3次元道路地図データ生成装置、3次元道路地図データ処理システム、ナビゲーション装置及び3次元道路地図データ生成方法
【課題】格納する3次元道路地図データのデータサイズの削減を図ることができる3次元道路地図データ生成装置、3次元道路地図データ処理システム等を得る。
【解決手段】3次元道路地図データ処理システム1内の3次元道路地図データ出力装置14はXY構成点作成部24及びZ構成点作成部25を有し、XY構成点情報及びZ構成点情報からなる格納用3次元道路地図データを生成する。XY構成点作成部24は3次元の道路リングデータから第1の数のXY構成点からなる上記XY構成点情報を生成する。各XY構成点は、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる構成点であり、Z方向成分を含まない。Z構成点作成部25は上記道路リンクデータに対し、第2の数のZ構成点からなる上記Z構成点情報を生成する。各Z構成点は、Z方向成分とX方向成分及びY方向成分と所定の関連性を有するXY関連成分とを有する。
【解決手段】3次元道路地図データ処理システム1内の3次元道路地図データ出力装置14はXY構成点作成部24及びZ構成点作成部25を有し、XY構成点情報及びZ構成点情報からなる格納用3次元道路地図データを生成する。XY構成点作成部24は3次元の道路リングデータから第1の数のXY構成点からなる上記XY構成点情報を生成する。各XY構成点は、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる構成点であり、Z方向成分を含まない。Z構成点作成部25は上記道路リンクデータに対し、第2の数のZ構成点からなる上記Z構成点情報を生成する。各Z構成点は、Z方向成分とX方向成分及びY方向成分と所定の関連性を有するXY関連成分とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、3次元道路地図情報を利用する3次元道路地図データ生成装置、3次元道路地図データ処理システム、ナビゲーション装置及び3次元道路地図データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、道路形状を描くためには、道路を構成する道路成分となる道路リンクの始点と終点とを連結する直線を生成する。曲線部分を含む道路リンクを表現する場合には始点と終点とを結ぶ直線を作成するのではなく、始点と終点との間を複数の直線の集合により結ぶことにより表現される。このような複数の直線の端点(始点,終点を除く)を道路リンクの構成点と呼ぶ。構成点はそれぞれ座標情報を持っている。道路形状の曲線部分の精度はこれら構成点の数に依存して決まる。
【0003】
2次元地図情報に含まれる道路形状の曲線部分はXY平面上の湾曲部のみである。一方で、3次元地図情報に含まれる道路形状の曲線部分はXY平面上の湾曲部とZ方向の勾配部が存在する。そのため、3次元地図情報を作成する際には、2次元地図情報に含まれる構成点の位置に単純に標高情報を付加して3次元座標として表現しても、勾配部の曲線を精度よく表現することはできない。
【0004】
3次元地図情報を作成する技術としては、例えば、特許文献1に開示された地図情報作成装置(方法)が挙げられる。特許文献1開示の装置では、2次元地図情報に標高情報を付加して3次元地図を作成する地図情報作成技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−349872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
道路形状はXY平面上にある湾曲部とZ方向の勾配部の曲線部分との位置が異なるため、湾曲部と勾配部に必要となる構成点の位置は異なる。上記特許文献1に代表される従来技術では、湾曲部と勾配部との両方の構成点に対してそれぞれ3次元座標情報を持つため、精度よく道路形状は表現できるが、データサイズは増大してしまうという問題点があった。
【0007】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、格納する3次元道路地図データのデータサイズの削減を図ることができる3次元道路地図データ生成装置、及び当該3次元道路地図データ生成装置を用い、出力時に3次元道路形状精度を劣化させることなく出力用の3次元道路地図データを得ることができる3次元道路地図データ処理システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る請求項1記載の3次元道路地図データ生成装置は、3次元座標による3次元道路地図情報に基づき、始点から終点に至る少なくとも一つの道路成分を構成要素とする格納用3次元道路地図データを生成する3次元道路地図データ生成装置であって、前記少なくとも一つの前記道路成分はそれぞれXY構成点情報及びZ構成点情報を含み、前記3次元道路地図情報に基づき、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する前記XY構成点情報を作成するXY構成点作成部と、前記3次元道路地図情報に基づき、前記XY構成点情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示する前記Z構成点情報を作成するZ構成点作成部とを備え、前記Z構成点情報に基づき、前記第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の本願発明である3次元道路地図データ生成装置は道路成分をXY構成点情報及びZ構成点情報に分けることにより、XY成分変化及びZ方向成分変化に基づき第1の数及び第2の数を互いに独立して決定することができる分、第1の数及び第2の数を必要最小限に抑えることができる。
【0010】
そして、請求項1記載の本願発明のXY構成点作成部により作成されるX構成成分情報はXY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する内容であるため、Z方向成分を必要としない分、格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。
【0011】
加えて、Z構成点情報に基づき、前記第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であるため、3次元道路地図データとしての精度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1である3次元道路地図データ処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この実施の形態1である次元道路地図データ処理システムが実現可能なコンピュータシステムのハードウェア構成を表すブロック図である。
【図3】実施の形態1による3次元道路地図データ処理システムのデータ格納処理手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1における3次元道路地図データ生成装置による格納用3次元道路地図データの出力処理を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における道路リンクデータ構成部が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図6】実施の形態1の3次元道路地図データ生成装置で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【図7】実施の形態1の3次元道路地図データ出力装置より道路リンクの任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1の3次元道路地図データ出力装置によるZ座標算出処理動作を説明する説明図である。
【図9】この発明の実施の形態2による道路リンクデータ構成部が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図10】実施の形態2の3次元道路地図データ生成装置で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態3による道路リンクデータ構成部が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図12】実施の形態3の3次元道路地図データ生成装置で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態4による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図14】実施の形態4の3次元道路地図データ生成装置で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【図15】この発明の実施の形態5による道路リンクデータ構成部が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図16】実施の形態5の3次元道路地図データ生成装置で得られるZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【図17】実施の形態6による3次元道路地図データ処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図18】実施の形態6の3次元道路地図データ出力装置14より道路リンク列の任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。
【図19】実施の形態6におけるZ座標算出方法を説明するための説明図である。
【図20】この発明の実施の形態7による道路リンクデータ構成部が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図21】実施の形態7による3次元道路地図データ処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図22】実施の形態7の3次元道路地図データ出力装置より道路リンクの任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。
【図23】この発明の実施の形態8である移動体ナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図24】この発明の実施の形態1〜実施の形態7の他の態様である3次元道路地図データ処理システムの構成を示すブロック図である。
【図25】前提技術となる地図データ処理システムにて利用されるXY平面上における道路表現方法の構成例を示している。
【図26】一単位の道路リンクを前提技術の手法にて格納する方法を示す説明図である。
【図27】前提技術における3次元道路地図データ用のレコードのデータ構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<前提技術>
図25はこの発明の前提技術となる、地図データ処理システムにて利用されるXY平面上における道路表現方法の構成例を示している。同図に示すように、道路データは各々が道路成分となる7つの道路リンクL1XY〜L7XYと、4つのノードN1〜N4から構成される。ノードN1〜N4は道路が交差する場所や属性が変化するような場所に設けられ、道路リンクL1XY〜L7XYはノードN1〜N4間を接続する直線または曲線である。例えば、道路リンクL1XYはノードN1が始点、ノードN2が終点となる。なお、道路リンクL4XY〜L7XYに関しては他方側のノード(始点あるいは終点)の図示を省略している。
【0014】
図26は一単位の道路リンクL40XYを前提技術(特許文献1等)の手法にて格納する方法を示している。
【0015】
図26の(a)は道路リンクL40XYのXY平面上の形状を図示したものである。なお、図26の(a) で示す道路リンクL40XYは図25で示したリンクL1XY〜L7XYのいずれかに相当する。
【0016】
同図(a) に示すように、道路リンクL40XYは始点SXY〜終点EXY間に5つのXY構成点PXY11〜PXY15が設けられ、「始点SXY,XY構成点PXY11」間、「PXY1j,PXY1(j+1)(j=1〜4)」間、「XY構成点PXY15,終点EXY」間がそれぞれ直線で結ばれることにより構成される。このように、XY平面上にある道路リンクL40XYの湾曲部の道路リンク形状を表現する際に必要となる構成点を「XY構成点」と呼ぶ。
【0017】
図26(b) は道路リンクL40ZのZX平面上の形状を図示したものである。同図(b) に示すように、道路リンクL40Zは始点SZ〜終点EZ間に4つのZ構成点PZX11〜PZX14が設けられ、「始点SZ,Z構成点PZX11」間、「PZX1k,PZ1(k+1)(k=1〜3)」間、「Z構成点PZX14,終点EZ」間がそれぞれ直線で結ばれることにより構成される。このように、ZX平面上等において道路リンクL40ZのZ方向における湾曲部の道路リンク形状を表現する際に必要となる構成点を「Z構成点」と呼ぶ。
【0018】
特許文献1で開示された技術では、2次元地図情報が従来持っていたXY構成点にZ構成点を追加し、3次元曲線を表現するものである。以下、3次元曲線を表現する点を「3次元構成点」と呼ぶものとする。
【0019】
図26(c)は3次元構成点による3次元曲線表現をXY平面上に図示したものである。
同図(c) に示すように、道路リンクL40XYに対応する道路リンクL41XYは始点SXY〜終点EXY間に9つの3次元構成点3D11〜3D19が設けられ、「始点SXY,3次元構成点3D11」間、「3D1j,3D1(j+1)(j=1〜8)」間、「3次元構成点3D19,終点EXY」間がそれぞれ直線で結ばれることにより構成される。このように、XY平面上における湾曲部とZX平面上における湾曲部を共に道路リンク形状として表現する際に必要となるXY平面上の構成点を道路リンクL41XYの3次元構成点としている。
【0020】
図26(d)は3次元構成点による3次元曲線表現をXZ平面上に示したものである。同図(d) に示すように、道路リンクL40Zに対応する道路リンクL41Zは始点SZ〜終点EZ間に9つの3次元構成点3D21〜3D29が設けられ、「始点SZ,3次元構成点3D21」間、「3D2j,3D2(j+1)(j=1〜8)」間、「3次元構成点3D29,終点EZ」間がそれぞれ直線で結ばれることにより構成される。このように、ZX平面上における湾曲部とXY平面上における湾曲部を共に道路リンク形状として表現する際に必要となるZX平面上の構成点を道路リンクL41Zの3次元構成点としている。
【0021】
なお、図26(c) ,(d) で示した道路リンクL41XYと道路リンクL41Zとは基本とする平面(XY平面,ZX平面)が異なるだけで内容は同一である。すなわち、「始点SXY=始点SZ」、「3次元構成点3D1i=3D2i(i=1〜9)」、「終点EXY=終点EZ」となる。
【0022】
図27は前提技術(特許文献1等)における3次元道路地図データ用のレコードのデータ構成を示す説明図である。図27から、前提技術では、道路リンクの各3次元構成点において(x,y,z)の3次元座標情報を保持していることがわかる。
【0023】
3DリンクレコードLR1〜LRn毎にリンクが管理される。例えば、図26(c) ,(dで示した道路リンクL41XY(道路リンクL41Z)が一つの3DリンクレコードLRi(i=1〜nのいずれか)に対応する。
【0024】
図27で示す例では、3DリンクレコードLR1に対応してリンクID70、その他項目71、構成点数72、3次元構成点3D1〜3Dnの順に格納される。その他項目71としては例えばリンク種別81があり、3次元構成点3Di(i=1〜n)それぞれにおいて、経度・X座標93X、経度・Y座標93Y、高度・Z座標93Z、標高93Hとからなる3次元情報が格納される。
【0025】
図27で示す例では、Z座標である高度の他に標高も追加されているが、標高は地表の標高を指しており、高度は標高に地表から道路までの高さを加えた値としている。
【0026】
このように、特許文献1に代表される前提技術では、図26(c)や図26(d)のようにXY構成点とZ構成点とのうち少なくとも一つを3次元構成点として登録することにより、XY平面上の湾曲部の道路形状とZ方向の勾配部の道路形状の両方の曲線を精度よく表現することが可能となっている。
【0027】
しかし、道路リンクL40XYを道路リンクL41XYに変換することにより構成点数は“5”から“9”に増加し、あるいは、道路リンクL40Zを道路リンクL41Zに変換することにより構成点数は“4”から“9”に増加してしまい、格納すべき3次元道路地図データのデータ量が増加してしまうという問題点があった。
【0028】
以下での述べる実施の形態では、XY平面上の湾曲部の道路形状とZ方向の勾配部の道路形状の両方の曲線を精度よく表現可能にし、かつ、格納すべき3次元道路地図データのデータ量の削減を図る3次元道路地図データ生成装置、3次元道路地図データ処理システム等を提供する。
【0029】
<実施の形態1>
図1はこの発明の実施の形態1である3次元道路地図データ処理システムの構成を示すブロック図である。
【0030】
3次元道路地図データ処理システム1の機能構成として、3次元道路地図データ生成装置11、3次元道路地図記憶装置12、及び3次元道路地図データ出力装置13を備えている。
【0031】
3次元道路地図データ生成装置11は、XY構成点作成部24とZ構成点作成部25とを備えた道路リンクデータ構成部20、データを入力する入力部21、データを出力する出力部22を備えている。
【0032】
3次元道路地図データ出力装置13は、Z座標直線近似値算出部41を備えた道路リンクデータ取得部30、入力部31、及び出力部32を備えている。
【0033】
図2はこの実施の形態1である次元道路地図データ処理システム1が実現可能なコンピュータシステムのハードウェア構成例を示すブロック図である。同図に示すように、コンピュータシステム10は、ハードウェアとして、入力装置60、出力装置61、CPU62、メモリ63、通信装置64、及び記憶装置65を備えている。これらは、通常のコンピュータと同様のシステム構成である。
【0034】
以下、図2で示したコンピュータシステム10によって実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1を実現するための一構成例を説明する。
【0035】
(1) 入力装置60…入力部21、入力部31を実現、
(2) 出力装置61…出力部22、出力部32を実現、
(3) 記憶装置65…3次元道路地図記憶装置12を実現、
(4) CPU62,メモリ63…CPU62及びメモリ63上で動作するプログラムとして、道路リンクデータ構成部20(XY構成点作成部24、Z構成点作成部25)及び道路リンクデータ取得部30(Z座標直線近似値算出部41)を実現、
(5) 通信装置64…ネットワーク経由で3次元道路地図データ処理システム1にアクセスして出力結果を取得する態様の際に用いる。
【0036】
以下、上記構成例について補足説明する。3次元道路地図記憶装置12への格納用の3次元道路地図データの出力は出力部22によって行われ、XY構成点におけるZ座標の出力等の処理は出力部32によって行われる。
【0037】
CPU62及びメモリ63上で動作するプログラムとは、記憶装置65から読み出したプログラムをCPU62がメモリ63を作業領域として実行することにより行われる。
【0038】
入力部31は出力用の3次元道路地図データを必要とする別装置から入力(所望の道路リンクにおけるXY構成点のXY座標値)を得て、出力部32より出力(当該XY構成点におけるZ座標値)を出力する。例えば、GIS(Geographic Information System)システムや地図表示装置との連携があげられる。
【0039】
入力装置60は例えばキーボードやマウス等によって構成され、3次元道路地図データ処理システム1に対してユーザが指示や対話処理を行うことができる。出力装置61はディスプレイ等によって構成され、入力内容の確認や3次元道路地図データの処理状況や結果の確認をすることができる。
