説明

3次元ナビゲーションシステム

【課題】GPSを用いずに、地下街、ビル内においても、高さを含めた3次元位置を高精度で識別可能にし、3次元のナビゲーションを実現する。
【解決手段】予め決められた場所に配置された記録媒体(2次元バーコード)から、3次元位置情報を2次元バーコード読取部101で読み取り、この3次元位置情報に対応したナビゲーション情報、例えば3次元地図情報、経路情報、スポットの説明情報等をナビゲーション情報記憶部105から読出し、画像表示部107、および音声変換部111によって、現在位置、進行経路、スポットの説明等を、携帯端末装置の所持者に知らせ、3次元のナビゲーションを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元地図上の位置のみならず、高さを含む3次元の位置情報を用いて、
携帯端末装置により高さの違いも含んだナビゲーションを実現する、
3次元ナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、GPSのような測位システムが一般的であったが、平面上の2次元測位しか行えず、
またその精度にも限界があった。
また地下街やビル内ではGPSの電波が届かないため位置が検出できないという問題があった。
【0003】
しかし2次元バーコードやICタグのような、
比較的大量のデータを表現できる小形で安価な情報記録媒体が出現し、
前記記録媒体からの情報を読み取れる小形で安価な携帯端末装置が実現可能になった。
【0004】
本発明は、このような技術的背景を踏まえ、精度が高く、電波障害にも影響されない、3次元のナビゲーションシステムを実現しようとするものである。
【特許文献1】特開2001−330465号公報
【非特許文献1】坂井丈泰著「GPS技術入門」東京電機大学出版局
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GPSのような従来の測位方式では、平面上の測位しか行えず、
高さの情報を得ることができない上、精度が粗く、また電波を用いるため建物内、
地下街等での使用は困難であった。
【0006】
本発明は電波障害による測位不能箇所を無くすと共に測位精度を上げ、
高さの位置情報も取り込んだ、高度なナビゲーションシステムを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の3次元ナビゲーションシステムは、少なくとも3次元位置情報を記録した記録媒体が配置され、携帯端末装置は直近の前記記録媒体からその3次元位置情報を取得するとともに、前記記録媒体から取得した、あるいは携帯端末装置に内蔵した、あるいはセンターからダウンロードした、当該位置近辺の3次元地図情報と照合し、前記携帯端末装置の可視的または可聴的、またはその両方の表示手段によって、前記携帯端末装置の所持者に位置を表す情報又は移動経路を表す情報を表示してナビゲートし、且つ、当該携帯端末装置は所持者の訪問履歴すなわち位置情報の取得履歴を記憶することを特徴とする。
【0008】
請求項2の3次元ナビゲーションシステムは、請求項1に記載の3次元ナビゲーションシステムであって、前記携帯端末装置が3次元位置情報によって、同一平面上の経路、あるいは高さの異なる位置間の経路をたどって2地点間を移動する最適経路を表示し、ナビゲートすることを特徴とする。
【0009】
請求項3の3次元ナビゲーションシステムは、請求項1又は請求項2に記載の3次元ナビゲーションシステムであって、3次元の現在位置情報と共に、次に訪問可能な目的地の位置情報を取得し、携帯端末装置が記憶した訪問履歴すなわち位置情報の取得履歴と照合して、携帯端末装置の所持者が未だ訪問していない目的地を選択できるよう表示し、ナビゲートすることを特徴とする。
【0010】
請求項4の3次元ナビゲーションシステムは、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の3次元ナビゲーションシステムであって、予め決められた案内経路を3次元位置情報により表示する携帯端末装置において、前記所持者の操作によって、訪問地のスキップ、逆行等、経路の変更が行えることを特徴とする。
【0011】
請求項5の3次元ナビゲーションシステムは、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の3次元ナビゲーションシステムであって、前記携帯端末装置が複数階の建物内にある場合、取得した現在位置の3次元位置情報によって前記携帯端末装置が位置する階を識別し、その階のレイアウト情報によって移動コースを表示してナビゲートすることを特徴とする。
