説明

4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸の変態I

本発明は、4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸の新しい形態、特に変態I、それらの製造方法、それらを含む医薬および闘病のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸の新しい形態、特に変態I、それらの製造方法、それらを含む医薬および闘病のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸は、WO01/019780に記載されており、式(I):
【化1】

の化合物に相当する。
【0003】
例えば心血管障害を処置するための式(I)の化合物の製造および使用は、WO01/019780から既に知られている。そこに記載の方法を使用して、これ以後変態IVと称する結晶変態の形態で式(I)の化合物が得られる。変態IVは、129℃の融点並びに特徴的なX線回折図、IRスペクトル、ラマンスペクトル、FIRスペクトル、NIRスペクトルおよび13C固体NMRスペクトルを有する(表1−7、図1−7)。
【0004】
この度、変態IVは準安定であり、従って、例えば固体および半固体の製剤などの医薬製剤における使用に適さないことが見出された。
【0005】
驚くべきことに、4個のさらなる多形および無定形が見出された。WO01/019780から知られている変態IVと比較して、これらの多形は、170℃(変態I)、142℃(変態II)、135℃(変態III)および99℃(変態V)の顕著に異なる融点を有し、これらの変態の各々は、特徴的なX線回折図、IRスペクトル、ラマンスペクトル、FIRスペクトル、NIRスペクトルおよび13C固体NMRスペクトルを有する(表1−7、図1−7)。加えて、図8は、変態Iの式(I)の化合物の結晶構造を示す。
【0006】
さらに、驚くべきことに、我々は、式(I)の化合物の2種の多形の一水和物AおよびB、半水和物、メタノール溶媒和物およびメタノール/水溶媒和物を見出した。式(I)の化合物1個につき、一水和物は各々1個の水分子を含み、半水和物は1/2個の水分子を含み、メタノール溶媒和物は1個のメタノール分子を含む。メタノール/水溶媒和物は、同形の半水和物およびメタノール溶媒和物の混合形態である。式(I)の化合物の2種の多形の一水和物AおよびBの各々、半水和物、メタノール溶媒和物およびメタノール/水溶媒和物は、特徴的なX線回折図、IRスペクトル、ラマンスペクトル、FIRスペクトル、NIRスペクトルおよび13C固体NMRスペクトルを有する(表1−7)。半水和物およびメタノール溶媒和物について、結晶構造が決定された(表8)。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、変態Iの式(I)の化合物を提供する。
驚くべきことに、式(I)の化合物の変態Iは、懸濁液への加工後でさえ、熱力学的に安定であり、保存時に安定である。本発明に従って安定な変態Iの式(I)の化合物を使用することにより、他の変態への望まれない変換および付随する式(I)の化合物の特性、例えば、溶解性またはバイオアベイラビリティーの変化は、確実に防止される。これは、式(I)の化合物を含む製剤の安全性と品質を高め、患者のリスクを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
(該当する記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0009】
これらの医薬製剤において、本発明による変態Iの式(I)の化合物は、高純度で用いられる。安定性の理由で、医薬製剤は、主に変態Iの式(I)の化合物を含み、他の形態の式(I)の化合物を多量に含まない。好ましくは、医薬は、存在する式(I)の化合物の総量を基準として、90重量パーセントより多い、特に好ましくは95重量パーセントより多い、変態Iの式(I)の化合物を含む。
【0010】
本発明は、さらに、疾患の処置用、特に心血管障害の処置用の医薬を製造するための、変態Iの式(I)の化合物の使用を提供する。
【0011】
変態Iの式(I)の化合物は、血管弛緩および血小板凝集の阻害をもたらし、血圧の低下および冠血流の増加を導く。これらの効果は、可溶性グアニル酸シクラーゼの直接的刺激および細胞内のcGMPの増加により媒介される。
【0012】
従って、それは、心血管障害の処置用、例えば、高血圧症および心不全、安定および不安定狭心症、末梢および冠血管障害、不整脈の処置用、血栓塞栓障害および虚血、例えば心筋梗塞、卒中、一過性および虚血性発作、末梢血流の障害の処置用、血栓溶解療法、経皮経管血管形成術(PTA)、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)、バイパス術の後などの再狭窄の予防用、動脈硬化症、線維性障害、例えば肝臓の線維症または肺線維症、喘息性障害および泌尿生殖器系の疾患、例えば、前立腺肥大、勃起機能不全、女性の性機能不全および失禁の処置用、並びに緑内障の処置用の医薬に用いることができる。
【0013】
それは、また、NO/cGMP系の障害を特徴とする中枢神経系の疾患と闘うためにも使用できる。それは、認知障害の除去に、学習力および記憶力の改善に、そして、アルツハイマー病の処置に特に適する。それは、また、不安状態、緊張および抑うつ、CNSに関連する性機能不全および睡眠障害などの中枢神経系の障害の処置に、そして、食物、刺激物質および依存性物質の摂取の病的撹乱の制御に適する。
それは、さらに、脳血流の調節にも適し、従って、偏頭痛の制御に有効な物質である。
それは、また、脳梗塞(脳卒中)、例えば卒中、脳虚血および頭蓋大脳外傷の後遺症の予防および制御に適する。同様に、それは疼痛状態の制御に用いることができる。
加えて、それは、抗炎症効果を有し、従って抗炎症剤として用いることができる。
【0014】
本発明は、さらに、有効量の変態Iの式(I)の化合物を使用する、障害、特に上記の障害の処置方法を提供する。
【0015】
変態Iの式(I)の化合物は、適する方法で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳に、膣に、ステントとして、またはインプラントとして、投与できる。
これらの投与経路のために、本発明による化合物を適する投与形で投与できる。
【0016】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて機能し、変態Iの式(I)の化合物を迅速に、かつ/または、改変された形態で放出する投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、本発明による化合物の放出を制御する腸溶性、低速溶解または不溶の被覆で被覆されたもの)、口腔中で迅速に崩壊する錠剤、または、フィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードゼラチンカプセル剤またはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、懸濁剤またはエアゾール剤である。
【0017】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与のために、適する投与形は、とりわけ、懸濁剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤の形態の注射および点滴用製剤である。
