説明

3次元地図配信用データベース構築装置および3次元地図配信サーバ

【課題】さまざまな表示性能あるいは回線性能に依存せずに、同じ制御方式で、かつ地図としての表現が損なわれない3次元地図の伝送を実現する。
【解決手段】3次元地図配信サーバ300は、端末性能データを蓄積する端末性能記憶部302と、同一グループ内に含まれる形状データ間の距離が所定距離以内であり、同一グループ内に含まれる形状データのデータ量が所定データ量以内となるように、3次元地図配信用データベース構築装置100によりグループ化されたグループデータがあらかじめ記憶されたグループデータデータベースからグループデータを取り出し、端末性能に応じた範囲のグループデータを特定する表示範囲決定手段301と、特定された前記グループデータに対応する形状データを、形状データが蓄積された3次元地図データベースから取り出して3次元地図表示端末に伝送する伝送手段303と備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地形や建物道路といった都市の3次元形状で記録された3次元地図を取り出して、携帯電話や携帯情報端末といったモバイル端末に表示させるための3次元地図配信用データベース構築装置および3次元地図配信サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元地図をコンピュータに蓄積し、他のコンピュータへ一部の範囲の3次元地図を伝送する既存の技術としては、次のものがある。
【0003】
景観を再現するための地形や建物のデータからなる空間データを、サーバ装置からクライアント端末へ伝送して表示する方式がある(例えば、特許文献1参照)。この方式において、3次元空間データ送信表示装置は、通信路の輻輳していない状態での伝送能力に基づいて3次元空間の領域を分割した分割数と、分割した各領域単位で各領域に含まれる3次元オブジェクトデータの詳細度とをあらかじめ設定しておく。そして、設定した分割数と詳細度とに基づいて3次元空間の領域を分割して詳細度を設定し、通信路の伝送能力の変化に応じて詳細度を変更すること、分割数を変更して詳細度を設定し直すこと、あるいは分割した各領域の領域サイズを変更すること、の少なくともいずれか1つを実行して、送信する3次元オブジェクトのデータ量を調整している。
【0004】
また、空間データを、サーバ装置からクライアント端末へ伝送して表示する別の方式がある(例えば、特許文献2参照)。この方式における3次元空間データ送信表示システムでは、データを送信する通信路の輻輳状況の変化、仮想空間を表示するクライアント装置の処理負荷状況の変化あるいはメモリの容量の変化、視点の移動速度や視線の回転速度の変化等に応じて、サーバからクライアント装置へ単位時間当たりに送信する3次元オブジェクトデータの容量の上限を変更し、データ容量の上限を超えない範囲の3次元オブジェクトデータを抽出して送信するものである。
【0005】
次に、一般的な領域を用いた伝送制御手法の説明をする。この伝送制御手法は、サーバに3次元地図のデータを蓄積し、仮想の領域を設定し、その領域に入る3次元データを通信路を介して表示端末へ伝送して表示するものである。一度に伝送する領域数を増減することにより、端末で一度に表示できるデータ量に制限があっても対応できるようにする手法である。
【0006】
ある領域に対して縦横一定間隔で領域分割を行っているが、このような領域分割を施したときには、建物の3次元データが多く含まれる領域と、建物の3次元データが少なく含まれる領域がある。仮に、建物の大きさにかかわらず、建物1件を表現するための3次元データの量が同じであるとすると、領域によって、1領域に含まれるデータ量に差異が多く生じる。この対応として、サーバからある端末へ3次元データを伝送する際に、伝送する領域数を増減することが考えられる。
【0007】
【特許文献1】特開2002−279449号公報(第1頁、図2)
【特許文献2】特開2002−197016号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術には次のような問題点がある。従来の特許文献1の方式では、3次元データを表示する端末の表示性能あるいは伝送に利用する回線の速度によって、さまざまな詳細度のデータを事前に用意しておかないと、快適なレスポンスで表示できないという問題がある。また、表示性能の低い端末へ表示する場合、あるいは速度の遅い回線を利用して伝送する場合には、詳細度が低い粗いデータでしか景観を再現する3次元表示ができないという問題がある。
【0009】
端末性能や回線性能に応じた伝送データの制御を行う場合、伝送する分割数を変更する手法も挙げられている。しかし、この方式では、2次元的な領域範囲を設けているので、2次元的に一定面積の領域を設定し、この中に入る3次元データを1まとまりとしているので、大量に3次元データが含まれる領域や、あまり3次元データを含まない領域がある。
【0010】
さらに、もともと分割数に対してデータ量が一定というわけではないので、ある分割数のデータを伝送した後、端末側で表示できなかったら、分割数を減らすといった試行錯誤の制御が必要になる。その結果として、制御に時間がかかるか、狭い領域範囲のデータしか表示でいないという課題がある。そもそも、ある分割数のデータを伝送した後、端末側で表示できなかった場合、端末における3次元地図表示の動作がとまってしまう。
【0011】
さらに、端末性能や回線性能に応じた伝送データの制御を行う場合、伝送する各領域の領域サイズを変更する手法も挙げられている。多量の3次元データがどの領域に属するかは、一般的には、各3次元データの2次元的な位置からその3次元データがどの領域に属するかを決定して、3次元データと領域との対応付けを計算しなくてはならない。ある領域サイズで分割したデータを伝送する場合に、端末性能の制約からさらに領域を細かくするというのは処理時間がかかってしまう。端末性能や回線性能に応じた領域サイズの領域分割を事前に行っておく必要があり、さまざまな性能の端末に対応するのは現実的ではない。
【0012】
また、従来の特許文献2の方式では、単位時間あたりに伝送するデータ量の上限値の変更に応じて、伝送する3次元オブジェクトの量を調整するので、表示性能の低い端末へ表示する場合、あるいは速度の遅い回線を利用して伝送する場合には、伝送する3次元オブジェクトの量が著しく少なくなり、少ないデータであっても地図として表示できるような工夫をしていないため、景観を表示した場合の再現性あるいは見た目が悪くなるといった問題がある。
【0013】
また、一般的な領域を用いた伝送制御手法では、サーバからある端末へ3次元データを伝送する際に、伝送する領域数を増減することにより伝送データ量を一定に近づけることを行うことができるが、このような制御では、表示できる3次元地図の範囲が、表示する3次元地図の場所によって、広くなったり狭くなったりしてしまうという問題がある。
【0014】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、さまざまな表示性能の携帯端末へ3次元地図を伝送する場合、あるいはさまざまな性能の回線を介して3次元地図を伝送する場合のいずれに対しても、同じ制御方式で、かつ地図としての表現が損なわれない3次元地図の伝送を実現するための3次元地図配信サービスにおける3次元地図配信用データベース構築装置および3次元地図配信サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の3次元地図配信用データベース構築装置は、位置座標およびデータ量が特定された複数の形状データに基づいて、同一グループ内に含まれる形状データ間の距離が所定距離以内であり、同一グループ内に含まれる形状データのデータ量の総計が所定データ量以内となるように複数の形状データをグループ化し、グループ化後の位置座標、総計データ量およびグループ化されたそれぞれの形状データIDを有するグループデータを生成するものである。
【0016】
さらに、本発明の3次元地図配信サーバは、3次元地図表示端末の種類と関連づけられた端末性能データを蓄積する端末性能記憶部と、位置座標およびデータ量が特定された複数の形状データに基づいて、同一グループ内に含まれる形状データ間の距離が所定距離以内であり、同一グループ内に含まれる形状データのデータ量の総計が所定データ量以内となるように複数の形状データがグループ化されており、グループ化後の位置座標、総計データ量およびグループ化されたそれぞれの形状データIDを有するグループデータがあらかじめ記憶されたグループデータデータベースからグループデータを取り出し、端末性能記憶部に蓄積された端末性能データおよび3次元地図表示端末から受信した視点座標を含む表示要求に基づいて、端末性能に応じた範囲のグループデータを特定する表示範囲決定手段と、特定されたグループデータに含まれている形状データIDに対応する形状データを、位置座標およびデータ量が特定された複数の形状データが蓄積された3次元地図データベースから取り出し、取り出した複数の形状データを3次元地図表示端末に伝送する伝送手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、3次元地図に含まれる複数の形状データをほぼ同じデータ量になるようにグループ化することにより、端末性能あるいは回線性能に応じて一定数のグループのデータを伝送すればよく、さまざまな表示性能の携帯端末へ3次元地図を伝送する場合、あるいはさまざまな性能の回線を介して3次元地図を伝送する場合のいずれに対しても、同じ制御方式で、かつ地図としての表現が損なわれない3次元地図の伝送を実現するための3次元地図配信サービスにおける3次元地図配信用データベース構築装置および3次元地図配信サーバを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の3次元地図配信用データベース構築装置および3次元地図配信サーバの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明を適用したサービスの構成図である。実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3は、いずれも図1に示すサービスの実現に必要である。図1において、3次元地図データベース20は、3次元地図を蓄積してある電子データである。サーバ10は、コンピュータであり、インターネット回線に接続されている。携帯電話40は、携帯電話基地局30を介してサーバ10と通信し、サーバ10から伝送される3次元地図を表示する端末である。
