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3,4−アルキレンジオキシピロールおよび3,4−アルキレンジオキシフランの無触媒重合
説明

3,4−アルキレンジオキシピロールおよび3,4−アルキレンジオキシフランの無触媒重合

ジハロピロールモノマー、ジハロフランモノマー、またはモノマーの混合物から、ハロゲンでエンドキャップされたポリピロール、ポリフラン、またはピロールとフランの共重合体を調製する方法が、触媒を必要とせずに、固体状態だけでなく液体状態で容易に行われるものとして提示される。重合混合物は、特定の末端基を導入するためのモノハロモノマー、または分枝ポリマーもしくは網目を形成するためのポリハロモノマーを含むように修飾することができる。誘導期を避けるため、または要求に応じて重合過程を始めるために、開始種を重合混合物に含めることができる。電気活性ポリマーは、バルク材料として、コーティングとして、または膜として形成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、共役導電性ポリマーを形成する方法に関する。特に、置換ポリピロールおよびポリフランの形成に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
可逆的に光学特性を変化させる能力とともに、それらの適度な電荷移動度、高導電性組成物にドープした酸化還元能により、共役導電性ポリマーへの大きな関心が生じている。導電性ポリマーは、色変換材料、伝導体、帯電防止コーティング、電子部品、光起電力素子および発光素子を含む、商業的用途における可能性を示す。導電性ポリマーから作られる商品は、既存技術における代替材料から作られた製品よりも、コスト効果が高い可能性があり、より簡便に処理され、より重量が軽く、かつより機械的に柔軟である。導電性ポリマーの一種である、ポリピロールおよびポリフランを含むポリ複素環は、導電性ポリマーの周知の一種である。このようなポリ複素環の導電性ポリマーは、エレクトロクロミック素子、光起電力素子、透明伝導体、帯電防止コーティングにおいて、および発光ダイオードにおける正孔輸送層として、広く研究されてきた。複素環上に3,4-アルキレンジオキシ架橋を付加することは、架橋がポリマーの骨格における望ましくない構造変化の原因にならない、修飾ポリ複素環を与え、酸素置換基の電子供与効果が共役ポリマーのHOMOを高め、その酸化電位およびその電子のバンドギャップの両方を減少させる。
【0003】
ポリ(3,4-アルキレンジオキシピロール)は、それらの広域のバンドギャップによる大きい電位、低い酸化電位、生物学的適合性、および官能性付与への柔軟性を示す、共役ポリマーである。しかしながら、2,5-ジヒドロ-3,4-アルキレンジオキシピロールモノマーへの、困難で非効率的な合成経路のために、それらの発展はある程度に制限されてきた。ポリ(3,4-アルキレンジオキシフラン)は、良く知られてはおらず、日本特許出願で公表されただけである。
【0004】
ピロールおよびフランを基部とする3,4-アルキレンジオキシ複素環ポリマーは、一般的に、3,4-アルキレンジオキシピロールまたは3,4-アルキレンジオキシフランの化学的または電気化学的酸化重合により調製される。しかしながら、複素環の2位と5位に水素を持つこれらのモノマーは、効率的な方法で容易には合成されない。一般に、これらの合成は、1つまたはそれより多い工程が困難なものであるか、または収率が低い、複数の工程を含む。3,4-アルキレンジオキシピロールの化学的重合は、通常、例えば、塩化第二鉄または塩化第二銅等のような酸化剤を用いて行われる。これは、例えばポリ(スチレンスルホン酸)等の高分子電解質が処理可能なポリマー溶液を得るために用いられる場合を除いて不溶であることが多い、ドープされたポリマーをもたらす。多くのポリマーにおいて、例えば塩化第二鉄等のような化学酸化剤の使用は、除去が困難である捕捉された金属を含有する物質をもたらす。フランは、酸に弱く、酸の存在下で分解される。ポリマーのポリ(スチレンスルホン酸)複合体は、最終物に存在する過剰の酸部位を有し、該酸部位は一般的に電極として用いられる物質を劣化させ得る。
【0005】
ポリ(3,4-アルキレンジオキシチオフェン)は、ドープされたポリマーが結果として再度重合する、ポリ(3,4-アルキレンジオキシピロール)と同様の方法で調製されることが多い。中性ポリマーを得るために、2,5-ジハロ-3,4-エチレンジオキシチオフェンの重縮合を促進するNi(0)錯体が利用されてきた。しかしながら、この方法において、処理不可能なポリマー(Yamamotoら, Synth. Met. 1999 100, 237(非特許文献1);Yamamotoら, Polymer 2002, 43, 711(非特許文献2))が生じるか、または低分子量の物質のみが形成される(Tran-Vanら, Synth. Met. 2001, 119, 381(非特許文献3);Tran-Vanら, J. Mater. Chem., 2001, 11, 1378(非特許文献4))。
【0006】
Balkらの米国特許第7,034,104号(特許文献1)には、2,5-ジハロ-3,4-ジアルキルオキシ-または2,5-ジハロ-3,4-アルキレンジオキシチオフェンを酸で重合できることが開示されている。酸触媒を含むと主張しているが、溶媒の除去後に19〜255 S/cmの導電率を持つ、ドープされたポリマーを得るために、この重合は、100℃を超える温度で、溶液中のモノマーに対して最大20倍過剰までの化学量論的当量の酸を必要とした。
【0007】
ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンの明確なポリマー構造を得るために、2,5-ジハロ-3,4-エチレンジオキシチオフェンの固体状態での重合が、MengらのJ. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 15151(非特許文献5)により研究された。ジブロモモノマーの重合は室温で起こるが、非常に長い時間がかかる。速やかに融解した場合の液体状態ではなく、96〜7℃の融点よりわずかに低い温度に加熱した場合のジブロモモノマーを伴う結晶状態で、重合はより著しく短い時間で起こる。大量の試料でゆっくり加熱した場合、化合物は約140℃で自然に重合したが、この重合は触媒的不純物の蓄積によるものであり、溶液中で重合は起こり得なかった。融点が185〜8℃であるジヨードモノマーは、130℃を超えた温度に限られるが、重合させることができる。融点が60〜2℃であるジクロロモノマーは、固体状態では重合しない。重合性(polymerizability)の違いは、結晶構造の違いによるものである。分子間ハロゲン原子のファンデルワールス半径の和に関係する分子間ハロゲン原子間の距離は、ジクロロの結晶においてではなく、ジブロモおよびジヨードの結晶におけるような、分子間ハロゲン原子のファンデルワールス半径の和が分子間ハロゲン原子の間の距離を越える場合に、重合が促進されるという結果と相関した。重合性とのもう1つの相関は、結晶構造における炭素−ハロゲン−ハロゲン角との相関であった。ジブロモおよびジヨードの結晶において、この角度はそれぞれ106.7°および101.6°であり、直角に近いが、ジクロロの結晶において、原子は、180°の同一線上にある。それゆえに、この研究は、結晶構造が、適した間隔と配向の結晶内モノマー単位を有することが公知である場合、重合が液体または溶液状態で予期されるべきではなく、結晶状態でのみ予期されるべきであることを示唆する。
【0008】
2,5-ジハロ-3,4-アルキレンジオキシチオフェンの重合は、8年前に最初に報告されたが、触媒を用いた、または用いない、2,5-ジハロ-3,4-アルキレンジオキシピロールおよび2,5-ジハロ-3,4-アルキレンジオキシフランの重合は報告されていない。それらが3,4-アルキレンジオキシピロールおよび3,4-アルキレンジオキシフランよりも極めて高い収率で調製され得、かつさらに簡便に精製されるような、これらのジハロモノマーの重合により、ポリ(3,4-アルキレンジオキシピロール)またはポリ(3,4-アルキレンジオキシフラン)を調製することが望ましいと考えられる。これは、ポリマーのコスト削減につながるはずである。このような方法により調製されたポリマーの用途のいくつかは、エレクトロクロミックの窓、鏡およびディスプレー;電界効果トランジスタ、スーパーキャパシタ、バッテリーおよび他の電子部品;電子ペーパー;カムフラージュ(camouflage);帯電防止伝導体;ならびに光起電力素子である可能性がある。
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,034,104号
【非特許文献1】Yamamotoら, Synth. Met. 1999 100, 237
【非特許文献2】Yamamotoら, Polymer 2002, 43, 711
【非特許文献3】Tran-Vanら, Synth. Met. 2001, 119, 381
【非特許文献4】Tran-Vanら, J. Mater. Chem., 2001, 11, 1378
【非特許文献5】Mengら, J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 15151
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明は、下記式の、少なくとも1種の2,5-ジハロ-3,4-二置換-ピロールモノマー、少なくとも1種の2,5-ジハロ-3,4-二置換-フランモノマー、またはこれらのモノマーの混合物の重合により、置換ポリピロール、置換ポリフラン、またはそれらの共重合体を調製する方法に関する。
式:

または式:

式中、Xは独立してF、Cl、BrまたはIであり;ZおよびZ1は独立してOまたはSであり;AはOまたはNR’であり;mは0、1または2であり;pは0または1であり;かつR、R’、R1、R2およびR3は独立してH、アルキル、アリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキル、アリール、官能基を有するアリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキルアリールの基であり、かつ複数の置換基R、R1、R2もしくはR3のいずれか、または全てが、独立して選択される。重合は、固体モノマー、液体モノマーを用いて、または溶液中の溶質としてのモノマーを用いて行うことができる。重合過程は、少なくとも1種の、下記式のエンドキャップした(end-capping)モノハロモノマーを、モノマー混合物に含むことができる。
式:

または式:

式中、Xは独立してF、Cl、BrまたはIであり;ZおよびZ1は独立してOまたはSであり;AはOまたはNR’であり;mは0、1または2であり;pは0または1であり;かつR、R’、R1、R2、R3およびR4は独立してH、アルキル、アリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキル、アリール、官能基を有するアリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキルアリールの基であり、かつ複数の置換基R、R1、R2もしくはR3のいずれか、または全てが、独立して選択される。2種またはそれ以上のジハロモノマーの任意のR、R’、R1、R2またはR3の基の間にある1個の結合または一連の結合を介して連結した、2種またはそれ以上のジハロモノマーを持つ橋かけポリハロモノマーは、分枝ポリマーまたは網目の形成を可能にすることができる。ポリマー形成の際、副生成物の除去を助け、かつポリマーの単離を容易にするために、ヒドラジンを添加することができる。モノマーまたはモノマー混合物は、液体モノマーの流体相または溶液中のモノマーから、固体基体上のコーティングとして重合され得る。基体は、例えば繊維のような、任意の形状または構造を有することができる。固体基体がこびりつき防止加工(non-stick)してあり、得られるポリマーに付着しない場合、ポリマーは、自己保持膜(free-standing film)として基体表面から層状に剥離され得る。交互に、非溶媒、非混和性液体上に流体モノマー重合混合物をキャストすることにより、膜を生じさせることができる。溶液からキャストするが、ジハロモノマーの重合の前に、溶媒を完全にまたは一部除去することができる。酸を重合混合物中に含有させて、重合を促進することができ、該酸は任意の適当なルイス酸、プロトン酸、有機酸またはポリマー酸であり得る。
【0011】
本発明は、α,Ω-ジハロ-ポリ(3,4-二置換-ピロール)、α,Ω-ジハロ-ポリ(3,4-二置換-フラン)、α,Ω-ジハロ-コポリ(3,4-二置換-ピロール)、α,Ω-ジハロ-コポリ(3,4-二置換-フラン)またはα, Ω-ジハロ-コポリ(3,4-二置換-ピロール-3,4-二置換-フラン)のような、2個のハロゲン末端基を持つ、ポリピロール、ポリフラン、またはこれらの複素環モノマーの共重合体であって、下記式を有するポリピロール、ポリフラン、または共重合体の形成を可能にする。

式中、Xは独立してF、Cl、BrまたはIであり;Z、Z1、Z2およびZ3は独立してOまたはSであり;AおよびA1は独立してOまたはNR’であり;mは0、1または2であり;pは0または1であり;qは0〜1,000であり;nは0〜1,000であり;かつq+nは2〜1,000であり、かつR、R’、R1、R2、R3、R4およびR5は独立してH、アルキル、アリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキル、アリール、官能基を有するアリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキルアリールの基であり、かつ複数の置換基R、R’、R1、R2もしくはR3のいずれか、または全てが、独立して選択される。ポリマーが共重合体である場合、それはランダムまたはブロック構造を有し得る。十分な数のR、R’、R1、R2、R3、R4およびR5の置換基が、少なくとも1個の共有結合を介して連結する場合、ポリマーは網目の形態であり得る。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、2,5-ジハロ-3,4-ジアルキルオキシピロール、2,5-ジハロ-3,4-ジアルキルチオピロール、2,5-ジハロ-3,4-アルキレンジオキシピロール、2,5-ジハロ-3,4-アルキレンジチオピロール、2,5-ジハロ-3,4-ジアルキルオキシフラン、2,5-ジハロ-3,4-ジアルキルチオフラン、2,5-ジハロ-3,4-アルキレンジチオフラン、または2,5-ジハロ-3,4-アルキレンジオキシフランの無触媒重合を経た、ポリ(3,4-ジアルキルオキシピロール)、ポリ(3,4-ジアルキルチオピロール)、ポリ(3,4-アルキレンジオキシピロール)、ポリ(3,4-アルキレンジチオピロール)、ポリ(3,4-ジアルキルオキシフラン)、ポリ(3,4-ジアルキルチオフラン)、ポリ(3,4-アルキレンジオキシフラン)、またはポリ(3,4-アルキレンジチオフラン)の調製を含む。これらのジハロ化合物は、たとえ1個または複数のハロゲン原子を含有する官能基が、エーテル結合を介して、またはピロールの場合にはアミン結合を介して化合物と連結している場合でも、本明細書では以下、ジハロモノマーと総称される。この重合は、広い範囲の温度にわたって行うことができ、かつ空気の存在下または不活性雰囲気下で行うことができる。重合は、無定形固体としてニートの(neat)液相中、または溶液中でも行うことができる。開始剤または触媒は重合には不要である。しかしながら、用いられる特定のモノマーが酸に安定である場合、重合を促進したければ、酸を含有させることができる。
【0013】
ジハロモノマーは、下記の構造を有する。

式中、Xは独立してF、Cl、BrまたはIであり;ZおよびZ1は独立してOまたはSであり;AはOまたはNR’であり;かつR、R’およびR1は独立してH、アルキル、アリール、または任意の他の有機残基であり、該有機残基は、任意のヘテロ原子、および重合を逆に阻害または妨害しない官能基を含有してもよい。RおよびR1は、アルキレン架橋、アリーレン架橋、Zが炭素と結合するヘテロ原子含有のアルキレン架橋、またはZが炭素と結合するヘテロ原子含有のアリーレン架橋として連結してもよい。2個のX基は、異なるハロゲンであってもよい。アルキレン架橋を持つジハロモノマー(ジエーテル環、ジチオエーテル環またはモノエーテル・モノチオエーテル環を複素環上に完成させる、置換または非置換の炭素鎖を有する)は、下記の構造を有する。

式中、Xは独立してF、Cl、BrまたはIであり;ZおよびZ1は独立してOまたはSであり;AはOまたはNR’であり;mは0、1または2であり;pは0または1であり;かつR、R’、R1、R2およびR3は独立してH、アルキル、アリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキル、アリール、官能基を有するアリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキルアリールの基であり、かつ複数の置換基R、R1、R2もしくはR3のいずれか、または全てが、独立して選択される(すなわち、2個のR基は異なってもよく、2個のR1基は異なってもよく、2または3個のR2は異なってもよく、かつ2または3個のR3は異なってもよい)。さらに、2個のX基は異なるハロゲンでもよい。
【0014】
重合は、以下の式、式1に図示したように起こる。

式中、nは2〜1,000であり、該値はモノマー構造、モノマーの組成、溶媒、温度、キャッピング剤および他の因子に依存して変わり得る。失われるハロゲン分子は、必ずしも重合混合物から失われず、ポリマーの導電性および他の特性を増強するための、ポリマーへのドーパントとしての役割を果たすことができる。最終混合物におけるハロゲン分子の存在および比率は、重合の条件、例えば、重合の時間、温度および圧力、ならびに遊離したハロゲンを取り除く作用物質が存在するか否かに依存するであろう。モノマーおよび得られるポリマーの性質により許される場合、酸は重合混合物中に含有され、重合を促進することができる。一般に、必然ではないが、酸はモノマーの10モルパーセントを上回らず、好ましくは約0.01モルパーセントより少ない。酸は、ルイス酸、プロトン酸、有機酸またはポリマー酸であり得る。例えばI2等のような、ハロゲン原子を添加して、重合を促進することができる。
【0015】
重合は、広い範囲の温度にわたって行うことができる。適当な温度が、ジハロモノマー、溶媒、または重合がその上で行われる基体の物理特性(例えば、融点、沸点、分解温度)によりかけられて、所望の重合速度を与えるように、または得られる電気活性ポリマーにおける化学的もしくは物理的変化を促進もしくは回避するように、選択されるであろう。一般に、温度は、好ましくは、約0〜約60℃であるが、モノマー、溶媒、または使われる他の条件に基づき、この範囲より高いか、または低い温度であり得る。用いられ得る溶媒としては、ジクロロエタン、四塩化炭素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、ベンゼン、およびトルエンが挙げられる。他の溶媒が、本発明の実施のために用いられ得る。
【0016】
多くの構造変化を形成することができる。例えば、2種またはそれ以上の異なるジハロモノマーを共重合させて種々の特性を改変および増強するか、または官能基を導入して、これらの共役ポリマーでの物質の特定の修飾を可能にすることができる。共重合を行う場合、第一のジハロマノマーをある程度重合させた後に第二のジハロモノマーを重合混合物に導入して、最終ポリマーにおいて非ランダムな配置の繰り返し単位を持つ共重合体を得ることができる。2種のジハロモノマーを、別々に、ある程度重合させ、次いで化合させて、2種のジハロモノマーの混合物を直接重合して得ることができるものよりも大きい、2個の繰り返し単位のブロックを持つ共重合体を得ることができる。ジハロモノマーの導入様式上のこれらの変化は、3種またはそれ以上のジハロモノマーの混合物まで拡張できる。
【0017】
この方法により調製されるポリマーのそのままの末端基はハロゲンである。望ましければ、ハロゲンを、例えば、ブチルリチウム等のような有機金属試薬と反応させ、続いて水素供与体で処理して、水素末端基を得ることができる。他の末端基の修飾が可能であり、これは当業者により認識され得る。
【0018】
最終ポリマーの分子量は、モノハロモノマーを含有させることにより調節することができる。官能性は、官能性を持たせたモノハロモノマーの使用により鎖末端に組み入れることができる。適当な、2-ハロ-3,4-ジアルキルオキシピロール、2-ハロ-3,4-ジアルキルチオピロール、2-ハロ-3,4-アルキレンジオキシピロール、2-ハロ-3,4-アルキレンジチオピロール、2-ハロ-3,4-ジアルキルオキシフラン、2-ハロ-3,4-ジアルキルチオフラン、2-ハロ-3,4-アルキレンジチオフラン、または2-ハロ-3,4-アルキレンジオキシフランは、分子量を調節するためまたはテレケリックポリマーを生成するために用いられ得る。ここで、得られるポリ(3,4-ジアルキルオキシピロール)、ポリ(3,4-ジアルキルチオピロール)、ポリ(3,4-アルキレンジオキシピロール)、ポリ(3,4-アルキレンジチオピロール)、ポリ(3,4-ジアルキルオキシフラン)、ポリ(3,4-ジアルキルチオフラン)、ポリ(3,4-アルキレンジオキシフラン)、またはポリ(3,4-アルキレンジチオフラン)は、他の導電性または非導電性ポリマーとともにブロック共重合体を調製するために用いられるか、それらを表面に化学的に結合させるために用いられるか、または末端基の特定の修飾を可能にして、物質の選択的物理特性を改変するために用いられる。
【0019】
エンドキャップしたモノハロモノマーは、下記構造を有し得る。
構造:

または構造:

式中、XはF、Cl、BrまたはIであり;ZおよびZ1は独立してOまたはSであり;AはOまたはNR’であり;mは0、1または2であり;pは0または1であり;R、R’、R1、R2、R3およびR4は、ジハロモノマーに関する構造(1)および(2)に関しては、独立してH、アルキル、アリール、アルキルアリール、官能性のアルキル、アリール、官能基を有するアリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキルアリールの基である。R4が、続いて起こる連鎖成長または逐次成長重合で用いられ得る官能基を有する場合、それは、ブロックの1つが置換ポリピロール、置換ポリフラン、または共重合体であるブロック共重合体を形成できる、共重合体を形成するために用いられ得る。
【0020】
網目は、3,4-アルキレンジオキシ基に付いた適当な官能基間、または2,5-ジハロ-3,4-アルキレンジオキシピロールの場合、ピロール環の窒素原子に最後に結合した基の間の橋かけ反応による重合後に形成され得る。2種またはそれ以上のジハロモノマーのカップリングは、ジハロモノマーのアルキル、アルキレン、アリールもしくはアリーレン部分にある基の間、またはジハロモノマーがピロールである場合、ピロール環の窒素原子に結合した基の間で行われ得る。次いで、これらの共役(coupled)ジハロモノマーは、これらの共役ジハロモノマーとジハロモノマーとの混合物の重合中に、橋かけポリハロモノマーに対して用いられ得る。
【0021】
方法は、電気活性ポリマーの膜および他の有用な形状を、直接的に加工することを可能にする。ジハロモノマーは、表面上にキャストされ、続いて電気活性ポリマー膜に重合され得る。自己保持膜は、キャストされ、重合され得る。例えば、液体または溶液相におけるジハロモノマーの層は、非溶媒サブフェーズ液体(non-solvent subphase liquid)(例えば、水等)の表面に置かれ、重合され(スーパーフェーズ溶媒(superphase solvent)の蒸発後または蒸発なし)、かつサブフェーズから固体基体(例えば、ガラス、雲母、インジウムスズ酸化物(ITO)、金属、およびプラスチックの表面)へ移され得る。交互に、膜をこびりつき防止加工した基体(例えば、PTFE、TEFLON(商標)等)上にキャストし、続いて重合および基体から分離させることにより、自己保持膜を作製することができる。液体または溶液相ポリマーは、金属、無機非金属繊維(例えば、シリコンまたはゲルマニウム)、または有機繊維をジハロモノマーで、被覆するために用いられ得、ここで、それが重合して電気活性ポリマーコーティングを与え得る。ジハロモノマーのエマルジョン、マイクロエマルジョンまたはナノエマルジョンが、適当な温度で、攪拌してまたは攪拌せずに、かつ界面活性剤を用いてまたは用いずに、貧溶媒または非溶媒を用いて作製され得る場合に、電気活性ラテックス、電気活性微小粒子、および電気活性ナノ粒子が調製され得る。エマルジョンを続いて重合して、電気活性ラテックス、電気活性微小粒子、または電気活性ナノ粒子を得ることができる。
【0022】
本発明を以下の限定されない実施例によりさらに説明する。
【0023】
実施例1
N-(2-エチルヘキシル)-2,5-ジヨード-3,4-プロピレンジオキシピロール (5) を、ZongらのJ. Org. Chem. 2001, 66, 6873に記載の方法により調製し、溶出液としてジクロロメタンを用いて塩基アルミナの充填物にさっと通すことにより精製した。1週間静置すると、いかなる溶媒、開始剤、または触媒も添加せずに、淡黄色オイルが固体の黒色物質に変換された。およそ100 mg/mLのテトラヒドロフラン溶液として黒色物質を溶解すると、不透明な紫色の溶液が生じた。ヒドラジンを溶液に添加すると、透明な黄色溶液が生じた。透明な黄色溶液をメタノールに添加することにより、ポリマーが沈殿した。真空濾過して固体沈殿ポリマーを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリマーの分析(ポリスチレン標準品に対して校正した)は、ポリマーが55の重合度を有し、1.39の多分散指数(polydispersity index)を持つ狭域の分子量分布を示したことを示唆した。(5) からのポリマーは、特にヘキサン、メタノール、および水を除いた、ほとんどの有機溶媒に可溶であった。例えば、ヘキサフルオロリン酸ニトロソニウム等のようなドーパントを添加した溶液は、0.5 μg/mLより低いポリマー濃度で、非常に不透明であったが、極少量のヒドラジンを添加すると、透明な溶液を形成した。この挙動は、本発明のポリマーをエレクトロクロミック材料として用いることができることを示唆する。ポリマーの電気活性は、プラチナボタン電極上に、ポリマーの5 mg/mLトルエン溶液を1滴添加して、ポリマーを膜としてキャストすることにより実証された。

【0024】
実施例2
ポリ(3,4-アルキレンジオキシフラン)誘導体の調製を、下記に図示したジヨードモノマー (6) の重合により実証した。実施例1に記載の方法で、重合が起こり、ポリマーの単離を行った。単離したポリマーはゲル浸透クロマトグラフィー(ポリスチレン標準品に校正した)により特徴付けされ、15の重合度と1.81の多分散指数に相当する、4,700の分子量を有することが判明した。

【0025】
実施例3
4種のジヨード化モノマー (5)、(7)、(8) および (9) を、種々の条件下で重合した。4種のポリマーは異なるペンダント基を含有し、異なる重合度と異なる物質特性を示した。ラセミ分枝鎖であるN-エチルヘキシル基のポリマー (5) は、多種多様の有機溶媒に可溶であるが、ヘキサンおよび水に不溶であった。ヘキサンは、(5) からポリマーを沈殿させるための非溶媒として用いられ、ポリマーの低分子量部分を効果的に除去した。モノマー (7) は室温で固体であり、固体状態でうまく重合されたが、(5) の重合の反応時間よりも一桁大きい反応時間を要した。(7) からのポリマーの沈殿は、メタノールを用いて行われた。モノマー (8) は室温で液体であり、恐らくアタクチックポリマーに重合され、これはヘキサン中で沈殿した。モノマー (9) の直鎖トリエチレングリコールモノメチルエーテル鎖は、室温で、4日間で重合され、ヘキサン中で沈殿後、高いMnおよび狭域の多分散性を持つ、粘着性の黒っぽい塊を生じた。

【0026】
表1に、(5)、(7)、(8) および (9) からのポリマーに関する分子量データをまとめる。(7) からのポリマーを除いた全てのポリマーが、20〜50の繰り返し単位に相当する約9000〜14000 Daの範囲にMn値を持つ、比較的高分子量のポリマーであった。(7) からのポリマーは、16の繰り返し単位のポリマー構造に相当する3800 DaのMnを持つ、より低い分子量のポリマーであって、電気化学材料として使用するのに十分な大きさの分子量のポリマーであった。
【0027】
(表1)脱ヨード化重合を経たポリマーに関する分子量

a 数平均重合度
【0028】
本発明をその好ましい特定の態様と併せて説明してきたが、前述の説明およびそれに続く実施例は、説明することを目的とするのであって、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するべきである。他の局面、利点、および本発明の範囲内の改変は、本発明が属する分野の当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換ポリピロール、置換ポリフラン、またはそれらの共重合体を調製する方法であって、下記式の、少なくとも1種の2,5-ジハロ-3,4-二置換-ピロールモノマー、少なくとも1種の2,5-ジハロ-3,4-二置換-フランモノマー、またはそれらの混合物を提供する工程;および該モノマーを重合する工程を含む方法:
式:

または式:

式中、Xは独立してF、Cl、BrまたはIであり;ZおよびZ1は独立してOまたはSであり;AはOまたはNR’であり;mは0、1または2であり;pは0または1であり;かつR、R’、R1、R2およびR3は独立してH、アルキル、アリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキル、アリール、官能基を有するアリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキルアリールの基であり、かつ複数の置換基R、R1、R2もしくはR3のいずれかまたは全てが独立して選択される。
【請求項2】
前記ジハロモノマーが固体、液体、または溶液中の溶質として提供される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1種の、下記式のエンドキャップした(end-capping)モノハロモノマーを提供する工程をさらに含む、請求項1記載の方法:
式:

または式:

式中、Xは独立してF、Cl、BrまたはIであり;ZおよびZ1は独立してOまたはSであり;AはOまたはNR’であり;mは0、1または2であり;pは0または1であり;かつR、R’、R1、R2、R3およびR4は独立してH、アルキル、アリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキル、アリール、官能基を有するアリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキルアリールの基であり、かつ複数の置換基R、R1、R2もしくはR3のいずれかまたは全てが独立して選択される。
【請求項4】
橋かけポリハロモノマーを提供する工程をさらに含む方法であって、該ポリハロモノマーが、2種またはそれ以上のジハロモノマーのR、R’、R1、R2もしくはR3の基のいずれかの間にある1個の結合(a bond)または複数の結合(bonds)を介して連結された、2種またはそれ以上のジハロモノマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ヒドラジンを添加する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
ジハロモノマーが液体、または溶液中の溶質として提供され、かつ重合工程が固体基体上で起こってコーティングとしてのポリマーを形成する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
固体基体がこびりつき防止加工(non-stick)してあり、該こびりつき防止加工してある基体から分離した後のポリマーが自己保持膜(free-standing film)である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記基体が繊維である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記ジハロモノマーが液体、または溶液中の溶質として提供され、かつ重合工程が該液体またはモノマー溶液に対する非溶媒上で起こって、該非溶媒から分離した後に、ポリマーが自己保持膜として形成される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ジハロモノマーが溶液中の溶質として提供され、かつ重合工程の前に溶媒が一部〜完全に除去される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
酸を提供する工程をさらに含む方法であって、該酸がルイス酸、プロトン酸、有機酸またはポリマー酸を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
α,Ω-ジハロ-ポリ(3,4-二置換-ピロール)、α,Ω-ジハロ-ポリ(3,4-二置換-フラン)、α,Ω-ジハロ-コポリ(3,4-二置換-ピロール)、α,Ω-ジハロ-コポリ(3,4-二置換-フラン)またはα,Ω-ジハロ-コポリ(3,4-二置換-ピロール-3,4-二置換-フラン)を含む、ポリピロール、ポリフラン、またはそれらの共重合体であって、下記式を有する、ポリピロール、ポリフラン、または共重合体:

式中、Xは独立してF、Cl、BrまたはIであり;Z、Z1、Z2およびZ3は独立してOまたはSであり;AおよびA1は独立してOまたはNR’であり;mは0、1または2であり;pは0または1であり;qは0〜1,000であり;nは0〜1,000であり;かつq+nは2〜1,000であり、かつR、R’、R1、R2、R3、R4およびR5は独立してH、アルキル、アリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキル、アリール、官能基を有するアリール、アルキルアリール、官能基を有するアルキルアリールの基であり、かつ複数の置換基R、R’、R1、R2もしくはR3のいずれかまたは全てが独立して選択される。
【請求項13】
ランダム共重合体またはブロック共重合体を含む、請求項12記載の共重合体。
【請求項14】
十分な数のR、R’、R1、R2、R3、R4およびR5の置換基が、1個または一連の共有結合を介して連結し、共重合体が網目を含む、請求項12記載の共重合体。

【公表番号】特表2009−537670(P2009−537670A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511245(P2009−511245)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/069228
【国際公開番号】WO2007/137155
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(507371168)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド (38)
【Fターム(参考)】