説明

3−5族化合物半導体とその製造方法および発光素子

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は3−5族化合物半導体とその製造方法および発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外もしくは青色の発光ダイオードまたは紫外もしくは青色のレーザダイオード等の発光素子の材料として一般式Inx Gay Alz N(ただし、x+y+z=1、0≦x<1、0<y≦1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体が知られている。以下、上記一般式中のx、yおよびzをそれぞれIn濃度、Ga濃度およびAl濃度と記すことがある。該3−5族化合物半導体でIn濃度が10%以上のものはIn濃度に応じて可視領域での発光波長を調整できるため、表示用途に重要である。ところで、該3−5族化合物半導体には、これを用いた発光素子の実用化に際して、次のような大きな問題があった。すなわち、第1に該3−5族化合物半導体の結晶成長に用いることができる適切な基板がないこと、第2に該3−5族化合物半導体の熱安定性の問題である。以下この点について詳しく説明する。まず、第1の問題は、該3−5族化合物半導体は、サファイア、GaAs、ZnO等の種々の基板の上に成膜することが試みられているが、格子定数や化学的性質が該3−5族化合物半導体と大きく異なるため、充分高品質の結晶が得られていないことである。このため、該3−5族化合物半導体と格子定数や化学的性質がよく似ているGaNの結晶をまず成長し、この上に該3−5族化合物半導体を成長することで優れた結晶を得ることが試みられている(特公昭55−3834号公報)。しかし、この場合でもIn濃度が増加するにつれて該3−5族化合物半導体とGaNの格子定数のずれが大きくなり、結晶性が低下し、欠陥が多くなることが知られている。したがって、高品質で高いInN混晶比の該3−5族化合物半導体を製造することが難しかった。
【0003】第2に、該化合物半導体のうちInを含むものは、Inを含まないものに比べて分解温度がかなり低いことが知られている。例えば、GaN、AlNおよびその混晶は1000℃以上でも比較的安定であるが、InNの熱分解温度は約600℃である。このため、Inを含む化合物半導体はIn組成にもよるが、一般的に1000℃を超える温度で結晶の劣化が生じ、欠陥が多くなる。
【0004】ところで、低電圧で駆動できる発光素子作製のためには、p型およびn型の電流注入層で活性層をはさむことが必要である。該化合物半導体ではn型のものを作製することは容易であるのに対して、p型のものを作製するのは非常に難しいことが知られている。
【0005】また、高いp型伝導を得るためには、アクセプタ型不純物をドープした層に熱アニール処理や電子線照射処理などの後処理が効果がある場合がある。これらの処理は一般にアクセプタ型不純物をドープした層が表面に露出している場合に高い効果が期待できる。このため、p型の電流注入層は活性層より後に成長することが好ましい。更に、該化合物半導体ではInを含むものに対してInを含まないものの方が、容易にp型伝導を示すものが得られることが知られている。そこで、p型の電流注入層にはInを含まないGax'' Aly'' N(ただし、x''+y''=1、0<x''≦1、0≦y''<1)が用いられている。ところが、良好なp型伝導を示す該Gax'' Aly'' Nを得るためには1000℃を超える温度で成長させることが必要である。このため、p型の該Gax'' Aly'' Nを1000℃を超える温度で成長させる間にInを含む活性層が劣化してしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、欠陥の少ない高品質の3−5族化合物半導体、およびInを含む層を成長させた後、p型不純物をドープしたGaAlNを1000℃を超える温度で成長させてもInを含む層を劣化させず、良好な発光特性を示す3−5族化合物半導体の製造方法、さらに該3−5族化合物半導体を用いた良好な発光特性を示す発光素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、3−5族化合物半導体について種々検討の結果、特定の積層構造を有し、かつ一般式Inx Gay Alz N(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる層を特定の薄い層とすることにより、欠陥の少ない高品質の3−5族半導体結晶が得られること、またInを含む層を成長し、つぎに比較的低温で保護層としてGaAlN層を成長させることで、該化合物半導体層の耐熱性が向上することを見出し、本発明に至った。
【0008】すなわち本発明は、[1]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3−5族化合物半導体に係るものである。
【0009】また、本発明は、[2]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層(ただし、p型を除く)と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層とが、積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3−5族化合物半導体に係るものである。また、本発明は、[3]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層の上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3−5族化合物半導体に係るものである。
