説明

4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルを含有するブリーチ組成物

【課題】温度サイクルの起こる輸送中、および低温保存中のシネレシス問題を避けることが可能な、ケラチン繊維のブリーチ用組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの過酸化塩と、少なくとも1つのカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルを含有するケラチン繊維のブリーチ用組成物であって、カルボン酸の非揮発性液状分岐エステルの凝固点が4℃より低く、以下の式(I):R−CO−O−R (I) (式中、RおよびRは、各々独立して、任意に、1以上の酸素原子および/または1以上のカルボニル基が介在した、および、任意に、1以上のヒドロキシル基によって置換された、炭素数1ないし30の、好ましくは炭素数2ないし20の炭化水素鎖を示し、Rは分岐している)で表される、ケラチン繊維のブリーチ用組成物に関する。本発明によれば、改善された低温耐性を示し、特に、温度サイクルの起こる輸送中、および低温保存中のシネレシス問題を避けることが可能な、ケラチン繊維のブリーチ用組成物を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、少なくとも1つの過酸化塩と、好適に選択した少なくとも1つの4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルを含有する、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、たとえば髪のブリーチ用組成物である。
【背景技術】
【0002】
ヒトのケラチン繊維、特に髪のブリーチは、“メラニン”色素の酸化によって行われ、結果として、前記色素が、部分的にまたは完全に、分解および除去される。
【0003】
髪をブリーチするためには、過酸化反応剤、たとえばアンモニウムまたはアルカリ金属過硫酸塩、過ホウ酸塩、および過炭酸塩を含有するブリーチパウダーが、使用時に、水性過酸化組成物と組み合わせて、使用される。
【0004】
過酸化塩および過酸化水素は比較的、酸性媒体中安定であるため、しばしば、酸素の適当な形成を行うために、塩基性pHでこれらを活性化する必要がある。したがって、一般的には、アルカリ化合物、たとえば、尿素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属ケイ酸塩およびリン酸塩、特に、アルカリ金属メタケイ酸塩または、アンモニアの前駆体である薬剤、たとえばアンモニウム塩を、前記ブリーチパウダーに添加する。
【0005】
しかしながら、ブリーチパウダーは、取り扱い中、輸送中、および保存中に、粉塵を形成する傾向にある。
【0006】
実際は、ブリーチパウダーを形成する(過硫酸塩、アルカリケイ酸塩)プロダクトは、目、気道、および粘膜に対して、腐食性および刺激性を有する。
【0007】
ブリーチパウダーの揮発問題を解消するために、不活性液状有機ビヒクル中の前記粉末剤(過酸化塩、アルカリ剤、増粘剤)からなるペーストが開発されている。このような組成物は、特に、特許出願DE3814356およびDE19723538に記載されている。
【0008】
しかしながら、現在市販されている当該技術に基づくブリーチペーストは、満足するものではない物理化学安定性を有するものであり、十分に均一で強力なブリーチをすることができない。さらに、これらは、魅力的な外観を示さない。
【0009】
ブリーチペーストの安定性のなさを解消するために、特許出願EP0778020およびEP1034777に記載されているように、好適に選択された増粘剤を組み合わせることが既に提案されている。
【0010】
さらによりよい安定性を保証するために、不活性有機液体を増粘化するワックスの使用も行われている。“ワックス”なる用語は、特に、40℃よりも高い融点を有するプロダクト、または疎水性であり、長鎖を有する脂肪酸のエステル、または、ミツロウの代用品を意味するものと理解される。
【0011】
しかしながら、このような環境下、有機液体中に分散するためには、実際には、溶解するためには、ワックスを溶融させなければならず、製造工程中に加熱することになる。
【0012】
さらに、ワックスに基づくこのような組成物は、製造中、および保存中の双方において、温度および熱インパクトに敏感である。このようなペーストは、従って、通常の品質を失ってしまう。
【0013】
このような欠点を解消するために、特許出願FR2842099およびFR2842100では、親水性または疎水性を有する発熱性シリカおよび不活性有機液体の組み合わせ、または、スチレンモノマータイプのセグメントおよび熱可塑性モノマーまたはコモノマータイプのセグメントからなるジブロック、トリブロック、マルチブロック、またはラジカルブロックコポリマー、および、親水性または疎水性を有する発熱性シリカから選択されるゲル化剤、およびポリデセンの組み合わせを使用することが提案されている。
