説明

3次対象物を作成する媒体ベースのシステム

【課題】3Dコンピュータベースのカラーモデルに基づいて、色を正確に再現した物理的3次元対象物を生成する。
【解決手段】印刷される媒体の層を用いることで、色を正確に再現した、物理的対象物に成形する。即ち、3Dコンピュータベースのカラーモデルを3Dの断面セグメントにスライスし、これらの断面セグメントにモデルの色情報を保持する。これにより3Dの断面セグメントを2Dページ像に変換することができ、断面セグメントに対応する平面像に色情報を含ませることができる。これにより、ページ像を印刷して、断面印刷物を形成することができ、これらの断面印刷物が積み上げられ、トリミングを行うことにより、対象物が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する実施形態は、3Dコンピュータベースのモデルに基づいて、色を正確に再現した3次元(3D)の物理的対象物を、媒体の層を用いて作成することに関する。
【背景技術】
【0002】
シートベースの3次元(3D)プリンタは、接着剤及び紙やマイラー等の媒体の層を用いて、従来のラピッドプロトタイピング装置(例えば、光造形法、粉末焼結式積層法、熱溶解積層法)よりも速くて安いコストで、3Dコンピュータベースのモデルから、物理的対象物を作り上げる。シート対応の3Dプリンタでは、媒体の層は加えられると、既に積層された層に接着し、元となるコンピュータ上のモデルの断面に対応してトリミングされ、物理的モデルを作り上げている。これらのプリンタを用いて、非常に複雑な対象物を作ることができるが、大抵その対象物は単一色(元となる媒体の色)である。「地形図」の外観は、媒体の層ごとに異なる色を用いることで実現できるが、これらの色は元となるコンピュータ上のモデルとは無関係である。従来のシート対応の3D印刷システムでは、元となるコンピュータ上のモデルの色特性を利用せず、したがって、一般的に、色を正確に再現した、それらのモデルの物理的レンダリングは形成されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に記載する態様によると、3次元(3D)コンピュータベースのモデルから物理的対象物を形成する方法を提供する。この方法は、3Dコンピュータベースのモデルに関するページ像を形成するステップを含む。これらのページ像は、3Dコンピュータベースのモデルの断面セグメントに対応する。モデルには画像の色が含まれるが、その色は、物理的対象物を形成するために用いられる媒体の色とは異なる。この方法は、モデル内の画像の色の位置に基づいて、画像の色をページ像に組み込むステップをさらに含む。ページ像は媒体上に印刷されて断面印刷物を形成するよう構成され、その断面印刷物から物理的対象物が形成される。
【0004】
本明細書に記載する別の態様によると、3次元(3D)コンピュータベースのモデルから物理的対象物を形成するシステムを提供する。このシステムは、処理装置及び媒体印刷システムを含む。処理装置は3Dコンピュータベースのモデルに関するページ像を形成し、モデル内の画像の色の位置に基づいて、画像の色をページ像に組み込む。ページ像は3Dコンピュータベースのモデルの断面セグメントに対応する。3Dコンピュータベースのモデルには、画像の色が含まれるが、その色は、物理的対象物を形成するために用いられる媒体の色とは異なる。媒体印刷システムは、媒体上のページ画像を印刷して断面印刷物を形成し、その断面印刷物から物理的対象物が形成される。
【0005】
本明細書に記載するさらに別の態様によると、処理装置が実行する命令を記憶する持続性のコンピュータ可読媒体を提供する。この命令を実行することで、3次元(3D)コンピュータベースのモデルから物理的対象物を形成する方法が実行される。この命令を実行することで行われる方法は、3Dコンピュータベースのモデルに関するページ像を形成するステップを含む。ページ像は3Dコンピュータベースのモデルの断面セグメントに対応する。モデルには画像の色が含まれ、その色は物理的対象物を形成するために用いられる媒体の色とは異なる。この命令を実行することで行われる方法は、モデル内の画像の色の位置に基づいて、画像の色をページ像に組み込むステップをさらに含む。ページ像は、媒体上に印刷されて断面印刷物を形成するよう構成され、その断面印刷物から物理的対象物が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、例示的なカラー対応可能な3次元(3D)対象物作成システムのブロック図である。
