説明

4,6位で二置換されたピリミジン及びプロテインキナーゼインヒビターとしてのそれらの使用

本発明は、式(I)で示され、プロテインキナーゼ、特にプロテインキナーゼB/Aktの1種以上のイソ型の効果的なインヒビターである新規のピリミジン誘導体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の適用分野
本発明は、医薬組成物の製造のための医薬品工業において使用できるプロテインキナーゼ、特にプロテインキナーゼB(PKB)/Aktの1種以上のイソ型のインヒビターとしての新規のピリミジン誘導体に関する。
【0002】
公知の背景技術
プロテインキナーゼは、シグナル伝達、増殖、細胞周期制御、分化及び生存/アポトーシスのような多くの細胞プロセス並びに疾病をもたらす前記のプロセス内での病態生理学的変化における主要な調節物質である。このように、プロテインキナーゼは、療法介入について重要な標的クラスを構成する(P.Cohen,Nature Rev Drug Discovery 1,309,2002;T.G.Cross,et al.,Exp.Cell Res.256,34−41,2000)。これらのキナーゼは、その基質特異性に関して、すなわちチロシン及び/又はセリン/トレオニン残基について特異的な酵素に分類することができる。チロシン残基に特異的な多くのプロテインキナーゼは、上皮成長因子受容体(EGFR/HER1)のような膜結合型又は膜貫通型の酵素である。それに対して、多くのセリン/トレオニン特異的プロテインキナーゼは、細胞内のシグナル伝達過程に関連する細胞内キナーゼである。癌療法に関して近年、グリベック(イマチニブ(登録商標))は、bcr−ablキナーゼ融合タンパク質を阻害して慢性骨髄性白血病(CML)を治療するために、かつイレッサ(ゲフィチニブ(登録商標))は、EGFRキナーゼを阻害して末期の非小細胞肺癌(NSCLC)患者を治療するために認可された。癌は、淘汰過程後に生存増強/アポトーシスに対する耐性及び無制限の増殖能のような後天的な機能的特性を有する細胞について生ずる複雑な疾病である。従って、確立腫瘍の幾つかの特徴を標的とする癌療法用の薬剤を開発することが好ましい。定義された病態生理学的阻害プロフィールを有するキナーゼインヒビターが好ましい。例として、グリベックは、bcr−ablキナーゼだけでなく、血小板由来成長因子受容体(PDGF−R)キナーゼとc−kit受容体キナーゼをも強力に阻害する。腫瘍生物学と疾病としての癌の原因として関連しているキナーゼについての他の例は、種々の血管内皮成長因子(VEGF)受容体、インスリン様成長因子受容体(IGF1R)及びホスファチジルイノシトールキナーゼ(PI3K)とホスホイノシチド依存性キナーゼ1(PDK1)のような下流のシグナル伝達キナーゼ、HER2、HER3及びHER4を含むEGFRファミリー、polo様キナーゼ(PLK)とオーロラキナーゼイソ酵素及びB−rafを含むイソ酵素を含む有糸分裂キナーゼのファミリーである。
【0003】
セリン−トレオニン特異的シグナル伝達キナーゼのクラス内では、イソ酵素であるAkt1(PKBα)、Akt2(PKBβ)及びAkt3(PKBγ)を有するAkt(プロテインキナーゼB;PKB)が療法介入について高い関心が持たれている。哺乳動物細胞について重要な生存シグナルを媒介することが示されている1つの経路は、血小板由来成長因子受容体(PDGF−R;Franke et al.,Cell.1995 Jun 2,81(5):727−36)又はインスリン様成長因子1受容体(IGF−1R;Kulik et al.,Mol Cell Biol.1997 Mar;17(3):1595−606)のような受容体型チロシンキナーゼを含んでいる。リガンドによる活性化の後に、これらの受容体はPI3K経路を活性化する。PI3K活性化の一態様は、プログラムされた細胞死(“アポトーシス”)から細胞を保護することであり、従って生存シグナルを細胞に導入すると考えられている。このシグナルは、脂質ホスファターゼPTEN(ホスファターゼとテンシンのホモログ)によって打ち消され、その際、PI3K産物PI(3,4,5)Pは3′リン酸の除去によって開裂される。PTENは、多くの癌細胞において欠失しているか又は機能的に不活性化されており、構成的な生存シグナルがもたらされる。PI3Kによって産生されるホスファチジルイノシチド脂質は、多くのキナーゼ、例えばPI3Kによって伝達される抗アポトーシス性シグナルの主要な下流メディエーターであるプロテインキナーゼB/Aktを刺激することができる(Datta et al.,Genes Dev.1999 Nov 15;13(22):2905−27.Review)。Akt酵素のアミノ末端は、PHドメインを含み、そのドメインは、PI3K産物のPI(3,4,5)P及びPI(3,4)Pに結合してコンフォメーション変化がもたらされることによって該タンパク質を細胞膜へと動員する。コンフォメーション変化によって、Aktは、トレオニン308とセリン473(ヒトのAkt1に従う残基の番号)において、キナーゼPDK1と仮定されるキナーゼPDK2とによってリン酸化されうる。アポトーシス機構内の幾つかの潜在的な基質は、Aktによってコンセンサス配列RXRXXS/T内でリン酸化されているということが確認されている。確認された第一のAkt基質は、グリコゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3;Cross et al.,Nature.1995 Dec 21−28;378(6559):785−9)であり、かつGSK3のセリン9でのリン酸化はその不活性化をもたらす。グリコゲン合成を調節する他に、GSK3は、アダプタータンパク質複合体(AP1)、cAMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)及び腫瘍抑制遺伝子産物である後期促進複合体(APC)を含む幾つかの細胞内シグナル伝達経路の調節に関わっている。細胞死の前アポトーシスタンパク質Bcl2アンタゴニスト(Bad)がAktによってセリン136でリン酸化されることによって、14−3−3タンパク質のための結合部位が生成し、そしてそれによりBadが抗アポトーシスタンパク質Bcl−xLを結合し阻害することが妨げられる(Datta et al.,Cell.1997 Oct 17;91(2):231−41)。同様に、横紋筋肉腫様1におけるフォークヘッド型転写因子がAktによってトレオニン32とセリン253とでリン酸化されることによって、14−3−3タンパク質のための結合モチーフが生成し、そうしてFKHRL1の細胞質滞留がもたらされ(Brunet et al.,Cell.1999 Mar 19;96(6):857−68);それにより前アポトーシスFasリガンドのダウンレギュレーションが生ずる。カスパーゼは、アポトーシスのイニシエーター及びエフェクターとして機能する細胞内プロテアーゼである。Aktは、カスパーゼ−9をセリン196において直接的にリン酸化させ、そしてそのプロテアーゼ活性を阻害する(Cardone et al.,Science.1998 Nov 13;282(5392):1318−21)。核内因子κB(NFκB)経路がAktによって活性化されることは、Aktと核内因子κBキナーゼのインヒビター(Ikk)との直接的な会合によって裏付けられた。IkkのAktによるインビトロでのリン酸化は、IκBの分解を促進し、ひいてはNFκBの核内への転置を促すと想定される(Ozes et al.,Nature.1999 Sep 2;401(6748):82−5)。
【0004】
Aktの構成的な活性化は、ヒトの卵巣、乳房(Stal et al.,Breast Cancer Res.,2003,5,R37−44)及び前立腺癌(Malik et al.,Clinc.Cancer Res.,2002,8,1168−1171;Thakkar et al.,J.Biol.Chem.,2001,276,38361−38369)において頻繁に見出される。それは、脂質ホスファターゼPTEN、つまりPI3キナーゼ経路の負の調節物質の完全な損失によるものである(Nesterov et al.,J.Biol.Chem.,2001,276,10767−10774)。従って、Aktのインヒビターは、効果的な感作物質又はアポトーシスのインデューサーとしての癌療法に期待が持てる薬剤である(Beresford et al.,J.Interferon Cytokine Res.,2001,21,313−322)。
【0005】
腫瘍細胞において抗アポトーシス性のシグナル伝達の調節物質として作用することによって、プロテインキナーゼB(PKB)/Aktは、癌療法のための標的である。選択的にAktイソ酵素と干渉する化合物は、近年記載されてきている(Barnett et al.Biochem.J 2005,385:399−408)。これらのAktインヒビター、特にAkt1とAkt2のインヒビターは、Trail、カンプトテシン及びドキソルビシンのようなアポトーシス性刺激に対して腫瘍細胞を選択的に感作させた(DeFeo−Jones et al.Mol Cancer Therap 2005,4:271−279)。従って、Aktインヒビターは、アポトーシスのしきい値をシフトさせて、例えば化学療法薬のアポトーシス性刺激又はデス受容体経路のアゴニスト、例えばTrail又はDR4/5アゴニスト抗体に対して腫瘍細胞を再感作させることが予想される。それにもかかわらず、遺伝学的背景/腫瘍の細胞性統覚(apperation)に応じて、Aktインヒビターは、単独療法において同様にアポトーシス性細胞死を誘導することができる。
【0006】
先行技術
国際出願WO03/037891号は、とりわけグリコゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)インヒビターであると言われる一般的に開示されたN−アシル化されたメタ−フェニレンジアミン誘導体を抽象的に含んでいる。WO02/094831号は、ヘリコバクター細菌に対して活性を有するピリジルメチルアミノピリミジンを記載している。WO01/47897号は、サイトカイン産生の遮断、特にp38キナーゼの阻害を介したTNF−アルファ(TNF−α)の発現に有効であると言われるN−複素環式化合物に関する。Hadas Reuveni et al.,Biochemistry 2002,41,10304−10314は、プロテインキナーゼB/Akt(PKB)のインヒビターについてのスクリーニング法を記載している。WO2004/048365号は、ホスホチジルイノシトール(PI)3−キナーゼを阻害すると言われるピリミジン系化合物を開示している。
【0007】
発明の開示
ここで、以下に非常に詳細に記載されるピリミジン誘導体が、先行技術の化合物とは予想しない特定の構造的特徴の点で異なり、かつ意想外かつ特に有利な特性を有することが判明した。従って、例えばこれらのピリミジン誘導体は、プロテインキナーゼ、特にプロテインキナーゼB(PKB)/Aktの1種以上のイソ型のインヒビターとして作用する。
【0008】
従って、本発明は、第一の態様(態様a)の一実施態様(実施態様1)において、式I
【0009】
【化1】