【0014】
しかしながら、現在、商業的に入手可能なブリーチペーストは、耐寒性がないという欠点を有している。特に、シネレシスの問題、すなわち、油相の浸出が、低温で保存中に、および、温度サイクルの起こる輸送中に、見受けられる。
【特許文献1】DE03814356
【特許文献2】DE19723538
【特許文献3】EP0778020
【特許文献4】EP1034777
【特許文献5】FR2842099
【特許文献6】FR2842100
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、従来技術の公知の組成物の欠点を示すことなく、粉末の飛散の問題を解消可能である、ケラチン繊維のブリーチ用組成物、特に、強力で均一なブリーチができ、髪に脂っぽさやごわつきを残さない一方、良好な低温耐性を示す、ケラチン繊維のブリーチ用組成物を提供することである。
【0016】
上記目的は、本発明によって達成され、本発明の主題は、少なくとも1つの過酸化塩と、少なくとも1つのカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルを含有するケラチン繊維のブリーチ用組成物であって、カルボン酸の非揮発性液状分岐エステルの凝固点が4℃より低く、以下の式(I):
−CO−O−R (I)
式中、RおよびRは、各々独立して、任意に、1以上の酸素原子および/または1以上のカルボニル基が介在した、および、任意に、1以上のヒドロキシル基によって置換された、炭素数1ないし30の、好ましくは炭素数2ないし20の炭化水素鎖を示し、Rは分岐している、
で表される、ケラチン繊維のブリーチ用組成物である。
【0017】
本発明の他の主題は、本発明による組成物を用いてケラチン繊維をブリーチする方法、および、前記方法を実施するための多区画デバイスに関する。
【0018】
本発明の他の主題は、過酸化塩を含有するケラチン繊維のブリーチ用組成物中における、上記で定義したような、4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルの使用に関する。
【0019】
本発明によれば、改善された低温耐性をしめす、特に、低温保存中、および、温度サイクルが起こる輸送中のシネレシスの問題を避けることが可能である、ケラチン繊維のブリーチ用組成物を得ることができる。
【0020】
特記しない限り、本発明に記載の数値範囲限定は、これらの範囲内に含まれるものである。
【0021】
本発明による組成物中に存在する過酸化塩は、たとえば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過酸化物、過硫酸塩、過ホウ酸塩、または過炭酸塩、およびこれらの混合物から選択される。好ましくは、過硫酸塩およびこれらの混合物が使用され、さらに好ましくは、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、およびこれらの混合物が使用される。
【0022】
本発明による組成物中の過酸化塩濃度は、一般的には、組成物の全重量に対して、10から70重量%の間、好ましくは、20から60重量%の間である。
【0023】
本発明内では、「低温」なる用語は、10℃より低い、好ましくは、5℃よりも低い温度を意味するものと理解される。
【0024】
本発明内では、「液体」なる用語は、常温、通常15℃から40℃の間で、常圧で、それ自体の重さの作用で流れることが可能な全ての相を意味するものと理解される。
【0025】
本発明内では、「非揮発性」なる用語は、20℃の温度で、5mmHg以下の蒸気圧を示す化合物を意味するものと理解される。好ましくは、この蒸気圧は、1mmHgより低い。
【0026】
本発明内では、「分岐エステル」なる用語は、酸からの部分、および/または、アルコールからの部分において、少なくとも3つの炭素原子を有する少なくとも1つの分岐炭化水素鎖を有するエステルを意味するものと理解される。
【0027】
本発明で使用されるカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルは、4℃より低い凝固点を有する。この凝固点は、特に、DSC(示差走査熱量計)によって定めることが可能である。使用可能なDSC装置としては、Perkin-ElmerからのPyris 1装置が挙げられる。
【0028】
4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルは、分岐酸から得られる。
【0029】
本発明の特定な実施態様によれば、4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルは、少なくとも8つの炭素原子を有する。
【0030】