【0012】
請求項6の3次元ナビゲーションシステムは、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の3次元ナビゲーションシステムであって、前記携帯端末装置に予めスポット情報を記憶させておくことにより、又は、前記3次元位置情報を記録した記録媒体に、スポット情報を記録しておくことにより、当該記録媒体の情報を読み込んだ携帯端末装置において、当該記録媒体が配置された位置に関するスポット情報を表示可能としたことを特徴とする。
【0013】
請求項7の3次元ナビゲーションシステムは、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の3次元ナビゲーションシステムであって、前記携帯端末装置は基準となる絶対方位を識別し、この基準となる絶対方位と地図情報によって絶対方位で進行方向を表示することを特徴とする。
【0014】
第1の発明は、少なくとも3次元位置情報を記録した記録媒体が当該位置に配置され、携帯端末装置は直近の前記記録媒体からその3次元位置情報を取得するとともに、前記記録媒体から取得した、あるいは携帯端末装置に内蔵した、あるいはセンターからダウンロードした、当該位置近辺の3次元地図情報等と照合し、前記携帯端末装置の可視的または可聴的、またはその両方の表示手段によって、前記携帯端末装置の所持者に位置を表す情報、移動経路を表す情報、現在位置に関するスポット情報等を表示し、ナビゲートする。
【0015】
第2発明である3次元ナビゲーションシステムは、上記第1の発明において、3次元位置情報の記録媒体として2次元バーコードを用いる。
【0016】
第3発明である3次元ナビゲーションシステムは、上記第1の発明において、3次元位置情報の記録媒体としてICタグを用いる。
【0017】
第4発明である3次元ナビゲーションシステムは、上記第1乃至第3の発明において、前記携帯端末装置が3次元位置情報によって、高さの異なる経路をたどって2地点間を移動する最適経路を表示し、ナビゲートする。
【0018】
第5発明である3次元ナビゲーションシステムは、上記第1乃至第3の発明において、前記携帯端末装置が複数階の建物内にある場合、取得した現在位置の3次元位置情報によって前記携帯端末装置が位置する階を識別し、その階のレイアウト情報によって移動コースを表示してナビゲートする。
【0019】
第6発明である3次元ナビゲーションシステムは、上記第1乃至第3の発明において、3次元の位置情報と共に、次に訪問可能な対象物の位置情報を取得し、訪問履歴すなわち位置情報の取得履歴と照合して、携帯端末装置の所持者が未だ訪問していない対象物を選択できるよう表示し、ナビゲートする。
【0020】
第7発明である3次元ナビゲーションシステムは、上記第1乃至第3の発明において、予め決められた案内経路を3次元位置情報により表示する携帯端末装置であって、該携帯端末装置が所持者の訪問履歴を記憶し、前記所持者の操作によって、訪問地のスキップ、逆行等、経路の変更が行える。
【0021】
第8発明である3次元ナビゲーションシステムは、上記第1乃至第3の発明において、前記携帯端末装置には着脱可能な不揮発性記憶装置を設け、該不揮発性記憶装置には、ある地域あるいは建物の3次元地図情報、対象物のレイアウト情報、対象物の説明情報等を記憶する。
【0022】
第9発明である3次元ナビゲーションシステムは、上記第1乃至第3の発明において、前記3次元位置情報を記録した記録媒体には、それが配置される位置における変更頻度の高い対象物のレイアウト情報、対象物の説明情報等を記録する。
【0023】
第10発明である3次元ナビゲーションシステムは、上記第1乃至第3の発明において、前記携帯端末装置は基準となる絶対方位を識別し、この基準となる絶対方位と地図情報によって絶対方位で進行方向を表示する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、携帯端末装置の所持者が直近の記録媒体から3次元位置情報等を取得するので、位置精度が向上し、建物内、地下街でも利用できる。
【0025】
本発明によれば、ディジタルカメラ付き携帯電話機のような携帯端末装置に、2次元バーコード読み取りプログラム、ディジタル地図情報、ナビゲーションプログラム、等を搭載することにより、近接して設置された展示物毎の説明ができる3次元ナビゲーションシステムを実現できる。
【0026】
