説明

4−[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−2−ピリミジニル)アミノベンゾニトリルの製造方法

【課題】(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−2−ピリミジニル)アミノベンゾニトリル(I)の製造方法を提供する。
【解決手段】4−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジニルカルボン酸エステル(II)を脱アルコキシカルボニル化することにより式(I)の化合物を製造する。


[式中、RはC1−4アルキルである]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、反応工程が一容器工程(one−pot procedure)でありうる、4−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジニルカルボン酸エステル(II)から出発するまたはアルコキシ−メチレンマロン酸エステルと反応して(I)に転化されるエステル(II)となるグアニジン誘導体から出発する、4−[(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−2−ピリミジニル)アミノベンゾニトリルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすウイルスはヒト免疫不全ウイルス(HIV)として一般的に知られている。HIVの蔓延は世界中で重大な健康問題を引き起こしておりそして引き起こし続ける。多くのHIV阻害薬品が開発され、それらは現在ウイルスを撲滅するために使用されている。これらの薬品は、特に組み合わせ療法で使用される時には、ウイルスの抑制において有効であることが証明された。しかしながら、身体からウイルスを完全に排除しうる療法はない。
【0003】
数種のHIV阻害剤が現在利用可能でありそして新種が探査されている。1つのそのような種は非−ヌクレオシド逆トランスクリプターゼ阻害剤(NNRTI類)のものである。この種は抗−HIV療法で使用される多くの薬品を含んでなるが他のNNRTI類は種々の開発段階にある。これらの中の1つは、TMC278としても知られる、化合物4−[[4−[[4−(2−シアノエテニル)−2,6−ジメチルフェニル]−アミノ]−2−ピリミジニル]−アミノ]−ベンゾニトリルである。この化合物、その性質並びにその製造のための多くの合成方式は特許文献1に記載されている。現在臨床開発中であるTMC278は野生型ウイルスに対してだけでなく多くの突然変異ウイルスに対しても顕著な活性を示す。
【0004】
従って、生成物を高い収率で且つ高い純度で与える方法に基づいてより大量のこの活性成分の製造に関する要望がある。この化合物を製造するために開発された合成方式は、以下の反応スキームに概略記述される通りにして(E)−4−アミノ−3,5−ジメチルシンナモニトリル(B)をアニリノピリミジン(C)と結合させてTMC278を得ることを含み、ここで化合物TMC278は式(A)により表示される。
【0005】
【化1】

【0006】
4−ヨード−2,6−ジメチルアニリン(D)(X=1)を木炭上パラジウム、塩基としての酢酸ナトリウムおよび溶媒としてのジメチルアセトアミドの存在下でアクリロニトリルと結合させることを含んでなる中間体(B)の製造は特許文献2に記載されている。
【0007】
【化2】

【0008】
他方で、特にPOClを用いる、4−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン(I)のハロゲン化反応を含んでなるような中間体(C)の製造は特許文献1に記載されている。
【0009】
【化3】

【0010】
時にはその互変異性体形態(I’):
【0011】
【化4】

【0012】
により表示される化合物(I)は非特許文献1に記載された工程に従い製造することができる:
【0013】
【化5】

【0014】
(E)と(F)との反応は有毒であり且つ極端に臭気のある化合物であるメチルメルカプタンの遊離をもたらし、それは2ppb程度の低さの濃度においても嗅ぐことができる。従って、このメルカプタンの完全な除去は非常に困難な精製問題を課す条件である。このため、この工程は大規模生産には実行不能である。
【0015】
特許文献3は14頁にピリミジン部分の5−位置にY置換基をそして6−位置にQ置換基を有する化合物(I)の構造的同族体の合成を開示している。これらの構造的同族体中の基Yは水素であることはできずそして特にハロゲンでありそして本発明の方法で要求されるようにカルボキシルエステル基では決してない。さらに、この参考文献に開示された合成は本発明の方法において必須である脱カルボキシル段階を欠いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第03/16306号パンフレット
【特許文献2】国際公開第04/016581号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/27825号パンフレット
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Synthetic Communications,27(11),1943−1949(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
中間体(E)および(F)を介する上記の先行技術方法は少量の式(I)の所望する生成物を製造するためには有用でありうるが、再現性があり、経済的であり且つそれにより最終生成物が高い収率および高い純度で得られるように、数キログラムおよびそれより多量の生産に規模拡大可能な方法に関する要望がある。そのような方法の提供が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の要旨
本発明はTMC278の合成における中間体の製造方法に関し、特に、それは式(II):
【0020】
【化6】

