説明

4種類の異性体の混合物からなるフタロシアニン誘導体

4種類の異性体からなり、異性体Bの相対含量が1重量%より低い又はそれに等しい式(I)のフタロシアニン誘導体について記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療上の使用のための光感作化合物の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クロモ/フルオロフォアフタロシアニン大員環を含有する分子は、可視光との相互作用によって、ラジカル又は一重項酸素等の酸素の反応種を生じることが知られている。
【0003】
これらの特性のため、フタロシアニン化合物は、治療的処置と処置前診断の両方のための光力学的治療(以下、頭文字「PDT」によって示される)において提案されてきた。
【0004】
これら化合物の例は、非特許文献1によって記載されている。
【0005】
PDTに有用な光感作薬は、出願人による特許EP906758に記載される亜鉛フタロシアニン化合物及びそれらの複合体である。
【0006】
更に、EP1444236及びEP1883640(両方とも出願人による)はそれぞれ、位置異性体混合物の分離方法及びフタロシアニン化合物の塩化物の調製方法を記載する。
【0007】
上記文献に示された方法に従って得られる記載された化合物は、腫瘍と微生物感染の両方のためのPDT処置において効果的な光感作薬であることが証明された;特に、生成物[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート四ヨウ化物(EP906758の例53に対応する)は特に活性があることが証明された。上記化合物[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート四ヨウ化物(EP906758の例53に対応する)等の、四置換フタロシアニン誘導体は、対称分類(D2h,C4h,C,C2v)に従って確認され、以下においてそれぞれがアルファベット文字(A,B,C,D)によって指定される4種類の位置異性体(図1参照)の混合物として得られる。上述の異性体は、用いた合成方法、調製に用いたフタロニトリル置換基の性質及び最終的には挿入された中心金属の性質に応じて(統計によって定義され、それぞれが12.5%、12.5%、50%及び25%に等しい)理論値と異なるが、同一の化合物及び方法と仮定すると一定である相対割合で、フタロシアニン大員環の合成中に形成される(非特許文献2)。
【0008】
結果として、特定の合成方法によって調製された、EP906758の例53等の、特定の化合物は、典型的で再現可能な異性体分布を有することになる。
【0009】
また、特許EP1883640に記載の合成方法を用い、それによって、化合物[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナートが四塩化物として得られるが(例4)、その新規の塩は、どんな場合でも、EP906758に示された方法によって既に得られている期待された異性体分布に従い、4種類の異性体の混合物として存在している。
【0010】
特定の四置換フタロシアニン誘導体の正確な異性体分布は、特許EP1444236に記載の分離方法を用いて知ることができ、制御できる。
【0011】
[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(四ヨウ化物又は四塩化物)の特性研究の期間中に、出願人は、以下に示す既知の合成方法によって得られる先に確認された化合物が、0.1%より大きい割合で関連物質を含有し、その減少/除去は実行が困難であることを見出した。欧州特許EP1883640に記載の合成方法を使用しても、その結果として、前述の化合物が塩化物として調製され(例4)、溶解度及び生成物純度の観点から改善が得られるものの、最終生成物中にある前述の不純物を0.1重量%(閾値であって、それを超えると、構造確認及び毒物学的資格を要する)未満に低減することができない。
【0012】
更に、上述の関連物質は、上記活性物質と比較してかなりの構造類似性を有し、PDTに使用される光放射と相互作用することができ、他の全ての不純物とは違って、アンモニウム誘導体[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(四ヨウ化物又は四塩化物)のバッチから除去できない。
【0013】
従って、化合物[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート四塩化物の純度を向上させる必要性が、その原薬としての使用を考慮すると、依然として存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】EP906758
【特許文献2】EP1444236
【特許文献3】EP1883640
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Ogura et al. Journal of Porphyrins and Phthalocyanines 2006, 10, 1116-1124