【図2】図2は、カラー対応可能な3次元(3D)対象物作成システムの一実施形態において、分解システムの実施形態を実行するための例示的なコンピュータ装置のブロック図である。
【図3】図3は、カラー対応可能な3次元(3D)対象物作成システムの実施形態をネットワーク環境内で実行するための例示的なコンピュータシステムの説明図である。
【図4】図4は、カラー対応可能な3次元(3D)対象物作成システムの実施形態により、加工される例示的な3次元モデルの説明図である。
【図5】図5は、スライス状に切り取られた、図4の3Dモデルの例示的な断面セグメントの断面図である。
【図6】図6は、図5に示された断面セグメントを用いて、生成することができる例示的なページ像の説明図である。
【図7】図7は、カラー対応可能な3次元(3D)対象物作成システムの実施形態により、実行される例示的な対象物作成プロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
例示的な実施形態には、シート対応の3D対象物作成システムにより、コンピュータ環境内の、3次元(3D)コンピュータベースのモデル内に組み込まれた色情報を用いて、色を正確に再現するモデルの物理的レンダリングを生成するものも含まれる。実施形態では、3Dコンピュータ上のカラーモデルを3Dの断面要素にスライスして、その中にモデルの色情報を保持させることが可能である。3Dの断面セグメントを2Dのページ像に変換することができる。モデルに関連する色をモデル内の色の位置に基づいて、ページ像の中に含ませることができる。実施形態では、ページ像を印刷して断面印刷物を形成し、この断面印刷物を積み重ねトリミングして、完成した印刷物の積層から、モデルを表現する物理的対象物を成形することができる。物理的対象物の表面は、モデルの色の正確なレンダリングを行うための、印刷物に転写されるモデルに一致する色を含むことができる。
【0008】
本明細書で使用される「2次元」即ち「2D」とは、高さ、幅、及び奥行きのうちのいずれか2つ有すること、又は有するように見ることを指す。
【0009】
本明細書で使用される「3次元」即ち「3D」とは、奥行きに加え、高さ及び幅を有すること、又は有するように見ることを指す。
【0010】
本明細書で使用される「3Dコンピュータベースのモデル」即ち「モデル」とは、3つの寸法を有する、又は有するように見える、コンピュータ支援設計(CAD)環境、又はその他のモデリング環境等を用いてコンピュータ環境の中で生成される対象物の3次元形状の数学的表現のことを指す。
【0011】
本明細書で使用される「断面セグメント」とは、モデルを面で切断されて、モデルからスライスされた3Dモデルの一部のことを指す。
【0012】
本明細書で使用される「画像」とは、絵、写真、文字情報、図形、絵、及び/又は、写真等を含むコンピュータ上の文書等の視覚表示のことを指し、これらの視覚表示は、表示装置により表示される、及び/又は、媒体上に印刷される。
【0013】
本明細書で使用される「平面像」とは、一般に平面上に属し、その平面の上面又は断面を表す画像のことを指す。
【0014】
本明細書で使用される「ページ像」とは、断面印刷物として印刷されたシートを示す画像のことを指す。
【0015】
本明細書で使用される「位置」とは、参照される場所又は領域に関する空間位置のことを指す。
【0016】
本明細書で使用される「媒体」とは、画像を印刷する、又は載せることができる紙(シート紙、長いロール紙、一定量の紙等)、スライド、羊皮紙、フィルム、布、プラスチック、又はその他の基質等の有形の表現媒体のことを指す。
【0017】
本明細書で使用される「断面印刷物」とは、ページ像を載せ、コンピュータ上のモデルの物理的対象物、即ち雛形を形成するための層として用いられる媒体のシートのことを指す。
【0018】
本明細書で使用される「色」とは物理的対象物、即ち雛形の特性のことを指し、この特性により、物理的対象物、即ち雛形が基づくモデルの色に対象物の色が一致する。
【0019】
本明細書で使用される「レンダリング」とは、実世界又はコンピュータ上に存在し得る対象物又は物の描写、表現、複写、又は再生のことを指す。
【0020】
本明細書で使用される「スライス」とは、そのセグメント生成するためのデータ操作又は再構成等により、2次元セグメントに分割、分断、及び/又は分離することを指す。
【0021】
本明細書で使用される「寸法」とは、高さ又は幅等の対象物又は物の測定可能な特性のことを指す。
【0022】
本明細書で使用される「数量」とは、数又は量のことを指す。
【0023】
本明細書で使用される「積層」とは、印刷される、又は印刷された媒体シートのパイル、又はページ像の配列等の積み重ねられたパイル又はパイル配列のことを指す。
