説明

4〜6個の炭素原子を有するイソオレフィンの製造法

【課題】目的生成物に関連して僅かな選択率、分解の際のよりいっそう高い温度、部分的に500℃を上廻る温度の使用、触媒の僅かな可使時間ならびに触媒の費用がかかる、ひいては高価な製造という欠点を有しない分解触媒を提供する。
【解決手段】形式的にアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物0.1〜20質量%、酸化アルミニウム0.1〜99質量%および二酸化珪素0.1〜99質量%を有する触媒の製造法の場合に、この方法は、a)アルミノ珪酸塩をアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で酸性条件下で処理する工程およびb)アルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で処理されたアルミノ珪酸塩をか焼する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキル-第三アルキルエーテルまたは第三アルコールをイソオレフィン中ならびにアルコールまたは水中で分解するための触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
イソオレフィン、例えばイソブテンは、数多くの有機化合物を製造するために重要な中間生成物である。イソブテンは、例えばブチルゴム、ポリイソブチレン、イソブテン−オリゴマー、分枝鎖状C5−アルデヒド、C5−カルボン酸、C5−アルコールおよびC5−オレフィンを製造するための出発物質である。更に、イソブテンは、殊に第三ブチル芳香族化合物を合成するためのアルキル化剤として、および過酸化物を製造するための中間生成物として使用される。更に、イソブテンは、メタクリル酸およびそのエステルを製造するための前駆体として使用されることができる。
【0003】
イソオレフィンは、工業的流れの中で多くの場合に別のオレフィンおよび同一の炭素原子数を有する飽和炭化水素と一緒に存在する。前記の混合物から、イソオレフィンを単に物理的分離方法で経済的に分離することは、不可能である。
【0004】
例えば、イソブテンは、通常の工業的流れの中で飽和C4−炭化水素および不飽和C4−炭化水素と一緒に存在する。イソブテンは、僅かな沸点差またはイソブテンと1−ブテンとの間の僅かな分離ファクターのために、前記混合物から蒸留によって経済的に分離することはできない。従って、イソブテンは、工業用炭化水素混合物から、イソブテンを反応させて誘導体に変え、この誘導体を残りの炭化水素混合物と簡単に分離させ、単離された誘導体を再分解し、イソブテンおよび誘導体化剤に変えることによってしばしば取得される。
【0005】
通常、イソブテンは、C4留分、例えば水蒸気分解炉のC4画分から、次のように分離される。ポリ不飽和炭化水素の大部分、主にブタジエンを抽出(蒸留)または選択的水素化によって線状ブテンに除去した後、残留する混合物(ラフィネートIまたは選択的に水素化されたクラック−C4)は、アルコールまたは水と反応される。メタノールを使用する場合、イソブテンからメチル−第三ブチルエーテル(MTBE)が生成され、エタノールを使用する場合には、エチル−第三ブチルエーテル(ETBE)が生成され、および水を使用する場合には、第三ブタノール(TBA)が生成される。前記の誘導体は、その分離後に前記誘導体の形成の反対に分解され、イソブテンに変わる。
【0006】
アルキル−第三ブチルエーテル(ATBE)を相応するイソオレフィンおよびアルコールに分解することならびに第三アルコールを相応するイソオレフィンおよび水に分解することは、酸性または塩基性の触媒の存在下で液相中または気−液混合相中、または純粋な気相中で実施されることができる。
【0007】
液相中または気−液相での分解は、液相中に溶解された、生じる生成物が簡単に副反応をまねきうるという欠点を有する。例えば、MTBEの分解の際に生じるイソブテンは、酸性触媒による二量体化またはオリゴマー化によって望ましくないC8成分およびC12成分を形成する。望ましくないC8成分は、主に2,4,4−トリメチル−1−ペンテンおよび2,4,4−トリメチル−2−ペンテンである。更に、特に塩基性触媒に対して、分解の際に生じるメタノールの一部分は、水を分解しながら反応し、ジメチルエーテルに変わる。反応混合物の飽和蒸気圧を上廻る圧力下で反応が実施されない場合には、この問題を解決するために、付加的な溶剤が必要とされる。
【0008】
気相中では、液相中での分解と比較して分解生成物の僅かな濃度のために分解生成物それ自体の反応によって副生成物の形成が抑制されうる。しかし、よりいっそう高い分解温度のために、別の副反応が起こりうる。従って、気相分解の場合には、極めて高い選択率でイソオレフィンならびにアルコールまたは水中の第三アルキルエーテルまたは第三アルコールの分解を促進するが、しかし、副反応、例えば生じるアルコールのC−C分解または脱水素ならびにC−Cカップリング反応またはエーテル形成を促進しない触媒が必要とされる。更に、この触媒は、高い空時収量を可能にし、高い可使時間を有する。更に、0.3MPaを上廻る圧力で生じるイソオレフィンのためのできるだけ高い選択率を有するエダクトを分解することが望ましい。
【0009】
アルキル−第三アルキルエーテル(ATAE)および第三アルコールを相応するイソオレフィンならびにアルコールまたは水に気相分解するための触媒として、刊行物中には、数多くの触媒が記載されている。これは、殊にメチル−第三ブチルエーテル(MTBE)の分解に利用される触媒について言えることである。
【0010】
この場合、多くの場合に触媒として総和式Maxを有する金属酸化物、総和式Mabnyを有する金属混合酸化物、殊にM=SiまたはM=Alを有する金属混合酸化物、金属酸化物担体上の酸または金属塩が使用される。
【0011】
米国特許第4254290号明細書には、分解触媒として例えばSiO2/Al23またはWO3/Al23が記載されている。米国特許第4320232号明細書および米国特許第4521638号明細書には、第三エーテルを分解するために、担体上の燐酸からなる触媒の特許保護が請求されている。シリカゲル上の酸化アルミニウムは、米国特許第4398051号明細書において分解触媒として利用されている。同じ目的のために、2つの刊行物米国特許第4357147号明細書および米国特許第5254785号明細書ではゼオライトが使用されている。
【0012】
特開昭59−010528号公報では、分解触媒として硫酸塩処理された二酸化チタンまたは二酸化ジルコニウムが使用されている。米国特許第5607992号明細書では、エーテルの分解のために酸化ジルコニウム/酸化セリウム触媒が使用され、米国特許第6124232号明細書では、酸化ジルコニウム/酸化タングステンが使用され、米国特許第6162757号明細書では、ジルコニウムと希土類との混合酸化物が使用されている。
【0013】
WO 2005−066101には、一般総和式Xmnpqを有する触媒の特許保護が請求されており、この場合Xは、元素の周期律表の第4族の少なくとも1つの元素であり、Yは、第3族および/または第6族からの少なくとも1つの金属であり、Zは、第7族、第8族または第11族からの少なくとも1つの元素である。
【0014】
JP1993−229965には、総和式Siabcdeを有する触媒の特許保護が請求されている。(この場合、SiおよびOは、それぞれ珪素および酸素を表わし;Xは、チタンおよびジルコニウムからなる群から選択されている少なくとも1つの元素であり;Yは、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択されている元素であり;Zは、ナトリウム、カリウム、塩素および硫黄からなる群から選択されている少なくとも1つの元素であり;a、b、c、dおよびeは、個々の原子の原子比を示す。aが1である場合には、bは、0.001〜10であり、cは、0.0001〜5であり、dは、0〜1であり;eは、前記の個々の成分の原子数を満たすために必要な酸素原子数である。)
【0015】