【非特許文献2】Phthalocyanines: Properties and Applications, Volume 4, Chapter 1 C. C. Leznoff and A. B. P. Lever (York University, Canada). VCH: New York, 1996
【発明の概要】
【0016】
本発明は、以下に示されるように、4種類の異性体からなり、異性体Bが1重量%に等しい又はそれより低い量で存在している、式(I)のフタロシアニン化合物に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】化合物[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(四塩化物)の4種類の異性体の化学構造を示す。
【図2】統計による異性体分布を有する化合物(VI)を得るために使用される経路と比較して異性体Bの含量が低い式(I)の化合物を得るために使用される合成経路を示す。
【図3】a及びbはそれぞれ化合物(II)及び化合物(III)のHPLCクロマトグラムを示す。
【図4】DMF中及びTHF/MeOH混合物(1:1)中における可溶化後の化合物(II)についての重ね合わせたHPLCクロマトグラムを示す。
【図5】a及びbはそれぞれ式(VI)の生成物及び式(I)の生成物のクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
出願人は、生成物[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(ヨウ化物(V)と塩化物(VI)の形態の両方)中に見られる望ましくない関連物質が、アミノ中間体(II)の合成過程中に形成され存在している不純物に由来することを驚くべきことに見出した。
【0019】
また、出願人は、これら不純物が、活性物質の4種類の位置異性体の一つである異性体Bを同時に著しく除去することを特徴とする上記中間体のクロマトグラフィープロセスを介して除去できることも驚くべきことに見出した。また、出願人は、異性体Bと上記望ましくない関連物質の間に存在するクロマトグラフィー親和性に基づき、同時に存在する望ましくない不純物の量が≦0.1重量%であるために、化合物(I)中に存在しているにちがいない異性体Bの最大量を規定した。そのBの割合の値が、1重量%に一致することを見出した。
【0020】
従って、本発明の対象は、A/B/C/Dと識別される4種類の異性体の混合物からなる式(I)のフタロシアニン誘導体であって、存在している異性体Bの割合が≦1重量%であるものである。
【0021】
本発明の対象に最も近い技術の状況は、EP906758の例53に記載の化合物によって表される。例53は、フタロシアニン大員環上に同一の置換基を有するが、それにもかかわらず、主要で且つ相互に関連した2つの特性について、(I)と異なる:
1)4種類の位置異性体は、フタロシアニン核の合成から期待される分布に従って存在しており、実際、その形成後、得られた異性体を部分的に又は全体的に除去しない;
望ましくない不純物は、≧0.1重量%の量で存在しており、それは、EP906758の例53を、原薬として使用されるのに十分でないものにする。反対に、以下に示す工程を含む調製方法に従って得られた生成物(I)のバッチ中では、代わりに上述の不純物が0.1%未満である(図2も参照。ここで、(I)の獲得に導く合成は、クロマトグラフィー工程ii)を行わない特許EP906758及びEP1883640に記載の方法と比較される):
i)3−ジメチルアミノフェノキシフタロニトリルの塩基で触媒した四量体化、及び得られたアミノフタロシアニン中間体(II)の予備精製;
ii)「異性体Bの含量が低い」アミノ中間体(III)を与えるための、化合物(II)のクロマトグラフィー精製;
iii)「異性体Bの含量が低い」アンモニウム塩中間体(IV)を与えるための、アミノ中間体(III)の適切なメチル化剤によるメチル化;
iv)塩化物(I)の形態としての「異性体Bの含有量が低い」アンモニウム塩を与えるための、アンモニウム塩中間体(IV)のイオン交換。
【0022】
望ましい生成物(I)の調製のため、出願人は、中間体(II)の不純物が、化合物(VI)を望ましい目的に不適なものにするものであるが、この中間体(II)の更なるクロマトグラフィー精製の使用以外に除去できないことを見出した。
【0023】
また、出願人は、アミノ中間体(II)からの望ましくない不純物の効果的な分離が可能であるクロマトグラフィープロセスが、4種類の位置異性体の内の1種(異性体B)の上述の不純物との共溶出を伴い、それ故に、大部分がその異性体混合物の残りの部分から除去されることも驚くべきことに見出した。このクロマトグラフィー精製から得られたアミノ中間体(III)は、異なる異性体分布を有し、それ故に、化合物(II)に対して新規な化合物であり、その上、最初に存在している不純物から効果的に精製される。
【0024】
図2に記載の合成プロセスに関して、中間体(III)のメチル化によって得られるアンモニウム塩(IV)は、(V)と異なる異性体組成を有しており、それ故に、純度が改善された新規の化合物である。同様に、(IV)のイオン交換によって得られる最終塩化物(I)は、異なる異性体分布を有しており、(VI)に対して新規な化合物である。最後に、化合物(I)は、(VI)より純粋である。
