説明

4−置換−2−フェノキシ−フェニルアミンデルオピオイド受容体調節因子

開示されたものは、疼痛を含む、様々な疾患、症候群、病的状態及び障害を処置するための化合物、組成物及び方法である。このような化合物は以下のように式(I)で表わされる:
【化1】


(式中、R1、R2、R3、Ra、及びYは、本明細書に定義される通りである)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる、2009年10月30日出願の米国仮出願第61/256,412号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、式(I)の新規オピオイド受容体調節因子を目的とする。本発明は、更に、かかる化合物を調製するための方法、それを含有する医薬組成物、及びオピオイドにより調節される障害の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
用語「アヘン剤」は、アヘンに由来する薬理活性アルカロイド類、例えば、モルヒネ、コデイン、及びモルヒネの多くの半合成同族体を指定するために用いられている。モルヒネ様作用を有するペプチド化合物の単離後、モルヒネ様作用を有する全ての薬物を総称するためにオピオイドという用語が導入された。オピオイドの中には、エンドルフィン、エンケファリン、及びダイノルフィン等のモルヒネ様活性を呈する様々なペプチドが含まれる。しかし、幾つかの情報源は、「アヘン剤」という用語を一般的な意味で用いており、このような文脈では、アヘン剤及びオピオイドは互換可能である。更に、オピオイドという用語は、モルヒネ様薬物のアンタゴニストに言及するために、並びにかかる剤に結合する受容体又は結合部位を特徴付けるために用いられている。
【0004】
オピオイドは、一般的に、鎮痛剤として使用されているが、更に多くの他の薬理学的効果を有している場合もある。モルヒネ及び関連するオピオイドは、中枢神経及び消化器系に対して特定の主な効果をもたらす。その効果は多様であり、例えば、鎮痛、傾眠、気分変動、呼吸抑制、目眩、意識混濁、不快、掻痒、胆管の圧力上昇、胃腸運動の低下、悪心、嘔吐、並びに内分泌腺及び自律神経系の変化を含む。
【0005】
治療用量のモルヒネが疼痛を有する患者に投与されると、患者は、疼痛の強度が低下したり、不快感が減少したり、又は全体的に消滅したりすると報告する。苦痛の軽減を経験することに加えて、一部の患者は強い高揚感を覚える。しかし、選択された疼痛軽減用量のモルヒネを疼痛を有しない個体に投与した場合、常に快感が得られる訳ではなく、悪心は一般的であり、嘔吐が生じる場合もある。傾眠、集中力の低下、精神機能の困難、感情鈍麻、身体活動の減少、視力の低下、及び昏睡が結果として生じる場合もある。
【0006】
2つの特徴的な分類のオピオイド分子は、オピオイド受容体:オピオイドペプチド(例えば、エンケファリン、ダイノルフィン、及びエンドルフィン)及びアルカロイドアヘン剤(例えば、モルヒネ、エトルフィン、ジプレノルフィン、及びナロキソン)に結合することができる。アヘン剤結合部位の最初に実証(Pert,C.B.and Snyder,S.H.,Science(1973)179:1011〜1014)に続いて、オピオイドペプチド類似体及びアルカロイドアヘン剤の両方の様々な薬理学的及び生理学的効果が、複数のオピオイド受容体を描写する役割を果たした。したがって、3つの分子的及び薬理学的に異なるオピオイド受容体の種類:デルタ、カッパ、及びミューが記載されている。更に、各種類は、サブタイプを有すると考えられる(Wollemann,M.,J Neurochem(1990)54:1095〜1101;Lord,J.A.ら、Nature(1977)267:495〜499)。
【0007】
これらオピオイド受容体の3つ全ての種類は、細胞レベルでは同じ機能機序を共有していると思われる。例えば、オピオイド受容体は、アデニル酸シクラーゼの阻害、並びにカリウムチャネルの活性化及びCa2+チャネルの阻害の両方を介した神経伝達物質の放出の阻害を引き起こす(Evans,C.J.,In:Biological Basis of Substance Abuse,S.G.Korenman & J.D.Barchas,eds.,Oxford University Press(in press);North,A.R.ら、Proc Natl Acad Sci USA(1990)87:7025〜29;Gross,R.A.ら、Proc Natl Acad Sci USA(1990)87:7025〜29;Sharma,S.K.ら、Proc Natl Acad Sci USA(1975)72:3092〜96)。機能機序は同じであるが、受容体選択的薬物の行動的発現は大きく異なる(Gilbert,P.E.& Martin,W.R.,J Pharmacol Exp Ther(1976)198:66〜82)。かかる差は、異なる受容体の解剖学的部位に部分的に起因している可能性がある。
【0008】
デルタ受容体は、ミュー又はカッパ受容体のいずれかよりも哺乳類のCNS内により離散して分布しており、扁桃体、線条体、黒質、嗅球、嗅結節、海馬体、及び大脳皮質において高濃度である(Mansour,A.ら、Trends in Neurosci(1988)11:308〜14)。ラットの小脳は、デルタオピオイド受容体を含むオピオイド受容体を著しく欠いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
鎮痛剤としての新規デルタオピオイド受容体調節因子が継続して必要とされている。更に、副作用の少ない鎮痛剤としてのデルタオピオイド受容体選択的アゴニストが必要とされている。また、副作用の少ない免疫抑制剤、抗炎症剤、神経学的及び精神医学的症状を治療するための剤、泌尿器及び生殖器の症状を治療するための剤、薬物依存症(drug abuse)及びアルコール依存症(alcohol abuse)用の薬剤、胃炎及び下痢を治療するための剤、心臓血管系剤、及び呼吸器疾患を治療するための剤としてのデルタオピオイドアンタゴニストが必要とされている。
【0010】
鎮痛剤としての新規オピオイド受容体調節因子が継続して必要とされている。更に、副作用の少ない鎮痛剤としてのデルタ及びミューオピオイド受容体アゴニストが必要とされている。更に、疼痛、免疫機能、食道逆流、及び咳を治療するための、副作用の少ない鎮痛剤としてのミューオピオイド受容体アゴニストが必要とされている。また鎮痛剤、呼吸器疾患を治療するための剤、心臓血管系剤、泌尿器障害を治療するための剤、並びに神経学的及び精神医学的症状を治療するための剤としてのデルタオピオイド受容体アゴニストが必要とされている。更に、二重デルタオピオイド受容体/ミューオピオイド受容体アゴニストが必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、式Iの化合物:
【0012】
【化1】

(式中、
1は、以下のi)〜viii)からなる群から選択される:
i)ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニルが1つしか存在しないように、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、ヒドロキシ、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、クロロ、及びフルオロからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニル;
ii)ナフチル;
iii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iv)ピリミジン−5−イル;
v)フラニル;
vi)チエニル;
vii)5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル;並びに
viii)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
ただし、R1が5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルであるとき、Yは結合であり;
Yは、エチル、ビニル、又は結合である;
あるいは、R1が必要により置換されるフェニルであるとき、YはOであり;
2は必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、フルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメトキシ、及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニルである;
あるいは、R2は、1つのアミノカルボニル、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、C1〜4アルコキシカルボニル、又はカルボキシ置換基で置換されるフェニルであり;
3は、以下のi)〜xi)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;
iii)ピペリジン−3−イル;
iv)ピペリジン−4−イル;
v)ピロリジン−2−イルが、必要により3又は4位が1〜2つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
vi)アゼチジン−3イルメチル;
vii)2−(N−メチルアミノ)エチル;
viii)3−ヒドロキシ−2−アミノ−プロピル;
ix)ピペリジン−3−イルメチル;
x)1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル;及び
xi)8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、必要により4−C1〜4アルキルで置換されるピペラジニルを形成し;
aは、水素、2−(N−メチルアミノ)エチル、又は必要によりアゼチジン−3イルで置換されるC1〜2アルキルである);
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び医薬的に許容され得る塩を目的とする。
【0013】
また、本発明は、医薬的に許容できる担体と、式(I)の化合物又はその医薬的に許容され得る塩とを含む医薬組成物を目的とする。
【0014】
また、式(I)の化合物と医薬的に許容できる担体とを混合することを含む医薬組成物を製造するプロセスを提供する。
【0015】
本発明は、更に、オピオイド受容体により調節される障害を治療するか又は寛解させる方法を目的とする。具体的には、本発明の方法は、炎症性疼痛、中枢を介する疼痛、末梢を介する疼痛、内臓痛、構造に関連する疼痛、癌/痛、軟組織損傷に関連する疼痛、進行性疾患に関連する疼痛、神経因性疼痛及び急性損傷に起因する急性疼痛、外傷に起因する急性疼痛、手術に起因する急性疼痛、頭痛に起因する慢性疼痛、神経学的症状に起因する慢性疼痛、卒中後の症状に起因する慢性疼痛及び偏頭痛に起因する慢性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない、オピオイド受容体により調節される障害を治療するか又は寛解させる方法を目的とする。
【0016】
また、本発明は、本化合物、並びにその医薬組成物及び薬剤を生産する方法を提供する。
【0017】
本明細書で使用するとき、以下の用語は以下の意味を有することを意図する。
【0018】
「Ca〜b」(式中、a及びbは整数である)は、a〜b個の炭素原子を包括的に含むラジカルを指す。例えば、C1〜3は、1個、2個又は3個の炭素原子を含むラジカルを意味する。
【0019】
置換基に関して、用語「独立して」は、1つ超のこのような置換基が可能であるとき、このような置換基は、互いに同一でも、又は異なってもよいことを意味する。したがって、炭素原子の指定された数(例えばC1〜8)は、アルキル又はシクロアルキル部分における炭素原子の数、又はアルキルが接頭辞の語根(root)として現れる大きな置換基のアルキル部分を、独立して指すものとする。
【0020】
本明細書に使用するとき、特に注記がない限り、「アルキル」は、単独で使用されるか置換基の一部であるかを問わず、1〜8個の炭素原子、又はこの範囲の任意の数を有する、直鎖及び分枝炭素鎖を指す。用語「アルコキシ」は、−Oアルキル置換基を指し、ここで、アルキルは、上記に定義されている。同様に、用語「アルケニル」及び「アルキニル」は2〜8個の炭素原子、又はこの範囲の任意の数を有する、直鎖及び分枝炭素鎖を指し、ここで、アルケニル鎖は鎖中に少なくとも1つの二重結合を有し、アルキニル鎖は鎖中に少なくとも1つの三重結合を有する。アルキル及びアルコキシ鎖は、炭素原子上に置換され得る。例えば、(C1〜6アルキル)2アミノ−のような複数のアルキル基を有する置換基の場合、ジアルキルアミノのC1〜6アルキル基は、同一でも又は異なってもよい。
【0021】
「ハロゲン化アルキル」は、親アルカンから水素原子を1つ除去することによって誘導される分枝状又は直鎖の飽和アルキルラジカルを指し、その親アルキル鎖は、1つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換された1〜8個の炭素原子を含有し、最大で全ての水素原子がハロゲンで置換されているものを含む。好ましいハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル置換アルキル、ジフルオロメチル置換アルキル、及びペルフルオロ化アルキルが挙げられ、より好ましいフッ素化アルキルとしては、トリフルオロメチル及びジフルオロメチルが挙げられる。
【0022】
「ハロゲン化アルコキシ」はハロゲン化アルキルから誘導されるラジカルを指し、ラジカルが酸素原子に結合しており、その酸素原子には親構造に結合するための空いた価数が1つある。
【0023】
用語「シクロアルキル」は、飽和又は部分的に不飽和の、3〜20個の炭素原子員の(好ましくは3〜14個の炭素原子員の)単環式又は多環式の炭化水素を指す。このような基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル又はアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。用語シクロアルキルとしては、ベンゼン環(ベンゾ縮合シクロアルキル)、又は5若しくは6員のヘテロアリール環(O、S又はNを1つ含み、必要により窒素を更に1つ含む)に縮合して、ヘテロアリール縮合シクロアルキルを形成するシクロアルキル環が挙げられる。
【0024】
用語「ヘテロシクリル」は、1〜4員が窒素である5〜10員の非芳香族単環、又は0、1若しくは2員が窒素であり、最大2員が酸素又は硫黄である5〜10員の非芳香族単環を指し、必要によりその環は0、1又は2つの不飽和結合を含有する。用語「ヘテロシクリル」としては、ベンゼン環(ベンゾ縮合ヘテロシクリル)、5又は6員のヘテロアリール環(O、S又はNを1つ含み、必要により窒素を更に1つ含む)、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル環、5〜7員のヘテロシクリル環(上記と同じ定義であるが、更に縮合した環の選択肢が存在しないもの)に縮合するか、あるいはシクロアルキル、シクロアルケニル又はヘテロシクリル環が結合した炭素と縮合してスピロ部分を形成するヘテロシクリル環が挙げられる。本発明の本化合物については、ヘテロシクリル環を形成する炭素原子環員は完全に飽和している。本発明の他の化合物は、部分的に飽和したヘテロシクリル環を有してよい。更に、ヘテロシクリルには、架橋されて二環式環を形成するヘテロシクリル環が含まれる。部分的に飽和したヘテロシクリル環の好ましいものは、1〜2つの二重結合を有し得る。このような化合物は完全に芳香族であるとは見なされず、ヘテロアリール化合物を指すものではない。ヘテロシクリル基の例としては、ピロリニル(2H−ピロール、2−ピロリニル又は3−ピロリニル)、ピロリジニル、2−イミダゾリニル、イミダゾリジニル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
用語「アリール」は、6炭素員の不飽和芳香族単環、又は10〜14炭素員の不飽和芳香族多環を指す。このようなアリール環の例としては、フェニル、ナフタレニル又はアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施に好ましいアリール基は、フェニル及びナフタレニルである。
【0026】
用語「ヘテロアリール」は、5又は6員の芳香環であり、その環が炭素原子を含み、少なくとも1つのヘテロ原子員を有するものを指す。好適なヘテロ原子としては、窒素、酸素又は硫黄が挙げられる。5員環の場合、ヘテロアリール環は、窒素、酸素又は硫黄の1員を含み、加えて最高3つの追加の窒素を含んでよい。6員環の場合、ヘテロアリール環は、1〜3個の窒素原子を含有してもよい。6員環が3つの窒素を有する場合、最高2個の窒素原子が隣接する。用語「ヘテロアリール」には、ベンゼン環に縮合したヘテロアリール環(ベンゾ縮合ヘテロアリール)、5又は6員のヘテロアリール環(O、S又はNを1つ含み、必要により窒素を更に1つ含む)、5〜7員のシクロアルキル環、あるいは5〜7員のヘテロシクリル環(上記と同じ定義であるが、更に縮合した環の選択肢が存在しないもの)が挙げられる。ヘテロアリール基の例としては、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル又はピラジニルが挙げられるが、これらに限定されず、縮合ヘテロアリール基としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル又はキナゾリニルが挙げられる。
【0027】
用語「アリールアルキル」は、アリール基で置換されたアルキル基を意味する(例えば、ベンジル、フェネチル)。同様に、用語「アリールアルコキシ」は、アリール基で置換されたアルコキシ基を指す(例えば、ベンジルオキシ)。
【0028】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。複数のハロゲンで置換される置換基は、安定な化合物を提供する方法で置換される。
【0029】
用語「ビニル」は、2つの炭素の不飽和リンカーであって、この不飽和が前記2つの炭素原子間で二重結合である不飽和リンカーを指す。2つの置換基がビニルリンカーに存在する場合、この置換は、1,2−構成になるように隣接する炭素原子において結合すると理解される。
【0030】
単独又は置換基の一部として使用される用語「オキソ」は、炭素又はイオウ原子のどちらかと結合するO=を指す。例えば、フタルイミド及びサッカリンは、オキソ置換基を有する化合物の例である。
【0031】
用語「アルキル」若しくは「アリール」又はその接頭辞の語根(root)のいずれかが、置換基(例えば、アリールアルキル、アルキルアミノ)の名称に現れる場合はいつでも、それは「アルキル」及び「アリール」について上述した限定を含むものとして解釈すべきである。炭素原子(例えば、C1〜C6)の指定した数は、独立して、アルキル部分、又はアルキルがその接頭辞の語根として現れる、より大きな置換基のアルキル部分の炭素原子の数を指すべきである。アルキル及びアルコキシ置換基については、炭素原子の指定した数は、個々に特定の範囲に含まれる独立した員の全て、及び特定の範囲内の組み合わせの全てを含む。例えば、C1〜6アルキルは、個別に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル、並びにこれらの下位の組み合わせ(sub-combinations)(例えば、C1〜2、C1〜3、C1〜4、C1〜5、C2〜6、C3〜6、C4〜6、C5〜6、C2〜5など)を含む。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「被験体」は、治療、観察又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「治療上有効な量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められている、処置される疾患又は障害の症状の緩和を含む組織系、動物又はヒト内で生体学的反応又は医薬反応を引き出す活性化合物又は医薬的薬剤の量を意味する。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む製品、及び特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に得られる任意の製品を包含することを意図する。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「アシル」はアルキルカルボニル置換基を指す。
【0036】
本開示全体にわたって、指定される側鎖の末端部が最初に記載され、結合点に向かって隣接する官能基が続く。したがって、例えば、「フェニル(C1〜6)アルキルアミノカルボニル(C1〜6)アルキル」置換基は、次の式の基を指す:
【0037】
【化2】

