説明

4−アミノ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン−1,3−ジオン化合物を調製するための方法

【課題】TNF-α(腫瘍壊死因子)の異常に高いレベル又は活性に関連する疾患の治療薬である非置換又は置換4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン化合物の新しい調製方法の提供。
【解決手段】式(II)又は(IIA)の化合物又はその塩を、式(V)の環化剤で環化するステップを含む方法。




(式中、R1は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)アルキニルであり;X及びYの各々は、独立に、非置換又は置換イミダゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾトリアゾリルである)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年6月30日に出願された米国仮出願第60/696,224号の優先権を主張する
ものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、哺乳類における腫瘍壊死因子αのレベル又は活性を低下させるのに有用な化
合物を調製するための方法を提供する。より具体的には、本発明は、非置換及び置換4-ア
ミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン化合物を調製する
ための方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
いくつかの疾患状態において、腫瘍壊死因子α又はTNF-αの過剰又は非制御的生成が暗
示されてきた。これらは、内毒血症及び/又は毒ショック症候群(Traceyらの論文、Nature
330、662-664 (1987)及びHinshawらの論文、Circ. Shock 30、279-292 (1990))、悪液質
(Dezubeらの論文、Lancet 335 (8690)、662 (1990))及び成人呼吸促迫症候群(Millarらの
論文、Lancet 2 (8665)、712-714 (1989))を含む。一定の置換2-(2,6-ジオキソピペリジ
ン-3-イル)-1-オキソイソインドリンが、TNF-αのレベルを低下させることが国際公開第W
O 98/03502及びMullerらの論文、Bioorg. Med. Chem. Lett. 9、1625-1630 (1999)等の文
献に示されている。
【0004】
特定の治療価値を実証した置換イソインドール-1,3-ジオンは、2-(2,6-ジオキソピペリ
ジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン(THALOMID(商標))である。この化合物は、炎症
性疾患、自己免疫疾患、癌、心臓病、遺伝子病、アレルギー疾患、骨粗鬆症及び狼瘡を含
むが、それらに限定されない広範な疾患及び状態を治療又は予防するのに有用であること
が示されているか、又は有用であると考えられる。
【0005】
非置換及び置換4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジ
オン化合物を合成するための方法が、米国特許第6,395,754号及び同5,635,517号に記載さ
れている。これらの方法は、非置換及び置換4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イ
ル)イソインドール-1,3-ジオン化合物を調製するのに効果的且つ有用であるが、特に製造
規模でそれらを調製するための代替的な方法又は改善された方法が依然として必要である

本出願のセクション2における任意の参考文献の引用は、当該参考文献が本出願に対す
る先行技術であることを認めるものと見なされるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、非置換及び置換4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリ
ン-1,3-ジオン化合物、特に非置換4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソイ
ンドリン-1,3-ジオンを調製するための効率的な方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、式(I):
【化1】

の非置換又は置換4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-ジオ
ン化合物、又はその医薬として許容し得る塩、水和物を含む溶媒和物、若しくは多形を調
製するための方法であって、式(II)のN-(3-アミノフタロイル)-グルタミン化合物又は(II
A)のN-(3-アミノフタロイル)-イソグルタミン化合物:
【化2】

又はその塩を式(V):
【化3】

の環化剤で環化するステップを含む、前記方法を提供する(式中、R1は、H、F、ベンジル
、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)アルキニルであり;X及びYの各々
は、独立に、非置換又は置換イミダゾリル、ベンズイミダゾリル又はベンゾトリアゾリル
である)。いくつかの実施様態において、式(I)又は(II)のR1は、Hである。
【0008】
いくつかの実施様態において、環化剤は、式(VI):
【化4】

(式中、R2、R3、R4、R5、R6及びR7の各々は、独立に、H、アルキル、ハロ、ニトロ、シア
ノ、アシル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル又はアルコキシメチル
である)のカルボニルジイミダゾール化合物である。特定の実施様態において、カルボニ
ルジイミダゾール化合物は、1,1'-カルボニルジイミダゾールである(即ち、式(VI)のR2
R3、R4、R5、R6及びR7の各々は、Hである)。さらなる実施様態において、式(II)の化合物
の1,1'-カルボニルジイミダゾールに対する比は、約1:1〜約1:1.2である。
【0009】
別の実施様態において、環化は、アセトニトリル中で起こる。別の実施様態において、
環化は、テトラヒドロフラン中で起こる。さらなる実施様態において、環化反応温度は、
約80℃〜約87℃である。別の実施様態において、環化反応時間は、約1時間〜約5時間であ
る。
【0010】
別の実施様態において、本発明は、式(I)の非置換又は置換4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-
3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-ジオン化合物、又はその医薬として許容し得る塩若
しくはは溶媒和物あるいは多形を調製するための方法であって、3-アミノフタル酸又はそ
の塩を式(X):
【化5】

