説明

4−(3−スルホニルフェニル)−ピペリジンの合成方法

本発明は,式VIの4−(スルホニルフェニル)ピペリジン及びその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,式VII又は式VIIIのスルフィドを酸化して,各々式IX又は式Xの化合物を得て,続いて該式IXの化合物の接触還元又は該式Xの化合物の脱水により式IXの化合物を得た後の該式IXの化合物の接触還元により,式VIの化合物を得ることを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
4−(3−メタンスルホニルフェニル)−1−N−プロピルピペリジンは,ドーパミン神経伝達のモジュレータとして有用であり,例えば,アルツハイマー病,パーキンソン病及び精神分裂病の治療における治療用途を有する。4−(スルホニルフェニル)ピペリジンを製造するための合成方法は,国際特許公開WO01/46145号公報及び国際特許公開WO01/46146号公報に記載されている。
【0002】
本発明により,4−(スルホニルフェニル)ピペリジン及びその薬学的に許容され得る塩の製造のための方法が提供される。本方法は,4−(スルホニルフェニル)ピペリジンを高収率かつ高純度で提供するが,合成工程の数は最小限となる。
【0003】
発明の要約
本発明は,式VI:

(式中,Rは,
(1)−CH及び
(2)−CHCH;から成る群より選択され,
は,
(1)−CHCH
(2)−CHCHCH
(3)−CHCHCHCH
(4)−CH(CH)CHCH
(5)−CHCH(CH
(6)−CHCHOCH及び
(7)−CHCH=CH;から成る群より選択され,
は,
(1)水素及び
(2)フッ素から成る群より選択され,
は,
(1)水素及び
(2)フッ素;から成る群より選択される)
の4−(スルホニルフェニル)ピペリジン及びその薬学的に許容され得る塩の製造方法に関する。
【0004】
発明の詳細な説明
本発明は,医薬品製剤として有用な4−(スルホニルフェニル)ピペリジンの製造方法に関する。
【0005】
本発明の実施態様の一つは,式VI:

(式中,Rは,
(1)−CH及び
(2)−CHCH;から成る群より選択され,
は,
(1)−CHCH
(2)−CHCHCH
(3)−CHCHCHCH
(4)−CH(CH)CHCH
(5)−CHCH(CH
(6)−CHCHOCH及び
(7)−CHCH=CH;から成る群より選択され,
は,
(1)水素及び
(2)フッ素から成る群より選択され,
は,
(1)水素及び
(2)フッ素;から成る群より選択される)
の4−(スルホニルフェニル)ピペリジン及びその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,
式VII:

又は式VIII:

のスルフィドを酸化して,各々式IX:

又は式X:

の化合物を得て,続いて該式IXの化合物の接触還元又は該式Xの化合物の脱水により式IXの化合物を得た後の該式IXの化合物の接触還元により,次式VI:

の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む方法に関する。
【0006】
本発明は,個々の上記経路にも関する。本発明の好ましい実施態様においては,Rがメチル基であり,Rがn−プロピル(n-Pr)である時,R及びRはHではない。
【0007】
本発明の実施態様の一つは次式I:

の1−エチル−4−[2−フルオロ−3−(メチルスルホニル)フェニル]ピペリジン又はその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,
次式II

のスルフィドを酸化して,次式III:

の化合物を得て,続いて該式IIIの化合物の接触還元により,次式I:

の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む方法に関する。
【0008】
本発明の別の実施態様は,次式I:

の1−エチル−4−[2−フルオロ−3−(メチルスルホニル)フェニル]ピペリジン又はその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,次式IV:

のスルフィドを酸化して,次式V:

の化合物を得て,続いて該式Vの化合物を強酸で脱水することにより次式III:

の化合物を得て,続いて該式IIIの化合物の接触還元により,次式I:

の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む方法に関する。
【0009】
本発明の別の実施形態は次式I:

の1−エチル−4−[2−フルオロ−3−(メチルスルホニル)フェニル]ピペリジン又はその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,次式IV:

のアルコールを強酸で脱水して,次式II:

のスルフィドを得て,該式IIのスルフィドを酸化して,次式III:

の化合物を得て,該式IIIの化合物の接触還元により次式I:

の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む方法に関する。
【0010】
本発明の別の実施形態は,次式XI:

の1−エチル−4−[3−フルオロ−5−(メチルスルホニル)フェニル]ピペリジン又はその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,次式XII:

のスルフィドを酸化して次式XIII:

の化合物を得て,該式XIIIの化合物の接触還元により,次式XI:

の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む方法に関する。
【0011】
本発明の別の実施形態は,次式XI:

の1−エチル−4−[3−フルオロ−5−(メチルスルホニル)フェニル]ピペリジン又はその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,次式XIV:

のアルコールを強酸で脱水して,次式XII:

のスルフィドを得て,続いて,該式XIIのスルフィドを酸化して次式XIII:

の化合物を得て,続いて該式XIIIの化合物の接触還元により,次式XI:

又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む方法に関する。
【0012】
本発明の別の実施形態は,次式XI:

のl−エチル−4−[3−フルオロ−5−(メチルスルホニル)フェニル]ピペリジン又はその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,
次式XIV:

のスルフィドを酸化して,次式XV:

の化合物を得て,続いて該式XVの化合物を強酸で脱水して,式XIII:

の化合物を得て,該式XIIIの化合物の接触還元によって次式XI:

の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む方法に関する。
【0013】
本発明の実施形態においては,前記強酸は強い無機酸又は強い有機酸である。本発明の実施形態においては,該強酸は,硫酸,塩酸,フッ化水素酸,リン酸,ポリ燐酸,硝酸及びトリフルオロ酢酸から選択される。所望により,式VIII,IV,XIV,X,V又はXVのアルコールの強酸による脱水は,そのまま又は溶媒中で行われる。本発明の実施形態において,該溶媒は,トルエン,キシレン,ヘキサン及び水から選択される。
【0014】
本発明の実施形態において,式VII,II,XII,IV,XIV又はVIIIのスルフィドの酸化は,タングステン,ルテニウム,レニウム,モリブデン,オスミウム,ケイタングステン酸塩 (例えば(BuN)[γ−SIW1034(HO)])又はクロム酸化剤のような接触酸化剤を使用して行われる。イミダゾール,リン酸塩又はカルボン酸塩の添加により,有機スルフィド酸化速度が著しく増強される。
【0015】
本発明の実施形態において,前記接触酸化剤はタングステン酸化剤である。この実施形態の一態様において,タングステン酸化剤はタングステン酸ナトリウムである。
【0016】
本発明の実施形態において,前記オキシダントは過酸化物である。この実施形態の一態様において,該過酸化物は過酸化ナトリウム,過酸化水素,次亜塩素酸ナトリウム,臭素酸ナトリウム,ナトリウム過ヨウ素酸(sodium periodate),ペルオキシ酢酸又はペルオキシ安息香酸である。この実施形態の別の態様では,該過酸化物は過酸化ナトリウムである。この実施形態の範囲内において,該過酸化物は過酸化ナトリウムの水溶液である。
【0017】
本発明の別の実施形態においては,式VII,II,XII,IV,XIV又はVIIIのスルフィドの酸化を化学量論のオキシダントを使用して行う。好ましい化学量論のオキシダントは過酸化物,オキソン(oxone),MCPBA又はKMnOである。しかしながら,上記に詳述したような接触酸化剤が望ましい。
【0018】
本発明の実施形態において,式VII,II,XII,IV,XIV又はVIIIのスルフィドを酸化する工程は,3未満のpHで行われる。この実施形態の範囲内において,式VII,II,XII,IV,XIV又はVIIIのスルフィドを酸化する工程は,2未満のpHで行われる。さらに,この実施形態の範囲内において,式VII,II,XII,IV,XIV又はVIIIのスルフィドを酸化する工程は,1未満のpHで行われる。
【0019】
本発明の実施形態において,式VII,II,XII,IV,XIV又はVIIIのスルフィドを酸化する工程は,30℃以上の温度で行われる。この実施形態の範囲内において,式VII,II,XII,IV,XIV又はVIIIのスルフィドを酸化する工程は,40℃以上の温度で行われる。さらに,この実施形態の範囲内において,式VII,II,XII,IV,XIV又はVIIIのスルフィドを酸化する工程は,40℃以上,60℃以下の温度で行われる。さらに,この実施形態の範囲内において,式VII,II,XII,IV,XIV又はVIIIのスルフィドを酸化する工程は,50℃以上,55℃以下の温度で行われる。
【0020】
式VII,II,XII,IV,XIV又はVIIIのスルフィドを酸化する工程を行うための好ましい溶媒は,トルエン,テトラヒドロフラン(THF),ジエチルエーテル,ジグリム及びメチルt−ブチルエーテルから選択される有機溶媒を含む水溶液を含む。最も好ましい有機溶媒はトルエンである。
【0021】
本発明の実施形態においては,式IX,III又はXIIIの化合物の接触還元の工程は,接触水素化を含む。この実施形態の範囲内において,式IX,III又はXIIIの化合物の接触還元の工程は,パラジウム触媒,白金触媒又はルテニウム触媒による接触水素化を含む。この実施形態の範囲内において,式IX,III又はXIIIの化合物の接触還元の工程は,パラジウム触媒による接触水素化を含む。この実施形態の範囲内において,式IX,III又はXIIIの化合物の接触還元の工程は,炭素触媒上のパラジウムによる接触水素化を含む。さらに,この実施形態の範囲内において,式IX,III又はXIIIの化合物の接触還元の工程は,炭素触媒上の10%のパラジウム又は炭素触媒上の5%のパラジウムによる接触水素化を含む。
【0022】
本発明の別の実施形態においては,式IX,III又はXIIIの化合物の接触還元の工程は,接触転移水素化(catalytic transfer hydrogenation)を含む。この実施形態の範囲内において,式IX,III又はXIIIの化合物の接触還元の工程は,ロジウム触媒又はルテニウム触媒及び水素転移源による接触転移水素化を含む。この実施形態の範囲内において,ロジウム触媒は,所望により別のリガンドの存在下での,ビス((ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウムクロライド)及びビス((シクロペンタジエニル)ロジウムクロライド)から選択され得る。この実施形態の範囲内において,ルテニウム触媒は,所望により別のリガンドの存在下での,ビス((4−イソプロピル-トルエニル)ルテニウムクロライド及びビス((シクロペンタジエニル)ルテニウムクロライド)から選択され得る。この実施形態の範囲内において,水素転移源は,ギ酸,メタノール,エタノール,イソプロパノール,イソブタノール又はn−ブタノールのような,酸又はアルコールであり得る。この実施形態では,所望により,塩基が水素転移源と共に存在する。該塩基は,水酸化カリウムもしくはナトリウム,炭酸カリウムもしくはナトリウム,重炭酸カリウムもしくはナトリウム,カリウムもしくはナトリウムアルコキシド等から選択される塩基のような無機塩基であり得る。該アルコキシドは低級(C1〜C5),高級(>C6)の第一,第二又は第三アルコールから誘導され得る。
【0023】
式IX,III又はXIIIの化合物の接触還元の工程を行うための溶媒は,メタノール,エタノール,イソプロパノール,イソブタノール又はn−ブタノールから選択されるアルコールのようなアルコールを含む水溶液を含む。この実施形態の範囲内において,アルコールはメタノールであり得る。
【0024】
「薬学的に許容され得る塩」の用語は,薬学的に許容され得る非毒性の塩基又は酸,例えば無機又は有機塩基及び無機又は有機酸から製造される塩を意味する。塩は,無機及び有機酸を含む薬学的に許容され得る非毒性の酸から調製されてもよい。そのような酸には,酢酸,ベンゼンスルホン酸,安息香酸,カンフルスルホン酸,クエン酸,エタンスルホン酸,フマル酸,グルコン酸,グルタミン酸,臭化水素酸,塩酸,イセチオン酸,乳酸,マレイン酸,リンゴ酸,マンデル酸,メタンスルホン酸,ムチン酸,硝酸,パモン酸,パントテン酸,リン酸,コハク酸,硫酸,酒石酸,p-トルエンスルホン酸等が含まれる。特に好ましいのは,ベンゼンスルホン酸,クエン酸,臭化水素酸,塩酸,マレイン酸,フマル酸,コハク酸及び酒石酸である。ここで使用される限り,本発明の化合物への言及は,薬学的に許容され得る塩も含む意味であることが理解されるであろう。
【0025】
本発明の方法のための出発物質及び試薬は市販されているか,文献により公知であるか,又は類似の化合物について記載された文献記載の方法により製造され得る。該反応及び得られた反応生成物の精製を行うのに必要な技術は,当該分野の技術者に公知である。精製方法には,結晶化,蒸留,順相又は逆相クロマトグラフィーが含まれる。
【0026】
下記の実施例は,説明のためにのみ提供されるものであって,いかなる場合も本発明の範囲を制限するものではない。
【0027】
実施例1

