説明

4−フェニル酪酸(4PBA)およびその医薬上許容し得る塩についての新規用途

タウオパチーを伴う認知症における認知障害を処置するために使用される医薬製造における4−フェニル酪酸(4PBA)ナトリムの使用に関する。4PBAによる処置は、特徴的なADマーカー、例えばリン酸化されたTauを低下させ、またいくつかのシナプス可塑性マーカータンパク質、例えばGluR1およびPSD95の合成を増加させ、古典的なネズミアルツハイマー病(AD)モデル(Tg2576)の認知障害を改善する。GRP78タンパク質のレベル増加により明示される小胞体内のストレス低下は、治療効果を仲介するメカニズムをなす。さらに、ヒストンの脱アセチル化のその阻害剤としてのその効果およびクロマチン再構成におけるその関与により、シナプス可塑性が改善されて、タンパク質合成過程が促進される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の技術分野)
本発明は、タウオパチー(tauopathy)と共に進行する認知症、特にアルツハイマー病における認知障害の処置のための医学−医薬領域に応用される生物工学分野に属する。
【0002】
より具体的には、本発明は、4PBAの使用に基づいた上記症状のための新規処置を提供する。
【背景技術】
【0003】
(本発明の先行技術)
アルツハイマー病(AD)は、最も一般的な神経変性疾患であり、認知症の第一の病因である(Cummings and Cole, 2002)。アルツハイマー病(AD)の病理的特徴は、凝集したタンパク質沈着物:神経原線維のもつれ(tangele)内にある細胞内のリン酸化されたタウタンパク質凝集物および老人斑にあるβ-アミロイド(Aβ)の細胞外凝集物に関連がある。従って、アルツハイマー病は、異常なタンパク質の折り畳みに関連する疾患の非常に代表的な例である(Selkoe, 2004)。
【0004】
小胞体(ER)は、体内でのタンパク質の合成、折り畳みおよび循環を制御するので、タンパク質に関連した過程の品質制御過程に特に重要な役割を担う部位である。連続的なタンパク質産生は、厳格な品質制御過程を維持することが必要とされ、これはER内でおこる。ERは、常に適切な精度で機能する訳ではなく、不適切に折り畳まれたタンパク質が内部で蓄積することもある。この状況が生じ得るのは、ある種のタンパク質、例えば、アルツハイマー病発症に関与するタンパク質などは折り畳むことが難しいこと、またERがタンパク質を折り畳むことが可能な速度よりも早い速度でタンパク質が合成されることが理由である。これはERにとって「ストレス」状況をうみだす。この状況に到達した場合、センサーが活性化されて、該タンパク質の大部分の合成を停止するように、また折り畳み速度を制御するように一連のシグナル伝達経路の送達を開始する。このようにして、全てのタンパク質が正しく折り畳まれて、最終的に完全にストレス過多の状況から回復させることができる。
【0005】
ERストレスとは、アルツハイマー病においてニューロン死を開始および媒介する重要な事象である。細胞ストレスのいくつかの型は、ERの内腔中で異常に折り畳まれたタンパク質の蓄積をもたらし得る、即ちこのストレス状況が、かかる蓄積(または、いわゆる「折り畳まれていないタンパク質応答」またUPR)の毒性作用を阻止するためにタンパク質の品質制御メカニズムの活性化を開始させる。活性なUPR制御メカニズムは、タンパク質合成における折り畳み過程を促進するために、タンパク質合成の全般的な低下、より多くのタンパク質分解、およびER内に存在する分子シャペロン、例えばタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)と共に、グルコース制御性タンパク質(GRP)GRP78/BipおよびGRP94をコードする遺伝子の転写を増加させる(Kozutsumi et al., 1998)。そのように、Katayamaら(1999)は、コントロール群から得る同じ年齢の個体の脳に含まれている量と比較した場合、アルツハイマー病に罹っている患者の脳内のERに存在する分子シャペロン、例えばGRP78およびGRP94がより少ないこと、即ちストレスの下にあると小胞体が脆弱となり得る状況を実証した。これらの研究者らは、GRP78の発現は、ERストレスを引き起こすニューロン死に対する保護として作用することを示唆した。結果として、GRP78発現を増加することにより、開発中の治療的ストラテジーをアルツハイマー病(AD)に有効となり得る可能性がある。
【0006】
このUPRメカニズムがニューロン細胞の経験したERストレスを解決できなければ、ニューロンのアポトーシスを引き起こして、疾患が進行することは、大いに起こり得ることである。これは、折り畳まれなかったタンパク質の蓄積および凝集を全て特徴とする最も一般的かつ破壊的な神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病を含む)についての状況であろう。即ち、UPRメカニズムがこれらの異常な状況で活性化されるという証拠を見出したことは驚くことではない。しかしこの場合、このメカニズムの活性化は、開始応答は保護的であるが、最終応答が破壊的であるので、有益というよりもむしろ害をもたらして終結する。
【0007】
脳内のタンパク質の蓄積を支持するいくつかの状況がある。加齢は、ADを発症する最大のリスクファクターである。細胞ストレス状況より先にシャペロン分子の発現を誘導する能力は、年齢と共に減退する。また、高齢の動物では、UPRメカニズムは正しく活性化されないことも示されてきた。このように、年齢は、ストレスに対するERの感受性およびタンパク質蓄積の毒性効果を増加させる。小胞体ストレスは、低酸素および/または低血糖症の症状により誘導され得えて、この双方は正常な加齢過程中での一般的な状況である。また、プロテオソーム活性が年齢と共に低下すれば、身体は異常なタンパク質凝集物の形成に対する感受性がより高くなる。
【0008】
年齢と共に、異常なタンパク質蓄積に関連する神経変性疾患は発症の可能性が高くなるという状況が脳内で引き起こされ得る。
【0009】
ERタンパク質システムの妨害は、アルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病に加えてある種のヒト疾患に包含されるファクターである(Katayama et al., 2001; Nishitoh et al., 2002; Ryu et al., 2002)。「化学シャペロン」とよばれる一連の化合物、例えば、グリセロール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、および4-フェニル酪酸ナトリウムまたは4PBAがあり、これらはタンパク質折り畳み中の異常な過程および局在性の改善を示し(Sato et al., 1996; Chaudhuri および Paul, 2006; Kubota et al., 2006)、その投与によりパーキンソン病マウスモデルにおいてニューロン死が阻害された(Masatoshi I, et al., 2007)。
【0010】
4PBAとは、尿素サイクル異常症に罹る子供のアンモニア封鎖剤として臨床診察において使用するために(Maestri et al., 1996)、ならびに胎児のヘモグロビン転写を活性化するというその能力から鎌状細胞貧血およびサラセミアの処置において使用するために承認されている低分子量の脂肪酸である(Dover et al., 1994; Collins et al., 1995)。また、脊髄性筋萎縮症を有する患者におけるその有価な効果が実証された(Mercuri E., et al., 2004; Mercuri E., et al., 2007)。4PBAが異常なタンパク質局在性および/またはヒトの疾患に関連するタンパク質凝集を逆転させる化学シャペロンとして作用することができることが判った(Rubenstein および Zeitlin, 2000; Kubota et al., 2006)。また、4PBAは、神経炎症性応答と関連する特定疾患、例えば多発性硬化症および虚血において保護的役割を担い得る(Dasgupta et al., 2003; Qi et al., 2004)。医学文献は、また、ポリグルタミン毒性に対するその有益な効果を言及している(Steffan et al., 2001)。
【0011】
炎症成分を有するADおよび他の疾患を処置するための潜在的有益性、特許WO99/026657は、誘導型の硝酸合成酵素(iNOS)を阻害する化合物の使用を守る。PBAへの言及は、iNOS阻害化合物(ロバスタチン、ホルスコリン、メバスタチンなど)の一覧を挙げてわずかに述べられてはいるが、その記載部分はAD対照モデルにおいてPBAの有益な効果を示すことを目的とした実験を全く含んでいない。
【0012】
また、過負荷またはストレスを受けた小胞体の状況に共通するシグナル伝達効果において、異常なタウのリン酸化が決定的役割を担っており、これは多くの変性疾患と共通するものである(Hernandez および Avila, 2007)。リン酸化されたタウは遊離形態であり、微小管に対して低下した親和性を示し、そのためそのアセンブリを促進する能力が小さい。このタウの異常リン酸化に関与する物質は、過剰活性化したグリコーゲンシンターゼキナーゼ3α/β(GSK)である(Kim et al., 2007)。リン酸-タウ凝集物は、ADおよび他のタウオパチー類を同定する特徴の一つである。ER過負荷に対する適所での細胞保護のためのこのストラテジーにより、GSK3活性を直接阻害することができ、そのためタウのリン酸化およびその毒性を低下させることができる。タウのリン酸化は、該機能の制御欠陥が、アルツハイマー病などの疾患の進行の際に記憶低下をもたらすという点で、神経機構の統合成分であるという可能性がある(Arendt et al., 2003; Ikeda et al., 2007)。
【0013】
学習過程の挙動に関連がある別の反応はヒストンアセチル化である。ヒストンアセチル化は、クロマチン修飾により遺伝子転写を制御するメカニズムを媒介しており、そのため近年になってヒストンアセチル化は、シナプス可塑性に関与している。4PBAを投与することにより、筋萎縮性側索硬化症を発症するマウスモデルにおいてヒストンアセチル化を増加させることが検証されてきた(Petri S, et al., 2006)。結果として、ヒストン脱アセチラーゼを阻害することにより4PBAが、ニューロン可塑性の遺伝子の活性化をもたらし得る転写修飾を誘導する可能性があると考えられた。Andreassiら(2004)は、4PBA投与を、遺伝子の完全な発現における増加と直接関連し、その損失が脊髄性筋萎縮症に関与し得ると関連づけた。
【0014】
