説明

3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルのヒドロキシル、ケト及びグルクロニド誘導体

本発明は、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルのヒドロキシル、ケト及びグルクロニド誘導体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年10月9日出願の米国仮特許出願第61/250,387号及び2010年3月22日出願の米国仮特許出願第61/316,218号による優先権を主張し、これら文書の開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルのヒドロキシル、ケト及びグルクロニド誘導体を提供する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質キナーゼ(PK)は、中でも、細胞の増殖、生存及び分化、器官形成及び形態発生、新生血管形成、組織の修復及び再生を含む、多様な、重要な生物学的プロセスを制御する酵素のグループである。タンパク質キナーゼは、様々な生物学的状況において、タンパク質(又は基質)のリン酸化を触媒し、それにより基質の細胞活性を調節することによって、それらの生理学的機能を発揮する。正常な組織/器官内での機能に加えて、多数のタンパク質キナーゼはまた、癌を含む多くのヒト疾患において、より特殊化した役割を果たす。タンパク質キナーゼのサブセット(発癌性タンパク質キナーゼとも称される)は、制御されない場合、腫瘍の形成及び増殖を引き起こし、更に腫瘍の維持及び進行に寄与し得る(非特許文献1)。現在まで、発癌性タンパク質キナーゼは、癌の治療と薬物の開発のための最大かつ最も魅力的なタンパク質標的の一つである。
【0004】
ヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーは、免疫応答に関与する細胞の増殖及び機能のサイトカイン依存性制御において役割を果たす。現在、四つの哺乳動物JAKファミリーメンバーが知られている:JAK1(ヤヌスキナーゼ−1としても知られる)、JAK2(ヤヌスキナーゼ−2としても知られる)、JAK3(ヤヌスキナーゼ、白血球;JAKL;L−JAK及びヤヌスキナーゼ−3としても知られる)及びTYK2(タンパク質−チロシンキナーゼ2としても知られる)。JAKタンパク質のサイズは120〜140kDaの範囲にあり、7つの保存JAKホモロジー(JH)ドメインを含み、これらの一つは、機能的触媒キナーゼドメインであり、他の一つは、制御機能の役割を果たす、及び/又はSTATのドッキング部位としての役割を果たす可能性がある偽キナーゼドメインである(Scott, Godshall et al. 2002、前出)。
【0005】
JAKキナーゼのレベルにおけるシグナル伝達の遮断は、ヒト癌の治療の開発に有望である。JAKキナーゼの阻害は、乾癬及び皮膚感作等の皮膚免疫疾患に苦しむ患者にも治療的利益を有することが想定される。従って、ヤヌスキナーゼ又は関連キナーゼの阻害剤は、広く探索されており、またいくつかの刊行物は、有効なクラスの化合物を報告している。例えば、下に示す(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルを含むある種のJAK阻害剤は、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる2006年12月12日出願の特許文献1;2009年7月16日出願の特許文献2に報告され;化合物Iの所定の代謝産物は、2008年6月12日出願の特許文献3に報告されている。
【0006】
【化1】


【0007】
従って、癌及び他の疾患を治療する、新しい、より有効な医薬品を開発するために、ヤヌスキナーゼ等のキナーゼを阻害する新しい又は改善された薬剤が継続して必要とされている。本明細書に記載する代謝産物、組成物及び方法は、これらの必要性及び他の目標に向けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願番号第11/637,545号(米国特許公開第2007/0135461号)
【特許文献2】米国特許出願番号第12/138,082号(米国特許公開第2009/0181959号)
【特許文献3】米国特許出願番号第12/137,883号(米国特許公開第2008/0312258号)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Blume-Jensen P et al, Nature 2001, 411(6835):355-365
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、とりわけ、式I:
【化2】


の化合物のヒドロキシル、ケト及びグルクロニド誘導体、又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0011】
従って、一態様において、本明細書には、式I:
【化3】


の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩が提供され、式中:
n個のC−H基が、各々独立してC−OHで置き換えられるか;又は、
一つのCH基が、独立してC=Oで置き換えられるか;又は、
一つのC−H基が、
【化4】

で置き換えられるか;又は、
二つのC−H基が、各々独立してC−OHで置き換えられ、かつ一つのC−H基が、
【化5】

で置き換えられ;
nは1、2、3又は4であり;
但し、化合物は:
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−オキソシクロペンチル)プロパンニトリル;
及びその薬学的に許容され得る塩から選択されないことを条件とする。
【0012】
式Iの一実施態様において、
シアノ基に対してα位の炭素原子は、C−OH又はC=O基で置き換えられず;
シアノ基に対してβ位の炭素原子は、C−OH基で置き換えられない。
【0013】
化合物の別の実施態様において、n個のC−H基は、各々独立してC−OHで置き換えられる。別の実施態様において、nは1である。更なる別の実施態様では、nは2である。尚別の実施態様では、nは3である。別の実施態様では、nは4である。
【0014】
式Iの別の実施態様において、一つのCH基が、独立してC=Oで置き換えられる。尚別の実施態様において、一つのC−H基が、
【化6】

で置き換えられる。
【0015】
別の実施態様において、一つの飽和C−H基が、
【化7】

で置き換えられる。
【0016】
更なる別の実施態様において、二つのC−H基が、各々独立してC−OHで置き換えられ、かつ一つのC−H基が、
【化8】

で置き換えられる。
【0017】
本発明は更に、本明細書に記載する化合物、又はその薬学的に許容され得る塩、及び少なくとも一種の薬学的に許容され得る担体を含有する組成物を提供する。
【0018】
本発明は更に、JAKを本明細書に記載する所定の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩と接触させることを含む、JAKの活性を調節する方法を提供する。本発明は更に、治療的有効量の本明細書に記載する所定の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、患者における疾患の治療方法を提供する。特定の実施態様において、疾患は、JAK活性に関連する。そのような疾患には、例えば、同種移植片拒絶又は移植片対宿主病が挙げられる。疾患は、皮膚疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節炎、I型糖尿病、ループス、炎症性腸疾患、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、心筋炎又は自己免疫性甲状腺疾患を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患も含み得る。自己免疫疾患は、水疱性皮膚疾患、例えば尋常性天疱瘡(PV)又は類天疱瘡(BP)でもあり得る。皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚感作、皮膚過敏、皮膚発疹、接触性皮膚炎又はアレルギー性接触感作であってもよい。
【0019】
別の実施態様では、疾患は、ウイルス疾患である。本明細書に記載する化合物により治療することができるウイルス疾患の例には、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、肝炎B、肝炎C、HIV、HTLV 1、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)又はヒト乳頭腫ウイルス(HPV)が挙げられる。
【0020】
別の実施態様では、疾患は、癌、例えば固形腫瘍である。治療される癌は、前立腺癌、腎癌、肝癌、乳癌、肺癌、甲状腺癌、カボジ肉腫、キャッスルマン病又は膵癌であり得る。特定の実施態様において、癌は、前立腺癌である。癌は、血液性であり得る。癌はまた、リンパ腫、白血病又は多発性骨髄腫であり得る。別の実施態様では、癌は皮膚癌、例えば皮膚T細胞リンパ腫又は皮膚B細胞リンパ腫であり得る。別の実施態様では、癌は、多発性骨髄腫である。治療される疾患は、癌を原因とする若しくは癌に伴う疲労、又は癌を原因とする若しくは癌に伴う拒食症若しくは悪液質でもあり得る。
【0021】
別の実施態様では、治療される疾患は、骨髄増殖性疾患、例えば真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症を伴う骨髄化生(MMM)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、過好酸性症候群(HES)又は全身性肥満細胞疾患(SMCD)である。
【0022】
別の実施態様では、治療される疾患は、炎症性疾患である。炎症性疾患は、眼の炎症性疾患、例えば虹彩炎、ブドウ膜炎、強膜炎又は結膜炎であり得る。炎症性疾患は、気道、例えば上気道又は下気道の炎症性疾患であり得る。炎症性疾患は、炎症性ミオパチー又は心筋炎であり得る。
【0023】
別の実施態様では、疾患は、虚血再灌流又は関連した虚血性事象である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、とりわけ3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルのヒドロキシル、ケト及びグルクロニド誘導体を提供する。いくつかの実施態様において、化合物は、化合物Iの代謝産物である。いくつかの実施態様において、化合物は、一つ又はそれ以上のJAKの活性を調節し得、例えばJAKの発現又は活性に関連した疾患の治療に有用であり得る活性代謝産物である。いくつかの実施態様において、医療従事者による式Iの化合物の投与レベルの調整を補助するためんい、本明細書に記載する代謝産物化合物のレベルを測定及びプロファイリングする。
【0025】
従って、本発明は、式I:
【化9】


の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供し、式中:
n個のC−H基が、各々独立してC−OHで置き換えられるか;又は、
一つのCH基が、独立してC=Oで置き換えられるか;又は、
一つのC−H基が、
【化10】

で置き換えられるか;又は、
二つのC−H基が、各々独立してC−OHで置き換えられ、かつ一つのC−H基が、
【化11】

で置き換えられ;
nは1、2、3又は4であり;
但し、化合物は:
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−オキソシクロペンチル)プロパンニトリル;
及びその薬学的に許容され得る塩から選択されないことを条件とする。
【0026】
いくつかの実施態様において、n個のC−H基が、各々独立してC−OHで置き換えられる。いくつかの実施態様において、nは1である。いくつかの実施態様において、nは2である。いくつかの実施態様において、nは3である。いくつかの実施態様において、nは4である。
【0027】
いくつかの実施態様において、一つのCH基が、独立してC=Oで置き換えられる。
【0028】
いくつかの実施態様において、一つのC−H基が、
【化12】

で置き換えられる。
【0029】
いくつかの実施態様において、一つの飽和C−H基が、
【化13】

で置き換えられる。
【0030】
いくつかの実施態様において、二つのC−H基が、各々独立してC−OHで置き換えられ、かつ一つのC−H基が:
【化14】

で置き換えられる。
【0031】
いくつかの実施態様において:
シアノ基に対してα位の炭素原子は、C−OH、C=O、又は
【化15】

基で置き換えられず;
シアノ基に対してβ位の炭素原子は、C−OH又は
【化16】

基で置き換えられない。
【0032】
いくつかの実施態様において:
シアノ基に対してα位の炭素原子は、C−OH又はC=O基で置き換えられず;
シアノ基に対してβ位の炭素原子は、C−OH基で置き換えられない。
【0033】
別の実施態様では、本発明は、式II:
【化17】

II
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を提供し、式中:
炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの1、2、3又は4個が、各々独立してOHで置換されるか;又は、
炭素h、i、j、k又はmの一つが、独立して=Oで置換されるか;又は、
炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの一つが:
【化18】

で置換されるか;又は、
炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの二つが、各々独立してOH及び:
【化19】

で置換される。
但し、化合物は:
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−オキソシクロペンチル)プロパンニトリル;
及びその薬学的に許容され得る塩から選択されないことを条件とする。
【0034】
式IIのいくつかの実施態様において、炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの1、2、3又は4個が、各々独立してOHで置換される。いくつかの実施態様において、炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの一つが、OHで置換される。いくつかの実施態様において、炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの2個が、各々独立してOHで置換される。いくつかの実施態様において、炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの3個が、各々独立してOHで置換される。いくつかの実施態様において、炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの4個が、各々独立してOHで置換される。
【0035】
いくつかの実施態様において、炭素h、i、j、k又はmの一つが、=Oで置換される。
【0036】
いくつかの実施態様において、炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの一つが、
【化20】

で置換される。
【0037】
いくつかの実施態様において、炭素f、g、h、i、j、k又はmの一つが、
【化21】

で置換される。
【0038】
いくつかの実施態様において、炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの二つが、各々独立してOHで置換され、かつ炭素a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k又はmの一つが、
【化22】

で置換される。
【0039】
いくつかの実施態様において:
炭素mは、OH、=O又は
【化23】

基で置換されず;
炭素fは、OH又は
【化24】

基で置換されない。
【0040】
いくつかの実施態様において:
炭素mは、OH又は=O基で置換されず;
炭素fは、OH基で置換されない。
【0041】
上述の実施態様の各々は、適切な結合価に関する規則を順守するものと仮定する。
【0042】
いくつかの実施態様において、化合物は:
6−(3−(1−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−シアノエチル)シクロペンチルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1,2−ジヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;及び
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
又は上述のいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0043】
いくつかの実施態様において、化合物は:
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチル−3−ヒドロキシプロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチル−2−ヒドロキシプロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(5−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(3−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(5−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(6−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(2−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1,2−ジヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(5,6−ジヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;及び
6−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
又は上述のいずれかの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0044】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載する化合物は、以下のチャート1〜7に示す化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー及びラセミ体を含むことができる。
【0045】
チャート1
【化25】

【0046】
チャート2
【化26】

【0047】
チャート3
【化27】

【0048】
チャート4
【化28】

【0049】
チャート5
【化29】

【0050】
チャート6
【化30】

【0051】
チャート7
【化31】

【0052】
所定の代謝産物を下記の表1に示す。構造は、全ての可能な立体異性体を包含することが意図される。
【0053】
表1
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