[式中、
R1は、Ar1、Har1、Aa1、Hh1、Ah1又はHa1であり、その際、
Ar1は、フェニル、R11及び/又はR12で置換されたフェニル、ナフチル、R13で置換されたナフチル又はフルオレニルであり、その際、
R11は、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルコキシ、ハロゲン、フェノキシ、C〜C−アルキルカルボニル又はフェニル−C〜C−アルコキシであり、
R12は、C〜C−アルコキシであり、
R13は、C〜C−アルコキシであり、
Har1は、R14によって場合により置換されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式、縮合二環式又は縮合三環式の5員ないし14員のヘテロアリール基であり、その際、
R14は、C〜C−アルキル又はフェニルスルホニルであり、
Aa1は、R15によって場合により置換されており、かつ2個のアリール基から構成されるビスアリール基であり、前記アリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から無関係に選択され、かつそれらは単結合を介してともに結合されており、かつ
R15は、ハロゲンであり、
Hh1は、2個のヘテロアリール基から構成されるビスヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基からなる群から無関係に選択され、かつそれらは単結合を介してともに結合されており、
Ah1は、アリール基とヘテロアリール基とから構成されるアリールヘテロアリール基であり、前記アリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から選択され、かつ前記ヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基からなる群から選択され、その際、前記アリール基とヘテロアリール基とは単結合を介してともに結合されており、
Ha1は、ヘテロアリール基とアリール基とから構成されるヘテロアリールアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基からなる群から選択され、かつ前記アリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から選択され、その際、前記ヘテロアリール基とアリール基とは単結合を介してともに結合されており、
R2は、水素、ハロゲン又はC〜C−アルキルであり、
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合、C〜C−アルキレン又は、アミノ−C〜C−アルキルで置換されたC〜C−アルキレンであり、
Ar2は、フェニル又は、R31及び/又はR32及び/又はR321で置換されたフェニルであり、その際、
R31は、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アミジノ又は−W−R311であり、その際、
Wは、結合又はC〜C−アルキレンであり、
R311は、−N(R312)R313、ハロゲン又はHet1であり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシカルボニル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
R313は、水素、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
Het1は、R314によって場合により置換されており、かつ単環式の3員ないし7員の飽和の複素環式の環であり、前記環は、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有し、かつ環炭素原子又は環窒素原子を介して部分Wに結合されており、かつ
R314は、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシカルボニルであり、
R32は、C〜C−アルコキシ又はハロゲンであるか、もしくは
R31及びR32は、フェニル環に互いにオルト位で結合して、一緒になってC〜C−アルキレンジオキシ基を形成し、
R321は、C〜C−アルコキシであり、
Vは、結合であり、
Har2は、R33及び/又はR34によって場合により置換されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式又は縮合二環式の5員ないし10員の不飽和又は部分的に飽和のヘテロアリール基であり、その際、
R33は、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル、シアノ又は−W−R311であり、
R34は、C〜C−アルキルである]で示される化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0010】
更に、本発明は、第一の態様(態様a)のもう一つの実施態様(実施態様2)において、式Iで示され、その式中、
R1は、Ar1又はHar1であり、その際、
Ar1は、フルオレニルであり、
Har1は、R14によって場合により置換されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する縮合三環式の13員又は14員のヘテロアリール基であり、その際、
R14は、C〜C−アルキル又はフェニルスルホニルであり、
R2は、水素、ハロゲン又はC〜C−アルキルであり、
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合、C〜C−アルキレン又は、アミノ−C〜C−アルキルで置換されたC〜C−アルキレンであり、
Ar2は、フェニル又は、R31及び/又はR32及び/又はR321で置換されたフェニルであり、その際、
R31は、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アミジノ又は−W−R311であり、その際、
Wは、結合又はC〜C−アルキレンであり、
R311は、−N(R312)R313、ハロゲン又はHet1であり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシカルボニル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
R313は、水素、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
Het1は、R314によって場合により置換されており、かつ単環式の3員ないし7員の飽和の複素環式の環であり、前記環は、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有し、かつ環炭素原子又は環窒素原子を介して部分Wに結合されており、かつ
R314は、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシカルボニルであり、
R32は、C〜C−アルコキシ又はハロゲンであるか、もしくは
R31及びR32は、フェニル環に互いにオルト位で結合されて、一緒になってC〜C−アルキレンジオキシ基を形成し、
R321は、C〜C−アルコキシであり、
Vは、結合であり、
Har2は、R33及び/又はR34によって場合により置換されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する単環式又は縮合二環式の5員ないし10員の不飽和又は部分的に不飽和のヘテロアリール基であり、その際、
R33は、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル、シアノ又は−W−R311であり、
R34は、C〜C−アルキルである、化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0011】
〜C−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、プロピル基、イソプロピル基及び、有利にはエチル基及びメチル基である。
【0012】
〜C−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の2〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、プロピル、イソプロピル及び、有利にはエチル基及びメチル基である。
【0013】
〜C−アルキレンは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基である。直鎖状のアルキレン基として挙げられる例は、メチレン(−CH−)基、エチレン(−CH−CH−)基、トリメチレン(−CH−CH−CH−)基及びテトラメチレン(−CH−CH−CH−CH−)基である。分枝鎖状のアルキレン基として挙げられる一例は、1,1−ジメチル−メチレン基である。
【0014】
〜C−アルコキシは、酸素原子の他に直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基及び、有利にはエトキシ基及びメトキシ基である。
【0015】
〜C−アルコキシは、酸素原子の他に直鎖状又は分枝鎖状の2〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、有利にはエトキシ基である。
【0016】
〜C−アルコキシ−C〜C−アルコキシは、前記のC〜C−アルコキシ基の1つによって置換されている前記のC〜C−アルコキシ基の1つを表す。挙げられる例は、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基及び2−イソプロポキシエトキシ基である。
【0017】
フェニル−C〜C−アルコキシは、フェニル基によって置換されている前記のC〜C−アルコキシ基の1つを表す。挙げられる例は、フェネトキシ基及びベンジルオキシ基である。
【0018】
〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルは、前記のC〜C−アルコキシ基の1つによって置換されている前記のC〜C−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基及び2−イソプロポキシエチル基である。
【0019】
〜C−アルキレンジオキシは、例えばメチレンジオキシ[−O−CH−O−]基及びエチレンジオキシ[−O−CH−CH−O−]基を表す。
【0020】
アミノ−C〜C−アルキルは、アミノ基により置換されている前記のC〜C−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、アミノメチル基、2−アミノエチル基及び3−アミノプロピル基である。
【0021】
“アミノ−C〜C−アルキルで置換されたC〜C−アルキレン”は、例えば前記のC〜C−アルキレン基の1つ、特に前記の直鎖状のアルキレン基の1つ、例えばアミノ−C〜C−アルキル−メチレン基、例えばアミノメチル−メチレン基を含んでよい。
【0022】
本発明の意味上の範囲内ではハロゲンは、臭素、塩素又はフッ素である。
【0023】
〜C−アルキルカルボニルは、カルボニル基の他に前記のC〜C−アルキル基の1つを有する基を表す。挙げられる例は、アセチル基である。
【0024】
〜C−アルコキシカルボニルは、カルボニル基の他に前記のC〜C−アルコキシ基の1つを有する基を表す。挙げられる例は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基である。
【0025】
本発明の意味においては、本発明による化合物の2個の構造部が“結合”を意味する構成を介して結合されている場合には、前記の2個の部は、単結合を介して互いに直接結合されていると解されるべきである。
【0026】
Har1は、R14によって場合により置換されていており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する単環式、縮合二環式又は縮合三環式のの5員ないし14員のヘテロアリール基である。より詳細には、Har1は、ピリミジン部に環炭素原子を介して結合されている。有利には、Har1は、R14によって環窒素原子上で場合により置換されている。
【0027】
本発明によるHar1の第一の一実施態様的な下位詳細は、単環式の基、例えばこれらに制限されないが、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピリダジニルを含む。
【0028】
本発明によるHar1の第二の一実施態様的な下位詳細は、二環式の基、例えばこれらに制限されないが、前記の単環式の基のベンゾ縮合された類似体、例えばキナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、フタラジニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル又はベンゾイミダゾリル又はナフチリジニル、インドリジニル又はプリニルを含む。
【0029】
本発明によるHar1の第三の一実施態様的な下位詳細は、三環式の基、例えばこれらに制限されないが、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、カルボリニル、フェナジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル又はチアントレニルを含む。
【0030】
本発明によるHar1についての更なる例としては、これらに制限されないが、前記の例示されたHar1のR14で置換された誘導体、とりわけ、Har1基であってR14によって環窒素原子上で置換されかつピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、プリニル、フェノチアジニル又はフェノキサジニルからなる群から選択される基を挙げることができる。
【0031】
例示されたHar1基としては、より厳密には、例えばジベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ピリジニル、ベンゾチオフェニル、チアントレニル、ジベンゾチオフェニル、N−フェニルスルホニルインドリル又はN−メチルインドリルを挙げることができる。
【0032】
例示したHar1基としては、更により厳密には、例えばジベンゾフラン−4−イル、インドール−2−イル、インドール−5−イル、インドール−6−イル、ベンゾチオフェン−2−イル、ベンゾチオフェン−3−イル、チアントレン−1−イル、ジベンゾチオフェン−4−イル、N−フェニルスルホニルインドール−2−イル又はキノリン−3−イルを挙げることができる。
【0033】
例示した好適なHar1基としては、明示的に、例えばチアントレン−1−イル、ジベンゾチオフェン−4−イル又は、特にジベンゾフラン−4−イルを挙げることができる。
【0034】
Aa1は、R15によって場合により置換されており、かつ2個のアリール基から構成されるビスアリール基であり、前記のアリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から無関係に選択され、かつそれらは単結合を介してともに結合されている。
【0035】
Aa1は、これらに制限されないが、ビフェニル基(例えば1,1′−ビフェン−4−イル基)及びそのR15で置換された誘導体(4′−フルオロ−1,1′−ビフェン−4−イル)を含んでよい。
【0036】
Hh1は、2個のヘテロアリール基から構成されるビスヘテロアリール基であり、前記のヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基からなる群から無関係に選択され、かつ単結合を介してともに結合されている。
【0037】
Hh1は、これらに制限されないが、ビチオフェニル基を含んでよい。
【0038】
Ah1は、アリール基とヘテロアリール基とから構成されるアリールヘテロアリール基であり、前記のアリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から選択され、かつ前記のヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基であり、その際、前記のアリール基とヘテロアリール基とは、単結合を介してともに結合されており、かつAh1は、前記のヘテロアリール部を介してピリミジン骨格に結合されている。Ah1は、これらに制限されないが、フェニルチオフェニル基を含んでよい。
【0039】
Ah1は、ヘテロアリール基とアリール基とから構成されるヘテロアリールアリール基であり、前記のヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基であり、かつ前記のアリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から選択され、その際、前記のヘテロアリール基とアリール基とは、単結合を介してともに結合されており、かつHa1は、前記のアリール部を介してピリミジン骨格に結合されている。Ha1は、これらに制限されないが、チオフェニルフェニル基を含んでよい。
【0040】
基Har1、基Hh1と基Ah1のそれぞれは、環炭素原子を介してピリミジン骨格に結合されていると解されるべきである。
【0041】
Het1は、R314によって場合により置換されており、かつ単環式の3員ないし7員の飽和の複素環式の環であり、前記環は、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有し、かつ環炭素原子又は環窒素原子を介して部分Wに結合されている。
【0042】
より詳細には、Het1は、R314によって環窒素原子上で置換されている。
【0043】
Het1は、これらに制限されないが、アジリジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ホモピペリジン−1−イル、ピラゾリジン−1−イル、イミダゾリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、ホモピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、ピペリジン−3−イル又はピペリジン−4−イルを含んでよい。
【0044】
本発明によるHet1についての更なる例としては、これらに制限されないが、前記の例示したHet1基のR314で置換された誘導体、とりわけHet1基であってR314によって環窒素原子上で置換されかつピラゾリジン−1−イル、イミダゾリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、ホモピペラジン−1−イル、ピペリジン−3−イル及びピペリジン−4−イルからなる群から選択される基を挙げることができる。
【0045】
例示したHet1基としては、より厳密に、例えばモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、4−N−メチル−ピペラジン−1−イル又はピペリジン−3−イルを挙げることができる。
【0046】
例示した好適なHet1基としては、明示的に、例えばピロリジン−1−イル又はピペリジン−3−イルを挙げることができる。
【0047】
Har2は、R33及び/又はR34によって場合により置換されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する単環式又は縮合二環式の5員ないし10員の不飽和又は部分的に飽和のヘテロアリール基である。より詳細には、Har2は、部分Vに環炭素原子を介して結合されている。有利には、Har2は、R33及び/又はR34によって環炭素原子上で場合により置換されている。
【0048】
本発明によるHar2の一実施態様は、不飽和の基、例えばこれらに制限されないが、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、それらのベンゾ縮合された類似体、例えばキナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、フタラジニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル又はベンゾイミダゾリル又はナフチリジニル、インドリジニル又はプリニルを含む。
【0049】
またHar2は、もう一つの実施態様において、前記に列挙した環系の部分的に水素化された誘導体、特に上述のベンゾ縮合された基の部分的に水素化された誘導体、例えばこれらに制限されないが、インドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニルを含んでよい。
【0050】
本発明によるHar2についての更なる例としては、これらに制限されないが、前記の例示したHar2基のR33及び/又はR34で置換された誘導体を挙げることができる。
【0051】
例示したHar2基としては、より厳密には、例えばフラニル、ジメチルフラニル、ジメチルイソキサゾリル、メチルイソキサゾリル、ピリジニル、トリフルオロメチルピリジニル、アミノピリジニル、クロロピリジニル、フルオロピリジニル、(アミノメチル)ピリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、アミノメチルフラニル、(モルホリニル)ピリジニル又はシアノピリジニルを挙げることができる。
【0052】
例示したHar2としては、更により厳密には、例えばフラン−2−イル、2,5−ジメチルフラン−3−イル、3,5−ジメチルイソキサゾール−4−イル、5−メチルイソキサゾール−3−イル、6−トリフルオロメチルピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、6−(アミノメチル)−ピリジン−2−イル、6−(アミノメチル)−ピリジン−3−イル、5−(アミノメチル)−ピリジン−3−イル、2−(アミノメチル)−ピリジン−4−イル、4−(アミノメチル)−ピリジン−2−イル、5−(アミノメチル)−ピリジン−2−イル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、6−(モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル、5−シアノ−ピリジン−3−イル又は6−シアノ−ピリジン−3−イルを挙げることができる。
【0053】
例示した好適なHar2基としては、明示的に、例えば(アミノメチル)ピリジニル、例えば6−(アミノメチル)−ピリジン−2−イル、6−(アミノメチル)−ピリジン−3−イル、5−(アミノメチル)−ピリジン−3−イル、2−(アミノメチル)−ピリジン−4−イル、4−(アミノメチル)−ピリジン−2−イル、5−(アミノメチル)−ピリジン−2−イル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イルを挙げることができる。
【0054】
特に記載がない限り、本願に挙げられる環式の基は、全ての可能な安定した位置異性体を指す。このように、例えばピリジニル又はピリジルは、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル及びピリジン−4−イルを含む。
【0055】
式Iの化合物についての適当な塩(置換基に依存して)は全ての酸付加塩又は塩基との全ての塩である。薬学で慣用に使用される薬理学的に認容性の無機及び有機の酸及び塩基のそれが特に挙げられる。これらの好適なものは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との、一方では、水不溶性の酸付加塩、特に水溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらが考慮されるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0056】
他方で、置換によっては塩基との塩も適当である。塩基との塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン又はグアニジニウムの塩であり、その際、この場合にも塩基は塩調製において等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0057】
本発明による化合物の工業的規模での製造の間に、例えばプロセス生成物として得ることができる薬理学的に非認容性の塩は当業者に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。
【0058】
専門知識によれば、本発明の式Iの化合物並びにそれらの塩は、例えば結晶形で単離された場合に、種々の量の溶剤を含有してよい。従って本発明の範囲内では、式Iの化合物の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物、及びまた式Iの化合物の塩の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物が包含される。
【0059】
本願で置換されていると記載された成分は、特に記載がない限り任意の可能な位置で置換されていてよい。
【0060】
一般に、特に記載がない限り、本願に挙げられる炭素環基は、単独で又は他の基の一部として、それらの所定の置換基又は親分子基によって、任意の置換可能な環炭素原子で置換されていてよい。
【0061】
特に示されない限りは、本願に挙げられる複素環基は、単独で又は他の基の部分として、所定の置換基又は親分子基によって、任意の可能な位置で、例えば任意の置換可能な環炭素原子又は環窒素原子で置換されていてよい。
【0062】
第4級化可能なイミノ型の環窒素原子(−N=)を有する環は、有利には、これらのイミノ型の環窒素原子上で前記の置換基又は親分子基によって第4級化されていなくてよい。
【0063】
式Iの化合物の置換基R2及び−N(H)C(O)R3は、フェニル環がピリミジン−アミノ部に結合される結合位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位で結合されてよく、その際、−N(H)C(O)R3がメタ位又は、特にパラ位で結合されていることが好ましい。
【0064】
式Iの化合物の置換基R11及びR12は、フェニル環がピリミジン部に結合される結合位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位で結合されてよく、その際、メタ位又はパラ位での結合が好ましい。
【0065】
式Iの化合物の置換基R31、R32及びR321は、フェニル環が部分Uに結合される結合位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位で結合されてよく、その際、メタ位又はパラ位での結合が強調される。
【0066】
例示したAr1基としては、これらに制限されないが、3−ベンジルオキシ−フェニル、4−ベンジルオキシ−フェニル、フェニル、3−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、3,4−ジメトキシ−フェニル、3,5−ジメトキシ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、3−アセチル−フェニル、4−アセチル−フェニル、3−フェノキシ−フェニル又は4−フェノキシ−フェニル又は6−メトキシ−ナフタレン−2−イルを挙げることができる。
【0067】
例証となる例示したAr1基は、これらに制限されないが、3−ベンジルオキシ−フェニル、4−ベンジルオキシ−フェニル、フェニル、3−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、3,4−ジメトキシ−フェニル、3−フルオロ−フェニル、3−アセチル−フェニル、4−アセチル−フェニル又は4−フェノキシ−フェニル又は6−メトキシ−ナフタレン−2−イルを含んでよい。
【0068】
例示したAr2基としては、これらに制限されないが、4−ジメチルアミノ−フェニル、3−ジメチルアミノ−フェニル、2−ジメチルアミノ−フェニル、4−(モルホリン−4−イル)−フェニル、3−(モルホリン−4−イル)−フェニル、4−(ピロリジン−1−イル)−フェニル、3−(ピロリジン−1−イル)−フェニル、4−(4−メチルピペラジン−1−イル−メチル)−フェニル、3−(4−メチルピペラジン−1−イル−メチル)−フェニル、フェニル、4−t−ブチル−フェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,6−ジフルオロ−フェニル、4−アミノメチル−フェニル、3−アミノメチル−フェニル、2−アミノメチル−フェニル、4−(2−アミノエチル)−フェニル、3−(2−アミノエチル)−フェニル、4−ジメチルアミノメチル−フェニル、3−ジメチルアミノメチル−フェニル、4−メチルアミノメチル−フェニル、3−メチルアミノメチル−フェニル、2−アミノ−フェニル、3−アミノ−フェニル、4−アミノ−フェニル、4−(ピペリジン−3−イル)−フェニル、3−(ピペリジン−3−イル)−フェニル、4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル、3−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル、4−{[ビス−(2−メトキシエチル)]アミノ}−フェニル、3−{[ビス−(2−メトキシエチル)]アミノ}−フェニル、4−[(2−メトキシエチル)アミノ]−フェニル、3−[(2−メトキシエチル)アミノ]−フェニル、4−(2−クロロエチル)−フェニル、3−(2−クロロエチル)−フェニル、4−ブロモメチル−フェニル、3−ブロモメチル−フェニル、3−シアノ−フェニル、4−シアノ−フェニル、3−アミジノ−フェニル、4−アミジノ−フェニル、4−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル、4−(1−アミノ−1−メチル−エチル)−フェニル、3−(1−アミノ−1−メチル−エチル)−フェニル、3,4−メチレンジオキシ−フェニル、3,4−エチレンジオキシ−フェニル、4−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、2−フルオロフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−メトキシフェニル、3,4,5−トリメトキシ−フェニル、3,5−ジメトキシ−フェニル、3,4−ジメトキシ−フェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、4−クロロ−2−フルオロ−フェニル又は3−クロロ−4−フルオロ−フェニルを挙げることができる。
【0069】
例証となる例示したAr2基は、これらに制限されないが、4−ジメチルアミノ−フェニル、3−ジメチルアミノ−フェニル、2−ジメチルアミノ−フェニル、4−(モルホリン−4−イル)−フェニル、3−(ピロリジン−1−イル)−フェニル、4−(4−メチルピペラジン−1−イル−メチル)−フェニル、フェニル、4−t−ブチル−フェニル、3,4−ジクロロフェニル、4−アミノメチル−フェニル、3−アミノメチル−フェニル、3−(2−アミノエチル)−フェニル、4−(2−アミノエチル)−フェニル、3−ジメチルアミノメチル−フェニル、4−ジメチルアミノメチル−フェニル、4−メチルアミノメチル−フェニル、2−アミノ−フェニル、3−アミノ−フェニル、4−アミノ−フェニル、4−(ピペリジン−3−イル)−フェニル、4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル、3−{[ビス−(2−メトキシエチル)]アミノ}−フェニル、4−[(2−メトキシエチル)アミノ]−フェニル、4−(2−クロロエチル)−フェニル、4−ブロモメチル−フェニル、3−シアノ−フェニル、4−シアノ−フェニル、3−アミジノ−フェニル、4−アミジノ−フェニル、4−アミノメチル−2−フルオロ−フェニル、4−(1−アミノ−1−メチル−エチル)−フェニル、3,4−メチレンジオキシ−フェニル、4−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、2−フルオロフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3,4,5−トリメトキシ−フェニル、3,5−ジメトキシ−フェニル、3,4−ジメトキシ−フェニル、4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル、2,6−ジフルオロ−フェニル、4−クロロ−2−フルオロ−フェニル又は3−クロロ−4−フルオロ−フェニルを含んでよい。