【0038】
特に注記がない限り、分子内の特定の位置におけるいずれの置換基又はその変形物の定義は、同一分子内の他の位置におけるその定義とは独立していることが意図されている。式(I)の化合物における置換基及び置換様式は、当業者により、化学的に安定であり、当技術分野において周知の技術及び同時に本明細書において規定される方法によって容易に合成できる化合物を提供するために選択できることは理解されるべきである。
【0039】
本発明の目的のために、用語「オピオイド受容体により調節される」は、オピオイド受容体の調節により影響を受ける症状を指すために用いられ、オピオイド受容体により媒介される状態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本発明の実施形態は、式(I)の化合物:
【0041】
【化3】

(式中、
a)R1は、以下のi)〜viii)からなる群から選択される:
i)ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニルが1つしか存在しないように、必要によりC1〜4アルコキシ、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、及びフルオロからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニル;
ii)ナフチル;
iii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iv)ピリミジン−5−イル;
v)フラニル;
vi)チエニル;並びに
vii)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
b)R1は、以下のi〜iv)からなる群から選択される:
i)必要によりC1〜4アルコキシ、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、及びフルオロからなる群から選択される1つの置換基で置換されるフェニル;
ii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iii)ピリミジン−5−イル;並びに
iv)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
c)R1は、以下のi)〜iv)からなる群から選択される:
i)必要により1つのメトキシ置換基で置換されるフェニル;
ii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iii)ピリミジン−5−イル;並びに
vi)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
d)Yは、ビニル又は結合である;あるいはR1が必要により置換されるフェニルであるとき、YはOであり;
e)Yは、ビニル又は結合であり;
f)R2は、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、フルオロ、クロロ、及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニルである;
あるいは、R2は、1つのアミノカルボニル又はジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル置換基で置換されるフェニルであり;
g)R2は、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニルである;
あるいは、R2は、1つのアミノカルボニル又はジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル置換基で置換されるフェニルであり;
h)R2は、必要によりメトキシ、ヒドロキシ、アミノカルボニル、及びジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニルからなる群から独立して選択される1つの置換基で置換されるフェニルであり;
i)R3は、以下のi)〜vi)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;
iii)ピロリジン−2−イルが、必要により3又は4位が1〜2つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
iv)2−(N−メチルアミノ)エチル;
v)ピペリジン−3−イルメチル;及び
vi)1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジニルを形成し;
j)R3は、以下のi)〜iii)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;及び
iii)ピロリジン−2−イルが、必要により3又は4位が1つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジニルを形成し;
k)Raは、水素又はC1〜2アルキルであり;
l)Raは、水素である;
並びに、上記実施形態a)〜l)の任意の組み合わせであるが、ただし、同一置換基の異なる実施形態を組み合わせる組み合わせは除外される);並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、及び医薬的に許容され得る塩を含む。
【0042】
本発明の更なる実施形態は、式(I)の化合物:
【0043】
【化4】

(式中、
1は、以下のi)〜vii)からなる群から選択される:
i)ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニルが1つしか存在しないように、必要によりC1〜4アルコキシ、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、及びフルオロからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニル;
ii)ナフチル;
iii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iv)ピリミジン−5−イル;
v)フラニル;
vi)チエニル;並びに
vii)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
Yは、ビニル又は結合である;あるいは、R1が必要により置換されるフェニルであるとき、YはOであり;
2は、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、フルオロ、クロロ、及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニルである;
あるいは、R2は、1つのアミノカルボニル又はジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル置換基で置換されるフェニルであり;
3は、以下のi)〜vii)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;
iii)ピロリジン−2−イルが、必要により3又は4位が1〜2つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
v)2−(N−メチルアミノ)エチル;
vi)ピペリジン−3−イルメチル;及び
vii)1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジニルを形成し;
aは、水素又はC1〜2アルキルである);
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び医薬的に許容され得る塩を含む。
【0044】
本発明の更なる実施形態は、式(I)の化合物:
【0045】
【化5】

(式中、
1は、以下のi)〜iv)からなる群から選択される:
i)必要によりC1〜4アルコキシ、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、及びフルオロからなる群から選択される1つの置換基で置換されるフェニル;
ii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iii)ピリミジン−5−イル;並びに
iv)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
Yは、ビニル又は結合であり;
2は、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニルである;
あるいは、R2は、1つのアミノカルボニル又はジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル置換基で置換されるフェニルであり;
3は、以下のi)〜vii)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;
iii)ピロリジン−2−イルが、必要により炭素原子が1〜2つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
v)2−(N−メチルアミノ)エチル;
vi)ピペリジン−3−イルメチル;及び
vii)1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジニルを形成し;
aは水素である);
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び医薬的に許容され得る塩を含む。
【0046】
本発明の更なる実施形態は、式(I)の化合物:
【0047】
【化6】

(式中、
1は、以下のi)〜iv)からなる群から選択される:
i)必要により1つのメトキシ置換基で置換されるフェニル;
ii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iii)ピリミジン−5−イル;並びに
iv)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
Yは、ビニル又は結合であり;
2は、必要によりメトキシ、ヒドロキシ、アミノカルボニル、及びジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニルからなる群から独立して選択される1つの置換基で置換されるフェニルであり;
3は、以下のi)〜iii)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;
iii)ピロリジン−2−イルが、必要により炭素原子が1つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジニルを形成し;
aは水素である);
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び医薬的に許容され得る塩を含む。
【0048】
本発明の更なる実施形態は、式(I)の化合物:
【0049】
【化7】

であって、R1が2−(N,N−ジエチルアミノカルボニル)であり、Yが(E)−ビニルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−(N,N−ジエチルアミノカルボニル)であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−(4−メトキシ−フェニル)であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−(3−メトキシ−フェニル)であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−フェニル、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−(4−フルオロ−フェニル)であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−(3−フルオロ−フェニル)であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−[3−(N,N−ジエチルアミノカルボニル)フェニル]であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がN,N−ジエチルアミノカルボニルであり、Yが結合であり、R2がフェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がN,N−ジエチルアミノカルボニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がN,N−ジエチルアミノカルボニルであり、Yが結合であり、R2が2−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−シアノ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−シアノ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2がフェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−フルオロ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−トリフルオロメトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が2,6−ジクロロ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が2−(N−メチルアミノ)エチルであり、RaがHである化合物;
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシカルボニル−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−メトキシカルボニル−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が2,4−ジクロロ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピペリジン−4−イルであり、RaがHである化合物;
1が5−シアノ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S,4R)
1が5−フルオロ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S,4R)
1が5−メチルチオ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S,4R)
1が5−メトキシ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S,4R)
1が5−メチル−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S,4R)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−アミノカルボニル−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−アミノカルボニル−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−カルボキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−カルボキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−(N,N−ジエチルアミノカルボニル)フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−(N,N−ジエチルアミノカルボニル)フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がナフタレン−2−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がナフタレン−1−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がピリジン−4−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフラン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がチオフェン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がピリミジン−5−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が5−フルオロ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が5−シアノ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−ヒドロキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がこれら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジン−1−イルを形成する化合物;
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がこれら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、4−メチル−ピペラジン−1−イルを形成する化合物;
1が5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、Raがエチルである化合物;(2S)
1が5−フルオロ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、Raがエチルである化合物;(2S)
1がピリミジン−5−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、Raがエチルである化合物;(2S)
1が5−シアノ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、Raがエチルである化合物;(2S)
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピペリジン−3−イルであり、RaがHである化合物;ラセミ化合物
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が3−ヒドロキシ−2(R)−アミノ−プロピルであり、RaがHである化合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピペリジン−4−イルであり、RaがHである化合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イルであり、RaがHである化合物;エンド/エキソ異性体の混合物
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がアゼチジン−3−イル−メチルであり、RaがHである化合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がアゼチジン−3−イル−メチルであり、Raがアゼチジン−3−イル−メチルである化合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イルであり、RaがHである化合物;エンド/エキソ異性体の混合物
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピペリジン−3−イルメチルであり、RaがHである化合物;ラセミ化合物
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が3−アミノ−シクロヘキシルであり、RaがHである化合物;4つの異性体の混合物
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が2−(N−メチルアミノ)エチルであり、RaがHである化合物;並びに
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が2−(N−メチルアミノ)エチルであり、Raが2−(N−メチルアミノ)エチルである化合物からなる群より選択される、化合物;
並びに、その医薬的に許容され得る塩。
【0050】
薬剤における使用に関して、式(I)の化合物の塩は、非毒性の「医薬的に許容され得る塩」を指す。しかしながら他の塩も式(I)の化合物又はその医薬的に許容され得る塩の調製に有用である場合がある。式(I)の化合物の適切な医薬的に許容され得る塩としては、例えば、化合物の溶液を、塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸のような医薬的に許容され得る酸の溶液と混合することにより形成される酸付加塩が挙げられる。
【0051】
更に式(I)の化合物が酸性部分を持つ場合、その適切な医薬的に許容され得る塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウム若しくはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム若しくはマグネシウム塩;及び適切な有機リガンドと形成される塩、例えば四級アンモニウム塩を含むことができる。このように代表的な医薬的に許容され得る塩としては以下が挙げられる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート(estolate)、エシレート(esylate)、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコーリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフタレン酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムコ酸塩、ナプシレート、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩。
【0052】
医薬的に許容される塩の調製に使用され得る代表的な酸及び塩基としては以下が挙げられる:酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシルスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミトリン酸、パモ酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバイン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸及びウンデシレン酸を含む酸、
並びにアンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン及び水酸化亜鉛を含む塩基。
【0053】
本発明の実施形態は、式(I)の化合物のプロドラッグを含む。一般に、かかるプロドラッグは、インビボで必要な化合物に容易に変換され得る化合物の機能的誘導体である。したがって、本発明の実施形態の治療の方法においては、用語「投与する」は、具体的に開示された化合物又は具体的には開示されていないが、患者に投与後に、インビボにおいて特定の化合物に転化される化合物と共に記載される様々な障害の治療を包含する。好適なプロドラッグ誘導体の選択及び調製に関する従来の手順は、例えば、「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard編、Elsevier,1985に述べられている。
【0054】
本発明の実施形態に従う化合物は少なくとも1個のキラル中心を有し、したがってそれらはエナンチオマーとして存在する。化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、それらは更にジアステレオマーとして存在することができる。全てのそのような異性体及びその混合物が本発明の範囲に包含されることが理解されるべきである。更に、その化合物に関する結晶形態の一部は、多形体として存在でき、したがってこのようなものも本発明に含まれるものとする。加えて、化合物の中には水(すなわち水和物)又は一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成できるものもあり、そのような溶媒和物も本発明の範囲に包含されるものとする。当業者は、本明細書で用いる用語「化合物」が、式Iの化合物の溶媒和物を含むことを理解するであろう。
【0055】
本発明の特定の実施形態に従う化合物の調製のプロセスが、立体異性体の混合物を生じさせる場合は、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーなどの従来技術により分離することができる。化合物はラセミ体で調製してもよく、又は個々のエナンチオマーをエナンチオ特異的合成、又は分割のいずれかにより調製してもよい。化合物は、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−d−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−l−酒石酸のような光学的に活性な酸と共に塩を形成することによりジアステレオマー対を形成した後、分別結晶化及び遊離塩基の再生を行うような、標準的な技術により、その成分であるエナンチオマーに分割することができる。化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドの形成と、その後のクロマトグラフ分離及びキラル補助基の除去により分割することもできる。あるいは、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割してもよい。
【0056】
本発明の一実施形態は、式(I)の化合物の(+)− −エナンチオマーを含む組成物を目的とし、この組成物は、前記化合物の(−)−異性体を実質的に含まない。本明細書の文脈における「実質的に含まない」とは、下式により求められる(−)−異性体が25%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、更により好ましくは2%未満、及び更により好ましくは1%未満であることを意味する。
【0057】
【数1】

【0058】
本発明の別の実施形態は、式(I)の化合物の(−)−エナンチオマーを含む組成物であり、この組成物は前記化合物の(+)−異性体を実質的に含まない。本明細書の文脈における「実質的に含まない」とは、下式により求められる(+)−異性体が25%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、更により好ましくは2%未満、及び更により好ましくは1%未満であることを意味する。
【0059】
【数2】