【0021】
[式中、RはC1−4アルキルである]
の4−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジニルカルボン酸エステルを脱アルコキシカルボニル化することにより式(I)の化合物を製造する式
【0022】
【化7】

【0023】
の化合物の製造方法に関する。
【0024】
別の面で、本発明は以下の反応スキーム:
【0025】
【化8】

【0026】
[式中、各Rは、他の基Rとは独立して、C1−4アルキルである]
に概略記述されている通りにして、式(III)のグアニジン誘導体を式(IV)のアルコキシメチレンマロン酸エステルと縮合させて以上で特定された中間体(II)を得、それを脱アルコキシカルボキシル化して式(I)の所望する最終生成物を得ることにより式(I)の化合物を製造する、以上で特定された式(I)の化合物の製造方法に関する。
【0027】
1つの態様では、(I)を得るための(III)から(II)への転化は、中間体(II)の単離なしに、一容器工程で行われる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な記述
TMC278は立体異性体形態で、より特にE−およびZ−異性体形態で生ずる。TMC278の好ましい形態はE−異性体、すなわち(E)−4−[[4−[[4−(2−シアノエテニル)−2,6−ジメチルフェニル]−アミノ]−2−ピリミジニル]−アミノ]−ベンゾニトリル(以下ではE−TMC278と称する)である。他の異性体はTMC278のZ−異性体、すなわち(Z)−4−[[4−[[4−(2−シアノエテニル)−
2,6−ジメチルフェニル]−アミノ]−2−ピリミジニル]−アミノ]−ベンゾニトリル(これはZ−TMC278と称する)である。ここで「TMC278」と述べる場合には常に、E−形態、並びに優先的にE−形態を、例えば少なくとも80%の、特に少なくとも90%の、より特に少なくとも95%の、またはさらに少なくとも99%のE−形態を含有する両方の形態のいずれかの混合物をさす。
【0029】
化合物(I)は2種の互変異性体形態、すなわち構造(I)および(I’)を有するもので生ずる。この開示および請求項の目的のためには、構造(I)および(I’)は同じ化学的物体を称すると考えるべきでありそして(I)および(I’)の両者の同じ化学的物体はこの化学的物体の同等な表示として考えるべきである。
【0030】
ここで使用される際には、各基Rは互いに独立してC1−4アルキルを表わす。後者は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピルを定義する。酸素原子に結合された炭素原子がメチレン基を形成するC1−4アルキル基が特に興味ある。C1−4アルキルは好ましくは線状C1−4アルキル(すなわちn.C1−4アルキル、例えばn.プロピル)である。より好ましくは、各Rは独立してメチルおよびエチルから選択される。1つの態様では、全てのR基はメチルであり、別の態様では全てのR基はエチルである。
【0031】
(II)から(I)への転化はCOの排除を伴う脱アルコキシカルボニル化を包含する。この反応はKrapcho(例えば、Krapcho et al.,J.Org.Chem.,43,138−147(1978);Krapcho,Synthesis,805−822,893−914(1982)参照)により記載された条件下で行うことができる。
【0032】
好ましい態様では、反応は式MX[式中、Mは金属、アンモニウムまたは置換されたアンモニウムカチオンであり、そしてXは親核性質を有するアニオンである]の適当な塩の存在下で行われる。Mは例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオン、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムイオン、でありうる。アンモニウムまたは置換されたアンモニウムは、例えば、NH、アンモニウムがアルキル(好ましくはC1−4アルキル)および/またはベンジルで置換された第四級アンモニウム、例えばテトラn.ブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、トリブチルベンジルアンモニウムを含んでなる。適するX基はハライドアニオン、特にクロリドおよびブロミド、カルボン酸アニオン、特にC1−4アルキルカルボキシレート類、例えばアセテートまたはプロピオネート、シアニド類である。クロリド、ブロミド、アセテートおよびシアニドが好ましく、アセテートが特に好ましい。上記アニオンのアルカリ金属塩類が特に興味ある。使用できる塩類MXの特定例はシアン化ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、シアン化カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、酢酸テトラn.ブチルアンモニウム、シアン化テトラn.ブチルアンモニウムである。
【0033】
(II)から(I)への転化は適当な反応−不活性溶媒の中で行うことができ、好ましい溶媒は双極性の非プロトン性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ヘキサメチル燐酸トリアミド(HMPT)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMPO)、アセトニトリルなどであり、それらの混合物を包含する。特に好ましい溶媒はNMPである。
【0034】
本発明の好ましい実施方式では、(II)の脱アルコキシカルボニル化はNMPの中で酢酸塩、例えば酢酸カリウムまたは特に酢酸ナトリウムの存在下で行われる。脱アルコキ
シカルボニル化のこの特定の実施方式はこれまでに文献に記載されておらずそして非常に有効であることが証明された。
【0035】
脱アルコキシカルボニル反応は高められた温度において、例えば約130℃〜反応混合物の還流温度の範囲内の、特に約140℃〜約170℃の範囲内の、より特に約140℃〜約160℃の範囲内の温度において行うことができる。好ましくは、脱アルコキシカルボニル化反応はある時間、例えば約24〜120時間、または特に約24〜48時間、またはより特に約24〜36時間の期間にわたり行われる。1つの態様では、反応は高められた圧力において行われ、それにより例えば約200℃までのまたはマイクロ波加熱によるさらに高い温度を可能にする。これが反応時間を数時間、例えば約2〜6時間、の期間に短縮可能にする。
【0036】
特に、上記の好ましい反応条件、すなわちNMP中での例えば酢酸ナトリウムまたはカリウムの如き酢酸塩を用いる反応の実施、が上記のようなマイクロ波加熱の使用または高められた圧力およびより高い温度の使用を可能にし、それにより所望する最終生成物を高い収率および純度で依然として得ながら反応時間を短縮する。
【0037】
脱アルコキシカルボニル化の終了時に、酸を反応混合物に加えることができる。酸は好ましくは脱アルコキシカルボニル化段階が完了した時に加えられる。加えられる酸は好ましくは有機酸、例えばアルキル炭酸、特にC1−4アルキルカルボン酸、例えば酢酸またはプロピオン酸である。理論に拘束されないが、酸の添加が式
【0038】
【化9】