【0010】さらに、本発明は、[]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層(ただし、p型を除く)と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3−5族化合物半導体に係るものである。また、本発明は、[5]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxyAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3−5族化合物半導体に係るものである。さらに、本発明は、[6]一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3−5族化合物半導体に係るものである。さらに、本発明は、[7]一般式Gaa'b'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3−5族化合物半導体に係るものである。
【0011】本発明は、[]一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下である3−5族化合物半導体に係るものである。
【0012】本発明は、また[]一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3−5族化合物半導体の成長方法において、該第1の層を成長した後、該第3の層を成長させる前に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させる3−5族化合物半導体の製造方法に係るものである。。また、本発明は、[10]一般式InxGayAlz(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させ、次に一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させることにより得られる3−5族化合物半導体に係るものである。
【0013】そして、本発明は、[11]このような3−5族化合物半導体を用いる発光素子に係るものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の3−5族化合物半導体は、一般式Gaa Alb N(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第の層(ただし、p型を除く)と、一般式Inx Gay Alz N(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする。該第1の層の厚みが5Åより小さいかまたは90Åより大きいと、該化合物半導体を用いて発光素子とした場合、発光効率が充分でないので好ましくない。
【0015】第1の層に不純物をドープすることで、第1の層のバンドギャップとは異なる波長で発光させることができる。これは不純物からの発光であるため、不純物発光とよばれる。不純物発光の場合、発光波長は第1の層の3族元素の組成と不純物元素により決まる。この場合、表示用発光素子では第1の層のIn濃度は5%以上が好ましい。In濃度が5%より小さい場合、発光する光はほとんど紫外線であり、肉眼に充分な明るさを感じることができないので好ましくない。In濃度を増やすにつれて発光波長が長くなり、発光波長を紫から青、緑へと調整できる。不純物発光に適した不純物としては、2族元素が好ましい。2族元素のなかでは、Mg、Zn、Cdをドープした場合、発光効率が高いので好適である。特にZnが好ましい。これらの元素の濃度は、1018〜1022/cm3 が好ましい。第1の層はこれらの2族元素とともにSiまたはGeを同時にドープしてもよい。Si、Geの好ましい濃度範囲は1018〜1022/cm3 である。
【0016】不純物発光の場合、一般に発光スペクトルがブロードになる。このため、高い色純度が要求される場合、または狭い波長範囲に発光パワーを集中させることが必要な場合にはバンド端発光を利用する。バンド端発光による発光素子を実現するためには、第1の層に含まれる不純物の量を低く抑えなければならない。具体的には、Si、Ge、Zn、CdおよびMgの各元素の濃度がいずれも1019/cm3 以下が好ましく、さらに好ましくは1018/cm3 以下である
【0017】バンド端発光の場合、発光波長は第1の層の3族元素の組成で決まる。可視部で発光させる場合、In濃度は10%以上が好ましい。In濃度が10%より小さい場合、発光する光はほとんど紫外線であり、肉眼に充分な明るさを感じることができない。In濃度を増やすにつれて発光波長が長くなり、発光波長を紫から青、緑へと調整できる。