本発明において使用可能なエステルとしては、特に、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、イソ酪酸イソブチル、または、イソ酪酸2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが挙げられる。
【0031】
好ましくは、RおよびRは、分岐している。4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルは、したがって、分岐アルコールと分岐酸から得られるものである。
より好ましくは、イソノナン酸イソノニルが使用される。
【0032】
本発明による組成物における、4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルの濃度は、一般的には、組成物の全重量に対して、1から70重量%、好ましくは5から60重量%、さらに好ましくは10から50重量%の間である。
【0033】
本発明の特定な実施態様によれば、本発明による組成物は、少なくとも1つのアルカリ剤を含有する。
【0034】
アルカリ剤は、たとえば、尿素、アンモニウム塩、たとえば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、または硝酸アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはバリウムの、シリケート、ホスフェート、またはカーボネート、およびこれらの混合物から選択される。
【0035】
アルカリ剤が本発明による組成物中に存在する場合には、アルカリ剤の濃度は、一般的には、組成物の全重量に対して、0.01から40重量%の間、好ましくは、0.1から30重量%の間である。
【0036】
本発明の特定な実施態様によれば、本発明による組成物は、4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステル以外の、少なくとも1つのさらなる不活性有機液体を含有する。
【0037】
本発明内では、「不活性有機液体」なる用語は、過酸化水素に対して化学的に不活性である有機液体を意味するものと理解される。本発明では、前記液体の存在下で過酸化水素の分解が、100℃で15時間後、25%よりも少ない場合、前記液体は不活性である。
【0038】
たとえば、式:C10n[(20n)+2](式中、nは3から9であり、好ましくは3から7である)のポリデセン、本発明のエステル以外の、脂肪アルコールまたは脂肪酸のエステル、炭素数12から24の脂肪酸および糖のエステルまたはジエステル、環状エーテルまたは環状エステル、シリコーン油、鉱油、または植物油、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
式:C10n[(20n)+2](式中、nは3から9である)の化合物は、米国、トイレ化粧品香料工業協会のCTFA辞書、第7版、1997年の、用語「ポリデセン」に相当し、米国およびヨーロッパの同INCI用語に相当する。これらは、ポリ−1−デセンの水素化からの生成物である。
【0040】
これらの化合物中、本発明によれば、前記式中、nが3から7である化合物が好ましい。
たとえば、Amoco ChemicalによりSilkflo(登録商標)366NF Polydeceneとして販売されている製品、または、FortumによりNexbase(登録商標)2002FG、2004FG、2006FG、および2008FGとして販売されている製品が挙げられる。
【0041】
本発明のエステル以外の、脂肪アルコールまたは脂肪酸のエステルに関しては、たとえば、以下のものが挙げられる。
−飽和で、直鎖または分岐の、低級C−Cモノアルコールの、一官能C12−C24脂肪酸とのエステル。後者は、飽和または不飽和で、直鎖または分岐であってもよい。特に、オレエート、ラウレート、パルミテート、ミリステート、ベヘネート、ココエート、ステアレート、リノレエート、リノレネート、カプレート、アラキドネート、またはこれらの混合物から選択され、特に、オレオパルミテート、オレオステアレート、パルミトステアレートなどから選択される。これらのエステル中、より特に好ましくは、パルミチン酸イソプロピル、またはミリスチン酸イソプロピルが使用される。
−直鎖または分岐のC−Cモノアルコールの、二官能C−C24脂肪酸とのエステル。後者は、飽和または不飽和で、直鎖または分岐であってもよい。
−三官能酸のエステル。
【0042】
炭素数12から24の脂肪酸および糖のエステルまたはジエステルに関しては、「糖」なる用語は、アルデヒドまたはケトン官能基を有する、または有していない、いくつかのアルコール官能基を有し、少なくとも4つの炭素原子を含有する化合物を意味するものと理解される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、または多糖であることが可能である。
【0043】