2次元バーコードの代わりに、要所々々にICタグを配置することにより、その近くを通過するだけで携帯端末装置が3次元位置情報を取得可能になり、携帯端末装置にディジタル地図情報、ナビゲーションプログラム、等を搭載することにより、使い勝手のよい3次元ナビゲーションシステムが実現できる。
【0027】
携帯端末装置が高さの地図情報を持つことにより、なだらかな道、急傾斜の道等から、携帯端末装置の所持者に最適の経路を選択することができる。
【0028】
また携帯端末装置が高さの地図情報を持つことにより、例えばデパートや美術館等において3次元位置情報から階を識別し、その階のレイアウトを表示して店内の移動コースをナビゲートすることができる。
【0029】
位置情報の取得履歴を管理することにより、観光地において標準観光コースを外れても、観ていない観光スポットを所望の順序でナビゲートすることができる。
【0030】
第7発明によれば、観光地において観光スポットの案内経路が予め決められていても、観光スポットのスキップ、逆行等を管理することにより、携帯端末装置の所持者の望む順序で、余すことなく所望の観光スポットをナビゲートすることができる。
【0031】
第8発明によれば、例えば、観光地毎、デパート毎、美術館毎、博物館毎に、ナビゲート用のコンテンツを着脱可能な不揮発性記憶装置に記憶させることにより、携帯端末装置の前記不揮発性記憶装置を差し替えるだけで種々のナビゲーションに対応できる。
【0032】
第9発明によれば、例えば美術館において展示物の入れ替えがあった場合でも、変更のあった場所の3次元位置情報を記録した記録媒体に記録したスポット説明情報のみを変更することにより、携帯端末装置のデータを変更することなく対応できる。
【0033】
第10発明によれば、カーナビゲーションシステムにおいてはジャイロを装備し、進行方向を基準にして方向を指示するが、観光地のナビゲーションでは携帯端末装置の所持者が同一の場所で向きを変えることが多いので、携帯端末装置が磁気コンパス等の簡単な装置で基準となる絶対方位を識別し、地図情報と照合することにより、絶対方位で進行方向をナビゲートすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明は、比較的限られた範囲の高度差のある地域あるいは建物内で、歩行者を対象とするナビゲーションに適した3次元ナビゲーションシステムである。実施例1では、美術館内における展示品の近くに3次元位置情報、場合によってはその地点の展示品のスポット情報の一部または全部を記入した2次元バーコードを配置しておき、携帯端末装置が着脱可能な記憶装置に記憶させた地図情報とスポット情報の一部または全部を読み出すことによって、展示品の説明も含めたナビゲーションの実施例を説明する。
【0035】
実施例2では経路に高低差のある寺院の各ポイントにICタグを配置して置き、ICタグには3次元位置情報とスポット情報の一部または全部を記憶させておき、携帯端末装置がICタグの直ぐそばを通った時にICタグからの電波を受信して3次元位置情報を取得し、この情報に基づいてセンターからそのポイントに関連する地図情報とスポット情報をダウンロードし、寺院の建物、仏像、宝物等の説明も含めたナビゲーションをする実施例を説明する。
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明の携帯端末装置の一実施例を示すブロック構成図で、
101はレーザ光等で記録媒体である2次元バーコードを読み取る2次元バーコード読取部、
102は前記2次元バーコード読取部101から3次元位置情報を取得する3次元位置情報取得部、
103は前記3次元位置情報から平面上の2次元位置情報を取得する2次元位置情報取得部、
104は前記3次元位置情報から高さの情報を取得する高さ情報取得部である。
【0037】
105は地図(建物内の各階のフロアレイアウトを含む)情報、スポットの説明情報等を
含むナビゲーション情報を記憶するナビゲーション情報記憶部で、
不揮発性記憶装置から構成されており携帯端末装置に着脱できるようになっている。
ここでスポットとは、3次元位置情報で表された地点、その地点にある建物、展示品、
商品を総称する言葉と定義し、スポット情報とはそのスポットに関連するすべての情報を表す。
【0038】
107は地図、文字等を表示する画像表示部、106は画像表示部への表示を
制御する画像表示制御部である。108は携帯端末装置全体を制御する制御部で、
プログラムや移動履歴等を記憶する記憶装置、データ処理のための一時記憶装置、
中央制御装置等からなる。
【0039】
109はキー、タッチセンサー等の入力装置(図示省略)からの情報を識別し、