【0040】
図3は、実施の形態1による3次元道路地図データ処理システム1における3次元道路地図データ生成装置11によるデータ格納処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
同図を参照して、ステップS11において、3次元道路地図データ生成装置11は様々なフォーマットで提供される3次元道路地図情報を入力部21より読み込む。読み込まれたデータは複数のデータ間で関連付けを行ったり、所望されるデータサイズに加工したり、入力された地図データからデフォルメされた地図データを作成したりすることができる。
【0042】
次に、ステップS12において、読み込まれたデータのうち道路リンクデータは道路リンクデータ構成部20に送られ、XY構成点作成部24によって道路リングデータから第1の数のXY構成点からなるXY構成点情報が生成される。なお、XY構成点は、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる構成点であり、Z方向成分を含まない。
【0043】
その後、ステップS13において、Z構成点作成部25は上記道路リンクデータに対し、第2の数のZ構成点からなるZ構成点情報が生成される。なお、Z構成点は、Z方向成分とX方向成分及びY方向成分と所定の関連性を有するXY関連成分とにより位置決めされる構成点である。
【0044】
最後に、ステップS14において、XY構成点情報とZ構成点情報に分けて構成された道路リンクデータは、その他入力データや加工されたデータとともにまとめられ格納用3次元道路地図データとして3次元道路地図記憶装置12に格納される。
【0045】
ステップS11で入力される3次元道路地図情報とは、道路形状を表現する3次元位置座標を持っている情報を意味する。道路形状以外にも、通常の地図データに含まれる背景データ、施設データ、道路幅や車線数のような道路属性等を含んでよい。
【0046】
図4は実施の形態1による3次元道路地図データ処理システム1の3次元道路地図データ生成装置11による格納用3次元道路地図データの出力処理を示すフローチャートである。
【0047】
3次元道路地図データ生成装置11は3次元道路地図記憶装置12よりデータを出力する際は、ステップS21において、入力部21より出力形式や出力部分を特定する出力形式パラメータを入力する。
【0048】
そして、ステップS22において、指定された部分を3次元道路地図記憶装置12より取り出した格納用3次元道路地図データを出力形式パラメータが指示する出力形式に変換した後、ステップS23において、出力部22よりデータ出力を行う。
【0049】
上記の出力部22より出力するデータの出力形式はカーナビゲーション装置のデータフォーマットや一般的な地図データのデータフォーマットによる出力があげられる。
【0050】
図5は実施の形態1による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【0051】
3DリンクレコードLR1〜LRn毎にリンクが管理され、3DリンクレコードLR1に対応してリンクID70、その他項目71、XY構成点数72、XY構成点PXY1〜PXYn、Z構成点数73、Z構成点PZ1〜PZnの順に格納される。その他項目71としては例えばリンク種別81があり、XY構成点PXYi(i=1〜n)それぞれにおいて、経度・X座標82X、経度・Y座標82YからなるX方向及びY方向成分のみの情報が格納される。すなわち、XY構成点は経度、緯度の2次元の座標情報を持ち、当該リンクのXY平面での道路形状を示す。
【0052】
一方、Z構成点PZj(j=1〜m)それぞれにおいて経度・X座標83X、経度・Y座標83Y及び高度・Z座標83Zの3次元情報が格納される。すなわち、Z構成点PZjは、X方向成分及びY方向成分自体であるXY関連成分とZ方向成分とにより構成される。したがって、Z構成点は経度、緯度と高さ座標を持ち、当該リンクのZ方向の道路起伏形状を示す。
【0053】
なお、本明細書中において、「XY関連成分」とは、XY構成点情報と何らかの関連性を有し、Z構成点情報がZ方向成分に加え上記XY関連成分を有することにより、Z構成点情報に基づき、第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能にした、情報成分を意味する。
【0054】
上述したように、3DリンクレコードLR1〜LRnは3次元の道路リンクの数だけ存在し、各道路リンクの種別及び座標情報等が格納されたレコードである。これら3DリンクレコードLR1〜LRnは地図データ内の3次元道路リンクと1対1に対応する。3Dリンクレコードの中に道路リンクが含まれており、リンクIDやXY構成点数、XY構成点、Z構成点数、Z構成点、またその他複数の項目により構成されている。リンクID70は各道路リンクを識別するための番号である。XY構成点数72はXY構成点の数(第1の数)、Z構成点数73はZ構成点の数(第2の数)を示している。
【0055】
3DリンクレコードLR1〜LRnは道路リンクに関する情報を保持するための複数の項目を持つ。例えば、上述したリンク種別やリンクの長さ、トンネルや橋の有無などがあげられる。
【0056】
XY構成点やZ構成点の経度、緯度の値に関し、基準値の座標を決定し、差分を入力してもよい。基準値は、当該リンクの始点、終点となるノードや当該リンクの構成点の中の任意の点、地図の任意の矩形内の平均値等があげられる。また、基準値は3Dリンクレコードの持つ複数の項目の一つとして追加してもよい。
【0057】
高度とは、地形の高度と道路の高さやトンネル等を考慮した道路上での高さである。地形の高度のみから3次元道路地図データを作る場合や、トンネルや高架等の高度を別レコードとして持たせる場合は、高さ情報として地形高度のみの高さ座標を格納してもよい。高さ座標においても、経度、緯度の値と同様に基準値を決定し差分入力としてもよい。
【0058】
3次元道路地図記憶装置12に格納されているすべての道路リンクデータを上記図5で示したデータ構成にて持つ必要はなく、湾曲部が多数存在するが勾配部の変化は乏しいランプのみ上記のデータ構成を適用するなど、一部分の適用でもよい。
【0059】
以上のように、実施の形態1では、各々がXY平面の湾曲部を表現する第1の数のXY構成点を指示するXY構成点情報と、Z方向の勾配部を表現する第2の数のZ構成点を指示するZ構成点情報とに分類された格納用3次元道路地図データを得ることによって、従来と同様の3次元精度を維持するデータを提供しながら格納サイズを小さくすることが可能である。
【0060】
図6は3次元道路地図データ生成装置11で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【0061】
以下、図3のステップS11で読み込んだ3次元道路地図情報が図26の(c) ,(d) で示す道路リンクL41XY(道路リンクL41Z)からなる場合を例に挙げて、ステップS12におけるXY構成点抽出動作、ステップS13におけるZ構成点抽出動作について説明する。
【0062】
まず、ステップS12におけるXY構成点抽出方法について説明する。XY構成点の抽出方法は、道路リンクL41XYを構成する始点SXY、3次元構成点3D11〜3D19及び終点EXYのうち、始点SXYを開始点として連続する3点を順次取り出し、XY平面上で3点が同一直線上にある時は真ん中の点を除外する。
【0063】
図26(c) で示す道路リンクL41XYでは、3次元構成点3D14〜3D16は同一線上にあるため、真ん中の3次元構成点3D15を除外する。次に3次元構成点3D14,3D16及び3D17を取り出すと、これも同一線上にあるため、3次元構成点3D16を除外する。これをくり返し、連続する3点を取り出した時に同一線上にある点がなくなれば、これらをXY構成点と生成する。この際、生成するXY構成点ではZ成分の情報を除去する。
【0064】
その結果、図6(a) に示すように、3次元構成点3D11〜3D14及び3D19に対応する5つのXY構成点PXY11〜PXY15を選択的に抽出することができる。これらXY構成点PXY11〜PXY15はX方向成分及びY方向成分のみから構成される。
【0065】
次に、ステップS13におけるZ構成点抽出方法について説明する。Z構成点の抽出方法は、道路リンクL41Zを構成する始点SZ、3次元構成点3D21〜3D29及び終点EZのうち、始点SXを開始点として連続する3点を順次取り出し、XYZ空間上で3点が同一直線上にある時は真ん中の点を除外する。なお、説明の都合上、図6(b) 及び図26(d) で示すZX平面上の同一直線上のZ構成点は、XYZ空間上でも同一直線上に存在するとする。
【0066】
図26(d) で示す道路リンクL41Zでは、始点SZ、3次元構成点3D21及び3D22は同一直線上にあるため、真ん中の3次元構成点3D21を除外する。次に、始点SZ、3次元構成点3D22,3D23を取り出すと、これも同一直線上にあるため、3次元構成点3D22を除外する。これをくり返し、連続する3点を取り出した時に同一線上にある点がなくなれば、これらをZ構成点とする。
【0067】
その結果、図6(b) に示すように、3次元構成点3D24、3D26、3D28及び3D29に対応する4つのZ構成点PZ1〜PZ4を選択的に抽出することができる。Z構成点は示す情報は、Z方向成分に加え、X方向成分及びY方向成分をもXY関連成分として含んでいる。
【0068】
なお、XY構成点及びZ構成点の抽出手法は上述した方法に限定するものではなく、XY構成点はXY平面上で連続する3点が同一線上に存在しないように抽出し、Z構成点はXYZ空間上で連続する3点が同一線上に存在しないように抽出すればよいものとする。
【0069】
(効果)
以下、図26(c) ,(d) で示す道路リンクL40XY(道路リンクL40Z)と、図6(a) ,(b) で示す道路リンクL20XY及び道路リンクL20Zの組合せとを比較検討する。
【0070】
道路リンクL40XYに関し、図26 (c)のように(x,y,z)の3次元構成点が9個必要となる。一方、図6(a) に示すように、道路リンクL20XYに関し、(x,y)のXY構成点が5個で十分となる。
【0071】
そして、図9(b) に示すように、道路リンクL20Zに関し、(x,y,z)のZ構成点が4個で十分となる。
【0072】
x,y,zのデータサイズをすべて同じSDとした場合、特許文献1に代表される前提技術の3次元道路地図データ(道路リンクL40XYあるいは道路リンクL40Z)では、いずれも格納サイズは27SDとなり、実施の形態1により得られた格納用3次元道路地図データでは、22SD(10SD+12SD)となる。結果として、実施の形態1で得られる格納用3次元道路地図データの方がデータサイズを削減できていることがわかる。
【0073】
このように、格納用3次元道路地図データとしてXY構成点情報とZ構成点情報とに分類することにより、XY構成点情報及びZ構成点情報がそれぞれ不要な情報を持たずに精度よく表現することが可能である。
【0074】
例えば、XY構成点を多数必要とするような湾曲部を持ち、Z方向の勾配については直線で表現できるためZ構成点を必要としないような道路形状の道路リンクにおいて、前提技術では、3次元の座標情報をすべての構成点において持たせては余分な情報を持つことになりデータサイズが増大する。一方、実施の形態1の3次元道路地図データ生成装置11によれば、上記ケースにおいて、Z構成点情報は余分な高さ情報を保持せず、格納用3次元道路地図データとしてデータサイズを小さくすることが可能となる。
【0075】
このように、実施の形態1における3次元道路地図データ生成装置11は道路リンクを示す情報として、XY構成点情報及びZ構成点情報に分けることにより、XY成分変化及びZ方向成分変化に基づき第1の数及び第2の数を互いに独立して決定することができる分、第1の数及び第2の数を必要最小限に抑えることができる。
【0076】
さらに、実施の形態1における3次元道路地図データ生成装置11は、XY構成点作成部24により作成されるX構成成分情報はXY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する内容であるため、Z方向成分を必要としない分、格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。その結果、格納用3次元道路地図データの減量化を図ることができる。
【0077】
加えて、Z構成点情報に基づき、第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であるため、3次元道路地図データとしての精度を維持することができる。
【0078】
また、実施の形態1の格納用3次元道路地図データにおけるZ構成点情報はXY座標値を持っているため、XY平面状でのZ構成点の位置を知るために計算を必要とせず、容易に出力可能である。
【0079】
3次元道路地図データ処理システム1は、地図表示機能や経路計算機能を有したり、地図情報を利用する装置と連携したり、組み込んだりしてもよい。その際に、3次元道路地図記憶装置12より任意のデータ値を取り出すために3次元道路地図データ出力装置13を備えている。取り出すデータとしては、位置座標を指定して道路リンクのZ座標値、道路属性、任意の位置の施設データを取得したり、指定の名前の施設を検索したりすることができる。3次元道路地図データ出力装置13は、3次元道路地図情報を利用するために、必要なデータへのアクセス機能を持っている。
【0080】
3次元道路地図データ出力装置13は、入力部31より取り出すデータを指定するパラメータを受け付ける。3次元道路地図記憶装置12より指定されたデータを取り出し、出力部32より格納用3次元道路地図データに基づく出力用3次元道路地図データを出力する。
【0081】
図7は、3次元道路地図データ出力装置13より道路リンクの任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。
【0082】
ステップS31において、入力部31より道路リンク上の(x,y)の位置(XY座標)を指定して、Z座標値を取得するよう命令を出す。
【0083】
次に、ステップS32において、3次元道路地図記憶装置12より格納用3次元道路地図データにおける道路リンクデータの情報を道路リンクデータ取得部30により取得する。道路リンクデータ取得部30は、入力部31より指定されたデータが道路リンクデータのZ座標値の場合には、Z座標直線近似値算出部41によって、指定した道路リンク上におけるXY座標が、当該道路リンクにおけるZ構成点(開始点SZ及び終了点SZを含む)間のどの位置にあるか算出する。
【0084】
そして、ステップS33において、隣接する2点のZ構成点(始点及び終点ノードを含む)から直線の式を求めて、直線の式にXY座標を代入し対応するZ座標を算出する。算出した値は出力部32より得る。
【0085】
したがって、3次元道路地図データ出力装置13は、格納用3次元道路地図データ内のXY構成点情報が指示するXY構成点に基づきZ方向成分の情報であるZ座標値を含む出力用3次元道路地図データを精度良く算出することができる。
【0086】
図8は3次元道路地図データ出力装置13によるZ座標算出処理動作を説明する説明図である。同図(a) は道路リンクL20におけるXY構成点情報で指示される道路リンクL20XY、同図(b) は道路リンクL20におけるZ構成点情報で指示される道路リンクL20Zを示している。
【0087】
以下、図8を参照して、33次元道路地図記憶装置12に格納された格納用3次元道路地図データ内の道路リンクL20(道路リンクL20XY+道路リンクL20Z)から、道路リンクL20上の任意の位置としXY座標を指定された場合に、3次元道路地図データ出力装置13における道路リンクデータ取得部34内のZ座標直線近似値算出部41を用いて、対応するZ座標を求める方法を説明する。
【0088】
例えば、道路リンクL20上のXY構成点PXY1のXY座標が指定された場合、そのZ座標は開始点SZとZ構成点PZ1との間にあることがわかる。そこで、開始点SZとZ構成点PZ1とを結んだ直線の式を求め、XY構成点PXY1のXY座標を代入し、対応するZ座標を算出することにより、XY構成点PXY1のZ座標を精度良く算出することができる。
【0089】
このように、実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1は3次元道路地図データ出力装置13を備えることによって、XY平面の湾曲部を表現する第1の数のXY構成点を指示するXY構成点情報と、Z方向の勾配部を表現する第2の数のZ構成点を指示するZ構成点情報とに分けた格納用3次元道路地図データから、適宜、各XY構成点にZ座標値を付加した出力用3次元道路地図データを精度良く取得することが可能となる。
【0090】
その結果、特許文献1に代表される前提技術よりも、格納用3次元道路地図データのデータサイズを圧縮させながら、かつ、前提技術にて格納されていたZ座標と同等のZ座標値を3次元道路地図データ出力装置13により取得することができる効果をする。
【0091】
上述したように、Z構成点情報はX方向成分及びY方向成分自体であるXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示するため、XY関連成分に基づき、XY構成点情報が指示する各XY構成点のZ方向成分を精度良く算出することができる。その結果、3次元道路地図データ生成装置11より生成される格納用3次元道路地図データは、3次元道路地図情報としての3次元精度を維持することができる。
【0092】
さらに、実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1におけるZ座標直線近似値算出部41は、始点、終点、第2の数のZ構成点のうち、隣接する2点間を直線近似する直線近似処理を実行することにより、Z構成点情報のデータサイズを増加させることなく、所望の道路リンク上のXY座標に対応するZ座標を得ることができる。
【0093】
<実施の形態2>
図9はこの発明の実施の形態2による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。なお、実施の形態2の3次元道路地図データ処理システムは、図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同等のシステム構成を呈している。ただし、Z構成点作成部25による生成されるZ構成点情報の内容が異なる。
【0094】
同図に示すように、Z構成点情報が指示するZ構成点PZj(j=1〜m)それぞれにおいて始点相対距離84及び高度・Z座標83Zの情報が格納される。すなわち、Z構成点PZjは、Z方向成分と始点からの相対距離である始点相対距離であるXY関連成分とにより構成される。したがって、Z構成点は、経度、緯度座標が算出可能な始点相対距離と高さ座標とを持ち、当該道路リンクのZ方向の道路起伏形状を示している。
【0095】
図9で示すように、図5に示された実施の形態1のデータ構造ではZ構成点の位置は経度、緯度にて示しているのに対し、実施の形態2ではリンクの始点相対距離84をD座標とし、D座標の値によってZ構成点のXY方向の位置を間接的に示している。なお、他のデータ構造は図5で示した実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0096】
D座標はリンクの始点からの当該Z構成点までの距離としているが、D座標の“0”となる基準値は上記差分表現と同様に限定するものではない。
【0097】
図10は実施の形態2の3次元道路地図データ生成装置11で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【0098】
図10(a) に示すように、XY構成点情報が指示する内容は、実施の形態1の道路リンクL20XYと同一構成であり、始点SXY、XY構成点PXY11〜PXY15及び終点EXYからなる道路リンクL20XYを指示している。
【0099】
