説明

4−または5−アミノサリチル酸誘導体

【解決手段】 本発明は、新規4−または5−アミノサリチル酸誘導体、および活性成分としてこれらの4−または5−アミノサリチル酸誘導体を有し、炎症性腸疾患(IBD)および過敏性腸症候群(IBS)などの消化管疾患の治療および結腸癌の予防/治療に有用な医薬品を提供する。より具体的には、これらの誘導体は、アゾ、エステル、無水物、チオエステル、またはアミド結合により4−または5−アミノサリチル酸分子に結合した硫化水素放出部分を有する。さらに、本発明はこれらの化合物を調整する工程と、IBDとIBSの治療および結腸癌の予防/治療のためのその使用法とを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease:IBD)および過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)などの腸疾患の治療、および結腸癌の化学予防に有用な化合物に関する。特に、4−または5−アミノサリチル酸誘導体は、5−または4−アミノサリチル酸分子に対するアゾ、エステル、無水物、チオエステル、またはアミド結合を介して結合した、硫化水素放出部分を有するように開発されたものである。
【背景技術】
【0002】
炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease:IBD)は、小腸および結腸に炎症を引き起こす疾患の一般名である。潰瘍性大腸炎が最も一般的な炎症性腸疾患であり、消化(gastrointestinal:GI)管、特に下部消化管、より具体的には結腸および/または直腸の様々な部位に発症する。2番目のIBDはクローン病であり、小腸(回腸)および大腸(結腸)に多く見られる。
【0003】
潰瘍性大腸炎は、その症状が他の腸障害およびクローン病と類似しているため、診断が困難となる場合がある。クローン病は、腸壁の中のより深いところで炎症を引き起こすため、潰瘍性大腸炎とは異なる。また、クローン病は、口、食道、胃、十二指腸、大腸、虫垂、および肛門にも発症する可能性があるが、通常小腸に発症する。
【0004】
潰瘍性大腸炎はあらゆる年齢の人に発症するが、15〜30歳で発症することが最も多く、またはそれより頻度は少ないが50〜70歳でも発症する。小児および青年が本疾患を発症することもある。潰瘍性大腸炎は男女等しく発症し、一部の家系では遺伝するように見える。
【0005】
潰瘍性大腸炎に罹患した人の約5%が結腸癌を発症することを考慮することも重要である。時間とともに、および結腸患部の範囲によって、癌のリスクは増大する。例えば、下部結腸と直腸のみが罹患している場合は、癌のリスクは通常と変わらない。しかし、結腸全体が罹患している場合、癌のリスクは通常の32倍程になる可能性がある。従って、IBDの治療に有用な薬物は結腸癌の予防にも有用である可能性がある。
【0006】
IBDの発症機序には、遺伝因子、免疫因子、および環境刺激の間で複数の因子が相互作用している可能性がある。最近の証拠では、IBDの発症機序において、抗原に反応する粘膜免疫系の病理学的活性化が重要な要因であることを示唆している。
【0007】
前記炎症プロセスの中で抗原が提示されると、その直後に糖タンパクペプチドの小分子であるサイトカインが生成し、これが様々な細胞集団間の伝達シグナルを提供し、その後の免疫および炎症反応の方向性を決定する。炎症性サイトカインは、インターロイキン(IL)−1、IL−6、IL−8、および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)を含む。マクロファージが主なサイトカインの供給源であるが、上皮細胞もこれらのペプチド因子の多くを産生することができる。
【0008】
Tヘルパー(T Helper:Th)細胞は、さらに重要なサイトカイン供給源である。Th1細胞は細胞性免疫反応に関与し、IL−2、インターフェロンγ(interferon gamma:IFN−γ)、およびTNF−αを産生する。炎症制御に関与する重要な転写因子NFkBは、IBDの発症機序に特に関与しており、前記Th1細胞によって産生されるサイトカインの量を調節する(Neurath et al.(1996)Nature Med.2:998−1004を参照)。Th2細胞はB細胞による抗体合成を促進し、IL−4、IL−5、IL−6、およびIL−10を産生する。
【0009】
ケモカインもまた、結腸炎の発症機序に関与していると考えられている。ケモカインは炎症性タンパク質であり、化学誘引および白血球活性化を介して免疫および炎症反応に関与する。例えば、RANTESはC−Cケモカインであり、単球、リンパ球、肥満細胞、および好酸球などの炎症細胞の補充および活性化を促す。RANTESは最近、結腸炎の慢性期に増加することが示された(Ajuebor et al.(2001)J.Immunol.166:552−558を参照)。
【0010】
潰瘍性大腸炎の治療は、前記疾患の重症度によって決まる。ほとんどの人は薬物療法で治療される。重度症例では、患部の結腸を切除するため、手術が必要となる患者もいる。
【0011】
炎症性腸疾患(irritable bowel syndrome:IBS)はよく見られるがあまり理解されていない疾患であり、腹痛、下痢および/または便秘、膨満感、鼓脹(gassiness)、および痙攣を含む様々な腸症状を引き起こす。これらの症状は多数の異なる腸疾患によって引き起こされる可能性があるが、通常、より重篤な問題を除外した後に初めてIBSと診断される。ますます多くの証拠によってIBSの発症機序における炎症の役割が示唆されている。
【0012】
治療目標は、寛解を導入および維持し、IBD/IBS患者の生活の質を改善することである。数種類の薬物が利用できる。
【0013】
アミノサリチル酸塩は5−アミノサリチル酸(5−aminosalicylic acid:5−ASA、メサラミン)または4−アミノサリチル酸(4−aminosalicylic acid:4−ASA)を含む薬物であり、前記炎症の制御に役立つ。しかし、メサラミンと4−ASAは、いずれも消化管を通過する際に吸収され、下部消化管、特に結腸および直腸に到達するメサラミンの量に有害な影響を及ぼす可能性がある。そのため、腸および上部消化管を通過するメサラミンを保護するため、様々なメサラミン製剤が導入されてきた。
【0014】
さらに、メサラミンの結腸特異的送達に役立つ可能性がある、いくつかのメサラミンプロドラッグが導入された。これらのプロドラッグは一般に、腸および上部消化管で容易に吸収されないため、より簡単に結腸に到達することができる。
【0015】
スルファサラジンはスルファピリジンと5−ASAの合剤であり、寛解の導入と維持に利用される。スルファサラジンは体内で代謝され、5−ASAとスルファピリジンを生成する。前記スルファピリジン成分は、抗炎症作用を持つ5−ASAを腸に輸送する。
【0016】
しかし、スルファピリジンは悪心、嘔吐、胸焼け、下痢、および頭痛などの副作用を生じることがある。これらの副作用は通常、消化管内でのスルファピリジンの活性と、消化系に吸収されたスルファピリジンの活性によるものである。
【0017】
オルサラジン、イプサラジド(ipsalazide)、およびバルサラザイド(balsalazide)など、他の5−ASA製剤は各々異なる担体を有し、副作用が少なく、スルファサラジンを投与することができない人に使用可能である。スルファサラジンと異なり、これらの5−ASA化合物が消化管で分解しても、望まない代謝産物を生じることはない。
【0018】
一般に5−ASA化合物は、結腸内の炎症部位により、経口、浣腸により、または坐剤で投与される。軽度から中等度の潰瘍性大腸炎の人は、ほとんどがまずこの薬物群による治療を受ける。しかし一般に、この治療法は最適とは考えられず、それは主に、前記薬物の効能が低く、患者のコンプライアンスも悪くなるためである。
【0019】
他に使用される薬物は、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、ブデソニドなどのコルチコステロイド、およびアザチオプリンおよび6−メルカプトプリン(6−mercaptopurine:6−MP)などの免疫調節薬である。これらの薬物は、高血圧、感染症リスクの上昇などの副作用を生じる可能性がある。
【0020】
スルファサラジン、オルサラジン、およびバルサラザイドはメサラミン誘導体であり、メサラミン以外の担体がジアゾ結合によりメサラミンに結合している。これらのプロドラッグは腸および上部消化管で容易に吸収されないため、結腸に到達することができ、ここで結腸ミクロフローラのアゾ還元酵素により開裂し、前記メサラミンと担体を直接結腸に放出する。
【0021】
他のメサラミン誘導体は、前記分子のカルボキシルおよびヒドロキシル官能基を介してメサラミンに結合する担体を有する。このうち、エステルまたはアミドとL−セリンおよびL−グリシンなどのアミノ酸との調製、またはタウリンなど他の生体化合物の添加が報告されている。これらのプロドラッグの活性は、メサラミンを放出するカルボキシペプチダーゼおよびアミノペプチダーゼAの作用に基づいている(R.Pellicciari et al.(1993)Journal of Medicinal Chemistry,36,pg.4201−7)。
【0022】
これまでのほとんどの技術では、メサラミンに結合する担体部分が不活性である。そのため、担体部分は、生物活性もあり、IBD/IBSの治療に有用な5−ASAまたは4−ASAのいずれかに結合させることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
一般に、組織中に硫化水素(HS)を放出することができるHS放出部分は、アゾ、エステル、無水物、チオエステル、またはアミド結合を介して4−または5−アミノサリチル酸(4−または5−aminosalicylic acid:4−または5−ASA)分子に結合し、本発明の4−または5−ASA誘導体を形成する。前記HS放出部分を4−または5−ASAに共有結合させることで、本発明の誘導体はプロドラッグとして作用することができ、通常は腸または上部消化管に容易に吸収されないため、より簡単に結腸に到達することができる。
【0024】
4−または5−ASAの抗炎症特性とその潰瘍性大腸炎治療での使用については、十分報告されている。4−または5−ASAは、腸の炎症、下痢(排便回数)、直腸出血、および胃痛を軽減する。HSは、最近、神経調節物質として機能し、抗炎症作用を発現することが示された。さらに、HSは侵害受容から結腸直腸の膨張を調節することが示された(Distrutti et al.(2005)Evidence That Hydrogen Sulfide Exerts Antinociceptive Effects in the Gastrointestinal Tract by Activating KATP Channels.J.Pharm.and Exp.Ther.316:325−335を参照。この文献はこの参照により本明細書に組み込まれる)。最終的に、HSは、腸組織で平滑筋弛緩薬になることが示された(Teague,B.et al.(2002)The Smooth Muscle Relaxant effect of Hydrogen Sulfide In Vitro: Evidence for a Physiological Role to Control Intestinal Contractility.Br.J.Pharmacol.137:139−145を参照。この文献はこの参照により本明細書に組み込まれる)。
【0025】
驚くべきことに、前記HS放出部分を4−または5−ASAに共有結合させることにより、前記HS部分のみの場合と比べ、前記HS部分のHS放出能力が改善する。このことは、前記HS放出部分が4−または5−ASAに共有結合していると同時に、加水分解または消化管中にある様々な酵素による加水分解又は開裂で前記HS放出部分が前記4−または5−ASAから開列し、前記2つの活性成分、すなわち4−または5−アミノサリチル酸と前記HS放出部分を放出し、さらなる作用によってHSが放出されることを示唆している。
【0026】
本発明の誘導体は、4−または5−ASA単独、HS放出部分単独、および4−または5−ASAとH2S放出部分との混合物よりも、炎症の軽減、結腸炎被験者の下痢および便潜血の軽減、および結腸直腸の膨張に伴う内臓痛の軽減効果が優れている。さらに、本発明の誘導体は、シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)−1、COX−2、構成内皮の一酸化窒素シンターゼ(endothelial nitric oxide synthase:eNOS)、および誘導型NOS(inducible NOS:iNOS)のmRNA値も低下させるが、これらはすべて炎症に関与すると考えられている酵素である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
従って、本発明の1つの観点によると、本発明の誘導体は、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)および過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)などの消化(gastrointestinal:GI)管の炎症状態の治療に有用である。理論に固執することはないが、前記硫化水素放出部分から放出された硫化水素は、いくつかの炎症性遺伝子の発現を制御する転写因子であるNFkBの阻害により抗炎症作用を発現すると考えられている。さらに、HSの抗侵害受容作用にはATP感受性K(KATP)チャネルが関与すると考えられている。
【0028】
本発明の別の観点によると、本発明の4−または5−ASA誘導体は、HT−29ヒト結腸癌細胞の生存可能性を低下させる効果があるため、結腸癌の予防および/または治療に有用である。
【0029】
概して述べると、本発明の化合物は以下の一般式を有しており、

