4ポート自動切換えバルブ
【課題】 流路切換え時に誘起する静圧変動及び流量変動を許容精度内に抑制可能し、かつ、クリーン調温・調湿エア供給装置やドライ空気供給装置等で顕著となる差圧変動も許容精度内に抑制可能にして、さらにまた、気密性能と断熱性能も同時に改良を加えた4ポート自動切換えバルブを提供する。
【解決手段】 内部に空間部を有する筐体部と、当該空間部を4つの小室に区画する開口部を有する枠形仕切板と、当該枠形仕切板の開口部を開放又は閉鎖する板状回動弁体と、当該区画された4つの小室に設けられた気体を常に流入させる流入ポート、気体の流入と流出を交互に行う流入/出ポート(1)、気体を常に流出させる流出ポート、及び気体の流入と流出を前記と交互に行う流入/出ポート(2)と、及び前記板状回動弁体を回転軸周りに回動させる駆動手段を備えしめて4ポート自動切換えバルブを構成する。
【解決手段】 内部に空間部を有する筐体部と、当該空間部を4つの小室に区画する開口部を有する枠形仕切板と、当該枠形仕切板の開口部を開放又は閉鎖する板状回動弁体と、当該区画された4つの小室に設けられた気体を常に流入させる流入ポート、気体の流入と流出を交互に行う流入/出ポート(1)、気体を常に流出させる流出ポート、及び気体の流入と流出を前記と交互に行う流入/出ポート(2)と、及び前記板状回動弁体を回転軸周りに回動させる駆動手段を備えしめて4ポート自動切換えバルブを構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2系列からなる排ガス処理装置等において再生操作と吸着操作との通気モードを切換える際に用いる4ポート自動切換えバルブに関する。より詳しくは、例えば吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着(TSA)による排ガス処理装置や溶剤回収装置や空気清浄化装置やドライ空気供給装置に取付けて空気や窒素ガス等の処理気体が通過している吸着材ユニットを吸着操作から再生操作へ、再生気体が通過している吸着材ユニットを再生操作から吸着操作へと、その通気モードを切換える際に用いる4ポート自動切換えバルブに関する。
【0002】
近年、半導体製造工場、液晶製造工場、太陽電池製造工場等の最先端のエレクトロニクス産業において使用するクリーンな作業空間、例えば、スクリーン・ルーム、クリーン・チャンバ、ミニエンバイロメント等の超クリーンな作業空間に適合する空気の供給装置としては、吸着材を用い、空気中の汚染物質、例えばアンモニウム成分、アミン化合物成分、硫黄酸化物成分、有機化合物成分、ナトリウム成分、カリウム成分、金属成分、水、過酸化物成分等の汚染物質の吸着と再生を同時に行い、半永久的に使用可能で、空気中の当該分子状汚染物質を連続的に除去してクリーンな作業空間にクリーンエアを連続的に供給するロータ式の空気清浄化装置や空気中の水分を連続的に除去するロータ式の減湿空気供給装置(デシカント)がすでに実用化されている。
【0003】
しかしながら、ロータ式の空気清浄化装置は、本質的に後記するような解決困難な問題があり、さらに高度のクリーンエア環境を実現することは困難である。従って、基本的には、吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スィング吸着(TSA)による空気清浄化装置や減湿空気供給装置が、最も好ましいが、当該方式も、以下に説明するような困難な技術的課題が未解決であるため、実用化されていない。
【0004】
(従来の回分式温度スィング装置)
クリーンな作業空間に適合する空気を連続的に供給する装置である回分式温度スイング吸着による空気清浄化装置は、通常、第1系列と第2系列の吸着材ユニットからなり、第1系列で吸着による清浄化、除湿操作を行い、その間に、第2系列で吸着物質の脱離・再生を行うものであって、当該清浄化機能や除湿機能と吸着物質の脱離・再生機能を奏する装置部分はできるだけコンパクトな装置であることが必要である。そして、さらに、極めて重要なことは、当該回分式操作の必須の操作である、第1系列と第2系列における吸着操作と再生操作の「通気モード切換え」の際、供給気体の流量、静圧、差圧が実質的に変動しない性能を保有している必要があることである。
【0005】
しかしながら、従来の吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着装置においては、コンパクトな装置にすること、及び、吸着と再生の通気モード切換えの際、供給気体の流量変動、静圧変動、差圧変動を許容精度内に抑制するという課題がいずれも解決されていない。切換え時のかかる変動が避けられないことは、回分式装置を使用するかぎり避けられないと見なされていた。
【0006】
(通気モード切換え)
吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング(TSA)吸着装置において「通気モード切換え」とは、より具体的には、まず、処理気体を第1系列吸着材ユニットに通気して吸着操作を行っている間に、再生気体を第2系列吸着材ユニットに通気して再生操作を行い、第1系列吸着材ユニットの吸着能力が限界に達するまでに、第2系列吸着材ユニットの吸着能力を加熱して脱離再生させて、次いで冷却して再生操作終了時点で第1系列吸着材ユニットに通気していた処理気体を再生気体に切換え、同時に第2系列吸着材ユニットに通気していた再生気体を処理気体に切換えるという操作である。
【0007】
そして当然のことながら、次の切換え操作においては、第1系列吸着材ユニットには再生気体から処理気体に、第2系列吸着材ユニットには処理気体から再生気体に切換えるという通気モード切換えとなる。
【0008】
図6は、従来の吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着装置を示す。かかる従来の装置においては、何故コンパクト化が困難であるか、及び、何故通気モード切換え時における流量変動、静圧変動及び差圧変動が避けられないかを、詳しく説明する。
【0009】
図6は、空気中の分子状有機性汚染物質を除去するため吸着材として活性炭のハニカム状成形体を容器に積層して吸着材ユニットとした吸着材ユニットを2系列備える従来の回分式温度スイング吸着による空気清浄化装置200である。
【0010】
(定常運転時の操作)
処理空気は、処理空気口101から流入して処理空気ダクト106を通って処理空気ブロワ103、処理空気フィルタ102、処理空気ダンパ105を経て第1系列ダクト110と第2系列ダクト117の分岐/合流点T1に流入する。
【0011】
第1系列吸着材ユニット109に通気して吸着操作が行われ、第2系列吸着材ユニット118に再生空気を通気して再生操作が行われる場合は、第1系列側の開閉バルブV1は開弁状態で第2系列側開閉バルブV4は閉弁状態である。
【0012】
処理空気は、処理空気ダクト106内を流れて、分岐/合流点T1、開閉バルブV1、分岐/合流点T2を経て第1系列ダクトに接続している第1系列吸着材ユニット109(109a、109b)に流入する。第1系列吸着材ユニット109a、109bを通過する間に分子状有機性汚染物質が除去され、開弁状態にある開閉バルブV2から分岐/合流点T4を経て供給空気ダクト115に流入し、供給空気フィルタ128を通過して清浄化された供給空気となって供給空気口116から流出する。このときバルブV2が開弁状態であるから開閉バルブV3及びV6は閉弁状態である。
【0013】
一方、再生空気は、再生空気口119から再生空気フィルタ121を経て再生空気ブロワ122に吸引されて空気清浄化装置200内に取込まれ、再生空気ダクト120内を流れて再生空気ダンパ124、冷却器125、加熱器127を通過して第1系列ダクト110及び第2系列ダクト117に継がる分岐/合流点T8に流入する。
【0014】
第2系列吸着材ユニット118a、118bを再生操作する際、再生空気は開弁状態にある開閉バルブV7を経て分岐/合流点T5から第2系列ダクト117内を流れて第2系列吸着材ユニット118a、118bに流入する。
【0015】
第2系列吸着材ユニット118a、118bが吸着した吸着物を脱離する操作時間においては加熱器127で再生空気を加熱する。この間、冷却器125は停止している。吸着物を脱離して昇温状態にある第2吸着材ユニット118a、118bを冷却する操作時間においては冷却器125を作動させる。この間、加熱器127は停止している。
【0016】
第2系列吸着材ユニット118a、118bを通過した再生空気は、分岐/合流点T6から開弁状態の開閉バルブV8、さらに分岐/合流点T7を経て排出空気ダクト113内を流れて、排出空気となって排出空気口114から系外へ排出される。このとき、開閉バルブV8が開弁状態であるから、開閉バルブV4、及びV5は閉弁状態である。
また、開閉バルブV4は、閉弁状態であるから、再生空気は処理空気ダクト106の分岐/合流点T1へは流入することはない。
【0017】
(通気モード切換えの困難性)
さて、以上の状態にある第1系列吸着材ユニット109a、109bを、吸着から再生する操作へ、第2系列吸着材ユニット118a、118bを再生操作から吸着操作へ通気モードの切換えは、ごく短時間(例えば0.8秒)で行わなければならないが、この操作はきわめて困難である。
【0018】
すなわち、開弁状態にある四つのバルブ(V1、V2、V7及びV8)を瞬時に閉弁状態に、かつ、同時に、閉弁状態にある四つのバルブ(V3、V4、V5及びV6)を瞬時に開弁状態にする必要があるからである。
【0019】
上記したように、吸着材ユニットを2系列備える従来の回分式温度スイング吸着による空気清浄化装置200においては、吸着と再生の操作を同時に行って連続的に清浄空気を供給しようとすると、処理空気、供給空気、再生空気、排出空気相互の混入を防止して第1系列吸着材ユニット109a、109b、第2系列吸着材ユニット118a、118bのそれぞれと、それら空気の流れるダクトを接続する必要がある。そのため、吸着材ユニットの上流側には処理空気、並びに、排出空気が流れる2系統のダクト及び処理空気を取入れて第1系列と第2系列のそれぞれの吸着材ユニットへ分岐する分岐/合流点T1と排出空気を第1系列ダクト110と第2系列ダクト117から排出空気口114へ導く排出空気ダクト113に接続するダクトの分岐/合流点T7とそれぞれの両側にダクト回路を開閉するためのバルブV1、V4、V5、V8を配置する必要がある。
【0020】
また、吸着材ユニットの下流側には供給空気、並びに再生空気が流れる2系統のダクト及び供給空気を取出す第1系列ダクト110と第2系列ダクト117から供給空気口116へ導く供給空気ダクト115に接続するダクトの分岐/合流点T4と再生空気を第1系列と第2系列のそれぞれの吸着ユニットへ分岐する分岐/合流点T8とそれぞれの両側にダクトを開閉するための開閉バルブV2、V3、V6、V7を配置する必要がある。
【0021】
さらに、第1系列ダクト110から排出空気ダクト113へ、又、第2系列ダクト117から排出空気ダクト113へ再生空気が流れるように分岐/合流点T2、T6が、再生空気ダクト120から第1系列ダクト110へ、また、再生空気ダクト120から第2系列ダクト117へ再生空気が流れるように分岐/合流点T3、T5が必要である。
【0022】
このようにして結局、吸着材ユニット109、118の上流側と下流側それぞれに2系統、計4系統のダクトと計8基の開閉バルブと計8基の分岐/合流点が必要であって、計4系統ものダクトが必要となる。
【0023】
このため、きわめて複雑で長いダクトの「引きまわし」を必要とすることになる。ここで本発明が対象としている半導体工場等で使用されるダクトとは、径が50mm程度の小配管ではない。例えば500mmの正方形断面のダクトである(例えば、処理空気量が100m3/minの場合、約8m/sの流速で流すためには正方形断面のダクトの寸法は約500mmとなる。)
【0024】
したがって、仮にかかる「引きまわし」が30mであったならば、ダクトのみでなんと6.2m3の占有空間が必要となる。処理空気量が20m3/minの場合は同じく約8 m/sの流速で、同じく30mの引きまわしでは、ダクトのみで1.3m3の占有空間が必要となる。
【0025】
つまり、常圧下にある空気が流れるダクトの占有空間は実際は、莫大なものであって、これにダクトの分岐/合流点や、ダクトの重なり、交叉、曲がり、拡大(縮小)、開閉バルブ、断熱材の装着等のために必要占有空間が加わるから、装置全体としての占有空間は、極めて大きなものとなる。
【0026】
これが吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着装置をコンパクトにするのを困難にしている第1の理由である。当然このままでは、到底コンパクトな装置とはならないことは明らかであるが、かかる課題は、そう容易に解決できるようなものではない。
【0027】
さらにまた、通気モード切換えにおいては、吸着操作と再生操作を同時に切換えなければならないから、処理空気及び供給空気の流れを停止させることなく、圧力損失が小さく、口径の大きい開閉バルブ計8基を、同時に動作を開始させ、かつ、同時に動作を停止させ、しかも、動作時間を可能な限り短時間(例えば1秒以下)とする必要がある。
【0028】
しかしながら、8基全ての開閉バルブを同時に、かつ、短時間で動作させることはきわめて困難である。そして、いずれかの開閉バルブに僅かな遅れがあると、供給空気の流量と圧力が変動するというさらに大きな問題が生ずる。
【0029】
例えば、図6において、開閉バルブV1が開から閉となる動作開始時刻と開閉バルブV4が閉から開となる動作開始時刻に0.1秒の遅れがあり、他の開閉バルブV5、V8、V2、V3、V6、V7には全く遅れがないとした場合、一瞬(0.1秒間)処理空気の流れが停止して直ちに復元する流量の変動となって供給空気ダクト115内を流速に見合う速度で伝播する。
【0030】
一方、圧力の変動については、正常な供給空気静圧から静圧ゼロに、0.1秒後に正常な供給空気静圧に復元する急激な圧力変動が発生する。
【0031】
そして、当該急激な圧力変動は、実は当業者が予想もしない高速度でダクト内を伝播するのである。すなわち、この圧力変動は、供給空気ダクト115内を音速、即ち、概略、秒速320mという高速で伝播する。実際には8基の開閉バルブの開閉動作時間は様々であるから、このような流量と圧力は様々な変動状態が発生する。
【0032】
半導体等の製造工程においては、クリーンな作業空間に適合する空気を大量に、安定的に、かつ、連続的に供給しなければならないが、もし上記したように切換え時において、供給空気の流量と圧力がこのように変動することになった場合は、半導体製品の歩留りを著しく低下させる大きな要因となる。したがって、切換えに伴う様々な変動状態を呈する流量及び圧力の変動、とりわけ音速という予想外の高速度で伝播する圧力変動をいかにして許容精度内に抑制するかという大きな問題があるのである。
【0033】
さらに他の問題は、図6の従来装置においては、通気モード切換えの際には、8基の開閉バルブと8基の分岐/合流点との間にあるダクト内の空気は、その開閉バルブを閉弁状態とした場合は流れが停止するから、次の開弁となるまでの間はそのまま滞留する淀み箇所となることである。
【0034】
例えば、分岐/合流点T6と分岐/合流点T1との間のダクト、分岐/合流点T2と分岐/合流点T1との間のダクトは、再生開始直後の高濃度の脱離した汚染物質を含む排出空気が滞留する淀み箇所となるから、吸着開始直後の供給空気中の清浄度に影響するという問題である。
【0035】
このように、上記した回分式吸着装置は、容易には解決できない大きな問題があるので、現在では、全く異なった操作原理により、連続的に運転し、回分式装置に固有の通気モード切換え操作をなくそうとするアプローチが取られ、例えばロータ式の空気清浄化装置(特許文献1参照)や減湿空気供給装置(特許文献2参照。)が開発されている。しかしながら、これらについても、以下のような大きな問題が存在する。すなわち、
【0036】
ロータ式装置においては、使用する吸着ロータの基数によっても異なるが、2〜3基のロータを直列に接続して使用するので、通常4基から6基の送風機を必要としており、ロータの上流側と下流側の双方にロータの吸着部、再生部、冷却部の三領域にそれぞれ専用のフードないしカバーが必要となる。その他にフィルタ、ダンパ、バルブ、加熱器、冷却器が必要であるから、結局はロータ式空気清浄化装置やロータ式減湿空気供給装置には、極めて多数の構成機器と部品が必要となる。
【0037】
さらに、ロータの断面積はそのロータに接続するダクトのそれよりも大きい。これにダクト自体と分岐/合流点、ダクトの重なり、交叉、曲がり、引きまわし、拡大(縮小)、ロータ用フードが加わるから、ロータ式の空気清浄化装置や減湿空気供給装置は、必然的に大きな占有空間を占めるものとならざるを得ず、基本的に占有空間を小さくすることは困難であって、ミニエンバイロメントに適用するのは困難である。
【0038】
加えて、ロータ式装置における吸着材ロータは、回転しているから、それの上流側及び下流側に取付ける各領域のフードは、ロータ端面に近接して取付けざるを得ない。したがって、処理空気、供給空気、再生空気、冷却空気あるいは、処理途中の空気等、各ロータに出入りする空気の漏出や漏入や混入を防止するのは困難である。とくに、半導体産業において必要な分子状汚染物質を極低濃度まで徹底して除去することは一層困難となる。ロータ付近からは空気が漏出しやすく、汚染を拡散させやすいという問題もある。さらにまた、気体が空気ではなく窒素ガスのロータ式清浄化装置や減湿窒素ガス供給装置は実現が極めて困難である。
【0039】
【特許文献1】特開2001−141274号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平11−188224号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
本発明の目的は、体流路切換え時に誘起する静圧変動及び流量変動を許容精度内に抑制可能し、かつ、クリーン調温・調湿エア供給装置やドライ空気供給装置等で顕著となる差圧変動も許容精度内に抑制可能にして、さらにまた、気密性能と断熱性能も同時に改良を加えた4ポート自動切換えバルブを提供することである。
【0041】
また本発明は、当該4ポート自動切換えバルブを、吸着材ユニット2系列を備える回分式温度スイング(TSA)装置に、第1バルブ、第2バルブとして用いて、回分式温度スイング(TSA)装置におけるダクト引きまわしを大巾に削減するとともに、通気モード切換えのために取付けられている開閉バルブ8基を削減した空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、さらには、従来実現されていなかった清浄化窒素ガス供給装置、クリーン調温・調湿窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0042】
〔1〕
内部に空間部を有する筐体部と、当該空間部を4つの小室R1、R2、R3、及びR4に区画する開口部を有する枠形仕切板と、当該枠形仕切板の開口部を開放又は閉鎖する板状回動弁体と、当該区画された4つの小室に設けられた気体を常に流入させる流入ポートL1、気体の流入と流出を交互に行う流入/出ポート(1)L2、気体を常に流出させる流出ポートL3、及び気体の流入と流出を前記L2と交互に行う流入/出ポート(2)L4と、及び前記板状回動弁体を回転軸周りに回動させる駆動手段を備えていることを特徴とする4ポート自動切換えバルブ。
【0043】
〔2〕
前記小室R1、R2、R3、及びR4を、前記流入ポートL1を取付けた小室R1、当該R1を起点にして前記回転軸の時計まわり回転方向に前記流入/出ポート(1)L2を取付けた小室R2、前記流出ポートL3を取付けた小室R3、及び前記流入/出ポート(2)L4を取付けた小室R4の順に配置し、かつ、前記R1と前記R3は、気体流路切換え時に前記L1から流入した気体をL3へ流出させるように構成した対向位置に配置して、さらに、前記板状回動弁体は、前記R2及び前記R4に、又は前記R1及び前記R3に配置するように前記回転軸に取付けられていることを特徴とする〔1〕項に記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0044】
〔3〕
前記開口部の形状は正方形、長方形、円形、又は楕円形であって、当該開口部の内縁周辺部には枠形弁座が形成され、又当該開口部面積は、前記流入ポートL1の断面積の20〜120%の範囲から選ばれた面積を有していることを特徴とする〔1〕項又は〔2〕項に記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0045】
〔4〕
前記板状回動弁体の形状は、前記開口部の形状と相似形であって、当該板状回動弁体の板面の面積は当該開口部を閉鎖する面積より大きく、その面積の1.3倍より小さい範囲から選ばれることを特徴とする〔1〕項乃至〔3〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0046】
〔5〕
前記筐体部は、側板、天板、及び底板から構成され、当該側板、天板、及び底板、及び前記枠形仕切板、前記回転軸、及び前記板状回動弁体は、断熱機能を備えていることを特徴とする〔1〕項乃至〔4〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0047】
〔6〕
前記板状回動弁体の回動動作は、起動から停止までの動作時間が0.1〜20秒の範囲から選ばれており、かつ、回動角度が62°〜122°の範囲から選ばれた往復回動であることを特徴とする〔1〕項乃至〔5〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0048】
〔7〕
前記開口部は、その開口率(%)の変更手段を有しており、前記板状回動弁体が前記R2及び前記R4に配置されている場合は、前記R1及び/又は前記R3の内壁面に沿って;また前記板状回動弁体が前記R1及び前記R3に配置されている場合は、前記R2及び/又は前記R4の内壁面に沿って;上下方向又は水平方向に移動可能な前記開口部の開口率(%)をそれぞれ独立に変更可能とする開口率変更手段を有していることを特徴とする〔1〕項乃至〔6〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0049】
〔8〕
前記開口率変更手段は、可動板とその駆動体から構成され、前記可動板の動作は前記板状回動弁体の回動動作に同期していることを特徴とする〔1〕項乃至〔7〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0050】
〔9〕
前記流入ポートL1及び/又は前記流出ポートL3に圧力センサを備えていることを特徴とする〔1〕項乃至〔8〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0051】
また、本発明にしたがえば以下の回分式温度スイング吸着装置が提供される。
〔10〕
吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着装置において、当該吸着装置の2系列の吸着ユニットには、〔1〕項乃至〔9〕項のいずれかに記載の前記4ポート自動切換えバルブ2基が第1バルブと第2バルブとして組み合わせて取付けられており、当該2系列の吸着材ユニットのそれぞれは、前記吸着材ユニットの吸着能力を再生させる再生手段、処理気体の静圧、供給気体の静圧、再生気体の静圧、及び排出気体の静圧のそれぞれ計測・調整手段、再生気体の流量及び/又は処理気体の流量の計測・調整手段、及び前記第1バルブ及び第2バルブによる吸着操作と再生操作の切換え(通気モード切換え)を制御する切換え制御器から少なくとも構成されていることを特徴とする回分式温度スイング吸着装置。
【0052】
〔11〕
前記吸着材ユニットは、分子状汚染物質を吸着する吸着材料を使用して形成したユニット乃至水分を吸着する吸着材料を使用して形成したユニットがそれぞれ直列に配置されていることを特徴とする〔10〕項に記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0053】
〔12〕
前記第1バルブ及び前記第2バルブが備える圧力センサからの測定信号を前記切換え制御器に入力することを特徴とする〔10〕項又は〔11〕項に記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0054】
〔13〕
前記再生手段は、処理気体の流量の0.05〜1.2倍の範囲で流量を任意に調整することができる再生用ブロワを有していることを特徴とする〔10〕項乃至〔12〕項のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0055】
〔14〕
前記回分式温度スイング吸着装置において、前記通気モード切換えに先立って、処理気体の流量と再生気体の流量が等しくなるように流量の調整が行われ、更に処理気体の静圧と再生気体の静圧が等しくなるように静圧の調整が行われて、当該通気モード切換えを行うことを特徴とする〔10〕項乃至〔13〕項のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0056】
〔15〕
前記回分式温度スイング吸着装置において、前記通気モード切換えに先立って、処理気体が第1バルブ流入ポートL1から第2バルブ流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)、再生気体が第2バルブの流入ポートL1から同バルブの流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)、並びに再生気体が第2バルブの流入ポートL1から第1バルブ流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)が等しくなるように差圧調整を行うことを特徴とする〔10〕項乃至〔14〕項のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0057】
〔16〕
前記回分式温度スイング吸着装置が、空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、清浄化窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置、又はクリーン調温・調湿窒素ガス供給装置であることを特徴とする〔10〕項乃至〔15〕項いずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0058】
〔17〕
クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備に〔16〕項に記載のいずれかの装置を用いて、清浄化空気、ドライ空気、クリーン調温・調湿エア、清浄化窒素ガス、ドライ窒素ガス、又はクリーン調温・調湿窒素ガスを供給する方法。
【0059】
〔18〕
〔16〕項に記載の空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、清浄化窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置、及びクリーン調温・調湿窒素ガス供給装置の少なくとも一つを備えることを特徴とする、クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備。
【発明の効果】
【0060】