*括弧内の数字は、表2(後出)の化合物の番号を指す。
【0054】
本明細書に記載する化合物は、(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリルの代謝産物である。本発明の代謝産物は、JAK阻害剤(R)−3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチルプロパンニトリル(化合物I)の薬物動態及び毒物動態試験で収集したヒト、ラット又はイヌの尿試料から単離された。いくつかの代謝産物はJAK阻害剤であり得、化合物Iと比較して、ヒトミクロソーム内で有意に高い遊離画分及び代謝安定性に関連した有利な特性を有し得る。本代謝産物は、望ましくは、化合物Iと比較して長い、ヒト内での排出半減期を有し得る。
【0055】
いくつかの実施態様において、本発明の代謝産物は、実質的に単離されている。「実質的に単離されている」とは、化合物が、該化合物が形成又は検出された環境から少なくとも部分的に又は実質的に分離されていることを意味する。部分的な分離としては、例えば本発明の化合物に富んだ組成物を挙げることができる。実質的な分離としては、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%又は少なくとも約99重量%の代謝産物を含有する組成物を挙げることができる。
【0056】
本発明は、本明細書に記載する化合物の薬学的に許容され得る塩も含む。本明細書で使用される「薬学的に許容され得る塩」とは、親化合物が、存在する酸又は塩基部分をその塩形態に変換することによって変更されている、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容され得る塩の例には、アミン等の塩基性残基の無機又は有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ又は有機塩等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的に許容され得る塩としては、例えば非毒性の無機又は有機酸から形成された親化合物の従来の非毒性塩が挙げられる。本発明の薬学的に許容され得る塩は、塩基性又は酸性部分を含む親化合物から、従来の化学的方法により合成することができる。一般に、それらの塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態を、水又は有機溶媒、又はそれらの混合物中で、化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることにより調製することができる。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。好適な塩のリストは、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれるRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418及びJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)に見出される。
【0057】
「薬学的に許容され得る」という表現は、本明細書で、堅実な医療判断の範囲内で、妥当な利益/リスクの比に見合う、過度の毒性、過敏、アレルギー応答若しくは他の問題又は合併症を有さずに人間及び動物の組織と接触させるのに好適な、化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指すよう使用される。
【0058】
本明細書に記載する化合物は、非対称である(例えば、一つ又はそれ以上の不斉中心を有する)。特に示さない限り、エナンチオマー及びジアステレオマー等の全部の立体異性体が意図される。光学活性の出発物質から光学活性形態を調製する方法は、ラセミ混合物の分割、又は立体選択的合成による等、当技術分野にて公知である。
【0059】
本明細書に記載する化合物は、代謝産物中に存在する原子の全部の同位体も含む。同位体は、同一の原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。例えば、水素の同位体は、トリチウム及び重水素を含む。化合物は、化合物の溶媒和物及び水和物、又は塩形態も含み得る。
【0060】
本明細書で使用される「化合物」という用語は、描写される構造の全部の立体異性体、幾何異性体、互変異性体及び同位体を含むことを意味する。
【0061】
合成
本明細書に記載する、その塩を含む化合物は、公知の有機合成技術を用いて調製することができ、多数の可能な合成経路のいずれかに従って合成することができる。
【0062】
本明細書に記載する化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者が容易に選択できる好適な溶媒中で行うことができる。好適な溶媒は、反応が行われる温度、例えば溶媒の凍結温度から溶媒の沸点迄の範囲であり得る温度で、出発物質(反応関与体)、中間体又は生成物と実質的に反応しないものであり得る。所定の反応は、一種の溶媒又は二種以上の溶媒の混合物中で行われてもよい。特定の反応ステップに応じて、特定の反応ステップのための好適な溶媒が当業者により選択され得る。
【0063】
本明細書に記載する化合物の調製は、様々な化学基の保護及び脱保護を含み得る。保護及び脱保護の必要性、及び適切な保護基の選択は、当業者により容易に決定され得る。保護基の化学は、例えばその全体が参照により本明細書に組み込まれるT.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd. Ed., Wiley & Sons, Inc., New York (1999)に見出すことができる。
【0064】
反応は、当技術分野にて公知の任意の好適な方法に従って監視され得る。例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴法(例えば、H又は13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、UV−可視)、若しくは質量分析法等の分光学的手段、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)若しくは薄層クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーにより監視されてもよい。
【0065】
本明細書に記載する化合物は、文献にて公知の多数の準備経路に従って調製され得る。例えば、本明細書に記載する化合物は、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2006年12月12日出願の特許文献1;2009年7月16日出願の特許文献2;及び特許文献3に記載されているプロセスと類似するプロセスにより形成されてもよい。本明細書に記載する化合物を調製する合成方法の例が、下記のスキームに提供される。
【0066】
スキーム1に示すように、化合物32の合成は、4−クロロピロロピリミジンS1から出発する。S1をピラゾールボロネートS2と塩基性条件下、Pd(0)触媒の存在下で鈴木カップリングさせることにより、三環式化合物S3を提供することができ、該化合物は続いて、N−ヨードスクシンイミドを使用してヨード化合物S4に選択的に変換される。ヨード化合物S4は、対応する酢酸エステルS5に変換される。S5を酢酸中にて4M臭化水素で処理することにより、メトキシ基の遊離ヒドロキシルへの脱保護と共に所望のピロール環内の酸化を有するS6が提供される。これらの条件下でアミドに加水分解されたシアノ基は、S6をトリクロロアセチルクロリド及びトリエチルアミンで処理して脱水を達成することにより、32内に再導入される。
【0067】
スキーム1
【化32】

【0068】
モノ−ヒドロキシル化化合物42(代謝産物8)は、2008年6月12日出願の特許文献3に報告されている。更に、シクロペンチル環上にヒドロキシル基を有する化合物も、スキーム2のように合成することができる。例えば、市販のラセミ体S14のアルコールを保護した後、カルボン酸エステルをアルデヒドに還元し、その後アルデヒドをオレフィン化してS17を提供する。塩基性条件下でS9をS17に抱合体付加してS18を提供し、S18からアルコール及びピロール環上の保護基を連続して除去してジアステレオマーの混合物を提供し、次にジアステレオマーを多数のキラルHPLCカラムを使用して分離して、S19の4つのジアステレオマーを提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、スキーム2の一つ又はそれ以上のステップを含む、化合物42、又はその薬学的に許容され得る塩の作製プロセスを提供する。
【0069】
スキーム2
【化33】

【0070】
モノ−ヒドロキシル化化合物36の別の例は、スキーム3に示す連続により得られる。保護シアノヒドリン(cycanohydrin)S31をDIBALにより対応するアルデヒドに還元した後、S7等のホスホネートを用いてオレフィン化して、クロトンニトリル(crotontirile)S33を提供することができる。塩基性条件下でS9をS33に抱合体付加してS34を提供し、S34からピロール環上の保護基を除去してジアステレオマーの混合物を提供し、次にジアステレオマーを複数のキラルHPLCカラムを使用して分離して、36の個々の立体異性体を提供することができる。
【0071】
スキーム3
【化34】

【0072】
ジヒドロキシル化代謝産物は、スキーム4に示すように同様の方法で得ることができる:シクロペンテンカルボキサルデヒドS6AをイリドS7で直接処理して、クロトンニトリル(crotonitrile)誘導体S8を提供し得る。次に、ニトリルS8を、DBU等の塩基の存在下でピラゾールS9と反応させて、S10をジアステレオマー混合物として与えてもよく、これを四酸化オスミウムによりジヒドロキシル化して、SEM基を除去した後にシス−アルコール、シス−S12Aを提供してもよい。この混合物の個々の立体異性体(シス−S12A)は、キラルクロマトグラフィーにより分離されて、エナンチオマー的に純粋なアルコールを与えることができる。トランス−S12Aは、最初にオレフィンをm−CPBAでエポキシ化した後、エポキシドを酸性条件下で開環することにより得ることができる。この混合物の個々の立体異性体(トランス−S12A)は、キラルクロマトグラフィーにより分離されて、エナンチオマー的に純粋なアルコールを与えることができる。出発アルデヒドS6AをS6B及びS6Cで置き換えることにより、同一の合成経路を、異性体のS12B及びS12Cを得るよう適合させることができる。
【0073】
スキーム4
【化35】

