説明

4−アルキルレゾルシノール誘導体及びこれを含有する皮膚外用剤

【課題】高い美白効果を有し、安全性や安定性にも優れる化合物、ならびにこれを配合した皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で示される4−アルキルレゾルシノール誘導体又はその塩。


(式中、Rは分岐又は環状の炭素数3〜7のアルキル基、あるいは直鎖の炭素数2〜5のアルキル基;R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は−P(O)(OR)(OR)で示される基で、R及びRの一方あるいは両方が−P(O)(OR)(OR)で示される基;R及びRはそれぞれ独立して水素原子あるいは直鎖又は分岐の炭素数2〜5のアルキル基。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレゾルシノール誘導体、特に、美白効果が高く、安全性、安定性にも優れる4−アルキルレゾルシノール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のしみ、そばかすなどの色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線の刺激がきっかけとなって、表皮色素細胞内でのメラニン産生が亢進し、メラニンが表皮に過剰に沈着するため生ずる。
このようなメラニン色素の異常沈着の防止、改善を目的として、美白剤を皮膚外用剤に配合することが行われている。美白剤としては、メラニン生成抑制作用を有する化合物を有効成分とするものが多い。
美白効果を有する化合物に関してはこれまで多くの研究がなされており、例えば、特許文献1〜5には、4−アルキルレゾルシノールが美白効果を有することが記載されている。
しかしながら、その効果や安全性、安定性において未だ満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−49715号公報
【特許文献2】特表2002−540095号公報
【特許文献3】特開平11−152203
【特許文献4】特開2006−124357号公報
【特許文献5】特開2006−124358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記背景技術に鑑みなされたものであり、高い美白効果を有し、安全性や安定性にも優れる化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等が鋭意検討を行った結果、特定の4−アルキルレゾルシノール誘導体が優れたメラニン生成抑制作用を有し、安全性、安定性も高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる4−アルキルレゾルシノール誘導体は、下記一般式(1)で示される4−アルキルレゾルシノール誘導体又はその塩である。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Rは分岐又は環状の炭素数3〜7のアルキル基、あるいは直鎖の炭素数2〜5のアルキル基である。
及びRはそれぞれ独立して水素原子又は−P(O)(OR)(OR)で示される基であるが、R及びRの一方あるいは両方が−P(O)(OR)(OR)で示される基である。
及びRはそれぞれ独立して水素原子あるいは直鎖又は分岐の炭素数2〜5のアルキル基である。)
【0008】
また、本発明は、前記誘導体において、R及びRの両方が−P(O)(OR)(OR)で示される基であることを特徴とする4−アルキルレゾルシノール誘導体又はその塩を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の誘導体において、R及びRの両方が水素原子であることを特徴とする4−アルキルレゾルシノール誘導体又はその塩を提供する。
【0009】
また、本発明にかかる皮膚外用剤は、前記何れかに記載の4−アルキルレゾルシノール誘導体及びその薬理学的に許容される塩から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする。
また、本発明にかかる美白剤は、前記何れかに記載の4−アルキルレゾルシノール誘導体及びその薬理学的に許容される塩から選ばれる1種以上を有効成分とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体は、優れたメラニン生成抑制作用を有し、細胞毒性もないので、これを配合することにより、高い美白効果と安全性を有する皮膚外用剤を得ることができる。また、本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体は光によって変色することがなく、安定性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体は、下記一般式(1)で示される。
【化2】