【0020】
携帯情報端末50は、携帯電話40あるいは携帯電話基地局30を介してサーバ10と通信し、サーバ10から伝送される3次元地図を表示する端末である。ここで、携帯電話40は、他の無線通信手段でもよい。例えば、PHS端末、PHS通信カード、無線LAN装置であってもよい。また、携帯情報端末50は、カーナビゲーションシステムやノーロパソコンであってもよい。
【0021】
3次元地図データベース20に蓄積されている3次元地図は、例えば、建物1件を1つの形状データで表現していることとする。道路や地形もおおよそ50メートル四方程度の大きさで1つの形状データで表現されていることとする。形状データは、建物の屋根や壁の面のデータの集合であり、面のデータは、面を構成する頂点座標の集合データであるとする。
【0022】
この場合、例えば、建物を詳細に再現してある場合、あるいは建物そのものが複雑な形状である場合は、1件の建物でもデータ量が多くなる。さらに、3次元地図の建物データの面に、その建物に対応する実際の建物の外観の写真やイラストをテクスチャ画像として貼り付けてあってもよいこととする。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態1における3次元地図データベース20のデータ構成である。建物1件、道路50メートルといった形状の1つ1つに対して、図2で示す内容の形状データが3次元地図データベース20に記録されている。形状データが複数ある場合は、図2の内容が、形状データの数分存在する。
【0024】
図2において、IDは、形状データ1つ1つに対してユニークに割り付けられた識別子である。種別は、例えば、建物、道路、道路以外の地面、道路標識といった地物の種類をあらわす番号が入る。例えば、建物は1、道路は2といった番号を割り当てておく。
【0025】
頂点座標は、例えば、経度方向、緯度方向、上方向の3つの座標で頂点を表現したものであり、あらかじめ定めた基準点からのメートルで表現する。頂点は、何点で記述していてもよい。
【0026】
面構成は、頂点のうち、どの頂点の組合せにより1面を表現するかを記録しておく。例えば、頂点A〜Fの6点の頂点があるとき、面1、A、B、C、面2、B、C、F、面3、D、E、Fと記述があった場合、3面からなり、各面は、例えば面1の場合、頂点A、B、Cで囲まれた範囲が1面として表現される。1面の頂点数は、3点以上であれば何点でもよい。
【0027】
テクスチャ画像は、建物等にテクスチャデータを貼る場合に、テクスチャデータである画像データの電子ファイル名を記録しておくものである。また、テクスチャ貼り付け面は、テクスチャデータを貼り付ける面を記述しておくものである。面は、先ほどの面1、面2といった表現でよく、画像データの電子ファイル名1つに対して、複数の面が対応付けられていてもよい。
【0028】
図3は、本発明の実施の形態1における3次元地図配信用データベース構築装置100の構成図である。3次元地図配信用データベース構築装置100は、3次元地図データベース201から効率よく3次元地図を取り出すためにグループ化を行うものであり、3次元地図データベース201を入力として、グループ化されたグループデータを生成し、グループデータデータベース202に記憶させる機能を有する。
【0029】
ここでは、3次元地図データベース201と、グループデータデータベース202とをあわせて3次元地図配信用データベース200と呼ぶこととする。また3次元地図配信用データベース200は、図1における3次元地図データベース20に相当する。
【0030】
図3に示すように、3次元地図配信用データベース構築装置100は、距離計算手段101、距離データ記憶部102、最短データ抽出手段103、グループ化判断手段104で構成される。
【0031】
距離計算手段101は、3次元地図データベース201内に3次元地図データとして蓄積されている形状データ同士の距離を計算し、あわせてグループデータデータベース202に蓄積されているグループデータ同士の距離、および形状データグループデータとの距離を計算する。距離データ記憶部102は、距離計算手段101により計算された距離データを一時的に蓄積する記憶部である。
【0032】
最短データ抽出手段103は、距離データ記憶部102に蓄積された距離データに基づいて、もっとも距離の短い最短データを抽出する。さらに、グループ化判断手段104は、最短データ抽出手段103で抽出されたデータをグループ化するかどうかを判断する。
【0033】
図4は、本発明の実施の形態1におけるグループデータデータベース202内のグループデータのデータ構造を示す図である。グループデータデータベース202に記憶されているグループデータは、3次元地図データを伝送するときの伝送量の制御に必要なデータに関する管理用データであり、1グループに含まれる形状データの面の数と、テクスチャの数が一定数以下、すなわち所定データ量以内になるように構築される。
【0034】
グループデータデータベース202は、3次元地図データベース201の複数または1つの形状データを1グループとして記録している。グループが複数ある場合には、図4のグループデータの内容がグループ数分記録されていることとなる。
【0035】
図4において、グループIDは、グループ1つ1つに対してユニークな識別子として記録される。座標は、ひとつのグループがどの位置の形状データの塊かを示すための情報であり、経度方向と緯度方向の座標で記録されている。高さ方向の座標を記録してあってもよい。図4の座標のスケールと座標系は、3次元地図データベース201に記録してある形状データのそれと同じである。この座標は、例えば、グループに含まれる形状データの頂点座標の重心とすることができる。
【0036】
帰属3次元データは、グループ化されたそれぞれの形状データの帰属先を示すデータであり、3次元地図データベース201に記録されている形状データのIDが示されている。
【0037】
種別は、1つのグループに含まれる形状データの種別であり、例えば建物、道路、道路以外の地面、道路標識といった地物の種類をあらわす番号が入る。例えば、建物は1、道路は2といった番号である。1つのグループに複数の種別を含む場合は、複数の種別が記録されていることとする。面数は、1つのグループに含まれている形状データのもつ面の総計の数である。また、テクスチャ数は、1つのグループに含まれている形状データのもつテクスチャの総計の数である。
【0038】
次にグループデータを作成する手順について説明する。図5は、本発明の実施の形態1におけるグループデータ作成処理のフローチャートである。まず、ステップS501において、距離計算手段101は、距離データを計算する。距離計算手段101による距離データ計算の対象は、3次元地図データベース201に記録されている形状データのうち、グループデータデータベース202に記録されていない全ての形状データと、グループデータデータベース202に記録されているグループデータのうち、1グループに含まれる形状データの内容が確定していないグループデータ全てである。
【0039】
すなわち、すでにグループデータデータベース202に記憶されているグループデータに含まれる形状データIDに対応する形状データは、グループ化を目的とした距離データ計算の対象から外す。さらに、グループデータデータベース202に記憶されているグループデータの中で、後述するデータ量等の制約からこれ以上の形状データの追加ができないグループについては、すでに形状データの内容が確定しているグループとして、グループ化を目的とした距離データ計算の対象から外す。
【0040】
距離計算手段101は、形状データと形状データとの距離であれば、ひとつの形状データに含まれる座標の重心と、もうひとつの形状データに含まれる座標の重心のユークリッド距離を計算する。このとき、ひとつの形状データに含まれる座標と、もうひとつの形状データに含まれる座標のもっとも近い座標間のユークリッド距離を計算してもよい。
【0041】