本発明の4ポート自動切換えバルブによれば、従来技術においては8基の開閉バルブと8カ所の分岐/合流点と複雑で長いダクトの引きまわしを必要としていたが、本発明の4ポート自動切換えバルブは2基のみによって、同等の吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着(TSA)システムを構築することができる。また、占有空間が大きいダクトの引きまわしを大巾に削減することが可能となる。
【0061】
さらに、従来技術におけるダクトの分岐/合流点8カ所を全て無くすることができる。
これにより、処理気体や再生気体が流れないで滞留したままとなる「たまり」、「淀み」箇所を無くすることができる。
【0062】
したがって、きわめてシンプルな回分式温度スイング吸着(TSA)システムを実現させることができ、このシステムを装置化した場合はコンパクトで安価な装置となる。
【0063】
本発明の4ポート自動切換えバルブは、その筐体部を構成する天板、底板、側板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体は断熱機能を備えることができるから、当該バルブ内高温の再生気体と低温の処理気体や供給気体が同時に隣接して流れても天板、側板、底板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体が伝熱面となって高温気体から低温気体への熱の移動は抑制されており、吸着除去、脱離・再生は影響されることはなく、同時に実施できる。
【0064】
加えて、通気モード切換えに先立っては切換え制御器の出力信号によって、処理気体と再生気体の流量、圧力(静圧)、差圧はいずれも同流量、同静圧、同差圧に制御されており、さらに、2基の切換えバルブの駆動モータは同時に起動し、同時に停止するよう、しかも0.1〜20秒の短時間で動作するから、切換え時の流量と静圧と差圧の変動は許容精度内である。
【0065】
本発明の4ポート自動切換えバルブを用いれば、クリーン・ルーム、クリーン・チャンバ、ミニエンバイロメントに供給する分子状汚染物質をppbレベルまで除去した空気や窒素ガスの清浄化装置にとどまらず、分子状汚染物質を除去してさらに調温・調湿したクリーン調温・調湿エア供給装置、クリーン調温・調湿窒素ガス供給装置や、露点−80℃以下まで水分を除去したドライ空気やドライ窒素ガスを供給する装置などにおいて切換え時の流量、静圧、差圧の変動を許容精度内に抑制して供給する回分式温度スイング吸着による装置を提供することが可能となる。
【0066】
そしてこれらコンパクトで安価な装置を用いれば、単にクリーン・ルームや半導体などの製造装置内に設けたミニエンバイロメントへの清浄化空気や窒素ガス、ドライ空気や窒素ガス、及びクリーン調温・調湿エアや窒素ガスの供給にとどまらず、これらクリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・チャンバ、半導体や液晶や有機ELなどの製造装置、クリーントンネル、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及びストッカ等多数の機器から構成され、常にクリーンな雰囲気空間を必要とする電子部品製造施設・設備にも上記した空気又は窒素ガスを適切な箇所から容易に供給できるから、それら製品の収率向上に大きく寄与できるのものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2は 本発明の4ポート自動切換えバルブの一実施形態を示す図である。
【0068】
本発明の4ポート自動切換えバルブは、基本的にその内部に空間部を有する筐体部と、当該空間部を4つの小室R1、R2、R3、及びR4に区画する開口部を有する枠形仕切板と、当該枠形仕切板の開口部を開放又は閉鎖(又は閉塞)する板状回動弁体と、当該区画された4つの小室に設けられた気体を常に流入させる流入ポートL1、気体の流入と流出を交互に行う流入/出ポート(1)L2、気体を常に流出させる流出ポートL3、及び気体の流入と流出を前記L2と交互に行う流入/出ポート(2)L4と、及び前記板状回動弁体を回転軸周りに回動させる駆動手段を備えている。
【0069】
より具体的には、図に示すように、流入ポートL1、流入/出ポート(1)L2、流出ポートL3、流入/出ポート(2)L4、を取付けた筐体部135と、さらに天板136と底板137と側板141とで囲まれた内部空間内に4つの小室を区画する枠形仕切板132、と板状回動弁体134a及び134bと、その板状回動弁体134を取付けた回転軸138と、天板136上に設置した電動モータ140を備える駆動部(駆動手段)131から構成されていることを示している。図に示した筐体部135の形状は上端には天板136を、下端には底板137を有している断面が正4角形で、4つの側板141それぞれに流入ポートL1、流入/出ポート(1)L2、流出ポートL3、流入/出ポート(2)L4が取付けられている。
【0070】
(流入ポート等の定義・機能)
ここで以下の定義をおく。
「流入ポート」とは、気体が「常に流入する」ポートで「流入専用ポート」ともいう。
「流出ポート」とは、気体が「常に流出する」ポートで「流出専用ポート」ともいう。
「流入/出ポート」とは、気体の流入及び流出をいずれも行うポートであって、あるとき(ある定常状態の運転時)には気体の流入を、あるとき(別の定常状態における運転時)には気体の流出を、交互に行うものであり、「流入/流出両用ポート」ともいう。
(定常状態においては)上記「流入専用ポート」より流入した気体は、この「流入/出ポート」より流出し、また、この「流入/出ポート」より流入した気体は、前記「流出専用ポート」より流出するように構成されている。
【0071】
そして、本発明のバルブにおいては、上記「流入ポート」から「流出ポート」へ気体が流れるのは、流路を切換えるごく一瞬の間のみである。図8はこの状態を示すものであるが、詳しくは後述する。
【0072】
「気体」とは、通常は空気のことであるが、それ以外の窒素や、さらにヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の不活性ガスであってもよい。以下の記載は、空気を処理する場合について述べているが、これはその他の窒素等も含む意味に解釈されるべきである。
【0073】
このように、筐体部135の内部空間を回転軸138のまわりに四つの枠形仕切板132a〜132dで仕切り、4つの小室を設けている。(小室は図2のように上からみて、時計回りにR1、R2、R3、及びR4である。)
【0074】
四つの枠形仕切板132a〜132dの例えば中央部には、それぞれ開口部139a〜139dを設け、その内縁周辺部に枠形弁座133a〜133dが形成されている。さらに、回転軸138には、当該開口部を開放又は閉鎖する板状回転弁体134a及び134bが取付けられており、天板136の中心に穿った軸孔から回転軸138の上端部を突き出させて天板136上に設置した駆動部131が出力する電動力を回転軸138に伝導させる機構を備えている。
【0075】
また、図2には、板状回動弁体134a及び134bの回動範囲も示してあり、回動角度は90°である。
さらにまた、図2に示すように、圧力センサ107は流入ポートL1と流出ポートL3に取付けられている。ただし、流出ポートL3に接続する流路にこのような圧力センサが取付けられている場合は、当該流出ポートL3に圧力センサ107aを取付ける必要はない。
【0076】
また、図1及び図2に示すように、小室R4の内壁面に沿って上下方向に移動可能な、可動板150c及び150dと当該駆動体151c及び151d が取付けられている。
【0077】
(断熱機構)
次に本発明の4ポート自動切換えバルブの断熱機能について説明する。
図1及び図2に示す回転軸138は断熱機能を備えることが好ましい。たとえば、ステンレス製の中空構造のものを使用することにより、さらに、その外表面は研磨又は鍍金(メッキ)仕上げして断熱機能を備えさせる。
【0078】
またこれらの図に示す筐体部135を構成する側板141、天板136、底板137、枠形仕切板132、板状回動弁体134、枠形弁座133はフレーム材と薄板材を主要部材に用いて中空構造を形成するように製作することが好ましい。これらの材質は比較的熱伝導率が小さいステンレス材を用いることが望ましい。構成部材の表面は回転軸138と同様に研磨又は鍍金仕上げして断熱機能を備えさせることが好ましい。中空部分には耐熱性断熱材を装填して、断熱機能が発揮させられるようにすることが望ましい。さらに、機密性と耐圧性を保持させるように設計・製作すれば真空断熱処理することもできる。一方、筐体部の外面には断熱材を装着することが好ましい。
【0079】
図1及び2に示した枠形仕切板132、板状回動弁体134、枠形弁座133を、さらに具体的に、図3(A)、(B)、(C)に示した。
すなわち、図3の(A)は、本発明の4ポート自動切換えバルブの枠形仕切板132a〜132dの斜視図であり、同図(B)は、板状回動弁体134の斜視図であり、同図(C)は、形弁座133を示した部分拡大図である。
【0080】
図3の(C)に示すガスケット溝154には、低熱伝導性で、かつ、耐熱性の紐状ガスケット2條(2本)を枠形弁座133a〜133dの全周に嵌め込む。板状回動弁体134a及び134bが起動して図2に示す枠形仕切板132b及び132dに嵌合して停止する場合、板状回動弁体134a及び134bと枠形弁座133b及び133dとは、当該2條のガスケットを介して接触するようになっており、枠形弁座133と板状回動弁体134との接触面積は限界まで縮減されている。それゆえ、枠形仕切板132b及び132dと板状回動弁体134a及び134bとの間の熱の移動量は極めて少ない。
なお、枠形仕切板132a〜132d及び板状回動弁体134a及び134bの形状と構造は図3に示した形状と構造に限定されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において様々な形状と構造を採用し得る。
【0081】
(圧力調整用可動板)
図4は本発明の4ポート自動切換えバルブで、断面が円形である上記したものとは異なる他の実施形態の構成図、図5はその横断面図である。
【0082】
図において、流入ポートL1と流出ポートL3は、側板141に、流入/出ポート(1)L2と流入/出ポート(2)L4は、底板137に取付けられている例である。可動板150b及び150cは小室R3の内壁に沿って水平方向に移動可能な様に取付けられており、板状回動弁体134a、134bは小室R2と小室R4に配置するように回転軸138に取付けられている。
【0083】
図4及び図5に示す4ポート自動切換えバルブによって気体流路を切換える際には、板状回動弁体が開口部139aと139cを閉鎖する位置から起動させ、開口部139bと139dを閉鎖する位置にまで回動させる。その場合は、開口部139cはすでに閉鎖されているから、L2からL3への流れ及びL1からL4へ流れを乱すことなく、差圧調整を行う必要がある場合には、開口部139cの面積の例えば50%の位置に可動板150cを移動させておくことが好ましい。このようにして、板状回動弁体の動作時間が、例えば1秒ならば、可動板150cも1秒間で移動して、当該開口部139cの面積を100%に復帰させられる。
【0084】
(気体流路の切換え時の気体の流れの状況等、α型)
次に図7と図8を用いて本発明の4ポート自動切換えバルブの板状回動弁体134a及び134bを小室R2と小室R4に配置したα型バルブ(以下単に「α型」ということがある。)、及び、板状回動弁体を小室R1と小室R3に配置したβ型バルブ(以下単に「β型」ということがある。)における気体流路切換え時の気体の流れの状況と上下方向に移動する可動板の移動位置と流量調整と静圧調整についてさらに説明を加える。
【0085】
ここでは、本発明の4ポート自動切換えバルブを2基組み合わせて適用した回分式温度スイング吸着装置のバルブについて説明する。なお、主として第1バルブに対する説明となるが、第2バルブに対する説明も同様となるので詳しい説明は省略する。
【0086】
図7に示すα型では、板状回動弁体134a及び134bは、それぞれ小室R2及び小室R4内に配置されており、回動角度は90°である。そして、板状回動弁体134aが枠形仕切板132bの開口部139bを閉鎖して、かつ、板状回動弁体134bが枠形仕切板132dの開口部139dを閉鎖している位置にある場合を、板状回動弁体134の「nポジション」とし、板状回動弁体134aが枠形仕切板132aの開口部139aを閉鎖して、かつ、板状回動弁体134bが枠形仕切板132cの開口部139cを閉鎖している位置にある場合を板状回動弁体134の「sポジション」とする。
本発明における気体流路切換えとは、板状回動弁体のポジションをチェンジすること、すなわち、このnポジションとsポジションを交互にポジションチェンジすることなのである。また、この流路切換えとは、通気モードチェンジと同義である。
【0087】
気体流路切換え時、バルブの板状回動弁体134がnポジションにある時、気体流路切換え操作に入る直前までは、処理気体は流入専用ポートL1から流入して流入/出ポートL2から流出している。同時に再生気体は、流入/出ポートL4から流入して流出専用ポートL3から流出している。
【0088】
そして、流入ポートL1から流入する流量と流入/出ポートL4から流入する流量は流量の計測・調整手段により同流量に調整されている。また、開口部139aは100%開口しているから、圧力調整用可動板150aは0%の移動位置にあり、同じく開口部139cも100%開口しているから、圧力調整用可動板150cも0%の位置関係にある。
【0089】
気体流路切換え操作とは、上記したように、板状回動弁体134を、nポジションからsポジションに90°回動させ、処理気体は、流入専用ポートL1から流入して流入/出ポートL4から流出するようにし、同時に、再生気体を、流入/出ポートL2から流入させて流出ポートL3から流出させるようにする操作である。
L1から流入する流量とL2から流入する流量は流量の計測・調整手段により同流量に調整する。
【0090】
本発明においては、nポジションまたはsポジションにあった板状回動弁体134a及び134bが、ポジションチェンジを行うべく起動して、枠形弁座133b及び133dから離間した瞬間から、今まで流れていたL1からL2への流れと、L4からL3へは流れが即座に停止するようにするため、静圧を、その計測・調整手段により調整している。この様な静圧の調整によって、当該ポジションチェンジの短い間だけ、L1からR1及びR2を経てR3へ、さらにR3からL3への流れとL1からR1及びR4を経てR3へ、さらにR3からL3への流れ、すなわち、L1からL3への流れが発生する。
【0091】
図8(A)、(B)は、この切換え時にのみ発生する流入専用ポートL1から流出専用ポートL2への流れの発生状況を示すものである。ただし、図8は、90°回動すべき板状回動弁体134が、丁度中間の45°回動した時刻におけるL1から流入する処理気体の流れの状況を示すものである。
【0092】
ところで、板状回動弁体134が起動して、流入専用ポートL1から流出専用ポートL3への流れが発生した際、開口部は132a、132b、132c、132d、の4カ所となるからこのままでは流出ポートL3における静圧は上昇して、板状回動弁体134が停止して気体流路切換え(ポジションチェンジ)終了時には静圧が低下するという静圧変動が発生する。したがって、L3における静圧は、気体流路切換え前のL2からL3への流れにおける静圧に保持させる必要がある。
【0093】
静圧を保持させるには、板状回動弁体134を起動させる前に、開口部139b及び139dが必要な開口率となる位置に、圧力調整用可動板150b及び150dを移動させて予め調整しておけばよい。例えば開口率を70%とする必要があるならば、可動板150b及び150dを開口率が30%縮小する位置まで移動させておくのである。
【0094】
このように、本発明の4ポート自動切換えバルブは、流路切換え時(通気モードチェンジ時)に、圧力調整用可動板150b及び150dを移動させても、L1からL2への流れの状況及びL4からL3への流れの状況を何ら乱すことなく遂行できるという大きな特性を有している。本発明の4ポート自動切換えバルブは、このような特性を有しているため、単に空気清浄化装置にとどまらず、さらには、クリーン調温・調湿エア供給装置やドライ空気供給装置等の、後記するような回分式温度スイング吸着による各種の装置の構築を可能にしたものである。
【0095】
本発明においては、かくして、板状回動弁体134が90°回動してsポジションに到達した時刻には、開口部139b及び139dは100%の開口率となる必要があるから、板状回動弁体134の動作時間内で圧力調整用可動板150b及び150dは、30%の位置から0%の位置まで板状回動弁体134の動作に同期させて移動させる。
【0096】
もしも、ポジションチェンジのため、板状回動弁体134が起動してL1からL3への流れが発生してもL3における静圧変動が小さい場合は2枚の可動板150b又は150dのどちらか1枚の可動板のみによって開口部の調整を行うことで充分である。
可動板の駆動手段である駆動体は個々に取付けられており、又個別に駆動させられるから、2枚の可動板を同時に駆動させることも、どちらか1枚の可動板を駆動させることも可能である。
【0097】
逆に、板状回動弁体がsポジションにあって気体流路切換えを行う場合は、板状回動弁体134を起動させる前に、流入ポートL1から流入する処理気体の流量と、流入/出ポート(1)L2から流入する再生気体の流量とを、流量の計測・調整手段により調整し、また、流入ポートL1から流入/出ポート(2)L4への流れと、流入/出ポート(1)L2から流出ポートL3への流れが停止するように静圧の計測・調整手段で調整する。
【0098】
さらに、開口部139a及び139cが、板状回動弁体134の起動時と停止時に、L3における静圧が保持できるに必要な開口率となる位置に可動板150a及び150cを移動させる調整を行う。
【0099】
(気体流路の切換え時の気体の流れの状況等、β型)
図7に示すβ型においても、基本的にはα型と同様であるが、念のため、煩を顧みずに説明を加える。当該β型では、板状回動弁体134a及び134bは小室R3と小室R1内に配置されており、回動角度は90°である。そして、板状回動弁体134aが枠形仕切板132bの開口部139bを閉鎖して、且つ、板状回動弁体134bが枠形仕切板132dの開口部139dを閉鎖している位置にある場合を板状回動弁体134のnポジションとし、板状回動弁体134aが枠形仕切板132aの開口部139aを閉塞して、且つ、板状回動弁体134bが枠形仕切板132cの開口部139cを閉塞している場合を板状回動弁体134のsポジションとする。
【0100】
前述したα型の場合と全く同様にβ型の場合も板状回動弁体134がnポジションにあって、気体流路切換え操作に入る直前までは、処理気体はL1から流入してL2から流出している。同時に再生気体はL4から流入してL3から流出している。そして、L1から流入する流量とL4から流入する流量は流量の計測・調整手段により同流量に調整されている。
又、開口部139aは100%開口しているから、可動板150aは0%の移動位置にあり、開口部139cも100%開口しているから、可動板150cも0%の移動位置にある。
【0101】
気体流路切換え操作は、板状回動弁体134をnポジションからsポジションに90°回動させて、処理気体はL1から流入してL4に流出するように、同時に再生気体はL2から流入してL3から流出するようにする操作である。
【0102】
そして、板状回動弁体134a及び134bが起動して、枠形弁座133b及び133dから離間した瞬間からL1からL2への流れとL4からL3への流れが停止するように静圧の計測・調整手段により静圧調整する。この様な調整によってL1からL3への流れが発生する。
【0103】
ところで、板状回動弁体134が起動してL1からL3への流れが発生した際、開口部は132a、132b、132c、132dの4カ所となるから、このままではL3における静圧は上昇して板状回動弁体134が停止する気体流路切換え終了時には静圧が低下するという静圧変動が発生する。L3における静圧は流路切換え前のL2からL3への流れにおける静圧に保持させる必要がある。β型のバルブは板状回動弁体134aは小室R3内で、板状回動弁体134bは小室R1内で回動するためα型のそれに比べて静圧変動が大きくなる。とくに板状回動弁体が45°回動したとき、もっとも大きい。
【0104】
静圧を保持させるには板状回動弁体134を起動させる前に、開口部139b及び139dが必要な開口率となる位置に、可動板150b及び150dを移動させて予め調整しておく。
例えば、開口率を60%とする必要があるならば、可動板150b及び150dを、開口率が40%縮小する位置まで移動させておく。
【0105】
前述したように、本発明の4ポート自動切換えバルブは、可動板150b及び150dを移動させる際、L1からL2への流れの状況及びL4からL3への流れの状況を何ら乱すことなく遂行できるという特性を有している。β型のバルブにおいても同様で、この特性が各種の回分式温度スイング吸着による装置構築を可能にした。
【0106】
そして、板状回動弁体134が90°回動してsポジションに到達した時刻には、開口部139b及び139dは100%の開口率となる必要があるから、板状回動弁体134の動作時間内で可動板150b及び150dは30%の位置から、0%の位置まで板状回動弁体134に同期させて移動させる。
【0107】
もしも、板状回動弁体134が起動してL1からL3への流れが発生してもL3における静圧変動が小さい場合は、圧力調整用可動板150b又は150dのどちらか1枚の可動板によって開口部の調整を行うことで充分である。
【0108】
可動板の駆動体(駆動手段)は個々に取付けられており、又個別に駆動させられるから、2枚の可動板を同時に、駆動させることも、どちらか1枚の可動板を、駆動させることも可能である。
【0109】
逆に、板状回動弁体がsポジションにあって流路切換えを行う場合は、板状回動弁体134を起動させる前に、L1から流入する処理気体の流量とL2から流入する再生気体の流量とを流量の計測・調整手段により調整して、又、L1からL4への流れとL2からL3への流れが停止するように静圧の計測・調整手段で調整する。
【0110】
さらに、開口部139a及び139cが板状回動弁体134の起動時と停止時に、L3における静圧が保持できるに必要な開口率となる位置に可動板150a及び可動板150cを移動させる調整を行う。この調整を行う際、L1からL4への流れとL2からL3への流れの状況を何ら乱すことなく遂行できる。
【0111】
(第1バルブ及び第2バルブの組み合わせ使用)
本発明の4ポート自動切換えバルブは、α型であってもβ型であっても上記したような流路切換機能(通気モードチェンジ機能)を有しているが、実際に使用する場合は、二つのバルブを組み合わせて使用することが好ましい。
【0112】
図10〜12は、本発明の第1の適用例である図9に示す第1系列、第2系列からなる回分式温度スィング吸着による空気清浄化装置における第1の4ポート自動切換えバルブ(以下「第1バルブ」という。)、及び第2の4ポート自動切換えバルブ(以下「第2バルブ」ともいう。)内の通気モード切換え時の処理空気ダクト、再生空気ダクト、第1系列ダクト、第2系列ダクト、供給空気ダクト、排出空気ダクト及びそれぞれの内部に存在する空気の流れ方向を示す説明図である。
【0113】
なお、ここでは、第1バルブ、第2バルブともにα型とした。また、開口部の形状は正方形、当該面積は流入ポートL1の断面積の85%、板状回動弁体の面積は、当該開口部面積の1.2倍である。ただし、図10〜12は処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換える場合である。
【0114】
以下、図中において、処理空気の流れを「I」で、再生空気の流れを「I’」、第1バルブ108及び第2バルブ111で空気の流れが停止している状態をそれぞれ「II」と「II’」で表した。
【0115】
また、処理空気を第2系列から第1系列へ、再生空気を第1系列から第2系列へ切換える場合、図10〜12と同様となるゆえ、詳細な説明は省略した。すでに述べたように、処理空気や再生空気の通気を第1系列から第2系列へあるいは第2系列から第1系列への切換えを通気モード切換えと称する。
【0116】
図10(A)に示す第1バルブ108においては、処理空気ダクト流出空気155は、第1バルブ流入専用ポートL1から流入して、第1系列ダクトと接続している第1バルブ流入/出ポート(1)L2から流出している。一方、第2系列ダクト流出空気157は、第1バルブ流入/出ポート(2)L4から流入して、第1バルブ流出ポートL3から流出している。このとき、第1バルブの板状回動弁体134は図10(A)で示す様に0°のnポジションの位置にあって静止している。
【0117】
そして、図10(A)に示す第2バルブ111においては、再生空気ダクト流出空気161は第2バルブ流入専用ポートL1から流入して、第2系列ダクトと接続している第2バルブ流入/出ポート(2)L4から流出している。一方、第1系列ダクト流出空気159は、第2バルブ流入/出ポート(1)L2から流入して、第2バルブ流出ポートL3から流出している。このとき、第2バルブ板状回動弁体134は図10(A)で示す様に0°のsポジションの位置にあって静止している。
【0118】
図10〜12に示す第1バルブ108、第2バルブ111のいずれのバルブにおいて、流入ポートL1における圧力をPw、流入/出ポートL2における圧力をPx、流出ポートL3における圧力をPy、流入/出ポートL4における圧力をPzで表した。
【0119】
次に、流路切換えのためのポジションチェンジを行うべく、第1バルブ108及び第2バルブ111の駆動手段である電動モータ140を同時に作動させて第1バルブ板状回動弁体134は反時計まわりに回転(プラス回転)させ、第2バルブ板状回動弁体134は時計まわりに回転(マイナス回転)させる。両バルブの電動モータを作動させ始めて、第1バルブ板状回動弁体134が+22.5°、第2バルブ板状回動弁体134が−22.5°回転した状態を図10(B)に示す。
【0120】
通気モード切換えに先立って、前述した様に、第1バルブ108、第2バルブ111における処理空気の静圧をそれぞれの圧力センサ107、112によって計測し、これが等しくなるように静圧調整して、かつ、処理空気と再生空気の流量が等しくなるように流量調整する。したがって、図9に示すように、処理空気が第1バルブ108の流入/出ポート(1)L2から第1系列ダクト110を経て第2バルブ111の流入/出ポート(1)L2に至るまでに生ずる圧力損失と再生空気が第2バルブ111の流入/出ポート(2)L4から第2系列ダクト117を経て、第1バルブ108の流入/出ポート(2)L4に至るまでに生ずる圧力損失は等しくなる。
【0121】
それゆえ、通気モード切換えの操作を開始して第1バルブの板状回動弁体134及び第2バルブの板状回動弁体134がそれぞれ枠形仕切板から離間した瞬間から、第1バルブと第2バルブ間の第1系列側及び第2系列側の静圧は等しくなり、第1系列ダクト110及び第2系列ダクト117を流れていた空気の流れは停止する。
【0122】
そして直ちに処理空気は、第1バルブ流入ポートL1から流入して、第1バルブ流出ポートL3から流出する。一方、再生空気も直ちに第2バルブ流入ポートL1から流入して、第2バルブ流出ポートL3から流出する。このメカニズムはすでに図7〜8を用いて説明したとおりである。
【0123】
