説明

4−(ヘテロシクリル)アルキル−N−(アリールスルホニル)インドール化合物および5−HT6リガンドとしてのその使用

本発明は、構造式(I)の新規の4−(ヘテロシクリル)アルキル−N−(アリールスルホニル)インドール化合物、その誘導体、その立体異性体、その薬学的に許容可能な塩およびそれらを含有する薬学的に許容可能な組成物に関する。本発明は同様に、前記新規の化合物、その誘導体、その立体異性体、その薬学的に許容可能な塩およびそれらを含有する薬学的に許容可能な組成物の調製プロセスにも関する。これらの化合物は、5−HT6受容体機能に関連するさまざまな障害の治療において有用である。具体的には、本発明の化合物は、同様に、さまざまなCNS障害、血液疾患、摂食障害、疼痛を伴う疾病、呼吸器疾患、生殖器−泌尿器系障害、心臓血管疾患および癌の治療においても有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
【化1】

という構造式(I)の新規の4−(ヘテロシクリル)アルキル−N−(アリールスルホニル)インドール化合物、その誘導体、その立体異性体、その薬学的に許容可能な塩およびそれらを含有する薬学的に許容可能な組成物に関する。
【0002】
本発明は同様に、前記新規の化合物、その誘導体、その立体異性体、その薬学的に許容可能な塩およびそれらを含有する薬学的に許容可能な組成物の調製プロセスにも関する。
【0003】
これらの化合物は、5−HT6受容体機能に関連するさまざまな障害の治療において有用である。具体的には、本発明の化合物は、同様に、さまざまなCNS障害、血液疾患、摂食障害、疼痛を伴う疾病、呼吸器疾患、生殖器−泌尿器系障害、心臓血管疾患および癌の治療においても有用である。
【背景技術】
【0004】
不安症、うつ症、運動障害などといったさまざまな中枢神経系障害には、神経伝達物質5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)およびセロトニンの障害が関与すると考えられている。セロトニンは、なかでも中枢および末梢神経系に局在化されており、精神障害、運動活動、摂食行動、性行為および神経内分泌調節を含めた数多くのタイプの身体条件に影響を及ぼすものとして知られている。5−HT受容体亜型はセロトニンのさまざまな効果を調節する。公知の5−HT受容体ファミリとしては、5−HT1ファミリ(例えば5−HT1A)、5−HT2ファミリ(例えば5−HT2A)、5−HT3、5−HT4、5−HT5、5−HT6および5−HT7亜型が含まれる。
【0005】
5−HT6受容体亜型は、最初に1993年にラットの組織から(Monsma, F. J.;Shen, Y.:Ward, R. P.;Hamblin, M. W., Molecular Pharmacology, 1993年、第43号、320〜327頁)、そしてその後ヒトの組織から(Kohen, R. ;Motcalf, M. A. ;Khan, N.;Druck, T.;Huebner, K.;Sibley, D. R., Journal of Neurochemistry, 1996年、第66号、47〜56頁)クローニングされた。受容体は、アデニレートシクラーゼに正に共役されたGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。(Rast, M.;Traiffort, E.;Arrang, J-M.;Tardivel-Lacombe, L.;Diaz, L.;Leurs, R.;Schwartz, J-C., Biochemical Biophysical Research Communications,1993年、第193号、268〜276頁)。受容体は、ラットならびにヒトの両方において、ほぼ排他的に中枢神経系(CNS)部域内に発見される。
【0006】
mRNAを用いたラットの脳内の5−HT6受容体のインサイチュハイブリダイゼーション研究は、線条体、側坐核、嗅結節および海馬体を含めた5−HT突起の部域内での主たる局在化を示している(Ward, R. P.;Hamblin, M. W.;Lachowicz, J. E.;Hoffman, B. J.;Sibley, D. R.;Dorsa, D. M., Neuroscience, 1995年、第64号、1105〜1111頁)。5−HT6受容体mRNAの最高レベルは、嗅結節、線条体、側坐核、歯状回、ならびに海馬のCA1、CA2、およびCA3領域内に観察された。5−HT6受容体mRNAのさらに低いレベルは、小脳の顆粒層、複数の間脳核、へんとう内および皮質内に見られた。ノーザンブロットは、5−HT6受容体mRNAが専ら脳内に存在すると思われ、末梢組織内でのその存在についてはほとんど証拠がない、ということを顕示した。
【0007】
数多くの抗精神病剤の5−HT6受容体に向けた高い親和力、すなわち線条体、嗅結節、および側坐核内のそのmRNAの局在化は、これらの化合物の臨床的作用のいくつかがこの受容体を通して媒介されるかもしれない、ということを示唆している。精神医学において用いられる広範囲の治療用化合物に結合するその能力は、脳内でのその不思議な分布と共に、前記受容体と相互作用する能力をもつ新しい化合物に対する多大な関心を促してきた(参考:Sleight, A. J.ら(1997年)、5−HT6および5−HT7受容体;分子生物学、機能的相関物および考えられる治療上の適応性、Drug News Perspect., 第10号、214〜224頁)。精神医学、認知機能障害、運動機能および制御、記憶、情緒などにおける5−HT6受容体の考えられる役割を理解するために、多大な努力がなされている。5−HT6受容体に対する結合親和力を示す化合物は、5−HT6受容体の研究を補助するものとして、と同時に中枢神経系障害の治療における潜在的治療薬として、真剣に求められている。例えばReavill C.およびRogers D. C.、Current Opinion in Investigational Drugs、2001年、第2(1)号、104−109頁、 Pharma Press Ltdを参照のこと。
【0008】
Monsma F. J. ら、(1993年)およびKohen, R.ら、(2001年)は、アミトリプチリンといったような複数の三環系抗うつ剤化合物およびミアンセリンといったような非定型抗うつ剤化合物が、5−HT6受容体に対する高い親和力を有することを示した。これらの発見事実により、5−HT6受容体が情動障害の発病機序および/または治療に関与しているという仮説が導かれた。不安症に関連する挙動をもつげっ歯類モデルが、不安症における5−HT6受容体の役割について矛盾した結果を生み出している。5−HT6受容体拮抗薬での治療は、ラットの最大電気ショックテストにおける発作閾値を増大させる[Stean T.ら(1999年)「ラットの最大電気ショック発作閾値テストにおける選択的5−HT6受容体拮抗薬SB−271046の抗けいれん特性」、Br. J. Pharmacol. 第127号、131頁 ; Routledge, C.ら(2000年)、「SB−271046の特徴づけ;強力で選択的かつ経口活性ある5−HT6)受容体拮抗薬」、Br. J. Pharmacol. 第130号、1602〜1612頁]。これは、5−HT6受容体が発作閾値を調節すると考えられるということを示しているものの、効果は公知の抗けいれん薬のものほど顕著ではない。
【0009】
5−HT6受容体リガンドの役割についての我々の理解が最も進んでいるのは、この受容体が主要な役割をもつ確率が高い2つの治療適応症すなわち学習および記憶障害および摂食行動異常の分野においてである。不安症といったようなその他のCNS適応症においては、5−HT6受容体の正確な役割がなお立証されなくてはならない。1つの5−HT6作動薬は近年、第I相臨床試験に到達したが、受容体の正確な役割はなお立証されなくてはならず、多大な調査の焦点となっている。直接的効果および利用可能な科学的研究に由来する指摘に基づき、ヒトにおける5−HT6受容体リガンドの数多くの潜在的な治療的用途が存在している。これらの研究としては、受容体の局在化、公知のインビボ活性をもつリガンドの親和力、および今までに行なわれてきたさまざまな動物研究が含まれる。好ましくは、治療薬として5−HT6受容体の拮抗薬化合物が追求される。
【0010】
5−HT6受容体機能のモジュレータの1つの潜在的な治療的用途は、アルツハイマといったようなヒトの疾患における認識力および記憶の増強にある。尾状核被殻、海馬、側坐核および皮質を含めた前脳といった構造の中に見いだされる高レベルの受容体は、これらの部域が記憶において重要な役割を果たすものとして知られていることから、記憶および認識力におけるこの受容体の役割を示唆している(Gerard, C.;Martres, M.P.;Lefevre, K.;Miquel, M. C;Verge, D.;Lanfumey, R.;Doucet, E.;Hamon, M.;EI Mestikawy, S., Brain Research、1997年、第746号、207〜219頁)。公知の5−HT6受容体リガンドのコリン作動性伝達増強能力も同様に、潜在的な認識力用途も裏づけている(Bentey, J. C;Boursson, A.;Boess, F. G.;Kone, F. C;Marsden, C. A.;Petit, N.;Sleight, A. J., British Journal of Pharmacology、1999年、第126(7)号、1537〜1542頁)。
【0011】
研究により、公知の5−HT6選択的拮抗薬が、ノルアドレナリン、ドーパミンまたは5−HTのレベルを上昇させることなく前頭皮質内のグルタミン酸塩およびアスパラギン酸塩レベルを有意に増大させる、ということが発見された。或る種の神経化学物質のこの選択的上昇は、記憶および認識力の間に認められ、認識力における5−HT6リガンドの役割を強く示唆している(Dawson, L. A.;Nguyen, H. Q.;Li, P. British Journal of Pharmacology、2000年第130(1)号、23〜26頁)。公知の選択的5−HT6拮抗薬を用いた記憶および学習の動物研究は、幾分かのプラスの効果を示している(Rogers, D. C;Hatcher, P. D.;Hagan, J. J. Society of Neuroscience、Abstract、2000年、第26号、680頁)。
【0012】
5−HT6リガンドについての1つの関係する潜在的な治療的用途は、小児ならびに成人における、注意力欠如障害(ADD;注意欠陥過活動性障害つまりADHDとしても知られるものの)の治療にある。5−HT6拮抗薬は、黒質線条体路の活性を増強させるように思われかつADHDは、尾状核内の異常に結びつけられてきたことから(Ernst, M;Zametkin, A. J.;Matochik, J. H.;Jons, P. A.;Cohen, R. M., Journal of Neuroscience、1998年、第18(15)号、5901〜5907頁)、5−HT6拮抗薬は、注意力欠如障害を緩和するかもしれない。
【0013】
現在のところ、完全に選択的な作動薬で利用可能なものは僅かしかない。ワイエス(Wyeth)作動薬WAY−181187は現在、不安症をターゲティングするべく第I相試験中である [Cole, D.C. ら、(2005年)「強力で、選択的な経口活性5−HT6受容体作動薬の発見」、WAY-181187. 230th ACS Natl. Meet.(8月28日〜9月1日、ワシントンDC)、Abstract MED I 17]。
【0014】
国際公開第03/066056A1号(WO 03/066056A1))は、5−HT6受容体の拮抗作用が哺乳動物の中枢神経系内部でのニューロンの成長を促進し得る、ということを報告している。もう1つの国際公開第第03/065046A2号(WO 03/065046 A2)は、ヒト5−HT6受容体の新しい変異体を開示し、5−HT6受容体が数多くのその他の障害に結びつけられる、ということを開示している。