窒素雰囲気下,-50℃のテトラヒドロフラン中の2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの溶液に,ヘキシルリチウムを添加した(-50℃〜-30℃)。この混合物を室温に温め,-78℃のテトラヒドロフラン中の1−ブロモ−2−フルオロベンゼン及びジメチルジスルフィドの溶液に添加した(-80℃〜-60℃)。この混合物をゆっくり室温に加温し,0℃に冷却し,添加中の反応温度を30℃未満に維持しながらメチルアクリレートでクエンチし,続いてNaOH(2M)を添加した。有機溶媒を蒸発させ,水相を第三ブチルメチルエーテルで抽出した。有機相を塩酸の水溶液(2M)で洗浄し,合わせた有機相を蒸発乾固して,油状物質を得た。残留物を,残留物に対して7質量当量のシリカを用い,溶離剤としてヘプタンを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し,標記化合物を得た。MS m/z(相対強度,70eV)222(M+,bp),220(M+,91),189(24),187(25),126(97)。
【0028】
実施例2

窒素雰囲気下,THF中の1−ブロモ−2−フルオロ−3−(メチルチオ)ベンゼンの-78℃の溶液に,添加中の反応温度を-60℃未満に維持しながら,50分間かけてヘキシルリチウムを添加した。この混合物を-78℃で1分間撹拌し,その後,1−エチル−4−ピペリドンを,添加中の反応温度を-60℃未満に維持しながら,50分間かけて添加した。この混合物を-75℃〜-70℃で60分間撹拌した。その後,この反応混合物を9分間かけて-70℃〜-60℃で,メタノール(MeOH)によりクエンチし,その後,室温にした。この反応混合物を50分間かけて,0℃〜15℃で,5MのHClで処理した。この水性混合物を,まずヘプタンで,続いてTBMEで抽出した。その後,水層を50分間かけて,0℃〜15℃で30%のNaOHで塩基性とし,その後,酢酸イソプロピル(i-PrOAc)で抽出した。有機層を塩水で洗浄し,続いて蒸発乾固して,油状の残留物11.2kgを得た。MS m/z(相対強度,70eV)269(M+,49),254(bp),236(36),169(13),109(17)。
【0029】
実施例3

トルエン(200ml)中の1−エチル−4−[2−フルオロ−3−(メチルチオ)フェニル]ピペリジン−4−オール(42g,156mmol)及び硫酸(18M,8.5ml,156mmol)の溶液を,ディーン−スターク(Dean-Stark)水分離器の下で15時間還流させた。この溶液を室温に冷却し,水を添加し,相を分液漏斗で分離した。この水相を0℃に冷却し,水酸化ナトリウム溶液(5M)で塩基性とし,酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。合わせた有機相を乾燥し(MgSO),濃縮して,標記化合物(22.6g)を得た。MS m/z(相対強度,70eV)251(M+,bp),236(85),147(65),146(45),110(44)。
【0030】
実施例4