【0024】
本明細書で使用される「バックグランド層」とは、平面像を配置させるページ像の構成要素のことを指す。
【0025】
本明細書で使用される「層」とは、積層の要素、又はその構成要素のことを指す。
【0026】
本明細書で使用される「トリミング」又は「カッティング」とは、せん断する、引き裂く、物理的に分離する等を指す。
【0027】
本明細書で使用される「トリム経路」とは、対象物がカット又はトリミングされる経路のことを指す。
【0028】
本明細書で使用される「処理装置」とは、命令を実行して、処理、手順、演算等を行う制御装置、又はプロセッサのことを指す。
【0029】
本明細書で使用される「媒体印刷システム」とは、インク、トナー等を用いて基質媒体上に画像を形成する装置、機械、機器等のことを指し、「多色印刷システム」とは、1色より多くの色(レッド、ブルー、グリーン、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、クリア等)のインク、又はトナーを用いて、基質媒体上に画像を形成する印刷システムのことを指す。「印刷システム」とは、プリンタ、デジタル複写機、製本機、ファクシミリ、多機能装置等の印刷物を出力する機能を実行する全ての装置を包含することができる。印刷システムの例として、乾式複写方式、直接紙に印刷する方式(ダイレクトマーキング等)、モジュール式重ね刷りプレス方式(MOP)、インクジェット方式、固体インク方式のシステム及びその他の印刷システムが含まれる。
【0030】
本明細書で使用される「3D印刷システム」とは、媒体シートを積み重ね、トリミングすることにより、物理的対象物、即ち雛形を形成する装置、機械、機器等のことを指す。
【0031】
本明細書で使用される「持続性コンピュータ可読媒体」、「コンピュータ可読媒体」、「記憶装置」とは、情報を記憶し、例えば、フロッピドライブ、ハードドライブ、コンパクトディスク、テープドライブ、フラッシュドライブ、光学式ドライブ、リードオンリーメモリー(ROM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)等を用いて実行することができる装置のことを指す。
【0032】
図1には、カラー対応可能な3次元(3D)対象物作成システム100のブロック図(以後本明細書では、「システム100」と呼ぶ)が示される。このシステムは、モデル分解システム110と、媒体印刷システム140と、3Dの対象物印刷システム160(以後本明細書では、「システム160」と呼ぶ)と、を含むことができる。システム100は、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを用いて作成されたモデルなどの、コンピュータ上で作成された3Dモデル102を加工し、このモデル102に対応する物理的対象物104を、トリミングされた基質媒体の層を用いて作成することができる。システム100により、個別の色の対象物の作成が容易になり、これにより、対象物104がモデル102内に含まれる色に一致する色を含むようになる。元となる媒体の積層内のシートは、カラープリンタで印刷される。この雛形の層に基づいて、3Dモデル内に組み込まれた色情報が印刷物上に印刷され、この印刷物を用いて組立が行われる。トリム経路に沿ってページをトリミングするとき、トリミングされた端に色が付き、フルカラーの3Dの雛形が作成される。システム100の実施形態により、基質媒体の層を用いる対象物作成処理を、ユーザに提供することができ、この処理により、3Dモデルの形状及び寸法だけでなく、3Dモデルの色も正確に再現される対象物を作成することができる。
【0033】
モデル分解システム110は、モデル・スライス・ユニット112と、ページ像生成装置114(以後本明細書では、「生成装置114」と呼ぶ)と、積層生成装置116と、を含むことができる。システム110は、モデルファイルとして表示される3Dモデル102を受け取ることができ、そして、この3Dモデルを均一なスライスに分割して、3Dモデルの断面セグメントを作成することができる。このモデルの断面セグメントを用いて、ページ像を生成することができ、このページ像が集まり、ページ像積層が形成される。対象物を形成するために用いる媒体の厚みに基づいて、モデル102をスライスすることができる。積層生成装置116は、順番に並んだ架空のページ像の積層を作成することができる。この順番に並んだ積層は、ページ画像が印刷される順番に対応する。3Dモデルの色情報を、断面セグメント内に保持させ、ページ像内に含ませることができる。ある実施形態では、断面セグメントの外周に色を付け、対象物が作り上げられると見えなくなる断面セグメントの内側部分では色付けを省略する。これらの実施形態では、断面セグメントに対応するページ像を記憶するためのコストを抑え、ページ像を印刷する際に必要なインク/トナーの量を削減することができる。