そこで、H4ヒストンアセチル化の増加により、比較的特異的な転写プログラムを制御できると推定し得る。シナプス後膜(post-synaptic membrane)を通過するAMPAレセプターのトラフィッキングは、迅速な伝達およびシナプス可塑性の表れである。
【0015】
遺伝子の転写には、ヒストン過剰アセチル化を行う転写ファクターの活性化を必要とするが、さらには遺伝子発現を行うクロマチンの組織化における動力学的変化の誘導も必要とする。ヒストンの過剰アセチル化は、それらの結合からクロマチンを放出し、その後遺伝子の転写過程およびタンパク質合成に影響する(Lea and Randolph, 1998)。RNA合成および「デ・ノボ」タンパク質合成は、様々な脊椎動物種および無脊椎動物種の長期間の記憶の生成過程において必要であり、それらはおそらく新規のシナプス連結の形成を媒介することが示されている(Tully et al., 2003)。長期間の記憶形成は、遺伝子発現では長時間持続する効果を必要とし、ヒストン修飾およびDNAメチル化がこの過程でおそらく加担するという証拠も存在すると考えられている(Bailey et al., 2004; Levenson and Sweatt, 2005)。Fischerらの研究(2007)から、ヒストン脱アセチラーゼ阻害剤(HDAC)を注入するか、またはこの環境を富化することにより、ヒストンアセチル化の増加が示された;それは、神経変性疾患がマウスにおいて誘起された実験モデルにおいて記憶機能を促進した。学習過程および記憶強化の改善は、増加された転写、より直接的にはシナプス可塑性マーカーおよび樹状マーカーの増加された制御と相関しており、このことは記憶機能を改善し得る新規メカニズムを示唆するものである。
【0016】
ヒストンアセチル化過程は、記憶強化および長期間のシナプス増強(LTP)に必要である遺伝子の転写を制御する(Bailey et al., 2004; Levenson and Sweatt, 2005; Fischer et al., 2007)。ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)およびヒストン脱アセチラーゼ(HDAC)の異常活性はまた、神経変性、例えば、卒中、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、フリートライヒ(運動)失調症およびアルツハイマー病の一因となる神経学的疾患に共通するメカニズムでもあり得る(2005にLangleyらにより出版された改訂版に従う)。いくつかの試験は、遺伝子転写が疾患の進行と関連する脳のある領域では無秩序であることを示しており、何らかの変性疾患においてRNA転写中断メカニズムが存在するという考えを支持している(Anderson et al., 2007)。
【0017】
AMPAレセプター内のGluR1サブユニットおよびPSD95は、シナプスの形成および機能において重要なシナプス後部(postsynaptic)マーカーである。アルツハイマー病に罹患している患者の脳およびTg2576トランスジェニックマウスの脳内で見出されたPSD95およびGluR1のシナプス後部の欠損は、シナプス機能不全および認知機能の欠損の一因である可能性がある(Almeida et al., 2005)。この考えに基づいて、研究者は、4PBAで処理したTg2576トランスジェニックマウスの海馬におけるAMPAレセプターのGluR1サブユニットおよびPSD95に対する発現低下のマーカーが、認知機能の改善を示すことを観察した。いくつかの研究はすでに、様々な実験モデルにおいて神経毒性を防止する4PBA改変遺伝子の領域をプロファイルしている(Chang and Min, 2002; Kang et al., 2002; Ryu et al., 2005)。
【0018】
多くの変性疾患、例えばアルツハイマー病の生理病理学およびまた神経保護は、多くのメカニズムを含む。特にアルツハイマー病の場合、これらの病理メカニズムには、主に斑発生によるAβ凝集および沈着、タングル(tangle)形成を伴うタウの過剰なリン酸化、神経血管の機能不全、および他のメカニズム(例えば、細胞サイクル異常、炎症過程、酸化ストレス、およびミトコンドリア機能不全)が挙げられる。アルツハイマー病の原因についての主流の説は、アミロイドカスケード説である。
【0019】
今後50年で、ADに罹患した患者数は3倍となり、2050には1320万人に達すると算出される。この増加は高齢者数が連続的に増加することが理由である。4年毎に平均余命は、1歳ずつ増えており、アルツハイマー病患者についても同じである。この疾患に罹患した人はより長生きすることを意味する(現在、これらの患者についての平均余命は、診断の後10〜12年の間である)。予防処置という観点からのワクチン探索は、中枢神経系に対する副作用を理由として終了された。
【0020】
これらの考察から、アルツハイマー病は今後50年間の社会衛生計画に対する大きな課題であることを示す。
【0021】
アルツハイマー病についての有効な処置が依然として存在しないため、本発明は、マウスモデルにおけるアルツハイマー病の典型である学習過程および記憶機能の低下を元に戻す4PBAの能力を、その複数のメカニズムにより記述している。
【0022】
Kimら(2004)は、アミロイド前駆体タンパク質C末端フラグメント(APP−CT)の発現がヒストン3およびヒストン4のアセチル化の増加を誘導すること、ならびにAPP−CTにより誘導された細胞毒性がNGF分化したPC12の細胞およびラット一次皮質ニューロンにおける酪酸ナトリウムによる処置により顕著に増加されることを示した。これらをもとに、この結果から、APP−CTが転写依存性メカニズムにより神経毒性を発揮すること、およびこれがADの病原論に関与し得ることが示唆される。
【0023】
Fischerら(2007)は、4PBAではなく酪酸ナトリウムが、神経変性のマウスモデル、即ちビ−トランスジェニックCK−p25Tgマウスにおけるヒストンアセチル化状態ならびに学習および記憶を回復することを示しており、ここでp25の発現、即ち多様な神経変性疾患に関与するタンパク質は、CamKIIプロモーターの制御下にあり、ドキシサイクリン食餌によりスイッチのオンまたはオフが切り替えられ得ることを示している。しかし、Fischerら(2007)が使用した動物モデルは、ヒトアミロイド-βタンパク質をとりまく病原メカニズムまたは異常なタウのリン酸化を回復させないため、アルツハイマー病のための代表的なモデルではない。特に、タンパク質p25の異常発現、サイクリン依存性キナーゼ-5(CDK5)の調節サブユニットであるp35の切断型を単に含むというだけである。
【0024】
これに対して、本願発明者は、アルツハイマー病に関連するヒト アミロイド-β前駆体タンパク質(APP)変異体を発現するアルツハイマー病に対して樹立かつ認定されたトランスジェニックマウスモデル、即ちTg2576マウスを用いることにより、驚くべきことに4フェニル酪酸ナトリウムが、アルツハイマー病の処置に有効であるということを見出した。本願発明者は、臨床兆候、例えば、記憶獲得および保持が改善されることを示し、また重要な事にはタウの過剰なリン酸化レベルが4PBAの投与の後に減退することも実証した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
(本発明の説明)
本発明は、アルツハイマー病型の健忘症において4PBAの非常に有効な役割を実証する。本願は、16ヶ月齢のTg2576トランスジェニックマウスを4PBAで5週間処置することにより、空間的記憶の欠失が回復することを見出したものである。この得られた結果は、4PBAの効果が、おそらく一方では分子シャペロンのレベル増加およびタウの脱リン酸化の誘導による小胞体ストレスの影響に対して細胞に与える保護により、ならびに他方では、H4ヒストンのアセチル化の増加により媒介されて、その後シナプスマーカーの発現を誘導し、次いで長期間の空間的記憶の回復をもたらすことを示唆するものである。
【0026】
また、GRP78レベルが、Tg2576トランスジェニックマウスの海馬で低いことも見出した;さらに、GRP78発現が、4PBAによる処置後に、非トランスジェニックマウスと類似したレベルに達したことも観察した。これはKatayamaの考察(1999)に一致するものであった。
【0027】
また、Tg2576トランスジェニックマウスの大脳皮質中のH4アセチル化の低下は高密度のクロマチン構造と関連がある可能性があり、転写退行と対応するであろうということも観察された。
【0028】
本発明の結果から、4PBAは、ヒストンH4アセチル化を増加させることから、ニューロン可塑性(AMPAレセプターGluR1サブユニットおよびPSD95)に有利に働くタンパク質および小胞体タンパク質(GRP78)の転写および合成も活性させ、その後に海馬の正しい機能を引き起こし、悪化した記憶機能を回復させるという仮説が示唆される。
【0029】
また、生理食塩水水溶液で処置したTg2576トランスジェニックマウスの海馬にてSer202/Thr205(AT8)位置でのタウのリン酸化のレベルの増加が観察されるが、しかし4PBAで処置したトランスジェニックマウスおよび非トランスジェニックマウスのタウのリン酸化レベルは相違しなかった。本発明は、このリン酸化タウのレベルの低下により、トランスジェニックマウスにおける認知機能が改善されることを実証する。この知見は、近年、タウの低下が、そのAβレベルを変化させないヒトアミロイドのタンパク質前駆体を発現するトランスジェニックマウスでの行動の欠陥を防止する際に有益な効果をもつということを示唆する考察と一致するものである(Roberson et al., 2007)。
【0030】
4PBAの作用のメカニズムの一つが、タウの過剰なリン酸化形態の低下であるため、アルツハイマー病に加えタウオパチーにより進行する他の認知症、例えば前頭側頭認知症、進行性核上麻痺(PSP)、ピック病およびレヴィー小体認知症についての認知処置にも有効であろうと想定できる。
【0031】
本発明は、アルツハイマー病の予防および/または処置における使用のための4PBAまたはその医薬上許容可能な塩に関する。言い換えると、本発明は、アルツハイマー病の予防および/または処置のための医薬を製造するために、4PBAまたはその医薬上許容し得る塩を使用することに関する。同様に、本発明は、アルツハイマー病の予防または処置の必要な患者に、医薬上有効な量の4PBAまたはその医薬上許容し得る塩を投与することを含む、アルツハイマー病を予防または処置するための方法を提供する。
【0032】
本明細書において使用される用語「4PBA」は、体内のその代謝の結果であるそれらの代謝物または化合物も含む。この化合物の様々な治療用途に関する本発明の実施形態は、その代謝物、即ちフェニル酢酸の使用も含む。
