説明

4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドの製造方法

本発明は、4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドおよびそのトシル酸塩、式(I)の製造方法に関し、それは、第1段階で、イソシアネートに対して不活性な非塩化有機溶媒中、式(V)の化合物を最初に20℃ないし60℃の温度で入れ、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと、反応温度が70℃を超えないように混合することにより、式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと反応させて式(II)の化合物を得、第2段階で、式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と極性溶媒中、40℃から使用する溶媒の還流温度までの反応温度で混合することを含む。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドおよびそのトシル酸塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩は、WO03/068228およびWO03/047579で言及されており、式(I)の化合物に相当する:
【化1】

【0003】
WO03/068228は、なかんずく、血管新生が重要な役割を果たす障害の処置のための、例えば腫瘍増殖における、式(I)の化合物の使用に関する。WO03/047579は、癌の処置のための、細胞傷害性または細胞分裂停止性の化合物と組み合わせたアリール尿素に関する。
【0004】
化合物4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドは、WO00/42012に記載されており、式(II):
【化2】

の化合物に相当する。
【0005】
WO00/42012に開示されている化合物およびそれらの塩、例えばトシレート類は、そこで酵素Rafキナーゼの阻害剤として記載されており、障害、例えば癌の処置に使用できる。
【0006】
WO00/42012および Bankston et al. (Organic Process Research & Development, 2002, 6, 777-781) の両方ともが化合物(II)の製造方法を記載しており、それは、以下のスキームで図解説明される:
【化3】

【0007】
第1段階で、ピコリン酸を使用し、ジメチルホルムアミドを添加して塩化チオニル中で反応させることにより、式(III)の酸塩化物塩を製造する。第2工程で、これをメチルアミンと反応させ、式(IV)のメチルアミドを得る(ここで使用されるメチルアミンはテトラヒドロフランに溶解されている)。続くカリウムtert−ブトキシドおよび炭酸カリウムを添加してのジメチルホルムアミド中での4−アミノフェノールとの反応は、式(V)のエーテルを与える。それを抽出により単離し、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートとの塩化メチレン中でのさらなる反応により、式(II)の化合物に変換する。
【0008】
先行技術により開示された方法は、式(II)の化合物の製造に有効であるが、この化合物を工業的スケールで製造し、式(I)の化合物の製造を続けるとき、生成物の収率および方法の効率、安全性および経済性などの要素が、これらがいかなる商業的方法においてもそうであるように、非常に重大である。
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的は、製造において、特に医薬の製造において適用される基準を満たし、純度、環境適合性、工業的な採用可能性、安全性の局面および収量の改善を提供する、式(II)の化合物およびそのトシル酸塩の工業スケール(キログラムないしメートルトンの範囲)の製造方法を提供することである。この目的は、本発明により達成される。
【0010】
本発明の式(I)の化合物の製造では、水の添加により、および/または、反応容器に定められた量のp−トルエンスルホン酸を予め入れておくことにより、式(II)の化合物の高い溶解度が、従って高い収量が達成される。かくして、GMP基準に従った清澄濾過が可能になる。
【0011】
式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと反応させることによる、本発明の式(II)の化合物の製造では、例えば、塩化メチレン溶媒を使用することなく、反応時間を短縮することが可能である。
【0012】
式(IV)の化合物を4−アミノフェノールと反応させることによる、本発明の式(V)の化合物の製造では、先行技術の方法と比較して、技術的に費用がかかる不便な抽出段階を回避し、収量を顕著に高め、その二塩酸塩を介する単離および精製により、より高い純度で生成物を得、そして、必要に応じて、ジメチルホルムアミドの使用を省くことが可能である。驚くべきことに、先行技術と比較して、炭酸カリウムの使用を省くことも可能である。
【0013】
本発明の式(IV)の化合物の製造では、式(III)の化合物をメチルアミンと反応させることにより、驚くべきことに、式(III)の酸塩化物の存在にも関わらず、水性溶液を使用することが可能である。加えて、先行技術の方法と比較して、例えば、後処理が簡略化される。
【0014】
本発明の2−ピコリン酸からの式(III)の化合物の製造では、先行技術の方法と比較して、反応過程をより良好に制御し、かくしてこの反応の安全性を、特に工業的スケールで高めることが可能である。臭化物化合物の添加により、ジメチルカルバモイルクロリドを形成し得る塩化チオニル中でのジメチルホルムアミドの使用を省くことが可能である。同様に、腐食性生成物の単離を省くことが可能である。2−ピコリン酸から出発して式(V)の化合物までの3工程にわたる本発明による方法の総合的収率は、先行技術の方法と比較して高い。
【0015】
本発明は、式(I)の化合物の製造方法を提供し、それは、第1段階で、式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと、イソシアネートに対して不活性な非塩化有機溶媒中、15℃より高い温度で反応させ、式(II)の化合物を得、第2段階で、式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と混合することを含む。
【0016】
式(I)の化合物の製造:
本発明は、式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と反応させることにより式(I)の化合物を製造する方法を含み、ここで、反応は、極性溶媒中、40℃から使用する溶媒の還流温度までの反応温度で実行する。
【0017】
本発明の式(I)の化合物の製造は、式(II)の化合物を、p−トルエンスルホン酸と、極性溶媒中、例えば40℃から使用する溶媒の還流温度まで、好ましくは50℃から使用する溶媒の還流温度まで、より好ましくは50℃ないし90℃の反応温度で、反応させることにより実行する。式(II)の化合物の溶解度を改善するために、必要に応じて、清澄濾過を可能にするために、そして溶媒の量を減らすために、式(II)の化合物を溶液中に維持するように、式(II)の化合物を最初に、各場合で式(II)の化合物1molをベースとして、1molより少ない、好ましくは0.10ないし0.7mol、より好ましくは0.13ないし0.4molのp−トルエンスルホン酸と反応させる。最初に混合するp−トルエンスルホン酸の好ましい量の領域は、使用する溶媒にわずかに依存して変動し得る。必要に応じて、水、好ましくは有機溶媒の量をベースとして12ないし14%の水を混合できる。続いて、反応混合物を反応温度にし、必要に応じて濾過する。その後、p−トルエンスルホン酸の必要量の残量を添加する。場合により、反応混合物を、式(I)の化合物の種結晶と混合し、冷却する。式(I)の化合物を、結晶化および濾過により最終的に単離する。水を反応混合物に添加するならば、式(I)の化合物の収率を、例えば蒸留による水の除去により、および/または、極性溶媒の添加により、高めることができる。その後、反応混合物中の水含有量は、5%以下である。式(II)の化合物は、必要に応じて、前工程からの粗生成物の形態で、または、溶液または懸濁液の形態で、例えば、酢酸エチルまたはテトラヒドロフランに溶解して、使用し得る。
【0018】
式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と混合することによる本発明の式(I)の化合物の製造では、水を反応混合物に添加し、必要に応じて、清澄濾過を実行する。
【0019】
特に好ましいのは、式(II)の化合物を最初に極性溶媒に入れ、p−トルエンスルホン酸を、必要に応じて極性溶媒に溶解または懸濁して、添加することである。
【0020】
p−トルエンスルホン酸は、無水形態または水和物形態のいずれかで使用し得る。好ましいのは、p−トルエンスルホン酸一水和物を使用することである。
【0021】
本発明の式(I)の化合物の製造に必要とされるp−トルエンスルホン酸の量は、各場合で式(II)の化合物1molをベースとして、1mol以上、好ましくは1ないし3mol、より好ましくは1ないし1.5molである。式(II)の化合物の反応混合物中の濃度は、例えば、5ないし30、好ましくは5ないし15重量パーセントである。p−トルエンスルホン酸の反応混合物中の濃度は、例えば、1ないし15、好ましくは2ないし10重量パーセントである。
【0022】
本発明の式(I)の化合物の製造において適する極性溶媒は、例えば、少なくとも1種のヒドロキシル基を含む有機溶媒、テトラヒドロフラン、酢酸エチルまたは上述の溶媒の混合物である。好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、グリセロール、エチレングリコール、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルまたは上述の溶媒の混合物である。特に好ましいのは、エタノール、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、酢酸エチルまたは上述の溶媒の混合物である。
【0023】
反応混合物の溶解度を高め、溶媒の量を減らし、かくして収量を高めるために、驚くべきことに、定められた量の水を、使用する溶媒に添加することが可能である。このことは、式(I)の化合物および式(II)の化合物は、共に水単独における溶解性に乏しいので(各々25℃で<0.01mg/100ml)、より驚くべきことである。水を溶媒に添加するとき、好ましいのは、例えば4:1ないし60:1、好ましくは6:1ないし55:1の溶媒/水の比を達成することである。しかしながら、式(I)の化合物の結晶化が防止されるほど、水の量が多いべきではない。そうでなければ、例えば蒸留により、水を除去できる。好ましくは、結晶化の際の水含有量は、5%以下である。
【0024】
式(II)の化合物の製造:
本発明は、さらに、式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと反応させることによる式(II)の化合物の製造方法を含み、この反応は、イソシアネートに対して不活性な非塩化有機溶媒中で実行する。
【0025】
式(V)の化合物の、購入できる4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートとの、式(II)の化合物を与える本発明の反応は、15℃より高く70℃より低い温度、例えば20℃ないし60℃、好ましくは25℃ないし60℃、より好ましくは30℃ないし60℃の温度で実行する。好ましいのは、最初に、式(V)の化合物を20℃ないし60℃、より好ましくは30℃ないし50℃の温度で、適する有機溶媒に入れ、反応温度が70℃、好ましくは65℃、より好ましくは60℃を超えないやり方で、必要に応じて適当な溶媒に溶解または懸濁した4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと混合する。必要に応じて、式(II)の化合物の粗生成物を、適当な溶媒、好ましくはテトラヒドロフランまたは酢酸エチルに溶解または懸濁して、次の工程で使用する。好ましくは反応混合物からの結晶化により、反応混合物を例えば−10ないし40℃、好ましくは0ないし30℃、より好ましくは10ないし25℃の温度に冷却することにより、式(II)の化合物を単離する。
【0026】
式(V)の化合物の4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートとの式(II)の化合物を与える反応に適する有機溶媒は、イソシアネートに対して不活性な非塩化有機溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、ジメトキシエタンまたは上述の溶媒の混合物である。特に好ましいのは、酢酸エチルまたはテトラヒドロフランである。
【0027】
4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートを、各場合で式(V)の化合物1moleをベースとして、0.9ないし5mol、好ましくは1ないし3mol、より好ましくは1ないし2molの量で使用する。4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートの反応混合物中の濃度は、5ないし30重量パーセント、好ましくは10ないし20重量パーセントであり、式(V)の化合物の反応混合物中の濃度は、5ないし30重量パーセント、好ましくは10ないし20重量パーセントである。
【0028】
さらなる後処理または単離をせずに、次の工程で溶液中の式(II)の化合物を使用することが可能である。
【0029】
式(V)の化合物の製造:
変法A:
本発明は、同様に、式(IV)の化合物を、4−アミノフェノールと、炭酸塩を添加せずに反応させることによる、式(V)の化合物の製造方法を含む。
式(IV)の化合物を、好ましくは、4−アミノフェノールと、塩基の存在下、適する溶媒中、25℃から溶媒の還流温度までの温度で、好ましくは60ないし110℃で、1ないし12時間の内に、好ましくは1ないし7時間の内に、より好ましくは1ないし4時間の内に反応させ、式(V)の化合物を得る。例えば、それを0ないし30℃、好ましくは5ないし25℃に冷却する。先行技術と比較して、式(V)の化合物のより高い純度を達成するために、式(V)の化合物の酸塩を、最初に沈殿させ、単離し、再度溶解し、塩基と混合し、次いで、式(V)の化合物を結晶化により単離する。
【0030】
特に好ましいのは、式(V)の化合物を含む反応混合物をテトラヒドロフランと混合し、−10℃ないし25℃の温度に冷却し、酸、好ましくは塩酸、より好ましくは水性塩酸溶液を、必要に応じて、50℃、好ましくは40℃、より好ましくは30℃の温度を超えないように反応混合物に添加することにより、式(V)の化合物の酸塩を沈殿させることである。撹拌を10時間まで、好ましくは5時間まで継続し、式(V)の化合物の酸塩、好ましくは式(V)の化合物の二塩酸塩を、沈殿させ、単離する。式(V)の化合物の酸塩の、例えば水への溶解後、pH2ないし5、好ましくは2.8ないし4を、塩基、好ましくは水性アルカリ金属水酸化物溶液、より好ましくは水性水酸化ナトリウム溶液を用いて確立し、必要に応じて、式(V)の化合物の種結晶と混合する。続いて、塩基の添加により、好ましくは水性アルカリ金属水酸化物溶液の添加により、より好ましくは水性水酸化ナトリウム溶液の添加により、ほぼ中性のpH、好ましくはpH6ないし7を確立し、式(V)の化合物を結晶化することにより単離する。
【0031】
式(V)の化合物の酸塩の十分な結晶化を可能にするために、テトラヒドロフランの添加後の、使用する溶媒とテトラヒドロフランとの重量比は、5:1ないし1:2、好ましくは3:1ないし1:2、より好ましくは2.5:1ないし1.5:1である。
【0032】
変法Aに従って式(V)の化合物を得る本発明の反応において適する溶媒は、双極性非プロトン性溶媒である。好ましいのは、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、スルホランまたは上述の溶媒の混合物である。特に好ましいのは、ジメチルホルムアミドである。
【0033】
変法Aに従って4−アミノフェノールを用いて式(V)の化合物を得る本発明の反応において適する塩基は、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属アルコキシドである。好ましいのは、カリウムtert−ブトキシドである。カリウムtert−ブトキシドは、好ましくは、溶液中、より好ましくはテトラヒドロフラン溶液中で使用する。
【0034】
変法Aに従って式(V)の化合物を得る本発明の反応では、各場合で式(IV)の化合物1moleをベースとして、4−アミノフェノールを0.9ないし5mol、好ましくは1ないし3mol、より好ましくは1ないし2molの量で、そして塩基を1ないし3mol、好ましくは1ないし2molの量で使用する。反応混合物中の4−アミノフェノールの濃度は、1ないし30重量パーセント、好ましくは4ないし15重量パーセントである。
【0035】
変法B:
本発明は、同様に、式(IV)の化合物を4−アミノフェノールと水の存在下で、必要に応じて相間移動触媒を添加して反応させることによる、式(V)の化合物の製造方法を含む。
【0036】
変法Bに従って式(V)の化合物を得る式(IV)の化合物の4−アミノフェノールとの反応は、塩基の存在下、水の存在下、必要に応じて、相間移動触媒を添加して、適する溶媒中、25℃から溶媒の還流温度まで、好ましくは40ないし90℃、より好ましくは50ないし80℃の温度で、1ないし24時間の内、好ましくは2ないし15時間の内、より好ましくは4ないし12時間の内に実行する。先行技術と比較して高い式(V)の化合物の純度を達成するために、式(V)の化合物の酸塩を沈殿させ、単離し、再度溶解し、塩基と混合し、式(V)の化合物を結晶化により単離する。
【0037】
特に好ましいのは、式(V)の化合物を含む反応混合物を−10℃ないし25℃の温度に冷却し、酸、好ましくは塩酸、より好ましくは水性塩酸溶液を、反応混合物に、必要に応じて50℃、好ましくは40℃、より好ましくは30℃の温度を超えないようなやり方で添加することにより、式(V)の化合物の酸塩を沈殿させることである。撹拌を10時間まで、好ましくは5時間まで継続し、式(V)の化合物の酸塩、好ましくは式(V)の化合物の二塩酸塩を、沈殿させ、単離する。式(V)の化合物の酸塩の、例えば水への溶解後、pH2ないし5、好ましくは2.8ないし4を、塩基、好ましくは水性アルカリ金属水酸化物溶液、より好ましくは水性水酸化ナトリウム溶液を用いて確立し、混合物を必要に応じて式(V)の化合物の種結晶と混合する。その後、ほぼ中性のpH、好ましくはpH6ないし7を、塩基の添加により、好ましくは水性アルカリ金属水酸化物溶液の添加により、より好ましくは水性水酸化ナトリウム溶液の添加により確立し、式(V)の化合物を結晶化により単離する。
【0038】
適する相間移動触媒は、テトラアルキルアンモニウム塩である。好ましいのは、臭化テトラアルキルアンモニウム、塩化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、リン酸二水素テトラアルキルアンモニウムまたは硫酸水素テトラアルキルアンモニウムである。特に好ましいのは、硫酸水素テトラブチルアンモニウムである。
【0039】
変法Bに従って式(V)の化合物を得る本発明の反応において適する溶媒は、アルキル芳香族、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフランまたは上述の溶媒の混合物である。好ましく適するのは、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフランまたは上述の溶媒の混合物である。特に好ましいのは、テトラヒドロフランである。
【0040】
変法Bに従い式(V)の化合物を得る本発明の反応において適する塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、またはアルカリ金属アルコキシドである。好ましいのは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物である。特に好ましいのは、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。塩基は、無溶媒で、かつ/または、水性溶液として、添加し得る。
【0041】
変法Bに従い式(V)の化合物を得る本発明の反応では、各場合で式(IV)の化合物1moleをベースとして、4−アミノフェノールを0.9ないし5molの量で、好ましくは1ないし5mol、より好ましくは1ないし3molの量で、そして、塩基を1ないし10mol、好ましくは1ないし7mol、より好ましくは2ないし5molの量で使用する。反応混合物中の4−アミノフェノールの濃度は、5ないし30重量パーセント、好ましくは5ないし15重量パーセントであり、反応混合物中の塩基の濃度は、5ないし30重量パーセント、好ましくは5ないし15重量パーセントである。反応混合物中の水の量は、使用する溶媒の量をベースとして、1ないし30重量パーセント、好ましくは2ないし20重量パーセント、より好ましくは4ないし15重量パーセントである。相間移動触媒の存在下では、相間移動触媒を、式(IV)の化合物1moleをベースとして、0.1ないし1mol、好ましくは0.1ないし0.5mol、より好ましくは0.1ないし0.3molの量で使用する。反応混合物中の相間移動触媒の濃度は、1ないし15重量パーセント、好ましくは2ないし10重量パーセントである。
【0042】
変法Bに従い式(V)の化合物を得る本発明の反応において、テトラヒドロフランを溶媒として使用するとき、テトラヒドロフランと水との重量比は、好ましくは99:1ないし80:20、好ましくは98:2ないし90:10である。反応溶液中に存在する水は、例えば、塩基の水性溶液の形態で添加し得る。
【0043】
式(IV)の化合物の製造:
本発明は、同様に、式(III)の化合物を水性メチルアミン溶液と反応させることによる、式(IV)の化合物の製造方法を含む。
水性メチルアミン溶液の代わりに、気体状のメチルアミンを使用することも可能である。
【0044】
先行技術と比較して後処理および式(V)の化合物を得るさらなる反応を簡略化するために、水性メチルアミン溶液を最初に入れるか、または、気体状メチルアミンを使用し、形成された式(IV)の化合物の粗生成物を、後続の式(V)の化合物を得る反応において単離せずに使用する。
【0045】
好ましいのは、最初に入れたメチルアミンを、水性溶液中、−20℃ないし30℃、好ましくは−15℃ないし20℃、より好ましくは−10℃ないし10℃の温度で、水と非混和性である有機溶媒に溶解または懸濁した式(III)の化合物と、反応混合物が60℃、好ましくは50℃、より好ましくは40℃の温度を超えないようなやり方で反応させることである。必要に応じて、撹拌を10℃ないし30℃、好ましくは15ないし25℃の温度で、4時間まで継続する。相を分離した後(それは、必要に応じて塩化ナトリウムの添加により容易になる)、式(IV)の化合物を単離する。
【0046】
式(III)の化合物のメチルアミンとの反応では、式(III)の化合物を、好ましくは、水と非混和性である有機溶媒、例えばアルキル芳香族またはクロロ芳香族、好ましくはキシレン、トルエン、トリフルオロメチルベンゼン、メチルテトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテルまたはクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、より好ましくはトルエンに、溶解または懸濁して使用する。特に好ましいのは、式(III)の化合物をトルエンに溶解し、それを水性メチルアミン溶液に添加することである。
【0047】
反応混合物中のトルエンと水との重量比は、2:1ないし1:2である。
メチルアミンを過剰に、好ましくは各場合で式(III)の化合物1moleをベースとして2ないし5molの量で使用する。反応混合物中のメチルアミンの濃度は、5ないし30重量パーセント、好ましくは5ないし15重量パーセントである。
【0048】
好ましいのは、式(IV)の化合物を単離せずに、後の式(V)の化合物を得る反応で使用することである。相の分離後、特に好ましいのは、溶媒を完全に除去することにより式(IV)の化合物の粗生成物を単離せずに、むしろ、後の式(V)の化合物を得る後続の反応において、それを溶媒中で使用することである。
【0049】
式(IV)の化合物の精製および保存時に安定な形態への変換は、例えば、必要に応じて、酸塩、好ましくは式(IV)の化合物の塩酸塩を単離することにより実行できる。この目的で、粗製の式(IV)の化合物を含む溶液を、酸、好ましくは塩酸、より好ましくは水性塩酸溶液と、反応温度が60℃、好ましくは50℃、より好ましくは40℃を超えないようなやり方で混合する。冷却後、式(IV)の化合物の酸塩、好ましくは塩酸塩を、結晶化により単離する。
【0050】
式(III)の化合物の製造:
本発明は、同様に、2−ピコリン酸を塩化チオニルと反応させることによる、式(III)の化合物の製造方法を含む。その方法では、塩化チオニルに対して不活性な溶媒を使用し、塩化チオニルを2−ピコリン酸に添加し、ジメチルホルムアミドの使用を回避する。
【0051】
式(III)の化合物の製造では、2−ピコリン酸を、最初に、塩化チオニルに対して不活性な溶媒に、30℃ないし90℃、好ましくは40℃ないし80℃で入れ、塩化チオニルと、気体の放出を能率よく制御できるやり方で反応させる。例えば、40ないし110℃、好ましくは50ないし100℃の温度で、24時間まで撹拌を継続する。反応は、必要に応じて、臭化化合物、好ましくは臭化水素、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、2−ピコリン酸臭化水素酸塩または臭化チオニル、より好ましくは臭化水素の存在下で行う。ジメチルホルムアミドの使用を回避する。例えば10℃ないし40℃の温度に冷却後、揮発性成分、例えば溶媒または塩化チオニルの残渣を、好ましくは真空の適用により除去し、式(III)の化合物を単離する。
【0052】
臭化化合物は、反応開始時に、または、塩化チオニルの添加後に、反応溶液に添加する。好ましいのは、臭化ナトリウム、臭化カリウムまたは臭化チオニルを、反応開始時に添加することである。例えば気体または酢酸溶液としての臭化水素を、好ましくは、塩化チオニルの添加の1ないし5時間、好ましくは1ないし2時間後に、反応溶液に添加する。
【0053】
式(III)の化合物の製造では、特に好ましいのは、臭化水素を、気体状の形態で、または溶液として、添加することである。適する臭化水素溶液は、臭化水素の酢酸溶液である。
【0054】
式(III)の化合物の製造において有用な溶媒は、塩化チオニルに対して不活性な溶媒、好ましくは塩化芳香族性炭化水素、または高沸点の塩化脂肪族炭化水素、より好ましくはクロロベンゼンである。
【0055】
好ましいのは、式(III)の化合物を、単離せずに、適する溶媒中、好ましくは水と非混和性である有機溶媒、例えばキシレン、トルエン、トリフルオロメチルベンゼン、メチルテトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテルまたはクロロベンゼン、好ましくはトルエンに溶解または懸濁し、それを後続の式(IV)の化合物を得る反応において使用することである。
【0056】
塩化チオニルを、過剰に、好ましくは、各場合で2−ピコリン酸1molをベースとして2ないし15mol、好ましくは2ないし8mol、より好ましくは2ないし6molの量で使用する。臭化水素を、各場合で2−ピコリン酸1moleをベースとして、0.1ないし0.5mol、好ましくは0.1ないし0.3molの量で使用する。臭化ナトリウムを、各場合で2−ピコリン酸1moleをベースとして、0.1ないし0.5mol、好ましくは0.1ないし0.3molの量で使用する。臭化チオニルを、各場合で2−ピコリン酸1moleをベースとして、0.01ないし0.2mol、好ましくは0.02ないし0.15molの量で使用する。反応混合物中の塩化チオニルの濃度は、30ないし80重量パーセント、好ましくは40ないし70重量パーセントであり、反応混合物中の2−ピコリン酸の濃度は、5ないし40重量パーセント、好ましくは10ないし25重量パーセントである。反応溶液中の臭化水素の濃度は、0.5ないし10、好ましくは0.75ないし5重量パーセントであり、反応溶液中の臭化ナトリウムの濃度は、1ないし10、好ましくは1ないし5重量パーセントであり、反応溶液中の臭化チオニルの濃度は、0.5ないし10、好ましくは0.75ないし5重量パーセントである。
【0057】
本発明は、必要に応じて2−ピコリン酸から出発し、「式(III)の化合物の製造」で記載した通りに塩化チオニルと反応させて式(III)の化合物を得、必要に応じて続いて「式(IV)の化合物の製造」で記載した通りに式(III)の化合物を水性メチルアミン溶液と反応させて式(IV)の化合物を得、必要に応じて続いて「式(IV)の化合物の製造」で記載した通りに式(IV)の化合物を4−アミノフェノールと反応させて式(V)の化合物を得、続いて「式(II)の化合物の製造」で記載した通りに式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニルイソシアネートと反応させ、最後に「式(I)の化合物の製造」で記載した通りに式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と反応させることによる、式(I)の化合物の製造方法を含む。
【0058】
好ましいのは、第1段階で、式(V)の化合物を、4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニルイソシアネートと、イソシアネートに対して不活性な非塩化有機溶媒中、15℃より高い温度で反応させ、式(II)の化合物を得、第2段階で、式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と混合する、式(I)の化合物の製造方法である。
【0059】
好ましいのは、同様に、最初に式(IV)の化合物を4−アミノフェノールと、炭酸塩を添加せずに反応させて式(V)の化合物を得、必要に応じて、式(V)の化合物の塩酸塩をテトラヒドロフランおよび/または水の存在下で沈殿させ、それを水に溶解し、pH6ないし7を確立し、式(V)の化合物を結晶化により単離し、二番目に、式(V)の化合物を酢酸エチル中の4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと反応させて式(II)の化合物を得、三番目に式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と反応させることにより、式(I)の化合物を得ることである。
【0060】
特に好ましいのは、第1段階で、式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと、イソシアネートに対して不活性な非塩素化有機溶媒中、15℃より高い温度で反応させ、式(II)の化合物を得、第2段階で、式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と極性溶媒中、40℃から使用する溶媒の還流温度までの反応温度で反応させることによる、式(I)の化合物の製造方法である。
【0061】
特に好ましいのは、同様に、最初に、2−ピコリン酸を、塩化チオニルに対して不活性な溶媒中、塩化チオニル、必要に応じて臭化化合物の添加により反応させ、式(III)の化合物を得、二番目に、式(III)の化合物を単離せずに、トルエンに溶解して、水性メチルアミン溶液に添加し、式(IV)の化合物を得、三番目に、式(IV)の化合物を4−アミノフェノールと塩基の存在下で反応させて式(V)の化合物を得、式(V)の化合物の塩酸塩をテトラヒドロフランおよび/または水の存在下で形成させ、それを水に溶解し、pH6ないし7を確立することにより、式(V)の化合物を結晶化により単離し、四番目に、式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと、必要に応じて酢酸エチル中で反応させ、式(II)の化合物を得、五番目に、式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と反応させることにより、式(I)の化合物を得ることである。
【0062】
本発明は、同様に、必要に応じて2−ピコリン酸から出発し、「式(III)の化合物の製造」で記載した通りに塩化チオニルと反応させて式(III)の化合物を得、必要に応じて、続いて「式(IV)の化合物の製造」で記載した通りに式(III)の化合物を水性メチルアミン溶液と反応させて式(IV)の化合物を得、必要に応じて、続いて「式(V)の化合物の製造」で記載した通りに式(IV)の化合物を4−アミノフェノールと反応させて式(V)の化合物を得、続いて「式(II)の化合物の製造」で記載した通りに式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと反応させることによる、式(II)の化合物の製造方法を含む。
【0063】
好ましいのは、最初に、炭酸塩を添加せずに式(IV)の化合物を4−アミノフェノールと反応させて式(V)の化合物を得、必要に応じて、式(V)の化合物の塩酸塩をテトラヒドロフランおよび/または水の存在下で沈殿させ、それを水に溶解し、pH6ないし7を確立し、式(V)の化合物を結晶化により単離し、二番目に、式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと、必要に応じて酢酸エチル中で反応させることにより、式(II)の化合物を得ることである。
【0064】
特に好ましいのは、最初に、2−ピコリン酸を塩化チオニルに対して不活性な溶媒中で、塩化チオニルおよび必要に応じて臭化化合物を添加することにより反応させ、式(III)の化合物を得、二番目に、式(III)の化合物を単離せずに、トルエンに溶解して、水性メチルアミン溶液に添加し、それを反応させて式(IV)の化合物を得、三番目に、式(IV)の化合物を4−アミノフェノールと、塩基の存在下で反応させて式(V)の化合物を得、式(V)の化合物の塩酸塩をテトラヒドロフランおよび/または水の存在下で形成させ、それを水に溶解し、そして、pH6ないし7を確立し、式(V)の化合物を結晶化により単離し、四番目に、式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと、必要に応じて酢酸エチル中で反応させることにより、式(II)の化合物を得ることである。
【0065】
これらの反応は、一般的に、大気圧で実施する。しかしながら、加圧または減圧下で行うことも可能である(例えば0.5ないし5バールの範囲で)。
本発明は、同様に、好ましい領域の全ての組合せを含む。
ここで、非限定的な好ましい例を参照して、本発明を詳細に例示説明する。断りのない限り、全ての量は重量パーセントに関する。
【0066】
略号:
【表1】

【実施例】
【0067】
実施例:
Bruker の分光計を使用して、H−NMRスペクトルを室温で記録した。(断りのない限り)テトラメチルシランを内部標準として含む重水素ジメチルスルホキシドを溶媒として使用した。
Waters および Applied Biosystems の分光計を使用して、MSスペクトルを記録した。相対的シグナル強度を記述する(基底ピークをベースとするパーセントで)。
Hewlett Packard の HP 1100 を使用して、HPLCを実施した。明確な条件は、各実施例で述べる。
【0068】
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]−フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドおよびそのトシル酸塩の製造
工程1:
4−クロロピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩
方法1a:
2−ピコリン酸(60kg、487mol)を、クロロベンゼン(85kg)に懸濁し、70℃に加熱する。塩化チオニル(262.5kg、2206mol)を、気体の放出(主にSOおよびHCl)を能率よく制御できる程度に添加する。70℃で1時間撹拌した後、気体状の臭化水素(6kg、74mol)を反応容器に1時間かけて通す。次いで、反応混合物を90℃に加熱し、13時間撹拌する。30℃に冷却した後、過剰の塩化チオニルおよび大部分のクロロベンゼンを減圧下で留去する(最終的減圧50mbar、ジャケット温度75℃)。トルエン(120kg)を添加し、依然として残っている塩化チオニルおよびトルエンの大部分を除去するために、減圧蒸留を繰り返す(最終的減圧50mbar、ジャケット温度75℃)。トルエンを再度添加した後(225kg)、粗製4−クロロピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩をトルエン溶液として次の工程で使用する。
【0069】
方法1b:
2−ピコリン酸(60kg、487mol)をクロロベンゼン(85kg)に懸濁し、臭化チオニル(5.1kg、25mol)を添加する。72℃に加熱した後、塩化チオニル(200kg、1681mol)を、気体の放出(主にSOおよびHCl)を能率よく制御できる程度に添加する。続いて、反応混合物を90℃に加熱し、13時間撹拌する。20℃に冷却後、過剰の塩化チオニルおよびクロロベンゼンの大部分を減圧下で留去する(最終的減圧50mbar、ジャケット温度75℃)。トルエン(120kg)を添加し、依然として残っている塩化チオニルおよびトルエンの大部分を除去するために、減圧蒸留を繰り返す(最終的減圧50mbar、ジャケット温度75℃)。トルエンを再度添加した後(225kg)、粗製4−クロロピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩をトルエン溶液として次の工程で使用する。
【0070】
方法1c:
2−ピコリン酸(28.3kg、230mol)および臭化ナトリウム(3.8kg、37mol)をクロロベンゼン(40kg)に懸濁する。50℃に加熱後、塩化チオニル(94.5kg、794mol)を、気体の放出(主にSOおよびHCl)を能率よく制御できる程度に添加する。続いて反応混合物を85℃に加熱し、19時間撹拌する。20℃に冷却後、過剰の塩化チオニルおよびクロロベンゼンの大部分を減圧下で留去する(最終的減圧50mbar、ジャケット温度75℃)。トルエン(62kg)を添加し、依然として残っている塩化チオニルおよびトルエンの大部分を除去するために、減圧蒸留を繰り返す(最終的減圧50mbar、ジャケット温度75℃)。トルエンを再度添加した後(80kg)、粗製4−クロロピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩をトルエン溶液として次の工程で使用する。
【0071】
工程2:
4−クロロ−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド
反応容器にメチルアミンを40%水溶液(117kg、メチルアミン1507mol)として入れる。水(97.5kg)を添加し、溶液を−5℃に冷却する。粗製4−クロロピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩(約330kg、トルエンを含む、2−ピコリン酸60kgから工程1/方法1aで詳述した方法により得られる)のトルエン溶液を反応混合物の温度が30℃を超えない程度に添加する。さらに20℃で1時間撹拌した後、不溶性成分を反応混合物から濾過する。相を分離した後、有機相を水(90kg)で洗浄する。より良好な相分離のために、塩化ナトリウム5kgを添加する。トルエンの大部分を有機相から減圧下で留去する(最終的減圧40mbar、ジャケット温度95℃)。かくして、粗製4−クロロ−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドを、橙色から暗茶色の油状物として得、さらに精製せずに次の工程で使用する。
【0072】
粗生成物を、塩酸塩を通して精製し、単離し得る:
37%塩酸(354g、3.59mol)を添加し、撹拌しながら、アセトン(2kg)中の粗製4−クロロ−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(500g、2.93mol)の溶液に、反応混合物の温度が40℃を超えない程度に添加する。約5℃に冷却後、撹拌を1時間継続する。生成物を濾過し、アセトン(580g)で洗浄し、減圧下で乾燥させる(50℃、80mbar)。かくして、4−クロロ−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩521g(理論値の86%)を得る。
m.p.166−168℃
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ = 2.83 (d, J = 4.8 Hz, 3H, NCH3); 3.88 (br. s, HCl / H2O); 7.77 (dd, J = 1.9, 5.1 Hz, 1H, 5-H); 8.03 (d, J = 1.6 , 1H, 3-H); 8.63 (d, J = 5.2 Hz, 1H, 6-H); 8.90 (br. s, 1H, NH)
MS [DCI, NH3]: m/e = 188 [M+NH4]+, 171 [M+H]+ (M = 遊離塩基)
【0073】
工程3:
4−(4−アミノフェノキシ)−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド
方法3a:
反応容器中、約93kgの粗製4−クロロ−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(上述の反応段階において、2−ピコリン酸60kgから出発して得られる)を、ジメチルホルムアミド(445kg)と混合し、p−アミノフェノール(50.5kg、463mol)およびカリウムtert−ブトキシド(273kg、487mol、テトラヒドロフラン中の20%溶液)を連続して溶液に添加する。容器の内容物を90℃に加熱し、この温度で2時間撹拌する。15℃に冷却後、テトラヒドロフラン(212kg)を添加し、37%塩酸(116.5kg、1181mol)を、反応混合物の温度が30℃を超えない程度に添加する。続いて1時間撹拌した後、沈殿した生成物を濾過し、テトラヒドロフラン(各回178kg)で2回洗浄する。送風乾燥後、生成物を蒸留水(570kg)に溶解し、最初は20℃で10%水酸化ナトリウム溶液(193kg、483mol)を添加することにより、pH3.3ないし3.5を確立する。このpHで、溶液に表題化合物(0.5kg)を播き、続いて30分間撹拌する。その後、さらなる10%水酸化ナトリウム溶液(118kg、296mol)を20℃で1時間以内に添加し、pH6ないし7を確立し、混合物をさらに30分間撹拌する。懸濁液を濾過し、固体を蒸留水(350kg)で洗浄し、約60℃で減圧下に乾燥させる。表題化合物92kg(3工程を通して理論値の78%)を得る。
【0074】
方法3b:
反応容器中、約93kgの粗製4−クロロ−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(2−ピコリン酸60kgから出発して、上述の反応段階で得られる)を、テトラヒドロフラン(350kg)、4−アミノフェノール(58.4kg、535mol)、硫酸水素テトラ−N−ブチルアンモニウム(33.1kg、97.5mol)、固体の水酸化ナトリウム(29.1kg、726mol)および45%水酸化ナトリウム溶液(65.3kg、734mol)と連続的に混合する。混合物を65℃に加熱し、この温度で8時間撹拌する。20℃に冷却後、37%塩酸(238kg、2408mol)を、反応混合物の温度が25℃を超えない程度に添加する。さらに1時間撹拌した後、沈殿した生成物を濾過し、テトラヒドロフラン(300kg)で洗浄する。依然として水分を含んだ生成物を水(920kg)に溶解した後、混合物のpHを、22.5%水酸化ナトリウム溶液(70.7kg、398mol)の添加により、20℃でpH3ないし3.5に調節する。混合物に表題化合物(0.5kg)を播き、22.5%水酸化ナトリウム溶液(50kg、281mol)の添加を、pH6ないし7が達成されるまで継続する。懸濁液をさらに1時間撹拌し、生成物を続いて濾過し、水(150kg)で洗浄し、減圧(50℃、最終的減圧<40mbar)下で乾燥させる。かくして、表題化合物88kg(3工程を通して、理論値の74%)を、明茶色の結晶として得る。
【0075】
m.p. 114-116℃
1H-NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ = 2.78 (d, J = 4.7 Hz, 3H, NCH3); 5.21 (br. s, 2H, NH2); 6.64, 6.86 (AA'BB' 四重線, J = 8.6 Hz, 4H, 芳香族性); 7.08 (dd, J = 2.4, 5.4 Hz, 1H, 5-H); 7.33 (d, J = 2.3 Hz, 1H, 3-H); 8.46 (d, J = 5.5 Hz, 1H, 6-H); 8.78 (br. d, J = 4.5 Hz, 1H, NH)
MS (EI): m/e = 243 [M]+, 186 [M-CONHCH3]+, 109.
HPLC: Inertsil ODS 3、5μm、ID 3 mm、長さ 25 cm、(固定相); 流速: 0.5 mL/分; 245 nm; 溶離液 A: 中性酢酸アンモニウムバッファー、溶離液B: 20 mL 中性酢酸アンモニウムバッファー、400 mL アセトニトリル、400 mL メタノール; 直線状勾配 12.5% B -> 100%B (15 分)
保持時間: 12.6 分; 純度: >95%
【0076】
工程4:
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド
4−(4−アミノフェノキシ)−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミド(52.3kg、215mol)を、酢酸エチル(146kg)に懸濁し、懸濁液を約40℃に加熱する。次いで、酢酸エチル(58kg)に溶解した4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(50kg、226mol)を、温度が60℃より低く維持される程度に添加する。1時間以内に20℃に冷却した後、混合物をさらに30分間撹拌し、生成物を濾過する。酢酸エチル(30kg)で洗浄後、生成物を減圧下に乾燥する(50℃、80mbar)。表題化合物93kg(理論値の93%)を、無色からわずかに茶色がかった結晶として得る。
m.p. 206-208℃
1H-NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ = 2.79 (d, J = 4.4 Hz, 3H, NCH3); 7.16 (dd, J = 2.5, 5.6 Hz, 1H, 5-H); 7.18 (d, J = 8.8 Hz, 2H, 3'-H, 5'-H); 7.38 (d, J = 2.4 Hz, 1H, 3-H); 7.60 -7.68 (m, 4H, 2'-H, 6'-H, 5''-H, 6''-H);; 8.13 (d, J = 1.9 Hz, 1H, 2''-H); 8.51 (d, J = 5.6 Hz, 1H, 6-H); 8.81 (d, J = 4.5 Hz, 1H, NHCH3); 9.05 (br. s, 1H, NHCO); 9.25 (br. s, 1H, NHCO)
MS (ESI, CH3CN/H2O): m/e = 465 [M+H]+
【0077】
工程5:
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドトシレート
方法5a:
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(47.5kg、100mol)を、エタノール(432kg)に懸濁し、p−トルエンスルホン酸一水和物(6.8kg、36mol)を添加する。混合物を15分間撹拌し、懸濁液を0.5時間以内に74℃に加熱する。混合物を濾過により澄ませ、さらなるp−トルエンスルホン酸一水和物(16.8kg、88mol)を、エタノール(41kg)中の濾過溶液として40分以内に添加する。74℃で表題化合物0.63kgを播くことにより、生成物の結晶化を誘導する。120分以内に3℃に冷却した後、混合物をさらに1時間撹拌し、生成物を濾過する。固体をエタノール(各回88kg)で2回洗浄し、減圧下で乾燥させる。表題化合物58kg(理論値の91%)を無色から僅かに茶色がかった結晶として得る。
【0078】
m.p. 223-231℃ (崩壊下で融解)
1H-NMR (DMSO-d6, 500 MHz): δ = 2.29 (s, 3H, CH3); 2.79 (d, J = 4.8 Hz, 3H, NCH3); 5.9 (br. s, 1H, SO3H), 7.14 (d, J = 7.9 Hz, 2H, 2'''-H, 6'''-H); 7.17-7.22 (m, d, J = 8.8 Hz , 3H, 5-H, 3'-H, 5'-H); 7.44 (d, J = 2.0 Hz, 1H, 3-H), ); 7.48 (d, J = 8.0 Hz, 2H, 3'''-H, 5'''-H), 7.61 (d, J = 8.8 Hz, 2H, 2'-H, 6'-H), 7.63 (m, 1H, 5''-H), .7.67 (m, 1H, 6''-H), 8.14 (d, J = 2.2 Hz, 1H, 2''-H),8.53 (d, J = 5.6 Hz, 1H, 6-H); 8.88 (d, J = 4.8 Hz, 1H, NHCH3); 9.10 (br. s, 1H, NHCO); 9.30 (br. s, 1H, NHCO).
MS (ESI, CH3CN/H2O): m/e = 465 [M+H]+.
HPLC: Zorbax Eclipse XDB C-8、3.5 μm、ID 2.1 mm、長さ 15 cm (固定相); 流速: 0.6 mL/分; 235 nm; 溶離液 A: 酸性リン酸バッファー、溶離液B: エタノール/アセトニトリル=4/6 (V/V)、直線状勾配5% B -> 43.5% B (22 分)、続いて直線状勾配43.5% B -> 90% B (8 分)
保持時間: p-トルエンスルホン酸: (Rt 1.8 分); 表題化合物: (Rt 25.5 分) 純度: >99%
【0079】
方法5b:
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(50g、0.1076mol)を、イソプロパノール(300g)に懸濁する。続いて、p−トルエンスルホン酸一水和物(7.4g、0.039mol)および水50gを添加する。懸濁液を1時間以内に74℃に加熱した後、それを濾過し、イソプロパノール(50g)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(17.13g、0.09mol)の濾過溶液を70℃で40分以内に添加する。74℃で表題化合物を播いた後、混合物を90以内に30℃に冷却し、イソプロパノールおよび水を減圧下(70−100mbar)に1.5ないし3時間以内に留去する。蒸留中にイソプロパノール(400g)を添加する。その後、混合物を20℃で0.5時間撹拌する。生成物を濾過し、イソプロパノール(各回140g)で2回洗浄し、減圧下で乾燥させる。表題化合物61.9g(理論値の90%)を無色ないし僅かに茶色がかった結晶として得る。
【0080】
方法5c:
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(50g、0.1076mol)を、酢酸エチル(500g)および水(10g)に懸濁する。混合物を0.5時間以内に69℃に加熱し、水(0.65g)および酢酸エチル(7.2g)の混合物中のp−トルエンスルホン酸一水和物(3.26g、0.017mol)の濾過溶液を添加する。濾過後、酢酸エチル(48g)および水(4.34g)の混合物中のp−トルエンスルホン酸一水和物(22g、0.11mol)の濾過溶液を添加する。混合物を2時間以内に23℃に冷却する。生成物を濾過し、酢酸エチル(各回92.5g)で洗浄し、減圧下で乾燥させる。表題化合物65.5g(理論値の96%)を無色ないし僅かに茶色がかった結晶として得る。
【0081】
方法5d:(工程4+5の一工程の方法として)
4−(4−アミノフェノキシ)−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミド(26.2g、0.1077mol)を、酢酸エチル(320g)に懸濁し、懸濁液を約40℃に加熱する。濾過後、酢酸エチル(32g)中の4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(25g、0.113mol)の濾過溶液を、温度が40℃より低く維持される程度に添加する。混合物を30分以内に71℃に加熱し、水10gの添加後、酢酸エチル(20.4g)および水(6.7g)の混合物中のp−トルエンスルホン酸一水和物(24.8g、0.13mol)の濾過溶液を40分以内に量り入れる。濾過後、表題化合物を71℃で播き、2時間以内に25℃に冷却し、生成物を濾過する。酢酸エチル(92.5g)で2回洗浄した後、生成物を減圧下で乾燥させる(50℃、125mbar)。表題化合物65.8kg(理論値の96.0%)を無色ないし僅かに茶色がかった結晶として得る。
【0082】
方法5e:(工程4+5の一工程の方法として)
4−(4−アミノフェノキシ)−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミド(10.4g、0.0427mol)を25℃でテトラヒドロフラン(44.4g)に溶解し、テトラヒドロフラン(6.8g)に溶解した4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(10g、0.0448mol)を、温度を25℃より低く維持する程度に添加する。混合物を64℃に0.5時間以内に加熱し、濾過後、テトラヒドロフラン(27g)に溶解したp−トルエンスルホン酸一水和物(9.7g、0.05mol)の濾過溶液を添加する。続いて、混合物を濾過し、表題化合物を64℃で播き、0℃に3時間以内に冷却し、生成物を濾過する。テトラヒドロフラン(18.5g)で2回洗浄した後、生成物を減圧下で乾燥する(50℃、300mbar)。表題化合物22.2kg(理論値の81.6%)を無色ないし僅かに茶色がかった結晶として得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物の製造方法であって、第1段階で、式(V)
【化2】

の化合物を、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと、当該イソシアネートに対して不活性な非塩化(nonchlorinated)有機溶媒中、最初に式(V)の化合物を20℃ないし60℃の温度で入れ、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと、反応温度が70℃を超えないように混合することにより反応させて、式(II)
【化3】

の化合物を得、第2段階で、式(II)の化合物を、p−トルエンスルホン酸と、極性溶媒中、40℃から使用する溶媒の還流温度までの反応温度で混合することを含む、方法。
【請求項2】
式(II)の化合物の製造方法であって、式(V)の化合物を、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルと、当該イソシアネートに対して不活性な非塩化有機溶媒中、最初に式(V)の化合物を20℃ないし60℃の温度で入れ、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネートと反応温度が70℃を超えないように混合することにより反応させ、式(II)の化合物を得ることを含む、方法。
【請求項3】
式(IV)
【化4】

の化合物を、4−アミノフェノールと、炭酸塩を添加せずに反応させることにより、式(V)の化合物を製造する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式(V)の化合物の製造において、式(V)の化合物の酸塩を最初に沈殿させ、単離し、再度溶解し、塩基と混合し、次いで結晶化により式(V)の化合物を単離する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
式(III)
【化5】

の化合物を水性メチルアミン溶液と反応させることにより式(IV)の化合物を製造する、請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
塩化チオニルに対して不活性な溶媒を使用し、塩化チオニルを2−ピコリン酸に添加することにより、ジメチルホルムアミドを使用せずに式(III)の化合物を製造する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と反応させることによる式(I)の化合物の製造方法であって、反応を、極性溶媒中、40℃から使用する溶媒の還流温度までの反応温度で実行し、水を混合物に混合することを含む、方法。
【請求項8】
a)式(IV)の化合物を、4−アミノフェノールと、炭酸塩を添加せずに反応させ、式(V)の化合物を得ること、
b)式(V)の化合物を、4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニルイソシアネートと反応させて式(II)の化合物を得ること、および、
c)式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と反応させること、
による、式(I)の化合物の製造方法。
【請求項9】
a)式(III)の化合物を、水性メチルアミン溶液と反応させて式(IV)の化合物を得ること、
b)式(IV)の化合物を4−アミノフェノールと反応させて式(V)の化合物を得ること、
c)式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニルイソシアネートと反応させて式(II)の化合物を得ること、および、
d)式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と反応させること、
による、式(I)の化合物の製造方法。
【請求項10】
a)塩化チオニルに対して不活性な溶媒中で塩化チオニルを2−ピコリン酸に添加し、ジメチルホルムアミドを使用せずに反応させて式(III)の化合物を得ること、
b)式(III)の化合物を、メチルアミンと反応させて式(IV)の化合物を得ること、
c)式(IV)の化合物を4−アミノフェノールと反応させて式(V)の化合物を得ること、
d)式(V)の化合物を4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニルイソシアネートと反応させて式(II)の化合物を得ること、および、
e)式(II)の化合物をp−トルエンスルホン酸と反応させること、
による、式(I)の化合物の製造方法。
【請求項11】
p−トルエンスルホン酸一水和物を使用する、請求項1または請求項3ないし請求項10のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2008−514657(P2008−514657A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533904(P2007−533904)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010118
【国際公開番号】WO2006/034796
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】