【0012】
式(1)において、Rは分岐又は環状の炭素数3〜7のアルキル基、あるいは直鎖の炭素数2〜5のアルキル基である。
炭素数3〜7の分岐アルキル基としては、例えば、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1−イソプロピル−2−メチルプロピルなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。分岐アルキル基の分岐位置や分岐数も任意であり、特に制限されない。
【0013】
炭素数3〜7の環状アルキル基としては、少なくとも一つの飽和炭化水素環を含み、総炭素数が3〜7の飽和炭化水素基であればよく、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロペンチル、1,4−ジメチルシクロペンチル、2−シクロペンチルエチル、4−メチルシクロヘキシル、シクロヘキシルメチルなどが挙げられる。
炭素数2〜5の直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルが挙げられる。
【0014】
及びRはそれぞれ独立して水素原子又は−P(O)(OR)(OR)で示される基であるが、R及びRの一方あるいは両方が−P(O)(OR)(OR)で示される基である。
及びRはそれぞれ独立して水素原子、あるいは直鎖又は分岐の炭素数2〜5のアルキル基である。
【0015】
このように、本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体は、4−アルキルレゾルシノールの少なくとも一つのフェノール性水酸基の水素原子が基−P(O)(OR)(OR)で置換されたリン酸エステル体である。
本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体の好適な例の一つとして、R及びRの両方が−P(O)(OR)(OR)で示される基であるものが挙げられる。
また、別の好適な例の一つとして、R及びRの両方が水素原子であるものが挙げられる。
【0016】
本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体は、公知の方法を用いて合成することができ、代表的には4−アルキルレゾルシノールに対してリン酸エステル化反応を行うことにより合成することができる。例えば、4−アルキルレゾルシノールをTHFなどの溶媒中、水素化ナトリウムと反応させた後、リン酸アルキルハロゲン化物と反応させることにより、R及びRの少なくとも一方が基−P(O)(OR)(OR)[R、Rは前記定義の通りであるが、少なくとも一方はアルキル基]である4−アルキルレゾルシノール誘導体を得ることができる(J. Org. Chem. Vol.43, No.25, p.4797-4799(1978)等参照)。
また、リン酸アルキルハロゲン化物の代わりにリン酸ジベンジルハロゲン化物などを用いて4−アルキルレゾルシノールをリン酸エステル化した後、Pd−C存在下で接触還元してベンジル基を除去することにより、R及びRの少なくとも一方が基−P(O)(OR)(OR)[R及びRは水素原子]である4−アルキルレゾルシノール誘導体を得ることができる。
【0017】
その他にも、塩化ホスホリルを用いる方法[Biochimica et Biophysica Acta; vol. 13; (1954); p. 260,267、WO2008/103415]、五酸化二リンを用いる方法[Bulletin of the Chemical
Society of Japan; vol. 80; nb. 7;(2007); p. 1429 − 1434]などを用いて、本発明にかかる4−アルキルレゾルシノール誘導体を得ることができる。
4−アルキルレゾルシノールは、前記特許文献1〜5やその他文献に記載される方法により合成することができる。
【0018】
リン酸アルキルハロゲン化物やリン酸ベンジルハロゲン化物は市販品を用いることができる他、公知の方法により合成したものを用いてもよい。例えば、トルエン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼンなどの非極性溶媒中、トリメチルアミン、トリエチルアミン又はN,N,−ジメチルアニリンなどの塩基存在下、対応するアルコールとオキシ塩化リンとを0〜20℃で反応させることにより合成することができる。
【0019】
また、R及び/又はRが水素原子である場合などには、必要に応じて、常法により塩とすることができる。例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩などが挙げられ、好ましい塩としてはナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。
【0020】
本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体は、優れたメラニン生成抑制効果を有し、その効果は対応する4−アルキルレゾルシノール(R=R=H)よりも高い。また、細胞毒性がなく、安全性にも優れるので、皮膚外用剤中に高配合することも可能である。さらに、本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体は光安定性においても非常に優れている。
従って、本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体は美白剤として有用であり、皮膚外用剤、特にしみ、そばかす、くすみなどの改善や予防を目的とした皮膚外用剤に好適に配合できる。
【0021】
本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体を皮膚外用剤に配合する場合、皮膚外用剤中における配合量は特に制限されないが、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上である。配合量が少なすぎると効果が十分に発揮されない。上限は特に制限されないが、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、さらに好ましく1質量%以下である。過剰に配合しても総量に見合った顕著な効果の向上が得られないことがある。
【0022】
本発明にかかる皮膚外用剤は、4−アルキルレゾルシノール誘導体を配合すること以外は、常法により製造することができる。
また、本発明の皮膚外用剤には、4−アルキルレゾルシノール誘導体に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば油分、湿潤剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、界面活性剤、防腐剤、保湿剤、香料、水、アルコール、増粘剤、粉末、色材、生薬、その他各種薬効成分等を必要に応じて適宜配合することができる。
さらに、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸、ルシノール、エラグ酸、トラネキサム酸、リノール酸等の他の美白剤も適宜配合することができる。
【0023】
本発明の皮膚外用剤は、化粧料、医薬品、医薬部外品の分野において広く適用可能である。その剤型は、皮膚に適用可能であれば特に限定されず、例えば、溶液状、乳化状、固形状、半固形状、粉末状、粉末分散状、水−油二層分離状、水−油−粉末三層分離状、軟膏状、ゲル状、エアゾール状、ムース状、スティック状等、任意の剤型が適用できる。また、その使用形態も任意であり、例えば化粧水、乳液、クリーム、パック、エッセンス、ジェル等のフェーシャル化粧料や、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー等のメーキャップ化粧料などが挙げられる。
以下、具体例を挙げてさらに本発明を説明するが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
試験例1 メラニン生成抑制及び細胞毒性試験
メラニン生成抑制効果ならびに細胞毒性を次の方法で調べた。
(1)細胞播種・試験物質の添加
マウスB16メラノーマ細胞を6ウェルプレートに100,000細胞/ウェルで播種した。翌日、試験物質溶液(溶媒:ジメチルスルホキシド)を添加し、細胞増殖試験及びメラニン生成抑制試験に供した。
【0025】
(2)細胞増殖試験
試験物質溶液添加から3日後に培地を吸引除去した後、10%のアラマブルー溶液を含むEMEM培地を1ml添加して、37℃で反応させた。30分後に100μlを96ウェルプレートに移し、励起波長544nm、測定波長590nmで蛍光を測定した。その値を細胞数の相対値として、試験物質無添加群(溶媒のみ添加)に対する試験物質添加群の細胞数比率(%細胞数)を算出した。%細胞数が高いほど細胞毒性が低いことを意味する
【0026】
(3)メラニン生成抑制試験
試験物質溶液添加から3日後に培地を吸引除去し、バッファー(リン酸緩衝液50mM、pH6.8)を用いて洗浄した後、1M NaOHを添加して細胞を溶解し、475nmの吸光度を測定した。この値をメラニン量の相対値として、試験物質無添加群(溶媒のみ添加)に対する試験物質添加群のメラニン量比率(%)を算出した。メラニン量比率が低いほどメラニン生成抑制効果が高いことを意味する。
【0027】
表1に、本発明化合物である1,3−ビスホスホノオキシ−4−エチルベンゼン(化合物1)、1,3−ビスホスホノオキシ−4−イソプロピルベンゼン(化合物2)及び1,3−ビスホスホノオキシ−4−シクロヘキシルベンゼン(化合物3)の結果を示す。
メラニン量比率からわかるように、本発明化合物は優れたメラニン生成抑制効果を有し、かつ高濃度でも細胞毒性がない。
【0028】
【表1】