【0033】
ある実施態様において、本発明は、タウオパチーにより進行する認知症の予防または処置における使用のための、より具体的には該認知症における認知障害の予防または処置におけるその使用のための、4PBAまたはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つを指すか、あるいは4PBAまたはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つを含む組成物を指す。
【0034】
本発明はまた、タウオパチーにより進行する認知症、および特に該認知症と関連のある認知障害のための予防または処置のための医薬の製造における4PBAまたはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つ、あるいは4PBAまたはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つを含む組成物に関する使用を指す。
【0035】
本発明の実施態様において、特に、タウオパチーにより進行する認知症に関連する認知障害の予防または処置に使用される4−PBAナトリウム塩を指す。
【0036】
4PBAは、4-フェニル酪酸(4-フェニルブチレート)であって、例えばSIGMA-ALDRICH (製品番号:P21005)[登録CAS番号;1821-12-1を有し;その化学式はC65(CH2)3COOHである]などの企業から購入できる市販品である。
【0037】
4PBAのナトリウム塩は、例えば、BIOMOL International L.P. (Palatine House, Matford Court, Exeter EX2 8NL, UK; Catalogue No.: EI320)から購入し得る市販製品;登録CAS番号1716-12-7である;その化学式は、C(CH)COONaであり;およびその構造式は次のとおりである:
【化1】

【0038】
あるいは、この化合物は、既知の方法を用いて得ることもできる。
【0039】
Buphenyl(登録商標)およびAmmonaps(登録商標)は、尿素サイクル障害の処置のためにFDAおよびEMEAにより各々認可されたフェニル酪酸ナトリウム組成物に対する商標名である。また、TriButyrate(登録商標)(Triple Crown America)としても販売され得る。
【0040】
本明細書において使用される用語「医薬上許容し得る」とは、化合物または化合物の組合せが、製剤の残余成分と適合し、かつそれを受容する患者または対象に対して有害ではないことを意味する。治療的使用のためには、4PBAの塩は、その対イオンが医薬上許容し得るものである。
【0041】
本発明の実施態様において、4PBAまたはその医薬上許容し得る塩の一つを含む該組成物とは、ビヒクルまたは医薬上許容し得る賦形剤もまた含む医薬組成物である。
【0042】
本明細書に記載したとおり医薬上許容し得る塩は、4PBAが形成できる治療上有効な非毒性塩形態を含むことを意味する。医薬上許容し得る塩は、4PBAの酸形態をかかる適切なカチオンを用いて処理することにより便利に得ることができる。適切な塩基性塩は、有機カチオン、例えば、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカインと共に形成されたもの;および金属性カチオン、例えば、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛と共に形成されたものを含む。
【0043】
従来の該塩形態は、適切な酸による処置により遊離形態に変換され得る。
【0044】
用語「塩」とは、4PBAが形成することができる水和物または溶媒和物を含むことも意味する。これには、例えば、アルコラート、例えば、メタノラートまたはエタノラートが挙げられる。用語「溶媒和物」とは、化学量論的または非化学量論的な量の溶媒を含む4PBAのそれらの結晶形態を指す。水が溶媒であるため、溶媒和物にはまた水和物が含まれる。用語「偽多形体(pseudopolymorph)」とは、その格子構造に組み込まれる溶媒分子を有する多形体の結晶形態に適用するため溶媒和物と同義である。溶媒和物の例示は、水和物およびアルコラート、例えば、メタノラートまたはエタノラートである。
【0045】
用語「予防」とは、「予防する」という行為を指し、発病、存在を回避するものとして、あるいはこの用語が適用される疾患、障害または症状の発病または再発もしくは該疾患、障害または症状と関連する一または幾つかの兆候の発病または再発を遅延させるものとして理解される。
【0046】
用語「処置」とは、「処置する」という行為を指し、あるいはこの用語が適用される該疾患、障害または症状の進行もしくは該疾患、障害または症状に関連する一または幾つかの兆候を元に戻すこと、緩和すること、または阻害することとして理解される。
【0047】
用語「タウオパチーにより進行する認知症」とは、タウタンパク質代謝における変化があり、かつ最も関連のある兆候または影響の一つが認知障害の発病である神経変性疾患を指す。特に、4PBAまたはその塩の使用は、かかる認知症に関連のある認知障害の予防または処置に有用である。
【0048】
本発明のある特定の実施態様は、疾患、例えば、アルツハイマー病、前頭側頭認知症、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、ピック病、レヴィー小体認知症、嗜銀性グレイン型痴呆、C型ニーマン・ピック病、またはボクサー認知症の予防または処置に関する。
【0049】
本発明のより特別な実施態様は、アルツハイマー病、および特にこの疾患に関連のある認知障害の予防または処置に関する。
【0050】
本発明のより好ましい実施態様は、前記疾患の処置のための医薬の製造における4PBAのナトリウム塩の使用である。
【0051】
本発明の他の態様は、タウオパチーにより進行する認知症、特にこれらの疾患に関連のある認知障害の予防または処置における使用のための4PBAまたはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つを含む組成物を指す。特定の実施態様において、該組成物は、4PBAのナトリウム塩を含む。特定の実施態様は、アルツハイマー病の予防および/または処置において使用するための4PBAのナトリウム塩および医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物に関する。
【0052】
学習過程および記憶機能の改善が、検出可能な脳内のAβレベルの変化といつも関連するわけではないということが以前の試験から既に判っている(Dodart et al., 2002; Gong et al., 2004)。この情報を本発明に提示した情報と共に検討すると、この結果は、トランスジェニックマウスで観察された脳内の可溶性および不溶性Aβの濃度と記憶低下との関連性が、与えられた作業(task)に固有に関連し、また複雑(complex)であることを示唆している。さらに、広範囲の研究において、アルツハイマー病に罹患した患者において、Aβの沈着形態(例えば、斑の場合)と記憶低下との間に、明らかな相関は見出されなかった(Hyman et al., 1984)。実際に、より最近の報告は、可溶性Aβのレベルが、神経変性および記憶低下に対してより相関し得る可能性を示唆している(Lue et al., 1999; McLean et al., 1999; Lesne et al., 2007)。
【0053】
従って、本発明の他の実施態様は、その治療効果を増強することを目的とし、第一有効成分として4PBAおよび/またはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つを、脳内のβ-アミロイド沈着物の排出を誘導または促進する剤である第二有効成分の剤と共に含む組合せである。より好ましい実施態様は、該沈着物の排出剤として、金属キレート剤、β-アミロイドペプチドの可溶化形態に存在する異化酵素、セレブロリシンまたはニトロフェノールを使用する。
【0054】
本発明の他の実施態様は、第一有効成分として4PBAまたはその医薬上許容し得る塩、脳内のβ-アミロイド沈着物の排出のための誘導剤または促進剤である第二有効成分の剤、および医薬上許容し得る担体を含む医薬組合せ物を提供する。より好ましい実施態様は、該沈着物の排出剤として、金属キレート剤、β-アミロイドペプチドの可溶化形態で存在する異化酵素、セレブロリシンまたはニトロフェノールを使用する。
【0055】
またより好ましい実施態様は、沈着物排出誘導剤として、クリオキノール、セレブロリシン、または2,4-ジニトロフェノールまたは3-ニトロフェノールの使用である。
【0056】
またより好ましい実施態様は、沈着物排出誘導剤として、クリオキノール、セレブロリシン、IDEインスリン分解酵素またはネプリライシン、または2,4−ジニトロフェノールまたは3-ニトロフェノールの使用である。
【0057】
本発明の他の実施態様は、タウオパチーにより進行する認知症における認知障害の予防および/または処置のために、同時使用のための組合せ製剤としての、第一有効成分として4PBAおよび/またはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つ、および脳のβ-アミロイド沈着物を排出する誘導剤または促進剤である第二有効成分を含有する製品の使用である。他の実施態様は、両方の有効成分を独立して使用するために設計された同じ組合せ製剤を特徴とし、およびさらなる実施態様はその連続使用のために設計される。
【0058】
このように、本発明の医薬組合せ中のこの2成分または複数の有効成分は、同一の単一医薬製剤の一部であってもよく;または、同じ治療方法の一部としてこの2成分または複数の活性成分の同時投与のための別個の医薬製剤の一部であってもよい。この2成分が別の製剤において投与される場合に、そうすることが必要ならばこの様式でなし得るが、必ずしも同時に投与する必要はない。
【0059】
さらなる態様において、本発明は、本明細書において規定された実施形態のいずれか一つにおいて、脳内のβ-アミロイド沈着物の排出のための誘導剤または促進剤と共に、4PBAおよび/またはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つを含む医薬組合せ物を含む製品またはキットを指す。
【0060】
他の態様において、本発明は、タウオパチーにより進行する、および特に認知障害に関連した認知症の予防または処置におけるその使用のための、該医薬組合せを含む該医薬の組合せまたはキットを指す。該組合せまたはキットは、認知症、特に先に特定した疾患のいずれか、より具体的にはアルツハイマー病の予防のための医薬製造に有用である。