距離計算手段101は、形状データとグループデータとの距離であれば、形状データに含まれる座標の重心と、グループデータに含まれる座標の重心との距離を計算する。また、形状データにふくまれる座標とグループデータに含まれる座標のもっとも近い座標の組み合わせで計算してもよい。
【0042】
さらに、距離計算手段101は、グループデータ同士の距離であれば、ひとつのグループデータに含まれる座標の重心と、もうひとつのグループデータに含まれる座標の重心との距離を計算する。また、グループデータに含まれる座標同士のもっとも近い座標の距離を計算してもよい。
【0043】
次に、ステップS502において、距離計算手段101は、計算した距離データを一時的に距離データ記憶部102に蓄積する。図6は、本発明の実施の形態1における距離データのデータ構造を示す図である。距離データは、あるひとつのデータともうひとつのデータとがどれだけの距離であったかを1行に記録したデータである。そして、距離計算対象の形状データ同士、グループデータ同士、そして形状データとグループデータの組合せからなる行数の距離データが距離データ記憶部102に記録される。
【0044】
1行のデータの中身は、例えば、IDが1000の形状データとIDが1016の形状データの距離は3.984といったような形状データ間の距離や、グループIDが5011のグループとIDが1000の形状データの距離が5.21といった内容が記録される。
【0045】
次に、ステップS503において、最短データ抽出手段103は、距離データ記憶部102に蓄積された距離データを距離の短い順に並べ、もっとも距離の短い組合せを抽出する。この場合に、形状データ同士であっても、形状データとグループデータの組み合わせであっても、グループデータ同士の組み合わせであってもよい。さらに、最短データ抽出手段103は、形状データのIDまたはグループIDの組み合わせからなる、もっとも距離の短い組合せとして抽出した1組のデータをグループ化判断手段104へ送る。
【0046】
次に、ステップS504において、グループ化判断手段104は、最短データ抽出手段103によって抽出された1組のデータをグループ化するかどうかを判断し、グループ化する場合には、グループデータデータベース202のグループデータの内容を更新する。具体的には、グループ化判断手段104は、以下の方法により、最短データとして抽出された1組のデータがグループ化の条件を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合にのみグループ化を行うこととする。
【0047】
組合せが形状データ同士であったとき、グループ化判断手段104は、入手した距離データがあらかじめ設定した閾値の距離以内であり、かつ、2つの形状データに含まれる面数の合計と、テクスチャ数の合計がそれぞれあらかじめ設定した1グループのデータの面数の閾値とテクスチャ数の閾値の範囲内におさまる場合には、グループ化を行う。
【0048】
組合せが形状データとグループデータであったとき、グループ化判断手段104は、距離データがあらかじめ設定した閾値の距離以内であり、かつ、形状データに含まれる面数とグループデータに含まれる面数との合計と、形状データに含まれるテクスチャ数とグループデータに含まれるテクスチャ数との合計がそれぞれあらかじめ設定した1グループのデータの面数の閾値とテクスチャ数の閾値の範囲内におさまる場合には、グループ化を行う。
【0049】
組合せがグループデータ同士であったとき、グループ化判断手段104は、距離データがあらかじめ設定した閾値の距離以内であり、かつ、2つのグループデータに含まれる面数の合計と、テクスチャ数の合計がそれぞれあらかじめ設定した1グループのデータの面数の閾値とテクスチャ数の閾値の範囲内におさまる場合には、グループ化を行う。
【0050】
そして、グループ化判断手段104は、グループ化を行うと判断した場合には、ステップS505に移行し、グループデータの更新を行うこととなる。ステップS505において、グループ化判断手段104は、組合せが形状データ同士であったとき、組合せが形状データとグループデータであったとき、そして組合せがグループデータ同士であったときに応じて、以下のような異なる処理を行う。
【0051】
組合せが形状データ同士であったときには、グループ化判断手段104は、グループデータデータベース202に新しいグループIDのグループデータを作成する。また、組合せが形状データとグループデータであったときには、グループ化判断手段104は、グループデータの帰属3次元データに新たにグループ化する形状データのIDを追加し、種別や、テクスチャ枚数、面数を更新し、グループデータの重心座標を再計算する。
【0052】
また、組合せがグループデータ同士であったときには、グループ化判断手段104は、2つのグループデータの重心座標、帰属する形状データ、種別、テクスチャ数、面数を統合した新しいグループデータを作成するとともに、新しいグループデータの元となった2つのグループデータを消去する。
【0053】
そして、グループ化判断手段104は、グループデータデータベース202のグループデータを更新した後に、更新したデータに基づく新たなグループ化処理を行うために、最初のステップS501に移行する。そして、3次元地図配信用データベース構築装置100は、更新された新たなグループデータデータベース202のグループデータに基づいて、ステップS501〜S504の処理を繰り返し行うこととなる。
【0054】
一方、先のステップS504において、グループ化の条件を満たさないと判断した場合には、ステップS506において、グループ化判断手段104は、全ての距離データに対してグループ化処理を終了したか否かを判断する。そして、全ての距離データに対してグループ化処理を終了した場合には、グループ化判断手段104は、一連の処理を終了する。また、全ての距離データに対してグループ化処理を終了していない場合には、ステップS507において、グループ化判断手段104は、次に短い距離データを最短データ抽出手段103へ要求する。
【0055】
最短データ抽出手段103は、グループ化判断手段104からの要求に応じて、先に抽出した最短データの次に距離が短い新たな最短データの組を抽出して、グループ化判断手段104へ送る。その後、ステップS504に処理を移行し、グループ化判断手段104は、新たに抽出された最短データに対して、グループ化の条件を満たすか否かを再び判断する。
【0056】
以上のような一連の処理を行うことにより、3次元地図配信用データベース構築装置100は、グループ化の条件を満たす範囲内で、距離データの短いものから順に、グループ化を実行することができる。そして、最終的に、同一グループ内に含まれる形状データ間の距離が所定距離以内であり、同一グループ内に含まれる形状データのデータ量の総計が所定データ量以内となるようにグループ化されたグループデータがグループデータデータベース202に蓄積されることとなる。
【0057】
上述の説明において、3次元地図配信用データベース構築装置100によるこのようなグループ化処理は、3次元地図データベース201の全ての形状データに対して行われる場合を示したが、3次元地図データベース201の特定の種別を有する形状データに対してのみこのようなグループ化処理を施すことも可能である。
【0058】
この場合、例えば、3次元地図データベース201の中身のうち、種別が道路である形状データだけを対象として、距離計算手段101、最短データ抽出手段103、グループ化判断手段104の各処理を行うことにより、道路の形状データのみのグループデータを作成できる。同様に種別が建物である形状データだけのグループデータを作成してもよいし、種別が地面であるか道路である形状データだけのグループデータを作成してもよい。
【0059】
形状データをグループ化する場合に、特別な意味合いのある建物だけをあらかじめグループ化しておくこともできるようにする。例えば、○○デパートという建物の形状データを特別に扱いたい場合は、○○デパートの形状データ1つで1つのグループとして、形状データの種別をランドマークという種別にしてグループデータデータベース202に記録する。
【0060】
また、広い公園といったシンボリックなエリアに散らばって建っている建物の形状データが5つあったとする。このような場合には、それらを一つのグループとして、形状データの種別をエリアという種別にしてグループデータデータベース202に記録する。なお、以後の実施の形態1におけるグループデータの生成処理では、種別がランドマークまたはエリアの形状データからなるグループには、別の形状データを追加しないこととする。
【0061】
また、グループ化判断手段104におけるグループ化の判断は、形状データの面数、テクスチャ数だけではなく、形状データのデータ容量であってもよい。この場合、3次元地図データベース201の各形状データには、形状データのテクスチャデータを含むデータ容量がバイト数として記録されており、かつ、グループデータデータベース202の各グループデータに、そのグループに含まれる形状データのデータ容量の合計値が記録されることとする。
【0062】
次に、グループ化された後のデータについて図面を用いて概念的に説明する。図7は、本発明の実施の形態1における3次元地図配信用データベース構築装置100を用いてグループ化された3次元地図データベースの内容と、縦横一定間隔で領域分割することによりグループ化された3次元地図データベースの内容との比較を示した図であり、それぞれ図7(a)と図7(b)に示されている。