【0074】
上述した方法の組み合わせを、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2006年12月12日出願の特許文献1;及び2008年6月12日出願の特許文献3に記載されているものと共に使用して、本発明のトリヒドロキシ化合物を得ることができる。例えば、本明細書に記載するヒドロキシ及びジヒドロキシ化合物を、2008年6月12日出願の特許文献3に記載されているSwern酸性条件下で酸化してもよい。ヒドロキシル基を含む代謝産物のグルクロニドは、Suzuki et al.(全体が参照により本明細書に組み込まれるBioorg. Med. Chem. Lett. (1999), 9(5), 659-662)の手順に従って合成することができる。
【0075】
方法
本明細書に記載する所定の化合物は、一つ又はそれ以上のヤヌスキナーゼ(JAK)の活性を調節することができる。「調節する」という用語は、キナーゼのJAKファミリーの一つ又はそれ以上のメンバーの活性を増大又は低下させる能力を指すことを意味する。従って、本明細書に記載する所定の化合物は、JAKを本明細書に記載する任意の一つ又はそれ以上の化合物又は組成物と接触させることによりJAKを調節する方法に使用することができる。いくつかの実施態様において、所定の化合物は、一つ又はそれ以上のJAKの阻害剤として作用し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載する所定の化合物は、一つ又はそれ以上のJAKの活性を刺激するよう作用し得る。更なる実施態様において、所定の化合物は、調節量の本発明の化合物を投与することにより、受容体の調節を必要とする個人においてJAKの活性を調節するのに使用することができる。
【0076】
化合物が結合し及び/又は調節するJAKは、JAKファミリーの任意のメンバーを含むことができる。いくつかの実施態様において、JAKは、JAK1、JAK2、JAK3又はTYK2である。いくつかの実施態様において、JAKは、JAK1又はJAK2である。いくつかの実施態様において、JAKは、JAK2である。いくつかの実施態様において、JAKは、JAK3である。
【0077】
いくつかの実施態様において、活性化合物は、選択性を有してもよい。「選択性」とは、少なくとも一つの他のJAKと比較して、より高い親和性によりJAKに結合し、又はより高い効能によりJAKを阻害する化合物を意味する(例えば、JAK3及び/又はTYK2を上回るJAK1又はJAK2に対する選択性を有する阻害剤)。いくつかの実施態様において、選択性とは、(例えば、JAK1、JAK3及びTYK2を上回る)JAK2に対する選択的阻害を意味する。理論に束縛されるものではないが、JAK3の阻害剤は免疫抑制効果を導き得るため、癌(例えば多発性骨髄腫等)の治療に有用な、JAK3を上回るJAK2に対する選択性を有する化合物は、より少ない免疫抑制副作用を有するという追加の利点を提供し得る。選択性は、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍又は少なくとも約1000倍であり得る。選択性は、当技術分野にて日常的な方法により測定することができる。いくつかの実施態様において、選択性は、各酵素のKmにて試験されてもよい。いくつかの実施態様において、JAK3を上回るJAK2に対する選択性は、細胞ATP濃度により決定することができる。
【0078】
本発明の別の態様は、治療的有効量又は治療的有効用量の本明細書に記載する所定の化合物又はその医薬組成物を、そのような治療を必要とする個人に投与することによる、個人(例えば、患者)におけるJAK−関連疾患又は疾患の治療方法に関する。JAK−関連疾患には、JAKの過剰発現及び/又は異常な活性レベルを含む、JAKの発現又は活性に直接又は間接的に関連付けられる任意の疾患、疾患又は病状を挙げることができる。JAK−関連疾患は、JAK活性を調節することにより、予防、回復又は治癒できる任意の疾患、疾患又は病状も含み得る。
【0079】
JAK−関連疾患の例には、例えば、臓器移植拒絶反応(例えば、同種移植片拒絶及び移植片対宿主病)を含む、免疫系に関与する疾患が挙げられる。
【0080】
JAK−関連疾患の更なる例には、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節炎、I型糖尿病、ループス、乾癬、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、自己免疫性甲状腺疾患等の自己免疫疾患が挙げられる。いくつかの実施態様において、自己免疫疾患は、尋常性天疱瘡(PV)又は類天疱瘡(BP)等の自己免疫性水疱皮膚疾患である。
【0081】
JAK−関連疾患の更なる例には、喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎及び鼻炎等のアレルギー状態が挙げられる。JAK−関連疾患の更なる例には、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、肝炎B、肝炎C、HIV、HTLV 1、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)及びヒト乳頭腫ウイルス(HPV)等のウイルス疾患が挙げられる。
【0082】
JAK−関連疾患又は病状の更なる例には、乾癬(例えば、尋常性乾癬)、アトピー性皮膚炎、皮膚発疹、皮膚過敏、皮膚感作(例えば、接触性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎又はアレルギー性接触感作)等の皮膚疾患が挙げられる。例えば、いくつかの医薬品を含む所定の物質は、局所的に適用された際に皮膚感作を引き起こし得る。いくつかの実施態様において、少なくとも一種のJAK阻害剤を、望まれない感作を引き起こす薬剤と共に共投与又は連続投与することは、望まれない感作又は皮膚炎等を治療する助けとなり得る。いくつかの実施態様において、皮膚疾患は、少なくとも一種のJAK阻害剤の局所投与により治療される。
【0083】
更なる実施態様において、JAK−関連疾患は、固形腫瘍(例えば、前立腺癌、腎癌、肝癌、膵癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭部及び首部の癌、甲状腺癌、神経膠芽腫、カボジ肉腫、キャッスルマン病、黒色腫等)、血液性の癌(例えば、リンパ腫、急性リンパ性白血病等、急性骨髄性白血病(AML)等の白血病、又は多発性骨髄腫)、並びに皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)及び皮膚B細胞リンパ腫等の皮膚癌により特徴付けられるものを含む癌である。皮膚T細胞リンパ腫の例には、セザリー症候群及び菌状息肉腫が挙げられる。
【0084】
JAK−関連疾患は更に、偽キナーゼドメイン内に少なくとも一つの変異を有するもの(例えば、JAK2V617F)等のJAK2変異体;偽キナーゼドメインの外部に少なくとも一つの変異を有するJAK2変異体;JAK1変異体;JAK3変異体;エリスロポエチン受容体(EPOR)変異体の発現;又はCRLF2の無秩序発現により特徴付けられるものを含むことができる。
【0085】
JAK−関連疾患は更に、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄化生を伴う骨髄線維症(MMM)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、好酸球増加症候群(HES)、全身性マスト細胞疾患(SMCD)等の骨髄増殖性疾患(MPD)を含むことができる。
【0086】
更にJAK−関連疾患は、炎症及び炎症性疾患を含む。炎症性疾患の例には、サルコイドーシス、眼の炎症性疾患(例えば、ドライアイ、虹彩炎、ブドウ膜炎、強膜炎、結膜炎、又は関連する疾患)、気道の炎症性疾患(例えば、鼻炎若しくは副鼻腔炎等の鼻及び副鼻腔を含む上気道の疾患、又は気管支炎、慢性閉塞性肺疾患等を含む下気道の疾患)、心筋炎等の炎症性ミオパチー、及び他の炎症性疾患が挙げられる。JAK阻害剤で治療可能な他の炎症性疾患には、全身性炎症性応答症候群(SIRS)及び敗血性ショックが挙げられる。
【0087】
本明細書で使用される「ドライアイ疾患」は、Dry Eye Workshop(DEWS)の最近の公式報告に要約されている疾患状態を包含することが意図され、該報告では、ドライアイを「眼表面に対する潜在的な損傷を伴う、不快感、視覚障害及び涙膜不安定性の徴候をもたらす、涙及び眼表面の多因子疾患。これは、涙膜の増大されたモル浸透圧濃度、及び眼表面の炎症を伴う。」と定義している。Lemp,「Definition and Classification of Dry Eye Disease: Report of the Definition and Classification Subcommittee of the International Dry Eye Workshop」, Ocular Surface, 5(2), 75-92 April 2007、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施態様において、ドライアイ疾患は、涙液分泌減少型ドライアイ(ADDE)又は涙液蒸発亢進型ドライアイ疾患、又はそれらの適切な組み合わせから選択される。いくつかの実施態様において、ドライアイ疾患は、シェーグレン症候群ドライアイ(SSDE)である。いくつかの実施態様において、ドライアイ疾患は、非シェーグレン症候群ドライアイ(NSSDE)である。
【0088】
更なる態様において、本発明は、それを必要とする患者における結膜炎、ブドウ膜炎(慢性ブドウ膜炎を含む)、脈絡膜炎(chorioditis)、網膜炎、毛様体炎、強膜炎(sclieritis)、上強膜炎、若しくは虹彩炎の治療;又は角膜移植、LASIK(レーザー角膜内切削形成術(laser assisted in situ keratomileusis))、レーザー屈折矯正角膜切除術、若しくはLASEK(レーザー角膜上皮屈折矯正術(laser assisted sub-epithelial keratomileusis))に関連した炎症若しくは疼痛の治療;又は角膜移植、LASIK、レーザー屈折矯正角膜切除術、若しくはLASEKに関連した視力の喪失の阻害;又は移植片拒絶の阻害の方法を提供し、該方法は、治療的有効量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む。
【0089】
JAK阻害剤は更に、虚血再灌流傷害、又は卒中若しくは心停止等の炎症性虚血性事象に関連した疾患又は病状の治療に使用することができる。JAK阻害剤は更に、癌を原因とする又は癌に関連したもの等の、拒食症、悪液質又は疲労の治療に使用することができる。JAK阻害剤は更に、再狭窄、強皮症又は線維症の治療に使用することができる。JAK阻害剤は更に、例えば糖尿病性網膜症、癌又は神経変性等の、低酸素症又はアストログリア増殖症に関連した病状の治療に使用することができる。例えばDudley, A.C. et al. Biochem. J. 2005, 390(Pt 2):427-36及びSriram, K. et al. J. Biol. Chem. 2004, 279(19):19936-47. Epub 2004 Mar 2を参照されたい。
【0090】
JAK阻害剤は更に、痛風、及び例えば良性前立腺肥大又は良性前立腺肥大症による、増大した前立腺サイズの治療に使用することができる。
【0091】
更なるJAK−関連疾患には、骨粗鬆症等の骨吸収疾患、変形性関節症が挙げられる。骨吸収は、ホルモン失調及び/若しくはホルモン療法、又は自己免疫疾患(例えば骨サルコイドーシス)、又は癌(例えば骨髄腫)等の他の病状にも関連し得る。骨吸収のJAK阻害剤による低下は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%又は約90%であり得る。
【0092】
本明細書で使用される「接触させる」という用語は、示された部分をインビトロ系又はインビボ系内で一緒にすることを指す。例えば、JAKを化合物と「接触させる」は、本発明の化合物を、JAKを有するヒト等の個人又は患者に投与すること、及び、例えば細胞を含む試料内又はJAKを含有する精製製剤中に、化合物を導入することを含む。
【0093】
本明細書で使用される、交換可能に使用される「個人」又は「患者」という用語は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、畜牛、ヒツジ、ウマ又は霊長類を含む任意の動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0094】
本明細書で使用される「治療的有効量」という表現は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医によって組織、系、動物、個人又はヒト内で求められる、活性化合物又は医薬品の、生物学的応答又は医薬応答を引き出す量を指す。
【0095】
本明細書で使用される「治療する」又は「治療」という用語は、(1)疾患の予防;例えば、疾患、病状又は疾患に罹患する傾向があり得るが、疾患の病理又は総体症状を経験又は提示していない個人における疾患、病状又は疾患の予防;(2)疾患の阻害;例えば、疾患、病状又は疾患の病理又は総体症状を経験している個人における疾患、病状又は疾患の阻害、及び(3)疾患の回復;例えば、疾患、病状又は疾患の病理又は総体症状を経験している個人における疾患、病状又は疾患の回復(即ち、病理及び/又は総体症状の逆転)、例えば疾患の重篤さの低減等、の一つ又はそれ以上を指す。
【0096】
個々の化合物Iを投与した後の患者内の代謝産物のレベルは、測定及びプロファイリングすることができる。次に、それらの代謝産物プロファイルを使用してその個人における投与計画(例えば、化合物Iの投与のための)を調整してもよい。例えば、様々な代謝産物の所定期間後のレベルにより示される、化合物Iのより急速なクリアランスは、初期投与量を増やすよう調整する必要があることを意味し得る。
【0097】
組み合わせ療法
例えば、化学療法薬、抗炎症剤、ステロイド、免疫抑制薬、及び例えば国際公開第2006/056399号に記載されているもの等のBcr−Abl、Flt−3、RAF及びFAKキナーゼ阻害剤、又は他の薬剤等の一つ又はそれ以上の追加の医薬品を、本明細書に記載する所定の化合物と組み合わせて使用して、JAK−関連疾患、疾患又は病状を治療してもよい。一つ又はそれ以上の追加の医薬品は、同時に又は順次患者に投与されてもよい。
【0098】
化学療法薬の例には、プロテアソーム(proteosome)阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、レブリミド、及びメルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチン等のDNA−損傷剤等が挙げられる。
【0099】
ステロイドの例には、デキサメタゾン又はプレドニゾン等のコルチコステロイド(coriticosteroid)が挙げられる。
【0100】
Bcr−Abl阻害剤の例には、米国特許第5,521,184号、国際公開第04/005281号及び米国特許出願番号第60/578,491号に開示されている属及び種の化合物、及びその薬学的に許容され得る塩が挙げられる。
【0101】
好適なFlt−3阻害剤の例には、国際公開第03/037347号、国際公開第03/099771号及び国際公開第04/046120号に開示されているような化合物、及びそれらの薬学的に許容され得る塩が挙げられる。
【0102】
好適なRAF阻害剤の例には、国際公開第00/09495号及び国際公開第05/028444号に開示されているような化合物、及びそれらの薬学的に許容され得る塩が挙げられる。
【0103】
好適なFAK阻害剤の例には、国際公開第04/080980号、国際公開第04/056786号、国際公開第03/024967号、国際公開第01/064655号、国際公開第00/053595号及び国際公開第01/014402号に開示されているような化合物、及びそれらの薬学的に許容され得る塩が挙げられる。
【0104】
いくつかの実施態様において、一つ又はそれ以上の本明細書に記載する化合物は、イマチニブを含む一種又はそれ以上の他のキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用されて、特にイマチニブ又は他のキナーゼ阻害剤に耐性の患者を治療してもよい。
【0105】
いくつかの実施態様において、一つ又はそれ以上の化合物は、多発性骨髄腫等の癌の治療において、化学療法薬と組み合わせて使用されてもよく、化学治療薬単独での応答と比較して、その毒性効果を悪化させることなく治療応答を改善し得る。多発性骨髄腫の治療に使用される追加の医薬品の例には、例えばメルファラン、メルファラン+プレドニゾン[MP]、ドキソルビシン、デキサメタゾン及びベルケイド(ボルテゾミブ)が挙げられるが、これらに限定されない。多発性骨髄腫の治療に使用される更なる追加の薬剤には、Bcr−Abl、Flt−3、RAF及びFAKキナーゼ阻害剤が挙げられる。本発明の化合物と追加の薬剤との組み合わせにより、相加又は相乗効果の結果がもたらされることが望ましい。また更に、デキサメタゾン等の薬剤に対する多発性骨髄腫細胞の耐性は、本発明の化合物の治療後に逆転させ得る。薬剤は、単一剤形若しくは連続剤形中でJAK阻害剤と組み合わされてもよく、又は別個の剤形として同時に若しくは連続して投与されてもよい。
【0106】
いくつかの実施態様において、デキサメタゾン等のコルチコステロイドが、少なくとも一つのJAK阻害剤と組み合わせて患者に投与され、ここでデキサメタゾンは、連続的ではなく断続的に投与される。
【0107】
いくつかの更なる実施態様では、一つ又はそれ以上の化合物と他の治療薬との組み合わせは、骨髄移植又は幹細胞移植の前、最中、及び/又は後に患者に投与されてもよい。
【0108】
医薬製剤及び剤形
医薬品として使用される際、本明細書に記載する化合物は、医薬組成物の形態で投与され得る。これらの組成物は、医薬の分野にて周知の方法で調製されてもよく、局部又は全身性治療のいずれであるかに応じて、また治療される場所に応じて、多様な経路により投与することができる。投与は、局所(経皮、上皮、眼内、並びに鼻腔内、膣及び直腸送達を含む粘膜に対するものを含む)、経肺(例えば、噴霧器によるものを含む、粉末又はエアゾルの吸入又は送気(insufflation);気管内又は鼻腔内により)、経口又は非経口であってもよい。いくつかの実施態様において、組成物は経口投与に好適である。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋内注射若しくは注入;又は頭蓋内、例えばくも膜下腔内若しくは脳室内、投与が含まれる。非経口投与は、単一大量瞬時投与の形態であってもよく、又は例えば連続灌流ポンプによるものであってもよい。局所投与用の医薬組成物及び製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ジェル、液滴、坐剤、噴霧剤、液体及び粉末を挙げることができる。従来の医薬担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤等が必要であり又は望ましい。被覆コンドーム、手袋等も有用であり得る。
【0109】
本発明は、活性成分としての一つ又はそれ以上の本明細書に記載する化合物を、一種又はそれ以上の薬学的に許容され得る担体(賦形剤)と組み合わせた医薬組成物も含む。本発明の組成物を作製する際、活性成分は一般に、賦形剤と混合されるか、又は賦形剤により希釈されるか、又はそのような担体内に例えばカプセル、薬袋、紙若しくは他の容器の形態で封入される。賦形剤が希釈剤としての役割を果たす場合、賦形剤は、活性成分のビヒクル、担体又は媒体として機能する固体、半固体又は液体材料であってもよい。従って、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ、薬袋、カシェ剤、エリキシル剤、縣濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアゾル(固体又は液体媒体として)、例えば10重量%までの活性化合物を含有する軟膏、軟及び硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌注射剤及び無菌包装散剤の形態であってもよい。
【0110】
製剤の調製の際、活性化合物は他の成分と組み合わされる前に粉砕されて、適切な粒径を提供し得る。活性化合物が実質的に不溶性の場合、200メッシュ未満の粒径に粉砕され得る。活性化合物が実質的に水溶性の場合、粒径は粉砕により、例えば約40メッシュに調整されて、製剤中にて実質的に均一の分布を提供し得る。
【0111】
活性成分は、湿式粉砕等の公知の粉砕手順を使用して粉砕されて、錠剤の形成及び他の製剤タイプに適した粒径を得ることができる。活性成分の微粉化(ナノ微粒子)製剤は、当技術分野にて公知のプロセスにより調製され得る。例えば国際特許出願公開第2002/000196号を参照されたい。
【0112】
好適な賦形剤のいくつかの例には、乳糖、右旋糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、糖蜜及びメチルセルロースが挙げられる。製剤は、更に、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油等の滑沢剤;湿潤剤;乳化及び懸濁化剤;ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピル等の保存剤;甘味剤;並びに風味剤を含有することができる。本発明の組成物は、当技術分野にて公知の手順を使用することにより、患者への投与後、活性成分が急速、持続又は遅延放出するよう処方されてもよい。
【0113】
組成物は、各投与量が約5〜約1000mg(1g)、より通常には約100〜約500mgの活性成分を含む単位剤形で処方されてもよい。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単一投与量として好適な物理的に別々の単位を指し、各単位は、好適な医薬賦形剤と共に所望の治療効果を生じるよう計算された所定量の活性物質を含む。
【0114】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、約5mg〜約50mgの活性成分を含有する。当業者は、これが約5mg〜約10mg、又は約10mg〜約15mg、又は約15mg〜約20mg、又は約20mg〜約25mg、又は約25mg〜約30mg、又は約30mg〜約35mg、又は約35mg〜約40mg、又は約40mg〜約45mg、又は約45mg〜約50mgの活性成分を含有する化合物又は組成物を具現することを認識するであろう。
【0115】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、約50mg〜約500mgの活性成分を含有する。当業者は、これが約50mg〜約100mg、又は約100mg〜約150mg、又は約150mg〜約200mg、又は約200mg〜約250mg、又は約250mg〜約300mg、又は約350mg〜約400mg、又は約450mg〜約500mgの活性成分を含有する化合物又は組成物を具現することを認識するであろう。