【0061】
本発明の他の態様はまた、タウオパチーにより進行する認知症、および特にそれが関連する認知障害、予防または処置のための方法を指すものであって、該予防および/または処置の必要な患者に、医薬上有効な量の4PBAまたはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つ、4PBAおよび/またはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つを含む組成物、あるいは脳内で形成されたβ-アミロイド沈着物を排出するための誘導剤または促進剤と共に4PBAおよび/またはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つを含む医薬の組合せを投与することを含む方法を指すものである。
【0062】
用語「医薬上有効な量」とは、疾患を処置する際に有効である;1またはいくつかのその兆候を改善、減退または排除する;あるいは一以上の疾患の兆候の発病を予防または遅延させる、化合物の量または有効な化合物の組合せの量を指す。
【0063】
本発明の活性成分、即ち4PBAおよび/またはその医薬上許容し得る塩の投与されるべき用量は、個々の症例に依存し、また慣例に従って、最適な効果のために個々の症例の症状に適合されるべきである。従って、治療または予防のためには、各症例に用いた化合物の投与頻度および有効性および作用持続時間にもちろん依存するが、加えて該疾患および兆候の性質および重症度、ならびに性別、年齢、体重、同時投薬および処置されるヒトまたは動物の個々の反応性、また該治療が緊急であるか予防的であるかにも依存する。
【0064】
4PBAおよび/またはその医薬上許容し得る塩の治療上有効量は、1mg〜200g/日、2mg〜150g/日、5mg〜100g/日、10mg〜75g/日、20mg〜75g/日、50mg〜75g/日、0.1g〜75g/日、0.2g〜75g/日、0.5g〜75g/日、1g〜50g/日、5g〜50g/日の範囲で存在し得る。
【0065】
用語「対象」は、動物、特に霊長類のような哺乳動物、イヌ、ネコ、ウシ科、動物、ウマ、ヒツジ、およびヒトをいう。具体的には、両方の性別のヒト哺乳動物に適用される。
【0066】
上記使用のために4PBAを含有する製造された医薬の好ましい投与様式は、そのナトリウム塩を含有する錠剤の形態である。これらの錠剤の医薬調製物は、賦形剤、例えば微小結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウムまたはコロイド状二酸化珪素を含み得る。
【0067】
他の好ましい投与形態は、水可溶性で存在できる4PBAのナトリウム塩および賦形剤を含有する粉末である。この粉末の医薬調製物は、賦形剤、例えば、カルシウムステアレートまたはコロイド状二酸化珪素を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1A:可視プラットホームの段階中にモーリス試験によりレベルを測定した場合の、日毎の非トランスジェニックマウスの潜時と比較した4PBAおよび生理食塩水溶液により処置したトランスジェニックマウスが経験した潜時。
【0069】
図1B:不可視プラットホームの段階中にモーリス試験によりレベルを測定した場合の、日毎の非トランスジェニックマウスのものと比較した4PBAおよび生理食塩水溶液により処置したトランスジェニックマウスが経験した潜時。
【0070】
図1C:モーリス試験により測定した場合の、日毎の非トランスジェニックマウスの時間と比較した、4PBAおよび生理食塩水溶液により処置したトランスジェニックマウスの正しい象限内に滞留した時間。
【0071】
図2A:4PBAおよび生理食塩水溶液で処置したトランスジェニックマウスの脳皮質の抽出物中のAβ42およびAβ40ペプチドから得られたレベル。
【0072】
図2B:非トランスジェニックマウスのものと比較した、4PBAおよび生理食塩水溶液により処置したトランスジェニックマウスの脳内のAβペプチド蓄積により形成した斑のマーキングスキーム。
図3A:脳内の非トランスジェニックマウスのものと比較した、4PBAおよび生理食塩水溶液により処置したトランスジェニックマウスにおけるリン酸化されたタウのレベルと正常なタンパク質との関係。
図3B:非トランスジェニックマウスのものと比較した、4PBAおよび生理食塩水溶液により処置したトランスジェニックマウスにおける、リン酸化されたGSK3(不活性形態)レベルとリン酸化されていないタンパク質(活性形態)との間の関係。
図4:非トランスジェニックマウスのものと比較した、4PBAおよび生理食塩水溶液により処置したトランスジェニックマウスの海馬抽出物中のGRP78発現レベル。
図5:非トランスジェニックマウスのものと比較した、4PBAおよび生理食塩水溶液により処置したトランスジェニックマウスの皮質抽出物中のアセチル化ヒストン4(AcH4)およびヒストン3(AcH3)のレベル。
図6:非トランスジェニックマウスのものと比較した、4PBAおよび生理食塩水溶液により処置したトランスジェニックマウスから得た膜を多く含むタンパク質海馬抽出物中のGluR1、PSD95およびMAP−2タンパク質の発現レベル。
【発明を実施するための形態】
【0073】
(本発明の実施形態)
本発明は、先に説明した図と共に下記の実施例によりさらに説明され、その開発に使用した実験方法を説明する。当業者は、本発明の範囲において行い得るその修飾、改変および変更を理解することができるであろう。
【実施例1】
【0074】
実施例
実施例1.ネズミ動物実験モデルおよびその処置
【0075】
凍結ハムスタープロモーターにより開始される二重APPsweスウェーデン型突然変異[(APP695) Lys670→Asn、Met671→Leu]を含む695-aaのヒトAPPアイソフォームを発現するアルツハイマー病に罹患するTg2576トランスジェニックマウスを使用した。実験マウスモデルに使用したアルツハイマー病に罹患するTg2576トランスジェニックマウスにおいて、脳内のAβペプチド含量が、その7ヶ月齢および12ヶ月齢の間に指数関数的に蓄積する。そのため、このように操作されたマウスは、マウスが12および15ヶ月齢に到達した時に、マウスにモーリス水迷路試験をさせた場合に記憶機能の低下を示した。従って、16ヶ月齢のTg2576トランスジェニックマウスの雌を、5週間の間200mg/kgの4PBAまたはそのビヒクルにより1日に1回腹腔内処置した。これを行うために、4PBA溶液を、4-フェニルブチル酸(Sigma)および水酸化ナトリウム(pH:7.4)の等モル量を滴定して調製した。同じ系統および年齢の遺伝子改変のない正常マウス群をコントロール群として使用した。全ての臨床試験方法をヨーロッパおよびスペインの法律に従って行った(86/ 609/CEE; RD 1201/2005)。
【0076】
実施例2.モーリス水迷路(MWM)
モーリス水迷路を使用して、先の文献に記述されたとおりに4PBAで処理したTg2576トランスジェニックマウスにおける動作および参照記憶機能を評価した(Ribe et al., 2005)。4PBA(n=6)、ビヒクル(n=7)で処置したTg2576雌のマウスおよび非トランスジェニックの同腹種(litter siblings)(n=10)の群に、これらのマウスが16ヶ月齢となった時にモーリス水迷路を用いて、空間学習および記憶試験を行った。この迷路は20℃の水で満たした円形プールから構成される。このマウスは、プラットホームに向かって泳ぐことができる水位をよりも高くされた可視プラットホームを備えたプール内で3日間連続して(8回の試験/日)事前訓練を受けた。隠されたプラットホームによる訓練を、9日間連続して(4回の試験/日)行い、訓練期間中の全てのマウスには、水面より1cm水面下にあるプラットホームを見つけるための時間を60秒間与えた。プラットホームを見つけることが出来なかったマウスを、プラットホームに誘導した。全てのマウスをプラットホームで20秒間休息させて、その後該マウスをプラットホームからおろし、ケージに戻した。4日目、7日目および試験最終日の開始時に、プラットホームを該プールから取り出して、マウスに60秒間の間プラットホームを探させる事前試験を行った。全ての試験を、VHSカメラおよび水路用ソフトウェア(the Ethovision software, Wageninge, Netherlands)を用いて追跡し、退避潜時および事前試験中のプールの各象限の滞留時間%を分析した。可視プラットホームの位置を学習しなかったマウス、あるいは異常な水泳パターンを示したかまたはずっと浮いていたマウスをこの分析から排除した。
【0077】
認知機能に対する4PBAの効果を試験するために、5週間の4PBA処置により、モーリス水迷路試験中に16ヶ月齢のTg2576トランスジェニックマウスにより提示された学習障害が緩和されるかどうかを分析した。処置の終了時、ビヒクルにより処置した16ヶ月齢トランスジェニックマウスにより示した習得は、同じ月齢の遺伝子改変のないマウスにより示された習得よりも低かった。逆に、4PBAで処置したトランスジェニックマウスにより示した習得は、同じ月齢のコントロール群のマウスにより示されたものとの差違はなかった(図1B)。
【0078】
12、24および32回の試験の後、全てのマウスに、プラットホームを取り出したプール内で15秒間の間水泳させる事前試験を行った。記憶維持測定は、訓練セッション中に存在するべき使用したプラットホーム(標的象限)があった象限内での水泳の15秒の割合%である。ビヒクルにより処置したトランスジェニックマウスの標的象限内で過ごした時間%は、該象限にて過ごしたコントロール群のマウスの時間よりも有意に低かった。4PBA処置トランスジェニックマウスが該象限内で過ごした時間は、該象限内で過ごした同じ月齢のコントロール群のマウスの時間と差違はなかった(図1C)。この差違は、不可視プラットホーム試験において明らかとなったが、退避潜時は可視プラットホームを使用した最初の訓練試験では有意な差違はなかった(図1A)。これらのデータは、4PBAの慢性投与により水迷路試験に対してTg2576トランスジェニックマウスの記憶機能が改善されることを示唆する。
【0079】
実施例3.Aβレベルを決定するための方法
4PBA処置は、記憶獲得および維持過程に明らかな利益をもたらすことを示したので、次の態様は、Tg2576トランスジェニックマウスにおけるAβレベルおよびタウの病理学の効果を探索することであった。マウスを、モーリス水迷路にて最後の試験を行った24時間後に屠殺した。該皮質および海馬を切開し、生化学的分析を行うために使用した。次いで、大脳皮質中のAβ40およびAβ42のレベルを、サンドウィッチ型ELISA試験により分析した。