【0029】
表2は、4−エチルレゾルシノール(比較化合物1)、4−イソプロピルレゾルシノール(比較化合物2)及び4−シクロヘキシルレゾルシノール(比較化合物3)の結果を示している。
表1と表2とを比較すると、本発明化合物は比較化合物よりも低濃度でほぼ同程度のメラニン生成抑制効果を示すことがわかる。すなわち、本発明化合物は比較化合物よりも高いメラニン生成抑制効果を有すると言える。
【0030】
【表2】

【0031】
試験例2 光安定性試験
被験化合物溶液を透明な密閉ガラス容器内に入れ、日光暴露(50MJ)又はキセノン(Xe)照射(96時間)を行い、外観を肉眼観察した。コントロールとして、容器をアルミホイルで覆って完全に遮光したものを日光暴露した。
【0032】
下記表3に、本発明化合物である1,3−ビス(ジエチルホスホノオキシ)−4−エチルベンゼン(化合物2)と、比較例である4−エチルレゾルシノール(比較化合物1)の結果を示す。被験化合物溶液の濃度は何れも0.1質量%[溶媒:エタノール/水(20/80,v/v)]であった。
表3のように、比較化合物では光照射で着色が認められたのに対し、本発明化合物では外観に全く変化が認められなかった。
このように、本発明にかかる4−アルキルレゾルシノール誘導体は、光安定性に非常に優れるものである。
【0033】
【表3】

【0034】
本発明にかかる4−アルキルレゾルシノール誘導体の代表的な製造例を下記に示す。対応する原料を用いて、これら製造例に準じた反応を行うことにより所望の4−アルキルレゾルシノール誘導体を得ることができる。
【0035】
製造例1 1,3−ビスホスホノオキシ−4−エチルベンゼン(化合物1)
【化3】

【0036】
4−エチルレゾルシノール(423mg)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)に、水素化ナトリウム(60%、流動パラフィンに分散)(269mg)を加え、0℃で30分間撹拌した後、クロロりん酸ジベンジル(10w/v%ベンゼン溶液)(20ml)を滴下した。室温にて3時間撹拌後、水(10ml)を加え、酢酸エチル(30ml)で抽出後、飽和食塩水(10ml)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮した。残渣(2.16g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60g、クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=50:1)に付し、黄色液体の1,3−ビス(ジベンジルホスホノオキシ)−4−エチルベンゼン(1.65g,収率84%)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.13 (3H,
t, J=0.0 Hz), 2.57 (2H, q, J=0.0 Hz), 5.09 (8H, m), 6.96 (1H, d, J=0.0 Hz), 7.08
(1H, d, J=0.0 Hz), 7.18 (1H, s), 7.32 (20H, m).
【0037】
1,3−ビス(ジベンジルホスホノオキシ)−4−エチルベンゼン(1.09g)のエタノール溶液(10ml)に5%パラジウム−炭素(50%含水品)(97.3mg)を加え、水素ガス雰囲気下、室温で7時間撹拌した。触媒を濾去後、濾液を濃縮し、淡黄色固体の標題化合物(463mg,収率93%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6)δ: 1.12 (3H, t, J=0.0 Hz), 2.57 (2H, q,
J=0.0 Hz), 5.5 −6.7 (4H, brs), 6.90 (1H, d, J=0.0 Hz), 7.09 (1H, s), 7.16
(1H, d, J=0.0 Hz).
【0038】
製造例2 1,3−ビスホスホノオキシ−4−イソプロピルベンゼン(化合物2)
【化4】

【0039】
4−イソプロピルレゾルシノール(466mg)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)に、水素化ナトリウム(60%、流動パラフィンに分散)(269mg)を加え、0℃で30分間撹拌した後、クロロりん酸ジベンジル(10w/v%ベンゼン溶液)(20ml)を滴下した。室温にて3時間撹拌後、水(30ml)を加え、酢酸エチル(30ml)で抽出後、飽和食塩水(20ml)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮した。残渣(2.23g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル76g、クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=70:1)に付し、黄色液体の1,3−ビス(ジベンジルホスホノオキシ)−4−イソプロピルベンゼン(1.71g,収率83%)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.13 (6H, d, J=6.8 Hz), 3.19 (1H, septet,
J=6.8 Hz), 5.04 −5.13 (8H, m), 6.99 (1H,
d, J=8.7 Hz), 7.14 (1H, d, J=8.7 Hz), 7.19 (1H, s), 7.30 (20H, m).
【0040】
1,3−ビス(ジベンジルホスホノオキシ)−4−イソプロピルベンゼン(1.01g)のエタノール溶液(10ml)に5%パラジウム−炭素(50%含水品)(109mg)を加え、水素ガス雰囲気下、室温で14時間撹拌した。触媒を濾去後、濾液を濃縮し、黄色ペーストの標題化合物(464mg,収率100%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6)δ: 1.14 (6H, d, J=6.8 Hz), 3.25 (1H, septet,
J=6.8 Hz), 4.5 −6.2 (4H, brs), 6.93 (1H, d, J=8.2 Hz), 7.09 (1H, s), 7.21
(1H, d, J=8.2 Hz).
【0041】
製造例3 1,3−ビスホスホノオキシ−4−シクロヘキシルベンゼン(化合物3)
【化5】