これが、例えば回分式温度スイング吸着による空気清浄化装置において、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を組み合わせて用いた場合、前述の通気モード切換え操作を遂行した際に発生する現象(効果)で、両バルブ(第1バルブ及び第2バルブ)の流出ポートL3から途切れることなく通気モード切換え操作前と同流量の空気が流出させられる。かかる現象は、すでに述べた図6に示すような従来の切換バルブ(及びそれを用いた切換方法)では到底達成することの出来ない顕著な効果というべきである。
【0124】
すなわち、図10(B)の状態においては、第1バルブ流入/出ポート(1)L2、同流入/出ポート(2)L4、第2バルブ流入/出ポート(1)L2、同流入/出ポート(2)L4の流れは停止する。
【0125】
(回動角度45°〜67.5°)
次に、第1バルブ板状回動弁体134及び第2バルブ板状回動弁体134の位置がそれぞれ+45°、−45°に達した状態を図11(C)に示した。この状態においても第1バルブ108と第2バルブ111間の第1系列ダクト110及び第2系列ダクト117を流れていた空気の流れは停止したままである。そして、処理空気及び再生空気の流れは保持されている。
【0126】
さらに、第1バルブ板状回動弁体134及び第2バルブ板状回動弁体134の位置が、それぞれ+67.5°、−67.5°に達した状態を図11(D)に示した。この状態においても第1バルブ108と第2バルブ111間の第1系列ダクト110及び第2系列ダクト117を流れていた空気の流れは(C)の状態と同じである。そして、処理空気及び再生空気の流れは保持されている。
【0127】
(通気モードチェンジ完了)
通気モード切換え操作が終了する状態、すなわち、第1バルブの板状回動弁体134が+90°、第2バルブの板状回動弁体134が−90°回転した状態を図12(E)に示した(第1バルブはn→sへ、第2バルブはs→nへのチェンジが完了した。)。同図第1バルブ108において、処理空気ダクト流出空気155は、第1バルブ流入ポートL1から流入して、第2系列ダクトと接続している第1バルブ流入/出ポート(2)L3から流出している。一方、第1系列ダクト流出空気159は、第1バルブ流入/出ポート(1)L2から流入して、第1バルブ流出ポートL3から流出している。
【0128】
そして、図12(E)で示す第2バルブ111において、再生空気ダクト流出空気161は第2バルブ流入ポートL1から流入して、第1系列ダクトと接続している第2バルブ流入/出ポート(1)L2から流出している。一方、第2系列ダクト流出空気157は第2バルブ流入/出ポート(2)L4から流入して、第2バルブ流出ポートL3から流出している。
【0129】
図12(E)の状態においても、処理空気、再生空気の静圧及び流量は図10(A)の状態と同等に保持されている。
一方、第1バルブ板状回動弁体134は+90°回転して、又第2バルブ板状回動弁体134は−90°回転して停止する。
【0130】
なお、通気モード切換え操作開始から終了までの時間は、圧力変動、流量変動の許容精度によって異なるため一概に限定できないが、通気モード切換え中に、第1バルブの流出ポートL3から排出空気ダクトに流れる空気は処理空気であり、第2バルブの流出ポートL3から供給空気ダクトに流れる空気は再生空気であるから短時間である程好ましく、通常0.1〜20秒、好ましくは0.1〜10秒、さらに好ましくは0.1〜5秒、最も好ましくは0.1〜1秒の範囲が好適である。
【0131】
一方、設計・製作上からα型バルブでは枠形仕切板132bと132c、又は132dと132aとが交叉する角度は、60°から120°の範囲が妥当である。60°未満になると、ポートの取付けが困難となる。従って、板状回動弁体134の回動角度は120°から60°となり、これに板状回動弁体134を枠形弁座133に密接するための押し付け角度2°を見込むと62°〜122°が実際の回動角度となる。
【0132】
又、図10(B)、図11(C)、(D)に示す様に、α型バルブにおいて、板状回動弁体134a及び134bが枠形仕切板132a〜132dから離間した状態における板状回動弁体134a及び134bと開口部139a〜139dの位置関係は、第1バルブ108においては処理空気ダクト流出空気155に対して、また、第2バルブ111においては再生空気ダクト流出空気161に対して、常に開度が100%となることはない。すなわち、板状回動弁体134a及び134bが処理空気ダクト流出空気155、再生空気ダクト流出空気161の流れに対して圧力損失を増加させる邪魔板となるという好ましい邪魔板効果を発生して、第1バルブ108を通過する処理空気ダクト流出空気155の圧力損失を増大させている。また、第2バルブ111を通過する再生空気ダクト流出空気161の圧力損失を増大させている。
【0133】
(定常運転期間と通気モード切換え時の圧力変動)
第1バルブ108の板状回動弁体134がnポジション、第2バルブ111の板状回動弁体134がsポジションにあって、第1系列で吸着操作、第2系列で再生操作が行われている期間において、図9に示す処理空気は、第1バルブ108の流入ポートL1から同バルブの流入/出ポート(1)L2を経て、第1系列ダクト110に流入して第1系列吸着材ユニット109を通過して、第2バルブ111の流入/出ポート(1)L2から同バルブの流出ポートL3に流れる。この間の圧力損失ΔP1は第1バルブ流入ポートL1における圧力Pw1と第2バルブ流出ポートL3における圧力Py1との差:ΔP1=Pw1−Py1である。
【0134】
一方、すでに説明したように、通気モード切換えに際しては、当該通気モード切換えに先立って、前述した静圧の計測・調整手段によって第1バルブの流入ポートL1における圧力、すなわち、処理空気の圧力Pw1と第2バルブの流入ポートL1における圧力、すなわち、再生空気の圧力Pw2とを等しくなるように調整している。それゆえ、通気モード切換え時の第2バルブ111の流入ポートL1と同バルブの流出ポートL3間の圧力損失ΔP2は第2バルブ111の流入ポートL1における圧力Pw2と通気モード切換え時の第2バルブ111の流出ポートL3における圧力Py2との差:ΔP2=Pw2−Py2=Pw1-Py2である。また、処理空気と再生空気の流量も、流量の計測・調整手段によって等しくしている。
【0135】
当然のことながら、ΔP1>ΔP2であるから、Py1<Py2となる。すなわち、通常は、通気モード切換えにより、差圧変動、すなわち、第2バルブ111の流出ポートL3における圧力が上昇するという非常に好ましくない変動が発生する。
【0136】
しかしながら、本発明の二つの4ポート自動切換えバルブを組み合わせて使用している図9の装置においては、第1系列吸着材ユニット109a及び109bを通過する間の圧力損失は、後記図13で示す〔適用例2〕、図14で示す〔適用例3〕に比べて小さい。それに加えて、前述したごとく、板状回動弁体134の回動時に発生する第2バルブ111の板状回動弁体134の邪魔板効果によってPy2≒Py1となるからPy2が大きくなるにもかかわらず、差圧変動巾は許容精度内に抑制できる。
【0137】
なお、第2バルブ111をβ型とした場合、前述のα型の場合よりもPy2が若干大きくなる。さらにまた、通気モード切換え時、第2バルブ111の流出ポートL3における差圧変動と同時に、第1バルブ108の流出ポートL3においても排出空気の流れに差圧変動が発生するが、同バルブの板状回動弁体134が回動時に生起する邪魔技効果によって差圧変動巾は、充分許容精度内に抑制できる。
【0138】
(ドライ空気供給装置における可動板の作用)
図13には、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備える回分式温度スイング吸着によるドライ空気供給装置180を示すが、当該装置に適用した場合における圧力調整用可動板の作用を示す。
【0139】
第1系列ダクト110には、第1系列No.1除湿ユニット163a、第1系列加熱器165a、第1系列冷却器166a、第1系列No.2除湿ユニット164a、第1系列分配器167aが接続されており、また、第2系列ダクト117には、第2系列No.1除湿ユニット163b、第2系列加熱器165b、第2系列冷却器166b、第2系列No.2除湿ユニット164b、第2系列分配器167bが接続されている。
【0140】
図13に示す処理空気は、第1バルブ108の流入ポートL1から同バルブの流入/出ポート(1)L2を経て、第1系列ダクト110に流入して第1系列No.1除湿ユニット163a、第1系列加熱器165a、第1系列冷却器166a、第1系列No.2除湿ユニット164a、第1系列分配器167aを通過して、第2バルブ111の流入/出ポート(1)L2から同バルブの流出ポートL3に流れる。この間の圧力損失ΔP1は、第1バルブ流入ポートL1における圧力Pw1と第2バルブ流出ポートL3における圧力Py1との差:ΔP1=Pw1―Py1である。
【0141】
一方、通気モード切換えに先立って、前述の静圧の計測・調整手段によって第1バルブの流入ポートL1における圧力、すなわち、処理空気の圧力Pw1と第2バルブの流入ポートL1における圧力、すなわち、再生空気の圧力Pw2とを等しくなるようにしている。また通気モード切換え前の第2バルブ111の流出ポートL3における圧力Py1と、通気モード切換え時の第2バルブ111の流出ポートL3における圧力Py2が等しくなるように可動板150aと150cを移動させて通気モード切換え前に差圧調整している。従って、第2バルブ111の流入ポートL1と同バルブの流出ポートL3間の圧力損失ΔP2は、通気モード切換え前と通気モード切換え時は等しくなり、ΔP2=Pw2-Py2=Pw1―Py1である。かくして、通気モード切換え時の差圧変動は、許容精度内に抑制できる。また、通気モード切換え終了までに、板状回動弁体134の動作と同期させて可動板150aと150cは開口部139aと139cの開口面積が100%となるようにそれぞれ0%の位置まで移動させる。
【0142】
もしも、通気モード切換え前に可動板150aと150cを移動させないで開口部139aと139cの開口面積を100%のままで、通気モード切換えを実行すると、ΔP1>ΔP2であるから、Py1<Py2となり、差圧変動、すなわち、第2バルブ111の流出ポートL3における圧力は上昇する変動が発生することになり、非常に好ましくない。
【0143】
また、通気モード切換え時には、第2バルブ111の流出ポートL3における差圧変動と同時に、第1バルブ108の流出ポートL3においても排出空気の流れに差圧変動が発生する。それを抑制するために、通気モード切換えに先立って可動板150bと150dを移動させて差圧調整することが行われる。さらに通気モード切換え終了までに、板状回動弁体134の動作と同期させて可動板150bと150dは開口部139bと139dの開口面積が100%となるように、それぞれ0%の位置まで移動させるようにする。
【0144】
(クリーン調温・調湿エア供給装置)
図14は、クリーン調温・調湿エア供給装置を示すが、当該クリーン調温・調湿エア供給装置190における通気モード切換え時の差圧変動も、上記図13のドライ空気供給装置の場合と同様に許容精度内に抑制できる。
【0145】
以上詳述したとおり、本発明の4ポート自動切換えバルブは、好ましくは、図1〜2及び図4〜5に示した圧力調整用可動板150と、その駆動体(駆動手段)151を備え、かくして、開口部の開口率を変更できる手段を備えているものであるから、切換え操作開始に先立って、その時点の流れの状態を何ら乱すことなく所定開口率に設定でき、静圧変動、差圧変動、流量変動を許容精度内に抑制することができるという従来の切換バルブにおいては持ち得ない新規な特性を備えた画期的な切換えバルブであると云わざるを得ない。
【0146】
〔適用例1〕(空気浄化装置への適用例)
図9は本発明の4ポート自動切換えバルブを、第1系列及び第2系列からなる空気清浄化装置130に適用した例を示すものであって、当該第1系列のバルブ(「第1バルブ」108という。)と第2系列のバルブ(「第2バルブ」111という。)として適用したものである。
【0147】
当該第1バルブ108の流入ポートL1は、処理空気ダクト106と、同流入/出ポート(1)L2は、第1系列ダクト110と接続し、同流入/出ポート(2)L4は第2系列ダクト117と、同流出ポートL3は、排出空気ダクト113と、それぞれ接続している。
【0148】
また、第2バルブ111の流入ポートL1は、再生空気ダクト120と、同流入/出ポート(1)L2は、第1系列ダクト110と、同流入/出ポート(2)L4は第2系列ダクト117と、同流出ポートL3は供給空気ダクト115と、それぞれ接続している。
【0149】
さらに、処理空気ダクト106には処理空気口101、処理空気フィルタ102、処理空気ブロワ103、処理空気流量センサ104、処理空気ダンパ105が配設されている。
【0150】
さらにまた、第1系列ダクト110には、第1系列吸着材ユニット109a及び109bが配設されている。なお、第1系列吸着材ユニット109aは塩基性分子状汚染物質を、第1系列吸着材ユニット109bは、酸性及び/又は有機性分子状汚染物質を、選択的に吸着除去する性能を持つハニカム状、プリーツ状、コルゲート状の吸着材を収納した容器である。塩基性物質を選択的に吸着する材料としては、チタン及びケイ素からなる二元系複合酸化物、チタン及びジルコニウムからなる二元系複合酸化物、チタン、ケイ素、ジルコニウムからなる三元系複合酸化物等が使用できる。また、有機性物質及び/又は酸性物質を選択的に吸着する材料としては活性炭、活性コークス、グラファイトカーボン、活性炭素繊維、ゼオライト、シリカゲル等が使用できる。
【0151】
第2系列ダクト117には、第2系列吸着材ユニット118a及び118bが配設されている。第2系列吸着材ユニット118a及び118bも第1系列と同様の構成である。
【0152】
なお、図9の空気清浄化装置130には、すでに述べた理由により、必ずしも圧力調整用可動板とその駆動体は必要でないため、これらを備えていない4ポート自動切換えバルブを2基用いた。これらはいずれもα型である。
【0153】
(再生空気、供給空気、排出空気、処理空気)
再生空気に関する再生空気ダクト120には、再生空気口119、再生空気フィルタ121、再生空気ブロワ122、再生空気流量センサ123、再生空気ダンパ124、再生空気冷却器125、再生空気加熱器127が配設され再生手段を構成している。
【0154】
供給空気に関する供給空気ダクト115には、供給フィルタ128と供給空気口116が、また、排出空気に関する排出空気ダクト113には排出空気口114が配設されている。通気モード切換えを自動的に行い、圧力、流量の変動を許容精度内に抑制するために、切換え制御器129を備えている。
【0155】
処理空気は、図9に示すように、処理空気口101から空気清浄化装置130に流入して第1バルブ108から第1系列ダクト110を流れ、第2バルブ111を経て、供給空気口116から冷凍サイクルに用いる温調・調湿装置(図示しない)に供給される。
【0156】
再生空気は、再生空気口119から空気清浄化装置130に流入して、所定の流量、温度に調整して第2バルブ111から第2系列ダクト117を流れ、第1バルブ108を経て、排出空気口114から排出する。
【0157】
以上図9から明らかなごとく、本発明の4ポート自動切換えバルブを2基用いた本発明における空気清浄化装置の構成によれば、図6に示す従来の空気清浄化装置で必須であった8個の開閉弁と分岐/合流点8カ所の全てを無くすことができる。また、図6の従来の装置において吸着ユニットの上流側と下流側に必要であった各2系統のダクトもすべて無用となったのである。
【0158】
(定常操作)
図9においては、現在、定常操作として第1系列で吸着操作、第2系列で再生操作が行われている通気モードであるから、第1バルブ108から第1系列ダクト110に流入した処理空気は、第1系列吸着材ユニット109b及び109aを通過する間で、分子状汚染物質が所定濃度まで吸着除去されて、清浄化される。
【0159】
一方、第2バルブ111から第2系列ダクト117に流入した再生空気は、脱離操作において再生空気加熱器127で所定温度に加熱されて第2系列吸着材ユニット118a及び118bを通過する間で吸着されている分子状汚染物質を脱離して第1バルブ108から排出空気ダクト113に流入して排出空気口114から排出される。
【0160】
この間、再生空気冷却器125は、休止している。次の冷却操作において再生空気は再生空気冷却器125で所定温度に冷却されて吸着材ユニット118a及び118bを通過する間で、脱離操作において加熱され昇温した吸着材を処理空気の温度付近まで冷却する。
第1バルブ108及び第2バルブ111の筐体部を構成する側板、天板、底板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体は、好ましくは断熱機能を備えているゆえ、処理空気(供給空気)と再生空気との間の熱の移動は抑制される。
【0161】
(通気モードの切換え)
さて、図9において、通気モードの切換え操作は、処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換えて通気させる操作であって、第1バルブ108と第2バルブ111とを切換え制御器からの出力信号によって、設定時刻において、同時に、かつ、短時間作動させて自動的に行う操作である。
【0162】
他方、切換え操作に先立って、処理空気流量センサ104、第1バルブ圧力センサ107、再生空気流量センサ123、第2バルブ圧力センサ112、処理空気ブロワ103、処理空気ダンパ105、再生空気ブロワ122、再生空気ダンパ124、の計測・調整手段と切換え制御器129とによって、処理空気の流量と圧力及び再生空気の流量と圧力は以下の様に自動的に調整される。
【0163】
処理空気の流量と圧力及び再生空気の流量と圧力の調整に際しては、切換え制御器129に処理空気流量センサ104による流量の計測値F1と再生空気流量センサ123による流量の計測値F2が、又、第1バルブ圧力センサ107による圧力の計測値P1と第2バルブ圧力センサ112による圧力の計測値P2が入力される。
【0164】
それらの計測値をもとにして演算処理が行われて、処理空気ブロワ103には制御信号G4が、処理空気ダンパ105には制御信号G3が切換え制御器129から出力される。又、再生空気ブロワ122には制御信号G7が、再生空気ダンパ124には制御信号G6が切換え制御器129から出力される。
【0165】
処理空気の流量と圧力及び再生空気の流量と圧力の調整終了後、切換え制御器129から、第1バルブ108の電動モータと第2バルブ111の電動モータに同時に駆動用の制御信号G1とG2とが出力され、第1バルブ108の板状回動弁体は反時計まわりに、また、第2バルブ111の板状回動弁体は時計まわりに同時に起動して、0.75秒間で90°回動して同時に停止して、通気モード切換え操作は終了する。
この0.75秒間の切換え時間内で供給空気の流量変動、圧力変動はいずれも5%以内に抑制されている。
【0166】
この切換えによって第1系列には再生空気が、第2系列には処理空気が流れるようになる。そして処理空気や再生空気が流れないで滞留したままになる、いわゆる「たまり」や「淀み」箇所は全く生じない。
【0167】
なお、処理空気を第2系列から第1系列へ、再生空気を第1系列から第2系列へ切換える通気モード切換え操作も上記と同様に行われることは明らかであるので、詳しい説明は省略する。
【0168】
〔適用例2〕(回分式温度スィング吸着によるドライ空気供給装置への適用例)
図13は、本発明の4ポート自動切換えバルブを、第1系列及び第2系列からなる回分式温度スイング吸着によるドライ空気供給装置180に適用した例であって、当該4ポート自動切換えバルブを第1系列のバルブ(第1バルブ108)及び第2系列のバルブ(第2バルブ111)として2基を備えるドライ空気供給装置180の説明図である。
【0169】
(処理空気、排出空気、再生空気、供給空気、)
第1バルブ108の流入ポートL1は、処理空気ダクト106と、同流入/出ポート(1)L2は第1系列ダクト110と、同流入/出ポート(2)L4は、第2系列ダクト117と、同流出ポートL3は排出空気ダクト113と、それぞれ接続している。
【0170】
また、第2バルブ111の流入ポートL1は、再生空気ダクト120と、同流入/出ポート(1)は第1系列ダクト110と同流入/出ポート(2)L4は第2系列ダクト117と、同流出ポートL3は、供給空気ダクト115と、それぞれ接続している。
なお、図13のドライエア供給装置180には可動板とその駆動体を備えた4ポート自動切換えバルブを2基用いた。いずれもα型である。
【0171】
さらに、処理空気ダクト106には、処理空気口101、処理空気フィルタ102、処理空気ブロワ103、処理空気流量センサ104、処理空気ダンパ105が配設されている。
【0172】
また、第1系列ダクト110には、第1系列No.1除湿ユニット163a、同No.2除湿ユニット164a、第1系列加熱器165a、同冷却器166a、第1系列分配器167aが配設されており、第2系列ダクト117には、第1系列と同じ機器が配設されている。
【0173】
各除湿ユニットは空気中の水分を吸着除去する性能を持つハニカム状、プリーツ状、コルゲート状、の吸着材を収納した容器である。かかる吸着材としては、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ等が使用できる。
【0174】
再生空気は、第1系列ダクト113と第2系列ダクト117の両ダクトから分岐して取り入れられるようダクトを配置する。すなわち、第1系列No.2除湿ユニット164aの下流に設置されている第1系列分配器(分岐点)167aで第1系列ダクト110と第1系列再生空気ダクト120aを分岐する。第1系列再生空気ダクト120aには、第1開閉弁168を設置する。
【0175】
同様に、第2系列No.2除湿ユニット164bの下流に設置されている第2系列分配器(分岐点)167bで第2系列ダクト117と第2系列再生空気ダクト120bを分岐する。第2系列再生空気ダクト120bには第2開閉弁169を設置する。
【0176】
次いで、第1系列再生空気ダクト120aと第2系列再生空気ダクト120bを集合して再生空気ダクト120とする。再生空気ダクト120には、再生空気冷却器125、再生空気ブロワ122、再生空気予熱器126、再生空気加熱器127、を配設する。
【0177】
供給空気ダクト115には、供給空気フィルタ128と供給空気ブロワ175、供給空気口116が配設され、排出空気ダクト113には排出空気口114が配設されている。
さらに、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備えるドライエア供給装置180においては、通気モード切換えを自動的に行い、圧力と流量に加えて差圧の変動を許容精度内に抑制するために、切換え制御器129を備えている。
【0178】
(処理空気)
図13に示すように、処理空気は、これを処理空気口101からドライエア供給装置180に流入させて、第1バルブ108から、第1系列ダクト110に流し、第1系列No.1除湿ユニット163a、第1系列冷却器166a、第1系列No.2除湿ユニット164aを経て、第1系列分配器167aで2分して第1系列ダクト110と第1系列再生空気ダクト120aに等流量ずつ流す。処理空気は、両除湿ユニット163a、164aを通過する間で所定露点、例えば−100℃の湿度まで水分が除去され、さらに、第1系列ダクト110を流れて第2バルブ111を経て、供給空気となる。当該供給空気は、供給空気口116から次の装置に供給される。なお、供給空気ブロワ175は、必要に応じて取付けるものである。これを取付ける場合は、機外から外気を吸引しない高機密性の機種を選定することが好ましい。
【0179】
(再生空気)
図13においては、第1系列で吸着操作が行われ、第2系列で再生操作が行われている状態を示す。
【0180】
図13に示すように、再生空気は、第1系列分配器167aから第1系列再生空気ダクト120aに流入して開状態にある第1開閉弁168を流下して第2系列再生空気ダクト120bとの合流点から再生空気ダクト120に流入し、再生空気冷却器125、再生空気ブロワ122、再生空気予熱器126、再生空気加熱器127を経て、第2バルブ111から第2系列ダクト117に流入する。
【0181】
図13において、再生空気は第2系列分配器167bを経て、第2系列No.2除湿ユニット164b、第2系列冷却器166b、第2系列加熱器165b、第2系列No.1除湿ユニット163bの順に流下して、第1バルブ108に流入する。第1バルブ108から排出空気ダクト113に流入し、再生空気予熱器126を経て排出空気口114から系外に排出される。この際、第2開閉弁169は閉状態にあるから、第2系列再生空気ダクト120b内に再生空気は流れない。この状況を図13では破線で示した。
【0182】
図13においては、第1系列で吸着操作が行われ、第2系列で再生操作が行われている通気モードの状態であるから、第1系列加熱器165aにおける加熱は休止しており、第1系列冷却器166aにおける冷却は作動している。また、第2系列で行われている再生操作が脱離操作の場合は、再生空気加熱器127は作動しており、第2系列冷却器166bにおける冷却は休止しており、第2系列加熱器165bにおける加熱は作動している。
【0183】
さらに、第2系列で行われている再生操作が冷却操作の場合は、再生空気冷却器125と第2系列冷却器166bは作動しているが、再生空気加熱器127、第2系列加熱器165bは休止している。
【0184】
なお、図13においても、第1バルブ108及び第2バルブ111に流入する処理空気(供給空気)と再生空気との温度はかなり相異しているから、通常は熱の移動が発生しうる。しかしながら、本発明の4ポート自動切換えバルブにおいては、そのバルブの側板、天板、底板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体は、好ましくは断熱機能を備える構成とされているため、実質的に処理空気(供給空気)と再生空気との間の熱の移動は抑制される。
【0185】
(通気モードの切換え)
通気モードの切換え操作は、図13の装置において、処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換えて通気させる操作であって、第1バルブ108と第2バルブ111とを切換え制御器からの出力信号によって、設定時刻において、同時に、かつ、短期時間作動させて自動的に行う操作である。
【0186】
他方、第1系列で吸着操作を行い、第2系列で再生操作を行う通気モードを、第1系列で再生操作を行い、第2系列で吸着操作を行う通気モードに切換える場合は、切換え操作に先立って、処理空気流量センサ104、第1バルブ圧力センサ107、第2バルブ圧力センサ112、処理空気ブロワ103、処理空気ダンパ105、の計測・調整手段と切換え制御器129とによって、処理空気の流量と圧力、及び再生空気の流量と圧力は以下の様に自動的に調整される。
【0187】
すなわち、処理空気の流量と圧力及び再生空気の流量と圧力の調整に際しては、切換え制御器129に処理空気流量センサ104による流量の計測値F1と再生空気流量センサ123(図示せず)による流量の計測値F2(図示せず)が、又、第1バルブ圧力センサ107による圧力の計測値P1と第2バルブ圧力センサ112による圧力の計測値P2が入力される。
【0188】
それらの計測値をもとにして演算処理が行われて、処理空気ブロワ103には制御信号G3が、処理空気ダンパ105には制御信号G8が、それぞれ切換え制御器129から出力される。
【0189】
