL)で再抽出し、有機層をあわせて10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(400g)、5%食塩水(400g×2)で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム(75.09g)で乾燥し、ろ過した。ろ液を約125mLまで減圧濃縮し、酢酸エチル(25mL)で希釈した。25℃で撹拌しながらヘプタン(50mL)を加えると固体が析出した。ヘプタン(100mL)を49分かけて滴下し、25℃で1時間9分撹拌した。さらにヘプタン(150mL)を2時間2分かけて滴下し、4℃で67時間23分撹拌した。生成した析出物をろ取し、ヘプタンと酢酸エチルの3:1混合物(100mL)で洗浄した。得られた湿体を40℃で減圧乾燥し、目的とする5−ブロモ−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(36.896g)を得た。
H−NMR(DMSO−d):δ 13.39(brs、1H)、4.18(q、J=7.2Hz、2H)、3.86(s、3H)、1.24(t、J=7.2Hz、3H)
【0036】
実施例7 5−ブロモ−1−(1−イソプロポキシエチル)−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルと3−ブロモ−1−(1−イソプロポキシエチル)−5−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルの混合物
【化28】

5−ブロモ−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(5.00g)をテトラヒドロフラン(50.0mL)に加え、イソプロピルビニルエーテル(4.65mL)、ピリジニウム p−トルエンスルホネート(567mg)を順次加えて室温で47分間撹拌した。反応液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、5%重曹水(100mL)、水(100mL)で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム(10.04g)で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=5:1)で精製して、目的とする5−ブロモ−1−(1−イソプロポキシエチル)−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルと3−ブロモ−1−(1−イソプロポキシエチル)−5−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルの混合物(6.627g)を得た。
H−NMR(DMSO−d):δ 5.81(q、J=6.0Hz、1H)、5.68(q、1/12H)、4.20(t、J=7.2Hz、2H)、4.06(s、3/12H)、3.86(s、3H)、3.50(m、J=6.0Hz、1H)、1.54(d、J=6.0Hz、3H)、1.30(t、J=7.2Hz、3/12H)、1.25(t、J=7.2Hz、3H)、1.15(d、J=6.0Hz、3H)、0.93(d、J=6.0Hz、3H)
【0037】
実施例8 5−[2−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]−1−(1−イソプロポキシエチル)−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルと3−[2−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]−1−(1−イソプロポキシエチル)−5−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルの混合物
【化29】

5−ブロモ−1−(1−イソプロポキシエチル)−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルと3−ブロモ−1−(1−イソプロポキシエチル)−5−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルの混合物(2.00g)をN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)に加え、硫化ナトリウム(607mg)を加えて90℃で2時間9分撹拌した。反応液を室温まで冷却し、過剰の硫化ナトリウムをデカンテーションで除去した。N,N−ジメチルホルムアミド(3mL)で洗い込み、反応液を4℃で13時間47分静置した。室温に戻してから2−ブロモ−1−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)エタノン(1.89g)を加え、室温で3時間22分撹拌した。反応液を酢酸エチル(80mL)で希釈し、水(40mL×2)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム(8.03g)で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=5:1〜3:1)で精製して、目的とする5−[2−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]−1−(1−イソプロポキシエチル)−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルと3−[2−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]−1−(1−イソプロポキシエチル)−5−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルの混合物(2.067g)を得た。
H−NMR(DMSO−d):δ 6.63(s、2H)、6.24(q、J=6.0Hz、1H)、4.50(d、J=17.2Hz、1H)、4.43(s、2H)、4.16−4.24(m、3H)、3.86(s、3H)、3.67(s、6H)、3.43−3.52(m、3H)、1.57(d、J=6.0Hz、3H)、1.23(t、J=7.2Hz、3H)、1.15−1.19(m、6H)、0.90(d、J=6.0Hz、3H)
【0038】
参考例9 5−[2−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
【化30】