【0060】
本発明の実施形態の化合物の調製のいずれのプロセスの間、関係するいずれかの分子の感受性又は反応性基を保護することが必要であり及び/又は望ましい。これは、Protective Groups in Organic Chemistry(J.F.W.McOmie編、Plenum Press,1973)、及びProtective Groups in Organic Synthesis(T.W.Greene & P.G.M.Wuts、John Wiley & Sons,1991)に記載されるような、従来の保護基による手法で実施することができる。保護基は、当該技術分野において既知の方法を用いて、都合のよいその後の段階で除去してよい。
【0061】
本発明の実施形態の化合物(その医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る溶媒和物を含む)は、単独で投与することができるにもかかわらず、それらは、一般には、目的とする投与経路及び標準的な薬務に関連して選択される、医薬担体、賦形剤又は希釈剤との混合物で投与される。したがって、本発明の特定の実施形態は、式(I)の化合物と、1つ以上の医薬的に許容できる担体、賦形剤、又は希釈剤とを含む医薬組成物を目的とする。
【0062】
一例として、本発明の実施形態の医薬組成物及び獣医学的組成物では、式(I)の化合物は、任意の適切な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、及び/又は可溶化剤と混合することができる。
【0063】
化合物の錠剤又はカプセルを、必要に応じて、1つずつ、又は同時に2つ若しくはそれ以上投与してもよい。徐放性製剤として化合物を投与することも可能である。
【0064】
代替的に、式(I)の化合物は、吸入(気管内又は経鼻的に)により投与することができ、あるいは座薬若しくはペッサリーの形態で、又は局所的にローション、溶液、クリーム、軟膏若しくは散布剤の形態で塗布することができる。例えば、それらは、ポリエチレングリコールの水性エマルション又は液体パラフィンから構成されるクリームに組み込むことができる。それらはまた、1重量%〜10重量%の濃度で、白ろう又は白色ワセリンベースを含む軟膏に、必要とされているとき、このような安定剤及び防腐剤と共に組み込むことができる。経皮投与の代替手段は、皮膚貼付剤の使用によるものである。
【0065】
一部の用途では、好ましくは、組成物は、デンプン又はラクトースのような賦形剤を含有する錠剤の形態で、又は単独若しくは賦形剤との混合物のいずれかでカプセル若しくは卵形剤(ovule)で、又は着香剤若しくは着色剤を含有するエリキシル剤、溶液若しくは懸濁液の形態で、経口的に投与される。
【0066】
組成物(及び化合物単独)は、非経口的に、例えば空洞内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、又は髄腔内に注入することができる。この場合、組成物は、好適な担体又は希釈剤を含む。
【0067】
非経口投与では、組成物は、血液と等張な溶液を製造するために、例えば十分な塩又は単糖などの他の物質を含有してもよい、無菌水溶液の形態で用いられるのが最良である。
【0068】
口腔投与又は舌下投与では、組成物は、従来の方式で配合できる、錠剤又はロゼンジ剤の形態で投与されてもよい。
【0069】
更なる例として、活性成分として式(I)の1種以上の化合物を含有する医薬組成物及び獣医学的組成物は、従来の医薬品配合技術に従って、1種又は複数種の化合物を医薬担体と密に混合することにより調製できる。担体は、望ましい投与経路(例えば、経口、非経口など)に応じ、広範な形態を取ることができる。したがって、縣濁剤、エリキシル剤及び溶液のような液体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、安定剤、着色剤等が挙げられ、散剤、カプセル剤及び錠剤のような固体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等が挙げられる。主要な吸収部位を調節するために、固体の経口用製剤は、更に糖類などの物質で被覆することができ、又は経腸的に吸収されるように被覆することができる。非経口投与では、担体は通常、滅菌水からなり、そして他の成分は溶解性を上げ、又は防腐のために加えることができる。注入用の縣濁液又は溶液はまた、水性担体を適切な添加剤と共に用いて調製してもよい。
【0070】
治療上有効な量の式(I)の化合物又はその医薬組成物は、平均的なヒト(70kg)に対する1日当たり約1〜4回の投与レジメンにおいて、約0.1mg〜約3000mg、具体的には約1mg〜約1000mg、より具体的には約10mg〜約500mgの薬量範囲の活性成分を含み;当業者には自明であるが、本発明の活性化合物の治療上有効な量は、処置されるべき病的状態が変化することにより変化する。
【0071】
経口投与では、医薬組成物は、好ましくは、処置されるべき被験体への投与量の症状調節のために、0.01、10.0、50.0、100、150、200、250、及び500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。
【0072】
有利なことに、式(I)の化合物は、1日に1回投与することができ、又は1日当たりの合計投与量を2回、3回、又は4回に分けて1日に投与することができる。更に、式(I)の化合物は、当業者に周知の好適な鼻孔内賦形剤の局所的使用を介して、又は経皮的な皮膚貼付剤を介して鼻孔投与形態で投与することができる。
【0073】
式(I)の活性化合物又はその医薬組成物の治療上有効な量が、望ましい効果によって変化することは、当業者にも明らかである。それ故、最適な投与量を容易に決定することができ、これは使用する具体的な化合物、投与様式、製剤の強度、及び病状の進行度合によって変わるであろう。更に、処置される特定の被験体に付随する、被験体の年齢、体重、食事、及び投与時間を含む因子は、好適な処置水準を達成するために薬量を調節する必要性をもたらす。上記投与量は、したがって、平均的な場合の代表例である。もちろん、より高いか又はより低い薬量範囲が有効である個別の例が存在し、このようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【0074】
式(I)の化合物は、それを必要としている被験体のために鎮痛剤として使用する場合には、上記のいずれかの組成物及び投与レジメンで、又は当該技術分野で確立されたそれらの組成物及び投与レジメンで投与され得る。
【0075】
本発明の範囲内であることが意図される疼痛の例としては、炎症性疼痛、中枢を介する疼痛、末梢を介する疼痛、内臓痛、構造又は軟組織損傷に関連する疼痛、進行性疾患に関連する疼痛、神経因性疼痛及び急性損傷、外傷、又は手術等によって引き起こされる急性疼痛、並びに頭痛、及び神経学的症状、卒中後の症状、癌、及び偏頭痛によって引き起こされる慢性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
また、本発明の化合物は、免疫抑制剤、抗炎症剤、神経学的及び精神医学的症状、例えば、抑鬱及びパーキンソン病を治療及び予防するための剤、泌尿器及び生殖器の症状、例えば、尿失禁及び早漏を治療するための剤、薬物及びアルコール依存症用の薬剤、胃炎及び下痢を治療するための剤、心臓血管系剤、心臓保護剤、及び呼吸器疾患を治療するための剤としても有用である。
【0077】
また、本発明の化合物は、変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛症、偏頭痛、頭痛、歯痛、火傷、日焼け、ヘビ咬傷(特に毒ヘビ咬傷)、クモ咬傷、虫刺症(insect sting)、神経因性膀胱障害、良性前立腺肥大、間質性膀胱炎、鼻炎、接触性皮膚炎/過敏症、痒み、湿疹、咽頭炎、粘膜炎、腸炎、セルライト、カウザルギー、坐骨神経炎、顎関節神経痛、末梢神経炎、多発神経炎、断端痛、幻想肢痛、術後腸閉塞、胆嚢炎、乳房切除後疼痛症候群、口腔神経因性疼痛、シャルコー疼痛、反射性交感神経性ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、知覚異常性大腿神経痛、口腔内灼熱症候群、群発性頭痛、偏頭痛、末梢神経障害、両側性末梢神経障害、糖尿病性神経障害、視神経炎、発熱後の神経炎、遊走性神経炎(migrating neuritis)、分節性神経炎、ゴンボール神経炎、ニューロン炎、頚腕神経痛、頭部神経痛、膝神経痛、舌咽神経痛、片頭痛神経痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、モートン神経痛、鼻毛様体神経痛、後頭神経痛、紅神経痛(red neuralgia)、スラダー神経痛、蝶口蓋神経痛、眼窩上神経痛、ヴィディアン神経痛、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、副鼻腔炎性頭痛(sinus headache)、緊張性頭痛、陣痛、出産、月経性痙攣、及び癌によって引き起こされる疼痛の治療にも有用である。
【0078】
上記したもの等の疾患又は病的状態の治療における本発明の化合物の使用に関して、治療上有効な量は、確立された動物モデルの使用によって当業者が決定することができる。このような治療において例示される式(I)の化合物の治療上有効な量は、約0.001mg/kg/日〜約300mg/kg/日である。具体的には、範囲は、1日あたり約0.5〜約5.0mg/kg/体重であり、より具体的には、1日あたり約1.0〜約3.0mg/kg/体重である。化合物は、1日あたり1〜4回のレジメンで投与されてもよい。
【0079】
一般的な合成方法
本発明の代表的な化合物は、以下に記載し、続くスキーム及び実施例で例示する、一般的な合成方法に従って合成することができる。スキームは説明図であるため、本発明はスキームに記載された化学反応及び条件により限定されたものとして解釈されるべきではない。スキーム及び実施例で用いられる様々な出発物質は、市販品として入手可能であるか、又は当業者の技能の範囲内に十分に入る方法によって調製し得るものである。変形物は、本明細書に定義されている通りである。
【0080】
本明細書、特にスキ−ム及び実施例で用いられる略称は以下の通りである。
【0081】
【表1−1】

【0082】
【表1−2】

【0083】
スキームAは、Yがそれぞれビニル又はエチルであり、R1がジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル、であり、R3が本明細書に定義される通りである式(I)−A及び式(I)−A1の化合物の調製について図示する。化合物A5のR3aは、(N−メチルアミノ)メチル、ピロリジン−2−イル、アゼチジン−3−イル、又はピペリジン−3−イルと定義される。化合物A5−1の環Aは、3−又は4−アミノ−シクロヘキシル、ピペリジン−3−イル、ピペリジン−4−イルと定義される。
【0084】
【化8】

【0085】
化合物A1は、市販されているか、又は科学文献に記載されている公知の方法によって作製することができる。必要により塩基の存在下で、式A2の適切に置換されたアルコールと反応させることにより、式A3の化合物が得られる。式A3の化合物のニトロ基は、メタノール等の有機溶媒中で、酢酸の存在下で、金属亜鉛等の還元剤の作用により、又は塩化ニッケルの存在下で、水素化ホウ素ナトリウムの作用により、又は接触水素化により対応するアミノ基に還元することができる。得られた式A4のアニリンは、酢酸中でトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤の存在下で、R3a−置換アルデヒド(A5)又は式A5−1のケトンでアルキル化して、式A6の化合物を得ることができる。dppf又はトリ−o−トリホスフィン等のパラジウムのリガンドを添加して又は添加せずに、RがC1〜4アルキルである式A7の化合物とパラジウム触媒カップリングさせることにより、式A8のアルケンが得られる。水酸化物イオンの存在下で、式A8の化合物のアルコキシカルボニル基を鹸化して、その対応するカルボン酸を形成し、次いで、これをEDCI等の適切なカップリング剤及びHOBt等の活性化剤の存在下でジ(C1〜4アルキル)アミンとカップリングさせて、式(I)−Aのアミドを形成することができる。式(I)−Aの化合物のアルケニル基を接触水素化等の還元剤で還元させることにより、式(I)−A1の化合物が得られる。当業者は、式A5及びA5−1の特定の化合物が、アミノ保護基(P)を必要とする場合があり、これは、合成スキームの後続の化学工程を通して導入できることを認識するであろう。後の段階でアミノ脱保護するために従来の化学法を用いることができる。例えば、Boc基は、鉱酸の作用により、又はトリフルオロ酢酸等の有機酸により除去することができる。
【0086】
スキームBは、Yがエチルであり、R1aが必要により置換されるフェニル、ナフチル、必要により置換されるピリジニル、ピリミジン−5−イル、フラニル、又はチエニルである式(I)−Bの化合物の調製について図示する。
【0087】
【化9】

【0088】
式A6の化合物は、パラジウム触媒の存在下で、パラジウムのリガンドを添加して又は添加せずに、TEA等の有機塩基の存在下で、R1aが本明細書に定義される通りである式B1の化合物とカップリングさせて、式B2のアルケンを得ることができる。遷移金属触媒水素化によりアルケニル官能基の還元を行い、任意でアミノ保護して、式(I)−Bの化合物を得ることができる。
【0089】
スキームCは、Yが結合であり、R1がジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニルである式(I)−Cの化合物の調製について図示する。
【0090】
【化10】

【0091】
化合物C1は、市販されているか、又は科学文献に記載されている公知の方法によって作製することができる。化合物C1は、EDCI等の適切なカップリング剤、及びHOBt等の活性化剤の存在下で、式C2のアミンとカップリングさせて、式C3のアミドを得ることができる。塩基の存在下で、式A2の化合物で芳香族求核置換することにより、式C4の化合物が得られる。式C4の化合物のニトロ基は、メタノール等の有機溶媒中で、酢酸の存在下で、金属亜鉛等の還元剤の作用により、又は塩化ニッケルの存在下で、水素化ホウ素ナトリウムの作用により、又は接触水素化により対応するアミノ基に還元することができる。得られた式C5のアニリンは、酢酸中でトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤の存在下で、R3a−置換アルデヒド(A5)又は式A5−1のケトンでアルキル化し、任意でアミノ脱保護して、式(I)−Cの化合物を得ることができる。
【0092】
スキームDは、Yが結合であり、R1が必要により置換されるフェニル、ナフチル、必要により置換されるピリジニル、ピリミジン−5−イル、フラニル、又はチエニルである(R1aと表される)式(I)−Dの化合物の調製について図示する。
【0093】
【化11】

【0094】
1a基は、炭酸カリウム等の好適な塩基の存在下で、適切に置換されたボロン酸又はボロン酸エステル(D1)とのパラジウム触媒クロスカップリング反応を通して式A6の化合物に導入することができる。また、この反応は、添加されたパラジウムのリガンドの存在下又は非存在下で実施してもよく、このリガンドとしては、用いられる場合、トリフェニルホスフィン、トリ−O−トリルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス[2−(ジフェニル−ホスフィノ)フェニル]エーテル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’6’−ジメトキシビフェニル、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート等のうちの1つ以上が挙げられる。有用な溶媒としては、エタノール、THF、DMF、トルエン、DME、ジオキサン、又はベンゼンが挙げられる。任意でアミノ脱保護する際、式(I)−Dの化合物を調製してもよい。
【0095】
スキームEは、Yが結合であり、Yが結合であり、R1が必要により置換されるフェニル、ナフチル、必要により置換されるピリジニル、ピリミジン−5−イル、フラニル、又はチエニルであり(R1aと表される);R3が−N−Raと共にピペラジン−1−イルを形成する式(I)−Eの化合物の調製について図示する。
【0096】
【化12】