【0025】
また、出願人は、驚くべきことで且つ予想外に、特許EP906758及びEP1883640に示されたもの(それぞれ化合物(V)及び(VI))に対して「異性体Bの含量が低い」生成物(I)の新規な異性体分布が、薬理学的及び毒物学的な活性の観点から、相違が示唆されないことを見出した。
【0026】
言い換えれば、このようにして得られた、4種類の異性体のうち1種(B)の相対割合が十分に減少している生成物は、元の混合物の治療的特性を維持し、純度が改善され、薬学的に活性のある物質としての(I)の使用のための延いては主張した治療的特性の実用的適用のための基本的要件の両方を有する。更に、異性体Bのほぼ完全な除去が、クロマトグラフィー精製の結果として生じるが、それは、最終生成物及びプロセス中間体のレベルの両方にて、化合物(I)の更なる利点と、(I)の調製及びその活性物質としての使用を考慮すると、以下に示される利点という一連のものをもたらす。アミノ中間体(II)の異性体Bの貧溶解性は、その対称構造が原因であるが、不完全な溶解及び/又は沈殿が起こり得るため、一般的な異性体分布の観点から(II)の溶液を変わりやすいものにする。これは、合成期間中と分析管理の過程の両方において起こり、結果として、合成プロセスの再現性が減少し、分析方法の多様で日常的な使用が困難であり、中間体(III)が全く存在しない問題がある。
【0027】
更に、異性体Bの低い含量は、生成物(I)(及び同じ理由で最終プロセス中間体(IV)の)のHPLCクロマトグラフィー法による特徴付けを容易にし、合成バッチの再現性についてのより優れた制御をもたらす。
【0028】
本発明の好適な状態では、化合物(I)中における異性体Aの含量が、12.5重量%未満である。
【0029】
アミノ中間体(II)のクロマトグラフィー精製は、望ましくない不純物及び異性体Bの大部分の除去を可能にして中間体(III)に導くが、それは、固定相としてシリカゲル及び移動相として有機溶媒の一定の又は可変の混合物(無勾配又は勾配の条件での溶出)を用いて行われる。
【0030】
上述の精製のため、以下に示す方法のすべてを使用することができる:フラッシュクロマトグラフィー(FC)、中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)、及び調製用高圧液体クロマトグラフィー(prepHPLC)。
【0031】
好適な状態では、上記精製は、FC又はMPLCにおいて行われる。
【0032】
選択された精製方法によれば、上記固定相は、粒径が5〜75μmの範囲で且つ細孔径が60〜150オングストロームの範囲にある不規則な形の又は球状のシリカゲル粒子で作ることができる。
【0033】
上記シリカゲルは、クロマトグラフィーの実施の前に充填されてもよいし、予め充填されたカートリッジ/カラムとして使用されてもよい。
【0034】
好適な状態では、上記固定相が、粒径が20〜75μmの範囲で且つ細孔径が60オングストロームである不規則な形のシリカゲル粒子で作られる。
【0035】
特に好適な状態では、上記固定相が、数回のクロマトグラフィーの実施のために使用できる。
【0036】
好適な状態では、上記移動相が、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、アルキルアミン等の少なくとも2種類の有機溶媒によって構成される。
【0037】
特に好適な状態では、移動相として、2つの相X及びYからなる一定の又は可変の混合物を使用する。
【0038】
特に好適な状態では、Xが、一般的に塩素化溶媒を含有し、Yが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン又は石油エーテルからなる。
【0039】
特に好適な状態では、Xが、0.1〜10%の試薬とジクロロメタン若しくはクロロホルムの混合物、又はテトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、アセトン、アルキルアミン等の溶出力が強い試薬の混合物からなる。
【0040】
特に好適な状態では、Xが、ジクロロメタン/テトラヒドロフラン/メタノールが94/5/1の混合物からなり、Yがn−ヘキサン又はn−ヘプタンからなる。
【0041】
好適な状態では、上記溶出が、無勾配の状態の3/1のX/Yによって溶出して行われる。
【0042】
他に好適な状態では、上記溶出が、最初に(異性体C及びDの溶出が始まるまで)3/1のX/Yを用いて溶出し、次いで異性体Aが完全に溶出するまで4/1のX/Yによって溶出して行われる。
【0043】
記載されたクロマトグラフィープロセスは、初期異性体分布(合成方法と行われたクロマトグラフィー前の処理の両方によって決まる)が異なる化合物(II)のサンプルに適用でき、どんな場合でも、望ましくない関連物質の完全除去と異性体Bの含量の低下とを可能にする。なお、他の3種類の異性体の割合に対する影響は最小限である。
【実施例】
【0044】
本発明の非制限的な説明を目的として、以下に示す例を提供する。
【0045】
例1
式(I)の化合物の合成的準備