【0070】
より挙げるに値する本発明の態様の実施態様1による化合物は、式Iで示され、その式中、
R1は、Ar1、Har1又はAa1であり、その際、
Ar1は、フェニル、R11及び/又はR12で置換されたフェニル、ナフチル又は、R13で置換されたナフチルであり、その際、
R11は、C〜C−アルコキシ、ハロゲン、フェノキシ、C〜C−アルキルカルボニル又はフェニル−C〜C−アルコキシであり、
R12は、C〜C−アルコキシであり、
R13は、C〜C−アルコキシであり、
Har1は、R14によって場合により置換されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式、縮合二環式又は縮合三環式の5員ないし14員のヘテロアリール基であり、その際、
R14は、フェニルスルホニルであり、
Aa1は、R15によって場合により置換されており、かつ2個のアリール基から構成されるビスアリール基であり、前記アリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から無関係に選択され、かつそれらは単結合を介してともに結合されており、かつ
R15は、ハロゲンであり、
Hh1は、2個のヘテロアリール基から構成されるビスヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基からなる群から無関係に選択され、かつそれらは単結合を介してともに結合されており、
Ah1は、アリール基とヘテロアリール基とから構成されるアリールヘテロアリール基であり、前記アリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から選択され、かつ前記ヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基からなる群から選択され、その際、前記アリール基とヘテロアリール基とは単結合を介してともに結合されており、
Ha1は、ヘテロアリール基とアリール基とから構成されるヘテロアリールアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基からなる群から選択され、かつ前記アリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から選択され、その際、前記ヘテロアリール基とアリール基とは単結合を介してともに結合されており、
R2は、水素、又はC〜C−アルキルであり、
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合、直鎖状のC〜C−アルキレン又は、アミノ−C〜C−アルキルで置換された直鎖状のC〜C−アルキレンであり、
Ar2は、フェニル又は、R31及び/又はR32及び/又はR321で置換されたフェニルであり、その際、
R31は、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アミジノ、−W−R311又はHet1であり、その際、
Wは、結合又はC〜C−アルキレンであり、
R311は、−N(R312)R313又はハロゲンであり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシカルボニル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
R313は、水素、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
Het1は、R314によって場合により置換されており、かつ単環式の3員ないし7員の飽和の複素環式の環であり、前記環は、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有し、かつ環炭素原子又は環窒素原子を介して部分Wに結合されており、かつ
R314は、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシカルボニルであり、
R32は、C〜C−アルコキシ又はハロゲンであるか、もしくは
R31及びR32は、フェニル環に互いにオルト位で結合して、一緒になってC〜C−アルキレンジオキシ基を形成し、
R321は、C〜C−アルコキシであり、
Vは、結合であり、
Har2は、R33及び/又はR34によって場合により置換されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式又は縮合二環式の5員ないし10員の不飽和又は部分的に飽和のヘテロアリール基であり、その際、
R33は、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル、シアノ又は−W−R311であり、
R34は、C〜C−アルキルである、化合物及びこれらの化合物の塩を含む。
【0071】
特に挙げるに値する本発明の態様の実施態様1による化合物は、式Iで示されるか、又は以下に定義される式Iaで示され、それらの式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イル、ジベンゾチオフェン−4−イル、4−ベンジルオキシ−フェニル、4−フェノキシ−フェニル又はチアントレン−1−イルであり、
R2は、水素又はメチルであり、
R3は、−U−Ar2、−V−Har2又は2−アミノ−フェニルであり、その際、
Uは、結合であり、かつ
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は3−(R31)−フルオロフェニルもしくは4−(R31)−フルオロフェニルであり、その際、
R31は、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキル、シアノ、塩素、アミジノ、−W−R311、ピロリジン−1−イル又はピペリジン−3−イルであり、その際、
Wは、結合であり、かつ
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−エチル又はテトラブトキシカルボニルであり、
R313は、水素又はC〜C−アルキルであるか、もしくは
Wは、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313又は臭素であり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル又はt−ブトキシカルボニルであり、
R313は、水素又はC〜C−アルキルであるか、もしくは
Uは、メチレン又はエチレンであり、かつ
Ar2は、フェニル又は3−(R31)−フェニルもしくは4−(R31)−フェニルであり、その際、
R31は、フッ素、C〜C−アルコキシ又はアミノメチルであるか、もしくは
Uは、結合又はアミノメチル−メチレンであり、かつ
Ar2は、3,4−ジクロロフェニルであり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチル又はトリフルオロメチルである
、化合物及びこれらの化合物の塩を含む。
【0072】
より特に挙げるに値する本発明の態様aの実施態様1による化合物は、以下に定義される式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾチオフェン−4−イル、4−ベンジルオキシ−フェニル、チアントレン−1−イル又は、特にジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素又はメチルであり、
R3は、−U−Ar2、−V−Har2又は2−アミノ−フェニルであり、その際、
Uは、結合であり、かつ
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は3−(R31)−フルオロフェニルもしくは4−(R31)−フルオロフェニルであり、その際、
R31は、アミジノ、−W−R311、ピロリジン−1−イル又はピペリジン−3−イルであり、その際、
Wは、結合であり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素、メチル又は2−メトキシエチルであり、
R313は、メチルであるか、もしくは
Wは、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素又はメチルであり、
R313は、水素であるか、もしくは
Uは、メチレンであり、かつ
Ar2は、4−(アミノメチル)−フェニルであるか、もしくは
Uは、アミノメチル−メチレンであり、かつ
Ar2は、3,4−ジクロロフェニルであり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチルである
、化合物及びこれらの化合物の塩を含む。
【0073】
強調されるべき本発明の態様の実施態様1による化合物は、以下に定義される式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合であり、
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は2−フルオロ−4−(R31)−フェニルであり、その際、
R31は、アミジノ又は−W−R311であり、その際、
Wは、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素又はメチルであり、
R313は、水素であり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチルである、化合物及びこれらの化合物の塩である。
【0074】
第一の実施態様において、より強調されるべき本発明の態様aの実施態様1による化合物は、以下に定義される式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−U−Ar2であり、その際、
Uは、結合であり、
Ar2は、3−(R31)−フェニル又4−(R31)−フェニルであり、その際、
R31は、アミジノ又は−W−R311であり、その際、
Wは、メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素であり、
R313は、水素である、化合物及びこれらの化合物の塩である。
【0075】
第二の実施態様において、より強調されるべき本発明の態様aの実施態様1による化合物は、以下に定義される式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−V−Har2であり、その際、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチルであり;
より厳密には、
R1は、ジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−V−Har2であり、その際、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル、6−(R33)−ピリド−3−イル、6−(R33)−ピリド−2−イル、2−(R33)−ピリド−4−イル、4−(R33)−ピリド−2−イル又は5−(R33)−ピリド−2−イルであり、その際、
R33は、アミノメチルである、化合物及びこれらの化合物の塩である。
【0076】
より挙げるに値する本発明の態様aの実施態様2による化合物は、式Iで示され、その式中、
R1は、Har1であり、その際、
Har1は、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、カルボリニル、フェナジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、N−メチル−カルバゾリル又はN−メチルカルボリニルであり、
R2は、水素又はC〜C−アルキルであり、
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合、直鎖状のC〜C−アルキレン又は、アミノ−C〜C−アルキルで置換された直鎖状のC〜C−アルキレンであり、
Ar2は、フェニル又は、R31及び/又はR32及び/又はR321で置換されたフェニルであり、その際、
R31は、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アミジノ、−W−R311又はHet1であり、その際、
Wは、結合又はC〜C−アルキレンであり、
R311は、−N(R312)R313又はハロゲンであり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシカルボニル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
R313は、水素、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
Het1は、R314によって場合により置換されており、かつ単環式の3員ないし7員の飽和の複素環式の環であり、前記環は、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有し、かつ部分Wに環炭素原子又は環窒素原子を介して結合されており、かつ
R314は、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシカルボニルであり、
R32は、C〜C−アルコキシ又はハロゲンであるか、もしくは
R31及びR32は、フェニル環に互いにオルト位で結合されて、C〜C−アルキレンジオキシ基をともに形成し、
R321は、C〜C−アルコキシであり、
Vは、結合であり、
Har2は、R33及び/又はR34によって場合により置換されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式又は縮合二環式の5員ないし10員の不飽和の又は部分的に飽和のヘテロアリール基であり、その際、
R33は、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル、シアノ又は−W−R311であり、
R34は、C〜C−アルキルである、化合物及びこれらの化合物の塩を含む。
【0077】
特に挙げるに値する本発明の態様aの実施態様2による化合物は、式Iで示されるか又は、特に以下に定義される式Iaで示され、その式中、
R1は、Har1であり、
Har1は、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、カルボリニル、フェナジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、N−メチル−カルバゾリル又はN−メチルカルボリニルであり、
R2は、水素又はメチルであり、
R3は、−U−Ar2、−V−Har2又は2−アミノ−フェニルであり、その際、
Uは、結合であり、かつ
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は3−(R31)−フルオロフェニルもしくは4−(R31)−フルオロフェニルであり、その際、
R31は、アミジノ、−W−R311又はピペリジン−3−イルであり、その際、
Wは、結合であり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素、メチル又は2−メトキシエチルであり、
R313は、メチルであるか、もしくは
Wは、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素又はメチルであり、
R313は、水素であるか、もしくは
Uは、メチレンであり、かつ
Ar2は、4−(アミノメチル)−フェニルであるか、もしくは
Uは、アミノメチル−メチレンであり、かつ
Ar2は、3,4−ジクロロフェニルであり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチルである
、化合物及びこれらの化合物の塩を含む。
【0078】
より特に挙げるに値する本発明の態様aの実施態様2による化合物は、式Iで示されるか又は、特に以下に定義される式Iaで示され、その式中、
R1は、Har1であり、その際、
Har1は、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、カルボリニル、フェナジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、N−メチル−カルバゾリル又はN−メチルカルボリニルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合であり、
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は2−フルオロ−4−(R31)−フェニルであり、その際、
R31は、アミジノ又は−W−R311であり、その際、
Wは、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素又はメチルであり、
R313は、水素であり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチルである、化合物及びこれらの化合物の塩を含む。
【0079】
態様aの関連では、本発明は、また、更なる一態様(態様a1)においては、疾病、例えば単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病の治療又は予防において使用するための、態様aによる化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0080】
態様aの関連では、本発明は、また、なおも更なる一態様(態様a2)においては、態様aによる化合物及びこれらの化合物の塩を、疾病、例えば単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病の治療又は予防のための医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0081】
態様aの関連では、本発明は、また、依然としてなおも更なる一態様(態様a3)においては、態様aによる化合物及びこれらの化合物の塩を、単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病(但し、それらの疾病からグリコゲンシンターゼキナーゼ3によって媒介される疾病は除く)の治療又は予防のための医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0082】
この関連で、前記疾病は、特に良性又は悪性の挙動の過剰増殖性の疾病、例えば細胞新形成、例えば癌及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患である。
【0083】
更に本発明は、第二の態様(態様b)においては、式Iで示される態様aによる化合物及びこれらの化合物の塩(但し、これらから
4−アミノ−N−[4−(6−ピリジン−3−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ベンゾフラン−2−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−チオフェン−3−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ジベンゾフラン−1−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−キノリン−8−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ナフタレン−2−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ビフェニル−3−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ビフェニル−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−フェニル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ナフタレン−1−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(2−フェノキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、及び
4−アミノ−N−{4−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド
は除く)に関する。
【0084】
態様bの関連では、本発明は、また、更なる一態様(態様b1)においては、疾病、例えば単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病の治療又は予防において使用するための、態様bによる化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0085】
態様bの関連では、本発明は、また、なおも更なる一態様(態様b2)においては、態様bによる化合物及びこれらの化合物の塩を、単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病(但し、それらの疾病からグリコゲンシンターゼキナーゼ3によって媒介される疾病は除く)の治療又は予防のための医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0086】
この関連で、前記疾病は、特に哺乳動物における良性又は悪性の挙動の過剰増殖性の疾病、例えば細胞新形成、例えば癌及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患である。
【0087】
更に本発明は、第三の態様(態様c)において、式Iで示される化合物であって、これらの化合物が、
4−アミノ−N−[4−(6−ピリジン−3−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ベンゾフラン−2−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−チオフェン−3−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ジベンゾフラン−1−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−キノリン−8−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ナフタレン−2−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ビフェニル−3−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ビフェニル−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−フェニル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ナフタレン−1−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(2−フェノキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、及び
4−アミノ−N−{4−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド
である化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0088】
態様cの関連では、本発明は、また、更なる一態様(態様c1)においては、疾病、例えば単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病の治療又は予防において使用するための、態様cによる化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0089】
態様cの関連では、本発明は、また、なおも更なる一態様(態様c2)においては、態様cによる化合物及びこれらの化合物の塩を、疾病、例えば単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病の治療又は予防のための医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0090】
この関連で、前記疾病は、特に哺乳動物における良性又は悪性の挙動の過剰増殖性の疾病、例えば細胞新形成、例えば癌及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患である。
【0091】
更に本発明は、第四の態様(態様d)においては、式Iで示されるが、但し、その式中、
置換基−N(H)C(O)R3が、フェニル環がピリミジン−アミノ部に結合される結合位置に対してメタ位で結合されている場合には、
R1は、Har1、Ah1又はHh1ではない、化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0092】
態様dの関連では、本発明は、また、更なる一態様(態様d1)においては、疾病、例えば単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病の治療又は予防において使用するための、態様dによる化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0093】
態様dの関連では、本発明は、また、なおも更なる一態様(態様d2)においては、態様dによる化合物及びこれらの化合物の塩を、疾病、例えば単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病の治療又は予防のための医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0094】
この関連で、前記疾病は、特に哺乳動物における良性又は悪性の挙動の過剰増殖性の疾病、例えば細胞新形成、例えば癌及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患である。
【0095】
また本発明は、第五の態様(態様e)においては、式Iで示されるが、但し、その式中、
R1は、Har1、Ah1又はHh1であり、かつ
置換基−N(H)C(O)R3は、フェニル環がピリミジン−アミノ部に結合される結合位置に対してメタ位で結合されている、化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0096】
態様eの関連では、本発明は、また、更なる一態様(態様e1)においては、疾病、例えば単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病の治療又は予防において使用するための、態様eによる化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0097】
態様eの関連では、本発明は、また、依然としてなおも更なる一態様(態様e2)においては、態様eによる化合物及びこれらの化合物の塩を、単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病(但し、それらの疾病からグリコゲンシンターゼキナーゼ3によって媒介される疾病は除く)の治療又は予防のための医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0098】
この関連で、前記疾病は、特に哺乳動物における良性又は悪性の挙動の過剰増殖性の疾病、例えば細胞新形成、例えば癌及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患である。
【0099】
また本発明は、第六の態様(態様f)においては、式Iで示されるが、但し第一に、その式中、
置換基−N(H)C(O)R3が、フェニル環がピリミジン−アミノ部に結合される結合位置に対してメタ位で結合されている場合には、
R1は、Har1、Ah1又はHh1ではない化合物(但し第二に、これらから
4−アミノ−N−[4−(6−ピリジン−3−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ベンゾフラン−2−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−チオフェン−3−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ジベンゾフラン−1−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−キノリン−8−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ナフタレン−2−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ビフェニル−3−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ビフェニル−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−フェニル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−[4−(6−ナフタレン−1−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(2−フェノキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(2−ベンジルオキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、
4−アミノ−N−{4−[6−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド、及び
4−アミノ−N−{4−[6−(2−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イルアミノ]−フェニル}−ベンザミド
は除く)及びこれらの化合物の塩に関する。
【0100】
態様fの関連では、本発明は、また、更なる一態様(態様f1)においては、疾病、例えば単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病の治療又は予防において使用するための、態様fによる化合物及びこれらの化合物の塩に関する。
【0101】
態様fの関連では、本発明は、また、なおも更なる一態様(態様f2)においては、態様fによる化合物及びこれらの化合物の塩を、疾病、例えば単一のプロテインキナーゼ(一例としてPKB/Akt)又は複数のプロテインキナーゼの規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内での機能調節不全により媒介される疾病の治療又は予防のための医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0102】
この関連で、前記疾病は、特に哺乳動物における良性又は悪性の挙動の過剰増殖性の疾病、例えば細胞新形成、例えば癌及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患である。
【0103】
本発明による化合物において特に関心が持たれるのは、本発明の範囲内で、以下の関心が持たれる実施態様及び/又は特定の実施態様の1つ又は可能であれば、それより多くにより包含される態様aによる式Iの化合物である:
本発明の態様aによる化合物の関心が持たれる一実施態様(実施態様a)は、式Iの化合物であって、該化合物が式Ia:
【0104】
【化2】