【0042】
4−シクロヘキシルレゾルシノール(926mg)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)に、水素化ナトリウム(60%、流動パラフィンに分散)(404mg)を加え、0℃で30分間撹拌した後、クロロりん酸ジベンジル(10w/v%ベンゼン溶液)(30ml)を滴下した。室温にて3時間撹拌後、水(30ml)を加え、酢酸エチル(30ml)で抽出後、飽和食塩水(20ml)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮した。残渣(4.12g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル90g、クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=100:1)に付し、黄色液体の1,3−ビス(ジベンジルホスホノオキシ)−4−シクロヘキシルベンゼン(2.19g,収率64%)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.12 −1.38 (5H, m), 1.66 −1.82 (5H, m), 2.84 (1H, m), 5.09 (8H, m), 6.98 (1H, d, J=8.7 Hz), 7.13
(1H, d, J=8.7 Hz), 7.18 (1H, s), 7.30 (20H, m).
【0043】
1,3−ビス(ジベンジルホスホノオキシ)−4−シクロヘキシルベンゼン(1.75g)のエタノール溶液(10ml)に5%パラジウム−炭素(50%含水品)(256mg)を加え、水素ガス雰囲気下、室温で14時間撹拌した。触媒を濾去後、濾液を濃縮し、淡黄色フォームの標題化合物(805mg,収率93%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6)δ: 1.13 −1.41 (5H, m), 1.60 −1.85 (5H, m), 2.88 (1H, m), 6.7 −8.2 (4H,
brs), 6.92 (1H, d, J=8.2 Hz), 7.08 (1H, s), 7.18 (1H, d, J=8.2 Hz).
【0044】
製造例4 1,3−ビス(ジエチルホスホノオキシ)−4−エチルベンゼン(化合物4)
【化6】