A−L−R(I)
式中、
Aは
【0030】
【化6】

【0031】
ここで、−N=は4または5の位置にあるものであり、
【0032】
【化7】

【0033】
ここで、−NHは4または5の位置にあるものであり、
【0034】
【化8】

【0035】
ここで、−NHは4または5の位置にあるものであるか、又は
【0036】
【化9】

【0037】
ここで、−NHは4または5の位置にあるものであり、
Lは、O、O−C=O、S、N、またはエステル結合、無水物結合、チオエステル結合、アミド結合、またはアゾ結合を形成する共有結合のいずれかであり、
Rは、組織中に硫化水素を放出する硫化水素放出部分である、化合物である。組織存在下でHSを放出する、すべての効果的な非毒性硫化水素放出部分を本発明で使用できることが理解される。
【0038】
好適な実施形態において、Rは、以下の群
【0039】
【化10−1】

【0040】
【化10−2】

【0041】
【化10−3】

【0042】
【化10−4】

【0043】
【化10−5】

【0044】
から選択される硫化水素放出部分である。
【0045】
前記部分はすべて生物組織でHSを放出するが、ほとんどの前記HS放出部分はN−アセチルシステインとは異なるメカニズムでHSを放出する。N−アセチルシステインが様々な組織でシステインに変換され、インビボでのシステイン代謝によりHSが生成することは周知である。HSは主に、L−システイン代謝に関与する2種類のピリドキサール5’−リン酸依存性酵素、つまり、シスタチオンγ−リアーゼおよびシスタチオンβ−シンターゼによって産生される(Fujii et al.(2005)Hydrogen Sulfide as an Endogenous Modulator of Biliary Bicarbonate Excretion in the Rat Liver.Antioxid. Redox Signal.7:788−794を参照。これはこの参照によって本明細書に組み込まれる。)。
【0046】
例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、非毒性アミン、およびアミノ酸との塩などの薬学的に許容される塩も本発明の一部である。好ましい塩はアルギニンおよびアグマチンとの塩である。薬学的に許容される酸付加塩も含まれる。
【0047】
本発明のさらなる観点によると、本発明の化合物の医薬品、および薬学的に許容される添加物または担体、特に消化管の炎症状態の治療に使用される賦形剤または担体が提供される。
【0048】
本発明の他の実施形態によると、治療を必要とする対象において炎症性腸疾患(IBD)および過敏性腸症候群(IBS)などの消化管の炎症状態を治療する方法において、前記被験者に有効量の4−または5−ASA誘導体およびその塩を投与する工程が含まれる。さらに、それを必要とする対象において結腸癌を治療または予防するための方法が提供され、前記対象に有効量の4−または5−ASA誘導体およびその塩を投与する工程を有する。
【0049】
さらなる実施形態において、本発明は、消化管の炎症状態治療用の薬物を製造する際の、本発明の4−または5−ASA誘導体およびその塩の使用について提供する。本発明ではまた、消化管の炎症状態を治療する際の、4−または5−ASA誘導体とその塩の使用についても提供する。
【0050】
好ましい化合物は以下の化学式の化合物であり、
【0051】
【化11】

【0052】
2−ヒドロキシ−4−または5−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルアゾ]−安息香酸(II)、
【0053】
【化12】

【0054】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(III)、
【0055】
【化13】

【0056】
4または5−アミノ−2−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェノキシカルボニルオキシ]−安息香酸(IV)、
【0057】
【化14】

【0058】
2−ヒドロキシ−4または5[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェノキシカルボニルアミノ]−安息香酸(V)、
【0059】
【化15】

【0060】
4−または5−{[(1−カルボキシ−2−メルカプト−エチルカルバモイル)−メチル]−アゾ}−2−ヒドロキシ−安息香酸(VI)、
【0061】
【化16】

【0062】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1−カルボキシ−2−メルカプト−エチルカルバモイル)−メチルエステル(VII)、
【0063】
【化17】

【0064】
4−または5−アミノ−2−[(1−カルボキシ−2−メルカプト−エチルカルバモイル)−メトキシカルボニルオキシ]−安息香酸(VIII)、
【0065】
【化18】

【0066】
4−または5−[(1−カルボキシ−2−メルカプト−エチルカルバモイル)−メトキシカルボニルアミノ]−2−ヒドロキシ−安息香酸(IX)、
【0067】
【化19】

【0068】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸とN−アセチルシステインとの無水物(X)、
【0069】
【化20】

【0070】
4−または5−(2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオニルアミノ)−2−ヒドロキシ−安息香酸(XI)
【0071】
【化21】

【0072】
2−(2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオニルオキシ)−4または5−アミノ−安息香酸(XII)、
【0073】
【化22】

【0074】
2−ヒドロキシ−4または5−({4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシメチル}−アゾ)−安息香酸(XIII)、
【0075】
【化23】

【0076】
4−または5−アミノ−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン2−イル]−フェノキシメトキシカルボニルオキシ}−安息香酸(XIV)、
【0077】
【化24】

【0078】
2−ヒドロキシ−4−または5−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチア−ジホスフェタン2−イル]−フェノキシメトキシカルボニルアミノ}−安息香酸(XV)、
【0079】
【化25】

【0080】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシメチルエステル(XVI)、
【0081】
【化26】

【0082】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェニルエステル(XVII)、
【0083】
【化27】

【0084】
4−または5−アミノ−2−{4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシカルボニルオキシ}−安息香酸(XVIII)、
【0085】
【化28】

【0086】
2−ヒドロキシ−4−または5−{4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシカルボニルアミノ}−安息香酸(XIX)、
【0087】
【化29】

【0088】
4−または5−(1−カルボキシ−3−チオカルバモイル−プロピルアゾ)−2−ヒドロキシ−安息香酸(XX)、
【0089】
【化30】

【0090】
2−(4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−4−チオカルバモイル−酪酸(XXI)、
【0091】
【化31】

【0092】
4−または5−アミノ−2−(1−カルボキシ−3−チオカルバモイル−プロピルカルバモイルオキシ)−安息香酸(XXII)、
【0093】
【化32】

【0094】
2−ヒドロキシ−4−または5−[3−(1−ヒドロキシメチル−3−チオカルバモイル−プロピル)−ウレイド]−安息香酸(XXIII)、
【0095】
【化33】

【0096】
4−または5−アミノ−2−(2−アミノ−4−チオカルバモイル−ブチリルオキシ)−安息香酸(XXIV)、
【0097】
【化34】

【0098】
4−または5−(2−アミノ−4−チオカルバモイル−ブチリルアミノ)−2−ヒドロキシ−安息香酸(XXV)、
【0099】
【化35】

【0100】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸と2−アミノ−4−チオカルバモイル−酪酸との無水物(XXVI)、
【化36】

【0101】
4−チオカルバモイルフェニル=4−または5−アミノ−2−ヒドロキシベンゾエート(XXVII)、
【0102】
【化37】

【0103】
4−または5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(XXVIII)、
【0104】
【化38】

【0105】
2−ヒドロキシ−4−または5−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルアミノ)−安息香酸(XXIX)、
【0106】
【化39】

【0107】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸チオカルバモイルメチルエステル(XXX)、
【0108】
【化40】

【0109】
4−または5−アミノ−2−チオカルバモイルメトキシカルボニルオキシ−安息香酸(XXXI)、
【0110】
【化41】

【0111】
2−ヒドロキシ−4−または5−チオカルバモイルメトキシカルボニルアミノ−安息香酸(XXXII)、
【0112】
【化42】

【0113】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸と硫酸モノ−(2−メルカプト−エチル)エステルとの無水物(XXXIII)、
【0114】
【化43】

【0115】
4−または5−アミノ−2−(2−メルカプト−エトキシスルホニルオキシ)−安息香酸(XXXIV)、および
【0116】
【化44】

【0117】
5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(XXXV)である。
【0118】
最も好ましい化合物は、
【0119】
【化45】

【0120】
5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(XXXV)、
【0121】
【化46】