【0034】
ソフトウェアにより、3DのCADモデルは、ページに対応する複数の層に分割され、3Dプリンタがこれらのページを用いて、物理的モデルを作り上げる。CADモデル内に組み込まれた色情報は各層/ページに移され、これにより、トリミングされる端に色を付けた状態で、各ページを印刷することができる。次いで、従来のカラープリンタ上の画像をページの積層に印刷し、配列した積層として、3Dプリンタに読み込まれる。したがって、トリミングされた積層の端には、基質の色が付き、これに画像の色の付いたトナー/インクの層が重ねられる。これにより、フルカラーの3Dが出力される。2枚のトナー/インクの層が、各シートの両側が印刷され、又は広い範囲(即ち、より厚いトナー層)されて使用されれば、基質の色のうちのいくつか(一般にはホワイト)が、より暗い色を示す恐れがあるが、それでもトナー色は目に見える。インクが基質を通して浸透することで、基質色の可視性が低減され、これによってもより暗い色のモデルが表現される。
【0035】
モデル・スライス・ユニット112により、モデルを断面セグメントに分割することができる。このモデル・スライス・ユニット112は、生成される断面セグメントの寸法、及び断面セグメントの数量を決定するとき、1つ以上のパラメータを用いることができる。いくつかの実施形態では、モデル・スライス・ユニット112が、作り上げる対象物の寸法をモデルから割り出すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、そのモデルに基づいて作り上げられる対象物の寸法にモデルの寸法を相関させるために用いられる倍率を、モデルが含むことができる。例えば、1:1の縮尺比により、そのモデルが作り上げられる対象物の実寸法であることが示され、縮尺比1:2により、作り上げられる対象物の寸法は、モデルの寸法の2倍であることが示され得る。作り上げられる対象物の寸法のうちの少なくとも1つを用いることで、モデル・スライス・ユニットは、対象物を作り上げるために必要な基質媒体の積層に関する高さを算出することができる。例えば、モデル・スライス・ユニット112は、断面セグメントが形成される方向と垂直な方向の寸法を用いて積層の高さを判定することができる。
【0036】
モデル・スライス・ユニット112は、対象物を作るために用いられる基質媒体の種類と厚みとを割り出すことができる。いくつかの実施形態では、モデル・スライス・ユニット112は、システム110に実装されたユーザインターフェースを通してユーザから、用いられる基質媒体の種類を受け取ることができる。基質媒体が選択されると、このユニットが、その選択された基質媒体の種類の厚みを所得することができるよう、このモデル・スライス・ユニット112は、予想される基質媒体の種類、及びそれに対応する基質媒体の種類の厚みを有するデータベースを含むことができる。
【0037】
作成される対象物の寸法、及び媒体の寸法に対応する情報を用いることで、モデル・スライス・ユニット112は、生成する断面セグメントの数を判定することができる。例えば、モデル・スライス・ユニット112は、基質媒体の積層の高さを、基質媒体の厚みで除算して、生成する断面セグメントの数を算出することができる。いくつかの実施形態では、モデル・スライス・ユニットは、モデルを分析して、寸法と色の両方が同一の断面セグメントを割り出し、それらのセグメントをグループ分けして、同一の断面セグメントごとに、再利用できる断面セグメントを1つ生成することができるようにすることができる。これにより、生成される断面セグメントのトータル数を削減することができ、それにより、生成されるページ像の数が削減され、使用される記憶容量も抑えることができる。再利用できる断面セグメントを生成することにより、モデル分解に必要な処理時間を短縮することもできる。
【0038】
生成装置114は、モデル・スライス・ユニット112により形成された断面セグメントから、ページ像を生成することができる。生成装置114は、3Dモデルの断面セグメントを2Dの平面像に平坦化することにより、ページ像を生成することができる。例えば、生成装置114は、断面セグメントごとに、ページ像を生成することができる。生成装置114により形成された平面像を、物理的対象物を形成するために使用する媒体に対応するバックグランド層の上に配置することができる。画像を積み重ね、バックグランド層が取り除かれたとき、平面像を形成した元のモデルの物理的レンダリングが、この平面像により形成されるように、バックグランド層上で平面像の位置合わせをすることができる。