の3-アミノグルタルイミド化合物又はその塩と溶媒中で反応させるステップを含む、前記
方法を提供する(式中、R1は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル
又は(C2〜C8)アルキニルである)。いくつかの実施様態において、式(I)又は(X)のR1は、H
である。
【0011】
ある実施様態において、該反応ステップは、塩基、酸又はそれらの組合せの存在下で起
こる。別の実施様態において、該反応ステップは塩基の存在下で起こり、いくつかの場合
において、該塩基はトリアルキルアミン、置換又は非置換のイミダゾール、若しくはそれ
らの混合物であり得る。ある実施様態において、該反応ステップは、塩基及び酸の存在下
で起き、該塩基はトリエチルアミンのようなアミンであってもよく、該酸は酢酸のような
カルボン酸であってもよい。ある実施様態において、トリエチルアミンの酢酸に対するモ
ル比は、約1:10〜約1:1である。
別の実施様態において、溶媒は、アセトニトリルである。さらなる実施様態において、
反応温度は、約85〜87℃である。さらなる実施様態において、反応時間は、約5〜約7時間
である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
(5.1 用語)
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「ハロ」又は「ハロゲン
」等の用語は、-F、-Cl、-Br又は-Iを意味する。
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「アルキル」又は「アル
キル基」という用語は、非分枝状又は分枝状の一価の飽和炭化水素鎖を意味する。アルキ
ル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2
-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2
-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペン
チル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチ
ル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、ブチル、イソブチル、t-ブ
チル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びヘキシル、ヘプチル並びにオクチルの
ような(C1〜C8)アルキル基が挙げられるが、それらに限定されない。アルキル基は、非置
換、又は1個又は2個の好適な置換基で置換され得る。
【0013】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「アルケニル」又は「ア
ルケニル基」という用語は、その中に1つ以上の二重結合を有する非分枝上又は分枝状の
一価の炭化水素鎖を意味する。アルケニル基の二重結合は、他の不飽和基に対して非共役
、又は共役し得る。好適なアルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニ
ル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、2-エチルヘキセニル
、2-プロピル-2-ブテニル、4-(2-メチル-3-ブテン)-ペンテニルのような(C2〜C8)アルケ
ニル基が挙げられるが、それらに限定されない。アルケニル基は、非置換、又は1個又は2
個の好適な置換基で置換され得る。
【0014】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「アルキニル」又は「ア
ルキニル基」という用語は、その中に1つ以上の三重結合を有する非分枝上又は分枝状の
一価の炭化水素鎖を意味する。アルキニル基の三重結合は、他の不飽和基に対して非共役
、又は共役し得る。好適なアルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペ
ンチニル、ヘキシニル、メチルプロピニル、4-メチル-1-ブチニル、4-プロピル-2-ペンチ
ニル及び4-ブチル-2-ヘキシニルのような(C2〜C8)アルキニル基が挙げられるが、それら
に限定されない。アルキニル基は、非置換、又は1個又は2個の好適な置換基で置換され得
る。
【0015】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、化合物又は化学成分を記
述するのに用いられる「置換された」という用語は、その化合物又は化学成分の少なくと
も1個の水素原子が、第2の化学成分に置き換えられていることを意味する。該第2の化学
成分は、本発明の化合物、又はそれらを調製するのに有用な中間体の合成又は医薬的有用
性を無効にしない任意の好適な置換基であり得る。好適な置換基の例としては、(C1〜C8)
アルキル;(C2〜C8)アルケニル;(C2〜C8)アルキニル;アリール;(C2〜C5)ヘテロアリール;(
C1〜C6)ヘテロシクロアルキル;(C3〜C7)シクロアルキル;O-(C1〜C8)アルキル;O-(C2〜C8)
アルケニル;O-(C2〜C8)アルキニル;O-アリール;CN;OH;オキソ;ハロ、C(O)OH;COハロ;O(CO
)ハロ;CF3、N3;NO2, NH2;NH((C1〜C8)アルキル);N((C1〜C8)アルキル)2;NH(アリール);N(
アリール)2;(CO)NH2;(CO)NH((C1〜C8)アルキル);(CO)N((C1〜C8)アルキル)2;(CO)NH(アリ
ール);(CO)N(アリール)2;O(CO)NH2;NHOH;NOH((C1〜C8)アルキル);NOH(アリール);O(CO)NH
((C1〜C8)アルキル);O(CO)N((C1〜C8)アルキル)2;O(CO)NH(アリール);O(CO)N(アリール)2
;CHO;CO((C1〜C8)アルキル);CO(アリール);C(O)O((C1〜C8)アルキル);C(O)O(アリール);O
(CO)((C1〜C8)アルキル)-;O(CO)(アリール);O(CO)O((C1〜C8)アルキル);O(CO)O(アリール
);S-(C1〜C8)アルキル;S-(C1〜C8)アルケニル;S-(C1〜C8)アルキニル;及びS-アリール;が
挙げられるが、それらに限定されない。当業者は、本発明の化合物の安定性並びに薬理及
び合成活性に基づいて好適な置換基を容易に選択することができる。
【0016】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、化合物が「実質的にない
」組成物とは、該組成物が、約20重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、さらにより
好ましくは約5重量%未満、最も好ましくは約3重量%未満の該化合物を含有することを意味
する。
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「立体化学的に純粋」と
いう用語は、化合物の1つの立体異性体を含み、かつ該化合物の他の立体異性体が実質的
にない組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋
な組成物は、該化合物の反対の鏡像異性体が実質的にない。2つのキラル中心を有する化
合物の立体異性的に純粋な組成物は、該化合物の他のジアステレオ異性体が実質的にない
。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、該化合物の約80重量%を超える1つの立体異性体
及び該化合物の約20重量%未満の他の立体異性体、より好ましくは該化合物の約90重量%を
超える1つの立体異性体及び該化合物の約10重量%未満の他の立体異性体、さらにより好ま
しくは該化合物の約95重量%を超える1つの立体異性体及び該化合物の約5重量%未満の他の
立体異性体、最も好ましくは該化合物の約97重量%を超える1つの立体異性体及び該化合物
の約3重量%未満の他の立体異性体を含む。
【0017】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「鏡像異性的に純粋」と
いう用語は、1つのキラル中心を有する化合物の立体異性的に純粋な組成物を意味する。
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「ラセミ」又は「ラセミ
化合物」という用語は、分子内のすべてのキラル中心に対して相対的に約50%の1つの鏡像
異性体及び約50%の対応する鏡像異性体を意味する。本発明は、鏡像異性的に純粋な、鏡
像異性的に富化された、ジアステレオ異性的に純粋な、ジアステレオ異性的に富化された
すべての本発明の化合物、及び該化合物のラセミ体の混合物のすべてを包含する。
【0018】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「本発明の方法」、「調
製する方法」又は「調製のための方法」という用語は、本発明の化合物を調製するのに有
用である、本明細書に開示されている方法をいう。本明細書に開示されている方法に対す
る変更(例えば、出発材料、試薬、保護基、溶媒、温度、反応時間、精製)も本発明に包含
される。
【0019】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「添加する」、「反応さ
せる」等の用語は、1つの反応物質、試薬、溶媒、触媒又は反応基等を別の反応物質、試
薬、溶媒、触媒又は反応基等と接触させることを意味する。反応物質、試薬、溶媒、触媒
又は反応基等を個々に、同時に又は個別に添加することができ、かつ任意の順序で添加す
ることができる。それらを熱の存在又は不在下で添加することができ、不活性雰囲気下で
任意に添加することができる。「反応させる」とは、in situ形成、又は反応基が同じ分
子内に存在する分子内反応をいい得る。
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「実質的に完了した」反
応又は「実質的完了」に導かれた反応とは、該反応が、収率約80%を超える、より好まし
くは収率約90%を超える、さらにより好ましくは収率約95%を超える、最も好ましくは収率
約97%を超える所望の生成物を含むことを意味する。
【0020】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「医薬として許容し得る
塩」という用語は、本発明の化合物に存在し得る酸性又は塩基性基の塩を含むが、それら
に限定されない。事実上塩基性である本発明の化合物は、様々な無機及び有機酸と様々な
塩を形成することが可能である。当該塩基性化合物の医薬として許容し得る塩を調製する
のに使用できる酸は、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、酒石酸水
素塩、臭化物、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クエン酸塩、二塩酸
塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸
塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸
塩、ヒドラバミン、ヒドロキシナフトエ酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸
塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムスク酸塩
、ナプシル酸塩、硝酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸
塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テ
オクル酸塩、トリエチオダイド及びパモン酸塩を含むが、それらに限定されない薬理的に
許容し得る陰イオンを含む塩を形成する酸である。アミノ基を含む本発明の化合物も、上
記酸に加えて様々なアミノ酸と医薬として許容し得る塩を形成することができる。事実上
酸性である本発明の化合物は、様々な薬理的に許容し得る陽イオンと塩基塩を形成するこ
とが可能である。当該塩の非限定的な例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属塩及
び特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウム及び鉄の塩が
挙げられる。
【0021】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「水和物」という用語は
、非共有結合的分子間力で結合された化学量論量又は非化学量論量の水をさらに含む本発
明の化合物又はその塩を意味する。
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「溶媒和物」という用語
は、本発明の化合物に対して1つ以上の溶媒分子の会含から形成される溶媒和物を意味す
る。「溶媒和物」という用語は、水和物(例えば、一水和物、二水和物、三水和物及び四
水和物等)を含む。
【0022】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「多形」という用語は、
本発明の化合物又はその錯体の固体結晶形態を意味する。同じ化合物の異なる多形は、異
なる物理的、化学的及び/又は立体的特性を示し得る。
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「TNF-αの異常に高いレ
ベル又は活性に関連する疾患又は状態」という語句は、TNF-αのレベル又は活性がより低
い場合には、症状を生じない、持続しない、又は引き起こすことがない疾患又は状態、す
なわちTNF-αレベル又は活性を下げることによって予防又は治療できる疾患又は状態を意
味する。
【0023】
本明細書に用いられているように、及び他に指定がなければ、「治療する」、「治療し
ている」及び「治療」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に苦しんでいる間に行わ
れ、該疾患又は障害の重度又は症状を緩和する、或いは該疾患又は障害の進行又は症状を
抑制又は緩める行為を意図する。
基又は試薬に関する略語又は符号は、以下の定義を有する。HPLC=高速液体クロマトグ
ラフィー;CHCN=アセトニトリル;DMF=ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシ
ド;THF=テトラヒドロフラン;CHCl=塩化メチレン;及びCDI=1,1'-カルボニルジイミダ
ゾール。
【0024】
描写構造とその構造に与えられた名称との間に差異がある場合は、描写構造により重点
がおかれることになる。また、構造又はその一部の立体化学が、例えば太線又は波線で示
されていない場合は、該構造又はその一部は、そのすべての立体異性体を包含するものと
解釈されることになる。
本発明の非限定的な実施様態を例示することを意図した以下の詳細な説明及び例示的な
実施例を参照することにより、本発明をより深く理解することができる。
【0025】
(5.2 発明の方法)
本発明は、非置換及び置換4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリ
ン-1,3-ジオン化合物を調製する方法を提供する。概して、本発明の方法は、非置換及び
置換4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン化合物の
大規模又は商業生産のための改良された、若しくは効率的な手段を包含することができる

【0026】
該非置換及び置換4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-
ジオン化合物を使用して、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌、心臓病、遺伝子病、アレルギ
ー疾患、骨粗鬆症及び狼瘡を含むが、それらに限定されない広範な疾患及び状態を治療す
るための医薬組成物及び/又は剤形を調製することができる。概して、該医薬組成物は、4
-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン化合物、又はそ
の医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形又は立体異性体の少なくとも1種を含むこと
ができる。広範な疾患及び状態について治療されている患者に対して該医薬組成物を投与
することができる。任意に、該医薬組成物は、少なくとも1種の担体、賦形剤、希釈剤、
第2の活性剤又はそれらの組合せをさらに含むことができる。いくつかの実施様態におい
て、該医薬組成物は、個々の単一単位剤形の調製に使用される。単一単位剤形は、患者に
対する経口、粘膜(例えば、舌下、鼻、膣、嚢胞、直腸、包皮、眼、頬又は耳)、非経口(
例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内又は動脈内)、局部(例えば、眼滴又は他の
眼製剤)、皮膚又は経皮投与に好適である。剤形の非限定的な例としては、錠剤、キャプ
レッツ剤、カプセル剤(例えば、軟弾性ゲル化カプセル剤)、カシェ剤、トローチ剤、菓子
錠剤、分散剤、坐薬、粉剤、エアロゾル剤(例えば鼻スプレー剤又は吸入剤)、ゲル剤、懸
濁剤(例えば、水性又は非水性の液体懸濁剤、水中油乳剤又は油中水液体乳剤)、液剤及び
エリキシル剤を含む患者に対する経口又は粘膜投与に好適な液体剤形、患者に対する非経
口投与に好適な液体剤形、眼滴又は局部投与に好適な他の眼製剤、及び患者に対する非経
口投与に好適な液体剤形を提供するように復元され得る無菌固形剤(例えば、結晶又は非
晶質固形剤)が挙げられる。
【0027】
いくつかの実施様態において、本発明は、式(I):
【化6】

の4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン化合物、又
はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形若しくは立体異性体を調製するための方
法であって、式(II)のN-(3-アミノフタロイル)-グルタミン化合物又は(IIA)のN-(3-アミ
ノフタロイル)-イソグルタミン化合物:
【化7】

又はその塩を環化剤で環化するステップを含む、前記方法を提供する(式中、R1は、H、F
、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)アルキニルである)。
【0028】
一実施様態において、式(I)及び/又は(II)のR1は、Hである。特定の実施様態において
、式(I)及び/又は(II)のR1は、(C1〜C8)アルキルである。さらなる実施様態において、式
(I)及び/又は(II)のR1は、メチルである。別の実施様態において、溶媒和物は、水和物で
ある。
【0029】
環化剤による式(II)の化合物の環化は、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、メチ
ルエチルケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホル
ム、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びこれらの
組合せなどの溶媒中で起き得る。一実施様態において、溶媒は、アセトニトリルである。
他の実施様態において、溶媒は、沸騰アセトニトリルである。
【0030】
反応温度は、当業者に従って環化反応に有用な任意の温度であり得る。例えば、ある実
施様態において、環化反応温度は、約20℃〜約100℃の範囲で変更し得る。いくつかの実
施様態において、環化反応温度は、約50℃〜約90℃である。他の実施様態において、環化
反応温度は、約80℃〜約87℃である。特定の実施様態において、環化反応温度は、アセト
ニトリルの沸点(即ち、1気圧で81〜82℃)である。
【0031】
環化反応時間は、当業者に従って環化反応に有用な任意の時間であり得る。例えば、あ
る実施様態において、環化反応時間は、反応温度に応じて約1〜約24時間の範囲で変更し
得る。概して、反応温度が高いほど、反応時間が短い。一実施様態において、溶媒はアセ
トニトリルであり、反応温度は約80℃〜約87℃であり、反応時間は約1〜約5時間である。
【0032】
環化剤は、アミド基と式(II)又は(IIA)のカルボン酸基との間の環形成反応を引き起こ
すことができる任意の化学物質であり得る。いくつかの実施様態において、環化剤は、以
下の式を有することができる:
【化8】