で示される化合物である化合物を指す。
【0105】
実施態様aは、式Iで示され、その式中、置換基−N(H)C(O)R3が、フェニル環がピリミジン−アミノ部に結合される結合位置に対してパラ位で結合されている化合物を指す。
【0106】
本発明の態様aによる化合物の関心が持たれるもう一つの実施態様(実施態様b)は、式Iの化合物であって、該化合物が式Ib:
【0107】
【化3】

で示される化合物である化合物を指す。
【0108】
実施態様bは、式Iで示され、その式中、置換基−N(H)C(O)R3が、フェニル環がピリミジン−アミノ部に結合される結合位置に対してメタ位で結合されている化合物を指す。
【0109】
本発明の態様aによる式Iの化合物の特定の一実施態様(実施態様1′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、部分Uが結合である化合物を指す。
【0110】
本発明の態様aによる式Iの化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様2′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、部分Uがメチレンである化合物を指す。
【0111】
本発明の態様aによる式Iの化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様3′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、部分Uがエチレンである化合物を指す。
【0112】
本発明の態様aによる式Iの化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様4′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、部分Uがアミノ−C〜C−アルキルで置換されたC〜C−アルキレン、特にアミノ−C〜C−アルキルで置換されたメチレン、より特にアミノメチルで置換されたメチレンである化合物を指す。
【0113】
本発明の態様aによる式Iの化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様5′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、R1がAr1である化合物を指す。
【0114】
本発明の態様aによる式Iの化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様6′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、R1がAa1である化合物を指す。
【0115】
本発明の態様aによる式Iの化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様7′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、R1がHar1である化合物を指す。
【0116】
本発明の態様aによる式Iの化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様8′)は、実施態様bによる式Ibで示され、その式中、R1がAr1、Aa1又はHa1、特にAr1又はAa1である化合物を指す。
【0117】
本発明の態様aによる式Iの化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様9′)は、実施態様bによる式Ibで示され、その式中、R1がHar1、Hh1又はAh1、特にHar1である化合物を指す。
【0118】
本発明の態様aによる式Iの化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様10′)は、実施態様aによる式Iaで示され、その式中、R1がAr1、Aa1、Ha1、Har1、Hh1又はAh1、特にAr1、Aa1又はHar1である化合物を指す。
【0119】
本発明の態様aによる式Iの化合物のもう一つの特定の実施態様(実施態様11′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、R2が水素である化合物を指す。
【0120】
本発明の態様aによる式Iのより挙げるに値する特定の一実施態様(実施態様12′)は、態様aによる式Iaで示され、その式中、R1がAr1である化合物を指す。
【0121】
本発明の態様aによる式Iのより挙げるに値するもう一つの特定の実施態様(実施態様13′)は、態様aによる式Iaで示され、その式中、R1がAa1である化合物を指す。
【0122】
本発明の態様aによる式Iのより挙げるに値するもう一つの特定の実施態様(実施態様14′)は、態様aによる式Iaで示され、その式中、R1がHar1である化合物を指す。
【0123】
本発明の態様aによる式Iの化合物のより詳細な特定の一実施態様(実施態様15′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、R1は、フェノキシ−フェニル又はベンジルオキシ−フェニル;殊に4−フェノキシ−フェニル又は、特に4−ベンジルオキシ−フェニルである化合物を指す。
【0124】
本発明の態様aによる式Iの化合物のより詳細なもう一つの特定の実施態様(実施態様16′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、R1が、窒素、酸素及び硫黄からなる群から無関係に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する縮合三環式の13員又は14員のヘテロアリール基であって、かつそのヘテロアリール基は、ピリミジン部に環炭素原子を介して結合されている基、例えばカルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、カルボリニル、フェナジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル又はチアントレニル;殊にチアントレニル−1−イル、ジベンゾチオフェン−4−イル又は、特にジベンゾフラン−4−イルである化合物を指す。
【0125】
本発明の態様aによる式Iの化合物のより詳細なもう一つの特定の実施態様(実施態様17′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、R1がジベンゾフラン−4−イルである化合物を指す。
【0126】
本発明の態様aによる式Iの化合物のより詳細なもう一つの特定の実施態様(実施態様18′)は、式I、式Ia又は式Ibで示され、その式中、
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合、直鎖状のC〜C−アルキレン又は、アミノ−C〜C−アルキルで置換された直鎖状のC〜C−アルキレンであり、
Ar2は、R31及び/又はR32で置換されたフェニルであり、その際、
R31は、ハロゲン、シアノ、アミジノ、−W−R311又はHet1であり、その際、
Wは、結合又はC〜C−アルキレンであり、
R311は、−N(R312)R313又はHet1であり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシカルボニル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
R313は、水素又はC〜C−アルキルであり、
Het1は、R314によって場合により置換されており、かつ単環式の3員ないし7員の飽和の複素環式の環であり、前記環は、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有し、かつ部分Wに環炭素原子又は環窒素原子を介して結合されており、かつ
R314は、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシカルボニルであり、
R32は、ハロゲンであり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、−W−R311であるか;又は
より厳密には、
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合、直鎖状のC〜C−アルキレン又は、アミノ−C〜C−アルキルで置換された直鎖状のC〜C−アルキレンであり、
Ar2は、R31及び/又はR32で置換されたフェニルであり、その際、
R31は、フッ素、塩素、シアノ、アミジノ、−W−R311又はHet1であり、その際、
Wは、結合又はC〜C−アルキレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−エチルであり、
R313は、水素又はC〜C−アルキルであり、
Het1は、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル又はN−(C〜C−アルキル)−ピペラジニル、特にピロリジン−1−イル又はピペリジン−3−イルであり、
R32は、フッ素又は塩素であり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、−W−R311であり、その際、
Wは、C〜C−アルキレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素又はC〜C−アルキルであり、
R313は、水素であるか;又は
更により厳密には、
R3は、−U−Ar2、−V−Har2又は2−アミノ−フェニルであり、その際、
Uは、結合であり、かつ
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は3−(R31)フルオロフェニルもしくは4−(R31)−フルオロフェニルであり、その際、
R31は、アミジノ、−W−R311、ピロリジン−1−イル又はピペリジン−3−イルであり、その際、
Wは、結合、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313又は(2−メトキシエチル)−アミノであり、その際、
R312は、水素又はメチルであり、
R313は、水素又はメチルであるか、もしくは
Uは、メチレンであり、かつ
Ar2は、4−(アミノメチル)−フェニルであるか、もしくは
Uは、アミノメチル−メチレンであり、かつ
Ar2は、3,4−ジクロロフェニルであり、かつ
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチルであるか;又は
特に
R3は、−U−Ar2、−V−Har2又は2−アミノ−フェニルであり、その際、
Uは、結合であり、かつ
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は3−(R31)−フルオロフェニルもしくは4−(R31)−フルオロフェニルであり、その際、
R31は、アミジノ、−W−R311、ピロリジノ−1−イル又はピペリジン−3−イルであり、その際、
Wは、結合であり、かつ
R311は、−N(R312)R313又は(2−メトキシエチル)−アミノであり、その際、
R312は、水素又はメチルであり、
R313は、メチルであるか、もしくは殊に
Wは、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、かつ
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素又はメチルであり、
R313は、水素であるか、もしくは
Uは、メチレンであり、かつ
Ar2は、4−(アミノメチル)−フェニルであるか、もしくは
Uは、アミノメチル−メチレンであり、かつ
Ar2は、3,4−ジクロロフェニルであり、かつ
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチルであるか;又は
より特に
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合であり、
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は2−フルオロ−4−(R31)−フェニルであり、その際、
R31は、アミジノ又は−W−R311であり、その際、
Wは、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素又はメチルであり、
R313は、水素であり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル、6−(R33)−ピリジ−3−イル、6−(R33)−ピリジ−2−イル、2−(R33)−ピリジ−4−イル又は4−(R33)−ピリジ−2−イルであり、その際、
R33は、アミノメチルである、化合物を指す。
【0127】
本発明の態様aによる式Iの化合物の代表的なより詳細なもう一つの特定の実施態様は、実施態様1′ないし実施態様10′のそれぞれ全て又は、特に実施態様12′ないし実施態様18′のそれぞれ全てであって、それぞれにおいてR2が水素であるものを指す。
【0128】
本発明の態様aによる式Iの化合物の特に詳細な特定の一実施態様(実施態様19′)は、式I、式Ia又は式Ibで示される化合物であって、実施態様15′と実施態様18′の両者から含まれ、かつ式中、R2が水素である化合物を指す。
【0129】
本発明の態様aによる式Iの化合物の特に詳細なもう一つの特定の実施態様(実施態様20′)は、式I、式Ia又は式Ibで示される化合物であって、実施態様16′と実施態様18′の両者から含まれ、かつ式中、R2が水素である化合物を指す。
【0130】
本発明の態様aによる式Iの化合物のより特に詳細なもう一つの特定の実施態様(実施態様21′)は、式I、式Ia又は式Ibで示される化合物であって、実施態様17′と実施態様18′の両者から含まれ、かつ式中、R2が水素である化合物を指す。
【0131】
本発明の態様aによる式Iの化合物の強調されるべき一実施態様は、実施態様aである。従って、本発明の態様aによる化合物であって、式Iaによる化合物は、本発明の範囲内で強調されるべきである。従って、実施態様1′ないし実施態様21′内で、式Iaによる化合物は、強調されるべきである。
【0132】
前記の言及から明らかなように、本発明の態様aによる化合物の前記の実施態様は、態様aだけでなく、態様bないし態様fのいずれか又は全てをも指す。
【0133】
本発明による化合物の特定の一実施態様は、本願で定義される式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−V−Har2であり、その際、
Vは、直接的な結合であり、
Har2は、アミノメチルによって置換されたピリジルである、化合物及びそれらの塩に関する。
【0134】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様は、本願に定義される式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−V−Har2であり、その際、
Vは、直接的な結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル又はイソインドリニルであり、その際、
Har2は、ベンゼン環部の環炭素原子を介して基−V−Har2の部分Vに結合されている、化合物及びそれらの塩に関する。
【0135】
本発明による化合物のもう一つの特定の実施態様は、本願で定義される式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−U−Ar2であり、その際、
Uは、直接的な結合であり、
Ar2は、3−(アミノメチル)−フェニル、4−(アミノメチル)−フェニル、3−アミノ−フェニル又は4−アミジノ−フェニルである、化合物及びそれらの塩に関する。
【0136】
本発明による化合物は、例えば以下の反応式1に示されるように、かつ以下に特記される反応段階に従って、又は特に以下の実施例に例として記載されるように、又はそれと同様にもしくは類似に当業者に公知の合成手法又は合成ストラテジーに従って製造することができる。
【0137】
式Iで示され、その式中、R1、R2及びR3が前記の意味を有する化合物は、以下に記載されるようにして得ることができる。
【0138】
反応式1に示される合成経路の第一の反応工程において、式Vで示され、その式中、R2が前記の意味を有し、かつXが−NO又は−N(H)PG1であり、その際、PG1が好適な保護基、例えばt−ブトキシカルボニル(Boc)又はT.GreeneとP.Wuts著の“有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis”(John Wiley&Sons,Inc.1999,3rd Ed.)又はP.Kocienski著の“保護基(Protecting Groups)”(Thieme Foundations Organic Chemistry Series N Group)(Thieme Medical Publishers,2000)に述べられる保護基の1つである化合物を、求核置換反応において4,6−ジクロロピリミジンと反応させて、式IVで示される相応の化合物が得られる。前記反応は、当業者に公知のように、又は以下の実施例に記載のように実施することができる。
【0139】
式IVで示される化合物を、式R1−Mで示され、その式中、R1が前記の意味を有し、かつMが式IVで示される化合物とCC結合形成反応を介して反応するのに適した基又は原子である化合物と反応させて、式IIIで示される相応の化合物が得られる。前記のCC結合形成反応は、例えばKumadaカップリング、Negishiカップリング、Hiyamaカップリング、Sonogashiraカップリング、Stille反応又は、有利にはSuzukiカップリング反応であってよい。このように、Suzukiカップリング反応の場合には、式IIIで示される化合物は、ホウ酸エステルであるか、又は特にMが−B(OH)であるボロン酸である。
【0140】
適宜、Suzuki反応は、当業者に公知のように、及び/又は以下に記載されるように、そして以下の実施例に例として特記されるように、又はそれと類似に又は同様に実施される。
【0141】
反応式1:
【0142】
【化4】