米国特許第5171920号明細書の実施例4には、形式的に二酸化珪素、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムの成分を含有する分解触媒の製造が記載されている。この製造は、最初に二酸化珪素を硝酸マグネシウム水溶液で浸漬/含浸し、中間乾燥の後に硝酸アルミニウム水溶液でのさらなる浸漬/含浸を行なうようにして実施される。引続き、前乾燥後にか焼される。
【0016】
欧州特許第0589557号明細書には、なかんずく形式的に酸化マグネシウム、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素からなる分解触媒の特許保護が請求されている。この分解触媒の製造の場合には、第1工程でアルミノ珪酸塩をマグネシウム塩水溶液で、含浸中に浸漬溶液のpH値を塩基の添加によって7〜11のpH値に調節することができるように含浸する。特に活性で選択的な触媒を得るために、部分的に200時間を上廻る含浸時間が必要とされる。
【0017】
公知の触媒は、イソオレフィンならびにアルコール中でのアルキル−第三アルキルエーテルまたは第三アルコールの分解の際に1つ以上の次の欠点を示す:目的生成物に関連して僅かな選択率、分解の際のよりいっそう高い温度、部分的に500℃を上廻る温度の使用、触媒の僅かな可使時間ならびに触媒の費用がかかる、ひいては高価な製造。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4254290号明細書
【特許文献2】米国特許第4320232号明細書
【特許文献3】米国特許第4521638号明細書
【特許文献4】米国特許第4398051号明細書
【特許文献5】米国特許第4357147号明細書
【特許文献6】米国特許第5254785号明細書
【特許文献7】特開昭59−010528号公報
【特許文献8】米国特許第5607992号明細書
【特許文献9】米国特許第6124232号明細書
【特許文献10】米国特許第6162757号明細書
【特許文献11】WO 2005−066101
【特許文献12】JP1993−229965
【特許文献13】米国特許第5171920号明細書
【特許文献14】欧州特許第0589557号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
従って、1つ以上の前記欠点を有しない分解触媒を提供するという課題が課された。
【課題を解決するための手段】
【0020】
ところで、意外なことに、形式的に酸化アルミニウム、二酸化珪素およびアルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物の群からなる少なくとも1つの酸化物、殊に酸化マグネシウムからなり、特にアルミノ珪酸塩を、少なくとも1つのアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を含有する酸性の水溶液に少なくとも1回浸漬し、および引続きか焼することによって製造される混合酸化物触媒は、アルキル−第三アルキルエーテル(ATAE)および第三アルコールを極めて高い選択率で分解し、相応するイソオレフィンに変え、極めて高い可使時間を有することが見出された。この浸漬は、例えばアルミノ珪酸塩と酸性の浸漬水溶液との簡単な混合によって行なうことができ、この場合付加的なpH制御は不要であり、かつ特に長い浸漬時間は不要である。この判断は、意外なことである。それというのも、欧州特許出願公開第0589557号明細書A2には、浸漬中、上方に存在する溶液中のpH値は、塩基の添加によって7〜11の範囲内に維持されなければならず、高い活性および副生成物の形成の僅かな傾向を有する触媒を得るために、長い浸漬時間が必要であることが明らかに指摘されているからである。
【0021】
従って、本発明の対象は、形式的にアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物0.1〜20質量%、酸化アルミニウム0.1〜99質量%および二酸化珪素0.1〜99質量%を有する触媒の製造方法であり、この方法は、アルミノ珪酸塩をアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で酸性条件下で処理する工程およびアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液に浸漬されたアルミノ珪酸塩をか焼する工程を有することによって特徴付けられる。
【0022】
同様に、本発明の対象は、形式的に0.5〜20質量%のアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物の含量、4〜30質量%の酸化アルミニウムの含量および60〜95質量%の二酸化珪素の含量を有することを特徴とする形式的にアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素を有する触媒、ならびに気相分解における触媒として本発明による触媒または本発明による製造された触媒を使用することを特徴とする、式I
【化1】

で示される4〜6個の炭素原子を有するイソオレフィンを、110〜450℃の温度および0.1〜2MPaの圧力で式Iの化合物および式III R−OH IIIへの
式II
【化2】

〔上記式I〜III中、基Rは、Hまたは1または2個の炭素原子を有するアルキル基を表わし、基R1は、H、メチル基またはエチル基を表わし、基R2およびR3は、メチル基またはエチル基を表わし、この場合基R2とR3は、同一でも異なっていてもよい〕で示される出発化合物の接触気相分解によって製造するための方法である。
【0023】
本発明による触媒を使用しながらのATAEまたは第三アルコールの気相分解によるイソオレフィンの製造は、数多くの利点を有する:70%を上廻る使用物質を変換する場合も、相応するイソオレフィンは、99%を上廻る選択率で相応するイソオレフィンを生じる。ATBEを分解する場合、分解されたアルコールから形成されるエーテルの選択率は、30%未満である。分解は、150〜450℃の分解反応に対して比較的低い温度、有利に230〜350℃の温度で実施されることができる。この反応は、0.3MPaを上廻る圧力で実施されることができ、したがって冷却水に対して形成されるイソオレフィンの凝縮が可能である。この触媒は、高い可使時間を示す。この触媒は、重金属を含有せず、したがってこの触媒の製造の場合でも廃棄の場合でも生態学的に懸念のない物質が生じる。アルカリ土類金属酸化物の含量が変動することにより、全てのエダクトの活性は、最適に調節されることができる。
【0024】
本発明による方法ならびに本発明による触媒を以下に例示するが、本発明はこれらの例示された実施態様に制限されるものではない。以下に、範囲、一般式または化合物種を示すときに、これらは詳細に挙げられている化合物の相応の範囲または群のみが明示されるだけではなく、個々の値(範囲)または化合物を省いて得られる化合物の全ての部分範囲または部分群も明示される。
【0025】
形式的にアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物0.1〜20質量%、酸化アルミニウム0.1〜99質量%および二酸化珪素0.1〜99質量%を有する触媒を製造するための本発明による方法は、次の工程
a)アルミノ珪酸塩を酸性のアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で処理する工程および
b)アルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で処理されたアルミノ珪酸塩でか焼する工程を有することによって顕著である。特に、形式的に0.5〜20質量%の酸化マグネシウムの含量、4〜30質量%の酸化アルミニウムの含量および60〜95質量%の二酸化珪素の含量を有する触媒が製造される。
【0026】