(式中、X及びYの各々は、独立に、非置換又は置換イミダゾリル、ベンズイミダゾリル又
はベンゾトリアゾリルである)。式(V)の環化剤を商業的供給元から購入するか、又は当業
者にとって明らかな任意の方法に従って調製することができる。例えば、ホスゲン(COCl
)を非置換又は置換1H-イミダゾール化合物、即ち1H-ベンズイミダゾール又は1H-ベンゾ
トリアゾールと反応させることによって、式(V)の環化剤を調製することができる。ホス
ゲンと1H-イミダゾール化合物の反応は、Bateyらの論文、Tetrahedron Lett.、1998、39
、6267に記載されている。ホスゲンと1H-ベンゾトリアゾール化合物の反応は、Katritzky
らの論文、J. Org. Chem.、1997、62、4155に記載されている。
【0033】
いくつかの実施様態において、環化剤は、式:
【化9】

(式中、R2、R3、R4、R5、R6及びR7の各々は、独立に、H、アルキル、ハロ、ニトロ、シア
ノ、アシル、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル又はアルコキシメチル
である)を有するカルボニルジイミダゾール化合物である。
【0034】
式(VI)のカルボニルジイミダゾールを商業的供給元から購入するか、又は当業者にとっ
て明らかな任意の方法に従って調製することができる。例えば、ホスゲン(COCl)を非置
換又は置換1H-イミダゾール化合物、若しくはそれらの組合せと反応させることによって
式(VI)のカルボニルジイミダゾールを調製することができる。本発明に好適な1H-イミダ
ゾール化合物のいくつかの非限定的な例としては、1H-イミダゾール、2-メチル-1H-イミ
ダゾール、1H-イミダゾール-5-カルバルデヒド、2-エチル-1H-イミダゾール、2-イソプロ
ピル-1H-イミダゾール、2-エチル-5-メチル-1H-イミダゾール、2-プロピル-1H-イミダゾ
ール、2-ニトロ-1H-イミダゾール、5-ニトロ-1H-イミダゾール、メチル1H-イミダゾール-
5-カルボキシレート、4-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾール、2-メチル-5-ニトロ-1H-
イミダゾール及び5-メチル-4-ニトロ-1H-イミダゾールが挙げられ、これら全てはAldrich
Chemicals社、Milwaukee、WIのような商業的供給元から得るか、当業者に知られている
方法によって調製することができる。カルボニルジイミダゾール化合物の非限定的な例と
しては、1,1'-カルボニルジイミダゾール、2,2'-ジメチル-1,1'-カルボニルジイミダゾー
ル、2,2'-ジエチル-1,1'-カルボニルジイミダゾール、2,2'-ジイソプロピル-1,1'-カルボ
ニルジイミダゾール及び2,2'-ジニトロ-1,1'-カルボニルジイミダゾールが挙げられ、こ
れら全てはAldrich Chemicals社、Milwaukee、WIのような商業的供給元から得るか、上記
方法によって調製することができる。一実施様態において、カルボニルジイミダゾール化
合物は、1,1'-カルボニルジイミダゾールである。
【0035】
さらなる実施様態において、環化剤は、式(V)、SOCl、POCl、SOClの誘導体、POC
lの誘導体、及びそれらの組合せから選択される。環化剤に加えて塩基を使用すること
によって、環化反応をさらに促進させる又は触媒させることができる。該塩基は、トリエ
チルアミンのような有機アミン、ピリジン、ピリジンの誘導体、及びそれらの組合せから
なる群から選択され得る。
【0036】
特定の実施様態において、以下のスキームAに示されるように、式(II)のN-(3-アミノフ
タロイル)-グルタミン化合物又はその塩を1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI) と還流
アセトニトリル中で約3時間環化することによって、式(I)の4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピ
ペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン化合物を調製することができる。或いは、
同じ反応をN-メチルピロリドン又はテトラヒドロフラン中にて室温で約13〜約15時間にわ
たって起こり得る。いくつかの実施様態において、スキームAのR1は、Hである。
【化10】

【0037】
式(II)の化合物の、1,1'-カルボニルジイミダゾールに対する比は、当業者に従って環
化反応に有益な任意の比であり得る。例えば、式(II)の化合物の、1,1'-カルボニルジイ
ミダゾールに対する比は、約2:1〜約1:2であり得る。いくつかの実施様態において、式(I
I)の化合物の、1,1'-カルボニルジイミダゾールに対する比は、約1:1〜約1:1.5である。
他の実施様態において、式(II)の化合物の、1,1'-カルボニルジイミダゾールに対する比
は、約1:1〜約1:1.2である。一実施様態において、1,1'-カルボニルジイミダゾールを用
いる式(II)の環化は、アセトニトリル中にて約1〜24時間にわたって起こる。別の実施様
態において、式(II)の環化は、還流アセトニトリル中にて3時間起こる。
【0038】
別の実施様態において、以下のスキームA'に示されるように、式(IIA)のN-(3-アミノフ
タロイル)-イソグルタミン化合物又はその塩を、1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)と
、アセトニトリル、N-メチルピロリジノン及びテトラヒドロフランなどの溶媒中で環化さ
せることによって、式(I)の4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリ
ン-1,3-ジオン化合物を調製することができる。該反応は、約室温から約150℃の範囲の温
度で、約30分〜約24時間起こり得る。
【化11】

【0039】
一実施様態において、式(I)の化合物は、遊離アミンであり得る。任意に、式(I)の遊離
アミンを対応する酸と約1:1のモル比で反応させることによって、式(I)の遊離アミンを酸
塩に変換することができる。好適な酸のいくつかの非限定的な例としては、メタンスルホ
ン酸、トリフルオロ酢酸、4-(トリフルオロメチル)安息香酸、p-トルエンスルホン酸、塩
酸、硝酸、硫酸及びリン酸が挙げられる。一実施様態において、式(I)の4-アミノ-2-(2,6
-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-ジオンは、塩酸により約0℃〜約22℃の
温度で塩酸塩に変換される。
【0040】
式(I)のラセミ化合物が望ましい場合は、式(II)のラセミN-(3-アミノフタロイル)-グル
タミン化合物を環化反応に使用することができる。逆に、式(I)の鏡像異性的に純粋な化
合物が望ましい場合は、式(II)の鏡像異性的に純粋なN-(3-アミノフタロイル)-グルタミ
ン化合物を使用することができる。或いは、式(I)の鏡像異性的に純粋な化合物が望まし
い場合は、式(I)のラセミ混合物を調製し、次いで生物学的分割及び化学的分割のような
従来の分割技術によって鏡像異性体に分割することができる。概して、生物学的分割は、
一方の特定の鏡像異性体を代謝して他方を残しておく微生物を使用する。化学的分割では
、ラセミ混合物は、分別結晶化及びクロマトグラフィーのような従来の技術によって分離
することができる2つのジアステレオ異性体に変換される。ジアステレオ異性体形態を分
離すると、個別に鏡像異性体に再び変換することができる。
【0041】
式(II)の化合物を当業者に知られている任意の方法によって調製することができる。例
えば、以下のスキームBに示されるように、式(III)の化合物のニトロ基をアミン基に還元
することによって、式(II)の化合物を調製することができる:
【化12】

(式中、R1は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)ア
ルキニルである)。いくつかの実施様態において、スキームBのR1は、Hである。
【0042】
同様に、以下のスキームB'に示されるように、式(IIIA)の化合物のニトロ基をアミン基
に還元することによって、式(IIA)の化合物を調製することができる:
【化13】


