説明

3次元デンドライト構造貴金属ナノ粒子およびその製造方法

【課題】ブロック共重合体を用いることなく、かつ超音波処理を用いずに、高効率触媒として有用な、表面積を増大させた白金などの貴金属粒子を製造する方法と、新たな貴金属粒子を提供する。上記貴金属粒子を用いた触媒も提供する。
【解決手段】1種または2種以上の貴金属化合物を界面活性剤の存在下で、還元剤により還元して、3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子を得ることを含む、3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子の製造方法。3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子であって、粒子径が15〜25nmの範囲であり、比表面積が20〜60m2/mgである貴金属粒子。前記貴金属粒子を含む酸化還元用触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元デンドライト構造貴金属ナノ粒子およびその製造方法に関する。さらに本発明は、3次元デンドライト構造貴金属ナノ粒子の触媒としての利用にも関する。
【背景技術】
【0002】
希少金属(レアメタル)は今後、大量消費が予想される。しかし、その資源量は乏しく、現在、希少金属の節約技術および代替品技術の開発が進められている。日本では文科省が「元素戦略プロジェクト」、経産省が「希少金属代替材料開発プロジェクト」という国家プロジェクトをスタートさせている。その中で、希少金属の節約という観点から、白金(Pt)等の貴金属触媒の高効率化に関する研究が進められている。
【0003】
触媒の高効率化の一つの手段は、表面積を増大させることである。しかし、ナノレベルで触媒に用いられる貴金属粒子の構造を制御することは、現在のところ、一般には困難である。
【0004】
そのようななかで、NIMSのグループが金平糖状のPtナノ粒子の作成方法について報告した(非特許文献1)。この方法では、白金錯体をアスコルビン酸で還元するに際してプルロニック(Pluronic)F127ブロック共重合体(PEO100PPO65PEO100)を用いて、有機溶媒、ダイレクト鋳型、イオン置換等を必要とせずに、DPNs(Dendritic Pt nanoparticles)を一段階で作成した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】JACS, 2009, 131, 9152-53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載の方法では、上記のように、白金錯体をアスコルビン酸で還元するに際してブロック共重合体を用いている。このブロック共重合体は、構造指示剤(structure directing agent)としても機能していると記載されている。しかし、ブロック共重合体は一般に高価である。さらに、非特許文献1に記載の方法では、粒子形成時に超音波処理が必要である。
【0007】
本発明は、上記ブロック共重合体を用いることなく、かつ超音波処理を用いずに、高効率触媒として有用な、表面積を増大させた白金などの貴金属粒子を製造する方法と、新たな貴金属粒子を提供することを目的とする。さらに本発明は、上記貴金属粒子を用いた触媒も提供することも目的とする。
【0008】
本発明者らによれば、CTABなどの界面活性剤の存在下に白金等の貴金属錯体をアスコルビン酸等で還元することで、超音波処理を用いず、表面に凹凸がある表面積が増大したナノ粒子の形成が可能であることを見出して本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下のとおりである。
[1]
1種または2種以上の貴金属化合物を界面活性剤の存在下で、還元剤により還元して、3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子を得ることを含む、3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子の製造方法。
[2]
前記貴金属化合物が、ハロゲン化貴金属酸若しくはその塩、酸化物、塩化物、または水酸化物である[1]に記載の製造方法。
[3]
前記界面活性剤が、カチオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤である[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]
前記界面活性剤が次式(I)で示される4級アンモニウム塩である[1]または[2]に記載の製造方法。
CH3(CH2)n+(CH3)3Br-(nは1〜15の整数)…(I)
[5]
界面活性剤がヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘキサデシルアミン、Hyamine(商標)1622、またはAdogen(商標)464である[1]または[2]に記載の製造方法。
[6]
前記還元剤が、アスコルビン酸である[1]に記載の製造方法。
[7]
前記還元は、水溶液中、加熱下で行う、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]
前記加熱は、沸騰温度で行う、[7]に記載の製造方法。
[9]
前記還元は、前記貴金属化合物の濃度(但し、2種以上の貴金属化合物の場合には合計濃度)が、2〜50mMの範囲であり、前記界面活性剤の濃度が0.01〜0.5Mの範囲であり、前記還元剤の濃度が 0.01〜1Mの範囲である水溶液中で行う、[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]
前記3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子は、粒子径が15〜25nmの範囲であり、比表面積が20〜60 m2/gである、[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]