次に、第1バルブの流入ポートL1と同バルブの流出ポートL3間の差圧は、板状回動弁体134がnポジションにある第1バルブの圧力調整用可動板150bと150dを切換え制御器129からの出力信号G7によって所定位置まで移動させて調整される。また、第2バルブの流入ポートL1と同バルブの流出ポートL3間の差圧は、板状回動弁体134がsポジションにある第2バルブの可動板150a′と150c′を切換え制御器129からの出力信号G10によって所定位置まで移動させて調整される。その後、切換え制御器129によって第1バルブ108と第2バルブ111とを同時に、かつ、短時間作動させて処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換えるから、供給空気の流量変動及び圧力変動及び差圧変動を5%以内に抑制できる。5%以内の変動とは、通常の操業における変動精度であって、供給空気のこれらの変動が次工程の操業に支障を生じることはないと想定される値である。
【0190】
なお、処理空気を第2系列から第1系列へ、再生空気を第1系列から第2系列へ切換える通気モード切換え操作も上記と同様に行われる。
【0191】
(作用及び効果)
第2系列No.2除湿ユニット164b及び第2系列No.1除湿ユニット163bの吸着材を脱離再生に用いて第1バルブ108に流入した再生空気の温度は通常50℃以上であるため、排出空気ダクト113に流入した後、再生空気予熱器126に通して、再生空気ダクト120から空気予熱器126に流入させた常温の再生空気と熱交換させて、再生空気を昇温させる予熱が可能となる。一方で排出空気となる再生空気を降温させる熱回収が行われる。したがって、これを設置することにより、再生空気加熱器127における加熱量が節減でき、省エネとなる。
【0192】
一方、本発明の4ポート自動切換えバルブを2基備える回分式温度スイング吸着によるドライエア供給装置180においては、第1系列No.2除湿ユニット164aを通過した空気を2分しているから、第1系列ダクト110から第2バルブ111へ流入して供給空気となる空気中の水分濃度(絶対温度)と切換え時に第2バルブ111へ流入する再生空気中の水分濃度(絶対湿度)とは同一であるため、通気モード切換え操作によって水分濃度の変動は全く発生しない。また、図13の第2系列再生空気ダクト120b内に滞留している空気も供給空気の水分濃度(絶対湿度)と同一であるため、通気モード切換え操作によって水分濃度の変動は発生しない。
【0193】
また、第1系列No.2除湿ユニット164aを通過した空気を、再生空気として加熱してから第2系列No.2除湿ユニット164b及びNo.1除湿ユニット163bに通気して脱離に用いているから、徹底した脱離・再生が実施でき、供給空気であるドライ空気中の水分濃度は安定しており、常に−80℃以下の露点の空気が供給できる。
【0194】
〔適用例3〕(回分式温度スィング吸着によるクリーン調湿・調温エア供給装置への適用)
図14は、本発明の4ポート自動切換えバルブを、第1系列及び第2系列からなる回分式温度スイング吸着によるクリーン調温・調湿エア供給装置190に適用した例であって、当該第1系列のバルブ(「第1バルブ」108という。)と第2系列のバルブ(「第2バルブ」111という。)として適用したものである。
【0195】
第1バルブ流入ポートL1は、処理空気ダクト106と、同流入/出ポート(1)L2は第1系列ダクト110と接続し、同流入/出ポート(2)L4は、第2系列ダクト117と同流出ポートL3は排出空気ダクト113と、それぞれ接続している。
【0196】
また、第2バルブ流入ポートL1は、再生空気ダクト120と、同流入/出ポート(1)L2は、第1系列ダクト111と、同流入/出ポート(2)L4は、第2系列ダクト117と、同流出ポートL3は供給空気ダクト115と、それぞれ接続している。
【0197】
なお、図14のクリーン調温・調湿エア供給装置190の第1バルブ108と第2バルブ111には可動板とその駆動体を備えた4ポート自動切換えバルブを用いた。これらはいずれもα型とした。
【0198】
(再生空気、供給空気、処理空気、再生空気)
また、第1系列ダクト110には、第1系列清浄化ユニット170a、同第1系列No.1除湿ユニット163a、第1系列加熱器165a、が配設されている。
【0199】
再生空気ダクト120には、再生空気口119、再生空気フィルタ121、再生空気ブロワ122、再生空気流量センサ123、再生空気ダンパ124、再生空気冷却器125、再生空気加熱器127、再生空気予熱器126が配設され、再生手段が構成されている。
【0200】
供給空気ダクト115には供給空気冷却器173、供給空気加湿器174、供給空気ブロワ175、供給空気口116、が配設され、排出空気ダクト113には再生空気予熱器126と排出空気口114が配設されている。
【0201】
さらに、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備えるクリーン調温・調湿エア供給装置190においては、通気モード切換えを自動的に行い、圧力と流量に加えて、差圧の変動を許容精度内に抑制するために、切換え制御器129を備えている。
【0202】
図14において、処理空気を処理空気口101からクリーン調温・調湿エア供給装置190に流入させて、第1バルブ108から第1系列ダクト110に流下させ、第1系列清浄化ユニット170a、第1系列加熱器165aを経て、第1系列No.1除湿ユニット163aに流す。処理空気は、当該清浄化ユニット170aを通過する間で所定濃度まで分子状汚染物質は除去され、さらに当該除湿ユニット163を通過する間で水分も所定露点の湿度を下まわる程度まで除去されて、第2バルブ111を経て供給空気冷却器173で調温され、供給空気加湿器174で湿度調整され、供給空気ブロワ175で昇圧された後、供給空気となって供給空気口116から供給される。
【0203】
図14のクリーン調湿・調温エア供給装置190で用いる清浄化ユニット170a、170bは、図6及び図9で用いた清浄化ユニット109、118と同様のハニカム状吸着材を収納した容器である。又、除湿ユニット163は、図13のドライ空気供給装置180で用いたNo.1除湿ユニット163a、163bと同様にハニカム状の除湿用吸着材を収納した容器である。
【0204】
再生空気は再生空気口119からクリーン調温・調湿エア供給装置190に流入して所定の流量、温度に調整して第2バルブ111から第2系列ダクト117を流れ、第1バルブ108を経て排出空気口114から排出する。
【0205】
図14においては、第1系列で吸着操作が行われ、第2系列で再生操作が行われているから、第1系列加熱器165aにおける加熱は休止しており、第2系列の再生操作が脱離操作の場合は、再生空気加熱器127と第2系列加熱器165bにおける加熱は作動している。また、第2系列で行われている再生操作が冷却操作の場合は、再生空気冷却器125は作動しているが、再生空気加熱器127と第2系列加熱器165bは休止している。
【0206】
さらにまた、すでに述べた装置に適用する場合と同様にして、図14の装置においても、第1バルブ108、第2バルブ111に流入、流出する処理空気(供給空気)と再生空気(排出空気)との温度はかなり相異しているから、熱移動が発生しうる。
【0207】
しかしながら、本発明の4ポート自動切換えバルブにおいては、そのバルブの筐体部を構成する側板、天板、底板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体は、好ましくは、断熱機能を備えるように構成されているため、処理空気(供給空気)と再生空気(排出空気)との間の熱移動は、実質的に抑制される。
【0208】
また、第1バルブ108及び第2バルブ111の板状回動弁体134(図3参照)と枠形弁座133(図3参照)は枠形弁座133に設置した2條のガスケット溝154に嵌め込んだガスケットを介して密接しているから、処理空気(供給空気)と再生空気(排出空気)は圧力が相異していても圧力が高い側から低い側への漏入は発生しない。さらにまた、板状回動弁体134と枠形仕切板132との間の熱移動は僅かである。
【0209】
(通気モード切換え)
通気モードの切換え操作は、図14において、処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換えて通気させる操作であって、第1バルブ108と第2バルブ111とを切換え制御器129からの出力信号によって、設定時刻において同時に、かつ、短時間作動させて自動的に行う操作である。
【0210】
他方、切換え操作に先立って、処理空気流量センサ104、再生空気流量センサ123、第1バルブ圧力センサ107、第2バルブ圧力センサ112、処理空気ブロワ103、処理空気ダンパ105、処理空気冷却器171、再生空気ブロワ122、再生空気ダンパ124、再生空気冷却器125、流量と圧力の計測・調整手段と切換え制御器129とによって、処理空気の流量と圧力、及び再生空気の流量と圧力は自動的に調整される。
切換制御器129への計測信号の入力、制御信号の出力は、適用例1及び適用例2について詳述したものと同様である。
【0211】
さらに、第1バルブの板状回動弁体134は、nポジション(図7参照)にあるから、第1バルブの可動板150bによって、一方、第2バルブの板状回動弁体134はsポジション(図7参照)にあるから、第2バルブの可動板150c′によって、第1バルブの流入ポートL1と流出ポートL3間の差圧及び第2バルブの流入ポートL1と流出ポートL3間の差圧も自動的に調整される。図14には記載していないが、大気圧、相対湿度、温度等の計測信号も、切換え制御器129に入力される。
【0212】
(作用及び効果)
本発明の4ポート自動切換えバルブを備えた装置においては、この様に、処理空気の流量と圧力、及び再生空気の流量と圧力を調整して、さらに、第1バルブの流入ポートL1と流出ポートL3間の差圧及び第2バルブの流入ポートL1と流出ポートL3間の差圧を調整して、切換え制御器129によって第1バルブ108と第2バルブ111とを同時に、かつ、短時間動作させて処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換えるから、供給空気の圧力変動は、適用例1及び適用例2と同様に、数%以内に抑制できる。また、供給空気の温度変動も±1℃以内に抑制できる。さらに、図14に示すクリーン調温・調湿エア供給装置190には、淀み箇所がないから、分子状汚染物の濃度変動も許容精度内である。
【0213】
(実測データ)
図15は、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備えた図14に示すクリーン調温・調湿エア供給装置における実際のデータであって、第2バルブ111の流入ポートL1及び流出ポートL3に高速サンプリング機能をもつ圧力センサを取付けて通気モード切換え操作を開始して終了するまでの間で計測・記録した圧力変動状況を示すグラフである。
【0214】
同図において、Pwは第2バルブL1における静圧、Pyは第2バルブL3における静圧である。このグラフにおいて、明瞭に示されているように、本発明のバルブにおいては、切換え時間0.775秒、回動角度92°の切換え操作を実行しても、再生空気の静圧(=供給空気の静圧)の変動をわずか5%以内に、また、差圧:Pw−Pyの変動も5%以内に抑制できることを示している。
【0215】
さらにまた、切換え操作に先立って流量の計測・調整を行ったから、流動変動は許容精度内である。このように、差圧:Pw−Pyが切換え時間内でほぼ一定であることは、流量が一定に保持されていることを示している。
【0216】
図15のデータを精査すれば、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を組み合わせて使用する回分式温度スイング吸着によるクリーン調温・調湿エア供給装置等のシステムに、前述した通気モード切換え方法を適用すれば、従来回分式温度スイング吸着による各種システムの実用化上最大の難題とされて来た切換え時の流量変動、圧力変動、及び差圧変動のすべて許容精度以内とすることができる画期的な技術であると結論せざるを得ない。
【0217】
なお、本発明においては、クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備に、清浄化空気、ドライ空気、クリーン調温・調湿エア、清浄化窒素ガス、ドライ窒素ガス、又はクリーン調温・調湿窒素ガスを供給する方法が好適に適用される。
【0218】
また、本発明においては、空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、清浄化窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置、及びクリーン調温・調湿窒素ガス供給装置の少なくとも一つを備える、クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備が好適対象となる。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本発明の4ポート自動切換えバルブによれば、当該バルブは2基のみによって、同等の吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着(TSA)システムを構築することができる。
【0220】
本発明の4ポート自動切換えバルブは、その筐体部を構成する天板、底板、側板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体は断熱機能を備えることができるから、当該バルブ内高温の再生気体と低温の処理気体や供給気体が同時に隣接して流れても高温気体から低温気体への熱の移動は抑制されており、吸着除去、脱離・再生は影響されることはなく、同時に実施できる。
【0221】
加えて、通気モード切換えに先立っては切換え制御器の出力信号によって、処理気体と再生気体の流量、圧力(静圧)、差圧はいずれも同流量、同静圧、同差圧に制御されており、さらに、2基の切換えバルブの駆動モータは同時に起動し、同時に停止するよう、しかも0.1〜20秒の短時間で動作するから、切換え時の流量と静圧と差圧の変動は許容精度内である。
【0222】
本発明の4ポート自動切換えバルブを用いれば、クリーン・ルーム、クリーン・チャンバ、ミニエンバイロメントに供給する分子状汚染物質をppbレベルまで除去した空気や窒素ガスの清浄化装置、分子状汚染物質を除去してさらに調温・調湿したクリーン調温・調湿エア供給装置、クリーン調温・調湿窒素ガス供給装置や、露点−80℃以下まで水分を除去したドライ空気やドライ窒素ガスを供給する装置などにおいて、切換え時の流量、静圧、差圧の変動を許容精度内に抑制して供給する回分式温度スイング吸着による装置を提供することが可能となる。
【0223】
以上のごとく本発明の4ポート自動切換えバルブの産業上の利用可能性はきわめて大きいといわざるをえない。
【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】本発明の4ポート自動切換えバルブの一実施形態を示す側面一部を縦断面図とした説明図である。
【図2】本発明の4ポート自動切換えバルブの一実施形態を示す横断面図である。
【図3】図1及び2に示した枠形仕切板、板状回動弁体、枠形弁座を、さらに具体的に斜視図及び部分拡大図により示す説明図である。
【図4】本発明の4ポート自動切換えバルブで、断面が円形である構成のものを示す側面図である。
【図5】図4に示したバルブの横断面図である。
【図6】従来の回分式温度スイング吸着による空気清浄化装置の説明図である
【図7】本発明の4ポート自動切換えバルブの二つのタイプ(α型及びβ型)の横断面図である。
【図8】本発明の4ポート自動切換えバルブ内における系列切換え(吸着・再生系列の切換え)時の処理気体の流れの状況を示す説明図であり、(A)は一部切開斜視図、(B)は横断面図である。
【図9】本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備える第1系列及び第2系列からなる空気清浄化装置の説明図である。
【図10】通気モード切換え時における空気(処理空気及び再生空気)の流れ方向を示す説明図である。
【図11】通気モード切換え時における空気(処理空気及び再生空気)の流れ方向を示す説明図である。
【図12】通気モード切換え時における空気(処理空気及び再生空気)の流れ方向を示す説明図である。
【図13】本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備える回分式温度スイング吸着によるドライ空気供給装置を示す説明図である。
【図14】本発明の4ポート自動切換えバルブを2基備える回分式温度スイング吸着によるクリーン調温・調湿エア供給装置を示す説明図である。
【図15】本発明の4ポート自動切換えバルブを備えたクリーン調温・調湿エア供給装置における吸着・再生系切換え時の供給空気の圧力変動状況を示すグラフである。
【符号の説明】
【0225】
101: 処理空気口
102: 処理空気フィルタ
103: 処理空気ブロワ
104: 処理空気流量センサ
105: 処理空気ダンパ
106: 処理空気ダクト
107: 第1バルブ圧力センサ
108: 第1バルブ(第1系列バルブ)
109: 第1系列吸着材ユニット
110: 第1系列ダクト
111: 第2バルブ(第2系列バルブ)
112: 第2バルブ圧力センサ
113: 排出空気ダクト
114: 排出空気口
115: 供給空気ダクト
116: 供給空気口
117: 第2系列ダクト
118: 第2系列吸着材ユニット
119: 再生空気口
120: 再生空気ダクト
121: 再生空気フィルタ
122: 再生空気ブロワ
123: 再生空気流量センサ
124: 再生空気ダンパ
125: 再生空気冷却器
126: 再生空気予熱器
127: 再生空気加熱器
128: 供給空気フィルタ
129: 切換え制御器
130: 空気清浄化装置(図9)
131: 駆動部(駆動手段)
132a〜132d: 枠形仕切板
133a〜133d: 枠形弁座
134a、134b: 板状回動弁体
135: 筐体部
136: 天板
137: 底板
138: 回転軸
139a〜139d: 開口部
140: 電動モータ
141: 側板
150a〜150d: 第1バルブ(圧力調整用又は開口率変更用)可動板
150a′〜150d′: 第2バルブ(圧力調整用又は開口率変更用)可動板
151a〜151d: 第1バルブ駆動体
151a′〜151d′: 第2バルブ駆動体
154: ガスケット溝
155: 処理空気ダクト流出空気
156: 第1系列ダクト流入空気
157: 第2系列ダクト流出空気
158: 排出ダクト流入空気
159: 第1系列ダクト流出空気
160: 供給空気ダクト流入空気
161: 再生空気ダクト流出空気
162: 第2系列ダクト流入空気
163a: 第1系列No.1除湿ユニット
163b: 第2系列No.1除湿ユニット
164a: 第1系列No.2除湿ユニット
164b: 第2系列No.2除湿ユニット
165a: 第1系列加熱器
165b: 第2系列加熱器
166a: 第1系列冷却器
166b: 第2系列冷却器
167a: 第1系列分配器
167b: 第2系列分配器
168: 第1開閉弁
169: 第2開閉弁
170a: 第1系列清浄化ユニット
170b: 第2系列清浄化ユニット
171: 処理空気冷却器
173: 供給空気冷却器
174: 供給空気加湿器
175: 供給空気ブロワ
180: ドライエア供給装置(図13)
190: クリーン調温・調湿エア供給装置(図14)
200: 従来技術による空気清浄化装置(図6)
F1、F2: 流量の計測値
G1〜G13: 制御信号
L1: 流入ポート(流入専用ポート)
L2: 流入/出ポート(1)(流入/流出両用ポート)
L3: 流出ポート(流出専用ポート)
L4: 流入/出ポート(2)(流入/流出両用ポート)
P1、P2: 静圧の計測値
Pw: 流入ポートにおける圧力
Px: 流入/出ポート(1)における圧力
Py: 流出ポートにおける圧力
Pz: 流入/出ポート(2)における圧力
R1〜R4: 小室
T1〜T8: 分岐/合流点
V1〜V8: 開閉弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、2系列からなる排ガス処理装置等において再生操作と吸着操作との通気モードを切換える際に用いる4ポート自動切換えバルブに関する。より詳しくは、例えば吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着(TSA)による排ガス処理装置や溶剤回収装置や空気清浄化装置やドライ空気供給装置に取付けて空気や窒素ガス等の処理気体が通過している吸着材ユニットを吸着操作から再生操作へ、再生気体が通過している吸着材ユニットを再生操作から吸着操作へと、その通気モードを切換える際に用いる4ポート自動切換えバルブに関する。
【0002】
近年、半導体製造工場、液晶製造工場、太陽電池製造工場等の最先端のエレクトロニクス産業において使用するクリーンな作業空間、例えば、スクリーン・ルーム、クリーン・チャンバ、ミニエンバイロメント等の超クリーンな作業空間に適合する空気の供給装置としては、吸着材を用い、空気中の汚染物質、例えばアンモニウム成分、アミン化合物成分、硫黄酸化物成分、有機化合物成分、ナトリウム成分、カリウム成分、金属成分、水、過酸化物成分等の汚染物質の吸着と再生を同時に行い、半永久的に使用可能で、空気中の当該分子状汚染物質を連続的に除去してクリーンな作業空間にクリーンエアを連続的に供給するロータ式の空気清浄化装置や空気中の水分を連続的に除去するロータ式の減湿空気供給装置(デシカント)がすでに実用化されている。
【0003】
しかしながら、ロータ式の空気清浄化装置は、本質的に後記するような解決困難な問題があり、さらに高度のクリーンエア環境を実現することは困難である。従って、基本的には、吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スィング吸着(TSA)による空気清浄化装置や減湿空気供給装置が、最も好ましいが、当該方式も、以下に説明するような困難な技術的課題が未解決であるため、実用化されていない。
【0004】
(従来の回分式温度スィング装置)
クリーンな作業空間に適合する空気を連続的に供給する装置である回分式温度スイング吸着による空気清浄化装置は、通常、第1系列と第2系列の吸着材ユニットからなり、第1系列で吸着による清浄化、除湿操作を行い、その間に、第2系列で吸着物質の脱離・再生を行うものであって、当該清浄化機能や除湿機能と吸着物質の脱離・再生機能を奏する装置部分はできるだけコンパクトな装置であることが必要である。そして、さらに、極めて重要なことは、当該回分式操作の必須の操作である、第1系列と第2系列における吸着操作と再生操作の「通気モード切換え」の際、供給気体の流量、静圧、差圧が実質的に変動しない性能を保有している必要があることである。
【0005】
しかしながら、従来の吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着装置においては、コンパクトな装置にすること、及び、吸着と再生の通気モード切換えの際、供給気体の流量変動、静圧変動、差圧変動を許容精度内に抑制するという課題がいずれも解決されていない。切換え時のかかる変動が避けられないことは、回分式装置を使用するかぎり避けられないと見なされていた。
【0006】
(通気モード切換え)
吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング(TSA)吸着装置において「通気モード切換え」とは、より具体的には、まず、処理気体を第1系列吸着材ユニットに通気して吸着操作を行っている間に、再生気体を第2系列吸着材ユニットに通気して再生操作を行い、第1系列吸着材ユニットの吸着能力が限界に達するまでに、第2系列吸着材ユニットの吸着能力を加熱して脱離再生させて、次いで冷却して再生操作終了時点で第1系列吸着材ユニットに通気していた処理気体を再生気体に切換え、同時に第2系列吸着材ユニットに通気していた再生気体を処理気体に切換えるという操作である。
【0007】
そして当然のことながら、次の切換え操作においては、第1系列吸着材ユニットには再生気体から処理気体に、第2系列吸着材ユニットには処理気体から再生気体に切換えるという通気モード切換えとなる。
【0008】
図6は、従来の吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着装置を示す。かかる従来の装置においては、何故コンパクト化が困難であるか、及び、何故通気モード切換え時における流量変動、静圧変動及び差圧変動が避けられないかを、詳しく説明する。
【0009】
図6は、空気中の分子状有機性汚染物質を除去するため吸着材として活性炭のハニカム状成形体を容器に積層して吸着材ユニットとした吸着材ユニットを2系列備える従来の回分式温度スイング吸着による空気清浄化装置200である。
【0010】
(定常運転時の操作)
処理空気は、処理空気口101から流入して処理空気ダクト106を通って処理空気ブロワ103、処理空気フィルタ102、処理空気ダンパ105を経て第1系列ダクト110と第2系列ダクト117の分岐/合流点T1に流入する。
【0011】
第1系列吸着材ユニット109に通気して吸着操作が行われ、第2系列吸着材ユニット118に再生空気を通気して再生操作が行われる場合は、第1系列側の開閉バルブV1は開弁状態で第2系列側開閉バルブV4は閉弁状態である。
【0012】
処理空気は、処理空気ダクト106内を流れて、分岐/合流点T1、開閉バルブV1、分岐/合流点T2を経て第1系列ダクトに接続している第1系列吸着材ユニット109(109a、109b)に流入する。第1系列吸着材ユニット109a、109bを通過する間に分子状有機性汚染物質が除去され、開弁状態にある開閉バルブV2から分岐/合流点T4を経て供給空気ダクト115に流入し、供給空気フィルタ128を通過して清浄化された供給空気となって供給空気口116から流出する。このときバルブV2が開弁状態であるから開閉バルブV3及びV6は閉弁状態である。
【0013】
一方、再生空気は、再生空気口119から再生空気フィルタ121を経て再生空気ブロワ122に吸引されて空気清浄化装置200内に取込まれ、再生空気ダクト120内を流れて再生空気ダンパ124、冷却器125、加熱器127を通過して第1系列ダクト110及び第2系列ダクト117に継がる分岐/合流点T8に流入する。
【0014】
第2系列吸着材ユニット118a、118bを再生操作する際、再生空気は開弁状態にある開閉バルブV7を経て分岐/合流点T5から第2系列ダクト117内を流れて第2系列吸着材ユニット118a、118bに流入する。
【0015】
第2系列吸着材ユニット118a、118bが吸着した吸着物を脱離する操作時間においては加熱器127で再生空気を加熱する。この間、冷却器125は停止している。吸着物を脱離して昇温状態にある第2吸着材ユニット118a、118bを冷却する操作時間においては冷却器125を作動させる。この間、加熱器127は停止している。
【0016】
第2系列吸着材ユニット118a、118bを通過した再生空気は、分岐/合流点T6から開弁状態の開閉バルブV8、さらに分岐/合流点T7を経て排出空気ダクト113内を流れて、排出空気となって排出空気口114から系外へ排出される。このとき、開閉バルブV8が開弁状態であるから、開閉バルブV4、及びV5は閉弁状態である。
また、開閉バルブV4は、閉弁状態であるから、再生空気は処理空気ダクト106の分岐/合流点T1へは流入することはない。
【0017】
(通気モード切換えの困難性)