【0039】
生成装置114は、ページ像の中の断面セグメントに関する色情報を保持することができる。例えば、平面像の輪郭線が、断面セグメントの周辺の面の色になるように、断面セグメントの周辺の面の色を、平面像の外周に用いることができる。いくつかの実施形態では、生成装置114は、断面セグメントの周辺に関連する色を、平面像の輪郭線を超えて拡張することができ、それにより、平面像が印刷されカットされた後、平面像の輪郭線に関連する色が、トリミングによって取り除かれることはない。
【0040】
印刷システム140は、分解システム110からページ像を受け取り、その印刷画像を基質媒体上に印刷することができる。印刷システムを、例えば、乾式複写方式の印刷機、直接紙に印刷する方式(ダイレクトマーキング等)の印刷機、モジュール式重ね刷りプレス方式(MOP)の印刷機、インクジェット方式のプリンタ、レーザプリンタ、固体インクプリンタ等として実行することができる。この印刷システム140は、媒体搬送部142及び印刷ステーション144を含むことができる。
【0041】
印刷システム140は、モデル分解システム110により生成された積層からのページ像を受け取ることができ、1つ以上の画像の色を用いて、基質媒体上にページ像を印刷して、分解システム110により形成された、ページ像内で表示される断面セグメントに対応する断面印刷物、即ち雛形の要素を形成することができる。雛形の要素は、3D印刷システムを用いて、積み重ねられトリミングされる。媒体搬送部142は、基質媒体が印刷システム140内を、印刷ステーション144を通過して搬送されるための、ベルト、ローラ又はニップ、及び/又はその他の装置又は構造を含むことができる。
【0042】
印刷ステーション144は、1つ以上の画像マーキングユニットを含むことができ、基質媒体が印刷ステーション144を通過するとき、これらの画像マーキングユニットが、インク又はトナー等の1つ以上のマーキング材料を、基質媒体上に付着させる。いくつかの実施形態では、マーキングユニットは、中間転写ベルト又はドラムを用いて実行することができ、画像がこれらの中間転写ベルト又はドラムの上に載せられ、その後、基質媒体に転写される。基質媒体が印刷ステーションを通過するとき、中間転写ベルト又はドラムから画像を基質媒体に転写することができる。いくつかの実施形態では、画像マーキングユニットは、1つ以上の印刷ヘッドとして実行することができ、基質媒体が印刷ステーションを通過するとき、この印刷ヘッドにより、マーキング材料が直接基質媒体上へ排出される。
【0043】
3D印刷システム160は、印刷システム140により生成された断面印刷物又は雛形の要素を用いて、物理的3D対象物又は3Dモデルに対応する雛形を生成することができる。3D印刷システム160は、積層ユニット162及びカットユニット164を含むことができる。積層ユニット162は、隣接するシートどうし動作可能に結合した断面印刷物を、所定の順序に基づき、積み重ね、シートの積層を作り上げることができる。積層ユニット162により、隣接するシートどうしを、留める、結合させる、接着させる、あるいは、束ねることができる。
【0044】
カットユニット164は、断面印刷物をカットして、媒体を成形することで、物理的対象物に基づくモデルの形状に一致させることができる。例えば、カットユニット164は、モデルに基づく寸法情報を受け取ることができ、それにより、断面印刷物上に印刷された平面像に関連するトリム経路に沿って、断面印刷物をカットするようカットユニット164を設定することができる。カットユニット164により、断面印刷物がカットされて成形されるとき、平面像の色がトリミングされた断面印刷物の周辺に現れる。断面印刷物を、積み上げトリミングして、物理的対象物を形成した後、物理的対象物は、モデルに関する色が正確なレンダリングを形成して、物理的対象物の外側の面上にモデルに関連した色が付くようにする。
【0045】
