説明

4−ケト−D−アラボン酸類及びその塩類の製造方法

【課題】グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類からD−酒石酸製造の出発原料となる4−ケト−D−アラボン酸を高収量かつ高収率で製造する方法であって、工業的な製造に利用可能な実用性の高い方法を提供することにある。
【解決手段】グルコノバクター(Gluconobacter)属、フラテウリア(Frateuria)属、テイタメラ(Tatumella)属からなる群から選択された少なくとも1種の細菌又は該細菌の休止菌体をグルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類を含む溶液で培養又は反応させることを特徴とする、4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法によって解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラボン酸類の製造方法に関し、詳しくは、微生物を用いたグルコ−ス、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類からの4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
D−酒石酸及びその塩類は、光学活性を有する有機化合物であり、医薬品や農薬を製造する際の光学分割剤や不斉化合物の原料として用いられると共に、D−酒石酸誘導体の原料としても工業的に広く利用されている重要な物質である。
【0003】
一方、アラボン酸類の1つである4−ケト−D−アラボン酸は、D−酒石酸の製造原料にも利用することができる有用な物質であることが分かった。
【0004】
ところで、アラボン酸類の製造方法としては、例えば、グルコース以外のヘミアセタール水酸基を有する糖に微生物の菌体を接触させ、基質とした糖に対応するアルドン酸を生成することが示され、その中の一つとして、L−アラビノースからアラボン酸の生成が可能としているが、D−アラボン酸については示されておらず、4−ケト−D−アラボン酸についても記載されていない(特許文献1)。
【0005】
なお、4−ケト−D−アラボン酸の製造方法についての報告は、飴山らによって、アセトバクター メラノゲナム(Acetobacter nelanogenum)を用いたD−グルコースからD−リキスロン酸の生産に関する検討の中で、D−リキスロン酸の生合成中間体の1つとして4−ケト−D−アラボン酸の存在を推定している報告(非特許文献1)とアダチ(Adachi)らによって自然界から分離されたグルコンアセトバクター リキファシエンス(Gluconacetobacter liquefaciens)が4−ケト−D−アラボン酸を生成するとの報告(非特許文献2)があるだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−28917号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】アメヤマ ミノル及びコンドー ケイジ(Minoru AMEYAMA and keiji KONDO)、「ブル、アグリ、ケム、ソック、ジャパン(Bull.Agr.Chem.Soc.Japan)」、(社)日本農芸化学会、1958、22、p.380−386
【非特許文献2】アダチら(Adachi et al.)、「バイオサイ、バイオテクノル、バイオケム(Biosci.Biotechnol,Biochem)」、(社)日本農芸化学会、2010、74(12)、p.2555−2558
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類からD−酒石酸製造の出発原料となる4−ケト−D−アラボン酸を高収量かつ高収率で製造する方法であって、工業的な製造に実施可能な実用性の高い方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ある特定の細菌又は該細菌の休止菌体を用いることによって、グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類から4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類を効率良く、かつ、低コストで製造でき、工業的な生産に利用し得る実用性の高い方法についての最適条件を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類から4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類を製造する方法であって、グルコノバクター(Gluconobacter)属、フラテウリア(Frateuria)属、テイタメラ(Tatumella)属からなる群から選択された少なくとも1種の細菌又は該細菌の休止菌体をグルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類を含む溶液で培養又は反応させることを特徴とする、4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、グルコノバクター(Gluconobacter)属、フラテウリア(Frateuria)属又はテイタメラ(Tatumella)属により、グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類を基質として4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類を非常に効率良く、かつ、低コストで製造することができる。