【0122】
4−チオカルバモイルフェニル=4−または5−アミノ−2−ヒドロキシベンゾエート(XXVII)、および
【0123】
【化47】

【0124】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸とN−アセチルシステインとの無水物(X)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0125】
本発明は以下に、本明細書において説明される好適な実施形態について説明する。ただし、これらの実施形態は本発明を図示するためのものであり、請求項によって定義される本発明の範囲を制限するものとして解釈されないことが理解される。
【0126】
本発明の化合物は2つの活性部位、4−または5−ASAおよび硫化水素放出部分を含み、アゾ、エステル、無水物、チオエステル、またはアミド結合によってともに結合されている。アゾ還元酵素があると、アゾ結合したプロドラッグから4−または5−ASAを放出することができるため、結腸への標的化輸送が可能となり、同時に全身での吸収が減少する。同様に、カルボキシペプチダーゼおよびアミノペプチダーゼAがあると、それぞれエステルおよびアミド結合したプロドラッグから4−または5−ASAを放出することもできる。また、エステラーゼおよびチオエステラーゼは、それぞれエステルおよびチオエステル結合を開裂する。最後に、リパーゼは無水物結合を開裂する。本発明の化合物は、既知の出発原料および試薬を用いて合成可能である。
【0127】
本発明の化合物は、粘膜炎、感染症(例えば、ウイルス性、細菌性、および真菌性疾患)、およびクローン病などの口の炎症状態、食道炎、化学的損傷による状態(例えば、アルカリ溶液の摂取)、胃食道逆流疾患、胆汁酸逆流、バレット食道、クローン病、および食道狭窄などの食道の炎症状態;胃炎(例えば、ヘリコバクター・ピロリ、酸性消化性疾患、および萎縮性胃炎)、セリアック病、消化性潰瘍性疾患、胃の前癌病変、非潰瘍性消化不良、およびクローン病などの炎症状態、クローン病、細菌異常増殖、消化性潰瘍性疾患、および腸の亀裂などの胃の炎症状態、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、感染性結腸炎(例えば、ディフィシレ菌結腸炎、サルモネラ腸炎、赤痢菌感染症、エルシニア症、クリプトスポリジウム症、microspridial感染、およびウイルス感染などの偽膜性結腸炎)、放射線結腸炎、免疫力がない宿主での結腸炎(例えば、盲腸炎)、結腸の前癌状態(例えば、異形成、腸の炎症状態、および結腸ポリープ)、直腸炎、痔、一過性直腸神経痛、および直腸亀裂に伴う炎症などの結腸の炎症状態;胆管炎、硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、および胆嚢炎などの肝臓胆嚢および/または胆道疾患、および腸膿瘍を含む(これに限定されるものではないが)様々な疾患、特に消化管の炎症状態の予防または治療に利用することができる。
【0128】
治療される特定の状態または疾患状態によって、当該分野の技術の範囲内で容易に決定されるように、適切な治療に有効且つ安全な用量で、対象に本発明の化合物を投与することができる。これらの化合物は、1回量または分割量で、最も望ましくは、1日約1〜約2000mgの範囲の用量で投与されるが、投与される対象の体重および状態、および選択した特定の投与経路により、必然的にばらつきが生じる。しかし、約0.1〜約100mg/kg、好ましくは約5〜90mg/kg、より好ましくは約5〜50mg/kgの範囲の投与量が最も望ましい。それでもなお、投与される人の体重および状態と前記薬物に対する個人の反応、および選択した剤形の種類とそのような投与が実行される時間および間隔によってばらつきが生じることもある。有害な副作用を引き起こすことなく高用量を使用することも可能であるが、場合によっては、前述の範囲の下限より少ない用量で十分以上なこともあり、ただし、このような高用量では最初にまず少量を数回に分けて1日かけて投与する。
【0129】
本発明の化合物は如何なる製剤処方の形態でも投与することが可能であり、その性質は投与経路に依存する。これらの医薬品は、適合する薬学的に許容される賦形剤または溶媒を用い、従来の方法で調整することができる。そのような組成物の例には、即時調製される溶液、注射剤、直腸、経鼻、眼内、経膣などの調整用のカプセル、錠剤、経皮貼布、薬用キャンディー、トローチ剤、噴霧剤、シロップ剤、粉末、顆粒、ゲル剤、エリキシル剤、坐薬などを含む。好ましい投与経路は経口および直腸経路である。
【0130】
経口投与では、微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、およびグリシンなど様々な添加物を含む錠剤を、デンプン(好ましくは、コーン、ポテト、またはタピオカスターチ)、アルギン酸、および特定の複合ケイ酸塩などの様々な錠剤分解物質に加え、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン、およびアカシアなどの造粒結合剤と一緒に利用することができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの潤滑剤を錠剤化の目的で使用することができる。ゼラチンカプセルの充填剤として同種の固体組成を利用することもでき、この充填の好適な素材には、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールも含む。水性懸濁液および/またはエリキシル剤が経口投与に必要な場合、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、およびその様々な組み合わせなどの希釈剤と一緒に、前記活性成分を甘味剤または香料、着色料、および必要な場合は、乳化剤および/または懸濁剤と併用することができる。
【0131】
剤形は、即効性、徐放性、持続放出、遅延放出、または標的遅延放出(targeted delayed release)として設計することができる。これらの用語の定義は当業者に周知である。さらに、前記剤形の放出特性は、重合体の混合物組成、コーティングされた基質組成、複数微粒子組成、コーティングされた複数微粒子組成、イオン交換樹脂を基本とした組成、浸透現象を基本とした組成、または生分解性重合体組成により達成することができる。理論に固執することなく、前記放出は、好ましい拡散、溶出、浸食、イオン交換、浸透、またはその組み合わせにより達成することができると考えられる。
【0132】
非経口投与では、活性化合物のゴマまたはピーナッツ油または水性プロピレングリコール溶液を利用することができる。水性溶液は、適切な緩衝液を加え(好ましくはpH8以上とする)、必要であれば、液体希釈液をまず等張にする。前記水性溶液は、静脈注射の目的に適している。滅菌状態でのこれらの全溶液の調整は、当業者に周知の標準的な薬学技術で容易に達成される。
【0133】
以下の限定されない実施例は、さらに説明を加えて当業者が本発明を作成および利用することができるようにするものである。
【0134】
化合物の調整
【実施例1】
【0135】
2−ヒドロキシ−5−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルアゾ]−安息香酸(4)[化学式IIの化合物]の合成
【0136】
【化48】

【0137】
(4−プロペニル−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2)の合成
4−プロペニル−フェニルアミン(1)(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。前記反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒を蒸発させた後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、(4−プロペニル−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2)が得られた(収率90%)。
【0138】
5−(4−アミノ−フェニル)−[1,2]ジチオール−3−チオン(3)の合成
(4−プロペニル−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2、4.5mmol)および硫黄(31.5mmol)をジメチルホルムアミド(500ml)中で8時間加熱し、溶媒を除去した後の残渣をトルエンにほぼ完全に溶解した。2N水酸化ナトリウム水溶液によりトルエン溶液を抽出しようとすることにより、橙色の固体沈殿物が得られた。この生成物を沸騰水に溶解し、室温にて30分間4N塩酸で処理し、4N NaOHを添加すると望みの生成物(3)が得られた(収率55%)。
【0139】
2−ヒドロキシ−5−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルアゾ]−安息香酸(4)の合成
5−(4−アミノ−フェニル)−[1,2]ジチオール−3−チオン(3、0.56mmol)を5mLの濃縮HClと2.5mL水の混合物に溶解し、亜硝酸ナトリウム(0.56mmol)溶液でジアゾ化した。その間にサリチル酸(0.56mmol)、水酸化カリウム(1.12mmol)、および炭酸ナトリウムを水に溶解する。ジアゾ懸濁液を数回に分けて前記サリチル酸のアルカリ溶液に添加し、水酸化カリウム溶液の量をさらに添加することで、全反応中、アルカリ度を十分高い値に維持する。2日後、反応混合物を50℃で30分加熱する。アゾ化合物(4)はHClを用いて沈殿させ、ろ過すると(収率85%)、前記化学式IIの化合物2−ヒドロキシ−5−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルアゾ]−安息香酸が得られた。
【実施例2】
【0140】
2−ヒドロキシ−4−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルアゾ]−安息香酸(2)[科学式IIの化合物]の合成
【0141】
【化49】

【0142】
2−ヒドロキシ−4−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルアゾ]−安息香酸(2)の合成
4−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1、1mmol)を濃縮HCl 10mLと水5mLの混合物に溶解し、亜硝酸ナトリウム(1mmol)溶液でジアゾ化した。ジアゾ懸濁液は、5−フェニル−[1,2]ジチオール−3−チオン(1mmol)のジメチルホルムアミド溶液に数回に分けて添加した。2日後、反応混合物を50℃で30分加熱する。冷却後、アゾ化合物(2)はHClを用いて沈殿させ、ろ過すると(収率65%)、前記式IIの化合物2−ヒドロキシ−5−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルアゾ]−安息香酸が得られた。
【実施例3】
【0143】
一般的な合成手順:4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(4)[化学式XXXVの化合物]
【0144】
【化50】

【0145】
5−p−ヒドロキシフェニル−1,2−ジチオン−3−チオン(ADT−OH)の合成
アネトール(1)(32.5g;0.21mol)および硫黄(45g;1.40mol)をジメチルホルムアミド(250ml)中8時間加熱し、溶媒除去後の残渣をトルエンにほぼ完全に溶解した。2N水酸化ナトリウム水溶液によりトルエン溶液を抽出することを試みることにより、橙色の固体沈殿物(8.5g)が得られた。融点300℃以上。この生成物を沸騰水に溶解し、塩酸を添加後、橙色の沈殿物(2)が得られた(収率50%)、融点188〜189℃。H NMR(DMSO)δ6.86(d,2H),7.68(s,1H),7.75(d,2H),10.51(s,−OH);MS(ESI),m/z225(M)。
【0146】
【化51】

【0147】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)の合成
4−または5−アミノサリチル酸(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)が得られた(収率80%)。
【0148】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)の合成
化合物(1)(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガス雰囲気下(5psi)、6時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(2)が得られ、これをDCM/ヘキサンで再結晶した(収率83%)。
【0149】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(4)の合成
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(2)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液にヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に、5−p−ヒドロキシフェニル−1,2−ジチオン−3−チオン(ADT−OH)(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(3)の粗生成物を40% TFAのCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物3を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(4)[式XXXVの化合物]が得られた(収率40%)。
【0150】
化合物5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(4):H NMR(DMSO)δ7.07(d,2H),7.38(d,2H),7.46(d,2H),7.79(s,1H),7.85(s,1H),8.01(d,2H),10.35(s,−OH);MS(ESI),m/z362(M)。
【実施例4】
【0151】
一般的な合成手順:2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−アミノフェニル炭酸水素塩(5)
3−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−ヒドロキシフェニル−カルバミン酸(6)
【0152】
【化52】

【0153】
4−または5−アミノ−2−エトキシカルボニルオキシ−安息香酸(1)および4−または5−エトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(2)の合成
4−または5−アミノサリチル酸(3.0mmol)を乾燥管を付けた丸底フラスコ中、40mLのクロロホルムに溶解した。エチルクロロギ酸(3.0mmol)を徐々に添加し、溶液を2時間還流した。前記クロロホルムを減圧留去し、残渣をエーテルに取った。活性炭を用いてエーテル層を脱色し、ろ過、溶媒を減圧除去した。得られた残渣をエタノールに溶解し、生成物はn−ヘキサンを用いた沈殿により、油状半固体の粗生成物として回収した。前記粗生成物はシリカゲルを充填したフラッシュクロマトグラフィーでジエチルエーテル/ヘキサン(7:3、v/v)を溶出して精製し、前記表題化合物の4−または5−アミノ−2−エトキシカルボニルオキシ−安息香酸(1:収率:58%)および4−または5−エトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(2:収率:34%)を得た。
【0154】
4−または5−アミノ−2−エトキシカルボニルオキシ−安息香酸tert−ブチルエステル(3)の合成
(1)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物にt−ブタノール(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9.5/0.5)で溶出すると、4−または5−アミノ−2−エトキシカルボニルオキシ−安息香酸tert−ブチルエステル(3)が得られた(収率55%)。
【0155】
4−または5−エトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸tert−ブチルエステル(4)の合成
化合物(4)は、化合物(3)を得るために報告された手順に沿って得られた。収率:74%
2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−アミノフェニル炭酸水素塩(5)の合成
前記化合物(3)(3.5g;0.011mol)のエタノール(80ml)溶液にNaOH 1N(40ml)を添加した。反応混合物を2時間室温で攪拌した。次に前記溶液をHCl 1Nで中和した。エタノールを除去し、酢酸エチル(3×150ml)で抽出を行い、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥し、ろ過、溶媒を留去し、2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−アミノフェニル炭酸水素塩(5)が白色固体として得られた(3g;0.010mol;収率:89%)。
【0156】
3−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−ヒドロキシフェニル−カルバミン酸(6)の合成
化合物(6)は、化合物(5)を得るために報告された手順に沿って得られた。収率:91%
【実施例5】
【0157】
一般的な合成手順:4−または5−アミノ−2−(1−カルボキシ−3−チオカルバモイル−プロピルカルバモイルオキシ)−安息香酸(11)(式XXIIの化合物)
4−または5−[3−(1−カルボキシ−3−チオカルバモイル−プロピル)−ウレイド]−2−ヒドロキシ−安息香酸(12)
【0158】
【化53】