【0039】
[式中、Mは以上で定義された通りである]
のピリミジニルオキシド塩を分解して、所望する式(I)の最終生成物を得ることが推定される。酸は好ましくは、例えば約100℃〜約150℃、特に約120℃〜約140℃の範囲内の如き高められた温度にある反応混合物に加えられる。
【0040】
生じた生成物を低級アルカノール、例えばC1−4アルカノール、好ましくはエタノール、の中に加え、そしてアルカノール混合物を数分間〜数時間、例えば10分間〜約3時間、特に約30分間〜約2時間の範囲でありうる期間にわたり加熱する、好ましくは還流することにより、収率をさらに最適化することができる。
【0041】
式(III)のグアニジン誘導体を式(IV)のアルコキシメチレンマロン酸エステルと縮合させることにより式(II)の中間体を製造することができる。この反応は適当な溶媒、好ましくは双極性の非プロトン性溶媒、例えば(II)から(I)への反応に関して以上で挙げられた溶媒のいずれかの中で行うことができる。好ましい溶媒はNMPである。式(IV)の好ましいエステル類はメトキシ−およびエトキシメチレンマロン酸ジメチルおよびジエチルエステル類である。このメチル誘導体はしばしば(メトキシメチレン)マロン酸ジメチルと称する。(III)と(IV)との反応は好ましくは高められた温度において、例えば約70℃〜約130℃の、特に約80℃〜約120℃の範囲内にある温度において行われる。混合物を反応が完了するのに充分な時間の期間にわたり反応させ、この時間の期間は例えば約30分間〜約3時間、特に約1〜2時間において変動しうる。
【0042】
本発明の特定面は、中間体(III)および(IV)から出発して中間体(II)を得そして引き続き(II)を脱アルコキシカルボニル化して化合物(I)を得る式(I)の化合物の製造方法に関する。この方法の段階の各々は同じ溶媒または溶媒混合物の中で且つ(II)から出発する最終生成物(I)の製造および(III)と(IV)との反応に関して以上で記載されたものと同じ反応条件を使用して行うことができる。
【0043】
1つの態様では、この方法は一容器工程で、中間体(II)の単離なしに行われる。一容器工程は同じ溶媒の中で行うことができる。この一容器方法に適する特定溶媒はNMPである。この変法は化合物(I)を急速な、簡単な且つ直接的な方法で合成する可能性を与える。
【0044】
1つの態様では、脱アルコキシカルボキシル化で使用される塩を(III)と(IV)との縮合において使用される反応混合物に、すなわち反応工程の最初に加える。これは、塩が反応器に反応工程の中間に、すなわち(III)と(IV)との反応の終了後に、加えなくてよいという実用的な利点を有する。塩は(III)と(IV)との縮合反応を妨害しないことも見出された。この一容器方法に適する特定塩は酢酸塩、例えばアルカリ金属酢酸塩、例えば酢酸ナトリウムである。
【0045】
本発明の別の特徴は、式(II)の中間体が新規化合物であることを含んでなる。従って、別の面では、本発明はRが以上で定義された通りである以上で特定された化学構造を有する式(II)の化合物並びにその酸−付加塩を提供する。ここで挙げられる用語「酸−付加塩」は、式(II)の中間体が生成しうるいずれかの安定な塩を含んでなることを意味する。無毒な酸付加塩形態である製薬学的に許容可能な酸−付加塩が好ましい。塩類は簡便には、塩基形態を例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸など、硫酸、硝酸、燐酸など、または有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパン−トリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼン−スルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸および同様な酸類の如き適当な酸で処理することにより得られうる。逆に、塩形態をアルカリを用いる処理により遊離塩基形態に転化することもできる。付加塩の用語は式(I)の化合物が生成しうる水和物または溶媒和物を包含することも意味し、例えばアルコレート、例えばメタノレートまたはエタノレートを包含する。
【0046】
本発明の方法は数キログラムおよびそれより多量の生産に規模拡大することを可能にし、そして再現性があり且つ経済的である。所望する最終生成物が高い収率でそして高い純度で得られる。挙げられうる別の利点は、商業的に入手可能であるかまたは製造が容易でありうる出発物質および試薬の入手性である。