そのため、本発明の製造方法は、工業的な製造に利用することが可能であり、その実用性も極めて高い。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。すなわち、本実施形態において、グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類から4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類を生産する細菌とは、該細菌の生育に適した条件下でグルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類を含む培地で培養することによって、グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類から4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類を生産する能力(以下、4−ケト−D−アラボン酸生産能とも表示する。)を有する細菌を意味し、グルコノバクター(Gluconobacter)属、フラテウリア(Frateuria)属又はテイタメラ(Tatumella)属に属する細菌を例示することができる。
【0013】
また、4−ケト−D−アラボン酸生産能に優れている菌株としては、前記グルコノバクター(Gluconobacter)属細菌では、例えば、グルコノバクター オキシダンス サブエスピー メラノゲヌス(Gluconobacter oxydans subsp. melanogenus) NBRC3292、グルコノバクター オキシダンス サブエスピー メラノゲヌス(Gluconobacter oxydans subsp. melanogenus) NBRC3293等を挙げることができる。
【0014】
前記フラテウリア(Frateuria)属細菌では、例えば、フラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia) NBRC3245、フラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia) NBRC3247、フラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia)NBRC13328、フラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia) NBRC13330等を挙げることができる。
【0015】
前記テイタメラ(Tatumella)属細菌では、例えば、テイタメラ パンクタータ(Tatumella punctata) DSM13700等を挙げることができる。
【0016】
なお、本実施形態における細菌は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NBRC)やDeutsche Sammlung von Mikroorganishmen und Zellkulturen GmbH(DSM)など、各公的菌株保存機関で保管されているグルコノバクター(Gluconobacter)属、フラテウリア(Frateuria)属又はテイタメラ(Tatumella)属に属する菌株を用いることができる。また、4−ケト−D−アラボン酸生産能を有している限り、新たに自然界から分離されるグルコノバクター(Gluconobacter)属、フラテウリア(Frateuria)属又はテイタメラ(Tatumella)属に属する菌株も用いることもできる。
【0017】
本実施形態における該細菌の培養にあたって、グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物含有培地とは、グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類を含有しており、かつ、該細菌が生育可能な培地である限り、特に制限されないが、該細菌が同化可能な炭素源、消化可能な窒素源、無機金属塩類及び生育に必要なビタミン類、あるいは該細菌の生育にとって必須ではないが、細胞の増殖に伴って生成される4−ケト−D−アラボン酸等の弱酸性有機酸による培養液の極度なpH低下を防ぐための炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアンモニア水等のpH中和剤、あるいは増殖に伴って発生する泡を抑えるための消泡剤を含んだ培地を例示することができる。
【0018】