制御部108への情報転送を制御する入力制御部、110は地磁気、ジャイロ等により
方位を検出する方位検出部、111はスポットの説明情報等を音声に変換する音声変換部である。
【0040】
図2は、本発明を美術館に適用した場合の一例を示す図で、
(1)は美術館の建物が3階建てであることを示しており、
(2)は1階のレイアウト、
(3)は2階のレイアウトの一例を示している。
3階のレイアウトは省略してある。
【0041】
図2(2)において、201,202,203,204,205は展示してある絵画を示し、
211は絵画201のそばに取り付けられ、
3次元位置情報が書き込まれた2次元バーコードを表しており、
212から215までも同様である。
【0042】
図2(3)の221から225も2階に展示してある彫刻を表し、
231から235も各彫刻のそばに取り付けられ、3次元位置情報が書き込まれた
2次元バーコードを表している。
【0043】
図3は、図2の(2)に展示してある絵画の一枚、絵画20nを正面から見た図で、
21nは絵画の位置と高さ(階数も含む)を記録した2次元バーコードである。
ここでnは1から5の任意の数字である。図2(3)の各彫刻についても同様に
2次元バーコードが取り付けられている。
【0044】
図4は、図1に示すブロック構成をもつ携帯端末装置を用いて、
図2に示す美術館を観てまわる時の、携帯端末装置の動作を説明するフローチャートである。
【0045】
携帯端末装置をもった入館者が図2(2)の入り口を入るとき、携帯端末装置を
2次元バーコード210に向けて図示省略の読取ボタンを押すと(ステップS101)、
図1の入力制御部109がこれを識別し、制御部108の制御によって図1の
2次元バーコード読取部101が起動される。
【0046】
これによって携帯端末装置の3次元位置情報取得部102は2次元バーコード210から
3次元位置情報を取得する(S102)。
【0047】
携帯端末装置は取得した3次元位置情報から2次元位置情報取得部103で平面上(2次元)
の現在位置を識別し(S103)、同時に高さ情報取得部104で現在位置の高さを識別する(S104)。
【0048】
制御部108は、取得した平面位置情報と高さ情報から、ナビゲーション情報記憶部105に
記憶されている現在位置周辺の地図情報と、案内のためのアナウンス情報を読み出す(S105)。
【0049】
制御部108は、マップマッチングにより周辺地図(フロアレイアウト)上に現在位置と標準鑑賞経路を重ね、
画像表示制御部106を制御して、画像表示部107に表示する(S106)。
また同時に音声変換部111を駆動してその位置のスポット情報、例えば案内のためのアナウンス情報を音声に変換して
出力する(S107)。
【0050】
制御部108はまた内部の記憶装置に移動履歴記憶部を設けており、出入口210から美術館に入ったことを
移動履歴として記憶する(S108)。
【0051】
次に、制御部108は現在位置が出口かどうかを、移動履歴を参照しながら判別する(S109)。
出口でなければフロアレイアウトと標準鑑賞経路、音声アナウンスにより、次の訪問地点に移動するよう誘導する(S110)。
【0052】
移動が終われば、次の地点でステップS101に戻り、携帯端末装置を2次元バーコードに向け読取ボタン(図示省略)を押す。
【0053】
移動する度に図4のフローを繰り返し、移動履歴を積み重ねて最後に出入口へ到達すれば、ステップS109で出口と
判断しナビゲーションを終了する。
【0054】
携帯端末装置の所持者が、標準鑑賞経路によらず、自分の好みの順序で鑑賞したいときには、画像表示部107上の
フロアレイアウトによって自分の見たい絵画あるいは彫刻の前に行き、2次元バーコードの読取ボタンを押す。
標準鑑賞経路でとばした作品を鑑賞経路の最後にもってくるようリアレンジのプログラムを作っておき、
移動履歴を記録しておけば、見落とすことなく自由な経路で作品の鑑賞ができる。
【0055】
また観なくてもよいような作品がある場合には、携帯端末装置にスキップボタンを設けておき、
経路の指示が次の作品を指示したとき、スキップボタンを押せば、その作品を鑑賞経路から外すことも可能である。
【0056】
また、携帯端末装置の画像表示部上のポインターによって観たくない作品を指定し、スキップボタンを押すことによって、
鑑賞経路から外すことも可能である。
【0057】
カーナビゲーションにおいては、進行方向を監視して進行方向を基準に左折、右折等の指示によりナビゲートするものが多い。
しかし、美術鑑賞のような場合には一定の進行方向に進むことは少なく、回転、前進、後退等が複雑に組み合わされた
