説明

4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の合成方法及び結晶形態、ならびにそれを含む医薬組成物

【課題】ベンズアミド誘導体(1)の新規な工業合成方法、および医薬品としての使用の提供。
【解決手段】式(1):


で示される化合物の、製薬の観点から満足な純度を有し、かつ工業的な観点から有効な収率で得られる工業合成方法、及び結晶形態I、および医薬品としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【化1】


で示される4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の工業合成のための方法に関する。
【0002】
本発明はまた、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態I、その調製方法及びまたそれを含む医薬組成物にも関する。
【0003】
更に、式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形態Iはまた、本発明の方法により得られ、そしてそれを含有する医薬組成物と同様に本発明の肝要な部分を形成する。
【0004】
4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドは、インビボで中枢ヒスタミン作動系と相互作用する特性を有している。これらの性質は、中枢神経系における、そしてとりわけ脳の加齢及び神経変性疾患に関連する認知障害の処置における活性を、それに付与する。
【0005】
4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドシュウ酸塩の形態でのその調製及びその治療上の使用は、特許出願WO2005/089747に記載されている。
【0006】
この化合物の製薬価値を考慮するに、工業規模へ容易に転換可能である、効率的な合成方法によって、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩を良好な収率かつ優れた純度で生じることで、これを得られるようにすることは重要であった。
【0007】
4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩を、有益な濾過特性及び製剤の容易さを有する、明確に定義された、完全に再現可能な結晶形態で得られるようにすることもまた重要であった。
【0008】
特許出願WO2005/089747は、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドシュウ酸塩を、4−ヒドロキシベンゾニトリルから出発して三工程で得ることを記載しており、これはO−アルキル化反応を受けた後、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール型の環系とカップリングして、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンゾニトリルを形成する。後者の化合物は最終的に、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドを得るために塩基性での加水分解に付され、これはシュウ酸塩の形態で結晶化する。これら三工程での収率は、46.6%である。
【0009】
本発明は、製薬の観点から満足な純度を有し、かつ工業的な観点から有効な収率で、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩を得る、新規な工業合成の方法に関する。この方法のおかげで、規制要件に適合する、遺伝毒性の不純物の非常に低い水準を保障することができる。
【0010】
本発明は、更に具体的には、式(I):
【化2】


で示される化合物の工業合成のための方法に関し、この方法は、式(II):
【化3】


で示される化合物を、アンモニアと100℃より高い温度で反応させて、式(III):
【化4】


で示される化合物を形成して、これを還元して、式(IV):
【化5】


で示される二環式アミンを得て、この後者の化合物を続けて:
− 塩基性条件下、極性媒質中での、式(V):
【化6】


[式中、Yは、−CH−Hal(ここでHalはハロゲンである)又は基−CH−OSO−R(ここでRは(C−C)アルキル基もしくは−C−CH基である)を表す]で示される化合物とのカップリング反応、
− あるいは、酸媒質中での、式(V’):
【化7】


[式中、R’及びR”は、各々互いに独立して、(C−C)アルキル基を表すか、又はR’及びR”は、一緒になって基−(CH−(ここでn=2〜3である)を形成するか、又は基R’及びR”の一つが水素原子を表し、他方が(C−C)アルキル基を表す]で示される化合物と還元的アミノ化、
− あるいは、式(V”):
【化8】


で示される化合物との還元的アミノ化のいずれかに付して、式(I)の遊離塩基を得て、これをHCl存在下に置いて式(I)の化合物を形成して、これを固体の形態で単離することを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい実施態様では、式(II)の化合物とアンモニアとの反応の最後に得られる反応混合物は、熱分解に付される。問題になっている熱分解は、好ましくは200℃以上の温度、更により好ましくは280℃以上の温度で実施される。
【0012】
式(III)の化合物の、式(IV)の化合物への変換は、有利には、水素及び金属又は金属含有触媒の存在下で実施される。
【0013】
式(V)の化合物が、4−(3−クロロプロポキシ)ベンズアミドであることが好ましい。
【0014】
式(IV)の化合物の、式(V)の化合物とのカップリング反応は、好ましくは炭酸塩、アミン又は水酸化物の存在下で実施される。好ましい炭酸塩、アミン及び水酸化物のうち、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ピリジン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムを挙げることができる。更により好ましくは、式(IV)の化合物と式(V)の化合物とのカップリング反応は、炭酸カリウム又はトリエチルアミン存在下で実施される。更にこの反応は、有利には、水、アルコール、ケトン、エーテル、アミド、DMSO及びアセトニトリルより選択される極性溶媒の一種以上からなる、極性媒質中で実施される。好ましいアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノールである。好ましい溶媒はまた、ケトンのうちではアセトン及びメチルエチルケトン、エーテルのうちではテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン及びシクロペンチルメチルエーテル、ならびにまたアミドのうちではN−メチル−2−ピロリドンを含む。更により好ましくは、式(IV)の化合物と式(V)の化合物とのカップリング反応は、水/アセトニトリル混合物又は水/イソプロパノール混合物中で実施される。
【0015】
式(IV)の化合物と式(V’)の化合物との、酸媒質中での還元的アミノ化の場合、後者は、好ましくは4−(3,3−ジエトキシプロポキシ)ベンズアミドである。
【0016】
更に、HCl存在下での、式(I)の化合物の遊離塩基からの塩形成工程は、好ましくは、水、アセトン及びアルコールより選択される溶媒中で行われる。好ましいアルコールは、メタノール、エタノール及びイソプロパノールである。アセトン及びイソプロパノールはとりわけ、この塩形成工程に好ましい。
【0017】
場合により、塩形成工程の最後に単離した式(I)の化合物は、再結晶に付される。
【0018】
この合成方法は、化合物4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドのみを、工業規模で満足な収率で、かつそのtrans同族体無しで得ることを可能にする、ということを強調することは重要である。この利点に加えて、これはバッチ内に存在する遺伝毒性の不純物(特に4−(3−クロロプロポキシ)ベンズアミド)の水準を、規制基準を大きく下回って保つことを可能にする。
【0019】
式(V)の化合物[ここで、Yは、基−CH−OSO−R(ここでRは(C−C)アルキル基又は−C−CH基である)を表す]及び式(V’)の化合物は、新規であり、かつ式(I)の化合物の合成における中間体として有用である。式(V”)の化合物もまた、式(I)の化合物の合成における中間体として有用である。
【0020】
本発明はまた、先に記載した方法に従って得られる、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態Iに関する。この結晶形態は、明確に定義され、完全に再現可能であり、かつその結果として、濾過、乾燥、安定性及び製剤の容易さの有益な特性を有する。
【0021】
式(I)の化合物の結晶形態Iは、以下の回折線(ブラッグ角2θ、角度±0.2°で表される)を有するX線粉末回折ダイアグラムを特徴とする:16.97°、17.84°、18.90°、20.32°、23.87°、27.10°、27.86°及び30.34°。
【0022】
更に具体的には、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態Iは、更にX'Celerator検出器を備えたPANalytical X'Pert Pro MPD回折計を用いて測定される、以下のX線粉末回折ダイアグラムによって特徴づけられ、線の位置(ブラッグ角2θ、角度±0.2°で表される)及び面間距離d(Åで表される)に関して表される:
【0023】
【表1】

【0024】
これに加えて、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の形態Iは、ラマン分光法によって特徴づけられる。顕著なピークは、以下の位置に観察された:1676cm-1、1606cm-1、1564cm-1、1152cm-1、830cm-1及び296cm-1
【0025】
あるいは、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の形態Iは、上記8個の顕著な線を有するX線粉末回折ダイアグラムにより、及びまた1606cm-1又は1676cm-1の位置に顕著なピークを有するラマンスペクトルによって特徴づけることができる。
【0026】
この結晶形態を得ることは、特に迅速かつ効率的な濾過を、及びまた、不変かつ再現可能な組成を有する医薬製剤の調製を可能にするという利点を有し、これはその製剤が経口投与を目的とする場合に特に有利である。更に、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の形態Iは、特筆すべき即時溶解の性質を有する。
【0027】
これによって得られた形態は、温度、光、湿度又は酸素レベルに関する特別な条件無しでその長期間の貯蔵を可能にするほどに、十分に安定である。更に具体的には、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の形態Iは、以下の条件下で18ヶ月までにわたって、非常に安定であることが見いだされた:
− 25℃、湿度60%で、ポリエチレンの二重の袋中、
− 30℃、湿度65%で、ポリエチレンの二重の袋中、
− 30℃、湿度85%で、ポリエチレンの二重の袋中。
【0028】
本発明の他の態様は、先に記載した方法に従って得られた4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の結晶形態Iに関する。この結晶形態は、明確に定義され、かつ完全に再現可能である。この形態を得ること及び先に記載した式(I)の塩酸塩の合成方法の過程でこれを単離することは、バッチ内に存在する遺伝毒性の不純物の大部分を除去することを可能にする。
【0029】
式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形態Iは、以下の回折線(ブラッグ角2θ、角度±0.2°で表される)を有するそのX線粉末回折ダイアグラムによって特徴づけられる:6.25°、12.55°、17.74°、18.19°、19.43°、20.72°、21.00°、23.50°及び27.00°。
【0030】
更に具体的には、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の結晶形態Iは、更にX'Celerator検出器を備えたPANalytical X'Pert Pro MPD 回折計を用いて測定される、以下のX線粉末回折ダイアグラムによって特徴づけられ、線の位置(ブラッグ角2θ、角度±0.2°で表される)及び面間距離d(Åで表される)に関して表される:
【0031】
【表2】

【0032】
加えて、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の結晶形態Iは、ラマン分光法によって特徴づけられる。顕著なピークは、以下の位置に観察される:292cm-1、618cm-1、1045cm-1、1483cm-1、1568cm-1、1683cm-1
【0033】
あるいは、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の形態Iは、先に記載した9個の顕著な線を有するX線粉末回折ダイアグラムにより、及びまた1683cm-1の位置に顕著なピークを有するラマンスペクトルによって特徴づけることができる。
【0034】
最後に、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の形態Iはまた、固体NMR分光法によって特徴づけられた。顕著なピークは、112.2ppm、119.2ppm、127.2ppm、128.6ppm、132.4ppm、162.2ppm及び173.2ppmに観察された。より正確には、13C CP/MAS(交差分極マジック角スピニング)スペクトルは、以下のピークを有する(ppm±0.2ppmで表される):
【0035】
【表3】

【0036】
4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の形態I及びまたその遊離塩基の形態Iの薬学的研究は、脳の加齢及び神経変性疾患に関連する認識及び精神行動障害の処置、ならびにまた、気分障害、注意欠陥多動性症候群、肥満及び疼痛の処置におけるその有用性を確立することを可能にする、中枢神経系での十分な活性を示した。より具体的な標的となる神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病、レビー小体認知症、前頭及び皮質下の認知症、前頭側頭認知症及び血管性認知症である。
【0037】
本発明はまた、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態I又は遊離塩基の結晶形態Iを有効成分として、一種以上の適切な、非毒性で不活性の賦形剤と共に含む医薬組成物に関する。本発明に従う医薬組成物のうち、より特別には、経口、非経口(静脈又は皮下)又は経鼻投与に適した、錠剤もしくは糖衣剤、顆粒、舌下錠、カプセル、トローチ剤、坐薬、クリーム、軟膏、皮膚ゲル、注射用製剤、服用可能懸濁液剤及びチューインガムが挙げられる。
【0038】
有用な投与量は、疾患の特質及び重篤度、投与経路ならびにまた患者の年齢及び体重によって変化することができる。有用な投与量は、1回以上の投与で1日あたり1mg〜100mgで変化する。好ましくは、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態Iは、2mg、5mg及び20mg(又は、すなわち塩酸塩の2.25mg、5.63mg及び22.52mg)の一日投与量(遊離塩基の当量として表される)で投与される。
【0039】
本明細書下記の実施例は、本発明を例示する。
【0040】
調製1:4−(3−クロロプロポキシ)ベンズアミド
4−ヒドロキシベンズアミド10.5kg、炭酸カリウム10.58kg及びアセトニトリル83kgを、反応器へと導入した。混合物を撹拌し、そして次に1−ブロモ−3−クロロプロパンの溶液24.14kgを加えた。反応混合物を、4時間加熱還流した。高温状態で水(105L)を加え、混合物を次に5℃に冷却し、そして濾過した。フィルターケークを水、そして次にアセトニトリルで洗浄した。標記生成物を、粉末の形態で、収率82%で得た。
融点:144℃
【0041】
調製2:4−(3−オキソプロポキシ)ベンズアミド
工程A:4−(3,3−ジエトキシプロポキシ)ベンズアミド
4−ヒドロキシベンズアミド500mg、炭酸カリウム1.51g、DMF 10mL及び3−クロロ−1,1−ジエトキシプロパン730mgを、フラスコに加えた。反応混合物を100℃で18時間撹拌し、そして次に水5mLを加えた。水相を酢酸エチルで抽出し、そして次に有機相を回収し、水で洗浄し、そして減圧下で濃縮した。生成物を、粉末の形態で、収率89%及び化学的純度95%で得た。
融点:108℃
【0042】
工程B:4−(3−オキソプロポキシ)ベンズアミド
工程Aで得られた生成物5g、THF 100ml及び1N 塩酸溶液94mLを、フラスコに加えた。混合物を周囲温度で1時間撹拌した。水相をジクロロメタンで抽出し、そして次に有機相を減圧下で濃縮した。生成物を、固体の形態で、収率96%及び化学的純度93%で得た。
【0043】
実施例1:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩
工程A:テトラヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1,3(2H,3aH)−ジオン
1,2−シクロペンタンジカルボン酸ジエチル1kg及び27%アンモニア1.02kgを、オートクレーブへ入れた。オートクレーブ中で、反応混合物を温度130℃で、最低でも4時間加熱した。60℃に冷却し除圧した後、溶媒の蒸発を行った。残留物を次に280℃で1時間の熱分解に付した。イミドを、真空下(4〜12mbars)で温度200℃での蒸留により精製した。単離した後、標記生成物を、収率96%で得た。
融点:89℃
【0044】
工程B:cis−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール
工程Aのイミド1kg、銅クロマイト250g及びジオキサン2Lを、反応器へ入れた。反応混合物を、温度265℃及び205barsの水素圧下で、水素の吸収が完了するまで撹拌した。反応器を冷却した後、触媒を濾別した。
水素化した溶液をセパレーターに入れ、そして次に水0.37Lを加えた。pHを、96%硫酸の添加によりpH3未満に調整した。下方の水相を取り除いた。水2.5Lを加えた後、残留ジオキサンを、屈折率を監視しながら共沸蒸留により除去した。次に、30%水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを13にした。標記生成物を、水との共沸蒸留により精製して、収率83%で、重量で30%の溶液を得た。
【0045】
工程C:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド
調製1に従って得られた4−(3−クロロプロポキシ)ベンズアミド13.35kg、炭酸カリウム10.33kg及びアセトニトリル168kgを、反応器へと入れた。混合物を撹拌した。次に、30%水溶液中のcis−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール34.74kg、水26.7Lを入れた。反応混合物を、全ての出発物質が消費されるまで加熱還流した。次に水(13.3L)を加えた。混合物を5℃に冷却し、濾過し、そして水で洗浄した。標記生成物を、固体の形態で、収率81%及び化学的純度96%で得た。
1H NMR: δ (600.13 MHz; DMSO-d6; 300K): 7.82 (d, 2H, J=9.0 Hz); 7.79 (bs, 1H); 7.14 (bs, 1H); 6.95 (d, 2H, J=9.0 Hz); 4.06 (t, 2H, J=6.5 Hz); 2.57 (m, 2H); 2.48 (m, 2H); 2.44 (bt, 2H, J=6.5 Hz); 2.14 (bd, 2H, J=7.5 Hz); 1.86 (qt, 2H, J=6.5 Hz); 1.65-1.55 (m, 3H); 1.45-1.38 (m, 1H); 1.37-1.30 (m, 2H)。
ここで、bs:ブロードシングレット;bd:ブロードダブレット;bt:ブロードトリプレットである。
これによって形成した生成物の、実施例6〜8に示した手法を用いての評価は、遊離塩基の結晶形態Iが得られたことを示した。
【0046】
工程D:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩
4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド14.69kg及び水122Lを、反応器に入れた。また、水11.54L中の37%塩酸6.81kgの溶液を調製した。この酸溶液13.75kgを、反応器に加えた。混合物を周囲温度で1時間、そして次に60℃で1時間30分撹拌した。高温状態で懸濁液を濾過し、そして次にフィルターを水ですすいだ。次に、9/1のイソプロパノール/水比を得るために、体積を一定に保ちながら、濾液の溶媒交換を行った。生成物を0℃で単離し、そして得られた沈殿物を、イソプロパノールで洗浄した。標記生成物を最終的に、収率89%及び99%より大きい化学的純度で得た。
これによって形成した生成物の、実施例4〜5に示した手法を用いての評価は、塩酸塩の結晶形態Iが得られたことを示した。
【0047】
工程E:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩
工程Dで得られた塩酸塩を、イソプロパノール(264kg)及び水(37.4L)の混合物から再結晶した。混合物を45分間加熱還流した。高温状態で溶液を濾過しそして次にイソプロパノールですすいだ。次に、結晶化を55℃で開始した。混合物をこの温度で40分間保ち、その後0℃に冷却した。数時間後、生成物を濾過により単離した。イソプロパノールで洗浄した後、標記生成物を、粉末の形態で、収率93%及び99%より大きい化学的純度で得た。
融点:213〜215℃
これによって形成した生成物の、実施例4〜5に示した手法を用いての評価は、塩酸塩の結晶形態Iが得られたことを示した。
【0048】
実施例2:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩
工程A:テトラヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1,3(2H,3aH)−ジオン
手順は、実施例1の工程Aに記載したものと同様である。
【0049】
工程B:cis−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール
手順は、実施例1の工程Bに記載したものと同様である。
【0050】
工程C:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド
4−(3−クロロプロポキシ)ベンズアミド15.2kg、30%水溶液中のcis−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール40.28kg、水63.84kg、イソプロパノール21.48kg及びトリエチルアミン14.39kgを、反応器に入れた。反応混合物を撹拌し、全ての出発物質が消費されるまで加熱還流した。反応混合物を次に20℃に冷却し、濾過し、そしてイソプロパノール及び水の混合物で洗浄した。生成物を、粉末の形態で、収率83%及び化学的純度97%で得た。
1H NMR: δ (600.13 MHz; DMSO-d6; 300K): 7.82 (d, 2H, J=9.0 Hz); 7.79 (bs, 1H); 7.14 (bs, 1H); 6.95 (d, 2H, J=9.0 Hz); 4.06 (t, 2H, J=6.5 Hz); 2.57 (m, 2H); 2.48 (m, 2H); 2.44 (bt, 2H, J=6.5 Hz); 2.14 (bd, 2H, J=7.5 Hz); 1.86 (qt, 2H, J=6.5 Hz); 1.65-1.55 (m, 3H); 1.45-1.38 (m, 1H); 1.37-1.30 (m, 2H)。
ここで、bs:ブロードシングレット;bd:ブロードダブレット;bt:ブロードトリプレットである。
これによって形成した生成物の、実施例6〜8に示した手法を用いての評価は、遊離塩基の結晶形態Iが得られたことを示した。
【0051】
工程D:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩
4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド16.49kg、アセトン16.36kg、濃塩酸水溶液6.76kg及び水18.96kgを、反応器に入れた。混合物を撹拌し、50℃で1時間加熱した。次に混合物を高温状態で、アセトン57.67kg及び水1.65kgを含む第二の反応器へと濾過した。混合物を次に還流させ、そしてアセトン73.32kgを加えた。還流を10分間維持し、そして次に0℃への冷却を行った。生成物を濾別して、得られた固体をアセトンで洗浄した。生成物を、粉末の形態で、収率85%及び99%より大きい化学的純度で得た。
これによって形成した生成物の、実施例4〜5に示した手法を用いての評価は、塩酸塩の結晶形態Iが得られたことを示した。
【0052】
実施例3:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩
工程A:テトラヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1,3(2H,3aH)−ジオン
手順は、実施例1の工程Aに記載したものと同様である。
【0053】
工程B:cis−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール
手順は、実施例1の工程Bに記載したものと同様である。
【0054】
工程C:cis−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール塩酸塩
cis−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール2gを、フラスコ中でエタノール10mLに溶解した。溶液を0℃に冷却し、そして次に濃塩酸溶液(11M )1.64mLを加えた。反応混合物を20℃で30分間撹拌し、減圧下で濃縮した。反応混合物を、メチル tert−ブチルエーテル中、0℃で撹拌した。生成物を、濾過により固体の形態で、収率83%及び化学的純度99%で単離した。
融点:126℃
【0055】
工程D:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩
工程Cで得られた生成物915mg、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム1.65g、THF 45mL及びオルトギ酸トリメチル7.5mLを、反応器に加えた。次に、調製2で得られた化合物1gを加えた。反応混合物を、40℃で50分間加熱し、そして次に周囲温度に冷却した。次に、飽和NaHCO溶液を加えた。水相を酢酸エチルで抽出し、次に有機相を合わせ、そして水で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。残留物を、塩酸存在下でイソプロパノール/水の混合物に懸濁させた。反応混合物を40℃に加熱し、次に5℃に冷却した。生成物を、濾過によって、固体の形態で、収率33%及び化学的純度98%で単離した。
これによって形成した生成物の、実施例4〜5に示した手法を用いての評価は、塩酸塩の結晶形態Iが得られたことを示した。
【0056】
実施例4:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態I
X線回折ダイアグラムの記録に先立ち、実施例1〜3の一つに記載した手順に従って得られた試料を、有効成分200mg当たり100μLの無水エタノール存在下、二個のステンレス球を含む25mlステンレス鋼のジャー中で、30Hzで30秒間粉砕した。
【0057】
データの記録は、X'Celerator検出器を備えたPANalytical X'Pert Pro MPD 回折計を用いて、以下の条件下で実施した:
− 電圧 45kV、電流 40mA、
− マウンティング:θ/θ、
− アノード:銅、
− Kα−1波長:1.54060Å、
− Kα−2波長:1.54443Å、
− Kα−2/Kα−1比:0.5
− 測定モード:3°〜55°(ブラッグ角2θ)で継続的に、0.017°の増分、
− 工程当たりの測定時間:35.53秒。
【0058】
これによって得られた、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の形態IのX線粉末回折ダイアグラムは、線の位置(ブラッグ角2θ、±0.2°角で表される)、面間距離(Åで表される)及び相対的強度(最も強い線に対する百分率として表される)に関して表される。顕著な線は、以下の表に並べた:
【0059】
【表4】

【0060】
これによって、以下のパラメーターを決定した:
− 単斜晶系の結晶構造単位格子、
− 単位格子パラメーター:a=10.6621Å、b=10.4945Å、c=15.6542Å、β=101.949°
− 空間群:P 1 21/c 1 (14)
− 単位格子中の分子数:4
− 単位格子の体積:Vunit cell=1713.637Å
− 密度:d=1.2590g/cm3
【0061】
実施例5:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態I
4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の形態Iは、ラマン分光法により特徴付けを行った。スペクトルは、反射モード(PerkinElmer)及び透過モード(Cobalt)で、それぞれ785nm及び830nmのレーザー集束で、CCD検出器を用いて記録した。波長のシフトは、物質に依存しかつその物質に特有であり、研究試料の化学組成及び分子の配列の解析を可能とする。スペクトルは、以下のようにして得た:
− 反射モードにおいて、レーザー出力400mW、スポットサイズ100μm、5秒間5回の照射及びスペクトル分解能2cm-1
− 透過モードにおいて、レーザー出力650mW、スポットサイズ4mm、3秒間20回の照射及びスペクトル分解能2cm-1
調査したスペクトル幅は、反射モードで0〜3278cm-1、そして透過モードで37〜2400cm-1の範囲である。
【0062】
顕著なピークは、以下の位置で観測された:1676cm-1、1606cm-1、1564cm-1、1152cm-1、830cm-1及び296cm-1
【0063】
実施例6:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の結晶形態I
データの記録は、X'Celerator検出器を備えたPANalytical X'Pert Pro MPD 回折計を用いて、以下の条件下で実施した:
− 電圧 45kV、電流 40mA、
− マウンティング:θ/θ、
− アノード:銅、
− Kα−1波長:1.54060Å、
− Kα−2波長:1.54443Å、
− Kα−2/Kα−1比:0.5
− 測定モード:3°〜55°(ブラッグ角2θ)で継続的に、0.017°の増分、
− 工程当たりの測定時間:35.53秒。
【0064】
実施例1〜3の一つの方法に従って得られた、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の形態IのX線粉末回折ダイアグラムは、線の位置(ブラッグ角2θ、角度±0.2°で表される)、面間距離(Åで表される)及び相対的強度(最も強い線に対する百分率として表される)に関して表される。顕著な線は、以下の表に並べた:
【0065】
【表5】

【0066】
実施例7:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の結晶形態I
4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の形態Iは、ラマン分光法によって特徴付けを行った。スペクトルは、透過モード(Cobalt)で、830nmのレーザー集束で、CCD検出器を用いて記録した。波長のシフトは、物質に依存しかつその物質に特有であり、これは研究試料の化学組成及び分子の配列の解析を可能とする。スペクトルは、レーザー出力650mW、スポットサイズ4mm、0.9秒で20回の照射及びスペクトル分解能2cm-1で得た。調査したスペクトル幅は、37〜2400cm-1の範囲である。
【0067】
顕著なピークは、以下の位置で観測された:292cm-1、618cm-1、1045cm-1、1483cm-1、1568cm-1、1683cm-1
【0068】
実施例8:4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の結晶形態I
4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミドの遊離塩基の形態Iはまた、固体NMR分光法により特徴付けを行った。固体13C NMRスペクトルは、周囲温度で、4mm CP/MAS SB VTN型プローブを備えたBruker SB Avance分光計を用いて、以下の条件下で記録した:
− 周波数:125.76MHz、
− スペクトル幅:40kHz、
− マジック角回転速度:13kHz、
− パルスプログラム:SPINAL64デカップリングを用いた交差分極(デカップリング出力80kHz)、
− リサイクルディレイ:10秒、
− 取り込み時間:47ms、
− 接触時間:4ms、
− 積算回数:4096。
これによって得られたスペクトルは、アダマンタンの試料と比較して参照した。
観測されたピークは、以下の表に並べた(ppm±0.2ppmで表される):
【0069】
【表6】

【0070】
実施例9:医薬組成物
各々が有効成分5mg(塩基の当量として表される)を含む、1000錠の調製の処方:
実施例1の化合物(塩基の当量として表される) 5g
トウモロコシデンプン 20g
マルトデキストリン 7.5g
コロイド状シリカ 0.2g
グリコールデンプンナトリウム 3g
ステアリン酸マグネシウム 1g
乳糖 65g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化9】


で示される化合物の工業合成のための方法であって、式(II):
【化10】


で示される化合物を、アンモニアと100℃より高い温度で反応させて、式(III):
【化11】


で示される化合物を形成して、これを還元して、式(IV):
【化12】


で示される二環式アミンを得て、後者の化合物を続いて、以下:
− 塩基性条件下、極性媒質中での、式(V):
【化13】


[式中、Yは、−CH−Hal(Halは、ハロゲンである)又は基−CH−OSO−R(Rは、(C−C)アルキル基もしくは−C−CH基である)を表す]で示される化合物とのカップリング反応、
− あるいは、酸媒質中での、式(V’):
【化14】


[式中、R’及びR”は、各々互いに独立して、(C−C)アルキル基を表すか、又はR’及びR”は、一緒になって基−(CH−(n=2〜3)を形成するか、又はR’及びR”の一つは水素原子を表し、そして他方は(C−C)アルキル基を表す]で示される化合物との還元的アミノ化、
− あるいは、式(V”):
【化15】


で示される化合物との還元的アミノ化のいずれかに付して、式(I)の化合物の遊離塩基を得て、これをHCl存在下に置いて式(I)の化合物を形成して、これを固体の形態で単離することを特徴とする、方法。
【請求項2】
式(II)の化合物とアンモニアとの反応の最後に得られた反応混合物を、熱分解に付す、請求項1記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項3】
熱分解が、有利には200℃以上の温度で実施される、請求項2記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項4】
熱分解が、有利には280℃以上の温度で実施される、請求項2記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項5】
式(III)の化合物の式(IV)の化合物への変換が、水素及び金属又は金属含有触媒の存在下で実施される、請求項1記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項6】
式(V)の化合物が、4−(3−クロロプロポキシ)ベンズアミドである、請求項1記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項7】
式(IV)の化合物と式(V)の化合物とのカップリング反応が、炭酸塩、アミン又は水酸化物の存在下で実施される、請求項1記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項8】
式(IV)の化合物と式(V)の化合物とのカップリング反応が、炭酸カリウム又はトリエチルアミンの存在下で実施される、請求項1記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項9】
式(IV)の化合物と式(V)の化合物とのカップリング反応が、水、アルコール、ケトン、エーテル、アミド、DMSO及びアセトニトリルより選択される極性溶媒の一種以上からなる極性媒質中で実施される、請求項1記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項10】
式(IV)の化合物と式(V)の化合物とのカップリング反応が、水/アセトニトリル混合物又は水/イソプロパノール混合物中で実施される、請求項1記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項11】
HCl存在下での塩の形成工程が、水、アセトン及びアルコールより選択される溶媒中で行われる、請求項1記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項12】
HCl存在下での塩の形成工程が、アセトン又はイソプロパノール中で行われる、請求項1記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項13】
式(I)の化合物が、再結晶に付される、請求項1〜6の一項記載の、式(I)の化合物の合成のための方法。
【請求項14】
式(I)の化合物の合成における中間体として使用するための、Yが、基−CH−OSO−R(Rは、(C−C)アルキル基又は−C−CH基である)を表す、請求項1記載の式(V)の化合物。
【請求項15】
式(I)の化合物の合成における、請求項1又は14記載の式(V)の化合物の使用。
【請求項16】
式(I)の化合物の合成における中間体として使用するための、請求項1記載の式(V’)の化合物。
【請求項17】
4−(3,3−ジエトキシプロポキシ)ベンズアミドである、請求項16記載の式(V’)の化合物。
【請求項18】
式(I)の化合物の合成における、請求項16又は17記載の式(V’)の化合物の使用。
【請求項19】
式(I)の化合物の合成における、請求項1記載の式(V”)の化合物の使用。
【請求項20】
以下の回折線(ブラッグ角2θ、角度±0.2°で表される):16.97°、17.84°、18.90°、20.32°、23.87°、27.10°、27.86°及び30.34°を有するX線粉末回折ダイアグラムを特徴とする、請求項1記載の式(I):
【化16】


で示される化合物の結晶形態I。
【請求項21】
X'Celerator検出器を備えたPANalytical X'Pert Pro MPD回折計を使用して測定され、線の位置(ブラッグ角2θ、角度±0.2°で表される)及び面間距離d(Åで表される)に関して表される、以下のX線粉末回折ダイアグラムを特徴とする、請求項20記載の式(I)の化合物の結晶形態I:
【表7】

【請求項22】
1606cm-1又は1676cm-1の位置に顕著なピークを有するラマンスペクトルを特徴とする、請求項20又は21記載の式(I)の化合物の結晶形態I。
【請求項23】
1676cm-1、1606cm-1、1564cm-1、1152cm-1、830cm-1及び296cm-1の位置に顕著なピークを有するラマンスペクトルを特徴とする、請求項20〜22の一項記載の式(I)の化合物の結晶形態I。
【請求項24】
請求項20〜23の一項記載の4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態Iを有効成分として、一種以上の薬学的に許容される、非毒性で不活性な担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項25】
脳の加齢及び神経変性疾患に関連する認識及び精神行動障害の処置、ならびにまた、気分障害、注意欠陥多動性症候群、肥満及び疼痛の処置に使用するための、請求項24記載の医薬組成物。
【請求項26】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病、レビー小体認知症、前頭及び皮質下の認知症、前頭側頭認知症ならびに血管性認知症に関連する認識及び精神行動障害の処置に使用するための、請求項24記載の医薬組成物。
【請求項27】
ヒスタミン作動系の障害の処置に使用するための医薬の製造における、請求項20〜23の一項記載の4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態Iの使用。
【請求項28】
脳の加齢及び神経変性疾患に関連する認識及び精神行動障害の処置、ならびにまた、気分障害、注意欠陥多動性症候群、肥満及び疼痛の処置を目的とする医薬の製造における、請求項20〜23の一項記載の4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態Iの使用。
【請求項29】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病、レビー小体認知症、前頭及び皮質下の認知症、前頭側頭認知症及び血管性認知症に関連する認識及び精神行動障害の処置を目的とする医薬の製造における、請求項20〜23の一項記載の4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態Iの使用。
【請求項30】
ヒスタミン作動系の障害の処置において使用するための、請求項20〜23の一項記載の4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態I。
【請求項31】
脳の加齢及び神経変性疾患に関連する認識及び精神行動障害の処置、ならびにまた、気分障害、注意欠陥多動性症候群、肥満及び疼痛の処置において使用するための、請求項20〜23の一項に記載の4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態I。
【請求項32】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病、レビー小体認知症、前頭及び皮質下の認知症、前頭側頭認知症及び血管性認知症に関連する認識及び精神行動障害の処置において使用するための、請求項20〜23の一項記載の、4−{3−[cis−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−イル]プロポキシ}ベンズアミド塩酸塩の結晶形態I。
【請求項33】
以下の回折線(ブラッグ角2θ、角度±0.2°で表される):6.25°、12.55°、17.74°、18.19°、19.43°、20.72°、21.00°、23.50°及び27.00°を有するX線粉末回折ダイアグラムを特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物の遊離塩基:
【化17】


の結晶形態I。
【請求項34】
X'Celerator検出器を備えたPANalytical X'Pert Pro MPD回折計を使用して測定され、そして線の位置(ブラッグ角2θ、角度±0.2°で表される)及び面間距離d(Åで表される)に関して表される、以下のX線粉末回折ダイアグラムを特徴とする、請求項33記載の式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態I:
【表8】

【請求項35】
1683cm-1の位置に顕著なピークを有するラマンスペクトルを特徴とする、請求項33又は34記載の式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態I。
【請求項36】
292cm-1、618cm-1、1045cm-1、1483cm-1、1568cm-1、1683cm-1の位置に顕著なピークを有するラマンスペクトルを特徴とする、請求項33〜35の一項記載の式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態I。
【請求項37】
以下のピーク(ppm±0.2ppmで表される):112.2ppm、119.2ppm、127.2ppm、128.6ppm、132.4ppm、162.2ppm及び173.2ppmを有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物の遊離塩基:
【化18】


の結晶形態I。
【請求項38】
以下のピーク(ppm±0.2ppmで表される)を有する固体13C CP/MAS NMRスペクトルを特徴とする、請求項37記載の、式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態I:
【表9】

【請求項39】
請求項33〜38の一項記載の式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態Iを有効成分として、一種以上の薬学的に許容される、非毒性で不活性の担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項40】
脳の加齢及び神経変性疾患に関連する認識及び精神行動障害の処置、ならびにまた、気分障害、注意欠陥多動性症候群、肥満及び疼痛の処置に使用するための、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項41】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病、レビー小体認知症、前頭及び皮質下の認知症、前頭側頭認知症及び血管性認知症に関連する認識及び精神行動障害の処置に使用するための、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項42】
ヒスタミン作動系の障害の処置において使用するための医薬の製造における、請求項33〜38の一項記載の式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態Iの使用。
【請求項43】
脳の加齢及び神経変性疾患に関連する認識及び精神行動障害の処置、ならびにまた、気分障害、注意欠陥多動性症候群、肥満及び疼痛の処置を目的とする医薬の製造における、請求項33〜38の一項記載の式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態Iの使用。
【請求項44】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病、レビー小体認知症、前頭及び皮質下の認知症、前頭側頭認知症及び血管性認知症に関連する認識及び精神行動障害の処置を目的とする医薬の製造における、請求項33〜38の一項記載の式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態Iの使用。
【請求項45】
ヒスタミン作動系の障害の処置において使用するための、請求項33〜38の一項記載の式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態I。
【請求項46】
脳の加齢及び神経変性疾患に関連する認識及び精神行動障害の処置、ならびにまた、気分障害、注意欠陥多動性症候群、肥満及び疼痛の処置に使用するための、請求項33〜38の一項記載の式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態I。
【請求項47】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病、レビー小体認知症、前頭及び皮質下の認知症、前頭側頭認知症及び血管性認知症に関連する認識及び精神行動障害の処置に使用するための、請求項33〜38の一項記載の式(I)の化合物の、遊離塩基の結晶形態I。

【公開番号】特開2012−254982(P2012−254982A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−129440(P2012−129440)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】