【0015】
公知の治療的有用性または公知の薬物との強い構造的類似性をもつさまざまなCNSリガンドの親和力を検査する初期の研究が、統合失調症およびうつ病の治療における5−HT6リガンドの役割を示唆している。例えば、クロザピン(有効な臨床的抗精神病剤)は、5−HT6受容体亜型に対する高い親和力を有する。同様に、複数の臨床抗うつ剤もこの受容体に対する高い親和力を有し、この部位において拮抗薬として作用する(Branchek, T. A.;Blackburn, T. P., Annual Reviews in Pharmacology and Toxicology、2000年、第40号、319〜334頁)。
【0016】
さらに、ラットにおける最近のインビボ研究は、5−HT6モジュレータが、てんかんを含めた運動性疾患の治療において有用であり得ることを示している(Stean, T.;Routledge, C;Upton, N., British Journal of Pharmacology、1999年第127号、Proc. Supplement-131P;およびRoutledge, C;Bromidge, S. M.;Moss, S. F.;Price, G. W.;Hirst, W.;Newman, H.;Riley, G.;Gager, T.;Stean, T.;Upton, N.;Clarke, S. E.;Brown, A. M., British Journal of Pharmacology、2000年第30(7)号、1606〜1612頁)。
【0017】
合わせて取上げた場合、上述の諸研究は、5−HT6受容体モジュレータすなわちリガンドである化合物が、アルツハイマおよび注意欠陥過活動性障害といったような記憶、認識力および学習の欠陥に付随する疾病の治療;統合失調症といったような人格障害の治療;行動障害例えば不安症、うつ病および強迫障害の治療;パーキンソン病およびてんかんといったような動作または運動障害の治療;卒中または頭部外傷といったような神経変性に付随する疾病の治療;または、ニコチン、アルコールおよびその他の乱用物質に対する依存症を含めた薬物依存症からの離脱、を含めた治療的適応症にとって有用であるかもしれない、ということを強く示唆している。
【0018】
かかる化合物は同様に、機能性腸疾患といったような或る種の胃腸(GI)障害の治療においても利用されるもの予想される。例えばRoth, B. L.;ら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、1994年、第268号、1403〜1412頁;Sibley, D. R.ら、Molecular Pharmacology、1993年、第43号、320〜327頁;Sleight, A. J.ら、Neurotransmission、1995年、第11号、1〜5頁;およびSleight, A. J.ら、Serotonin ID Research Alert、1997年、第2(3)号、115〜118頁を参照のこと。
【0019】
さらに、ラットにおける食物の摂取を削減する5−HT6拮抗薬および5−HT6アンチセンスオリゴヌクレオチドの効果、ひいては潜在的に肥満の治療における効果が報告されてきた。例えばBentey, J. C;Boursson, A.;Boess, F. G.;Kone, F. C;Marsden, C. A.;Petit, N.;Sleight, A. J., British Journal of Pharmacology、1999年、第126(7)号、1537〜1542頁);Wooley ら、Neuropharmacology、2001年、第41、210〜129頁;および 国際公開第02/098878号(WO02/098878)を参照のこと。
【0020】
近年になって、Holenz, Jo" rgら、Drug Discovery Today、第11号、7/8頁、2006年4月による再考、「潜在的な認識力エンハンサーとしての5−HT6受容体リガンドに対する医薬品化学戦略」が、5−HT6リガンドの推移についての入念な論述を提供している。それは、統合失調症、その他のドーパミン関連障害およびうつ病といったような病気における5−HT6受容体の評価において、かつ5−HT6受容体の阻止または活性化のいずれかの神経化学的および電気生理学的効果をプロファイリングするために使用される薬理学的手段および前臨床候補を要約していた。その上、これらは、5−HT6受容体を特徴づけしその分布を調査するために用いられてきた。
【0021】
今までのところ、例えばGlennon, R.A.ら、「2置換トリプタミン:5−HT6セロトニン受容体に対する選択性を有する作用物質」、J. Med. Chem. 、第43号、1011〜1018頁、2000年;Tsai, Y.ら、「新規の5−HT6拮抗薬としてのN1−(ベンゼンスルホニル)トリプタミン」、Bioorg. Med. Chem. Lett. 第10号、2295〜2299頁、2000年;Demchyshyn L. ら、 ALX-1161:「強力で選択的な5−HT6受容体作動薬の薬理学的特性」、31st Annu. Meet. Soc. Neurosci. (11月10〜15日)、Abstract、第266.6号、2001年;Slassi, A. ら、「5−HT6受容体阻害物質としての1−(アリールスホニル)−3−(テトラヒドロピリジニル)インドールの調製」、国際公開第20063203号(WO200063203)、2000年;Mattsson, C. ら、「5−HT6受容体作動薬としての新規の、強力で選択的な2−アルキル−3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)−1H−インドール」、XVIIth International Symposium on Medicinal Chemistry、2002年;Mattsson, C.ら、「新規の5−HT6受容体作動薬としての2−アルキル−3−(l,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)−1H−インドール」、Bioorg. Med. Chem. Lett. 第15号、4230〜4234頁、2005年]による化合物といったように、複数の0臨床候補がインドールタイプの構造を形成し、内因性リガンド5−HTに構造的に密に関係づけされている。
【0022】
構造と機能性の関係は、インドール様構造についての節の中そしてPullagurlaらが作動薬および拮抗薬のための異なる結合部位を主張している受容体モデリング研究の中で記述されている[Pullagurla, M.R. ら、(2004年)「ヒト5−HT6受容体で結合する作動薬と拮抗薬の様式において考えられる差異」、Bioorg. Med. Chem. LeIl. 第14号、4569〜4573頁]。報告されている大部分の拮抗薬は、単環式、2環式および3環式アリール−ピペラジンクラスの一部を成している[Bromidge, S.M.ら、(1999年)「5−クロロ−N−(4−メトキシ−3−ピペラジン−1−イルフェニル)−3−メチル−2−ベンゾチオフェンスルホンアミド」(SB-271046) ;「強力で選択的な、経口で生物学的利用能のある5−HT6受容体作動薬」、J. Med. Chem. 第42号、202〜205頁;Bromidge, S.M. ら、(2001年)、「フェニルベンゼンスルホンアミドは新規で選択的な5−HT6拮抗薬である:N−(2,5−ジブロモ−3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−3−ピペラジン−1−イルベンゼンスルホンアミドの同定」(SB-357134). Bioorg. Med. Chem. Lett.、第11号、55〜58頁;Hirst, W.D. ら、(2003年)「強力で選択的な5−HT6受容体作動薬であるSB−399885の特徴づけ」、33rd Annu. Meet. Soc. Neurosci. (11月8〜12日、ニューオルリンズ)、Abstract、576.7;Stadler, H.ら、 (1999年)「5−HT6拮抗薬:アルツハイマ病の対症療法のための新規のアプローチ」、37th IUPAC Cong. ベルリン、Abstract、MM−7;Bonhaus, D. W.ら、(2002年)「Ro−4368554、高親和性で選択的なCNS浸透性5−HT6受容体作動薬」、32nd Annu. Meet. Soc. Neurosci.、Abstract、884.5;Beard, CC. ら、(2002年)「5−HT6受容体親和性を有する新インドール誘導体の調製」、国際公開第200298857号(WO patent 2002098857)]。
【0023】
Ro63−0563:ヒトおよびラットの5−HT6受容体における強力かつ選択的な拮抗薬。Br. J. Pharmacol.、第124号、(556〜562頁)。Glaxo Smith Kline製の第II相拮抗薬候補、アルツハイマ病に付随する認知機能障害の治療的適応症用のSB−742457[Ahmed, M. ら、(2003年)、「新規化合物」、国際公開第200380580号(WO patent 2003080580)]およびLilly化合物LY−483518[Filla, S.A. ら、(2002年)、「5−HT6受容体としてのベンゼンスルホン酸インドール−5−イルエステルの調製」、国際公開第2002060871号(WO 2002060871)]。第I相臨床開発に入った最初の5−HT6受容体拮抗薬であるSB−271046は廃止された(恐らくは血液脳関門の通過率が低いことを理由とする)。さらに、選択的5−HT6受容体拮抗薬SB−271046は、統合失調症の陽性症状または陰性症状のいずれかに関係する動物テストにおいて、不活性である[Pouzet, B. ら、(2002年)、「統合失調症についての動物モデルにおける5−HT6受容体作動薬、SB−271046の効果」、Pharmacol. Biochem. Behav. 第71号、635〜643頁]。
【0024】
国際公開第2004/055026Al号(WO 2004/055026 Al)、国際公開第2004/048331Al号(WO2004/048331 Al)、国際公開第2004/048330Al号(WO2004/048330 Al)および国際公開第2004/048328A2号(WO2004/048328 A2)(全てSuven Life Sciences Limitedに譲渡されたもの)は、関連する先行技術について記述している。さらに国際公開第98/27081号(WO 98/27081)、国際公開第99/02502号(WO99/02502)、国際公開第99/37623号(WO99/37623)、国際公開第99/42465号(WO 99/42465)および国際公開第01/32646号(WO01/32646)(全てGlaxo Smith Kline Beecham PLCに対し譲渡されたもの)は、さまざまなCNS障害の治療において有用であるものとして主張されている5−HT6受容体拮抗薬としての一連のアリールスルホンアミドおよびスルホキシド化合物を開示している。一部の5−HT6モジュレータが開示されているものの、5HT6を変調させるのに有用である化合物に対するニーズがひき続き存在している。驚くべきことに、構造式(I)の4−(ヘテロシクリル)アルキル−N1−(アリールスルホニル)インドールが、非常に高い5−HT6受容体親和力を示すことが発見された。従って、本発明の目的は、多様な中枢神経系障害または5−HT6受容体による影響を受ける障害の治療における治療薬として有用である化合物を提供することにある。
【発明の概要】
【0025】
本発明は、
【化2】