5−[2−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]−1−(1−イソプロポキシエチル)−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルと3−[2−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]−1−(1−イソプロポキシエチル)−5−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルの混合物(209mg)を2−プロパノール(2.0mL)に加え、氷冷下5N塩酸(0.38mL)を加えた。氷冷下1時間37分撹拌し、続いて室温で2時間22分撹拌した。反応液を酢酸エチル(5mL)で希釈し、水(5mL×3)で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付したところ、カラム管内で固形物が析出したため、酢酸エチルで全量を溶出し、溶出液を減圧濃縮した。濃縮残渣を冷凍庫で16時間29分静置したところ、固形物が析出した。室温でヘプタン(5mL)、酢酸エチル(1mL)を順次加えて懸濁し、析出物をろ取した。ヘプタンと酢酸エチルの5:1混合物(3mL)で洗浄し、室温で減圧乾燥して、目的とする5−[2−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(112mg)を得た。
H−NMR(DMSO−d):δ 6.64(s、2H)、4.45(s、2H)、4.38(brs、2H)、4.15(q、J=7.2Hz、2H)、3.83(s、3H)、3.72(s、6H)、3.50(q、J=7.2Hz、2H)、1.22(t、J=7.2Hz、3H)、1.18(t、J=7.2Hz、3H)
【0039】
実施例10 3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール−7−カルボン酸エチルエステル
【化31】

5−[2−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]−1−(1−イソプロポキシエチル)−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルと3−[2−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−2−オキソエチルスルファニル]−1−(1−イソプロポキシエチル)−5−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルの混合物(4.50g)を2−プロパノール(45.0mL)に加え、5N塩酸(8.6mL)を加えて40℃で11時間5分撹拌した。反応液を11時間4分室温で静置し、生成した析出物をろ取した。2−プロパノール(12mL)で洗浄し、40℃で減圧乾燥して、目的とする3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ「5,1−b]チアゾール−7−カルボン酸エチルエステル(1.931g)を得た。
H−NMR(DMSO−d):δ 7.19(s、1H)、6.76(s、2H)、4.52(s、2H)、4.23(q、J=7.2Hz、2H)、3.81(s、3H)、3.72(s、6H)、3.56(q、J=7.2Hz、2H)、1.28(t、J=7.2Hz、3H)、1.20(t、J=7.2Hz、3H)
【0040】
実施例11 3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール−7−カルボン酸エチルエステル
【化32】

5−ブロモ−3−メトキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(10g)をテトラヒドロフラン(50mL)に加え攪拌した。室温下でピリジニウム p−トルエンスルホネート(202mg)を添加し、ピリジニウム p−トルエンスルホネートの溶解を確認した後にイソプロピルビニルエーテル(5.54mL)を添加した。室温で3時間12分撹拌した後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)を添加し、トルエン(50mL)を加えて、抽出を行った。有機層を水(20mL)で洗浄した後、減圧濃縮を行なった。得られた濃縮残渣をジメチルホルムアミド(107.9mL)に溶解し、硫化ナトリウム(3.299g)を添加した。90度で14時間15分加熱撹拌を行なった後、反応液を室温まで冷却した。反応液を0℃で冷却し、2−ブロモ−1−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)エタノン(11.491g)を添加した。室温まで昇温し撹拌した。その後、反応液を0℃で冷却し、5%NaCl水溶液(135mL)を投入した。t−ブチルメチルエーテル(135mL)で抽出し、有機層を水(68mL×2)で洗浄後に減圧濃縮を行なった。得られた濃縮残渣を2−プロパノール(134.9mL)に溶解し、5N塩酸(8.051mL)を添加した。60℃で15時間加熱撹拌を行なった後、反応液を0℃で冷却した。同温度で1.5時間撹拌を行ない、析出物をろ取し、結晶ケークを2−プロパノール(13.5mL)で洗浄し、目的とする3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール−7−カルボン酸エチルエステル(11.8911g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 6.70(s、1H)、6.66(s、2H)、4.55(s、2H)、4.35(q、J=7.2Hz、2H)、3.96(s、3H)、3.77(s、6H)、3.63(q、J=7.2Hz、2H)、1.38(t、J=7.2Hz、3H)、1.30(t、J=7.2Hz、3H)
【0041】
実施例12 3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール−7−カルボン酸
【化33】