前記貴金属化合物が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、またはイリジウムの化合物である[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]
3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子であって、粒子径が15〜25nmの範囲であり、比表面積が20〜60m2/gである貴金属粒子。
[13]
前記貴金属化合物が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、またはイリジウムの化合物である請求項12に記載の貴金属粒子。
[14]
3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子であって、粒子径が15〜25nmの範囲であり、比表面積が20〜60m2/mgである貴金属粒子を含む酸化還元用触媒。
[15]
前記貴金属化合物が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、またはイリジウムの化合物である[14]に記載の酸化還元用触媒。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブロック共重合体を用いることなく、かつ超音波処理を用いずに、高効率触媒として有用な、表面積を増大させた白金などの貴金属粒子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1で得られたPt粒子の、AはTEM像を示し、BはHAADF(high-angle annular dark-field) スキャンニングTEM像を示し、CとDはHRTEM像を示し、Eは選択領域電子回折を示し、Fは高角XRDパターンを示す。
【図2】実施例1で得られたPt粒子のN2吸着-脱着等温線を示す。
【図3】(A)は実施例1で得られたPt粒子のサイクリック・ボルタモグラム(CVs)を示し、(B)は電流-電位曲線を示す。
【図4】実施例2で得られたPtPd粒子のTEM像を示す。(A)は低倍率、(B)は高倍率。
【図5】実施例2で得られたPtPd粒子のEDXスペクトルを示す。
【図6】実施例2で得られたPtPd粒子の、AはTEM像を示し、BはHAADF(high-angle annular dark-field) スキャンニングTEM像を示し、CはPdのX線マップ、DはPtのX線マップを示す。Eは、実施例2で得られたPtPd粒子の頂上面からBに示す直線に沿って記録された、PdとPtの組成線形プロファイルを示す。
【図7】実施例3で得られたPt粒子のTEM像を示す(A:0.10mM、B:1.0mM、C:5.0mMおよびD:10mM)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<貴金属粒子の製造方法>
本発明の貴金属粒子の製造方法は、1種または2種以上の貴金属化合物を界面活性剤の存在下で、還元剤により還元して、3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子を得ることを含む。
【0013】
貴金属化合物は、3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子の原料である。貴金属化合物としては、例えば、白金、パラジウム、金、銀、銅、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、またはイリジウムの化合物を挙げることができる。貴金属化合物は、具体的には、ハロゲン化貴金属酸またはその塩であることができる。但し、ハロゲン化貴金属酸またはその塩に限定される意図ではなく、例えば、貴金属の酸化物、塩化物、水酸化物等も貴金属化合物として利用できる。
【0014】
ハロゲン化貴金属酸の例としては、H2PtCl6、H2PtCl4、H2PdCl4、H2PdCl6、H2AuCl4、H2AuCl6等を挙げることができる。ハロゲン化貴金属酸の塩としては、上記ハロゲン化貴金属酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。アルカリ金属塩を形成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビシウム、セシウムを挙げることができる。具体的には、K2PtCl6、K2PtCl4、K2PdCl4、K2PdCl6、K2AuCl4、K2AuCl6、(NH4)2PtCl6、(NH4)2PtCl4、(NH4)2PdCl4、(NH4)2PdCl6、(NH4)2AuCl4、(NH4)2AuCl等を挙げることができる。
【0015】
貴金属の酸化物の例としては、RuO2、RhO、Rh2O3等を挙げることができる。貴金属の塩化物の例としては、RuCl3、RhCl3等を挙げることができる。貴金属の水酸化物の例としては、Pd(OH)4等を挙げることができる。
【0016】
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を使用することができる。特に、界面活性剤としては、貴金属化合物が水中でアニオン性の貴金属イオン(貴金属含有錯イオン)を形成する場合にはカチオン性界面活性剤を用いることが好ましく、貴金属化合物が水中でカチオン性の貴金属イオンを形成する場合にはアニオン性界面活性剤であることが好ましい。これは、界面活性剤が貴金属イオン表面に誘引され、貴金属イオン間の凝集を抑制できるという観点からである。カチオン性界面活性剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、第一級アミン塩、第ニ級アミン塩、第三級アミン塩などを挙げることができる。本発明で用いる貴金属化合物は、水中でアニオン性の貴金属イオン(貴金属含有錯イオン、例えば、[PdCl6]2-)を形成する化合物が多いことから、界面活性剤は、カチオン性界面活性剤の1種である、次式(I)で示される4級アンモニウム塩であることが好ましい。
CH3(CH2)n+(CH3)3Br-(nは1〜15の整数)…(I)