【0018】上述の構造の第1の層は高品質の結晶性を有するが、熱的な安定性が充分でない場合がある。以下に述べる層構造により、第1の層が熱的な劣化を受けることなく次の層以降の成長を行なうことができ、更に高い発光効率の発光素子が製造できる。すなわち、本発明の3−5族化合物半導体は、一般式Inx Gay Alz N(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)と、一般式Gax'' Aly'' N(ただし、x''+y''=1、0<x''≦1、0≦y''<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする。該第1の層の厚みは、10Å以上80Å以下が好ましい。
【0019】第2の層の厚みは50Å以上1μm以下が好ましい。さらに好ましくは70Å以上5000Å以下である。層厚が50Åより小さい場合、第1の層の耐熱性が充分でなく、第3の層の成膜中に劣化を起こし、1μmより大きい場合には最終的に素子化した場合、充分な発光強度が得られないので好ましくはない。
【0020】第2の層のAlの濃度(x'')は活性層の熱安定性という点では0.05≦x''が好ましい。ただし、Al濃度が高くなるにつれて電気抵抗が増す傾向があり、素子の電気抵抗が特に高くならない範囲としてはx''≦0.5が好ましい。さらに好ましいAl濃度の範囲は、0.1≦x''≦0.45である。第2の層はp型であることが電気的特性の観点からは好ましい。第2の層がp型を示すためには、アクセプタ不純物を高濃度にドープする必要がある。アクセプタ型不純物としては、具体的には2族元素が挙げられる。これらのうちでは、Mg、Znが好ましく、Mgがさらに好ましい。ただし、第2の層がp型伝導を示すためには、第2の層には1020/cm3 程度以上の高濃度のアクセプタ型不純物がドープされていることが好ましいが、第2の層が高濃度に不純物を含む場合、結晶性が低下し、かえって素子としての特性を悪化させる場合がある。このような場合には、不純物濃度を低くする必要がある。結晶性を低下させない不純物濃度の範囲としては、好ましくは1019/cm3 以下、さらに好ましくは1018/cm3 以下である。
【0021】最上部に設けたp型層は、成長後にアニール処理によりさらに低抵抗化してもよい。このp型の第3の層、第2の層、および第1の層を部分的にエッチングにより取り除いてn型層を露出させ、露出した部分にn電極を設け、またp型の第3の層に直接p電極を設けて発光素子とし、これらの電極を通じて順方向に電流を流すことで、目的とする発光を得ることができる。第1の3−5族化合物半導体の層については、前記と同様である。
【0022】本発明の3−5族化合物半導体を用いた発光素子の構造の例を図1と図2に示す。図1は、第5の層の上に、第1の層を成長し、第1の層の上に、第1の層よりも大きなバンドギャップを持つ第2の層を成長し、さらに第5の層とは異なる伝導性の第3の層を成長した例である。電極は第5の層と第3の層に形成されており、2つの電極に電圧を加えることで電流が流れ、第1の層で発光する。図2は第2の層に第5の層とは異なる伝導性を持たせたものである。図1の例と同様に、電圧を加えることで発光する。結晶成長の容易さから、図1R>1の例では第5の層はn型、第3の層はp型とするのが一般的である。第3の層がない図2の例では、第2の層がp型である。
【0023】ここで、n型の第5の層は不純物が高濃度にドープされているため結晶性が低下している場合がある。このような場合には、n型の第5の層と第1の層が直接接していると、発光効率や電気的特性が低下することがある。そこで、n型の第5の層と第1の層の間に不純物濃度の低い第4の層を設けることで、このような問題を低減できることがある。この例を図3に示す。
【0024】すなわち、本発明の3−5族化合物半導体は、一般式Gaa Alb N(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第5の層と、該第5の層より不純物濃度が小さい一般式Gaa'Alb'N(ただし、a' +b' =1、0≦a' ≦1、0≦b' ≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式Inx Gay Alz N(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とするn型不純物としてSiを用いる場合、この不純物濃度が低い第4の層における好ましいSiの濃度は1018/cm3 、さらに好ましくは1017/cm3 以下である。また、好ましい層厚の範囲は10Å以上1μm以下であり、さらに好ましくは、20Å以上5000Å以下である。層厚が10Åより小さい場合、その効果は充分でなく、また1μmより大きい場合、電気的特性を低下させるので好ましくない。
【0025】これまでに述べた本発明の3−5族化合物半導体の積層構造を組み合わせて、さらに高い発光効率を有する発光素子を提供できる3−5族化合物半導体が挙げられる。すなわち、本発明の3−5族化合物半導体は、一般式Gaa Alb N(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第5の層と、該第5の層より不純物濃度が小さい一般式Gaa'Alb'N(ただし、a' +b' =1、0≦a' ≦1、0≦b' ≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式Inx Gay Alz N(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax'' Aly'' N(ただし、x''+y''=1、0<x''≦1、0≦y''<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする。この少なくとも5層からなる3−5族化合物半導体を用いることにより、優れた発光効率を有する発光素子が得られる。図3に該発光素子の積層構造の例を示す。なお、図1、図2および図3に示した発光素子の例では、発光層は1つの層であるが、発光層として機能する層は複数の層の積層構造であってもよい。発光層として機能する具体的な積層構造としては、複数の発光層がこれよりバンドギャップの大きい層と積層されたいわゆる多重量子井戸構造が挙げられる。本発明の3−5族化合物半導体用基板としては、Si、SiC、サファイア等を用いることができる。これらの基板を用いる場合、基板上にまず低温でAlN、GaN、または一般式Gas Alt N(ただし、s+t=1、0<s<1、0<t<1)で表される化合物半導体、またはこれらの積層構造をバッファ層として成長し、つぎに本発明の3−5族化合物半導体を成長することで結晶性の高い該化合物半導体を成長できる。なお、本発明の半導体において、効率よく第1の層に電荷を閉じ込めるためには、第1の層に接する2つの層のバンドギャップが第1の層より0.1eV以上大きいことが好ましい。さらに好ましくは0.3eV以上である。
【0026】本発明の3−5族化合物半導体の製造方法としては、分子線エピタキシー(以下、MBEと記すことがある。)法、有機金属気相成長(以下、MOVPEと記すことがある。)法、ハイドライド気相成長(以下、HVPEと記すことがある。)法などが挙げられる。なお、MBE法を用いる場合、窒素原料としては、窒素ガス、アンモニア、及びその他の窒素化合物を気体状態で供給する方法である気体ソース分子線エピタキシー(以下、GSMBEと記すことがある。)法が一般的に用いられている。この場合、窒素原料が化学的に不活性で、窒素原子が結晶中に取り込まれにくいことがある。その場合には、マイクロ波などにより窒素原料を励起して、活性状態にして供給することで、窒素の取り込み効率を上げることができる。
【0027】MOVPE法の場合、以下のような原料を用いることができる。3族元素の原料として、トリメチルガリウム〔(CH3 3 Ga、以下TMGと記すことがある。〕、トリエチルガリウム〔(C2 5 3 Ga、以下TEGと記すことがある。〕等の一般式R1 2 3 Ga(ここで、R1 、R2 、R3は低級アルキル基を示す。)で表されるトリアルキルガリウム;トリエチルアルミニウム〔(C2 5 3 Al、以下TEAと記すことがある。〕、トリイソブチルアルミニウム〔i−(C4 9 3 Al、以下TEAと記すことがある。〕等の一般式R1 2 3 Al(ここで、R1 、R2 、R3 は前記と同じ定義である。)、トリメチルインジウム〔(CH3 3 In、以下TMIと記すことがある。〕、トリエチルインジウム〔(C2 5 3 In〕等の一般式R1 2 3In(ここで、R1 、R2 、R3 は前記と同じ定義である。)で表されるトリアルキルインジウム等が挙げられる。これらは単独または混合して用いられる。
【0028】次に、5族原料としては、アンモニア、ヒドラジン、メチルヒドラジン、1、1−ジメチルヒドラジン、1、2−ジメチルヒドラジン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。これらは単独または混合して用いられる。これらの原料のうち、アンモニアとヒドラジンは分子中に炭素原子を含まないため、半導体中への炭素の汚染が少なく好適である。MOVPE法で本発明の3−5族化合物半導体を成長する場合、成長圧力は1気圧以下0.001気圧以上が好ましい。成長圧力が1気圧より高い場合、原料の使用効率が低く、また成長膜の膜厚の均一性が低下する場合がある。成長圧力が低くなるにつれて、膜厚の均一性が向上するが、0.001気圧より小さくても均一性の向上にはあまり効果がなく、かえって結晶性が低下する場合がある。更に好ましい成長圧力の範囲は1気圧以下0.01気圧以上である。
【0029】以下特に、一般式Inx Gay Alz N(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax'' Aly'' N(ただし、x''+y''=1、0<x''≦1、0≦y''<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3−5族化合物半導体の成長方法について説明する。本発明の3−5族化合物半導体の製造方法は、第1の層を成長した後、第3の層を成長させる前に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させることを特徴とする。MOVPE法で成膜する場合、第2及び第3の層の成長は水素を含まない雰囲気で行なうことが好ましい。水素を含んだ雰囲気で成長させた場合、第1の層が劣化し、良好な特性の素子を作製することができない。
【0030】ここで、前記の第2の層の成長温度は、1000℃以下であり、400℃以上1000℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは500℃以上900℃以下である。成膜温度が高すぎる場合、活性層である第1の層が第2の層の成膜中に劣化を起こし、最終的に発光素子とした場合、活性層中の各元素の組成から期待される発光色を示さなかったり、発光強度が充分でないなどの問題が生じる。また、成膜温度が低すぎる場合、成膜速度が小さくなり、実用的でない。