【0143】
より詳細には、前記のSuzuki反応は、有機溶剤、例えばトルエン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド又はエーテル溶剤(例えばジメトキシエタン又はジオキサン)又はアルコール溶剤単独中で、又はそれらの混合物中で、又は有利には有機溶剤(特にジメトキシエタン)と水とを含有する混合物中で、有機塩基(例えばトリエチルアミン)又は、有利には無機塩基(例えば水酸化カリウム、水酸化タリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、又は、特に炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム)と一緒に、遷移金属触媒、例えばニッケル触媒又は、特にパラジウム触媒(例えばPd(OAc)、PdCl(PPh、Pd(PPh)及び、場合により塩化リチウムの存在下に実施することができる。該反応は、20℃〜160℃、通常は60℃〜130℃の範囲において、10分ないし5日で、通常は30分ないし24時間で実施される。有利には使用される溶剤は脱ガスされて、反応は保護ガス下に実施される。
【0144】
後続の反応工程において、式IIIで示され、その式中、Xが−NOである化合物のニトロ基を還元させて、式IIで示される相応の化合物のアミノ基にする。前記の還元は、当業者に公知のようにして又は以下の実施例に記載されるようにして実施される。より詳細には、該還元は、例えば接触水素化によって、例えばラネーニッケル又は貴金属触媒、例えばパラジウム又は、特に活性炭上白金の存在下に好適な溶剤中で実施することができる。
【0145】
式IIIで示され、その式中、Xが−N(H)PG1である化合物は、また式IIで示される相応の化合物に変換することもできる。前記の変換は、保護基PG1の脱保護によって、当業者に自体慣習のようにして又は以下の実施例に記載されるようにして達成することができる。
【0146】
式IIで示され、その式中、R1及びR2が前記の意味を有する化合物を、式R3−C(O)−Yで示され、その式中、Yが好適な離脱基、有利には塩素原子であり、かつR3が前記の置換基であって必要に応じて当業者に公知の一時的な保護基(例えばt−ブトキシカルボニル保護基)によって保護されていてよい置換基を表す化合物と反応させて、前記の一時的な保護基を随時除去した後に、式Iで示され、その式中、R1、R2及びR3が前記の意味を有する化合物を得ることができる。
【0147】
選択的に、式Iで示され、その式中、R1、R2及びR3が前記の意味を有する化合物を、式IIで示され、その式中、R1及びR2が前記の意味を有する化合物と式R3−C(O)−Yで示され、その式中、Yがヒドロキシルであり、かつR3が前記の置換基であって必要に応じて当業者に公知の一時的な保護基(例えばt−ブトキシカルボニル保護基)によって保護されていてよい置換基を表す化合物とから、当業者に公知のアミド結合架橋試薬との反応によって、かつ引き続いて前記の一時的な保護基を随時除去することによって得ることもできる。当業者に公知のアミド結合架橋試薬の挙げられる例は、カルボジイミド(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド又は、有利には1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、アゾジカルボン酸誘導体(例えばジエチルアゾジカルボキシレート)、ウロニウム塩[例えばO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート又はO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート]及びN,N’−カルボニルジイミダゾールである。本発明の範囲において、有利なアミド結合架橋試薬はウロニウム塩及び、有利にはカルボジイミド、有利には1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である。
【0148】
前記の式Iの化合物と式R3−C(O)−Yの化合物との反応は、当該技術分野で知られるようにして又は以下の実施例に記載されるようにして実施することができる。
【0149】
式V、式R1−M又は式R3−C(O)−Yで示される化合物は公知であるか又は公知のようにしてもしくは当該技術分野で知られる化合物と同様にもしくは類似に得ることができるか、又は以下の実施例に記載されるようにして又はそれと同様に又は類似に得ることができる。
【0150】
場合により、式Iの化合物を、当業者に公知の方法によって転化させて、更なる式Iの化合物にすることもできる。殊に、例えば式Iで示され、その式中、
a)R312が水素である化合物から、相応のエステル化合物をエステル化反応によって得ることができる、
b)R312又はR313が水素である化合物から、相応のエーテル化合物をエーテル化反応によって得ることができる、
c)R312又はR314がC〜C−アルコキシカルボニル基、例えばt−ブトキシカルボニル基である化合物から、相応の遊離アミノ化合物を、C〜C−アルコキシカルボニル基の除去によって得ることができる、
d)R31がシアノ基である化合物から、相応のアミジノ基を、イミドエステル形成に引き続いてのアミノ化によって得ることができる。
【0151】
a)、b)、c)及びd)に挙げられる方法は、便宜上、当業者に公知の方法と同様に又は以下の実施例に例として記載されるように実施される。
【0152】
場合により式Iの化合物をその塩に変換できるか、又は場合により式Iの化合物の塩を遊離の化合物に変換することができる。
【0153】
更に当業者には、多数の反応中心が出発化合物又は中間体化合物に存在する場合には、1つ以上の反応中心を反応が所望の反応中心だけで行われるように保護基で封鎖する必要があることもあることは知られている。多数の証明された保護基の使用のための詳細な記載は、例えば“Protective Groups in Organic Synthesis”、T.GreeneとP.Wutsの著(John Wiley&Sons,Inc.1999,3rd Ed)又は“Protecting Groups(Thieme Foundations Organic Chemistry Series N Group)”、P.Kocienski著(Thieme Medical Publishers,2000)で述べられている。
【0154】
本発明による物質は、自体公知の方法で、例えば減圧下で溶剤を留去し、そして得られた残留物を適当な溶剤から再結晶させるか、又は慣用の精製法の1つ、例えば適当な担体材料上でのカラムクロマトグラフィーを実施することによって単離及び精製される。
【0155】
塩は、遊離の化合物を所望の酸又は塩基を含有する適当な溶剤(例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルム又は低分子量の脂肪族アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール)中に、又は所望の酸又は塩基がその後に添加される溶剤中に溶解させることによって得られる。塩は、付加塩のための非溶剤を用いる濾過、再沈殿、沈殿又は溶剤の蒸発によって得られる。得られた塩を、遊離の化合物に変換してよく、該化合物はまたアルカリ性化又は酸性化によって塩に変換してもよい。前記のように、薬理学的に非認容性の塩を薬理学的に認容性の塩に変換できる。
【0156】
適宜、本発明に挙げられる転化は、当業者に自体公知の方法と類似して又は同様にして実施することができる。
【0157】
当業者はその知識に基づいて、本発明の明細書中に示され記載されたこれらの合成経路に基づいて、式Iの化合物に関して他の可能な合成経路をどのように見いだすかを知っている。全てのこれらの他の可能な合成経路もまた本発明を構成する部分である。
【0158】
本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載される特性又は実施態様のみに制限されるものではない。当業者に明らかなように、記載される本発明に対する改変、類推、変更、誘導、対応及び適合はこの分野で知られる知識及び/又は、特に本発明の開示(例えば明示、暗示又は本来の開示)に基づき、付随する特許請求の範囲によって定義される本発明の主旨及び範囲から逸脱することなくなされてよい。
【0159】
以下の実施例は本発明を更に説明するものであり、それを制限するものではない。同様に製造方法が明記されていない他の式Iの化合物は、同様又は類似に又は当業者に公知の方法で慣用の処理技術を用いて製造できる。
【0160】
以下の実施例に最終化合物として挙げられる、特に特記される本発明によるいずれか又は全ての式Iの化合物並びにそれらの塩又は塩遊離形は、本発明の特に関心が持たれる対象である。
【0161】
実施例において、mpは、融点を表し、hは、時間を表し、minは、分を表し、conc.は、濃縮を表し、Bocは、t−ブトキシカルボニル基を表し、かつ他の略語は、当業者に自体慣用の意味を有する。Cbenzofurane−Hは、Cベンゾフラン−Hを表す。
【0162】
実施例
最終化合物
1. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−モルホリン−4−イル−ベンザミド
4−モルホリン−4−イル−安息香酸(228mg、1.1ミリモル)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(148mg、1.1ミリモル)を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(5mL)及びN′−(3−ジメチルアミノ)プロピル−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(632mg、3.3ミリモル)及びトリエチルアミン(0.46mL、3.3ミリモル)中に添加する。該混合物を周囲温度で1時間撹拌する。N−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミントリフルオロアセテート(化合物A1)(500mg、1.1ミリモル)を、DMF(5mL)中に溶解させ、更にトリエチルアミン(0.15mL、1.1ミリモル)を添加し、そして前記混合物を0℃で添加する。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、そしてクロロホルム(30mL)を添加する。得られた固体を濾過し、洗浄し、そして乾燥させる。
【0163】
収量:257mg(48%)
融点:335〜345℃
【0164】
【表1】

【0165】
2. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−ジメチルアミノ−ベンザミド
N−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミントリフルオロアセテート(化合物A1)(500mg、1.1ミリモル)をピリジン(10mL)中に溶かした溶液に、10℃で4−ジメチルアミノベンゾイルクロリド(288mg、1.21ミリモル)を少しずつ添加する。周囲温度で14時間後に、該混合物を蒸発させ、そして粗生成物を結晶化によって精製する。
【0166】
収率:47%
融点:285〜300℃
【0167】
【表2】

【0168】
特に記載がない限り、以下の化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び好適な当該技術分野で知られる安息香酸誘導体から製造される。
【0169】
3. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンザミド
融点:270〜274℃
【0170】
【表3】

【0171】
4. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−(4−ジメチル−アミノ−フェニル)−アセトアミド
融点:>260℃
【0172】
【表4】

【0173】
5. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−ジメチルアミノ−ベンザミド
融点:246〜249℃
【0174】
【表5】

【0175】
6. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−3−ピロリジン−1−イルベンザミド
融点:250〜255℃
【0176】
【表6】

【0177】
7. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド
融点:323〜325℃
【0178】
【表7】

【0179】
8. 4−t−ブチル−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド
融点:261〜263℃
【0180】
【表8】

【0181】
9. 3,4−ジクロロ−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド
融点:317〜321℃
【0182】
【表9】

【0183】
10. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−3−ジメチルアミノ−ベンザミド
N−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミントリフルオロ酢酸(化合物A1)(500mg、1.1ミリモル)をピリジン(10mL)中に溶かした溶液に、10℃で3−ジメチルアミノベンゾイルクロリド(288mg、1.21ミリモル)を少しずつ添加する。周囲温度で14時間後に、該混合物を蒸発させ、そして粗生成物を結晶化によって精製する。
【0184】
収率:32%
融点:225〜232℃
【0185】
【表10】

【0186】
特に記載がない限り、以下の化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び好適な当該技術分野で知られる安息香酸誘導体から製造される。
【0187】
11. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−イソニコチンアミド
融点:283〜295℃
【0188】
【表11】

【0189】
12. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−ジメチルアミノメチル−ベンザミド
融点:299℃
【0190】
【表12】

【0191】
13. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−モルホリン−4−イルメチル−ベンザミド
融点:>250℃
【0192】
【表13】

【0193】
14. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ベンザミド
融点:304〜319℃
【0194】
【表14】

【0195】
15. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−6−モルホリン−4−イル−ニコチンアミド
融点:310〜312℃
【0196】
【表15】

【0197】
16. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−3−[3−メトキシ−1−(2−メトキシエチル)−プロピル]−ベンザミド
融点:186〜188℃
17. t−ブチル N−{4−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ベンジル}−カルバメート
融点:311〜321℃
18. t−ブチル N−{2−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−フェニル}−カルバメート
融点:>340℃
19. t−ブチル N−{3−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−フェニル}−カルバメート
融点:215〜218℃
20. t−ブチル 3−{4−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−フェニル}−ピペリジン−1−カルボキシレート
融点:259〜261℃
21. t−ブチル N−(4−{[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−メチル}−フェニル)−カルバメート
融点:>320℃
【0198】
【表16】

【0199】
22. t−ブチル N−{3−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ベンジル}−カルバメート
融点:237℃
【0200】
【表17】

【0201】
23. t−ブチル N−(2−{4−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]フェニル}−エチル)−カルバメート
融点:>250℃
【0202】
【表18】

【0203】
24. t−ブチル N−{2−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ピリジン−4−イルメチル}−カルバメート
融点:245℃
【0204】
【表19】

【0205】
特に記載がない限り、以下の化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A2及び好適な当該技術分野で知られる安息香酸誘導体から製造される。
【0206】
25. t−ブチル {4−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ベンジル}−カルバメート
融点:233〜236℃
26. t−ブチル N−(2−{4−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−フェニル}−エチル)−カルバメート
融点:239〜241℃
27. t−ブチル N−{2−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−フェニル}−カルバメート
融点:非晶質
28. t−ブチル {3−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−フェニル}−カルバメート
融点:160〜163℃
29. t−ブチル N−{3−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ベンジル}−カルバメート
融点:216〜219℃
30. t−ブチル N−{4−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−フェニル}−カルバメート
融点:214℃
31. t−ブチル N−{4−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ベンジル}−メチル−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び化合物D1から出発して製造される。
【0207】
融点:225〜230℃
32. t−ブチル {5−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ピリジン−2−イルメチル}−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び化合物D2から出発して製造される。
【0208】
33. t−ブチル {4−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ピリジン−2−イルメチル}−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び化合物D3から出発して製造される。
【0209】
34. t−ブチル (4−{[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−メチル}−ベンジル)−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び化合物D4から出発して製造される。
【0210】
融点:238〜240℃
35. t−ブチル N−{4−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−4−メチル−フェニルカルバモイル]−ベンジル}−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A3及び好適な当該技術分野で知られる安息香酸誘導体から出発して製造される。
【0211】
融点:200〜205℃
36. t−ブチル N−(1−{4−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−フェニル}−1−メチル−エチル)−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び化合物D5から出発して製造される。
【0212】
37. t−ブチル N−(2−{3−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−フェニル}−エチル)−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び化合物D6から出発して製造される。
【0213】
融点:235〜238℃
38. t−ブチル {4−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−フェニル}−(2−メトキシエチル)−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び化合物D7から出発して製造される。
【0214】
融点:228〜231℃(分解)
39. t−ブチル N−{4−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−3−フルオロベンジル}−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び化合物D8から出発して製造される。
【0215】
収量:163mg(25%)
融点:255℃
40. t−ブチル {6−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ピリジン−2−イルメチル}−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び化合物D9から出発して製造される。
【0216】
融点:195〜197℃
41. t−ブチル N−{5−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ピリジン−3−イルメチル}−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び化合物D10から出発して製造される。
【0217】
42. N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−ジメチルアミノ−ベンザミド
N−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−ベンゼン−1,3−ジアミントリフルオロアセテート(化合物A2)(500mg、1.1ミリモル)をピリジン(10mL)中に溶かした溶液に、10℃で4−ジメチルアミノベンゾイルクロリド(222mg、1.21ミリモル)を少しずつ添加する。周囲温度で2日後に、該混合物を蒸発させ、そして粗生成物を結晶化によって精製する。
【0218】
収率:33%
融点:>250℃
43. N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−ジメチルアミノメチル−ベンザミド
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A2及び好適な当該技術分野で知られる安息香酸誘導体から出発して製造される。
【0219】
融点:240〜242℃
44. 3−シアノ−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び好適な当該技術分野で知られる安息香酸誘導体から出発して製造される。
【0220】
融点:285〜290℃
45. 3−カルバミイミドイル−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド
3−シアノ−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド(化合物44)(275mg、0.57ミリモル)をジオキサン(60mL)及びメタノール(20mL)中に溶解させ、それを0〜5℃に冷却し、そしてHClガスを添加する。0.5時間後に、該混合物を蒸発させ、その残留物にメタノール(10mL)及び(NHCO(0.50g、0.52ミリモル)を添加し、そして該混合物を48時間撹拌する。水性塩酸/イソプロパノールで中和した後に、生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0221】
収量:56mg
融点:300〜306℃
46. 4−シアノ−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び好適な当該技術分野で知られる安息香酸誘導体から出発して製造される。
【0222】
融点:>250℃
47. 4−カルバミイミドイル−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド
表題化合物は、実施例45と同様にして、化合物46から出発して製造される。
【0223】
融点:213〜219℃
48. N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−3−ジメチルアミノ−ベンザミド
N−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−ベンゼン−1,3−ジアミントリフルオロアセテート(化合物A2)(500mg、1.1ミリモル)をピリジン(10mL)中に溶かした溶液に、10℃で3−ジメチルアミノベンゾイルクロリドHCl(288mg、1.21ミリモル)を少しずつ添加する。周囲温度で48時間後に、該混合物を蒸発させ、そして粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0224】
収率:25%
融点:245〜251℃
49. 4−アミノメチル−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミド
t−ブチル N−{4−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ベンジル}−カルバメート(化合物17)(200mg、0.34ミリモル)を、0.5mlのトリフルオロ酢酸(TFA)/ジクロロメタン(5mL)の混合物中で一晩撹拌する。得られた固体を濾過し、洗浄し、そして乾燥させる。
【0225】
収率:40%
融点:155〜165℃
【0226】
【表20】