アルミノ珪酸塩は、本発明の範囲内で、本質的に形式的に酸化アルミニウム(Al23)および二酸化珪素(SiO2)の含量から構成されている化合物である。本発明による方法で使用されるアルミノ珪酸塩は、二酸化珪素1〜99質量%および酸化アルミニウム(Al23)1〜99質量%を有することができる。しかし、本発明によるアルミノ珪酸塩は、なお僅かな含量のアルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物を含有していてもよい。本発明による方法において、アルミノ珪酸塩としては、ゼオライト、例えばゼオライトA、X、Y、USYまたはZSM−5、または無定形ゼオライト(例えば、Mobil Oil社のMCM 41)が使用されてもよい。使用されたアルミノ珪酸塩または得られた触媒の組成の測定は、例えば古典的な分析法、硼砂を用いての溶融分解およびRFA(Roentgenfluoreszenzanalyse蛍光X線分析)、エネルギー分散X線分析、フレーム分光分析(AlおよびMg、Siなし)、湿式分解および引続くICP−OES(誘導結合した高周波プラズマを用いての発光分光分析)または原子吸光分析によって行なうことができる。特に、組成の測定は、硼砂を用いての溶融分解および引続くRFAによって行なわれるかまたは湿式分解および引続くICP−OESによって行なわれる。
【0027】
本発明による方法で使用されるアルミノ珪酸塩は、無定形であっても結晶であってもよい。本発明による方法において出発物質として使用されることができる適当な商業的アルミノ珪酸塩は、例えば沈殿、ゲル化または熱分解によって製造されたアルミノ珪酸塩である。
【0028】
本発明による方法において、特に酸化アルミニウム5〜40質量%、有利に10〜35質量%および二酸化珪素60〜95質量%、有利に65〜90質量%を有する(乾燥質量に対して;処理:850℃で1時間の灼熱)アルミノ珪酸塩が使用される。本発明による方法に使用されることができる特に好ましいアルミノ珪酸塩は、10〜15質量%のAl23の形式的含量および73〜78質量%の二酸化珪素の含量を有する。このようなアルミノ珪酸塩は、Grace Davison社によってDavicat O 701の名称で販売されている。
【0029】
アルミノ珪酸塩は、異なる形で本発明による方法において使用されることができる。即ち、アルミノ珪酸塩は、成形体、例えばタブレット、ペレット、顆粒、ストランドまたは押出品の形で使用されることができる。しかし、アルミノ珪酸塩は、アルミノ珪酸塩粉末として使用されてもよい。出発物質として、異なる平均粒度および異なる粒度分布を有する粉末から出発することができる。好ましくは、本発明による方法において、粒子の95%が5〜100μm、特に10〜30μm、特に有利に20〜30μmの平均粒度を有するアルミノ珪酸塩粉末が使用される。粒度の測定は、例えばMalvern社の粒子分析器、例えばMastersizer 2000を用いてのレーザー回折によって実施されることができる。
【0030】
処理工程a)
工程a)で、アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液を使用することができる。工程a)でアルカリ金属およびアルカリ土類金属の1つ以上の塩を有する塩溶液を使用することも可能である。塩水溶液を製造するために、水溶性であるかまたは酸の添加によって水溶性化合物に移行するアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物が使用されうる。特に、塩としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の硝酸塩が使用される。
【0031】
使用される酸性のアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液は、特に6未満、有利に6未満ないし3、特に有利に5.5〜3.5のpH値を有する。pH値の測定は、例えばガラス電極または試験紙を用いて実施されうる。塩溶液が6以上であるpH値を有する場合には、pH値は、酸、特にアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩が溶液で存在している酸を添加することによって調節されうる。特に、アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液が塩として硝酸塩を有する場合には、酸として硝酸が使用される。
【0032】
本発明による方法においては、アルカリ土類金属塩溶液として、特にマグネシウム塩溶液またはカルシウム塩溶液が使用される。好ましくは、マグネシウム塩として強鉱酸の塩、例えば硝酸マグネシウム六水和物または硫酸マグネシウム七水和物を有するマグネシウム塩溶液が使用される。カルシウム塩としては、例えば硝酸カルシウム四水和物を使用することができる。好ましくは、本発明による方法において、マグネシウム塩溶液、特に有利に硝酸マグネシウム(六水和物)溶液が使用される。
【0033】
工程a)で使用されるアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液がマグネシウム塩を有する場合には、これらの溶液のマグネシウム含量は、特に0.1〜3モル/l、有利に0.5〜2.5モル/lである。
【0034】
工程a)での処理は、アルミノ珪酸塩をアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液と接触させるのに適している種々の方法で行なうことができる。可能な処理方法は、例えばアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液でのアルミノ珪酸塩の含浸、浸漬、噴霧または注型である。アルミノ珪酸塩の処理を、アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液が少なくとも0.1〜5時間、有利に0.5〜2時間、アルミノ珪酸塩に作用されうるように行なうことは、好ましい。このような作用時間は、殊に処理を簡単な浸漬によって行なう場合に好ましい。
【0035】
本発明による方法の本発明による工程a)の好ましい実施態様において、アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液でのアルミノ珪酸塩、殊にアルミノ珪酸塩成形体の処理は、例えばそのために適した真空含浸装置中での真空含浸によって行なうことができる。この種の処理の場合、アルミノ珪酸塩は、真空含浸装置中で最初に排気される。引続き、アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液は、パイル型担体の上縁部にまで吸い込まれ、したがって全部のアルミノ珪酸塩は、溶液で被覆されている。特に、0.1〜10時間、有利に0.5〜2時間の作用時間後、担体によって吸収されなかった溶液は、放出される。
【0036】
本発明による方法の本発明による工程a)の他の好ましい実施態様において、アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液でのアルミノ珪酸塩、殊にアルミノ珪酸塩成形体の処理は、例えばアルミノ珪酸塩の噴霧または注型によって行なうことができる。特に、アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液でのアルミノ珪酸塩の噴霧または注型が行なわれ、この場合この溶液は、ドラム中で回転するアルミノ珪酸塩上に噴霧されるかまたは注入される。この処理は、一気に行なうことができ、即ちアルミノ珪酸塩には、開始時に全体量のアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液が一工程で添加される。しかし、塩溶液は、少量ずつでの噴霧または注入によって供給することもでき、この場合添加の時間は、特に0.1〜10時間、有利に1〜3時間である。塩溶液の量は、特にアルミノ珪酸塩の全部の溶液が吸収されるように計量される。
【0037】
殊に、浸漬は、しかし、噴霧または注入も通常の工業用装置中、例えばEirich社によって提供されている円錐形ミキサーまたは強力ミキサー中で実施されることができる。
【0038】