【0031】この3−5族化合物半導体の製造方法の場合、第1の層の膜厚は5Å以上500Å以下であることが好ましい。特に発光強度が大きい発光素子として用いる場合には、5Å以上90Å以下であることが好ましい。膜厚が5Åより小さいかまたは500Åより大きいと、該化合物半導体を用いて発光素子とした場合、発光効率が充分でないので好ましくない。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1図3に示す構造の発光素子を作製した。以下、図3に基づいて説明する。ここで、3−5族化合物半導体層は、有機金属気相成長法により作製した。なお、n型ドーパントとしてSiをドープするために、窒素で希釈したシラン(SiH4 )を、p型ドーパントとしてMgをドープするために、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム〔(C5 5 2 Mg、以下Cp2 Mgと記すことがある。〕を用いた。基板としてサファイヤのC面を鏡面研磨したもの9を有機洗浄して用いた。まず、水素をキャリアガスとし、1100℃で塩化水素ガスを供給して、反応炉および基板のクリーニングを行なった。クリーニング終了後、基板温度550℃で、TMGとアンモニアを供給して膜厚500ÅのGaNのバッファ層8を形成した。次に基板温度を1100℃まで上げ、TMG、アンモニア、及びシランガスを供給して、Siをドープしたn型キャリア濃度1×1019/cm3 、膜厚約3μmのGaN層5を成長し、さらに同じ温度にてノンドープのGaN層4を1500Å成長した。Siドープ層およびノンドープ層の成膜速度は、各々1000Å/分、200Å/分であった。
【0033】次に基板温度を785℃まで下げ、キャリアガスを窒素に換え、TEG、TMI及びアンモニアをそれぞれ0.04sccm、0.08sccm、4slm供給して、発光層であるIn0.3 Ga0.7 N層1を70秒間成長した。さらに、同じ温度にてTEG、TEA及びアンモニアをそれぞれ0.032sccm、0.008sccm、4slm供給して、保護層であるGa0.8 Al0.2 N層2を10分間成長した。ただし、slmおよびsccmとは気体の流量の単位で、1slmは1分当たり、標準状態で1リットルの体積を占める重量のガスが流れていることを示し、1000sccmは1slmに相当する。なお、この2層の層厚に関しては、同一の条件でより長い時間成長した層の厚さから求めた成長速度が43Å/分、30Å/分であるので、上記成長時間から求められる層厚はそれぞれ50Å、300Åと計算できる。
【0034】次に、基板温度を1100℃まで上げ、Cp2 Mg、およびアンモニアを供給して40秒間の空流し工程を行ったのち、TMG、Cp2 Mgおよびアンモニアを供給してMgをドープしたGaN層3を5000Å成長した。以上により作製した3−5族化合物半導体試料を反応炉から取り出したのち、窒素中で800℃、20分アニール処理を施し、MgをドープしたGaN層を低抵抗のp型層にした。こうして得た試料に常法により電極を形成し、LEDとした。p電極としてNi−Au合金、n電極としてAlを用いた。このLEDに順方向に電流を流したところ、発光波長4570Åの明瞭な青色発光を示した。20mAでの輝度1200mcdであった。
【0035】実施例2図1に示す構造の発光素子を作製した。以下、図1に基づいて説明する。窒化ガリウム系半導体は、MOVPE法による気相成長により作製された。基板はサファイアC面を鏡面研磨したものを有機洗浄して用いた。成長は、まず水素中で基板を1100℃に加熱し、この状態でHClガスにより反応炉、サセプタおよび基板を気相エッチングした。HClガスを止めた後、さらに水素中、1100℃で基板のクリーニングを行なった。次に、バッファ層として600℃でTMGとアンモニアによりGaNを500Å成膜した後、TMG、アンモニアおよびドーパントとしてシラン(SiH4 )を用いて1100℃でSiをドープしたGaN層5を3μmの厚みで成膜した。
【0036】800℃まで降温した後、キャリアガスを水素から窒素に変え、TEG、TMI、TEAを用いて、In0.17Ga0.83N層1を60Å、Ga0.8 Al0.2 Nの層2を300Å成長した。次に、温度を1100℃に昇温し、TMG、アンモニアおよびドーパントとしてビスメチルシクロペンタジエニルマグネシウム〔(CH3 5 4 2 Mg、以下、MCp2 Mgと記すことがある。〕を用いてMgをドープしたGaNの層3を5000Å成長した。成長終了後、基板を取り出し、窒素中800℃で熱処理を行なった。このようにして得られた試料を常法に従い、電極を形成し、LEDとした。p電極としてNi−Au合金、n電極としてAlを用いた。このLEDに順方向に20mAの電流を流したところ、明瞭な青色発光を示し、輝度は120mcdであった。
【0037】比較例1InGaN層の厚みを100Åとしたことを除いては実施例2と同様にしてLEDを作製し、実施例2と同様の評価を行なったところ、試料のごく一部で青色発光を示したものの、ほとんどの部分で輝度は10mcd以下であっった。
【0038】実施例3発光層である第1の層の層厚を21Å、32Å、86Åとしたことを除いては、実施例1と同様にして3−5族化合物半導体試料を作製した。実施例1と同様にして電極を形成してLEDとし、順方向電流を流したところいずれの試料も明瞭な青色発光を示し、20mAでの輝度は20mcd以上であった。第1の層の層厚と20mAでの外部量子効率の関係を図4に示す。