一方、図10(b) に示すように、Z構成点情報に関し、Z構成点PZ1〜PZ4の内容が実施の形態1と異なる。実施の形態2のZ構成点PZ1〜PZ4は、Z方向成分に加え、始点SXYとの相対距離dを含んで構成される。
【0100】
x,y,z,dのデータサイズをすべて同じSDとした場合、実施の形態2により得られた格納用3次元道路地図データでは、18SD(10SD+8SD)となる。結果として、実施の形態2で得られる格納用3次元道路地図データは、実施の形態1のデータサイズの2/3にデータサイズを削減できていることがわかる。
【0101】
このように、実施の形態2の3次元道路地図データ処理システムにおけるZ構成点作成部25は、XY関連成分として道路リンクの始点からの各Z構成点に至る距離を含ませることにより、実施の形態1以上に格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。
【0102】
また、実施の形態2のデータ構成では、ADAS(Advanced Driver Assistance System)対応のアプリケーションで、勾配位置を(経度、緯度)の2次元情報として情報取得するのではなく距離として勾配情報を利用する場合、計算する手間が発生せず、素早く処理することができる。
【0103】
なお、3次元道路地図データ出力装置13によるZ座標の算出は以下のように行うことができる。例えば、道路リンクL20上のXY構成点PXY2のXY座標が指定された場合、始点SXYからXY構成点PXY1を経由してXY構成点PXY2に至る距離である始点相対距離を求める。その始点相対距離は開始点SZとZ構成点PZ1との間にあることがわかる。始点SZとZ構成点PZ1とを結んだ直線の式を求め、XY構成点PXY2の始点相対距離を代入し、対応するZ座標を算出することにより、実施の形態1と同様、XY構成点PXY1のZ座標を精度良く算出することができる。
【0104】
<実施の形態3>
図11はこの発明の実施の形態3による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。なお、実施の形態2の3次元道路地図データ処理システムは、図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同等のシステム構成を呈している。ただし、Z構成点作成部25が生成するZ構成点情報の内容が異なっている。
【0105】
同図に示すように、Z構成点情報が指示するZ構成点PZj(j=1〜m)それぞれにおいて、XY構成点インデックス85、XY構成点相対距離86及び高度・Z座標83Zの情報が格納される。すなわち、Z構成点PZjは、XY構成点インデックス85で指示されるXY構成点からの相対距離であるXY構成点相対距離であるXY関連成分とZ方向成分とにより構成される。なお、XY構成点インデックス85は各Z構成点に最も近いXY構成点のインデックス情報である。インデックス情報とは例えばXY構成点PXYiの始点からの順序等が考えられる。したがって、Z構成点は、経度、緯度座標が算出可能なXY構成点インデックス85及びXY構成点相対距離86と共に高さ座標とを持ち、当該リンクのZ方向の道路起伏形状を示している。
【0106】
図11に示すように、図5に示された実施の形態1のデータ構造ではZ構成点の位置は経度、緯度にて示しているが、実施の形態3では最も近いXY構成点を指示するXY構成点インデックス85と当該XY構成点までの相対距離を指示するXY構成点相対距離86とを有し、これらの情報によってZ構成点のXY方向の位置を間接的に示している。なお、他のデータ構造は図5で示した実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0107】
図12は実施の形態3の3次元道路地図データ生成装置11で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【0108】
図12(a) に示すように、XY構成点情報の指示する内容は実施の形態1の道路リンクL20XYと同一構成であり、始点SXY、XY構成点PXY1〜PXY5及び終点EXYからなる道路リンクL20XYを指示している。なお、XY構成点PXY1〜PXY5はそれぞれ簡単に表現可能なインデックス[0]〜[4]により識別可能である。
【0109】
一方、図12(b) に示すように、Z構成点情報はZ構成点PZ1〜PZ4の内容が実施の形態1と異なっており、Z方向成分に加え、元と近いXY構成点のインデックス情報を指示するidx、インデックス情報idxが指示するXY構成点から当該Z構成点までの相対距離d(終点側EZに向かう方向(図中右方向)の距離)を含んで構成される。
【0110】
x,y,z,idx,dのデータサイズをすべて同じSDとした場合、実施の形態3により得られた格納用3次元道路地図データでは、22SD(10SD+10SD)となる。結果として、実施の形態3で得られる格納用3次元道路地図データは、実施の形態1と同等のデータサイズ削減を図ることができる。また、idx,dのデータサイズをx,y,z,のデータサイズより小さくすることができれば、実施の形態1以上のデータサイズ削減を図ることができる。
【0111】
このように、実施の形態3の3次元道路地図データ処理システムにおけるZ構成点作成部25は、XY関連成分として最も近いXY構成点を指示するインデックス情報と、最も近いXY構成点からの相対距離(一方向における)を含ませることにより、実施の形態1以上に格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。
【0112】
なお、3次元道路地図データ出力装置13によるZ座標の算出は、各XY構成点が間に存在する2つのZ構成点(始点SZ,終点EZ含む)から、以下のように行うことができる。道路リンクL20上のXY構成点PXY5のXY座標が指定された場合、XY構成点PXY5は、XY構成点PXY5をインデックス情報([4])として指示するZ構成点PZ1と始点SZとの間に存在することを認識する。その結果、開始点SZとZ構成点PZ1とを結んだ直線上におけるXY構成点PXY5の位置(Z構成点PZ1の相対距離dに基づき算出)に対応するZ座標を精度良く算出することができる。
【0113】
上述のように、Z座標を求める際に、そのXY構成点がZ構成点と一致しているか、またはZ構成点の間に存在しているのかを取得する必要がある。Z構成点の間に存在している場合には、どのZ構成点の区間にあるか情報を取得しなければならない。本構成では、Z構成点と最も近いXY構成点とをXY構成点インデックス85によって関連付けているため、距離によって関連付けする実施の形態2の構成に比べ、XY構成点における高さ情報を取得する処理速度の向上が可能となる。
【0114】
<実施の形態4>
図13はこの発明の実施の形態4による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。なお、実施の形態4の3次元道路地図データ処理システムは図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同等のシステム構成を呈している。ただし、Z構成点作成部25が生成するZ構成点情報の内容が異なっている。
【0115】
同図に示すように、Z構成点情報が指示するZ構成点PZj(j=1〜m)それぞれにおいて、高度・Z座標83Zの情報が格納される。すなわち、Z構成点PZjは、Z方向成分のみより構成される。ただし、Z構成点PZjを道路リンクの所定距離間隔に等分して得ることにより、始点SZから何番目のZ構成点であるか等によりZ構成点PZjを特定することにより間接的に始点SZから当該Z構成点までの距離を認識することができる。
【0116】
図13に示すように、図5に示された実施の形態1のデータ構造ではZ構成点の位置は経度、緯度にて示しているが、実施の形態4ではXY関連成分としてZ構成点PZjの設定間隔と始点からZ構成点jの設定順序とを含ませ、Z構成点のXY方向の位置を間接的に算出可能にしている。なお、他のデータ構造は図5で示した実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0117】
図14は実施の形態4の3次元道路地図データ生成装置11で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【0118】
図14(a) に示すように、XY構成点情報は実施の形態1の道路リンクL20XYと同一構成であり、始点SXY、XY構成点PXY1〜PXY5及び終点EXYからなる道路リンクL20ZYを指示している。
【0119】
一方、図14(b) に示すように、道路リンクL30Zを4等分にしたZ構成点PZ1〜PZ3を抽出することができる。実施の形態4のZ構成点PZ1〜PZ3はそれぞれZ方向成分を有している。
【0120】
x,y,zのデータサイズをすべて同じSDとした場合、実施の形態4により得られた格納用3次元道路地図データでは、13SD(10SD+3SD)となる。結果として、実施の形態4で得られる格納用3次元道路地図データは、実施の形態1〜実施の形態3以上にデータサイズ削減を図ることができる。
【0121】
このように、実施の形態4の3次元道路地図データ処理システムにおけるZ構成点作成部25は、XY関連成分として、始点〜終点間にZ構成点を設ける距離間隔と、始点から当該Z構成点の設定順序とすることにより、各Z構成点に必要な情報はZ成分のみにすることができるため、実施の形態1以上に格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。
【0122】
なお、3次元道路地図データ出力装置13によるZ座標の算出は以下のように行うことができる。例えば、道路リンクL20上のXY構成点PXY1のXY座標が指定された場合、当該XY構成点PXY1の始点SXYからの距離を求める。その距離は始点SZとZ構成点PZ1との間にあることがわかる。そして、開始点SZとZ構成点PZ1とを結んだ直線の式を求め、XY構成点PXY1の始点からの距離dを代入し、対応するZ座標値を算出することにより、実施の形態1と同様、XY構成点PXY1のZ座標値を精度良く算出することができる。
【0123】
また、実施の形態4では、Z構成点の数(第2の数)によって勾配情報の精度を調整することができる。単純な形状であれば、Z構成点の数を少なくすることができる。一方、複雑な形状の場合はZ構成点の数を増やして勾配情報の精度を上げることができる。本構成は、勾配の変化が乏しい場合や、等分に構成点を配置した時に道路形状を表現できる場合、メッシュ標高データ(DEM(Digital Elevation Model)等)のみから勾配情報を作成するような勾配情報の精度が求められない場合に有効である。
【0124】
<実施の形態5>
図15はこの発明の実施の形態5による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。なお、実施の形態4の3次元道路地図データ処理システムじゃ図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同等のシステム構成を呈している。ただし、Z構成点作成部25が生成するZ構成点情報の内容が異なっている。
【0125】
同図に示すように、XY構成点情報は実施の形態1〜実施の形態4と同様、3DリンクレコードLR1〜LRn単位にXY構成点を格納しているのに対し、Z構成点情報は、道路リンク単位ではなく複数のリンクからなる道路リンク列単位にZ構成点を格納している。すなわち、3Dリンク列レコードLRR1〜LRRnを対応させてZ構成点を格納している。なお、道路リンク列とは、道路リンクの接続関係や種別によって複数の道路リンクを1つにまとめたものである。道路リンク列情報は3Dリンク列レコードによって管理され、3次元のリンク列の数だけ存在し、リンク列に含まれるリンクIDが格納されたレコードである。3Dリンク列レコードは地図データ内の3次元リンク列と1対1に対応している。
【0126】
3Dリンク列レコードLRR1において、リンク列ID74、リンク数75、リンクID・ID1〜IDn、Z構成点数73、Z構成点PZ1〜PZnから構成される。
【0127】
Z構成点PZj(j=1〜m)それぞれにおいて、位置座標87、高度・Z座標83Zの情報が格納される。
【0128】
なお、位置座標87としては、実施の形態1の経度・X座標83X及び経度・Y座標83Y、実施の形態2の始点相対距離84、実施の形態3のXY構成点インデックス85及びXY構成点相対距離86等が考えられる。また、実施の形態4のように、道路リンク上にZ構成点PZjを所定の距離で等分して設ける場合、位置座標87は不要となる。上記のように、Z構成点PZjは、位置座標87とZ方向成分より構成される。
【0129】
例えば、実施の形態3では、Z構成点を{XY構成点インデックス85(最も近いXY構成点のインデックス情報)、XY構成点相対距離86(XY構成点インデックス85が指示するY構成点からの距離)、高度・Z座標83Z(高さ座標)}という構成にしている。実施の形態5の場合、リンク列に対応して、Z構成点を実施の形態4の構成にて示すためには、(最も近いリンクのID、最も近いXY構成点のインデックス、インデックスが指示するXY構成点からの距離、高さ座標)として、最も近いXY構成点を持つリンクを特定できるようにする必要がある。また、リンクを特定できればよいので、位置座標87の一部としてリンクID情報を持つのではなく、リンク列の指定もインデックス情報で行うようにしても良い。
【0130】
図15に示すように、実施の形態5では位置座標87を持たせて、Z構成点のXY方向の位置を算出可能にしている。なお、他のデータ構造は図5で示した実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0131】
図16は実施の形態5の3次元道路地図データ生成装置11で得られるZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【0132】
図16では図示してしないが、XY構成点情報は、実施の形態1〜実施の形態4と同様に、リンクL1XY,L2XY及びL3XY(図示せず)毎にXY構成点が設けられる。
【0133】
一方、図16に示すように、リンクL1XY,L2XY及びL3XYに対応する3つのリンクL1Z,L2X,L3Zからなるリンク列L1Z〜L3Zが一括してまとめられZ構成点PZ1,PZ12を抽出することができる。実施の形態5のZ構成点PZ1〜PZ2は、それぞれ上述した位置座標87に加え、Z方向成分を有している。
【0134】
このように、リンク列L1Z〜L3Z等の複数のリンク間にまたがった緩やかな勾配の湾曲部が形成されている場合、Z構成点を元にして近似曲線を引くことで間の高度を補間することができる。また、勾配の変化がリンク列を構成する複数のリンク列にまたがって直線で表現できる場合には、リンク列間を接続するノードの座標を3次元座標として持たずともノードの高度を求めることができるため、2次元で表現することが可能となる。そのため、Z構成点情報のデータサイズの削減につながる。
【0135】
このように、実施の形態5の3次元道路地図データ処理システムにおけるZ構成点作成部25は、複数のリンクからなるリンク列単位にZ構成点を求めてZ構成点情報を得ることにより、Z構成点情報のさらなるデータサイズの削減を図ることができる。
【0136】
なお、3次元道路地図データ出力装置13によるZ座標の算出は位置座標87の内容に従い、実施の形態1〜実施の形態4で示した方法により行える。
【0137】
また、3Dリンク列レコードを構成する項目は図15に限定するものではなく、リンク列に関係する情報項目を追加してもよい。
【0138】
<実施の形態6>
図17は、実施の形態6による3次元道路地図データ処理システム2の機能構成を示すブロック図である。図1に示された実施の形態1における3次元道路地図データ処理システム1の3次元道路地図データ出力装置13内のZ座標直線近似値算出部41に代わって、3次元道路地図データ出力装置14内にZ座標曲線近似値算出部42を有している点が異なる。なお、他の構成は図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同様である。
【0139】
図18は、3次元道路地図データ処理システム2内の3次元道路地図データ出力装置14より指定された道路リンクにおける任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。なお、説明の都合上、Z構成点情報におけるZ構成点PZjは、実施の形態1と同様、経度・X座標83X、経度・Y座標83Y及び高度・Z座標83Zによって示しているとする。
【0140】
同図を参照して、ステップS41において、入力部31より道路リンク上の(x,y)の位置のZ座標値を取得するよう命令を出す。この際、道路リンクデータ取得部30を用いて、3次元道路地図記憶装置12より格納用3次元道路地図データを取得する。
【0141】
ステップS42において、道路リンクデータ取得部30は、入力部31より指定されたデータが道路リンクデータのZ座標値の場合にはZ座標曲線近似値算出部42によって、指定したXY座標が道路リンク列上のZ構成点(始点及び終点ノードを含む)間のどの位置にあるか算出する。
【0142】
その後、ステップS43において、指定されたXY座標の位置にある勾配の曲線はZ構成点を用いて近似曲線として求める。近似曲線には、多項式曲線やスプライン曲線、ベジェ曲線、円弧曲線、クロソイド曲線等を用いる。
【0143】
したがって、Z構成点作成部25は、Z座標曲線近似値算出部42にて用いる近似曲線に応じて、Z構成点の個数や配置を決定する点が、実施の形態1〜実施の形態5と異なる。以下、この点を図26及び図6を参照して説明する。
【0144】
実施の形態6におけるZ構成点の抽出方法は、道路リンクL41Zを構成するXYZ空間上での開始点SZ,終点EZを取り出し、開始点SZ,終点EZ間に指定された近似曲線を対応づけることにより行われる。
【0145】
図18に戻って、ステップS44において、ステップS43で求めた近似曲線に、ステップS41で指定したXY座標を代入し、対応するZ座標を算出し、当該Z座標を出力部32より出力する。
【0146】
以下、ステップS43の近似曲線を求める処理について詳述する。ステップS43において、予め決められた近似曲線を適用しても、道路種別や構成点の分布によって自動的に近似曲線を選択するようにしても良い。
【0147】
自動的に近似曲線を選択する場合は、道路種別によって判別する方法があげられる。高速道路では、カーブを設計する際にクロソイド曲線が利用されるため、近似曲線はクロソイド曲線を選択する。一般道では、クロソイド曲線のみで設計されていないため、勾配が緩やかに変化する箇所は折れ線、勾配形状が単純な曲線は円弧、複雑な場合はスプラインを選択する方法等があげられる。また、入力であるポリラインの形状に最も近い曲線を算出する方法もある。ポリラインと曲線の距離は、おのおのを媒介変数表現し、与えられた媒介変数の値に対応したポリラインおよび曲線上の2点間の距離の和により定義し、この値が小さいものほど近いと定義する。距離の定義については、X軸(もしくはY軸)に平行な(等間隔に配置された)直線とポリラインおよび曲線おのおのの交点との距離の和としてもよい。
【0148】
なお、予め決められた近似曲線を適用する場合には、Z構成点作成部25によってZ構成点を求める計算量が少なくてすむという効果がある。
【0149】
一方、複数の近似曲線から自動的に近似曲線を適用する場合には、適切な曲線を選ぶことで、実態と誤差の少ないZ座標を提供できる効果がある。
【0150】
図19は実施の形態6におけるZ座標算出方法を説明するための説明図である。以下、図19を参照して、3次元道路地図データ生成装置11を用いて3次元道路地図記憶装置12に格納された格納用3次元道路地図データにおける道路リンク列L1Z〜L3Zから、道路リンク列L1Z〜L3Z上の任意の位置のXY座標を指定された場合にZ座標曲線近似値算出部42を用いて、対応するZ座標を求める方法を説明する。
【0151】