本実施形態における該細菌の培養にあたって、種培養液を得るための前培養培地の炭素源としては、グルコース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、ソルボース、ラクトース、ガラクトース、スクロース、マルトース、グリセリン等を用いることができる。
【0019】
また、4−ケト−D−アラボン酸生産のための生産培地の炭素源としては、グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類を用いる。また、その濃度は、該細菌の糖資化能力、糖耐性及び4−ケト−D−アラボン酸生産性の観点から1%(w/v)〜40%(w/v)の範囲内が好ましく、5%(w/v)〜30%(w/v)の範囲内とすることがより好ましい。
【0020】
さらに、該細菌の十分な細胞の増殖と、4−ケト−D−アラボン酸の収率向上のために、炭素源としてグルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類を含む生産培地に、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、ソルボース、ラクトース、ガラクトース、スクロース、マルトース、グリセリンなどの炭素源をさらに添加することができる。なお、これら糖類の添加濃度は、0.1%(w/v)〜2.0%(w/v)の範囲で生産培地に添加することが4−ケト−D−アラボン酸の収率をより向上させる観点から好ましい。
【0021】
前培養培地及び生産培地の窒素源としては、例えば、ペプトン、大豆粉、コーンスチープパウダー、コーンスチープリカー、肉エキス、酵母エキス、アミノ酸類等の有機窒素源や塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素等の無機窒素源を単独又は複合的に用いることができる。なお、工業的生産の観点からは、安価であるコーンスチープパウダーやコーンスチープリカー等の窒素源を利用することが好ましい。
【0022】
前培養培地及び生産培地の無機金属塩としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、マンガン、コバルト、鉄等の硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩又は燐酸塩を用いることが好ましい。また、必要に応じて少量の動物油、植物油、鉱油等を培養液に用いることが4−ケト−D−アラボン酸の収率をより向上させる観点から好ましい。
【0023】
本実施形態における好適な生産培地としては、グルコース10%(w/v)、コーンスチープパウダー1%(w/v)、酵母エキス0.1%(w/v)、塩化アンモニウム0.1%(w/v)、リン酸二水素カリウム0.1%(w/v)、硫酸マグネシウム・7水和物0.025%(w/v)、硫酸マンガン・5水和物0.0048%(w/v)、炭酸カルシウム3%(w/v)(培地A)及びグルコース10%(w/v)、酵母エキス1%(w/v)、リン酸二水素カリウム0.1%(w/v)、硫酸マグネシウム・7水和物0.025%(w/v)、硫酸マンガン・5水和物0.0048%(w/v)、炭酸カルシウム3%(w/v)(培地B)から成る培地を例示すことができる。
【0024】
なお、培地への炭酸カルシウムの添加は、該細菌の増殖に伴う4−ケト−D−アラボン酸等の弱酸性有機酸の生成によって培養液のpHの顕著な変化を防ぐ目的である。
【0025】
一方、炭酸カルシウム添加の代わりに酸溶液及び/又はアルカリ溶液を培養液中に加えながら該細菌の増殖と4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の生産に適したpHを維持したpH制御培養を行うことでも4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の生産性が向上する。
【0026】
なお、この時のpHの範囲としては、pH3〜9の範囲内が好適であり、pH3〜8の範囲内がより好適であり、pH3〜6の範囲内がさらに好適である。
【0027】
前記酸溶液は、塩酸や硫酸等の酸水溶液を用いることができ、前記アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムやアンモニア水等のアルカリ水溶液を用いることができる。
【0028】
本実施形態における培養温度は、10℃〜40℃の範囲内の温度が好ましく、25℃〜35℃の範囲内がより好ましい。
【0029】
本実施形態における培養時の酸素条件は、通気攪拌培養等の好気的条件が好ましい。
【0030】
なお、本実施形態における好適な培養条件で該細菌の培養を行なうと、1日〜7日間、好ましくは1日〜5日間で培養は終了し、30%〜50%のモル収率で4−ケト−D−アラボン酸を生産することが可能である。
【0031】
本実施形態においては、該培養液中に4−ケト−D−アラボン酸の水溶性塩が生産される。なお、前記4−ケト−D−アラボン酸の水溶性塩としては、4−ケト−D−アラボン酸ナトリウム、4−ケト−D−アラボン酸カリウム、4−ケト−D−アラボン酸カルシウム、4−ケト−D−アラボン酸アンモニウム等が挙げられる。