【0039】比較例2発光層である第1の層の層厚を150Åとしたことを除いては、実施例1と同様にして3−5族化合物半導体試料を作製した。実施例1と同様にして電極を形成しLEDとして順方向電流を流したところ、わずかに青白く発光するのみであった。20mAでの輝度は実施例1の1万分の1以下であった。
【0040】実施例4、5、6図5に示す試料を、以下述べる方法に従い作製した。まず、1100℃で第5の層であるノンドープのGaN層5を3μm、785℃から825℃の範囲で第1の層であるノンドープのInGaN層1を50Å成長した後、第1の層と同じ温度で第2の層であるノンドープのGaAlN層2を成長した。成長後、第1の層であるInGaN層1の熱的安定性を確認するために熱処理を行ない、熱処理前後でのInGaN層1からのフォトルミネッセンススペクトル(以下、PLスペクトルと記すことがある。)を測定した。
【0041】表1に、本実施例で作製した試料の成長条件、熱処理条件、およびPLスペクトルのピーク強度の熱処理前後の変化をまとめる。表1から、いずれの試料も熱処理によりPLスペクトルの強度がほとんど変化しておらず、本発明の第2の層が第1の層の熱的安定性に重要であることが分かる。
【0042】
【表1】


1)熱処理条件:チッ素とアンモニア同体積の混合ガス雰囲気中、1100℃、10分。
2)熱処理後のPLスペクトル強度の熱処理前に対する減少の割合
【0043】
【発明の効果】本発明の3−5族化合物半導体は、欠陥が少なく高品質であり、これを用いることにより発光効率の高い良好な発光特性を示す発光素子を提供することができる。また、本発明の3−5族化合物半導体の製造方法により、Inを含む層を成長させた後、p型GaAlNを1000℃を超える温度で成長させても活性層を劣化させず、欠陥の少ない高品質の3−5族化合物半導体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子の構成を示す図(実施例2で作製した発光素子の構成を示す図)。
【図2】本発明の発光素子の構成を示す図。
【図3】本発明の発光素子の構成を示す図(実施例1で作製した発光素子の構成を示す図)。
【図4】実施例で作製したLEDでの、第1の層の層厚と20mAでの外部量子効率の関係を示す図(ただし、第1の層の層厚が50Åのものは実施例1に相当し、それ以外のものは実施例3に相当する。)。
【図5】実施例4、5、6で作製した3−5族化合物半導体の構成を示す図。
【符号の説明】
1...一般式Inx Gay Alz N(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層
2...一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層
3...一般式Gax'' Aly'' N(ただし、x''+y''=1、0<x''≦1、0≦y''<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層
4...一般式Gaa'Alb'N(ただし、a' +b' =1、0≦a' ≦1、0≦b' ≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層
5...一般式Gaa Alb N(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第5の層
Siドープn型GaN層
6...p電極
7...n電極
8...バッファ層
9...サファイア基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層(ただし、p型を除く)と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3−5族化合物半導体。
【請求項2】一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層(ただし、p型を除く)と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層とが、積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3−5族化合物半導体。
【請求項3】一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層の上に、一般式InxGayzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3−5族化合物半導体。
【請求項4】一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層(ただし、p型を除く)と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3−5族化合物半導体。
【請求項5】一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第5の層の上に、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層を積層し、さらにその上に、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層を積層することにより得られる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3−5族化合物半導体。