【0063】
ここで、図7(a)および図7(b)に示された形状データは、一例として、建物を表現するデータを上空から地面を見下ろす視点方向で表示したものである。四角い小さな形状が建物の形状データを表現している。また、点線で囲まれた範囲がグループである。
【0064】
図7(a)においては、複数の建物の形状データが10のグループに分割されており、建物の形状データの分布によらず、1グループに含まれる建物の形状データの量は、ほぼ同じである。仮に、建物の大きさにかかわらず、建物1件を表現するための形状データの量が同じであるとすると、領域によって、1領域に含まれるデータ量の差異はほとんどない。ただし、近いもの同士のみグループ化されるので、近くに他の形状データの無い形状データはそのままグループ化される。
【0065】
実施の形態1によれば、3次元地図データベースに含まれる形状データをほぼ同じデータ量になるようにグループ化することができ、サーバに蓄積された3次元地図データを端末へ伝送するときに、端末で表示可能な3次元データの面数やテクスチャ数の限界値に対応して、端末の種類に応じて一定数のグループのデータを伝送すればよい。
【0066】
これにより、サーバから端末へ3次元地図を領域に分割して伝送する場合に、端末の表示性能にあわせて動的に伝送する分割数を変更する必要がなく、伝送量の制御に時間がかかることがない。さらに、ある分割数のデータを伝送した後、端末側で表示できなかった場合に、端末における3次元地図表示の動作がとまってしまうといったことも発生しなくなる。
【0067】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2における3次元地図配信サーバおよび3次元地図表示端末の構成図である。図8において、点線で囲った3次元地図配信サーバ300が、図1の3次元地図配信サービスにおけるサーバ10に相当する。また、図8において、点線で囲った3次元地図表示端末400が、図1の3次元地図配信サービスにおける携帯電話40や携帯情報端末50に相当する。3次元地図表示端末400は、ノートパソコンであっても、カーナビゲーションの端末であってもよい。
【0068】
3次元地図配信サーバ300と3次元地図表示端末400は、インターネットで通信が可能であることとする。また、通信回線は、携帯電話。無線LAN、PHSといった無線通信を介していることとする。
【0069】
図8の3次元地図データベース201は、図1および実施の形態1で示した3次元地図データベース201と同じものであるとする。さらに、図8のグループデータデータベース202は、図1および実施の形態1で示したグループデータデータベース202と同じものであるとする。
【0070】
入力手段401は、キーボードまたはマウスからの入力を命令に変換して、表示範囲決定手段301へ送る手段である。表示範囲決定手段301は、入力手段401から受けた命令を元に、3次元地図配信サーバ300から3次元地図表示端末400へ伝送するデータの範囲を決定し、決定内容を伝送手段303へ伝える手段である。
【0071】
端末性能記憶部302内の端末性能データは、端末の種類毎に表示できる形状データの面数の最大値、テクスチャ数の最大値を記録してあるデータであり、表示範囲決定手段301が3次元地図表示端末400へ伝送するデータの範囲を決定する判断に利用する。
【0072】
例えば、A社のKEITAI10000という機種名称の端末が、10000面の3次元形状と、30面のテクスチャを表示できるとすると、端末性能記憶部302には、KEITAI10000、10000、30といった端末性能データがあらかじめ入力されている。端末性能記憶部302内の端末性能データには、複数の端末のそれぞれについて、表示できる最大値を記録しておく。
【0073】
伝送手段303は、3次元地図配信サーバ300から3次元地図表示端末400へ伝送するデータを、3次元地図データベース201から取り出して3次元地図表示端末400の表示手段402へ伝送する手段である。
【0074】
次に、具体的な動作について説明する。図9は、本発明の実施の形態2における操作入力に応じた表示画面の変化の様子を示した図である。図9(a)に示すような、Aという建物の形状データとBという建物の形状データが写っていた場合に、3次元地図表示端末400の入力操作により、表示する視点の位置を前へ進めることにより、図9(b)のように近づいた画面に切り替わり、さらに前進ボタンを押すことにより、図9(c)のように遠くの建物Cがさらに表示されるという処理を例に、具体的な動作を説明する。
【0075】
入力手段401は、例えば、キーボードとするが、マウスであってもゲームパッドであってもよい。また、表示手段402で、3次元地図を表示していることとし、表示手段402は、あらかじめ建物Aと建物Bの形状データを、伝送手段303から受け取ってあったとする。さらに、形状データは、面を構成する頂点の座標位置を含むものとする。
【0076】
3次元地図表示端末400がノートパソコンである場合には、例えば、OpenGLという3次元表示ライブラリを用いることにより、図9に示すような立体的な3次元表示を、任意の視点位置、視点方向を設定して表示することができる。3次元地図表示端末400が携帯電話であった場合には、例えば、JAVA(登録商標)言語の3次元表示関数を用いて、立体的な3次元表示を行う。
【0077】
表示手段402と入力手段401は、表示手段402で表示中の3次元地図の視点位置の座標をメモリ上に記録して、読み出せるようになっている。また、最後に3次元地図配信サーバ300からデータを受け取った時点の視点位置座標を、別途メモリ上に記録してあることとする。
【0078】
さらに、3次元地図配信サーバ300から3次元地図の形状データを受け取ったときに、視点位置を動かして、最後に3次元地図配信サーバ300からデータを受け取った時点の視点位置座標からある距離だけ視点が動いたら新たなデータ取得を要求するといった距離の限度値を同じくメモリ上に記録しておく。
【0079】
また、最後に3次元地図配信サーバ300からデータを受け取った時点で伝送した3次元地図のグループは、その時点の視点位置からどの程度の半径の範囲のグループであったかを示すための半径の情報を、3次元地図配信サーバ300から受け取ってあることとし、このデータもメモリ上に記録してあることとする。
【0080】
図9の視点の3次元の座標は、(東が正の経度方向座標、北が正の緯度方向座標、高さ方向座標)であるとする。また、表示している視点の方向は、真東を向いていることとする。
【0081】
入力手段401は、キーボードのあらかじめ決めた前進用のキーを押すことにより、視点方向を前進して3次元地図を表示するので視点位置がかわる。1回キーを押すごとに変化する視点座標の量を例えば1としておけば、最後に3次元地図配信サーバ300からデータを受け取った時点の視点位置座標が(200、105、3)であった場合、10回前進用のキーを押すと、視点座標は(210、105、3)、さらに10回前進用キーを押すと、(220、105、3)となり、3次元地図で表示している建物は近づいて表示される。
【0082】
最後に、3次元地図配信サーバ300からデータを受け取った時点の視点位置座標からある距離だけ視点が動いたら新たなデータ取得を要求するといった距離の限度値が20であった場合、ここでもう一度前進用キーを押すと、視点座標は(221、105、3)となり、最後に3次元地図配信サーバ300からデータを受け取った時点の視点位置座標(200、105、3)から限度値の20を超えるので、入力手段401は、表示する視点の位置を前へ進める命令を表示要求として表示範囲決定手段301へ伝送する。
【0083】
限度値20は、後述する図12における次回取得距離で記述される座標距離のことである。伝送する手段は、例えば、ソケット通信といったインターネットを介した通信手段を用いる。
【0084】
図10は、本発明の実施の形態2における入力手段401から表示範囲決定手段301へ伝送する要求データ形式を示した図である。要求データ形式は、例えば、XML(eXchangeable Markup Language)形式で記述する。XML形式は、タグを用いて階層化ができるデータ記述形式である。要求データは、大きく分けて、データ取得情報と性能情報とに分けられる。データ取得情報は、要求データに必須であり、性能情報は、必須ではない。
【0085】
データ取得情報には、データ取得依頼に関するデータと、表示中のデータに関するデータの2つのデータを記述する。データ取得依頼に関するデータは、取得したい時点で表示手段402が表示している3次元地図の視点位置の座標を含んでいる。
【0086】
表示中のデータ内容は、最後に3次元地図配信サーバ300からデータを受け取った時点の視点位置座標と、その時点で取得したグループが視点位置からどの程度の座標距離であったかを示す取得データ範囲のデータを含んでいる。
【0087】
性能情報の内容は、その端末で表示できる3次元データの面数の限界値である枚数と、テクスチャ数の限界値である枚数と、端末と3次元地図配信サーバとの間の伝送路の帯域幅であるbps(bit per second)値と、端末種別である。
【0088】