本発明で使用可能な糖としては、たとえば、スクロース、グルコース、ガラクロース、リボース、フクトース、マルトース、フラクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、ラクトース、およびこれらの誘導体、特に、アルキル化誘導体、たとえば、メチル化誘導体、たとえばメチルグルコースが挙げられる。
【0044】
本発明で使用可能な糖と脂肪酸のエステルは、特に、飽和または不飽和で直鎖または分岐のC12−C24脂肪酸と上記糖のエステルまたはエステル混合物からなる群から選択可能である。
前記エステルは、モノ−、ジ−、トリ−、およびテトラエステル、ポリエステル、およびこれらの混合物から選択可能である。
【0045】
これらのエステルは、たとえば、オレエート、ラウレート、パルミテート、ミリステート、ベヘネート、ココエート、ステアレート、リノレエート、リノレネート、カプレート、アラキドネート、またはこれらの混合物から選択され、特に、オレオパルミテート、オレオステアレート、またはパルミトステアレート混合エステルから選択可能である。
【0046】
特に、スクロースの、グルコースの、またはメチルグルコースの、モノ−およびジエステル、特にモノ−またはジオレエート、−ステアレート、−べへネート、−オレオパルミテート、−リノレエート、−リノレネート、または−オレオステアレートが好ましくは使用される。
【0047】
シリコーンオイルもまた、不活性有機液体として使用可能である。
特に、好適なシリコーンオイルは、25℃で10000mPa.s以下の粘度の、液状で不揮発性シリコーン流体であり、シリコーンの粘度は、スタンダードASTM445アペンディックスCにしたがって測定される。
【0048】
シリコーンオイルは、Walter Nollによる文献:“Chemistry and Technology of Silicones”、1968、Academic Pressに、より詳細に定義されている。
【0049】
特に、本発明で使用可能なシリコーンオイル中、Dow Corningからの商品名DC200Fluid−5mPa.s、DC200Fluid−20mPa.s、DC200Fluid−350mPa.s、DC200Fluid−1000mPa.s、および、DC200Fluid−10000mPa.sが挙げられる。
【0050】
鉱油、たとえば、流動パラフィンもまた、不活性有機液体として使用可能である。
植物油、特に、アボカド油、オリーブ油、またはホホバ液状ワックスもまた、適当である。
【0051】
好ましくは、前記追加の不活性有機液体は、たとえば、式:C10n[(20n)+2](式中、nは3から9であり、好ましくは3から7である)のポリデセン、本発明のエステル以外の、脂肪アルコールまたは脂肪酸のエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0052】
前記追加の不活性有機液体の含有量は、組成物の全重量に対して、5から60重量%の間、好ましくは10から50重量%の間、およびより好ましくは15から45重量%の間であることが可能である。
【0053】
特定な実施態様によれば、本発明による組成物は、無水ペースト形態で提供される。
【0054】
本発明内では、水分含有量が組成物の全重量に対して、1重量%よりもすくない、好ましくは、0.5重量%よりも少ない場合、組成物は無水である。
【0055】
他の特定な実施態様によれば、本発明による組成物は、さらに、過酸化水素を含有する。
【0056】
この場合、本発明による組成物は、使える状態であり、本発明による無水ペースト形態で提供される組成物を、過酸化水素を含有する水性組成物と混合することにより得られるものである。pHは一般的には、3から11の間である。好ましくは、7から11の間である。
【0057】
本発明による組成物はまた、化粧品に通常使用される種々の添加剤も含有可能である。
【0058】
本発明による組成物は、したがって、無機または有機増粘剤、特に、アニオン性、カチオン性、非イオン性、または両性、結合性または非結合性の、増粘ポリマー、充填剤、たとえばクレー、バインダー、たとえばビニルピロリドン、潤滑剤、たとえばポリオールステアレートまたはアルカリ金属またはアルカリ土類金属ステアレート、親水性または疎水性シリカ、ピグメント、染料、マット化剤たとえば酸化チタン、また、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、または双性界面活性剤、酸化防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、分散剤、フィルム形成剤、保存剤、乳白剤、ビタミン、香料、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、または双性ポリマー、セラミド、またはコンディショニング剤、たとえば揮発性または非揮発性および変性または非変性シリコーンを含有可能である。
【0059】