という一般構造式(I)の新規の4−(ヘテロシクリル)アルキル−N−(アリールスルホニル)インドール、その誘導体、その立体異性体、その薬学的に許容可能な塩およびそれらを含有する薬学的に許容可能な組成物に関する。
【0026】
なお前記構造式(I)の化合物において、式中、
− Arは、R1から選択された1つ以上の独立した置換基により置換されてよいフェニル、ナフチル、単環式または二環式環を表わし;
− R1は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、ハロ(C1−C3)アルコキシ、シクロ(C3−C6)アルキルまたはシクロ(C3−C6)アルコキシの中から選択された1つ以上の独立した置換基を表わし;
− R2は、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、またはハロ(C1−C3)アルコキシを表わし;
− R3は、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキルまたはハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシまたはハロ(C1−C3)アルコキシを表わし;
− Rは、水素原子、(C1−C3)アルキルまたはハロ(C1−C3)アルキル基を表わし;
− R4およびR5は、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシまたはハロ(C1−C3)アルコキシを表わしている。
【0027】
本発明は、5−HT6受容体についての選択的親和力が関与する障害の治療または予防において薬剤を製造する目的での、治療上有効な量の構造式(I)の化合物の使用に関する。
【0028】
具体的には、本発明の化合物は同様に、さまざまなCNS障害、血液疾患、摂食障害、疼痛を伴う疾病、呼吸器疾患、生殖器−泌尿器系障害、心臓血管疾患および癌の治療においても有用である。
【0029】
もう1つの態様においては、本発明は、少なくとも1つの適切な担体と混和した形での、治療上有効な量の少なくとも1つの構造式(I)の化合物または個々の立体異性体、立体異性体のラセミまたは非ラセミ混合物、またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を含有する薬学組成物にも関する。
【0030】
もう1つの態様においては、本発明は、構造式(I)の化合物を含む組成物およびこの化合物を使用する方法に関する。
【0031】
さらにもう1つの態様においては、本発明は、5−HT6受容体に対する選択的親和力が関与する障害の治療または予防において薬剤を製造する目的での治療上有効量の構造式(I)の化合物の使用に関する。
【0032】
さらにもう1つの態様においては、本発明はさらに、構造式(I)の化合物の調製用プロセスに関する。
【0033】
以下に記すのは、一般構造式(I)に属する化合物の部分的リストである;
1−ベンゼンスルホニル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−ブロモベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2−ブロモ−4−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−[4−(1−メチルエチル)ベンゼンスルホニル]−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2−ブロモベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−フルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(3−フルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2,4−ジフルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2,5−ジクロロ−3−チオフェンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(5−ブロモ−2−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2−クロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2,6−ジフルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2,6−ジクロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(3−クロロ−2−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2−クロロ−4−フルオロベゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−ベンゼンスルホニル−3−ブロモ−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(2−ブロモ−4−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−[4−(1−メチルエチル)ベンゼンスルホニル]−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(4−フルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(3−クロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(1−ナフチルスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(5−クロロ−2−メトキシ−4−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−ベンゼンスルホニル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−[4−(1−メチルエチル)ベンゼンスルホニル]−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(2−ブロモベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(4−フルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(3−クロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(1−ナフチルスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(5−クロロ−2−メトキシ−4−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2−ブロモベンゼンスルホニル)−4−(ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドールジヒドロクロリド;
1−ベンゼンスルホニル−4−(ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドールジヒドロクロリド;
1−(4−メチルベンゼンスルホニル−4−(ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドールジヒドロクロリド;
1−ナフチルスルホニル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2,4−ジクロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(3−クロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−ベンゼンスルホニル−5−ヒドロキシ−3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−6−ヒドロキシ−1H−インドール;
1−(4−ヒドロキシベンゼンスルホニル)−5−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−クロロベンゼンスルホニル)−6−メトキシ−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
6−クロロ−1−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イルメチル)−3−メチル−1H−インドール;
6−クロロ−1−(4−ヒドロキシベンゼンスルホニル)−3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イルメチル)−1−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−1H−インドール;
1−(4−フルオロベンゼンスルホニル)−4−(3−メトキシ−4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
4−(3−クロロ−4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−インドール;
4−(4−メチル−3−トリフルオロメチルピペラジン−1−イルメチル)−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−インドール;
1−ベンゼンスルホニル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−2−トリフルオロメチル−1H−インドール;
それらの立体異性体およびそれらの塩。
【発明を実施するための形態】
【0034】
別段の記載のないかぎり、明細書およびクレームの中で使用されている以下の用語は、以下に記す意味を有する:
【0035】
「ハロゲン」というのは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0036】
「(C1−C3)アルキル」というのは、1〜3個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖アルキルラジカルを意味し、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルを含む。
【0037】
「(C1−C3)アルコキシ」というのは、1〜3個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖アルキルラジカルを意味し、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシおよびイソプロピルオキシを含む。
【0038】
「ハロ(C1−C3)アルキル」というのは、1〜3個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖アルキルラジカルを意味し、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、フルオロエチル、ジフルオロエチルなどを含む。
【0039】
「ハロ(C1−C3)アルコキシ」というのは、1〜3個の炭素原子を含有する直鎖および分枝鎖アルキルラジカルを意味し、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ、ジフルオロエトキシなどを含む。
【0040】
「シクロ(C3−C6)アルキル」というのは、3〜6個の炭素原子を含有する環状および分岐環状アルキルラジカルを意味し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを含む。
【0041】
「シクロ(C3−C6)アルコキシ」というのは、3〜6個の炭素原子を含有する環状および分岐環状アルキルラジカルを意味し、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシまたはシクロヘキシルオキシを含む。
【0042】
「単環式または2環式環系」というのは、ヘテロアリールおよび複素環の両方を意味するように意図されている。
【0043】
「ヘテロアリール」というのは、酸素、窒素および硫黄の中から選択された1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜6員の単環式芳香環または融合した8〜10員の2環式芳香環を意味する。単環式芳香環の適切な例としては、チエニル、フリル、ピロリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルおよびピリジルがある。融合芳香環の適切な例としては、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリルなどといったベンゾ融合芳香環が含まれる。以上で記述した通りのヘテロアリール基は、以上で別段の指示がある場合を除き、炭素原子を介してかまたは存在する場合には適切な窒素原子を介して、分子の残りの部分に連結されてよい。
【0044】
「複素環」というのは、酸素、窒素または硫黄の中から選択された1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜7員の非芳香族環を意味する。このような環は、部分飽和していてよい。複素環の適切な例としては、ピペリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニルおよびピペラジニルが含まれる。以上で記述した通りの5〜7員の複素環は、炭素原子または適切な窒素原子を介して分子の残りの部分に連結されてよい。
【0045】
「統合失調症」という用語は、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害および精神異常を意味し、ここで「精神病の」という用語は、妄想、顕著な幻覚、解体した会話または解体した行動または強硬症行動を意味する。「精神障害の診断および統計マニュアル」、第4版、American Psychiatric Association、ワシントンDCを参照のこと。
【0046】
「薬学的に許容可能な」という語句は、物質または組成物が、1つの処方物を含むその他の成分および/またはそれによる治療を受ける哺乳動物と化学的かつ/または毒物学的に相容性あるものでなくてはならない、ということを表わす。
【0047】
「治療上有効量」という用語は、「(i)本書で記述されている特定の疾病、身体条件または障害を治療するかまたは予防する、(ii)その特定の疾病、身体条件または障害の1つ以上の症候を減衰させる、改善するまたは除去する、(iii)その特定の疾病、身体条件または障害の1つ以上の症候の発症を予防するかまたは遅延させる、本発明の化合物の量」として定義づけされる。
【0048】
「治療(処置)用」「治療(処置)する」または「治療(処置)」という用語は、予防的(preventative、prophylactic)および姑息的といった全ての意味合いを包含する。
【0049】
「立体異性体」という用語は、空間内のその原子の配向のみが異なっている個別の分子の全ての異性体に対する一般的用語である。これには、鏡像異性体(エナンチオマ)、幾何(シス−トランス)異性体および互いの鏡像ではない2つ以上のキラル中心をもつ化合物の異性体(ジアステレオマ)が含まれる。
【0050】
構造式(I)の一部の化合物は、立体異性体形態(例えばジアステレオマおよびエナンチオマ)で存在することができる、本発明は、これらの立体異性体形態の各々およびラセミ化合物を含めたその混合物にまで拡大される。異なる立体異性体形態を通常の方法により互いに分離することができ、そうでなければ、任意の所与の異性体を立体特異的または不斉合成によって得ることができる。本発明は、任意の互変異性体形態およびその混合物にも拡大される。
【0051】
概して立体異性体は、それ自体公知の要領で光学的に活性な異性体へと分離され得るラセミ化合物として一般に得られる。1つの不斉炭素原子を有する一般構造式(I)の化合物の場合、本発明は、D型、L型およびD、L−混合物に関し、数多くの不斉炭素原子の場合にはジアステレオマ形態に関し、本発明は、これらの立体異性体形態の各々およびラセミ化合物を含むそれらの混合物まで拡大される。1つの不斉炭素原子を有しかつ概してラセミ化合物として得られる一般構造式(I)の化合物は、通常の方法により互いに分離させることができ、そうでなければ、立体特異的または不斉合成により任意の所与の異性体を得ることができる。しかしながら、光学的に活性な化合物を最初から利用することも可能であり、この場合、相応して光学的に活性な化合物またはジアステレオマ化合物が最終化合物として得られる。
【0052】
一般構造式(I)の化合物の立体異性体を、以下に提示された1つ以上の要領で調製してよい:
i)試薬のうちの1つ以上のものを、その光学的に活性な形態で使用してよい。
ii)還元プロセスにおいて、金属触媒と共に光学的に純粋な触媒またはキラルリガンドを利用してよい。還元プロセスで、金属触媒を利用してよい。金属触媒は、ロジウム、ルチニウム、インジウムなどであってよい。キラルリガンドは、好ましくはキラルホスフィンであってよい(不斉合成の原理、J. E. Baldwin 編、., Tetrahedron series、第14号、311〜316頁)。
iii)キラル酸またはキラルアミンまたはキラルアミノアルコール、キラルアミノ酸を用いてジアステレオマ塩を形成することといったような従来の方法で、立体異性体の混合物を分解してよい。結果として得られたジアステレオマの混合物を次に、誘導体を加水分解することによる光学活性生成物の単離という付加的段階が後続する分別晶出、クロマトグラフィなどといった方法で分離してよい(Jacques ら、「エナンチオマ、ラセミ化合物および分解」、Wiley Interscience、1981年)。
iv)キラル酸またはキラル塩基を用いて形成されたジアステレオマを分解する微生物分解といった従来の方法により、立体異性体の混合物を分解してよい。
【0053】
利用可能なキラル酸は、酒石酸、マンデル酸、乳酸、カンファースルホン酸、アミノ酸などであってよい。利用可能なキラル塩基は、キナ・アルカロイド、ブルシンまたは塩基性アミノ酸例えばリジン、アルギニンなどであってよい。幾何異性を含む一般構造式(I)の化合物の場合には、本発明は、これらの幾何異性体の全てに関する。
【0054】
適切な薬学的に許容可能な塩は当業者には明らかであり、無機酸例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸;および有機酸例えばコハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、P−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸を用いて形成された付加塩といったような、J. Pharm. Sci.,1977年、第66号、1〜19頁の中で記述されているものを含む。本発明はその範囲内に、考えられる全ての化学量論および非化学量論形態を含んでいる。
【0055】
本発明の一部をなす薬学的に許容可能な塩は、水素化ナトリウム、ナトリウム−メトキシド、ナトリウム−エトキシド、水酸化ナトリウム、カリウム−t−ブトキシド、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウムなどといった塩基1〜6当量で構造式(I)の化合物を処理することによって調製してよい。水、アセトン、エーテル、THF、メタノール、エタノール、t−ブタノール、ジオキサン、イソプロパノール、イソプロピルエーテルまたはその混合物といった溶媒を使用してよい。
【0056】
薬学的に許容可能な塩に加えて、その他の塩が本発明に含み入れられる。これらは、化合物の精製において中間体としてかまたはその他の塩の調製において、または化合物および中間体の同定および特徴づけにおいて役立ち得る。
【0057】
構造式(I)の化合物は、結晶性または非結晶性形態で調製されてよく、結晶性である場合、任意には、例えば水和物としてといったように溶媒和されてよい。本発明はその範囲内に、化学量論的溶媒和物(例えば水和物)ならびに可変的量の溶媒を含有する化合物を含む。
【0058】
本発明は同様に、重要中間体が文献中で公知のさまざまな方法によって合成されている以下の経路を含む、構造式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の製造方法をも提供している。
【0059】
【化3】