【0116】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、約500mg〜約1,000mgの活性成分を含有する。当業者は、これが約500mg〜約550mg、又は約550mg〜約600mg、又は約600mg〜約650mg、又は約650mg〜約700mg、又は約700mg〜約750mg、又は約750mg〜約800mg、又は約800mg〜約850mg、又は約850mg〜約900mg、又は約900mg〜約950mg、又は約950mg〜約1,000mgの活性成分を含有する化合物又は組成物を具現することを認識するであろう。
【0117】
活性化合物は広い投与量範囲に亘って有効であり得、一般に、薬学的有効量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、通常、治療される病状、投与経路の選択、投与される実際の化合物、年齢、体重、及び個々の患者の応答、患者の徴候の重篤さ等を含む関連する状況に応じて、医師により決定されることを理解するであろう。
【0118】
錠剤等の固体組成物を調製するには、主要な活性成分を薬学的賦形剤と共に混合して、本発明の化合物の均質な混合物を含む固体予備処方組成物を形成する。これら予備処方組成物を均質と称する際、活性成分は、一般に、組成物全体にて均等に分散され、従って組成物は、等しく有効な錠剤、丸剤及びカプセル剤等の単位剤形に容易に細分されることができる。この固体予備処方物は、次いで例えば約0.1〜約1000mgの本発明の活性成分を含む、上述のタイプの単位剤形に細分される。
【0119】
本発明の錠剤又は丸剤は、被覆され又は別様に構成されて、長時間作用の利点を提供する剤形を提供してもよい。例えば、錠剤又は丸剤は、内部投与成分及び外部投与成分を含んでもよく、後者は前者を覆うエンベロープの形態である。二つの成分は、胃内での崩壊に抵抗し、内部成分を十二指腸内へ無傷のまま通過させ又は放出を遅延させる役割を果たす、腸溶層(enteric layer)により分離されてもよい。そのような腸溶層又は皮膜用には多様な材料を使用することができ、そのような材料には、多数の高分子酸と、shellac、セチルアルコール及び酢酸セルロース等の材料との高分子酸の混合物とが挙げられる。
【0120】
化合物及び組成物が組み込まれて経口投与又は注射され得る液体形態としては、水性溶液、好適に風味付けされたシロップ剤、水性又は油性縣濁液、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油又はピーナッツ油等の食用油を有する風味付けされた乳剤、並びにエリキシル剤及び同様の医薬ビヒクルが挙げられる。
【0121】
吸入又は吹送用の組成物には、薬学的に許容され得る、水性溶媒又は有機溶媒、又はそれらの混合物中の溶液及び縣濁液、並びに粉末が挙げられる。液体組成物又は固体組成物は、前述のように、薬学的に許容され得る好適な賦形剤を含んでもよい。いくつかの実施態様において、組成物は、局部又は全身性効果のために経口又は経鼻呼吸経路により投与される。組成物は、不活性ガスの使用により噴霧されてもよい。噴霧される溶液は、噴霧装置から直接吸入されてもよく、又は噴霧装置を顔面マスク、テント若しくは間欠性陽圧呼吸機械に取り付けてもよい。溶液、縣濁液又は粉末組成物は、製剤を適切な様式で送達する装置から経口又は鼻腔内投与されてもよい。
【0122】
患者に投与される化合物又は組成物の量は、投与されるもの、予防又は治療等の投与の目的、患者の状態、投与様式等に応じて変更されるであろう。治療的用途においては、組成物は、疾患及びその合併症の徴候を治癒又は少なくとも部分的に抑止するのに十分な量で、既に疾患に苦しんでいる患者に投与され得る。有効な用量は、治療される疾患の病状に依存し、また疾患の重篤さ、年齢、体重及び患者の全身の状態等の因子に応じた主治医の判断によるであろう。
【0123】
患者に投与される組成物は、上述した医薬組成物の形態であってもよい。これらの組成物は、従来の滅菌技術により滅菌され、又は滅菌濾過されてもよい。水性溶液は、そのまま使用するよう包装され、又は凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥製剤は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。化合物製剤のpHは、一般に、3〜11、より好ましくは5〜9、最も好ましくは7〜8であろう。所定の前述の賦形剤、担体又は安定剤の使用により、医薬塩の形成がもたらされることを理解するであろう。
【0124】
化合物の治療的投与量は、例えば、治療のための特定の使用、化合物の投与様式、患者の健康及び状態、並びに処方する医師の判断に従って変更され得る。医薬組成物中の化合物の割合又は濃度は、投与量、化学的特性(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む多数の因子に応じて変わり得る。例えば、化合物は、非経口投与用に、約0.1〜約10% w/vの化合物を含む水性生理学的緩衝溶液中で提供されてもよい。いくつかの典型的な用量範囲は、約1μg/kg〜約1g/kg体重/日である。いくつかの実施態様において、用量範囲は、約0.01mg/kg〜約100mg/kg体重/日である。投与量は、疾患又は疾患のタイプ及び進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択される化合物の相対的な生物学的有効性、賦形剤の処方、及びその投与経路等の変数に依存する可能性がある。有効な用量は、インビトロ又は動物モデル試験システムに由来する用量応答曲線から外挿されてもよい。
【0125】
本発明の組成物は、更に、化学療法薬、ステロイド、抗炎症性化合物、又は免疫抑制薬等の、一つ又はそれ以上の追加の医薬品を含有してもよく、その例は上に列挙されている。
【0126】
いくつかの実施態様において、化合物、又はその薬学的に許容され得る塩は、眼科用組成物として投与される。従って、いくつかの実施態様において、方法は、化合物、又はその薬学的に許容され得る塩、及び眼科的に許容され得る担体の投与を含む。いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、液体組成物、半固体組成物、インサート、フィルム、微小粒子又はナノ粒子である。
【0127】
いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、液体組成物である。いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、半固体組成物である。いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、局所組成物である。局所組成物には、液体及び半固体組成物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、局所組成物である。いくつかの実施態様において、局所組成物は、水性溶液、水性縣濁液、軟膏又はジェルを含む。いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、眼の前部、上眼瞼下、下眼瞼上及び結膜嚢内に局所的に適用される。いくつかの実施態様において、眼科用組成物は滅菌される。滅菌は、溶液の滅菌濾過のような公知の技術により、又は溶液をすぐに使用できる(ready-to use)アンプル内で加熱することにより達成され得る。眼科用の本発明の組成物は更に、眼科用製剤の調製に好適な医薬賦形剤を含有してもよい。そのような賦形剤の例は、保存剤、緩衝剤、キレート化剤、抗酸化剤、及び浸透圧を制御するための塩である。
【0128】
本明細書で使用される「眼科的に許容され得る担体」という用語は、化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を含有及び放出することができ、かつ眼に適合性の任意の物質を指す。いくつかの実施態様において、眼科的に許容され得る担体は、水又は水溶液若しくは縣濁液であるが、眼球インサート内に使用される軟膏及びポリマーマトリックスの作製に使用される油も含む。いくつかの実施態様において、組成物は、化合物、又はその薬学的に許容され得る塩を含有する水性縣濁液であってもよい。軟膏及び縣濁液の両方を含む液体眼科用組成物は、選択された投与経路に適した粘度を有してもよい。いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、約1,000〜約30,000センチポアズの範囲内の粘度を有する。
【0129】
いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、更に、界面活性剤、補助剤、緩衝液、抗酸化剤、等張化剤、保存剤(例えば、EDTA、BAK(塩化ベンズアルコニウム)、亜塩素酸ナトリウム、過ホウ素酸ナトリウム、ポリクオタニウム−1)、増粘剤又は粘度調整剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、グリコール400、プロピレングリコールヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルグァー、ヒアルロン酸及びヒドロキシプロピルセルロース)等の一つ又はそれ以上を含有し得る。製剤中の添加剤には、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ソルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ヒマシ油及び過ホウ酸ナトリウムを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0130】
水性眼科用組成物(溶液又は縣濁液)は、一般に、生理学的に又は眼科的に有害な構成成分を含まない。いくつかの実施態様において、精製又は脱イオン水が、組成物中に使用される。pHは、生理学的に及び眼科的に許容され得る任意のpH調整酸、塩基又は緩衝液を加えることにより約5.0〜8.5の範囲内に調整され得る。眼科的に許容され得る酸の例には、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸等が挙げられ、塩基の例には、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、トロメタミン、トリヒドロキシメチルアミノ−メタン等が挙げられる。塩及び緩衝液には、クエン酸塩/右旋糖、重炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム、並びに上述の酸及び塩基の混合物が挙げられる。
【0131】
いくつかの実施態様において、方法は、眼の外部表面と接触する、治療薬のデポーの形成又は供給を含む。デポーは、涙又は他の眼浄化機構により急速に除去されない治療薬の源を指す。デポーは、単一適用により、連続した、持続する高い濃度の治療薬が、眼の外部表面上の流体中に存在することを可能にする。いかなる理論に束縛されるものではないが、吸収及び浸透は、溶解している薬物の濃度と、外部組織の薬物含有流体との接触時間との両方に依存し得ると考えられる。薬物が眼液による浄化及び/又は眼組織内への吸収により除去されるにつれて、補充された眼液中にデポーから追加の薬物が提供され、例えば溶解される。従って、デポーの使用は、より不溶性の治療薬の眼組織に対する負荷を容易に促進することができる。いくつかの実施態様において、デポーは、8時間又はそれ以上残留することができる。いくつかの実施態様において、眼科用デポー形態は、水性高分子縣濁液、軟膏及び固体インサートを含むがこれらに限定されない。
【0132】
いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、軟膏又はジェルである。いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、油ベースの送達ビヒクルである。いくつかの実施態様において、組成物は石油又はラノリン基剤を含み、該基剤に活性成分が通常0.1〜2%として、及び賦形剤が加えられる。通常の基剤としては、鉱物油、ワセリン及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、軟膏は下眼瞼上にリボンとして適用される。
【0133】
いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、眼科用インサートである。いくつかの実施態様において、眼科用インサートは、生物学的に不活性、軟性、生体内侵食性、粘弾性、治療薬に暴露後の滅菌に安定、浮遊細菌からの感染に耐性、生体内侵食性(bioerodible)、生体適合性、及び/又は粘弾性である。いくつかの実施態様において、インサートは、眼科的に許容され得るマトリックス、例えばポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、一般にポリマーであり、治療薬が、一般に、ポリマーマトリックス中に分散され、又はポリマーマトリックスに結合される。いくつかの実施態様において、治療薬は、溶解又は共有結合の加水分解を介して、マトリックスからゆっくり放出され得る。いくつかの実施態様において、ポリマーは、生体内侵食性(可溶性)であり、その溶解速度は、内部に分散されている治療薬の放出速度を管理し得る。別の形態において、ポリマーマトリックスは、生分解性ポリマーであり、該ポリマーは加水分解等により分解されて、該ポリマーに結合し又は該ポリマー中に分散した治療薬を放出する。更なる実施態様において、マトリックス及び治療薬は、追加の高分子皮膜で包囲されて、更に放出を管理し得る。いくつかの実施態様において、インサートは、ポリカプロラクトン(PCL)、エチレン/ビニルアセテートコポリマー(EVA)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリウレタン、ナイロン、又はポリ(dl−ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、又はこれらの任意のコポリマー等の生分解性ポリマーを含む。いくつかの実施態様において、治療薬は、マトリックス材料中に分散され、又は、マトリックス材料の作製に使用されるモノマー組成物中に重合前に分散される。いくつかの実施態様において、治療薬の量は、約0.1〜約50%、又は約2〜約20%である。更なる実施態様において、使用済みインサートを除去する必要がないように、生分解性又は生体内侵食性ポリマーマトリックスが使用される。生分解性又は生体内侵食性ポリマーが分解又は溶解するにつれて、治療薬が放出される。
【0134】
更なる実施態様において、眼科用インサートは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWagh, et al.,「Polymers used in ocular dosage form and drug delivery systems」, Asian J. Pharm., pages 12-17 (Jan. 2008)に記載されているものを含むが、これらに限定されないポリマーを含む。いくつかの実施態様において、インサートは、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリレート又はメタクリレートポリマー又はコポリマー(例えば、ローム(Rohm)製又はデグッサ(Degussa)製のポリマーのEudragit(登録商標)ファミリー)、ヒドロキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリエチレンオキシド、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)又はポリ(プロピレンフマレート)から選択されるポリマーを含む。いくつかの実施態様において、インサートは、Gelfoam(登録商標)Rを含む。いくつかの実施態様において、インサートは、450kDa−システイン抱合体のポリアクリル酸である。
【0135】
いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、眼科用フィルムである。そのようなフィルムに好適なポリマーには、Wagh, et al.(前記の箇所)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、フィルムは、エチレングリコールジメタクリレートで架橋されたN,N−ジエチルアクリルアミドとメタクリル酸とのコポリマーから作製されたもの等の、ソフトコンタクトレンズである。
【0136】
いくつかの実施態様において、眼科用組成物(compositon)は、ミクロスフェア又はナノ粒子を含む。いくつかの実施態様において、ミクロスフェアは、ゼラチンを含む。いくつかの実施態様において、ミクロスフェアは、後眼部、脈絡膜腔(chroroidal space)内、強膜内、硝子体内、又は網膜下に注射される。いくつかの実施態様において、ミクロスフェア又はナノ粒子は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWagh, et al.(前記の箇所)に記載されているものを含むが、これらに限定されないポリマーを含む。いくつかの実施態様において、ポリマーは、キトサン、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸、アルブミン粒子、ヒアルロン酸エステル、ポリイタコン酸、ポリ(ブチル)シアノアクリレート、ポリカプロラクトン、ポリ(イソブチル)カプロラクトン、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)又はポリ(乳酸)である。いくつかの実施態様において、ミクロスフェア又はナノ粒子は、固体脂質粒子を含む。
【0137】
いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、イオン交換樹脂を含む。いくつかの実施態様において、イオン交換樹脂は、無機ゼオライト又は合成有機樹脂である。いくつかの実施態様において、イオン交換樹脂は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWagh, et al.(前記の箇所)、に記載されているものを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、イオン交換樹脂は、部分中和ポリアクリル酸である。
【0138】
いくつかの実施態様において、眼科用組成物は、水性高分子縣濁液である。いくつかの実施態様において、治療薬又は高分子懸濁化剤が水性媒体中に懸濁される。いくつかの実施態様において、水性高分子縣濁液は、眼に投与される前にそれらが有していた粘度と同一の又は実質的に同一の粘度を眼内で維持するよう処方され得る。いくつかの実施態様において、水性高分子縣濁液は、涙液と接触した後、ゲル化が増大されるよう処方され得る。
【0139】
標識化合物及びアッセイ方法
本発明の別の態様は、本明細書に記載する所定の化合物の標識版(放射標識、蛍光標識等)に関し、該バージョンは、イメージング技術のみでなく、ヒトを含む組織試料中でのJAKの場所の特定(localize)及びJAKの定量化と、標識化合物の結合を阻害することによるJAKリガンドの同定とを含む、インビトロ及びインビボの両方でのアッセイにも有用である。従って、本発明は、それらの標識化合物を含むJAKアッセイを含む。
【0140】
本発明は更に、同位体標識化合物を含む。「同位体標識」又は「放射標識」化合物は、一つ又はそれ以上の原子が、自然界に一般に見出される(即ち、天然に存在する)原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子で置き換えられ又は置換されている、本明細書に記載する化合物である。本明細書に記載する化合物に組み込まれ得る好適な放射性核種には、H(重水素(deuterium)をあらわすために、Dとも記される)、H(トリチウム(tritium)をあらわすために、Tとも記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I及び131Iが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の放射性標識化合物に組み込まれる放射性核種は、その放射性標識化合物の特定の用途に依存するであろう。例えば、インビトロでのメタロプロテアーゼ標識及び競合アッセイには、H、14C、82Br、125I、131I、35S又は を組み込んだ化合物が、一般に、最も有用であろう。放射イメージング用途には、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Br又は77Brが一般に、最も有用であろう。
【0141】
「放射標識」又は「標識化合物」は、少なくとも一つの放射性核種を組み込んでいる化合物であることが理解される。いくつかの実施態様において、放射性核種は、H、14C、125I、35S及び82Brからなる群から選択される。
【0142】
本発明は更に、放射性同位体を本明細書に記載する化合物に組み込むための合成方法も含む。放射性同位体を有機化合物に組み込むための合成方法は、当技術分野にて周知であり、当業者は、本明細書に記載する化合物に適用できる方法を容易に認めるであろう。
【0143】
本発明の標識化合物は、化合物を同定/評価するスクリーニングアッセイに使用され得る。例えば、JAKと接触した際のその濃度変化を標識の追跡を介して監視することにより、標識された、新たに合成又は同定された化合物(即ち、試験化合物)を、そのJAKに結合する能力に関して評価することができる。例えば、(標識)試験化合物は、JAKに結合することが知られている他の化合物(即ち、標準化合物)の結合を低減させるその能力に関して評価することができる。従って、試験化合物が、JAKに対する結合に関して、標準化合物と競合する能力は、その結合親和性と直接相関する。逆に、いくつかの他のスクリーニングアッセイでは、標準化合物が標識され、試験化合物は標識されない。従って、標識された標準的な化合物の濃度を監視して、標準的な化合物と試験化合物との競合を評価することにより、試験化合物の相対的な結合親和性が解明される。
【0144】
キット
本発明は、例えば癌等のJAK−関連疾患又は疾患の治療又は予防に有用な医薬キットも含み、該キットは、治療的有効量の活性化合物を含む医薬組成物を収容する一つ又はそれ以上の容器を含む。そのようなキットは更に、所望であれば、当業者に容易に明らかとなるように、例えば、一つ又はそれ以上の薬学的に許容され得る担体を有する容器、追加の容器等の、一つ又はそれ以上の従来の様々な医薬キット構成要素を含んでもよい。投与するべき成分の量を指示する、挿入物又はラベルのいずれかの説明書、投与のための指針、及び/又は成分を混合するための指針も、キット内に含まれ得る。
【0145】
本発明を特定の実施例により、より詳細に記載する。以下の実施例は例示を目的として提供され、本発明を如何様にも限定するものではない。当業者は、変更又は修正されて本質的に同一の結果を提供し得る、決定的ではない様々なパラメータを容易に認めるであろう。
【実施例】
【0146】
実施例1:(R)−3−シクロペンチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル
【化36】