本発明による組成物が過酸化水素を含有する場合、酸素放出制御剤、たとえば炭酸マグネシウムまたは酸化マグネシウムもまた、含有可能である。
【0060】
上記で定義した添加剤および酸素放出制御剤は、組成物の全重量に対して、0.01から40重量%の間、好ましくは、0.1から30重量%の間で存在可能である。
【0061】
無論、当業者は上記任意の添加化合物を、本発明による組成物の本質的な優位な特性が前記添加によって影響されない、または、実質的にまたは有害に影響されないように、選択するものであろう。
【0062】
本発明によるブリーチ方法は、ケラチン繊維に、過酸化水素を含有する水性組成物の存在下、本発明による無水ペーストの形態である組成物を適用することからなる。
【0063】
過酸化水素を含有する水性組成物は、無水ペースト形態の組成物に、使用直前に添加可能である。無水ペースト形態の組成物に、同時に、または、順次添加することも可能である。
【0064】
本発明の他の主題は、別々にパッケージされた少なくとも2つの組成物を含有する多画デバイスであって、これらを混合することにより、上記で定義した本発明による過酸化水素を含有する組成物になる。
【0065】
特定な実施態様によれば、本発明によるデバイスは、本発明による上記で定義した無水形態のペーストを含有する第1コンパートメントと、過酸化水素を含有する水性組成物を含有する第2コンパートメントを含有するものである。
【0066】
過酸化水素を含有する水性組成物の適当な化粧品媒体は、一般的には、水、または、水中で十分に溶解できないであろう化合物を溶解するために、水と少なくとも1つの有機溶媒からなるものである。有機溶媒としては、たとえば、炭素数1ないし4の低級アルカノール、たとえばエタノールおよびイソプロパノール;グリセロール;グリコールおよびグリコールエーテル、たとえば2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールまたはプロピレングリコールモノメチルエーテル、および、芳香族アルコール、たとえばベンジルアルコールまたはフェノキシエタノール、これらの類似体、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
溶媒は、組成物の全重量に対して、1から40重量%の間、好ましくは、約5から30重量%の間で存在可能である。
【0068】
過酸化水素を含有する水性組成物は、好ましくは、7よりも小さいpHを示し、酸性pHであれば、組成物中における過酸化水素の安定性が保証される。
【0069】
過酸化水素を含有する水性組成物は、種々の形態で、たとえば、液体、クリーム、ゲル、又はケラチン繊維をブリーチするのに適当な他の形態で提供可能である。
【0070】
過酸化水素を含有する水性組成物はまた、化粧品で通常使用される種々の添加剤、たとえば上記したような添加剤を含有可能である。
【0071】
過酸化水素を含有する水性組成物は、さらに、上記で定義したような酸素放出抑制剤を含有可能である。
【0072】
本発明によるデバイスは、所望の混合物を髪に送達可能な手段、たとえば、本出願会社による特許:FR2586913に記載されたデバイスを具備することが可能である。
【0073】
このデバイスを基本として、上記で定義したような本発明による方法を基本としたケラチン繊維をブリーチすることが可能である。
【0074】
本発明の他の主題は、少なくとも1つの過酸化塩を含有するケラチン繊維のブリーチ用組成物中における、上記で定義した、少なくとも1つの4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルの使用に関する。
【0075】
特定の実施態様によれば、本発明による使用により、ケラチン繊維のブリーチ用組成物の低温耐性を改善することが可能であり、特に、低温保存中、および、温度サイクルの起きる輸送中、シネレシスの問題を避けることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0076】
本発明は、ここで、以下の非限定的実施例により例証される。
実施例
以下のブリーチ用無水ペーストを調製した。
【0077】
【表1】

【0078】
上記ブリーチ用ペーストの各々に対して、低温耐性および輸送耐性を評価するため、種々のテストを行った。
【0079】
テスト1
上記各ブリーチ用ペーストを、1週間、4℃の冷蔵庫に置いた。常温に戻してから、以下の点が観察された。
−組成物Aは、何等変性していない。
−組成物Bの場合には、ペーストの硬化およびオイルポケットの形成が観察される。
【0080】
テスト2
上記各ブリーチ用ペーストを、20℃から−20℃の2つの温度サイクル(1サイクル=20℃で6時間、次いで、20℃から−20℃で6時間、次いで、−20℃で6時間、次いで、−20℃から20℃で6時間)に付し、次いで、1時間、撹拌した。前記撹拌によって、1000kmの距離をトラックで輸送する間のサンプルの振動をシュミレートした。以下の点が観察された。