例えば、道路リンク列L1XY上の位置P6のXY座標が指定された場合には、道路リンク列L1Z〜L3Z上にあることがわかり、道路リンク列L1Z〜L3Zが形成する近似曲線を求める。図19では、Z構成点PZ1とPZnは曲線の変曲点として配置している。例えば、スプライン曲線にて近似を行う。求めたスプライン曲線の式から、指定された位置P6のXY座標の位置に対応するZ座標の値を取得する。
【0152】
このように、実施の形態6の3次元道路地図データ処理システム2におけるZ座標曲線近似値算出部42は、第2の数のZ構成点間を曲線近似する曲線近似処理を実行することにより直線近似よりも精度のよい近似値を得ることができるため、Z構成点情報のデータサイズを増加させることなく、所望のリンク上のXY座標に対応するZ座標を精度良く得ることができる効果を奏する。
【0153】
本実施の形態では、Z構成点が道路リンク列に対応した場合を示しているが、実施の形態1〜実施の形態4のようにZ構成点が道路リンクに対応してもよい。
【0154】
<実施の形態7>
図20はこの発明の実施の形態7による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【0155】
同図に示すように、さらに、Z構成点情報は、使用する近似式を指示する近似値情報76をさらに有している。図20で示す例では近似値情報76はクロソイド曲線88を指示している。なお、他のデータ構造は図5で示した実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0156】
図21は、実施の形態7による3次元道路地図データ処理システム3の機能構成を示すブロック図である。図1に示された実施の形態1における3次元道路地図データ処理システム1の3次元道路地図データ出力装置13内のZ座標直線近似値算出部41に代わって、3次元道路地図データ出力装置15内にZ座標近似式算出部43を有している点が異なる。なお、他の構成は図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同様である。
【0157】
図22は、3次元道路地図データ処理システム3内の3次元道路地図データ出力装置15より道路リンクの任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。
【0158】
同図を参照して、ステップS41において、入力部31より道路リンク上の(x,y)の位置のZ座標値を取得するよう命令を出す。この際、道路リンクデータ取得部30を用いて、3次元道路地図記憶装置12より道路リンクデータの情報を取得する。
【0159】
ステップS52において、道路リンクデータ取得部34は、入力部31より指定されたデータが道路リンクデータのZ座標値の場合にはZ座標曲線近似値算出部43によって、指定したXY座標が道路リンク列上のZ構成点(始点及び終点ノードを含む)間のどの位置にあるか算出する。
【0160】
その後、ステップS53において、近似値情報76の指示する近似手法を特定する。図20で示した3DリンクレコードLR1で指示するリンクの場合は、データ内に近似式情報として、クロソイド曲線が指定されている。指定する近似値情報76としては、直線、クロソイド、円弧曲線等の道路設計上用いられる線形の式があげられる。その他、複雑な形状の場合には、スプライン曲線やベジエ曲線や多項式で示す曲線式等がある。
【0161】
その後、ステップS54において、ステップS53で特定した近似手法により、Z構成点における勾配の近似式を求める。すなわち、指定されたXY座標の位置にある勾配の曲線はZ構成点や必要であれば始点及び終点ノードを用いてデータ内に格納された近似方法にて近似式を求める。
【0162】
そして、ステップS55において、ステップS54で求めた近似曲線に、ステップS51で指定したXY座標を代入し、対応するZ座標を算出する算出し、当該Z座標を出力部32より出力する。
【0163】
なお、単体のリンクだけでなく、リンク列に対応して3Dリンク列レコードに近似式情報をもたせる構成としてもよい。
【0164】
このように、3Dリンクレコードに近似式情報をもたせることによって、すべての直線あるいは曲線を同じ手法で近似するのではなく、道路リンクの形状に応じて適切な近似方法を指定することができる。そのため、精度のよい近似値を得ることができる。
【0165】
すなわち、実施の形態7の3次元道路地図データ処理システム3において、Z座標近似式算出部43は、複数の近似式から選ばれた選択近似式を用いて、直線近似処理あるいは曲線近似処理を実行するにより、指定されたリンク上のXY座標に応じて精度のよいZ座標値を得ることができる。
【0166】
<実施の形態8>
また、3次元道路地図データ出力装置13は3次元道路地図情報を利用するナビゲーション装置に組み込んでもよい。
【0167】
図23はこの発明の実施の形態8である移動体ナビゲーション装置を示すブロック図である。実施の形態8の移動体ナビゲーション装置100は、タッチパネルやリモコン等の入力装置160、ディプレイや音声出力を行う出力装置161、CPU162、メモリ163、外部サーバとの通信を行う通信装置164、地図情報を格納しておく地図データ記憶装置165、指定された目的地までの経路を計算し案内を行う経路案内処理部166、地図を表示する地図表示部167、ロケータやジャイロセンサ等の各種センサ168、GPS受信機169、地図データ記憶装置165から必要なデータを取り出す3次元道路地図データ出力装置13(〜15)を備えた地図データアクセス部170から構成されている。これらは、通常のカーナビゲーションに代表される移動体ナビゲーション装置と同様のシステム構成である。
【0168】
地図データ記憶装置165には、3次元道路地図データ生成装置11にて作成した格納用3次元道路地図データを格納しており、3次元道路地図データ出力装置13を備えた地図データアクセス部170を用いてデータを取り出すことができる。
【0169】
例えば、地図表示部167が地図データを取り出す際には、地図データアクセス部170に必要なデータの要求を出し、3次元道路地図データ出力装置13から地図データ記憶装置165にアクセスして目的となるデータを取り出し、求められた形式に変換して値を地図表示部167に返却する。
【0170】
具体的には、地図データアクセス部170は、GPS受信機169により現在位置(X、Y)を把握し、現在位置に合致する道路リンクを地図データ記憶装置165内の格納用3次元道路地図データから取り出し、必要に応じて取り出した道路リンクのXY構成点情報及びZ構成点情報に基づきXY構成点に対応するZ座標値を算出して、地図表示部167に地図情報を出力する。
【0171】
このように、実施の形態8の移動体ナビゲーション装置100は、内部に3次元道路地図データ出力装置13を組み込むことで、データサイズを削減した格納用3次元道路地図データを移動体ナビゲーション装置内で利用することが可能となる。
【0172】
なお、本実施の形態では地図データアクセス部170に3次元道路地図データ出力装置13を組み込んで構成したが、XY構成点に対応するZ座標値を求める処理は、地図データアクセス部170で実施しない構成にしても良い。
【0173】
例えば、地図データアクセス部170に代えて、経路案内処理実行時に経路誘導の計算を行う経路案内処理部166で実施しても良い、この場合、地図データアクセス部170は単に格納用3次元道路地図データにアクセスしそのまま格納用3次元道路地図データを経路案内処理部166に渡すだけでよい。このようにすることで、Z座標値が不要なときにはZ座標値を求める計算をしなくても良いのでCPU処理が削減される。
【0174】
例えば、Z座標値が必要な処理には、勾配を勘案したエコルート探索や、 EV(電気自動車),HEV(ハイブリッド電気自動車)の走行計画処理、カーブやインターチェンジなどの速度超過における安全警報計算がある。
【0175】
また、Z座標値を求める処理を別の計算モジュールで一括して実行する構成にしても良く、この場合、複数の処理モジュールがZ座標値を必要とする場合に重複して計算する必要が無い。
【0176】
このように、移動体ナビゲーション装置100内の地図データ記憶装置165に格納される格納用3次元道路地図データにおける道路リンクを示す情報として、XY構成点情報及びZ構成点情報に分けることにより、XY成分変化及びZ方向成分変化に基づき第1の数及び第2の数を互いに独立して決定することができる分、第1の数及び第2の数を必要最小限に抑えることができる。
【0177】
さらに、実施の形態8の移動体ナビゲーション装置100において、地図データ記憶装置165に格納される格納用3次元道路地図データのX構成成分情報はXY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する内容であるためZ方向成分を必要としない分、情報量を削減することができる。その結果、格納用3次元道路地図データの減量化を図ることができる。
【0178】
さらに、格納用3次元道路地図データのZ構成点情報はXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示するため、上記XY関連成分に基づき、各XY構成点のZ方向成分を算出することができるため、3次元道路地図データとしての精度を維持することができる。
【0179】
<その他>
(方法発明への適用)
実施の形態1〜実施の形態7で示した3次元道路地図データ処理システム1(〜3)における3次元道路地図データ生成装置11による格納用3次元道路地図データの作成方法は以下のステップを備える方法発明としても適用可能である。
【0180】
すなわち、3次元座標による3次元道路地図データを受け、始点から終点に至る少なくとも一つの道路リンクからなる格納用3次元道路地図データを生成する方法であって、上記少なくとも一つの道路リンクはそれぞれXY構成点情報及びZ構成点情報を含み、以下のステップ(a) ,(b) を実行する。
【0181】
ステップ(a):3次元道路地図情報に基づき、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示するXY構成点情報を作成する。
【0182】
ステップ(b) :上記XY構成点情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示するZ構成点情報を作成する。
【0183】
そして、Z構成点情報に基づき、第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であることを特徴とする。
【0184】
このように、上述した次元道路地図データの生成方法は、格納用3次元道路地図データにおける道路リンクを示す情報として、XY構成点情報及びZ構成点情報に分けることにより、XY成分変化及びZ方向成分変化に基づき第1の数及び第2の数を互いに独立して決定することができる分、第1の数及び第2の数を必要最小限に抑えることができる。
【0185】
さらに、3次元道路地図データの生成方法において、上記ステップ(a) により作成されるX構成成分情報は、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する内容であるため、Z方向成分を必要としない分、格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。その結果、格納用3次元道路地図データの減量化を図ることができる。
【0186】
加えて、上記ステップ(b) により作成されるZ構成点情報はXY構成点情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示するため、上記XY関連成分に基づき、各XY構成点のZ方向成分を算出することができるため、3次元道路地図データとしての精度を維持することができる。
【0187】
(他の態様)
また、図24に示すように、実施の形態1〜実施の形態7において、3次元道路地図データ出力装置13〜15を除き、3次元道路地図データ生成装置11及び3次元道路地図記憶装置12からなる構成に特化した3次元道路地図データ処理システム4を他の態様として考えられる。
【0188】
この態様においても、格納用3次元道路地図データにおける道路リンクを示す情報として、XY構成点情報及びZ構成点情報に分けることにより、XY成分変化及びZ方向成分変化に基づき第1の数及び第2の数を互いに独立して決定することができる分、第1の数及び第2の数を必要最小限に抑えることができる効果を奏する。
【0189】
さらに、3次元道路地図データ生成装置11は、XY構成点作成部24により作成されるX構成成分情報はXY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する内容であるため、Z方向成分を必要としない分、格納用3次元道路地図データの情報量を削減することにより、システムの減量化を図ることができる効果を奏する。
【符号の説明】
【0190】
1〜3 3次元道路地図データ処理システム、11 3次元道路地図データ生成装置、12 3次元道路地図記憶装置、13〜15 3次元道路地図データ出力装置、20 道路リンクデータ構成部、21,31 入力部、22,32 出力部、24 XY構成点作成部、25 Z構成点作成部、30 道路リンクデータ取得部、41 Z座標直線近似値算出部、42 Z座標曲線近似値算出部、43 Z座標近似式算出部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、3次元道路地図情報を利用する3次元道路地図データ生成装置、3次元道路地図データ処理システム、ナビゲーション装置及び3次元道路地図データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、道路形状を描くためには、道路を構成する道路成分となる道路リンクの始点と終点とを連結する直線を生成する。曲線部分を含む道路リンクを表現する場合には始点と終点とを結ぶ直線を作成するのではなく、始点と終点との間を複数の直線の集合により結ぶことにより表現される。このような複数の直線の端点(始点,終点を除く)を道路リンクの構成点と呼ぶ。構成点はそれぞれ座標情報を持っている。道路形状の曲線部分の精度はこれら構成点の数に依存して決まる。
【0003】
2次元地図情報に含まれる道路形状の曲線部分はXY平面上の湾曲部のみである。一方で、3次元地図情報に含まれる道路形状の曲線部分はXY平面上の湾曲部とZ方向の勾配部が存在する。そのため、3次元地図情報を作成する際には、2次元地図情報に含まれる構成点の位置に単純に標高情報を付加して3次元座標として表現しても、勾配部の曲線を精度よく表現することはできない。
【0004】
3次元地図情報を作成する技術としては、例えば、特許文献1に開示された地図情報作成装置(方法)が挙げられる。特許文献1開示の装置では、2次元地図情報に標高情報を付加して3次元地図を作成する地図情報作成技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−349872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
道路形状はXY平面上にある湾曲部とZ方向の勾配部の曲線部分との位置が異なるため、湾曲部と勾配部に必要となる構成点の位置は異なる。上記特許文献1に代表される従来技術では、湾曲部と勾配部との両方の構成点に対してそれぞれ3次元座標情報を持つため、精度よく道路形状は表現できるが、データサイズは増大してしまうという問題点があった。
【0007】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、格納する3次元道路地図データのデータサイズの削減を図ることができる3次元道路地図データ生成装置、及び当該3次元道路地図データ生成装置を用い、出力時に3次元道路形状精度を劣化させることなく出力用の3次元道路地図データを得ることができる3次元道路地図データ処理システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る請求項1記載の3次元道路地図データ生成装置は、3次元座標による3次元道路地図情報に基づき、始点から終点に至る少なくとも一つの道路成分を構成要素とする格納用3次元道路地図データを生成する3次元道路地図データ生成装置であって、前記少なくとも一つの前記道路成分はそれぞれXY構成点情報及びZ構成点情報を含み、前記3次元道路地図情報に基づき、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する前記XY構成点情報を作成するXY構成点作成部と、前記3次元道路地図情報に基づき、前記XY構成点情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示する前記Z構成点情報を作成するZ構成点作成部とを備え、前記Z構成点情報に基づき、前記第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の本願発明である3次元道路地図データ生成装置は道路成分をXY構成点情報及びZ構成点情報に分けることにより、XY成分変化及びZ方向成分変化に基づき第1の数及び第2の数を互いに独立して決定することができる分、第1の数及び第2の数を必要最小限に抑えることができる。
【0010】
そして、請求項1記載の本願発明のXY構成点作成部により作成されるX構成成分情報はXY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する内容であるため、Z方向成分を必要としない分、格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。
【0011】
加えて、Z構成点情報に基づき、前記第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であるため、3次元道路地図データとしての精度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1である3次元道路地図データ処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この実施の形態1である次元道路地図データ処理システムが実現可能なコンピュータシステムのハードウェア構成を表すブロック図である。
【図3】実施の形態1による3次元道路地図データ処理システムのデータ格納処理手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1における3次元道路地図データ生成装置による格納用3次元道路地図データの出力処理を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における道路リンクデータ構成部が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図6】実施の形態1の3次元道路地図データ生成装置で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【図7】実施の形態1の3次元道路地図データ出力装置より道路リンクの任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1の3次元道路地図データ出力装置によるZ座標算出処理動作を説明する説明図である。