さて、以上の状態にある第1系列吸着材ユニット109a、109bを、吸着から再生する操作へ、第2系列吸着材ユニット118a、118bを再生操作から吸着操作へ通気モードの切換えは、ごく短時間(例えば0.8秒)で行わなければならないが、この操作はきわめて困難である。
【0018】
すなわち、開弁状態にある四つのバルブ(V1、V2、V7及びV8)を瞬時に閉弁状態に、かつ、同時に、閉弁状態にある四つのバルブ(V3、V4、V5及びV6)を瞬時に開弁状態にする必要があるからである。
【0019】
上記したように、吸着材ユニットを2系列備える従来の回分式温度スイング吸着による空気清浄化装置200においては、吸着と再生の操作を同時に行って連続的に清浄空気を供給しようとすると、処理空気、供給空気、再生空気、排出空気相互の混入を防止して第1系列吸着材ユニット109a、109b、第2系列吸着材ユニット118a、118bのそれぞれと、それら空気の流れるダクトを接続する必要がある。そのため、吸着材ユニットの上流側には処理空気、並びに、排出空気が流れる2系統のダクト及び処理空気を取入れて第1系列と第2系列のそれぞれの吸着材ユニットへ分岐する分岐/合流点T1と排出空気を第1系列ダクト110と第2系列ダクト117から排出空気口114へ導く排出空気ダクト113に接続するダクトの分岐/合流点T7とそれぞれの両側にダクト回路を開閉するためのバルブV1、V4、V5、V8を配置する必要がある。
【0020】
また、吸着材ユニットの下流側には供給空気、並びに再生空気が流れる2系統のダクト及び供給空気を取出す第1系列ダクト110と第2系列ダクト117から供給空気口116へ導く供給空気ダクト115に接続するダクトの分岐/合流点T4と再生空気を第1系列と第2系列のそれぞれの吸着ユニットへ分岐する分岐/合流点T8とそれぞれの両側にダクトを開閉するための開閉バルブV2、V3、V6、V7を配置する必要がある。
【0021】
さらに、第1系列ダクト110から排出空気ダクト113へ、又、第2系列ダクト117から排出空気ダクト113へ再生空気が流れるように分岐/合流点T2、T6が、再生空気ダクト120から第1系列ダクト110へ、また、再生空気ダクト120から第2系列ダクト117へ再生空気が流れるように分岐/合流点T3、T5が必要である。
【0022】
このようにして結局、吸着材ユニット109、118の上流側と下流側それぞれに2系統、計4系統のダクトと計8基の開閉バルブと計8基の分岐/合流点が必要であって、計4系統ものダクトが必要となる。
【0023】
このため、きわめて複雑で長いダクトの「引きまわし」を必要とすることになる。ここで本発明が対象としている半導体工場等で使用されるダクトとは、径が50mm程度の小配管ではない。例えば500mmの正方形断面のダクトである(例えば、処理空気量が100m3/minの場合、約8m/sの流速で流すためには正方形断面のダクトの寸法は約500mmとなる。)
【0024】
したがって、仮にかかる「引きまわし」が30mであったならば、ダクトのみでなんと6.2m3の占有空間が必要となる。処理空気量が20m3/minの場合は同じく約8 m/sの流速で、同じく30mの引きまわしでは、ダクトのみで1.3m3の占有空間が必要となる。
【0025】
つまり、常圧下にある空気が流れるダクトの占有空間は実際は、莫大なものであって、これにダクトの分岐/合流点や、ダクトの重なり、交叉、曲がり、拡大(縮小)、開閉バルブ、断熱材の装着等のために必要占有空間が加わるから、装置全体としての占有空間は、極めて大きなものとなる。
【0026】
これが吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着装置をコンパクトにするのを困難にしている第1の理由である。当然このままでは、到底コンパクトな装置とはならないことは明らかであるが、かかる課題は、そう容易に解決できるようなものではない。
【0027】
さらにまた、通気モード切換えにおいては、吸着操作と再生操作を同時に切換えなければならないから、処理空気及び供給空気の流れを停止させることなく、圧力損失が小さく、口径の大きい開閉バルブ計8基を、同時に動作を開始させ、かつ、同時に動作を停止させ、しかも、動作時間を可能な限り短時間(例えば1秒以下)とする必要がある。
【0028】
しかしながら、8基全ての開閉バルブを同時に、かつ、短時間で動作させることはきわめて困難である。そして、いずれかの開閉バルブに僅かな遅れがあると、供給空気の流量と圧力が変動するというさらに大きな問題が生ずる。
【0029】
例えば、図6において、開閉バルブV1が開から閉となる動作開始時刻と開閉バルブV4が閉から開となる動作開始時刻に0.1秒の遅れがあり、他の開閉バルブV5、V8、V2、V3、V6、V7には全く遅れがないとした場合、一瞬(0.1秒間)処理空気の流れが停止して直ちに復元する流量の変動となって供給空気ダクト115内を流速に見合う速度で伝播する。
【0030】
一方、圧力の変動については、正常な供給空気静圧から静圧ゼロに、0.1秒後に正常な供給空気静圧に復元する急激な圧力変動が発生する。
【0031】
そして、当該急激な圧力変動は、実は当業者が予想もしない高速度でダクト内を伝播するのである。すなわち、この圧力変動は、供給空気ダクト115内を音速、即ち、概略、秒速320mという高速で伝播する。実際には8基の開閉バルブの開閉動作時間は様々であるから、このような流量と圧力は様々な変動状態が発生する。
【0032】
半導体等の製造工程においては、クリーンな作業空間に適合する空気を大量に、安定的に、かつ、連続的に供給しなければならないが、もし上記したように切換え時において、供給空気の流量と圧力がこのように変動することになった場合は、半導体製品の歩留りを著しく低下させる大きな要因となる。したがって、切換えに伴う様々な変動状態を呈する流量及び圧力の変動、とりわけ音速という予想外の高速度で伝播する圧力変動をいかにして許容精度内に抑制するかという大きな問題があるのである。
【0033】
さらに他の問題は、図6の従来装置においては、通気モード切換えの際には、8基の開閉バルブと8基の分岐/合流点との間にあるダクト内の空気は、その開閉バルブを閉弁状態とした場合は流れが停止するから、次の開弁となるまでの間はそのまま滞留する淀み箇所となることである。
【0034】
例えば、分岐/合流点T6と分岐/合流点T1との間のダクト、分岐/合流点T2と分岐/合流点T1との間のダクトは、再生開始直後の高濃度の脱離した汚染物質を含む排出空気が滞留する淀み箇所となるから、吸着開始直後の供給空気中の清浄度に影響するという問題である。
【0035】
このように、上記した回分式吸着装置は、容易には解決できない大きな問題があるので、現在では、全く異なった操作原理により、連続的に運転し、回分式装置に固有の通気モード切換え操作をなくそうとするアプローチが取られ、例えばロータ式の空気清浄化装置(特許文献1参照)や減湿空気供給装置(特許文献2参照。)が開発されている。しかしながら、これらについても、以下のような大きな問題が存在する。すなわち、
【0036】
ロータ式装置においては、使用する吸着ロータの基数によっても異なるが、2〜3基のロータを直列に接続して使用するので、通常4基から6基の送風機を必要としており、ロータの上流側と下流側の双方にロータの吸着部、再生部、冷却部の三領域にそれぞれ専用のフードないしカバーが必要となる。その他にフィルタ、ダンパ、バルブ、加熱器、冷却器が必要であるから、結局はロータ式空気清浄化装置やロータ式減湿空気供給装置には、極めて多数の構成機器と部品が必要となる。
【0037】
さらに、ロータの断面積はそのロータに接続するダクトのそれよりも大きい。これにダクト自体と分岐/合流点、ダクトの重なり、交叉、曲がり、引きまわし、拡大(縮小)、ロータ用フードが加わるから、ロータ式の空気清浄化装置や減湿空気供給装置は、必然的に大きな占有空間を占めるものとならざるを得ず、基本的に占有空間を小さくすることは困難であって、ミニエンバイロメントに適用するのは困難である。
【0038】
加えて、ロータ式装置における吸着材ロータは、回転しているから、それの上流側及び下流側に取付ける各領域のフードは、ロータ端面に近接して取付けざるを得ない。したがって、処理空気、供給空気、再生空気、冷却空気あるいは、処理途中の空気等、各ロータに出入りする空気の漏出や漏入や混入を防止するのは困難である。とくに、半導体産業において必要な分子状汚染物質を極低濃度まで徹底して除去することは一層困難となる。ロータ付近からは空気が漏出しやすく、汚染を拡散させやすいという問題もある。さらにまた、気体が空気ではなく窒素ガスのロータ式清浄化装置や減湿窒素ガス供給装置は実現が極めて困難である。
【0039】
【特許文献1】特開2001−141274号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平11−188224号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
本発明の目的は、体流路切換え時に誘起する静圧変動及び流量変動を許容精度内に抑制可能し、かつ、クリーン調温・調湿エア供給装置やドライ空気供給装置等で顕著となる差圧変動も許容精度内に抑制可能にして、さらにまた、気密性能と断熱性能も同時に改良を加えた4ポート自動切換えバルブを提供することである。
【0041】
また本発明は、当該4ポート自動切換えバルブを、吸着材ユニット2系列を備える回分式温度スイング(TSA)装置に、第1バルブ、第2バルブとして用いて、回分式温度スイング(TSA)装置におけるダクト引きまわしを大巾に削減するとともに、通気モード切換えのために取付けられている開閉バルブ8基を削減した空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、さらには、従来実現されていなかった清浄化窒素ガス供給装置、クリーン調温・調湿窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0042】
〔1〕
内部に空間部を有する筐体部と、当該空間部を4つの小室R1、R2、R3、及びR4に区画する開口部を有する枠形仕切板と、当該枠形仕切板の開口部を開放又は閉鎖する板状回動弁体と、当該区画された4つの小室に設けられた気体を常に流入させる流入ポートL1、気体の流入と流出を交互に行う流入/出ポート(1)L2、気体を常に流出させる流出ポートL3、及び気体の流入と流出を前記L2と交互に行う流入/出ポート(2)L4と、及び前記板状回動弁体を回転軸周りに回動させる駆動手段を備えていることを特徴とする4ポート自動切換えバルブ。
【0043】
〔2〕
前記小室R1、R2、R3、及びR4を、前記流入ポートL1を取付けた小室R1、当該R1を起点にして前記回転軸の時計まわり回転方向に前記流入/出ポート(1)L2を取付けた小室R2、前記流出ポートL3を取付けた小室R3、及び前記流入/出ポート(2)L4を取付けた小室R4の順に配置し、かつ、前記R1と前記R3は、気体流路切換え時に前記L1から流入した気体をL3へ流出させるように構成した対向位置に配置して、さらに、前記板状回動弁体は、前記R2及び前記R4に、又は前記R1及び前記R3に配置するように前記回転軸に取付けられていることを特徴とする〔1〕項に記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0044】
〔3〕
前記開口部の形状は正方形、長方形、円形、又は楕円形であって、当該開口部の内縁周辺部には枠形弁座が形成され、又当該開口部面積は、前記流入ポートL1の断面積の20〜120%の範囲から選ばれた面積を有していることを特徴とする〔1〕項又は〔2〕項に記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0045】
〔4〕
前記板状回動弁体の形状は、前記開口部の形状と相似形であって、当該板状回動弁体の板面の面積は当該開口部を閉鎖する面積より大きく、その面積の1.3倍より小さい範囲から選ばれることを特徴とする〔1〕項乃至〔3〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0046】
〔5〕
前記筐体部は、側板、天板、及び底板から構成され、当該側板、天板、及び底板、及び前記枠形仕切板、前記回転軸、及び前記板状回動弁体は、断熱機能を備えていることを特徴とする〔1〕項乃至〔4〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0047】
〔6〕
前記板状回動弁体の回動動作は、起動から停止までの動作時間が0.1〜20秒の範囲から選ばれており、かつ、回動角度が62°〜122°の範囲から選ばれた往復回動であることを特徴とする〔1〕項乃至〔5〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0048】
〔7〕
前記開口部は、その開口率(%)の変更手段を有しており、前記板状回動弁体が前記R2及び前記R4に配置されている場合は、前記R1及び/又は前記R3の内壁面に沿って;また前記板状回動弁体が前記R1及び前記R3に配置されている場合は、前記R2及び/又は前記R4の内壁面に沿って;上下方向又は水平方向に移動可能な前記開口部の開口率(%)をそれぞれ独立に変更可能とする開口率変更手段を有していることを特徴とする〔1〕項乃至〔6〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0049】
〔8〕
前記開口率変更手段は、可動板とその駆動体から構成され、前記可動板の動作は前記板状回動弁体の回動動作に同期していることを特徴とする〔1〕項乃至〔7〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0050】
〔9〕
前記流入ポートL1及び/又は前記流出ポートL3に圧力センサを備えていることを特徴とする〔1〕項乃至〔8〕項のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【0051】
また、本発明にしたがえば以下の回分式温度スイング吸着装置が提供される。
〔10〕
吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着装置において、当該吸着装置の2系列の吸着ユニットには、〔1〕項乃至〔9〕項のいずれかに記載の前記4ポート自動切換えバルブ2基が第1バルブと第2バルブとして組み合わせて取付けられており、当該2系列の吸着材ユニットのそれぞれは、前記吸着材ユニットの吸着能力を再生させる再生手段、処理気体の静圧、供給気体の静圧、再生気体の静圧、及び排出気体の静圧のそれぞれ計測・調整手段、再生気体の流量及び/又は処理気体の流量の計測・調整手段、及び前記第1バルブ及び第2バルブによる吸着操作と再生操作の切換え(通気モード切換え)を制御する切換え制御器から少なくとも構成されていることを特徴とする回分式温度スイング吸着装置。
【0052】
〔11〕
前記吸着材ユニットは、分子状汚染物質を吸着する吸着材料を使用して形成したユニット乃至水分を吸着する吸着材料を使用して形成したユニットがそれぞれ直列に配置されていることを特徴とする〔10〕項に記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0053】
〔12〕
前記第1バルブ及び前記第2バルブが備える圧力センサからの測定信号を前記切換え制御器に入力することを特徴とする〔10〕項又は〔11〕項に記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0054】
〔13〕
前記再生手段は、処理気体の流量の0.05〜1.2倍の範囲で流量を任意に調整することができる再生用ブロワを有していることを特徴とする〔10〕項乃至〔12〕項のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0055】
〔14〕
前記回分式温度スイング吸着装置において、前記通気モード切換えに先立って、処理気体の流量と再生気体の流量が等しくなるように流量の調整が行われ、更に処理気体の静圧と再生気体の静圧が等しくなるように静圧の調整が行われて、当該通気モード切換えを行うことを特徴とする〔10〕項乃至〔13〕項のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0056】
〔15〕
前記回分式温度スイング吸着装置において、前記通気モード切換えに先立って、処理気体が第1バルブ流入ポートL1から第2バルブ流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)、再生気体が第2バルブの流入ポートL1から同バルブの流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)、並びに再生気体が第2バルブの流入ポートL1から第1バルブ流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)が等しくなるように差圧調整を行うことを特徴とする〔10〕項乃至〔14〕項のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0057】
〔16〕
前記回分式温度スイング吸着装置が、空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、清浄化窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置、又はクリーン調温・調湿窒素ガス供給装置であることを特徴とする〔10〕項乃至〔15〕項いずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【0058】
〔17〕
クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備に〔16〕項に記載のいずれかの装置を用いて、清浄化空気、ドライ空気、クリーン調温・調湿エア、清浄化窒素ガス、ドライ窒素ガス、又はクリーン調温・調湿窒素ガスを供給する方法。
【0059】
〔18〕
〔16〕項に記載の空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、清浄化窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置、及びクリーン調温・調湿窒素ガス供給装置の少なくとも一つを備えることを特徴とする、クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備。
【発明の効果】
【0060】
本発明の4ポート自動切換えバルブによれば、従来技術においては8基の開閉バルブと8カ所の分岐/合流点と複雑で長いダクトの引きまわしを必要としていたが、本発明の4ポート自動切換えバルブは2基のみによって、同等の吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着(TSA)システムを構築することができる。また、占有空間が大きいダクトの引きまわしを大巾に削減することが可能となる。
【0061】
さらに、従来技術におけるダクトの分岐/合流点8カ所を全て無くすることができる。
これにより、処理気体や再生気体が流れないで滞留したままとなる「たまり」、「淀み」箇所を無くすることができる。
【0062】
したがって、きわめてシンプルな回分式温度スイング吸着(TSA)システムを実現させることができ、このシステムを装置化した場合はコンパクトで安価な装置となる。
【0063】
本発明の4ポート自動切換えバルブは、その筐体部を構成する天板、底板、側板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体は断熱機能を備えることができるから、当該バルブ内高温の再生気体と低温の処理気体や供給気体が同時に隣接して流れても天板、側板、底板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体が伝熱面となって高温気体から低温気体への熱の移動は抑制されており、吸着除去、脱離・再生は影響されることはなく、同時に実施できる。
【0064】
加えて、通気モード切換えに先立っては切換え制御器の出力信号によって、処理気体と再生気体の流量、圧力(静圧)、差圧はいずれも同流量、同静圧、同差圧に制御されており、さらに、2基の切換えバルブの駆動モータは同時に起動し、同時に停止するよう、しかも0.1〜20秒の短時間で動作するから、切換え時の流量と静圧と差圧の変動は許容精度内である。
【0065】
本発明の4ポート自動切換えバルブを用いれば、クリーン・ルーム、クリーン・チャンバ、ミニエンバイロメントに供給する分子状汚染物質をppbレベルまで除去した空気や窒素ガスの清浄化装置にとどまらず、分子状汚染物質を除去してさらに調温・調湿したクリーン調温・調湿エア供給装置、クリーン調温・調湿窒素ガス供給装置や、露点−80℃以下まで水分を除去したドライ空気やドライ窒素ガスを供給する装置などにおいて切換え時の流量、静圧、差圧の変動を許容精度内に抑制して供給する回分式温度スイング吸着による装置を提供することが可能となる。
【0066】
そしてこれらコンパクトで安価な装置を用いれば、単にクリーン・ルームや半導体などの製造装置内に設けたミニエンバイロメントへの清浄化空気や窒素ガス、ドライ空気や窒素ガス、及びクリーン調温・調湿エアや窒素ガスの供給にとどまらず、これらクリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・チャンバ、半導体や液晶や有機ELなどの製造装置、クリーントンネル、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及びストッカ等多数の機器から構成され、常にクリーンな雰囲気空間を必要とする電子部品製造施設・設備にも上記した空気又は窒素ガスを適切な箇所から容易に供給できるから、それら製品の収率向上に大きく寄与できるのものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2は 本発明の4ポート自動切換えバルブの一実施形態を示す図である。
【0068】
本発明の4ポート自動切換えバルブは、基本的にその内部に空間部を有する筐体部と、当該空間部を4つの小室R1、R2、R3、及びR4に区画する開口部を有する枠形仕切板と、当該枠形仕切板の開口部を開放又は閉鎖(又は閉塞)する板状回動弁体と、当該区画された4つの小室に設けられた気体を常に流入させる流入ポートL1、気体の流入と流出を交互に行う流入/出ポート(1)L2、気体を常に流出させる流出ポートL3、及び気体の流入と流出を前記L2と交互に行う流入/出ポート(2)L4と、及び前記板状回動弁体を回転軸周りに回動させる駆動手段を備えている。
【0069】
より具体的には、図に示すように、流入ポートL1、流入/出ポート(1)L2、流出ポートL3、流入/出ポート(2)L4、を取付けた筐体部135と、さらに天板136と底板137と側板141とで囲まれた内部空間内に4つの小室を区画する枠形仕切板132、と板状回動弁体134a及び134bと、その板状回動弁体134を取付けた回転軸138と、天板136上に設置した電動モータ140を備える駆動部(駆動手段)131から構成されていることを示している。図に示した筐体部135の形状は上端には天板136を、下端には底板137を有している断面が正4角形で、4つの側板141それぞれに流入ポートL1、流入/出ポート(1)L2、流出ポートL3、流入/出ポート(2)L4が取付けられている。
【0070】
(流入ポート等の定義・機能)
ここで以下の定義をおく。
「流入ポート」とは、気体が「常に流入する」ポートで「流入専用ポート」ともいう。
「流出ポート」とは、気体が「常に流出する」ポートで「流出専用ポート」ともいう。
「流入/出ポート」とは、気体の流入及び流出をいずれも行うポートであって、あるとき(ある定常状態の運転時)には気体の流入を、あるとき(別の定常状態における運転時)には気体の流出を、交互に行うものであり、「流入/流出両用ポート」ともいう。
(定常状態においては)上記「流入専用ポート」より流入した気体は、この「流入/出ポート」より流出し、また、この「流入/出ポート」より流入した気体は、前記「流出専用ポート」より流出するように構成されている。
【0071】
そして、本発明のバルブにおいては、上記「流入ポート」から「流出ポート」へ気体が流れるのは、流路を切換えるごく一瞬の間のみである。図8はこの状態を示すものであるが、詳しくは後述する。
【0072】
「気体」とは、通常は空気のことであるが、それ以外の窒素や、さらにヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の不活性ガスであってもよい。以下の記載は、空気を処理する場合について述べているが、これはその他の窒素等も含む意味に解釈されるべきである。
【0073】
このように、筐体部135の内部空間を回転軸138のまわりに四つの枠形仕切板132a〜132dで仕切り、4つの小室を設けている。(小室は図2のように上からみて、時計回りにR1、R2、R3、及びR4である。)
【0074】
四つの枠形仕切板132a〜132dの例えば中央部には、それぞれ開口部139a〜139dを設け、その内縁周辺部に枠形弁座133a〜133dが形成されている。さらに、回転軸138には、当該開口部を開放又は閉鎖する板状回転弁体134a及び134bが取付けられており、天板136の中心に穿った軸孔から回転軸138の上端部を突き出させて天板136上に設置した駆動部131が出力する電動力を回転軸138に伝導させる機構を備えている。
【0075】
また、図2には、板状回動弁体134a及び134bの回動範囲も示してあり、回動角度は90°である。
さらにまた、図2に示すように、圧力センサ107は流入ポートL1と流出ポートL3に取付けられている。ただし、流出ポートL3に接続する流路にこのような圧力センサが取付けられている場合は、当該流出ポートL3に圧力センサ107aを取付ける必要はない。
【0076】
また、図1及び図2に示すように、小室R4の内壁面に沿って上下方向に移動可能な、可動板150c及び150dと当該駆動体151c及び151d が取付けられている。
【0077】
(断熱機構)
次に本発明の4ポート自動切換えバルブの断熱機能について説明する。
図1及び図2に示す回転軸138は断熱機能を備えることが好ましい。たとえば、ステンレス製の中空構造のものを使用することにより、さらに、その外表面は研磨又は鍍金(メッキ)仕上げして断熱機能を備えさせる。
【0078】
またこれらの図に示す筐体部135を構成する側板141、天板136、底板137、枠形仕切板132、板状回動弁体134、枠形弁座133はフレーム材と薄板材を主要部材に用いて中空構造を形成するように製作することが好ましい。これらの材質は比較的熱伝導率が小さいステンレス材を用いることが望ましい。構成部材の表面は回転軸138と同様に研磨又は鍍金仕上げして断熱機能を備えさせることが好ましい。中空部分には耐熱性断熱材を装填して、断熱機能が発揮させられるようにすることが望ましい。さらに、機密性と耐圧性を保持させるように設計・製作すれば真空断熱処理することもできる。一方、筐体部の外面には断熱材を装着することが好ましい。
【0079】
図1及び2に示した枠形仕切板132、板状回動弁体134、枠形弁座133を、さらに具体的に、図3(A)、(B)、(C)に示した。
すなわち、図3の(A)は、本発明の4ポート自動切換えバルブの枠形仕切板132a〜132dの斜視図であり、同図(B)は、板状回動弁体134の斜視図であり、同図(C)は、形弁座133を示した部分拡大図である。