【0097】
1a基は、本明細書に更に記載する通り、炭酸カリウム等の好適な塩基の存在下で、適切に置換されたボロン酸又はボロン酸エステル(D1)とのパラジウム触媒クロスカップリング反応を通して式A1の化合物に導入することができる。式E1の化合物は、好適な塩基の存在下で式A2の化合物と反応して、式E2の化合物を形成することができる。式E2の化合物のニトロ基は、本明細書に既に記載した通り対応するアニリンに還元させて、式E3の化合物を形成することができる。炭酸カリウム等の好適な塩基の存在下で、式E4の保護アミンで処理して、式E5の化合物が得られる。アミノ保護基(P)を除去して、式(I)−Eの化合物が得られる。
【0098】
スキームFは、YがOであり、R1が必要により置換されるフェニルであり(R1fと表される)、R3が本発明により定義される通りである式(I)−Fの化合物の調製について図示する。
【0099】
【化13】

【0100】
式F1のジフルオロ化合物は、市販されているか、又は科学文献に記載されている方法に従って容易に合成される。必要により塩基の存在下で、式A2の化合物で求核芳香族置換して、式F2の化合物を調製することができる。必要により塩基の存在下で、式F3のR1f−置換フェノールと後続反応させて、式F4の化合物が得られる。既に記載した通りニトロ基を還元させて、式F5の化合物が得られる。ヒドリド源の存在下で、式A5のアルデヒド又は式A5−1のケトンで処理し、次いで、R3がアミノ保護基を含有する場合、従来のアミノ脱保護を行って、式(I)−Fの化合物を提供する。
【0101】
スキームGは、R3が3又は4位において1〜2つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチルである式(I)の化合物の合成に有用な、本発明の特定の有用なR3中間体の調製について図示する。
【0102】
【化14】

【0103】
式G1の化合物は、市販されているか、又は科学文献に記載されている公知の方法に従って調製することができる。式G1の化合物(式中、G1、G1a、G2、及びG2aは、前記G1、G1a、G2、及びG2aのうちの2以下がフルオロであってもよいように、それぞれ水素又はフルオロである)を、HBTU等のペプチドカップリング剤及びDIEA等の有機塩基の存在下で、DMF等の有機溶媒中で、N,O−ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩で処理して、式G2の化合物を得ることができる。式G2の化合物は、リチウムアルミニウムヒドリドの作用により式G3の対応するアルデヒドに変換することができる。式G3の化合物は、式A5の化合物と同様の方法で用いて、式(I)の化合物を形成することができる。
【0104】
スキームHは、R1が必要により置換されるフェニル、ナフチル、必要により置換されるピリジニル、ピリミジン−5−イル、フラニル、又はチエニルであり(R1aと表される);Yが結合であり、R3が−N−Raと共に、4−C1〜4アルキルで置換されるピペラジン−1−イルを形成する式(I)−Hの化合物の調製について記載する。
【0105】
【化15】

【0106】
シアノ水素化ホウ素ナトリウム等のヒドリド源の存在下で、式(I)−Eの化合物を式H1の化合物(式中、RHが水素又はC1〜3アルキルである)と反応させて、式(I)−Hのアルキル化生成物を形成することができる。
【0107】
スキームIは、Yが結合であり、R1が5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルであり、R3が本明細書に定義される通りである式(I)−Iの化合物の調製について図示する。
【0108】
【化16】

【0109】
式A6の化合物は、本明細書に提供されるスキームに記載されている合成方法によって調製することができる。式A6の化合物は、Pd(PPh34等のパラジウム触媒の存在下で、シアン化亜鉛で処理して、式I1のシアン化物を得ることができる。塩基の存在下で、シアノ基をヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させて、式I3の化合物が得られる。DBU等の塩基の存在下で、式I2の化合物をCDIと縮合させて、式(I)−Iの化合物を得る。R3がアミノ保護基を含有する式(I)−Iの化合物は、従来の基の除去を必要とする場合がある。
【0110】
スキームJは、それぞれR3が2−(N−メチルアミノ)エチル又はアゼチジン−3−イルメチルであり、Raが水素又は2−(N−メチルアミノ)エチルである式(I)−J及び(I)−J1の化合物の調製について図示する。R3Jは、N−保護メチルアミノメチル又はN−保護アゼチジン−3−イルと定義される。
【0111】
【化17】

【0112】
式C5、E3、又はF5の化合物は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等のヒドリド源の存在下で、式J1のアルデヒドを用いる還元アルキル化に供して、次いで、従来のアミノ脱保護を行って、式(I)−J及び式(I)−J1の化合物の混合物を得ることができる。式(I)−J及び式(I)−J1の生成物は、当業者に公知の従来の分離方法を用いて分離することができる。
【0113】
スキームKは、R1、Y、及びR3が本明細書定義される通りであり、Raが本明細書に定義される通り必要により置換されるC1〜2アルキルである式(I)−K、式(I)−K1、及び式(I)−K2の化合物の調製について図示する。
【0114】
【化18】

【0115】
式A6の化合物を、シアノ水素化ホウ素ナトリウム又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等のヒドリド源の存在下で、式K1のアルデヒドを用いる還元的アルキル化に供して、本発明の式K2の化合物を得ることができる。式K2の化合物は、式D1の化合物とカップリングさせ、これは、任意の化学的に必要な保護基を除去し、任意でアミノ脱保護して、Yが結合である式(I)−Kの化合物を得ることができる。同様に、式K1の化合物を式B1の化合物とカップリングさせて、Yがビニルである式(I)−K1の化合物を得ることができる。スキームBに記載の通りビニル基を従来通り還元させ、任意でアミノ脱保護して、Yがエチルである式(I)−K2の化合物を得ることができる。
【0116】
スキームLは、R1Lがジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル又は−OR1fであり、R3が本明細書に定義される通りであり、Raが本明細書に定義される通り必要により置換されるC1〜2アルキルである式(I)−Lの化合物の調製について図示する。
【0117】
【化19】

【0118】
式(I)−C又は式(I)−Fの化合物は、シアノ水素化ホウ素ナトリウム又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等のヒドリド源の存在下で、式K1のアルデヒドを用いる還元アルキル化に供して、任意でアミノ脱保護して、式(I)−Lの化合物の混合物を得ることができる。
【0119】
スキームMは、Y及びR1が本明細書に定義される通りであり、R3が−N−Raと共にピペラジン−1−イルである式(I)−Mの化合物の調製について図示する。
【0120】
【化20】

【0121】
式A4の化合物を、炭酸カリウム等の好適な塩基の存在下で、式E4の保護アミンで処理して、式M1の化合物を得ることができる。本発明の好適なY及びR1基は、例えば、本明細書に提供されるスキームに教示されるように、式A7、B1、又はF3の化合物と反応させることにより導入されて、式M2の化合物を得ることができる。従来の化学反応を用いてアミノ脱保護して、式(I)−Mの化合物が得られる。
【0122】
具体的実施例
試薬は、商業的な供給源から購入した。水素原子の核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Bruker Avance又はVarian(300又は400MHz)分光計で、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて指定の溶媒中で測定した。測定値は、TMSから低磁場に向かう百万分率(ppm)により示される。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレー技術を用いて、(ESI)m/z(M+H+)としてPlatform LC又はAgilent 1100 LCMS分光計において求めた。CEM Discover又はBiotageマイクロ波装置を使用してマイクロ波加速反応が実施され、特に注記がない限り、密閉された圧力容器内に収容された。立体異性化合物は、X線結晶解析、及び当業者に既知の他の方法を用いて、ラセミ混合物又は別個のジアステレオマー及びエナンチオマーとして特性付けることができる。特に注記がない限り、実施例に用いられている物質は、容易に入手可能な商業的な供給源から入手するか、あるいは当業者に周知の化学的合成の標準的な方法を用いて合成した。実施例間で変化する置換基は、特に注記がない限り水素である。
【実施例】
【0123】
(実施例1)
【0124】
【化21】

【0125】
A.4−ブロモ−2−(4−メトキシ−フェノキシ)ニトロベンゼン(1c)。化合物1a(2.20g、10.0mmol)、4−メトキシフェノール(化合物1b、1.32g、10.5mmol)、K2CO3(1.52g、11.0mmol)、及び6mLのDMFの混合物を75℃で3時間攪拌した。混合物を真空内で濃縮し、残留物をEtOAcと水との間で分液した。有機層を2NのNaOH水溶液、2NのHCl水溶液、飽和NaHCO3水溶液、及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、茶色のゲル状物として化合物1c(2.95g、91%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ7.11〜7.84(d,1H),7.24〜7.27(m,1H),7.01〜7.06(m,3H),6.93〜6.97(m,2H),3.71(s,3H)。
【0126】
B.4−ブロモ−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−アニリン(1d)。化合物1c(1.64g、5.06mmol)、亜鉛(1.98g、30.4mmol)、15mLのHOAc、及び50mLのMeOHの混合物を、20℃で20時間攪拌した。溶媒を除去した後、残留物をEtOAcと3NのNaOH水溶液との間で分液した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、茶色の油状物として化合物1d(1.54g、収率103%)を得た。MS:m/z294.0(M+H)+
【0127】
C.2−(S)−{[4−ブロモ−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1f)。NaBH3CN(0.67mmol、10.1mmol)を、20mLのMeOH及び2.5mLのHOAc中の化合物1d(1.45g、5.06mmol)及びBoc−L−プロリナル(化合物1e、1.04g、5.06mmol)の混合物に添加した。混合物を20℃で1.5時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残留物をEtOAcで抽出した。有機層を、1NのNaOH水溶液、1NのHCl水溶液、及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)用いて精製し、ヘキサン−エーテル勾配で溶出して、黄色の油状物として化合物1f(2.36g、収率98%)を得た。MS:m/z 476.9,478.8(M+H)+
【0128】
D.(E)−2−(S)−{[4−(2−エトキシカルボニル−エテニル)−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1h)。化合物1f(0.19g、0.4mmol)、アクリル酸エチル(1g,0.43g,0.045mL、0.5mmol)、Pd(OAc)2(0.0009g、0.004mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(0.0049g、0.016mmol)、及び0.4mLのDMFの混合物を、10分間160℃でマイクロ波反応器内で照射した。分取TLによって精製し、3:7 EtOAc:ヘキサンで溶出して、黄色の固体として化合物1h(0.15g、収率78%)を得た。MS:m/z 483.2(M+H)+
【0129】
E.(E)−2−(S)−{[4−(2−カルボキシ−エテニル)−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1i)。化合物1h(0.15g、0.31mmol)、3NのNaOH水溶液1mL(3mmol)、及びMeOH1mLの混合物を、20℃で20時間攪拌した。MeOHを蒸発させた後、水相を1NのHCl水溶液で酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、化合物1i(0.18g、収率124%)を得た。MS:m/z 469.3(M+H)+
【0130】
F.2−(S)−{[4−(2−ジエチルカルバモイル−エテニル)−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1k)。化合物1i(0.18g、0.38mmol)、N,N−ジエチルアミン(化合物1j、0.04mL、0.38mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド一塩酸塩(EDC−HCl、0.095g、0.49mmol)、及びHOBt(0.10g、0.76mmol)の混合物を、20℃で20時間3mLのDMF中で攪拌した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機相を、1NのHCl水溶液、ブライン、飽和NaHCO3水溶液、及びブラインで順次洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、分取TLによって精製し、1:1エーテル:ヘキサンで溶出して、化合物1k(0.100g、収率50%)を得た。MS:m/z 524.2(M+H)+
【0131】
G.化合物1:(2E)−N,N−ジエチル−3−[3−(4−メトキシフェノキシ)−4−{[(2S)−ピロリジン−2−イルメチル]アミノ}フェニル]プロプ−2−エンアミド。化合物1k(0.026g、0.050mmol)、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で4時間攪拌した。濃縮後、残留物を逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物1(0.0063g、収率19%)を得た。MS:m/z 424.2(M+H)+
【0132】
(実施例2)
【0133】
【化22】

【0134】
A.2−(S)−{[4−(2−ジエチルカルバモイル−エチル)−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2a)。MeOH中の化合物1k(0.050g、1.0mmol)及び10%パラジウム炭素の混合物を、20℃で4時間水素雰囲気(234.4kPa(34psi))下にて振盪した。触媒を濾過し、溶媒を蒸発によって除去して、化合物2aを得た。MS:m/z 526.3(M+H)+
【0135】
B.化合物2:N,N−ジエチル−3−[3−(4−メトキシフェノキシ)−4−{[(2S)−ピロリジン−2−イルメチル]アミノ}フェニル]プロパンアミド化合物2a(0.050g、0.095mmol)、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で4時間攪拌した。濃縮後、残留物を逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物2(0.022g、収率36%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ6.87〜6.91(m,5H),6.78(d,1H),6.60(d,1H),3.90(m,1H),3.79(s,3H),3.42〜3.48(m,2H)3.24〜3.34(m,6H),2.77(t,2H),2.53(t,2H),2.18〜2.28(m,1H),2.00〜2.14(m,2H),1.73〜1.86(m,1H),1.03〜1.08(m,6H);MS:m/z 426.3(M+H)+。
【0136】
(実施例3)
【0137】
【化23】