【0159】
5−チオ−L−グルタミン−OtBu(2)の合成
L−グルタミン−OtBu・HCl(1)(1.2mmol;0.3g)およびローソン試薬(0.75mmol;0.3g)をベンゼン(20mL)に添加し、混合物を15分間、還流しながら加熱した。次に反応液を冷却し、減圧留去した。粗生成物を100gのシリカゲルでクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチルおよびn−ヘキサンの混合物で溶出した。白色固体として0.2g(収率76%)の生成物(2)が得られた。H NMR(CDCl)δ1.4(s,9H),1.8−2.8(m,5H),4.0−4.8(m,3H);MS(ESI),m/z219(M)。
【0160】
【化54】

【0161】
2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル炭酸水素塩(7)の合成
(5)(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル炭酸水素塩(7)が得られた(収率80%)。
【0162】
3−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−ヒドロキシフェニル−カルバミン酸(8)の合成
化合物6(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガス下(5psi)、6時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(8)が得られ、これをDCM/ヘキサンで再結晶した(収率83%)。
【0163】
4−または5−アミノ−2−(1−カルボキシ−3−チオカルバモイル−プロピルカルバモイルオキシ)−安息香酸(11)の合成
(7)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に、2−アミノ−4−チオカルバモイル−酪酸tert−ブチルエステル(3.0mmol)およびトリエチルアミン(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(9)の粗生成物を40% TFAのCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物(11)を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/1)で溶出すると、4−または5−アミノ−2−(1−カルボキシ−3−チオカルバモイル−プロピルカルバモイルオキシ)−安息香酸(11)である化学式XXIIの化合物が得られた(収率45%)。
【0164】
4−または5−[3−(1−カルボキシ−3−チオカルバモイル−プロピル)−ウレイド]−2−ヒドロキシ−安息香酸(12)の合成
化合物(12)は、化合物(11)を得るために報告された手順に沿って得られた。収率:38%
【実施例6】
【0165】
一般的な合成手順:4−または5−アミノ−2−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェノキシカルボニルオキシ]−安息香酸(15)[化学式IVの化合物]
2−ヒドロキシ−4−または5−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェノキシカルボニルアミノ]−安息香酸(16)[化学式Vの化合物]
【0166】
【化55】

【0167】
5−p−ヒドロキシフェニル−1,2−ジチオン−3−チオン(ADT−OH)の合成
アネトール(1)(32.5g;0.21mol)および硫黄(45g;1.40mol)をジメチルホルムアミド(250ml)中8時間加熱し、溶媒除去後の残渣をトルエンにほぼ完全に溶解した。2N水酸化ナトリウム水溶液によりトルエン溶液を抽出しようと試みると、橙色の固体沈殿物(8.5g)が得られた。融点300℃以上。この生成物を沸騰水に溶解し、塩酸を添加後、橙色の沈殿物(2)が得られた(収率50%)、融点188〜189℃。H NMR(DMSO)δ6.86(d,2H),7.68(s,1H),7.75(d,2H),10.51(s,−OH);MS(ESI),m/z225(M)。
【0168】
【化56】

【0169】
2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル炭酸水素塩(7)の合成
(5)(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル炭酸水素塩(7)が得られた(収率80%)。
【0170】
3−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−ヒドロキシフェニル−カルバミン酸(8)の合成
化合物(6)(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガス下(5psi)、6時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(8)が得られ、これをDCM/ヘキサンで再結晶した(収率83%)。
【0171】
4−または5−アミノ−2−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェノキシカルボニルオキシ]−安息香酸(15)の合成
(7)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に、5−p−ヒドロキシフェニル−1,2−ジチオン−3−チオン(ADT−OH)(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(13)の粗生成物を40% TFAのCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物(15)を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4−または5−アミノ−2−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェノキシカルボニルオキシ]−安息香酸(15)である式IVの化合物が得られた(収率45%)。
【0172】
2−ヒドロキシ−4−または5−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェノキシカルボニルアミノ]−安息香酸(16)の合成
化合物(16)、つまり式Vの化合物は、化合物(15)を得るために報告された手順に沿って得られた。収率:38%
【実施例7】
【0173】
一般的な合成手順:4−または5−アミノ−2−{4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシカルボニルオキシ}−安息香酸(19)[式XIVの化合物]
2−ヒドロキシ−4−または5−{4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシカルボニルアミノ}−安息香酸(20)[化学式XIIIの化合物]
【0174】
【化57】

【0175】
(p−ヒドロキシフェニル)ジチオホスホン酸無水物の合成
Red P(4g;0.129mol)、S(4g;0.125mol)、およびPhOH(4g;0.042mol)を155〜158℃で5.5時間加熱し、反応混合物を室温で冷却し、沈殿物を回収した(5.5g、収率34%)。融点224〜226℃。NMRおよびMS分析はp−ヒドロキシフェニルジチオホスホン酸無水物と一致している。
【0176】
【化58】

【0177】
2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル炭酸水素塩(7)の合成
(5)(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル炭酸水素塩(7)が得られた(収率80%)。
【0178】
3−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−ヒドロキシフェニル−カルバミン酸(8)の合成
化合物(6)(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガス下(5psi)、6時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(8)が得られ、これをDCM/ヘキサンで再結晶した(収率83%)。
【0179】
4−または5−アミノ−2−{4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシカルボニルオキシ}−安息香酸(19)の合成
(7)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物にp−ヒドロキシフェニルジチオホスホン酸無水物(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(17)の粗生成物を40% TFAのCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物(19)を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4−または5−アミノ−2−{4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ[MSOffice1]−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシカルボニルオキシ[MSOffice2]}−安息香酸(19)である化学式XIVの化合物が得られた(収率65%)。
【0180】
2−ヒドロキシ−4−または5−{4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシカルボニルアミノ}−安息香酸(20)の合成
化合物(20)、つまり化学式XIIIの化合物は、化合物(19)を得るために報告された手順に沿って得られた。収率:48%
【実施例8】
【0181】
一般的な合成手順:4−または5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(23)[式XXVIIIの化合物]
2−ヒドロキシ−4−または5−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルアミノ)−安息香酸(24)[化学式XXIXの化合物]
【0182】
【化59】

【0183】
2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル炭酸水素塩(7)の合成
(5)(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノフェニル炭酸水素塩(7)が得られた(収率80%)。
【0184】
3−(tert−ブトキシカルボニル)−4−または5−ヒドロキシフェニル−カルバミン酸(8)の合成
化合物(6)(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガス下(5psi)、6時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(8)が得られ、これをDCM/ヘキサンで再結晶した(収率83%)。
【0185】
4−または5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(23)の合成
(7)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に4−ヒドロキシ−チオベンズアミド(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(21)の粗生成物を40% TFAのCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物(23)を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4−または5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(23)である化学式XXIIの化合物が得られた(収率71%)。
【0186】
2−ヒドロキシ−4−または5−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルアミノ)−安息香酸(24)の合成
化合物(24)、つまり化学式XXIXの化合物は、化合物(23)を得るために報告された手順に沿って得られた。収率:68%
【実施例9】
【0187】
一般的な合成手順:2−(4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−4−チオカルバモイル−酪酸(6)[化学式XXIの化合物]
【0188】
【化60】

【0189】
5−チオ−L−グルタミン−OtBu(2)の合成
L−グルタミン−OtBu・HCl(1)(1.2mmol;0.3g)およびローソン試薬(0.75mmol;0.3g)をベンゼン(20mL)に添加し、混合物を15分間、還流しながら加熱した。次に反応液を冷却し、減圧留去した。粗生成物を100gのシリカゲルでクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチルおよびn−ヘキサンの混合物で溶出した。白色固体として0.2g(収率76%)の生成物(2)が得られた。H NMR(CDCl)δ1.4(s,9H),1.8−2.8(m,5H),4.0−4.8(m,3H);MS(ESI),m/z219(M)。
【0190】
【化61】

【0191】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)の合成
4−または5−アミノサリチル酸(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)が得られた(収率80%)。
【0192】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)の合成
化合物(1)(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガスの下(5psi)、6時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(8)が得られ、これをDCM/ヘキサンで再結晶した(収率83%)。
【0193】
2−(4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−4−チオカルバモイル−酪酸(6)の合成
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液にヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に、2−アミノ−4−チオカルバモイル−酪酸tert−ブチルエステル(3.0mmol)およびトリエチルアミン(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(5)の粗生成物をTFA(40%)のCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物(6)を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、2−(4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−4−チオカルバモイル−酪酸(6)である化学式XXIの化合物が得られた(収率80%)MS(ESI),m/z298(M)。
【実施例10】
【0194】
一般的な合成手順:4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−チオカルバモイルフェニルエステル(8)[化学式XXVIIの化合物]
【0195】
【化62】

【0196】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)の合成
4−または5−アミノサリチル酸(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)が得られた(収率80%)。
【0197】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)の合成
化合物(1)(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガス下(5psi)、6時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(2)が得られ、これをDCM/ヘキサンで再結晶した(収率83%)。
【0198】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−チオカルバモイルフェニルエステル(8)の合成
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(2)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液にヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に4−ヒドロキシ−チオベンズアミド(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(7)の粗生成物を40% TFAのCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物(8)を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−チオカルバモイル−フェニルエステル(8)である化学式XXVIIの化合物が得られた(収率48%)。
【実施例11】
【0199】
一般的な合成手順:4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェニルエステル(10)[化学式XVIIの化合物]
【0200】
【化63】

【0201】
(p−ヒドロキシフェニル)ジチオホスホン酸無水物の合成
Red P(4g;0.129mol)、S(4g;0.125mol)、およびPhOH(4g,0.042mol)を155〜158℃で5.5時間加熱し、反応混合物を室温で冷却し、沈殿物を回収した(5.5g、収率34%)。融点224〜226℃。NMRおよびMS分析はp−ヒドロキシフェニルジチオホスホン酸無水物と一致している。
【0202】
【化64】

【0203】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)の合成
4−または5−アミノサリチル酸(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)が得られた(収率80%)。
【0204】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)の合成
化合物(1)(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガス下(5psi)、6時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl4(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(8)が得られ、これをDCM/ヘキサンで再結晶した(収率83%)。
【0205】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェニルエステル(10)の合成
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液にヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物にp−ヒドロキシフェニルジチオホスホン酸無水物(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧除去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体9の粗生成物をTFA(40%)のCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物10を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェニルエステル(10)である式XVIIの化合物が得られた(収率73%)。
【0206】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸メルカプトエタンスルホン酸塩(2)の合成
【0207】
【化65】

【0208】
亜硫酸2−メルカプト−エチルエステル(0.1mol)を100mlの酢酸エチルに入れた混合物を、不活性雰囲気下、20〜25℃、30〜45分間で前記4−または5−アミノサリチル酸(1)(100mlの酢酸エチル中0.1mole)溶液に添加した。前記混合物を0〜5℃で1時間攪拌し、ろ過すると、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸メルカプトエタンスルホン酸塩(2)が得られた(収率:98%)。
【実施例12】
【0209】
4または5−アミノ−2−(2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオニルオキシ)−安息香酸(3)[化学式XIIの化合物]の合成
【0210】
【化66】

【0211】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)の合成
4−または5−アミノサリチル酸(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)が得られた(収率80%)。
【0212】
4または5−アミノ−2−(2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオニルオキシ)−安息香酸(3)の合成
2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオン酸(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(2)(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(2)の粗生成物をTFA(40%)のCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物(3)を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4または5−アミノ−2−(2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオニルオキシ)−安息香酸(3)である式XIIの化合物が得られた(収率52%)
【実施例13】
【0213】
4または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸=2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオン酸との無水物(4)[化学式Xの化合物]の合成
【0214】
【化67】