反応器に,1−エチル−4−[2−フルオロ−3−(メチルチオ)フェニル]ピペリジン−4−オール及びトリフルオロ酢酸を入れ,窒素でパージした(発熱を伴う)。この混合物を82℃〜85℃に20時間加熱した。その後,この溶液を室温に冷却した。MS m/z(相対強度,70eV)251(M+,bp),236(85),147(65),146(45),110(44)。
【0031】
実施例5

硫酸(1N,180ml)中の1−エチル−4−[2−フルオロ−3−(メチルチオ)フェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(22.5g,89.6mmol)の溶液に,タングステン酸ナトリウム二水和物(0.29g,0.89mmol)を添加し,過酸化水素(水中30%,22,9ml,224mmol)を温度が55℃より下に維持される速度で添加した。この混合物を2時間撹拌し,10℃に冷却した。水相を,水酸化ナトリウム溶液(5M)で塩基性とし,酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。合わせた有機相を乾燥し(MgSO),濃縮し,フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール 1:1)により精製して,標記化合物(17.2g)を得た。MS m/z(相対強度,70eV)283(M+,63),282(29),268(bp),146(51),110(87)。
【0032】
実施例6

実施例4からの溶液を,各々23.5Lの二つに分割した。第1の部分を-3.5℃〜7.5℃で水で希釈した(発熱を伴う)。オキソンを90分間,-7℃〜-8.5℃で添加し,この反応混合物を-7℃〜0℃に4.5時間維持し,続いて120分間かけて20℃に暖めた。最終反応混合物を室温で12時間撹拌した。その後,6〜10時間の間隔をあけ,室温で,オキソンを3回再投入した。この最終反応混合物を亜硫酸ナトリウム飽和溶液で0℃でクエンチした。この反応溶液を酢酸イソプロピルで抽出し,続いて30%のNaOHにより0℃で塩基性とした。最終水溶液を,酢酸イソプロピルで2回抽出し,合わせた有機相を塩水で洗浄した。溶媒を蒸発させ,最終油状残留物を,溶出系としてヘプタン/酢酸エチル(EtOAc)(1:1)+5%のNEtを使用するクロマトグラフィーにより精製して,標記化合物(17.2g)を得た。MS m/z(相対強度,70eV)283(M+,63),282(29),268(bp),146(51),110(87)。
【0033】
実施例7

2−プロパノール(50ml)中の1−エチル−4−[2−フルオロ−3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(5.0g,17.7mmol),炭素上のパラジウム(1.1g)及びギ酸(3.4ml)の混合物を,水素下,50psiで15時間水素化した。反応混合物をセライトパッドによってろ過し,濾液を濃縮し,蒸発乾固した。
炭酸ナトリウム水溶液(10%,100ml)及び酢酸エチル(100ml)を添加し,相を分離した。水相を酢酸エチル(2×50ml)で抽出し,合わせた有機相を乾燥し(MgSO),減圧下で蒸発させ,油状物質を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール,1:1)により精製して標記化合物2.5g(50%)を得た。このアミンを塩酸塩に転化し,エタノール/ジエチルエーテルから再結晶した:融点279℃〜280℃。MS m/z(相対強度,70eV)285(M+,12),271(15),270(bp),147(7)133(8)。
【0034】
実施例8

この反応器に,Pd/C触媒及び酢酸カルシウム(Ca(OAc)2)を入れた。その後,この反応器を窒素でパージし,続いて1−エチル−4−[2−フルオロ−3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン,エタノール(EtOH)及び酢酸を添加した。この混合物を,水素ガスで12時間かけて水素化した。その後,この混合物をセライトパッドでろ過し,該セライトパッドをエタノールで濯いだ。その後,エタノールを蒸発させ,残りの残留物を5MのNaOH溶液で処理した。その後,水相をTBMEで抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し,濃縮して油状の残留物を産出し,次に,溶出系としてヘプタン/酢酸エチル(1:1)+5%NEtを使用して,クロマトグラフィーで精製し,標記化合物を得た。その後,このアミンをエタノールに溶解し,エタノール中のHClを60℃で添加した。この最終溶液を20℃にゆっくり冷却し,結晶化を始めた。この最終懸濁液を20℃で1時間撹拌し,その後結晶を濾取し,乾燥して最終生成物3.2kgを得た。融点284℃。MSm/z(相対強度,70eV)285(M+,12),271(15),270(bp),147(7)133(8)。
【0035】
実施例9