【0080】
図3の(C)に示すガスケット溝154には、低熱伝導性で、かつ、耐熱性の紐状ガスケット2條(2本)を枠形弁座133a〜133dの全周に嵌め込む。板状回動弁体134a及び134bが起動して図2に示す枠形仕切板132b及び132dに嵌合して停止する場合、板状回動弁体134a及び134bと枠形弁座133b及び133dとは、当該2條のガスケットを介して接触するようになっており、枠形弁座133と板状回動弁体134との接触面積は限界まで縮減されている。それゆえ、枠形仕切板132b及び132dと板状回動弁体134a及び134bとの間の熱の移動量は極めて少ない。
なお、枠形仕切板132a〜132d及び板状回動弁体134a及び134bの形状と構造は図3に示した形状と構造に限定されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において様々な形状と構造を採用し得る。
【0081】
(圧力調整用可動板)
図4は本発明の4ポート自動切換えバルブで、断面が円形である上記したものとは異なる他の実施形態の構成図、図5はその横断面図である。
【0082】
図において、流入ポートL1と流出ポートL3は、側板141に、流入/出ポート(1)L2と流入/出ポート(2)L4は、底板137に取付けられている例である。可動板150b及び150cは小室R3の内壁に沿って水平方向に移動可能な様に取付けられており、板状回動弁体134a、134bは小室R2と小室R4に配置するように回転軸138に取付けられている。
【0083】
図4及び図5に示す4ポート自動切換えバルブによって気体流路を切換える際には、板状回動弁体が開口部139aと139cを閉鎖する位置から起動させ、開口部139bと139dを閉鎖する位置にまで回動させる。その場合は、開口部139cはすでに閉鎖されているから、L2からL3への流れ及びL1からL4へ流れを乱すことなく、差圧調整を行う必要がある場合には、開口部139cの面積の例えば50%の位置に可動板150cを移動させておくことが好ましい。このようにして、板状回動弁体の動作時間が、例えば1秒ならば、可動板150cも1秒間で移動して、当該開口部139cの面積を100%に復帰させられる。
【0084】
(気体流路の切換え時の気体の流れの状況等、α型)
次に図7と図8を用いて本発明の4ポート自動切換えバルブの板状回動弁体134a及び134bを小室R2と小室R4に配置したα型バルブ(以下単に「α型」ということがある。)、及び、板状回動弁体を小室R1と小室R3に配置したβ型バルブ(以下単に「β型」ということがある。)における気体流路切換え時の気体の流れの状況と上下方向に移動する可動板の移動位置と流量調整と静圧調整についてさらに説明を加える。
【0085】
ここでは、本発明の4ポート自動切換えバルブを2基組み合わせて適用した回分式温度スイング吸着装置のバルブについて説明する。なお、主として第1バルブに対する説明となるが、第2バルブに対する説明も同様となるので詳しい説明は省略する。
【0086】
図7に示すα型では、板状回動弁体134a及び134bは、それぞれ小室R2及び小室R4内に配置されており、回動角度は90°である。そして、板状回動弁体134aが枠形仕切板132bの開口部139bを閉鎖して、かつ、板状回動弁体134bが枠形仕切板132dの開口部139dを閉鎖している位置にある場合を、板状回動弁体134の「nポジション」とし、板状回動弁体134aが枠形仕切板132aの開口部139aを閉鎖して、かつ、板状回動弁体134bが枠形仕切板132cの開口部139cを閉鎖している位置にある場合を板状回動弁体134の「sポジション」とする。
本発明における気体流路切換えとは、板状回動弁体のポジションをチェンジすること、すなわち、このnポジションとsポジションを交互にポジションチェンジすることなのである。また、この流路切換えとは、通気モードチェンジと同義である。
【0087】
気体流路切換え時、バルブの板状回動弁体134がnポジションにある時、気体流路切換え操作に入る直前までは、処理気体は流入専用ポートL1から流入して流入/出ポートL2から流出している。同時に再生気体は、流入/出ポートL4から流入して流出専用ポートL3から流出している。
【0088】
そして、流入ポートL1から流入する流量と流入/出ポートL4から流入する流量は流量の計測・調整手段により同流量に調整されている。また、開口部139aは100%開口しているから、圧力調整用可動板150aは0%の移動位置にあり、同じく開口部139cも100%開口しているから、圧力調整用可動板150cも0%の位置関係にある。
【0089】
気体流路切換え操作とは、上記したように、板状回動弁体134を、nポジションからsポジションに90°回動させ、処理気体は、流入専用ポートL1から流入して流入/出ポートL4から流出するようにし、同時に、再生気体を、流入/出ポートL2から流入させて流出ポートL3から流出させるようにする操作である。
L1から流入する流量とL2から流入する流量は流量の計測・調整手段により同流量に調整する。
【0090】
本発明においては、nポジションまたはsポジションにあった板状回動弁体134a及び134bが、ポジションチェンジを行うべく起動して、枠形弁座133b及び133dから離間した瞬間から、今まで流れていたL1からL2への流れと、L4からL3へは流れが即座に停止するようにするため、静圧を、その計測・調整手段により調整している。この様な静圧の調整によって、当該ポジションチェンジの短い間だけ、L1からR1及びR2を経てR3へ、さらにR3からL3への流れとL1からR1及びR4を経てR3へ、さらにR3からL3への流れ、すなわち、L1からL3への流れが発生する。
【0091】
図8(A)、(B)は、この切換え時にのみ発生する流入専用ポートL1から流出専用ポートL2への流れの発生状況を示すものである。ただし、図8は、90°回動すべき板状回動弁体134が、丁度中間の45°回動した時刻におけるL1から流入する処理気体の流れの状況を示すものである。
【0092】
ところで、板状回動弁体134が起動して、流入専用ポートL1から流出専用ポートL3への流れが発生した際、開口部は132a、132b、132c、132d、の4カ所となるからこのままでは流出ポートL3における静圧は上昇して、板状回動弁体134が停止して気体流路切換え(ポジションチェンジ)終了時には静圧が低下するという静圧変動が発生する。したがって、L3における静圧は、気体流路切換え前のL2からL3への流れにおける静圧に保持させる必要がある。
【0093】
静圧を保持させるには、板状回動弁体134を起動させる前に、開口部139b及び139dが必要な開口率となる位置に、圧力調整用可動板150b及び150dを移動させて予め調整しておけばよい。例えば開口率を70%とする必要があるならば、可動板150b及び150dを開口率が30%縮小する位置まで移動させておくのである。
【0094】
このように、本発明の4ポート自動切換えバルブは、流路切換え時(通気モードチェンジ時)に、圧力調整用可動板150b及び150dを移動させても、L1からL2への流れの状況及びL4からL3への流れの状況を何ら乱すことなく遂行できるという大きな特性を有している。本発明の4ポート自動切換えバルブは、このような特性を有しているため、単に空気清浄化装置にとどまらず、さらには、クリーン調温・調湿エア供給装置やドライ空気供給装置等の、後記するような回分式温度スイング吸着による各種の装置の構築を可能にしたものである。
【0095】
本発明においては、かくして、板状回動弁体134が90°回動してsポジションに到達した時刻には、開口部139b及び139dは100%の開口率となる必要があるから、板状回動弁体134の動作時間内で圧力調整用可動板150b及び150dは、30%の位置から0%の位置まで板状回動弁体134の動作に同期させて移動させる。
【0096】
もしも、ポジションチェンジのため、板状回動弁体134が起動してL1からL3への流れが発生してもL3における静圧変動が小さい場合は2枚の可動板150b又は150dのどちらか1枚の可動板のみによって開口部の調整を行うことで充分である。
可動板の駆動手段である駆動体は個々に取付けられており、又個別に駆動させられるから、2枚の可動板を同時に駆動させることも、どちらか1枚の可動板を駆動させることも可能である。
【0097】
逆に、板状回動弁体がsポジションにあって気体流路切換えを行う場合は、板状回動弁体134を起動させる前に、流入ポートL1から流入する処理気体の流量と、流入/出ポート(1)L2から流入する再生気体の流量とを、流量の計測・調整手段により調整し、また、流入ポートL1から流入/出ポート(2)L4への流れと、流入/出ポート(1)L2から流出ポートL3への流れが停止するように静圧の計測・調整手段で調整する。
【0098】
さらに、開口部139a及び139cが、板状回動弁体134の起動時と停止時に、L3における静圧が保持できるに必要な開口率となる位置に可動板150a及び150cを移動させる調整を行う。
【0099】
(気体流路の切換え時の気体の流れの状況等、β型)
図7に示すβ型においても、基本的にはα型と同様であるが、念のため、煩を顧みずに説明を加える。当該β型では、板状回動弁体134a及び134bは小室R3と小室R1内に配置されており、回動角度は90°である。そして、板状回動弁体134aが枠形仕切板132bの開口部139bを閉鎖して、且つ、板状回動弁体134bが枠形仕切板132dの開口部139dを閉鎖している位置にある場合を板状回動弁体134のnポジションとし、板状回動弁体134aが枠形仕切板132aの開口部139aを閉塞して、且つ、板状回動弁体134bが枠形仕切板132cの開口部139cを閉塞している場合を板状回動弁体134のsポジションとする。
【0100】
前述したα型の場合と全く同様にβ型の場合も板状回動弁体134がnポジションにあって、気体流路切換え操作に入る直前までは、処理気体はL1から流入してL2から流出している。同時に再生気体はL4から流入してL3から流出している。そして、L1から流入する流量とL4から流入する流量は流量の計測・調整手段により同流量に調整されている。
又、開口部139aは100%開口しているから、可動板150aは0%の移動位置にあり、開口部139cも100%開口しているから、可動板150cも0%の移動位置にある。
【0101】
気体流路切換え操作は、板状回動弁体134をnポジションからsポジションに90°回動させて、処理気体はL1から流入してL4に流出するように、同時に再生気体はL2から流入してL3から流出するようにする操作である。
【0102】
そして、板状回動弁体134a及び134bが起動して、枠形弁座133b及び133dから離間した瞬間からL1からL2への流れとL4からL3への流れが停止するように静圧の計測・調整手段により静圧調整する。この様な調整によってL1からL3への流れが発生する。
【0103】
ところで、板状回動弁体134が起動してL1からL3への流れが発生した際、開口部は132a、132b、132c、132dの4カ所となるから、このままではL3における静圧は上昇して板状回動弁体134が停止する気体流路切換え終了時には静圧が低下するという静圧変動が発生する。L3における静圧は流路切換え前のL2からL3への流れにおける静圧に保持させる必要がある。β型のバルブは板状回動弁体134aは小室R3内で、板状回動弁体134bは小室R1内で回動するためα型のそれに比べて静圧変動が大きくなる。とくに板状回動弁体が45°回動したとき、もっとも大きい。
【0104】
静圧を保持させるには板状回動弁体134を起動させる前に、開口部139b及び139dが必要な開口率となる位置に、可動板150b及び150dを移動させて予め調整しておく。
例えば、開口率を60%とする必要があるならば、可動板150b及び150dを、開口率が40%縮小する位置まで移動させておく。
【0105】
前述したように、本発明の4ポート自動切換えバルブは、可動板150b及び150dを移動させる際、L1からL2への流れの状況及びL4からL3への流れの状況を何ら乱すことなく遂行できるという特性を有している。β型のバルブにおいても同様で、この特性が各種の回分式温度スイング吸着による装置構築を可能にした。
【0106】
そして、板状回動弁体134が90°回動してsポジションに到達した時刻には、開口部139b及び139dは100%の開口率となる必要があるから、板状回動弁体134の動作時間内で可動板150b及び150dは30%の位置から、0%の位置まで板状回動弁体134に同期させて移動させる。
【0107】
もしも、板状回動弁体134が起動してL1からL3への流れが発生してもL3における静圧変動が小さい場合は、圧力調整用可動板150b又は150dのどちらか1枚の可動板によって開口部の調整を行うことで充分である。
【0108】
可動板の駆動体(駆動手段)は個々に取付けられており、又個別に駆動させられるから、2枚の可動板を同時に、駆動させることも、どちらか1枚の可動板を、駆動させることも可能である。
【0109】
逆に、板状回動弁体がsポジションにあって流路切換えを行う場合は、板状回動弁体134を起動させる前に、L1から流入する処理気体の流量とL2から流入する再生気体の流量とを流量の計測・調整手段により調整して、又、L1からL4への流れとL2からL3への流れが停止するように静圧の計測・調整手段で調整する。
【0110】
さらに、開口部139a及び139cが板状回動弁体134の起動時と停止時に、L3における静圧が保持できるに必要な開口率となる位置に可動板150a及び可動板150cを移動させる調整を行う。この調整を行う際、L1からL4への流れとL2からL3への流れの状況を何ら乱すことなく遂行できる。
【0111】
(第1バルブ及び第2バルブの組み合わせ使用)
本発明の4ポート自動切換えバルブは、α型であってもβ型であっても上記したような流路切換機能(通気モードチェンジ機能)を有しているが、実際に使用する場合は、二つのバルブを組み合わせて使用することが好ましい。
【0112】
図10〜12は、本発明の第1の適用例である図9に示す第1系列、第2系列からなる回分式温度スィング吸着による空気清浄化装置における第1の4ポート自動切換えバルブ(以下「第1バルブ」という。)、及び第2の4ポート自動切換えバルブ(以下「第2バルブ」ともいう。)内の通気モード切換え時の処理空気ダクト、再生空気ダクト、第1系列ダクト、第2系列ダクト、供給空気ダクト、排出空気ダクト及びそれぞれの内部に存在する空気の流れ方向を示す説明図である。
【0113】
なお、ここでは、第1バルブ、第2バルブともにα型とした。また、開口部の形状は正方形、当該面積は流入ポートL1の断面積の85%、板状回動弁体の面積は、当該開口部面積の1.2倍である。ただし、図10〜12は処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換える場合である。
【0114】
以下、図中において、処理空気の流れを「I」で、再生空気の流れを「I’」、第1バルブ108及び第2バルブ111で空気の流れが停止している状態をそれぞれ「II」と「II’」で表した。
【0115】
また、処理空気を第2系列から第1系列へ、再生空気を第1系列から第2系列へ切換える場合、図10〜12と同様となるゆえ、詳細な説明は省略した。すでに述べたように、処理空気や再生空気の通気を第1系列から第2系列へあるいは第2系列から第1系列への切換えを通気モード切換えと称する。
【0116】
図10(A)に示す第1バルブ108においては、処理空気ダクト流出空気155は、第1バルブ流入専用ポートL1から流入して、第1系列ダクトと接続している第1バルブ流入/出ポート(1)L2から流出している。一方、第2系列ダクト流出空気157は、第1バルブ流入/出ポート(2)L4から流入して、第1バルブ流出ポートL3から流出している。このとき、第1バルブの板状回動弁体134は図10(A)で示す様に0°のnポジションの位置にあって静止している。
【0117】
そして、図10(A)に示す第2バルブ111においては、再生空気ダクト流出空気161は第2バルブ流入専用ポートL1から流入して、第2系列ダクトと接続している第2バルブ流入/出ポート(2)L4から流出している。一方、第1系列ダクト流出空気159は、第2バルブ流入/出ポート(1)L2から流入して、第2バルブ流出ポートL3から流出している。このとき、第2バルブ板状回動弁体134は図10(A)で示す様に0°のsポジションの位置にあって静止している。
【0118】
図10〜12に示す第1バルブ108、第2バルブ111のいずれのバルブにおいて、流入ポートL1における圧力をPw、流入/出ポートL2における圧力をPx、流出ポートL3における圧力をPy、流入/出ポートL4における圧力をPzで表した。
【0119】
次に、流路切換えのためのポジションチェンジを行うべく、第1バルブ108及び第2バルブ111の駆動手段である電動モータ140を同時に作動させて第1バルブ板状回動弁体134は反時計まわりに回転(プラス回転)させ、第2バルブ板状回動弁体134は時計まわりに回転(マイナス回転)させる。両バルブの電動モータを作動させ始めて、第1バルブ板状回動弁体134が+22.5°、第2バルブ板状回動弁体134が−22.5°回転した状態を図10(B)に示す。
【0120】
通気モード切換えに先立って、前述した様に、第1バルブ108、第2バルブ111における処理空気の静圧をそれぞれの圧力センサ107、112によって計測し、これが等しくなるように静圧調整して、かつ、処理空気と再生空気の流量が等しくなるように流量調整する。したがって、図9に示すように、処理空気が第1バルブ108の流入/出ポート(1)L2から第1系列ダクト110を経て第2バルブ111の流入/出ポート(1)L2に至るまでに生ずる圧力損失と再生空気が第2バルブ111の流入/出ポート(2)L4から第2系列ダクト117を経て、第1バルブ108の流入/出ポート(2)L4に至るまでに生ずる圧力損失は等しくなる。
【0121】
それゆえ、通気モード切換えの操作を開始して第1バルブの板状回動弁体134及び第2バルブの板状回動弁体134がそれぞれ枠形仕切板から離間した瞬間から、第1バルブと第2バルブ間の第1系列側及び第2系列側の静圧は等しくなり、第1系列ダクト110及び第2系列ダクト117を流れていた空気の流れは停止する。
【0122】
そして直ちに処理空気は、第1バルブ流入ポートL1から流入して、第1バルブ流出ポートL3から流出する。一方、再生空気も直ちに第2バルブ流入ポートL1から流入して、第2バルブ流出ポートL3から流出する。このメカニズムはすでに図7〜8を用いて説明したとおりである。
【0123】
これが、例えば回分式温度スイング吸着による空気清浄化装置において、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を組み合わせて用いた場合、前述の通気モード切換え操作を遂行した際に発生する現象(効果)で、両バルブ(第1バルブ及び第2バルブ)の流出ポートL3から途切れることなく通気モード切換え操作前と同流量の空気が流出させられる。かかる現象は、すでに述べた図6に示すような従来の切換バルブ(及びそれを用いた切換方法)では到底達成することの出来ない顕著な効果というべきである。
【0124】
すなわち、図10(B)の状態においては、第1バルブ流入/出ポート(1)L2、同流入/出ポート(2)L4、第2バルブ流入/出ポート(1)L2、同流入/出ポート(2)L4の流れは停止する。
【0125】
(回動角度45°〜67.5°)
次に、第1バルブ板状回動弁体134及び第2バルブ板状回動弁体134の位置がそれぞれ+45°、−45°に達した状態を図11(C)に示した。この状態においても第1バルブ108と第2バルブ111間の第1系列ダクト110及び第2系列ダクト117を流れていた空気の流れは停止したままである。そして、処理空気及び再生空気の流れは保持されている。
【0126】
さらに、第1バルブ板状回動弁体134及び第2バルブ板状回動弁体134の位置が、それぞれ+67.5°、−67.5°に達した状態を図11(D)に示した。この状態においても第1バルブ108と第2バルブ111間の第1系列ダクト110及び第2系列ダクト117を流れていた空気の流れは(C)の状態と同じである。そして、処理空気及び再生空気の流れは保持されている。
【0127】
(通気モードチェンジ完了)
通気モード切換え操作が終了する状態、すなわち、第1バルブの板状回動弁体134が+90°、第2バルブの板状回動弁体134が−90°回転した状態を図12(E)に示した(第1バルブはn→sへ、第2バルブはs→nへのチェンジが完了した。)。同図第1バルブ108において、処理空気ダクト流出空気155は、第1バルブ流入ポートL1から流入して、第2系列ダクトと接続している第1バルブ流入/出ポート(2)L3から流出している。一方、第1系列ダクト流出空気159は、第1バルブ流入/出ポート(1)L2から流入して、第1バルブ流出ポートL3から流出している。
【0128】
そして、図12(E)で示す第2バルブ111において、再生空気ダクト流出空気161は第2バルブ流入ポートL1から流入して、第1系列ダクトと接続している第2バルブ流入/出ポート(1)L2から流出している。一方、第2系列ダクト流出空気157は第2バルブ流入/出ポート(2)L4から流入して、第2バルブ流出ポートL3から流出している。
【0129】
図12(E)の状態においても、処理空気、再生空気の静圧及び流量は図10(A)の状態と同等に保持されている。
一方、第1バルブ板状回動弁体134は+90°回転して、又第2バルブ板状回動弁体134は−90°回転して停止する。
【0130】
なお、通気モード切換え操作開始から終了までの時間は、圧力変動、流量変動の許容精度によって異なるため一概に限定できないが、通気モード切換え中に、第1バルブの流出ポートL3から排出空気ダクトに流れる空気は処理空気であり、第2バルブの流出ポートL3から供給空気ダクトに流れる空気は再生空気であるから短時間である程好ましく、通常0.1〜20秒、好ましくは0.1〜10秒、さらに好ましくは0.1〜5秒、最も好ましくは0.1〜1秒の範囲が好適である。
【0131】
一方、設計・製作上からα型バルブでは枠形仕切板132bと132c、又は132dと132aとが交叉する角度は、60°から120°の範囲が妥当である。60°未満になると、ポートの取付けが困難となる。従って、板状回動弁体134の回動角度は120°から60°となり、これに板状回動弁体134を枠形弁座133に密接するための押し付け角度2°を見込むと62°〜122°が実際の回動角度となる。
【0132】
又、図10(B)、図11(C)、(D)に示す様に、α型バルブにおいて、板状回動弁体134a及び134bが枠形仕切板132a〜132dから離間した状態における板状回動弁体134a及び134bと開口部139a〜139dの位置関係は、第1バルブ108においては処理空気ダクト流出空気155に対して、また、第2バルブ111においては再生空気ダクト流出空気161に対して、常に開度が100%となることはない。すなわち、板状回動弁体134a及び134bが処理空気ダクト流出空気155、再生空気ダクト流出空気161の流れに対して圧力損失を増加させる邪魔板となるという好ましい邪魔板効果を発生して、第1バルブ108を通過する処理空気ダクト流出空気155の圧力損失を増大させている。また、第2バルブ111を通過する再生空気ダクト流出空気161の圧力損失を増大させている。
【0133】
(定常運転期間と通気モード切換え時の圧力変動)
第1バルブ108の板状回動弁体134がnポジション、第2バルブ111の板状回動弁体134がsポジションにあって、第1系列で吸着操作、第2系列で再生操作が行われている期間において、図9に示す処理空気は、第1バルブ108の流入ポートL1から同バルブの流入/出ポート(1)L2を経て、第1系列ダクト110に流入して第1系列吸着材ユニット109を通過して、第2バルブ111の流入/出ポート(1)L2から同バルブの流出ポートL3に流れる。この間の圧力損失ΔP1は第1バルブ流入ポートL1における圧力Pw1と第2バルブ流出ポートL3における圧力Py1との差:ΔP1=Pw1−Py1である。
【0134】
一方、すでに説明したように、通気モード切換えに際しては、当該通気モード切換えに先立って、前述した静圧の計測・調整手段によって第1バルブの流入ポートL1における圧力、すなわち、処理空気の圧力Pw1と第2バルブの流入ポートL1における圧力、すなわち、再生空気の圧力Pw2とを等しくなるように調整している。それゆえ、通気モード切換え時の第2バルブ111の流入ポートL1と同バルブの流出ポートL3間の圧力損失ΔP2は第2バルブ111の流入ポートL1における圧力Pw2と通気モード切換え時の第2バルブ111の流出ポートL3における圧力Py2との差:ΔP2=Pw2−Py2=Pw1-Py2である。また、処理空気と再生空気の流量も、流量の計測・調整手段によって等しくしている。
【0135】
当然のことながら、ΔP1>ΔP2であるから、Py1<Py2となる。すなわち、通常は、通気モード切換えにより、差圧変動、すなわち、第2バルブ111の流出ポートL3における圧力が上昇するという非常に好ましくない変動が発生する。
【0136】
しかしながら、本発明の二つの4ポート自動切換えバルブを組み合わせて使用している図9の装置においては、第1系列吸着材ユニット109a及び109bを通過する間の圧力損失は、後記図13で示す〔適用例2〕、図14で示す〔適用例3〕に比べて小さい。それに加えて、前述したごとく、板状回動弁体134の回動時に発生する第2バルブ111の板状回動弁体134の邪魔板効果によってPy2≒Py1となるからPy2が大きくなるにもかかわらず、差圧変動巾は許容精度内に抑制できる。
【0137】
なお、第2バルブ111をβ型とした場合、前述のα型の場合よりもPy2が若干大きくなる。さらにまた、通気モード切換え時、第2バルブ111の流出ポートL3における差圧変動と同時に、第1バルブ108の流出ポートL3においても排出空気の流れに差圧変動が発生するが、同バルブの板状回動弁体134が回動時に生起する邪魔技効果によって差圧変動巾は、充分許容精度内に抑制できる。
【0138】
(ドライ空気供給装置における可動板の作用)
図13には、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備える回分式温度スイング吸着によるドライ空気供給装置180を示すが、当該装置に適用した場合における圧力調整用可動板の作用を示す。
【0139】
第1系列ダクト110には、第1系列No.1除湿ユニット163a、第1系列加熱器165a、第1系列冷却器166a、第1系列No.2除湿ユニット164a、第1系列分配器167aが接続されており、また、第2系列ダクト117には、第2系列No.1除湿ユニット163b、第2系列加熱器165b、第2系列冷却器166b、第2系列No.2除湿ユニット164b、第2系列分配器167bが接続されている。
【0140】
図13に示す処理空気は、第1バルブ108の流入ポートL1から同バルブの流入/出ポート(1)L2を経て、第1系列ダクト110に流入して第1系列No.1除湿ユニット163a、第1系列加熱器165a、第1系列冷却器166a、第1系列No.2除湿ユニット164a、第1系列分配器167aを通過して、第2バルブ111の流入/出ポート(1)L2から同バルブの流出ポートL3に流れる。この間の圧力損失ΔP1は、第1バルブ流入ポートL1における圧力Pw1と第2バルブ流出ポートL3における圧力Py1との差:ΔP1=Pw1―Py1である。
【0141】