【0138】
A.4−クロロ−2−(4−メトキシ−フェノキシ)ニトロベンゼン(3b)。4−クロロ−2−フルオロニトロベンゼン(化合物3a、1.76g、10mmol)、化合物1b(1.30g、10.5mmol)、及びK2CO3(1.52g、11mmol)を、75℃で3時間6mLのDMF中で加熱した。混合物を真空内で濃縮し、残留物をEtOAcと水との間で分液した。有機層を、1NのNaOH水溶液、1NのHCl水溶液、飽和NaHCO3水溶液、及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)を用いて精製し、ヘキサン−EtOAc勾配で溶出して、黄色の固体として化合物3b(2.75g、収率98%)を得た。MS:m/z 279.9,(M+H)+
【0139】
B.4−クロロ−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−アニリン(3c)。化合物3b(2.47g、8.83mmol)、亜鉛(3.46g、53mmol)、60mLのHOAc、5mLのTHF、及び36mLのMeOHの混合物を、20℃で20時間攪拌した。固体物質を濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を、EtOAと1NのNaOH水溶液との間で分液した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、黒色のゲル状物として化合物3c(1.80g、収率82%)を得て、これを精製することなく用いた。MS:m/z 249.9(M+H)+
【0140】
C.2−(S)−{[4−クロロ−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3d)。NaBH3CN(0.95g、14.4mmol)を、28mLのMeOH及び3.5mLのHOAc中の化合物3c(1.80g、7.2mmol)及び化合物1e(1.48g、7.2mmol)の混合物に添加した。混合物を20℃で1時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残留物をEtOAcで抽出した。有機層を、飽和NaHCO3水溶液、及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)を用いて精製し、3:7 EtOAc:ヘキサンで溶出して、茶色の油状物として化合物(2.84g、収率91%)を得た。MS:m/z 433.1(M+H)+
【0141】
D.(E)−2−(S)−({2−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エテニル]−フェニルアミノ}−メチル)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3f)。化合物3d(0.11g、0.254mmol)、4−ビニルアニソール(化合物3e、0.042g、0.042mL、0.305mmol)、Pd2(dba)3(0.035g、0.038mmol)、P(t-Bu)3(0.032g、0.04mL、0.152mmol)、Cs2CO3(0.091g、0.279mmol)、及び0.2mLのジオキサンの混合物を、30分間180℃でマイクロ波反応器内で照射した。ブラインを添加し、混合物をEtOAで抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮し、残留物を分取TLCによって精製して、化合物3f(0.05g、収率51%)を得た。MS:m/z 531,4(M+H)+
【0142】
E.(E)−2−(S)−({2−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−フェニルアミノ}−メチル)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3g)。MeOH中の化合物3f(0.050g、0.094mmol)及び10%パラジウム炭素の混合物を、20℃で水素雰囲気(262.0kPa(38psi))下にて振盪した。触媒を濾過し、溶媒を蒸発によって除去して、化合物3g(0.05g、収率100%)を得た。
【0143】
F.化合物3:(S)−{2−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−フェニル}−ピロリジン−2−イルメチル−アミン化合物3g(0.050g、0.094mmol)、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で2時間攪拌した。濃縮後、残留物をCH3CNに溶解させ、逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物3(0.018g、収率29%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 6.72〜6.94(m,10H),6.38(m,1H),3.81〜3.92(m,1H),3.76(s,3H),3.74(s,3H),3.21〜3.44(m,4H),2.69〜2.71(m,4H),1.98〜2.28(m,3H),1.71〜1.82(m,1H),;MS:m/z 432.9(M+H)+
【0144】
上記の実施例3の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0145】
【表2】

【0146】
(実施例4)
【0147】
【化24】

【0148】
A.2−(S)−{[4−[2−(3−カルボキシ−フェニル)−エチル]−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4a)。化合物3eを3−エテニル安息香酸に置換して、上記の実施例3の化合物3gを調製するために用いた方法に従って化合物4aを調製した。MS:m/z 547.2(M+H)+
【0149】
B.2−(S)−{[4−[2−(3−ジエチルカルバモイル−フェニル)−エチル]−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4b)。化合物4b(0.016g、0.029mmol)、化合物1j(0.0021g、0.003mL、0.029mmol)、PyBOP(0.030g、0.058mmol)、HOBt(0.0059g、0.044mmol)、DIEA(0.0075g、0.010mL、0.058mmol)、及び1mLのDMFの混合物を、20℃で3時間攪拌した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を、1NのHCl水溶液、飽和NaHCO3水溶液、及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、分取TLによって精製し、3:7EtOA:ヘキサンで溶出して、化合物4bを得た。MS:m/z 602.3(M+H)+
【0150】
C.化合物8:(S)−N,N−ジエチル−3−(2−{3−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−[(ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−フェニル}−エチル)−ベンズアミド。化合物4b、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で1.5時間攪拌した。濃縮後、残留物をCH3CNに溶解させ、逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物8(0.002g、収率9%、工程B及びC)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ7.25〜7.33(m,2H),7.12〜7.17(m,2H),7.03(m,1H),6.74〜6.86(m,5H),6.43(m,1H),3.82〜3.90(m,1H),3.77(s,3H),3.38〜3.57(m,4H),3.13〜3.31(m,4H),2.76〜2.86(m,4H),2.00〜2.28(m,3H),1.75〜1.82(m,1H),1.21〜1.26(m,3H),0.98〜1.04(m,3H);MS:m/z 502.4(M+H)+
【0151】
(実施例5)
【0152】
【化25】

【0153】
A.N,N−ジエチル−4−ニトロ−3−フルオロ−ベンズアミド(5b)。化合物5a(0.50g、2.7mmol)、化合物1j(0.20g、0.28mL、2.7mmol)、PyBOP(2.81g、5.4mmol)、HOBt(0.55g、4.05mmol)、DIEA(0.70g、0.94mL、5.4mmol)、及び8mLのDMFの混合物を、20℃で3時間攪拌した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を、1NのHCl水溶液、飽和NaHCO3水溶液、及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、分取TLCによって精製し、4:6 EtOAc:ヘキサンで溶出して、化合物5b(0.67g、収率103%)を得た。MS:m/z 240.9(M+H)+
【0154】
B.N,N−ジエチル−4−ニトロ−3−フェノキシ−ベンズアミド(5d)。化合物5b(0.22g、0.92mmol)、フェノール(化合物5c、0.10g、1.1mmol)、Cs2CO3(0.90g、2.7mmol)、及び4mLのDMFを、120℃で3時間攪拌しながら加熱した。水を添加し、得られた混合物をEtOAcで抽出した。有機層を、3NのNaOH水溶液、2NのHCl水溶液、及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残留物を分取TLCによって精製して、茶色の油状物として化合物5dを得た。MS:m/z 315.0(M+H)+
【0155】
C.4−アミノ−N,N−ジエチル−3−フェノキシ−ベンズアミド(5e)。MeOH中の、工程Bで調製した化合物5d及び10%のパラジウム炭素の混合物を、20℃で3時間水素雰囲気(206.8kPa(30psi))下にて振盪した。触媒を濾過によって回収し、溶媒を蒸発によって除去して、化合物5e(0.19g、収率73%、工程B及びC)を得た。
【0156】
D.2−[(4−ジエチルカルバモイル−2−フェノキシ−フェニルアミノ)−メチル]−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5f)。NaBH3CN(0.025mmol、0.4mmol)を、5mLのMeOH及び0.4mLのHOAc中の化合物5e(0.063g、0.2mmol)及び化合物1e(0.04g、0.2mmol)に添加した。混合物を20℃で1.5時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残留物をEtOAcで抽出した。有機層を、飽和NaHCO3水溶液、及びブラインで順次洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。濃縮し、分取TLCによって精製して、化合物5f(0.07g、収率75%)を得た。MS:m/z 468.3(M+H)+
【0157】
E.化合物9:(S)−N,N−ジエチル−3−フェノキシ−4−[(ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−ベンズアミド。化合物5f(0.07g、0.15mmol)、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で1.5時間攪拌した。濃縮後、残留物をCH3CNに溶解させ、逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物9(0.044g、収率49%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 7.33〜7.39(m,2H),7.10〜7.15(m,2H),7.00〜7.03(m,2H),6.89〜6.92(m,1H),6.77(m,1H),3.88〜3.93(m,1H),3.26〜3.55(m,8H),1.99〜2.25(m,3H),1.74〜1.81(m,1H),1.03〜1.17(m,6H);MS:m/z 368.0(M+H)+
【0158】
上記の実施例5の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0159】
【表3】

【0160】
(実施例6)
【0161】
【化26】

【0162】
A.3−フルオロ−4−ニトロビフェニル(6b)。4−クロロ−2−フルオロニトロベンゼン(化合物3a、3.51g、20mmol)、フェニルボロン酸(化合物6a、3.77g、30mmol)、フッ化カリウム(3.49g、60mmol)、Pd(OAc)2(0.045g、0.2mmol)、及び2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル(0.12g、0.4mmol)を、乾燥した、窒素でスイープしたフラスコに添加した。フラスコを空にし、窒素を3回流して、THF(25mL)を添加した。反応混合物を、周囲温度にて20時間撹拌した。EtOAcを添加し、有機溶液を1NのNaOH水溶液及びブラインで順次洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)を用いて精製し、ヘキサン−EtOAc勾配で溶出して、純化合物6b(1.27g、収率30%)及び更なる量の純度の低い化合物6b(3.66g)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 8.12〜8.18(m,1H),7.47〜7.62(m,7H)。
【0163】
B.4−(4−ニトロ−ビフェニル−3−イルオキシ)−ベンゾニトリル(6d)。化合物6b(0.22g、1.0mmol)、4−ヒドロキシベンゾニトリル(化合物6c、0.19g、1.5mmol)、Cs2CO3(0.98g、3.0mmol)、及び4mLのDMFを、120℃で3.5時間攪拌しながら加熱した。反応混合物を水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層を、3NのNaOH水溶液、2NのHCl水溶液、及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を除去した後、粗化合物6d(0.263g、収率83%)を単離し、精製することなく用いた。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 8.12〜8.16(m,1H),7.38〜7.66(m,9H),7.06〜7.09(m,2H)。
【0164】
C.4−(4−アミノ−ビフェニル−3−イルオキシ)−ベンゾニトリル(6e)。10mLのMeOH中の化合物6d(1.0mmol)及び塩化スズ(II)二水和物(1.13g、5mmol)を、2.5時間還流させた。室温に冷却した後、溶媒を蒸発によって除去し、残留物を水と混合した。飽和NaHCO3水溶液を用いて水溶液をpH 9に調整し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、蒸発させて、茶色の固体として化合物6eを得て、これを精製することなく用いた。MS:m/z 287.2(M+H)+
【0165】
D.2−(S)−{[3−(4−シアノ−フェノキシ)−ビフェニル−4−イルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(6f)。NaBH3CN(0.066g、1.0mmol)を、4mLのMeOH及び0.3mLのHOAc中の化合物6e(0.14g、0.50mmol)及び化合物1e(0.10g、0.50mmol)の混合物に添加した。混合物を20℃で1.5時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残留物をEtOAcで抽出した。有機層を、飽和NaHCO3水溶液、及びブラインで順次洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。濃縮し、分取TLCによって精製して、茶色の油状物として化合物6f(0.167g、収率71%)を得た。MS:m/z 470.2(M+H)+
【0166】
E.化合物12.(S)−4−{4−[(ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−ビフェニル−3−イルオキシ}−ベンゾニトリル。化合物6f(0.167g,0.36mmol)、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で2時間攪拌した。濃縮後、残留物をCH3CNに溶解させ、逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物12(0.029g、収率13%)を得た。MS:m/z 370.2(M+H)+
【0167】
上記の実施例6の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0168】
【表4】

【0169】
(実施例7)
【0170】
【化27】

【0171】
A.(2S,4R)−4−フルオロ−2−(メトキシ−メチル−カルバモイル)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(7b)。HBTU(12.3g、32.3mmol)を、0℃の化合物7a(6.26g、26.9mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(3.15g、32.3mmol)、及びDIEA(5.62mL、4.17g、32.3mmol)のDMF(60mL)溶液に少しずつ添加した。15分後、冷却浴を除去し、混合物を20℃で16時間攪拌した。EtOAc(200mL)及び飽和NH4Cl(100mL)水溶液を添加した。有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液(100mL)、及びブライン(100mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。溶液を濃縮して7.7gのオフホワイトの油状物を得て、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)を用いて精製し、10% MeOH/CH2Cl2で溶出して、化合物7b(5.47g、収率74%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6):δ 5.29(1H,dt),4.70(1H,dd),3.50(2H,m),3.13(3H,s),2.69(3H,s),2.00(2H,m),1.34(9H,s)。
【0172】
B.(2S,4R)−4−フルオロ−2−ホルミル−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(7c)。1MのEt2O中LiAlH4(19.2mL、19.2mmol)溶液を、0℃の化合物7b(3.54g、12.8mmol)のEt2O(10mL)溶液に少しずつ滴下した。混合物を20℃で1.5時間攪拌した。10mLの0.5N飽和KHSO4溶液を添加し、次いで、25mLのEt2Oを添加した。有機層を分離し、1NのNaOH水溶液で洗浄して、アルミニウム複合体を破壊した。有機層を分離し、MgSO4上で乾燥させ、濃縮して、油状物として化合物7c(1.33g、収率48%)を得た。1H−NMR(DMSO−d6):δ 9.45(1H,s)5.10(1H,m),4.20(1H,m),3.50(2H,m),2.20(2H,m),1.48(9H,s)。
【0173】
(実施例8)
【0174】
【化28】

【0175】
A.(2S,4R)−2−{[4−ブロモ−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−4−フルオロ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(8a)。10mLのDCE中の化合物1d(1.18g、4.0mmol)、化合物7c(1.33g、6.1mmol)、及び5滴のHOAcの混合物を、20℃で5分間攪拌した。NaBH(OAc)3(2.54g、12mmol)を5分間にわたって少しずつ添加し、混合物を20時間20℃で攪拌した。飽和NH4Cl(25mL)水溶液を攪拌混合物に添加し、次いで、100mLのCH2Cl2及び10mLの水に添加した。有機層を分離し、水層を50mLのCH2Cl2で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥させて、2gの粗生成物を得た。物質をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)により精製し、ヘキサン−EtOAc勾配で溶出して、化合物8a(0.496g、収率25%)を得た。MS:m/z 495.0/497.0(M+H)+
【0176】
B.(2S,4R)−2−{[4−(5−シアノ−ピリジン−3−イル)−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−4−フルオロ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(8c)。化合物8a(0.124g、0.30mmol)、化合物8b(0.096g、0.65mmol)、Pd(dppf)Cl2(0.055g、0.075mmol)、Cs2CO3(0.244g、0.75mmol)、0.25mLのEtOH、及び1mLのジオキサンの混合物を、140℃で15分間マイクロ波反応器内で照射した。反応混合物を濾過し、固体を100mLのEtOAcで洗浄した。濾液を飽和K2CO3水溶液で洗浄し、Na2SO4及び炭上で乾燥させ、濃縮して、化合物8cを含有する0.32gの粗残留物得た。
【0177】
C.化合物24:(2S,4R)−5−[4−[(4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−3−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニル]−ニコチノニトリル。上記工程Bから得られた残留物のCH2Cl2(10mL)溶液にTFA(5mL)を少しずつ滴下した。混合物を20℃で4時間攪拌し、次いで、蒸発させた。残留物を逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物24(0.058g、2段階の収率36%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):8.76(1H,d),8.63(1H,d),8.14(1H,d),7.31(1H,dd),6.98−6.82(6H,m),5.37(1H,d),4.12(1H,m),3.65−3.40(5H,m),2.50(1H,m),1.95(1H,m);MS:m/z 419.1(M+H)+
【0178】
上記の実施例8の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0179】
【表5】