【0032】
本実施形態における4−ケト−D−アラボン酸の定量は、Herrmannらが報告した高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと示す。)法(Herrmann et.al,Appl.Microbiol.Biotechnol.,64,86−90,2004)を用いることもできるが、その方法を改良した定量法で分析することがより好ましい。なお、その改良した定量法を以下に示す。
【0033】
前記改良した定量法とは、カラムにショウデックス RSpak DE−613カラム(6.0mm内径×150mm長、ショウデックス社製)を用い、移動相溶媒として9mM過塩素酸溶液を1分間あたり0.5mlの流速で流すこととし、波長210nmの紫外線(UV)検出器で検出し、そのピ−クを記録計で記録することで定量計算を行う。なお、該条件下においては、4−ケト−D−アラボン酸が7.71分の保持時間を示す。
【0034】
本実施形態における培養液中の4−ケト−D−アラボン酸の定量は、それぞれのサンプルのピ−ク面積を既知濃度の4−ケト−D−アラボン酸標準液のピ−ク面積と比較することによって、その濃度を算出する。
【0035】
本実施形態において該細菌の「休止菌体」とは、該細菌の増殖を伴わない菌体を意味し、例えば、該細菌を培養して得られた培養菌体、該培養菌体を凍結乾燥やスプレードライによって粉末にした粉末菌体、該培養菌体を担体に固定化した固定化菌体を挙げることができ、これらの群から選択された少なくとも1種の休止菌体を基質であるグルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類に反応させることで、4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類を生成することができる。
【0036】
例えば、本実施形態における培養工程で得られる培養液を遠心分離によって培養上澄液と菌体とに分け、該菌体を生理食塩水で洗浄し、菌体濁度A600nm=40となるように滅菌精製水に懸濁し、これを休止菌体懸濁液として反応に用いることができる。
【0037】
すなわち、あらかじめ、121℃で20分間のオ−トクレ−ブ滅菌したシリコン栓付ガラス試験管(11mm内径×100mm長)に、0.45mlの滅菌精製水、0.1mlのろ過滅菌した緩衝液(1Mクエン酸−リン酸緩衝液;pH3.5、1Mリン酸カリウム緩衝液;pH5.0又は1Mリン酸カリウム緩衝液;pH7.0)、0.25mlの前記休止菌体懸濁液及び0.2mlのろ過滅菌した基質溶液(10%グルコース溶液、グルコン酸ナトリウム溶液(和光純薬工業社製)、2−ケト−D−グルコン酸ヘミカルシウム溶液(シグマ社製)又は2,5−ジケト−D−グルコン酸カルシウム溶液)を入れ、反応を開始する。また、該反応は、28℃で1分間あたり250往復の往復振とうで24時間行うことで4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類を生産させることができる。
【0038】
本実施形態における培養液又は反応液中からの4−ケト−D−アラボン酸又はその塩類を採取する方法は、陰イオン交換樹脂を用いるイオン交換法や電気透析法等の一般的な有機酸の精製方法を用いることができる。
【0039】
例えば、本実施形態における培養液又は反応液を遠心分離やろ過によって得られる遠心上澄液又はろ液と、細胞などの残渣に分離し、この遠心上澄液又はろ液のpHを水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液でpH7.0以上に調整する。また、pH調整後の遠心上澄液又はろ液を活性型の強塩基性陰イオン交換樹脂(例えば、蟻酸型)カラムに通過させ、4−ケト−D−アラボン酸等の有機酸を吸着させる。その後、低濃度の緩衝液でカラムの洗浄を行った後、緩衝液の濃度を高めることによって有機酸を溶出させることができる。なお、溶出時において、一定量ずつ溶出液を分画することで目的の4−ケト−D−アラボン酸塩を高純度で得ることができる。
【0040】
上記で分画したそれぞれの画分をHPLCによって分析し、目的の4−ケト−D−アラボン酸塩を含む画分を集めて、これを強酸性陽イオン交換樹脂(例えば、H型)カラムで処理することで、遊離型の4−ケト−D−アラボン酸を得ることができる。
【0041】
さらに、前記で得た遊離型の4−ケト−D−アラボン酸を含む画分から蟻酸を除去するために、40℃以下の温度条件で減圧濃縮を行い、真空減圧下で数時間、乾燥することが好ましい。また、この操作によって得られたペースト状の4−ケト−D−アラボン酸を少量の純水に溶解し、低温で保持(例えば、5℃で1〜3日間)することで4−ケト−D−アラボン酸の結晶を析出させることができる。
【0042】
一方、遊離型の4−ケト−D−アラボン酸溶液を適当な濃度の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又はアンモニアなどで中和し、低温で保持することで、各種4−ケト−D−アラボン酸塩を析出させることができる。
【0043】