【0043】
上記スキームB及びB'において、ニトロ基を一級アミンに還元することができる当該技
術分野で知られている任意の還元剤によって、式(III)及び(IIIA)の化合物をそれぞれ式(
II)及び(IIA)の化合物に還元することができる。当該還元剤のいくつかの非限定的な例と
しては、水素+触媒(接触水素化)、塩酸及び酢酸などの酸中の還元性金属、水酸化アンモ
ニウム溶液中の硫化ナトリウム、ギ酸アンモニウム溶液中の亜鉛、モノギ酸ヒドラジニウ
ム溶液中のマグネシウム、及び希塩酸中の二塩化錫が挙げられる。好適な水素化触媒のい
くつかの非限定的な例としては、パラジウム金属(Pd)、白金金属(Pt)、並びにPd及びPtの
誘導体及び錯体が挙げられる。水素化触媒は溶媒に溶解させることができ;或いは炭素粒
子、並びにアルミナ、シリカ及び珪酸アルミニウム等の無機粒子などの触媒支持体の表面
に分散又は塗布することができる。好適な還元性金属のいくつかの非限定的な例としては
、鉄、亜鉛アマルガム、亜鉛及び錫が挙げられる。特定の実施様態において、還元剤は、
水素+触媒である。さらなる実施様態において、触媒は、Pd触媒である。別の実施様態に
おいて、触媒は、5%Pd/Cである。別の実施様態において、触媒は、10% Pd/Cである。さら
に、湿式又は乾式水素化触媒のいずれかを使用することができる。
【0044】
接触水素化は、一般には、反応を実質的な完了に導く水素圧で実施される。特定の実施
様態において、接触水素化は、約2.76バール(即ち、40psi又は276kPa)〜約4.14バール(即
ち60psi又は414kPa)の水素圧で実施される。
一実施様態において、接触水素化は、周囲温度で実施される。接触水素化は、一般には
、反応が実質的に完了するまで実施される。特定の実施様態において、接触水素化は、約
15℃〜約30℃の温度で約1〜24時間にわたって実施される。さらなる実施様態において、
接触水素化は、約18℃〜約24℃の温度で約2〜3時間にわたって実施される。
一実施様態において、接触水素化は、10%Pd/Cの存在下でメタノール中にて約18℃〜約2
4℃の温度で約2〜3時間にわたって起こる。湿式又は乾式水素化触媒のいずれかを使用す
ることができる。さらなる実施様態において、接触水素化は、約40psi(2.76バール又は27
6kPa)〜約50psi(3.45バール又は345kPa)の圧力で起こる。
【0045】
接触水素化は、溶媒中で起こり得る。一実施様態において、接触水素化は、アルコール
、水、及びそれらの組合せなどのプロトン性溶媒中で実施される。さらなる実施様態にお
いて、アルコール溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、
ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール及びそれらの組合せからなる群から選択され
る。別の実施様態において、接触水素化は、1,4-ジオキサンのような非極性の非プロトン
性溶媒中で実施される。さらに別の実施様態において、接触水素化は、アセトン、DMSO、
DMF及びTHFのような極性の非プロトン性溶媒中で実施される。一実施様態において、溶媒
はプロトン性溶媒である。さらなる実施様態において、接触水素化のための溶媒は、メタ
ノールである。さらなる実施様態において、溶媒混合物が使用される。
【0046】
式(II)又は(IIA)のラセミ化合物が望ましい場合は、式(III)又は(IIIA)のラセミ化合物
を使用することができる。逆に、式(II)又は(IIA)の鏡像異性的に純粋な化合物が望まし
い場合は、式(III)又は(IIIA)の鏡像異性的に純粋な化合物を使用することができる。或
いは、式(II)又は(IIA)の鏡像異性的に純粋な化合物が望ましい場合は、式(II)又は(IIA)
のラセミ混合物を調製し、次いで生物学的分割及び化学的分割のような従来の分割技術に
よって鏡像異性体に分割することができる。
【0047】
式(III)の化合物を、当業者に知られている任意の方法によって調製することができる
。例えば、以下のスキームCに示されるように、3-ニトロフタル酸無水物を式(IV)のグル
タミンと反応させることによって、式(III)の化合物を調製することができる。R1は、先
に定義した通りである。いくつかの実施様態において、スキームCのR1は、Hである。
【化14】

【0048】
同様に、以下のスキームC'に示されるように、3-ニトロフタル酸無水物を式(IVA)のイ
ソグルタミンと反応させることによって、式(IIIA)の化合物を調製することができる。R1
は、以上に定められている通りである。いくつかの実施様態において、スキームC'のR1
、Hである。
【化15】

【0049】
3-ニトロフタル酸無水物と、式(IV)のグルタミン又は式(IVA)とのイソグルタミンとの
反応は、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、N-メチルピロリジノン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びそれらの組合せなどの溶媒中で起こり得
る。一実施様態において、溶媒は、ジメチルホルムアミドである。
【0050】
反応温度は、当業者に従ってスキームC又はC'の反応に有用な任意の温度であり得る。
例えば、ある実施様態において、3-ニトロフタル酸無水物と、式(IV)又は(IVA)との反応
の温度は、約20℃〜約90℃であり得る。いくつかの実施様態において、反応温度は、約40
℃〜約90℃である。他の実施様態において、反応温度は、約60℃〜約90℃である。さらな
る実施様態において、反応温度は、約80℃〜約90℃である。
【0051】
反応時間は、当業者に従ってスキームC又はC'の反応に有用な任意の時間であり得る。
例えば、反応時間は、反応温度に応じて約1時間〜約24時間の範囲であり得る。概して、
反応温度が高いほど、反応時間が短い。特定の実施様態において、反応時間は、約80℃〜
約90℃の反応温度で約8時間である。
【0052】
式(III)又は(IIIA)のラセミ化合物が望ましい場合は、式(IV)又は(IVA)のラセミグルタ
ミンを使用することができる。逆に、式(III)又は(IIIA)の鏡像異性的に純粋な化合物が
望まれる場合は、式(IV)又は(IVA)の鏡像異性的に純粋なグルタミンを使用することがで
きる。式(IV)のグルタミンの非限定的な例としてはD-グルタミン及びL-グルタミンが挙げ
られ、これらはいずれもAldrich社、Milwaukee、WIのような商業的供給元から得ることが
できる。或いは、式(III)又は(IIIA)の鏡像異性的に純粋な化合物が望ましい場合は、式(
III)又は(IIIA)のラセミ混合物を調製し、次いで生物学的分割及び化学的分割のような従
来の分割技術によって鏡像異性体に分割することができる。
【0053】
3-ニトロフタル酸無水物は、Aldrich Chemical社のような供給元から商業的に得るか、
又は当該技術分野における任意の知られている方法によって調製することができる。さら
に、3-ニトロフタル酸無水物と式(IV)のグルタミン化合物との反応について上述した条件
に従って、マレイン酸無水物を式(IV)のグルタミンと反応させることによって、式(VII)
の化合物を調製することができる。
【0054】
或いは、式(III)の化合物を、以下のスキームDに示される手順に従って調製することが
できる。以下のスキームDを参照すると、R1は先に定義した通りであり、R8はt-ブチルな
どのアルキル又はベンジルなどのアラルキルである。いくつかの実施様態において、スキ
ームDのR1はHであり、かつR8はt-ブチルである。他の実施様態において、スキームDのR1
はHであり、かつR8はベンジルである。
【化16】

【0055】
上記スキームDを参照すると、3-ニトロフタルイミドは、トリエチルアミンなどの触媒
の存在下で溶媒中にてクロロギ酸エチルと反応して、3-ニトロ-N-エトキシカルボニル-フ
タルイミドを形成することができる。好適な溶媒のいくつかの非限定的な例としては、ア
セトニトリル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、N-メチルピロリジノン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、及びそれらの組合せが挙げられる。一実施様態において
、溶媒は、ジメチルスルホキシドである。反応温度は、当業者に従って反応に有用な任意
の温度であり得る。例えば、ある実施様態において、反応温度は、約0℃〜約5℃であり得
る。反応時間は、当業者に従って反応に有用な任意の時間であり得る。例えば、反応時間
は、反応温度に応じて約1時間〜約24時間の範囲であり得る。概して、温度が高いほど、
反応時間が短い。特定の実施様態において、反応時間は、0〜5℃で約4時間である。
【0056】
式(IX)のt-ブチル又はベンジルN-(3-ニトロフタロイル)-グルタミンを購入することが
できるか、又は3-ニトロ-N-エトキシカルボニル-フタルイミドを、式(VIII) のグルタミ
ンt-ブチル又はベンジルエステル(式中、R1は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2
〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)アルキニルであり;R8は、t-ブチル又はベンジルである)、
又は塩酸などのその酸塩と、トリエチルアミンなどの触媒の存在下で溶媒中にて反応させ
ることによって調製することができる。いくつかの実施様態において、塩酸グルタミンt-
ブチルエステルのラセミ混合物を使用して、式(IX)の化合物を調製する。他の実施様態に
おいて、塩酸L-グルタミンt-ブチルエステルを使用して、式(IX)の化合物を調製する。さ
らなる実施様態において、塩酸D-グルタミンt-ブチルエステルを使用して、式(IX)の化合
物を調製する。好適な溶媒のいくつかの非限定的な例としては、アセトニトリル、酢酸エ
チル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、N-メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、及びそれらの組合せが挙げられる。一実施様態において、溶媒は、テトラヒド
ロフランである。反応温度は、当業者に従って反応に有用な任意の温度であり得る。例え
ば、ある実施様態において、反応温度は、約25℃〜約100℃であり得る。反応時間は、当
業者に従って反応に有用な任意の時間であり得る。例えば、反応時間は、反応温度に応じ
て約1時間〜約48時間の範囲であり得る。概して、温度が高いほど、反応時間が短い。特
定の実施様態において、反応時間は、約65〜66℃で約24時間である。
【0057】
塩化水素と、式(IX)のt-ブチルN-(3-ニトロフタロイル)-グルタミンとの溶媒中での反
応は、式(III)の化合物を与えることができる。好適な溶媒のいくつかの非限定的な例と
しては、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、N-メチルピロリジノン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びそれらの組合せが挙げられる。一実施様
態において、溶媒は、ジクロロメタンである。反応温度は、当業者に応じて反応に有用な
任意の温度であり得る。例えば、ある実施様態において、反応温度は、約0℃〜約100℃で
あり得る。反応時間は、当業者に従って反応に有用な任意の時間であり得る。例えば、反
応時間は、反応温度に応じて約1時間〜約24時間の範囲であり得る。概して、温度が高い
ほど、反応時間が短い。特定の実施様態において、反応時間は、約20〜25℃で約16時間で
ある。
【0058】
スキームDを参照すると、式(III)のラセミ化合物が望ましい場合は、式(VIII)のラセミ
t-ブチルN-(3-ニトロフタロイル)-グルタミンを使用することができる。逆に、式(III)の
鏡像異性的に純粋な化合物が望ましい場合は、式(VIII)の鏡像異性的に純粋なt-ブチルN-
(3-ニトロフタロイル)-グルタミンを使用することができる。或いは、式(III)の鏡像異性
的に純粋な化合物が望ましい場合は、式(III)のラセミ混合物を調製し、次いで生物学的
分割及び化学的分割のような従来の分割技術によって鏡像異性体に分割することができる
。概して、生物学的分割は、一方の特定の鏡像異性体を代謝して他方を残しておく微生物
を使用する。化学的分割では、ラセミ混合物は、分別結晶化及びクロマトグラフィーのよ
うな従来の技術によって分離することができる2つのジアステレオ異性体に変換される。
ジアステレオ異性体形態を分離すると、個別に鏡像異性体に再び変換することができる。
【0059】
いくつかの実施様態において、スキームDの手順に類似している以下のスキームD'に示
された手順に従って、式(IIIA)の化合物を調製することができる。式(VIIIA)、(IXA)及び
(IIIA)を参照すると、R1及びR8は先に定義した通りである。いくつかの実施様態において
、スキームD'のR1はHであり、かつR8はt-ブチルである。他の実施様態において、スキー
ムD'のR1はHであり、かつR8はベンジルである。
【化17】