一方、通気モード切換えに先立って、前述の静圧の計測・調整手段によって第1バルブの流入ポートL1における圧力、すなわち、処理空気の圧力Pw1と第2バルブの流入ポートL1における圧力、すなわち、再生空気の圧力Pw2とを等しくなるようにしている。また通気モード切換え前の第2バルブ111の流出ポートL3における圧力Py1と、通気モード切換え時の第2バルブ111の流出ポートL3における圧力Py2が等しくなるように可動板150aと150cを移動させて通気モード切換え前に差圧調整している。従って、第2バルブ111の流入ポートL1と同バルブの流出ポートL3間の圧力損失ΔP2は、通気モード切換え前と通気モード切換え時は等しくなり、ΔP2=Pw2-Py2=Pw1―Py1である。かくして、通気モード切換え時の差圧変動は、許容精度内に抑制できる。また、通気モード切換え終了までに、板状回動弁体134の動作と同期させて可動板150aと150cは開口部139aと139cの開口面積が100%となるようにそれぞれ0%の位置まで移動させる。
【0142】
もしも、通気モード切換え前に可動板150aと150cを移動させないで開口部139aと139cの開口面積を100%のままで、通気モード切換えを実行すると、ΔP1>ΔP2であるから、Py1<Py2となり、差圧変動、すなわち、第2バルブ111の流出ポートL3における圧力は上昇する変動が発生することになり、非常に好ましくない。
【0143】
また、通気モード切換え時には、第2バルブ111の流出ポートL3における差圧変動と同時に、第1バルブ108の流出ポートL3においても排出空気の流れに差圧変動が発生する。それを抑制するために、通気モード切換えに先立って可動板150bと150dを移動させて差圧調整することが行われる。さらに通気モード切換え終了までに、板状回動弁体134の動作と同期させて可動板150bと150dは開口部139bと139dの開口面積が100%となるように、それぞれ0%の位置まで移動させるようにする。
【0144】
(クリーン調温・調湿エア供給装置)
図14は、クリーン調温・調湿エア供給装置を示すが、当該クリーン調温・調湿エア供給装置190における通気モード切換え時の差圧変動も、上記図13のドライ空気供給装置の場合と同様に許容精度内に抑制できる。
【0145】
以上詳述したとおり、本発明の4ポート自動切換えバルブは、好ましくは、図1〜2及び図4〜5に示した圧力調整用可動板150と、その駆動体(駆動手段)151を備え、かくして、開口部の開口率を変更できる手段を備えているものであるから、切換え操作開始に先立って、その時点の流れの状態を何ら乱すことなく所定開口率に設定でき、静圧変動、差圧変動、流量変動を許容精度内に抑制することができるという従来の切換バルブにおいては持ち得ない新規な特性を備えた画期的な切換えバルブであると云わざるを得ない。
【0146】
〔適用例1〕(空気浄化装置への適用例)
図9は本発明の4ポート自動切換えバルブを、第1系列及び第2系列からなる空気清浄化装置130に適用した例を示すものであって、当該第1系列のバルブ(「第1バルブ」108という。)と第2系列のバルブ(「第2バルブ」111という。)として適用したものである。
【0147】
当該第1バルブ108の流入ポートL1は、処理空気ダクト106と、同流入/出ポート(1)L2は、第1系列ダクト110と接続し、同流入/出ポート(2)L4は第2系列ダクト117と、同流出ポートL3は、排出空気ダクト113と、それぞれ接続している。
【0148】
また、第2バルブ111の流入ポートL1は、再生空気ダクト120と、同流入/出ポート(1)L2は、第1系列ダクト110と、同流入/出ポート(2)L4は第2系列ダクト117と、同流出ポートL3は供給空気ダクト115と、それぞれ接続している。
【0149】
さらに、処理空気ダクト106には処理空気口101、処理空気フィルタ102、処理空気ブロワ103、処理空気流量センサ104、処理空気ダンパ105が配設されている。
【0150】
さらにまた、第1系列ダクト110には、第1系列吸着材ユニット109a及び109bが配設されている。なお、第1系列吸着材ユニット109aは塩基性分子状汚染物質を、第1系列吸着材ユニット109bは、酸性及び/又は有機性分子状汚染物質を、選択的に吸着除去する性能を持つハニカム状、プリーツ状、コルゲート状の吸着材を収納した容器である。塩基性物質を選択的に吸着する材料としては、チタン及びケイ素からなる二元系複合酸化物、チタン及びジルコニウムからなる二元系複合酸化物、チタン、ケイ素、ジルコニウムからなる三元系複合酸化物等が使用できる。また、有機性物質及び/又は酸性物質を選択的に吸着する材料としては活性炭、活性コークス、グラファイトカーボン、活性炭素繊維、ゼオライト、シリカゲル等が使用できる。
【0151】
第2系列ダクト117には、第2系列吸着材ユニット118a及び118bが配設されている。第2系列吸着材ユニット118a及び118bも第1系列と同様の構成である。
【0152】
なお、図9の空気清浄化装置130には、すでに述べた理由により、必ずしも圧力調整用可動板とその駆動体は必要でないため、これらを備えていない4ポート自動切換えバルブを2基用いた。これらはいずれもα型である。
【0153】
(再生空気、供給空気、排出空気、処理空気)
再生空気に関する再生空気ダクト120には、再生空気口119、再生空気フィルタ121、再生空気ブロワ122、再生空気流量センサ123、再生空気ダンパ124、再生空気冷却器125、再生空気加熱器127が配設され再生手段を構成している。
【0154】
供給空気に関する供給空気ダクト115には、供給フィルタ128と供給空気口116が、また、排出空気に関する排出空気ダクト113には排出空気口114が配設されている。通気モード切換えを自動的に行い、圧力、流量の変動を許容精度内に抑制するために、切換え制御器129を備えている。
【0155】
処理空気は、図9に示すように、処理空気口101から空気清浄化装置130に流入して第1バルブ108から第1系列ダクト110を流れ、第2バルブ111を経て、供給空気口116から冷凍サイクルに用いる温調・調湿装置(図示しない)に供給される。
【0156】
再生空気は、再生空気口119から空気清浄化装置130に流入して、所定の流量、温度に調整して第2バルブ111から第2系列ダクト117を流れ、第1バルブ108を経て、排出空気口114から排出する。
【0157】
以上図9から明らかなごとく、本発明の4ポート自動切換えバルブを2基用いた本発明における空気清浄化装置の構成によれば、図6に示す従来の空気清浄化装置で必須であった8個の開閉弁と分岐/合流点8カ所の全てを無くすことができる。また、図6の従来の装置において吸着ユニットの上流側と下流側に必要であった各2系統のダクトもすべて無用となったのである。
【0158】
(定常操作)
図9においては、現在、定常操作として第1系列で吸着操作、第2系列で再生操作が行われている通気モードであるから、第1バルブ108から第1系列ダクト110に流入した処理空気は、第1系列吸着材ユニット109b及び109aを通過する間で、分子状汚染物質が所定濃度まで吸着除去されて、清浄化される。
【0159】
一方、第2バルブ111から第2系列ダクト117に流入した再生空気は、脱離操作において再生空気加熱器127で所定温度に加熱されて第2系列吸着材ユニット118a及び118bを通過する間で吸着されている分子状汚染物質を脱離して第1バルブ108から排出空気ダクト113に流入して排出空気口114から排出される。
【0160】
この間、再生空気冷却器125は、休止している。次の冷却操作において再生空気は再生空気冷却器125で所定温度に冷却されて吸着材ユニット118a及び118bを通過する間で、脱離操作において加熱され昇温した吸着材を処理空気の温度付近まで冷却する。
第1バルブ108及び第2バルブ111の筐体部を構成する側板、天板、底板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体は、好ましくは断熱機能を備えているゆえ、処理空気(供給空気)と再生空気との間の熱の移動は抑制される。
【0161】
(通気モードの切換え)
さて、図9において、通気モードの切換え操作は、処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換えて通気させる操作であって、第1バルブ108と第2バルブ111とを切換え制御器からの出力信号によって、設定時刻において、同時に、かつ、短時間作動させて自動的に行う操作である。
【0162】
他方、切換え操作に先立って、処理空気流量センサ104、第1バルブ圧力センサ107、再生空気流量センサ123、第2バルブ圧力センサ112、処理空気ブロワ103、処理空気ダンパ105、再生空気ブロワ122、再生空気ダンパ124、の計測・調整手段と切換え制御器129とによって、処理空気の流量と圧力及び再生空気の流量と圧力は以下の様に自動的に調整される。
【0163】
処理空気の流量と圧力及び再生空気の流量と圧力の調整に際しては、切換え制御器129に処理空気流量センサ104による流量の計測値F1と再生空気流量センサ123による流量の計測値F2が、又、第1バルブ圧力センサ107による圧力の計測値P1と第2バルブ圧力センサ112による圧力の計測値P2が入力される。
【0164】
それらの計測値をもとにして演算処理が行われて、処理空気ブロワ103には制御信号G4が、処理空気ダンパ105には制御信号G3が切換え制御器129から出力される。又、再生空気ブロワ122には制御信号G7が、再生空気ダンパ124には制御信号G6が切換え制御器129から出力される。
【0165】
処理空気の流量と圧力及び再生空気の流量と圧力の調整終了後、切換え制御器129から、第1バルブ108の電動モータと第2バルブ111の電動モータに同時に駆動用の制御信号G1とG2とが出力され、第1バルブ108の板状回動弁体は反時計まわりに、また、第2バルブ111の板状回動弁体は時計まわりに同時に起動して、0.75秒間で90°回動して同時に停止して、通気モード切換え操作は終了する。
この0.75秒間の切換え時間内で供給空気の流量変動、圧力変動はいずれも5%以内に抑制されている。
【0166】
この切換えによって第1系列には再生空気が、第2系列には処理空気が流れるようになる。そして処理空気や再生空気が流れないで滞留したままになる、いわゆる「たまり」や「淀み」箇所は全く生じない。
【0167】
なお、処理空気を第2系列から第1系列へ、再生空気を第1系列から第2系列へ切換える通気モード切換え操作も上記と同様に行われることは明らかであるので、詳しい説明は省略する。
【0168】
〔適用例2〕(回分式温度スィング吸着によるドライ空気供給装置への適用例)
図13は、本発明の4ポート自動切換えバルブを、第1系列及び第2系列からなる回分式温度スイング吸着によるドライ空気供給装置180に適用した例であって、当該4ポート自動切換えバルブを第1系列のバルブ(第1バルブ108)及び第2系列のバルブ(第2バルブ111)として2基を備えるドライ空気供給装置180の説明図である。
【0169】
(処理空気、排出空気、再生空気、供給空気、)
第1バルブ108の流入ポートL1は、処理空気ダクト106と、同流入/出ポート(1)L2は第1系列ダクト110と、同流入/出ポート(2)L4は、第2系列ダクト117と、同流出ポートL3は排出空気ダクト113と、それぞれ接続している。
【0170】
また、第2バルブ111の流入ポートL1は、再生空気ダクト120と、同流入/出ポート(1)は第1系列ダクト110と同流入/出ポート(2)L4は第2系列ダクト117と、同流出ポートL3は、供給空気ダクト115と、それぞれ接続している。
なお、図13のドライエア供給装置180には可動板とその駆動体を備えた4ポート自動切換えバルブを2基用いた。いずれもα型である。
【0171】
さらに、処理空気ダクト106には、処理空気口101、処理空気フィルタ102、処理空気ブロワ103、処理空気流量センサ104、処理空気ダンパ105が配設されている。
【0172】
また、第1系列ダクト110には、第1系列No.1除湿ユニット163a、同No.2除湿ユニット164a、第1系列加熱器165a、同冷却器166a、第1系列分配器167aが配設されており、第2系列ダクト117には、第1系列と同じ機器が配設されている。
【0173】
各除湿ユニットは空気中の水分を吸着除去する性能を持つハニカム状、プリーツ状、コルゲート状、の吸着材を収納した容器である。かかる吸着材としては、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ等が使用できる。
【0174】
再生空気は、第1系列ダクト113と第2系列ダクト117の両ダクトから分岐して取り入れられるようダクトを配置する。すなわち、第1系列No.2除湿ユニット164aの下流に設置されている第1系列分配器(分岐点)167aで第1系列ダクト110と第1系列再生空気ダクト120aを分岐する。第1系列再生空気ダクト120aには、第1開閉弁168を設置する。
【0175】
同様に、第2系列No.2除湿ユニット164bの下流に設置されている第2系列分配器(分岐点)167bで第2系列ダクト117と第2系列再生空気ダクト120bを分岐する。第2系列再生空気ダクト120bには第2開閉弁169を設置する。
【0176】
次いで、第1系列再生空気ダクト120aと第2系列再生空気ダクト120bを集合して再生空気ダクト120とする。再生空気ダクト120には、再生空気冷却器125、再生空気ブロワ122、再生空気予熱器126、再生空気加熱器127、を配設する。
【0177】
供給空気ダクト115には、供給空気フィルタ128と供給空気ブロワ175、供給空気口116が配設され、排出空気ダクト113には排出空気口114が配設されている。
さらに、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備えるドライエア供給装置180においては、通気モード切換えを自動的に行い、圧力と流量に加えて差圧の変動を許容精度内に抑制するために、切換え制御器129を備えている。
【0178】
(処理空気)
図13に示すように、処理空気は、これを処理空気口101からドライエア供給装置180に流入させて、第1バルブ108から、第1系列ダクト110に流し、第1系列No.1除湿ユニット163a、第1系列冷却器166a、第1系列No.2除湿ユニット164aを経て、第1系列分配器167aで2分して第1系列ダクト110と第1系列再生空気ダクト120aに等流量ずつ流す。処理空気は、両除湿ユニット163a、164aを通過する間で所定露点、例えば−100℃の湿度まで水分が除去され、さらに、第1系列ダクト110を流れて第2バルブ111を経て、供給空気となる。当該供給空気は、供給空気口116から次の装置に供給される。なお、供給空気ブロワ175は、必要に応じて取付けるものである。これを取付ける場合は、機外から外気を吸引しない高機密性の機種を選定することが好ましい。
【0179】
(再生空気)
図13においては、第1系列で吸着操作が行われ、第2系列で再生操作が行われている状態を示す。
【0180】
図13に示すように、再生空気は、第1系列分配器167aから第1系列再生空気ダクト120aに流入して開状態にある第1開閉弁168を流下して第2系列再生空気ダクト120bとの合流点から再生空気ダクト120に流入し、再生空気冷却器125、再生空気ブロワ122、再生空気予熱器126、再生空気加熱器127を経て、第2バルブ111から第2系列ダクト117に流入する。
【0181】
図13において、再生空気は第2系列分配器167bを経て、第2系列No.2除湿ユニット164b、第2系列冷却器166b、第2系列加熱器165b、第2系列No.1除湿ユニット163bの順に流下して、第1バルブ108に流入する。第1バルブ108から排出空気ダクト113に流入し、再生空気予熱器126を経て排出空気口114から系外に排出される。この際、第2開閉弁169は閉状態にあるから、第2系列再生空気ダクト120b内に再生空気は流れない。この状況を図13では破線で示した。
【0182】
図13においては、第1系列で吸着操作が行われ、第2系列で再生操作が行われている通気モードの状態であるから、第1系列加熱器165aにおける加熱は休止しており、第1系列冷却器166aにおける冷却は作動している。また、第2系列で行われている再生操作が脱離操作の場合は、再生空気加熱器127は作動しており、第2系列冷却器166bにおける冷却は休止しており、第2系列加熱器165bにおける加熱は作動している。
【0183】
さらに、第2系列で行われている再生操作が冷却操作の場合は、再生空気冷却器125と第2系列冷却器166bは作動しているが、再生空気加熱器127、第2系列加熱器165bは休止している。
【0184】
なお、図13においても、第1バルブ108及び第2バルブ111に流入する処理空気(供給空気)と再生空気との温度はかなり相異しているから、通常は熱の移動が発生しうる。しかしながら、本発明の4ポート自動切換えバルブにおいては、そのバルブの側板、天板、底板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体は、好ましくは断熱機能を備える構成とされているため、実質的に処理空気(供給空気)と再生空気との間の熱の移動は抑制される。
【0185】
(通気モードの切換え)
通気モードの切換え操作は、図13の装置において、処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換えて通気させる操作であって、第1バルブ108と第2バルブ111とを切換え制御器からの出力信号によって、設定時刻において、同時に、かつ、短期時間作動させて自動的に行う操作である。
【0186】
他方、第1系列で吸着操作を行い、第2系列で再生操作を行う通気モードを、第1系列で再生操作を行い、第2系列で吸着操作を行う通気モードに切換える場合は、切換え操作に先立って、処理空気流量センサ104、第1バルブ圧力センサ107、第2バルブ圧力センサ112、処理空気ブロワ103、処理空気ダンパ105、の計測・調整手段と切換え制御器129とによって、処理空気の流量と圧力、及び再生空気の流量と圧力は以下の様に自動的に調整される。
【0187】
すなわち、処理空気の流量と圧力及び再生空気の流量と圧力の調整に際しては、切換え制御器129に処理空気流量センサ104による流量の計測値F1と再生空気流量センサ123(図示せず)による流量の計測値F2(図示せず)が、又、第1バルブ圧力センサ107による圧力の計測値P1と第2バルブ圧力センサ112による圧力の計測値P2が入力される。
【0188】
それらの計測値をもとにして演算処理が行われて、処理空気ブロワ103には制御信号G3が、処理空気ダンパ105には制御信号G8が、それぞれ切換え制御器129から出力される。
【0189】
次に、第1バルブの流入ポートL1と同バルブの流出ポートL3間の差圧は、板状回動弁体134がnポジションにある第1バルブの圧力調整用可動板150bと150dを切換え制御器129からの出力信号G7によって所定位置まで移動させて調整される。また、第2バルブの流入ポートL1と同バルブの流出ポートL3間の差圧は、板状回動弁体134がsポジションにある第2バルブの可動板150a′と150c′を切換え制御器129からの出力信号G10によって所定位置まで移動させて調整される。その後、切換え制御器129によって第1バルブ108と第2バルブ111とを同時に、かつ、短時間作動させて処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換えるから、供給空気の流量変動及び圧力変動及び差圧変動を5%以内に抑制できる。5%以内の変動とは、通常の操業における変動精度であって、供給空気のこれらの変動が次工程の操業に支障を生じることはないと想定される値である。
【0190】
なお、処理空気を第2系列から第1系列へ、再生空気を第1系列から第2系列へ切換える通気モード切換え操作も上記と同様に行われる。
【0191】
(作用及び効果)
第2系列No.2除湿ユニット164b及び第2系列No.1除湿ユニット163bの吸着材を脱離再生に用いて第1バルブ108に流入した再生空気の温度は通常50℃以上であるため、排出空気ダクト113に流入した後、再生空気予熱器126に通して、再生空気ダクト120から空気予熱器126に流入させた常温の再生空気と熱交換させて、再生空気を昇温させる予熱が可能となる。一方で排出空気となる再生空気を降温させる熱回収が行われる。したがって、これを設置することにより、再生空気加熱器127における加熱量が節減でき、省エネとなる。
【0192】
一方、本発明の4ポート自動切換えバルブを2基備える回分式温度スイング吸着によるドライエア供給装置180においては、第1系列No.2除湿ユニット164aを通過した空気を2分しているから、第1系列ダクト110から第2バルブ111へ流入して供給空気となる空気中の水分濃度(絶対温度)と切換え時に第2バルブ111へ流入する再生空気中の水分濃度(絶対湿度)とは同一であるため、通気モード切換え操作によって水分濃度の変動は全く発生しない。また、図13の第2系列再生空気ダクト120b内に滞留している空気も供給空気の水分濃度(絶対湿度)と同一であるため、通気モード切換え操作によって水分濃度の変動は発生しない。
【0193】
また、第1系列No.2除湿ユニット164aを通過した空気を、再生空気として加熱してから第2系列No.2除湿ユニット164b及びNo.1除湿ユニット163bに通気して脱離に用いているから、徹底した脱離・再生が実施でき、供給空気であるドライ空気中の水分濃度は安定しており、常に−80℃以下の露点の空気が供給できる。
【0194】
〔適用例3〕(回分式温度スィング吸着によるクリーン調湿・調温エア供給装置への適用)
図14は、本発明の4ポート自動切換えバルブを、第1系列及び第2系列からなる回分式温度スイング吸着によるクリーン調温・調湿エア供給装置190に適用した例であって、当該第1系列のバルブ(「第1バルブ」108という。)と第2系列のバルブ(「第2バルブ」111という。)として適用したものである。
【0195】
第1バルブ流入ポートL1は、処理空気ダクト106と、同流入/出ポート(1)L2は第1系列ダクト110と接続し、同流入/出ポート(2)L4は、第2系列ダクト117と同流出ポートL3は排出空気ダクト113と、それぞれ接続している。
【0196】
また、第2バルブ流入ポートL1は、再生空気ダクト120と、同流入/出ポート(1)L2は、第1系列ダクト111と、同流入/出ポート(2)L4は、第2系列ダクト117と、同流出ポートL3は供給空気ダクト115と、それぞれ接続している。
【0197】
なお、図14のクリーン調温・調湿エア供給装置190の第1バルブ108と第2バルブ111には可動板とその駆動体を備えた4ポート自動切換えバルブを用いた。これらはいずれもα型とした。
【0198】
(再生空気、供給空気、処理空気、再生空気)
また、第1系列ダクト110には、第1系列清浄化ユニット170a、同第1系列No.1除湿ユニット163a、第1系列加熱器165a、が配設されている。
【0199】
再生空気ダクト120には、再生空気口119、再生空気フィルタ121、再生空気ブロワ122、再生空気流量センサ123、再生空気ダンパ124、再生空気冷却器125、再生空気加熱器127、再生空気予熱器126が配設され、再生手段が構成されている。
【0200】
供給空気ダクト115には供給空気冷却器173、供給空気加湿器174、供給空気ブロワ175、供給空気口116、が配設され、排出空気ダクト113には再生空気予熱器126と排出空気口114が配設されている。
【0201】
さらに、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備えるクリーン調温・調湿エア供給装置190においては、通気モード切換えを自動的に行い、圧力と流量に加えて、差圧の変動を許容精度内に抑制するために、切換え制御器129を備えている。
【0202】
図14において、処理空気を処理空気口101からクリーン調温・調湿エア供給装置190に流入させて、第1バルブ108から第1系列ダクト110に流下させ、第1系列清浄化ユニット170a、第1系列加熱器165aを経て、第1系列No.1除湿ユニット163aに流す。処理空気は、当該清浄化ユニット170aを通過する間で所定濃度まで分子状汚染物質は除去され、さらに当該除湿ユニット163を通過する間で水分も所定露点の湿度を下まわる程度まで除去されて、第2バルブ111を経て供給空気冷却器173で調温され、供給空気加湿器174で湿度調整され、供給空気ブロワ175で昇圧された後、供給空気となって供給空気口116から供給される。
【0203】
図14のクリーン調湿・調温エア供給装置190で用いる清浄化ユニット170a、170bは、図6及び図9で用いた清浄化ユニット109、118と同様のハニカム状吸着材を収納した容器である。又、除湿ユニット163は、図13のドライ空気供給装置180で用いたNo.1除湿ユニット163a、163bと同様にハニカム状の除湿用吸着材を収納した容器である。
【0204】
再生空気は再生空気口119からクリーン調温・調湿エア供給装置190に流入して所定の流量、温度に調整して第2バルブ111から第2系列ダクト117を流れ、第1バルブ108を経て排出空気口114から排出する。
【0205】
図14においては、第1系列で吸着操作が行われ、第2系列で再生操作が行われているから、第1系列加熱器165aにおける加熱は休止しており、第2系列の再生操作が脱離操作の場合は、再生空気加熱器127と第2系列加熱器165bにおける加熱は作動している。また、第2系列で行われている再生操作が冷却操作の場合は、再生空気冷却器125は作動しているが、再生空気加熱器127と第2系列加熱器165bは休止している。
【0206】
さらにまた、すでに述べた装置に適用する場合と同様にして、図14の装置においても、第1バルブ108、第2バルブ111に流入、流出する処理空気(供給空気)と再生空気(排出空気)との温度はかなり相異しているから、熱移動が発生しうる。
【0207】
しかしながら、本発明の4ポート自動切換えバルブにおいては、そのバルブの筐体部を構成する側板、天板、底板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体は、好ましくは、断熱機能を備えるように構成されているため、処理空気(供給空気)と再生空気(排出空気)との間の熱移動は、実質的に抑制される。
【0208】
また、第1バルブ108及び第2バルブ111の板状回動弁体134(図3参照)と枠形弁座133(図3参照)は枠形弁座133に設置した2條のガスケット溝154に嵌め込んだガスケットを介して密接しているから、処理空気(供給空気)と再生空気(排出空気)は圧力が相異していても圧力が高い側から低い側への漏入は発生しない。さらにまた、板状回動弁体134と枠形仕切板132との間の熱移動は僅かである。
【0209】
(通気モード切換え)
通気モードの切換え操作は、図14において、処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換えて通気させる操作であって、第1バルブ108と第2バルブ111とを切換え制御器129からの出力信号によって、設定時刻において同時に、かつ、短時間作動させて自動的に行う操作である。
【0210】
他方、切換え操作に先立って、処理空気流量センサ104、再生空気流量センサ123、第1バルブ圧力センサ107、第2バルブ圧力センサ112、処理空気ブロワ103、処理空気ダンパ105、処理空気冷却器171、再生空気ブロワ122、再生空気ダンパ124、再生空気冷却器125、流量と圧力の計測・調整手段と切換え制御器129とによって、処理空気の流量と圧力、及び再生空気の流量と圧力は自動的に調整される。