これら析出した結晶は、ガラスフィルターによってそれぞれ集め、これを真空乾燥することで高純度の各種4−ケト−D−アラボン酸塩を得ることができる。
【0044】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
1.NBRC3292菌株による4−ケト−D−アラボン酸生産及びその結晶の単離
(1)種培養液の調製
MA寒天培地(マンニトール2.5%(w/v)、酵母エキス(ディフコ・ラボラトリー社製)0.5%(w/v)、ペプトン(ディフコ・ラボラトリー社製)0.2%(w/v)、寒天1.5%(w/v);pHは無調整)で保存したグルコノバクター オキシダンス サブエスピ− メラノゲヌス(Gluconobacter oxydans subsp. melanogenus) NBRC3292株を、121℃で20分間の条件でオ−トクレ−ブ滅菌した5mlのMA液体培地が入った試験管(18mm内径×200mm長)に1白金耳植菌し、培養温度28℃で1分間あたり250往復の往復振とう培養を19時間行った。
【0046】
(2)4−ケト−D−アラボン酸の生産
前記で得た0.6mlの種培養液を、121℃で20分間の条件でオ−トクレ−ブ滅菌した30mlの生産培地(グルコース10%(w/v)、酵母エキス(ディフコ・ラボラトリー社製)0.1%(w/v)、コーンスチープパウダー1%(w/v)、塩化アンモニウム0.1%(w/v)、リン酸二水素カリウム0.1%(w/v)、硫酸マグネシウム・7水和物0.025%(w/v)、硫酸マンガン・5水和物0.0048%(w/v)、炭酸カルシウム3%(w/v))を入れた3本の300ml容三角フラスコにそれぞれ植菌し、28℃で1分間あたり200回転の回転振とう培養を行った。
【0047】
なお、培養開始直後から継時的に培養液1mlを無菌的に採取し、1分間当たり10,000回転で10分間の遠心分離を行い、この培養上澄液をHPLCで分析し、7.7分の保持時間を示すピークの増加を追跡した。
【0048】
また、培養5日間後に培養を終了させ、3本のフラスコの培養液を1分間当たり6,000回転で10分間の遠心分離を行い、85mlの培養上澄液を得た。
【0049】
(3)4−ケト−D−アラボン酸の精製
前記培養上澄液を5M水酸化ナトリウムでpH7.0に調整後、500mlのアンバ−ライトCG400陰イオン交換樹脂(蟻酸型、ローム・アンド・ハース社製)のカラムに通過させた。さらに、そのカラムに600mlの20mM蟻酸ナトリウム緩衝液を通過させ、カラムを洗浄した後、各500mlの20mM蟻酸ナトリウム緩衝液と500mM蟻酸ナトリウム緩衝液を用いた直線的な濃度勾配によって吸着物質を溶出させ、溶出した溶液を試験管に10mlずつ分画した。
【0050】
分画した画分は、それぞれHPLCで分析を行い、7.7分の保持時間に示すピークをもつ分画番号57〜71の画分の溶出液を集めた。
【0051】
また、前記回収した溶出液を200mlのアンバーライトCG120陽イオン交換樹脂(H型、ローム・アンド・ハース社製)のカラムに通過させた後、さらに200mlの脱イオン水でカラムの洗浄を行い、カラムを通過した非吸着画分及び洗液を回収した。
【0052】
さらに、この回収した溶液を35℃で減圧濃縮し、蟻酸を除去した後、このペースト状濃縮物を少量の水に溶解し、5N水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0に調整した。また、再度、少量まで減圧濃縮後、この濃縮液にエタノールを白濁するまで加え、5℃で保持することで結晶を得た。
【0053】
また、得られた結晶をグラスフィルターで集め、室温で2時間真空乾燥を行うことで、2.42gの結晶を回収できた。
【0054】
(4)4−ケト−D−アラボン酸の同定
前記で得た結晶2mgを1mlの水に溶解し、この溶液を用いて該結晶の同定をLC−MS分析によって行った。すなわち、ディスカバリーHS−F5(4.6mm内径×250mm長)カラム(スペルコ社製)を接続し、フォトダイオードアレー検出器を装着したLCMS−2010A液体クロマトグラフ質量分析計(島津製作所社製)を用いて検討を行った。なおこの時、溶媒移動相は、0.1%(w/v)蟻酸含有の2%(w/w)アセトニトリル水溶液溶を用い、190〜300nmで検出される液体クロマトグラムと検出されたピークの紫外線吸収スペクトル及び陰イオンマススペクトル、マスクロマトグラムの解析を行った。さらに、該結晶について、重水素中でH−及び13C−核磁気共鳴スペクトルの測定及び溶解性についての検討も行った。その結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
これら検討の結果、すなわち、分子量、分子式、H−及び13C−核磁気共鳴スペクトルの分子中の水素原子及び炭素原子の化学シフト値から、本実施形態において採取した結晶は、4−ケト−D−アラボン酸と同定された。なお、以後の実施例における4−ケト−D−アラボン酸標準物質は、該結晶を用いた。
【0057】
2.各種細菌による4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の生産
(1)供試菌株