【0080】
脳皮質を、5M グアニジンHClおよび50mM Tris HCl(pH=8)、プロテアーゼ阻害剤(Roche's CompleteTM Protease Inhibitor Cocktail)およびホスファターゼ阻害剤(0.1mM Na3VO4, 1mM NaF)を含有する緩衝液中でホモジネートした。このように、得られた均質物を、2分間超音波処理に供し、100000 x gにて1時間回転させた。上清のアリコートを、−80℃で凍結乾燥させ、タンパク質濃度を、Bio-Rad kitを用いるブラッドフォード法により決定した。Aβ42レベルを、Biosource(Camarillo, Ca, USA)の高感度のサンドイッチ型ELISAキットを用いて測定した。これを行うために、この全上清タンパク質(300μg)を、製造者の指示書に従って2回ELISAプレート上に直接沈着させた。
【0081】
図2Aにおいて判るように、4PBAで処置したトランスジェニックマウスと比較して、ビヒクルで処置したTg2576トランスジェニックマウスにおいてAβ40またはAβ42レベルの観察された差違はなかった。Aβは、非トランスジェニック同胞種において検出されなかった。同様の結果が、AβレベルおよびそのAβ免疫反応性%領域を、海馬中に存在する斑を計測するために測定した場合に得られた(図2B)。
【0082】
実施例4.タンパク質抽出物の生成およびウェスタンブロット型免疫学的分析
マウスを、頚部脱臼により屠殺し、その海馬を迅速に脳より切開した。全均質物を、氷冷RIPA緩衝溶液(50mM トリス-HCL、pH=7.4、0.25% DOC、1% Nonidet P−40、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM PMSF、1μg/ml ロイペプチン、1μg/ml アプロチニン、1mM Na3VO4、1mM NaF)中で海馬組織を均質化することにより得て、14000x g、4℃で20分間回転させて、該上清から得たアリコートを、−80℃で凍結乾燥した。標準方法を用いて、膜を多く含むタンパク質画分(P2膜タンパク質)を得た。海馬組織を、320mM スクロースおよび先に記載したプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含有する氷冷トリス-EDTA緩衝溶液(10mM トリス-HClおよび5mM EDTA、pH=7.4)中で均質化した。該均質化した組織を700 x g、10分間回転させた。得られた上清を、4℃で40分間37000 x gで再度回転させた。最終的に、該ペレット(P2)を、上記酵素阻害剤混合物を含有する10mM トリス-HCl緩衝溶液(pH=7.4)に懸濁した。タンパク質濃度を双方決定した(Bio-Radによるブラッドフォード試験を用いて)、アリコートを次の使用時まで−80℃で貯蔵した。ウェスタンブロット型の分析のために、P2膜の分画を、0.1容量の10%デオキシコール酸ナトリウムの500mMトリス-HCl緩衝溶液(pH=9)を加えて変性条件下で可溶化した。該サンプルを、36℃30分間でインキュベートし希釈して、0.1容量の500mM トリス-HCl(pH=9)/1% Triton X-100を添加して希釈した。4℃で10分間、37000 x gにてサンプルを遠心分離した後、得られる上清を−80℃で貯蔵した。
【0083】
ヒストンを分析するために、マウスの前脳皮質に由来する抽出物を得て、プロテアーゼ阻害剤(0.2M NaCl、0.1M HEPES、10%グリセリン、200mM NaF、2mM Na427、5mM EDTA、1mM EGTA、2mM DTT、0.5 mM PMSF、1mM Na3VO4、1mM ベンズアミジン、10μg/ml ロイペプチン、400U/mlアプロチニン)を含む冷分解緩衝液中で均質化し、次いで4℃で20分間14,000 x gにて遠心分離した。該上清から得たアリコートを−80℃で貯蔵した。全タンパク質濃度を、Bio-Rad Bradford (BioRad laboratories, Hercules, California)によるブラッドフォード試験により得た。
【0084】
ウェスタンブロッド分析を行うために、タンパク質サンプルを、SDS−ポリアクリルアミドゲルに溶解させたその同容量(2xLaemmli)を有する緩衝液中で混合し、ニトロセルロース膜に移動させた。次いで、該膜を、PBS中5%のミルク、0.05% Tween-20中、またはTBSブロッキング溶液中でブロッキングし、その後、次の抗体:対応する緩衝溶液中、マウスモノクローナル 抗−リン酸-タウAT8(Pierce)、ウサギポリクローナル抗-pGSK3-Ser9(Cell Signalling)、ウサギポリクローナル 抗-GSK3、ヤギポリクローナル 抗-GRP78 (Santa Cruz)、ウサギポリクローナル 抗−アセチル化ヒストン4および3(Upstate)、ウサギポリクローナル 抗-GluR1(Chemicon)、マウスモノクローナル抗-PSD95(Chemicon)、ウサギポリクローナル 抗-MAP2(Chemicon, Temecula, CA)、マウスモノクローナル抗-アクチン、およびマウスモノクローナル抗-チューブリン(Sigma)、と共に終夜インキュベートした。全ての抗体を1:1000希釈にて使用したが、マウスモノクローナル抗-アクチンおよびマウスモノクローナル抗-チューブリンは1:10000で使用した。PBS/Tween−20またはTBS/Tween20で2回洗浄し、PBSまたはTBSで1回洗浄の後、免疫標識化タンパク質バンドを、抗-ウサギまたは抗-マウスHRPコンジュゲート(Santa Cruz、1:5000希釈)の後に化学発光システム(ECL Amersham Biosciences)を用い、Hyperfilm TMECL(Amersham Biosciences)のオートラジオグラフィー暴露により検出した。該シグナルを、Scion Image program(Scion Corporation)を用いて定量した。
【0085】
実施例5.アルツハイマー病の病理マーカー
処置後のトランスジェニックマウスの学習能力において観察された差違を説明することが出来た変化を調査するために、タウのリン酸化のレベルを、AT8、即ちSer−202/Thr−205において異常な過剰にリン酸化されたエピトープを認識できるリン酸特異的抗体を用いて、該マウスから抽出した海馬にて分析した。全体的なタウのレベルは変化しなかったが、16ヶ月齢のTg2576トランスジェニックマウスに由来する海馬中のタウのリン酸化は、非トランスジェニックマウスのレベルと比べて増加したことが判った。非トランスジェニックマウス(図3A)における同じ機能と比較した時に、4PBAで処置したトランスジェニックマウスのAT8部位でリン酸化されたタウにおける差違が見出されなかったことは興味深い知見であった。
【0086】
タウのリン酸化機能は、キナーゼおよびホスファターゼタンパク質により制御される。GSK3bが病理学的なタウのリン酸化に参画することがわかっている。Ser9でリン酸化された不活性なGSK3bのレベルを測定した、該レベルは、ビヒクルで処置されたマウスと比べて4PBA処置されたトランスジェニックマウスの海馬では高いことが観察された、これは処置マウスにおいて観察されたリン酸化されたタウ形態の低下を説明するものであろう(図3B)。
【0087】
実施例6.小胞体ストレスマーカー
この研究の次のステップは、トランスジェニックマウスの海馬中の小胞体GRP78に存在する分子シャペロンのレベルおよびコントロール群に由来する同胞種のレベルを分析することであった。同じ年齢のマウスのレベルと比較した場合に、GRP78 レベルは、16ヶ月齢のトランスジェニックマウスの海馬では低いことが判った。比較に対して、4PBA処置したトランスジェニックマウスのGRP78レベルは、非トランスジェニックマウスにて見られたGRP78レベルとの差違はなかった。このことは、4PBA処置の効果が、部分的にGRP78の発現レベルの増加に起因し得るということを示唆している(図4)。
【0088】
実施例7.シナプス可塑性マーカー
コントロール群からの同じ年齢のマウスのレベルと比較した場合、16ヶ月齢のTg2576トランスジェニックマウスは、非常に低いH4アセチル化レベルを示した。すなわち、皮質のヒストン4(H4)アセチル化の誘導が、4PBAで処置したトランスジェニックマウスにおいて見出された(図5)。
【0089】
AMPAレセプターGluR1サブユニット、PSD95およびMAP−2は、シナプス形成および機能において極めて重要な可塑性マーカーである。AD患者およびTg2576マウスに由来する脳内にて現れるPSD95、GluR1、およびMAP−2のシナプス後部の欠損は、結果として起こる学習障害を伴うシナプス機能不全に関与し得る。次のステップは、これらのシナプスマーカーレベルの発現が4PBAによる処置後に修飾されるかどうかを調べることであり、ビヒクルで処置したマウスにおいて見出された該発現レベル(81.18±9.5%)と遺伝子変更されていないマウス群において見出された該発現レベル(100.0±6.5%)とを比較した場合に、4PBAで処置したトランスジェニックマウス群の海馬からの膜を多く含むタンパク質抽出物中のAMPAレセプターのGluR1サブユニットの発現レベルの著しい増加(161.37±27.5%)が見られた。また、4PBA処置により、同じ抽出物中のPSD95レベルの発現も顕著に誘導された(図6)。
【0090】
微小管関連タンパク質-2(MAP−2)は、ニューロンの樹状突起に主に局在するタンパク質である。MAP−2の発現は、このタンパク質が可塑性において重要な役割を担うことを示唆する樹状突起の成長、分枝および障害後の樹状突起の再構築と同時に起こっている(Johnson and Jope, 1992)。我々は、MAP−2を測定するために定量的なウェスタンブロット分析を行い、そしてMAP−2の発現レベルが、非トランスジェニックマウス(100.0±14.9)と比べてTg2576マウス(54.9±10.7)にて有意に低下したこと、および4PBA処置後に部分的に回復されること(777±11.6)を見出した(図6)。
【0091】
参考文献の目録
・Almeida CG, Tampellini D, Takahashi RH, Greengard P, Lin MT, Snyder EM, Gouras GK (2005). Beta-amyloid accumulation in APP mutant neurons reduces PSD-95 and GluR1 in synapses. Neurobiol Dis 20:187-198.