式(I)で示される4級アンモニウム塩の例としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(臭化セチルメチルアンモニウム)(CTAB)、ヘキサデシルアミン、Hyamine(商標)1622、Adogen(商標)464、等を挙げることができる。
【0017】
前記還元剤は、上記貴金属化合物を水中で還元できる酸化電位を有する物質から適宜選択される。そのような化合物の例としては、アスコルビン酸(L−アスコルビン酸)が安価であることから好ましい。
【0018】
本発明の製造方法においては、前記貴金属化合物の還元による貴金属粒子の生成を水溶液中で、加熱下で行うことが、還元反応を促進し反応時間を短縮できるという観点から適当であり、液中反応である本願発明においては液体の最高到達温度である沸騰温度で行うことが適当である。
【0019】
加熱下での還元時間は、還元により生じる貴金属粒子の粒子径や形状を考慮して適宜決定することができる。貴金属化合物、界面活性剤、還元剤の種類にもよるが、加熱下での還元時間は、例えば、1〜60分、好ましくは10〜30分の範囲で適宜決定することができる。
【0020】
前記還元反応に使用する水溶液における前記貴金属化合物の濃度は、粒径分布、形状均一性等を考慮して決定でき、例えば、2〜50mMとすることができ、好ましくは10〜30mMの範囲である。但し、2種以上の貴金属化合物の場合には、上記濃度は合計濃度である。
【0021】
前記還元反応に使用する水溶液における前記界面活性剤の濃度は、粒径分布、形状均一性等を考慮して決定でき、例えば、界面活性剤の濃度が0.01〜0.5Mの範囲とすることが適当であり、好ましくは0.05〜0.2Mの範囲である。
【0022】
前記還元反応に使用する水溶液における前記還元剤の濃度は、粒径分布、形状均一性等を考慮して決定でき、例えば、還元剤の濃度が0.01〜1Mの範囲とすることが適当であり、好ましくは0.05〜0.5Mの範囲である。
【0023】
前記3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子は、Ptの場合には粒子径(平均粒子径)が15〜25nmの範囲である。さらに、前記3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子は、Ptの場合には比表面積が、例えば、20〜60m2/gであり、実施例1のPt粒子の場合は、約42m2/gであった。
【0024】
<3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子>
本発明は、3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子も包含する。この貴金属粒子は、Ptの場合には、粒子径(平均粒子径)が15〜25nmの範囲であり、比表面積が例えば、20〜60m2/gであり、実施例1のPt粒子の場合は、約42m2/gであった。
【0025】
<触媒としての利用>
本発明の製造方法で得られる貴金属粒子および本発明の貴金属粒子は、貴金属の種類や複数の貴金属からなる場合はそれらの組合せによるが、基本的には酸化還元用触媒として利用できる。酸化還元用触媒が用いられる触媒反応としては、例えば、アルコール(例えば、メタノール)酸化反応、ヒドラジンおよび過酸化水素の検出反応がある。但し、これらに限定される意図ではない。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定される意図ではない。
【0027】
実施例1
9mLの0.1M CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)水溶液と1mLの0.1Mアスコルビン酸水溶液を50mLフラスコ中で混合し、得られた混合物を沸騰するまで加熱した。次いでこの混合物に0.5mLの20mM白金錯体(H2PtCl6)水溶液を添加した。添加後10分間沸騰加熱を続けるとアスコルビン酸の還元によりPt粒子が析出した。析出したPt粒子を濾過し、数回水で洗浄し、乾燥して、1.65mgのPt粒子を得た。図1のAに得られたPt粒子のTEM像を示す。さらにBはHAADF(high-angle annular dark-field) スキャンニングTEM像を示し、CとDはHRTEM(高分解能(high resolution)TEM)像を示し、Eは選択領域電子回折を示し、Fは高角XRDパターンを示す。図1に示すこれらの結果から、デンドライト構造のPtナノ粒子の生成が確認できた。
【0028】
さらにPt粒子のN2吸着-脱着等温線を図2に示す。図2の結果からPt粒子の比表面積が41.55m2g-1であることが分かる。この値は、市販のPt触媒(JM HiSPEC 1000, 比表面積27m2g-1)より高い値である。
【0029】
試験例1
実施例1で得られたPt粒子についてサイクリック・ボルタモグラム(CVs)実験をHR-101B dual potentiostat/galvanostat analyzer(北斗電器装置)を用いて実施した。参照電極としてAg/AgCl(飽和KCl)電極、対極として白金線、および作用電極からなる通常の3電極セルを用いた。作用電極は修飾グラッシーカーボン電極(GCE)(直径3mm)を含む。修飾グラッシーカーボン電極(GCE)に4.3μgのPt粒子に相当するPt粒子溶液20μLを担持し、室温で乾燥した。次いで電極を3μLの1%ナフィオン溶液で被覆した。電解液はAr-飽和0.5M H2SO4とし、スキャン速度は50mVs-1とした。測定結果を図3(A)に示す。さらに図3(B)に、実施例1で得られたPt粒子で触媒された回転ディスク電極における異なる回転速度での酸素還元反応の測定結果を示す。電解液はO2-飽和0.5M H2SO4とし、スキャン速度は50mVs-1とした。比較的正電位から限界電流が見られ、また定量的解析から酸素の還元は四電子過程、つまり生成物が水であることが明らかとなり、実施例1で作成したPtナノ粒子は酸素還元反応の触媒として高効率であることが分かる。
【0030】
実施例2