【0147】
ステップ1.(R)−3−シクロペンチル−3−[4−(2−メトキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル
【化37】

【0148】
4−クロロ−2−メトキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.4g、2.18mmol、トロントリサーチケミカルズ(Toronto Research Chemicals)及び(R)−3−シクロペンチル−3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(0.824g、2.61mmol、Org. Lett., 2009, 11(9), 1999-2002に記載されているように調製)を1,4−ジオキサン(4mL)に溶解し、水(2mL)中の炭酸カリウム(0.903g、6.54mmol)を加えた。混合物を脱気し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.126g、0.109mmol)を加えた。反応混合物を100℃まで16時間加熱した。反応混合物を水と酢酸エチル間に分配した。水性層を酢酸エチルで3回抽出した。一緒にした抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、デカントし、濃縮した。塩化メチレン中0〜10% MeOHの勾配を用いて溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して、生成物(670mg、91%)を精製した。1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.59 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.24 (d, 1H), 6.81 (d, 1H), 4.47 (dt, 1H), 4.04 (s, 3H), 3.21 (dd, 1H), 3.10 (dd, 1H), 2.62-2.44 (m, 1H), 2.02-1.86 (m, 1H), 1.81-1.20 (m, 7H); LCMS (M+H)+: 337.0.
【0149】
ステップ2.(R)−3−シクロペンチル−3−[4−(5−ヨード−2−メトキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル
【化38】

【0150】
3−シクロペンチル−3−[4−(2−メトキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(0.532g、1.58mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、N−ヨードスクシンイミド(0.36g、1.6mmol)を加えた。反応物を30分間撹拌し、溶媒を真空中で除去した。残留物をヘキサン中0〜65%酢酸エチルの勾配を用いて溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色固体(250mg、34%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 10.31 (br s, 1H), 8.27 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 4.34-4.21 (m, 1H), 4.06 (s, 3H), 3.14 (dd, 1H), 3.03-2.90 (m, 1H), 2.66-2.49 (m, 1H), 2.02-1.17 (m, 8H); LCMS (M+H)+: 463.0.
【0151】
ステップ3.(R)−4−[1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]−2−メトキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イルアセテート
【化39】

【0152】
3−シクロペンチル−3−[4−(5−ヨード−2−メトキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(0.25g、0.54mmol)の酢酸(3mL)溶液を酢酸銀(0.27g、1.6mmol)で処理し、70℃まで16時間加熱した。混合物を濾過し、MeCNで濯ぎ、濾液に水を加え、この混合物を20分間撹拌した。この溶液に固体塩化ナトリウムを加えた。この水性混合物を3部の酢酸エチルにより抽出して、生成物を得た。一緒にした抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、デカントし、濃縮した。生成物の一部を、更に精製することなく加水分解ステップ(ステップ4)に使用した。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 9.87 (br s, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.33 (s, 1H), 4.22 (dt, 1H), 4.06 (s, 3H), 3.14 (dd, 1H), 2.94 (dd, 1H), 2.64-2.47 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.03-1.86 (m, 1H), 1.79-1.12 (m, 7H); LCMS (M+H)+: 395.1.
【0153】
ステップ4.(R)−3−シクロペンチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンアミド
【化40】

【0154】
酢酸(2mL、8mmol)中の4MのHBrを4−[1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]−2−メトキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イルアセテート(0.050g、0.13mmol)に加え、反応物を1時間撹拌した。揮発性物質を真空中で除去した。残留物を再構成し、分取HPLC−MS(0.15% NHOHを含むMeCN/HOの勾配を用いて溶出する)を使用して、精製生成物(12mg、26%)を得た。1H NMR (500 MHz, d6-DMSO): δ 9.20 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 6.75 (s, 1H), 4.49 (dt, 1H), 3.89 (s, 2H), 2.80 (dd, 1H), 2.64 (dd, 1H), 2.36-2.26 (m, 1H), 1.83-1.74 (m, 1H), 1.63-1.36 (m, 4H), 1.32-1.20 (m, 2H), 1.15-1.05 (m, 1H); LCMS (M+H)+: 357.0.
【0155】
ステップ5.(R)−3−シクロペンチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル
3−シクロペンチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−5−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンアミド(0.006g、0.02mmol)の、トリエチルアミン(20TL、0.2mmol)を含む塩化メチレン(0.5mL)溶液に、トリクロロアセチルクロリド(20TL、0.2mmol)を加えた。反応が完了した際、分取HPLC−MS(0.15% NHOHを含むMeCN/HO)を使用して精製生成物(3mg、52%)を得た。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO): δ 11.39 (br s, 1H), 9.37 (s, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.63 (s, 1H), 4.68-4.59 (m, 1H), 3.94 (s, 2H), 3.19-3.15 (m, 2H), 2.42-2.30 (m, 1H), 1.86-1.75 (m, 1H), 1.69-1.20 (m, 6H), 1.18-1.05 (m, 1H); LCMS (M+H)+: 339.1.
【0156】
実施例2:(3R)−及び(3S)−3−[(1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル]−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル及び(3R)−及び(3S)−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロペンチル]−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル
【化41】

【0157】
ステップ1.(1S,2R)−エチル2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペンタンカルボキシレート及び(1R,2S)−エチル2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペンタンカルボキシレート
【化42】

【0158】
tert−ブチルジメチルクロロシラン(0.524g、3.48mmol)及び1H−イミダゾール(0.473g、6.95mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)溶液に、エチルシス−2−ヒドロキシ−1−シクロペンタンカルボキシレート(ラセミ体、アクロス)(0.50g、0.0032mol)を加えた。反応物を16時間撹拌した。更にイミダゾール(0.40g、5.8mmol)及びtert−ブチルジメチルクロロシラン(0.50g、3.3mmol)を一部ずつ加え、反応物を更に24時間撹拌した。生成物をヘキサンで抽出した。抽出物を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸発させてラセミ体TBS−保護ヒドロキシエステル(0.9g)を得、これを更に精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 4.46 (ddd, 1H), 4.19 (dq, 1H), 4.01 (dq, 1H), 2.72 (dt, 1H), 2.22-2.11 (m, 1H), 1.96-1.49 (m, 5H), 1.26 (t, 3H), 0.84 (s, 9H), 0.03 (s, 3H), 0.01 (s, 3H).
【0159】
ステップ2.(1S,2R)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペンタンカルボアルデヒド及び(1R,2S)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペンタンカルボアルデヒド
【化43】

【0160】
ステップ1からの(1S,2R)−エチル 2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペンタンカルボキシレート及び(1R,2S)−エチル 2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(0.86g、3.2mmol)のヘキサン(40mL)溶液に、−78℃で1.0Mの水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン(3.5mL、3.5mmol)溶液を滴加した。反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、この温度でメタノール(2mL)を滴加することによりクエンチした。冷却を中断し、混合物を周囲温度に到達させた。Rochelleの塩の水溶液を加えた。二層混合物を2時間激しく撹拌し、得られた層を分離した。水性層を更にヘキサンで1回抽出した後、3部の酢酸エチルで抽出した。一緒にした抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、デカントし、濃縮してラセミ体アルデヒド生成物を得、これを更に精製することなく使用した(0.7g、97%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 9.74 (d, 1H), 4.62 (ddd, 1H), 2.68-2.61 (m, 1H), 2.22-2.11 (m, 1H), 1.95-1.83 (m, 1H), 1.80-1.57 (m, 4H), 0.85 (s, 9H), 0.05 (s, 3H), 0.04 (s, 3H).
【0161】
ステップ3.(E)−及び(Z)−3−((1R,2R)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ}シクロペンチル)アクリロニトリル及び(E)−及び(Z)−3−((1S,2S)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ}シクロペンチル)アクリロニトリル
【化44】

【0162】
ステップ2)からの(1S,2R)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペンタンカルボアルデヒド及び(1R,2S)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペンタンカルボアルデヒド(0.36g、1.6mmol)のトルエン(9mL)溶液に、(トリフェニルホスホラニリデン)アセトニトリル(0.475g、1.58mmol)を加え、反応物を80℃まで2時間加熱した。反応物を室温に冷却し、水を加えた。生成物を3部のエチルエーテルで抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、デカントし、濃縮してE−及びZ−オレフィン異性体のラセミ混合物を提供し、これを更に精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.82 (dd, 1H, トランスオレフィン), 6.63 (dd, 1H, シスオレフィン), 5.307 (dd, 1H, トランスオレフィン), 5.305 (dd, 1H, シスオレフィン), 4.24 (ddd, 1H), 4.20 (ddd, 1H), 2.96-2.86 (m, 1H), 2.53-2.43 (m, 1H), 1.95-1.56 (m, 12H), 0.87 (s, 9H), 0.86 (s, 9H), 0.04-0.01 ( 一重項, 全体で12H).
【0163】
ステップ4.(3R)−及び(3S)−3−[(1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル]−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル並びに(3R)−及び(3S)−3−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロペンチル]−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル
ステップ3)からの粗生成物である(E)−及び(Z)−3−((1R,2R)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペンチル)アクリロニトリル並びに(E)−及び(Z)−3−((1S,2S)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペンチル)アクリロニトリル(0.40g、1.6mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液に、4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.50g、1.6mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、0.24mL、1.6mmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌し、更にDBU(0.24mL、1.6mmol)を加えた。反応物を3日間撹拌し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(10〜40%酢酸エチル/ヘキサンの勾配を用いて溶出)を使用して生成物を精製し、次いでこれをDCM中20% TFAで3時間処理し、蒸発させ、メタノール溶液中の過剰のエチレンジアミンで一晩処理した。SEM保護基の除去が完了した際、EtOH/HO/c.HCl(10:4:3容積比)と共に3時間撹拌することにより、任意の残留TBS保護基を除去した。完全に脱保護した生成物を分取HPLC−MS(MeCN/HOの勾配中0.15% NHOH)により精製した。M+H=323の全画分をプールし、蒸発させた(およそ80mg)。生成物を以下のように、一連のキラルクロマトグラフィー精製に付した:Chiral Technologies Chiralcel OJ−H(3×25cm、5Tm)20% EtOH/80%ヘキサンを用いて流速25mL/分で溶出して、ピーク1(19mg)を得、以下の少数のピークは収集しなかった;ピーク2(60mg)、ピーク3(6mg)。ピーク2は混合物であり、次いでこれをChiral Technologies Chiralpak IA(2×25cm、5Tm)を使用して70% EtOH/30%ヘキサンの勾配を用いて流速8mL/分で溶出して、3つの成分に更に分離した。これらを、生成物の混合物であるピーク2−1(溶離2、ピーク1、32mg)、ピーク2−2(6.5mg)及びピーク2−3(13.7mg)と標識した。ピーク2−1をChiral Technologies Chiralpak IA(2×25cm、5Tm)を使用して25% EtOH/75%ヘキサンの勾配を用いて流速12mL/分で溶出して、3つの成分に更に分離した。単離した生成物を、ピーク2−1−1(10.5mg);2−1−2(13mg);及び2−1−3(2.3mg)と標識した。
【0164】
ピーク1: 1H NMR (500 MHz, CD3OD): δ 8.65 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.49 (d, 1H), 6.95 (d, 1H), 4.71 (ddd, 1H), 4.28 (br t, 1H), 3.26 (dd, 1H), 3.21 (dd, 1H), 2.53-2.45 (m, 1H), 1.98-1.73 (m, 3H), 1.62-1.47 (m, 2H), 1.38-1.29 (m, 1H); LCMS (M+H)+: 323.
ピーク 2−1−1: 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.64 (s, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.49 (d, 1H), 6.94 (d, 1H), 4.90-4.78 (m, 1H), 3.64 (br t, 1H), 3.21 (dd, 1H), 3.07 (dd, 1H), 2.55-2.40 (m, 1H), 2.01-1.58 (m, 6H); LCMS (M+H)+: 323.
ピーク 2−1−2: 1H NMR (500 MHz, CD3OD): δ 8.65 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.49 (d, 1H), 6.95 (d, 1H), 4.71 (ddd, 1H), 4.28 (br t, 1H), 3.26 (dd, 1H), 3.21 (dd, 1H), 2.53-2.45 (m, 1H), 1.98-1.73 (m, 3H), 1.62-1.48 (m, 2H), 1.38-1.26 (m, 1H); LCMS (M+H)+: 323.
ピーク 2−3: 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.64 (s, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.48 (d, 1H), 6.93 (d, 1H), 4.90-4.78 (m, 1H), 3.64 (br t, 1H), 3.21 (dd, 1H), 3.07 (dd, 1H), 2.55-2.40 (m, 1H), 2.01-1.58 (m, 6H); LCMS (M+H)+: 323.
【0165】
実施例3:ラセミ体3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルトリフルオロ酢酸塩
【化45】