動きをするので、絶対方位を監視して鑑賞者の向きを識別して進行方向を指示するか、
絶対方位で進行方向を指示することが重要になる。方位検出部110は絶対方位を検出し、
地図情報と照合して、最適な表現でナビゲートする。
【0058】
2次元バーコードは表示情報量が大きいので、その位置の3次元位置情報だけでなく、
その地点のスポット情報も表示可能であり、例えば展示する作品を取り替えた場合にも、
その地点の2次元バーコードのスポット情報を書き換えるだけで対応できる。
【0059】
本実施例においては、ナビゲーション情報を着脱可能な記憶装置105に記憶しているので、
ナビゲーションを行う場所、例えばデパート、博物館、動物園等に対応して着脱可能な記憶装置105を用意しておけば、
携帯端末装置の記憶装置105を差し替えるだけで、多様なナビゲーションに対応できる。
【実施例2】
【0060】
図5は、実施例1における2次元バーコードの代わりにICタグを用いた場合の携帯端末装置の
ブロック構成図の一例である。
図5においては図1の着脱可能なナビゲーション情報記憶部の代わりに、
内臓のナビゲーション情報記憶部305を有し、
ナビゲーション情報はセンターから無線回線を介して必要なナビゲーション情報をダウンロードし、
色々な地域のナビゲーションに対応する。
【0061】
図5において、301は電波によってICタグ内の情報を読み取るICタグ電波受信部、
302は前記ICタグ電波受信部301から3次元位置情報を取得する3次元位置情報取得部、
303は前記3次元位置情報から平面上の2次元位置情報を取得する2次元位置情報取得部、
304は前記3次元位置情報から高さの情報を取得する高さ情報取得部である。
【0062】
313はアンテナで、受信した電波からナビゲーション情報を取り出すナビゲーション情報受信部312と
接続されている。305は地図(建物内の各階のフロアレイアウトを含む)情報、
スポットの説明情報等を含むナビゲーション情報を記憶するナビゲーション情報記憶部で、
制御部308の制御により、ナビゲーション情報受信部312で受信したナビゲーション情報が記憶される。
【0063】
307は地図、文字等を表示する画像表示部、306は画像表示部への表示を制御する画像表示制御部である。
308は携帯端末装置全体を制御する制御部で、プログラムや移動履歴等を記憶する記憶装置、
データ処理のための一時記憶装置、中央制御装置等からなる。
【0064】
309はキー、タッチセンサー等の入力装置(図示省略)からの情報を識別し、
制御部308への情報転送を制御する入力制御部、310は地磁気、ジャイロ等により方位を検出する方位検出部、
311はスポットの説明情報等を音声に変換する音声変換部である。
【0065】
図6は、本発明を寺院のナビゲーションに適用した場合の一例を示す寺院のレイアウトで、
401は山門,402は宝物殿,403は本殿,404は五重塔である。
411は山門401に取り付けられICタグ、412は宝物殿402の階段下に取り付けられたICタグ、
413は宝物殿402の入口階段上に取り付けられたICタグ、414から417までも同様である。
【0066】
宝物殿402内、本殿403内、五重塔404内の観光スポットにもICタグが
取り付けられているが図示は省略されている。各ICタグにはその場所の3次元位置情報、スポット情報等が書き込まれている。
【0067】
図7は、図5に示すブロック構成をもつ携帯端末装置を持って、図6に示す寺院を観てまわる時の、
携帯端末装置の動作を説明するフローチャートである。
【0068】
携帯端末装置をもった入場者が図6の山門401を入るときICタグ411の前を通過すると(S201)、
携帯端末装置のICタグ電波受信部301がICタグ411からの電波を受信する(S202)。
【0069】
これによって携帯端末装置(図5)の3次元位置情報取得部302はICタグ電波受信部301から
3次元位置情報を取得する(S203)。
【0070】
携帯端末装置は取得した3次元位置情報から2次元位置情報取得部303で
平面上(2次元)の現在位置を識別し(S204)、同時に高さ情報取得部304で
現在位置の高さ(階段の上下、階数等)を識別する(S205)。
【0071】
制御部308は、取得した平面位置情報と高さ情報から、
ナビゲーション情報受信部312を介してセンターに所要ナビゲーション情報のダウンロードを要求し、
ナビゲーション情報をダウンロードして、ナビゲーション情報記憶部305に記憶する(S206)。
【0072】
制御部308は、ナビゲーション情報記憶部305からナビゲーション情報を読出し、