4−ケト−D−アラボン酸生産能を有する細菌として、以下の7菌株を用いた。すなわち、グルコノバクター オキシダンス サブエスピー メラノゲヌス(Gluconobacter oxydans subsp. melanogenus) NBRC3292株、グルコノバクター オキシダンス サブエスピー メラノゲヌス(Gluconobacter oxydans subsp. melanogenus) NBRC3293株、フラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia) NBRC3245株、フラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia) NBRC3247株、フラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia) NBRC13328株、フラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia) NBRC13330及びテイタメラ パンクタータ(Tatumella punctata) DSM13700株を使用した。
【0058】
(2)種培養液の調製
上述のMA寒天培地に保存されている前記7菌株を、121℃で20分間のオートクレーブ滅菌した5mlのMA液体培地入り試験管(18mm内径×200mm長)にそれぞれ1白金耳植菌し、28℃で1分間あたり250往復の往復振とう培養を19時間行った。
【0059】
(3)4−ケト−D−アラボン酸生産
前記で得た0.4mlのそれぞれの種培養液を、121℃で20分間のオートクレーブ滅菌した20mlのA培地(グルコース10%(w/v)、コーンスチープパウダー1%(w/v)、酵母エキス(ディフコ・ラボラトリー社製)0.1%(w/v)、塩化アンモニウム0.1%(w/v)、リン酸二水素カリウム0.1%(w/v)、硫酸マグネシウム・7水和物0.025%(w/v)、硫酸マンガン・5水和物0.0048%(w/v)、炭酸カルシウム3%(w/v))又は20mlのB培地(グルコース10%(w/v)、酵母エキス(ディフコ・ラボラトリー社製)1%(w/v)、リン酸二水素カリウム0.1%(w/v)、硫酸マグネシウム・7水和物0.025%(w/v)、硫酸マンガン・5水和物0.0048%(w/v)、炭酸カルシウム3%(w/v))を入れた200ml容三角フラスコにそれぞれ植菌し、30℃で1分間あたり220回転の回転振とう培養を行った。
【0060】
また、培養5日間後、該培養液1mlを1分間当たり10,000回転で10分間の遠心分離を行い、培養上澄液中の4−ケト−D−アラボン酸含量を前記同様HPLCで定量した。なおこの時、1g/L濃度の4−ケト−D−アラボン酸標準液を基準にして定量を行った。また、その結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
表2で示したように、試験した7菌株は、A培地及び/又はB培地で4−ケト−D−アラボン酸の生産が認められた。なお、B培地を用いた場合におけるフラウテリア アウランティア NBRC3247及びNBRC13330菌株の場合には、4−ケト−D−アラボン酸の生産が認められなかった。
【0063】
上記7菌株の中で、特に4−ケト−D−アラボン酸の生産が顕著に認められた菌株は、グルコノバクター オキシダンス サブエスピー メラノゲヌス(Gluconobacter oxydans subsp. melanogenus) NBRC3292株、グルコノバクター オキシダンス サブエスピー メラノゲヌス(Gluconobacter oxydans subsp. melanogenus) NBRC3293株及びフラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia) NBRC3245株の3菌株であった。
【0064】
3.NBRC3245菌株による4−ケト−D−アラボン酸生産及びその結晶の単離
(1)種培養液の調製
上述のMA寒天培地で保存したフラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia) NBRC3245株を121℃で20分間のオ−トクレ−ブ滅菌した5mlのMA培地入りの試験管(18mm内径×200mm長)に1白金耳植菌し、28℃で1分間あたり250往復の往復振とう培養を19時間行った。
【0065】
(2)4−ケト−D−アラボン酸生産
前記で得た0.4mlの種培養液を121℃で20分間のオ−トクレ−ブ滅菌した20mlの生産培地(グルコース10%(w/v)、酵母エキス(ディフコ・ラボラトリー社製)1%(w/v)、リン酸二水素カリウム0.1%(w/v)、硫酸マグネシウム・7水和物0.025%(w/v)、硫酸マンガン・5水和物0.0048%(w/v)、炭酸カルシウム3%(w/v))を入れた3本の200ml容三角フラスコにそれぞれ植菌し、30℃で1分間あたり220回転の回転振とう培養を行った。
【0066】
また、培養5日間後、各培養液1mlを1分間当たり10,000回転で10分間の遠心分離を行い、これら培養上澄液中の4−ケト−D−アラボン酸含量を前記同様HPLCで定量を行った。なおこの時、1g/L濃度の4−ケト−D−アラボン酸標準液を基準にして定量を行った。
