説明

3次元トンネル載荷模擬実験装置

【課題】 地盤を介して変位を載荷することができ、しかも構成が簡単な3次元トンネル載荷模擬実験装置を提供する。
【解決手段】 3次元トンネル載荷模擬実験装置において、模型トンネル6が形成された模型地盤4がセットされる、基礎1と鋼製フレーム2と蓋3で囲まれたモルタル5と、このモルタル5の側面の複数の領域に配置される複数枚の載荷板8と、この複数枚の載荷板8のそれぞれに圧力を印加する複数個のジャッキ7とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元トンネル載荷模擬実験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル載荷実験装置としては以下に開示されるようなものがあった。
【0003】
図8は従来の第1のトンネル載荷実験装置を示す図面代用写真である。
【0004】
この種のトンネル載荷装置は、トンネルを直接載荷するタイプの載荷実験装置であり、3次元の載荷も可能である。
【0005】
この種のトンネル載荷装置としては、本願出願人の提案にかかる、特開平5−288649号公報がある。
【0006】
図9は従来の第2のトンネル載荷実験装置を示す図面代用写真である。
【0007】
この図において、101はジャッキ、102は模型トンネル、103は反力枠である。
【0008】
この種のトンネル載荷装置は、地盤中の模擬トンネル102をジャッキ101により地盤を介して載荷する実験装置である。
【特許文献1】特開平5−288649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した従来のトンネル載荷実験装置は、地盤を介して変位を載荷することはできず、しかもその構成が大掛かりであるといった問題があった。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、地盤を介して変位を載荷することができ、しかも構成が簡単な3次元トンネル載荷模擬実験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕3次元トンネル載荷模擬実験装置において、模型トンネルが形成された模型地盤がセットされる、基礎と鋼製フレームと蓋で囲まれたモルタルと、このモルタルの側面の複数の領域に配置される複数枚の載荷板と、この複数枚の載荷板のそれぞれに圧力を印加する複数個のジャッキとを具備することを特徴とする。
【0012】
〔2〕上記〔1〕記載の3次元トンネル載荷模擬実験装置において、前記複数個のジャッキにはロードセルを備えていることを特徴とする。
【0013】
〔3〕上記〔1〕記載の3次元トンネル載荷模擬実験装置において、前記模型地盤の地震時の地盤変位による被害を模擬し、地盤を介し変位を載荷することを特徴とする。
【0014】
〔4〕上記〔1〕記載の3次元トンネル載荷模擬実験装置において、前記複数枚の載荷板は複数段に配置し、各段毎に複数個配置し、前記複数個のジャッキ毎にロードセルを備えることにより、各種パターンの載荷を可能にしたことを特徴とする。
【0015】
〔5〕上記〔4〕記載の3次元トンネル載荷模擬実験装置において、前記複数枚の載荷板は3段に配置し、各段毎に2個配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、地盤を介して変位を載荷することができ、しかも構成が簡単な3次元トンネル載荷模擬実験装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の3次元トンネル載荷模擬実験装置は、地盤を介して変位を載荷することができ、しかも構成が簡単な3次元トンネル載荷模擬実験装置として利用可能である。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の実施例を示す3次元トンネル載荷模擬実験装置の模式図、図2はその試験装置の平面図、図3はその試験装置の側面図、図4はその試験装置の斜視図、図5はその試験装置の図面代用の写真である。
【0020】
これらの図に示すように、基礎1と鋼製フレーム2と蓋3で囲まれたモルタル5に模型トンネル6が形成された模型地盤4をセットして、模型地盤4に6個のジャッキ(200kNジャッキ)7は別体となった載荷板8を介して模型地盤4に変形を加える。なお、ジャッキ7にはロードセル9が設けられ、載荷力が計測されるようになっている。
【0021】
そのように構成することにより、模型地盤の地震時の地盤変位による被害を模擬し、地盤を介し変位を載荷することができる。
【0022】
図6は実験結果の一例を示す図であり、図6(a)はそのモルタルの状況を示す図面代用写真、図6(b)はその模式図である。
【0023】
図6(b)に示すように、模型トンネル11にはひび割れ12や曲げ圧縮破壊13が見受けられる。
【0024】
図7は実験装置による変位の態様を示す図であり、図7(a)は広範な変位、図7(b)は局所的な変位、図7(c)は断層変位をそれぞれ示している。
【0025】
図1における実験装置の模式図を念頭において、本発明の実験装置によれば、
(1)地山の変位を模擬することができる。
【0026】
(2)複数のジャッキの組み合わせにより各種パターンの載荷ができる。
【0027】
3次元トンネル載荷模擬実験装置は以下のように構成することができる。
【0028】
(1)それぞれのジャッキ7にはそれぞれロードセル9を備えることにより、各種パターンのパターンの載荷を可能にすることができる。
【0029】
(2)細かな模型地盤4の変形を計測する場合には、縦方向の載荷板8の段数を3段からさらに増加させ、また、横方向の載荷板8も2個からさらに個数を増加させよようにしてもよい。
【0030】
そのように構成することにより、模型地盤の地震時の地盤変位によるより細かな被害を模擬し、種々のパターンの地盤を介した変位を載荷することができる。
【0031】
(3)モルタルの寸法はトンネルの寸法に応じて種々設定することができる。
【0032】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の3次元トンネル載荷模擬実験装置は、3次元覆工模式の実験が可能な構成が簡単な3次元トンネル載荷模擬実験装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例を示す3次元トンネル載荷模擬実験装置の模式図である。
【図2】本発明の実施例を示す3次元トンネル載荷模擬実験装置の平面図である。
【図3】本発明の実施例を示す3次元トンネル載荷模擬実験装置の側面図である。
【図4】本発明の実施例を示す3次元トンネル載荷模擬実験装置の斜視図である。
【図5】本発明の実施例を示す3次元トンネル載荷模擬実験装置の図面代用の写真である。
【図6】本発明にかかる実験結果の一例を示す図である。
【図7】本発明にかかる実験装置による変位の態様を示す図である。
【図8】従来の第1のトンネル載荷実験装置を示す図面代用写真である。
【図9】従来の第2のトンネル載荷実験装置を示す図面代用写真である。
【符号の説明】
【0035】
1 基礎
2 鋼製フレーム
3 蓋
4 模型地盤
5 モルタル
6,11 模型トンネル
7 ジャッキ
8 載荷板
9 ロードセル
12 ひび割れ
13 曲げ圧縮破壊