i)[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(化合物II)の合成及び予備精製
窒素雰囲気中、3−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)フタロニトリル55g(0.21モル)をDMF300ml中に可溶化させる。その後、Zn(AcO)18.3g(0.11モル)及びDBU150ml(1モル)を加え、次いで、その反応混合物を130℃に加熱し、この温度にて、暗い所で、窒素雰囲気中及び激しい攪拌下にて12時間維持される。次に、その反応混合物を0℃に冷却し、脱イオン化HO1.8lによって処理し、攪拌下、0℃にて30分間維持し、その後、懸濁液をろ過し、その固体を、分割した水(合計1.3l)及びMeOH(1×750ml+1×180ml)によって洗浄する。
【0046】
次いで、その生成物は、シリカゲル上でのクロマトグラフィー精製(移動相:50/1のCHCl/DMF)を受け、続いて、精製した固体をエチルエーテル(200ml)によって1時間処理し、ろ過し、その固体をエチルエーテル(2×25ml)によって洗浄する。
【0047】
このようにして精製された生成物をCHCl0.5l中に可溶化し、n−ヘキサン4lを加えることによって再沈殿させる。ろ過、n−ヘキサン(2×1l)による洗浄及び乾燥後、化合物(II)60.1gが得られる。
【0048】
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ= 9,22-8,69 (m, 4H), 8,17-7,89 (m, 4H), 7,75-7,37 (m, 4H), 7,20-6,40 (m, 16H), 3,02-2,80 (m, 24H) ppm.
ESI-MS:ポジティブモードでm/z 1117,4 [(M+H)+]
HPLCデータ(図3a参照):
・異性体分布:B=13.9%;A= 5.7%;C+D=80.4%
・関連物質=0.8%.
【0049】
ii)「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(化合物III)を与えるための化合物(II)のクロマトグラフィー精製
[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(II)25gをX/Yが3/1の溶出混合物(ここで、X=94/5/1のDCM/THF/MeOHで、Y=n−ヘキサンである)200ml中に可溶化させる。その溶液を、3/1のX/Yを用いて予め調整されたシリカゲルのクロマトグラフィーカラム(直径10mm、高さ460mm)上に充填する。その溶出は、異性体Bの溶出の間と異性体C/Dの最初の溶出までの間、移動相として3/1のX/Yを用い、次いで、異性体C/D及びAの溶出の間、4/1のX/Yを用いることによって、130ml/分の流出量にて行われる。その画分は、TLC(SiO,4/1のX/Y)によって制御される:異性体C+D及び/又は異性体Aが存在している画分すべてを組み合わせ、濃縮して、「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(III)17.5gが与えられる。
【0050】
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ= 9,19-8,68 (m, 4H), 8,16-7,90 (m, 4H), 7,74-7,40 (m, 4H), 7,20-6,49 (m, 16H), 3,02-2,80 (m, 24H) ppm.
ESI-MS:ポジディブモードでm/z 1117,4 [(M+H)+]
HPLCデータ(図3b参照):
・異性体分布:B≦0.1%;A= 6.1%;C+D=93.9%
・関連物質≦0.1%.
【0051】
iii)「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート四ヨウ化物(化合物IV)の合成
ポイントii)にて上述のようにして得られた[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート34g(0.03モル)をNMP850ml中に可溶化し、次いで、その溶液にMeI85ml(1.4モル)を加え、その反応混合物を、暗い所で、攪拌下、窒素雰囲気中、周囲温度にて96時間維持する。
【0052】
その反応混合物をMeOH1.7lによって希釈し、次いで、エチルエーテル6.8lによって処理し、懸濁液を得、それを攪拌下で30分間置いておき、静かに1時間置いておき、次いで、ろ過する;その固体をエチルエーテル(2×0.5l)によって洗浄し、湿った生成物60gが得られる(収率が計算できない)。なお、それは、質量分析及びNMRによって特徴付けられ、「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート四ヨウ化物(IV)であることが分かった。
【0053】
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ= 9,49-7,20 (m, 28H), 3,79-3,58 (m, 36H) ppm.
ESI-MS:ポジティブモードでm/z 294,1 [(M-4I)4+].