・Anderson AN, Roncaroli F, Hodges A, Deprez M, Turkheimer FE (2007) Chromosomal profiles of gene expression in Huntington's disease. Brain.
・Andreasi C, Angelozzi C, Tiziano FD, Vitali T, De Vicenzi E, Boninsegna A, et al., (2004). Phenylbutyrate increases SMN expression in vitro: relevance for treatment of spinal muscular atrophy. Neuromuscul Disord 14 (2) :130 -135
・Arendt T, Stieler J, Strijkstra AM, Hut RA, Rudiger J, Van der Zee EA, Harkany T, Holzer M, Hartig W (2003). Reversible paired helical filament-like phosphorylation of tau is an adaptive process associated with neuronal plasticity in hibernating animals, J. Neurosci., 23:6972 - 6981.
・Bailey CH, Kandel ER, Si K (2004). The persistence of long-term memory: a molecular approach to self-sustaining changes in learning-induced synaptic growth. Neuron 44: 49 - 57.
・Cummings JL, Cole G (2002). Alzheimer disease. JAMA 287: 2335 - 2338.
・Chang KT, Min KT. (2002). Regulation of lifespan by histone deacetylase. Ageing Res Rev 1: 313 - 326.
・Chaudhuri TK, Paul S (2006). Protein-misfolding diseases and chaperone-based therapeutic approaches. FEBS J 273: 1331 - 1349.
・Collins AF, Pearson HA, Giardina P, McDonagh KT, Brusilow Sw, Dover GJ (1995). Oral sodium phenylbutyrate therapy in homozygous beta thalassemia: a clinical trial. Blood 85: 43 - 49.
・Dasgupta S, Zhou Y, Jana M, Banik NL, Pahan K (2003). Sodium phenylacetate inhibits adoptive transfer of experimental allergic encephalomyelitis in SJL/J mice at multiple steps. J Immunol 170: 3874 -3882.
・Dodart JC, Bales KR, Gannon KS, Greene SJ, DeMattos RB, Mathis C, DeLong CA, Wu S, Wu X, Holtzman DM, Paul SM. (2002) Immunization reverses memory deficits without reducing brain Abeta burden in Alzheimer's disease model. Nat Neurosci 5: 452 - 457.
・Dover GJ, Brusilow S, Charache S (1994). Induction of fetal hemoglobin production in subjects with sickle cell anemia by oral sodium phenylbutyrate. Blood 84(1): 339 - 343.
・Fischer A, Sananbenesi F, Wang X, Dobbin M, Tsai LH (2007). Recovery of learning and memory is associated with chromatin remodelling. Nature 447, 178 - 182.
・Gong B, Vitolo 0V, Trinchese F, Liu S, Shelanski M, Arancio 0 (2004). Persistent improvement in synaptic and cognitive functions in an Alzheimer mouse model after rolipram treatment. J Clin Invest 114: 1624 - 1634.
・Hernandez F, Avila J (2007). Tauopathies. Cell Mol Life Sci 64: 2219 -2233,
・Hyman BT, Van Hoesen GW, Damasio AR, Barnes CL (1984). Alzheimer's disease: cell-specific pathology isolates the hippocampal formation. Science 225: 1168 - 1170.
・Ikeda Y, Ishiguro K, Fujita SC (2007). Ether stress-induced Alzheimer-like tau phosphorylation in the normal mouse brain. FEBS Lett 581: 891-897.
・Kang HL, Benzer S, Min KT (2002). Life extension in Drosophila by feeding a drug. Proc Natl Acad Sci USA 99: 838 - 843.
・Katayama T, Imaizumi K, Sato N, Miyoshi K, Kudo T, Hitomi J, Morihara T, Yoneda T, Gomi F, Mori Y, Nakano Y, Takeda J, Tsuda T, Itoyama Y, Murayama 0, Takashima A, St George-Hyslop P, Takeda M, Tohyyama M. (1999). Presenilin-1 mutations downregulate the signalling pathway of the unfolded-protein response, Nat Cell Biol 1, 479-485.
・Katayama T, Imaizumi K, Honda A, Yoneda T, Kudo T, Takeda M, Mori K, Rozmahel R, Fraser P, George-Hyslop PS, Tohyama M (2001). Disturbed activation of endoplasmic reticulum stress transducers by familial Alzheimer's disease-linked presenilin-1 mutations. J Biol Chem 276: 43446 - 43454.
・Katayama T, Imaizumi K, Manabe T, Hitomi J, Kudo T, Tohyama M (2004). Induction of neuronal death by ER stress in Alzheimer's disease. J Chem Neuroanat 28: 67 - 78.
・Kim HS, Kim EM, Kim NJ, Chang KA, Choi Y, Ahn KW, Lee JH, Kim S, Park CH, Suh YH (2004). Inhibition of histone deacetylation enhances the neurotoxicity induced by the C-terminal fragments of amyloid precursor protein. J Neurosci Res 75:117 - 124
・Kim HJ, Rowe M, Ren M, Hong JS, Chen PS, Chuang DM (2007). Histone deacetylase inhibitors exhibit anti-inflammatory and neuroprotective effects in a rat permanent ischemic model of stroke: multiple mechanisms of action. J Pharmacol Exp Ther 321: 892-901.
・Kozutsumi Y, Segal M, Normington K, Gething MJ, Sambrook J (1998). The presence of malfolded proteins in the endoplasmic reticulum signals the induction of glucose-regulated proteins. Nature 332:462-464.
・Kubota K, Niinuma Y, Kaneko M, Okuma Y, Sugai M, Omura T, Uesugi M, Uehara T, Hosoi T, Nomura Y (2006). Suppressive effects of 4-phenylbutyrate on the aggregation of Pael receptors and endoplasmic reticulum stress. J Neurochem 97:1259-1268.
・Langley B, Gensert JM, Beal MF, Ratan RR Curr Drug Targets CNS (2005). Remodeling chromatin and stress resistance in the central nervous system: histone deacetylase inhibitors as novel and broadly effective neuroprotective agents. Neurol Disord 4:41 - 50.
・Lea MA, Randolph VM (1998). Induction of reporter gene expression by inhibitors of histone deacetylase. Anticancer Res 18: 2717-2722.
・Lesne S, Kotilinck L, Ashe KH (2007). Plaque-bearing mice with reduced levels of oligomeric amyloid-beta assemblies have intact memory function. Neuroscience Epub ahead of print.
・Levenson JM, Sweatt JD (2005) Epigenetic mechanisms in memory formation. Nat Rev Neurosci 6: 108- 118.
・Lue LF, Kuo YM, Roher AE, Brachova L, Shen Y, Sue L, Beach T, Kurth JH, Rydel RE, Rogers J (1999). Soluble amyloid beta peptide concentration as a predictor of synaptic change in Alzheimer's disease. Am J Patho 155: 853-862.
・ Maestri NE, Brusilow SW, Clissold DB, Bassett SS (1996). Long-term treatment of girls with ornithine transcarbamylase deficiency. N Engl J Med 335:855 - 859.
・Masatoshi I, Yoshihisa K, Hiroki T, Takashi Y, Kazuyuki T, Yuka K, Takashi T, Kanji Y, Masahiko K, Yasunobu 0, Takahiro T, Hiroyoshi A, Shun S (2007). Neurodegeneration of mouse nigrostriatal dopaminergic system induced by repeated oral administration of rotenone is prevented by 4-phenylbutyrate, a chemical chaperone, Jour of Neurochem 101: 1491- 1504.