【0215】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)の合成
5−アミノサリチル酸(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)が得られた(収率80%)。
【0216】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)の合成
化合物(1)(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガス下(5psi)、6時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(8)が得られ、これをDCM/ヘキサンで再結晶した(収率83%)。
【0217】
4または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸=2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオン酸との無水物(4)の合成
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液にDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオン酸(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(3)の粗生成物をTFA(40%)のCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物4を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸=2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオン酸との無水物(4)である化学式Xの化合物が得られた(収率68%)。
【実施例14】
【0218】
4または5−(2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオニルアミノ)−2−ヒドロキシ−安息香酸(5)[化学式XIの化合物]の合成
【0219】
【化68】

【0220】
4または5−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)の合成
4−または5−アミノサリチル酸(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液にNaCO 10%(15mL)およびFmoc−OSu(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)が得られた(収率90%)。
【0221】
4−または5−アミノ−2−tert−ブトキシ安息香酸tert−ブチルエステル(3)の合成
化合物(1)(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガス下(7psi)、24時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(2)が得られた。中間体(2)の粗生成物をジエチルアミン(33%)のTHF溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物(3)を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4−または5−アミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸tert−ブチルエステル(3)が得られた(収率67%)。
【0222】
4−または5−(2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオニルアミノ)−2−ヒドロキシ−安息香酸(5)の合成
2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオン酸(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に、4または5−アミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸tert−ブチルエステル(3)(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧除去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体4の粗生成物をTFA(40%)のCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物(5)を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4または5−(2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオニルアミノ)−2−ヒドロキシ−安息香酸(5)である式XIの化合物が得られた(収率78%)。
【実施例15】
【0223】
4−または5−アミノ−2−(2−メルカプト−エトキシスルホニルオキシ)−安息香酸(3)の合成[化学式XXXIVの化合物]
【0224】
【化69】

【0225】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)の合成
4−または5−アミノサリチル酸(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)が得られた(収率80%)。
【0226】
4−または5−アミノ−2−(2−メルカプト−エトキシスルホニルオキシ)−安息香酸(3)の合成
硫酸モノ−(2−メルカプト−エチル)エステル(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.3mmol)およびDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(2)(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(2)の粗生成物をTFA(40%)のCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物3を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4または5−アミノ−2−(2−メルカプト−エトキシスルホニルオキシ)−安息香酸(3)である化学式XXXIVの化合物が得られた(収率57%)
【実施例16】
【0227】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸=硫酸モノ−(2−メルカプト−エチル)エステルとの無水物(4)[化学式XXXIIIの化合物]の合成
【0228】
【化70】

【0229】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)の合成
5−アミノサリチル酸(10.0mmol)のジオキサン25mLと水12.5mLの溶液に、トリエチルアミン(15.0mmol)およびジ−tert−ブチル−ジカーボネート(15.0mmol)を添加し、0℃で1/2時間攪拌した。反応混合物を24時間室温で機械的に攪拌した。溶媒の留去後、3M HCl(15mL)を残渣に滴下した。沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させた。残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(9/1)で溶出すると、4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1)が得られた(収率80%)。
【0230】
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)の合成
化合物(1)(12.0mmol)、濃HSO(6.0mmol)、およびDCM(100mL)をイソブチレンガス下(5psi)、6時間室温で攪拌した。溶液を冷却した10% NaHCO(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、留去した。残渣を1:1 MeOH/CCl(400mL)に溶解し、水(300mL)で洗浄し、その後1:1 MeOH/水(2×200mL)で抽出した。抽出物を乾燥(NaSO)、留去すると白色固体(2)が得られ、これをDCM/ヘキサンで再結晶した(収率83%)。
【0231】
4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸=硫酸モノ−(2−メルカプト−エチル)エステルとの無水物(4)の合成
4−または5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−tert−ブトキシ−安息香酸(2)(3.0mmol)の50mLジメチルホルムアミド溶液にDCC(3.3mmol)を添加し、0℃で1時間攪拌した。反応混合物に硫酸モノ−(2−メルカプト−エチル)エステル(3.0mmol)を添加し、0℃で3時間、室温で72時間機械的に攪拌した。ろ過後、ろ液を減圧留去し、溶媒を除去した。このようにして得られた油状残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥、ろ過し、溶媒を留去した。中間体(3)の粗生成物をTFA(40%)のCHCl溶液で処理した。2時間後、溶媒を除去し、粗生成物の残渣として化合物(4)を得た。前記残渣をシリカゲルのオープンカラムに載せ、CHCl/MeOH(8/2)で溶出すると、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸=硫酸モノ−(2−メルカプト−エチル)エステルとの無水物(4)である化学式XXXIIIの化合物が得られた(収率68%)。
【0232】
化合物の特性解析
【実施例17】
【0233】
5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル[以下化合物XXXVと称する]
【0234】
【化71】

【0235】
Macherey−Nagel(商標)シリカゲル50プレートで蛍光指示薬を用いて薄層クロマトグラフィーを行い、前記プレートをUV光で観察した(254nm)。カラムクロマトグラフィーにはKieselgel(商標)60を使用した。すべての合成試薬はAldrich−Sigma Chemical Companyから購入し、精製せずに使用した。溶媒は分析用試薬級またはそれ以上の純度とし、提供されたまま使用した。溶液はNaSOで乾燥し、Buchi(商標)R−114 rotavaporを使用し、前記溶媒を減圧除去した。構造はプロトンH−NMRおよび13C−NMRにより分光学的に確認した。スペクトルはVarian Mercury Plus 400装置にて記録した。スペクトルはDMSOにて記録した。適宜、ピークパターンを説明するため、s(シングレット)、d(ダブレット)の略語を使用している。化学シフトは内部標準としてMeSiを参照している。合成生成物のマススペクトルは、Applayed Biosystem(商標)API 2000マススペクトロメトリーで行った。融点はKofler(商標)高温装置を用いて決定し、補正していない。
H NMR(DMSO)δ7.07(d,2H),7.38(d,2H),7.46(d,2H),7.79(s,1H),7.85(s,1H),8.01(d,2H),10.35(s,−OH);
13C NMR(DMSO)δ114.6;119.6;123.9;127.7;128.7;129.4;129.8;136.1;153.8;158.8;165.4;173.2;189.7;216.2
MS(EI),m/e362(M
融点:93〜95℃。
【実施例18】
【0236】
5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−チオカルボニル−フェニルエステル[以下化合物XXVIIと称する]
【0237】
【化72】

【0238】
Macherey−Nagelシリカゲル50プレートで蛍光指示薬を用いて薄層クロマトグラフィーを行い、前記プレートをUV光で観察した(254nm)。カラムクロマトグラフィーにはKieselgel 60を使用した。すべての合成試薬はAldrich−Sigma Chemical Companyから購入し、精製せずに使用した。溶媒は分析用試薬級またはそれ以上の純度とし、提供されたまま使用した。溶液はNaSOで乾燥し、Buchi R−114 rotavaporを使用し、前記溶媒を減圧除去した。構造はプロトンH−NMRおよび13C−NMRにより分光学的に確認した。スペクトルはVarian Mercury Plus 400装置にて記録した。スペクトルはDMSOにて記録した。適宜、ピークパターンを説明するため、s(シングレット)、d(ダブレット)の略語を使用している。化学シフトは内部標準としてMeSiを参照している。合成生成物のマススペクトルは、Applayed Biosystem API 2000マススペクトロメトリーで行った。融点はKofler高温装置を用いて決定し、補正していない。
H NMR(DMSO):δ7.03(d,1H),7.31(d,2H),7.32(s,1H),7.71(d,1H),7.97(d,1H),9.55(s,NH2),9.91(s,NH2),10.25(s,−OH);
13C NMR(DMSO):δ114.4,119.5,122.1,122.7,129.2,129.5,138.1,152.1,157.7,165.9,189.7,199.7
MS(EI),m/e289(M
融点:193〜195℃。
【0239】
化合物の検査
【実施例19】
【0240】
マウスTNBS誘導結腸炎における2−ヒドロキシ−5−アミノ安息香酸4−(チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル塩酸塩(化合物XXXV)の投与量決定試験
以下の例では、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)をマウスに結腸内投与して誘導された結腸炎の標準的な実験動物モデルを使用している。このモデルの詳細な説明が公表されており(Santucci et al.(2003)Gastroenterology 124:1381−94)、参照によって本明細書に組み込まれている。簡単に言えば、6〜8週齢のBalb/cマウスに対し、0.1mLの30%エタノールに1.5mgの用量でTNBSを結腸内投与した。前記マウスを様々な投与群にランダムに割り付けた(1群あたりn=6)。1時間後に開始し、5日間、12時間ごとに継続し、前記マウスに賦形剤(1%カルボキシメチルセルロース(CMC))、5−ASA(メサラミン)(25、50、または75mg/kg)または等モル量の2−ヒドロキシ−5−アミノ−安息香酸4−(チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル塩酸塩(化合物XXXV)(130mg/kg)、またはこの用量の66%(100mg/kg)、50%(66mg/kg)、および25%(33mg/kg)を経口投与した。研究の最終日に下痢と便潜血の有無について前記マウスを(盲検的に)評価し、その体重を測定した。これらのデータに基づき「疾患活動性スコア」を計算した(スケール0〜4、前述の論文に概要が示されている)。屠殺後、顆粒球浸潤のマーカーとして、前記結腸のサンプルのミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定した。すべての結果を健常マウスで得られた結果とも比較した。
【0241】
前記疾患活動性スコアとMPO活性の結果を、それぞれ図1および図2に示している。図1は、等モル量の50mg/kgおよび75mg/kgで前記活動性スコアを低下させるには、前記化合物XXXVがメサラミンよりも優れていたことを示している。さらに、図2に示す通り、検討した最高用量では、MPO活性が有意に低下した(ほぼ半分)。
【実施例20】
【0242】
化合物XXXVと5−ASA(メサラミン)のみ、(ADT−OH)のみ、およびメサラミンとADT−OHの混合物の疾患活動性指標とMPO活性の比較
図3および4はそれぞれ、前述のものと同じ結腸炎実験動物モデルを用い、化合物XXXV(130mg/kg)を等モル量のその2成分であるメサラミン(50mg/kg)および5−p−ヒドロキシフェニル−1,2−ジチオン−3−チオン(ADT−OH)(80mg/kg)、およびメサラミン(50mg/kg)とADT−OH(80mg/kg)の混合物と比較し、疾患活動性指標とMPO活性を示している。賦形剤投与群と比較しp<0.05。各群5匹以上のラットから成っていた。
【0243】
図3は、メサラミンのみ、ADT−OHのみ、またはメサラミンおよびADT−OHの混合物のほぼ2倍、化合物XXXVに疾患の症状を軽減する効果があることを示している。さらに、図4は、顆粒球浸潤の減少(MPO活性の減少)で示される通り、化合物XXXVが有意に炎症を軽減したことを示している。
【実施例21】
【0244】
5−アミノ−2−(4−チオカルボニル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVII)の疾患活動性指標とMPO活性に関する比較
図6および7はそれぞれ、前述のものと同じ結腸炎実験動物モデルを用い、化合物XXVII(100mg/kg)を等モル量のその2成分であるメサラミン(50mg/kg)および4−ヒドロキシチオベンズアミド(4−HTB)(50mg/kg)、メサラミンのみ(50mg/kg)、および4−HTBのみ(50mg/kg)と比較し、疾患活動性指標とMPO活性を示している。賦形剤投与群と比較しp<0.05。各群5匹以上のラットから成っていた。
【0245】
図5は、メサラミンのみ、4−HTBのみ、またはメサラミンおよび4−HTBの混合物のほぼ3倍、化合物XXVIIに疾患の症状を軽減する効果があることを示している。さらに、図6は、顆粒球浸潤の減少(MPO活性の減少)で示される通り、化合物XXVIIが有意に炎症を軽減したことを示している。
【実施例22】
【0246】
マウスTNBS誘導結腸炎におけるメサラミンと化合物XXXVの効果
前述のものと同じモデルを使用した。この実験では、メサラミン(50mg/kg)の効果を等モル量の化合物XXXVと比較した。疾患活動性スコアとMPO活性を測定することで結腸炎の重症度を測定することに加え、炎症性サイトカインおよび他のメディエーターの遺伝子数を測定するため、組織を処理した。
【0247】
特に、参照によって本明細書に組み込まれるWallace et al.(1999)Gastroenterology 117:557−566に報告されている通り、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターフェロンγ(IFN−γ)、結腸インターロイキン(IL)−1、IL−2、IL−10、IL−12 p40、RANTES、シクロオキシゲナーゼ(COX)−1、COX−2、構成内皮の一酸化窒素シンターゼ(eNOS)、および誘導NOS(iNOS)のマウスにおけるmRNA発現を測定した。
【0248】
簡単には、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)を利用し、特定サイトカイン/ケモカイン/酵素のmRNAを検出、定量した。mRNA発現の「ハウスキーピング遺伝子」として(つまり、内部標準として)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)を用いた。各サンプルについて、標的遺伝子の増幅とGAPDHの増幅の比(それぞれの発現はゲル上で濃度測定を行うことで測定する)を求めた。次に、健常対照群の組織における発現と比較し、治療群の組織の標的遺伝子の相対的増幅(発現)について比較した。従って、図7〜14に示したデータは、健常対照群の発現に対する比として、前記標的遺伝子の相対的発現(GAPDHの発現に標準化)を示している。
【0249】
図7〜14に関して、化合物XXXVがすべてのエンドポイントでメサラミンよりも優れていたことは注目に値する。化合物XXXVが炎症成長疾患の病因に関与していた数種類の炎症性サイトカインおよびケモカインのmRNA発現を抑制したことは、特に興味深い。しかし、化合物XXXVは炎症性サイトカインであるIL−10 mRNAの発現を抑制しなかった。
【0250】
さらに、化合物XXXVはCOX−1とCOX−2のmRNAの両方を抑制した。COX−1およびCOX−2は、炎症に重要なプロスタグランジンの合成に関与している。さらに、化合物XXXVはeNOSとiNOSのmRNAも抑制した。eNOSとiNOSは、いずれも消化管の疾患に関与していた。
【実施例23】
【0251】
インビトロにおける化合物XXXVとメサラミンのHT−29ヒト結腸癌細胞の生存可能性を抑制する効果の比較
HT−29細胞は、標準的な方法を用いて培養した。前記細胞に溶媒(DMSO)、メサラミン、または化合物XXXVを処理した。0.1〜10μMの範囲の濃度を検討し、各濃度6ウェルで検討した。被検薬を72時間処理した最後に、細胞の生存可能性を参照によって本明細書に組み込まれるMTT[3−(4,5−ジメチルチアキソール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド]法(Carmichael et al.(1978)Cancer Res.47,936−942)により測定した。前記溶媒(DMSO)処理細胞の割合として細胞生存率を計算したが、結果は表1に示されている。
【0252】
【表1】