図2は、モデル分解システム110の実施形態を実行する、例示的なコンピュータ装置のブロック図である。コンピュータ装置200は、メインフレーム、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップコンピュータ、ワークステーション、PDA及び/又はスマートフォン等の携帯端末装置等でよい。例示された実施形態では、コンピュータ装置200は、処理装置202を含み、そして表示装置204を含むことができる。この表示装置204により、操作者とコンピュータ装置200が、画像表示を通して、通信することができる。コンピュータ装置200は、キーボード、タッチスクリーン、マイクロホン、及び/又はマウス等の(複数の)データ入力装置206をさらに含むことができる。コンピュータ装置200は、データ及び命令を記憶する記憶装置208を含むことができる。この記憶装置208には、フロッピドライブ、ハードドライブ、コンパクトディスク、テープドライブ、フラッシュドライブ、光学式ドライブ、リードオンリーメモリー(ROM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)等のコンピュータ可読媒体技術が含まれ得る。
【0046】
モデル分解システム110の実施形態等のアプリケーション210を、記憶装置208内に、常駐させることができる。アプリケーション210は、モデル分解システム110を実行するための命令を含むことができる。例えば、C、C++、Java(登録商標)、JavaScript(登録商標)、Basic、Perl、Python、アセンブリ言語、マシンコード等を用いて、これらの命令を実行することができる。記憶装置208は、コンピュータ装置200に対して、局所的、又は遠隔的でよい。コンピュータ装置200は、ネットワークを用いて、通信するためのネットワークインターフェース212を含む。アプリケーション210内の命令を実行し、その命令が実行された結果もたらされたデータを記憶することにより、記憶装置208内のアプリケーション210を実行するように処理装置202は動作する。この記憶されたデータは、ディスプレイ204を介して、例えば、印刷システム140及び/又は160から、当業者には周知の別の機構により、出力することができる。
【0047】
図3は、システム100の実施形態を実行するための、例示的なコンピュータシステムの説明図である。このコンピュータシステム300は、通信ネットワーク350と、を介して、クライアント330及び340と、印刷システム140と、3D印刷システム160と、通信可能に接続する1つ以上のサーバ310及び320を含み、この通信ネットワーク350は、そのネットワークに通信可能に接続する装置間で情報を送信することができるすべてのネットワークでよい。システム300は、リポジトリ、即ちデータベース装置360を含むこともでき、このレポジトリは、サーバ310/320、及びクライアント330/340と、通信ネットワーク350を介して通信可能に接続することができる。サーバ310/320、クライアント330/340、データベース装置360を、図2のコンピュータ装置200と同じような方法で実行されるコンピュータ装置等のコンピュータ装置として、実行することができる。
【0048】
モデル分解システム110の1つ以上の構成要素及び/又はモデル分解システム110の1つ以上の構成要素の一部を、通信ネットワーク350内の別の装置(例えば、クライアント、サーバ、データベース)により実行することができるように、いくつかの実施形態では、サーバ310/320と、クライアント330/340と、データベース装置360と、の間で、モデル分解システム110を分配することができる。例えば、モデル・スライス・ユニット112、及びページ像生成装置114を、サーバ310上に常駐させ、積層生成装置116をサーバ320上に常駐させることもできる。
【0049】
図4は、コンピュータ環境内の例示的な3次元モデル400の説明図である。この実施例では、モデル400は、一般には球形の多色のサッカーボールである。モデル400は、ホワイトパネル402、ブルーパネル404、ブラックパネル406等の異なる色のパネルを含むことができる。コンピュータ支援設計(CAD)の環境を用いて、このモデル生成することができる。
【0050】
図5には、モデル・スライス・ユニット112がモデルを分割して状にした図4の3Dモデルの例示的な断面セグメント500が示される。例えば、スライスユニット112は、物理的対象物を生成するために用いる媒体、及びモデル400からの物理的対象物の寸法に基づいて、モデル400を複数の断面セグメント500にスライスすることができる。図5に示す通り、色の付いたパネル402、404、406の部分が断面セグメンと交差して分割されるように、断面セグメント500はモデルを分裂させることができる。スライスユニット112は、断面セグメントに関連する色情報を保持することができる。例えば、断面セグメント510は、部分色の付いたパネル402及び404を含み、断面セグメント550は、パネル402及び406色の付いた部分を含むことができる。