・McLean CA, Cherny RA, Fraser FW, Fuller SJ, Smith MJ, Beyreuther K, Bush Al, Masters CL (1999). Soluble pool of Abeta amyloid as a determinant of severity of neurodegeneration in Alzheimer's disease. Ann Neurol 46: 860-866.
・Mercuri E, Bertini E, Messina S, Pelliccioni M, D' Amico A, Colitto F, et al., (2004). Pilot trial of phenylbutryrate in spinal muscular atrophy. Neuromuscul Disord 14 (2): 130 - 135.
・Mercuri E, Bertini E, Messina S, Solari A, D'Amico A, Angelozzi C, et al., (2007). Randomized, double-bind, placebo-controlled trial of phenylbutyrate in spinal muscular atrophy. Neurol 68 (1): 51- 55.
・Nishitoh H, Matsuzawa A, Tobiume K, Saegusa K, Takeda K, Inoue K, Hori S, Kakizuka A, Ichijo H (2002). ASK1 is essential for endoplasmic reticulum stress-induced neuronal cell death triggered by expanded polyglutamine repeats. Genes Dev 16: 1345 -55.
・Petri s, Kiaci M, Kipani K, Chen J, Calingasan NY, Crow JP, et al., (2006). Additive neuroprotective effects of a histone deacetylase inhibitor and a catalytic antioxidant in a transgenic mouse model of amyotrophic lateral sclerosis. Neurol Dis 22 (1): 40-49.
・Qi X, Hosoi T, Okuma Y, Kaneko M, Nomura Y (2004). Sodium 4 phenylbutyrate protects against cerebral ischemic injury. Mol Pharmacol 66: 899-8908.
・Ribe EM, Perez M, Puig B, Gich Y, Lim F, Cuadrado M, Sesma T, Catena S, Sanchez B, Nieto M, Gomez-Ramos P, Moran MA, Cabodevilla F, Samaranch L, Ortiz L, Perez A, Ferrer I, Avila J, Gomez-Isla T (2005). Accelerated amyloid deposition, neurofibrillary degeneration and neuronal loss in double mutant APP/tau transgenic mice. Neurobiol Dis 20: 814-822.
・Roberson ED, Scearce-Levie K, Palop JJ, Yan F, Cheng lH, Wu T, Gerstein H, Yu GQ, Mucke L (2007). Reducing endogenous tau ameliorate amyloid beta-induced deficits in an Alzheimer's disease mouse model. Science 316:750-754.
・Rubenstein RC, Zeitlin PL (2000). Sodium 4-phenylbutyrate downregulates Hsc70: implications for intracellular trafficking of DeltaF508-CFTR. Am J Physiol Cell Physiol 278: 259 - 267.
・Ryu EJ, Harding HP, Angelastro JM, Vitolo OV, Ron D, Greene L (2002). Endoplasmic reticulum stress and the unfolded protein response in cellular models of Parkinson's disease. J Neurosci 22: 10690 - 10698.
・Ryu H, Smith K, Camelo SI, Carreras I, Lee J, Iglesias AH, Dangond F, Cormier KA, Cudkowicz ME, Brown RH Jr, Ferrante RJ (2005). Sodium phenylbutyrate prolongs survival and regulates expression of anti-apoptotic genes in transgenic amyotrophic lateral sclerosis mice. J Neurochem 93: 1087- 1098.
・Sato S, Ward CL, Krouse ME, Winc JJ, Kopito RR (1996) Glycerol reverses the misfolding phenotype of the most common cystic fibrosis mutation. J Biol Chem 271:635-638.
・Selkoe DJ(2004). Cell biology of protein misfolding: the examples of Alzheimer's and Parkinson's diseases, Nat Cell Biol 6: 1054-1061.
・Steffan JS, Bodai L, Pallos J, Poelman M, McCampbell A, Apostol BL, Kazantsev A, Schmidt E, Zhu YZ, Greenwald M, Kurokawa R, Housman DE, Jackson GR, Marsh JL, Thompson LM (2001). Histone deacetylase inhibitors arrest polyglutamine-dependent neurodegeneration in Drosophila. Nature 413:739-743.
・Tully T, Bourtchouladze A, Scott R, Tallman J (2003). Targeting the CREB pathway for memory enhancers. Nat Rev Drug Discov 2: 267-277.
・WO/1999/026657. Inderjit, S. (1999). Inhibitors of nitric oxide synthase.
・Almeida CG, Tampellini D, Takahashi RH, Greengard P, Lin MT, Snyder EM, Gouras GK (2005). Beta-amyloid accumulation in APP mutant neurons reduces PSD-95 and GluR1 in synapses. Neurobiol Dis 20:187-198.
・Anderson AN, Roncaroli F, Hodges A, Deprez M, Turkheimer FE (2007) Chromosomal profiles of gene expression in Huntington's disease. Brain.
・Andreasi C, Angelozzi C, Tiziano FD, Vitali T, De Vicenzi E, Boninsegna A, et al., (2004). Phenylbutyrate increases SMN expression in vitro: relevance for treatment of spinal muscular atrophy. Neuromuscul Disord 14 (2) :130 -135
・Arendt T, Stieler J, Strijkstra AM, Hut RA, Rudiger J, Van der Zee EA, Harkany T, Holzer M, Hartig W (2003). Reversible paired helical filament-like phosphorylation of tau is an adaptive process associated with neuronal plasticity in hibernating animals, J. Neurosci., 23:6972 -6981.
・Bailey CH, Kandel ER, Si K (2004). The persistence of long-term memory: a molecular approach to self-sustaining changes in learning-induced synaptic growth. Neuron 44: 49 - 57.
・Cummings JL, Cole G (2002). Alzheimer disease. JAMA 287: 2335 - 2338.
・Chang KT, Min KT. (2002). Regulation of lifespan by histone deacetylase. Ageing Res Rev 1: 313 - 326.
・Chaudhuri TK, Paul S (2006). Protein-misfolding diseases and chaperone-based therapeutic approaches. FEBS J 273: 1331 -1349.
・Collins AF, Pearson HA, Giardina P, McDonagh KT, Brusilow Sw, Dover GJ (1995). Oral sodium phenylbutyrate therapy in homozygous beta thalassemia: a clinical trial. Blood 85: 43 - 49.
・Dasgupta S, Zhou Y, Jana M, Banik NL, Pahan K (2003). Sodium phenylacetate inhibits adoptive transfer of experimental allergic encephalomyelitis in SJL/J mice at multiple steps. J Immunol 170: 3874 -3882.
・Dodart JC, Bales KR, Gannon KS, Greene SJ, DeMattos RB, Mathis C, DeLong CA, Wu S, Wu X, Holtzman DM, Paul SM. (2002) Immunization reverses memory deficits without reducing brain Abeta burden in Alzheimer's disease model. Nat Neurosci 5: 452 - 457.
・Dover GJ, Brusilow S, Charache S (1994). Induction of fetal hemoglobin production in subjects with sickle cell anemia by oral sodium phenylbutyrate. Blood 84(1): 339 - 343.
・Fischer A, Sananbenesi F, Wang X, Dobbin M, Tsai LH (2007). Recovery of learning and memory is associated with chromatin remodelling. Nature 447, 178 - 182.
・Gong B, Vitolo 0V, Trinchese F, Liu S, Shelanski M, Arancio 0 (2004). Persistent improvement in synaptic and cognitive functions in an Alzheimer mouse model after rolipram treatment. J Clin Invest 114: 1624 - 1634.
・Hernandez F, Avila J (2007). Tauopathies. Cell Mol Life Sci 64: 2219 -2233.
・Hyman BT, Van Hoesen GW, Damasio AR, Barnes CL (1984). Alzheimer's disease: cell-specific pathology isolates the hippocampal formation. Science 225: 1168 - 1170.
・Ikeda Y, Ishiguro K, Fujita SC (2007). Ether stress-induced Alzheimer-like tau phosphorylation in the normal mouse brain. FEBS Lett 581: 891-897.
・Kang HL, Benzer S, Min KT (2002). Life extension in Drosophila by feeding a drug. Proc Natl Acad Sci USA 99: 838 - 843.
・Katayama T, Imaizumi K, Sato N, Miyoshi K, Kudo T, Hitomi J, Morihara T, Yoneda T, Gomi F, Mori Y, Nakano Y, Takeda J, Tsuda T, Itoyama Y, Murayama 0, Takashima A, St George-Hyslop P, Takeda M, Tohyyama M. (1999). Presenilin-1 mutations downregulate the signalling pathway of the unfolded-protein response, Nat Cell Biol 1, 479-485.
・Katayama T, Imaizumi K, Honda A, Yoneda T, Kudo T, Takeda M, Mori K, Rozmahel R, Fraser P, George-Hyslop PS, Tohyama M (2001). Disturbed activation of endoplasmic reticulum stress transducers by familial Alzheimer's disease-linked presenilin-1 mutations. J Biol Chem 276: 43446 - 43454.
・Katayama T, Imaizumi K, Manabe T, Hitomi J, Kudo T, Tohyama M (2004). Induction of neuronal death by ER stress in Alzheimer's disease. J Chem Neuroanat 28: 67 - 78.
・Kim HS, Kim EM, Kim NJ, Chang KA, Choi Y, Ahn KW, Lee JH, Kim S, Park CH, Suh YH (2004). Inhibition of histone deacetylation enhances the neurotoxicity induced by the C-terminal fragments of amyloid precursor protein. J Neurosci Res 75:117 - 124
・Kim HJ, Rowe M, Ren M, Hong JS, Chen PS, Chuang DM (2007). Histone deacetylase inhibitors exhibit anti-inflammatory and neuroprotective effects in a rat permanent ischemic model of stroke: multiple mechanisms of action. J Pharmacol Exp Ther 321: 892-901.