【0018】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形態(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、舌、舌下または頬側に投与される錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪ローション)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ペースト、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
【0019】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行い得る。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄)、並びに、味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0020】
本発明は、さらに、少なくとも変態Iの式(I)の化合物を、通常1種またはそれ以上の不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤、例えば、結合剤、増量剤と共に含む医薬、および、上記の目的でのそれらの使用を提供する。
【0021】
一般に、総量で1日に約0.5ないし約500、好ましくは5ないし100mg/体重kgの本発明による化合物を、必要に応じて複数の個別用量の形態で投与するのが、所望の結果を得るために有利であると見出された。個別用量は、活性化合物を約1ないし約80、好ましくは3ないし30mg/体重kgの量で含有する。
【0022】
本発明は、さらに、例えば変態IVの式(I)の化合物を不活性溶媒に懸濁し、所望の変換度が達成されるまで、特に好ましくは変態Iへの定量的変換まで、10℃の温度から溶媒の還流温度で、好ましくは15℃ないし35℃で、特に好ましくは20ないし30℃で撹拌または振盪することによる、変態IVの式(I)の化合物の製造方法を提供する。得られる変態Iの結晶を分離し、存在する溶媒を除去し、室温または高温で、重量が一定になるまで乾燥させる。
【0023】
例えば、変態IVの式(I)の化合物を不活性溶媒に溶解し、溶媒が蒸発するまで溶液を室温で静置することにより、変態Iの式(I)の化合物を製造することも可能である。
【0024】
好ましくは、変態IVの式(I)の化合物をエタノールに溶解し、変態Iの式(I)の化合物が晶出するまで溶液を室温で静置することにより、変態Iの式(I)の化合物を製造する。
【0025】
適する不活性溶媒は、低級アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソ−ブタノール、1−ペンタノール、または、ケトン類、例えば、アセトン、または、アルカン類、例えば、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、または、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、酢酸エチル、1,4−ジオキサンまたは上述の溶媒の混合物である。好ましいのは、アセトニトリル、イソプロパノール、エタノールまたは上述の溶媒の混合物である。
【0026】
一般に、これらの製造方法は、大気圧下で実施する。しかしながら、加圧または減圧下、例えば、0.5ないし5barで操作することも可能である。
【0027】
下記の試験および実施例における百分率は、特記しない限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度は、各場合で体積によるものである。
【実施例】
【0028】
実施例:
Perkin-Elmer の示差走査熱量計DSC7または Pyris-1 および熱重量分析計TGA7を使用して、DSCおよびTGAサーモグラムを得た。X線回折図は、Stoe 透過型回折装置で記録した。IR、FIR、NIRおよびラマンスペクトルは、Bruker のフーリエ−IR分光計IFS66v(IR、FIR)、IFS28/N(NIR)およびRFS100(ラマン)を使用して記録した。13C固体NMRスペクトルは、Bruker のDRX400で記録した。
【0029】
実施例1
変態Iの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸の製造
実施例1.1
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約100mgを、酢酸エチル1mlに懸濁し、25℃で振盪する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温、外界湿度で乾燥させる。残渣を熱分析により調べると、変態Iの表題化合物に相当する。
【0030】
実施例1.2
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約0.4gを、アセトニトリル5mlに懸濁し、還流下、50℃で撹拌する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温、外界湿度で乾燥させる。残渣をX線回折により調べると、変態Iの表題化合物に相当する。
【0031】
実施例1.3
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約400mgを、熱いエタノール約200mlに溶解し、濾過する。溶液の4分の1を溶媒が蒸発するまで室温で静置する。残渣をX線回折により調べると、変態Iの表題化合物に相当する。
【0032】
実施例1.4
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約0.3gを、イソプロパノール5mlに懸濁し、還流下、80℃で撹拌する。4日後、懸濁液を濾過し、残渣を室温、外界湿度で乾燥させる。残渣をX線回折により調べると、変態Iの表題化合物に相当する。
【0033】
実施例2
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸の一水和物Aの製造
実施例2.1
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約1gを、エタノール:水(1:1)40mlに懸濁し、室温で撹拌する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温、外界湿度で乾燥させる。残渣をX線回折により調べると、一水和物Aの表題化合物に相当する。
【0034】
実施例2.2
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約80mgを、テトラヒドロフラン:水(1:3)1mlに懸濁し、25℃で振盪する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温、外界湿度で乾燥させる。残渣を熱分析により調べると、一水和物Aの表題化合物に相当する。
【0035】
実施例2.3
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約0.4gを、エタノール:水(1:1)5mlに懸濁し、還流下、50℃で撹拌する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温、外界湿度で乾燥させる。残渣をX線回折により調べると、一水和物Aの表題化合物に相当する。