【0060】
或いは、3-アミノフタル酸又はその塩を、式(X):
【化18】

(式中、R1は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)ア
ルキニルである)の3-アミノグルタルイミド化合物又はその塩と溶媒中で反応させること
によって、式(I)の4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジ
オン化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形若しくは立体異性体を調
製することができる。いくつかの実施様態において、式(X)のR1は、Hである。
【0061】
3-アミノグルタルイミド化合物はEvotec OAI社(ドイツ、Hamburg)のような供給元から
商業的に購入するか、又はCapitostiらの論文、Organic Letters, 2003, Vol. 5, No. 16
, pp. 2865-2867などの文献に記載されている方法に従って調製することができる。いく
つかの実施様態において、式(X)の3-アミノグルタルイミド化合物は、3-アミノグルタル
イミド(即ち、式(X)のR1がHである)又はその塩である。式(X)の好適な塩のいくつかの非
限定的な例としては、カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、4-(ト
リフルオロメチル)安息香酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸
塩、硫酸塩及びリン酸塩が挙げられる。
【0062】
3-アミノフタル酸又はその塩と、式(X)の化合物又はその塩との上記縮合又はカップリ
ング反応は、触媒の存在下で起こり得る。触媒は、塩基、カルボン酸などの酸、又はそれ
らの組合せであってもよい。いくつかの実施様態において、触媒は、塩基であるか、又は
塩基を含む。好適な塩基のいくつかの非限定的な例としては、アルカリ水酸化物、アルカ
リ性水酸化物、アルカリカルボン酸塩(例えば酢酸ナトリウム)、アルカリ炭酸塩又は炭酸
水素塩(例えば炭酸水素ナトリウム)、複素環式塩基(例えば、置換又は非置換のピロリジ
ン、ピロリジノン、ピペリジン、ピペリジノン、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ベ
ンズイミダゾール及びベンゾトリアゾール等)、アミン、及びそれらの組合せが挙げられ
る。いくつかの実施様態において、触媒は、アミンであるか、又はアミンを含む。好適な
アミンのいくつかの非限定的な例としては、アルキルアミン(例えばエチルアミン)、ジア
ルキルアミン(例えばジエチルアミン)、トリアルキルアミン(例えばトリエチルアミン及
びN,N-ジイソプロピルエチルアミン)、アリールアミン(例えばフェニルアミン)、ジアリ
ールアミン(例えばジフェニルアミン)、アルキルアリールアミン(例えばN-メチルアニリ
ン)、トリアリールアミン(例えばトリフェニルアミン)、ジアルキルアリールアミン(例え
ばN,N-ジメチルアニリン)及びアルキルジアリールアミン(例えばN-メチルジフェニルアミ
ン)が挙げられる。一実施様態において、触媒は、トリエチルアミン、非置換のイミダゾ
ール又はそれらの組合せであるか、それらを含む。
【0063】
ある実施様態において、触媒は、式(XI):
R8-CO2H (XI)
(式中、R8は、アルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、ヘテロシクリル又はそ
れらの組合せである)を有するカルボン酸であるか、又はそれを含む。いくつかの実施様
態において、カルボン酸は、酢酸などの脂肪族カルボン酸であるか、又はそれを含む。さ
らなる実施様態において、触媒は、それらのアミンの少なくとも1つ、及び本明細書に開
示されている式(XI)のカルボン酸の少なくとも1つを含む。特定の実施様態において、触
媒は、トリエチルアミン及び酢酸を含む。
【0064】
縮合反応のための溶媒は、3-アミノフタル酸又はその塩、及び式(X)の3-アミノグルタ
ルイミド化合物又はその塩の両方を分散又は溶解させることができる任意の溶媒であって
もよい。好適な溶媒の非限定的な例としては、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、
メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロ
ホルム、N-メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエ
ン、酢酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、n-プロパノール、及びそれらの組合せ
が挙げられる。一実施様態において、溶媒は、アセトニトリルである。
【0065】
縮合反応温度は、当業者に従って反応に有用な任意の温度であり得る。例えば、ある実
施様態において、縮合反応温度は、約25℃〜約100℃であり得る。
縮合反応時間は、当業者に従って反応に有用な任意の時間であり得る。例えば、反応時
間は、反応温度に応じて約1〜約48時間の範囲で変更できる。概して、反応温度が高いほ
ど、反応時間は短い。特定の実施様態において、反応時間は、約80℃〜約90℃の反応温度
で約5時間〜約7時間である。
【0066】
一実施様態において、式(I)の化合物は、以下のスキームEに従って調製される4-アミノ
-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(即ち、式(I)のR1がHで
ある)である。スキームEを参照すると、塩酸3-アミノフタル酸[即ち化合物(1)]は、トリ
エチルアミン及び酢酸を含む触媒の存在下で、アセトニトリルなどの溶媒中にて塩酸3-ア
ミノグルタルイミド(即ち、式(X)のR1がHである)[即ち化合物(2)]と反応する。いくつか
の実施様態において、トリエチルアミンの酢酸に対するモル比は、約1:10〜約10:1である
。他の実施様態において、トリエチルアミンの酢酸に対するモル比は、約1:10〜約1:1で
ある。さらなる実施様態において、トリエチルアミンの酢酸に対するモル比は、約1:2で
ある。
【化19】