3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール−7−カルボン酸エチルエステル(15.7g)をエタノール(63mL)と5N水酸化ナトリウム水溶液(29.8mL)に懸濁させ、50℃で14時間4分加熱した。さらに60℃で5時間30分加熱した。氷冷を行い、5N塩酸(29mL)を6分かけて滴下した。水(79mL)を20分かけて滴下し、1時間4分後にろ取し、水(15mL)で洗浄した。得られた湿体を70℃で減圧乾燥し、目的とする3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール−7−カルボン酸(14.71g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ 7.15(s、1H)、6.76(s、2H)、4.52(s、2H)、3.79(s、3H)、3.72(s、6H)、3.56(q、J=7.2Hz、2H)、1.21(t、J=7.2Hz、3H)
【0042】
実施例13 3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール
【化34】

3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール−7−カルボン酸(48.4g)を2−プロパノール(242mL)に加え、5N塩酸(73.8mL)を添加した。60℃で20時間30分加熱撹拌した後、室温まで冷却した。5N水酸化ナトリウム水溶液(73.8mL)と水(242mL)を加え、t−ブチルメチルエーテル(242mLx2)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮を行なった。粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル)で精製し、目的とする3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール(37.3g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 6.65(s、2H)、6.49(s、1H)、5.84(s、1H)、4.54(s、2H)、3.86(s、3H)、3.77(s、6H)、3.60(q、J=7.2Hz、2H)、1.29(t、J=7.2Hz、3H)
【0043】
実施例14 3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシ−7−ニトロソピラゾロ[5,1−b]チアゾール
【化35】

3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール(37.3g)をエタノール(187mL)に加え、0℃で撹拌した。5N塩酸(187mL)を添加し、亜硝酸ナトリウム(8.83g)をゆっくり添加した。0℃で1時間撹拌した後、5N水酸化ナトリウム水溶液(187mL)を添加した。0℃で20分撹拌後、析出物をろ取し、結晶ケークを冷却した水(112mL)で洗浄し、目的とする3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシ−7−ニトロソピラゾロ[5,1−b]チアゾール(40.248g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 6.90(s、1H)、6.67(s、2H)、4.56(s、2H)、4.23(s、3H)、3.79(s、6H)、3.64(q、J=7.2Hz、2H)、1.31(t、J=7.2Hz、3H)
【0044】
実施例15 3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシ−7−ニトロソピラゾロ[5,1−b]チアゾール
【化36】

3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール−7−カルボン酸エチルエステル(5.56g)をエタノール(22.2mL)および5N水酸化ナトリウム水溶液(10.6mL)に懸濁させ、60℃で12時間30分加熱した。反応液を氷冷し、5N塩酸(10.3mL)を2分かけて滴下し、水(28mL)を6分かけて滴下した。析出物をろ取し、水(6mL)で洗浄した。得られた湿体をエタノール(28mL)と5N塩酸(13.3mL)に懸濁させ、60℃で9時間23分加熱し、その後加熱を停止し13時間14分放置した。このものを氷冷し、亜硝酸ナトリウム(1.37g)の水(2.8mL)溶液を投入した。1時間40分後に、5N水酸化ナトリウム水溶液(11mL)を添加し、水(28mL)を6分かけて投入した。析出物をろ取し、水(17mL)で洗浄した後、60℃で減圧乾燥し、目的とする3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシ−7−ニトロソピラゾロ[5,1−b]チアゾール(4.75g)を得た。
H NMR(DMSO−d)δ 7.49(s、1H)、6.79(s、2H)、4.53(s、2H)、4.14(s、3H)、3.74(s、6H)、3.57(q、J=6.8Hz、2H)、1.21(t、J=6.8Hz、3H)
【0045】
参考例16 3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール−7−イルアミン
【化37】