工程a)におけるアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液でのアルミノ珪酸塩の処理は、一工程でかまたは多数の部分工程で行なうことできる。殊に、処理を2つ以上の部分工程で実施することは、可能である。全ての個々の部分工程において、それぞれ同じアルカリ金属塩溶液またはアルカリ土類金属塩溶液を使用することができるか、または全ての部分工程で濃度および/または組成の点で異なるアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液を使用することができる。例えば、アルミノ珪酸塩には、最初にアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液の一部分だけを添加することができ、場合によっては中間乾燥後に、同じかまたは別の温度で使用される塩溶液の残存量を添加することができる。しかし、同じかまたは異なる温度で異なるアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液(異なる濃度および/または組成)でのアルミノ珪酸塩の処理を実施することも可能である。工程a)を2つ以上の部分工程で実施することだけが可能なわけではない。同様に、本方法は、数多くの工程a)を有することも可能である。この場合も、種々の工程a)において、濃度および/または組成に関連して同じかまたは異なるアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液を使用することができる。
【0039】
工程a)での処理は、特に10〜120℃、有利に10〜90℃、特に有利に15〜60゜の温度、殊に有利に20〜40℃の温度で実施されることができる。
【0040】
工程a)で1つ以上の添加剤をアルミノ珪酸塩またはアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液に添加するかまたは混入することは、好ましい。このような添加剤は、例えば結合剤、滑剤または成形助剤であることができる。適当な結合剤は、例えばベーム石または擬ベーム石であることができ、例えばDisperal(約77質量%の形式的Al2O3含量を有するベーム石)の商品名でSasol Deutschland GmbHによって販売されている。ベーム石、殊にDisperalを結合剤として添加する場合には、これは、特に、例えばDisperal197質量部を1.28質量%の硝酸水溶液803質量部中に攪拌混入し、60℃で3時間徹底的に攪拌し、室温に冷却し、場合によっては蒸発された水を補充することによって得ることができるゲルとして添加される。成形助剤として、例えば珪酸、殊に熱分解法珪酸、例えばDugussa AG社によってAerosilの商品名で販売されている熱分解法珪酸、ベントナイト、粘土、カオリン、カオリナイト(Kaolinit)、ボールクレーおよびこのために当業者にとって通常の別の物質が使用されてよい。改善されたタブレット化にとっての使用が好ましい滑剤として、例えば黒鉛が添加されてよい。
【0041】
工程a)での1つ以上の上記添加剤の添加は、種々の方法で行なうことができる。殊に、この添加は、アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液でのアルミノ珪酸塩の処理中に行なうことができる。例えば、アルミノ珪酸塩、添加剤およびアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液は、工業的装置中に充填されることができ、引続き緊密に混合されることができる。別の方法は、最初にアルミノ珪酸塩を添加剤と混合し、引続きアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液を添加することにある。もう1つの変法において、アルミノ珪酸塩には、添加剤およびアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液が同時に供給されうる。この添加は、1回の注入でか、少量ずつでか、または噴霧によって行なうことができる。添加時間は、特に5時間未満、有利に3時間未満である。この混合物を0.1〜10時間、有利に0.5〜3時間さらに混合することは、好ましい。
【0042】
処理工程b):
本発明による方法は、少なくとも1つの処理工程b)を有し、この場合アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液で処理されたアルミノ珪酸塩は、か焼される。か焼は、特にガス流中、例えば空気、窒素、二酸化炭素および/または1つ以上の希ガスを含有するかまたは前記成分の1つ以上からなるガス流中で行なわれる。好ましくは、か焼は、ガス流としての空気を使用しながら行なわれる。
【0043】
本発明による処理工程b)でのか焼は、特に200〜1000℃、有利に300〜800℃の温度で実施される。か焼は、特に0.1〜10時間、有利に1〜5時間で行なわれる。特に有利には、か焼は、200〜1000℃、特に300〜800℃の温度で0.1〜10時間、有利に1〜5時間実施される。
【0044】
好ましくは、工業的か焼は、高炉中で実施されることができる。しかし、か焼は、別の公知の工業用装置中、例えば渦動床か焼炉、回転管炉または乾燥炉(Hordenoefen)中で実施されてもよい。
【0045】
処理工程c):
工程a)とb)との間で工程c)を実施することは、好ましく、この場合には、アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液で処理されたアルミノ珪酸塩が乾燥される。工程c)での乾燥は、100〜140℃の温度で行なうことができる。特に、乾燥は、ガス流中で行なわれる。乾燥は、例えば空気、窒素、二酸化炭素および/または1つ以上の希ガスを含有するかまたは前記成分の1つ以上からなるガス流中で実施されてよい。アルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液での処理後およびか焼前の乾燥の中間工程によって、か焼の際に大きな"水蒸気量"が放出されないことが達成されうる。その上、乾燥によって、か焼の際に自然に蒸発する水により触媒の形状が破壊されることが回避されうる。
【0046】
どのような望ましい形で触媒が存在するかに応じて、製造方法を付加的な処理工程によって相応して適合させることは、好ましい。
【0047】
本発明による方法で例えば粉末状の触媒を製造する場合には、アルミノ珪酸塩は、アルミノ珪酸塩粉末の形で使用されることができ、例えば円錐形ミキサー中でアルカリ金属塩溶液および/またはアルカリ土類金属塩溶液で処理されることができ(例えば、含浸によって)、場合によっては乾燥されることができ、引続きか焼されることができる。しかし、粉末状の触媒は、触媒成形体を微粉砕および篩別によって粉末状の触媒に加工することによって製造されることもできる。
【0048】
触媒成形体は、例えばストランド、球体、ペレットまたはタブレットの形で存在することができる。成形された触媒(触媒成形体)を得るために、それぞれの成形変法に依存して処理工程と共に、処理、乾燥、か焼、他の処理工程、例えば成形、微粉砕または篩別を実施することができる。成形助剤は、プロセスの種々の位置で導入されてよい。触媒成形体の製造は、異なる方法で行なうことができる:
第1の実施変法において、触媒成形体、殊にアルミノ珪酸塩成形体を酸性のアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で処理することによって得られる本発明による触媒成形体は、場合によっては乾燥されることができ、引続きか焼されることができる。
【0049】
第2の実施態様において、触媒成形体、殊に本発明による触媒成形体は、アルミノ珪酸塩粉末を最初に酸性のアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で処理し、次に場合によっては乾燥し、引続きか焼し、引続き得られた触媒粉末を工業的に常用の方法、例えば圧縮、押出、ペレット化、タブレット化、造粒またはコーティングによって触媒成形体に加工することによって得ることができる。この場合、成形に必要な添加剤、例えば結合剤または他の助剤は、製造方法の種々の位置で、即ち例えば処理工程a)で添加されることができる。成形体を出発物質としてのアルミノ珪酸塩粉末から製造する場合には、種々の平均粒度および種々の粒度分布を有する粉末から出発することができる。好ましくは、成形体の製造のために、粒子の95%が5〜100μm、特に10〜30μm、特に有利に20〜30μmの粒度(レーザー回折によって測定した、上記参照)を有するアルミノ珪酸塩粉末が使用される。
【0050】