現在位置周辺の地図情報とアナウンス情報を取得する(207)。
【0073】
制御部308は、マップマッチングにより周辺地図(フロアレイアウトを含む)上に現在位置と
標準鑑賞経路を重ね、画像表示制御部306を制御して、画像表示部307に表示する(S208)。
また同時に音声変換部311を駆動してその位置のスポット情報、例えば案内のためのアナウンス情報を
音声に変換して出力する(S209)。
【0074】
制御部308はまた内部の記憶装置に移動履歴記憶部を設けており、
山門401から寺院に入ったことを移動履歴として記憶する(S210)。
【0075】
次に、制御部308は現在位置が出口かどうかを、移動履歴を参照しながら判別する(S211)。
出口でなければ地図またはフロアレイアウトと標準観光経路、音声アナウンスにより、次の訪問地点に移動する(S212)。
【0076】
移動が終われば、次の地点でステップS201に戻り、携帯端末装置をICタグに近付け3次元位置情報を取得する。
【0077】
移動する度に図7のフローを繰り返し、移動履歴を積み重ねて最後に出口へ到達すれば、
ステップS211で出口と判断しナビゲーションを終了する。
【0078】
携帯端末装置の所持者が、標準観光経路によらず、自分の好みの順序で観光したいときには、
画像表示部307上の地図およびフロアレイアウトによって、
自分の見たいスポットへ行き3次元位置情報を読み取ったとき移動履歴に記録し、
標準観光経路でとばしたスポットを観光経路の最後にもってくるようリアレンジのプログラムを作っておけば、
見落とすことなく自由な経路で観光ができる。
【0079】
また観なくてもよいようなスポットがある場合には、携帯端末装置にスキップボタンを設けておき、
経路の指示が次のスポットを指示したとき、スキップボタンを押せば、そのスポットを観光経路から外すことも可能である。
【0080】
また、携帯端末装置の画像表示部307上のポインターによって観たくないスポットを指定し、
スキップボタンを押すことによって、観光経路から外すことも可能である。
【0081】
カーナビゲーションにおいては、進行方向を監視して進行方向を基準に左折、
右折等の指示によりナビゲートするものが多い。しかし、寺院観光のような場合には一定の進行方向に進むことは少なく、
回転、前進、後退等が複雑に組み合わされた動きをするので、
絶対方位を監視して鑑賞者の向きを識別して進行方向を指示するか、絶対方位で進行方向を指示することが重要になる。
方位検出部110は絶対方位を検出し、地図情報と照合して、最適な表現でナビゲートすることができる。
【0082】
ICタグは記憶情報量を大きくできるので、その位置の3次元位置情報だけでなく、
その地点の簡単なスポット情報も記憶可能であり、例えば本例において展示する宝物を取り替えた場合にも、
その地点のICタグのスポット情報を書き換えるだけで対応できる。
【0083】
本実施例においては、所要のナビゲーション情報をセンターからダウンロードするので、
ナビゲーションを行う場所に対応したナビゲーション情報をどのような観光地、美術館、
博物館、
デパート等においても得られるので、携帯端末装置を変えることなく多様なナビゲーションに対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
現在では、ディジタルカメラ付きの携帯電話機がすでに実用化されており、
ナビゲーション機能付きの携帯電話機も出現しようとしている。
また小形、高機能のPDA(パーソナル・ディジタル・アシスタント)も普及の途にある。
これら携帯電話機やPDAに2次元バーコード読み取り機能や、ICタグ読み取り機能を付与することは、
技術的に困難なことではない。
【0085】
着脱可能な不揮発性記憶装置も、ディジタルカメラに装着されたメモリは、多数のディジタル画像情報を記憶でき、
数百メガバイトの大容量のものもあるので、本発明の実用化に利用可能である。
【0086】
センターからのナビゲーション情報のダウンロードも、無線LAN技術、人工衛星を使っての通信技術、
携帯電話機のインターネット機能等を応用すれば、容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】携帯端末装置のブロック構成図である。(実施例1)
【図2】美術館に本発明を適用した場合のレイアウトの一例である。(実施例1)
【図3】絵画と記録媒体の配置例を示す図である。(実施例1)
【図4】携帯端末装置の動作を示すフローチャートである。(実施例1)
【図5】携帯端末装置のブロック構成図である。(実施例2)