【0036】
実施例2.4
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約80mgを、イソプロパノール:水(2:1)1.5mlに懸濁し、25℃で振盪する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温、外界湿度で乾燥させる。残渣を熱分析により調べると、一水和物Aの表題化合物に相当する。
【0037】
実施例2.5
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約0.3gを、エタノール:水(1:1)5mlに懸濁し、還流下、80℃で撹拌する。4日後、懸濁液を濾過し、残渣を室温、外界湿度で乾燥させる。残渣をX線回折により調べると、一水和物Aの表題化合物に相当する。
【0038】
実施例3
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸の一水和物Bの製造
実施例3.1
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約0.4gを、熱いアセトン約200mlに溶解し、濾過する。溶液の4分の1を溶媒が蒸発するまで室温で静置する。残渣をX線回折により調べると、一水和物Bの表題化合物に相当する。
【0039】
実施例3.2
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約0.4gを、熱いイソプロパノール約200mlに溶解し、濾過する。溶液の4分の1に、活性化合物が沈殿するまで水を添加する。沈殿した活性化合物を単離し、室温、外界湿度で乾燥させる。活性化合物を熱分析により調べると、一水和物Bの表題化合物に相当する。
【0040】
実施例3.3
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約0.4gを、熱いアセトン約200mlに溶解し、濾過する。溶液の4分の1を、溶媒が蒸発するまで5ないし8℃で静置する。残渣を熱分析により調べると、一水和物Bの表題化合物に相当する。
【0041】
実施例3.4
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約0.4gを、熱いアセトニトリル約200mlに溶解し、濾過する。溶液の4分の1に、活性化合物が沈殿するまで水を添加する。沈殿した活性化合物を単離し、室温、外界湿度で乾燥させる。活性化合物をX線回折により調べると、一水和物Bの表題化合物に相当する。
【0042】
実施例4
変態IIの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸の製造
実施例4.1
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸の一水和物A約100mgを、70℃で、乾燥キャビネット中で、10分間加熱する(tempered)。活性化合物をX線回折により調べると、変態IIの表題化合物に相当する。
【0043】
実施例4.2
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸の一水和物A約100mgを、100℃で、乾燥キャビネット中で、5分間加熱する。活性化合物を熱分析により調べると、変態IIの表題化合物に相当する。
【0044】
実施例4.3
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸の一水和物A約100mgを、五酸化リンと、室温で2日間保管する。活性化合物を熱分析により調べると、変態IIの表題化合物に相当する。
【0045】
実施例5
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸の半水和物の製造
実施例5.1
変態IIの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約0.4gを、熱いメタノール約200mlに溶解し、濾過する。溶液の4分の1を約−20℃で溶媒が蒸発するまで静置する。残渣の結晶構造を決定する。残渣は、半水和物の表題化合物に相当する。
【0046】
実施例6
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸のメタノール溶媒和物の製造
実施例6.1
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸4gを、熱いメタノール1.5lに溶解し、濾過する。溶液を5つに分け、溶媒が蒸発するまで室温で静置し、1つのサンプルにまとめる。残渣の結晶構造を決定する。残渣は、メタノール溶媒和物の表題化合物に相当する。
【0047】
実施例7
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸のメタノール/水溶媒和物の製造
実施例7.1
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約0.6gを、熱いメタノール約500mlに溶解し、濾過する。溶媒が蒸発するまで溶液を室温で静置する。残渣をX線回折により調べると、メタノール/水溶媒和物の表題化合物に相当する。
【0048】
実施例8
変態IIIの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸の製造
実施例8.1
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸2−3mgを、DSC熱量計中で加熱する。変態IVの融解物から、さらなる加熱により変態IIIが結晶化する。
【0049】
実施例9
変態Vの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸の製造
実施例9.1
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸のメタノール/水溶媒和物約100mgを、70℃で、乾燥キャビネット中で、3時間加熱する。活性化合物を熱分析により調べると、変態Vの表題化合物に相当する。
【0050】
実施例9.2
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸のメタノール/水溶媒和物約70mgを、五酸化リンと、室温で2日間乾燥させる。活性化合物をX線回折により調べると、変態Vの表題化合物に相当する。
【0051】
実施例10
4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}メチル)安息香酸の無定形の製造
実施例10.1
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約80mgを、コフラー熱板(Kofler hot stage)で融解させ、迅速に室温に冷却する。活性化合物をX線回折により調べると、無定形の表題化合物に相当する。
【0052】
実施例10.2
変態IVの4−({(4−カルボキシブチル)[2−(2−{[4−(2−フェニルエチル)ベンジル]オキシ}フェニル)エチル]アミノ}−メチル)安息香酸約100mgを、180℃で、乾燥キャビネット中で、10分間融解させ、迅速に室温に冷却する。活性化合物をX線回折により調べると、無定形の表題化合物に相当する。
【0053】
表1:示差走査熱量測定および熱重量分析
【表1】