【0054】
iv)「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N,N−トリメチルアンモニウムフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート四塩化物(化合物I)の獲得に至るイオン交換樹脂を用いた処理
化合物(IV)60gをMeOH5.5l中に可溶化し、固定相としてAmberlite(登録商標)IRA400(CI)樹脂500gを有し、HCl0.5M酸性水溶液を用いて予め洗浄され、MeOHを用いて調整されたクロマトグラフィーカラムに、その溶液を通過させる。その溶出液(約6l)に、攪拌下で維持しながら、エチルエーテル(24l)をゆっくりと加え、得られた懸濁液を1時間静置させ、その後、ろ過する。その固体をエチルエーテル(2×250ml)によって洗浄し、フィルター上で約1時間乾燥させて、化合物(I)36gを与える。
【0055】
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6):δ= 9,45-7,23 (m, 28H), 3,77-3,58 (m, 36H) ppm.
13CNMR (75 MHz, DMSO-d6):δ= 160,5, 160,4, 160,3, 157,9, 154,4, 154,1, 153,9, 153,5, 153,2, 153,1, 153,0, 152,7, 152,5, 151,9, 150,6, 150,5, 150,2, 149,6, 149,5, 149,1, 142,0, 141,9, 141,8, 132,1, 131,3, 129,4, 129,3, 129,1, 127,7, 127,5, 123,0, 122,8, 122,7, 120,7, 120,4, 118,6, 118,2, 118,0, 117,6, 116,5, 114,7, 113,4, 111,0, 57,3, 57,2 ppm.
UV-vis (DMF)λmax(%): 690(100), 621(16), 391(17), 327(17).
UV-vis (H2O)λmax(%): 691(100), 643(49), 331(45).
ESI-MS:ポジティブモードでm/z 294,1 [(M-4Cl)4+]
HRMS:ポジティブモードでm/z 294,1114 [(M-4Cl)4+].Δ=C68 H64 N12 O4 Znの理論的質量からの1.08 ppm
異性体分布:A=6.5%,B<0.2%,C=62.0%,D=31.5%.
【0056】
例2
以下の異性体分布を持つ化合物(II)のバッチからの開始:
A=8.6%,B=4.0%,C+D=87.4%;
記載したとおりのクロマトグラフィー精製(工程ii))の実行:
[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(II)28.6gを、X/Yが3/1の溶出混合物(ここで、X=94/5/1のDCM/THF/MeOHで、Y=n−ヘキサンである)192ml中に溶解する。3/1のX/Yを用いて調整されたシリカゲルDavisil60(40〜63μm)の充填されたクロマトグラフィーカラム(d=100mm,h=460mm)上に、そのサンプルを充填する。その溶出(流出量:130ml/分)は、異性体Bがすべて溶出されるまで3/1のX/Yを用いて行われ、次いで、混合物X/Yの割合を4/1に運び、そのようにして異性体C、D及びAの溶出のために保たれる。選択した画分を集めて乾燥させ、「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(III)23.2gを与え、以下に示す異性体分布が得られる:A=7.8%,B=0.3%,C+D=91.9%;
この化合物(III)のバッチに関する工程iii)及びiv)の実行
以下に示す異性体分布を持つ化合物(I)のバッチが得られる:A=8.2%,B=0.4%,C=65.5%,D=25.9%。
【0057】
例3
以下の異性体分布を持つ化合物(II)のバッチからの開始:
A=7.9%,B=9.9%,C+D=82.2%;
記載したとおりのクロマトグラフィー精製(工程ii))の実行:
[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(II)40.0gを、X/Yが3/1の溶出混合物(ここで、X=94/5/1のDCM/THF/MeOHで、Y=n−ヘキサンである)192ml中に溶解する。3/1のX/Yを用いて調整されたシリカゲルDavisil60(20〜45μm)が充填されたクロマトグラフィーカラム(d=100mm,h=460mm)上に、そのサンプルを充填する。その溶出(流出量:130ml/分)は、異性体Bがすべて溶出されるまで3/1のX/Yを用いて行われ、次いで、混合物X/Yの割合を4/1に運び、そのようにして異性体C、D及びAの溶出のために保たれる。選択した画分を集めて乾燥させ、「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(III)30.1gを与え、以下に示す異性体分布が得られる:A=7.5%,B=0.3%,C+D=92.2%;
この化合物(III)のバッチに関する工程iii)及びiv)の実行
以下に示す異性体分布を持つ化合物(I)のバッチが得られる:A=7.8%,B=0.3%,C=64.9%,D=27.0%。
【0058】
例4
以下の異性体分布を持つ化合物(III)のバッチからの開始:
A=7.7%,B=4.4%,C+D=87.9%;
記載したとおりのクロマトグラフィー精製(工程ii))の実行:
[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(II)49.6gを、X/Yが3/1の溶出混合物(ここで、X=94/5/1のDCM/THF/MeOHで、Y=n−ヘキサンである)235ml中に溶解する。3/1のX/Yを用いて調整されたシリカゲルDavisil60(20〜45μm)が充填されたクロマトグラフィーカラム(d=100mm,h=460mm)上に、そのサンプルを充填する。その溶出(流出量:130ml/分)は、異性体Bがすべて溶出されるまで3/1のX/Yを用いて行われ、次いで、混合物X/Yの割合を4/1に運び、そのようにして異性体C、D及びAの溶出のために保たれる。選択した画分を集めて乾燥させ、「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(III)38.2gを与え、以下に示す異性体分布が得られる:A=7.6%,B=0.9%,C+D=91.5%;
この化合物(III)のバッチに関する工程iii)及びiv)の実行
以下に示す異性体分布を持つ化合物(I)のバッチが得られる:A=5.6%,B=0.9%,C=61.4%,D=32.1%。
【0059】
例5
以下の異性体分布を持つ化合物(II)のバッチからの開始:
A=7.0%,B=4.6%,C+D=88.4%;
記載したとおりのクロマトグラフィー精製(工程ii))の実行:
[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(II)32.0gをジクロロメタン288ml中に溶解する。シリカゲルDavisil60(40〜63μm)が充填され、3/1のX/Yを用いて調整されたクロマトグラフィーカラム(d=100mm,h=460mm)上に、そのサンプルを充填する。その溶出(流出量:130ml/分)は、無勾配モードで、X/Yが3/1の移動相を用いて行われる。選択した画分を集めて乾燥させ、「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(III)30.1gを与え、以下に示す異性体分布が得られる:A=6.2%,B<0.1%,C+D=93.8%;
この化合物(III)のバッチに関する工程iii)及びiv)の実行
以下に示す異性体分布を持つ化合物(I)のバッチが得られる:A=6.4%,B=0.2%,C=55.8%,D=37.6%。
【0060】
例6
以下の異性体分布を持つ化合物(II)のバッチからの開始:
A=6.9%,B=7.8%,C+D=85.3%;
記載したとおりの、同一の固定相上での3つのクロマトグラフィー精製(工程ii)a,b,c)の実行:
a)[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(II)17.6gをジクロロメタン256ml中に溶解する。3/1のX/Yを用いて調整されたシリカゲルDavisil60(40〜63μm)が充填されたクロマトグラフィーカラム(d=100mm,h=460mm)上に、そのサンプルを充填する。その溶出(流出量:130ml/分)は、無勾配モードで、X/Yが3/1の移動相を用いて行われる。選択した画分を集めて乾燥させ、「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(III)13.1gを与え、以下に示す異性体分布が得られる:A=5.1%,B<0.2%,C+D=94.9%;
b)X/Yが3/1の移動相16lを用いて上記カラムを洗浄した後、2番目の実施が行われる:[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(II)14.4gをジクロロメタン256ml中に溶解する。シリカゲルDavisil60(40〜63μm)が充填され、3/1のX/Yを用いて調整されたクロマトグラフィーカラム(d=100mm,h=460mm)上に、そのサンプルを充填する。その溶出(流出量:130ml/分)は、無勾配モードで、X/Yが3/1の移動相を用いて行われる。選択した画分を集めて乾燥させ、「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(III)10.2gを与え、以下に示す異性体分布が得られる:A=3.5%,B=0.5%,C+D=96.0%;
c)X/Yが3/1の移動相16lを用いて上記カラムを洗浄した後、3番目の実施が行われる:[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(II)11.2gをジクロロメタン256ml中に溶解する。シリカゲルDavisil60(40〜63μm)が充填され、3/1のX/Yを用いて調整されたクロマトグラフィーカラム(d=100mm,h=460mm)上に、そのサンプルを充填する。その溶出(流出量:130ml/分)は、無勾配モードで、X/Yが3/1の移動相を用いて行われる。選択した画分を集めて乾燥させ、「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(III)7.9gを与え、以下に示す異性体分布が得られる:A=3.5%,B=0.5%,C+D=96.0%;
工程iia,b,cから得られた化合物(III)のバッチに関する工程iii)及びiv)の実行
以下に示す異性体分布を持つ化合物(I)の3つのバッチが得られる:
a)A=4.8%,B<0.2%,C=56.9%,D=38.2%;