【実施例24】
【0253】
内蔵痛知覚ラットモデルにおける化合物XXXVとメサラミンの効果の比較
以下の例で過敏性腸症候群の前臨床モデルである内臓痛知覚ラットモデルを使用した。ラット(雄、Wistar、200〜250g、イタリア、モンツァのCharles Riverから入手)をプラスチックケージに入れて飼育し、午前7時に点灯する12時間の明暗サイクルで制御した条件下、管理した。水道水と標準的な実験動物用飼料は自由に摂取させた。実験前2〜3日、ラットは1匹ずつ、プレキシガラスケージの中で1日2〜3時間過ごすように訓練した。これにより、動きを制限された環境にラットを慣れさせることができる。結腸直腸膨張(CRD)記録を行う前に、12時間飼料を控えた。実験は覚醒したラットで行い、観察者が各動物に投与された薬物を特定できないように盲検化して行った。
【0254】
検査日にエーテル吸入にてラットを鎮静し、2cm長のラテックスバルーンを肛門縁から2cmのところに直腸内挿入し、尾の付け根で固定した。前記バルーンは、二重のカニューレを通じ、コンピュータ(PowerLab PC、A.D.Instruments、米国マサチューセッツ州Milford)によって直腸内圧を連続的にモニターする圧力トランスデューサ、およびバルーンを膨張/収縮させるシリンジに接続した。次に前記ラットをPlexiglas(商標)の基盤を上げた小ケージ(20×8×8cm)で飼育し、1時間覚醒状態で順応させた。鎮静から回復後、動物に前記CRD処置を行い、行動反応を検討した。実験前夜、前記バルーンを膨張させ、一晩おくことで、前記ラテックスが伸び、前記バルーンが扱いやすくなった。
【0255】
CRDは20秒間、5分おきに行い、水0.4mlから開始し、1.6mlまで0.4mlずつ増量した。結腸パラメータと知覚の正確な測定を達成するため、各強度で膨張を2回繰り返し、各動物のデータを平均して分析した。各動物にCRDを2セットずつ行った。1セット目のCRD(水0.4mL〜1.6ml)の20分後、薬物を腹腔内(i.p.)投与し、2セット目のCRDを行った。1セット目および2セット目のCRD中の行動反応を評価し、比較した。
【0256】
CRDに対する行動反応は、半定量的スコアを用いて腹部引込め反射(AWR)を測定することで評価した(1)。前記AWRは内臓運動反射と同様の不随意運動反射であるが、内臓運動反射とは対照的に、さらに感作を引き起こす可能性がある腹筋壁に記録電極およびワイヤーを埋め込む腹部手術が必要ないため、非常に利点を有する(参照によって本明細書に組み込まれるNess,T.J.and Gebhart,G.F.(1990)Pain 41:167−234を参照)。
【0257】
前記AWRの測定は、参照によって本明細書に組み込まれるAl−Chaer,E.D.et al.(2000)Gastroenterology 19:1276−85に事前に報告されている通り、盲検化した観察者による分類したCRDに対する動物反応の視覚的観察と、行動スケールに沿ったAWRスコアの割り当てから成り、グレード0はCRDに対する行動反応がないことに対応し、グレード1は刺激開始時に短時間頭部が動くが、その後は動きがないことに対応し、グレード2は腹筋がわずかに収縮するが、ラットが前記基盤から腹部を持ち上げることはないことに対応し、グレード3は前記腹筋が強く収縮し、前記腹筋が前記基盤から持ち上がることに対応し、グレード4は身体が弓状に曲がり、前記腹部および骨盤構造と陰嚢が持ち上がることで示される前記腹筋の重度収縮に対応する。
【0258】
合計8匹の絶食したラットを用い、結腸コンプライアンスと感度に対するメサラミンと化合物XXXVの効果を決定した。1セット目のCRD後、メサラミンと化合物XXXVの投与によりCRDで誘導される疼痛を軽減することができるか否かを検討するため、4匹のラットにメサラミンを100mg/kgの用量で腹腔内投与するか、化合物XXXVを100mg/kgの用量で腹腔内投与し、その後、2セット目のCRDを繰り返した。これらの実験結果は図15(a)および(b)に示されている。
【0259】
結腸平滑筋に対するメサラミンまたは化合物XXXVの効果を決定するため、CRD時の結腸直腸コンプライアンスを結腸直腸内容積および圧力から求め、mL/mmHgで表した。これらの結果は図16(a)および(b)に示されている。
【0260】
すべてのデータは平均±SEMで示し、サンプルサイズはラット4匹/群とし、対のデータの統計比較はウイルコクソンの符号付き検定により行った。関連確率(p値)が5%未満の場合に有意とみなした。
【0261】
図15(a)および(b)は、結腸直腸膨張に反応した内蔵痛を軽減するためには、化合物XXXVがメサラミン(および賦形剤)よりも効果的であることを示している。さらに、図16(b)に示す通り、化合物XXXVは直腸内圧の低下に成功した。
【0262】
従って、化合物XXXVは効果的な抗炎症活性を有することも示されているが、様々な消化管の炎症状態、および(炎症が伴うか否かにかかわらず)内臓痛覚の亢進で特徴付けられる過敏性腸症候群、消化不良などの機能的胃腸管疾患の治療に有用である。
【実施例25】
【0263】
グリベンクラミドを併用した場合と併用しない場合の化合物XXXVおよび化合物XXVIIの疼痛知覚スコア
上述の内臓痛知覚ラットモデルを用い、ATP−感受性K(KATP)チャネル阻害薬であるグリベンクラミドを併用した場合と併用しない場合の化合物XXXVおよび化合物XXVIIの疼痛知覚スコアを比較した。
【0264】
図17は、賦形剤、メサラミン(100mg/kg)、化合物XXXV(100mg/kg)、または化合物XXVII(100mg/kg)を投与したラット群(1群につき5匹以上)において、0.8mLの結腸直腸膨張に反応した疼痛知覚スコアを示している。化合物XXXVおよびXXVIIは前記頭痛知覚を有意に低下させたが(賦形剤投与群と比べp<0.05)、メサラミンは有意な作用を有していなかった。化合物XXXVおよび化合物XXVIIによる疼痛知覚の低下はグリベンクラミド(30分前に腹腔内に10mg/kg)を前投与することで回復したが、グリベンクラミドの前投与は賦形剤またはメサラミン投与群の疼痛知覚に影響せず、化合物XXXVおよびXXVIIの抗侵害受容活性がATP感受性K(KATP)チャネルによって媒介される可能性があることを示している。
【実施例26】
【0265】
メサラミンを併用した場合の化合物XXXVおよび化合物XXVIIの疼痛知覚スコアの比較
図19は、上述のものと同じ疼痛モデルを使用した実験の結果を示している。メサラミン(50mg/kg)を用いた治療の効果は、等モル量の化合物XXXV(130mg/kg)、ADT−OH(80mg/kg)、化合物XXVII(100mg/kg)、および4−HTB(50mg/kg)と比較した。化合物XXXVおよび化合物XXVIIのみが前記賦形剤投与群と比べ、疼痛知覚を有意に低下させた(p<0.05)。
【実施例27】
【0266】
インビボでの血管内皮への白血球付着に対する化合物XXXVおよびXXVIIの効果
詳細がこれまでに報告されている通り、生体顕微鏡検査を用いて白血球付着を研究した(参照によって本明細書に組み込まれている、Wallace et al.,(1993)Am.J.Physiol.265:993−998)。ペントバルビタールナトリウム(腹腔内に60mg/kg)でラットを麻酔し、腹部に沿って焼灼切開を行った。呼吸を促すため気管切開を行った。前記ラットを仰臥位とし、腹部切開から腸管膜の一部を露出させた。光がはっきり見える台の上に前記腸管膜を慎重に置き、2cmの組織片を透照した。乾燥を最小限にするため、露出した組織はすべて生理食塩水に浸したガーゼで覆った。前記台の温度は37℃に維持し、前記腸管膜を暖めた重炭酸塩緩衝生理食塩水(pH 7.4)で灌流した。生体顕微鏡(Nikon L25/0.35)および10倍の接眼レンズを用い、腸管膜の微小循環を観察した。直径20〜40μmの後毛細管細静脈を選択して研究した。ビデオカメラを前記顕微鏡(Panasonic(商標)digital 5000)に取り付け、モニターに画像を投影し、ビデオカセットレコーダーを用いて再生分析用に前記画像を録画した。前記腸管膜の微小循環画像は、アスピリン投与前(ベースライン)、アスピリン投与時(時間0〜5)、および60分間15分おきに5分ずつ録画した。白血球付着は、30秒以上血管壁に静止したままの白血球数として(細静脈の長さ100μmあたりの数として表した)、5分間録画した血管画像から盲検的に定量した。アスピリン(または賦形剤)投与の60分前に、ラット群(各群5匹以上)に化合物XXXV(130mg/kg)、化合物XXVII(100mg/kg)、メサラミン(50mg/kg)、または賦形剤を前投与した。これらの薬物は胃内投与した。一部の実験では、これらの化合物の投与30分前にグリベンクラミド(腹腔内に10mg/kg)または賦形剤を投与した。
【0267】
図19は、アスピリンの胃内投与に反応した白血球付着、および前記化合物の効果を示している。アスピリンはベースライン期間に観察されたものよりも白血球付着を顕著に増加させた(賦形剤+賦形剤群と比べp<0.05)。化合物XXXVの前投与はアスピリンにより誘導される白血球付着の増加を予防したが、メサラミンは予防しなかった。グリベンクラミドのみでは白血球付着に影響せず、アスピリンにより誘導される白血球付着の程度に影響しなかった。グリベンクラミドはメサラミン+アスピリン投与群にも影響しなかった。ただし、グリベンクラミドはアスピリンにより誘導される白血球付着に対する化合物XXXVの抑制作用を無効にした。
【0268】
図20は、実験の最終時間(60〜65分)の白血球付着を示している。このグラフは、化合物XXXVおよび化合物XXVIIがアスピリンにより誘導される白血球付着を抑制する効果、およびこの白血球付着に対する抑制作用を無効にするグリベンクラミド前投与の効果を図示している。
【実施例28】
【0269】
5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステル(化合物XXXV)および4−または5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸(化合物XXVIIと称する)によるHSの生成
3種類の条件下、化合物XXXVおよび化合物XXVIIの2つの化合物のHS生成を検討した。濃度1mMのL−システイン、化合物XXXVのHS放出部分、ADT−OH(5−(4−アミノ−フェニル)−[1,2]ジチオール−3−チオン、化合物XXVIIのHS放出部分、4−HBT(4−ヒドロキシチオベンズアミド)の使用から1時間以内に発生したHSの濃度も測定した。HSの放出は、3条件、つまり、(i)前記化合物を緩衝液に入れた場合、(ii)前記化合物を肝ホモジェネートに入れた場合、(iii)前記化合物をシスタチオニンγ−リアーゼ阻害剤(PAG=DL−プロパルギルグリシン;2mM)と一緒に肝ホモジェネートに入れた場合で検討した。結果は図13に示している。賦形剤群の放出と比べp<0.05。Ψ対応するホモジェネート群と比べp>0.05。酵素のHS産生力は、これまでに報告されたものと同様の反応装置を用いて決定した(参照によって本明細書に組み込まれる、Khan et al.(1980)Microchem J.25:388−395)。測定用反応混合物2mlを前記反応装置に入れた。前記混合物には、1mMのL−システイン(または化合物)、2mMの5’−リン酸ピリドキサル、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH=7.4)を含めた。ガス吸気管から前記混合物に一定流の窒素を通気した。反応は、前記管を氷浴から37℃の水浴に移して開始させた。前記窒素流が、4mlの硫化物抗酸化剤緩衝液(SAOB)溶液を含み、2MのKOH、1Mのサリチル酸、および0.22Mのアスコルビン酸から成る、pH12.8の第二反応装置に酸硫化物を運んだ[5]。37℃で90分間インキュベート後、1mlの10%トリクロロ酢酸溶液を混合物に添加し、前記反応を停止させた。前記混合物中の残りのHSは、37℃でさらに60分間インキュベートすることで、窒素流から運んだ。SAOB溶液中の硫化物濃度は、硫化物に反応する電極(モデル9616 S2−/Ag電極、Orion Research、米国マサチューセッツ州Beverly)で測定した。被験化合物を肝ホモジェネートにインキュベートした研究では、単離したラットの肝臓100〜150mgを1mlの氷冷したT−PERタンパク質抽出液中で均質化した。前記ホモジェネートを10%(wt/vol)の濃度で前記反応混合物に添加した。酵素反応の前に、DL−プロパルギルグリシン2mMを37℃で5分間、肝ホモジェネートとともにインキュベートした。参照によって本明細書に組み込まれる、Khan,S.U.Morris,G.F.and Hidiroglou,M.(1980)Rapid estimation of sulfide in rumen and blood with a sulfide−specific ion electrode.Microchem J.25:388−395を参照。
【0270】
図21に示される結果は、本発明の4−または5−ASA誘導体、および特に化合物XXXVとXXVIIが以下の明確な特徴を有することを示唆している:
1.前記誘導体は(緩衝液中で)自然にHSを放出し、この作用は腸の局所作用に望ましい。前記HS放出部分のみ、ADT−OH、および4−HTBとL−システインは、緩衝液のみにインキュベートした場合は有意にHSを放出しなかった;
2.HSの放出は組織存在下で多くなる;
3.(4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸=N−アセチルシステインとの無水物(化学式X)以外の)4−または5−ASA誘導体からのHSの放出は、内因性のHS合成を司る2つの主な酵素(シスタチオニンβ−シンターゼおよびシスタチオニン−γ−リアーゼ)活性と独立している。これは、化合物XXXVと化合物XXVIIからのHS生成に対し、これらの酵素(PAG;DL−プロパルギルグリシン)の阻害薬に効果がないことで証明される。対照的に、L−システインからのHSの放出はPAGによって著しく阻害される;
4.化合物XXXVおよび化合物XXVIIから生成したHSの濃度は、1mMの化合物を用いた場合、10〜20uMの範囲である。最高5mMのメサラミンの濃度は、患者に本薬物の通常量を投与した後、結腸管腔で測定することができる(Dig.Dis.Sci.1989;34:573−578)。内因性HS濃度は160μM程と考えられる(Antioxid.Redox Signal.2003;5,493−501)。化合物XXXVとXXVIIはいずれも生理学的範囲内の濃度でHSを放出することで、HSに関連した毒性が発生する可能性を最小限とする。しかし、n−アセチルシステインがHS放出部分(式Xの化合物)の場合は、システインからのHS放出が大きいために低用量が用いられることは理解される。
【実施例29】
【0271】
S放出部分の血管弛緩作用
以下の実験は基本的に、参照によって本明細書に組み込まれる、Bucci,M.et al.(2004)Diabetic mouse angiopathy is linked to progressive sympathetic receptor deletion coupled to an enhanced caveolin−1 expression.Arterioscler Thromb Vasc Biol 24:721−726で公表されたプロトコールを用いて行った。CD−1マウスを屠殺し、胸部大動脈を迅速に解剖し、脂肪および結合組織を取り除いた。1.5〜2mmの長さの輪を切断し、37℃で気体を注入したKrebs溶液(95% O+5% CO)で満たした摘出臓器槽(Fort 10 World Precision Instruments、米国)に取り付けた。等尺性張力の変化は、PowerLab(商標)データ取得システム(Ugo Basile、イタリア)で記録した。前記Krebs溶液の組成(mol/l)は、NaCl 0.118、KCl 0.0047、MgCl 0.0012、KHPO 0.0012、CaCl 0.0025、NaHCO 0.025、グルコース0.010であった。静止張力が1.5gになるまで最初に輪を伸ばし、40分以上平衡に保ち、この間、必要であれば1.5gに張力を調節し、摘出臓器槽の溶液は定期的に交換した。予備研究では、静止張力1.5gが収縮試薬の刺激に対して最適張力を発生させることが分かった。
【0272】
各実験で、L−フェニレフリン(PE)1μmol/lを用い、反応が再現できるようになるまで輪を標準化した。被験化合物の血管弛緩作用を評価するため、PE(1μM)で事前に収縮した輪について累積濃度反応曲線を作成し(10nM〜3mM)、
【0273】
【化73】