本発明による方法の第3の実施態様において、触媒のペレット、殊に本発明による触媒のペレットは、処理工程a)でアルミノ珪酸塩粉末を酸性のアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で処理し、場合によっては乾燥し(処理工程c))、引続き処理工程b)でか焼し、こうして得られた触媒粉末を、例えばアイリッヒミキサー(Eirichmischer)中で結合剤の添加下にペレット化し、得られたペレットを他の処理工程c)で乾燥し、引続き他の処理工程b)でか焼することによって得ることができる。
【0051】
本発明による方法の第4の実施態様において、触媒のペレット、殊に本発明による触媒のペレットは、処理工程a)でアルミノ珪酸塩粉末、結合剤および酸性のアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液を混合し、こうして処理されたアルミノ珪酸塩粉末を、例えばアイリッヒミキサー(Eirichmischer)中でペレット化し、得られた湿ったペレットを処理工程c)で乾燥し、引続き処理工程b)でガス流中でか焼することによって得ることができる。
【0052】
本発明による方法の第5の実施態様において、触媒のタブレット、殊に本発明による触媒のタブレットは、処理工程a)でアルミノ珪酸塩粉末、結合剤、場合による滑剤および酸性のアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液を混合し、こうして処理されたアルミノ珪酸塩粉末を、例えばアイリッヒミキサー(Eirichmischer)中で、特に0.5〜10mm、有利に1〜5mm、特に有利に1〜3mmの平均直径(粒度の測定は、例えば篩分析によって行なうことができる)を有するマイクロペレットにペレット化し、得られた湿ったペレットを処理工程c)で乾燥し、引続き場合によっては処理工程b)でガス流中でか焼することによって得ることができる。更に、得られたペレットは、処理工程a)がなお行なわれない場合には、滑剤、例えば黒鉛と混合されることができ、引続き市販のタブレット成形機、例えば循環成形機上でタブレット化されうる。タブレットは、なお処理工程b)が実施されなかった場合には、処理工程b)でか焼されることができるかまたは場合によってはさらにか焼されることができる。
【0053】
本発明による方法の第6の実施態様において、触媒のタブレット、殊に本発明による触媒のタブレットは、前成形された触媒成形体、例えばペレットとして第3または第4の実施態様において得ることができるような触媒成形体を微粉砕し、得られた顆粒/粉末を篩別し、したがってタブレット化能を有する顆粒を触媒から得、この顆粒に滑剤を混入することによって得ることができる。引続き、こうして準備された顆粒は、タブレット化されることができる。タブレットは、なお処理工程b)が実施されなかった場合には、処理工程b)でか焼されることができる。滑剤の混入は、既にペレットの製造の際に、例えば処理工程a)で滑剤が添加されている場合には、不要である。
【0054】
本発明による方法の第7の実施態様において、触媒、殊に本発明による触媒で被覆された材料/担体を製造することができる。この実施態様の場合、最初に本発明による触媒粉末は、処理工程a)でアルミノ珪酸塩粉末を酸性のアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で処理し、場合によっては乾燥し(処理工程c))、場合によってはか焼する(処理工程b))ことによって製造される。引続き、こうして得られた触媒粉末は、懸濁剤、例えば水またはアルコール中に懸濁され、この場合には、場合によって結合剤を懸濁液に添加することができる。更に、こうして製造された懸濁液は、全ての任意の材料上に施こされうる。施与の後、場合によっては乾燥され(処理工程c))、引続きか焼される(処理工程b))。こうして、触媒、殊に本発明による触媒で被覆された材料/担体を準備することができる。このような材料/担体は、例えば反応器または塔、殊に反応蒸留塔内で取付け物として使用することができるような金属板または金属織物、または金属玉、ガラス玉またはセラミック玉、または無機酸化物の玉であってよい。
【0055】
本発明による方法の第8の実施態様において、触媒の押出品、殊に本発明による触媒は、処理工程a)でアルミノ珪酸塩粉末、酸性のアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液、結合剤、例えばDisperalおよび押出にとって通常の他の成形助剤、例えば粘土、例えばベントナイトまたはアタパルジャイトを混練機またはEirichミキサー中で混合し、押出機中で特に0.5〜10mm、有利に1〜5mm、特に有利に1〜3mmの平均直径を有する押出品に押出し、得られた湿った押出品を場合によっては処理工程c)で乾燥し、引続き処理工程b)でガス流中でか焼することによって得ることができる。
【0056】
本発明による方法を用いると、殊に形式的に酸化アルミニウム(Al23)および二酸化珪素(SiO2)ならびにアルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の群からの少なくとも1つの酸化物からなる触媒を得ることができる。酸化アルミニウムの平均質量含分は、前記の触媒の場合に特に1〜99%であり、二酸化珪素の平均質量含分は、特に1〜99%であり、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の質量含分は、総和で特に0.1〜30%である。特に、このような触媒は、アルカリ土類金属、殊に唯一のアルカリ土類金属としてマグネシウムを有する。
【0057】
形式的にアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素を有する本発明による触媒は、形式的に0.5〜20質量%のアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物の含量(触媒中に願流されているアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物の総和)、4〜30質量%の酸化アルミニウム(Al23)の含量および60〜95質量%の二酸化珪素の含量を有することを示す。本発明による触媒は、例えば上記の本発明による方法によって得ることができる。
【0058】
特に、本発明による触媒は、アルカリ土類金属酸化物、有利に酸化マグネシウムを含有する。特に好ましくは、本発明による触媒は、唯一のアルカリ土類金属酸化物として酸化マグネシウムを含有する。触媒がアルカリ土類金属酸化物と共にアルカリ金属酸化物を有することは、好ましい。このアルカリ金属酸化物は、例えばNa2OまたはK2Oから選択されてよい。特に、本発明による触媒は、アルカリ酸化物としてNa2Oを有する。
【0059】
本発明による触媒が酸化マグネシウムを有する場合には、この本発明による触媒は、特に0.5〜20質量%、有利に5〜15質量%、特に有利に10〜15質量%の酸化マグネシウムの含量、4〜30質量%、有利に10〜20質量%の酸化アルミニウムの含量および60〜95質量%、有利に70〜90質量%の二酸化珪素の含量を有する。
【0060】
本発明による触媒は、特に200〜450m2/g、有利に200〜350m2/gのBET面積(DIN ISO 9277による窒素で容積測定された)を有する。本発明による触媒を活性質量として担体上に施こした場合には、活性質量だけは、記載された範囲内のBET表面積を有する。これに対して、触媒と担体からなる材料は、担体の性状に応じて明らかに偏倚するBET表面積、殊によりいっそう小さいBET表面積を有していてよい。本発明による触媒の細孔容積は、特に0.5〜1.3ml/g、有利に0.65〜1.1ml/gである。この細孔容積は、特にシクロヘキサン法によって測定される。
【0061】