性能情報は、端末種別を送れば、それ以外の性能情報を送らなくてもよい。性能情報は、端末から3次元地図配信サーバへ少なくとも1回送ればよい。ただし、何らかの状況の変化により、性能情報が変化したことを表示手段402で検知した場合は、変化した後の性能情報を要求データに含めて送ることとする。
【0089】
表示手段402は、3次元地図配信サーバ300から伝送された3次元地図を表示するが、表示中に、入力手段401により視点を変更したときに、視点変更した3次元地図の表示にかかる時間があらかじめ設定した閾値以上かかった場合、3次元データの面数の限界値である枚数と、テクスチャ数の限界値である枚数をそれぞれ1割少ない値に変更して、表示範囲決定手段301へ伝送する要求データの形式における性能情報として、3次元地図配信サーバ300へ伝える。
【0090】
要求データを受け取った表示範囲決定手段301は、要求データの内容から新たに取得すべき3次元地図データのグループと、端末で表示をやめるべき3次元データのグループの範囲を決定する。図11は、本発明の実施の形態2における表示範囲決定の説明図である。
【0091】
ここで、図10の要求データ記述形式にある、表示中データ内容の視点座標を例えばPとして、データ取得要求の視点座標を例えばQとする。性能情報に端末種別名があった場合には、表示範囲決定手段301は、その端末種別名を元に端末性能記憶部302内の端末性能データを参照して、表示できる形状データの面数やテクスチャ数を取得する。
【0092】
一例として、性能情報が要求データに含まれていて、表示できる形状データの面数が200枚であったとする。また、グループデータデータベース202内のグループデータを実施の形態1のように作成したときに、1グループに属する形状データの面数が50以下になるようにグループデータを作成していたとする。この場合、4グループ最大200枚まで形状データの表示が可能である。
【0093】
点Pに視点位置があった時点で、点線で囲まれたグループID A、B、C、Dの4グループの形状データを範囲として選択していたとする。要求データの新たなデータ取得時の視点座標Qを中心として、グループの重心が4つ入る最小の円が半径R2の円であったとすると、この円の中にグループIDがA、C、D、Eの4つのグループが入る。
【0094】
すなわち、表示範囲決定手段301は、表示手段402で表示中のグループのうち、消去すべきなのはグループIDがBであるグループに属する形状データであり、新たに3次元地図配信サーバ300から表示手段402へ伝送すべきデータは、グループIDがEのグループに属する形状データであると判断し、グループデータの中からグループIDがEであるグループに属する形状データのIDおよびテクスチャデータを伝送手段303へ伝える。同時に、表示範囲決定手段301は、グループIDがBのグループを消すように伝送手段303へ伝える。
【0095】
さらに、表示範囲決定手段301は、視点座標Qを伝送手段303へ伝える。さらに、表示範囲決定手段301は、3次元地図表示端末400において、表示する3次元地図の視点位置が、Qからどれだけ離れたら次の要求データを3次元地図配信サーバ300へ伝送するかという値として、R2またはR2の半分の座標距離を伝送手段303へ伝える。
【0096】
伝送手段303は、表示範囲決定手段301によって決定されたグループに基づいて、3次元地図データベース201から表示手段402へ伝送する形状データを取り出す。伝送手段303は、表示手段402へ新たに表示する形状データとテクスチャデータ、消すべきグループのグループIDおよび、次に3次元地図表示端末から要求をすべきタイミングを知るために必要な情報を伝送する。
【0097】
図12は、本発明の実施の形態2における伝送するデータの形式を示した図である。伝送するデータは、例えばXML形式で記述する。表示データとして、新たに表示すべきグループのグループIDを記述する。消去データとして、消去すべきグループのグループIDを記述する。
【0098】
さらに、データ取得判定用データとして、3次元地図表示端末400において、新たに3次元地図配信サーバ300へデータを要求するかどうかを判断するための情報として、取得座標と、次回取得距離を記述する。取得座標は、表示範囲決定手段301の動作の説明における座標Qである。また、次回取得距離は、表示範囲決定手段301において、R2またはR2の半分として設定した座標距離である。
【0099】
新たに表示すべきグループが3グループあった場合は、3グループの形状データの内容をグループ別に並べて記述する。図13は、本発明の実施の形態2におけるグループデータの記述形式を示す図である。このグループデータもXML形式で記述し、グループIDを記述するとともに、グループに属する形状データを並列に記述する。
【0100】
さらに、各形状データの記述内容を記述する。各形状データの内容としては、種別、面、テクスチャの情報を並列に記述する。種別は、道路、建物といった形状データの種別である。面は、図13の例のように、3つの座標を複数並べることで記述する。図13の例にある1、座標1、座標2、座標3は、座標1、座標2、座標3で囲まれた三角形が1番目の面であることを示している。座標は3つでなくても4つであってもよい。4つの場合は、四角形となる。また、面数はいくつ記述してあってもよい。
【0101】
テクスチャは、頂点とUV値、テクスチャファイル名を記述する。ここで、頂点とは、面の記述にある座標を4点記述し、その4点にテクスチャの4隅がくるように貼り付けるものとする。また、UV値とは、テクスチャをうまくマッピングするために、テクスチャを貼り付ける頂点に設定する値である。
【0102】
すなわち、UV値とは、テクスチャの画像を多角形のどこにマッピングするのかという基準になる値である。UV値は、0〜1のいずれかの値をとり、UV座標は、この組合せからなる。例えば、UV座標1(0、0)は、テクスチャ画像の左上隅、UV座標4(1、0)は、テクスチャ画像の右上隅、UV座標2(0、1)は、テクスチャ画像の左下隅、UV座標3(1、1)は、テクスチャ画像の右下隅を示す。そして、UV座標のそれぞれの値を0〜1で設定することにより、テクスチャ画像の所望の位置を切り出すことができる。
【0103】
表示手段402は、テクスチャ画像のうち、UVで指定された範囲の四角形を切り取り、頂点の記述によって指定される座標1、座標7、座標8、座標2にその4隅が合うように貼り付ける。
【0104】
テクスチャファイル名は、テクスチャファイルの名称を記述してある。伝送手段303は、図12で示される伝送データ記述形式の内容とは別に、テクスチャデータを表示手段402へ伝送する。
【0105】
表示手段402は、例えば、OpenGLといった関数を用いて、頂点座標で表現される形状データの面を3次元コンピュータグラフィックスの表示として画面に表示する。このとき、視点位置の座標は、伝送手段303から伝送された取得座標である。視点は、前進、後退、右向き、左向き、上下方向に動かせることとする。
【0106】
また、伝送手段303から受け取ったグループの内容は、テクスチャデータを含めてメモリ上に記録しておく。入力手段401は、上記実施の形態2の図9を用いた説明におけるような動作で、例えば、前進キーを入力すると、3次元地図を表示している視点の座標位置を進める。視点の座標位置と、伝送手段303から伝送された取得座標の座標距離が、伝送手段303から伝送された次回取得距離を越えた場合に、入力手段401は、表示範囲決定手段301へ新しいデータを要求する。
【0107】
伝送手段303から表示手段402へ伝送データを伝送するのは、例えば、インターネットを介したソケット通信といった通信手段を用いる。3次元地図配信サーバ300と3次元地図表示端末400が携帯電話を介したインターネット網で接続されていて、携帯電話と3次元地図表示端末400を所持した利用者が移動する車両に乗っている場合、車両の走行位置によっては、3次元地図配信サーバ300と3次元地図表示端末400との間の通信が途絶えることがある。
【0108】
3次元地図配信サーバ300から3次元地図表示端末400へデータを伝送する場合に、図12の伝送データ記述形式のうち、上の方に書いてある順番にデータを伝送することとする。表示手段402は、表示データのグループID、消去データのグループID、データ取得判定用データを受け取った後、まず、現在表示中の形状データを全て画面から消去する。
【0109】
次に、メモリ上に記録している表示中のグループのデータの中から、消去すべきグループのデータを消去して、残ったグループの形状データをメモリから読み出して画面に表示する。
【0110】
その後、表示手段402は、複数のグループのデータを伝送手段303から受け取るが、1グループのデータを受け取る毎にメモリ上に記録している表示中のグループの内容に、受け取ったデータを追加するとともに、画面にそのグループに含まれる形状データを表示する。
【0111】
途中で、3次元地図配信サーバ300と3次元地図表示端末400との間の通信が途絶えてしまった場合、表示手段402から改めて3次元地図配信サーバ300の伝送手段303と、例えばソケット通信といった通信で接続し、直接受け取れなかったグループのグループIDを伝送手段303へ伝える。
【0112】