【0274】
2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン2,4−ジスルフィド(Lawesson試薬)、チオアセトアミド、NaHS、4−HTB、およびNaSを用いた。賦形剤は緩衝液であり、化合物は含まれていない。内皮存在下で被験化合物の曲線を作成した。内皮の統合性を評価するため、PEで事前に収縮したリングについてAch(10nM〜30μM)に対する累積濃度反応曲線を作成した。
【0275】
得られたデータは図22に示し、平均±SEMで表している。統計有意水準は二元配置分散分析(ANOVA)により決定し、複数の比較はGraphPad(商標)ソフトウェアを用いてBonferroni検定を行った。
【0276】
図22は、本発明のHS放出部分、つまりLawesson試薬、4−HTB、およびチオアセトアミドが、すべて有意な血管弛緩作用を示し、賦形剤と比べ濃度依存的であることを示している。さらに、%弛緩曲線はすべてNaHSおよびNaSを用いた場合の曲線と同等であった。
【図面の簡単な説明】
【0277】
【図1】図1は、メサラミンおよび本発明の化合物XXXVの用量を増量して投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスの疾患活動性指数を示している。
【図2】図2は、メサラミンおよび本発明の化合物XXXVの用量を増量して投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスのミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を示している。
【図3】図3は、化合物XXXV、メサラミンのみ、5−p−ヒドロキシフェニル−1,2−ジチオン−3−チオン(ADT−OH)のみ、およびメサラミンとADT−OHの混合物を投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスの疾患活動性指数を示している。
【図4】図4は、化合物XXXV、メサラミンのみ、ADT−OHのみ、およびメサラミンとADT−OHの混合物を投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスのミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を示している。
【図5】図5は、化合物XXVII、メサラミンのみ、4−ヒドロキシチオベンズアミド(4−HTB)のみ、およびメサラミンと4−HTBの混合物を投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスの疾患活動性指数を示している。
【図6】図6は、化合物XXVII、メサラミンのみ、4−HTBのみ、およびメサラミンと4−HTBの混合物を投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスのミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を示している。
【図7】図7は、メサラミン50mg/kgおよび等モル量の本発明の化合物XXXVを投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスのミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を示している。
【図8】図8は、賦形剤(1%CMC)、メサラミン50mg/kg、および等モル量の本発明の化合物XXXVを投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスの疾患活動性指数を示している。
【図9】図9は、賦形剤(1%CMC)、メサラミン50mg/kg、および等モル量の本発明の化合物XXXVを投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスの結腸腫瘍壊死因子(TNF−α)mRNAの発現について示している。
【図10】図10は、賦形剤(1%CMC)、メサラミン50mg/kg、および等モル量の本発明の化合物XXXVを投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスのインターフェロンγ(IFN−γ)mRNAの発現について示している。
【図11】図11は、賦形剤(1%CMC)、メサラミン50mg/kg、および等モル量の本発明の化合物XXXVを投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスにおける、様々なインターロイキン(IL)mRNAの発現、つまり、IL−1、−2、10、および−12 mRNAの発現について示している。
【図12】図12は、賦形剤(1%CMC)、メサラミン50mg/kg、および等モル量の本発明の化合物XXXVを投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスの結腸RANTES mRNAレベルについて示している。
【図13】図13は、賦形剤(1%CMC)、メサラミン50mg/kg、および等モル量の本発明の化合物XXXVを投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスの結腸COX−1およびCOX−2 mRNAの発現について示している。
【図14】図14は、賦形剤(1%CMC)、メサラミン50mg/kg、および等モル量の本発明の化合物XXXVを投与後、TNBSで誘導された結腸炎を有するマウスの結腸eNOSおよびiNOS mRNAの発現について示している。
【図15】図15(a)および(b)は、それぞれ本発明のメサラミンおよび化合物XXXVを用い、内臓痛知覚ラットモデルの知覚指数を示している。
【図16】図16(a)および(b)は、それぞれ本発明のメサラミンおよび化合物XXXVを用い、内臓痛知覚ラットモデルの直腸内圧を示している。
【図17】図17は、グリベンクラミドを併用した場合と併用しない場合で、メサラミン、化合物XXXV、および化合物XXVIIの疼痛知覚スコアを示している。
【図18】図18は、化合物XXXV、化合物XXVII、メサラミン、ADT−OH、および4−HBTの疼痛知覚スコアを示している。
【図19】図19は、アミピリンの胃内投与に反応した白血球付着について示している。
【図20】図20は、実験の最終時間(60〜65分)の白血球付着に関する棒グラフである。
【図21】図21は、システイン、ADT−OH、化合物XXXV、4−HTB、および化合物XXVIIのHS生成を示した棒グラフである。
【図22】図22は、本発明のHS放出部分の血管弛緩作用を示した濃度反応曲線である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式の化合物であって、