【図9】この発明の実施の形態2による道路リンクデータ構成部が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図10】実施の形態2の3次元道路地図データ生成装置で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態3による道路リンクデータ構成部が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図12】実施の形態3の3次元道路地図データ生成装置で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態4による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図14】実施の形態4の3次元道路地図データ生成装置で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【図15】この発明の実施の形態5による道路リンクデータ構成部が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図16】実施の形態5の3次元道路地図データ生成装置で得られるZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【図17】実施の形態6による3次元道路地図データ処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図18】実施の形態6の3次元道路地図データ出力装置14より道路リンク列の任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。
【図19】実施の形態6におけるZ座標算出方法を説明するための説明図である。
【図20】この発明の実施の形態7による道路リンクデータ構成部が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【図21】実施の形態7による3次元道路地図データ処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図22】実施の形態7の3次元道路地図データ出力装置より道路リンクの任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。
【図23】この発明の実施の形態8である移動体ナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図24】この発明の実施の形態1〜実施の形態7の他の態様である3次元道路地図データ処理システムの構成を示すブロック図である。
【図25】前提技術となる地図データ処理システムにて利用されるXY平面上における道路表現方法の構成例を示している。
【図26】一単位の道路リンクを前提技術の手法にて格納する方法を示す説明図である。
【図27】前提技術における3次元道路地図データ用のレコードのデータ構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<前提技術>
図25はこの発明の前提技術となる、地図データ処理システムにて利用されるXY平面上における道路表現方法の構成例を示している。同図に示すように、道路データは各々が道路成分となる7つの道路リンクL1XY〜L7XYと、4つのノードN1〜N4から構成される。ノードN1〜N4は道路が交差する場所や属性が変化するような場所に設けられ、道路リンクL1XY〜L7XYはノードN1〜N4間を接続する直線または曲線である。例えば、道路リンクL1XYはノードN1が始点、ノードN2が終点となる。なお、道路リンクL4XY〜L7XYに関しては他方側のノード(始点あるいは終点)の図示を省略している。
【0014】
図26は一単位の道路リンクL40XYを前提技術(特許文献1等)の手法にて格納する方法を示している。
【0015】
図26の(a)は道路リンクL40XYのXY平面上の形状を図示したものである。なお、図26の(a) で示す道路リンクL40XYは図25で示したリンクL1XY〜L7XYのいずれかに相当する。
【0016】
同図(a) に示すように、道路リンクL40XYは始点SXY〜終点EXY間に5つのXY構成点PXY11〜PXY15が設けられ、「始点SXY,XY構成点PXY11」間、「PXY1j,PXY1(j+1)(j=1〜4)」間、「XY構成点PXY15,終点EXY」間がそれぞれ直線で結ばれることにより構成される。このように、XY平面上にある道路リンクL40XYの湾曲部の道路リンク形状を表現する際に必要となる構成点を「XY構成点」と呼ぶ。
【0017】
図26(b) は道路リンクL40ZのZX平面上の形状を図示したものである。同図(b) に示すように、道路リンクL40Zは始点SZ〜終点EZ間に4つのZ構成点PZX11〜PZX14が設けられ、「始点SZ,Z構成点PZX11」間、「PZX1k,PZ1(k+1)(k=1〜3)」間、「Z構成点PZX14,終点EZ」間がそれぞれ直線で結ばれることにより構成される。このように、ZX平面上等において道路リンクL40ZのZ方向における湾曲部の道路リンク形状を表現する際に必要となる構成点を「Z構成点」と呼ぶ。
【0018】
特許文献1で開示された技術では、2次元地図情報が従来持っていたXY構成点にZ構成点を追加し、3次元曲線を表現するものである。以下、3次元曲線を表現する点を「3次元構成点」と呼ぶものとする。
【0019】
図26(c)は3次元構成点による3次元曲線表現をXY平面上に図示したものである。
同図(c) に示すように、道路リンクL40XYに対応する道路リンクL41XYは始点SXY〜終点EXY間に9つの3次元構成点3D11〜3D19が設けられ、「始点SXY,3次元構成点3D11」間、「3D1j,3D1(j+1)(j=1〜8)」間、「3次元構成点3D19,終点EXY」間がそれぞれ直線で結ばれることにより構成される。このように、XY平面上における湾曲部とZX平面上における湾曲部を共に道路リンク形状として表現する際に必要となるXY平面上の構成点を道路リンクL41XYの3次元構成点としている。
【0020】
図26(d)は3次元構成点による3次元曲線表現をXZ平面上に示したものである。同図(d) に示すように、道路リンクL40Zに対応する道路リンクL41Zは始点SZ〜終点EZ間に9つの3次元構成点3D21〜3D29が設けられ、「始点SZ,3次元構成点3D21」間、「3D2j,3D2(j+1)(j=1〜8)」間、「3次元構成点3D29,終点EZ」間がそれぞれ直線で結ばれることにより構成される。このように、ZX平面上における湾曲部とXY平面上における湾曲部を共に道路リンク形状として表現する際に必要となるZX平面上の構成点を道路リンクL41Zの3次元構成点としている。
【0021】
なお、図26(c) ,(d) で示した道路リンクL41XYと道路リンクL41Zとは基本とする平面(XY平面,ZX平面)が異なるだけで内容は同一である。すなわち、「始点SXY=始点SZ」、「3次元構成点3D1i=3D2i(i=1〜9)」、「終点EXY=終点EZ」となる。
【0022】
図27は前提技術(特許文献1等)における3次元道路地図データ用のレコードのデータ構成を示す説明図である。図27から、前提技術では、道路リンクの各3次元構成点において(x,y,z)の3次元座標情報を保持していることがわかる。
【0023】
3DリンクレコードLR1〜LRn毎にリンクが管理される。例えば、図26(c) ,(dで示した道路リンクL41XY(道路リンクL41Z)が一つの3DリンクレコードLRi(i=1〜nのいずれか)に対応する。
【0024】
図27で示す例では、3DリンクレコードLR1に対応してリンクID70、その他項目71、構成点数72、3次元構成点3D1〜3Dnの順に格納される。その他項目71としては例えばリンク種別81があり、3次元構成点3Di(i=1〜n)それぞれにおいて、経度・X座標93X、経度・Y座標93Y、高度・Z座標93Z、標高93Hとからなる3次元情報が格納される。
【0025】
図27で示す例では、Z座標である高度の他に標高も追加されているが、標高は地表の標高を指しており、高度は標高に地表から道路までの高さを加えた値としている。
【0026】
このように、特許文献1に代表される前提技術では、図26(c)や図26(d)のようにXY構成点とZ構成点とのうち少なくとも一つを3次元構成点として登録することにより、XY平面上の湾曲部の道路形状とZ方向の勾配部の道路形状の両方の曲線を精度よく表現することが可能となっている。
【0027】
しかし、道路リンクL40XYを道路リンクL41XYに変換することにより構成点数は“5”から“9”に増加し、あるいは、道路リンクL40Zを道路リンクL41Zに変換することにより構成点数は“4”から“9”に増加してしまい、格納すべき3次元道路地図データのデータ量が増加してしまうという問題点があった。
【0028】
以下での述べる実施の形態では、XY平面上の湾曲部の道路形状とZ方向の勾配部の道路形状の両方の曲線を精度よく表現可能にし、かつ、格納すべき3次元道路地図データのデータ量の削減を図る3次元道路地図データ生成装置、3次元道路地図データ処理システム等を提供する。
【0029】
<実施の形態1>
図1はこの発明の実施の形態1である3次元道路地図データ処理システムの構成を示すブロック図である。
【0030】
3次元道路地図データ処理システム1の機能構成として、3次元道路地図データ生成装置11、3次元道路地図記憶装置12、及び3次元道路地図データ出力装置13を備えている。
【0031】
3次元道路地図データ生成装置11は、XY構成点作成部24とZ構成点作成部25とを備えた道路リンクデータ構成部20、データを入力する入力部21、データを出力する出力部22を備えている。
【0032】
3次元道路地図データ出力装置13は、Z座標直線近似値算出部41を備えた道路リンクデータ取得部30、入力部31、及び出力部32を備えている。
【0033】
図2はこの実施の形態1である次元道路地図データ処理システム1が実現可能なコンピュータシステムのハードウェア構成例を示すブロック図である。同図に示すように、コンピュータシステム10は、ハードウェアとして、入力装置60、出力装置61、CPU62、メモリ63、通信装置64、及び記憶装置65を備えている。これらは、通常のコンピュータと同様のシステム構成である。
【0034】
以下、図2で示したコンピュータシステム10によって実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1を実現するための一構成例を説明する。
【0035】
(1) 入力装置60…入力部21、入力部31を実現、
(2) 出力装置61…出力部22、出力部32を実現、
(3) 記憶装置65…3次元道路地図記憶装置12を実現、
(4) CPU62,メモリ63…CPU62及びメモリ63上で動作するプログラムとして、道路リンクデータ構成部20(XY構成点作成部24、Z構成点作成部25)及び道路リンクデータ取得部30(Z座標直線近似値算出部41)を実現、
(5) 通信装置64…ネットワーク経由で3次元道路地図データ処理システム1にアクセスして出力結果を取得する態様の際に用いる。
【0036】
以下、上記構成例について補足説明する。3次元道路地図記憶装置12への格納用の3次元道路地図データの出力は出力部22によって行われ、XY構成点におけるZ座標の出力等の処理は出力部32によって行われる。
【0037】
CPU62及びメモリ63上で動作するプログラムとは、記憶装置65から読み出したプログラムをCPU62がメモリ63を作業領域として実行することにより行われる。
【0038】
入力部31は出力用の3次元道路地図データを必要とする別装置から入力(所望の道路リンクにおけるXY構成点のXY座標値)を得て、出力部32より出力(当該XY構成点におけるZ座標値)を出力する。例えば、GIS(Geographic Information System)システムや地図表示装置との連携があげられる。
【0039】
入力装置60は例えばキーボードやマウス等によって構成され、3次元道路地図データ処理システム1に対してユーザが指示や対話処理を行うことができる。出力装置61はディスプレイ等によって構成され、入力内容の確認や3次元道路地図データの処理状況や結果の確認をすることができる。
【0040】
図3は、実施の形態1による3次元道路地図データ処理システム1における3次元道路地図データ生成装置11によるデータ格納処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
同図を参照して、ステップS11において、3次元道路地図データ生成装置11は様々なフォーマットで提供される3次元道路地図情報を入力部21より読み込む。読み込まれたデータは複数のデータ間で関連付けを行ったり、所望されるデータサイズに加工したり、入力された地図データからデフォルメされた地図データを作成したりすることができる。
【0042】
次に、ステップS12において、読み込まれたデータのうち道路リンクデータは道路リンクデータ構成部20に送られ、XY構成点作成部24によって道路リングデータから第1の数のXY構成点からなるXY構成点情報が生成される。なお、XY構成点は、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる構成点であり、Z方向成分を含まない。
【0043】
その後、ステップS13において、Z構成点作成部25は上記道路リンクデータに対し、第2の数のZ構成点からなるZ構成点情報が生成される。なお、Z構成点は、Z方向成分とX方向成分及びY方向成分と所定の関連性を有するXY関連成分とにより位置決めされる構成点である。
【0044】
最後に、ステップS14において、XY構成点情報とZ構成点情報に分けて構成された道路リンクデータは、その他入力データや加工されたデータとともにまとめられ格納用3次元道路地図データとして3次元道路地図記憶装置12に格納される。
【0045】
ステップS11で入力される3次元道路地図情報とは、道路形状を表現する3次元位置座標を持っている情報を意味する。道路形状以外にも、通常の地図データに含まれる背景データ、施設データ、道路幅や車線数のような道路属性等を含んでよい。
【0046】
図4は実施の形態1による3次元道路地図データ処理システム1の3次元道路地図データ生成装置11による格納用3次元道路地図データの出力処理を示すフローチャートである。
【0047】
3次元道路地図データ生成装置11は3次元道路地図記憶装置12よりデータを出力する際は、ステップS21において、入力部21より出力形式や出力部分を特定する出力形式パラメータを入力する。
【0048】
そして、ステップS22において、指定された部分を3次元道路地図記憶装置12より取り出した格納用3次元道路地図データを出力形式パラメータが指示する出力形式に変換した後、ステップS23において、出力部22よりデータ出力を行う。
【0049】
上記の出力部22より出力するデータの出力形式はカーナビゲーション装置のデータフォーマットや一般的な地図データのデータフォーマットによる出力があげられる。
【0050】
図5は実施の形態1による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【0051】
3DリンクレコードLR1〜LRn毎にリンクが管理され、3DリンクレコードLR1に対応してリンクID70、その他項目71、XY構成点数72、XY構成点PXY1〜PXYn、Z構成点数73、Z構成点PZ1〜PZnの順に格納される。その他項目71としては例えばリンク種別81があり、XY構成点PXYi(i=1〜n)それぞれにおいて、経度・X座標82X、経度・Y座標82YからなるX方向及びY方向成分のみの情報が格納される。すなわち、XY構成点は経度、緯度の2次元の座標情報を持ち、当該リンクのXY平面での道路形状を示す。
【0052】
一方、Z構成点PZj(j=1〜m)それぞれにおいて経度・X座標83X、経度・Y座標83Y及び高度・Z座標83Zの3次元情報が格納される。すなわち、Z構成点PZjは、X方向成分及びY方向成分自体であるXY関連成分とZ方向成分とにより構成される。したがって、Z構成点は経度、緯度と高さ座標を持ち、当該リンクのZ方向の道路起伏形状を示す。
【0053】
なお、本明細書中において、「XY関連成分」とは、XY構成点情報と何らかの関連性を有し、Z構成点情報がZ方向成分に加え上記XY関連成分を有することにより、Z構成点情報に基づき、第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能にした、情報成分を意味する。
【0054】
上述したように、3DリンクレコードLR1〜LRnは3次元の道路リンクの数だけ存在し、各道路リンクの種別及び座標情報等が格納されたレコードである。これら3DリンクレコードLR1〜LRnは地図データ内の3次元道路リンクと1対1に対応する。3Dリンクレコードの中に道路リンクが含まれており、リンクIDやXY構成点数、XY構成点、Z構成点数、Z構成点、またその他複数の項目により構成されている。リンクID70は各道路リンクを識別するための番号である。XY構成点数72はXY構成点の数(第1の数)、Z構成点数73はZ構成点の数(第2の数)を示している。
【0055】
3DリンクレコードLR1〜LRnは道路リンクに関する情報を保持するための複数の項目を持つ。例えば、上述したリンク種別やリンクの長さ、トンネルや橋の有無などがあげられる。
【0056】
XY構成点やZ構成点の経度、緯度の値に関し、基準値の座標を決定し、差分を入力してもよい。基準値は、当該リンクの始点、終点となるノードや当該リンクの構成点の中の任意の点、地図の任意の矩形内の平均値等があげられる。また、基準値は3Dリンクレコードの持つ複数の項目の一つとして追加してもよい。
【0057】
高度とは、地形の高度と道路の高さやトンネル等を考慮した道路上での高さである。地形の高度のみから3次元道路地図データを作る場合や、トンネルや高架等の高度を別レコードとして持たせる場合は、高さ情報として地形高度のみの高さ座標を格納してもよい。高さ座標においても、経度、緯度の値と同様に基準値を決定し差分入力としてもよい。
【0058】
3次元道路地図記憶装置12に格納されているすべての道路リンクデータを上記図5で示したデータ構成にて持つ必要はなく、湾曲部が多数存在するが勾配部の変化は乏しいランプのみ上記のデータ構成を適用するなど、一部分の適用でもよい。
【0059】
以上のように、実施の形態1では、各々がXY平面の湾曲部を表現する第1の数のXY構成点を指示するXY構成点情報と、Z方向の勾配部を表現する第2の数のZ構成点を指示するZ構成点情報とに分類された格納用3次元道路地図データを得ることによって、従来と同様の3次元精度を維持するデータを提供しながら格納サイズを小さくすることが可能である。
【0060】
図6は3次元道路地図データ生成装置11で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【0061】
以下、図3のステップS11で読み込んだ3次元道路地図情報が図26の(c) ,(d) で示す道路リンクL41XY(道路リンクL41Z)からなる場合を例に挙げて、ステップS12におけるXY構成点抽出動作、ステップS13におけるZ構成点抽出動作について説明する。
【0062】
まず、ステップS12におけるXY構成点抽出方法について説明する。XY構成点の抽出方法は、道路リンクL41XYを構成する始点SXY、3次元構成点3D11〜3D19及び終点EXYのうち、始点SXYを開始点として連続する3点を順次取り出し、XY平面上で3点が同一直線上にある時は真ん中の点を除外する。
【0063】
図26(c) で示す道路リンクL41XYでは、3次元構成点3D14〜3D16は同一線上にあるため、真ん中の3次元構成点3D15を除外する。次に3次元構成点3D14,3D16及び3D17を取り出すと、これも同一線上にあるため、3次元構成点3D16を除外する。これをくり返し、連続する3点を取り出した時に同一線上にある点がなくなれば、これらをXY構成点と生成する。この際、生成するXY構成点ではZ成分の情報を除去する。
【0064】
その結果、図6(a) に示すように、3次元構成点3D11〜3D14及び3D19に対応する5つのXY構成点PXY11〜PXY15を選択的に抽出することができる。これらXY構成点PXY11〜PXY15はX方向成分及びY方向成分のみから構成される。
【0065】
次に、ステップS13におけるZ構成点抽出方法について説明する。Z構成点の抽出方法は、道路リンクL41Zを構成する始点SZ、3次元構成点3D21〜3D29及び終点EZのうち、始点SXを開始点として連続する3点を順次取り出し、XYZ空間上で3点が同一直線上にある時は真ん中の点を除外する。なお、説明の都合上、図6(b) 及び図26(d) で示すZX平面上の同一直線上のZ構成点は、XYZ空間上でも同一直線上に存在するとする。