【0060】
中間体はさらに以下の通りに処理される:
【化4】

【0061】
スキーム−I
本発明のプロセスには、
【化5】

という構造式(a)の化合物(なお式中、全ての置換基は先に記述した通りである)を、適切な温度で不活性溶媒と適当な塩基の存在下で、ArSO2Clという式(なおここでArは構造式(I)の化合物について定義されている通りである)のアリールスルホニル化合物と接触させて、必要とあらばさらに誘導体化できる構造式(I)の化合物を得るステップが含まれる。我々の先行特許出願である国際公開第2004/048330A1号(WO2004/048330A1)は、構造式(I)の化合物の前記相互転換において有用な反応条件および試薬についてのさらなる詳細を示している。
【0062】
アリールスルホニルクロリド(ArSO2Cl)とインドール誘導体の反応は、芳香族炭化水素例えばトルエン、o−、m−、p−キシレン;ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルムおよびクロロベンゼン;エーテル、例えばジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、アニソールおよびテトラヒドロフラン;ニトリル、例えばアセトニトリルおよびプロピオニトリル;アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールそして同様にDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMSO(N,N−ジメチルスルホキシド)および水を含む不活性有機溶媒の存在下で行なわれ得る。好ましい溶媒リストには、DMSO、DMF、アセトニトリルおよびTHFが含まれる。さまざまな比率でのこれらの混合物も同様に使用できる。適切な塩基は一般に、無機化合物、例えばアルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物、例えば酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム;アルカリ金属水素化物およびアルカリ土類金属水素化物、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムおよび水素化カルシウム;アルカリ金属アミドおよびアルカリ土類金属アミド、例えばリチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドおよびカルシウムアミド;アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸リチウムおよび炭酸カルシウム;そして同様にアルカリ金属炭酸水素塩およびアルカリ土類金属炭酸水素塩、例えば炭酸水素ナトリウム;有機金属化合物、特にアルカリ金属アルキル例えばメチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム;アルキルマグネシウムハロゲン化物、例えばメチルマグネシウムクロリド、およびアルカリ金属アルコキシドおよびアルカリ土類金属アルコキシド例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドおよびジ−メトキシマグネシウム、さらにより多くの有機塩基例えばトリエチルアミン、トリイソプロピルアミンおよびN−メチルピペリジン、ピリジンである。水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、炭酸カリウムおよびトリエチルアミンが特に好まれる。適切には、反応は、テトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩などといった相間移動触媒の存在下で行なわれてもよい。不活性雰囲気は、N2、ArまたはHeといったような不活性ガスを用いることによって維持してよく、反応の持続時間は1〜24時間、好ましくは2〜6時間の範囲内で維持できる。所望される場合、結果としての化合物は、その塩へと継続される。
【0063】
本発明の上述の調製方法によって得られた化合物は、酸化、還元、保護、脱保護、転位反応、ハロゲン化、水酸化、アルキル化、アルキルチオール化、脱メチル化、O−アルキル化、O−アシル化、N−アルキル化、N−アルケニル化、N−アシル化、N−シアノ化、N−スルホニル化、遷移金属などを用いたカップリング反応といったような周知の反応のさらなる化学的修飾によって、本発明のもう1つの化合物へと変換され得る。
【0064】
必要とあらば、以下のステップのうちのいずれか1つ以上のステップを実施することができる:
i)構造式(I)の化合物を構造式(I)のもう1つの化合物に転換する。
ii)任意の保護基を除去する;または
iii)薬学的に許容可能なその塩、溶媒和物またはプロドラッグを形成させる。
【0065】
プロセス(i)は、エピマー化、酸化、還元、アルキル化、求核または求電子芳香族置換およびエステル加水分解またはアミド結合形成を用いて実施可能である。
【0066】
プロセス(ii)では、保護基の例およびそれらの除去手段は、T. W. Greene「有機合成における保護基」(J. Wiley and Sons,1991年)の中に見い出すことができる。適切なアミノ保護基としては、スルホニル(例えばトシル)、アシル(例えばアセチル、2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはt−ブトキシカルボニル)およびアリールアルキル(例えばベンジル)が含まれ、これは、適宜、加水分解によって(例えば塩酸またはトリフルオロ酢酸といった酸を用いて)、または還元的に(例えばベンジル基の水素添加分解または酢酸中の亜鉛を用いた2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル基の還元的除去など)除去してよい。その他の適切なアミン保護基としては、塩基触媒加水分解によって除去してよいトリフルオロアセチル、または、例えばトリフルオロ酢酸を用いて酸触媒加水分解により除去してよいメリフィールド樹脂結合型2,6−ジメトキシベンジル基(Ellmanリンカー)といったような固相樹脂結合型ベンジル基が含まれる。
【0067】
プロセス(iii)においては、ハロゲン化、水酸化、アルキル化および/または薬学的に許容可能な塩を、先に詳細に記述した適切な酸または酸誘導体との反応により従来通り調製してよい。
【0068】
構造式(I)の化合物を療法の中で使用するために、これらは通常、標準的な薬学的実践方法に従って薬学組成物の形に処方される。
【0069】
本発明の薬学組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体を用いて従来のやり方で処方されてよい。かくして、本発明の活性化合物は、経口、口腔、鼻腔内、非経口(例えば静脈内、筋内または皮下)投与または直腸投与向けに処方されてもよいし、そうでなければ吸入または吹送による投与に適した形態に処方されてもよい。
【0070】
経口投与のためには、薬学組成物は例えば、薬学的に許容可能な賦形剤例えば結合剤(例えばアルファとうもろこしでんぷん、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えばラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸カルシウム);潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えばジャガイモでんぷん、またはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)を用いて従来の手段により調製された錠剤またはカプセルの形をとってよい。錠剤は、当該技術分野において周知の方法によってコーティングされてよい。経口投与のための液体調製物は、例えば溶液、シロップまたは懸濁液の形をとってよく、そうでなければ、使用の前に水またはその他の適切なビヒクルを用いて構成するための乾燥生成物としての体裁をとってもよい。かかる液体調製物は、薬学的に許容可能な添加剤例えば懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化食用脂);乳化剤(例えばレシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えばアーモンドオイル、油性エステルまたはエチルアルコール)および保存料(例えばメチルまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)を用いて、従来の手段により調製されてよい。
【0071】
口腔投与のためには、組成物は、従来の要領で処方された錠剤またはロゼンジの形をとってよい。
【0072】
本発明の活性化合物は、従来のカテーテル法または輸液の使用を含めた注入による非経口投与向けに処方されてよい。注入用処方物は、付加的な保存料と共に単位剤形、例えばアンプルまたは複数回用量のコンテナの体裁をとってよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンといったような形態をとってよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤といったような処方剤を含有していてよい。代替的には、活性成分は、適切なビヒクル例えば発熱物質を含まない無菌水を用いて使用前に再構成させるための粉末形態をしていてもよい。
【0073】
本発明の活性化合物は同様に、例えばココアバターまたはその他のグリセリドといったような従来の坐薬基剤を含有する、坐薬または停留浣腸剤といったような直腸組成物の形で処方されてもよい。
【0074】
鼻腔内投与および吸入による投与のためには、本発明の活性化合物は、加圧コンテナまたはネブライザからかまたは吸入器または吹送器を用いてカプセルから、エアロゾルスプレーの形で適切に送達される。加圧エアロゾルの場合、適切な高圧ガス例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適切な気体、そして投薬量単位を計量された量を送達するためにバルブを具備することによって決定してよい。加圧コンテナまたはネブライザ用の薬剤は、活性化合物の溶液または懸濁液を含有していてよく、一方カプセルのためには、それは好ましくは粉末の形をしているべきである。吸入器または吹送器に入れて使用するためのカプセルおよびカートリッジ(例えばゼラチンで作られているもの)は、本発明の化合物とラクトースまたはでんぷんといったような適切な粉末基剤の粉末ミックスを含んで処方されてよい。
【0075】
平均的成人における以上で言及された身体条件(例えば偏頭痛)の治療のためのエアロゾル処方物は、好ましくは、エアロゾルの各計量用量または「一吹き」が本発明の化合物を200μg〜1000μg含有するように準備されている。エアロゾルでの全体的一日用量は、100μg〜10mgの範囲内にある。投与は一日に数回、例えば2、3、4または8回で、例えば各回1、2、または3用量を与えるものであってよい。