【0051】
図6には、例示的なページ像610及び650が示され、これらのページ像は、図5に示した断面セグメント510及び550を用いて生成することができる。ページ像610は、バックグランド層614上に配置される断面セグメント510の平面像612を含むことができる。各断面セグメントは、対応するページ像を含むことができる。平面像612は、基準杭616をほぼ中心に置くことができ、この基準杭は、本実施形態では、形成される対象物の中心軸に対応する。平面像612は、パネル402及び404の色に一致する色が付いた部分622及び624を含むことができる。平面像は、内周626及び外周628を含むことができ、これらの内周626と外周628とが間隙を形成し、その中に色の付いた部分622及び624が形成される。内周626と外周628との間に間隙を形成して、ページ像が印刷されトリミングされる際に、色を表現する平面像の領域を提供することができる。
【0052】
同様に、ページ像650は、バックグランド層654上に配置される断面セグメント550の平面像652を含むことができる。平面像652は、基準杭656をほぼ中心とすることができ、この基準杭は、本実施形態では、形成される対象物の中心軸に対応する。平面像652は、パネル402及び406の色に一致する色が付いた部分622及び666を含むことができる。平面像は、内周676及び外周678を含むことができ、これらの内周676と外周678とが間隙を形成し、その中に色の付いた部分622及び666が形成される。内周676と外周678との間に間隙を形成して、ページ像が印刷され平面像に関するトリム経路に沿ってトリミングされる際に、平面像の色を表現する領域を提供することができる。
【0053】
図7は、カラー対応可能な3次元(3D)対象物作成システムの実施形態により実行される例示的な対象物作成プロセスのフローチャートである。物理的対象物、即ち雛形を生成するための3Dモデルを割り出し(700)、その上に物理的対象物を生成する媒体を決定する(702)。生成される物理的対象物の少なくとも1つの寸法、及び/又は、物理的対象物を生成するための用いられる媒体に基づいて、分解システム内のスライスユニットにより、モデルを複数の断面セグメントにスライスする(704)。色情報は断面セグメントごとに保持される。ページ像生成装置が、3Dの部分セグメントを平坦化して、バックグランド層上に配置される2Dの平面像にすることにより、モデルの断面セグメントをページ像に変換する(706)。平面像は、この平面像が示す断面セグメントの外周面の色に対応する色を含む。平面像は、内側の境界線及び外側の境界線、即ち内周及び外周を含むことができ、平面像がトリミングされる輪郭線の両側に、これらの内周及び外周がまたがり、色をトリムラインの両側に延在させるようにする。
【0054】
ページ像生成装置(708)により、ページ像が印刷される順番に対応して配列されたページ像の積層が生成され、印刷システムにより、ページ像が印刷される(710)。これらのページ像を積み重ね、トリムラインに沿ってカッティングすることにより、断面印刷物をトリミング成形し、物理的対象物を生成するためのモデルの表面上の色に一致する平面像の色が表現される(712)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元(3D)コンピュータベースのモデルから、色を正確に再現した物理的対象物を形成する方法であって、
3Dコンピュータベースのモデルに関するページ像を形成するステップであって、前記ページ像は、3Dコンピュータベースのモデルの断面セグメントに対応し、前記3Dコンピュータベースのモデルは、前記物理的対象物を形成するために使用される媒体の色とは異なる画像の色を含む、ステップと、
前記3Dコンピュータベースのモデル内の前記画像の色の位置に基づいて、前記画像の色を前記ページ像に組み込むステップであって、前記ページ像は、媒体上に印刷されて、断面印刷物を形成するよう構成され、前記断面印刷物から前記物理的対象物が形成される、ステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記3Dコンピュータベースのモデルから生成される前記物理的対象物の寸法、及び前記物理的対象物を生成するために使用される前記媒体に基づいて、前記3Dコンピュータベースのモデルを前記断面セグメントにスライスするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3Dモデルをスライスするステップが、