【0045】
4−エチルレゾルシノール(691mg)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)に、水素化ナトリウム(60%、流動パラフィンに分散)(440mg)を加え、0℃で30分間撹拌した後、クロロりん酸ジエチル(1.73ml)を滴下した。室温にて3時間撹拌後、水(10ml)を加え、酢酸エチル(30ml)で抽出後、飽和食塩水(10ml)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮した。残渣(2.43g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル40g、クロロホルム〜クロロホルム:メタノール=10:1)に付し、淡黄色油状の標題化合物(2.05g,収率100%)を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.20 (3H, t, J=0.0 Hz), 1.36 (12H, m), 2.67
(2H, q, J=0.0 Hz),4.22 (8H, m), 7.02 (1H, d, J=0.0 Hz), 7.16 (1H, d, J=0.0 Hz),
7.22 (1H, s).
【0046】
以下、本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体を配合した皮膚外用剤の処方例を示す。これらは何れも本発明の4−アルキルレゾルシノール誘導体の配合により美白効果を発揮するものである。
【0047】
処方例1 化粧水 質量%
トリメチルグリシン 1.0
化合物1 0.5
グリセリン 1.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
アルギン酸ナトリウム 0.1
エチルアルコール 5.0
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
デシルテトラデシルエーテル 0.2
ヘキサメタリン酸ナトリウム 適量
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
精製水 残余
【0048】
処方例2 化粧水 質量%
化合物2 0.1
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 4.0
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1.0
PEG/PPG−14/7ジメチルエーテル 3.0
エリスリトール 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
ジイソステアリン酸ポリグリセリル 0.3
トリエチルヘキサノイン 0.3
EDTA3ナトリウム 適量
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
精製水 残余
【0049】
処方例3 化粧水 質量%
トラネキサム酸 1.0
4−メトキシサリチル酸カリウム 1.0
リポ酸 0.1
ハマメリス葉エキス 0.1
ヒポタウリン 0.1
クララエキス 0.1
トウニンエキス 0.1
ブナの芽エキス 0.1
化合物3 1.0
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.1
チオタウリン 0.1
緑茶エキス 0.1
西洋ハッカエキス 0.1
イリス根エキス 1.0
トリメチルグリシン 1.0
グリセリン 1.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.05
エチルアルコール 5.0
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
デシルテトラデシルエーテル 0.2
EDTA3ナトリウム 適量
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
精製水 残余
【0050】
処方例5 乳液 質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
酢酸トコフェロール 0.5
化合物3 5.0
L−グルタミン酸ナトリウム 0.05
ウイキョウエキス 0.1
酵母エキス 0.1
ジオウエキス 0.1
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 0.1
グリセリン 6.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 3.0
ヒマワリ油 1.0
スクワラン 2.0
イソドデカン 4.0
ジメチルポリシロキサン 3.0
キサンタンガム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.1
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1
エチルアルコール 5.0
水酸化カリウム 適量
ヘキサメタリン酸ナトリウム 適量
ベンガラ 適量
黄酸化鉄 適量
エチルパラベン 適量
香料 適量
精製水 残余
【0051】
処方例6 日中用乳液 質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
化合物2 0.05
酢酸トコフェロール 0.1
1,3−ブチレングリコール 5.0
スクワラン 0.5
イソドデカン 10.0
イソヘキサデカン 25.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.5
トリメチルシロキシケイ酸 1.0
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 1.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 5.0
ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
シリコーン被覆微粒子酸化チタン 4.0
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
球状ポリエチレン末 3.0
タルク 5.0
EDTA3ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
精製水 残余
【0052】
処方例7 乳液 質量%
L−アルギニン 0.1
ローヤルゼリーエキス 0.1
酵母エキス 0.1
化合物1 10.0
グリチルレチン酸ステアリル 0.05
酢酸トコフェロール 0.1
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 7.0
ポリエチレングリコール1500 2.0
流動パラフィン 7.0
ワセリン 3.0
ベヘニルアルコール 1.0
バチルアルコール 2.0
ホホバ油 1.0