この方法の場合、試験すべき試料は、最初に110℃で質量が一定になるまで乾燥される。引続き、0.01gに正確に計量供給された試料約50mlは、清浄化されかつ質量が一定になるまで乾燥された含浸管中に充填され、この場合この含浸管は、下側に研磨コックを備えた流出口を有する。流出口は、ポリエチレンからなる小さな板で覆われ、それによって試料による流出口の閉塞は、回避される。試料での含浸管の充填の後、管は、注意深く気密に閉鎖される。引続き、含浸管は、水流ポンプと結合され、この水流ポンプは、研磨コックを開き、水流ポンプにより含浸管中の真空を20ミリバールに調節する。真空は、平行に接続された真空計で試験することができる。20分後に研磨コックは閉鎖され、引続き排気された含浸管は、研磨コックを開くことによって、シクロヘキサンが受器から含浸管中に吸い込まれるように、正確に測定された容積のシクロヘキサンが装入されるようなシクロヘキサン受器と結合されている。研磨コックは、全部の試料がシクロヘキサンと一緒に注入されるまでの間、開かれたままである。引続き、研磨コックは、再び閉鎖される。15分後、含浸管は、注意深く通気され、吸収されなかったシクロヘキサンは、受器中に排出される。含浸管中、または流出口またはシクロヘキサン受器との接続部に付着するシクロヘキサンは、個々の注意深い圧力衝突によって吸込ボール(Saugball)から通風管を経て受器中に輸送されることができる。受器中に存在するシクロヘキサンの容積は、記録される。細孔容積は、試験された試料の質量によって除し、測定前の受器中のシクロヘキサン容積から測定後の受器中のシクロヘキサン溶液を差し引くことにより測定される、吸収されたシクロヘキサン容積から明らかになる。
【0062】
本発明による触媒の平均孔径(特に、DIN 66133により測定された)は、特に5〜20nm、有利に8〜15nmである。特に好ましくは、3.5〜50nm(中間細孔)の直径を有する細孔上の触媒の全細孔容積(DIN 66133により水銀多孔度測定法により測定された3.5nm以上の細孔直径を有する細孔の細孔容積の総和)の少なくとも50%、特に70%超が発揮される。
【0063】
本発明による触媒は、異なる寸法、殊に10μm〜10mmの寸法を有することができる。触媒を渦動床反応器中で使用するためには、触媒の平均粒度(Malvern社のMastersizer 2000でレーザー回折により測定した)は、特に10〜200μm、有利に50〜150μmである。
【0064】
触媒を固定床反応器中で使用するためには、この触媒は、特に成形体、例えばストランド、ペレット、タブレット、玉または顆粒として存在し、特に0.5〜10mm、有利に1〜5mmの寸法(最長寸法または直径)を有する。
【0065】
本発明による触媒は、担体上、例えば金属担体、プラスチック担体またはセラミック担体、特に触媒が使用される反応に関連して不活性である担体上に施こされうる。殊に、本発明による触媒は、金属担体、例えば金属板または金属織物上に施こされることができる。本発明による触媒が装備されたこのような担体は、例えば反応器または反応蒸留塔中の取付け物として使用されてよい。担体は、金属ボール、ガラスボースまたはセラミックボール、または無機酸化物のボールであってもよい。本発明による触媒が不活性の担体上に施こされている場合、不活性担体の質量および組成は、触媒の組成を測定する場合には考慮されていない。
【0066】
本発明による触媒または本発明による方法で製造された触媒は、数多くの反応のための触媒として使用されることができる。殊に、本発明による触媒または本発明による方法で製造された触媒は、式I
【化3】

で示される4〜6個の炭素原子を有するイソオレフィンを、110〜450℃の温度および0.1〜2MPaの圧力で式Iの化合物および式III
R−OH III
で示される化合物への式II
【化4】

〔上記式I〜III中、基Rは、Hまたは1または2個の炭素原子を有するアルキル基を表わし、基R1は、H、メチル基またはエチル基を表わし、基R2およびR3は、メチル基またはエチル基を表わし、この場合基R2とR3とは同一でも異なっていてもよい〕で示される出発化合物の接触気相分解によって製造するための方法における触媒として使用される。
【0067】
式IIの化合物として、例えば4〜6個のC原子を有する第三アルコールを使用することができる。特に、このような本発明による方法において、化合物IIとして第三ブタノール(TBA)は、式Iの化合物としてのイソブテンおよび化合物IIIとしての水に分解される。
【0068】
分解法で使用されうるTBAは、種々の工業的方法に由来しうる。最も重要なものの1つは、イソブテン含有C4炭化水素混合物と水との反応である。TBAを製造する方法は、例えばドイツ連邦共和国特許第10330710号明細書および米国特許第7002050号明細書中に開示されている。TBAは、純粋な形で、TBA/水−共沸物または他のTBA−水混合物として使用されうる。
【0069】
好ましくは、本発明による分解法において、Rがメチル基、エチル基またはプロピル基である式IIの化合物が分解される。本発明による方法で使用されるアルキルー第三アルキルエーテルは、例えばメチル−第三ブチルエーテル、エチル−第三ブチルエーテルまたは第三アミル−メチルエーテル(TAME)である。特に有利には、本発明による触媒の本発明による使用または本発明により製造された触媒の本発明による使用の場合、メチル−第三ブチルエーテルは、イソブテンおよびメタノールに分解されるかまたはエチル−第三ブチルエーテルは、イソブテンおよびエタノールに分解される。
【0070】
本発明による分解法においてATAEを使用することができる場合には、このATAEは、多種多様の方法に由来しうる。MTBEを製造するための方法は、例えばドイツ連邦共和国特許第10102062号明細書中に記載されている。ETBEを製造するための方法は、例えばドイツ連邦共和国特許第10 2005 062700号明細書、ドイツ連邦共和国特許第10 2005 062722号明細書、ドイツ連邦共和国特許第10 2005 062699号明細書およびドイツ連邦共和国特許第10 2006 003492号明細書中に記載されている。
【0071】
本発明による触媒で気相中での本発明による分解は、特に150〜400℃の温度で実施される。出発生成物としてMTBEを使用する場合には、イソブテンおよびメタノールへのMTBEの分解は、180〜400℃、特に有利に230〜350℃の温度で実施される。
【0072】
本発明による分解方法は、特に0.1〜1MPaの反応圧力で実施される。イソブテンが1つの製品である場合には、本発明による分解方法を0.2〜2MPa、有利に0.5〜0.8MPaの圧力で実施することは、好ましい。従って、殊にイソブテンが製品であることは、好ましい。それというのも、前記の圧力でイソブテンは、冷却水に対して凝縮されることができるからである。
【0073】
特殊な触媒負荷量(WHSV;毎時触媒1g当たりの室温でのエダクトのg数)は、本発明による分解方法において、特に0.1〜100h-1、有利に0.5〜30h-1である。出発生成物としてMTBEを使用する場合には、イソブテンおよびメタノールへのMTBEの分解は、有利に0.1〜100h-1、特に有利に0.25〜25h-1のWHSVで実施される。
【0074】
分解生成物混合物の後処理費用を僅かに維持するために、真っ直ぐの通路に対して高い変換率を達成しようと努力される。特に、本発明による方法は、分解すべき化合物の変換率が70%を上廻る、有利に80%を上廻る、特に有利に90%を上廻り100%までであるように実施される。エダクトが支障のある副成分を含有する場合には、変換を制限することは、好ましい。例えば、使用物質混合物が分解すべきMTBEと共に2−メトキシブタンを含有する場合には、反応混合物中の線状ブテンとイソブテンとの所定の割合を超えないようにするために、真っ直ぐの通路での変換を減少させることが必要である。従って、MTBEを有する使用物質混合物中で2−メトキシブタンの含量が高くなればなるほど、MTBEの許容される変換を制限することは、好ましい。変換の制限は、例えばWHSVを上昇させることおよび/または反応温度を低下させることによって達成させることができる。
【0075】
イソオレフィン形成の選択率は、本発明による方法の場合に、特に98%を上廻り、有利に99%を上廻る。アルコールの形成のための選択率は、本発明による方法の場合に、ATAE分解、殊にATBE分解の際に95%を上廻り、殊に99%を上廻る。
【0076】
分解生成物混合物は、公知の工業的方法により後処理することができる。反応されてないエダクトは、場合によっては部分的除去または清浄化の後に分解に返送されることができる。
【0077】
取得されたイソオレフィンは、冒頭部に記載されたように利用されることができる。本発明による分解法により製造されたイソブテンは、殊にブチルゴム、ポリイソブチレン、イソブテン−オリゴマー、分枝鎖状C5−アルデヒド、C5−カルボン酸、C5−アルコール、C5−オレフィン、第三ブチル芳香族化合物およびメタクリル酸、ならびにそのエステルの製造に使用されることができる。