【0227】
特に記載がない限り、以下の化合物は、実施例49と同様にして、好適なBoc保護された化合物17〜41又はA4〜A6から出発して製造される。
【0228】
50. 2−アミノ−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:136〜138℃
【0229】
【表21】

【0230】
51. 4−アミノ−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:140〜147℃
【0231】
【表22】

【0232】
52. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−ピペリジン−3−イル−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:140〜147℃
【0233】
【表23】

【0234】
53. 2−(4−アミノ−フェニル)−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−アセトアミドトリフルオロアセテート
融点:125〜130℃
【0235】
【表24】

【0236】
54. 3−アミノメチル−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:238〜240℃
【0237】
【表25】

【0238】
55. 4−(2−アミノ−エチル)−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:202℃
【0239】
【表26】

【0240】
56. 4−アミノメチル−ピリジン−2−カルボン酸−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミドトリフルオロアセテート
融点:211℃(分解)
57. 4−アミノメチル−N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:114℃
58. 4−(2−アミノ−エチル)−N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:87〜90℃
59. 2−アミノ−N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:140〜150℃
60. 3−アミノ−N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:150〜153℃
61. 3−アミノメチル−N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:150〜156℃
62. 4−アミノ−N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:185〜188℃
63. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−メチルアミノメチル−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:130〜140℃
64. 6−アミノメチル−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ニコチンアミドトリフルオロアセテート
融点:145〜150℃
65. 6−アミノメチル−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−イソニコチンアミドトリフルオロアセテート
融点:248〜250℃
66. 2−(4−アミノメチル−フェニル)−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−アセトアミドトリフルオロアセテート
融点:251〜255℃
67. 4−アミノメチル−N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−4−メチル−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:180〜185℃
68. 1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−カルボン酸−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミドトリフルオロアセテート
融点:153〜157℃
69. 4−(1−アミノ−1−メチル−エチル)−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:フォーム状
70. 3−(2−アミノ−エチル)−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:237〜239℃
71. N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−4−(2−メトキシエチルアミノ)ベンザミドトリフルオロアセテート
融点:>250℃
72. 4−アミノメチル−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−フルオロベンザミド
融点:>200℃(分解)
73. 6−アミノメチル−ピリジン−2−カルボン酸−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミド
融点:183〜186℃
74. 5−アミノメチル−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−ニコチンアミド
融点:184℃(分解)
75. 3−アミノ−N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−プロピオンアミドトリフルオロアセテート
融点:195〜205℃
76. 3−アミノ−N−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)−プロピオンアミドトリフルオロアセテート
融点:138〜145℃
本願に挙げられるか、当該技術分野から公知であるか、又は当該技術分野で知られるようにして得ることができる好適な出発化合物から出発して、以下の実施例は、記載される実施例と同様に又は類似に製造することができる:
77. 5−アミノメチル−ピリジン−2−カルボン酸 [4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミドトリフルオロアセテート
融点:164〜170℃
78. 1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−カルボン酸 [4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−アミドトリフルオロアセテート
融点:146℃
出発化合物
A1. N−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミントリフルオロアセテート
t−ブチル N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]カルバメート(化合物B1)(5.0g、11.1ミリモル)を、5mlのトリフルオロ酢酸(TFA)と50mlのジクロロメタンとの混合物中で周囲温度で6時間撹拌する。その固体を濾過し、そしてジクロロメタンで洗浄する。
【0241】
収量:3.8g(77%)
融点:215〜220℃
【0242】
【表27】

【0243】
A2. N−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−ベンゼン−1,3−ジアミントリフルオロアセテート
該化合物は、前記の同様の実施例(実施例A1)と同様にして製造される。
【0244】
融点:142〜146℃
A3. N−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−4−メチル−ベンゼン−1,3−ジアミン
(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−(2−メチル−5−ニトロ−フェニル)−アミン(化合物B3)(820mg、2.07ミリモル)を、DMF(50mL)中に溶解させ、Pt/C(164mg、10%Pt)を添加し、そして該混合物を20時間水素化させる。標準的な後処理の後に、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0245】
収量:422mg(56%)
融点:255〜257℃
特に記載がない限り、以下の化合物A4及びA5は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A1及び好適な当該技術分野で知られる安息香酸誘導体から製造される。
【0246】
A4. t−ブチル 7−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボキシレート
融点:235〜238℃
A5. t−ブチル N−[2−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)−エチル]−カルバメート
融点:208〜214℃
A6. t−ブチル N−[2−[3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニルカルバモイル]−2−(3,4−ジクロロフェニル)−エチル]−カルバメート
表題化合物は、前記のアミドカップリング例(実施例1)と同様にして、化合物A2及び好適な当該技術分野で知られる安息香酸誘導体から出発して製造される。
【0247】
融点:90〜95℃
B1. t−ブチル N−[4−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−カルバメート
t−ブチル N−[4−(6−クロロピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]カルバメート(化合物C1)(10.1g、31ミリモル)及び4−ジベンゾフランボロン酸(9.96g、47ミリモル)を、ジメトキシエタン(500mL)中で不活性雰囲気下で、ジクロロ−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−パラジウム(II)(2.28g、3.1ミリモル)及びNaCO水溶液(310mLの水中32.8g)と一緒に80℃で4時間加熱する。残留物を蒸発させ、そして抽出した後に、生成物を結晶化によって精製する。
【0248】
収量:9.5g(67%)
融点:222〜226℃
【0249】
【表28】

【0250】
B2. t−ブチル [3−(6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]−カルバメート
該化合物は、前記の同様の実施例(実施例B1)と同様にして製造される。
【0251】
融点:234〜250℃
【0252】
【表29】

【0253】
B3. (6−ジベンゾフラン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−(2−メチル−5−ニトロ−フェニル)−アミン
NaCO水溶液(11.0g、104mLの水中104ミリモルのカーボネート)を、(6−クロロピリミジン−4−イル)−(2−メチル−5−ニトロ−フェニル)−アミン(化合物C3)(2.80g、10.6ミリモル)、4−ジベンゾフランボロン酸(3.36g、15.9ミリモル)及びビストリフェニルホスフィンパラジウム二塩化物(0.76g、1.1ミリモル)と一緒にエチレングリコールジメチルエーテル(168mL)中で撹拌する。該混合物を80℃に加熱する。1時間後に、該混合物を冷却し、そして濾過する。その生成物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。
【0254】
収量:2.00g(48%)
融点:210〜213℃
C1. t−ブチル N−[4−(6−クロロピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]カルバメート
4,6−ジクロロピリミジン(14.89g、0.1モル)、N−Boc−1,4−フェニレンジアミン(20.83g、0.1モル)及びジイソプロピルエチルアミン(17.11mL、0.1モル)を、n−ブタノール(160mL)中で90℃で20時間加熱する。蒸発させた後に、残留物を抽出し、そして結晶化によって精製する。
【0255】
収量:25.5g(80%)
融点:165〜166℃
【0256】
【表30】

【0257】
C2. t−ブチル [3−(6−クロロピリミジン−4−イルアミノ)−フェニル]カルバメート
好適な出発化合物から出発して、表題化合物は、実施例C1と同様にして製造される。
【0258】
融点:107〜111℃
【0259】
【表31】