【0067】
その結果、3本のフラスコで培養して得た各培養上澄液中には、4−ケト−D−アラボン酸が平均22.1g/L(モル収率:24.3%)含有していた。
【0068】
(3)4−ケト−D−アラボン酸の精製
前記培養液を1分間当たり6,000回転で10分間の遠心分離を行い、58mlの培養上澄液を得た。この培養上澄液58mlを5M水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した後、500mlのアンバーライトCG400陰イオン交換樹脂(蟻酸型、ローム・アンド・ハース社製)のカラムに通過させた。さらに、そのカラムを500mlの20mM蟻酸ナトリウム緩衝液で洗浄後、各500mlの20mM蟻酸ナトリウム緩衝液と500mM蟻酸ナトリウム緩衝液を用いて直線的な濃度勾配によって吸着物質を溶出させ、試験管に10mlずつ分画した。
【0069】
分画した画分は、それぞれHPLCで分析を行い、4−ケト−D−アラボン酸標準液と同一の保持時間を示すピークをもつ分画番号55〜68の画分の溶出液を集めた。
【0070】
また、前記回収した画分を200mlのアンバーライトCG120陽イオン交換樹脂(H型、ローム・アンド・ハース社製)のカラムに通過させた後、さらに200mLの脱イオン水でカラムの洗浄を行い、カラムを通過した非吸着画分及び洗液を回収した。
【0071】
さらに、回収した画分を35℃で減圧濃縮し、蟻酸を除去した後、ペースト状物質を少量の水に溶解し、5N水酸化カリウム溶液でpH7.0に調整した。また、再度、少量まで減圧濃縮し、この濃縮液にエタノールを白濁するまで加え、5℃で保持することで4−ケト−D−アラボン酸カリウム塩の結晶を得た。
【0072】
また、得られた結晶をグラスフィルタ−で集め、室温で2時間真空乾燥を行い、0.77gの結晶を得た。
【0073】
該結晶1mgを1mlの水に溶解し、前記同様HPLCで分析を行ったところ、該結晶は、実施例1で得た精製標品4−ケト−D−アラボン酸の保持時間と一致した。
【0074】
4.休止菌体による4-ケトアラボン酸の生産
(1)供試菌株
グルコノバクター オキシダンス サブエスピー メラノゲヌス(Gluconobacter oxydans subsp. melanogenus)NBRC3292株及びフラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia)NBRC3245株の2菌株を使用した。
【0075】
(2)種培養液の調製
上述のMA寒天培地に保存した前記2菌株を121℃で20分間のオートクレーブ滅菌した5mlのMA液体培地入り試験管(18mm内径×200mm長)にそれぞれ1白金耳植菌し、28℃で1分間あたり250往復の往復振とう培養を19時間行った。
【0076】
(3)休止菌体の調製
前記で得た1.0mlの種培養液を121℃で20分間のオ−トクレ−ブ滅菌した50mlのB培地(グルコース10%(w/v)、酵母エキス(ディフコ・ラボラトリー社製)1%(w/v)、リン酸二水素カリウム0.1%(w/v)、硫酸マグネシウム・7水和物0.025%(w/v)、硫酸マンガン・5水和物0.0048%(w/v)、炭酸カルシウム3%(w/v))を入れた500ml容三角フラスコにそれぞれ植菌し、30℃で1分間あたり220回転の回転振とう培養を行った。
【0077】
また、培養3日間後、それぞれ菌株の培養液50mlを121℃で20分間のオ−トクレ−ブ滅菌した250ml容遠心管に入れ、培養液に含まれる炭酸カルシウムを取り除くために10℃、900回転で1分間の低速遠心分離を行い、細胞を含む遠心上澄液を得た。
【0078】
前記細胞を含む遠心上澄液を121℃で20分間のオ−トクレ−ブ滅菌した250ml容遠心管に入れ、再度、10℃、9,000回転で10分間の高速遠心分離を行った後、この遠心上澄液を捨て、遠心管に沈降した菌体ペレットに50mlの滅菌した0.85%(w/v)食塩水を加えて、菌体懸濁液を調製した。
【0079】
前記細胞懸濁液を10℃、9,000回転で10分間の高速遠心分離を行い、前記同様の操作によって該菌体を0.85%(w/v)食塩水で2回洗浄したものを洗浄菌体とした。
【0080】
該洗浄菌体を菌体濁度A600nm=40となるように121℃で20分間のオ−トクレ−ブ滅菌した精製水に懸濁し、この菌体懸濁液を休止菌体懸濁液として以下の反応に用いた。
【0081】
(3)休止菌体による4-ケト−D−アラボン酸の生産
あらかじめ、121℃で20分間のオ−トクレ−ブ滅菌したシリコン栓付ガラス試験管(11mm内径×100mm長)に、0.45mlの滅菌精製水、0.1mlのろ過滅菌した緩衝液(1Mクエン酸−リン酸緩衝液;pH3.5、1Mリン酸カリウム緩衝液;pH5.0又は1Mリン酸カリウム緩衝液;pH7.0)、0.25mlの前記休止菌体懸濁液及び0.2mlのろ過滅菌した基質溶液(10%グルコース溶液、グルコン酸ナトリウム溶液(和光純薬工業社製)、2−ケト−D−グルコン酸ヘミカルシウム溶液(シグマ社製)又は2,5−ジケト−D−グルコン酸カルシウム溶液)を加え、反応を開始した。なお、該反応は、28℃で1分間あたり250往復の往復振とうで行った。