【0078】
ATAEの分解の際に生じるアルコールは、後処理後に、例えばATAEの合成に再使用されることができる。
【0079】
次の実施例は、本発明による触媒および本発明による触媒を使用しながらの方法を詳説するが、明細書および特許請求の範囲からもたらされる本発明の適用範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0080】
例1:アルミノ珪酸塩成形体の製造
アルミノ珪酸塩粉末500g(製造業者:Grace Davison, タイプ:Davicat O 701, 形式的Al23含量:13質量%、形式的SiO2含量:76質量%、形式的Na2O含量:0.1質量%、850℃での灼熱減量:約11%)、Disperal197g、Sasol Deutschland GmbH社の77質量%の形式的Al23含量を有するベーム石を1.28質量%の硝酸水溶液803g中に攪拌混入し、引続き徹底的に攪拌し、その際に形成されるゲルを絶えず剪断し、こうして流動性の状態に覆われた容器中で60℃で3時間維持し、このゲルを室温に冷却し、場合によっては蒸発された水で代替することによって得ることができる、Disperalゲル363g(形式的Al23含量:15.6%)および完全脱塩水370g(VE水)を、最初に徹底的に互いにEirich社の強力ミキサー中で混合した。引続き、ペレット化をEirich社の強力ミキサー中で行ない、30〜40分間で約1〜3mmの直径を有する均一に円形のペレットを得た。湿ったペレットを最初に120℃で空気流中で乾燥させ、引続き2K/分で550℃に加熱し、この温度で10時間空気流中でか焼した。こうして得られたアルミノ珪酸塩ペレットは、形式的にAl2376質量%およびSiO224質量%を含有していた。更に、製造された触媒は、ナトリウム化合物0.12質量%を含有していた(酸化ナトリウムとして計算した)。アルミノ珪酸塩ペレットの組成を出発物質の量および組成から計算した。アルミノ珪酸塩ペレットは、上記のシクロヘキサン法で測定した細孔容積1.15ml/gを有していた。
【0081】
例2:成形された触媒の製造(本発明による)
水道水および硝酸マグネシウム六水和物から、4.7質量%のマグネシウム含量を有する含浸溶液を製造した。この溶液のpH値は、5.1であった。真空含浸により、例1で製造されたアルミノ珪酸塩担体の篩別された画分(直径1.0mm〜2.8mm)を酸性の硝酸マグネシウム溶液に浸漬した。そのために、ペレットをガラス管中に充填し、このガラス管を約30分間排気した(約25hPaの水流ポンプ真空)。引続き、この含浸溶液を下方から固体堆積物の上縁部にまで吸い込ませた。約15分間の作用時間後、担体によって吸収されていない溶液を放置した。湿ったペレットを最初に空気流中で140℃で質量が一定になるまで乾燥させ、引続き3K/分で450℃に加熱し、この温度で12時間か焼した。製造された触媒は、形式的に二酸化珪素68質量%、酸化アルミニウム21質量%および酸化マグネシウム11質量%から構成されていた。更に、製造された触媒は、ナトリウム化合物0.11質量%を含有していた(酸化ナトリウムとして計算した)。触媒の組成を出発物質の量および組成ならびに流出された含浸溶液から計算した。ナトリウム量は、実施例1で使用されたアルミノ珪酸塩の成分であった。上記のシクロヘキサン法で測定された細孔容積は、1.1ml/gであった。
【0082】
例3:粉末状MgO/Al23/SiO2触媒の製造(マグネシウム溶液へのアルミノ珪酸塩の浸漬による)
1.1ml/gの細孔容積を有するアルミノ珪酸塩粉末500g(製造業者:Grace Davison,タイプ::Davicat O 701, Al23含量:13質量%、SiO2含量:76質量%、Na2O含量:0.1質量%、850℃での灼熱減量:約11%;Malvern社のMastersizer 2000でレーザー回折により測定した、粒度d50=20μm)に、円錐形ミキサー中で酸性の硝酸マグネシウム溶液550ml(Mg含量:4.7質量%、pH値=5.1)を添加し、20分間混合した。引続き、この湿った粉末を渦動床炉中で最初に140℃で空気流で質量が一定になるまで乾燥し、引続き450℃でマッフル炉中で10時間か焼した。850℃で灼熱された触媒中の出発化合物から計算された、主成分の含量(この主成分に対して)は、Al2312質量%、SiO277質量%、MgO11質量%であった。
【0083】
例4:触媒タブレットの製造
水道水355g中に硝酸マグネシウム六水和物645gを溶解した。この溶液のpH値は、3.5であった。この溶液中にDisperalゲル500g(形式的Al23含量:15.6質量%)を攪拌混入した。引続き、得られた粘稠ではあるが、なお良好に攪拌可能およびポンプ輸送可能な懸濁液を、直接にアルミノ珪酸塩粉末(製造業者:Grace Davison, タイプ:Davicat O 701、Al23含量:13質量%、SiO2含量:76質量%、Na2O含量:0.1%、850℃での灼熱減量:11%、Malvern社のMastersizer 2000でレーザー回折により測定した)およびタブレット化助剤としての黒鉛42g(製造業者:Edelgraphitgesellschaft Bonn, タイプ:K 16)と前混合した。この場合、ルーズな若干湿った凝集塊からなる塊が得られた。引続き、この塊をEirich社の強力ミキサー中でペレット化した。この場合、タブレット化能を有する顆粒を得るために、主に1mm未満の直径を有する円形のペレットが生じるようにペレット化を制御した。引続き、湿ったペレットを140℃で2時間乾燥させ、その後に空気が貫流された回転管中で450℃で1時間か焼した。
【0084】
引続き、か焼されたペレットをタブレット成形機(Ronchi社)で3mmの直径および4mmの高さを有するタブレットに圧縮した。引続き、このタブレットを560℃で2時間さらにか焼した。タブレット中の基準含量は、Al2319.7質量部、SiO270.8質量部、MgO10.0質量部、Na2O0.1質量部であった。このタブレットは、253m2/gのBET表面積(DIN ISO9277)を有する。3.5〜10000nmの直径を有する細孔についてのDIN 66133(最大測定圧力:400MPa)に関連する水銀ポロシメーターにより測定された全細孔容積は、0.68ml/gであった。この場合、マクロ細孔容積(50〜10000nmの直径を有する細孔)は、0.1ml/g(マクロ細孔含量15%)であり、メソ細孔容積(3.5〜50nmの直径を有する細孔)は、0.57ml/g(メソ細孔含量85%)であった。平均細孔直径は、9.6nmであった。
【0085】
例5:イソブテンおよびメタノールへのMTBEの気相分解(本発明による)
分解を、熱媒油(Sasol Olefin & Surfactants GmbH社のMarlotherm SH)が流れる加熱ジャケットを備えた管状反応器中で実施した。触媒として、例2で製造された触媒を使用した。エダクトとして、99.7質量%の純度を有する工業用MTBE(Oxeno Olefinchemie社のDriveron)を使用した。
【0086】
MTBEを反応器への浸入前に蒸発器中で250℃で完全に蒸発させた。250℃の温度(反応器ジャケットの流入管中でのMarlothermの温度)および7バール絶対(bara)の圧力で、毎時MTBE500gを触媒282gに、1.77h-1のWHSV値に相応して導通した。ガス状の分解生成物混合物を冷却器中で部分凝縮させた。得られた液相を計量し、気相をリットル単位で測定した。双方の相をガスクロマトグラフィーで分析した。
【0087】
分解を上記条件下で2500時間を上廻る時間に亘って実施した。分解生成物混合物の組成、エダクト質量および分解生成物混合物の質量から、イソブテン変換率、イソブテン形成の選択率(反応されたMTBEのモル数に対する形成されたイソブテンのモル数)およびメタノール形成の選択率(反応されたMTBEのモル数に対する形成されたメタノールのモル数)を種々の反応時間で計算した。得られた値を次の第1表中に記載した。
【0088】
【表1】

【0089】