b)A=3.2%,B=0.4%,C=57.2%,D=39.2%;
c)A=3.3%,B=0.5%,C=56.8%,D=39.4%;
【0061】
例7
以下の異性体分布を持つ化合物(II)のバッチからの開始:
A=6.7%,B=6.5%,C+D=86.8%;
記載したとおりのクロマトグラフィー精製(工程ii))の実行:
[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(II)1.8gを、X/Yが3/1の溶出混合物(ここで、X=94/5/1のDCM/THF/MeOHで、Y=n−ヘキサンである)12ml中に溶解する。3/1のX/Yを用いて予め調整されたクロマトグラフィープレパックドカラム(Biotage SNAP KP−Sil カートリッジ,シリカゲル100g,メッシュ40〜63μm)上に、そのサンプルを充填する。その溶出(流出量:40ml/分)は、異性体Bがすべて溶出されるまで3/1のX/Yを用いて行われ、次いで、混合物X/Yの割合を4/1に運び、そのようにして異性体C、D及びAの溶出のために保たれる。選択した画分を集めて乾燥させ、「異性体Bの含量が低い」[1,8(11),15(18),22(25)−テトラキス−(3−N,N−ジメチルアミノフェノキシ)]亜鉛フタロシアニナート(III)1.4gを与え、以下に示す異性体分布が得られる:A=7.4%,B=0.4%,C+D=92.2%;
この化合物(III)のバッチに関する工程iii)及びiv)の実行
以下に示す異性体分布を持つ化合物(I)のバッチが得られる:A=7.6%,B=0.5%,C=62.6%,D=29.3%。
【0062】
例8
異性体Bの難溶解性が原因で(II)の溶液の調製が困難であることについての実証
中間体(II)の同一バッチの2つのサンプルをDMF及び1/1のTHF/MeOH中に可溶化させる(2mg/ml)。その溶液を適切に希釈し、HPLCにおいて分析する。表1及び図4に示されるように、2つのサンプルは、異性体Bの割合が異なるが、それは、1/1のTHF/MeOH中の溶液に由来するサンプルにおいて、かなり低い。これは、他の異性体と比較して異性体Bの溶解度が低い結果として、THF/MeOHが1/1の溶液から異性体Bが沈殿することに起因している。この挙動は、組成が可変のサンプルの沈殿を引き起こすことがあり、最終的に、他の異性体に関するものを含めて、信頼できない解析データの作成を招く場合がある。
【0063】
【表1】

【0064】
例9
化合物(VI)の異性体B及びCのHPLCピーク間で分解がないことの実証
図5は、化合物(VI)のサンプル(5a)と化合物(I)のサンプル(5b)の異性体分布に関連したHPLCクロマトグラムを比較する。異性体B及びCに関連したピーク間での分解が完全ではないことは明らかである;異性体Bの存在が1%を超えると、異性体存在度の定量化において無視できない誤差が発生し、記載された方法を原薬のバッチの特徴付けに不適当なものにする。反対に、化合物(I)のバッチを分析する場合、非常に少量の異性体Bが異性体A、B及びD比の無視できる推定誤差をもたらすため、その問題は存在しない。
【0065】
上述のように調製された式(I)の化合物は、医薬組成物の調製において、原薬として使用でき、該医薬組成物には、光力学的治療に使用されることを目的とするものが含まれ、上述の原薬と組み合わせて、薬学的に許容できる賦形剤及び/又は希釈剤を備える。
【0066】
これら医薬組成物は、ヒト及び動物への全身及び局所投与の両方に使用されることを目的とすることができ、溶液、懸濁液、クリーム、軟膏、ゲル又はスプレーの形態とすることができる。また、上記組成物の放出制御投与が可能である。また、これら医薬組成物は、金属キレート化剤を含有することができ、イオンCa2+及びMg2+に対して特異性がある金属キレート化剤が好ましい。
【0067】
特に好適な状態では、前述の金属キレート化剤が、エチレンジアミン−N,N,N',N'−四酢酸(EDTA)、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N',N'−四酢酸(CDTA)及びジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)からなる群において選択される。
【0068】
非特異的な(複数目標の)作用機序の理由から、式(I)のフタロシアニン誘導体を含有する上述の医薬組成物は、各種病態(微生物感染、過剰増殖性疾患、乾せん、日光角化症、及び腫瘍前又は腫瘍病態)の光力学的処置に使用されることを目的とすることができる。特に好適な病態では、式(I)のフタロシアニン誘導体を含有する医薬組成物が、微生物感染の予防的又は治療的な光力学的処置に使用されることを目的とする。
【0069】
最後に、式(I)の誘導体はまた、特には創傷の消毒における、医療機器の要素として、殺菌薬として、また生体外、及び生体内診断薬として、使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4種類の異性体からなり、異性体Bが≦1重量%である、式(I)
【化1】

のフタロシアニン誘導体。
【請求項2】
異性体Bが≦1重量%であり、異性体Aが≦12.5重量%である、請求項1に記載の式(I)のフタロシアニン誘導体。
【請求項3】
異性体Bが≦0.2重量%である、請求項1に記載の式(I)のフタロシアニン誘導体。
【請求項4】
異性体Bが≦0.2重量%であり、異性体Aが≦12.5重量%である、請求項1に記載の式(I)のフタロシアニン誘導体。