【請求項6】一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3−5族化合物半導体。
【請求項7】一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3−5族化合物半導体。
【請求項8】一般式GaaAlbN(ただし、a+b=1、0≦a≦1、0≦b≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第5の層と、一般式Gaa'Alb'N(ただし、a’+b’=1、0≦a’≦1、0≦b’≦1)で表される3−5族化合物半導体からなる第4の層と、一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層と、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層と、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層とが、この順に積層してなる構造を有し、該第1の層の厚みが5Å以上90Å以下であることを特徴とする3−5族化合物半導体。
【請求項9】一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層の膜厚が50Å以上1μm以下であることを特徴とする請求項1、6、7または記載の3−5族化合物半導体。
【請求項10】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層に含まれるSi、Ge、Zn、CdおよびMgの各元素の濃度がいずれも1×1019/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の3−5族化合物半導体。
【請求項11】一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層に含まれるMgの濃度が1019/cm3 以下であることを特徴とする請求項1、6、7または8記載の3−5族化合物半導体。
【請求項12】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させる3−5族化合物半導体の成長方法において、該第1の層を成長した後、該第3の層を成長させる前に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させることを特徴とする3−5族化合物半導体の製造方法。
【請求項13】一般式InxGayAlzN(ただし、x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0≦z<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第1の層を成長させた後に、一般式Gax'Aly'N(ただし、x’+y’=1、0<x’≦1、0≦y’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第2の層を、1000℃以下の温度で成長させ、次に一般式Gax''Aly''N(ただし、x’’+y’’=1、0<x’’≦1、0≦y’’<1)で表される3−5族化合物半導体からなる第3の層を1000℃を超える温度で成長させることにより得られることを特徴とする3−5族化合物半導体。
【請求項14】請求項1〜11のいずれか、または13に記載の3−5族化合物半導体を用いたことを特徴とする発光素子。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図4】
image rotate


【図3】
image rotate


【図5】
image rotate


【特許番号】特許第3064891号(P3064891)
【登録日】平成12年5月12日(2000.5.12)
【発行日】平成12年7月12日(2000.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−15228
【出願日】平成8年1月31日(1996.1.31)
【公開番号】特開平9−116130
【公開日】平成9年5月2日(1997.5.2)
【審査請求日】平成11年3月18日(1999.3.18)
【早期審査対象出願】早期審査対象出願
【出願人】(000002093)住友化学工業株式会社 (8,981)
【参考文献】
【文献】特開 平8−316528(JP,A)
【文献】特開 平7−78671(JP,A)
【文献】特開 平7−205954(JP,A)
【文献】特開 平8−15228(JP,A)
【文献】特開 平7−302770(JP,A)
【文献】特開 平7−249797(JP,A)
【文献】特開 平6−21511(JP,A)
【文献】特開 平6−26068(JP,A)
【文献】特開 平6−268257(JP,A)
【文献】Jpn.J.Appl.Phys.Vol.34,Part2,No.7A(1995−July),pp.L797−799
【文献】Jpn.J.Appl.Phys.Vol.34,Part2,No.10B(1995−October),pp.L1332−1335
【文献】Appl.Phys.Lett,Vol.67,No.13(1995−September),pp.1868−1870