【0180】
(実施例9)
【0181】
【化29】

【0182】
A.2−(S)−{[3−(4−カルバモイル−フェノキシ)−ビフェニル−4−イルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(9a)。20%のNaOH水溶液(0.5mL)及び30%のH22水溶液(0.4mL)を、化合物6f(0.040g、0.085mmol)の1.5mLのEtOH及び1.5mLジオキサン溶液に添加した。混合物を60℃で2日間加熱した。反応混合物をEtOAcで抽出し、MgSO4上で乾燥させ、濃縮して、化合物9aを得た。MS:m/z 488.3(M+H)+
【0183】
B.化合物29:(S)−4−{4−[(ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−ビフェニル−3−イルオキシ}−ベンズアミド。化合物9a、TFA、及びCH2Cl2の混合物を20℃で2時間攪拌した。濃縮後、残留物をCH3CNに溶解させ、逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物29(0.015g、2段階の収率29%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 7.87〜7.89(m,2H),7.33〜7.49(m,5H),7.18〜7.19(m,2H),7.00〜7.06(m,3H),3.84〜3.95(m,1H),3.44〜3.57(m,2H),3.28〜3.35(m,2H),1.98〜2.28(m,3H),1.72〜1.82(m,1H);MS:m/z 387.9(M+H)+
【0184】
上記の実施例9の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0185】
【表6】

【0186】
(実施例10)
【0187】
【化30】

【0188】
A.2−(S)−{[3−(4−メトキシカルボニル−フェノキシ)−ビフェニル−4−イルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(10a)。化合物6cをメチル4−ヒドロキシ安息香酸塩に置換して、上記の実施例6の化合物6fを調製するために用いた方法に従って化合物10aを調製した。MS:m/z 503.2(M+H)+
【0189】
B.2−(S)−{[3−(4−カルボキシ−フェノキシ)−ビフェニル−4−イルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(10b)。化合物10a(0.034g、0.068mmol)、20%のNaOH水溶液、及びMeOHの混合物を、20℃で20時間攪拌した。MeOHを蒸発させた後、水相を酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して、化合物10b(0.032g、収率95%)を得た。MS:m/z 489.2(M+H)+
【0190】
C.化合物31:(S)−4−{4−[(ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−ビフェニル−3−イルオキシ}−安息香酸。化合物10b(0.032g、0.065mmol)、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で2時間攪拌した。濃縮後、残留物をCH3CNに溶解させ、逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物31(0.019g、収率47%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 7.98〜8.13(m,2H),7.43〜7.50(m,3H),7.32〜7.37(m,2H),7.20〜7.25(m,2H),6.99〜7.05(m,3H),3.83〜3.96(m,1H),3.42〜3.58(m,2H),3.25〜3.30(m,2H),1.95〜2.28(m,3H),1.70〜1.83(m,1H):MS:m/z 389.0(M+H)+
【0191】
上記の実施例10の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0192】
【表7】

【0193】
(実施例11)
【0194】
【化31】

【0195】
A.2−(S)−{[3−(4−ジエチルカルバモイル−フェノキシ)−ビフェニル−4−イルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11a)。化合物10b(0.021g、0.043mmol)、化合物1j(0.0094g、0.0013mL、0.129mmol)、PyBOP(0.045g、0.086mmol)、HOBt(0.0087g、0.065mmol)、DIEA(0.011g、0.015mL、0.086mmol)、及び1mLのDMFの混合物を、20℃で3時間攪拌した。水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を、1NのHCl水溶液、飽和NaHCO3水溶液、及びブラインで順次洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、逆相HPLCによって精製して、化合物11aを得た。MS:m/z 544.3(M+H)+
【0196】
B.化合物33:(S)−N,N−ジエチル−4−{4−[(ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−ビフェニル−3−イルオキシ}−ベンズアミド。化合物11a、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で2時間攪拌した。濃縮後、残留物をCH3CNに溶解させ、逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物33(0.016g、2段階の収率55%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 7.32〜7.50(m,7H),7.23〜7.25(m,1H),7.16(m,1H),7.05〜7.09(m,2H),6.98〜7.01(m,1H),3.87〜3.91(m,1H),3.44〜3.56(m,4H),3.26〜3.35(m,4H),2.02〜2.23(m,3H),1.74〜1.81(m,1H),1.09〜1.28(m,6H);MS:m/z 444.0(M+H)+
【0197】
上記の実施例11の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0198】
【表8】

【0199】
(実施例12)
【0200】
【化32】

【0201】
A.2−(S)−{[3−(4−メトキシ−フェノキシ)−ビフェニル−4−イルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(12b)。化合物3d(0.070g、0.16mmol)、化合物6a(0.030g、0.24mmol)、Pd(OAc)2(0.0034g、0.015mmol)、化合物12a(0.016g、0.039mmol)、及びK3PO4(0.064g、0.30mmol)の混合物を含有するマイクロ波反応容器を空にし、窒素を3回流した。トルエン(0.5mL)及びTHF(0.3mL)を添加し、混合物を160℃で30分間マイクロ波反応器内で照射した。反応混合物を濾過し、濃縮した濾液を分取TLCによって精製して、化合物12b(0.050g、収率66%)を得た。MS:m/z 475.2(M+H)+
【0202】
B.化合物35:(S)−[3−(4−メトキシ−フェノキシ)−ビフェニル−4−イル]−ピロリジン−2−イルメチル−アミン。化合物12b(0.050g、0.11mmol)、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で1時間攪拌した。濃縮後、残留物をCH3CNに溶解させ、逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物35(0.0063g、収率9%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 6.68〜7.50(m,12H),4.08〜4.14(m,1H),3.78〜3.83(m,1H),3.80(s,3H),3.56〜3.61(m,1H),3.32〜3.41(m,2H),2.00〜2.27(m,3H),1.77〜1.88(m,1H);MS:m/z 375.1(M+H)+
【0203】
(実施例13)
【0204】
【化33】

【0205】
A.2−(S)−{[2−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−ナフタレン−2−イル−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(13b)。化合物1f(0.14g、0.30mmol)、化合物13a(0.077g、0.45mmol)、Pd2(dba)3(0.0011g、0.012mmol)、化合物12a(0.010g、0.024mmol)、K3PO4(0.13g、0.60mmol)、及び0.6mLのトルエンの混合物を、160℃で30分間マイクロ波反応器内で照射した。反応混合物を濾過し、濃縮した濾液を分取TLCによって精製して、化合物13bを得た。MS:m/z 425.2(M−Boc)+
【0206】
B.化合物36:(S)−[2−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−ナフタレン−2−イル−フェニル]−ピロリジン−2−イルメチル−アミン。化合物13b、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で1.5時間攪拌した。濃縮後、残留物をCH3CNに溶解させ、逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物36(0.0084g、2段階の収率3%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 7.78〜7.81(m,4H),7.32〜7.55(m,4H),7.11(m,1H),6.83〜6.99(m,5H),3.84〜3.95(m,1H),3.7(s,3H),3.50〜3.70(m,2H),3.26(m,2H),1.98〜2.23(m,3H),1.73〜1.83(m,1H);MS:m/z 425.0(M+H)+
【0207】
上記の実施例13の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0208】
【表9】

【0209】
(実施例14)
【0210】
【化34】

【0211】
A.2−{[2−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−ピリジン−3−イル−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(14a)。化合物13aをピリジン−3−ボロン酸に置換して、実施例13に記載した方法に従って化合物14aを調製した。MS:m/z 476,3(M+H)+
【0212】
B.化合物45:(S)−4−{5−ピリジン−3−イル−2−[(ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−フェノキシ}−フェノール。化合物14a(0.18g、0.38mmol)、2mLの濃(12N)HCl、及び2mLのMeOHの混合物を、20℃で3時間攪拌した。濃縮後、残留物を分取TLCによって精製して、MeOH:CH2Cl2で溶出した。生成物をMeOHに取り、濾過し、濃縮して、黄色の固体を得た。この物質を飽和NaHCO3水溶液で中和し、EtOAcに抽出した。有機相を水で洗浄し、少量に濃縮し、0.4μmのフィルタディスクを通して濾過し、2NのHCl水溶液で酸性化した。EtOAcを蒸発させ、残留物を水に溶解させ、濾過し、凍結乾燥させた。得られた物質を逆相HPLCによって精製した。化合物39を含有する画分を濃縮し、飽和NaHCO3水溶液で中和し、EtOAcで抽出した。有機相を水で洗浄し、濃縮し;残留物を希HCl水溶液に溶解させ、濾過し、凍結乾燥させて、HCl塩として化合物39(0.195g)を得た。化合物45を含有する画分を濃縮し、凍結乾燥させて、TFA塩として化合物45(0.013g)を得た。MS:m/z 362.2(M+H)+
【0213】
(実施例15)
【0214】
【化35】

【0215】
A.3−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−ニトロビフェニル(15a)。化合物6b(0.22g、1.0mmol)、化合物1b(0.19g、1.5mmol)、Cs2CO3(0.98g、3.0mmol)、及び4mLのDMFを、120℃で3時間攪拌しながら加熱した。反応混合物を氷水に注ぎ、得られた固体を濾過によって回収した。固体をEtOAcに溶解させ、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を除去した後、茶色の油状物として化合物15a(0.45g、収率〜140%)を単離し、これを精製することなく用いた。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 8.02(m,1H),7.32〜7.47(m,6H),7.06〜7.10(m,3H),6.91〜6.94(m,2H),3.82(s,3H)。
【0216】
B.3−(4−メトキシ−フェノキシ)−ビフェニル−4−イルアミン(15b)。MeOH中の化合物15a(〜1.0mmol)及び10%パラジウム炭素の混合物を、20℃で3時間水素雰囲気(234.4kPa(34psi))下にて振盪した。触媒を濾過し、溶媒を蒸発によって除去して、茶色の油状物として化合物15b(0.33g、収率113%)を得て、これを精製することなく用いた。MS:m/z 292.2(M+H)+
【0217】
C.化合物46:1−[3−(4−メトキシ−フェノキシ)ビフェニル−4−イル]ピペラジン。化合物15b(0.16g、0.55mmol)、ビス−(2−クロロエチル)塩化アンモニウム(化合物15c、0.10g、0.55mmol)、K2CO3(0.038g、0.275mmol)及び2mLのn−ブタノールの混合物を、42時間還流させながら加熱した。室温に冷却した後、ブラインを添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濃縮して、粗残留物を得て、これを逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物46を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 7.47〜7.50(m,2H),7.37〜7.41(m,3H),7.28〜7.31(m,1H),7.12〜7.19(m,2H),6.92〜6.94(m,4H),3.77(s,3H),3.35〜3.39(m,4H),3.18〜3.22(m,4H),;MS:m/z 360.9(M+H)+
【0218】
(実施例16)
【0219】
【化36】

【0220】
化合物47:1−[3−(4−メトキシ−フェノキシ)ビフェニル−4−イル]−4−メチル−ピペラジン。化合物46(0.090g、0.25mmol)及び37%のホルムアルデヒド水溶液(0.5mL)のアセトニトリル(0.5mL)攪拌溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.06g、0.9mmol)及び0.5mLの酢酸を添加した。得られた混合物を20℃で3時間攪拌し、次いで、飽和NaHCO3水溶液を添加することによってクエンチした。溶媒を蒸発によって除去し、水性残留物をEtOAcで抽出した。有機層を、1NのNaOH水溶液、1NのHCl水溶液、及びブラインで順次洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮した。得られた粗残留物を逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物47を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ7.16〜7.48(m,7H),7.09(m,1H),6.92(m,4H),3.77(s,3H),3.68〜3.72(m,2H),3.52〜3.55(m,2H),3.07〜3.13(m,4H),2.90(s,3H),;MS:m/z 374.9(M+H)+
【0221】
(実施例17)
【0222】
【化37】

【0223】
A.2−(S)−{[4−シアノ−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(17a)。1.2mLのDMF中の化合物1f(0.13g、0.30mmol)、シアン化亜鉛(II)(0.036mmol、0.30mmol)、及びPd(PPh34(0.017g、0.015mmol)混合物を、160℃で6分間マイクロ波反応器内で照射した。残留物を分取TLCによって精製して、1:1EtOAc:ヘキサンで溶出して、化合物17a(0.080g、収率63%)を得た。MS:m/z 426.2(M+H)+
【0224】
B.2−(S)−{[4−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(17b)。ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.023g、0.32mmol)、NaHCO3(0.040g、0.48mmol)、及び0.2mLの水を、CO2の発生が停止するまで攪拌した。化合物17a(0.069g、0.16mmol)のEtOH(0.5mL)懸濁液を添加した。混合物を、160℃で16分間マイクロ波反応器内で照射した。溶媒を蒸発させた後、残留物をEtOAcに溶解させ、分取TLCによって精製し、1:1 EtOAc:ヘキサンで溶出して、化合物17b(0.038g、収率52%)を得た。MS:m/z 459.3(M+H)+
【0225】
C.2−(S)−{[2−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(17c)。DBU(0.071g、0.069mL、0.464mmol)を、化合物17b(0.053g、0.116mmol)及び1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.021g、0.128mmol)のCH3CN(1mL)攪拌溶液に添加した。混合物を2日間N2下で攪拌し、次いで、固相抽出(SPE)カラムを通して濾過することによって精製した。溶媒を蒸発させて、化合物17cを得た。MS:m/z 483.2(M+H)+
【0226】
D.化合物48:(S)−3−{3−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−[(ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−フェニル}−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン。化合物17c(0.048g、0.099mmol)、TFA、及びCH2Cl2の混合物を、20℃で4時間攪拌した。濃縮後、残留物を逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物48(0.018g、収率30%)を得た。1H NMR(300MHz,CD3OD):δ 7.39(d,1H),6.92〜7.07(m,6H),3.88〜3.98(m,1H),3.80(s,3H),3.53〜3.60(m,2H)3.30〜3.33(m,2H),2.23〜2.31(m,1H),2.05〜2.13(m,2H),1.75〜1.88(m,1H);MS:m/z 383.1(M+H)+
【0227】
(実施例18)
【0228】
【化38】