【0260】
C3. (6−クロロピリミジン−4−イル)−(2−メチル−5−ニトロ−フェニル)−アミン
4,6−ジクロロピリミジン(5.37g、36.0ミリモル)及び2−メチル−5−ニトロアニリン(5.48g、36.0ミリモル)を、n−ブタノール(58mL)中でジイソプロピルエチルアミン(4.66g、36ミリモル)と一緒に110℃で3日間加熱する。該混合物を蒸発させて、そして生成物を標準的方法によって精製する。
【0261】
収量:3.1g(27%)
融点:128〜130℃
D1. 4−[(t−ブトキシカルボニル−メチル−アミノ)−メチル]−安息香酸
4−メチルアミノメチル−安息香酸(化合物E1)(2.55g、15.4ミリモル)をテトラヒドロフラン(THF)(93mL)中に入れ、そこにトリエチルアミン(1.72g、17.0ミリモル)及びBoc無水物(BocO)(4.04g、18.5ミリモル)を添加する。周囲温度で1時間後に、残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0262】
収量:1.5g(37%)
融点:131〜133℃
D2. 6−(t−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−ニコチン酸
6−アミノメチル−ニコチン酸塩酸塩(化合物E2)(5.35g、28.3ミリモル)を1Nの水性NaOH(60mL)及びt−ブタノール(40mL)中に溶かした溶液に、Boc無水物(BocO)(6.20g、28.4ミリモル)を添加し、そして該混合物を一晩撹拌する。溶剤を蒸発させた後に、その生成物を標準的方法によって単離する。
【0263】
収量:3.57g(50%)
融点:145〜147℃
D3. 2−(t−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−イソニコチン酸
化合物E3から出発して、表題化合物は、実施例D2と同様にして製造される。
【0264】
融点:207℃
D4. [4−(t−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−フェニル]−酢酸
当該技術分野で知られる好適な出発化合物から出発して、表題化合物は、実施例D2と同様にして製造される。
【0265】
融点:89〜91℃
D5. 4−(1−t−ブトキシカルボニルアミノ−1−メチル−エチル)−安息香酸
化合物E4から出発して、表題化合物は、実施例D2と同様にして製造される。
【0266】
融点:205〜208℃
D6. 3−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−安息香酸
エチル 3−シアノメチル−ベンゾエート(化合物E5)(7.15g、41ミリモル)を、エタノール(200mL)及び濃塩酸(5mL)中に溶解させ、Pd/C(2g)を添加し、そして該混合物を3バールの水素圧下に24時間水素化させる。その後に、該混合物を濾過し、蒸発させ、そして残留物をメタノール(120mL)及び2Nの水性NaOH(50mL、0.1モル)で処理し、そして40℃で6時間加熱し、濾過し、そしてその濾液を、2Nの水性塩酸(32mL、64ミリモル)で処理する。Boc無水物(BocO)(9.81g、45ミリモル)及びt−ブタノールを添加し、そして周囲温度で16時間撹拌する。該混合物を蒸発させ、残留物をジクロロメタン/酢酸エチル(1:1.3×30ml)及び水で抽出する。蒸発後に、有機相をフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0267】
収量:1.73g(16%)
融点:121〜123℃
D7. 4−[t−ブトキシカルボニル−(2−メトキシエチル)−アミノ]−安息香酸
2−メトキシ−エチル 4−[t−ブトキシカルボニル−(2−メトキシエチル)−アミノ]−ベンゾエート(化合物E6)(1.37g、3.9ミリモル)をメタノール(60mL)中に入れ、そこに2Nの水性NaOH(30mL、60ミリモル)を添加し、そしてその溶液を周囲温度で16時間撹拌する。2Nの塩酸水溶液を用いることによって、pHを4に調整し、メタノールを蒸発させ、そして水相をCHCl(4×15mL)で抽出する。乾燥(MgSO)及び蒸発の後に、粗生成物をいかなる更なる精製なくして後続工程に移す。
【0268】
収量:1.11g(49%)、無色の油状物
D8. 4−(t−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−2−フルオロ安息香酸
4−シアノ−2−フルオロ安息香酸(1.965g、11.9ミリモル)を、エタノール及びクロロホルム中に溶解させ、Pd/C(5%、700mg)を添加し、そして6時間水素化させる。該混合物を濾過し、そして蒸発させる。その残留物を、2Nの水性NaOH(12mL、24ミリモル)及びt−ブタノール(15mL)中に溶解させ、そしてBoc無水物(BocO)(2.84g、13ミリモル)を添加する。反応後に、該混合物を蒸発させ、そして後処理後に得られた生成物を濾過する。
【0269】
収量:2.27g(71%)
融点:125〜127℃(分解)
D9. 6−(t−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−ピリジン 2−カルボン酸
化合物E7から出発して、表題化合物は、実施例D2と同様にして製造される。
【0270】
融点:238〜240℃
D10. 5−(t−ブトキシカルボニルアミノ−メチル)−ニコチン酸
化合物E8から出発して、表題化合物は、実施例D2と同様にして製造される。
【0271】
E1. 4−メチルアミノメチル−安息香酸
4−ブロモメチル−安息香酸(5g、22.8ミリモル)を、メチルアミン溶液(40%、75mL、867ミリモル)で周囲温度において4日間処理する。得られた混合物を蒸発させ、そして残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0272】
収率:66%
融点:250〜255℃
E2. 6−アミノメチル−ニコチン酸塩酸塩
6−シアノ−ニコチン酸(1g、6.7ミリモル)を、エタノール(100mL)及びクロロホルム(2mL)中に溶解させ、そして触媒として活性炭上パラジウムを用いて3バールの水素圧下に5時間水素化する。触媒のニトロ化の後に、生成物を溶剤の蒸発によって単離する。
【0273】
収量:0.54g(43%)
E3. 2−アミノメチル−イソニコチン酸塩酸塩
好適な出発化合物から出発して、表題化合物は、実施例E2と同様にして製造される。
【0274】
E4. 4−(1−アミノ−1−メチル−エチル)−安息香酸塩酸塩
エチル 4−(1−ホルミルアミノ−1−メチル−エチル)−ベンゾエート(2.97g、12.6ミリモル)を、水(30mL)とジオキサン(15mL)と濃塩酸(3.01mL、36.1ミリモル)との混合物に添加し、そしてその混合物を100℃に12時間加熱する。該反応混合物を蒸発させ、そして残留物をエタノールから結晶化させる。
【0275】
収量:2.15g(79%)
融点:310〜318℃
E5. メチル 3−シアノメチル−ベンゾエート
メチル 3−ブロモメチル−ベンゾエート(25.28g、0.11モル)をアセトニトリル(230mL)中に入れ、そこにシアン化カリウム(14.3g、0.22ミリモル)及び18−クラウン−6−(1.00g、2.6ミリモル)を添加し、そして該混合物を24時間還流にまで加熱する。乾燥の後に、粗生成物をいかなる更なる精製なくして後続工程に移す。収量:18.5g(96%)
E6. 2−メトキシ−エチル 4−[t−ブトキシカルボニル−(2−メトキシエチル)−アミノ]−ベンゾエート
2−メトキシエチル 4−(2−メトキシ−エチルアミノ)−ベンゾエート(化合物F1)(1.93g、7.6ミリモル)に、Boc無水物(BocO)(2.28g、10.5ミリモル)を添加し、そして該混合物を50℃で30時間加熱する。冷却した後に、該混合物をシリカゲル上でクロマトグラフィーを行う。
【0276】
収量:1.37g(51%)、無色の油状物
E7. 6−アミノメチル−ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩
6−シアノ−ピリジン−2−カルボン酸(化合物F2)(250mg、1.6ミリモル)を、エタノール(100mL)中に溶解させ、濃塩酸(1mL)及びPd/C(150mg)を添加し、そして該混合物を3バールの水素圧下で6時間水素化させる。触媒を濾別し、そして粗生成物をいかなる精製なくして後続工程に移す。
【0277】
収量:255mg(85%)
融点:214〜221℃
E8. 5−アミノメチル−ニコチン酸
6−カルバモイル−ニコチン酸(化合物F3)(5.00g)及びオキシ塩化リン(50mL、0.55モル)の混合物を、100℃で5時間加熱する。通常の後処理後に、粗生成物を、塩酸で酸性化させたエタノール中に溶解させ、そしてPd/C(1.00g、5%Pd)を用いて4バールの水素圧下で16時間水素化させる。触媒を濾過した後に、該混合物を蒸発させ、そして残留物をエタノールで処理し、そしてクロロホルムで数回抽出する。
【0278】
収量:0.21g(5%)
F1. メトキシエチル 4−(2−メトキシ−エチルアミノ)−ベンゾエート
4−アミノ安息香酸(4.11g、30.0ミリモル)及び2−クロロエチル−メチル−エーテル(17.01g、180ミリモル)をDMF(60mL)中に入れ、そこに炭酸カリウム(41.4g、0.30モル)及びヨウ化カリウム(1.25g、7.5ミリモル)を添加し、そして該混合物を24時間還流まで加熱する。冷却した後に、その塩を濾別し、そして濾液を蒸発させる。残留物を、水(30mL)及びTBME(100mL)で抽出し、TBME相を乾燥させ、蒸発させる。得られた油状物をクロマトグラフィーによって精製する。
【0279】
収量:4.60g(60%)、黄色の油状物
F2. 6−シアノ−ピリジン 2−カルボン酸
6−カルバモイル−ピリジン−2−カルボン酸(化合物G1)(500mg、3ミリモル)及びオキシ塩化リン(POCl)(15mL)を、還流温度まで2時間加熱する。該混合物を通常のように後処理し、そして粗生成物を更にいかなる精製なくして使用する。
【0280】
収量:280mg(63%)
融点:180〜181℃
F3. 5−カルバモイル−ニコチン酸
モノベンジル ピリジン−3,5−ジカルボキシレート(化合物G2)(1.92g、7.5ミリモル)を、濃アンモニア水溶液(40mL、25%)中で90℃に6時間加熱する。冷却した後に、その溶液を蒸発させ、そして残留物を、更なる精製なくして粗生成物として使用する。
【0281】
収量:1.46g
融点:288℃
G1. 6−カルバモイル−ピリジン−2−カルボン酸
モノベンジル ピリジン−2,6−ジカルボキシレート(化合物H1)(1g、3.8ミリモル)及び25%のアンモニア水溶液(40mL)を、90℃に6時間加熱する。冷却した後に、該混合物を蒸発させ、そしてエーテルで洗浄する。
【0282】
収量:800mg
融点:231℃
G2. モノベンジル ピリジン−3,5−ジカルボキシレート
ピリジン−3,5−ジカルボン酸(10.0g、60ミリモル)、ベンジルアルコール(69mL、0.67モル)、水(24mL)及び硫酸(3.3mL)の混合物を、還流温度で2時間加熱する。該混合物を、NaHCO飽和水溶液(600mL)に添加し、そして水相をジクロロメタン(4×100mL)で抽出する。水相を、pH3.8に調整し、そして得られた固体を濾過する。
【0283】
収量:1.99g(13%)
H1. モノベンジル ピリジン−2,6−ジカルボキシレート
ピリジン 2,6−ジカルボン酸(16.7g、0.1モル)及びベンジルアルコール(115mL、1.0モル)を、硫酸(5.5mL)及び水(40mL)中で還流温度で2時間加熱する。冷却した後に、その溶液を、NaHCO水溶液(約1L)で中和させ、そしてクロロホルムで抽出する。水相を酸性化させ、そしてクロロホルム(250mL)で抽出し、有機相を乾燥させ、そして蒸発させる。残留物を、ジエチルエーテルで処理し、そして得られた固体を濾過する。
【0284】
収量:1.99g(8%)
融点:137〜138℃
産業上利用性
本発明による化合物は、産業上利用を可能にする有用な薬理学的特性を有する。
【0285】
このように、例えばこれらの化合物は、プロテインキナーゼ、特にプロテインキナーゼB(PKB)/Aktの1種以上のイソ型を阻害し、そして細胞活性を示し、かつ該化合物は、その阻害に反応を示す疾病の治療において産業上利用することができると期待される。
【0286】
プロテインキナーゼは、基質タンパク質内のチロシン残基、セリン残基又はトレオニン残基のヒドロキシル基に対する活性を有する酵素を意味する。特に、プロテインキナーゼは、ATPのγホスフェートを加水分解することと、チロシン残基、セリン残基又はトレオニン残基のヒドロキシル基上のホスフェートを転位させてリン酸エステル結合を形成させることとを触媒する。
【0287】
プロテインキナーゼの阻害及び類似の用語は、1種以上のプロテインキナーゼ、特に癌治療に病態生理学的に重要なキナーゼの群から選択されるプロテインキナーゼの活性及び機能を阻害することを意味する。この群のキナーゼのうち、イソ型Akt1(PKBα)、Akt2(PKBβ)及びAkt3(PKBγ)を有するプロテインキナーゼB(PKB)/Aktが特に重要である。PKB/Akt活性の阻害及び類似の用語は、PKB/Aktキナーゼ活性の直接又は間接的な(経路依存性の)阻害のいずれかを意味する。
【0288】
また、本発明の意味において特に関心が持たれるのは、本発明による化合物であって、プロテインキナーゼB(PKB)/Akt又はその1種以上のイソ型又は疾病状態、特に癌に最も関連する又は原因的に関連するプロテインキナーゼの選択肢の阻害において選択的な化合物であり;これは、前記化合物が、前記のプロテインキナーゼに対して、プロテインキナーゼA(PKA)のような他のプロテインキナーゼの活性の化合物の阻害と比較してより著しい阻害を示すことを意味する。
【0289】
プロテインキナーゼインヒビターの細胞活性及び類似の用語は、プロテインキナーゼ阻害に関連する任意の細胞性作用、特に規定の基質タンパク質の脱リン酸化を意味し、それは例えばアポトーシス又は化学的感作の誘導をもたらす。化学的感作及び類似の用語は、広い範囲において、一般にアポトーシス刺激について新生細胞を感作させることとして解釈されるべきである。これらの刺激は、例えばデス受容体及び生存経路のエフェクター並びに標的とする細胞毒性剤/化学療法剤及び最終的にはまた照射を含む。アポトーシスの誘導及び類似の用語は、接触した細胞においてプログラムされた細胞死が引き起こされる化合物又は治療に通常使用される化合物との組み合わせを特定するのに使用される。“アポトーシス”は、接触した細胞内での複雑な生化学的事象、例えばシステイン特異的プロテイナーゼ(“カスパーゼ”)の活性化及びクロマチンの断片化によって定義される。該化合物と接触した細胞におけるアポトーシスの誘導は、必ずしも細胞増殖の阻害と結びつかない。有利には、増殖の阻害及び/又はアポトーシスの誘導は、異常型の細胞増殖を伴う細胞に特異的である。
【0290】
更に、本発明による化合物は、細胞及び組織においてプロテインキナーゼ活性を阻害し、それにより脱リン酸化された基質タンパク質へのシフトがもたらされ、機能的な結果として、例えばアポトーシス、細胞周期停止又は化学療法薬又は標的特異的な癌医薬に対する感作を誘導する。有利な一実施態様において、PKB/Aktは、本願に挙げられる細胞性作用を、単独で又は標準的な細胞毒性剤又は標的癌医薬と組み合わせて誘導する。
【0291】
本発明による化合物は、抗増殖特性及び/又は前アポトーシス特性及び/又は化学的感作特性を示す。従って、本発明の化合物は、悪性細胞の治療に有用である。従って、本発明の化合物は、哺乳動物、例えばヒトにおける抗増殖作用及び/又は前アポトーシス作用及び/又は化学的感作作用の惹起に使用するために期待される。
【0292】
このように、本発明による化合物は、良性又は悪性の挙動の本願に記載される疾病の治療、改善又は予防、例えば細胞新形成の阻害のために産業上利用することができる。
【0293】
“新形成”は、異常細胞増殖及び/又は異常細胞生存及び/又は分化の妨害を示す細胞によって定義される。良性の新形成は、細胞の増殖であって、それが進行性で転移性の腫瘍をインビボで形成できないこととして説明される。反対に、悪性の新形成は、多細胞性かつ生化学的な異常性を有する細胞が、全身性疾病をもたらしうる、例えば離れた器官に腫瘍転移をもたらすこととして説明される。
【0294】
本発明による化合物は、有利には、離れた器官又は組織に最終的に転移する腫瘍細胞に特徴付けられる悪性新形成(癌としても記載される)の治療に使用できる。本発明による化合物で治療できる悪性新形成の例は、充実性腫瘍と血液学的腫瘍を含む。充実性腫瘍は、胸部、膀胱、骨、脳、中枢神経系及び末梢神経系、結腸、内分泌腺(例えば甲状腺及び副腎皮質)、食道、子宮内膜、生殖細胞、頭部及び頚部、腎臓、肝臓、肺、喉頭及び下咽頭の腫瘍、中皮腫、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、腎臓、小腸、軟部組織、精巣、胃、皮膚、尿管、膣及び肛門の腫瘍によって例示できる。悪性新生物は、網膜芽腫及びウィルムス腫瘍によって例示される遺伝性癌を含む。更に、悪性新生物は、前記の器官における一次腫瘍と別の器官における相応の二次腫瘍(“腫瘍転移”)を含む。血液学的腫瘍は、白血病及びリンパ腫の進行性形及び無痛性形、すなわち非ホジキン病、慢性及び急性の骨髄性白血病(CML/AML)、急性のリンパ芽球性白血病(ALL)、ホジキン病、多発性骨髄腫及びT細胞リンパ腫によって例示できる。また骨髄異形成症候群、形質細胞新生物、経産婦腫瘍性症状、未知の原発部位の癌並びにAIDS関連悪性疾患が含まれる。
【0295】
癌疾患並びに悪性新形成は、離れた器官に転移を形成することを必ずしも必要としないことに留意すべきである。一定の腫瘍は、その一次器官にそれらの攻撃的な増殖特性を通じて破壊的な作用を発揮する。これらは、組織及び器官の構造の破壊をもたらし、最終的に器官に割り当てられた機能の不全を引き起こすことがある。
【0296】
腫瘍細胞増殖は、通常の細胞挙動と器官機能をもたらすこともある。例えば新生血管の形成は血管新生として記載される過程であり、これは腫瘍又は腫瘍転移によって誘発される。本発明による化合物は、良性の細胞増殖又は腫瘍細胞増殖によって引き起こされる病態生理学的な関連過程、例えば制限されないが、血管内皮細胞の非生理学的増殖による血管新生の治療のために産業上利用可能である。
【0297】
標準的な癌療法の屡々起こる不具合について、薬剤耐性が特に重要である。この薬剤耐性は、種々の細胞性及び分子的な機構によって引き起こされる。薬剤耐性の一態様は、主要なシグナル伝達キナーゼとしてのPKB/Aktによる抗アポトーシス生存シグナルの構成的な活性化によって引き起こされる。PKB/Aktの阻害は、標準的な化学療法薬又は標的特異的癌治療剤に対する再感作を引き起こすことがある。結果として、本発明による化合物の産業上利用可能性は、癌患者の第一選択薬試験に制限されるものではない。本発明の有利な一実施態様において、癌化学療法薬又は標的特異的な抗癌剤に耐性を有する癌患者を、例えば第二又は第三選択薬試験周期用の化合物での治療のために改めることが可能である。特に、本発明による化合物は、標準的な化学療法薬又は標的とする剤と組み合わせて、これらの剤に対して腫瘍を再感作させるのに使用することもできる。
【0298】
本願に挙げられる特性、機能及び有用性の関連において、本発明による化合物は、それらと関連する有用かつ所望の効果、例えば低い毒性、優れた一般的な生物学的利用能(例えば良好な腸内吸収)、優れた治療ウィンドウ、重篤な副作用の不在及び/又はそれらの治療的かつ製剤的な適性に関連する更なる有用な効果の点で卓越していることが見込まれる。
【0299】
更に本発明は前記の疾患の1つ以上に罹患するヒトを含む哺乳動物の治療のための方法に関する。本方法は、薬理学的に有効な、かつ治療学的に効果的かつ認容される量の本発明による1種以上の化合物をかかる治療が必要な被験体に投与することを特徴とする。
【0300】
更に本発明は、プロテインキナーゼ、特にPKB/Aktの阻害に反応を示す、ヒトを含む哺乳動物における疾病を治療、予防又は改善するための方法において、前記哺乳動物に本発明による化合物1種以上の薬理学的に活性かつ治療学的に有効かつ許容できる量を投与することを含む方法を含む。
【0301】
更に、本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、良性又は悪性の挙動の(過剰)増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば癌、特に前記の癌疾病のいずれかを治療するための方法において、前記哺乳動物に本発明による化合物1種以上の薬理学的に活性かつ治療学的に有効かつ許容できる量を投与することを含む方法を含む。
【0302】
更に本発明は、ヒトを含む哺乳動物における細胞性(過剰)増殖の阻害又は異常型の細胞増殖の停止のための方法において、前記哺乳動物に本発明による化合物1種以上の薬理学的に活性かつ治療学的に有効かつ許容できる量を投与することを含む方法を含む。
【0303】
更に本発明は、ヒトを含む哺乳動物における異常型の細胞増殖の細胞においてアポトーシスを誘導するための方法において、前記哺乳動物に本発明による化合物1種以上の薬理学的に活性かつ治療学的に有効かつ許容できる量を投与することを含む方法を含む。
【0304】