3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシ−7−ニトロソピラゾロ[5,1−b]チアゾール(100mg)を酢酸エチル(1mL)に加え、水(1mL)を添加した。亜ジチオン酸ナトリウム(138mg)を添加し、室温で撹拌した。反応開始から1.5時間後に亜ジチオン酸ナトリウム(139mg)を追加した。さらに反応開始から5時間後に亜ジチオン酸ナトリウム(138mg)を追加して室温下で撹拌した。反応開始から18時間後に、有機層と水層を分離し、水層を酢酸エチル(1mL)で3回抽出した。有機層を全て合わせて、減圧濃縮を行った。得られた濃縮残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル)により精製し、目的とする3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾロ[5,1−b]チアゾール−7−イルアミン(71.5mg)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 6.65(s、2H)、6.39(s、1H)、4.54(s、2H)、3.89(s、3H)、3.76(s、6H)、3.61(q、J=6.8Hz、2H)、2.21(brs、2H)、1.29(t、J=6.8Hz、3H)
【0046】
実施例17 [3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾール[5,1−b]チアゾール−7−イル]カルバミン酸 t−ブチルエステル
【化38】

3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシ−7−ニトロソピラゾロ[5,1−b]チアゾール(7.62g)を酢酸エチル(68mL)と水(76mL)に加え攪拌した。このものに、ジ−t−ブチルジカーボネート(7.92g)を加え、酢酸エチル(8mL)で洗い込んだ。窒素置換を2回行った後に、亜ジチオン酸ナトリウム(10.5g)を投入し17時間42分激しく攪拌した。有機層を分取し、活性炭(精製白鷺TM、762mg)を加えて3時間5分攪拌した。活性炭処理液をセライトTM(3.8g)でろ過し、ろ去された活性炭を酢酸エチル(38mL)で洗浄した。得られた溶液を減圧濃縮し、さらに2−プロパノール(23mL)で2回共沸を行った。得られた濃縮残渣に2−プロパノール(51.4mL)を加えて、70℃に加熱し溶解させた。反応液を徐冷し、室温で37分攪拌し、さらに1時間25分氷冷を行った後に、析出物をろ取し、2−プロパノール(19mL)で洗浄した。得られた湿体を室温で減圧乾燥し、目的とする[3−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)−6−メトキシピラゾール[5,1−b]チアゾール−7−イル]カルバミン酸 t−ブチルエステル(7.68g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ 8.51(s、1H)、6.79(s、1H)、6.74(s、2H)、4.51(s、2H)、3.73(s、3H)、3.70(s、6H)、3.56(q、J=7.2Hz、2H)、1.45(s、9H)、1.20(t、J=7.2Hz、3H)
【0047】
参考例A 2−ブロモ−1−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)エタノン
【化39】

マグネシウム(1.74g)に2−ブロモ−5−エトキシメチル−1,3−ジメトキシベンゼン(6.0g)を加えテトラヒドロフラン(5mL)で洗い込んだ後に、さらにテトラヒドロフラン(60mL)とヨウ素(30mg)を加えて攪拌した。この混合物に、クロロトリメチルシラン(70μL)を加えて50℃で加熱した。ヨウ素の色の消失を確認した後に、2−ブロモ−5−エトキシメチル−1,3−ジメトキシベンゼン(12.1g)を投入し、テトラヒドロフラン(5mL)で洗い込んでグリニャール試薬を調製した。2−ブロモ−N−メトキシ−N−メチルアセタミド(10.0g)にテトラヒドロフラン(60m)とトルエン(60mL)を加え−10℃で冷却し、ここへ上記のグリニャール試薬を7分かけて投入した後に、内温10℃程度となるように昇温した。氷冷した1N塩酸(150mL)に上記の反応液を投入した。これにトルエン(60mL)を投入して抽出を行い、水(30mL)、飽和食塩水(80mL)で順次洗浄した。得られた有機層を50℃で減圧濃縮を行い、さらにヘプタン(20mL)を加えて50℃で減圧濃縮を行った。得られた濃縮残渣に攪拌しながらヘプタン(17mL)を加え、1時間36分氷冷した。得られた析出物をろ取し、トルエンとヘプタンの1:4混合物(20mL)で洗浄した。得られた湿体を風乾し、2−ブロモ−1−(4−エトキシメチル−2,6−ジメトキシフェニル)エタノン(12.95g)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ 6.69(s、2H)、4.53(s、2H)、4.64(s、2H)、3.77(s、6H)、3.51(q、J=7.2Hz、2H)、1.18(t、J=7.2Hz、3H)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化1】