【0076】
以上で定義づけされている有効量の一般構造式(I)の化合物またはその誘導体を従来の薬学的助剤、担体および添加剤と共に用いて、薬剤を生産することができる。
【0077】
かかる療法には、例えば、単回用量形態で同時に2つの相容性ある化合物を投与するかまたは別々の投薬量で個別に各化合物を投与すること;または必要とあらば公知の薬理学的原則に従って有益な効果を最大限にするかまたは薬物の潜在的副作用を最小限におさえるために同じ時間的間隔でまたは別々に投与すること、といった数多くの選択肢が含まれる。
【0078】
活性化合物の用量は、投与経路、患者の年令および体重、治療すべき疾病の性質および重症度といったような因子および類似する因子に応じて変動し得る。従って、薬理学的有効量の一般構造式(I)の化合物に対する本書中の言及は全て、上述の因子を意味している。以上で言及されている身体条件の治療のための平均的成人に対する経口、非経口、鼻腔または口腔のいずれかの投与のための本発明の活性化合物の提案されている用量は、例えば一日1〜4回投与されると考えられる1単位用量あたり0.1〜200mgの活性成分である。
【0079】
例示を目的として、本書で描かれている反応スキームは、本発明の化合物ならびに重要な中間体を合成するための潜在的経路を提供する。個々の反応ステップのより詳細な記述については、「実施例」の節を参照のこと。当業者であれば、発明力ある化合物を合成するためにその他の合成経路を使用してよい、ということを認識することだろう。具体的な出発材料および試薬がスキーム中に描かれ以下で論述されるものの、さまざまな誘導体および/または反応条件を提供するためにその他の出発材料および試薬で容易に代用することができる。さらに、以下で記述される方法により調製された化合物の多くを、当業者にとって周知の従来の化学を用い、本開示に照らしてさらに修飾することが可能である。
【0080】
市販の試薬をさらなる精製無く利用することができた。室温とは25〜30℃を意味する。KBrを用いて、固体状態でIRスペクトルを取った。別段の記載のないかぎり、全ての質量スペクトルは、ESI条件を用いて実施された。1HNMRスペクトルは、Bruker計器上で400MHzで記録された。溶媒として、重水素化クロロホルム(99.8%D)を使用した。内部標準として、TMSを使用した。化学シフト値は、100万分の1(δ)値で表現されている。NMR信号の多重度として、以下の略号が使用されている:s=1重線、bs=広幅1重線、d=2重線、t=3重線、q=4重線、qui=5重線、h=7重線、dd=2重2重線、dt=2重3重線、tt=3重線の3重線、m=多重線。クロマトグラフィは、60〜120メッシュのシリカゲルを用いて実施され窒素圧力(フラッシュクロマトグラフィ)条件下で実行されたカラムクロマトグラフィを意味する。
【0081】
本発明の新規化合物は、適切な材料を用いて以下のスキームおよび実施例の手順に従って調製されたものであり、以下の具体例によってさらに例証される。本発明の最も好ましい化合物は、これらの例で具体的に記されているもののいずれかまたは全てである。しかしながら、これらの化合物は、発明として考慮されている唯一の属を形成するものとみなされるべきものではなく、化合物またはその部分のあらゆる組合せがそれ自体1つの属を形成する。以下の例はさらに、本発明の化合物の調製についての詳細を例示している。当業者であれば、以下の調製手順の条件およびプロセスの既知の変形形態を用いてこれらの化合物を調製できるということを直ちに理解するだろう。
【実施例】
【0082】
実施例1:(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドールの調製
ステップ(i)(2−メチル−3−ニトロフェニル)−(4−メチルピペラジン−1−イル)メタノンの調製
保護チューブを具備した凝縮器が取付けられた25mL入りの2口丸底フラスコの中に、2−メチル−3−ニトロ安息香酸(5.525mmol、1.0グラム)を取り込んだ。これに対して、塩化チオニル(6.07mmol、0.735グラム)および1,2−ジクロロエタン(5mL)を添加し、溶液を3時間還流した。この反応混合物を、10mLの1,2−ジクロロエタン中のN−メチルピペラジン(16.57mmol、1.66グラム)溶液の入ったもう1本の100mL入りフラスコに加え、温度を5℃未満に維持した。次に、反応混合物を25℃で0.5時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物を50mLの水の上に注ぎ込んだ。1,2−ジクロロエタン層を収集し、水(2×10mL)、塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で揮発性物質を除去して、濃いシロップ状の質量を得た。この濃いシロップ状の質量の化合物を、精製無しで次の反応ステップのために使用した。
【0083】
ステップ(ii);(4−メチルピペラジン−1−イル)−[3−ニトロ−2−(2−ピロリジン−1−イル−ビニルフェニル)メタノンの調製
(2−メチル−3−ニトロフェニル)−(4−メチルピペラジン−1−イル)メタノン(3.8022mmol、1.0グラム)(ステップ(i)から得たもの)を、窒素雰囲気下で凝縮器の取付けられた25mL入り2口丸底フラスコ内に取り込んだ。これに対して、3mLのN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド・ジメチルアセタ―ル(5.7033mmol)およびピロリジン(5.7033mmol)を添加し、6時間還流させた。反応の完了後、反応混合物を20グラムの氷水の上に注ぎ、20%のNaOH溶液で塩基性化させ(pHが10になるまで)、混合物を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。その後、組合わされた酢酸エチル抽出物を水(2×30mL)、塩水30mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。揮発性物質を減圧下で除去して、濃いシロップ状の質量を得た。この濃いシロップ状の質量の化合物を、精製無しで次の反応ステップのために使用した。
【0084】
ステップ(iii);(1H−インドール−4−イル)−(4−メチルピペラジン−1−イル)メタノンの調製
(4−メチルピペラジン−1−イル)−[3−ニトロ−2−(2−ピロリジン−1−イル−ビニル)フェニル]メタノン(2.907mmol、1.0グラム)(ステップ(ii)で得たもの)を、窒素雰囲気下で凝縮器の取付けられた25mL入り2口丸底フラスコ内に取込んだ。これに対して、THF(7mL)を加え、それに続いてラネーニッケル(Ra−Ni)(0.1グラム、10%w/w)を加えた。反応混合物が還流を開始するような形で上述の反応混合物に対してヒドラジン水和物(14.54mmol、0.73グラム)を添加した。反応混合物をさらに3時間還流させた。反応の完了後、ろ過によりRa−Niを除去し、THFおよびメタノールを蒸留してとり除き、濃縮物を水(20mL)で希釈し、20%の水酸化ナトリウム溶液でpH10になるまで塩基性化し、混合物を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。その後、組合わされた酢酸エチル抽出物を水(2×30mL)、塩水30mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。揮発性物質を減圧下で除去して、濃いシロップ状の質量を得た。この濃いシロップ状の質量の化合物を、溶離剤として酢酸エチルとトリエチルアミン(0.2〜1.0%)を用いたシリカゲルカラム上で精製した。
【0085】
ステップ(iv);(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドールの調製
水素化アルミニウムリチウム(LAH)(2.4691mmol、0.0938グラム)を窒素雰囲気下で凝縮器の取付けられた25mL入り2口丸底フラスコ内に取込んだ。これに対して、5mLのTHF中に溶解させた(1H−インドール−4−イル)−(4−メチルピペラジン−1−イル)メタノン(2.0576mmol、0.5グラム)(ステップ(iii)から得たもの)を添加し、2時間にわたり質量を還流させた。反応が完了した後、反応混合物を25℃まで冷却し、ゆっくりと氷水を加えて急冷させ、余剰のLAHを分解させた。結果として得た水酸化アルミニウム沈殿物をハイフロ上でのろ過により除去した。THFをこのエマルジョンから蒸留して取り除き、濃縮物を水(20mL)で希釈し、20%の水酸化ナトリウム溶液でpH10になるまで塩基性化し、混合物を酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。その後、組合わされた酢酸エチル抽出物を水(2×20mL)、塩水20mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。揮発性物質を減圧下で除去して、濃いシロップ状の質量を得た。粗製化合物を、溶離剤として酢酸エチルとトリエチルアミン(0.2〜1.0%)を用いたシリカゲルカラム上で精製した。
【0086】
実施例2:1−ベンゼンスルホニル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドールの調製
(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール(0.8733mmol、0.2グラム)[実施例1から得たもの]を2mLのN,N−ジメチルホルムアミド中に溶解させた。その後上述の溶液を、窒素雰囲気下で1mLのDMF中の水素化ナトリウム(1.31mmol、31.4mg)の懸濁液の入った25mL入りフラスコにゆっくりと添加し、その間温度を10℃未満に維持した。その後、25℃で1時間反応混合物を撹拌した。この充分に撹拌した溶液に対し、温度を10℃未満に維持しながら塩化ベンゼンスルホニル(1.31mmol、0.2312グラム)をゆっくりと添加した。反応混合物を2時間さらに撹拌した。反応の完了後、反応混合物を、撹拌しながら20グラムの氷水混合物上に注ぎ、結果として得た混合物を酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。その後、組合わされた酢酸エチル抽出物を水(20mL)、塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で揮発性物質を除去して、濃いシロップ状の質量を得た。化合物を、溶離剤として酢酸エチルとトリエチルアミン(0.2〜1.0%)を用いたシリカゲルカラム上で精製した。
IRスペクトル(cm-1);1676,1447,1292,1164,1371;
質量(m/z);370(M+H)+
【化6】