・Kozutsumi Y, Segal M, Normington K, Gething MJ, Sambrook J (1998). The presence of malfolded proteins in the endoplasmic reticulum signals the induction of glucose-regulated proteins. Nature 332:462-464.
・Kubota K, Niinuma Y, Kaneko M, Okuma Y, Sugai M, Omura T, Uesugi M, Uehara T, Hosoi T, Nomura Y (2006). Suppressive effects of 4-phenylbutyrate on the aggregation of Pael receptors and endoplasmic reticulum stress. J Neurochem 97:1259-1268.
・Langley B, Gensert JM, Beal MF, Ratan RR Curr Drug Targets CNS (2005). Remodeling chromatin and stress resistance in the central nervous system: histone deacetylase inhibitors as novel and broadly effective neuroprotective agents. Neurol Disord 4:41 - 50.
・Lea MA, Randolph VM (1998). Induction of reporter gene expression by inhibitors of histone deacetylase. Anticancer Res 18: 2717-2722.
・Lesne S, Kotilinck L, Ashe KH (2007). Plaque-bearing mice with reduced levels of oligomeric amyloid-beta assemblies have intact memory function. Neuroscience Epub ahead of print.
・Levenson JM, Sweatt JD (2005) Epigenetic mechanisms in memory formation. Nat Rev Neurosci 6: 108- 118.
・Lue LF, Kuo YM, Roher AE, Brachova L, Shen Y, Sue L, Beach T, Kurth JH, Rydel RE, Rogers J (1999). Soluble amyloid beta peptide concentration as a predictor of synaptic change in Alzheimer's disease. Am J Patho 155: 853-862.
・ Maestri NE, Brusilow SW, Clissold DB, Bassett SS (1996). Long-term treatment of girls with ornithine transcarbamylase deficiency. N Engl J Med 335:855 - 859.
・Masatoshi I, Yoshihisa K, Hiroki T, Takashi Y, Kazuyuki T, Yuka K, Takashi T, Kanji Y, Masahiko K, Yasunobu 0, Takahiro T, Hiroyoshi A, Shun S (2007). Neurodegeneration of mouse nigrostriatal dopaminergic system induced by repeated oral administration of rotenone is prevented by 4-phenylbutyrate, a chemical chaperone, Jour of Neurochem 101: 1491- 1504.
・McLean CA, Cherny RA, Fraser FW, Fuller SJ, Smith MJ, Beyreuther K, Bush Al, Masters CL (1999). Soluble pool of Abeta amyloid as a determinant of severity of neurodegeneration in Alzheimer's disease. Ann Neurol 46: 860-866.
・Mercuri E, Bertini E, Messina S, Pelliccioni M, D' Amico A, Colitto F, et al., (2004). Pilot trial of phenylbutryrate in spinal muscular atrophy. Neuromuscul Disord 14 (2): 130 - 135.
・Mercuri E, Bertini E, Messina S, Solari A, D'Amico A, Angelozzi C, et al., (2007). Randomized, double-bind, placebo-controlled trial of phenylbutyrate in spinal muscular atrophy. Neurol 68 (1): 51- 55.
・Nishitoh H, Matsuzawa A, Tobiume K, Saegusa K, Takeda K, Inoue K, Hori S, Kakizuka A, Ichijo H (2002). ASK1 is essential for endoplasmic reticulum stress-induced neuronal cell death triggered by expanded polyglutamine repeats. Genes Dev 16: 1345 -55.
・Petri s, Kiaci M, Kipani K, Chen J, Calingasan NY, Crow JP, et al., (2006). Additive neuroprotective effects of a histone deacetylase inhibitor and a catalytic antioxidant in a transgenic mouse model of amyotrophic lateral sclerosis. Neurol Dis 22 (1): 40-49.
・Qi X, Hosoi T, Okuma Y, Kaneko M, Nomura Y (2004). Sodium 4 phenylbutyrate protects against cerebral ischemic injury. Mol Pharmacol 66: 899-8908.
・Ribe EM, Perez M, Puig B, Gich Y, Lim F, Cuadrado M, Sesma T, Catena S, Sanchez B, Nieto M, Gomez-Ramos P, Moran MA, Cabodevilla F, Samaranch L, Ortiz L, Perez A, Ferrer I, Avila J, Gomez-Isla T (2005). Accelerated amyloid deposition, neurofibrillary degeneration and neuronal loss in double mutant APP/tau transgenic mice. Neurobiol Dis 20: 814-822.
・Roberson ED, Scearce-Levie K, Palop JJ, Yan F, Cheng lH, Wu T, Gerstein H, Yu GQ, Mucke L (2007). Reducing endogenous tau ameliorate amyloid beta-induced deficits in an Alzheimer's disease mouse model. Science 316:750-754.
・Rubenstein RC, Zeitlin PL (2000). Sodium 4-phenylbutyrate downregulates Hsc70: implications for intracellular trafficking of DeltaF508-CFTR. Am J Physiol Cell Physiol 278: 259 - 267.
・Ryu EJ, Harding HP, Angelastro JM, Vitolo OV, Ron D, Greene L (2002). Endoplasmic reticulum stress and the unfolded protein response in cellular models of Parkinson's disease. J Neurosci 22: 10690 - 10698.
・Ryu H, Smith K, Camelo SI, Carreras I, Lee J, Iglesias AH, Dangond F, Cormier KA, Cudkowicz ME, Brown RH Jr, Ferrante RJ (2005). Sodium phenylbutyrate prolongs survival and regulates expression of anti-apoptotic genes in transgenic amyotrophic lateral sclerosis mice. J Neurochem 93: 1087- 1098.
・Sato S, Ward CL, Krouse ME, Winc JJ, Kopito RR (1996) Glycerol reverses the misfolding phenotype of the most common cystic fibrosis mutation. J Biol Chem 271:635-638.
・Selkoe DJ(2004). Cell biology of protein misfolding: the examples of Alzheimer's and Parkinson's diseases, Nat Cell Biol 6: 1054-1061.
・Steffan JS, Bodai L, Pallos J, Poelman M, McCampbell A, Apostol BL, Kazantsev A, Schmidt E, Zhu YZ, Greenwald M, Kurokawa R, Housman DE, Jackson GR, Marsh JL, Thompson LM (2001). Histone deacetylase inhibitors arrest polyglutamine-dependent neurodegeneration in Drosophila. Nature 413:739-743.
・Tully T, Bourtchouladze A, Scott R, Tallman J (2003). Targeting the CREB pathway for memory enhancers. Nat Rev Drug Discov 2: 267-277.
・WO/1999/026657. Inderjit, S. (1999). Inhibitors of nitric oxide synthase.
【図1−1】

【図1−2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病の予防および/または処置において使用するための4-フェニル酪酸(4PBA)またはその医薬上許容し得る塩。
【請求項2】
アルツハイマー病の予防および/または処置のための医薬を製造するための、4PBAまたはその医薬上許容し得る塩の使用。
【請求項3】
4PBAの医薬上許容し得る塩が4PBAのナトリウム塩である、請求項1または2に記載の4PBA。
【請求項4】
アルツハイマー病の予防および/または処置において使用するための4PBAナトリウム塩および医薬上許容し得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項5】
第一有効成分としての4PBAまたはその医薬上許容し得る塩のいずれか一つ、脳のβ-アミロイド沈着物の排出するための誘導剤または促進剤である第二有効成分、および医薬上許容し得る担体を含むことを特徴とする、医薬組合せ。
【請求項6】
第一成分として4PBAのナトリウム塩を含む、請求項5に記載の組合せ。
【請求項7】
脳のβ-アミロイド沈着物の排出誘発剤が金属キレート剤である、請求項5または6に記載の組合せ。
【請求項8】
金属キレート剤がクリオキノールである、請求項7に記載の組合せ。
【請求項9】
脳のβ-アミロイド沈着物の排出誘発剤が異化酵素である、請求項5または6に記載の組合せ。
【請求項10】
誘発剤がIDEインスリン分解酵素またはネプリライシンである、請求項9に記載の組合せ。
【請求項11】
脳のβ-アミロイド沈着物の排出誘発剤がセレブロリシンである、請求項9または10に記載の組合せ。
【請求項12】
脳のβ-アミロイド沈着物の排出誘導剤がニトロフェノールである、請求項9または10に記載の組合せ。
【請求項13】
ニトロフェノールが、2,4−ジニトロフェノールまたは3−ニトロフェノールである、請求項12に記載の組合せ。
【請求項14】
アルツハイマー病の予防または処置における使用のための、請求項5-13いずれか記載の医薬組合せ。
【請求項15】
アルツハイマー病を予防または処置するための方法であって、該予防または処置が必要な患者に、医薬上有効な量の4PBAまたはその医薬上許容し得る塩、または請求項5-13いずれか記載の医薬組合せを投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2011−518119(P2011−518119A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550224(P2010−550224)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【国際出願番号】PCT/ES2009/000121
【国際公開番号】WO2009/112609
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(506061716)プロイェクト、デ、ビオメディシナ、シーマ、ソシエダッド、リミターダ (34)
【氏名又は名称原語表記】PROYECTO DE BIOMEDICINA CIMA, S.L.
【Fターム(参考)】