【0067】
式(I)の4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリン-1,3-ジオン化合
物は再結晶、抽出及びクロマトグラフィー等の任意の従来の精製技術によって精製するこ
とができる。いくつかの実施様態において、式(I)の化合物は、再結晶によって精製され
る。他の実施様態において、式(I)の化合物は4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イ
ル)イソインドリン-1,3-ジオン(即ち、式(I)のR1がHである)であり、これはジメチルスル
ホキシド及び水を含む溶媒混合物を用いる再結晶によって精製することができる。さらな
る実施様態において、溶媒混合物中のジメチルスルホキシドの水に対する比は、容量比で
約1:10〜約10:1である。さらなる実施様態において、溶媒混合物中のジメチルスルホキシ
ドの水に対する比は、容量比で約1:4〜約1:8である。
【0068】
スキームA〜Eによる実施例1〜17の合成及びそれらの改造型によって、本発明の特定の
実施様態を例示する。4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-
ジオン又はその酸塩の合成の特定の実施様態における反応溶媒、反応時間、反応温度、試
薬、出発材料及び官能基を含むが、それらに限定されない可変因子の変更は、当業者にと
って明らかであろう。
【実施例】
【0069】
(実施例1) スキームCに従うN-(3-ニトロフタロイル)-グルタミンの調製
DMF(37L)と無水3-ニトロフタル酸(4080g、21.1モル)とL-グルタミン(3020g、20.7モル)
の混合物を、機械的撹拌機、凝縮器、熱電対、窒素導入口及び加熱マンテルが装備された
丸底フラスコに加えた。反応混合物を80〜87℃で8時間撹拌した。反応の温度を常に90℃
未満に維持した。Waters Nova-Pak C18カラム(3.9×150mm、粒径=4ミクロン、UV波長=240
nm、保持時間=3.64分)、及び1mL/分の流速で、溶離剤としてのアセトニトリルと0.1%HP
O水溶液の容量比10/90の混合物を使用したHPLCによって反応の進行を監視した。反応が
完了した後に、反応混合物を室温まで冷却させ、次いで40℃の加熱浴により減圧(ポンプ
で400mtorr)下で濃縮して油とした(DMFの約90%を除去した)。その油を水(39.7L)とともに
6時間撹拌して、スラリーを生成した。スラリー中の固体を濾過し、水(8.8L)で洗浄し、
空気乾燥させ、次いで60℃かつ1mm未満の圧力の真空炉で乾燥させた。粗製物の収量は、4
915gであった(HPLCによる純度92.9%)。粗製物1gに対して酢酸エチル10mLの比で粗製物を
酢酸エチルに分散させることによって該類製物をさらに精製した。分散後、一晩撹拌し、
次いで濾過し、濾別された固体を乾燥させて、4780g(70%)の生成物を得た。生成物純度は
、Waters Nova-Pak/C18カラム(3.9×150mm、粒径=4ミクロン、UV波長=240nm、保持時間=5
.0分)、及び1mL/分の流速で、アセトニトリルと0.1%HPO水溶液の容量比10/90の溶離
剤混合物を使用したHPLCにより、99.62%であることが判明した。該生成物を、DMSO-d6
おいて以下の化学シフト(δ、ppm)を示す1H NMRスペクトルで特徴づけ:13.32 (b, 1H), 8
.33 (d, J=7.9Hz, 1H), 8.22 (d, J=7.4Hz, 1H), 8.11 (t, J=7.8Hz, 1H), 7.20 (s, 1H)
, 6.47 (s, 1H), 4.83-4.77 (dd, J=4.6及び9.7Hz, 1H), 2.37-2.12 (m, 4H);及び以下の
化学シフト(δ、ppm)を示す13C NMRスペクトルで特徴づけた:173.24, 170.05, 165.44, 1
62.77, 144.47, 136.71, 133.00, 128.85, 127.27, 122.55, 51.88, 31.32, 23.89。該生
成物の融点は、180〜182℃であることが判明した。元素分析により、重量パーセントでC
が48.75;Hが3.48;Nが13.07;の結果が得られ、これは重量パーセントでCが48.60;Hが3.45;
Nが13.08;のC13H11NOの計算値に匹敵するものであった。
【0070】
(実施例2) スキームBに従うN-(3-アミノフタロイル)-グルタミンの調製
実施例1(4780、14.88モル)と10%Pd/C(120g)とメタノール(44L)の混合物を、100L水素化
反応器中にて50psiで2.5時間にわたって水素化した。Waters Nova-Pak C18カラム(3.9×1
50mm、粒径=4ミクロン、UV波長=240nm、保持時間=3.64分)、及び1mL/分の流速で、アセト
ニトリルと0.1%HPO水溶液との容量比10/90の溶離剤混合物を使用したHPLCによって反
応の進行を監視した。混合物をセライトのパッドで濾過し、該セライトパッドをメタノー
ル(6L)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮してゴム状材料とした。ゴム状材料を酢酸エチル
(22L)とともに一晩撹拌して、スラリーを形成した。外スラリーを濾過し、濾別された黄
色の固体を酢酸エチル(10L)で洗浄した。黄色の固体を空気乾燥させ、次いで60℃かつ1mm
未満の圧力の真空炉で乾燥させて、4230gの生成物を得た。該生成物純度は、Waters Nova
-Pak C18カラム(3.9×150mm、粒径=4ミクロン、UV波長=240nm、保持時間=3.64分)、及び1
mL/分の流速で、アセトニトリルと0.1%HPO水溶液との容量比10/90の溶離剤混合物を
使用したHPLCにより、99.75%であることが判明した。該生成物は、DMSO-d6において以下
の化学シフト(δ、ppm)を示す1H NMRスペクトルで特徴づけ:13.10 (b, 1H), 7.50-7.43 (
dd, J=7.0及び8.4Hz, 1H), 7.24 (s, 1H), 7.03-6.98 (dd, J=5.0及び8.4Hz, 2H), 6.75
(s, 1H), 6.52 (s, 2H (, 4.70-4.64 (dd, J=4.5及び10.5Hz, 1H), 2.41-2.04 (m, 4H);
及び以下の化学シフト(δ、ppm)を示す13C NMRスペクトルで特徴づけた:173.16, 170.81,
168.94, 167.68, 146.70, 135.41, 132.07, 121.63, 110.93, 108.68, 50.77, 31.38, 2
4.08。該生成物の融点は、177〜179℃であることが判明した。元素分析により、重量パー
セントでCが53.61;Hが4.47;Nが14.31;の結果が得られ、これは重量パーセントでCが53.60
;Hが4.50;Nが14.43;のC13H13NOの計算値に匹敵するものであった。
【0071】
(実施例3) スキームAに従う4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール
-1,3-ジオンの調製
アセトニトリル(42L)と実施例2(2120g、7.28モル)との混合物を、機械的撹拌機、凝縮
器、窒素導入口及び加熱マンテルが装備された丸底フラスコに加えて、溶液を形成した。
該溶液を撹拌し、約40〜45℃に加熱し、1,1'-カルボニルジイミダゾール(1290g、7.95モ
ル)を添加した。反応混合物を撹拌し、4.5時間還流させた。Waters Nova-Pak C18カラム(
3.9×150mm、粒径=4ミクロン、UV波長=240nm、保持時間=3.64分)、及び1mL/分の流速で、
アセトニトリルと0.1%HPO水溶液との容量比20/80の溶離剤混合物を使用したHPLCによ
って反応の進行を監視した。反応混合物を室温まで冷却した後、濾過して、黄色の固体を
得、続いてそれをアセトニトリル(6.5L)で洗浄した。該黄色の固体を空気乾燥させ、次い
で60℃かつ1mm未満の圧力の真空炉で乾燥させて、1760g(88%)の生成物を得た。生成物純
度は、Waters Nova-Pak C18カラム(3.9×150mm、粒径=4ミクロン、UV波長=240nm、保持時
間=3.64分)、及び1mL/分の流速で、アセトニトリルと0.1%HPO水溶液との容量比20/80
の溶離剤混合物を使用したHPLCにより、99.57%であることが判明した。該生成物を、DMSO
-d6において以下の化学シフト(δ、ppm)を示す1H NMRスペクトルで特徴づけ:11.10 (s, 1
H), 7.47 (t, J=7.9Hz, 1H), 7.03-6.99 (dd, J=4.8及び8.4Hz, 2H), 6.52 (s, 2H), 5.0
9-5.02 (dd, J=5.3及び12.4Hz, 1H), 2.96-2.82 (m, 1H), 2.62-2.46 (m, 2H), 2.07-2.0
0 (m, 1H);及び以下の化学シフト(δ、ppm)を示す13C NMRスペクトルで特徴づけた:172.8
2, 170.11, 168.57, 167-37, 146.71, 135.46, 131.99, 121.70, 110.97, 108.52, 48.47
, 30.97, 22.14。該生成物の融点は、315.5〜317.5℃であることが判明した。元素分析に
より、重量パーセントでCが56.98;Hが3.86;Nが15.35;の結果が得られ、これは重量パーセ
ントでCが57.14;Hが4.06;Nが15.38;のC13H11NOの計算値に匹敵するものであった