【0066】
図26(d) で示す道路リンクL41Zでは、始点SZ、3次元構成点3D21及び3D22は同一直線上にあるため、真ん中の3次元構成点3D21を除外する。次に、始点SZ、3次元構成点3D22,3D23を取り出すと、これも同一直線上にあるため、3次元構成点3D22を除外する。これをくり返し、連続する3点を取り出した時に同一線上にある点がなくなれば、これらをZ構成点とする。
【0067】
その結果、図6(b) に示すように、3次元構成点3D24、3D26、3D28及び3D29に対応する4つのZ構成点PZ1〜PZ4を選択的に抽出することができる。Z構成点は示す情報は、Z方向成分に加え、X方向成分及びY方向成分をもXY関連成分として含んでいる。
【0068】
なお、XY構成点及びZ構成点の抽出手法は上述した方法に限定するものではなく、XY構成点はXY平面上で連続する3点が同一線上に存在しないように抽出し、Z構成点はXYZ空間上で連続する3点が同一線上に存在しないように抽出すればよいものとする。
【0069】
(効果)
以下、図26(c) ,(d) で示す道路リンクL40XY(道路リンクL40Z)と、図6(a) ,(b) で示す道路リンクL20XY及び道路リンクL20Zの組合せとを比較検討する。
【0070】
道路リンクL40XYに関し、図26 (c)のように(x,y,z)の3次元構成点が9個必要となる。一方、図6(a) に示すように、道路リンクL20XYに関し、(x,y)のXY構成点が5個で十分となる。
【0071】
そして、図9(b) に示すように、道路リンクL20Zに関し、(x,y,z)のZ構成点が4個で十分となる。
【0072】
x,y,zのデータサイズをすべて同じSDとした場合、特許文献1に代表される前提技術の3次元道路地図データ(道路リンクL40XYあるいは道路リンクL40Z)では、いずれも格納サイズは27SDとなり、実施の形態1により得られた格納用3次元道路地図データでは、22SD(10SD+12SD)となる。結果として、実施の形態1で得られる格納用3次元道路地図データの方がデータサイズを削減できていることがわかる。
【0073】
このように、格納用3次元道路地図データとしてXY構成点情報とZ構成点情報とに分類することにより、XY構成点情報及びZ構成点情報がそれぞれ不要な情報を持たずに精度よく表現することが可能である。
【0074】
例えば、XY構成点を多数必要とするような湾曲部を持ち、Z方向の勾配については直線で表現できるためZ構成点を必要としないような道路形状の道路リンクにおいて、前提技術では、3次元の座標情報をすべての構成点において持たせては余分な情報を持つことになりデータサイズが増大する。一方、実施の形態1の3次元道路地図データ生成装置11によれば、上記ケースにおいて、Z構成点情報は余分な高さ情報を保持せず、格納用3次元道路地図データとしてデータサイズを小さくすることが可能となる。
【0075】
このように、実施の形態1における3次元道路地図データ生成装置11は道路リンクを示す情報として、XY構成点情報及びZ構成点情報に分けることにより、XY成分変化及びZ方向成分変化に基づき第1の数及び第2の数を互いに独立して決定することができる分、第1の数及び第2の数を必要最小限に抑えることができる。
【0076】
さらに、実施の形態1における3次元道路地図データ生成装置11は、XY構成点作成部24により作成されるX構成成分情報はXY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する内容であるため、Z方向成分を必要としない分、格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。その結果、格納用3次元道路地図データの減量化を図ることができる。
【0077】
加えて、Z構成点情報に基づき、第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であるため、3次元道路地図データとしての精度を維持することができる。
【0078】
また、実施の形態1の格納用3次元道路地図データにおけるZ構成点情報はXY座標値を持っているため、XY平面状でのZ構成点の位置を知るために計算を必要とせず、容易に出力可能である。
【0079】
3次元道路地図データ処理システム1は、地図表示機能や経路計算機能を有したり、地図情報を利用する装置と連携したり、組み込んだりしてもよい。その際に、3次元道路地図記憶装置12より任意のデータ値を取り出すために3次元道路地図データ出力装置13を備えている。取り出すデータとしては、位置座標を指定して道路リンクのZ座標値、道路属性、任意の位置の施設データを取得したり、指定の名前の施設を検索したりすることができる。3次元道路地図データ出力装置13は、3次元道路地図情報を利用するために、必要なデータへのアクセス機能を持っている。
【0080】
3次元道路地図データ出力装置13は、入力部31より取り出すデータを指定するパラメータを受け付ける。3次元道路地図記憶装置12より指定されたデータを取り出し、出力部32より格納用3次元道路地図データに基づく出力用3次元道路地図データを出力する。
【0081】
図7は、3次元道路地図データ出力装置13より道路リンクの任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。
【0082】
ステップS31において、入力部31より道路リンク上の(x,y)の位置(XY座標)を指定して、Z座標値を取得するよう命令を出す。
【0083】
次に、ステップS32において、3次元道路地図記憶装置12より格納用3次元道路地図データにおける道路リンクデータの情報を道路リンクデータ取得部30により取得する。道路リンクデータ取得部30は、入力部31より指定されたデータが道路リンクデータのZ座標値の場合には、Z座標直線近似値算出部41によって、指定した道路リンク上におけるXY座標が、当該道路リンクにおけるZ構成点(開始点SZ及び終了点SZを含む)間のどの位置にあるか算出する。
【0084】
そして、ステップS33において、隣接する2点のZ構成点(始点及び終点ノードを含む)から直線の式を求めて、直線の式にXY座標を代入し対応するZ座標を算出する。算出した値は出力部32より得る。
【0085】
したがって、3次元道路地図データ出力装置13は、格納用3次元道路地図データ内のXY構成点情報が指示するXY構成点に基づきZ方向成分の情報であるZ座標値を含む出力用3次元道路地図データを精度良く算出することができる。
【0086】
図8は3次元道路地図データ出力装置13によるZ座標算出処理動作を説明する説明図である。同図(a) は道路リンクL20におけるXY構成点情報で指示される道路リンクL20XY、同図(b) は道路リンクL20におけるZ構成点情報で指示される道路リンクL20Zを示している。
【0087】
以下、図8を参照して、33次元道路地図記憶装置12に格納された格納用3次元道路地図データ内の道路リンクL20(道路リンクL20XY+道路リンクL20Z)から、道路リンクL20上の任意の位置としXY座標を指定された場合に、3次元道路地図データ出力装置13における道路リンクデータ取得部34内のZ座標直線近似値算出部41を用いて、対応するZ座標を求める方法を説明する。
【0088】
例えば、道路リンクL20上のXY構成点PXY1のXY座標が指定された場合、そのZ座標は開始点SZとZ構成点PZ1との間にあることがわかる。そこで、開始点SZとZ構成点PZ1とを結んだ直線の式を求め、XY構成点PXY1のXY座標を代入し、対応するZ座標を算出することにより、XY構成点PXY1のZ座標を精度良く算出することができる。
【0089】
このように、実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1は3次元道路地図データ出力装置13を備えることによって、XY平面の湾曲部を表現する第1の数のXY構成点を指示するXY構成点情報と、Z方向の勾配部を表現する第2の数のZ構成点を指示するZ構成点情報とに分けた格納用3次元道路地図データから、適宜、各XY構成点にZ座標値を付加した出力用3次元道路地図データを精度良く取得することが可能となる。
【0090】
その結果、特許文献1に代表される前提技術よりも、格納用3次元道路地図データのデータサイズを圧縮させながら、かつ、前提技術にて格納されていたZ座標と同等のZ座標値を3次元道路地図データ出力装置13により取得することができる効果をする。
【0091】
上述したように、Z構成点情報はX方向成分及びY方向成分自体であるXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示するため、XY関連成分に基づき、XY構成点情報が指示する各XY構成点のZ方向成分を精度良く算出することができる。その結果、3次元道路地図データ生成装置11より生成される格納用3次元道路地図データは、3次元道路地図情報としての3次元精度を維持することができる。
【0092】
さらに、実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1におけるZ座標直線近似値算出部41は、始点、終点、第2の数のZ構成点のうち、隣接する2点間を直線近似する直線近似処理を実行することにより、Z構成点情報のデータサイズを増加させることなく、所望の道路リンク上のXY座標に対応するZ座標を得ることができる。
【0093】
<実施の形態2>
図9はこの発明の実施の形態2による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。なお、実施の形態2の3次元道路地図データ処理システムは、図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同等のシステム構成を呈している。ただし、Z構成点作成部25による生成されるZ構成点情報の内容が異なる。
【0094】
同図に示すように、Z構成点情報が指示するZ構成点PZj(j=1〜m)それぞれにおいて始点相対距離84及び高度・Z座標83Zの情報が格納される。すなわち、Z構成点PZjは、Z方向成分と始点からの相対距離である始点相対距離であるXY関連成分とにより構成される。したがって、Z構成点は、経度、緯度座標が算出可能な始点相対距離と高さ座標とを持ち、当該道路リンクのZ方向の道路起伏形状を示している。
【0095】
図9で示すように、図5に示された実施の形態1のデータ構造ではZ構成点の位置は経度、緯度にて示しているのに対し、実施の形態2ではリンクの始点相対距離84をD座標とし、D座標の値によってZ構成点のXY方向の位置を間接的に示している。なお、他のデータ構造は図5で示した実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0096】
D座標はリンクの始点からの当該Z構成点までの距離としているが、D座標の“0”となる基準値は上記差分表現と同様に限定するものではない。
【0097】
図10は実施の形態2の3次元道路地図データ生成装置11で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【0098】
図10(a) に示すように、XY構成点情報が指示する内容は、実施の形態1の道路リンクL20XYと同一構成であり、始点SXY、XY構成点PXY11〜PXY15及び終点EXYからなる道路リンクL20XYを指示している。
【0099】
一方、図10(b) に示すように、Z構成点情報に関し、Z構成点PZ1〜PZ4の内容が実施の形態1と異なる。実施の形態2のZ構成点PZ1〜PZ4は、Z方向成分に加え、始点SXYとの相対距離dを含んで構成される。
【0100】
x,y,z,dのデータサイズをすべて同じSDとした場合、実施の形態2により得られた格納用3次元道路地図データでは、18SD(10SD+8SD)となる。結果として、実施の形態2で得られる格納用3次元道路地図データは、実施の形態1のデータサイズの2/3にデータサイズを削減できていることがわかる。
【0101】
このように、実施の形態2の3次元道路地図データ処理システムにおけるZ構成点作成部25は、XY関連成分として道路リンクの始点からの各Z構成点に至る距離を含ませることにより、実施の形態1以上に格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。
【0102】
また、実施の形態2のデータ構成では、ADAS(Advanced Driver Assistance System)対応のアプリケーションで、勾配位置を(経度、緯度)の2次元情報として情報取得するのではなく距離として勾配情報を利用する場合、計算する手間が発生せず、素早く処理することができる。
【0103】
なお、3次元道路地図データ出力装置13によるZ座標の算出は以下のように行うことができる。例えば、道路リンクL20上のXY構成点PXY2のXY座標が指定された場合、始点SXYからXY構成点PXY1を経由してXY構成点PXY2に至る距離である始点相対距離を求める。その始点相対距離は開始点SZとZ構成点PZ1との間にあることがわかる。始点SZとZ構成点PZ1とを結んだ直線の式を求め、XY構成点PXY2の始点相対距離を代入し、対応するZ座標を算出することにより、実施の形態1と同様、XY構成点PXY1のZ座標を精度良く算出することができる。
【0104】
<実施の形態3>
図11はこの発明の実施の形態3による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。なお、実施の形態2の3次元道路地図データ処理システムは、図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同等のシステム構成を呈している。ただし、Z構成点作成部25が生成するZ構成点情報の内容が異なっている。
【0105】
同図に示すように、Z構成点情報が指示するZ構成点PZj(j=1〜m)それぞれにおいて、XY構成点インデックス85、XY構成点相対距離86及び高度・Z座標83Zの情報が格納される。すなわち、Z構成点PZjは、XY構成点インデックス85で指示されるXY構成点からの相対距離であるXY構成点相対距離であるXY関連成分とZ方向成分とにより構成される。なお、XY構成点インデックス85は各Z構成点に最も近いXY構成点のインデックス情報である。インデックス情報とは例えばXY構成点PXYiの始点からの順序等が考えられる。したがって、Z構成点は、経度、緯度座標が算出可能なXY構成点インデックス85及びXY構成点相対距離86と共に高さ座標とを持ち、当該リンクのZ方向の道路起伏形状を示している。
【0106】
図11に示すように、図5に示された実施の形態1のデータ構造ではZ構成点の位置は経度、緯度にて示しているが、実施の形態3では最も近いXY構成点を指示するXY構成点インデックス85と当該XY構成点までの相対距離を指示するXY構成点相対距離86とを有し、これらの情報によってZ構成点のXY方向の位置を間接的に示している。なお、他のデータ構造は図5で示した実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0107】
図12は実施の形態3の3次元道路地図データ生成装置11で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【0108】
図12(a) に示すように、XY構成点情報の指示する内容は実施の形態1の道路リンクL20XYと同一構成であり、始点SXY、XY構成点PXY1〜PXY5及び終点EXYからなる道路リンクL20XYを指示している。なお、XY構成点PXY1〜PXY5はそれぞれ簡単に表現可能なインデックス[0]〜[4]により識別可能である。
【0109】
一方、図12(b) に示すように、Z構成点情報はZ構成点PZ1〜PZ4の内容が実施の形態1と異なっており、Z方向成分に加え、元と近いXY構成点のインデックス情報を指示するidx、インデックス情報idxが指示するXY構成点から当該Z構成点までの相対距離d(終点側EZに向かう方向(図中右方向)の距離)を含んで構成される。
【0110】
x,y,z,idx,dのデータサイズをすべて同じSDとした場合、実施の形態3により得られた格納用3次元道路地図データでは、22SD(10SD+10SD)となる。結果として、実施の形態3で得られる格納用3次元道路地図データは、実施の形態1と同等のデータサイズ削減を図ることができる。また、idx,dのデータサイズをx,y,z,のデータサイズより小さくすることができれば、実施の形態1以上のデータサイズ削減を図ることができる。
【0111】
このように、実施の形態3の3次元道路地図データ処理システムにおけるZ構成点作成部25は、XY関連成分として最も近いXY構成点を指示するインデックス情報と、最も近いXY構成点からの相対距離(一方向における)を含ませることにより、実施の形態1以上に格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。
【0112】
なお、3次元道路地図データ出力装置13によるZ座標の算出は、各XY構成点が間に存在する2つのZ構成点(始点SZ,終点EZ含む)から、以下のように行うことができる。道路リンクL20上のXY構成点PXY5のXY座標が指定された場合、XY構成点PXY5は、XY構成点PXY5をインデックス情報([4])として指示するZ構成点PZ1と始点SZとの間に存在することを認識する。その結果、開始点SZとZ構成点PZ1とを結んだ直線上におけるXY構成点PXY5の位置(Z構成点PZ1の相対距離dに基づき算出)に対応するZ座標を精度良く算出することができる。
【0113】
上述のように、Z座標を求める際に、そのXY構成点がZ構成点と一致しているか、またはZ構成点の間に存在しているのかを取得する必要がある。Z構成点の間に存在している場合には、どのZ構成点の区間にあるか情報を取得しなければならない。本構成では、Z構成点と最も近いXY構成点とをXY構成点インデックス85によって関連付けているため、距離によって関連付けする実施の形態2の構成に比べ、XY構成点における高さ情報を取得する処理速度の向上が可能となる。
【0114】
<実施の形態4>
図13はこの発明の実施の形態4による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。なお、実施の形態4の3次元道路地図データ処理システムは図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同等のシステム構成を呈している。ただし、Z構成点作成部25が生成するZ構成点情報の内容が異なっている。
【0115】
同図に示すように、Z構成点情報が指示するZ構成点PZj(j=1〜m)それぞれにおいて、高度・Z座標83Zの情報が格納される。すなわち、Z構成点PZjは、Z方向成分のみより構成される。ただし、Z構成点PZjを道路リンクの所定距離間隔に等分して得ることにより、始点SZから何番目のZ構成点であるか等によりZ構成点PZjを特定することにより間接的に始点SZから当該Z構成点までの距離を認識することができる。
【0116】
図13に示すように、図5に示された実施の形態1のデータ構造ではZ構成点の位置は経度、緯度にて示しているが、実施の形態4ではXY関連成分としてZ構成点PZjの設定間隔と始点からZ構成点jの設定順序とを含ませ、Z構成点のXY方向の位置を間接的に算出可能にしている。なお、他のデータ構造は図5で示した実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0117】
図14は実施の形態4の3次元道路地図データ生成装置11で得られるXY構成点情報及びZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【0118】
図14(a) に示すように、XY構成点情報は実施の形態1の道路リンクL20XYと同一構成であり、始点SXY、XY構成点PXY1〜PXY5及び終点EXYからなる道路リンクL20ZYを指示している。