ジメチルホルムアミド(40ml)中の1−ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼン(5.0g,25.9mmol)の溶液に,ナトリウムチオメチラート(1.81g,25.9mmol)を添加し,この混合物を10分間150℃に加熱した。この反応混合物を室温にし,塩化アンモニウムの飽和水溶液(100ml)でクエンチし,酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。合わせた有機相を乾燥し(MgSO),真空下で濃縮し,純粋な標記化合物(3.84g)を得た。MS m/z(相対強度,70eV)222(M+,100),220(M+,100),189(49),187(50),126(75)。
【0036】
実施例10

実施例2による製造:1−ブロモ−3−フルオロ−5−(メチルチオ)ベンゼン(3.8g,17.4 mmol),乾燥したテトラヒドロフラン(70ml),n−ブチルリチウム(ヘキサン中の2.5M,7.7ml,19.1mmol),1−エチル−4−ピペリドン(2.2g,17.4mmol)。収量:4.7g。MS m/z(相対強度,70eV)269(M+,73),254(bp),236(34),109(136),84(75)。
【0037】
実施例11

塩化メチレン(40ml),アセトニトリル(40ml)及び水(80ml)中の1−エチル−4−[3−フルオロ−5−(メチルチオ)フェニル]ピペリジン−4−オール(8.3g,30.7mmol)の溶液に,ナトリウム過ヨウ素酸(19.7g,92.1mmol)及び塩化ルテニウム(III)(15mg,0.05mol%)を添加した。この混合物を0.5時間撹拌し,水酸化ナトリウム溶液(1M,50ml)で塩基性とし,酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。合わせた有機相を乾燥し(MgSO),濃縮して標記化合物(5.2g)を得た。MS m/z(相対強度,70eV)301(M+,21),287(16),286(bp),256(64),84(42)。
【0038】
実施例12

1−エチル−4−[3−フルオロ−5−(メチルスルホニル)フェニル]ピペリジン−4−オール(5.2g,17.3mmol)及びポリリン酸(15ml)の混合物を110℃で1時間加熱した。この混合物を氷上に注ぎ,5Mの水酸化ナトリウムで塩基性とした。この混合物を酢酸エチル(3×100ml)で抽出し,合わせた有機相を乾燥し(MgSO),ろ過し,蒸発乾固してまた油状物質を得た。この粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール 1:1)により精製し,標記化合物(2.2g)を得た。MS m/z(相対強度,70eV)283(M+,76),282(36),268(bp),146(18),110(19)。
【0039】
実施例13

実施例1による製造:1−エチル−4−[3−フルオロ−5−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(2.2g,7.7mmol),炭素上のパラジウム(0.43g),ギ酸(1.5ml)及び2−プロパノール(50ml)。収量:1.9g(87%)。このアミンを塩酸塩に転化し,エタノール/ジエチルエーテルから再結晶した:融点176℃〜178℃。MS m/z(相対強度,70eV)285(M+,15),284(16),271(16),270(bp),84(15)。
【0040】
本発明をその特定の実施形態に関して記述し,説明してきたが,当業者は操作及びプロトコルの様々な適合化,変更,修正,置き換え,削除又は追加を,本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行い得ることを認識するであろう。例えば,ここに上記で述べられたような特定の条件以外の反応条件は,上記の本発明の方法により化合物を製造する試薬又は方法における変形の結果として適用可能であり得る。同様に,出発物質の特定の反応性は特定の置換基の存在又は製造条件により,またこれに応じて変化し得る。そのような予期される変化又は結果における差異は,本発明の目的及びプラクティスにより意図されている。従って,本発明は,下記の請求の範囲によって定義されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式VI:

(式中,Rは,
(1)−CH及び
(2)−CHCH;から成る群より選択され,
は,
(1)−CHCH
(2)−CHCHCH
(3)−CHCHCHCH
(4)−CH(CH)CHCH
(5)−CHCH(CH
(6)−CHCHOCH及び
(7)−CHCH=CH;から成る群より選択され,
は,
(1)水素及び
(2)フッ素から成る群より選択され,
は,
(3)水素及び
(4)フッ素;から成る群より選択される)
の化合物及びその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,
式VII:

又は式VIII:

のスルフィドを酸化して,各々次式IX:

又は式X:

の化合物を得て,続いて該式IXの化合物の接触還元又は該式Xの化合物の脱水により前記式IXの化合物を得た後の該式IXの化合物の接触還元により,次式VI:

の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む方法。
【請求項2】
次式VI:

(式中,R,R,R及びRは請求項1で定義した意味を表す)の化合物及びその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,
次式VII:

のスルフィドを酸化して,各々次式IX:

の化合物を得て,続いて該式IXの化合物の接触還元により,次式VI:

の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
次式VIII:

(式中,R,R,R及びRは請求項1で定義した意味を表す)のアルコール及びその薬学的に許容され得る塩を強酸により脱水して,次式VII:

のスルフィドを得て,続いて請求項2記載の工程を行い,式VI:

の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記強酸が,硫酸,塩酸,フッ化水素酸,リン酸,ポリ燐酸,硝酸及びトリフルオロ酢酸から選択される請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記式VIIIのアルコールの強酸による脱水を,トルエン,キシレン,ヘキサン及び水から選択される溶媒中で行う請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記式VIIのスルフィドの酸化工程を2未満のpHで行う請求項3〜5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
が−CHであり,Rが−CHCHであり,RがFであり,RがHである請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
が−CHであり,Rが−CHCHであり,RがHであり,RがFである請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
次式VI:

(式中,R,R,R及びRは請求項1で定義した意味を表す)の化合物及びその薬学的に許容され得る塩の製造方法であって,
次式VIII:

のスルフィドを酸化して,次式X:

の化合物を得て,続いて該式Xの化合物の脱水により次式IX:

の化合物を得て,続いて該式IXの化合物の接触還元により,次式VI:

の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を得ることを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
が−CHであり,Rが−CHCHであり,RがFであり,RがHである請求項9記載の方法。
【請求項11】
が−CHであり,Rが−CHCHであり,RがHであり,RがFである請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記式VII又は前記式VIIIのスルフィドの酸化を接触酸化剤及びオキシダントを用いて行う請求項1〜11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記接触酸化剤が,タングステン,ルテニウム,レニウム,モリブデン,オスミウム,ケイタングステン酸塩又はクロム酸化剤である請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記接触酸化剤が,タングステン酸ナトリウムのようなタングステン酸化剤である請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記オキシダントが過酸化物である請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記過酸化物が過酸化ナトリウム,過酸化水素,次亜塩素酸ナトリウム,臭素酸ナトリウム,ナトリウム過ヨウ素酸,ペルオキシ酢酸又はペルオキシ安息香酸である請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記式VII又は前記式VIIIのスルフィドの酸化を化学量論のオキシダントを使用して行う請求項1〜11いずれか1記載の方法。
【請求項18】
前記オキシダントが,過酸化物,オキソン,MCPBA又はKMnOである請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記式IIのスルフィドの酸化工程を,40℃〜60℃の温度で行う請求項1〜18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記式IXの化合物の接触還元が,パラジウム触媒,白金触媒又はルテニウム触媒による接触水素化を含む請求項1〜19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記式IXの化合物の接触還元が,パラジウム触媒による接触水素化を含む請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記式IXの化合物の接触還元が,炭素触媒上のパラジウムによる接触水素化を含む請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記式IIIの化合物の接触還元が,炭素触媒上の10%のパラジウムによる接触水素化を含む請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記式IIIの化合物の接触還元の工程が,アルコールを含む水溶液中で行われる請求項20〜23いずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2008−515952(P2008−515952A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536092(P2007−536092)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011021
【国際公開番号】WO2006/040156
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(506407165)ニューロサーチ スウェーデン アクチボラゲット (5)
【Fターム(参考)】