【0054】
表2:X線回折法
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
表3:IR分光法
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
表4:ラマン分光法
【表6】

【0059】
【表7】

【0060】
表5:FIR分光法
【表8】

【0061】
表6:NIR分光法
【表9】

【0062】
表7:13C固体NMR分光法
【表10】

【0063】
表8:結晶構造のデータ
【表11】

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
変態Iの式(I)
【化1】

の化合物。
【請求項2】
化合物のX線回折図が9.6で2シータ角の最大ピークを示すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物のX線回折図が、9.6、15.8および24.7で2シータ角のピークを示すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
化合物のラマンスペクトルが2930cm−1にバンドを示すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
化合物のラマンスペクトルが、2930、1616および1602cm−1にバンドを示すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
化合物のNIRスペクトルが、5974、4613および4053cm−1にバンドを示すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
疾患を処置するための、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化合物を含み、他の形態の式(I)の化合物を多量に含まない、医薬。
【請求項9】
その中に含まれる式(I)の化合物の総量を基準として、90重量パーセントより多い請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化合物を含む、医薬。
【請求項10】
変態IVの式(I)の化合物を不活性溶媒に懸濁し、10℃ないし溶媒の還流温度の温度で、変態Iへの定量的変換が達成されるまで、撹拌または振盪することによる、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化合物の製造方法。
【請求項11】
心血管障害の処置用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
有効量の請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化合物を投与することによる、心血管障害の処置方法。

【公表番号】特表2012−512204(P2012−512204A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541155(P2011−541155)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008664
【国際公開番号】WO2010/075930
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(507113188)バイエル・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】