ステアリン酸 0.5
イソステアリン酸 0.5
ベヘニン酸 0.5
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 3.0
2−エチルヘキサン酸セチル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.15
ヘキサメタリン酸ナトリウム 適量
水酸化カリウム 適量
メチルパラベン 適量
香料 適量
精製水 残余
【0053】
処方例8 乳液 質量%
アスコルビン酸グルコシド 1.5
トラネキサム酸 1.0
酢酸トコフェロール 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05
化合物2 0.03
パントテニルエチルエーテル 0.1
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
グリセリン 7.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ポリエチレングリコール20000 0.5
ワセリン 2.0
ホホバ油 3.0
スクワラン 2.0
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル 0.5
ベヘニルアルコール 0.5
バチルアルコール 0.2
ジメチルポリシロキサン 2.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 0.1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 3.0
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.1
ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.1
キサンタンガム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
エタノール 5.0
水酸化カリウム 適量
ピロ亜硫酸ナトリウム 適量
ヘキサメタリン酸ナトリウム 適量
EDTA3ナトリウム 適量
黄酸化鉄 適量
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残余
【0054】
処方例9 クリーム 質量%
化合物3 0.05
4−メトキシサリチル酸カリウム 3.0
プロピレングリコール 5.0
グリセリン 8.0
ステアリン酸 2.0
ステアリルアルコール 7.0
水添ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
ポリオキシエチレンセチルアルコールエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
水酸化カリウム 適量
エチルパラベン 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
【0055】
処方例10 クリーム 質量%
4−メトキシサリチル酸カリウム 1.0
3−O−エチルアスコルビン酸 1.0
化合物1 0.3
コエンザイムQ10 0.03
トラネキサム酸 2.0
酢酸トコフェロール 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05
パントテニルエチルエーテル 0.1
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
グリセリン 7.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ポリエチレングリコール20000 0.5
ワセリン 2.0
ベヘニルアルコール 0.5
バチルアルコール 0.2
スクワラン 2.0
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル 0.5
ホホバ油 3.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 1.0
ジメチルポリシロキサン 2.0
イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 1.5
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
キサンタンガム 0.1
エタノール 5.0
ヘキサメタリン酸ナトリウム 適量
黄酸化鉄 適量
EDTA3ナトリウム 適量
水酸化カリウム 適量
パラオキシ安息香酸エステル 適量
精製水 残余
【0056】
処方例11 二層タイプ日中用乳液 質量%
トラネキサム酸 2.0
4−メトキシサリチル酸カリウム 1.0
化合物4 3.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.02
グルタチオン 1.0
チオタウリン 0.05
クララエキス 1.0
ジプロピレングリコール 5.0
ジメチルポリシロキサン 5.0
イソヘキサデカン 25.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 2.0
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.5
ブチルエチルプロパンジオール 0.5
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
トリメチルシロキシケイ酸 5.0
球状ポリアクリル酸アルキル粉末 5.0
パルミチン酸デキストリン被覆微粒子酸化亜鉛 15.0
EDTA3ナトリウム 適量
メチルパラベン 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
精製水 残余
【0057】
処方例12 ジェル 質量%
4−メトキシサリチル酸カリウム 0.1
オドリコソウエキス 0.1
化合物2 0.01
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
アスコルビン酸グルコシド 2.0
酢酸トコフェロール 0.1
オウゴンエキス 0.1
ユキノシタエキス 0.1
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
ポリエチレングリコール20000 3.0
寒天末 1.5
キサンタンガム 0.3
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.05
オクタン酸セチル 3.0
ジメチルポリシロキサン 5.0
ヘキサメタリン酸ナトリウム 適量
ジブチルヒドロキシトルエン 適量
黄酸化鉄 適量
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
水酸化ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
精製水 残余