伝送手段303は、表示範囲決定手段301からグループIDで示されるグループに含まれる形状データIDを取得し、このIDを元に3次元地図データベース201から形状データを取得して、表示手段402へ伝送する。なお、実施の形態2におけるソケット通信は、HTTPプロトコルによる通信であってもよい。
【0113】
実施の形態2によれば、例えば、形状データが面数50といったデータ量の単位でグループ化されていて、面数200までであれば3次元データを表示できるといった3次元地図表示端末の性能に対応して、表示範囲決定手段が必ず4グループといった一定数量のグループを選択し、そのグループに含まれる形状データが過不足なく3次元地図表示端末において表示される。これにより、端末性能に応じたデータ量の範囲内で、かつできるだけ広範囲の形状データを常に表示することができ、かつ、伝送すべき形状データの選択が迅速に行われる。
【0114】
さらに、3次元地図表示端末の表示手段では、3次元の形状データを表示した場合のレスポンスに対応して、端末の表示性能を変更する。そして、表示範囲決定手段は、3次元地図表示端末からの要求データに含まれる端末の性能情報に対応したデータ量の形状データを含むグループを選択して、伝送手段を介して3次元地図表示端末へ伝送する。これらのことから、端末の状況に応じた伝送量の制御を行うことができる。
【0115】
さらに、3次元地図表示端末から3次元地図配信サーバへ要求する要求データの記述形式が決めてあり、3次元地図配信サーバから3次元地図表示端末へ伝送する伝送データの記述形式が決めてあり、いずれの記述形式もXMLという一般的な記述形式沿った記述形式を用いている。これにより、誰でも簡単に要求データや伝送データの項目を記述できる。
【0116】
さらに、3次元地図表示端末から3次元地図配信サーバへ要求データを送るときに毎回性能情報を送るようにすれば、表示範囲決定手段は、3次元地図表示端末の入力手段から要求があった場合にのみ、その要求内容だけを見て伝送する形状データの範囲を決める。
【0117】
これらから、3次元地図配信サーバに、3次元地図表示端末の情報が残らず、また、3次元地図表示端末がどのような端末で、どのような回線で接続していても、3次元地図配信サーバから3次元地図データを取り出すことができる。
【0118】
さらに、3次元地図配信サーバと3次元地図表示端末との間の通信が途切れても、続きのデータを再度3次元地図表示端末側から要求して取得して表示できる。
【0119】
さらに、再度3次元地図配信サーバと3次元地図表示端末との間の通信を結ぶことができない場合であっても、通信が途切れた時点で、3次元地図配信サーバから3次元地図表示端末へ伝送済みのグループに含まれている形状データを表示することができる。
【0120】
さらに、3次元地図配信サーバから3次元地図表示端末へ全てのデータを伝送するまで表示が止まるようなことはなく、1グループのデータが伝送されると、直ぐに入力手段のキー操作で表示している3次元地図の形状データの表示視点位置を変更することができ、次に1グループのデータが伝送されると、そのグループも新たに追加して表示され、再び視点を移動する操作が可能になる。
【0121】
実施の形態3.
図14は、本発明の実施の形態3における3次元地図配信サーバおよび3次元地図表示端末の構成図である。図14において、入力手段401、伝送手段303、表示手段402、3次元地図データベース201、グループデータデータベース202、3次元地図配信サーバ300、3次元地図表示端末400、端末性能記憶部302は、実施の形態2の図8と同じである。
【0122】
また、グループデータデータベース202内のグループデータは、実施の形態1の手段により、形状データの種別毎に3次元地図データベース201から生成されているとする。図14において、種別別範囲決定手段304は、入力手段401からのデータの要求に対して、どの範囲のグループのデータを伝送するかを、グループに含まれる形状データの種別毎に異なるような範囲を決定する手段であり、表示範囲決定手段301に種別による識別機能を付加したものに相当する。
【0123】
次に、具体的な動作について説明する。実施の形態2と同様に、図9に示した表示画像の変化がある場合について説明する。実施の形態2における図8の説明と同様の部分については、説明を省略し、表示範囲決定手段301の変わりに用いている種別別範囲決定手段304の動作を中心に説明する。
【0124】
実施の形態2と同じように、表示手段402では、3次元地図配信サーバ300から伝送された3次元地図を表示し、表示中に、入力手段401により視点を変更したときに、視点変更した3次元地図の表示にかかる時間があらかじめ設定した閾値以上かかった場合、3次元データの面数の限界値である枚数と、テクスチャ数の限界値である枚数をそれぞれ1割少ない値として変更して、種別別範囲決定手段304へ伝送する要求データの形式における性能情報として、3次元地図配信サーバ300へ伝える。
【0125】
要求データを受け取った種別別範囲決定手段304は、要求データの内容から新たに取得すべき3次元地図データのグループと、端末で表示をやめるべき3次元データのグループの範囲をグループの種別に基づいて決定する。ここで、グループ分けされている形状データの種別は、ランドマーク種別、道路種別、建物種別の3種類であったとする。
【0126】
図15は、本発明の実施の形態3における種別別範囲決定手段304によるグループわけを行った結果を示す図であり、各種別のデータを表示した場合に真上から見た絵を示す。図15(a)は、建物種別のみのグループわけを行った結果であり、図15(b)は、道路種別のみのグループわけを行った結果であり、さらに、図15(c)は、ランドマーク種別のみのグループわけを行った結果である。
【0127】
また、図16は、本発明の実施の形態3における種別合成図である。図15(a)〜図15(c)における各種別のデータは、ともに同じ範囲のデータであり、これら全てを単純に重ね合わせると図16のように重なる。
【0128】
また、図15(a)〜(c)では、点線で囲まれた部分が1つのグループであるとする。図15(a)の建物種別のグループと図15(b)の道路種別のグループは、あらかじめ一定のデータ量になるようにグループ化されていることとし、このデータ量が、例えば面の数で50面であったとする。また、図15(c)のランドマーク種別のグループは、データ量にかかわらず表現上重要なデータをひとまとまりにしているので、1グループに含まれる形状データの数は、一定にならないが、図15(c)の例では面数で20面であったとする。
【0129】
ここで、図10の要求データ記述形式にある、データ取得要求の視点座標を例えばQとする。また、図15(a)〜(c)におけるR1、R2、R3を、R1を基準としてR2=B×R1、R3=A×R1である変数とする。ここで、表示範囲比率に相当するAおよびBの値は、あらかじめ設定しておくものとし、図15(b)、(c)の例では、それぞれB=2、A=4である。
【0130】
図15(a)において、建物種別のグループ範囲を決定する場合、Qから半径R1の範囲にグループの重心の入るグループを選ぶこととする。また、図15(b)において、道路種別のグループ範囲を決定する場合、Qから半径R2の範囲にグループの重心の入るグループを選ぶこととする。さらに、図15(c)において、ランドマーク種別のグループ範囲を決定する場合、Qから半径R3の範囲にグループの重心の入るグループを選ぶこととする。
【0131】
R1の値を増減することにより、R2およびR3も連動して増減し、図15(a)〜(c)の合計の面数が250を超えない最大のR1を決定する。性能情報が要求データに含まれていて、表示できる形状データの面数が250枚であったとすると、図15(a)〜(c)のようなR1、R2、R3が設定され、ランドマーク種別の2グループ(40面)、道路種別の4グループ(100面)、建物種別の2グループ(100面)が範囲に入るので、合計240面の形状データを選択したことになる。この範囲に入っているグループのグループIDを表示すべき内容としてメモリに記録する。図17は、本発明の実施の形態3における種別毎に異なる選択範囲とした場合の種別合成図である。
【0132】
一方、図10の要求データ記述形式にある、表示中データ内容の項目に記述してある視点座標を中心とし、半径が表示中データ内容の項目に記述してある取得データ範囲の値を超えない範囲のデータが既に端末で表示されているので、この範囲に入るグループのグループIDを表示していた内容としてメモリに記録する。
【0133】
このとき、表示中データ内容においては、種別毎に異なる取得データ範囲が記録されていてもよく、そのような場合は、種別毎に取得データ範囲にあるグループのグループIDを取得して、表示していた内容としてメモリに記録する。
【0134】
次に、表示していた内容のグループIDに含まれ、表示すべき内容のグループIDに含まれないグループIDを消去すべきグループのIDとして、伝送手段303へ伝える。次に、表示すべき内容のグループIDに含まれ、表示していた内容のグループIDに含まれないグループIDを次に取得して表示すべきグループのIDとして伝送手段303へ伝える。
【0135】
また、図15(a)〜(c)におけるQの座標と、R1、R2、R3の値を新規に取得したときの視点位置として、伝送手段303へ伝える。さらにR1〜R3のうち最も小さい値であるR1を、3次元地図を表示する視点位置がQからR1だけ離れたら新たにデータ取得を依頼するという限度値として、伝送手段303へ伝える