前記物理的対象物の寸法の割り出すステップと、
前記物理的モデルを形成するために使用される前記媒体を割り出すステップと、
前記物理的対象物の寸法により、決められた高さを有する積層を形成するために必要な前記媒体の数量と、前記物理的モデルを形成するために使用される前記媒体と、を決定するステップと、
前記積層を形成するために必要な前記媒体の数量に基づいて、前記3Dコンピュータベースのモデルを前記断面セグメントにスライスするステップと、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ページ像を形成するステップが、
3Dモデルのセグメントからの前記断面セグメントを2次元(2D)の平面像に変換することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ページ像を形成するステップが、
バックグランド層上に前記平面像を配置させることと、
前記平面像が積み重ねられると、前記平面像により前記3Dコンピュータベースのモデルが複製されるよう前記バックグランド層上で前記平面像の位置合わせをすることと、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ページ像を形成するステップが、
平面像ごとの内周及び外周と、前記内周及び前記外周の間に置かれるトリム経路と、を形成するステップであって、前記平面像のうちの前記少なくとも1つを、前記トリム経路に沿ってトリミングすることにより、前記画像の色が表現されるように、前記平面像にうちの少なくとも1つは、前記3Dコンピュータベースのモデル内の前記色の位置に基づいて前記内周と前記外周との間の前記画像の色を含むステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ページ像を前記媒体上に印刷して、断面印刷物を形成するステップであって前記画像の色が、前記断面印刷物のうちの少なくとも1つの上に印刷される、ステップと、
前記断面印刷物を積み上げて、積層を形成するステップであって、前記積層内の隣接する断面印刷物どうしは動作可能に結合する、ステップと、
前記断面印刷物上に印刷された前記平面像の前記トリム経路に沿って、前記断面印刷物をトリミングして、前記断面印刷物を成形して、前記物理的対象物を形成するステップであって、前記断面印刷物がトリミングされて、前記画像の色を表現して、前記断面印刷物から形成された前記物理的対象物が、色を正確に再現した、3Dコンピュータベースのモデルのレンダリングを示す、ステップと、をさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
3次元(3D)コンピュータベースのモデルから物理的対象物を形成するシステムであって、
3Dコンピュータベースのモデルに関するページ像を形成し、モデル内の画像の色の位置に基づいて、画像の色を前記ページ像に組み込むよう構成された処理装置であって、
前記ページ像は、3Dコンピュータベースのモデルの断面セグメント対応し、前記3Dコンピュータベースのモデルは、前記物理的対象物を形成するために使用される媒体の色とは異なる前記画像の色を含む、処理装置と、
前記ページ像を媒体上に印刷して断面印刷物を形成するよう構成され、前記断面印刷物から前記物理的対象物を形成される、媒体印刷システムと、を含むシステム。
【請求項9】
前記処理装置が、前記3Dコンピュータベースのモデルから生成される前記物理的対象物の寸法、及び前記物理的対象物を生成するために使用される前記媒体に基づいて、前記3Dコンピュータベースのモデルを前記断面セグメントにスライスするよう構成された、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理装置が、3Dモデルのセグメントからの前記断面セグメントを2次元平面像に変換するよう構成され、前記プロセッサが、前記平面像をバックグランド層上に配置し、前記バックグランド層上で前記平面像の位置合わせをするよう構成され、前記平面像が積み上げられると、前記平面像により前記3Dコンピュータベースのモデルが複製される、請求項9に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−114676(P2013−114676A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242483(P2012−242483)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION