説明

3,4−ジアルコキシチオフェンのコポリマーならびに作製法およびデバイス

電子工学材料として有用な3,4-ジアルコキシチオフェンのコポリマーを開示する。同様に、当該コポリマーの作製法、ならびにそれらを組み込む組成物およびデバイスも開示する。正孔注入層または正孔輸送層における当該材料の使用を開示する。当該コポリマーを含む材料は、一部の溶媒における可溶性および他の溶媒における溶媒抵抗性を提供するよう設計することができ、これは電子工学デバイスにおいて用いるための多層材料を作製するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年12月18日提出の米国特許仮出願第61/287,977号に対する優先権を主張し、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
有機物に基づく有機発光ダイオード(OLED)および有機光起電力デバイス(OPV)などの省エネルギーデバイスにおいて有用な進歩が見られているが、より良い処理および性能を提供する上でさらなる改善がいまだ必要とされている。例えば、1つの有望な種類の材料は、例えば、ポリチオフェンを含む電導性ポリマーである。しかし、ドーピング、溶解性、および処理の問題が起こりうる。特に、ポリマーの交互層の溶解性(隣接層の間の直交または交互溶解特性)における非常に良好な制御を行うことが重要である。特に、正孔注入層および正孔輸送層は、非常に薄いが高品質のフィルムに対する競合する需要およびニーズを考慮すると、難しい問題を提示しうる。
【0003】
材料が様々な用途に対して、ならびに発光層、光活性層、および電極などの様々な材料を用いて機能するのに適合できるように、溶解性ならびに、例えば、HOMOおよびLUMOなどの電子エネルギーレベルなどの正孔注入層および輸送層の特性を制御するための良好なプラットフォーム系が必要とされている。特に、良好な溶解性および溶媒抵抗性(intractability)の特性は重要である。特定の用途のために系を計画し、必要とされるバランスの特性を提供できることも重要である。
【0004】
これらの材料の製造プロセスの規模が拡大されるにつれ、これらの材料の作製法を改善する必要性も増している。特に、コモノマーの精製中の収量損失を低減する方法が必要とされている。さらに、高度に反応性のコモノマーを用いることなく共重合を可能にする方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
概要
本明細書において記載する態様には、例えば、組成物、化合物、デバイスの作製法、作製法、および使用法が含まれる。
【0006】
いくつかの態様は、少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーおよび第一のものとは異なる少なくとも1つの第二のチオフェンモノマーを提供する段階、ならびにコポリマーを形成するために、第一および第二のチオフェンモノマーを遷移金属存在下で反応させる段階を含む方法であって、ここで第一のチオフェンモノマーは第一の官能基を2位および5位に含み、第二のチオフェンモノマーは第一の官能基と反応するよう適合させた第二の官能基を2位および5位に含み、かつ両方のチオフェンモノマーは各チオフェン環に結合した酸素を含む置換基を3位および4位に含む方法を提供する。
【0007】
他の態様は、例えば、以下の段階を含む方法を提供する:少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーを提供する段階;該第一のチオフェンモノマーとは異なる少なくとも1つの第二のチオフェンモノマーを提供する段階であって、該第一のチオフェンモノマーが第一の官能基を2位および5位に含み、第一の官能基は臭素ではなく、該第二のチオフェンモノマーが該第一の官能基と反応するよう適合させた第二の官能基を2位および5位に含み、該第一のチオフェンモノマーおよび該第二のチオフェンモノマーがそれぞれ、チオフェン環に結合した酸素を含む置換基を3位および4位に含む、段階;ならびにコポリマーを形成するために、該少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーおよび該少なくとも1つの第二のチオフェンモノマーを遷移金属存在下で反応させる段階。
【0008】
他の態様は、少なくとも1つの第一のチオフェン反復単位および第一のものとは異なる少なくとも1つの第二のチオフェン反復単位を含むコポリマーであって、両方のチオフェン反復単位が、各チオフェン環に結合した酸素を含む置換基を3位および4位に含み、かつ両方のチオフェン反復単位が、隣接する反復単位または末端基に2位および5位で連結されているコポリマーを提供する。
【0009】
さらに他の態様は、そのようなコポリマーを含むインク組成物、コーティング基板、およびデバイスを提供する。デバイスはOLEDまたはOPVを含んでいてもよい。OLEDはそのようなコポリマーを含む正孔注入層を含んでいてもよい。OPVはそのようなコポリマーを含む正孔輸送層を含んでいてもよい。コポリマーはドープ型または非ドープ型でありうる。
【0010】
さらに他の態様は、蒸留によるモノマー精製中の収量損失を低減するため、および/または急速な重合速度を制御するために、共重合において用いるどのチオフェンモノマーを2ハロゲン化すべきか、およびどれを2メタル化(または2シリル化)すべきかを選択するための方法を提供する。いくつかの態様において、2ハロゲン化モノマーは各チオフェン環に結合した酸素を含む置換基を3位および4位に含む。他の態様において、2ハロゲン化および2メタル化(または2シリル化)モノマーはいずれもそのような置換基を含む。
【0011】
これらおよびさらに他の態様は、コモノマーの損失を軽減し、高度に反応性のコモノマーを用いる必要性を低減する、OLEDおよびOPVなどのデバイスにおいて有用なコポリマーの作製法を提供する。
【0012】
少なくとも1つの態様の利点には、例えば、OLEDまたはOPVデバイスなどの有機電子工学デバイスの計画および構築におけるさらなる柔軟性が含まれる。特に、本明細書に記載の組成物から作製したフィルムは、鋳造および焼鈍後、トルエンに対して溶媒抵抗性となりうる。特に、本明細書に記載の組成物は、発光層の次の層を鋳造することが望ましい場合に用いることができる。加えて、トルエンまたは他の溶媒に対する溶媒抵抗性により、すべての溶液処理デバイスに必要な直行性の適合性が可能となり、溶液処理デバイスを作るために用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
序論
本明細書において引用するすべての参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0014】
2009年12月18日提出の先行米国特許仮出願第61/287,977号は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0015】
コポリマーおよびコポリマーの構造は一般に当技術分野において公知である。例えば、Billmeyer, Textbook of Polymer Science, 3rd Ed, 1984(例えば、第5章);Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, (Kroschwitz, Ed.), 1990 ''Copolymerization'' and ''Alternating Copolymers''参照。例として、コポリマーにはブロックコポリマー、セグメント化コポリマー、グラフト、交互コポリマー、ランダムコポリマーなどが含まれる。コポリマーは、ターポリマーを含む2つ以上の異なる種類の反復基を含む。
【0016】
共役ポリマーも一般に当技術分野において公知である。例には、ポリチオフェン(位置規則性ポリチオフェン誘導体を含む)、ポリピロール、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリアニリンなどが含まれる。
【0017】
有機電子工学デバイスは当技術分野において公知である。
【0018】
供与体および受容体は、2007年5月2日提出のLairdらへの米国特許出願第11/745,587号および2008年12月19日提出のLairdらへの米国特許出願第12/340,587号に記載されており、これらはいずれもその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0019】
方法のさらなる記載は、例えば、McCullough et al., J. Org. Chem., 1993, 58, 904-912、およびMcCulloughらへの、ブロックコポリマーの形成を含む、米国特許第6,602,974号に見いだしうる。
【0020】
さらなる記載は、論文、''The Chemistry of Conducting Polythiophenes,'' by Richard D. McCullough, Adv. Mater. 1998, 10, No. 2, 93-116、およびその中の引用文献、ならびにLowe, et al., Adv. Mater. 1999, 11, 250に見いだすことができ、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。The Handbook of Conducting Polymers, 2nd Ed., 1998, Chapter 9, by McCullough, et al., ''Regioregular, Head-to-Tail Coupled Poly(3-alkylthiophene) and its Derivatives,'' pages 225 258も、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0021】
「置換されていてもよい」基とは、さらなる官能基によって置換されていてもよく、または無置換でもよい官能基を意味する。基がさらなる基によって置換されていない場合、それは基の名称で、例えば、アルキルまたはアリールと呼んでもよい。基がさらなる基によって置換されている場合、それはより包括的に、それぞれ置換アルキルまたは置換アリールと呼んでもよい。
【0022】
「アリール」とは、例えば、単環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有し、この縮合環は、結合点が芳香族炭素原子であるとの条件で、芳香族であってもなくてもよい、6から20炭素原子の芳香族炭素環基を意味する。好ましいアリールには、例えば、フェニル、ナフチルなどが含まれる。
【0023】
「アルキル」とは、例えば、1から20炭素原子、または1から15炭素原子、または1から10、または1から5、または1から3炭素原子を有する、直鎖および分枝アルキル基を意味する。この用語は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、エチルヘキシル、ドデシル、イソペンチルなどの基によって例示される。
【0024】
「置換された」基とは、例えば、アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群より選択される、1つから3つ、好ましくは1つから2つの置換基を有する基を意味する。
【0025】
「アルコキシ」とは、例えば、基「アルキル-O-」を意味し、これには例としてメトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブチルオキシ、t-ブチルオキシ、n-ペンチルオキシ、1-エチルヘキサ-1-イルオキシ、ドデシルオキシ、イソペンチルオキシなどが含まれる。アルコキシのもう一つの例はアルコキシアルコキシまたはアルコキシアルコキシアルコキシなどである。
【0026】
「置換アルコキシ」とは、例えば、基「置換アルキル-O-」を意味し、例えば、フッ化基および過フッ化基が含まれる。
【0027】
「アルケニル」とは、例えば、2から6炭素原子、より好ましくは2から4炭素原子を有し、かつ少なくとも1つ、好ましくは1〜2部位のアルケニル不飽和を有するアルケニル基を意味する。そのような基はビニル、アリル、ブタ-3-エン-1-イルなどによって例示される。
【0028】
「置換アルケニル」とは、例えば、任意のヒドロキシル置換がビニル(不飽和)炭素原子に連結していないとの条件で、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群より選択される、1つから3つの置換基、好ましくは1つから2つの置換基を有するアルケニル基を意味する。
【0029】
「アリールオキシ」とは、例えば、基アリール-O-を意味し、これには例としてフェノキシ、ナフトキシなどが含まれる。
【0030】
「アルキニル」とは、例えば、2から6炭素原子、より好ましくは2から3炭素原子を有し、かつ少なくとも1つ、好ましくは1〜2部位のアルキニル不飽和を有するアルキニル基を意味する。
【0031】
「置換アルキニル」とは、例えば、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群より選択される、1つから3つの置換基、好ましくは1つから2つの置換基を有するアルキニル基を意味する。
【0032】
「アリールオキシ」は、例えば、基アリール-O-でありえ、これには例としてフェノキシ、ナフトキシなどが含まれる。
【0033】
「置換アリールオキシ」は、例えば、置換アリール-O-基でありうる。
【0034】
「アルキレンオキシド」または「アルキレンオキシ」または「ポリエーテル」は、例えば、基O(Ra-O)n-Rbでありえ、ここでRaはアルキレンであり、Rbはアルキルまたは置換されていてもよいアリールであり、かつnは、例えば、1から6、または1から3の整数である。アルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドなどの基をベースにしうる。アルキレンオキシドには、例えば、同じ鎖における様々なアルキレン区分、例えば:
-OCH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2OCH2CH2OC6H5が含まれうる。
【0035】
「共役ポリマー」とは、例えば、骨格に少なくともいくつかの共役不飽和を含むポリマーを意味する。
【0036】
「(1つの)ポリチオフェン」または「ポリチオフェン」とは、例えば、骨格にポリチオフェンを含むチオフェン、その誘導体、ならびにそのコポリマーおよびターポリマーを含むポリマーを意味する。
【0037】
「位置規則性ポリチオフェン」とは、例えば、少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%を含む高レベルの位置規則性を有するポリチオフェンを意味する。
【0038】
「アルキレン」は、例えば、置換および無置換型の両方を含む、例えば、エチレンまたはプロピレンなどの-[CH2]Xで表される基でありうる。アルキレンは、例えば、C2、C3、C4、C5、またはC6基などのC1〜C6基でありうる。
【0039】
フッ化基、部分、または置換基は、少なくとも1つのフッ素を含むことができ、過フッ化基、部分、または置換基が含まれうる。
【0040】
上で定義したすべての置換された基において、置換基をそれら自体へのさらなる置換基で規定することにより得られるポリマー(例えば、置換基としての置換アリール基を有する置換アリールであって、置換基はそれ自体置換アリール基で置換されているなど)は本明細書への包含が意図されないことが理解される。そのような場合、そのような置換基の最大数は3である。すなわち、前述の定義はそれぞれ、例えば、置換アリール基は-置換アリール-(置換アリール)-置換アリールに限定されるとの限定に拘束される。
【0041】
同様に、前述の定義は許容されない置換パターン(例えば、5つのフルオロ基で置換されたメチルまたはエテニルもしくはアセチレン不飽和に対してアルファのヒドロキシル基)を含むことは意図されないことが理解される。そのような許容されない置換パターンは当業者には周知である。
【0042】
コポリマー、コモノマー、反復単位、末端基
コポリマーを製造する方法を開示する。コポリマーは、反復単位および末端基を含む高分子鎖である。コポリマー鎖には、それぞれ異なる組成を有する2、3、またはさらに多くの異なる種類の反復単位があってもよい。異なる反復単位は交互に繰り返して交互コポリマーを形成してもよく、または鎖全体に無作為に分布してランダムコポリマーを形成してもよい。交互およびランダムコポリマーはブロックコポリマーとは異なり、ブロックコポリマーは、他の反復単位を含む隣接する連鎖に連結された、同様に構成された反復単位の長い連鎖を含む。コポリマーは、光電池および発光ダイオードなどの電子工学デバイスにおいて用いうる。例えば、2008年5月29日提出の米国特許公報第2008/0121281号参照。コポリマーはポリマーと呼ばれることもある。
【0043】
いくつかのコポリマーは、コモノマーをそれら自体と反応させた生成物である。他のコポリマーは、コモノマーをコポリマーと反応させた生成物である。さらに他のコポリマーは、コポリマーをコポリマーと反応させた生成物である。コモノマーは反復単位および末端基を含む。コモノマーはモノマーと呼ばれることもある。
【0044】
そのようなコポリマーの数平均分子量は特に限定はないが、約1,000から1,000,000g/gmolの間であってもよく、より典型的には約5,000から100,000g/gmolの間であってもよい。多くの場合、分子量は溶解性を与えるために適切である。
【0045】
いくつかのコポリマーを共役させてもよい。共役ポリマーは、有機電子工学デバイスにおけるそれらの使用を含めて、当技術分野において公知である。例えば、Friend, ''Polymer LEDs,'' Physics World, November 1992, 5, 11, 42-46参照;例えば、Kraft et al., ''Electroluminescent Conjugated Polymers-Seeing Polymers in a New Light,'' Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 402-428参照。加えて、電気伝導性または共役ポリマーは、ポリアセチレン、ポリ(p-フェニレン)、ポリ(硫化p-フェニレン)、ポリピロール、およびポリチオフェン、ならびにこれらのポリマーのファミリーおよびこれらのポリマー系の誘導体を含めて、The Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Wiley, 1990, pages 298-300に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。この参照文献は、ブロックコポリマー形成を含むポリマーの混合および共重合も記載している。
【0046】
チオフェン反復単位およびチオフェンモノマー
いくつかのコポリマーおよびモノマーは、チオフェンの誘導体である反復単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーはチオフェンモノマーと呼ばれることもある。側鎖を有する位置規則性ポリチオフェンを含む、合成法、ドーピング(例えば、化学的および/または電気化学的酸化または還元ドーピング)、およびポリマーの特徴付けは、例えば、McCuUoughらへの米国特許第6,602,974号およびMcCuUoughらへの第6,166,172号に提供されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。さらなる記載は論文、''The Chemistry of Conducting Polythiophenes,'' by Richard D. McCuUough, Adv. Mater. 1998, 10, No. 2, pages 93-116、およびその中の引用文献中に見いだすことができ、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。当業者が用いうるもう一つの参照文献は、Handbook of Conducting Polymers, 2nd Ed. 1998, Chapter 9, by McCuUough et al., ''Regioregular, Head-to-Tail Coupled Poly(3-alkylthiophene) and its Derivatives,'' pages 225-258であり、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。この参照文献も、第29章で823〜846ページに「Electroluminescence in Conjugated Polymers」を記載しており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0047】
置換基
側鎖を有する電導性ポリマーを可溶化するために用いうる置換基には、例えばC1からC25基を含むアルコキシ、ポリエーテル、およびアルキル、ならびに例えば酸素および窒素を含むヘテロ原子系が含まれる。特に、少なくとも3個の炭素原子、または少なくとも5個の炭素原子を有する置換基を用いることができる。混合置換基を用いることもできる。置換基は非極性、極性または機能性有機置換基でありうる。側鎖は置換基Rと呼ぶことができ、これは例えば、アルキル、過ハロアルキル、ビニル、アセチレン、アルコキシ、アリールオキシ、ビニルオキシ、チオアルキル、チオアリール、ケチル、チオケチルでありえ、かつ水素以外の原子で置換されていてもよい。フッ化および過フッ化置換基を用いて、フッ化および過フッ化モノマーおよびコポリマーを提供することができる。
【0048】
3,4-二置換チオフェンを含むコポリマー
特に重要であるのは、置換基をチオフェン環に連結している酸素原子を3位および4位に有し、かつ隣接する反復単位への炭素-炭素連結を2位および5位に有する、3,4-二置換チオフェンを含む反復単位を含むコポリマーである。側鎖を有する3,4-置換チオフェンを可溶化するために置換基を用いることができ、これには例えば直鎖または分枝炭素鎖、例えばC1からC25基を含む、アルコキシおよびポリエーテルが含まれ、ここで鎖内の1、2、3、4、5、または6個の炭素原子は酸素および/または窒素および/または硫黄などのヘテロ原子で置き換えられていてもよい。3,4-二置換ポリチオフェンは対称モノマー反復単位を有していてもよい。環の3位および4位の置換基は、3,4-エチレンジオキシ置換の例の場合と同様、共有結合によって互いに連結されていてもよいことに留意されたい。置換基の例は、例えば、Brownらへの2009年4月10日提出の米国特許出願第12/422,159号(PCT/US09/040257)、およびBrownらへの2008年12月2日提出の米国特許仮出願第61/119,239号に提供されており、これらはいずれもその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0049】
そのようなコポリマーの例は以下により表される交互コポリマーである:

式中、nは括弧内の部分が鎖内で反復される回数を意味し;
R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R3は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R4は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。R1およびR2は共有結合により連結されていてもよい。R3およびR4は共有結合により連結されていてもよい。
【0050】
そのようなコポリマーのもう一つの例は以下により表される交互コポリマーである:

式中、nは括弧内の部分が鎖内で反復される回数を意味し;
R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。R1およびR2は共有結合により連結されていてもよい。
【0051】
そのようなコポリマーのさらにもう一つの例は以下により表されるランダムコポリマーである:

式中、nは第一の括弧内の部分が鎖内に現れる回数を意味し、かつmは第二の括弧内の部分が鎖内に現れる回数を意味し;
R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R3は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R4は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。R1およびR2は共有結合により連結されていてもよい。R3およびR4は共有結合により連結されていてもよい。
【0052】
そのようなコポリマーのさらにもう一つの例は以下により表されるランダムコポリマーである:

式中、nは第一の括弧内の部分が鎖内に現れる回数を意味し、かつmは第二の括弧内の部分が鎖内に現れる回数を意味し;
R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。R1およびR2は共有結合により連結されていてもよい。
【0053】
いくつかの態様において、コポリマーは、少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーおよび少なくとも1つの第二のチオフェンモノマーを含み、それぞれが、置換基をチオフェン環に連結している酸素原子を3位および4位に有し、第一のチオフェンモノマー上の置換基が少なくとも5個の炭素またはヘテロ原子の鎖を含み、かつ第二のチオフェンモノマー上の置換基が5個未満の炭素またはヘテロ原子の鎖を含む。
【0054】
有機金属カップリング反応および触媒
いくつかの態様は、ウルマン反応と呼ばれることもある、有機金属仲介カップリング反応による反応を提供する。そのようなカップリング反応は、重合触媒存在下、ハロゲン化末端基とメタル化末端基との反応を通じて、反復単位間の炭素-炭素結合を形成する:
R1X + R2M → R1−R2 + MX
式中、R1およびR2は伸長中の鎖のモノマーまたは末端のいずれかを意味する。そのような反応は以下の参照文献に記載されており、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる:Cross-Coupling Reactions: A Practical Guide, Ed. Miyaura, 2002;Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis, Ed. Negishi, 2002;Kuwano, R, Utsunomiya, M., Hartwig, J. F., J. Org. Chem., 2002, 67, 6479-6486;Yu et al., J. Am. Chem. Soc,. 2009, 131, 56;Yang et al., Macromol. 2008, 41, 6012;LeClerc et al., J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 732;Swager et al., Adv. Mater., 2001, 13, 1775;Koeckelberghs et al., Macromol., 2007, 40, 4173;Hassan, J. et al., Chem. Rev. 2002, 102, 1359。
【0055】
「ハロゲン化末端基」は、1つまたは複数のハロゲンを担持する官能基を含む。ハロゲン化末端基には-F、-Cl、-Br、-Iが含まれる。
【0056】
「メタル化(またはシリル化)末端基」は、重合触媒存在下、ハロゲン化末端基との有機金属仲介カップリング反応に関与する官能基を含む。メタル化(またはシリル化)末端基には-MgX、-ZnX、-MnX、MgX:LiX、-B(OR)2、-SnR3、-SiR3が含まれ、ここでXはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、かつRはアルキル基である。
【0057】
「重合触媒」は、ハロゲン化末端基とメタル化(またはシリル化)末端基との間のカップリングの速度を高める金属担持化合物を含む。これらはコポリマーの立体規則性を制御するのにも役立ちうる。これらの化合物は典型的には有機金属化合物であり、遷移金属を含んでいてもよい。パラジウムおよびニッケルは、そのような重合触媒において用いられる一般的な金属である。
【0058】
用いるメタル化またはシリル化末端基に応じて、いくつかの命名された有機金属カップリング反応がある。例として以下が挙げられる。

【0059】
さらなる技術については、PCT/US07/077461ならびに、例えば、熊田反応および-LiXの使用を含む汎用グリニャール複分解重合(Carnegie Mellon University)参照。
【0060】
当業者には公知のとおり、これらの系においてさらなる活性化剤または促進剤を用いてもよい。例えば、根岸およびスティルカップリングはリチウム化合物を用いてもよく;鈴木カップリングは塩基を用いてもよく;檜山カップリングは塩基またはフッ化物を用いてもよいなど。もう一つの例は、クロスカップリング反応を2ハロゲン化した電子に富む種と電子不足の2メタル化種とで行う、反転鈴木法である。
【0061】
スキーム1A、1B、2A、および2Bの例において示すとおり、交互およびランダムコポリマーはいずれも有機金属仲介カップリング反応を用いて製造しうる。図1Aおよび1Cにおいて、コモノマーのいくつかは2ハロゲン化および2メタル化(または2シリル化)型の両方で提供され、立体化学の無作為化を可能にする。
【0062】
加えて、A-Bモノマーの混合物を調製し、重合または共重合して、ランダムコポリマーを形成することができる。
【0063】
第一のチオフェンモノマーの2位および5位の第一の官能基は同じでも異なっていてもよい。
【0064】
2位および5位の第一の官能基は、ハロゲンでなくてもよく、または臭素でなくてもよい。
【0065】
スキーム1A(ランダム共重合の例)

【0066】
スキーム1B(交互共重合の例)

【0067】
スキーム2A(コモノマーの1つがエチレンジエトキシチオフェンを含む、ランダム共重合の例)

【0068】
スキーム2B(コモノマーの1つがエチレンジエトキシチオフェンを含む、交互共重合の例)

【0069】
2ハロゲン化および2メタル化/2シリル化モノマー
いくつかの態様は、モノマーの反応によって形成されるコポリマーを提供する。特に興味が持たれるのは、2ハロゲン化モノマーおよび2メタル化(または2シリル化)モノマーである。「2ハロゲン化モノマー」はそれぞれ2つのハロゲン化末端基を担持するモノマーである。「2メタル化(または2シリル化)モノマー」はそれぞれ2つの2メタル化または2シリル化末端基を担持するモノマーである。
【0070】
2ハロゲン化モノマーおよび2メタル化(または2シリル化)モノマーは、有機金属カップリング反応に関与してコポリマーを形成することができる。そのようなコポリマーの例は交互コポリマーまたはランダムコポリマーである。
【0071】
そのような系の一例がCampsらへの米国特許第4,508,639号に開示されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。Campsは、ジクロロ(1,3-ビジフェニルホスフィノ)プロパン-ニッケル触媒存在下、2臭化モノマーの-MgBr-担持2メタル化モノマーとの共重合を記載している。
【0072】
3,4-二置換チオフェンを含むいくつかの2ハロゲン化(または2シリル化)モノマーは以下によって表してもよい:

式中、Xはハロゲンであり、かつR1およびR2はアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、または置換されていてもよいアリール木などの置換基であってもよい。具体例には2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン、または2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン;2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン;2.5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン;2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-ブトキシブトキシ)ブトキシ)チオフェン;および2,5-ジブロモ-3,4-ビス(2-(2-メトキシメトキシ)メトキシ)チオフェンが含まれる。環の3位および4位における置換基は、以下で表される2,5-ジハロ-(3,4-エチレンジオキシ)チオフェンの場合と同様、共有結合によって互いに連結されていてもよいことに留意されたい:

式中、Xはハロゲンである。
【0073】
3,4-二置換チオフェンを含むいくつかの2メタル化(または2シリル化)モノマーは以下によって表すことができる:

式中、Mは以下の基:MgX、MnX、ZnX、MgX:LiY、B(OR)2、SnR3、SiR3から選択され、Xはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、Rはアルキル基であり、かつR1およびR2はアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリールまたは置換されていてもよいアリール基などの置換基であってもよい。具体例には2,5-ビス(マグネシオブロモ)-3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン、または2,5-ビス(マグネシオブロモ)-3,4-ビス(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン;2,5-ビス(マグネシオブロモ)-3,4-ビス(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン;2,5-ビス(マグネシオブロモ)-3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン;2,5-ビス(マグネシオブロモ)-3,4-ビス(2-(2-ブトキシブトキシ)ブトキシ)チオフェン;および2,5-ビス(マグネシオブロモ)-3,4-ビス(2-(2-メトキシメトキシ)メトキシ)チオフェンが含まれる。環の3位および4位の置換基は、2,5-ビス(マグネシオブロモ)-(3,4-エチレンジオキシ)チオフェンの場合と同様、互いに連結されていてもよいことに留意されたい。
【0074】
蒸留によるモノマー精製中の損失の低下
モノマーは一般には重合前に精製する必要がある。より大きい製造規模では、経済的側面からこの精製を蒸留によって行う必要があるであろう。そのような蒸留をバッチ式で行う場合、精製したモノマーを沸点の範囲に基づいて留出物カットから取り出してもよい。同様に、そのような蒸留を連続的に行う場合、モノマーをカラムの塔頂蒸気から、またはカラム長に沿った1つもしくは複数の側部取り出しから濃縮した留出物から取り出してもよい。蒸留技術は、Chapter 13 of Chemical Engineers' Handbook, 5th ed., 1973, Perry, R.H. and Chilton, C.H.、eds., McGraw-Hill, New Yorkなどの標準的参照文献に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0075】
いくつかの2ハロゲン化モノマーは、蒸留による精製の間に起こりうる分解または副反応で失われることもある。損失はスタンニル化モノマーを含むメタル化モノマーでも起こりうるため、2ハロゲン化モノマーは代表である。収量損失の程度は2ハロゲン化モノマーの同一性およびその温度歴に応じて変動しうる。真空蒸留および水蒸気蒸留などのより低い温度の蒸留法を用いることにより、または他の精製技術を用いることにより、損失を制限することは可能であろうが、そのような代替法は大規模ではコストが法外に高くなりうる。
【0076】
いくつかの場合には、2ハロゲン化型で提供されると蒸留によって経済的に精製することができないモノマーを、代わりに2メタル化(または2シリル化)型で確実に提供することにより、収量損失を低減してもよい。2ハロゲン化モノマーを、それぞれの最良の公知の状態を用いて、蒸留中のそれらの相対的安定性により順位付けしてもよい。より不安定なモノマーを選択して2メタル化(または2シリル化)型で提供してもよく、一方、より安定なモノマーを2ハロゲン化型で提供してもよい。
【0077】
重合中の反応性低下
いくつかの2ハロゲン化モノマーは、有機金属カップリング反応において用いる場合、商業的使用のためには容易に反応しすぎる。より大きい製造規模では、急速に重合するため、熱除去および/または良好な混合が不十分となりうる。いくつかの場合には、これらの問題を是正するために高価な資本投資が必要となることもある。他の場合には、ポリマー製造を、重合の速度を制御するために必要とされうるモノマーの供給速度低下によって制限してもよい。
【0078】
いくつかの場合には、2ハロゲン化型で提供されると反応性が高いモノマーを、代わりに2メタル化(または2シリル化)型で確実に提供することにより、高い反応速度を低減してもよい。2ハロゲン化モノマーを、それぞれの最良の公知の状態を用いて、重合中のそれらの相対的反応性により順位付けしてもよい。より反応性のモノマーを選択して2メタル化(または2シリル化)型で提供してもよく、一方、より反応性の低いモノマーを2ハロゲン化型で提供してもよい。
【0079】
コポリマーを含むインク
いくつかの態様において、コポリマーを含むインクを、例えば、成分の量の変更、様々な構造型の組み合わせの変更、様々な混合条件の使用、様々な溶媒の使用、様々なフィルム調製条件の適用、様々な精製法の使用などを含む、当業者に公知の方法により配合し、混合することができる。
【0080】
インクはブレンドを含んでいてもよい。ブレンドは、過度の相分離によって特徴付けられない場合に適合性であり得、正孔注入層(HIL)として機能しうる、機能的に有用で、機械的に安定なフィルムを形成する。適合性ブレンドは当技術分野において公知である。例えば、米国特許第4,387,187号;第4,415,706号;第4,485,031号;第4,898,912号;第4,929,388号;第4,935,164号;および第4,990,557号参照。適合性ブレンドは混和性ブレンドである必要はないが、十分に混合され、特に約2nmから約100nmなどの薄膜型において有用な機能を提供するために安定である。ブレンディング法には、ナノサイズの粒子(典型的には数十から数百ナノメートル)に分解した中性または酸化型いずれかのあらかじめ溶解した電導性ポリマーの、通常のポリマー(例えば、ポリスチレン(PS)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA))との、超音波処理、撹拌、またはせん断による、溶液ブレンディングが含まれうる。そのようなブレンドは安定なポリマーマトリックス溶液のミクロンよりも小さいフィルム形成粒子の細かい分散を提供する。スピンコーティングによりフィルムを調製し、適合性について分析することができる。
【0081】
いくつかの態様において、平坦化などの正孔注入または正孔輸送層(それぞれHILおよびHTL)に必要とされる特性を提供するのに役立つ、マトリックス成分を用いることができる。平坦化剤を含むマトリックス成分は、正孔注入成分とブレンディングすると、OLEDまたはOPVデバイスなどのデバイスにおけるHILまたはHTLの形成を促進することになる。これは、HIL系を適用するために用いる溶媒に可溶性でもある。平坦化剤は、例えば、ポリ(スチレン)またはポリ(スチレン)誘導体、ポリ(酢酸ビニル)またはその誘導体、ポリ(エチレングリコール)またはその誘導体、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(ピロリドン)またはその誘導体(例えば、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-酢酸ビニル))、ポリ(ビニルピリジン)またはその誘導体、ポリ(メタクリル酸メチル)またはその誘導体、ポリ(アクリル酸ブチル)またはその誘導体などの有機ポリマーなどのポリマーまたはオリゴマーで構成されていてもよい。他の例には、ポリフェノール、ポリカーボネート、および/またはそれらのフッ化誘導体が含まれる。より一般的には、これはArが任意のアリールまたは官能基化アリール基であるCH2CH-Ar、イソシアネート、エチレンオキシド、共役ジエン、CH2CHR1R(ここでR1はアルキル、アリール、またはアルキル/アリール官能基であり、かつRはH、アルキル、Cl、Br、F、OH、エステル、酸、またはエーテルである)、ラクタム、ラクトン、シロキサン、および原子移動ラジカル重合(ATRP)マクロ開始剤などのモノマーから構築されるポリマーまたはオリゴマーで構成されることもできる。一般に、配合においていくつかの異なるポリマーを用いてもよい。
【0082】
平坦化剤は、適用溶媒に可溶性であるが、溶媒除去後に蒸発しない、「恒久的(non-fugitive)」低分子であってもよい。これはアルキル、アリール、または機能的アルキルもしくはアリール特性を有していてもよい。加えて、低分子は、例えば、ビニル、トリフルオロビニルオキシ、ケイ皮酸エステル、アクリル酸エステルなどの架橋官能基を含んでいてもよい。これらの官能基は、熱または光励起プロセスにおいて自己活性化して架橋を起こし、架橋した分枝および/または網目構造を形成することができる。または、これらは少量の光増感剤またはラジカル開始剤の存在によって活性化されうる(Odian, G. ''Principles of polymerization'', 4th edn., 2004, John Wiley & Sons Inc.参照)。HIL層への平滑表面の提供を促進することに加えて、マトリックス成分または平坦化剤は、抵抗性の制御および透明性の制御などの、他の有用な機能も提供することができる。平坦性をAFM測定を含む当技術分野において公知の方法により判定することができる。
【0083】
溶媒系、またはポリマーを分散するための溶媒は、水ならびに水混和性溶媒や、例えば、アルコールまたはエーテル性アルコールなどの酸素、炭素、および水素を含む溶媒を含む有機溶媒の混合物でありうる。水混和性溶媒のさらなる例には、Dow ChemicalおよびEastman Chemicalからのイソプロパノール、エタノール、およびメタノールなどのアルコール、ならびにエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。例えば、セロソルブ、カルビトール、プロパンジオール、メチルカルビトール、ブチルセロソルブ、Dowanol PM参照。いくつかの態様において、水の量は有機溶媒の量よりも多くてもよい。非水性溶媒とアルコールおよび/または他の極性溶媒などの、多様な溶媒の組み合わせを用いることができる。組成は第一の溶媒および第一の溶媒とは異なる第二の溶媒を含みうる。溶媒系の他の例は、2009年4月10日提出の米国特許出願第12/422,159号に提供されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0084】
水溶性樹脂および水性分散液を用いることもできる。水性分散液は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)(例えば、PSS分散液)、ナフィオン分散液(例えば、スルホン化フッ化ポリマー)、ラテックス、およびポリウレタン分散液でありうる。水溶性ポリマーの例には、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールが含まれる。樹脂の他の例には、酢酸セルロース樹脂(CA、CAB、CAP - Eastman)が含まれる。
【0085】
表面エネルギー、導電率、フィルム形成、溶解性、架橋、形態、フィルムの質、特定の用途(例えば、スピンコート、インクジェット印刷、スクリーン印刷など)を改変するために配合を行うことができる。
【0086】
例えば、イオン性および非イオン性界面活性剤、ならびにポリマー界面活性剤、フッ化界面活性剤、およびイオノマーを含む、界面活性剤を用いることもできる。
【0087】
樹脂およびHILインクは、例えば、超音波処理を含む当技術分野において公知の任意の方法によって分散および/または溶解することができる。
【0088】
望まれる場合には、溶媒処理および/または曝露後に膨潤するが溶解はしない架橋構造を提供する架橋剤を含めるように製剤を配合することができる。
【0089】
コーティング基板
インクを、最終デバイスの電子特性を改善するために用いる電極または追加の層を任意に含む基板上のフィルムとして鋳造および焼鈍してもよい。フィルムは、デバイスの製造中に続いてコーティングまたは沈着する層のためのインク中の溶媒でありうる、有機溶媒に対して溶媒抵抗性であってもよい。フィルムはトルエンに対して溶媒抵抗性であってもよく、これは、デバイスの製造中、次にコーティングまたは沈着する層のためのインク中の溶媒でありうる。
【0090】
いくつかの態様は、固体表面、表面上に配置された1つまたは複数のコポリマーを含むコーティングを含むコーティング基板を含むことになる。基板はプリンテッドエレクトロニクスにおいて用いられるものでありうる。基板は、例えば、プラスティック、ガラス、銀および金を含む金属、ならびに酸化金属(例えば、ITO、TiO2、ZnO)でありうる。表面は均質、不均質、または多層基板の表面でありうる。OLEDおよびOPV用途において有用な表面を用いることができる。例えば、固体表面は、例えば、酸化インジウムスズなどの透明電極を含む電極でありうる。表面は、発光ポリマー層または正孔輸送層でありうる。コーティングの厚さは、例えば、5nmから5ミクロン、10nmから1ミクロン、25nmから500nm、または50nmから250nmでありうる。残留溶媒が存在してもよい。コーティングは架橋またはパターン化されていてもよい。
【0091】
当技術分野において公知の任意のコーティングまたはパターン化法を用いることができる。マイクロ規模またはナノ規模のパターン化を行って、基板上にナノ構造またはマイクロ構造を形成することができる。印刷プロセスには、例えば、フレキソ印刷、凸版印刷、ソフトリソグラフィー、グラビア印刷、パッド、オフセットリソグラフィー、スクリーン、およびインクジェット印刷が含まれうる。
【0092】
用途
本明細書に記載のコポリマーを、例えば、OLED、OPV活性層を含むOPV、トランジスタ、OFET、電池、および他のプリンテッドエレクトロニクス、ならびにセンサーを含む有機電子工学デバイスにおいて用いることができる。これらは正孔注入層または正孔輸送層に含まれてもよい。
【0093】
プリンテッドエレクトロニクス、ならびにその中で用いられるデバイス、材料、および方法は一般に当技術分野において公知である。例えば、Printed Organic and Molecular Electronics, Ed. D. Gamota et al., 2004参照。例えば、第1章および第2章は有機半導体を記載し、第3章は印刷回路の製造プラットフォームを記載し、第4章はトランジスタおよび回路の電気的挙動を記載し、第5章は用途を記載し、かつ第6章は分子エレクトロニクスを記載している。Pope et al., Electronic Processes in Organic Crystals and Polymers, 1999も参照されたい。
【0094】
OLEDデバイスは当技術分野において公知である。例えば、2006年4月13日公開の米国特許公報第2006/000787661号参照。デバイスは、例えば、ガラスまたはPETまたはPEN上の酸化インジウム/スズ(ITO)などの透明導体を含む陽極;正孔注入層;ポリマー層などのエレクトロルミネセント層;LiFなどのコンディショニング層;およびCa、Al、またはBaなどの陰極層を含む多層構造を含みうる。
【0095】
光電池は当技術分野において公知である。例えば、Sun and Sariciftci, Organic Photovoltaics, Mechanisms, Materials, and Devices, 2005参照。例えば、2008年12月25日公開のSheinaらへの米国特許公報第2008/0315751号も参照されたい。光電池は、少なくとも1つのp型材料および少なくとも1つのn型材料を含む組成物を含む活性層を含みうる。p型およびn型材料の良好な性能のためにHOMO、LUMO、およびバンドギャップを設計することができる。活性層の形態を適合させて、良好な性能を提供することができる。例えば、ナノ規模の形態を調製することができる。一例はバルクヘテロ接合である。
【0096】
OPV活性層において、本明細書に記載のp型材料でありうるポリマーは、n型材料または、例えば、フラーレンおよびフラーレン誘導体などの受容体部分と組み合わせることができる。フラーレン誘導体の例はPCBMである。フラーレンはインデンまたは置換インデンなどの部分で誘導体化することもできる。1つのフラーレン核は、例えば、1つ、2つ、または3つのインデン基で誘導体化することができる。当技術分野において公知の他の型のn型材料を用いることもできる。望まれる場合には、より大きい面積の光電池を製造することもできる。例えば、Bundgaard et al., Solar Energy Materials and Solar Cells, 2007, 91, 1019-1025参照。
【0097】
これらおよび他の用途において、例えば、ポリマーの融点を、より小さいチオフェン系を用いての硬化により高めてもよい。これは、例えば、使用温度(デバイス製造中およびデバイスの最終使用中の両方)の関数としてのフィルムの形態安定性を示す際に重要である。ハロゲン化芳香族などの攻撃的な溶媒に対するフィルムの溶媒抵抗性さえも、例えば、ドープポリマーの溶解性の低下により改善してもよい。少なくともいくつかの態様に対するもう一つの利益の可能性はおそらく、可視領域における任意のテーリングまたは望まれない吸収を低減し、したがって最終フィルムの色の中立性を増強することである。
【0098】
その他の態様
これらおよび他の特徴および利点は、以下のその他の非限定的態様からより良く理解されるであろう。
【0099】
ポリマーの合成および精製のための手引きは、例えば、PCT/US09/040257(Plextronics)において見いだすことができる。
【0100】
比較態様1. ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン-コ-3,4-エチレンジオキシチオフェン)
1(以下の実施例1)およびEDOTの酸化的共重合を、例えば、クロロホルム、クロロベンゼンまたはニトロベンゼンなどの有機溶媒中、2.5当量の塩化鉄(III)またはトシル化鉄(III)を用いて達成する。重合後、ポリマーをメタノール中に沈澱させ、さらにSoxhletによりメタノールで連続抽出して、副生成物、未反応のモノマー、オリゴマー、および/または金属不純物を除去する。
【0101】
比較態様1において、重合を酸化的重合により実施する。この方法は制御されておらず、最終対象物におけるモノマーの比、モノマー供給比に依存しないと考えられる。また、より高い分子量を得ることは、オリゴマーの反応性が低くなるため、難しい。酸化型のラジカルカチオンは高度に非局在化し、それがカップリングを行うために鎖の末端にある確率は低下する。
【0102】
比較態様2:ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン-コ-3,4-エチレンジオキシチオフェン)
2つのモノマー、3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェンおよび3,4-エチレンジオキシチオフェンのビスリチオ化をTHF中、-78℃で、n-ブチルリチウムを用いて行う。この溶液に2当量(チオフェンモノマーに基づき)の無水塩化銅(II)を加え、反応混合物を室温まで加温する。重合は銅触媒の添加後に起こり、完了後、ポリマーをメタノール中の沈澱により回収する。固体をメタノールSoxhletによりさらに抽出して、金属を含まないポリマーを得る。
【0103】
しかし、比較態様2の制限は過剰量の金属を使用することであり、いくつかの態様においてすべての金属の除去は困難であり得、いくつかの態様においては不可能でありうる。
【0104】
態様3. ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン-コ-3,4- エチレンジオキシチオフェン)
3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェンのビスリチオ化をTHF中、-78℃で、2当量のn-ブチルリチウムを用いて行い、続いてZnCl2による金属交換反応を行い、出発原料のビス(クロロ亜鉛)誘導体を得る。この後、1当量の2,5-ジブロモ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(例2)および5〜10mol%の触媒を加えて、重合を開始する。触媒は以下のリストから選択することができる。
・ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケル(II)クロリド
・1当量Ni(cod)2 + 1当量トリフェニルホスフィンまたはビス(ジフェニルホスフィノ)エタン
・ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンパラジウム(II)クロリド
・テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
・1当量ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0) + 3当量トリ-tert-ブチルホスフィン
これはAABB型重合であるため、分子量は反応時間に依存することになる(反応時間が長いほど、分子量は高い)。分子量はモノマーの化学量論制御によっても制御することができる。
【0105】
態様4. ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン-alt-3,4-エチレンジオキシチオフェン)
3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェンのビスリチオ化をTHF中、-78℃で、2当量のn-ブチルリチウムを用いて行い、続いてトリメチルスタンニルクロリドで反応停止する。次いで、ビススタンニル誘導体を公知の水性後処理手順により単離する(例えば、国際公開公報第2008/088595号)。ビスタンニル誘導体の重合を、脱気THF中、2,5-ジブロモ-3,4-エチレンジオキシチオフェンと、前の例に記載したパラジウム触媒を用いて実施する。ポリマーの分子量はモノマー供給比の化学量論により、または一官能性モノマー付加を行うことにより制御する。ポリマーを一官能性誘導体(例えば、2-トリメチルスタンニルチオフェン)の付加により末端キャップする。ポリマーを公知の方法により単離する。
【0106】
前述の反応は鈴木プロトコルでも行うことができる。リチオ化後、チオフェンをイソプロピルホウ酸ピナコールを用いて反応停止し、チオフェンのピナコールボロン酸エステルを形成する。ビスボラン酸エステルの単離後、重合をTHF中、2,5-ジブロモ-3,4-ジアルコキシチオフェンまたは2,5-ジブロモ-3,4-ジメトキシチオフェンと、Pd触媒(例えば、Pd(PPh3) Pd2(dba)3、Pd(OAc)2)および炭酸カリウム、酢酸カリウム、リン酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの塩基を用いて実施する。
【0107】
重合の完了後、ポリマーを適当な一官能性末端キャッピング試薬を用いて末端キャップする。例えば、スティルカップリングの場合、2-トリメチルスタンニルチオフェンを用い、鈴木法を用いる場合、末端キャッピングは2-チエニルピナコールボラン酸エステル存在下で実施する。
【0108】
比較態様5. ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン-alt-3,4-エチレンジオキシチオフェン)
交互コポリマーは、まず以下に示すジアルコキシチオフェンのそれぞれを含む非対称ダイマーを合成することにより調製することもできる。この後、ダイマーのジブロモ誘導体をN-ブロモスクシンイミドを用いて調製する。続いて、重合を、例えば、米国特許第6,166,172号、Loewe et al., Adv. Mater. 1999, 11, 250-253、およびIovu, M. et al. Macromolecules 2009, 42, 30に記載のGRIMおよび/またはユニバーサルGRIMなどの公知の文献手順により実施することができる。

【0109】
3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)のTHF中、n-ブチルリチウムを用いてのモノリチオ化と、続く塩化トリ-イソプロピルでの反応停止により、モノシリル化EDOTを結晶性固体で得る。この化合物のブロモ化をDMF中、N-ブロモスクシンイミド(NBS)を用いて行い、最終化合物を白色結晶性固体で得、これは周囲条件下で非常に安定である。注意:トリ-イソプロピルシリル保護基なしでは、モノブロモEDOTは非常に不安定で、その純粋な形で単離するのが困難でありうる。3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェンのモノマグネシオブロモを、リチオ化と、続く臭化マグネシウムの添加により、インサイチューで生成し、モノブロモEDOT誘導体と、触媒としてNi(dppp)Cl2を用いて反応させる。化合物をカラム精製法により単離し、フッ化tert-ブチルアンモニウムを用いての脱シリル化手順にかけて、非対称ダイマーを得る。次いで、ダイマーをDMF中、NBSを用いてジブロム化し、続いてGRIM法を用いて重合を行って、反復単位が1:1の比のコポリマーを得る。
【0110】
この合成のいくつかの欠点は、複数の保護および脱保護段階のため、合成的に冗長だということである。また、採用したGRIMプロトコルは、置換基の立体的性質が類似であるため、完全に位置選択的ポリマーを生じ得ない。さらに、ダイマー自体の酸化電位の低下により、ダイマーのジブロモ誘導体の熱安定性は低くなると予想される。
【0111】
態様6. ポリ3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン-ran-3,4-エチレンジオキシチオフェン)
3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェンおよび3,4-エチレンジオキシチオフェンのビスリチオ化をTHF中、-78℃で、2当量のn-ブチルリチウムを用いて行い、続いてトリメチルスタンニルクロリドで反応停止する。リチオ化は別々またはワンポットで行うことができ、次いでビススタンニル誘導体の混合物(ワンポット反応の場合)を公知の水性後処理手順(例えば、国際公開公報第2008/088595号)により単離する。ビスタンニル誘導体の重合を、脱気THF中、2,5-ジブロモ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(Br:SnMe3を1:1に維持)と、前の例に記載したパラジウム触媒を用いて実施する。ポリマーの分子量はモノマー供給比の化学量論により、または一官能性モノマー付加を行うことにより制御する。ポリマーを一官能性誘導体(例えば、2-トリメチルスタンニルチオフェン)の付加により末端キャップする。ポリマーを以前に報告された手順(例えば、PCT/US09/040257)を用いて処理する。
【0112】
前述の反応は鈴木プロトコルでも行うことができる。リチオ化後、チオフェンをイソプロピルホウ酸ピナコールを用いて反応停止し、チオフェンのピナコールボロン酸エステルを形成する。ビスボラン酸エステルの単離後、重合をTHF中、2,5-ジブロモ-3,4-ジアルコキシチオフェンまたは2,5-ジブロモ-3,4-ジメトキシチオフェンと、Pd触媒(例えば、Pd(PPh3) Pd2(dba)3、Pd(OAc)2)および炭酸カリウム、酢酸カリウム、リン酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの塩基を用いて実施する。
【0113】
重合の完了後、ポリマーを適当な一官能性末端キャッピング試薬を用いて末端キャップする。例は、スティルカップリングを用いる場合、2-トリメチルスタンニルチオフェンであり、鈴木法を用いる場合、末端キャッピングを2-チエニルピナコールボラン酸エステル存在下で実施する。
【0114】
重合技術および/またはポリマー末端キャッピングの他の例は以下の参照文献に例示されている:(1)Smeets et al., Macromolecules, 2009, 42,7638;(2)Khanduyeva, N. et al., J. Am. Chem. Soc., 2009, 131, 153;(3)Kaul, E.et al., Macromolecules, 2009, ASAP;(4)Senkovskyy, V. et al. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 6626;(5)Bronstein, H. et al. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 12894;(6)Doubina, N. et al. Macromolecules, 2009, 42, 7670。
【実施例】
【0115】
これらおよび他の特徴および利点は、以下のその他の非限定的実施例からより良く理解されるであろう。
【0116】
以下の合成例は例示的なものであって、限定されることを意図するものではない。すべての反応は、特に記載がないかぎり、乾燥器および/または火炎乾燥したガラス器具を用い、あらかじめ精製した窒素雰囲気下で実施した。0℃および-78℃浴にはそれぞれ氷/水、ドライアイス/アセトンを用いた。すべての試薬および化学物質は商業的供給元(例えば、Aldrich Chemical Co., Inc.、Fisher Scientific、Acrosなど)から購入し、特に記載がないかぎり、それ以上精製せずに用いた。グリニャール/有機リチウム試薬の滴定は、Love, B. E. et al. J. Org. Chem. 1999, 64, 3755によって記載された手順に従って行った。試薬等級の溶媒は、必要がある場合には、蒸留により乾燥および/または精製などした。
【0117】
実施例1. 3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(1)の合成
このモノマーの合成をPCT/US09/040257に記載のとおりに行った(例1)。
【0118】
実施例2. 3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)の2ハロゲン化
EDOTのブロム化は何人かの研究者によって文献に報告されている。Aubert, et al., Macromolecule 2004, 37(11), 4087参照。EDOTはAldrich(カタログ番号83028)から購入することができる。N-クロロスクシンイミドを用いての類似の手順でジクロロ誘導体が得られる。
【0119】
実施例3. ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン)-alt-3 ,4-エチレンジオキシチオフェン)[BEET-alt-EDOT]の合成

本実施例において、ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン)-alt-3,4-エチレンジオキシチオフェン)[BEET-alt-EDOT]の合成を行った。国際公開公報第2007/05983号(Merck)に留意されたい。
【0120】
乾燥した25mL三頚丸底フラスコにN2を流して3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(1.07g、2.65mmol)を加え、無水THF(15mL)をシリンジから加えた。反応フラスコを-78℃に冷却し、t-ブチルリチウム(3.50mL、5.50mmol)を滴加した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、アセトンドライアイス浴を除去した。0℃で15分間撹拌した後、溶液を-78℃に冷却し、撹拌を5分間続けた。無水ZnCl2(0.76g、5.56mmol)を一度に加え、撹拌30分後に完全に溶解した。冷却浴を除去し、反応混合物を周囲温度まで加温した。この反応混合物に、THF(5mL)中の2,5-ジブロモ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(0.795g、2.65mmol)をカニューレから加え、続いて1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)(63.3mg、0.159mmol)およびビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(cod)2)(18.2mg、0.066mmol)を加えた。反応混合物を65℃まで加熱し,24時間撹拌した。反応混合物をメタノール中で沈澱させた。ポリマーをろ過し、さらなるメタノール、ヘキサン、およびクロロホルムで逐次洗浄した。クロロホルム画分を濃縮し、メタノール中で再沈澱し、ろ過により単離し、NMRで分析して構造を確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーを提供する段階;
該第一のチオフェンモノマーとは異なる少なくとも1つの第二のチオフェンモノマーを提供する段階であって、
該第一のチオフェンモノマーが第一の官能基を2位および5位に含み、
該第二のチオフェンモノマーが該第一の官能基と反応するよう適合させた第二の官能基を2位および5位に含み、
該第一のチオフェンモノマーおよび該第二のチオフェンモノマーがそれぞれ、チオフェン環に結合した酸素を含む置換基を3位および4位に含む、段階;ならびに
コポリマーを形成するために、該少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーおよび該少なくとも1つの第二のチオフェンモノマーを遷移金属存在下で反応させる段階
を含む、方法。
【請求項2】
2位の第一の官能基および5位の第一の官能基が同じ官能基である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
2位の第一の官能基および5位の第一の官能基が異なる官能基である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
2位の第一の官能基および5位の第一の官能基がハロゲンではない、請求項1記載の方法。
【請求項5】
2位の第一の官能基および5位の第一の官能基が臭素ではない、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第一のチオフェンモノマー置換基がそれぞれ、少なくとも5個の炭素またはヘテロ原子の鎖を含み、かつ前記第二のチオフェンモノマー置換基がそれぞれ、5個未満の炭素またはヘテロ原子の鎖を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第一の官能基が-MgX、-MnX、-ZnX、-MgX:LiY、-B(OR)2、-SnR3、または-SiR3を含み、ここでXはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、かつRはアルキル基である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第一のチオフェンモノマーの前記第一の官能基を2位および5位の水素のメタル化および/または金属交換反応によって調製する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記第一のチオフェンモノマーが3,4-ジアルコキシチオフェンであり、2位および5位の官能基が-MgX、-MnX、-ZnX、-MgX:LiY、-B(OR)2、-SnR3、-SiR3を含み、ここでXはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、かつRはアルキル基である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記第一のチオフェンモノマーが3,4-ジアルキレンオキシチオフェンであり、2位および5位の官能基が-MgX、-MnX、-ZnX、-MgX:LiY、-B(OR)2、-SnR3、-SiR3を含み、ここでXはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、かつRはアルキル基である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記第一のチオフェンモノマーが以下によって表される、請求項1記載の方法:

式中、MはMgX、MnX、ZnX、MgX:LiY、B(OR)2、SnR3、SiR3を含み、ここでXはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、かつRはアルキル基であり;
R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項12】
前記第一のチオフェンモノマーがポリエーテル置換基を3位および4位に含み、2位および5位の官能基が-MgX、-MnX、-ZnX、-MgX:LiY、-B(OR)2、-SnR3、-SiR3を含み、ここでXはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、かつRはアルキル基である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
第二のチオフェンモノマーが2,5-ジアルコキシチオフェンであり、2位および5位の官能基が-Xを含み、ここでXはハロゲンである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
第二のチオフェンモノマーが以下によって表される、請求項1記載の方法:

式中、Xはハロゲンであり;
R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項15】
第二のチオフェンモノマーが以下によって表される、請求項1記載の方法:

式中、Xはハロゲンであり;
R1およびR2は独立に3位および4位の置換基を連結するアルキレン基である。
【請求項16】
第二のチオフェンモノマーが以下によって表される、請求項1記載の方法:

式中、Xはハロゲンである。
【請求項17】
遷移金属がPdまたはNiである、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記コポリマーを形成するための反応が鈴木カップリング、根岸カップリング、熊田カップリング、スティルカップリング、または檜山カップリングを含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
交互コポリマーである、請求項1記載の方法に従って製造されたコポリマー。
【請求項20】
ランダムコポリマーである、請求項1記載の方法に従って製造されたコポリマー。
【請求項21】
以下によって表される交互コポリマーである、請求項1記載の方法に従って製造されたコポリマー:

式中、R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R3は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R4は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項22】
以下によって表される交互コポリマーである、請求項1記載の方法に従って製造されたコポリマー:

式中、R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項23】
以下によって表されるランダムコポリマーである、請求項1記載の方法により製造されたコポリマー:

式中、R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R3は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R4は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項24】
以下によって表されるランダムコポリマーである、請求項1に従って製造されたコポリマー:

式中、R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項25】
少なくとも1つの第一のチオフェン反復単位および少なくとも1つの第二のチオフェン反復単位を含むコポリマーであって、該第一のチオフェン反復単位は該第二のチオフェン反復単位とは異なり、
該第一のチオフェン反復単位および該第二のチオフェン反復単位がそれぞれ、チオフェン環に結合した酸素を含む置換基を3位および4位に含み;かつ
該第一のチオフェン反復単位および該第二のチオフェン反復単位がそれぞれ、隣接する反復単位または末端基に2位および5位で連結されている、コポリマー。
【請求項26】
前記第一のチオフェン反復単位置換基がそれぞれ、少なくとも5個の炭素またはヘテロ原子の鎖を含み、かつ前記第二のチオフェン反復単位置換基がそれぞれ、5個未満の炭素またはヘテロ原子の鎖を含む、請求項25記載のコポリマー。
【請求項27】
第一のチオフェン反復単位が3,4-ジアルコキシチオフェンである、請求項25記載のコポリマー。
【請求項28】
第二のチオフェン反復単位が3,4-ジアルコキシチオフェンである、請求項25記載のコポリマー。
【請求項29】
前記第一のチオフェン反復単位が以下によって表される、請求項25記載のコポリマー:

式中、R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項30】
前記第二のチオフェン反復単位が以下によって表される、請求項25記載のコポリマー:

式中、R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項31】
前記第二のチオフェン反復単位が、

によって表される、請求項25記載のコポリマー。
【請求項32】
交互コポリマーである、請求項25記載のコポリマー。
【請求項33】
ランダムコポリマーである、請求項25記載のコポリマー。
【請求項34】
以下によって表される交互コポリマーである、請求項25記載のコポリマー:

式中、R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R3は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R4は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項35】
以下によって表される交互コポリマーである、請求項25記載のコポリマー:

式中、R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項36】
以下によって表されるランダムコポリマーである、請求項25記載のコポリマー:

式中、R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;
R3は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R4は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項37】
以下によって表されるランダムコポリマーである、請求項25記載のコポリマー:

式中、R1は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含み;かつ
R2は独立にアルキル、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、置換されていてもよいアルケニル、アルキニル、置換されていてもよいアルキニル、アリール、置換されていてもよいアリールを含む。
【請求項38】
請求項25記載のコポリマーを含むインク組成物。
【請求項39】
請求項25記載のコポリマーを含み、該コポリマーがドープ型または非ドープ型である、コーティング基板。
【請求項40】
請求項25記載のコポリマーを含み、該コポリマーがドープ型または非ドープ型であるデバイス。
【請求項41】
ドープ型または非ドープ型の請求項25記載のコポリマーを含む活性層を含む、デバイス。
【請求項42】
ドープ型または非ドープ型の請求項25記載のコポリマーを含む、OLEDデバイス。
【請求項43】
ドープ型または非ドープ型の請求項25記載のコポリマーを含む、OPVデバイス。
【請求項44】
ドープ型または非ドープ型の請求項25記載のコポリマーを含む正孔注入層を含む、OLEDデバイス。
【請求項45】
ドープ型または非ドープ型の請求項25記載のコポリマーを含む正孔輸送層を含む、OPVデバイス。
【請求項46】
非水性有機溶媒に可溶性である、請求項25記載のコポリマー。
【請求項47】
フッ化されている、請求項25記載のコポリマー。
【請求項48】
3位または4位の置換基の少なくとも1つがフッ化置換基である、請求項25記載のコポリマー。
【請求項49】
テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、アルキル化ベンゼン、ハロゲン化ベンゼン、NMP、DMF、DMAc、DMSO、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸エチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロピラン、アニソール、またはフッ化溶媒に可溶性である、請求項25記載のコポリマー。
【請求項50】
その酸化型ではトルエンまたはキシレンに対して溶媒抵抗性である、請求項25記載のコポリマー。
【請求項51】
ポリ(3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン)-alt-3,4-エチレンジオキシチオフェン)[BEET-alt-EDOT]である、請求項25記載のコポリマー。
【請求項52】
第一の反復単位ならびに2位および5位の第一の官能基を含む少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーを提供する段階であって、該第一の官能基は-Xであり、ここでXはハロゲンであり、
該第一のチオフェンモノマーは、蒸留による精製の間、第二の反復単位ならびに2位および5位の第二の官能基を含む第二のチオフェンモノマーよりも安定であり、該第二の反復単位は該第一の反復単位とは異なり、かつ該第二の官能基は該第一の官能基と同一である、段階;
第三の反復単位および第三の官能基を含む少なくとも1つの第三のチオフェンモノマーを提供する段階であって、
該第三の反復単位は該第二の反復単位と同一であり、かつ該第三の官能基は-MgX、-MnX、-ZnX、-MgX:LiY、-B(OR)2、-SnR3、-SiR3を含み、ここでXはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、かつRはアルキル基である、段階;ならびに
コポリマーを形成するために、該少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーおよび該少なくとも1つの第三のチオフェンモノマーを遷移金属存在下で反応させる段階
を含む、方法。
【請求項53】
第一の反復単位ならびに2位および5位の第一の官能基を含む少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーを提供する段階であって、該第一の官能基は-Xであり、ここでXはハロゲンであり、
該第一のチオフェンモノマーは、第二の反復単位ならびに2位および5位の第二の官能基を含む第二のチオフェンモノマーよりも、重合中の反応性が低く、該第二の反復単位は該第一の反復単位とは異なり、かつ該第二の官能基は該第一の官能基と同一である、段階;
第三の反復単位および第三の官能基を含む少なくとも1つの第三のチオフェンモノマーを提供する段階であって、
該第三の反復単位は該第二の反復単位と同一であり、かつ該第三の官能基は-MgX、-MnX、-ZnX、-MgX:LiY、-B(OR)2、-SnR3、-SiR3を含み、ここでXはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、かつRはアルキル基である、段階;ならびに
コポリマーを形成するために、該少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーおよび該少なくとも1つの第三のチオフェンモノマーを遷移金属存在下で反応させる段階
を含む、方法。
【請求項54】
前記第一のチオフェンモノマーが、チオフェン環に結合した酸素を含む置換基を3位および4位に含む、請求項52または53記載の方法。
【請求項55】
前記第一のチオフェンモノマーおよび前記第三のチオフェンモノマーがそれぞれ、チオフェン環に結合した酸素を含む置換基を3位および4位に含む、請求項52または53記載の方法。
【請求項56】
少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーを提供する段階;
該第一のチオフェンモノマーとは異なる少なくとも1つの第二のチオフェンモノマーを提供する段階であって、
該第一のチオフェンモノマーが第一の官能基を2位および5位に含み、ここで第一の官能基は臭素ではなく、
該第二のチオフェンモノマーが該第一の官能基と反応するよう適合させた第二の官能基を2位および5位に含み、
該第一のチオフェンモノマーおよび該第二のチオフェンモノマーがそれぞれ、チオフェン環に結合した酸素を含む置換基を3位および4位に含む、段階;ならびに
コポリマーを形成するために、該少なくとも1つの第一のチオフェンモノマーおよび該少なくとも1つの第二のチオフェンモノマーを遷移金属存在下で反応させる段階
を含む、方法。
【請求項57】
2位の第一の官能基および5位の第一の官能基が同じ官能基である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記第一の官能基が-MgX、- MnX、-ZnX、-MgX:LiY、-B(OR)2、-SnR3、または-SiR3を含み、ここでXはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、かつRはアルキル基である、請求項56記載の方法。
【請求項59】
第一のチオフェンモノマーのための前記第一の官能基を2位および5位の水素のメタル化および/または金属交換反応によって調製する、請求項56記載の方法。
【請求項60】
前記第一のチオフェンモノマーが3,4-ジアルキレンオキシチオフェンであり、2位および5位の官能基が-MgX、- MnX、-ZnX、-MgX:LiY、-B(OR)2、-SnR3、-SiR3を含み、ここでXはハロゲンであり、Yはハロゲンであり、かつRはアルキル基である、請求項56記載の方法。

【公表番号】特表2013−515094(P2013−515094A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544894(P2012−544894)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/061024
【国際公開番号】WO2011/075644
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(507094393)プレックストロニクス インコーポレーティッド (24)
【Fターム(参考)】