【0072】
(実施例4) スキームDに従う3-ニトロ-N-エトキシカルボニル-フタルイミドの調製
クロロギ酸エチル(1.89g、19.7ミリモル)を、3-ニトロフタルイミド(3.0g、15.6ミリモ
ル)及びトリエチルアミン(1.78g、17.6ミリモル)をDMF(20mL)に溶解させた撹拌溶液に対
して、窒素下で約0〜5℃にて10分間にわたって滴加した。該反応物を室温まで温め、4時
間撹拌した。該反応混合物を氷と水(60mL)との撹拌混合物に徐々に添加した。スラリーを
濾過し、固体をCHCl(15mL)及び石油エーテル(15mL)から結晶化させて、オフホワイトの
固体として3.1g(75%)の生成物を得た:mp:100.0〜100.5℃;1H NMR (CDCl3) δ 8.25 (d, J
=7.5Hz, 1H), 8.20 (d, J=8.0Hz, 1H), 8.03 (t, J=7.9Hz, 1H), 4.49 (q, J=7.1Hz, 2H)
, 1.44 (t, J=7.2Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 161.45, 158.40, 147.52, 145.65, 136.
60, 132.93, 129.65, 128.01, 122.54, 64.64, 13.92; HPLC:Waters Nova-Pak/C18、3.9
×150mm、4ミクロン、1mL/分、240nm、30/70 CHCN/0.1% HPO水溶液、5.17分(98.11
%);分析:C11HNOに対する計算値は、C=50.00;H=3.05;N=10.60。実測値は、C=50.1
3;H=2.96;N=10.54。
【0073】
(実施例5) t-ブチル-N-(3-ニトロフタロイル)-1-グルタミンの調製
実施例4(1.0g、3.8ミリモル)、塩酸L-グルタミンt-ブチルエステル(0.9g、3.8ミリモル
)及びトリエチルアミン(0.54g、5.3ミリモル)をTHF(30mL)に含めた混合物を24時間還流さ
せた。THF溶媒を真空中で除去し、残渣をCHCl(50mL)に溶解させた。CHCl溶液を
水(2×15mL)及び塩水(15mL)で洗浄し、次いで乾燥させた。溶媒を除去し、残渣をフラッ
シュクロマトグラフィー(CHCl:EtOAc/7:3)で精製して、0.9g(63%)のガラス状材料を
得た:1H NMR (CDCl3) δ 8.15 (d, J=7.9Hz, 2H), 7.94 (t, J=7.8Hz, 1H), 5.57 (b, 2H
), 4.84 (dd, J=5.1及び9.7Hz, 1H), 2.53-2.30 (m, 4H), 1.43 (s, 9H); HPLC:Waters N
ova-Pak/C18、3.9×150mm、4ミクロン、1mL/分、240nm、30/70 CHCN/0.1% HPO水溶
液、6.48分(99.68%);キラル分析:Daicel Chiral Pak AD、0.4×25cm、1mL/分、240nm、5.
32分(99.39%);分析:C17H19NOに対する計算値は、C=54.11;H=5.08;N=11.14。実測
値は、C=54.21;H=5.08;N=10.85。
【0074】
(実施例6) N-(3-ニトロフタロイル)-L-グルタミンの調製
実施例5(5.7g、15.1ミリモル)をCHCl(100mL)に溶解させた撹拌低温(5℃)溶液に、
塩化水素を25分間にわたって吹き込んだ。次いで、その混合物を室温で16時間撹拌した、
エーテル(50mL)を添加し、得られた混合物を30分間撹拌した。スラリーを濾過して、4.5g
の固体を得、それを次の反応に使用した。1H NMR (DMSO-d6) δ 8.36 (dd, J=0.8及び8.0
Hz, 1H), 8.24 (dd, J=0.8及び7.5Hz, 1H), 8.11 (t, J=7.9Hz, 1H), 7.19 (b, 1H), 6.7
2 (b, 1H), 4.80 (dd, J=3.5及び8.8Hz, 1H), 2.30-2.10 (m, 4H)。
【0075】
(実施例7) (S)-3-(3'-ニトロフタルイミド)-ピペリジン-2,6-ジオンの調製
実施例6(4.3g、13.4ミリモル)を無水CHCl(170mL)に含めた懸濁混合物を、イソプロ
ピルアルコール(IPA)/ドライアイス浴で-40℃まで冷却した。塩化チオニル(1.03mL、14.5
ミリモル)、続いてピリジン(1.17mL、14.5ミリモル)を滴加した。30分後、トリエチルア
ミン(2.06mL、14.8ミリモル)を添加し、混合物を約-30〜-40℃で3時間撹拌した。該混合
物を濾過し、CHClで洗浄して、2.3g(57%)の粗製物を得た。該粗製物をアセトン(300m
L)から再結晶させて、白色の固体として2gの生成物を得た:mp:259.0〜284.0℃(分解);1H
NMR (DMSO-d6) δ 11.19 (s, 1H), 8.34 (d, J=7.8Hz, 1H), 8.23 (d, J=7.1Hz, 1H), 8.
12 (t, J=7.8Hz, 1H), 5.25-5.17 (dd, J=5.2及び12.7Hz, 1H), 2.97-2.82 (m, 1H), 2.6
4-2.44 (m, 2H), 2.08-2.05 (m, 1H); 13C NMR (DMSO-d6) δ 172.67, 169.46, 165.15,
162.50, 144.42, 136.78, 132.99, 128.84, 127.27, 122.53, 49.41, 30.84, 21.71; HPL
C:Waters Nova-Pak/C18、3.9×150mm、4ミクロン、1mL/分、240nm、10/90 CHCN/0.1% H
PO水溶液、4.27分(99.63%);分析:C13HNOに対する計算値は、C=51.49;H=2.99
;N=13.86。実測値は、C=51.67;H=2.93;N=13.57。
【0076】
(実施例8) (S)-3-(3'-アミノフタルイミド)-ピペリジン-2,6-ジオンの調製
(S)-3-(3'-ニトロフタルイミド)-ピペリジン-2,6-ジオン(0.76g、2.5ミリモル)及び10%
Pd/C(0.3g)をアセトン(200mL)に含めた混合物を、50psiの水素圧で24時間にわたってParr
-シェーカ装置で水素化した。混合物をセライトで濾過し、濾液を真空中で濃縮した。該
固体を高温酢酸エチルで30分間撹拌して、黄色の固体として0.47g(69%)の生成物を得た:m
p:309〜310℃;1H NMR (DMSO-d6) δ 11.10 (s, 1H), 7.47 (dd, J=7.2及び8.3Hz, 1H), 7
.04-6.99 (dd, J=6.9及び8.3Hz, 2H), 6.53 (s, 2H), 5.09-5.02 (dd, J=5.3及び12.4Hz,
1H), 2.96-2.82 (m, 1H), 2.62-2.46 (m, 2H), 2.09-1.99 (m, 1H); 13C NMR (DMSO-d6)
δ 172.80, 170.10, 168.57, 167.36, 146.71, 135.44, 131.98, 121.69, 110.98, 108.
54, 48.48, 30.97, 22.15; HPLC:Waters Nova-Pak/C18、3.9×150mm、4ミクロン、1mL/分
、240nm、15/85 CHCN/0.1% HPO水溶液、4.99分(98.77%);キラル分析:Daicel Chira
l Pak AD、0.46×25cm、1mL/分、240nm、30/70ヘキサン/IPA、9.55分(1.32%)、12.55分(9
7.66%);分析:C13H11NOに対する計算値は、C=57.14;H=4.06;N=15.38。実測値は、
C=57.15;H=4.15;N=14.99。
【0077】
(実施例9) t-ブチル-N-(3-ニトロフタロイル)-D-グルタミンの調製
実施例4(5.9g、22.3ミリモル)、D-グルタミン-t-ブチルエステル(4.5g、22.3ミリモル)
及びトリエチルアミン(0.9g、8.9ミリモル)をTHF(100mL)に含めた混合物を24時間還流さ
せた。該混合物をCHCl(100mL)で希釈し、水(2×50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、乾燥さ
せた。溶媒を真空中で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中2%CHO
H)で精製して、ガラス状材料としての6.26g(75%)の生成物を得た:1H NMR (CDCl3) δ 8.1
2 (d, J=7.5Hz, 2H), 7.94 (dd, J=7.9及び9.1Hz, 1H), 5.50 (b, 1H), 5.41 (b, 1H), 4
.85 (dd, J=5.1及び9.8Hz, 1H), 2.61-2.50 (m, 2H), 2.35-2.27 (m,2H), 1.44 (s, 9H);
13C NMR (CDCl3) δ 173.77, 167.06, 165.25, 162.51, 145.07, 135.56, 133.78, 128.
72, 127.27, 123.45, 83.23, 53.18, 32.27, 27.79, 24.42; HPLC:Waters Nova-Pak/C18
、3.9×150mm、4ミクロン、1mL/分、240nm、25/75 CHCN/0.1% HPO水溶液、4.32分(
99.74%);キラル分析:Daicel Chiral Pak AD、0.46×25cm、1mL/分、240nm、55/45ヘキサ
ン/IPA、5.88分(99.68%);分析:C17H19NOに対する計算値は、C=54.11;H=5.08;N=1
1.14。実測値は、C=54.25;H=5.12;N=10.85。
【0078】
(実施例10) N-(3-ニトロフタロイル)-D-グルタミンの調製
実施例9(5.9g、15.6ミリモル)をCHCl(100mL)に溶解させた撹拌低温(5℃)溶液に塩
化水素を1時間にわたって吹き込み、次いで室温でさらに1時間撹拌した。エーテル(100mL
)を添加し、さらに30分間撹拌した。該混合物を濾過し、エーテル(60mL)で洗浄し、(40℃
、1mmHg未満で)乾燥させて、4.7g(94%)の生成物を得た:1H NMR (DMSO-d6) δ 8.33 (d, J
=7.8Hz, 1H), 8.22 (d, J=7.2Hz, 1H), 8.11 (t, J=7.8Hz, 1H), 7.19 (b, 1H), 6.72 (b
, 1H), 4.81 (dd, J=4.6及び9.7Hz, 1H), 2.39-2.12 (m, 4H); 13C NMR (DMSO-d6) δ 17
3.21, 169.99, 165.41, 162.73, 144.45, 136.68, 132.98, 128.80, 127.23, 122.52, 51
.87, 31.31, 23.87。
【0079】
(実施例11) (R)-3-(3'-ニトロフタルイミド)-ピペリジン-2,6-ジオンの調製
実施例10(4.3g、13.4ミリモル)を無水CHCl(170mL)に含めた懸濁混合物を,
IPA/ドライアイス浴で-40℃まで冷却した。塩化チオニル(1.7g、14.5ミリモル)、続いて
ピリジン(1.2g、14.5ミリモル)を滴加した。30分後、トリエチルアミン(1.5g、14.8ミリ
モル)を添加し、混合物を約-30〜-40℃で3時間撹拌した。該混合物を濾過し、CHCl(5
0mL)で洗浄し、(60℃、1mmHg未満で)乾燥させて、2.93gの生成物を得た。塩化メチレン濾
液からさらに0.6gの生成物が得られた。両留分を一緒にし(3.53g)、アセトン(450mL)から
再結晶させて、白色固体として2.89g(71%)の生成物を得た:mp:256.5〜257.5℃;1H NMR (D
MSO-d6) δ 11.18 (s, 1H), 8.34 (dd, J=0.8及び7.9Hz, 1H), 8.23 (dd, J=0.8及び7.5H
z, 1H), 8.12 (t, J=7.8Hz, 1H), 5.22 (dd, J=5.3及び12.8Hz, 1H), 2.97-2.82 (m, 1H)
, 2.64-2.47 (m, 2H), 2.13-2.04 (m, 1H); 13C NMR (DMSO-d6) δ 172.66, 169.44, 165
.14, 162.48, 144.41, 136.76, 132.98, 128.83, 127.25, 122.52, 49.41, 30.83, 21.70
; HPLC:Waters Nova-Pak/C18、3.9×150mm、4ミクロン、1mL/分、240nm、10/90 CHCN/0
.1% HPO水溶液、3.35分(100%);分析:C13HNOに対する計算値は、C=51.49;H=2
.99;N=13.86。実測値は、C=51.55;H=2.82;N=13.48。
【0080】
(実施例12) (R)-3-(3'-アミノフタルイミド)-ピペリジン-2,6-ジオンの調製
実施例11(1.0g、3.3ミリモル)及び10%Pd/C\C(0.2g)をアセトン(250mL)に含めた混合物
を、50psiの水素圧で4時間にわたってParr-シェーカ装置で水素化した。混合物をセライ
トで濾過し、濾液を真空中で濃縮した。黄色の固体を高温EtOAc(20mL)で30分間にわたっ
てスラリー化させて、黄色の固体として0.53g(59%)の生成物を得た:mp:307.5〜309.5℃;1
H NMR (DMSO-d6) δ 11.06 (s, 1H), 7.47 (dd, J=7.0及び8.4Hz, 1H), 7.02 (dd, J=4.6
及び8.4Hz, 2H), 6.53 (s, 2H), 5.07 (dd, 1=5.4及び12.5Hz, 1H), 2.952.84 (m, 1H),
2.62-2.46 (m, 2H), 2.09-1.99 (m, 1H); 13C NMR (DMSO-d6) δ 172.78, 170.08, 168.5
6, 167.35, 146.70, 135.43, 131.98, 121.68, 110.95, 108.53, 48.47, 30.96, 22.14;
HPLC:Waters Nova-Pak/C18、3.9×150mm、4ミクロン、1mL/分、240nm、10/90 CHCN/0.1
% HPO水溶液、3.67分(99.68%);キラル分析:Daicel Chiral Pak AD、0.46×25cm、1mL
/分、240nm、30/70ヘキサン/IPA、7.88分(97.48%);分析:C13H11NOに対する計算
値は、C=57.14;H=4.06;N=15.38。実測値は、C=57.34;H=3.91;N=15.14。
【0081】
(実施例13) スキームEに従う4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドー
ル-1,3-ジオンの調製
塩酸3-アミノフタル酸(200g、0.92モル、Prosynth Ltd.(英国、Suffolk製))と塩酸3-ア
ミノグルタルイミド(159g、0.96モル、Evotec OAI社製(ドイツ、Hamburg))とアセトニト
リル(2.0L)と酢酸(577g、9.6モル、Fisher Scientific社製)との該混合物を反応容器に充
填した。混合物を15分間撹拌した後、反応温度を20〜25℃に維持しながら、トリエチルア
ミン(465.0g、4.6モル、Aldrich社製(Milwaukee、WI))を30〜35分間にわたって滴下した
。次に、反応混合物をさらに10〜15分間撹拌し、次いで約85〜87℃で約5〜7時間、又は工
程間管理、即ち240nmにおけるHPLC APにより、反応混合物に残留する3-アミノフタル酸が
2%未満であることが示されるまで還流させた。該反応混合物を1〜2時間にわたって約20〜
25℃に冷却した後、1.0Lの水を約20〜25℃で15〜30分にわたって充填した。得られた混合
物を約15〜20℃で約20〜30分間撹拌して、黄色の固体沈殿を得、それを濾過し、DI水(3×
1.0L)及びアセトニトリル(2×500mL)で洗浄し、次いで真空中で約35〜40℃にて乾燥させ
て、210.0g(84%)の一定重量とした。
【0082】
(実施例14) 4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-ジオンの
調製
酢酸が存在しないこと;トリエチルアミンの量を4.6モル〜3.2モルに減らすこと;及び還
流時間を約5〜7時間から約47時間に増やすこと;を除いては、実施例13の手順によるのと
同様にして実施例14を調製した。該反応混合物における4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピ
ペリジニル)イソインドール-1,3-ジオンの量は、94%であることが判明した。
【0083】
(実施例15) 4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-ジオンの
調製
酢酸が存在せず、かつ4.6モルのトリエチルアミンを9.2モルのイミダゾールに代えたこ
とを除いては、実施例13の手順によるのと同様にして実施例15を調製した。該反応混合物
における4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-ジオンの量は
、92%であることが判明した。
【0084】
(実施例16) 4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-ジオンの
調製
4.6モルのトリエチルアミンを9.2モルのイミダゾールに代えたことを除いては、実施例
13の手順によるのと同様にして実施例16を調製した。該反応混合物における4-アミノ-2-(
2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-ジオンの量は、85%であることが判明
した。
【0085】
(実施例17) 4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインドール-1,3-ジオンの
再結晶
実施例3、8及び12〜16のような4-アミノ-2-(2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル)イソインド
ール-1,3-ジオンラセミ体及びステレオマーを以下に記載されているように再結晶によっ
て精製することができる。粗製実施例13(200g)とDMSO(800mL)の混合物を反応容器に充填
した。得られたスラリーを45〜50℃まで加熱し、次いで固体の完全溶解が達成されるまで
(約10〜15分間)撹拌した。得られた溶液を約45〜50度で透明化した後、約45〜50℃でDMSO
(400mL)ライン濯ぎを行った。その溶液を約75〜80℃で少なくとも60分間にわたって精製
水(7.2L)に添加した。得られた懸濁液を少なくとも1.5時間にわたって約15〜20℃まで冷
却し、同じ温度で約1.5〜2時間撹拌した。懸濁液を濾過し、固体を精製水(2×2L)で洗浄
した。精製生成物を一定の重量が達成されるまで約35〜40℃にて真空下で乾燥させた。精
製生成物の収量は、196.8g(回収率98%)であった。精製生成物の融点は、321〜323℃であ
ることが判明した。
【0086】
本発明は、本発明のいくつかの態様の例として意図される実施例に開示された具体的な
実施様態によって範囲が制限されることはなく、機能的に同等であるあらゆる実施様態が
、本発明の範囲内に含まれる。実際、本明細書に示されているもの及び記載されているも
のに加えて、本発明の様々な改変が当業者に明らかとなり、添付の請求項に含まれること
が意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形若しくは立体異性体を調製
するための方法であって、式(II)又は(IIA):
【化2】