【0166】
ステップ1.1−[(トリメチルシリル)オキシ]シクロペンタンカルボアルデヒド
【化46】

【0167】
Tetrahedron, 50(9), 2821-30; 1994に記載されている手順と同様の手順にて反応を行った:1−[(トリメチルシリル)オキシ]シクロペンタンカルボニトリル(2.25g、12.3mmol、Organometallics, 3(11), 1660-5; 1984に記載されているように調製)のトルエン(18mL)溶液に、−45℃でヘキサン(17.2mL、17.2mmol)中の1.0Mの水素化ジブチルアルミニウムを滴加した。次いで、溶液を0℃に暖まらせ、この温度で1時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(25mL)と塩化アンモニウム(25mL、飽和)の混合物中に注いだ。得られた混合物に、15℃で、硫酸の希釈溶液(1.53mLの濃HSOを50mLの水で希釈することにより調製)を加えた。次いで、溶液を温度5℃で一晩撹拌した。混合物を3部のジエチルエーテルで抽出し、一緒にした抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、デカントし、濃縮して生成物(0.84g、36%)を得、これを更に精製することなくステップ2で使用した。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 9.47 (s, 1H), 1.88-1.46 (m, 8H), 0.00 (s, 9H).
【0168】
ステップ2.(2E)−及び(2Z)−3−{1−[(トリメチルシリル)オキシ]シクロペンチル}アクリロニトリル
【化47】

【0169】
シアノメチルホスホン酸ジエチル(0.912mL、5.64mmol)を、水素化ナトリウム(0.198g、4.96mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)中の懸濁液に0℃で滴加した。滴加後、反応物を室温に暖め、45分間撹拌した。混合物を再び0℃に冷却し、テトラヒドロフラン(20mL)中の1−[(トリメチルシリル)オキシ]シクロペンタンカルボアルデヒド(0.84g、4.5mmol)を導入した。反応物を室温に暖まらせ、2時間撹拌した。反応物に水及び酢酸エチルを加え、層を分離した。水性層を更なる2部の酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、デカントし、濃縮して生成物をオレフィン異性体の混合物として得、これを更に精製することなくステップ3で使用した。 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 6.80 (d, 1H, トランス/主な 生成物), 6.53 (d, 1H, シス/少数の生成物), 5.52 (d, 1H, トランス), 5.28 (d, 1H, シス), 2.06-0.76 (m, 16H 両方の異性体の合計), 0.18 (s, 9H, 少数の生成物), 0.13 (s, 9H, 主な 生成物).
【0170】
ステップ3.ラセミ体3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)−3−(4−(7−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル
【化48】

【0171】
(2E)−及び(2Z)−3−{1−[(トリメチルシリル)オキシ]シクロペンチル}アクリロニトリル(0.94g、4.5mmol)及び4−(1H−ピラゾール−4−イル)−7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1.4g、4.5mmol)のアセトニトリル(20mL)中の縣濁液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(0.67mL、4.5mmol)を加えた。反応物を室温で6日間撹拌した。アセトニトリルを蒸発させた。所望の非保護アルコール生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して、ヘキサン中0〜80%酢酸エチルの勾配を用いて溶出して、非保護アルコール及びTMS−保護アルコールの生成物の混合物から単離した(890mg、44%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.87 (s, 1H), 8.56 (br s, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.46 (d, 1H), 6.84 (d, 1H), 5.69 (s, 2H), 4.40 (dd, 1H), 4.03 (s, 1H), 3.55 (dd, 2H), 3.46 (dd, 1H), 2.97 (dd, 1H), 2.04-1.27 (m, 8H), 0.93 (dd, 2H), -0.05 (s, 9H); LCMS (M+H)+: 453.1.
【0172】
ステップ4.ラセミ体3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)−3−[4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリルトリフルオロ酢酸塩
ラセミ体3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)−3−[4−(7−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]プロパンニトリル(0.100g、0.221mmol)の塩化メチレン(4mL)及びトリフルオロ酢酸(1mL)の溶液を2時間撹拌し、溶媒を蒸発させた。残留物をエチレンジアミン(0.1mL、2mmol)と共にメタノール(4.5mL)中で1時間撹拌し、蒸発させた。粗生成物をメタノール中で再構成し、分取HPLC−MSを使用した二つの連続クロマトグラフィーステップにより精製して(第一の溶離において0.15% NHOHを含むアセトニトリル/HOの勾配、続いて、第二の溶離において0.1% TFAを含むアセトニトリル/HOの勾配を用いて溶出)、ラセミ生成物をトリフルオロ酢酸塩として得た。1H NMR (400 MHz, d6-dmso): δ 12.72 (br s, 1H), 8.94 (s, 1H), 8.86 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 4.80 (dd, 1H), 3.51 (dd, 1H), 3.22 (dd, 1H), 1.79-1.42 (m, 7H), 1.25-1.15 (m, 1H); LCMS (M+H)+: 323.1.
【0173】
実施例A
薬物動態及び毒物動態試験に関連して、化合物Iを投与した後、代謝産物1〜39をヒト、ラット又はイヌの尿、血漿又は糞便から単離した。HPLC方法を用いて代謝産物を単離した後、代謝産物が何であるかを決定した。使用した方法と、対応する代謝産物の保持時間を、表2に示す。必要に応じて、タンデムMS/MS分析及びより高次のMSn実験を行って、構造情報を明らかにした。
【0174】
化合物Iは、m/z 307にプロトン化分子イオンを示し、プロダクトイオンスペクトルは、m/z 266、186及び159にシグナルを示す。m/z 266のフラグメントイオンは、カルボニトリル部分の損失と一致する。m/z 186の診断フラグメントイオンは、無傷シクロペンチルプロパンニトリル部分の損失を示している。m/z 159のフラグメントイオンは、化合物Iのピラゾール環を通した切断に関連したシクロペンチルプロパンニトリルの損失を示す。
【0175】
代謝産物化合物1、2、27及び29は、主にヒト対象由来の尿中に観察され、微量レベルの化合物27及び29が血漿中に観察された。フルスキャン質量分析法は、化合物Iのビス−ヒドロキシル化と一致する、m/z 339のプロトン化分子イオンを示した。これらのm/z 339イオンのプロダクトイオンフラグメンテーションは、これらの代謝産物に関して事実上同一のスペクトルを提供し、イオンはm/z 321、186、159及び154に観察される。m/z 321のイオンは水損失と一致し、シクロペンチル環上に少なくとも一つのヒドロキシル化が存在し得ることを示唆する。m/z 186及びm/z 159のイオンは、無傷ピラゾール−ピロロピリミジンと一致する。m/z 154のイオンは、非修飾ピラゾール/ピロロピリミジン部分全体のニューラルロスと一致する。m/z 298及びm/z 280の少数のフラグメントイオンは、容易な水損失を伴う又は伴わないアセトニトリル要素の損失を示唆し、シクロペンチル部分に対するヒドロキシル化の位置を更に制限している。このことは、m/z 237のイオンにより更に支持され、これは修飾シクロペンチルの損失と一致し、分子の残りの部分を非修飾のまま残している。
【0176】
化合物31は、ヒト対象由来の尿中に見出された。フルスキャン質量分析法は、化合物Iに対する32amuの付加と一致する、m/z 339のプロトン化分子イオンを示した。m/z 339イオンのプロダクトイオンフラグメンテーションは、m/z 311、218及び191にフラグメントイオンを提供する。ピラゾール−ピロロピリミジン部分に対する32amuの付加と一致する、m/z 218の一次フラグメント。m/z 191のフラグメントイオンは、推定ビスヒドロキシル化ピラゾール−ピロロピリミジンのピラゾール部分のCHN損失と一致し、ピロロピリミジンに対する修飾の位置を制限している。m/z 311のフラグメントイオンは、アミド結合の切断と続くピロリジノンからのCOの損失から生じた可能性がある。質量分析法のみを用いた化合物31の構造割り当ては曖昧な結果をもたらし、従って化合物31をヒト尿から単離し、H及び13C NMRにより分析した。31の構造は、化合物Iの飽和ピロロピリミジン部分のアミド−アルコール代謝産物として同定される。31のプロトンNMRスペクトルは、δ 3.56に、強度2Hの一重項を有する。この一重項はδ 177.9の炭素と長距離相関を有し、アミドと一致する。加えて、H3とH9との間で核Overhauser増感(nOe)が存在する。
【0177】
化合物32は、ヒト対象由来の血漿及び尿中に見出された。フルスキャン質量分析法は、化合物Iに対する32amuの付加と一致する、m/z 339のプロトン化分子イオンを示した。m/z 339イオンのプロダクトイオンフラグメンテーションは、m/z 218及び191にフラグメントイオンを提供する。ピラゾール−ピロロピリミジン部分に対する32amuの付加と一致する、m/z 218の一次フラグメント。m/z 191のフラグメントイオンは、推定ビスヒドロキシル化ピラゾール−ピロロピリミジンのピラゾール部分のCHNの損失と一致し、ピロロピリミジンに対する修飾の位置を制限している。質量分析法のみを用いた化合物32の構造割り当ては曖昧な結果をもたらし、従って化合物32をヒト尿から単離し、H及び13C NMRにより分析した。化合物32の構造は、化合物Iの飽和ピロロピリミジン部分のケト−アルコール代謝産物として特定される。32のプロトンNMRスペクトルは、δ 3.82に、強度2Hの一重項を有し、δ 191.5の炭素と長距離相関を示し、ケトンと一致する。H2〜任意の他のプロトンには核Overhauser増感(nOe)が観察されなかった。
【0178】
化合物40は、ヒト対象由来血漿及び尿中に観察された。フルスキャン質量分析法は、化合物Iに対する34amuの付加と一致する、m/z 341のプロトン化分子イオンを示した。m/z 341イオンのプロダクトイオンフラグメンテーションは、m/z 323、220、202及び175にフラグメントイオンを提供する。m/z 323のフラグメントイオンは、ピロリジンジオールからの水の損失から生じる。m/z 220及び202のフラグメントイオンは、観察された容易な水損失を伴う及び伴わない、二重ヒドロキシル化飽和ピロロピリミジンと一致する。m/z 175に観察されるイオンは、容易な水損失に続く、二重ヒドロキシル化飽和ピラゾールピロロピリミジンのピラゾール部分からのCHNの損失と一致する。化合物40は、3−シクロペンチル−3−(4−(5,6−ジヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルと同定される。
【0179】
観察されたm/z 499を有する、化合物Iの単一ヒドロキシル化代謝産物の抱合体はヒト由来の尿中に見出され、7つの抱合体のうちの2つが微量にてヒト血漿中に観察された。初期プロダクトイオンフラグメンテーションは、これらの代謝産物の6つに関して事実上同一のスペクトルを提供し、グルクロニド抱合体の損失と一致するm/z 323のイオンが観察される。これらのm/z 323フラグメントイオンのプロダクトイオンフラグメンテーション(MS)は、再度、事実上同一の質量スペクトルを示し、m/z 305、186及び159にフラグメントイオンを有した。m/z 305に見出されるフラグメントイオンは、水損失(18amu)と一致し、ヒドロキシル化と、続く分子の飽和部分上の衝突誘導フラグメンテーションを示唆し、シクロペンチル部分に対する修飾の部位を制限している。m/z 186及びm/z 159のフラグメントイオンは、非修飾ピラゾール−ピロロピリミジンと一致する。追加の少数のフラグメントイオンは弱すぎて、それらを確実性をもって割り当てることは全くできなかった。これらの推定代謝産物が何であるかは、β−グルクロニダーゼを用いて単離グルクロニド抱合体を加水分解してアグリコンを出現させることにより確認し、アグリコンを次にHPLC−MSによる分析に付して、遊離アグリコンの保持時間と質量スペクトルとを単一ヒドロキシル化代謝産物基準のものと一致させた。これらのグルクロニド抱合体代謝産物のアグリコンは、2−ヒドロキシル代謝産物(代謝産物9、表1)及び3−ヒドロキシル代謝産物(代謝産物8、表1)に対応する。第七のグルクロニド抱合体代謝産物、化合物42、のアグリコンは、化合物Iのピラゾール−ピロロピリミジン部分の単一ヒドロキシル化代謝産物に対応し、該代謝産物は、ヒト対象由来の血漿又は尿中に独立して観察されなかった。フルスキャン質量分析法は、化合物Iの16amuの付加と一致する、m/z 323のプロトン化分子イオンを示した。m/z 323イオンのプロダクトイオンフラグメンテーションは、m/z 202に一次フラグメントを提供し、これはピラゾール−ピロロピリミジン部分に対する16amuの付加と一致する。m/z 175のフラグメントイオンは、推定ヒドロキシル化ピラゾール−ピロロピリミジンのピラゾール部分からのCHNの損失と一致し、ピロロピリミジンに対する修飾の位置を制限している。代謝産物化合物42の構造は、化合物Iの単一ヒドロキシル化ピロロピリミジン部分のグルクロニド抱合体として特定される。
【0180】
代謝産物化合物41は、ヒト対象由来の尿中に見出された。フルスキャン質量分析法は、非修飾化合物Iのグルクロニド抱合と一致する、m/z 583のプロトン化分子イオンを示した。m/z 583イオンのプロダクトイオンフラグメンテーションは、m/z 307に一次フラグメントを提供し、これは無傷グルクロニドの損失と一致する。m/z 186及びm/z 159の少数のフラグメントイオンは、化合物Iに関して観察されたものと一致する。m/z 307フラグメントイオンのMSフラグメンテーションも、m/z 186及びm/z 159にフラグメントイオンを出現させた。化合物41は、化合物IのN−結合グルクロニド抱合体として特定される。
【0181】
表2
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【0182】
方法A1:ヒト、イヌ及びマウスの血漿、尿及び糞便試料中の14C−化合物Iの生体内変換
代謝産物プロファイリング用の試料調製:
血漿:
全対象からの血漿試料を、対象及び/又は時間点によりプールした。プールした血漿試料を、以下ように、HPLC−放射測定分析用に調製した:
プールした血漿試料のアリコートを、最初におよそ二つの同等の(W/V)容積のHPLC等級アセトニトリル中1%ギ酸で抽出した後、激しくボルテックスし、遠心分離して変性血漿タンパク質を除去した。上清を確保し、プレコンディショニングしたWaters C−18固相抽出カートリッジに通過させ、濾液を保持した。SPEカートリッジを保持した。次いで、残りの血漿ペレットをHPLC等級アセトニトリル/水(90/10)中1%ギ酸で3回抽出し、各抽出後に遠心分離した。全上清を確保した。各々のギ酸/アセトニトリル/水抽出上清を使用してSPEカートリッジを溶出した。次いで、SPEカートリッジをメタノール中1%ギ酸で濯いだ。全溶離液を保持し、一緒にし、窒素流下にて30℃で蒸発させた。この抽出の残物をおよそ0.6mlの水中0.1%ギ酸中で再構成し、ボルテックスし、遠心分離して特定の物質を除去した。次いで、上清をHPLC−フロー放射測定法(Flow Radiometry)及びHPLC−MSにより分析した。
【0183】
尿:
各対象由来のおよそ等量の尿のアリコートをプールして、適切な投与後時間間隔を表した。HPLC−放射測定分析の前に、プールした各尿試料を4,000rpmで10分間遠心分離して微粒子物質を除去し、その後、直接分析した。
【0184】
糞便:
各対象由来の糞便ホモジネートのアリコートをプールして、適切な投与後時間間隔を表した。プールした糞便ホモジネート試料を、以下のようにHPLC−放射測定分析用に調製した:
【0185】
糞便ホモジネートのおよそ5グラムアリコートを、最初におよそ二つの同等の(W/V)容積のミリポア水で抽出した後、遠心分離して、固体を除去した。上清を確保し、プレコンディショニングしたWatersC−18固相抽出カートリッジに通過させた。SPEカートリッジを保持した。次いで、残りの糞便ペレットをHPLC等級アセトニトリル/水(90/10)中1%ギ酸で3回抽出し、各抽出後に遠心分離した。全上清を確保した。各々のギ酸/アセトニトリル/水抽出上清を使用してSPEカートリッジを溶出した。全溶離液を保持し、一緒にし、窒素流下にて30℃で蒸発させた。この抽出の残物をおよそ2.0mlの水中0.1%ギ酸で再構成し、ボルテックスし、遠心分離して微粒子物質を除去した。次いで、上清をHPLC−フロー放射測定法及びHPLC−MSにより分析した。
【0186】
HPLC−フロー放射測定分析方法:
全試料を、HPLC−フロー放射測定法又はHPLC−MSのいずれかにより、実行可能な限り同一の分析システムを使用して分析した。HPLC−フロー放射測定法システムは、Agilent HP1100シリーズQuaternaryポンプ、オートサンプラー、及び、500μL液体シンチレーションセルを有するRaytest Ramona−90フローシンチレーション検出器と結合されたUV検出器からなっていた。Waters Symmetry C−18 HPLCカラム、4.6×250mm、5μm粒径HPLCカラムを用いて、化合物I及びその代謝産物の分離を達成した。移動相「A」は、HPLC等級水中の0.1%ギ酸からなり、移動相「B」は、HPLC等級メタノール/アセトニトリル(1:1)からなっていた。分析物の溶出は、移動相「B」の線形増加の勾配の使用により達成した。必要に応じて、様々な時間にて、二つの異なる勾配溶出方法を使用した。これらの二つの方法のクロマトグラフィー条件を、表3及び4に概略する。
【0187】
HPLC−質量分析方法:
HPLC−放射測定法システムは、Agilent HP1100 シリーズQuaternaryポンプ、及び、正イオン検出モードで作動されるApplied Biosystems API 4000 Qtrapと結合されたLeap Technologies CTC−PALオートサンプラーからなっていた。フルスキャン(MS)及びデータ依存性プロダクトスキャン(MS)を、化合物Iの代謝産物の特徴付けに使用した。選択MRMトランジションも使用して、以前に同定及び特徴付けされた代謝産物を走査及び同定した。化合物I及びその代謝産物の分離は、Waters Symmetry C−18 HPLCカラム、4.6×250mm、5μm粒径HPLCカラムを使用して達成した。移動相「A」は、HPLC等級水中の0.1%ギ酸からなり、移動相「B」は、HPLC等級メタノール/アセトニトリル(1:1)からなっていた。分析物の溶出は、移動相「B」の線形増加の勾配の使用により達成した。必要に応じて、様々な時間にて、二つの異なる勾配溶出方法を使用した。これらの二つの方法のクロマトグラフィー条件を、表3及び4に概略する。
【0188】
表3
【表3】