A−L−R(I)
式中、
Aは
【化1】

ここで、−NH=は4または5の位置にあるものであり、
【化2】

ここで、−NHは4または5の位置にあるものであり、
【化3】

ここで、−NHは4または5の位置にあるものであるか、又は
【化4】

ここで、−NHは4または5の位置にあるものであり、
Lは、O、O−C=O、S、N、またはエステル結合、無水物結合、チオエステル結合、アミド結合、またはアゾ結合を形成する共有結合のいずれかであり、
Rは、組織中に硫化水素を放出する硫化水素放出部分である
化合物。
【請求項2】
請求項1記載の化合物において、Rは、以下の群
【化5−1】

【化5−2】

【化5−3】

【化5−4】

【化5−5】

から選択される硫化水素放出部分である。
【請求項3】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、2−ヒドロキシ−4−または5−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルアゾ]−安息香酸である。
【請求項4】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステルである。
【請求項5】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4または5−アミノ−2−[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェノキシカルボニルオキシ]−安息香酸である。
【請求項6】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、2−ヒドロキシ−4−または5[4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェノキシカルボニルアミノ]−安息香酸である。
【請求項7】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−{[(1−カルボキシ−2−メルカプト−エチルカルバモイル)−メチル]−アゾ}−2−ヒドロキシ−安息香酸である。
【請求項8】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸(1−カルボキシ−2−メルカプト−エチルカルバモイル)−メチルエステルである。
【請求項9】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−[(1−カルボキシ−2−メルカプト−エチルカルバモイル)−メトキシカルボニルオキシ]−安息香酸である。
【請求項10】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−[(1−カルボキシ−2−メルカプト−エチルカルバモイル)−メトキシカルボニルアミノ]−2−ヒドロキシ−安息香酸である。
【請求項11】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸とN−アセチルシステインとの無水物。
【請求項12】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−(2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオニルアミノ)−2−ヒドロキシ−安息香酸である。
【請求項13】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、2−(2−アセチルアミノ−3−メルカプト−プロピオニルオキシ)−4または5−アミノ−安息香酸である。
【請求項14】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、2−ヒドロキシ−4または5−({4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシメチル}−アゾ)−安息香酸である。
【請求項15】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシメトキシカルボニルオキシ}−安息香酸である。
【請求項16】
請求項2記載の化合物において、2−ヒドロキシ−4−または5−{4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチア−ジホスフェタン−2−イル]−フェノキシメトキシカルボニルアミノ}−安息香酸である。
【請求項17】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシメチルエステルである。
【請求項18】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェニルエステルである。
【請求項19】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−{4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシカルボニルオキシ}−安息香酸である。
【請求項20】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、2−ヒドロキシ−4−または5−{4−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2,4−ジチオキソ−2λ,4λ−[1,3,2,4]ジチアジホスフェタン−2−イル]−フェノキシカルボニルアミノ}−安息香酸である。
【請求項21】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−(1−カルボキシ−3−チオカルバモイル−プロピルアゾ)−2−ヒドロキシ−安息香酸である。
【請求項22】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、2−(4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイルアミノ)−4−チオカルバモイル−酪酸である。
【請求項23】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−(1−カルボキシ−3−チオカルバモイル−プロピルカルバモイルオキシ)−安息香酸である。
【請求項24】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、2−ヒドロキシ−4−または5−[3−(1−ヒドロキシメチル−3−チオカルバモイル−プロピル)−ウレイド]−安息香酸である。
【請求項25】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−(2−アミノ−4−チオカルバモイル−ブチリルオキシ)−安息香酸である。
【請求項26】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−(2−アミノ−4−チオカルバモイル−ブチリルアミノ)−2−ヒドロキシ−安息香酸である。
【請求項27】
請求項2記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸と2−アミノ−4−チオカルバモイル−酪酸との無水物である。
【請求項28】
請求項2に記載の化合物において、この化合物は、4−チオカルバモイルフェニル4−または5−アミノ−2−ヒドロキシベンゾエートである。
【請求項29】
請求項2に記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルオキシ)−安息香酸である。
【請求項30】
請求項2に記載の化合物において、この化合物は、2−ヒドロキシ4−または5−(4−チオカルバモイル−フェノキシカルボニルアミノ)−安息香酸である。
【請求項31】
請求項2に記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸チオカルバモイルメチルエステルである。
【請求項32】
請求項2に記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−チオカルバモイルメトキシカルボニルオキシ−安息香酸である。
【請求項33】
請求項2に記載の化合物において、この化合物は、2−ヒドロキシ4−または5−チオカルバモイルメトキシカルボニルアミノ−安息香酸である。
【請求項34】
請求項2に記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸と硫酸モノ−(2−メルカプト−エチル)エステルとの無水物である。
【請求項35】
請求項2に記載の化合物において、この化合物は、4−または5−アミノ−2−(2−メルカプト−エトキシスルホニルオキシ)−安息香酸である。
【請求項36】
請求項2に記載の化合物において、この化合物は、5−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸4−(5−チオキソ−5H−[1,2]ジチオール−3−イル)−フェニルエステルである。
【請求項37】
請求項1記載の化合物と、または薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される賦形剤または担体とを有する医薬品。
【請求項38】
請求項2記載の化合物と、または薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される賦形剤または担体とを有する医薬品。
【請求項39】
請求項3〜36のいずれか1つに記載の化合物と、または薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される賦形剤または担体とを有する医薬品。
【請求項40】
請求項11、28、または36に記載の化合物のうちの1つと、または薬学的に許容されるその塩、及び薬学的に許容される賦形剤または担体とを有する医薬品。
【請求項41】
消化管の炎症状態を、そのような治療を必要とする対象において治療する方法であって、
請求項1記載の化合物の前記消化管の炎症状態の治療に効果的な量を、前記対象に投与する工程
を有する方法。
【請求項42】
消化管の炎症状態を、そのような治療を必要とする対象において治療する方法であって、請求項2記載の化合物の前記消化管の炎症状態の治療に効果的な量を、前記対象に投与する工程
を有する方法。
【請求項43】
消化管の炎症状態を、そのような治療を必要とする対象において治療する方法であって、
請求項3〜36のいずれか1つに記載の化合物の前記消化管の炎症状態の治療に効果的な量を、前記対象に投与する工程
を有する方法。
【請求項44】
消化管の炎症状態を、そのような治療を必要とする対象において治療する方法であって、請求項11、28、または36のいずれか1つ記載の化合物の前記消化管の炎症状態の治療に効果的な量を、前記対象に投与する工程
を有する方法。
【請求項45】
請求項41〜44のいずれか1つに記載の方法において、前記消化管の炎症状態はクローン病である。
【請求項46】
請求項41〜44のいずれか1つに記載の方法において、前記消化管の炎症状態は潰瘍性大腸炎である。
【請求項47】
請求項41〜44のいずれか1つに記載の方法において、前記消化管の炎症状態は過敏性腸症候群である。
【請求項48】
対象の結腸癌を予防する方法であって、この方法は、
請求項1記載の化合物の有効量を対象に投与する工程
を有する方法。
【請求項49】
対象の結腸癌を予防する方法であって、この方法は、
請求項2記載の化合物の有効量を前記対象に投与する工程
を有する方法。
【請求項50】
対象の結腸癌を予防する方法であって、この方法は、
請求項3〜36記載の化合物の有効量を前記対象に投与する工程
を有する方法。
【請求項51】
対象の結腸癌を予防する方法であって、前記方法は、
請求項11、28、または36のいずれか1つに記載の化合物の有効量を前記対象に投与する工程
を有する方法。
【請求項52】
対象における消化管の炎症状態の治療薬を調製するための、請求項1〜36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項53】
対象における消化管の炎症状態の治療薬を調製するための、請求項11、28、または36のいずれか1つ記載された化合物の使用法。
【請求項54】
対象におけるクローン病の治療薬を調製するための、請求項1〜36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項55】
対象におけるクローン病の治療薬を調製するための、請求項11、28、または36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項56】
対象における潰瘍性大腸炎の治療薬を調製するための、請求項1〜36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項57】
対象における潰瘍性大腸炎の治療薬を調製するための、請求項11、28、または36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項58】
対象における過敏性腸症候群の治療薬を調製するための、請求項1〜36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項59】
被験者における過敏性腸症候群の治療薬を調製するための、請求項11、28、または36のいずれか1つに記載の化合物の使用法。
【請求項60】
結腸癌の予防薬を調製するための、請求項1〜36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項61】
結腸癌の予防薬を調製するための、請求項11、28、または36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項62】
対象における消化管の炎症状態を治療するための、請求項1〜36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項63】
対象における消化管の炎症状態を治療するための、請求項11、28、または36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項64】
対象におけるクローン病を治療するための、請求項1〜36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項65】
対象におけるクローン病を治療するための、請求項11、28、または36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項66】
対象における潰瘍性大腸炎を治療するための、請求項1〜36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項67】
対象における潰瘍性大腸炎を治療するための、請求項11、28、または36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項68】
対象における過敏性腸症候群を治療するための、請求項1〜36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項69】
対象における過敏性腸症候群を治療するための、請求項11、28、または36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項70】
結腸癌を予防するための、請求項1〜36のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項71】
結腸癌を予防するための、請求項11、28、または36のいずれか1つに記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2008−542209(P2008−542209A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512656(P2008−512656)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000484
【国際公開番号】WO2006/125295
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507391133)アンタイブ セラピューティクス インク. (4)
【Fターム(参考)】