この試験は、本発明による触媒がイソブテンおよびメタノールへのMTBEの分解に極めて好適であることを示す。イソブテン形成ならびにメタノール形成の選択率は、顕著であり、全試験時間中殆んど一定のままであった。触媒の活性は、試験時間が増加するにつれて減少した。しかし、これは、約2500時間後に、50時間の試験時間後の触媒の活性のなお85%であり、したがって工業用製造装置の場合には、はるかに1年間に亘る触媒の可使時間から出発することができる。
【0090】
例6:イソブテンおよびメタノールへのMTBEの気相分解(本発明による)
例5と同じ装置中で、MTBEを250℃で分解した。触媒として、例4で製造されたタブレット10gを使用した。処理量は、毎時MTBE100gであった。これは、10h-1のWHSVに相当した。この試験は480時間に及んだ。この試験結果を第2表中に記載した。
【0091】
【表2】

【0092】
この試験は、例4からのタブレット化された触媒が例2からの触媒よりも高い活性を有することを示す。メタノール形成の選択率は、よりいっそう良好であり、イソブテン形成の選択率は、例2からの触媒の場合よりも若干少なかったが、しかし、相変わらずに卓越していた。この触媒もMTBEの分解によるイソブテンの工業的製造に適している。この場合には、触媒の高い活性のために、比較的僅かな触媒容量のみが必要とされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形式的にアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物0.1〜20質量%、酸化アルミニウム0.1〜99質量%および二酸化珪素0.1〜99質量%を有する触媒の製造法において、この方法は、
a)アルミノ珪酸塩をアルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で酸性条件下で処理する工程および
b)アルカリ金属塩水溶液および/またはアルカリ土類金属塩水溶液で処理されたアルミノ珪酸塩をか焼する工程を有することを特徴とする、形式的にアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素を有する触媒の製造法。
【請求項2】
形式的に0.5〜20質量%の酸化マグネシウムの含量、4〜30質量%の酸化アルミニウムの含量および60〜95質量%の二酸化珪素の含量を有する触媒を製造する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程a)とb)との間で処理されたアルミノ珪酸塩が乾燥される工程c)を実施する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
工程c)での乾燥を100〜140℃の温度で行う、請求項3記載の方法。
【請求項5】
工程a)での処理を10〜120℃の温度で実施する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程b)でのか焼を200〜1000℃の温度で0.1〜10時間実施する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
アルカリ土類金属塩溶液としてマグネシウム塩溶液またはカルシウム塩溶液を使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
アルカリ土類金属塩溶液として硝酸マグネシウム溶液を使用する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
アルミノ珪酸塩として酸化アルミニウム5〜40質量%および二酸化珪素60〜95質量%を有するアルミノ珪酸塩を使用する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
形式的にアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素を有する触媒において、この触媒が形式的に0.5〜20質量%のアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物の含量、4〜30質量%の酸化アルミニウムの含量および60〜95質量%の二酸化珪素の含量を有することを特徴とする、形式的にアルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物、酸化アルミニウムおよび二酸化珪素を有する触媒。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法によって得ることができる、請求項10記載の触媒。
【請求項12】
アルカリ土類金属酸化物としてMgOを含有する、請求項10または11記載の触媒。
【請求項13】
5〜15質量%の酸化マグネシウムの含量、10〜20質量%の酸化アルミニウムの含量および70〜90質量%の二酸化珪素の含量を有する、請求項10から12までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項14】
200〜450m2/gのBET表面積を有する、請求項10から13までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項15】
0.5〜1.3ml/gの細孔容積を有する、請求項10から14までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項16】
5〜20nmの平均細孔直径を有する、請求項10から15までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項17】
10μm〜10mmの最長寸法を有する、請求項10から16までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項18】
式I
【化1】

で示される4〜6個の炭素原子を有するイソオレフィンを、式II
【化2】

で示される出発化合物を110〜450℃の温度および0.1〜2MPaの圧力で式Iの化合物および式III
R−OH III
〔上記式I〜III中、基Rは、Hまたは1または2個の炭素原子を有するアルキル基を表わし、基R1は、H、メチル基またはエチル基を表わし、基R2およびR3は、メチル基またはエチル基を表わし、この場合基R2とR3は、同一でも異なっていてもよい〕に接触気相分解することによって製造する方法において、気相分解における触媒として請求項1から9までのいずれか1項に記載の触媒または請求項10から17までのいずれか1項の記載により製造された触媒を使用することを特徴とする、式Iで示される4〜6個の炭素原子を有するイソオレフィンの製造法。
【請求項19】
化合物IIとして第三ブタノールを式Iの化合物としてのイソブテンにおよび化合物IIIとしての水に分解する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
Rがメチル基、エチル基またはプロピル基である式IIの化合物を分解する、請求項18記載の方法。
【請求項21】
メチル−第三ブチルエーテルをイソブテンおよびメタノールに分解するか、またはエチル−第三ブチルエーテルをイソブテンおよびエタノールに分解する、請求項20記載の方法。

【公開番号】特開2012−152741(P2012−152741A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−66112(P2012−66112)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【分割の表示】特願2007−222540(P2007−222540)の分割
【原出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(398054432)エボニック オクセノ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (63)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Oxeno GmbH
【住所又は居所原語表記】Paul−Baumann−Strasse 1, D−45764 Marl, Germany
【Fターム(参考)】