の化合物又はその塩を、式(V):
【化3】

の環化剤で環化するステップを含む、前記方法
(式中、R1は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)ア
ルキニルであり;X及びYの各々は、独立に、非置換又は置換イミダゾリル、ベンズイミダ
ゾリル又はベンゾトリアゾリルである)。
【請求項2】
前記式(II)の化合物を環化する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記式(IIA)の化合物を環化する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記式 (I)の化合物が溶媒和物であって、該溶媒和物が水和物である、請求項1記載の
方法。
【請求項5】
前記環化剤が、カルボニルジイミダゾール化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記カルボニルジイミダゾール化合物が、1,1'-カルボニルジイミダゾールである、請
求項5記載の方法。
【請求項7】
前記式(II)又は(IIA)の化合物の1,1'-カルボニルジイミダゾールに対する比が、約1:1
〜約1:1.2である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記環化ステップが、溶媒中で起こる、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が、アセトニトリル又はN-メチルピロリジノンである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒がアセトニトリルであり、かつ反応温度が約80℃〜約87℃である、請求項9記
載の方法。
【請求項11】
前記反応時間が、約1時間〜約5時間である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記式(II)又は(IIA)の化合物が、それぞれ式(III)又は(IIIA):
【化4】

の化合物を還元剤で還元することによって調製される、請求項1記載の方法
(式中、R1は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)ア
ルキニルである)。
【請求項13】
前記還元剤が、水素及び10%Pd/Cである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記水素が、約2.76バール〜約3.45バールの圧力である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記反応が、溶媒中で起こる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒が、メタノールである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記式(III)又は(IIIA)の化合物が、3-ニトロフタル酸無水物をそれぞれ式(IV)又は(IV
A):
【化5】

の化合物と反応させることによって調製される、請求項12記載の方法
(式中、R1は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)ア
ルキニルである)。
【請求項18】
前記反応が、溶媒中で起こる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記溶媒が、ジメチルホルムアミドである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記反応温度が、約80℃〜約87℃である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記式(I)の化合物が、遊離アミンである、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記遊離アミンを酸と約1:1のモル比で反応させて酸塩を形成させるステップをさらに
含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記酸が、塩酸である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記式(III)の化合物が、
(a)3-ニトロ-N-エトキシカルボニル-フタルイミドを、式(VIII):
【化6】

を有するグルタミンエステル又はその酸性塩と、第1の触媒の存在下で反応させて、式(IX
):
【化7】

の化合物、又はその塩、溶媒和物、多形若しくは立体異性体を形成するステップ;及び
(b) 前記式(IX)の化合物、又はその塩、溶媒和物、多形若しくは立体異性体を塩化水素
と反応させるステップ;
によって調製される、請求項12記載の方法
(式中、R1は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)ア
ルキニルであり;かつR8は、アルキル又はアラルキルである)。
【請求項25】
3-ニトロフタルイミドをクロロギ酸エチルと第2の触媒の存在下で反応させることによ
って、3-ニトロ-N-エトキシカルボニル-フタルイミドを調製するステップをさらに含む、
請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記第1の触媒及び前記第2の触媒が、それぞれトリエチルアミンである、請求項25記載
の方法。
【請求項27】
R1がHであり、かつR8がt-ブチル又はベンジルである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記式(VIII)の化合物が塩酸L-グルタミンt-ブチルエステルであり、かつ前記式(III)
の化合物が(S)-鏡像異性体である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記式(VIII)の化合物が塩酸D-グルタミンt-ブチルエステルであり、かつ前記式(III)
の化合物が(R)-鏡像異性体である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記式(VIII)の化合物が塩酸グルタミンt-ブチルエステルのラセミ混合物であり、かつ
前記式(III)の化合物がラセミ混合物である、請求項27記載の方法。
【請求項31】
式(I):
【化8】

の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、多形若しくは立体異性体を調製
するための方法であって、3-アミノフタル酸又はその塩を式(X):
【化9】

の3-アミノグルタルイミド化合物又はその塩と、溶媒中で反応させるステップを含む、前
記方法
(式中、R1は、H、F、ベンジル、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル又は(C2〜C8)ア
ルキニルである)。
【請求項32】
R1が、Hである、請求項1、12、17又は31記載の方法。
【請求項33】
前記式(I)の化合物が、ラセミ混合物、(+)-鏡像異性体又は(-)-鏡像異性体である、請
求項1又は31記載の方法。
【請求項34】
前記反応ステップが、塩基、酸、又はそれらの組合せから選択される触媒の存在下で起
こる、請求項31記載の方法。
【請求項35】
前記触媒が、塩基である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記塩基が、トリアルキルアミン、置換又は非置換イミダゾール、若しくはそれらの混
合物である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記触媒が、前記塩基と前記酸との組合せである、請求項34記載の方法。
【請求項38】
前記塩基がアミンであり、かつ前記酸がカルボン酸である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記アミンがトリエチルアミンであり、かつ前記カルボン酸が酢酸である、請求項38記
載の方法。
【請求項40】
トリエチルアミンの酢酸に対するモル比が、約1:10〜約1:1である、請求項39記載の方
法。
【請求項41】
前記溶媒が、アセトニトリルである、請求項31記載の方法。
【請求項42】
前記反応温度が、約80℃〜約87℃である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記反応時間が、約5時間〜約7時間である、請求項42記載の方法。

【公開番号】特開2013−14599(P2013−14599A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193866(P2012−193866)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2008−519728(P2008−519728)の分割
【原出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(500026935)セルジーン コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】