【0087】
実施例3:
本発明の以下の化合物(2〜42)は、さほど重大でない変更を一部加えた上で、実施例2に記述されている通りの手順に従って調製された。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
【表4】

【0092】
【表5】

【0093】
【表6】

【0094】
【表7】

【0095】
実施例4:
本発明の以下の化合物(43〜52)は、実施例2に記述されている手順に従って、当業者が調製できるものである。
【表8】

【0096】
実施例5:食糧摂取量測定(行動モデル)
N.I.N(National Institute of Nutrition(国立栄養研究所)、Hyderabad、インド)から入手した雄のウィスターラット(120〜140グラム)を使用した。次に、栄養が充分なラットにおける食糧摂取量に対する一般構造式(I)の化合物の慢性効果を、以下のとおりに決定した。
【0097】
ラットは、28日間単一のホームケージ内に収納した。この期間中、ラットに対し、一日一回、構造式(I)の化合物を含む組成物かまたは前記化合物を含まない対応する組成物(ビヒクル)(対照グループ)を経口または腹腔内で投薬した。ラットには、食物と水を無制限に提供する。
【0098】
0、1、7、14、21および28日目に、ラットを予め計量した量の食物と共に放置した。食糧摂取量と体重増加を定期的に測定した。同様に、文献中には食物経口摂取方法が開示されている(Kask ら、European Journal of Pharmacology、第414号、2001年、215〜224頁、およびTurnball ら、Diabetes、第51巻、2002年8月および一部の組織内修正版)。これらの記述のそれぞれの部分が本書に参照として援用され、これらは開示の一部を成している。
【0099】
一部の代表的化合物は、10mg/kgまたは30mg/kgまたはその両方の用量で上述の要領で行なわれた場合、食糧摂取量の統計学的に有意な減少を示した。
【0100】
実施例6:構造式の化合物を含む錠剤
【表9】

【0101】
成分を組合せ、メタノールといったような溶媒を用いて造粒した。その後、処方物を乾燥させ、適切な打錠機で(約20mgの活性化合物を含有する)錠剤を形成させた。
【0102】
実施例7:経口投与向け組成物
【表10】

【0103】
成分を混合し、各々約100mg入るカプセルの中に送り出した;1つのカプセルが合計一日投薬量を近似すると考えられる。
【0104】
実施例8:液体経口処方物
【表11】

【0105】
成分を混合して経口投与向けの懸濁液を形成させた。
【0106】
実施例9:非経口処方物
【表12】

【0107】
注射用に一定の水中に活性成分を溶解させた。その後、充分な量の塩化ナトリウムを撹拌しながら加えて、溶液を等張にした。この溶液を、注射用重量に至るまで残りを水で埋合わせ、0.2ミクロンの膜フィルタを通してろ過し、無菌条件下で包装した。
【0108】
実施例10:坐薬処方物
【表13】

【0109】
成分を合わせて融解させ、蒸気浴上で混合し、2.5グラムの合計重量が入る金型の中に注ぎ込んだ。
【0110】
実施例11:局所処方物
【表14】

【0111】
水以外の全ての成分を組合せ、撹拌しながら約60℃まで加熱した。その後、成分を乳化させるべく勢いよく撹拌しながら約60℃で充分な量の水を加え、その後、約100グラム充分量まで水を加えた。
【0112】
実施例12:物体認識作業モデル
本発明の化合物の認識力増強特性を、動物認識力モデルすなわち物体認識作業モデルを用いて推定した。
【0113】
実験動物としてN.I.N(National Institute of Nutrition、Hyderabad、インド)から入手した雄のウィスターラット(230〜280グラム)を使用した。各ゲージに4匹の動物を収容した。実験の一日前に動物を20%の食物欠乏に保ち、実験中は水を無制限に与え、12時間の明暗サイクルに維持した。同様に、全く物体のない状態で1時間、ラットを個々の活動領域に馴化させた。
【0114】
ラット12匹の1グループは、経口でビヒクル(1mL/kg)を受け、もう1組の動物は、1時間の習熟試験(T1)と選択試験(T2)の前に経口または腹腔内のいずれかで構造式(I)の化合物を受けた。
【0115】
実験は、アクリルで作られた50×50×50cmのオープンフィールドで実施した。習熟段階(T1)では、壁から10cmのところで2つの隣接するコーナーに黄色のマスキングテープのみに覆われた2つの同一の物体(高さ12.5cm×直径5.5cmのプラスチックボトル)(a1およびa2)が位置づけされているオープンフィールドの中に、3分間個別にラットを入れた。長期記憶テストのために24時間(T1)試験を行った後に、同じラットを、T1試験中に入れたのと同じ活動領域内に入れた。選択段階(T2)のラットを、1つの習熟した物体(a3)と1つの新規物体(b)(高さ12cm直径5cmのコハク色のガラスビン)の存在下で3分間オープンフィールドを探索させた。習熟した物体は、類似のテクスチュア、色およびサイズを呈していた。T1およびT2試験の間、ストップウォッチを用いて別々に、各物体の探索(嗅ぐ、舐める、咀嚼するまたは1cm未満の距離で物体に鼻を向けながら鼻毛を動かす活動として定義される)を記録した。物体上に座ることは、探索活動としてはみなされなかったが、これが観察されるのは稀であった。T1は、習熟した物体(a1+a2)を探索するのに費やした合計時間である。T2は、習熟した物体と新規物体(a3+b)を探索するのに費やした合計時間である。
【0116】
物体認識試験は、Ennaceur, A., Delacour, J., 1988年、ラットにおける記憶の神経生物学的研究のための新しい1試験テスト、Behav. Brain Res., 31, 47~59頁によって記述された通りに実施した。
【0117】
一部の代表的化合物は、新規物体認識力の増大つまり、新規物体での探索時間の増加および識別指数の上昇を表わす陽性効果を示した。
【0118】
実施例13:5−HT6R拮抗薬による咀嚼動作/あくび/ストレッチングの誘発
体重200〜250グラムの雄のウィスターラットを使用した。ラットにビヒクルを注射し、テストの日の前に2日間毎日1時間個別の透明なチャンバ内に入れて、観察チャンバおよびテスト手順に馴化させた。テストの当日に、ラットを薬物投与直後に観察チャンバに入れ、薬物またはビヒクルの注射後60〜90分、あくび、ストレッチングおよび咀嚼行動について連続的に観察した。薬物投与の60分前に、フィソスタグミン0.1mg/kgを全ての動物に腹腔内投与した。30分の観察期間中のあくび、ストレッチおよび空の咀嚼動作の平均回数を記録した。
【0119】
参考文献:(A)King M. V.、Sleight A., J.、Woolley M. L.ら、 Neuropharmacology、2004年、第47号、195〜204頁。(B)Bentey J. C、Bourson A.、Boess F. G.、Fone K. C. F.、Marsden C. A.、Petit N.、Sleight A. J.、British Journal of Pharmacology、1999年、第126(7)号、1537〜1542頁
【0120】
実施例14:水迷路
水迷路器具は、水(24±2℃)が満たされ、動物を追跡するため下側に広角ビデオカメラが位置づけされた黒色パースペクス(TSE systems, ドイツ)で作られた円形プール(直径1.8m、高さ0.6m)で構成されていた。水面より1cm下にある、10cm2のパースペクス製プラットフォームを、全てのラットについて恒常のままである4つの架空の象限のうちの1つの象限の中心に置いた。迷路とプラットフォームの構築に用いられた黒色パースペクスは、脱出行動を案内する迷路内手掛りを全く提供していなかった。これとは対照的に、訓練室では、脱出学習に必要な空間的地図の形成を助けるための複数の強い迷宮外視覚的手掛りが提供されていた。自動追跡システム[Videomot 2(5,51)、TSE systems,ドイツ]を利用した。このプログラムは、水迷路の各象限内で費した水泳時間の入力数と持続時間および道程、水泳速度を決定したデジタルカメラおよび画像収集基板を介して収集したビデオ画像を解析する。
【0121】
参考文献:(A)Yamada N.、Hattoria A.、Hayashi T.、Nishikawa T.、Fukuda H.ら、Pharmacology, Biochem. And Behaviour、 2004年、第78号、787〜791頁。(B)Linder M. D.、Hodges D. B.、Hogan J. B.、Corsa J. A.ら、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、2003年、第307(2)号、682〜691頁
【0122】
実施例15:受動回避器具
動物を、単一試行、ステップスルー型明暗受動回避パラダイムにおいて訓練した。訓練器具は、実証済みの設計に従って構築された長さ300mm、幅260mmそして高さ270mmのチャンバで構成されていた。前面と上面は透明で、実験者が器具内部の動物の行動を観察できるようになっていた。チャンバは、その前面近くに設定された幅50mm、高さ75mmの小さな開口部を含んだ中央シャッターにより分離された2つの区画に分割されていた。小さい方の区画は幅9mmで、低出力(6V)照明源を収納していた。大きい方の区画は、幅が210mmであり、照明されていなかった。この暗区画の床は、直径5mmで12.5mmの離隔距離をもつ16の水平ステンレス鋼棒の格子から成っていた。定電流源から格子床へ0.75mAが供給され、それは16本の棒を横断して0.5秒毎に一回スクランブルされた。40〜60マイクロオームの抵抗範囲が、対照グループのラットについて計算され、器具はそれに応じて較正された。動物の抵抗を検出する電子回路が、抵抗の変化に伴う電圧の自動的変動による正確な電流送達を確保した。
【0123】
実験手順
これは、以前に記述された通りに実施された(Foxら、1995年)。体重200〜230グラムの成体ウィスターラットを使用した。実験の1時間前に実験室に動物を連れてきた。訓練の日に、動物を器具の明区画の後方に面して配置した。動物がひとたび完全に回転してチャンバの前面に対面した時点で、タイマーを開始させた。暗チャンバに入る待ち時間を記録し(通常20秒未満)、暗区画に完全に進入した時点で、動物に3秒間0.75mAの回避不可能な足ショックを施した。その後、動物をそのホームケージに戻した。各訓練セッションの間で、チャンバの両方の区画を清浄して、混同させる嗅覚的手掛りをことごとくとり除いた。この抑制刺激の再現率を、訓練から24時間後、72時間後および7日後に、動物を明チャンバに戻しラットの暗チャンバ内進入待ち時間を記録することにより評価し、300秒という基準時間を利用した。
【0124】
参考文献: Callahan P. M.、Ilch C. P.、Rowe N. B.、Tehim A.、Abst.776.19.2004、Society for neuroscience、2004年。(B)Fox G. B.、Connell A. W. U.、Murphy K. J.、Regan C. M.、Journal of Neurochemistry、1995年、65,6、2796〜2799頁。
【0125】
実施例16:ヒト5−HT6受容体のための結合検定
材料と方法:
受容体源:HEK293細胞内で発現されたヒト組換え体
放射性リガンド:[3H]LSD(60〜80Ci/mmol)
最終リガンド濃度−[1.5nM]
非特異的決定因子:メチオテピン・メシレート−[0.1μM]
基準化合物:メチオテピン・メシレート
陽性対照:メチオテピン・メシレート
インキュベーション条件:
37℃で60分間、10μMのMgCl2、0.5mMのEDTAを含有する50μMのTRIS−HCl(pH7.4)中で反応を実施した。ガラス繊維フィルタ上での高速真空ろ過により反応を終結した。フィルタ上に捕捉された放射能を決定し対照値と比較して、クローニングされたセロトニン5−HT6結合部位とテスト化合物(単複)のあらゆる相互作用を確かめた。
【0126】
【化7】