【0229】
A.2−(S)−({[4−ブロモ−2−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニル]−エチル−アミノ}−メチル)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(18a)。5mLのHOAc及び60mLの1,2−ジクロロエタン中の化合物1d(11.8g、40mmol)及び化合物1eの混合物を、20℃で1時間攪拌した。NaBH(OAc)3を15分間にわたって少しずつ添加し、混合物を20℃で2 1/2日間攪拌した。飽和K2CO3水溶液(200mL)をゆっくり添加し、次いで、CH2Cl2(500mL)を添加した。有機層を分離し、水層をCH2Cl2(2×200mL)で抽出した。合わせた有機画分をMgSO4上で乾燥させ、炭で処理し、セライトで濾過し、蒸発させて、26.9gの濃茶色の油状物を得た。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)を介して精製し、ヘキサン−EtOAc勾配で溶出して、化合物1f(6.93g、収率36%)及び化合物18a(6.63g、収率33%)を得た。MS:m/z 505.1/507.1(M+H)+
【0230】
B.2−(S)−({エチル−[2−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−ピリジン−3−イル−フェニル]−アミノ}−メチル)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(18c)。化合物18a(0.51g、1mmol)、化合物18b(0.307g、2.5mmol)、Pd(dppf)Cl2(0.183g、0.25mmol)、Cs2CO3(0.977g、3.0mmol)、0.5mLのEtOH,及び2.5mLのジオキサンの混合物を、140℃で15分間マイクロ波反応器内で照射した。反応混合物を濾過し、固体を100mLのEtOAcで洗浄した。濾液を30mLの飽和K2CO3水溶液で洗浄し、Na2SO4及び炭上で乾燥させ、濃縮して、化合物18cを含有する0.36gの粗残留物を得た。
【0231】
C.化合物49:(S)−エチル−[2−(4−メトキシ−フェノキシ)−4−ピリジン−3−イル−フェニル]−ピロリジン−2−イルメチル−アミン。上記工程Bから得られた残留物のCH2Cl2(10mL)溶液に、TFA(5mL)を少しずつ滴下した。混合物を20℃で4時間攪拌し、次いで、蒸発させた。残留物を100mLのCH2Cl2に溶解させ、1NのNaOH水溶液20mLで洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮した。残留物を逆相HPLCによって精製した。望ましい生成物を含有する画分を濃縮させ、100mLのCH2Cl2に溶解させ、10mLの1NのNaOH水溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮し、CH2Cl2に再溶解させ、Et2O中1NのHCl(6mL)で処理し、蒸発させて、HCl塩として淡黄色の固体である化合物49(0.130g、2段階の収率27%)を得た。1H NMR(300MHz,DMSO−d6):9.64(1H,s,broad),9.20(1H,d),8.93,1H,s,broad),8.84(1H,d),8.78(1H,d),8.07(1H,dd),7.71(1H,dd),7.46(1H,d),7.42(1H,d),7.00(4H,m),3.79(3H,s),3.7−3.1(7H,m),2.0−1.75(3H,m),1.55(1H,m),1.02(3H,t);MS:m/z 404.2(M+H)+
【0232】
上記の実施例18の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0233】
【表10】

【0234】
(実施例19)
【0235】
【化39】

【0236】
A.2,4−ビス−(4−メトキシ−フェノキシ)−ニトロベンゼン(19b)。2,4−ジフルオロニトロベンゼン(化合物19a、0.5g、3.1mmol)のアセトン(15mL)溶液を、5mLのアセトン中の化合物1b(0.86g、6.9mmol)及び6.9mLの1NのNaOH水溶液の混合物に添加した。混合物を55℃で3日間加熱し、次いで、80℃で5時間加熱した。反応混合物を濃縮して、アセトンを除去し、残留物を10mLの固相抽出(SPE)カラムにロードした。CH2Cl2で溶出し、溶出液を濃縮して、化合物19cと化合物19bとの1:4混合物を1.5g得て、これを精製することなく用いた。MS:m/z 368(M+H)+
【0237】
B.2,4−ビス−(4−メトキシ−フェノキシ)−アニリン(19d)。工程Aで調製した化合物19b及び19cを含有する混合物を、50mLのEtOH/EtOAc中10%のPd−C(50mg)と合わせ、17時間水素雰囲気(101.4kPa(14.7psi))下にて20℃で攪拌した。混合物をセライトを通して濾過し、濃縮した。残留物をMeOHに取り、0.4μmのフィルタディスクを通して濾過し、濃縮して、化合物19dを得た。MS:m/z 338.1(M+H)+
【0238】
C.(S)−2−{[2,4−ビス−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−メチル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(19e)。化合物19d(0.051g、0.15mmol)、化合物1e(0.033g、0.31mL、0.17mmol)、HOAc(0.017mL、0.3mmol)、及び0.4mLのDCEの混合物を、20℃で2.5時間攪拌した。NaBH(OAc)3(0.089g、0.42mmol)を添加し、混合物を20℃で20時間攪拌した。反応混合物を1mLのSPEカラムを用いて精製し、CH2Cl2で溶出して、化合物19eを得た。
【0239】
D.化合物53:(S)−[2,4−ビス−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−イルメチル−アミン。化合物19eを50% TFA/CH2Cl2に溶解させ、20℃で45分間攪拌した。濃縮後、残留物を逆相HPLCによって精製して、TFA塩として化合物53(0.082g、収率84%)を得た。MS:m/z 421.2(M+H)+
【0240】
上記の実施例19の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0241】
【表11】

【0242】
(実施例20)
【0243】
【化40】

【0244】
A.{2−[2,4−ビス−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニルアミノ]−エチル}−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(20b);及び(2−{[2,4−ビス−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニル]−[2−(tert−ブトキシカルボニル−メチル−アミノ)−エチル]−アミノ}−エチル)−メチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(20c)。HOAc(0.034mL、0.59mmol)及びNaBH(OAc)3(0.175g、0.83mmol)を、化合物19d(0.102g、0.30mmol)及び化合物20a(0.112g、0.32mL、0.17mmol)のDCE溶液に添加し、混合物を20℃で18時間攪拌した。水(0.2mL)を添加し、反応混合物を3mLのSPEカラムを用いて精製し、CH2Cl2で溶出して、化合物20b及び化合物20cの混合物を得た。
【0245】
B.化合物63:N−[2,4−ビス−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニル]−N’−メチル−エタン−1,2−ジアミン;及び化合物64:N−[2,4−ビス−(4−メトキシ−フェノキシ)−フェニル]−N’−メチル−N−(2−メチルアミノ−エチル)−エタン−1,2−ジアミン。
【0246】
工程Aで調製した化合物20b及び化合物20cの混合物をTFA/CH2Cl2に溶解させ、20℃で攪拌した。濃縮後、残留物を逆相HPLCによって精製して、それぞれTFA塩として化合物63(0.139g、収率62%)及び化合物64(0.013g、収率5.6%)を得た。化合物63:MS:m/z 395.2(M+H)+。化合物64:MS:m/z 452.3(M+H)+
【0247】
上記の実施例20の手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0248】
【表12】

【0249】
以下の表における式(I)の化合物1〜64は、下記手順を用いて合成した。
【0250】
【化41】

【0251】
【表13−1】

【0252】
【表13−2】

【0253】
【表13−3】

【0254】
生物学的実施例
インビトロアッセイ
(実施例1)
NG108−15、24−ウェルデルタオピオイド受容体結合アッセイ
方法:NG108−15細胞膜は、Applied Cell Sciences(Rockville,MD)から購入した。5mg/mLの膜タンパク質を10mM TRIS−HCl pH 7.2、2mM EDTA、10%スクロースに懸濁させた。Polytronホモジナイザーからの幾つかの短パルスを用いて、50mM Trisバッファ(pH 7.4)5mLにて各バイアル瓶をホモジナイズした。最終濃度を133μg/ウェルにするために、5mM MgCl2を含有する50mMのTrisバッファで、ホモジネートを標準希釈溶液中330μg/mLに希釈した。この粒子状調製物を、24ウェルデルタオピオイド受容体結合アッセイに用いた。
【0255】
デルタ選択的ペプチドリガンド、〜0.2nM[3H]ナルトリンドールとの、全容積1mLでの24ウェルプレート内での25℃で2.5時間のインキュベーション後、プレート内容物をUniFilter24,GF/Bを通して濾過した。このプレートを0.3% PEIに前浸漬し、24ウェルのハーベスターを通して濾過した。UniFilter24を10mM HEPES(pH 7.4)2mLで3回すすぎ、37℃のオーブンで1.5時間乾燥させた。各ウェルに、150μLのScint0(PerkinElmer、カタログ番号6013611)を添加した。次いで、プレートをTopCountで読み取った。
【0256】
分析:シンチレーションカウンターからのデータを用いて、対照結合(試験化合物の単一濃度のみを評価した場合)と比較した阻害%、又はKi値(濃度範囲を試験した場合)のいずれかを計算した。非特異的結合(N.S.−1mMナロキソン)をネガティブコントロールとして用い、一方、全結合(T.B.−膜及びリガンドのみ)をポジティブコントロールとして用いた。1つの濃度がスクリーニングされた場合、阻害率(%)は(全結合のcpm−化合物のcpm)/(T.B.のcpm−N.S.)として計算した。トリプリケートの阻害率(%)を平均し、報告した。複数の濃度が生じた場合、Prismにおける1部位結合非線形回帰プログラムを用いて値を分析して、Ki値を求めた。最低値及び最高値を世界的に共有する。次いで、トリプリケートのKi値を平均し、報告する。
【0257】
得られたデータを以下の表2に示す。
【0258】
(実施例2)
ラット脳デルタオピオイド受容体結合アッセイ
手順:オスのWistarラット(150〜250g、VAF、Charles River,Kingston,NY)をCO2を用いて安楽死させ、それらの脳を取り出し、直ちに氷冷Tris HClバッファ(50mM、pH 7.4)中に配置した。前脳を、背側の丘から開始して、中脳−橋接合部を介して腹側へ通過する冠状切断により残りの脳から分離した。切開の後、前脳をテフロン(登録商標)ガラスホモジナイザー内にてTrisバッファ中でホモジナイズした。80mLのTris当たり1gの前脳組織の濃度のホモジネートを希釈し、10分間39,000×gで遠心分離した。Polytonホモジナイザーからの幾つかの短パルスを用いて、ペレットを5mM MgCl2を含有する同体積のTrisバッファに再懸濁させた。この微粒子製剤をデルタオピオイド結合アッセイに使用した。デルタ選択的ペプチドリガンド、〜4nM[3H]DPDPE又は0.25nMの[3H]ナルトリンドールとの、全容積1mLでの96−ウェルプレート内での25℃で2.5時間のインキュベーション後、プレート内容物をTomtec 96−ウェルハーベスター上で、WallacフィルターマットBシートを介して濾過した。フィルターを2mLの10mM HEPES(pH 7.4)で3回濯ぎ、650W電子レンジ内で1.75分間にわたって2回乾燥した。各サンプル領域に、2×50μLのベータプレートシントシンチレーション流体(LKB)を加え、放射能をLKB(Wallac)1205ベータプレート液体シンチレーションカウンターで計測した。
【0259】
分析:シンチレーションカウンターからのデータを用いて、対照結合(試験化合物の単一濃度のみを評価した場合)と比較した阻害%、又はKi値(濃度範囲を試験した場合)のいずれかを計算した。阻害率(%)は、以下のように計算した:[(全dpm−試験化合物のdpm)/(全dpm−非特異的なdpm)]×100。Kd及びKi値は、GraphPad PRISMデータ解析プログラムを使用して計算した。得られたデータを以下の表2に示す。
【0260】
(実施例3)
ラット脳ミューオピオイド受容体結合アッセイ
手順:オスのWistarラット(150〜250g、VAF、Charles River,Kingston,NY)をCO2を用いて安楽死させ、それらの脳を取り出し、直ちに氷冷Tris HClバッファ(50mM、pH 7.4)中に配置した。前脳を、背側の丘から開始して、中脳−橋接合部を介して腹側へ通過する冠状切断により残りの脳から分離した。切開の後、前脳をテフロン(登録商標)ガラスホモジナイザー内にてTrisバッファ中でホモジナイズした。80mLのTris当たり1gの前脳組織の濃度のホモジネートを希釈し、10分間39,000×gで遠心分離した。Polytonホモジナイザーからの幾つかの短パルスを用いて、ペレットを5mM MgCl2を含有する同体積のTrisバッファに再懸濁させた。この微粒子製剤をミューオピオイド結合アッセイに使用した。ミュー選択的ペプチドリガンド、〜0.8nM[3H]DAMGOとの、全アッセイ容積1mLでの96−ウェルプレート内での25℃で2.5時間のインキュベーション後、プレート内容物をトムテック96−ウェルハーベスター上で、WallacフィルターマットBシートを介して濾過した。フィルターを2mLの10mM HEPES(pH 7.4)で3回濯ぎ、650W電子レンジ内で1.75分間にわたって2回乾燥した。各サンプル領域に、2×40μLのベータプレートシントシンチレーション流体(LKB)を加え、放射能をLKB(Wallac)1205ベータプレート液体シンチレーションカウンターで計測した。
【0261】
分析:シンチレーションカウンターからのデータを用いて、対照結合(試験化合物の単一濃度のみを評価した場合)と比較した阻害%、又はKi値(濃度範囲を試験した場合)のいずれかを計算した。阻害率(%)は、以下のように計算した:[(全dpm−試験化合物のdpm)/(全dpm−非特異的なdpm)]×100。Kd及びKi値は、GraphPad PRISMデータ解析プログラムを使用して計算した。得られたデータを以下の表2に示す。
【0262】
【表14−1】

【0263】
【表14−2】

【0264】
(実施例4)
NG108−15細胞膜における[35S]GTPγS結合アッセイ(デルオピオイド機能アッセイ)−200nMのスクリーン
方法:NG108−15細胞膜は、Applied Cell Sciences(Rockville,MD)から購入した。5mg/mLの膜タンパク質を、10mM TRIS−HCl pH 7.2、2mM EDTA、10%スクロースに懸濁させた。膜を4〜8℃で維持した。1mLの体積の膜を10mLの冷結合アッセイバッファに添加した。アッセイバッファは、50mMのTris(pH 7.6)、5mMのMgCl2、100mMのNaCl、1mMのDTT、及び1mMのEGTAを含有していた。膜懸濁液をPolytonで2回ホモジナイズし、3000rpmで10分間遠心分離した。次いで、上清を18,000rpmで20分間遠心分離した。ペレットを含有する管に10mLのアッセイバッファを添加した。ペレット及びバッファをPolytonと混合した。
【0265】
インキュベーション手順:ペレット膜(75μg/mL)をアッセイバッファ中にて、25℃で45分間SPA(10mg/mL)と共にプレインキュベートした。次いで、膜(37.5μg/mL)とカップリングしたSPA(5mg/mL)を、総体積が200μLである、100μMのGDPを含有する同じTrisバッファ中にて、0.1nM[35S]GTPγSと共にインキュベートした。200nMの受容体アゴニストを用いて、[35S]−GTPγS結合を刺激した。アゴニストの不在下で基本の結合を試験し、10μMの非標識GTPγSの存在下で非特異的結合を試験した。Packard Top Countでデータを解析し、以下の表3に示す。
【0266】
データ
基本(%)=(刺激−非特異的)×100/(基本−非特異的)
200nMにおける化合物の相対的有効性
=(200nMにおける試験化合物の基本(%))/(SNC80用量反応の計算最大値、prismにおける曲線)
【0267】
(実施例5)
CHO−hMOR細胞膜における[35S]GTPγS結合アッセイ(ミューオピオイド機能アッセイ)
方法:CHO−hMOR細胞膜は、Receptor Biology,Inc.(Baltimore,MD)から購入することができる。約10mg/mLの膜タンパク質は、10mMのTRIS−HCl(pH 7.2)、2mMのEDTA、10%スクロースに懸濁させ、その懸濁液を氷上で保持した。1mLの体積の膜を、50mMのHEPES(pH 7.6)、5mMのMgCl2、100mMのNaCl、1mMのDTT、及び1mMのEDTAを含有する冷結合アッセイバッファ15mLに添加した。膜懸濁液をPolytonでホモジナイズし、3,000rpmで10分間遠心分離した。次いで、上清を18,000rpmで20分間遠心分離することができる。Polytonを含むアッセイバッファ10mLにペレットを再懸濁させた。アッセイバッファ中にて25℃で45分間、小麦胚凝集素でコーティングされたSPAビーズ(Amersham)と共に膜をプレインキュベートした。次いで、膜(10μg/mL)とカップリングしたSPAビーズ(5mg/mL)をアッセイバッファ中にて0.5nM[35S]GTPγSと共にインキュベートした添加される試験化合物の不在下で基本結合が生じ;この未調節結合は100%であるとみなされ、アゴニストによって刺激される結合は、著しく上記値を超えるレベルに上昇した。様々な濃度の受容体アゴニストを用いて、[35S]GTPγSの結合を刺激した。アゴニストの不在下で基本及び非特異的な結合の両方を試験し;非特異的な結合の測定は、10μMの非標識GTPγSを含んでいた。
【0268】
アゴニストによって刺激されるGTPγS結合を阻害する能力を評価することによって、アンタゴニストとしての機能について化合物を試験した。放射能は、Packard TopCountで定量した。以下のパラメータを計算した:
【0269】
【数3】