18mLの0.1M CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)水溶液と2mLの0.5Mアスコルビン酸水溶液を50mLフラスコ中で混合し、得られた混合物を沸騰するまで加熱した。次いでこの混合物に、0.5mLの20mM白金錯体(H2PtCl6)水溶液および0.5mLの20mMパラジウム錯体(K2PdCl4)水溶液を添加した。添加後30分間沸騰加熱を続けるとアスコルビン酸の還元によりPtPd粒子が析出した。析出したPtPd粒子を濾過し、数回水で洗浄し、乾燥して、2.7mgのPtPd粒子を得た。得られたPtPd粒子のTEM像を図4に示す。図4に示すTEM像から、デンドライト構造のPtPdナノ粒子の生成が確認できた。
【0031】
PtPd粒子の化学組成はTEMグリッドにコートサンプルについてのEDX分析により行った。EDXスペクトル(図5)において、白金元素に対応するピークおよびパラジウム元素に対応するピークが別々に得られた(その他のピークはTEMグリッドからの銅のものである)ことから、白金元素およびパラジウム元素の存在が明らかになった。
【0032】
さらに、図6に示すX線マップからは、PtPdハイブリッドナノ粒子の形態による、白金元素またはパラジウム元素の分布が見られた。図6中Aは白金元素のX線マップであり、Bはパラジウム元素のX線マップである。
【0033】
これらの結果から、PtPdハイブリッドナノ粒子は、金属Ptと金属Pdのみから構成されることが示された。
【0034】
実施例3
実施例1と同様の条件でPt粒子を作成した。但し、白金錯体(H2PtCl6)水溶液の濃度を0.10mM、1.0mM、5.0mMおよび10mMの4通りとした。得られたPt粒子のTEM像を図7に示す(A:0.10mM、B:1.0mM、C:5.0mMおよびD:10mM)。この結果から、実施例1の条件では、白金錯体(H2PtCl6)水溶液の濃度が、少なくとも0.10mM〜10mMの範囲では、均一なPt粒子を形成できることが分かる。
【0035】
実施例3に示す結果から、前駆体(錯体)濃度を変えることにより、Pt粒子の均一性を維持しながらナノ粒子の粒子径を制御することが可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、貴金属触媒に関連する分野、例えば、燃料電池等の分野に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または2種以上の貴金属化合物を界面活性剤の存在下で、還元剤により還元して、3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子を得ることを含む、3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子の製造方法。
【請求項2】
前記貴金属化合物が、ハロゲン化貴金属酸若しくはその塩、酸化物、塩化物、または水酸化物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記界面活性剤が、カチオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記界面活性剤が次式(I)で示される4級アンモニウム塩である請求項1または2に記載の製造方法。
CH3(CH2)n+(CH3)3Br-(nは1〜15の整数)…(I)
【請求項5】
界面活性剤がヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘキサデシルアミン、Hyamine(商標)1622、またはAdogen(商標)464である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記還元剤が、アスコルビン酸である請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記還元は、水溶液中、加熱下で行う、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記加熱は、沸騰温度で行う、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記還元は、前記貴金属化合物の濃度(但し、2種以上の貴金属化合物の場合には合計濃度)が、2〜50mMの範囲であり、前記界面活性剤の濃度が0.01〜0.5Mの範囲であり、前記還元剤の濃度が 0.01〜1Mの範囲である水溶液中で行う、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子は、粒子径が15〜25nmの範囲であり、比表面積が20〜60m2/mgである、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記貴金属化合物が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、またはイリジウムの化合物である請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子であって、粒子径が15〜25nmの範囲であり、比表面積が20〜60m2/mgである貴金属粒子。
【請求項13】
前記貴金属化合物が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、またはイリジウムの化合物である請求項12に記載の貴金属粒子。
【請求項14】
3次元デンドライト構造を有する貴金属粒子であって、粒子径が15〜25nmの範囲であり、比表面積が20〜60m2/mgである貴金属粒子を含む酸化還元用触媒。
【請求項15】
前記貴金属化合物が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、またはイリジウムの化合物である請求項14に記載の酸化還元用触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−241119(P2011−241119A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115181(P2010−115181)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度 文部科学省 科学技術試験研究委託事業、産業技術力強化法19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】