【0127】
【表15】

【0128】
参考文献: Monsma F. J. Jr.ら、「三環式向精神薬に対する高親和性を有する新規セロトニン受容体の分子クローニングおよび発現」 MoI. Pharmacol. 第43号、320〜327頁(1993年)
【0129】
実施例17:5−HT6機能検定環状AMP
安定した形でトランスフェクションされたHEK293細胞内でのcAMPの蓄積に対するそのAMPをテストすることによって、ヒト5−HT6受容体における化合物の拮抗薬特性を決定した。ヒト5−HT6受容体に対する作動薬の結合は、アデニルシクラーゼ活性の増加を導く。作動薬である化合物は、cAMP産生の増加を示し、拮抗薬である化合物は作動薬効果を遮断する。
【0130】
ヒト5−HT6受容体をクローニングさせ、HEK293細胞内で安定した形で発現させた。これらの細胞を、10%のウシ胎仔血清(FCS)および500μg/mLのG418を伴うDMEM/F12培地中で6ウェル平板内に固定し、CO2インキュベータ内で37℃でインキュベートした。細胞を約70%の集密性まで成長させてから、実験を開始した。実験当日に、培地を除去し、細胞を無血清培地(SFM)で一回洗浄した。2mLのSFM+IBM×培地を添加し、10分間37℃でインキュベートした。培地を除去し、さまざまな化合物および1μMのセロトニン(拮抗薬として)を含有する新鮮なSFM+IBM×培地を適切なウェルに添加して、30分間インキュベートした。インキュベーションの後、培地を除去し、細胞を1mLのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で一回洗浄した。各ウェルを1mLの95%エタノールおよび5μMのEDTA(2:1)で一時間4℃で処理した。その後、細胞をこすり取りエッペンドルフ管内に移した。管を4℃で5分間遠心分離し、上清を、検定まで4℃で保管した。
【0131】
cAMP含有量を、Amersham Biotrak cAMP EIAキット(Amersham RPN 225)を用いてEIA(酵素−免疫検定)によって決定した。用いた手順は、キットのために記述された通りである。簡単に言うと、抗−cAMP抗体上の結合部位に関する、定量のペルオキシダーゼ標識cAMPと未標識cAMPの間の競争により、cAMPを決定する。第2の抗体が予めコーティングされたポリスチレンマイクロタイターウェルの上に抗体を固定化する。4℃で2時間、抗血清(100mL)で予めインキュベートした試料(100μL)に50μLのペルオキシダーゼ標識cAMPを添加することにより、反応を開始させる。4℃で1時間のインキュベーションの後、未結合のリガンドを、単純な洗浄手順によって分離させる。その後、酵素基質、トリメチルベンジディン(1)を加え、60分間室温でインキュベートする。反応を100mLの1.0Mの硫酸の添加によって停止させ、結果として得られた色を、30分以内に450nmのマイクロタイタープレート分光計で読取る。
【0132】
機能的アデニリルシクラーゼ検定において、本発明の化合物の一部は、5−HT1Aおよび5−HT7といったようなその他のセロトニン受容体を含めた数多くのその他の受容体に比べ優れた選択性をもつ競合的拮抗薬であることが発見された。
【0133】
実施例18:げっ歯類薬物動態学的研究
実験動物として、N.I.N.(National Institute of Nutrition, Hyderabad, インド)から入手した雄のウィスターラット(230〜280グラム)を使用した。
【0134】
各ゲージの中に3〜5匹の動物を収容した。実験の1日前に動物を20%の食物欠乏に保ち、実験全体を通して水を無制限に与え、12時間の明暗サイクルに維持した。1つのラットグループは、NCE化合物(3〜30mg/kg)を経口で受け、もう1つの動物グループは同じ化合物を静脈内で受けた。
【0135】
各時点で、血液を頸静脈から収集した。血漿を、分析まで−20℃に凍結保管した。血漿中のNCE化合物の濃度をLC−MS/MS方法を用いて決定した。
【0136】
予定時点:投薬前、投薬から0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12および24時間後(n=3)。固相抽出技術を用いて、有効なLC−MS/MS方法により血漿中でNCE化合物を定量化した。血漿および脳ホモジネート中2〜2000ng/mlの較正範囲内でNCE化合物を定量化した。バッチ内の較正試料およびパッチ全体に広がった品質検査試料を用いて、研究試料を分析した。
【0137】
ソフトウェアWin Nonlinバージョン4.1を用いて非区画モデルにより、薬物動態学的パラメータCmax、Tmax、AUCt、AUCinf、半減期、分配量、クリアランス、平均滞留時間ひいては経口生物学的利用能を計算した。
【0138】
実施例19:げっ歯類脳透過性研究
実験動物として、N.I.N.(National Institute of Nutrition, Hyderabad, インド)から入手した雄のウィスターラット(230〜280グラム)を使用した。
【0139】
各ゲージの中に3〜5匹の動物を収容した。実験の1日前に動物を20%の食物欠乏に保ち、実験全体を通して水を無制限に与え、12時間の明暗サイクルに維持した。各ラットグループは、NCE化合物(3〜30mg/kg)を経口または腹腔内で受けた。
【0140】
各時点で、血液を頸静脈から収集した。動物を屠殺して脳組織を収集し、均質化した。血漿および脳を、分析まで−20℃に凍結保管した。血漿および脳中のNCE化合物の濃度をLC−MS/MS方法を用いて決定した。
【0141】
予定時点:投薬前、投薬から0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12および24時間後(n=3)。固相抽出技術を用いて、有効なLC−MS/MS方法により血漿および脳ホモジネート中でNCE化合物を定量化した。血漿および脳ホモジネート中2〜2000ng/mlの較正範囲内でNCE化合物を定量化した。バッチ内の較正試料およびパッチ全体に広がった品質検査試料を用いて、研究試料を分析した。
【0142】
ソフトウェアWin Nonlinバージョン4.1を用いて非区画モデルにより、薬物動態学的パラメータCmax、Tmax、AUCt、AUCinf、半減期、分配量、クリアランス、平均滞留時間ひいては脳対血漿内のNCE比であるCb/Cpを計算した。
【0143】
実施例20:神経伝達物質の考えられる変調についてのげっ歯類脳微小透析研究
実験動物として、N.I.N.(National Institute of Nutrition, Hyderabad, インド)から入手した雄のウィスターラット(230〜280グラム)を使用した。
【0144】
グループ割当て;グループ1:ビヒクル(水;5mL/kg;経口)、グループ2:NCE(3mg/kg;経口)、グループ3:NCE(10mg/kg:経口)。
【0145】
外科的処置:ラットを泡水クローラルで麻酔し、定位フレーム内に置いた。PaxinoおよびWatsonのアトラス(1986年)に従って、AP:−5.2mm、ML:ブレグマから相対+5.0mmおよびDV:脳表面から−3.8mmのところに、ガイドカニューレ(CMA/12)を設置した。動物がなおも麻酔にかかっている間に、微小透析プローブ(CMA/12、4mm、PC)をガイドカニューレを通して挿入し、所定の位置にしっかり固定した。外科手術の後、動物を研究に付す前に、48〜72時間の回復時間を維持した。
【0146】
研究の一日前に、動物を馴化のためにホームケージに移し、移植したプローブを、1.3μMのCaCl2(Sigma)、1.0μMのMgCl2(Sigma)、3.0μMのKCl(Sigma)、147.0μMのNaCl(Sigma)、1.0μMのNa2HPO4・7H2Oおよび0.2μMのNaH2PO4・2H2Oおよび0.3μMの臭化ネオスチグミン(Sigma)(pHは7.2にする)から成る修正リンガー溶液で、微小輸液ポンプ(Pico Plus, Harward)により設定される0.2μL/分の速度で一晩かん流させた。実験当日に、かん流速度を1.2μL/分に変更し、3時間安定化させた。安定化時間の後、投薬の前に20分間隔で4回基礎量を収集した。CMA/170冷凍画分収集装置を用いて、ガラスバイアル内に透析物試料を収集した。
【0147】
4つの画分を収集した後、ビヒクルまたはNCE(3mg/kgまたは10mg/kg)を強制経口投与した。投与から6時間後まで、かん流液を収集した。
【0148】
LC−MS/MS(API4000、MDS SCIEX)方法により、透析物試料中のアセチルコリン濃度を測定した。アセチルコリンを、透析物中0.250〜8.004ng/mLの較正範囲内で定量化する。
【0149】
微小透析実験の完了時点で、動物を屠殺し、その脳を取り出し、10%のホルマリン溶液中で保管した。各々の脳を低温保持装置(Leica)上で50μでスライシングし、染色し、顕微鏡で検査して、プローブ設置を確かめた。プローブ設置が正しくない動物からのデータは廃棄した。
【0150】
微小透析データは、薬物投与の前の4つの試料の平均絶対値(fM/10μL単位)として定義されたベースラインからの変化パーセント(平均±S.E.M.)として表わされた。
【0151】
NCE(3&10mg/kg)とビヒクル処置の効果を、一方的ANOVAとそれに続くダネットの多重比較テストにより統計的に評価した。全ての統計的尺度で、p<0.05が有意とみなされた。Graph Pad Prismプログラムが統計的にデータを評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