【0119】
一方、図14(b) に示すように、道路リンクL30Zを4等分にしたZ構成点PZ1〜PZ3を抽出することができる。実施の形態4のZ構成点PZ1〜PZ3はそれぞれZ方向成分を有している。
【0120】
x,y,zのデータサイズをすべて同じSDとした場合、実施の形態4により得られた格納用3次元道路地図データでは、13SD(10SD+3SD)となる。結果として、実施の形態4で得られる格納用3次元道路地図データは、実施の形態1〜実施の形態3以上にデータサイズ削減を図ることができる。
【0121】
このように、実施の形態4の3次元道路地図データ処理システムにおけるZ構成点作成部25は、XY関連成分として、始点〜終点間にZ構成点を設ける距離間隔と、始点から当該Z構成点の設定順序とすることにより、各Z構成点に必要な情報はZ成分のみにすることができるため、実施の形態1以上に格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。
【0122】
なお、3次元道路地図データ出力装置13によるZ座標の算出は以下のように行うことができる。例えば、道路リンクL20上のXY構成点PXY1のXY座標が指定された場合、当該XY構成点PXY1の始点SXYからの距離を求める。その距離は始点SZとZ構成点PZ1との間にあることがわかる。そして、開始点SZとZ構成点PZ1とを結んだ直線の式を求め、XY構成点PXY1の始点からの距離dを代入し、対応するZ座標値を算出することにより、実施の形態1と同様、XY構成点PXY1のZ座標値を精度良く算出することができる。
【0123】
また、実施の形態4では、Z構成点の数(第2の数)によって勾配情報の精度を調整することができる。単純な形状であれば、Z構成点の数を少なくすることができる。一方、複雑な形状の場合はZ構成点の数を増やして勾配情報の精度を上げることができる。本構成は、勾配の変化が乏しい場合や、等分に構成点を配置した時に道路形状を表現できる場合、メッシュ標高データ(DEM(Digital Elevation Model)等)のみから勾配情報を作成するような勾配情報の精度が求められない場合に有効である。
【0124】
<実施の形態5>
図15はこの発明の実施の形態5による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。なお、実施の形態4の3次元道路地図データ処理システムじゃ図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同等のシステム構成を呈している。ただし、Z構成点作成部25が生成するZ構成点情報の内容が異なっている。
【0125】
同図に示すように、XY構成点情報は実施の形態1〜実施の形態4と同様、3DリンクレコードLR1〜LRn単位にXY構成点を格納しているのに対し、Z構成点情報は、道路リンク単位ではなく複数のリンクからなる道路リンク列単位にZ構成点を格納している。すなわち、3Dリンク列レコードLRR1〜LRRnを対応させてZ構成点を格納している。なお、道路リンク列とは、道路リンクの接続関係や種別によって複数の道路リンクを1つにまとめたものである。道路リンク列情報は3Dリンク列レコードによって管理され、3次元のリンク列の数だけ存在し、リンク列に含まれるリンクIDが格納されたレコードである。3Dリンク列レコードは地図データ内の3次元リンク列と1対1に対応している。
【0126】
3Dリンク列レコードLRR1において、リンク列ID74、リンク数75、リンクID・ID1〜IDn、Z構成点数73、Z構成点PZ1〜PZnから構成される。
【0127】
Z構成点PZj(j=1〜m)それぞれにおいて、位置座標87、高度・Z座標83Zの情報が格納される。
【0128】
なお、位置座標87としては、実施の形態1の経度・X座標83X及び経度・Y座標83Y、実施の形態2の始点相対距離84、実施の形態3のXY構成点インデックス85及びXY構成点相対距離86等が考えられる。また、実施の形態4のように、道路リンク上にZ構成点PZjを所定の距離で等分して設ける場合、位置座標87は不要となる。上記のように、Z構成点PZjは、位置座標87とZ方向成分より構成される。
【0129】
例えば、実施の形態3では、Z構成点を{XY構成点インデックス85(最も近いXY構成点のインデックス情報)、XY構成点相対距離86(XY構成点インデックス85が指示するY構成点からの距離)、高度・Z座標83Z(高さ座標)}という構成にしている。実施の形態5の場合、リンク列に対応して、Z構成点を実施の形態4の構成にて示すためには、(最も近いリンクのID、最も近いXY構成点のインデックス、インデックスが指示するXY構成点からの距離、高さ座標)として、最も近いXY構成点を持つリンクを特定できるようにする必要がある。また、リンクを特定できればよいので、位置座標87の一部としてリンクID情報を持つのではなく、リンク列の指定もインデックス情報で行うようにしても良い。
【0130】
図15に示すように、実施の形態5では位置座標87を持たせて、Z構成点のXY方向の位置を算出可能にしている。なお、他のデータ構造は図5で示した実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0131】
図16は実施の形態5の3次元道路地図データ生成装置11で得られるZ構成点情報の一例を示す説明図である。
【0132】
図16では図示してしないが、XY構成点情報は、実施の形態1〜実施の形態4と同様に、リンクL1XY,L2XY及びL3XY(図示せず)毎にXY構成点が設けられる。
【0133】
一方、図16に示すように、リンクL1XY,L2XY及びL3XYに対応する3つのリンクL1Z,L2X,L3Zからなるリンク列L1Z〜L3Zが一括してまとめられZ構成点PZ1,PZ12を抽出することができる。実施の形態5のZ構成点PZ1〜PZ2は、それぞれ上述した位置座標87に加え、Z方向成分を有している。
【0134】
このように、リンク列L1Z〜L3Z等の複数のリンク間にまたがった緩やかな勾配の湾曲部が形成されている場合、Z構成点を元にして近似曲線を引くことで間の高度を補間することができる。また、勾配の変化がリンク列を構成する複数のリンク列にまたがって直線で表現できる場合には、リンク列間を接続するノードの座標を3次元座標として持たずともノードの高度を求めることができるため、2次元で表現することが可能となる。そのため、Z構成点情報のデータサイズの削減につながる。
【0135】
このように、実施の形態5の3次元道路地図データ処理システムにおけるZ構成点作成部25は、複数のリンクからなるリンク列単位にZ構成点を求めてZ構成点情報を得ることにより、Z構成点情報のさらなるデータサイズの削減を図ることができる。
【0136】
なお、3次元道路地図データ出力装置13によるZ座標の算出は位置座標87の内容に従い、実施の形態1〜実施の形態4で示した方法により行える。
【0137】
また、3Dリンク列レコードを構成する項目は図15に限定するものではなく、リンク列に関係する情報項目を追加してもよい。
【0138】
<実施の形態6>
図17は、実施の形態6による3次元道路地図データ処理システム2の機能構成を示すブロック図である。図1に示された実施の形態1における3次元道路地図データ処理システム1の3次元道路地図データ出力装置13内のZ座標直線近似値算出部41に代わって、3次元道路地図データ出力装置14内にZ座標曲線近似値算出部42を有している点が異なる。なお、他の構成は図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同様である。
【0139】
図18は、3次元道路地図データ処理システム2内の3次元道路地図データ出力装置14より指定された道路リンクにおける任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。なお、説明の都合上、Z構成点情報におけるZ構成点PZjは、実施の形態1と同様、経度・X座標83X、経度・Y座標83Y及び高度・Z座標83Zによって示しているとする。
【0140】
同図を参照して、ステップS41において、入力部31より道路リンク上の(x,y)の位置のZ座標値を取得するよう命令を出す。この際、道路リンクデータ取得部30を用いて、3次元道路地図記憶装置12より格納用3次元道路地図データを取得する。
【0141】
ステップS42において、道路リンクデータ取得部30は、入力部31より指定されたデータが道路リンクデータのZ座標値の場合にはZ座標曲線近似値算出部42によって、指定したXY座標が道路リンク列上のZ構成点(始点及び終点ノードを含む)間のどの位置にあるか算出する。
【0142】
その後、ステップS43において、指定されたXY座標の位置にある勾配の曲線はZ構成点を用いて近似曲線として求める。近似曲線には、多項式曲線やスプライン曲線、ベジェ曲線、円弧曲線、クロソイド曲線等を用いる。
【0143】
したがって、Z構成点作成部25は、Z座標曲線近似値算出部42にて用いる近似曲線に応じて、Z構成点の個数や配置を決定する点が、実施の形態1〜実施の形態5と異なる。以下、この点を図26及び図6を参照して説明する。
【0144】
実施の形態6におけるZ構成点の抽出方法は、道路リンクL41Zを構成するXYZ空間上での開始点SZ,終点EZを取り出し、開始点SZ,終点EZ間に指定された近似曲線を対応づけることにより行われる。
【0145】
図18に戻って、ステップS44において、ステップS43で求めた近似曲線に、ステップS41で指定したXY座標を代入し、対応するZ座標を算出し、当該Z座標を出力部32より出力する。
【0146】
以下、ステップS43の近似曲線を求める処理について詳述する。ステップS43において、予め決められた近似曲線を適用しても、道路種別や構成点の分布によって自動的に近似曲線を選択するようにしても良い。
【0147】
自動的に近似曲線を選択する場合は、道路種別によって判別する方法があげられる。高速道路では、カーブを設計する際にクロソイド曲線が利用されるため、近似曲線はクロソイド曲線を選択する。一般道では、クロソイド曲線のみで設計されていないため、勾配が緩やかに変化する箇所は折れ線、勾配形状が単純な曲線は円弧、複雑な場合はスプラインを選択する方法等があげられる。また、入力であるポリラインの形状に最も近い曲線を算出する方法もある。ポリラインと曲線の距離は、おのおのを媒介変数表現し、与えられた媒介変数の値に対応したポリラインおよび曲線上の2点間の距離の和により定義し、この値が小さいものほど近いと定義する。距離の定義については、X軸(もしくはY軸)に平行な(等間隔に配置された)直線とポリラインおよび曲線おのおのの交点との距離の和としてもよい。
【0148】
なお、予め決められた近似曲線を適用する場合には、Z構成点作成部25によってZ構成点を求める計算量が少なくてすむという効果がある。
【0149】
一方、複数の近似曲線から自動的に近似曲線を適用する場合には、適切な曲線を選ぶことで、実態と誤差の少ないZ座標を提供できる効果がある。
【0150】
図19は実施の形態6におけるZ座標算出方法を説明するための説明図である。以下、図19を参照して、3次元道路地図データ生成装置11を用いて3次元道路地図記憶装置12に格納された格納用3次元道路地図データにおける道路リンク列L1Z〜L3Zから、道路リンク列L1Z〜L3Z上の任意の位置のXY座標を指定された場合にZ座標曲線近似値算出部42を用いて、対応するZ座標を求める方法を説明する。
【0151】
例えば、道路リンク列L1XY上の位置P6のXY座標が指定された場合には、道路リンク列L1Z〜L3Z上にあることがわかり、道路リンク列L1Z〜L3Zが形成する近似曲線を求める。図19では、Z構成点PZ1とPZnは曲線の変曲点として配置している。例えば、スプライン曲線にて近似を行う。求めたスプライン曲線の式から、指定された位置P6のXY座標の位置に対応するZ座標の値を取得する。
【0152】
このように、実施の形態6の3次元道路地図データ処理システム2におけるZ座標曲線近似値算出部42は、第2の数のZ構成点間を曲線近似する曲線近似処理を実行することにより直線近似よりも精度のよい近似値を得ることができるため、Z構成点情報のデータサイズを増加させることなく、所望のリンク上のXY座標に対応するZ座標を精度良く得ることができる効果を奏する。
【0153】
本実施の形態では、Z構成点が道路リンク列に対応した場合を示しているが、実施の形態1〜実施の形態4のようにZ構成点が道路リンクに対応してもよい。
【0154】
<実施の形態7>
図20はこの発明の実施の形態7による道路リンクデータ構成部20が構築する格納用3次元道路地図データのデータ構造を示す説明図である。
【0155】
同図に示すように、さらに、Z構成点情報は、使用する近似式を指示する近似値情報76をさらに有している。図20で示す例では近似値情報76はクロソイド曲線88を指示している。なお、他のデータ構造は図5で示した実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0156】
図21は、実施の形態7による3次元道路地図データ処理システム3の機能構成を示すブロック図である。図1に示された実施の形態1における3次元道路地図データ処理システム1の3次元道路地図データ出力装置13内のZ座標直線近似値算出部41に代わって、3次元道路地図データ出力装置15内にZ座標近似式算出部43を有している点が異なる。なお、他の構成は図1で示した実施の形態1の3次元道路地図データ処理システム1と同様である。
【0157】
図22は、3次元道路地図データ処理システム3内の3次元道路地図データ出力装置15より道路リンクの任意の位置のZ座標値を取り出す場合のデータ出力処理を示すフローチャートである。
【0158】
同図を参照して、ステップS41において、入力部31より道路リンク上の(x,y)の位置のZ座標値を取得するよう命令を出す。この際、道路リンクデータ取得部30を用いて、3次元道路地図記憶装置12より道路リンクデータの情報を取得する。
【0159】
ステップS52において、道路リンクデータ取得部34は、入力部31より指定されたデータが道路リンクデータのZ座標値の場合にはZ座標曲線近似値算出部43によって、指定したXY座標が道路リンク列上のZ構成点(始点及び終点ノードを含む)間のどの位置にあるか算出する。
【0160】
その後、ステップS53において、近似値情報76の指示する近似手法を特定する。図20で示した3DリンクレコードLR1で指示するリンクの場合は、データ内に近似式情報として、クロソイド曲線が指定されている。指定する近似値情報76としては、直線、クロソイド、円弧曲線等の道路設計上用いられる線形の式があげられる。その他、複雑な形状の場合には、スプライン曲線やベジエ曲線や多項式で示す曲線式等がある。
【0161】
その後、ステップS54において、ステップS53で特定した近似手法により、Z構成点における勾配の近似式を求める。すなわち、指定されたXY座標の位置にある勾配の曲線はZ構成点や必要であれば始点及び終点ノードを用いてデータ内に格納された近似方法にて近似式を求める。
【0162】
そして、ステップS55において、ステップS54で求めた近似曲線に、ステップS51で指定したXY座標を代入し、対応するZ座標を算出する算出し、当該Z座標を出力部32より出力する。
【0163】
なお、単体のリンクだけでなく、リンク列に対応して3Dリンク列レコードに近似式情報をもたせる構成としてもよい。
【0164】
このように、3Dリンクレコードに近似式情報をもたせることによって、すべての直線あるいは曲線を同じ手法で近似するのではなく、道路リンクの形状に応じて適切な近似方法を指定することができる。そのため、精度のよい近似値を得ることができる。
【0165】
すなわち、実施の形態7の3次元道路地図データ処理システム3において、Z座標近似式算出部43は、複数の近似式から選ばれた選択近似式を用いて、直線近似処理あるいは曲線近似処理を実行するにより、指定されたリンク上のXY座標に応じて精度のよいZ座標値を得ることができる。
【0166】
<実施の形態8>
また、3次元道路地図データ出力装置13は3次元道路地図情報を利用するナビゲーション装置に組み込んでもよい。
【0167】
図23はこの発明の実施の形態8である移動体ナビゲーション装置を示すブロック図である。実施の形態8の移動体ナビゲーション装置100は、タッチパネルやリモコン等の入力装置160、ディプレイや音声出力を行う出力装置161、CPU162、メモリ163、外部サーバとの通信を行う通信装置164、地図情報を格納しておく地図データ記憶装置165、指定された目的地までの経路を計算し案内を行う経路案内処理部166、地図を表示する地図表示部167、ロケータやジャイロセンサ等の各種センサ168、GPS受信機169、地図データ記憶装置165から必要なデータを取り出す3次元道路地図データ出力装置13(〜15)を備えた地図データアクセス部170から構成されている。これらは、通常のカーナビゲーションに代表される移動体ナビゲーション装置と同様のシステム構成である。
【0168】
地図データ記憶装置165には、3次元道路地図データ生成装置11にて作成した格納用3次元道路地図データを格納しており、3次元道路地図データ出力装置13を備えた地図データアクセス部170を用いてデータを取り出すことができる。
【0169】
例えば、地図表示部167が地図データを取り出す際には、地図データアクセス部170に必要なデータの要求を出し、3次元道路地図データ出力装置13から地図データ記憶装置165にアクセスして目的となるデータを取り出し、求められた形式に変換して値を地図表示部167に返却する。
【0170】
具体的には、地図データアクセス部170は、GPS受信機169により現在位置(X、Y)を把握し、現在位置に合致する道路リンクを地図データ記憶装置165内の格納用3次元道路地図データから取り出し、必要に応じて取り出した道路リンクのXY構成点情報及びZ構成点情報に基づきXY構成点に対応するZ座標値を算出して、地図表示部167に地図情報を出力する。
【0171】
このように、実施の形態8の移動体ナビゲーション装置100は、内部に3次元道路地図データ出力装置13を組み込むことで、データサイズを削減した格納用3次元道路地図データを移動体ナビゲーション装置内で利用することが可能となる。
【0172】
なお、本実施の形態では地図データアクセス部170に3次元道路地図データ出力装置13を組み込んで構成したが、XY構成点に対応するZ座標値を求める処理は、地図データアクセス部170で実施しない構成にしても良い。
【0173】
例えば、地図データアクセス部170に代えて、経路案内処理実行時に経路誘導の計算を行う経路案内処理部166で実施しても良い、この場合、地図データアクセス部170は単に格納用3次元道路地図データにアクセスしそのまま格納用3次元道路地図データを経路案内処理部166に渡すだけでよい。このようにすることで、Z座標値が不要なときにはZ座標値を求める計算をしなくても良いのでCPU処理が削減される。
【0174】
例えば、Z座標値が必要な処理には、勾配を勘案したエコルート探索や、 EV(電気自動車),HEV(ハイブリッド電気自動車)の走行計画処理、カーブやインターチェンジなどの速度超過における安全警報計算がある。
【0175】
また、Z座標値を求める処理を別の計算モジュールで一括して実行する構成にしても良く、この場合、複数の処理モジュールがZ座標値を必要とする場合に重複して計算する必要が無い。
【0176】
このように、移動体ナビゲーション装置100内の地図データ記憶装置165に格納される格納用3次元道路地図データにおける道路リンクを示す情報として、XY構成点情報及びZ構成点情報に分けることにより、XY成分変化及びZ方向成分変化に基づき第1の数及び第2の数を互いに独立して決定することができる分、第1の数及び第2の数を必要最小限に抑えることができる。
【0177】