【0270】
EC50値をGraphPad Prismを用いて計算し、以下の表3に示す。
【0271】
【表15−1】

【0272】
【表15−2】

【0273】
インビボアッセイ
(実施例6)
腹部の刺激試験によって等級付けされたマウス(GrAIT)
試験化合物又はビヒクルをマウスにs.c.又はp.o.投与した。前処理時間後、0.6%酢酸0.5mLをi.p.注射によって投与した。酢酸投与の5分後、マウスを透明なチャンバに入れ、5分間連続して観察した。体をねじる及び後肢まで体を伸ばす等の行動反応を計数し、観察期間にわたって動物群毎に平均した。結果を以下の表4に示す。
【0274】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、式Iの化合物:
【化1】

(式中、
1は、以下のi)〜viii)からなる群から選択される:
i)ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニルが1つしか存在しないように、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、ヒドロキシ、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、クロロ、及びフルオロからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニル;
ii)ナフチル;
iii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iv)ピリミジン−5−イル;
v)フラニル;
vi)チエニル;
vii)5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル;並びに
viii)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
ただし、R1が5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルであるとき、Yは結合であり;
Yは、エチル、ビニル、又は結合である;
あるいは、R1が必要により置換されるフェニルであるとき、YはOであり;
2は、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、フルオロ、クロロ、シアノ、トリフルオロメトキシ、及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニルである;
あるいは、R2は、1つのアミノカルボニル、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、C1〜4アルコキシカルボニル、又はカルボキシ置換基で置換されるフェニルであり;
3は、以下のi)〜xi)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;
iii)ピペリジン−3−イル;
iv)ピペリジン−4−イル;
v)ピロリジン−2−イルが、必要により3又は4位が1〜2つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
vi)アゼチジン−3イルメチル;
vii)2−(N−メチルアミノ)エチル;
viii)3−ヒドロキシ−2−アミノ−プロピル;
ix)ピペリジン−3−イルメチル;
x)1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル;及び
xi)8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、必要により4−C1〜4アルキルで置換されるピペラジニルを形成し;
aは、水素、2−(N−メチルアミノ)エチル、又は必要によりアゼチジン−3イルで置換されるC1〜2アルキルである);
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び医薬的に許容され得る塩を目的とする。
【請求項2】
1が、
i)ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニルが1つしか存在しないように、必要によりC1〜4アルコキシ、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、及びフルオロからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニル;
ii)ナフチル;
iii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iv)ピリミジン−5−イル;
v)フラニル;
vi)チエニル;並びに
vii)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル、からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が、
i)必要によりC1〜4アルコキシ、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、及びフルオロからなる群から選択される1つの置換基で置換されるフェニル;
ii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iii)ピリミジン−5−イル;並びに
iv)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル、からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1が、
i)必要により1つのメトキシ置換基で置換されるフェニル;
ii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iii)ピリミジン−5−イル;並びに
iv)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル、からなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Yが、ビニル又は結合である;あるいは、R1が必要により置換されるフェニルであるとき、YがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Yが、ビニル又は結合である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
2が、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、フルオロ、クロロ、及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニルである;
あるいは、R2は、1つのアミノカルボニル又はジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル置換基で置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
2が、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニルである;
あるいは、R2は、1つのアミノカルボニル又はジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル置換基で置換されるフェニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
2が、必要によりメトキシ、ヒドロキシ、アミノカルボニル、及びC1〜4アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される1つの置換基で置換されるフェニルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
3が、以下のi)〜vi)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;
iii)ピロリジン−2−イルが、必要により3又は4位が1〜2つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
iv)2−(N−メチルアミノ)エチル;
v)ピペリジン−3−イルメチル;及び
vi)1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジニルを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
3が、以下のi)〜iii)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;及び
iii)ピロリジン−2−イルが、必要により3又は4位が1つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジニルを形成する、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
aが、水素又はC1〜2アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
aが水素である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
式(I)の化合物:
【化2】

(式中、
1は、以下のi)〜vii)からなる群から選択される:
i)ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニルが1つしか存在しないように、必要によりC1〜4アルコキシ、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、及びフルオロからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニル;
ii)ナフチル;
iii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iv)ピリミジン−5−イル;
v)フラニル;
vi)チエニル;並びに
vii)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
Yは、ビニル又は結合である;あるいは、R1が必要により置換されるフェニルであるとき、YはOであり;
2は、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、フルオロ、クロロ、及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニルである;
あるいは、R2は、1つのアミノカルボニル又はジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル置換基で置換されるフェニルであり;
3は、以下のi)〜iv)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;
iii)ピロリジン−2−イルが、必要により3又は4位が1〜2つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;2−(N−メチルアミノ)エチル;ピペリジン−3−イルメチル;及び
iv)1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジニルを形成し;
aは、水素又はC1〜2アルキルである);
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び医薬的に許容され得る塩。
【請求項15】
式(I)の化合物:
【化3】

(式中、
1は、以下のi)〜iv)からなる群から選択される:
i)必要によりC1〜4アルコキシ、ジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル、及びフルオロからなる群から選択される1つの置換基で置換されるフェニル;
ii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iii)ピリミジン−5−イル;並びに
iv)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
Yは、ビニル又は結合であり;
2は、必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、及びヒドロキシからなる群から独立して選択される1〜2つの置換基で置換されるフェニルである;
あるいは、R2は、1つのアミノカルボニル又はジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル置換基で置換されるフェニルであり;
3は、以下のi)〜vi)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;
iii)ピロリジン−2−イルが、必要により炭素原子が1〜2つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
iv)2−(N−メチルアミノ)エチル;
v)ピペリジン−3−イルメチル;及び
vi)1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジニルを形成し;
aは水素である);
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び医薬的に許容され得る塩。
【請求項16】
式(I)の化合物:
【化4】

(式中、
1は、以下のi)〜iv)からなる群から選択される:
i)必要により1つのメトキシ置換基で置換されるフェニル;
ii)必要によりC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、フルオロ、及びシアノからなる群から選択される1つの置換基で置換されるピリジニル;
iii)ピリミジン−5−イル;並びに
iv)ジ(C1〜2アルキル)アミノカルボニル;
Yは、ビニル又は結合であり;
2は、必要によりメトキシ、ヒドロキシ、アミノカルボニル、及びC1〜4アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される1つの置換基で置換されるフェニルであり;
3は、以下のi)〜iii)からなる群から選択される:
i)3−アミノ−シクロヘキシル;
ii)4−アミノ−シクロヘキシル;
iii)ピロリジン−2−イルが、必要により炭素原子が1つのフルオロ置換基で置換されるピロリジン−2−イルメチル;
あるいは、R3は、これら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジニルを形成し;
aは水素である);
並びにそのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び医薬的に許容され得る塩。
【請求項17】
式(I)の化合物:
【化5】

であって、
1が2−(N,N−ジエチルアミノカルボニル)であり、Yが(E)−ビニルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−(N,N−ジエチルアミノカルボニル)であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−(4−メトキシ−フェニル)であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−(3−メトキシ−フェニル)であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−フェニル、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−(4−フルオロ−フェニル)であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−(3−フルオロ−フェニル)であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が2−[3−(N,N−ジエチルアミノカルボニル)フェニル]であり、Yがエチルであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がN,N−ジエチルアミノカルボニルであり、Yが結合であり、R2がフェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がN,N−ジエチルアミノカルボニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がN,N−ジエチルアミノカルボニルであり、Yが結合であり、R2が2−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−シアノ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−シアノ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2がフェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−フルオロ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−トリフルオロメトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が2,6−ジクロロ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が2−(N−メチルアミノ)エチルであり、RaがHである化合物;
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシカルボニル−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−メトキシカルボニル−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が2,4−ジクロロ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピペリジン−4−イルであり、RaがHである化合物;
1が5−シアノ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S,4R)
1が5−フルオロ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S,4R)
1が5−メチルチオ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S,4R)
1が5−メトキシ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S,4R)
1が5−メチル−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が4−フルオロ−ピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S,4R)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−アミノカルボニル−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−アミノカルボニル−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−カルボキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−カルボキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−(N,N−ジエチルアミノカルボニル)フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が3−(N,N−ジエチルアミノカルボニル)フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がナフタレン−2−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がナフタレン−1−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がピリジン−4−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフラン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がチオフェン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がピリミジン−5−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が5−フルオロ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が5−シアノ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−ヒドロキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がこれら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、ピペラジン−1−イルを形成する化合物;
1がフェニルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がこれら両方が結合しているRa及び窒素原子と一緒になって、4−メチル−ピペラジン−1−イルを形成する化合物;
1が5−オキソ−4,5−ジヒドロ−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1がピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、Raがエチルである化合物;(2S)
1が5−フルオロ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、Raがエチルである化合物;(2S)
1がピリミジン−5−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、Raがエチルである化合物;(2S)
1が5−シアノ−ピリジン−3−イルであり、Yが結合であり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、Raがエチルである化合物;(2S)
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピロリジン−2−イルメチルであり、RaがHである化合物;(2S)
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピペリジン−3−イルであり、RaがHである化合物;ラセミ化合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が3−ヒドロキシ−2(R)−アミノ−プロピルであり、RaがHである化合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピペリジン−4−イルであり、RaがHである化合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−イルであり、RaがHである化合物;エンド/エキソ異性体の混合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がアゼチジン−3−イル−メチルであり、RaがHである化合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がアゼチジン−3−イル−メチルであり、Raがアゼチジン−3−イル−メチルである化合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イルであり、RaがHである化合物;エンド/エキソ異性体の混合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3がピペリジン−3−イルメチルであり、RaがHである化合物;ラセミ化合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が3−アミノ−シクロヘキシルであり、RaがHである化合物;4つの異性体の混合物;
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が2−(N−メチルアミノ)エチルであり、RaがHである化合物;並びに
1が4−メトキシ−フェニルであり、YがOであり、R2が4−メトキシ−フェニルであり、R3が2−(N−メチルアミノ)エチルであり、Raが2−(N−メチルアミノ)エチルである化合物
からなる群より選択される、化合物;
並びに、その医薬的に許容され得る塩。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物と、医薬的に許容できる担体、医薬的に許容できる賦形剤、及び医薬的に許容できる希釈剤のうちの少なくとも1つと、を含む、医薬組成物。
【請求項19】
前記組成物が固体の経口投与形態である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物が、シロップ剤、エリキシル剤、又は懸濁剤である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項21】
治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を、処置を必要とする被験体に投与することを含む、被験体の中程度〜重篤な疼痛の処置方法。
【請求項22】
前記中程度〜重篤な疼痛が、変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛症、偏頭痛、頭痛、歯痛、火傷、日焼け、ヘビ咬傷、クモ咬傷、虫刺症、神経因性膀胱障害、良性前立腺肥大、間質性膀胱炎、鼻炎、接触性皮膚炎/過敏症、痒み、湿疹、咽頭炎、粘膜炎、腸炎、セルライト、カウザルギー、坐骨神経炎、顎関節神経痛、末梢神経炎、多発神経炎、断端痛、幻想肢痛、術後腸閉塞、胆嚢炎、乳房切除後疼痛症候群、口腔神経因性疼痛、シャルコー疼痛、反射性交感神経性ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、知覚異常性大腿神経痛、口腔内灼熱症候群、群発性頭痛、偏頭痛、末梢神経障害、両側性末梢神経障害、糖尿病性神経障害、視神経炎、発熱後の神経炎、遊走性神経炎、分節性神経炎、ゴンボール神経炎、ニューロン炎、頚腕神経痛、頭部神経痛、膝神経痛、舌咽神経痛、片頭痛神経痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、モートン神経痛、鼻毛様体神経痛、後頭神経痛、紅神経痛、スラダー神経痛、蝶口蓋神経痛、眼窩上神経痛、ヴィディアン神経痛、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、副鼻腔炎性頭痛、緊張性頭痛、陣痛、出産、月経性痙攣、及び癌からなる群から選択される疾患又は症状に起因する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記疼痛が、炎症性疼痛、中枢を介する疼痛、末梢を介する疼痛、内臓痛、構造に関連する疼痛、癌性疼痛、軟組織損傷に関連する疼痛、進行性疾患に関連する疼痛、神経因性疼痛及び急性損傷に起因する急性疼痛、外傷に起因する急性疼痛、手術に起因する急性疼痛、頭痛に起因する慢性疼痛、神経学的症状に起因する慢性疼痛、卒中後の症状に起因する慢性疼痛及び偏頭痛に起因する慢性疼痛からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
抑鬱、パーキンソン病、薬物依存症、アルコール依存症、胃炎、尿失禁、早漏、下痢、心臓血管疾患及び呼吸器疾患からなる群から選択される疾患又は症状を治療又は予防する方法であって、前記方法が、このような治療を必要としている哺乳類に治療上有効な量の請求項1に記載の化合物又は塩を投与する工程を含む、方法。

【公表番号】特表2013−509428(P2013−509428A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537064(P2012−537064)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054497
【国際公開番号】WO2011/053706
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(397060175)ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー. (28)
【Fターム(参考)】