【0136】
伝送手段303は、種別別範囲決定手段304によって決定されたグループに基づいて、3次元地図データベース201から表示手段402へ伝送する形状データを取り出す。伝送手段303は、表示手段402へ新たに表示する形状データとテクスチャデータ、消すべきグループのグループIDおよび、次に3次元地図表示端末から要求をすべきタイミングを知るために必要な情報を伝送する。
【0137】
伝送手段303から表示手段402に伝送するデータの形式は、実施の形態2で説明した図12の形式と同じである。
【0138】
さらに、データ取得判定用データとして、3次元地図表示端末400において、新たに3次元地図配信サーバ300へデータを要求するかどうかを判断するための情報として、取得座標と、次回取得距離を記述する。取得座標は、種別別範囲決定手段304の動作の説明における座標Qである。次回取得距離は、種別別範囲決定手段304において設定したR1の座標距離である。
【0139】
新たに表示すべきグループが複数グループあった場合は、複数グループの形状データの内容をグループ別に並べて記述する。このグループデータの記述形式は、実施の形態2で説明した図13の形式と同じである。また、表示に関しても実施の形態2で説明した内容と同じであり省略する。
【0140】
実施の形態3によれば、さまざまな種別の形状データを一様な範囲で選択するのではなく、例えば、ランドマークとなるデータは、目の前の建物に比べて5倍先の距離まで表示し、道路は、目の前の建物に比べて2倍先まで表示することができる。これにより、道路の向かっている先やその先にある目印を表示しながら、かつ、端末の性能に応じたデータ量の形状データを表示できる。
【0141】
実施の形態2では、ランドマークを優先的に表示する例を示した。これに対して、実施の形態3では、駅前エリアの建物一式や、大学構内エリアの建物一式といったように、エリアを優先することにより、遠くの方にあっても認知度が高いと思われるエリアが優先して表示されるようにすることも可能である。さらに、周辺の建物を表示することで、自分の位置や向いている方向が容易に認識でき、道路を遠方まで表示することで、移動できる経路がどの方向へどのように広がっているかを容易に認知できる。
【0142】
なお、上述の実施の形態3においては、表示範囲比率を用いて各種別の表示範囲を決定していたが、これに限定されず、例えば、表示データ量比率を用いて各種別の表示データ量を所望の量にして表示範囲を決めることも可能である。
【0143】
実施の形態4.
図18は、本発明の実施の形態4における3次元地図配信サーバおよび3次元地図表示端末の構成図である。図18において、点線で囲った3次元地図配信サーバ300が、図1の3次元地図配信サービスにおけるサーバ10に相当する。また、図18において、点線で囲った3次元地図表示端末400が、図1の3次元地図配信サービスにおける携帯電話40や携帯情報端末50に相当する。実施の形態2における図8の構成と比較すると、図18は、新たに分割手段305が追加されている。
【0144】
分割手段305は、伝送手段303から受け取ったデータを分割して3次元地図表示端末400の表示手段402へ伝送する手段である。なお、図18においては、伝送手段303と分割手段305を分けて記載しているが、伝送手段303の中に分割手段305の機能を付加することも可能である。
【0145】
次に、具体的な動作について説明する。実施の形態2と同様に、図9に示した表示画像の変化がある場合について説明する。実施の形態2における図8の説明と同様の部分については、説明を省略し、新たに追加された分割手段305の動作を中心に説明する。
【0146】
伝送手段303は、図12で示される伝送データ記述形式の内容を、分割手段305へ伝送する。分割手段305は、図12の伝送データ記述形式のうち、グループのデータをさらに分ける。
【0147】
図19は、本発明の実施の形態4における形状データのグループ分割の説明図である。図19に示すように、分割手段305は、例えば、7つの形状データをもつグループを分割し、3つの形状データを持つグループと4つの形状データを持つグループに分けて表示手段402へ伝送する。
【0148】
ここで、グループに分ける基準は、以下の通りである。伝送手段303では、グループが一つ到着すると、画面にその内容を足した3次元地図の表示をする。このとき、1つのグループを表示してから次のグループを表示するまでに、最短でグループを伝送するのにかかる時間分の待ち時間が生じる。
【0149】
そこで、1グループのデータ量が、例えば、1000KB(8000Kbit)であったとき、384Kbpsの伝送路では、8000/384=20秒の待ち時間がかかってしまう。そこで、この待ち時間をあらかじめ設定した例えば3秒といった時間以内で伝送できるような単位でグループを分割する。
【0150】
伝送手段303が、3次元地図データベース201から頂点の座標、テクスチャのUV値を取りだして、図12で示される伝送データ記述形式のデータを作成した時点で、分割手段305は、グループのデータ量を取得する。また、伝送路は、端末からサーバへ伝送される要求データと合わせて送ってもよい。
【0151】
このとき、分割手段305は、分割手段305から表示手段402へデータを伝送し始めた時刻とデータ量を、分割手段305から表示手段402へ伝送するデータに付加して送る。これにより、表示手段402は、受け取り終わった時刻とデータ量から伝送路性能を算出できる。そして、入力手段401が次回に表示範囲決定手段301へデータを要求するときに、表示手段402で算出されたこの伝送路性能を伝えるといった伝達方式が考えられる。
【0152】
また、グループを分割するだけではなく、グループのデータを伝送する順番も入れ替える。例えば、道路種別の形状データを含むグループ、次にランドマーク種別の形状データを含むグループ、次に建物種別の形状データを含むグループといった順番に入れ替える。このような伝送する順番の優先順位は、あらかじめ設定しておくことができる。
【0153】
表示手段402は、例えばOpenGLといった関数を用いて、頂点座標で表現される形状データの面を3次元コンピュータグラフィックスの表示として画面に表示する。このとき、視点位置の座標は、伝送手段303から伝送された取得座標である。視点は、前進、後退、右向き、左向き、上下方向に動かせることとする。
【0154】
また、分割手段305から受け取ったグループの内容は、テクスチャデータを含めてメモリ上に記録しておく。入力手段401は、上記実施の形態2の図9を用いた説明におけるような動作で、例えば前進キーを入力すると、3次元地図を表示している視点の座標位置を進める。視点の座標位置と、分割手段305から伝送された取得座標の座標距離が分割手段305から伝送された次回取得距離を越えた場合に、入力手段401は、表示範囲決定手段301へ新しいデータを要求する。
【0155】
実施の形態4によれば、3次元地図配信サーバの分割手段は、回線の帯域幅に対応して、あらかじめ設定した待ち時間以内で表示できるようにデータを細かく分割して送るので、表示手段は、あらかじめ設定した待ち時間以内にひとまとまりの量の形状データを受け取って表示することができる。
【0156】
さらに、あらかじめ設定した種別の順番にデータが伝送されるので、端末では例えば、まずランドマークを表示して画面を見ている利用者が目印になるものを第一に見て目的の方角を知ることができる。次に、道路を表示することにより、画面を見ている利用者が目的の方角へ向かうためのルートを知ることができる。さらにその次に、回りの建物を表示することにより、実際に目の前に広がる景観と画面とを見比べることにより、進むべき方角が容易にわかる。
【0157】
このように、大局的な順に方角、道順、実際に歩き出す方向といった順に画面に表示されるので、道案内としてわかり易い表示が可能となる。ただし、画面に表示している3次元の地図と、利用者が実際に立っている場所が同じであるとする。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明を適用したサービスの構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における3次元地図データベースのテーブル構成である。
【図3】本発明の実施の形態1における3次元地図配信用データベース構築装置の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるグループデータデータベース内のグループデータのデータ構造を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるグループデータ作成処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1における距離データのデータ構造を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1における3次元地図配信用データベース構築装置を用いてグループ化された3次元地図データベースの内容と、縦横一定間隔で領域分割することによりグループ化された3次元地図データベースの内容との比較を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態2における3次元地図配信サーバおよび3次元地図表示端末の構成図である。