【請求項5】
異性体A/C/Dが、5.5〜7.0%/56.0〜63.5%/30.0〜38.0%の相対含量で存在する、請求項4に記載の式(I)のフタロシアニン誘導体。
【請求項6】
式(III)
【化2】

のアミン中間体を与えるための、式(II)
【化3】

の化合物のクロマトグラフィー精製を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)の誘導体の調製方法。
【請求項7】
前記クロマトグラフィー精製は、固定相がシリカゲルで且つ移動相が有機溶媒の一定の又は可変の混合物であるクロマトグラフィーカラムを用いて行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリカゲルは、粒径が5〜75μmの範囲で且つ細孔径が60〜150オングストロームの範囲にある不規則な形の又は球状のシリカゲル粒子で作られた固定相である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記固定相が、1回より多くのクロマトグラフィーの実施に使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記移動相が、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、アルキルアミンの中からなる少なくとも2種類の有機溶媒によって構成される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記移動相が、時間に沿って一定に又は可変的に適切に混合される2つの相X及びYからなる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
Xが、少なくとも90%の塩素化溶媒から構成され、Yが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン又は石油エーテルによって構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Xが、0.1〜10%の試薬とジクロロメタン若しくはクロロホルムの混合物、又はテトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、アセトン、アルキルアミンの中からなる溶出力が強い試薬の混合物からなり、Yが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン又は石油エーテルによって構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
Xが、ジクロロメタン/テトラヒドロフラン/メタノールが94/5/1の混合物からなり、Yがn−ヘキサン又はn−ヘプタンからなる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
請求項6に記載の方法における中間体としての、式(III)
【化4】

及び式(IV)
【化5】

の化合物。
【請求項16】
薬学的に許容できる賦形剤及び/又は希釈剤と組み合わせて、場合によりキレート化剤と組み合わせて、請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)のフタロシアニン誘導体を有効成分として含む、医薬組成物。
【請求項17】
過剰増殖性疾患、乾せん、日光角化症、及び腫瘍前又は腫瘍病態の治療に使用される医薬組成物の調製のための、請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項18】
過剰増殖性疾患、乾せん、日光角化症、及び腫瘍前又は腫瘍病態のPDTによる治療に使用される医薬組成物の調製のための、請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項19】
微生物感染の予防的又は治療的処置に使用される医薬組成物の調製のための、請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項20】
微生物感染の予防的又は治療的な光力学的処置に使用される医薬組成物の調製のための、請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項21】
特には創傷の消毒における、医療機器の要素としての、殺菌薬としての、また生体外、及び生体内診断薬としての、請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項22】
動物における微生物感染の予防的又は治療的処置に使用される医薬組成物の調製のための、請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−500312(P2013−500312A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522179(P2012−522179)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061112
【国際公開番号】WO2011/012698
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(504394102)エル.モルテニ アンド シー.デイ フラテッリ アリッチ ソシエタ’ディ エセルチヅィオ ソシエタ ペル アチオニ (7)
【Fターム(参考)】