[式中、Rは、メトキシ基、シアノ基、シクロブチルオキシメチル基、メトキシメチル基またはエトキシメチル基を意味し;
は、メトキシ基または塩素原子を意味する。]で表される化合物を還元して、式(III)
【化2】

[式中、RおよびRは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程および
式(III)で表される化合物を単離することなくアミノ基の保護基で修飾して、式(IV)
【化3】

[式中、RおよびRは、前記と同意義であり;Prは、アミノ基の保護基を意味する。]で表される化合物を得る工程を含む、式(IV)で表される化合物の製造方法。
【請求項2】
アミノ基の保護試薬の存在下で還元反応を行うことにより、還元および保護を一段階で行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
式(V)
【化4】

[式中、Rは、メトキシ基、シアノ基、シクロブチルオキシメチル基、メトキシメチル基またはエトキシメチル基を意味し;
は、メトキシ基または塩素原子を意味し;
はC1−6アルキル基または6−10員アリールC1−6アルキル基を意味する。]で表される化合物を加水分解して、式(V’)
【化5】

[式中、RおよびRは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程、
式(V’)で表される化合物を脱炭酸して、式(V’’)
【化6】

[式中、RおよびRは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程および
式(V’’)で表される化合物をニトロソ化して、式(II)
【化7】

[式中、RおよびRは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程をさらに含む、請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
式(VI)
【化8】

[式中、Rは、C1−6アルキル基または6−10員アリールC1−6アルキル基を意味し;
Xは、ハロゲン原子を意味する。]で表される化合物をNH基の保護基で修飾して、式(VII)
【化9】

[式中、RおよびXは、前記と同意義であり;
Prは、NH基の保護基を意味する。]で表される化合物を得る工程、
式(VII)で表される化合物を式MS[式中、Mは、アルカリ金属またはアンモニオ基を意味する。]で表される化合物と反応させ、次いで式(VII)の化合物と式MSで表される化合物との反応生成物と式(VIII)
【化10】

[式中、Rは、メトキシ基、シアノ基、シクロブチルオキシメチル基、メトキシメチル基またはエトキシメチル基を意味し;
は、メトキシ基または塩素原子を意味し;
は、ハロゲン原子を意味する。]で表される化合物とを反応させて、式(IX)
【化11】

[式中、R、R、RおよびPrは、前記と同意義である。]で表される化合物を製造する工程および
式(IX)で表される化合物を脱保護と同時に環化させて、式(V)
【化12】

[式中、R、RおよびRは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程をさらに含む、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
式(VI)
【化13】

[式中、Rは、C1−6アルキル基または6−10員アリールC1−6アルキル基を意味し;
Xは、ハロゲン原子を意味する。]で表される化合物をNH基の保護基で修飾して、式(VII)
【化14】

[式中、RおよびXは、前記と同意義であり;
Prは、NH基の保護基を意味する。]で表される化合物を得る工程、
式(VII)で表される化合物を式MS[式中、Mは、アルカリ金属またはアンモニオ基を意味する。]で表される化合物と反応させ、次いで式(VII)の化合物と式MSで表される化合物との反応生成物と式(VIII)
【化15】

[式中、Rは、メトキシ基、シアノ基、シクロブチルオキシメチル基、メトキシメチル基またはエトキシメチル基を意味し;
は、メトキシ基または塩素原子を意味し;
は、ハロゲン原子を意味する。]で表される化合物とを反応させて、式(IX)
【化16】

[式中、R、R、RおよびPrは、前記と同意義である。]で表される化合物を製造する工程および
式(IX)で表される化合物を脱保護と同時に環化させて、式(V)
【化17】

[式中、R、R、RおよびPrは、前記と同意義である。]で表される化合物を得る工程を含む、式(V)で表される化合物の製造方法。
【請求項6】
がエトキシメチル基であり、Rがメトキシ基であり、RがC1−6アルキル基であり、Prがtert−ブトキシカルボニル基であり、Prが1−イソプロポキシエチル基であり、Xが臭素原子であり、Xが臭素原子である、請求項1〜5のいずれか一項記載の製造方法。

【公開番号】特開2011−256134(P2011−256134A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132012(P2010−132012)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】