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示される4−アルキルレゾルシノール誘導体又はその塩。
【化1】

(式中、Rは分岐又は環状の炭素数3〜7のアルキル基、あるいは直鎖の炭素数2〜5のアルキル基である。
及びRはそれぞれ独立して水素原子又は−P(O)(OR)(OR)で示される基であるが、R及びRの一方あるいは両方が−P(O)(OR)(OR)で示される基である。
及びRはそれぞれ独立して水素原子あるいは直鎖又は分岐の炭素数2〜5のアルキル基である。)
【請求項2】
請求項1記載の誘導体において、R及びRの両方が−P(O)(OR)(OR)で示される基であることを特徴とする4−アルキルレゾルシノール誘導体又はその塩。
【請求項3】
請求項1又は2記載の誘導体において、R及びRの両方が水素原子であることを特徴とする4−アルキルレゾルシノール誘導体又はその塩。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の4−アルキルレゾルシノール誘導体及びその薬理学的に許容される塩から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載の4−アルキルレゾルシノール誘導体及びその薬理学的に許容される塩から選ばれる1種以上を有効成分とすることを特徴とする美白剤。

【公開番号】特開2012−20980(P2012−20980A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161274(P2010−161274)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【特許番号】特許第4825921号(P4825921)
【特許公報発行日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】