【0189】
表4
【表4】

【0190】
方法A2:化合物Iの生体内変換:代謝産物の単離
ヒト尿由来の代謝産物の単離:
プールした尿試料から、20cc Waters HLB SPEカートリッジ(1グラム吸着剤)を使用した固相抽出を用いて、化合物Iの代謝産物を濃縮した。カートリッジを最初に100%HPLC等級メタノールで、その後ミリポア水を用いてコンディショニングした。次いで、カートリッジに10mlまでの生の未加工尿を直ちに負荷した。数個の濃度の水中のHPLC等級メタノールを使用して、カートリッジを連続して溶出した(表5)。
【0191】
表5
【表5】

【0192】
最初の尿、最後の負荷容積、及び全部の洗浄/溶出容積のアリコートを、LC−MSにより、化合物I及び興味ある代謝産物の存在に関して分析した。負荷容積、又は洗浄/溶出のいずれも、ミリポア水中25%メタノールまでは、有意な量の化合物I、又はその代謝産物のいずれも存在しなかった。100%メタノール溶出アリコート中に、有意な量の薬物又は代謝産物は見出されなかった。50%及び75%メタノールの溶出からの溶出容積は、各々、Genevac遠心エバポレーターを使用して容積が低減され、最終容積約2mLに再構成された後、興味ある代謝産物の画分収集のためにLC−MS上に順次注入された。
【0193】
分析条件:
LC−MSにより、Sil−HTCオートサンプラー及びシステムコントローラーからなるShimadzu Binary HPLC スタック、及び二つのSil 10ADVp 高圧LC ポンプと結合されたFinnigan LCQ Deca XP Plusを使用して、試料を分析した。質量分析は正イオン検出モードで作動され、データ依存性スキャニングを使用してMS及びデータ依存性MSデータを提供した。Shimadzu UV検出器、Sil SPD10 AVpを254nmの検出波長で使用して、質量分析計と協調してHPLC溶離液を監視した。
【0194】
移動相「A」は、ギ酸によりpHをpH3.2に調整された5mMギ酸アンモニウムからなっていた(およそ0.1容積%)。移動相「B」は、90%アセトニトリル/10%メタノールからなっていた。使用したHPLCカラムは、Zobax XDB C−18、3.0mm×150mm、5.0Tm粒径であった。分析物の溶出は、移動相「B」の線形増加の勾配の使用により達成した。分析スケールに関するクロマトグラフィー条件を、下記の表6に概略する。
【0195】
表6
【表6】

【0196】
半分取分析条件:
試料を、上記のようにLC−MSにより、以下の変更を加えて分析した:
使用したHPLCカラムは、Phenomenex Polar RP 10mm×150mm 5Tm粒径であった。
【0197】
最初の分画は、中性酢酸アンモニウムを「A」相として使用して行い、次の収集された個々のピークのクリーンアップステップは、水中0.025%ギ酸を「A」相として使用して行った。移動相「B」は、90%アセトニトリル/10%メタノールからなっていた。
【0198】
最初の分析物溶出及び自動化画分収集は、移動相「B」の線形増加の勾配の使用により行った。最初の半分取分析のクロマトグラフィー条件は下記の表7に概略されるが、%Bは次のクリーンアップステップにおいて必要に応じて個々の代謝産物の各々に関して最適化した
【0199】
表7
【表7】

*次の分画ステップにおいて、個々の代謝産物の各々に関して最適化
【0200】
半分取分析の溶離液流を、PEEK tee及びチューブを使用して分割し、約1.65ml/分の溶離液流は画分収集に使用し、残りを質量分析計に移動した。溶離液流組成物をMS及び選択MS−MS実験により監視した。ダイバートバルブを画分収集器と協調して使用することにより、対象分析物を含む画分を自動的に収集した。
【0201】
方法A3:ヒト及びラットの血漿及び尿試料中の化合物Iの生体内変換
試料調製:
化合物Iを経口投与された動物及びヒト対象由来の血漿及び尿試料を、単回投与試験及び/又は複数回投与試験後に得た。各対象の残留血漿試料を、時間加重平均プーリングによりプールした。プールした血漿試料のアリコート(150μL)を二容積のアセトニトリルで沈殿させ、ボルテックス混合した後、遠心分離した。上清を除去し、LC−MSによる分析に使用した。ヒトの場合、試験中の各個人由来の尿試料をプールして、臨床試験の1日目(単回投与試験)及び10日目(複数回投与試験)の0〜12時間を表した。分析前に尿試料を約15000×gで10分間遠心分離し、直接注入した。
【0202】
試料分析:
エレクトロスプレーイオン化LC−MSを用いて、正イオン化モードで作動させた、Thermo Finnigan LCQ Deca−XP Plus Ion−Trap Mass分光計(サーモフィッシャーサイエンティフィック、ウォルサム、MA、USA)を使用して、試料をアッセイした。データ依存性走査を使用して、最初のMSデータ〜MSデータを生成した。必要に応じて、より高次のMS実験を行って、構造情報を明らかにした。質量分光計を、オートサンプラー/コントローラーを組み合わせたShimadzu Sil HT−Cに接続し、該オートサンプラー/コントローラーは、Shimadzu LC−10Aバイナリ勾配ポンプシステム(シマヅサイエンティフィックインスツルメンツ、コロンビア、MD、USA)を組み合わせた。勾配条件は、表8に記載されている。化合物I及びその代謝産物の分離は、Zorbax XDB C−18 HPLCカラム(3.0×150mm、3.5μmm)(アジレント、サンタクララ、CA、USA)を移動相流速300μL/分で使用して達成した。移動相「A」は、ギ酸によりpHをpH3.2に調整された、ミリポア水中の5mMギ酸アンモニウムからなっていた。移動相「B」は、90%アセトニトリル/10%メタノールからなっていた。
【0203】
表8.HPLC勾配溶出スキーム
【表8】

【0204】
方法A4:ラットの胆汁、血漿及び尿の代謝産物の特徴付けの方法
化合物Iを投与したラット由来の尿、糞便及び胆汁試料をプールした。単一試料中に、一匹のラット由来の90%の排泄用量が含まれるように、各時間点からおよそ30%の各試料をプールした。各ラット由来の試料を別個に分析した。糞便試料はアセトニトリルを使用して抽出し、抽出回収率は、抽出物の液体シンチレーション計数(LSC)と、非抽出ペレットの燃焼及びLSCにより決定した。入手可能な場合、代謝産物基準を使用して、構造を確認した。投与した用量の5%未満を占めるピークは、特に言及されない限り報告しなかった。
【0205】
尿、糞便、胆汁及び/又は血漿試料をHPLC及び質量分析により分析して、放射活性物質で標識した任意の代謝産物の分子量を決定し、これら代謝産物の構造情報を得た。
【0206】
方法A5:単離方法
化合物Iの薬物動態及び毒物動態試験からの尿試料を、同一の種の個々の動物、即ちイヌ又はラットから一緒にプールした。尿試料は酢酸エチルを用いて、容積比1対1で3回抽出した。酢酸エチル抽出画分をプールし、ロータリーエバポレーターを使用して揮発性物質を除去した。得られた残留物をアセトニトリル:水(1:1 v/v)に溶解し、溶液を分取HPLC精製に付した。各代謝産物の単離は、下記の3つのHPLC条件を連続して用いて達成した。
【0207】
濃縮抽出物は、Zobax SB C18カラム(19×150mm、5Tm)上で、水中0.1% TFA(溶媒A)及びアセトニトリル中0.1% TFA(溶媒B)からなる移動相を、5%〜60%溶媒Bの勾配を用いて20分間に亘り、流速15mL/分で使用することにより精製した。
1.次いで、第一のHPLC精製から収集した画分を更に、カラムZobax SB C18カラム(9.6×150mm、5Tm)上で、水中0.1% TFA(溶媒A)及びメタノール(溶媒B)からなる異相相を、5%〜95%溶媒Bの勾配を用いて25分間に亘り、流速4mL/分で使用することにより精製した。
2.[M+H]=321及び323を有する、第二の精製から収集した各画分を、15%エタノールと85%ヘキサン、又は30%エタノールと70%ヘキサンからなる移動相を、キラルカラム(ChiralCel OD−H、20×250mm、5Tm)上にて流速15mL/分で使用するキラル分離に付した。
【0208】
方法A6:分析方法
Zorbax SB C18カラム(4.6×150mm、80Å、3.5Tm)をカラム温度40℃で使用して、水中0.05% TFA(溶媒A)及びアセトニトリル中0.05% TFA(溶媒B)からなる移動層を、表9に示す勾配溶出スキームにより、流速1mL/分で使用するHPLC分析を用いて、35、37及び38に関する保持時間を得た。インラインUV検出は、220nmで行った。
【0209】
表9.勾配溶出スキーム
【表9】