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)模型トンネルが形成された模型地盤がセットされる、基礎と鋼製フレームと蓋で囲まれたモルタルと、
(b)該モルタルの側面の複数の領域に配置される複数枚の載荷板と、
(c)該複数枚の載荷板のそれぞれに圧力を印加する複数個のジャッキとを具備することを特徴とする3次元トンネル載荷模擬実験装置。
【請求項2】
請求項1記載の3次元トンネル載荷模擬実験装置において、前記複数個のジャッキにはロードセルを備えていることを特徴とする3次元トンネル載荷模擬実験装置。
【請求項3】
請求項1記載の3次元トンネル載荷模擬実験装置において、前記模型地盤の地震時の地盤変位による被害を模擬し、地盤を介し変位を載荷することを特徴とする3次元トンネル載荷模擬実験装置。
【請求項4】
請求項1記載の3次元トンネル載荷模擬実験装置において、前記複数枚の載荷板は複数段に配置し、各段毎に複数個配置し、前記複数個のジャッキ毎にロードセルを備えることにより、各種パターンの載荷を可能にしたことを特徴とする3次元トンネル載荷模擬実験装置。
【請求項5】
請求項4記載の3次元トンネル載荷模擬実験装置において、前記複数枚の載荷板は3段に配置し、各段毎に2個配置することを特徴とする3次元トンネル載荷模擬実験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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