さらに、実施の形態8の移動体ナビゲーション装置100において、地図データ記憶装置165に格納される格納用3次元道路地図データのX構成成分情報はXY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する内容であるためZ方向成分を必要としない分、情報量を削減することができる。その結果、格納用3次元道路地図データの減量化を図ることができる。
【0178】
さらに、格納用3次元道路地図データのZ構成点情報はXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示するため、上記XY関連成分に基づき、各XY構成点のZ方向成分を算出することができるため、3次元道路地図データとしての精度を維持することができる。
【0179】
<その他>
(方法発明への適用)
実施の形態1〜実施の形態7で示した3次元道路地図データ処理システム1(〜3)における3次元道路地図データ生成装置11による格納用3次元道路地図データの作成方法は以下のステップを備える方法発明としても適用可能である。
【0180】
すなわち、3次元座標による3次元道路地図データを受け、始点から終点に至る少なくとも一つの道路リンクからなる格納用3次元道路地図データを生成する方法であって、上記少なくとも一つの道路リンクはそれぞれXY構成点情報及びZ構成点情報を含み、以下のステップ(a) ,(b) を実行する。
【0181】
ステップ(a):3次元道路地図情報に基づき、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示するXY構成点情報を作成する。
【0182】
ステップ(b) :上記XY構成点情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示するZ構成点情報を作成する。
【0183】
そして、Z構成点情報に基づき、第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であることを特徴とする。
【0184】
このように、上述した次元道路地図データの生成方法は、格納用3次元道路地図データにおける道路リンクを示す情報として、XY構成点情報及びZ構成点情報に分けることにより、XY成分変化及びZ方向成分変化に基づき第1の数及び第2の数を互いに独立して決定することができる分、第1の数及び第2の数を必要最小限に抑えることができる。
【0185】
さらに、3次元道路地図データの生成方法において、上記ステップ(a) により作成されるX構成成分情報は、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する内容であるため、Z方向成分を必要としない分、格納用3次元道路地図データの情報量を削減することができる。その結果、格納用3次元道路地図データの減量化を図ることができる。
【0186】
加えて、上記ステップ(b) により作成されるZ構成点情報はXY構成点情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示するため、上記XY関連成分に基づき、各XY構成点のZ方向成分を算出することができるため、3次元道路地図データとしての精度を維持することができる。
【0187】
(他の態様)
また、図24に示すように、実施の形態1〜実施の形態7において、3次元道路地図データ出力装置13〜15を除き、3次元道路地図データ生成装置11及び3次元道路地図記憶装置12からなる構成に特化した3次元道路地図データ処理システム4を他の態様として考えられる。
【0188】
この態様においても、格納用3次元道路地図データにおける道路リンクを示す情報として、XY構成点情報及びZ構成点情報に分けることにより、XY成分変化及びZ方向成分変化に基づき第1の数及び第2の数を互いに独立して決定することができる分、第1の数及び第2の数を必要最小限に抑えることができる効果を奏する。
【0189】
さらに、3次元道路地図データ生成装置11は、XY構成点作成部24により作成されるX構成成分情報はXY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する内容であるため、Z方向成分を必要としない分、格納用3次元道路地図データの情報量を削減することにより、システムの減量化を図ることができる効果を奏する。
【符号の説明】
【0190】
1〜3 3次元道路地図データ処理システム、11 3次元道路地図データ生成装置、12 3次元道路地図記憶装置、13〜15 3次元道路地図データ出力装置、20 道路リンクデータ構成部、21,31 入力部、22,32 出力部、24 XY構成点作成部、25 Z構成点作成部、30 道路リンクデータ取得部、41 Z座標直線近似値算出部、42 Z座標曲線近似値算出部、43 Z座標近似式算出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元座標による3次元道路地図情報に基づき、始点から終点に至る少なくとも一つの道路成分を構成要素とする格納用3次元道路地図データを生成する3次元道路地図データ生成装置であって、
前記少なくとも一つの前記道路成分はそれぞれXY構成点情報及びZ構成点情報を含み、
前記3次元道路地図情報に基づき、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する前記XY構成点情報を作成するXY構成点作成部と、
前記3次元道路地図情報に基づき、前記XY構成点情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示する前記Z構成点情報を作成するZ構成点作成部とを備え、
前記Z構成点情報に基づき、前記第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であることを特徴とする、
3次元道路地図データ生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の3次元道路地図データ生成装置と、
前記格納用3次元道路地図データを格納する3次元道路地図情報記憶装置と、
前記格納用3次元道路地図データにおける前記XY構成点情報で指示される各前記XY構成点について、前記Z構成点情報に基づきZ方向成分を算出し、前記XY構成点に算出された前記Z方向成分を加味した出力用3次元道路地図データを出力可能な3次元道路地図データ出力装置とを備える、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項3】
請求項2記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記XY関連成分は各前記Z構成点におけるX座標値及びY座標値を含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項4】
請求項2記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記第2の数のZ構成点は各前記道路成分の始点〜終点間に所定の距離間隔で順次設定され、
前記XY関連成分は前記所定の距離間隔と始点から設定順序とを含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項5】
請求項2記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記XY関連成分は各前記道路成分の始点からの各Z構成点までの距離を含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項6】
請求項2記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記XY関連成分は前記第1の数のXY構成点中のうち各Z構成点に最も近いXY構成点を指示するインデックス情報及び当該最も近いXY構成点からの距離を含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のうち、いずれか1項に記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
少なくとも一つの道路成分は複数の道路成分を含み、
前記Z構成点作成部は、前記Z構成点情報を前記複数の道路成分単位で生成する、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項8】
請求項2ないし請求項6のうち、いずれか1項に記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記3次元道路地図データ出力装置は、
始点、終点、及び前記第2の数のZ構成点のうち、隣接する2点間を直線近似する直線近似処理を実行して、前記第1の数のXY構成点それぞれにおけるZ方向成分を算出可能なZ方向成分近似算出部を含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項9】
請求項2ないし請求項6のうち、いずれか1項に記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記3次元道路地図データ出力装置は、
始点、終点、及び前記第2の数の第2のZ構成点のうち、隣接する2点間を曲線近似する曲線近似処理を実行して、前記第1の数のXY構成点それぞれにおけるZ方向成分を算出可能な、Z方向成分近似算出部を含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項10】
請求項8あるいは請求項9記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記Z方向成分近似算出部は、複数の近似式から選ばれた選択近似式を用いて、前記直線近似処理あるいは前記曲線近似処理を実行する、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項11】
請求項9記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記3次元データ出力用データは曲線近似式を規定した近似式情報を含み、
前記Z方向成分近似算出部は、前記近似式情報が指示する曲線近似式を用いて、前記曲線近似処理を実行する、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項12】
始点から終点に至る少なくとも一つの道路成分を構成要素とする格納用3次元道路地図データを格納する3次元道路地図情報記憶装置を備え、
前記少なくとも一つの前記道路成分はそれぞれXY構成点情報及びZ構成点情報を含み、
前記XY構成点情報は、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示し、
前記Z構成点情報は、前記XY関連情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点とを指示し、前記Z構成点情報に基づき、前記第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であり、
X方向成分及びY方向成分の2次元の現在位置データを取得する現在位置取得部と、
前記格納用3次元道路地図データ内における前記少なくとも一つの道路成分のうち、前記現在位置データに合致する道路成分を抽出する地図アクセス部とをさらに備える、
ナビゲーション装置。
【請求項13】
3次元座標による3次元道路地図情報に基づき、始点から終点に至る少なくとも一つの道路成分を構成要素とする格納用3次元道路地図データを生成する方法であって、前記少なくとも一つの前記道路成分はそれぞれXY構成点情報及びZ構成点情報を含み、
(a) 前記3次元道路地図情報に基づき、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する前記XY構成点情報を作成するステップと、
(b) 前記3次元道路地図情報に基づき、前記XY関連情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示する前記Z構成点情報を作成するステップとを備え、
前記Z構成点情報に基づき、前記第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であることを特徴とする、
3次元道路地図データ生成方法。
【請求項1】
3次元座標による3次元道路地図情報に基づき、始点から終点に至る少なくとも一つの道路成分を構成要素とする格納用3次元道路地図データを生成する3次元道路地図データ生成装置であって、
前記少なくとも一つの前記道路成分はそれぞれXY構成点情報及びZ構成点情報を含み、
前記3次元道路地図情報に基づき、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する前記XY構成点情報を作成するXY構成点作成部と、
前記3次元道路地図情報に基づき、前記XY構成点情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示する前記Z構成点情報を作成するZ構成点作成部とを備え、
前記Z構成点情報に基づき、前記第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であることを特徴とする、
3次元道路地図データ生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の3次元道路地図データ生成装置と、
前記格納用3次元道路地図データを格納する3次元道路地図情報記憶装置と、
前記格納用3次元道路地図データにおける前記XY構成点情報で指示される各前記XY構成点について、前記Z構成点情報に基づきZ方向成分を算出し、前記XY構成点に算出された前記Z方向成分を加味した出力用3次元道路地図データを出力可能な3次元道路地図データ出力装置とを備える、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項3】
請求項2記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記XY関連成分は各前記Z構成点におけるX座標値及びY座標値を含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項4】
請求項2記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記第2の数のZ構成点は各前記道路成分の始点〜終点間に所定の距離間隔で順次設定され、
前記XY関連成分は前記所定の距離間隔と始点から設定順序とを含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項5】
請求項2記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記XY関連成分は各前記道路成分の始点からの各Z構成点までの距離を含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項6】
請求項2記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記XY関連成分は前記第1の数のXY構成点中のうち各Z構成点に最も近いXY構成点を指示するインデックス情報及び当該最も近いXY構成点からの距離を含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のうち、いずれか1項に記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
少なくとも一つの道路成分は複数の道路成分を含み、
前記Z構成点作成部は、前記Z構成点情報を前記複数の道路成分単位で生成する、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項8】
請求項2ないし請求項6のうち、いずれか1項に記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記3次元道路地図データ出力装置は、
始点、終点、及び前記第2の数のZ構成点のうち、隣接する2点間を直線近似する直線近似処理を実行して、前記第1の数のXY構成点それぞれにおけるZ方向成分を算出可能なZ方向成分近似算出部を含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項9】
請求項2ないし請求項6のうち、いずれか1項に記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記3次元道路地図データ出力装置は、
始点、終点、及び前記第2の数の第2のZ構成点のうち、隣接する2点間を曲線近似する曲線近似処理を実行して、前記第1の数のXY構成点それぞれにおけるZ方向成分を算出可能な、Z方向成分近似算出部を含む、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項10】
請求項8あるいは請求項9記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記Z方向成分近似算出部は、複数の近似式から選ばれた選択近似式を用いて、前記直線近似処理あるいは前記曲線近似処理を実行する、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項11】
請求項9記載の3次元道路地図データ処理システムであって、
前記3次元データ出力用データは曲線近似式を規定した近似式情報を含み、
前記Z方向成分近似算出部は、前記近似式情報が指示する曲線近似式を用いて、前記曲線近似処理を実行する、
3次元道路地図データ処理システム。
【請求項12】
始点から終点に至る少なくとも一つの道路成分を構成要素とする格納用3次元道路地図データを格納する3次元道路地図情報記憶装置を備え、
前記少なくとも一つの前記道路成分はそれぞれXY構成点情報及びZ構成点情報を含み、
前記XY構成点情報は、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示し、
前記Z構成点情報は、前記XY関連情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点とを指示し、前記Z構成点情報に基づき、前記第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であり、
X方向成分及びY方向成分の2次元の現在位置データを取得する現在位置取得部と、
前記格納用3次元道路地図データ内における前記少なくとも一つの道路成分のうち、前記現在位置データに合致する道路成分を抽出する地図アクセス部とをさらに備える、
ナビゲーション装置。
【請求項13】
3次元座標による3次元道路地図情報に基づき、始点から終点に至る少なくとも一つの道路成分を構成要素とする格納用3次元道路地図データを生成する方法であって、前記少なくとも一つの前記道路成分はそれぞれXY構成点情報及びZ構成点情報を含み、
(a) 前記3次元道路地図情報に基づき、XY平面上のX方向成分及びY方向成分のみにより位置決めされる第1の数のXY構成点を指示する前記XY構成点情報を作成するステップと、
(b) 前記3次元道路地図情報に基づき、前記XY関連情報と所定の関連性を有するXY関連成分とZ方向成分とにより位置決めされる第2の数のZ構成点を指示する前記Z構成点情報を作成するステップとを備え、
前記Z構成点情報に基づき、前記第1の数のXY構成点それぞれのZ方向成分が算出可能であることを特徴とする、
3次元道路地図データ生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2013−7889(P2013−7889A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140393(P2011−140393)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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