【図6】寺院に本発明を適用した場合の地図の一例である。(実施例2)
【図7】携帯端末装置の動作を示すフローチャートである。(実施例2)
【符号の説明】
【0088】
101 2次元バーコード読取部
102、302 3次元位置情報取得部
103、303 2次元位置情報取得部
104、304 高さ情報取得部
105、305 ナビゲーション情報記憶部
106、306 画像表示制御部
107、307 画像表示部
108、308 制御部
109、309 入力制御部
110、310 方位検出部
111、311 音声変換部
301 ICタグ電波受信部
312 ナビゲーション情報受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3次元位置情報を記録した記録媒体が配置され、携帯端末装置は直近の前記記録媒体からその3次元位置情報を取得するとともに、前記記録媒体から取得した、あるいは携帯端末装置に内蔵した、あるいはセンターからダウンロードした、当該位置近辺の3次元地図情報と照合し、前記携帯端末装置の可視的または可聴的、またはその両方の表示手段によって、前記携帯端末装置の所持者に位置を表す情報又は移動経路を表す情報を表示してナビゲートし、且つ、当該携帯端末装置は所持者の訪問履歴すなわち位置情報の取得履歴を記憶することを特徴とする3次元ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記携帯端末装置が3次元位置情報によって、同一平面上の経路、あるいは高さの異なる位置間の経路をたどって2地点間を移動する最適経路を表示し、ナビゲートすることを特徴とする請求項1に記載の3次元ナビゲーションシステム。
【請求項3】
3次元の現在位置情報と共に、次に訪問可能な目的地の位置情報を取得し、携帯端末装置が記憶した訪問履歴すなわち位置情報の取得履歴と照合して、携帯端末装置の所持者が未だ訪問していない目的地を選択できるよう表示し、ナビゲートすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の3次元ナビゲーションシステム。
【請求項4】
予め決められた案内経路を3次元位置情報により表示する携帯端末装置において、当該携帯端末装置の所持者の操作によって、訪問地のスキップ、逆行等、経路の変更が行えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の3次元ナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記携帯端末装置が複数階の建物内にある場合、取得した現在位置の3次元位置情報によって前記携帯端末装置が位置する階を識別し、その階のレイアウト情報によって移動コースを表示してナビゲートすることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の3次元ナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記携帯端末装置に予めスポット情報を記憶させておくことにより、又は、前記3次元位置情報を記録した記録媒体にスポット情報を記録しておくことにより、前記記録媒体の情報を読み込んだ携帯端末装置において、当該記録媒体が配置された位置に関するスポット情報を表示可能としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の3次元ナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記携帯端末装置は基準となる絶対方位を識別し、この基準となる絶対方位と地図情報によって絶対方位で進行方向を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の3次元ナビゲーションシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−279067(P2007−279067A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185652(P2007−185652)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【分割の表示】特願2004−47539(P2004−47539)の分割
【原出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【出願人】(500325230)株式会社日本ビジネスエンジニアリング (12)
【Fターム(参考)】