−組成物Aは、何等変性していない。
−組成物Bの場合には、ペーストの表面にオイルの分離相が観察される。
【0081】
テスト3
上記各ブリーチ用ペーストに対して、5℃/分の速度で、25℃から−40℃に冷却する間の熱挙動を、示差走査熱量測定によって記録した。以下の点が観察された。
−組成物Aは、何等変化していない。
−組成物Bでは、−4℃で始まる顕著な結晶化ピークが観察される。
【0082】
結論として、イソノナン酸イソノニルを含有する無水ペーストが、ミリスチン酸イソノノニルを含有する無類ペーストと比較すると、明らかに優れた低温耐性および輸送対性を示すことが観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの過酸化塩と、少なくとも1つのカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルを含有するケラチン繊維のブリーチ用組成物であって、カルボン酸の非揮発性液状分岐エステルの凝固点が4℃より低く、以下の式(I):
−CO−O−R (I)
式中、RおよびRは、各々独立して、任意に、1以上の酸素原子および/または1以上のカルボニル基が介在した、および、任意に、1以上のヒドロキシル基によって置換された、炭素数1ないし30の炭化水素鎖を示し、Rは分岐している、
で表される、ケラチン繊維のブリーチ用組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの過酸化塩が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過酸化物、過硫酸塩、過ホウ酸塩、または過炭酸塩、およびこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルが、少なくとも8つの炭素原子を含有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記RおよびRは、分岐している、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルが、イソノナン酸イソノニルである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つのアルカリ剤を含有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアルカリ剤が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、またはアンモニウム塩、尿素、およびこれらの混合物から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1および3ないし5のいずれか1項に定義した、4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステル以外の、少なくとも1つのさらなる不活性有機液体を含有する、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのさらなる不活性有機液体が、式:C10n[(20n)+2](式中、nは3から9である)のポリデセン、請求項1および3ないし5のいずれか1項に定義した、前記4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステル以外の脂肪酸のまたは脂肪アルコールのエステル、炭素数12から24の脂肪酸および糖のエステルまたはジエステル、環状エーテルまたは環状エステル、シリコーン油、鉱油、または植物油、またはこれらの混合物から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
無水ペースト形態である、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
過酸化水素を含有する、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
ケラチン繊維に、過酸化水素を含有する水性組成物の存在下、請求項10に定義した無水ペーストの形態である組成物を適用することからなる、ブリーチ方法。
【請求項13】
少なくとも1つの過酸化塩を含有するケラチン繊維のブリーチ用組成物中における、請求項1および3ないし5のいずれか1項に定義した、少なくとも1つの4℃より低い凝固点を有するカルボン酸の非揮発性液状分岐エステルの使用。
【請求項14】
ケラチン繊維のブリーチ用組成物の低温耐性を改善するための、請求項13に記載の使用。


【公開番号】特開2008−169214(P2008−169214A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−4942(P2008−4942)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】