という構造式(I)の化合物において、式中、
− Arが、R1から選択された1つ以上の独立した置換基により置換されてよいフェニル、ナフチル、単環式または二環式環を表わし;
− R1が、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、ハロ(C1−C3)アルコキシ、シクロ(C3−C6)アルキルまたはシクロ(C3−C6)アルコキシの中から選択された1つ以上の独立した置換基を表わし;
− R2が、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、またはハロ(C1−C3)アルコキシを表わし;
− R3が、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキルまたはハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシまたはハロ(C1−C3)アルコキシを表わし;
− Rが、水素原子、(C1−C3)アルキルまたはハロ(C1−C3)アルキル基を表わし;
− R4およびR5が、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシまたはハロ(C1−C3)アルコキシを表わしている、
化合物。
【請求項2】
Arがフェニル、ナフチル、インドリル、インダゾリル、ピロロリピリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルまたはベンズイミダゾリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、ハロ(C1−C3)アルコキシ、アルコキシ(C1−C3)アルコキシ、ヒドロキシ(C1−C3)アルコキシ、シクロ(C3−C6)アルキルまたはシクロ(C3−C6)アルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
2が水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシまたはハロ(C1−C3)アルコキシである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
3が水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキルまたはハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシまたはハロ(C1−C3)アルコキシである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
4およびR5の両方が水素である、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
1−ベンゼンスルホニル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−ブロモベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2−ブロモ−4−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−[4−(1−メチルエチル)ベンゼンスルホニル]−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2−ブロモベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−フルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(3−フルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2,4−ジフルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2,5−ジクロロ−3−チオフェンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(5−ブロモ−2−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2−クロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2,6−ジフルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2,6−ジクロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(3−クロロ−2−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2−クロロ−4−フルオロベゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−ベンゼンスルホニル−3−ブロモ−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(2−ブロモ−4−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−[4−(1−メチルエチル)ベンゼンスルホニル]−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(4−フルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(3−クロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(1−ナフチルスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−ブロモ−1−(5−クロロ−2−メトキシ−4−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−ベンゼンスルホニル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−[4−(1−メチルエチル)ベンゼンスルホニル]−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(2−ブロモベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(4−フルオロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(3−クロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(1−ナフチルスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
3−クロロ−1−(5−クロロ−2−メトキシ−4−メチルベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2−ブロモベンゼンスルホニル)−4−(ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドールジヒドロクロリド;
1−ベンゼンスルホニル−4−(ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドールジヒドロクロリド;
1−(4−メチルベンゼンスルホニル−4−(ピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドールジヒドロクロリド;
1−ナフチルスルホニル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(2,4−ジクロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(3−クロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−ベンゼンスルホニル−5−ヒドロキシ−3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−6−ヒドロキシ−1H−インドール;
1−(4−ヒドロキシベンゼンスルホニル)−5−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
1−(4−クロロベンゼンスルホニル)−6−メトキシ−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
6−クロロ−1−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イルメチル)−3−メチル−1H−インドール;
6−クロロ−1−(4−ヒドロキシベンゼンスルホニル)−3−メチル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
4−(3,4−ジメチルピペラジン−1−イルメチル)−1−(4−メトキシベンゼンスルホニル)−1H−インドール;
1−(4−フルオロベンゼンスルホニル)−4−(3−メトキシ−4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1H−インドール;
4−(3−クロロ−4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−インドール;
4−(4−メチル−3−トリフルオロメチルピペラジン−1−イルメチル)−1−(4−メチルベンゼンスルホニル)−1H−インドール;
1−ベンゼンスルホニル−4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−2−トリフルオロメチル−1H−インドール;
それらの立体異性体およびそれらの塩からなる群の中から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
【化2】

という構造式(I)を有し、式中、
− Arが、R1から選択された1つ以上の独立した置換基により置換されてよいフェニル、ナフチル、単環式または二環式環を表わし;
− R1が、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、ハロ(C1−C3)アルコキシ、シクロ(C3−C6)アルキルまたはシクロ(C3−C6)アルコキシの中から選択された1つ以上の独立した置換基を表わし;
− R2が、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、またはハロ(C1−C3)アルコキシを表わし;
− R3が、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキルまたはハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシまたはハロ(C1−C3)アルコキシを表わし;
− Rが、水素原子、(C1−C3)アルキルまたはハロ(C1−C3)アルキル基を表わし;
− R4およびR5が、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシまたはハロ(C1−C3)アルコキシを表わしている、
化合物の製造方法において、
【化3】

という構造式(a)を有し、式中、
− Arが、R1から選択された1つ以上の独立した置換基により置換されてよいフェニル、ナフチル、単環式または二環式環を表わし;
− R1が、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、ハロ(C1−C3)アルコキシ、シクロ(C3−C6)アルキルまたはシクロ(C3−C6)アルコキシの中から選択された1つ以上の独立した置換基を表わし;
− R2が、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、またはハロ(C1−C3)アルコキシを表わし;
− R3が、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキルまたはハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシまたはハロ(C1−C3)アルコキシを表わし;
− Rが、水素原子、(C1−C3)アルキルまたはハロ(C1−C3)アルキル基を表わし;
− R4およびR5が、水素、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシまたはハロ(C1−C3)アルコキシを表わしている、
化合物と、
式中、Arが、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルキル、(C1−C3)アルコキシ、ハロ(C1−C3)アルコキシ、シクロ(C3−C6)アルキルまたはシクロ(C3−C6)アルコキシからなる群の中からから選択された1つ以上の独立した置換基により置換されてよいフェニル、ナフチル、単環式または二環式環を表わしている、ArSO2Clという式のアリールスルホニル化合物とを、適当な温度で適切な不活性溶媒および塩基の存在下で接触させるステップを含む方法。
【請求項9】
前記不活性溶媒が、DMSO、DMF、アセトニトリル、THF、ジエチルエーテルおよび/またはジフェニルエーテルを含む群の中から選択されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記塩基が、アルカリ金属水素化物およびアルカリ土類金属水素化物の中から選択されている、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
− 構造式(I)の化合物を構造式(I)のもう1つの化合物へと転換するステップ;
− 任意の保護基を除去するステップ;または
− その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグを形成するステップ、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜12のいずれかに記載の構造式(I)の化合物を治療上有効な量だけ患者に提供するステップを含む、治療を必要としている患者において、5−HT6受容体に関連するかまたはこの受容体により影響される中枢神経系の障害の治療方法。
【請求項13】
前記障害が運動障害、不安障害、認識力障害、または神経変性障害である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記障害が、注意力欠如障害;強迫障害;薬物、アルコールまたはニコチン依存症からの離脱;統合失調症およびうつ病、アルツハイマ病;パーキンソン病;卒中または頭部外傷;摂食障害または肥満からなる群の中から選択される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の化合物およびその薬学的に許容可能な担体を含む薬学組成物。
【請求項16】
薬剤として使用するための、請求項1〜15のいずれかに記載の、構造式(I)の化合物。
【請求項17】
5−HT6受容体に関連するかまたはこの受容体により影響される中枢神経系の障害を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜16のいずれかに記載の構造式(I)の化合物の使用。
【請求項18】
拮抗薬そして5−HT6受容体に対する選択性を有する拮抗薬をテストする方法において、
− 請求項1に記載の化合物を投与し、前記動物の応答を観察するステップ;
− 前記応答を対照動物と比較するステップ;
および、
− 活性が未知であるその他の化合物を前記実験動物に対して投与するステップ、
を含む、方法。
【請求項19】
上述の実施例を参考にした、以上で記述された通りの構造式(I)の化合物。
【請求項20】
上述の実施例を参考にした、以上で記述された通りの構造式(I)の調製用プロセス。
【請求項21】
上述の実施例を参考にした、以上で記述された通りの構造式(I)の化合物を含む薬学組成物。

【公表番号】特表2010−515673(P2010−515673A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544494(P2009−544494)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際出願番号】PCT/IN2007/000311
【国際公開番号】WO2008/084491
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(504464520)スベン ライフ サイエンシズ リミティド (9)
【Fターム(参考)】