【0082】
反応24時間後、該反応液を1分間当たり10,000回転で10分間の遠心分離を行い、該反応上澄液中の4−ケト−D−アラボン酸量を前記同様HPLCで定量した。なおこの時、1g/L濃度の4−ケト−D−アラボン酸標準液を基準にして定量を行った。また、その結果を表3に示す。
【0083】
【表3】

【0084】
表3で示したように、試験したNBRC3292菌株及びNBRC3245菌株の休止菌体は、pH3.5、pH5.0又はpH7.0の緩衝液中のグルコース、グルコン酸、2−ケト−D−グルコン酸又は2,5−ジケト−D−グルコン酸を基質とした全てにおいて4−ケト−D−アラボン酸を生成し、その生成量は、NBRC3245菌株及びNBRC3292菌株とも高い値を示した。また、両菌株とも基質がグルコース、グルコン酸、2−ケト−D−グルコン酸、2,5−ジケト−D−グルコン酸の順で4−ケト−D−アラボン酸の生成量が増加した。
【0085】
本発明によれば、グルコノバクター(Gluconobacter)属、フラテウリア(Frateuria)属又はテイタメラ(Tatumella)属により、グルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類を基質として4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類を非常に効率良く、かつ、低コストで製造することができる。そのため、D−酒石酸製造の原料となる本発明の4−ケト−D−アラボン酸の製造方法は、特に有用となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコノバクター(Gluconobacter)属、フラテウリア(Frateuria)属、テイタメラ(Tatumella)属からなる群から選択された少なくとも1種の細菌又は該細菌の休止菌体をグルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類を含む溶液で培養又は反応させることを特徴とする、
4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法。
【請求項2】
前記グルコノバクター(Gluconobacter)属細菌がグルコノバクター オキシダンス サブエスピー メラノゲヌス(Gluconobacter oxydans subsp. melanogenus)である、
請求項1に記載の4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法。
【請求項3】
前記フラテウリア(Frateuria)属細菌がフラテウリア アウランティア(Frateuria aurantia)である、
請求項1に記載の4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法。
【請求項4】
前記テイタメラ(Tatumella)属細菌がテイタメラ パンクタータ(Tatumella punctata)である、
請求項1に記載の4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法。
【請求項5】
前記細菌をpH3〜9、培養温度10〜40℃で1〜7日間培養させる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法。
【請求項6】
前記培養におけるグルコース、グルコン酸、2−ケトグルコン酸、2,5−ジケトグルコン酸又はそれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の糖類の濃度が、1〜40%(w/v)である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法。
【請求項7】
前記細菌の休止菌体が、培養菌体、粉末菌体、固定化菌体からなる群から選択された少なくとも1種である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法。
【請求項8】
前記休止菌体をpH3〜9、反応温度10〜40℃で24〜72時間反応させる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法。
【請求項9】
さらに、前記4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類を精製する工程を有することを特徴とする、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の4−ケト−D−アラボン酸及びその塩類の製造方法。

【公開番号】特開2012−147728(P2012−147728A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9319(P2011−9319)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(593171592)学校法人玉川学園 (38)
【Fターム(参考)】