【0210】
方法A7:代替的分析方法
Water Atlantis(登録商標)T−3 HPLCカラム(4.6×150mm、3.5μm)(ウォーターズコーポレーション(Water Corporation)、ミルフォード、MA、USA)を移動相流速400L/分で使用するHPLC分析から、40、41及び42に関する保持時間を得た。移動相「A」は、ギ酸によりpHをpH3.2に調整されたミリポア水中の5mMギ酸アンモニウムからなっていた。移動相「B」は、100%メタノールからなっていた。初期移動相条件は、90%移動相「A」/10%移動相「B」であり、一分間で27%移動相「B」へのステップ勾配を有した。次いで、初期勾配を57分間で52%移動相「B」へと線形状に進行させ、10分間で95%移動相「B」への第二の線形勾配が続いた。95%移動相「B」における5分間のカラム洗浄期間が続き、その後出発条件に戻り、次の分析注入の前に、カラムを8分間再平衡化した。100%のカラム溶離液をShimadzu固定波長UV検出器、SPD−10Avp(シマズサイエンティフィックインストルメンツ、コロンビア、MD、USA)を通して送り、λ254nmで監視した。UV検出器を出た後、PEEK teeを使用して溶離液流を分割し、およそ100μlの溶離液がエレクトロスプレーイオン化を介して質量分析計に導入されるようにした。エレクトロスプレー源の電圧を4.5kV、キャピラリー温度を325℃にセットし、シース及びスイープガスを各々50及び30(任意単位)にセットした。初期のデータ依存性MS/MS設定は、分離幅(isolation width)2.0amu及び衝突エネルギー設定42を含んでいた。全ての他の機器の設定及び電位を最適化して、化合物Iのための最大信号対雑音比を達成した。
【0211】
方法A8:化合物Iのグルクロニド代謝産物の酵素加水分解。
化合物Iの単離されたグルクロニド抱合体代謝産物を、β−グルクロニダーゼと共にインキュベートし、反応は全てのケースで完了まで進行し、関連するアグリコンを得、該アグリコンを上述と同一のLC−MS法を用いて分析した。遊離アグリコンの保持時間及び質量スペクトルを化合物Iの単一ヒドロキシル化代謝産物基準の保持時間及び質量スペクトルと比較して、抱合体が何であるかを割り当てた。
【0212】
実施例B:
分子量323の代謝産物試料は、ヒドロキシル含有代謝産物と推定され、Isotecから得た200μLのCDODに溶解された。分子量321の試料は、ケトン部分を含むと推定され、Isotecから得た200μLのCDClに溶解された。上記以外の分子量を有する試料は、同様にIsotecから得た200μLのDMSO−dに溶解された。溶解後、ウィルマッドグラス(Wilmad Glass)から得た3mm NMR管内に各試料を配置した。試料は、分析の直前に調製された。
【0213】
Varian INOVA NMR分光計を使用して試料を分析し、該分光計は、Hの場合500MHzで作動され、13Cの場合125MHzで作動された。3mmの三重共鳴逆検出勾配プローブを使用した。全てのデータ獲得を行う間、試料を30℃に保った。プローブをロックし、各試料に関して粗調整した。他のNMR実験を行って、構造の決定に必要なデータを得た。
【0214】
化合物31 1H(500 MHz, DMSO-D6): δ 8.58 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 4.47 (td, 1H), 3.56 (s, 2H), 3.18 (dd, 1H), 3.13 (dd, 1H), 2.35 (m, 1H), 1.79 (m, 2H), 1.59-1.39 (m, 4H), 1.29 (m, 2H).
化合物32 1H(500 MHz, DMSO-D6): δ 9.24 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 4.56 (td, 1H), 3.82 (s, 2H), 3.17 (dd, 1H), 3.11 (dd, 1H), 2.35 (m, 1H), 1.79-1.12 (m, 4H), 1.61-1.45 (m, 4H).
化合物35 1H(500 MHz, DMSO-D6): δ 12.25 (s, 1H), 8.82 (s, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.64 (m, 1H), 7.08 (m, 1H), 4.93 (dd, J=11.6, 3.3, 1H), 3.76 (d, J=4.8, 1H), 3.52 (dd, J=17.2, 11.7, 1H), 3.08 (dd, J=17.4, 3.6), 2.04 (m, 1H), 1.76 (m,1H), 1.63 (m, 1H), 1.54 (m, 2H), 0.95 (m, 1H).
化合物37 1H(500 MHz, CDCl3): δ 8.71 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 4.22 (td, J=9.6, 3.7, 1H), 3.71 (s, 2H), 3.09 (dd, J=17.0, 9.1, 1H), 2.91 (dd, J=16.8, 3.7, 1H), 2.55 (m, 1H), 1.94 (m, 1H), 1.80-1.45 (m, 5H), 1.27 (m, 1H), 1.19 (m, 1H).
化合物38 1H(500 MHz, DMSO-D6): δ 11.35 (s, 1H), 8.60 (s, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 4.55 (td, J=9.8, 3.8, 1H), 4.10 (m, 1H), 3.79 (s, 2H), 3.19 (dd, J=16.9, 9.5, 1H), 3.13 (dd, J=17.5, 4.5, 1H), 2.39 (m, 1H), 2.01 (m, 1H), 1.58 (m, 1H), 1.48-1.07 (m, 4H).
【0215】
実施例C:
代謝産物1〜39の活性データを、遊離画分及び固有クリアランスデータと共に、親化合物である化合物Iのデータと比較し得る。JAK活性アッセイ、遊離画分アッセイ及び固有クリアランスアッセイは、以下に記載されている。代謝産物1〜39の個々の立体異性体に関するデータ点を獲得し得る。代謝産物は、化合物Iと同様、JAK1、JAK2及びJAK3の強力な阻害剤であり得る。
【0216】
インビトロでのJAKキナーゼアッセイ
本明細書に記載する化合物を、Park et al., Analytical Biochemistry 1999, 269, 94-104に記載されている以下のインビトロアッセイに従って、JAK標的の阻害活性について試験し得る。N−末端Hisタグを有する、ヒトJAK1(a.a.837〜1142)、JAK2(a.a.828〜1132)及びJAK3(a.a.781〜1124)の触媒ドメインを、昆虫細胞内にてバキュロウイルスを使用して発現させ、精製してもよい。JAK1、JAK2又はJAK3の触媒活性は、ビオチン標識ペプチドのリン酸化を測定することによりアッセイし得る。均一時間分解蛍光(HTRF)によりリン酸化ペプチドを検出し得る。100mM NaCl、5mM DTT、及び0.1mg/mL(0.01%)BSAを有する50mMトリス(pH7.8)緩衝液中に酵素、ATP及び500nMペプチドを含む反応物中で、各キナーゼに関して化合物のIC50を測定し得る。反応物中のATP濃度は、Jak1の場合、90μM、Jak2の場合30μM、Jak3の場合3μMであり得る。反応は、室温で1時間行った後、アッセイ緩衝液(パーキンエルマー、ボストン、MA)中の20μL 45mM EDTA、300nM SA−APC、6nM Eu−Py20を用いて停止する。ユーロピウム標識抗体に対する結合は40分間であり得、HTRFシグナルはFusionプレートリーダー(パーキンエルマー、ボストン、MA)上で測定してもよい。上記の任意のJAK標的に関して、10μM又はそれ以下のIC50を有する化合物は、活性を有すると考慮することができる。
【0217】
遊離画分アッセイ
試験化合物のタンパク質結合は、ハーバードアパラタス(Harvard Apparatus)(ホリストン、MA)製のDianormシステムを使用した平衡透析により測定することができる。透析はヒト血清中にて37℃で2時間行うことができる。代謝産物は3μMで、化合物Iは3μM及び10μMでインキュベートされてもよい。透析後の血清及び緩衝液中の化合物濃度は、LC/MS/MS分析により決定し得る。遊離画分は、緩衝液対血清の濃度の比として定義される。
【0218】
固有クリアランスアッセイ
固有クリアランスは、1μMの試験化合物を、ヒト男女混合肝臓ミクロソーム(0.5mg/mLタンパク質)中で、1mM NADPHの存在下、37℃でインキュベートすることにより測定され得る。試験化合物の消失は、LC/MSを用いて0、5、10、20及び30分にて監視してもよい。化合物濃度における低下の勾配を使用して、文献に報告されている標準的な方法を用いることにより、ヒト固有クリアランスを計算することができる。
【0219】
本明細書に記載したものに加えて、本発明の様々な変更が前述の記載から当業者に明らかとなるであろう。そのような変更も添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。本願にて引用した各参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩(式中:
n個のC−H基が、各々独立してC−OHで置き換えられるか;又は、
一つのCH基が、独立してC=Oで置き換えられるか;又は、
一つのC−H基が:
【化2】

で置き換えられるか;又は、
二つのC−H基が、各々独立してC−OHで置き換えられ、かつ一つのC−H基が:
【化3】

で置き換えられ;
nは1、2、3又は4であり;
但し、化合物は:
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−オキソシクロペンチル)プロパンニトリル;
及びその薬学的に許容され得る塩から選択されないことを条件とする)。
【請求項2】
シアノ基に対してα位の炭素原子が、C−OH又はC=O基で置き換えられず;
シアノ基に対してβ位の炭素原子が、C−OH基で置き換えられない、
請求項1の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
nC−H基が各々独立してC−OHで置き換えられる、請求項1若しくは2の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
nが1である、請求項1若しくは2の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
nが2である、請求項1若しくは2の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項6】
nが3である、請求項1若しくは2の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
nが4である、請求項1若しくは2の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
一つのCH基が独立してC=Oで置き換えられる、請求項1若しくは2の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
一つのC−H基が
【化4】

で置き換えられる、請求項1若しくは2の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
一つの飽和C−H基が
【化5】

で置き換えられる、請求項1若しくは2に記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
二つのC−H基が各々独立してC−OHで置き換えられ、かつ一つのC−H基が:
【化6】

で置き換えられる、請求項1若しくは2の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
6−(3−(1−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−シアノエチル)シクロペンチルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1,2−ジヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;及び
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
から選択される請求項1の化合物、又は上述のいずれかの薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチル−3−ヒドロキシプロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチル−2−ヒドロキシプロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(5−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(3−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(5−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(6−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(2−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1,2−ジヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1,3−ジヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(3−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(2−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(5−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(6−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(5−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(1−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2,3−ジヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2,4−ジヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2,5−ジヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(3−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(2−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(5−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(6−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(5−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3,4−ジヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(5−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(3−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(2−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(5−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(6−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(3−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(2−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(5−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(6−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)プロパンニトリル;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−シクロペンチル−2,3−ジヒドロキシプロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−ヒドロキシ−3−(4−(2−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−ヒドロキシ−3−(4−(5−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−ヒドロキシ−3−(4−(6−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−ヒドロキシ−3−(5−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−3−(4−(2−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−3−(4−(5−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−3−(4−(6−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−3−(5−ヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(3,5−ジヒドロキシ−4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(3−ヒドロキシ−4−(5−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(3−ヒドロキシ−4−(6−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(2,5−ジヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(2,6−ジヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(5,6−ジヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(5−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(5−ヒドロキシ−4−(5−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(5−ヒドロキシ−4−(6−ヒドロキシ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
2−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−シクロペンチルアセチルシアニド;
3−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−3−(2−オキソシクロペンチル)プロパンニトリル;
6−(1−(1−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−シアノエチル)シクロペンチルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
6−(1−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−シアノ−1−シクロペンチルエトキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
6−(2−(1−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−シアノエチル)シクロペンチルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
6−(2−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−1−シアノ−2−シクロペンチルエトキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;及び
6−(3−(1−(4−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)−2−シアノエチル)シクロペンチルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
から選択される請求項1の化合物、又は上述のいずれかの薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
3−シクロペンチル−3−(4−(2,6−ジオキソ−3,5,6,7−テトラヒドロ−2H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(2−ヒドロキシ−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−(3−ヒドロキシシクロペンチル)−3−(4−(6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;
3−シクロペンチル−3−(4−(5,6−ジヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル;及び
6−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イル)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
から選択される化合物、又は上述のいずれかの薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
6−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
6−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
6−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−イルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;及び
6−(4−(1−(2−シアノ−1−シクロペンチルエチル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−7−イルオキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸;
から選択される化合物、又は上述のいずれかの薬学的に許容され得る塩。
【請求項16】
実質的に単離されている、請求項1〜15に記載の化合物のうちの任意の一つ、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項17】
請求項1〜15に記載の化合物のうちの任意の一つ、又はその薬学的に許容され得る塩、及び少なくとも一種の薬学的に許容され得る担体を含有する組成物。
【請求項18】
経口投与に好適である、請求項17に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−507390(P2013−507390A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533354(P2012−533354)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/052011
【国際公開番号】WO2011/044481
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(505193450)インサイト・コーポレイション (52)
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
【Fターム(参考)】