【0047】
式(I)の中間体は、国際公開第03/094920号パンフレットに開示されているように、HIV感染症の媒介の予防における殺微生物剤として現在開発されている別のNNRTIであるTMC120、すなわち4−[[4−[(2,4,6−トリメチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル]−アミノ]ベンゾニトリルの合成においても使用することができる。TMC120、その合成および性質は国際公開第99/50250号パンフレットに記載されている。TMC120を製造するためには、化合物(I)を上記の通りにして化合物(C)に転化しそして後者の化合物(C)を2,4,6−トリメチルアニリンと反応させて化合物TMC120を得る。TMC278およびTMC120の同様な同族体も同様な方法で得られうる。
【0048】
この明細書に引用された全ての参考文献は引用することにより本発明の内容となる。
【0049】
以下の実施例は本発明を説明するものでありそしてそれをこれらに限定しないことを意味する。
【実施例】
【0050】
実施例1
64g(0.4モル)の(4−シアノフェニル)グアニジン、98.4g(1.2モル)の酢酸ナトリウムおよび76.6g(0.44モル)の(メトキシメチレン)マロン酸ジメチルの600mlのN−メチルピロリドノン(NMP)中混合物を100℃に加熱しそして1時間にわたりこの温度において撹拌した。64.8mlの脱塩水を加えそして反応混合物を還流温度にさらに加熱した。反応混合物の温度が155℃〜160℃の範囲に達するまで約100mlの溶媒を蒸発させた。引き続き、反応混合物を30時間にわたり還流した。全体を20〜25℃に放冷しそして25gの濾過助剤を加えた。混合物を1時間にわたり20〜25℃において撹拌した後に、沈澱を濾別しそして40mlのNMPで洗浄した。溶媒を真空下で蒸留除去しそして残渣を120℃に加熱した。温度を130℃に保ちながら300mlの酢酸を(15分間にわたり)加熱された残渣に滴下した。酢酸の添加後に、混合物を150℃に加熱しそしてこの温度において15分間にわたり撹拌した。引き続き、混合物を20〜25℃に放冷した。生成した沈澱を濾別しそしてエタノール(1×200mlおよび1×80ml)で洗浄した。400mlのエタノールを洗浄された沈殿に加えそしてこの混合物を1時間にわたり加熱しそして還流した。20〜25℃に冷却した後に、沈澱を濾別し、100mlのエタノールで洗浄しそして50℃において真空下で16時間にわたり乾燥した。収量:65.6gの4−[(1,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−ピリミジニル)−アミノ]ベンゾニトリル。
【0051】
実施例2
64g(0.4モル)の(4−シアノフェニル)グアニジン、98.4g(1.2モル)の酢酸ナトリウムおよび76.6g(0.44モル)の(エトキシメチレン)マロン酸ジエチルの600mlのN−メチルピロリドノン(NMP)中混合物を100℃に加熱しそして1時間にわたりこの温度において撹拌した。81mlの脱塩水を加えそして反応混合物を還流温度にさらに加熱した。反応混合物の温度が155℃〜160℃の範囲に達するまで約120mlの溶媒を蒸発させた。引き続き、反応混合物を72時間にわたり還流した。全体を20〜25℃に放冷しそして25gの濾過助剤を加えた。混合物を1時間にわたり20〜25℃において撹拌した後に、沈澱を濾別しそして50mlのNMPで洗浄した。溶媒を真空下で蒸留除去しそして残渣を130℃に加熱した。温度を130℃に保ちながら375mlの酢酸を(15分間にわたり)加熱された残渣に滴下した。酢酸の添加後に、混合物を150℃に加熱しそしてこの温度において15分間にわたり撹拌した。引き続き、混合物を20〜25℃に放冷した。生成した沈澱を濾別しそしてエタノール(1×250mlおよび1×100ml)で洗浄した。500mlのエタノールを洗浄された沈殿に加えそしてこの混合物を1時間にわたり加熱しそして還流した。20〜25℃に冷却した後に、沈澱を濾別し、100mlのエタノールで洗浄しそして50℃において真空下で16時間にわたり乾燥した。収量:80.5gの4−[(1,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−ピリミジニル)−アミノ]ベンゾニトリル(75.9%収率)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
【化1】

[式中、RはC1−4アルキルである]
の4−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジニルカルボン酸エステルを脱アルコキシカルボニル化することにより式(I)の化合物を製造する式
【化2】

の化合物の製造方法。
【請求項2】
Rがメチルまたはエチルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩の存在下で行う請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
塩が式MXにより表示され、ここでMが金属またはアンモニウムもしくは置換されたアンモニウムであり、そしてXが親核性を有するアニオンである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Mがアルカリ金属、アンモニウムまたは置換されたアンモニウムであり、そしてXがハライド、シアニドまたはC1−4アルキルカルボキシレートである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Mがアルカリ金属であり、そしてXがC1−4アルキルカルボキシレートである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
Mがナトリウムであり、そしてXがアセテートである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
双極性の非プロトン性溶媒中で行う請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
溶媒がジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ヘキサメチル燐酸トリアミド(HMPT)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびアセトニトリルから選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
溶媒がN−メチルピロリドンである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
脱アルコキシカルボニル化段階の終了時に酸を反応混合物に加える請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
酸がアルキル炭酸である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
酸がC1−4アルキル炭酸である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
酸が酢酸である請求項13に記載の方法。
【請求項15】

【化3】

[式中、RはC1−4アルキルである]
の化合物またはその塩。
【請求項16】
Rがメチルである請求項15に記載の化合物。

【公開番号】特開2013−40194(P2013−40194A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229897(P2012−229897)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【分割の表示】特願2008−512841(P2008−512841)の分割
【原出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ (94)
【氏名又は名称原語表記】Tibotec Pharmaceuticals