切換制御器129への計測信号の入力、制御信号の出力は、適用例1及び適用例2について詳述したものと同様である。
【0211】
さらに、第1バルブの板状回動弁体134は、nポジション(図7参照)にあるから、第1バルブの可動板150bによって、一方、第2バルブの板状回動弁体134はsポジション(図7参照)にあるから、第2バルブの可動板150c′によって、第1バルブの流入ポートL1と流出ポートL3間の差圧及び第2バルブの流入ポートL1と流出ポートL3間の差圧も自動的に調整される。図14には記載していないが、大気圧、相対湿度、温度等の計測信号も、切換え制御器129に入力される。
【0212】
(作用及び効果)
本発明の4ポート自動切換えバルブを備えた装置においては、この様に、処理空気の流量と圧力、及び再生空気の流量と圧力を調整して、さらに、第1バルブの流入ポートL1と流出ポートL3間の差圧及び第2バルブの流入ポートL1と流出ポートL3間の差圧を調整して、切換え制御器129によって第1バルブ108と第2バルブ111とを同時に、かつ、短時間動作させて処理空気を第1系列から第2系列へ、再生空気を第2系列から第1系列へ切換えるから、供給空気の圧力変動は、適用例1及び適用例2と同様に、数%以内に抑制できる。また、供給空気の温度変動も±1℃以内に抑制できる。さらに、図14に示すクリーン調温・調湿エア供給装置190には、淀み箇所がないから、分子状汚染物の濃度変動も許容精度内である。
【0213】
(実測データ)
図15は、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備えた図14に示すクリーン調温・調湿エア供給装置における実際のデータであって、第2バルブ111の流入ポートL1及び流出ポートL3に高速サンプリング機能をもつ圧力センサを取付けて通気モード切換え操作を開始して終了するまでの間で計測・記録した圧力変動状況を示すグラフである。
【0214】
同図において、Pwは第2バルブL1における静圧、Pyは第2バルブL3における静圧である。このグラフにおいて、明瞭に示されているように、本発明のバルブにおいては、切換え時間0.775秒、回動角度92°の切換え操作を実行しても、再生空気の静圧(=供給空気の静圧)の変動をわずか5%以内に、また、差圧:Pw−Pyの変動も5%以内に抑制できることを示している。
【0215】
さらにまた、切換え操作に先立って流量の計測・調整を行ったから、流動変動は許容精度内である。このように、差圧:Pw−Pyが切換え時間内でほぼ一定であることは、流量が一定に保持されていることを示している。
【0216】
図15のデータを精査すれば、本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を組み合わせて使用する回分式温度スイング吸着によるクリーン調温・調湿エア供給装置等のシステムに、前述した通気モード切換え方法を適用すれば、従来回分式温度スイング吸着による各種システムの実用化上最大の難題とされて来た切換え時の流量変動、圧力変動、及び差圧変動のすべて許容精度以内とすることができる画期的な技術であると結論せざるを得ない。
【0217】
なお、本発明においては、クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備に、清浄化空気、ドライ空気、クリーン調温・調湿エア、清浄化窒素ガス、ドライ窒素ガス、又はクリーン調温・調湿窒素ガスを供給する方法が好適に適用される。
【0218】
また、本発明においては、空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、清浄化窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置、及びクリーン調温・調湿窒素ガス供給装置の少なくとも一つを備える、クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備が好適対象となる。
【産業上の利用可能性】
【0219】
本発明の4ポート自動切換えバルブによれば、当該バルブは2基のみによって、同等の吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着(TSA)システムを構築することができる。
【0220】
本発明の4ポート自動切換えバルブは、その筐体部を構成する天板、底板、側板、枠形仕切板、回転軸、板状回動弁体は断熱機能を備えることができるから、当該バルブ内高温の再生気体と低温の処理気体や供給気体が同時に隣接して流れても高温気体から低温気体への熱の移動は抑制されており、吸着除去、脱離・再生は影響されることはなく、同時に実施できる。
【0221】
加えて、通気モード切換えに先立っては切換え制御器の出力信号によって、処理気体と再生気体の流量、圧力(静圧)、差圧はいずれも同流量、同静圧、同差圧に制御されており、さらに、2基の切換えバルブの駆動モータは同時に起動し、同時に停止するよう、しかも0.1〜20秒の短時間で動作するから、切換え時の流量と静圧と差圧の変動は許容精度内である。
【0222】
本発明の4ポート自動切換えバルブを用いれば、クリーン・ルーム、クリーン・チャンバ、ミニエンバイロメントに供給する分子状汚染物質をppbレベルまで除去した空気や窒素ガスの清浄化装置、分子状汚染物質を除去してさらに調温・調湿したクリーン調温・調湿エア供給装置、クリーン調温・調湿窒素ガス供給装置や、露点−80℃以下まで水分を除去したドライ空気やドライ窒素ガスを供給する装置などにおいて、切換え時の流量、静圧、差圧の変動を許容精度内に抑制して供給する回分式温度スイング吸着による装置を提供することが可能となる。
【0223】
以上のごとく本発明の4ポート自動切換えバルブの産業上の利用可能性はきわめて大きいといわざるをえない。
【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】本発明の4ポート自動切換えバルブの一実施形態を示す側面一部を縦断面図とした説明図である。
【図2】本発明の4ポート自動切換えバルブの一実施形態を示す横断面図である。
【図3】図1及び2に示した枠形仕切板、板状回動弁体、枠形弁座を、さらに具体的に斜視図及び部分拡大図により示す説明図である。
【図4】本発明の4ポート自動切換えバルブで、断面が円形である構成のものを示す側面図である。
【図5】図4に示したバルブの横断面図である。
【図6】従来の回分式温度スイング吸着による空気清浄化装置の説明図である
【図7】本発明の4ポート自動切換えバルブの二つのタイプ(α型及びβ型)の横断面図である。
【図8】本発明の4ポート自動切換えバルブ内における系列切換え(吸着・再生系列の切換え)時の処理気体の流れの状況を示す説明図であり、(A)は一部切開斜視図、(B)は横断面図である。
【図9】本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備える第1系列及び第2系列からなる空気清浄化装置の説明図である。
【図10】通気モード切換え時における空気(処理空気及び再生空気)の流れ方向を示す説明図である。
【図11】通気モード切換え時における空気(処理空気及び再生空気)の流れ方向を示す説明図である。
【図12】通気モード切換え時における空気(処理空気及び再生空気)の流れ方向を示す説明図である。
【図13】本発明の4ポート自動切換えバルブ2基を備える回分式温度スイング吸着によるドライ空気供給装置を示す説明図である。
【図14】本発明の4ポート自動切換えバルブを2基備える回分式温度スイング吸着によるクリーン調温・調湿エア供給装置を示す説明図である。
【図15】本発明の4ポート自動切換えバルブを備えたクリーン調温・調湿エア供給装置における吸着・再生系切換え時の供給空気の圧力変動状況を示すグラフである。
【符号の説明】
【0225】
101: 処理空気口
102: 処理空気フィルタ
103: 処理空気ブロワ
104: 処理空気流量センサ
105: 処理空気ダンパ
106: 処理空気ダクト
107: 第1バルブ圧力センサ
108: 第1バルブ(第1系列バルブ)
109: 第1系列吸着材ユニット
110: 第1系列ダクト
111: 第2バルブ(第2系列バルブ)
112: 第2バルブ圧力センサ
113: 排出空気ダクト
114: 排出空気口
115: 供給空気ダクト
116: 供給空気口
117: 第2系列ダクト
118: 第2系列吸着材ユニット
119: 再生空気口
120: 再生空気ダクト
121: 再生空気フィルタ
122: 再生空気ブロワ
123: 再生空気流量センサ
124: 再生空気ダンパ
125: 再生空気冷却器
126: 再生空気予熱器
127: 再生空気加熱器
128: 供給空気フィルタ
129: 切換え制御器
130: 空気清浄化装置(図9)
131: 駆動部(駆動手段)
132a〜132d: 枠形仕切板
133a〜133d: 枠形弁座
134a、134b: 板状回動弁体
135: 筐体部
136: 天板
137: 底板
138: 回転軸
139a〜139d: 開口部
140: 電動モータ
141: 側板
150a〜150d: 第1バルブ(圧力調整用又は開口率変更用)可動板
150a′〜150d′: 第2バルブ(圧力調整用又は開口率変更用)可動板
151a〜151d: 第1バルブ駆動体
151a′〜151d′: 第2バルブ駆動体
154: ガスケット溝
155: 処理空気ダクト流出空気
156: 第1系列ダクト流入空気
157: 第2系列ダクト流出空気
158: 排出ダクト流入空気
159: 第1系列ダクト流出空気
160: 供給空気ダクト流入空気
161: 再生空気ダクト流出空気
162: 第2系列ダクト流入空気
163a: 第1系列No.1除湿ユニット
163b: 第2系列No.1除湿ユニット
164a: 第1系列No.2除湿ユニット
164b: 第2系列No.2除湿ユニット
165a: 第1系列加熱器
165b: 第2系列加熱器
166a: 第1系列冷却器
166b: 第2系列冷却器
167a: 第1系列分配器
167b: 第2系列分配器
168: 第1開閉弁
169: 第2開閉弁
170a: 第1系列清浄化ユニット
170b: 第2系列清浄化ユニット
171: 処理空気冷却器
173: 供給空気冷却器
174: 供給空気加湿器
175: 供給空気ブロワ
180: ドライエア供給装置(図13)
190: クリーン調温・調湿エア供給装置(図14)
200: 従来技術による空気清浄化装置(図6)
F1、F2: 流量の計測値
G1〜G13: 制御信号
L1: 流入ポート(流入専用ポート)
L2: 流入/出ポート(1)(流入/流出両用ポート)
L3: 流出ポート(流出専用ポート)
L4: 流入/出ポート(2)(流入/流出両用ポート)
P1、P2: 静圧の計測値
Pw: 流入ポートにおける圧力
Px: 流入/出ポート(1)における圧力
Py: 流出ポートにおける圧力
Pz: 流入/出ポート(2)における圧力
R1〜R4: 小室
T1〜T8: 分岐/合流点
V1〜V8: 開閉弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間部を有する筐体部と、当該空間部を4つの小室R1、R2、R3、及びR4に区画する開口部を有する枠形仕切板と、当該枠形仕切板の開口部を開放又は閉鎖する板状回動弁体と、当該区画された4つの小室に設けられた気体を常に流入させる流入ポートL1、気体の流入と流出を交互に行う流入/出ポート(1)L2、気体を常に流出させる流出ポートL3、及び気体の流入と流出を前記L2と交互に行う流入/出ポート(2)L4と、及び前記板状回動弁体を回転軸周りに回動させる駆動手段を備えていることを特徴とする4ポート自動切換えバルブ。
【請求項2】
前記小室R1、R2、R3、及びR4を、前記流入ポートL1を取付けた小室R1、当該R1を起点にして前記回転軸の時計まわり回転方向に前記流入/出ポート(1)L2を取付けた小室R2、前記流出ポートL3を取付けた小室R3、及び前記流入/出ポート(2)L4を取付けた小室R4の順に配置し、かつ、前記R1と前記R3は、気体流路切換え時に前記L1から流入した気体をL3へ流出させるように構成した対向位置に配置して、さらに、前記板状回動弁体は、前記R2及び前記R4に、又は前記R1及び前記R3に配置するように前記回転軸に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項3】
前記開口部の形状は正方形、長方形、円形、又は楕円形であって、当該開口部の内縁周辺部には枠形弁座が形成され、又当該開口部面積は、前記流入ポートL1の断面積の20〜120%の範囲から選ばれた面積を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項4】
前記板状回動弁体の形状は、前記開口部の形状と相似形であって、当該板状回動弁体の板面の面積は当該開口部を閉鎖する面積より大きく、その面積の1.3倍より小さい範囲から選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項5】
前記筐体部は、側板、天板、及び底板から構成され、当該側板、天板、及び底板、及び前記枠形仕切板、前記回転軸、及び前記板状回動弁体は、断熱機能を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項6】
前記板状回動弁体の回動動作は、起動から停止までの動作時間が0.1〜20秒の範囲から選ばれており、かつ、回動角度が62°〜122°の範囲から選ばれた往復回動であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項7】
前記開口部は、その開口率(%)の変更手段を有しており、前記板状回動弁体が前記R2及び前記R4に配置されている場合は、前記R1及び/又は前記R3の内壁面に沿って;また、記板状回動弁体が前記R1及び前記R3に配置されている場合は、前記R2及び/又は前記R4の内壁面に沿って;それぞれ上下方向又は水平方向に移動可能な前記開口部の開口率(%)をそれぞれ独立に変更可能とする開口率変更手段を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項8】
前記開口率変更手段は、可動板とその駆動体から構成され、前記可動板の動作は前記板状回動弁体の回動動作に同期していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項9】
前記流入ポートL1及び/又は前記流出ポートL3に圧力センサを備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項10】
吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着装置において、当該吸着装置の2系列の吸着ユニットには、請求項1乃至9のいずれかに記載の前記4ポート自動切換えバルブ2基が第1バルブと第2バルブとして組み合わせて取付けられており、当該2系列の吸着材ユニットのそれぞれは、前記吸着材ユニットの吸着能力を再生させる再生手段、処理気体の静圧、供給気体の静圧、再生気体の静圧、及び排出気体の静圧のそれぞれ計測・調整手段、再生気体の流量及び/又は処理気体の流量の計測・調整手段、及び前記第1バルブ及び第2バルブによる吸着操作と再生操作の切換え(通気モード切換え)を制御する切換え制御器から少なくとも構成されていることを特徴とする回分式温度スイング吸着装置。
【請求項11】
前記吸着材ユニットは、分子状汚染物質を吸着する吸着材料を使用して形成したユニット乃至水分を吸着する吸着材料を使用して形成したユニットがそれぞれ直列に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項12】
前記第1バルブ及び前記第2バルブが備える圧力センサからの測定信号を前記切換え制御器に入力することを特徴とする請求項10又は11に記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項13】
前記再生手段は、処理気体の流量の0.05〜1.2倍の範囲で流量を任意に調整することができる再生用ブロワを有していることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項14】
前記回分式温度スイング吸着装置において、前記通気モード切換えに先立って、処理気体の流量と再生気体の流量が等しくなるように流量の調整が行われ、更に処理気体の静圧と再生気体の静圧が等しくなるように静圧の調整が行われて、当該通気モード切換えを行うことを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項15】
前記回分式温度スイング吸着装置において、前記通気モード切換えに先立って、処理気体が第1バルブ流入ポートL1から第2バルブ流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)、再生気体が第2バルブの流入ポートL1から同バルブの流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)、並びに再生気体が第2バルブの流入ポートL1から第1バルブ流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)が等しくなるように差圧調整を行うことを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項16】
前記回分式温度スイング吸着装置が、空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、清浄化窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置、又はクリーン調温・調湿窒素ガス供給装置であることを特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項17】
クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備に請求項16に記載のいずれかの装置を用いて、清浄化空気、ドライ空気、クリーン調温・調湿エア、清浄化窒素ガス、ドライ窒素ガス、又はクリーン調温・調湿窒素ガスを供給する方法。
【請求項18】
請求項16に記載の空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、清浄化窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置、及びクリーン調温・調湿窒素ガス供給装置の少なくとも一つを備えることを特徴とする、クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備。
【請求項1】
内部に空間部を有する筐体部と、当該空間部を4つの小室R1、R2、R3、及びR4に区画する開口部を有する枠形仕切板と、当該枠形仕切板の開口部を開放又は閉鎖する板状回動弁体と、当該区画された4つの小室に設けられた気体を常に流入させる流入ポートL1、気体の流入と流出を交互に行う流入/出ポート(1)L2、気体を常に流出させる流出ポートL3、及び気体の流入と流出を前記L2と交互に行う流入/出ポート(2)L4と、及び前記板状回動弁体を回転軸周りに回動させる駆動手段を備えていることを特徴とする4ポート自動切換えバルブ。
【請求項2】
前記小室R1、R2、R3、及びR4を、前記流入ポートL1を取付けた小室R1、当該R1を起点にして前記回転軸の時計まわり回転方向に前記流入/出ポート(1)L2を取付けた小室R2、前記流出ポートL3を取付けた小室R3、及び前記流入/出ポート(2)L4を取付けた小室R4の順に配置し、かつ、前記R1と前記R3は、気体流路切換え時に前記L1から流入した気体をL3へ流出させるように構成した対向位置に配置して、さらに、前記板状回動弁体は、前記R2及び前記R4に、又は前記R1及び前記R3に配置するように前記回転軸に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項3】
前記開口部の形状は正方形、長方形、円形、又は楕円形であって、当該開口部の内縁周辺部には枠形弁座が形成され、又当該開口部面積は、前記流入ポートL1の断面積の20〜120%の範囲から選ばれた面積を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項4】
前記板状回動弁体の形状は、前記開口部の形状と相似形であって、当該板状回動弁体の板面の面積は当該開口部を閉鎖する面積より大きく、その面積の1.3倍より小さい範囲から選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項5】
前記筐体部は、側板、天板、及び底板から構成され、当該側板、天板、及び底板、及び前記枠形仕切板、前記回転軸、及び前記板状回動弁体は、断熱機能を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項6】
前記板状回動弁体の回動動作は、起動から停止までの動作時間が0.1〜20秒の範囲から選ばれており、かつ、回動角度が62°〜122°の範囲から選ばれた往復回動であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項7】
前記開口部は、その開口率(%)の変更手段を有しており、前記板状回動弁体が前記R2及び前記R4に配置されている場合は、前記R1及び/又は前記R3の内壁面に沿って;また、記板状回動弁体が前記R1及び前記R3に配置されている場合は、前記R2及び/又は前記R4の内壁面に沿って;それぞれ上下方向又は水平方向に移動可能な前記開口部の開口率(%)をそれぞれ独立に変更可能とする開口率変更手段を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項8】
前記開口率変更手段は、可動板とその駆動体から構成され、前記可動板の動作は前記板状回動弁体の回動動作に同期していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項9】
前記流入ポートL1及び/又は前記流出ポートL3に圧力センサを備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の4ポート自動切換えバルブ。
【請求項10】
吸着材ユニットを2系列備える回分式温度スイング吸着装置において、当該吸着装置の2系列の吸着ユニットには、請求項1乃至9のいずれかに記載の前記4ポート自動切換えバルブ2基が第1バルブと第2バルブとして組み合わせて取付けられており、当該2系列の吸着材ユニットのそれぞれは、前記吸着材ユニットの吸着能力を再生させる再生手段、処理気体の静圧、供給気体の静圧、再生気体の静圧、及び排出気体の静圧のそれぞれ計測・調整手段、再生気体の流量及び/又は処理気体の流量の計測・調整手段、及び前記第1バルブ及び第2バルブによる吸着操作と再生操作の切換え(通気モード切換え)を制御する切換え制御器から少なくとも構成されていることを特徴とする回分式温度スイング吸着装置。
【請求項11】
前記吸着材ユニットは、分子状汚染物質を吸着する吸着材料を使用して形成したユニット乃至水分を吸着する吸着材料を使用して形成したユニットがそれぞれ直列に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項12】
前記第1バルブ及び前記第2バルブが備える圧力センサからの測定信号を前記切換え制御器に入力することを特徴とする請求項10又は11に記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項13】
前記再生手段は、処理気体の流量の0.05〜1.2倍の範囲で流量を任意に調整することができる再生用ブロワを有していることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項14】
前記回分式温度スイング吸着装置において、前記通気モード切換えに先立って、処理気体の流量と再生気体の流量が等しくなるように流量の調整が行われ、更に処理気体の静圧と再生気体の静圧が等しくなるように静圧の調整が行われて、当該通気モード切換えを行うことを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項15】
前記回分式温度スイング吸着装置において、前記通気モード切換えに先立って、処理気体が第1バルブ流入ポートL1から第2バルブ流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)、再生気体が第2バルブの流入ポートL1から同バルブの流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)、並びに再生気体が第2バルブの流入ポートL1から第1バルブ流出ポートL3までの流路を流れる流動差圧(圧力損失)が等しくなるように差圧調整を行うことを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項16】
前記回分式温度スイング吸着装置が、空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、清浄化窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置、又はクリーン調温・調湿窒素ガス供給装置であることを特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の回分式温度スイング吸着装置。
【請求項17】
クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備に請求項16に記載のいずれかの装置を用いて、清浄化空気、ドライ空気、クリーン調温・調湿エア、清浄化窒素ガス、ドライ窒素ガス、又はクリーン調温・調湿窒素ガスを供給する方法。
【請求項18】
請求項16に記載の空気清浄化装置、ドライ空気供給装置、クリーン調温・調湿エア供給装置、清浄化窒素ガス供給装置、ドライ窒素ガス供給装置、及びクリーン調温・調湿窒素ガス供給装置の少なくとも一つを備えることを特徴とする、クリーン・ルーム、クリーン・ブース、クリーン・ベンチ、半導体製造装置、液晶製造装置、有機EL製造装置を含む電子部品の製造に係わる装置、クリーン・トンネル、クリーン・オーブン、プロセス基板保護用保管庫、ストッカ、製造装置に付随する移載装置、ローダ/アンローダ、エンクロージャ、検査装置、及び装置補機の少なくとも一つを含んで構成されるクリーン電子部品製造・施設又はクリーン半導体製造施設・設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−300394(P2006−300394A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121362(P2005−121362)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【出願人】(594185097)伸和コントロールズ株式会社 (13)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【出願人】(594185097)伸和コントロールズ株式会社 (13)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
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