【図9】本発明の実施の形態2における操作入力に応じた表示画面の変化の様子を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態2における入力手段から表示範囲決定手段へ伝送する要求データ形式を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態2における表示範囲決定の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態2における伝送するデータの形式を示した図である。
【図13】本発明の実施の形態2におけるグループデータの記述形式を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態3における3次元地図配信サーバおよび3次元地図表示端末の構成図である。
【図15】本発明の実施の形態3における種別別範囲決定手段によるグループわけを行った結果を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態3における種別合成図である。
【図17】本発明の実施の形態3における種別毎に異なる選択範囲とした場合の種別合成図である。
【図18】本発明の実施の形態4における3次元地図配信サーバおよび3次元地図表示端末の構成図である。
【図19】本発明の実施の形態4における形状データのグループ分割の説明図である。
【符号の説明】
【0159】
100 3次元地図配信用データベース構築装置、101 距離計算手段、102 距離データ記憶部、103 最短データ抽出手段、104 グループ化判断手段、200 3次元地図配信用データベース、201 3次元地図データベース、202 グループデータデータベース、300 3次元地図配信サーバ、301 表示範囲決定手段、302 端末性能記憶部、303 伝送手段、304 種別別範囲決定手段、305 分割手段、400 3次元地図表示端末、401 入力手段、402 表示手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置座標およびデータ量が特定された複数の形状データに基づいて、同一グループ内に含まれる形状データ間の距離が所定距離以内であり、同一グループ内に含まれる形状データのデータ量の総計が所定データ量以内となるように前記複数の形状データをグループ化し、グループ化後の位置座標、総計データ量およびグループ化されたそれぞれの形状データIDを有するグループデータを生成することを特徴とする3次元地図配信用データベース構築装置。
【請求項2】
請求項1に記載の3次元地図配信用データベース構築装置において、
前記複数の形状データが蓄積された3次元地図データベースに含まれる形状データおよび前記グループデータが蓄積されたグループデータデータベースに含まれるグループデータを読み込み、前記形状データおよび前記グループデータの何れかの組合せからなる、形状データ間、グループデータ間、および形状データとグループデータ間の位置座標から組合せ毎の距離データを計算する距離計算手段と、
計算された前記組合せ毎の距離データを距離の短い順に並び替え、最短距離を有する最短データを抽出する最短データ抽出手段と、
抽出された前記最短データが所定距離以内であり、かつ前記最短データを構成する形状データもしくはグループデータに含まれるデータ量の総計が所定データ量以内となる場合には、前記最短データとなる組合せのデータがグループ化条件を満たすものであるとしてグループ化することにより新たなグループデータを生成して前記グループデータデータベースに蓄積されたグループデータを更新し、抽出された前記最短データが所定距離以内であり、かつ前記最短データを構成する形状データもしくはグループデータに含まれるデータ量の総計が所定データ量を超える場合には、前記最短データ抽出手段から前記最短データの次に短い距離データを新たな最短データとして読み込み、前記新たな最短データに基づいてグループ化条件を満たすか否かを判断して新たなグループデータを生成し、前記グループデータデータベースに蓄積されたグループデータを更新するグループ化判断手段と
を備え、
前記距離計算手段、前記最短データ抽出手段および前記グループ化判断手段は、前記グループ化判断手段により前記グループデータが更新されるごとに、一連の処理を繰り返し行い、
前記グループ化判断手段は、抽出された前記最短データまたは前記新たな最短データが所定距離を超える場合には、一連の処理を終了する
ことを特徴とする3次元地図配信用データベース構築装置。
【請求項3】
請求項2に記載の3次元地図配信用データベース構築装置において、
前記距離計算手段は、種別がさらに特定されて前記3次元地図データベースに蓄積された複数の形状データに基づいて、同一の種別毎に距離データを算出し、
前記最短データ抽出は、同一の種別毎に前記最短データを抽出し、
前記グループ化判断手段は、種別に応じた所定距離および所定データ量に基づいて種別毎にグループデータを生成する
ことを特徴とする3次元地図配信用データベース構築装置。
【請求項4】
3次元地図表示端末の種類と関連づけられた端末性能データを蓄積する端末性能記憶部と、
位置座標およびデータ量が特定された複数の形状データに基づいて、同一グループ内に含まれる形状データ間の距離が所定距離以内であり、同一グループ内に含まれる形状データのデータ量の総計が所定データ量以内となるように前記複数の形状データがグループ化されており、グループ化後の位置座標、総計データ量およびグループ化されたそれぞれの形状データIDを有するグループデータがあらかじめ記憶されたグループデータデータベースから前記グループデータを取り出し、前記端末性能記憶部に蓄積された前記端末性能データおよび前記3次元地図表示端末から受信した視点座標を含む表示要求に基づいて、端末性能に応じた範囲のグループデータを特定する表示範囲決定手段と、
特定された前記グループデータに含まれている形状データIDに対応する形状データを、位置座標およびデータ量が特定された複数の形状データが蓄積された3次元地図データベースから取り出し、取り出した前記複数の形状データを前記3次元地図表示端末に伝送する伝送手段と
を備えたことを特徴とする3次元地図配信サーバ。
【請求項5】
請求項4に記載の3次元地図配信サーバにおいて、
前記表示範囲決定手段は、前記形状データの種別毎に生成されたグループデータがあらかじめ記憶されたグループデータデータベースからグループデータを取り出し、前記端末性能記憶部に蓄積された前記端末性能データおよび前記3次元地図表示端末から受信した視点座標を含む表示要求に基づいて、端末性能およびあらかじめ決められた種別毎の表示範囲比率または表示データ量比率に応じた範囲の種別毎のグループデータを特定することを特徴とする3次元地図配信サーバ。
【請求項6】
請求項5に記載の3次元地図配信サーバにおいて、
前記伝送手段は、前記表示範囲決定手段により特定された形状データIDに対応する形状データを種別毎に前記3次元地図データベースから取り出し、取り出した種別毎の前記複数の形状データをあらかじめ決められた種別の優先順位にしたがって前記3次元地図表示端末に伝送することを特徴とする3次元地図配信サーバ。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれか1項に記載の3次元地図配信サーバにおいて、
前記伝送手段は、前記3次元地図データベースから取り出した前記複数の形状データを前記3次元地図表示端末に伝送する際に、所定の伝送時間内で1回の伝送が行えるように伝送路性能に応じて前記複数の形状データを分割して伝送することを特徴とする3次元地図配信サーバ。
【請求項8】
請求項7に記載の3次元地図配信サーバにおいて、
前記伝送手段は、前記3次元地図データベースから取り出した前記複数の形状データを前記3次元地図表示端末に伝送する際に、伝送開始時刻と伝送するデータ量に関するデータをさらに付加して伝送し、前記3次元地図表示端末から応答として前記データ量を伝送するためにかかった伝送時間を伝送路性能として受信し、所定の伝送時間内で1回の伝送が行えるように前記伝送路性能に応じて前記複数の形状データを分割して伝送することを特徴とする3次元地図配信サーバ。
【請求項9】
請求項4ないし8のいずれか1項に記載の3次元地図配信サーバにおいて、
前記伝送手段は、形状データを表記できる伝送データ記述形式を用いて前記複数の形状データを伝送することを特徴とする3次元地図配信サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−208756(P2006−208756A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20906(P2005−20906)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、総務省、「次世代GISの実用化に向けた情報通信技術の研究開発(空間データスケーラブル伝送技術の研究開発)」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】