更に、本発明は、インビボでのプロテインキナーゼ活性の調節、細胞増殖の阻害及び/又はアポトーシスの誘導を、ヒトを含む哺乳動物において、それらに反応を示す疾病、例えば前記の疾病のいずれかの治療において行う方法において、前記哺乳動物に本発明による化合物1種以上の薬理学的に活性かつ治療学的に有効かつ許容できる量を投与することを含む方法を含む。更に本発明は、ヒトを含む哺乳動物において、悪性の新形成、例えば癌を、化学療法薬又は標的特異的な抗癌剤に対して感作させることによって治療するための方法において、前記哺乳動物に本発明による化合物1種以上の薬理学的に活性かつ治療学的に有効かつ許容できる量を投与することを含む方法を含む。
【0305】
更に本発明は、ヒトを含む哺乳動物において、良性及び/又は悪性の新形成、例えば本願に挙げられる前記疾病のいずれか、例えば癌を治療するための方法において、前記哺乳動物に本発明による化合物1種以上の薬理学的に活性かつ治療学的に有効かつ許容できる量を投与することを含む方法に関する。
【0306】
更に本発明は、ヒトを含む哺乳動物における化学療法薬又は標的特異的な抗癌剤に対する感作のための方法において、前記哺乳動物に本発明による化合物1種以上の薬理学的に活性かつ治療学的に有効かつ許容できる量を投与することを含む方法を含む。
【0307】
更に本発明は、本発明による化合物を、プロテインキナーゼインヒビター治療、特にPKB/Aktインヒビター活性に反応を示す疾病、例えば本願に挙げられる疾病、特に癌の治療、予防又は改善において使用できる医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0308】
更に本発明は、本発明による化合物を、異常型の細胞増殖の停止及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾病、例えば本願に挙げられる疾病、特に癌の治療、予防又は改善において使用できる医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0309】
更に本発明は、本発明による化合物を、哺乳動物における良性又は悪性の挙動の過剰増殖疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば本願に挙げられる疾病、特に癌の治療、予防又は改善において使用できる医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0310】
更に本発明は、本発明による化合物を、良性及び/又は悪性の新形成、例えば癌の治療において使用できる医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0311】
更に本発明は、本発明による化合物を、化学療法薬又は標的特異的な抗癌剤に対して感作させるために使用できる医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0312】
更に本発明は、本発明による化合物を、本願に挙げられる疾病、特に癌の放射線治療に対して感作させるために使用できる医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。
【0313】
更に本発明は、本発明による化合物を、プロテインキナーゼインヒビター治療に感受性であって細胞性の新形成とは異なる疾病の治療において使用できる医薬組成物の製造のために用いる使用に関する。これらの非悪性の疾病は、これらに制限されないが、良性前立腺肥大、神経線維腫症及び皮膚病を含む。
【0314】
更に本発明は、1種以上の本発明による化合物と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する医薬品組成物に関する。
【0315】
更に本発明は、例えば良性又は悪性挙動の(過剰)増殖疾病及び/又は哺乳動物におけるアポトーシスの誘発に反応を示す疾患、例えば癌の治療、予防又は改善において使用するための、本発明による化合物1種以上、製剤学的に認容性の助剤、賦形剤又はビヒクルを含む組合せ物に関する。
【0316】
更に本発明は、例えばプロテインキナーゼ、特にPKB/Aktの阻害に感受性の疾病を治療するための療法において使用するための、本発明による化合物1種以上の治療学的に有効かつ許容される量を必須とし、それと一緒に通常の製剤学的に認容性のビヒクル、希釈剤及び/又は賦形剤からなる組成物に関する。
【0317】
更に本発明は、療法における、例えばプロテインキナーゼ、特にPKB/Aktの阻害に感受性の疾病、例えば良性又は悪性の挙動の(過剰)増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば本願に挙げられる疾病、特に癌の治療、予防又は改善における使用のための本発明による化合物に関する。
【0318】
更に本発明は、療法における、特に本願に挙げられる疾病の療法における使用のための本発明による化合物に関する。
【0319】
更に本発明は、プロテインキナーゼ阻害特性、特にPKB/Akt阻害特性を有する本発明による化合物に関する。
【0320】
更に本発明は、抗増殖活性及び/又はアポトーシス誘発活性を有する本発明による化合物に関する。
【0321】
更に、本発明は、包装材料及びその包装材料中に包含される医薬品からなる製品であって、該医薬品はプロテインキナーゼ、特にプロテインキナーゼB/Aktの作用の阻害、プロテインキナーゼに媒介される疾患の症状の改善のために治療学的に有効であり、かつ該包装材料は、該医薬品がプロテインキナーゼに媒介される疾患の予防又は治療のために有用である旨を示すラベル又は添付文書を含み、かつ前記の医薬品が本発明による化合物1種以上を含有する製品に関する。包装材料、ラベル及び添付文書は、その他の点で、関連の利用性を有する医薬品のための標準的な包装材料、ラベル及び添付文書として一般に考慮されるものに対応又は類似している
本発明による医薬組成物は、自体公知かつ当業者によく知られた方法によって製造される。医薬品組成物としては、本発明による化合物(=有効化合物)はそれ自体で、又は有利には適当な医薬品助剤及び/又は賦形剤と組み合わせて、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、カプレット剤、坐剤、パッチ剤(例えばTTS)、乳剤、懸濁剤、ゲル剤又は液剤の形で使用され、その際、有効化合物の含有率は有利には0.1〜95%であり、かつ助剤及び/又は賦形剤の適当な選択によって、有効化合物に厳密に適合された、及び/又は作用の所望の開始に厳密に適合された医薬品投与形(例えば遅延放出形又は腸溶形)を達成できる。
【0322】
当業者はその専門知識により所望の医薬品製剤に適した助剤、ビヒクル、賦形剤、希釈剤、担体又はアジュバントに精通している。溶剤、ゲル形成剤、軟膏基材及び他の有効化合物の他に、賦形剤、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、保存剤、溶解剤、着色剤、錯化剤又は侵透促進剤を使用してよい。
【0323】
治療されるべき又は予防されるべき特定の疾病によっては、その疾病を治療又は予防するのに通常投与される付加的な治療的活性剤を場合により同時投与してよい。本願で使用される場合に、特定の疾病を治療又は予防するのに通常投与される付加的な治療的活性剤は、治療される疾病に好適であるとして知られている。
【0324】
例えば、本発明による化合物を、前記の疾病の治療に使用される1種以上の標準的な療法剤と組み合わせてもよい。特定の一実施態様においては、本発明による化合物を、1種以上の当該技術分野で公知の抗癌剤、例えば1種以上の化学療法薬及び/又は標的特異的な抗癌剤と組み合わせることができる。
【0325】
癌療法で使用される公知の化学療法抗癌剤の例は、これらに制限されないが、(i)アルキル化剤/カルバミル化剤、例えばシクロホスファミド(エンドキサン(登録商標))、イフォスファミド(ホロキサン(登録商標))、チオテパ(チオテパレダーレ(登録商標))、メルファラン(アルケラン(登録商標))又はクロロエチルニトロソウレア(BCNU);(ii)白金誘導体、例えばシスプラチン(プラチネックス(登録商標)BMS)、オキサリプラチン又はカルボプラチン(カルボプラット(登録商標)BMS);(iii)有糸分裂阻害剤/チューブリン阻害剤、例えばビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンフルニン)、タキサン類、例えばタキソール(パクリタキセル(登録商標))、タキソテレ(ドセタキセル(登録商標))及び類似体並びにその新規の製剤及びコンジュゲート、エポチロン、例えばエポチロンB(パツピロン(登録商標)、アザエポチロン(イクサベピロン(登録商標))又はZK−EPO、全合成エポチロンB類似体;(iv)トポイソメラーゼインヒビター、例えばアントラサイクリン類、例えばドキソルビシン(アドリブラスチン(登録商標))、エピポドフィロトキシン類(例えばエトポシド、例えばエトポフォス(登録商標)及びカンプトテシン類似体、例えばテポテカン(ハイカムチン(登録商標));(v)ピリミジンアンタゴニスト、例えば5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(キセロダ(登録商標))、アラビノシルシトシン/シタラビン(アレキサン(登録商標))又はゲムシタビン(ゲムザール(登録商標));(vi)プリンアンタゴニスト、例えば6−メルカプトプリン(プリネトール(登録商標))、6−チオグアニン又はフルダラビン(フルダラ(登録商標))及び最後に(vii)葉酸アンタゴニスト、例えばメトトレキセート(ファルミトレキセート(登録商標))及びペメトレキセド(アリムタ(登録商標))を含む。
【0326】
実験的及び標準的癌療法で使用される標的特異的抗癌剤の例は、これらに制限されないが、(i)キナーゼインヒビター、例えばグリベック(イマチニブ(登録商標))、ZD−1839/イレッサ(ゲフィチニブ(登録商標))、Bay43−9006(ソラフェニブ(登録商標))、SU11248(ステント(登録商標))又はOSI−774/タルセバ(エルロチニブ(登録商標));(ii)プロテアソームインヒビター、例えばPS−341(ベルカデ(登録商標));(iii)ヒートショックタンパク質インヒビター、例えば17−アリルアミノゲルダナマイシン(17−AAG);(iv)血管標的剤(VAT)、例えばコブレタスタチンA4ホスフェート又はAVE8062/AC7700及び抗脈管形成剤、例えばVEGF抗体アバスチン(ベバシズマブ(登録商標))又はKDRチロシンキナーゼインヒビターPTK787/ZK222584(バタラニブ(登録商標));(v)モノクローナル抗体、例えばヘルセプチン(トラスツズマブ(登録商標))又はマブテラ/リツキサン(リツキシマブ(登録商標))、C225/エルビツックス(セツキシマブ(登録商標))又はアバスチン(前記)並びに突然変異体及びモノクローナル抗体と抗体フラグメントのコンジュゲート;(vi)オリゴヌクレオチド系治療薬、例えばG−3139/ゲナセンス(オブリメルセン(登録商標));(vii)プロテアーゼインヒビター;(viii)ホルモン療法剤、例えば抗エストロゲン類(例えばタモキシフェン)、抗アンドロゲン類(例えばフルタミド又はカソデックス)、LHRH類似体(例えばロイプロリド、ゴセレリン又はトリプトレリン)及びアロマターゼインヒビター;(ix)Toll様レセプター9(TLR9)アゴニスト、例えばプロミューン(登録商標)及び(x)クラスI/IIヒストンデアセチラーゼのインヒビター(HDAC類)、すなわちSAHA、NVP−LBH589、デプシペプチド/FK228又はMS275を含む。
【0327】
組合せ療法のために使用できる他の公知の標的特異的な抗癌剤は、ブレオマイシン、レチノイド類、例えばオールトランスレチノイン酸(ATRA)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば2−デオキシシチジン誘導体デシタビン(ドカゲン(登録商標))、アラノシン、サイトカイン、例えばインターロイキン−2又はインターフェロン、例えばインターフェロンα2又はインターフェロン−γ、TRAIL、DR4/5アゴニスト抗体、FasLアゴニスト及びTNF−Rアゴニストを含む。
【0328】
本発明による組合せ療法で使用するための抗癌剤の例としては、これらに制限されないが、以下の化合物
5FU、アクチノマイシンD、アバレリックス、アブシキシマブ、アクラルビシン、アダパレン、アレムツズマブ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミプリローズ、アムルビシン、アナステロゾール、アンシタビン、アルテミシニン、アザチオプリン、バシリキシマブ、ベンダムスチン、ベキサール、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブロクスリジン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボクオン、カルムスチン、セトロレリックス、クロラムブシル、クロロメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロミフェン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ダクリズマブ、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デスロレリン、デキシラゾキサン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、ドロスタノロン、エデルフォシン、エフロルニチン、エミテフール、エピルビシン、エピチオスタノール、エプタプラチン、エルビツックス、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、ファドロゾール、フィナステリド、フロクスリジン、フルシトシン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォルメスタン、フォスカルネット、フォスフェストロール、フォテムスチン、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、グリベック、ゴセレリン、グスペリムス、ヘルセプチン、イダルビシン、イドクスリジン、イフォスファミド、イマチニブ、イムプロスルファン、インフリキシマブ、イリノテカン、ランレオチド、レトロゾール、ロイプロレリン、ロバプラチン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、メツレデパ、ミボプラチン、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトマイシン、ミトキサントロン、ミゾリビン、モテキサフィン、ナルトグラスチム、ネバズマブ、ネダプラチン、ニルタミド、ニムスチン、オクトレオチド、オルメロキシフェン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パリビズマブ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペンテトレオチド、ペントスタチン、ペルフォスファミド、ピポスルファン、ピラルビシン、プリカマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロパゲルマニウム、塩化プロスピジウム、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ランピルナーゼ、ラスブリカーゼ、ラゾキサン、リツキシマブ、リファンピシン、リトロスルファン、ロムルチド、ルボキシスタウリン、サルグラモスチム、サトラプラチン、シロリムス、ソブゾキサン、スピロムスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タソネルミン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオテパ、チマルファシン、チアミプリン、トポテカン、トレミフェン、トラスツズマブ、トレオスルファン、トリアジクオン、トリメトレキセート、トリプトレリン、トロフォスファミド、ウレデパ、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボロゾール及びゼバリンが挙げられる。
【0329】
当業者は、その専門知識に基づいて、同時投与される付加的な治療剤の全日用量及び投与形を認識している。前記の全日用量は広い範囲で変更できる。
【0330】
本発明の実施において、本発明による化合物は、組合せ療法において、別々に、連続的に、同時に又は時間的にずらして(例えば組合せ単位投与形として、別々の単位投与形として、隣接した不連続な単位投与形として、固定組合せ物又は非固定組合せ物として、小分けキットとして又は混合物として)、1種以上の標準的な療法剤、特に当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前記の抗癌剤(例えば化学療法薬及び/又は標的特異的な抗癌剤)と一緒に投与してよい。
【0331】
この関連で、本発明は更に、本発明による化合物少なくとも1種である第一の有効成分と、少なくとも1種の標準的な治療剤、特に少なくとも1種の当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前述の抗癌剤1種以上である第二の有効成分とを含有する組合せ物であって、哺乳動物における療法において、例えばプロテインキナーゼインヒビター治療に反応を示す疾病、特にPKB/Aktインヒビター治療に反応を示す疾病、例えば良性又は悪性の挙動の過剰増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば本願に挙げられる疾病、特に癌を治療、予防又は改善するために、別々に、連続的に、同時に又は時間的にずらして使用するための組合せ物に関する。
【0332】
本発明による用語“組合せ物”は、固定組合せ物、非固定組合せ物又は小分けキットとして存在してよい。
【0333】
“固定組合せ物”は、前記の第一の有効成分と第二の有効成分とが1つの単位用量で又は単一物で一緒に存在する組合せ物として定義される。“固定組合せ物”の一例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが、例えば一製剤中に同時の投与のために混合物で存在する医薬組成物である。“固定組合せ物”のもう一つの例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが、混合されることなく1つの単位で存在する医薬品組合せ物である。
【0334】
“小分けキット”は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが1単位より多くで存在する組合せ物として定義される。“小分けキット”の一例は、前記の第一の有効成分と前記の第二の有効成分とが別々に存在する組合せ物である。小分けキットの成分は、別々に、連続的に、同時に又は時間的にずらして投与してよい。
【0335】
更に本発明は、少なくとも1種の本発明による化合物である第一の有効成分と、少なくとも1種の標準的な治療剤、特に当該技術分野で公知の抗癌剤、例えば前記の抗癌剤の1種以上である第二の有効成分、及び場合により製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する、療法において別々に、連続的に、同時に又は時間的にずらして使用するための医薬組成物に関する。
【0336】
更に本発明は、本発明による化合物である第一の有効成分と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤の調剤;標準的な治療剤、特に当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前記の抗癌剤の1つある第二の有効成分と製剤学的に認容性の担体又は希釈剤の調剤を含有する、療法において同時に、連続的に、別々に又は時間的にずらして使用するための小分けキットに関する。場合により前記キットは、療法において使用するための、例えばプロテインキナーゼ、特にプロテインキナーゼB(PKB)Aktの阻害に反応を示す良性及び/又は悪性の新形成を治療するための説明書を含む。
【0337】
更に本発明は、本発明による少なくとも1種の化合物と少なくとも1種の公知の治療剤、特に少なくとも1種の当該技術分野で知られる抗癌剤とを含有する、同時に、連続的に又は別々に投与するための組合せ調剤に関する。
【0338】
加えて更に、本発明は、患者において、プロテインキナーゼ、特にプロテインキナーゼB(PKB)/Aktの阻害に反応を示す疾病及び/又は疾患、例えば癌を治療する方法において、組合せ療法において、別々に、同時に、連続的に又は時間的にずらして、本発明による化合物及び製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有する製剤学的に活性かつ治療学的に有効かつ許容される量の医薬組成物及び製剤学的に活性かつ治療学的に有効かつ許容される量の1種以上の標準的な治療剤、特に1種以上の当該技術分野で知られる抗癌剤、例えば前記の抗癌剤の1種以上をそれを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。
【0339】
更に加えて、本発明は、患者において、アポトーシスの誘導に反応を示す(過剰)増殖性の疾病及び/又は疾患、例えば良性又は悪性の新形成、特に本願に挙げられる癌のいずれかを治療、予防又は改善するための方法において、本発明による組合せ物を投与することを含む方法に関する。
【0340】
更に本発明は、1種以上の本発明による化合物を含有し、それと一緒に、1種以上の化学療法剤及び/又は標的特異的抗癌剤、例えば本願に挙げられるもののいずれかと同時に、連続的に又は別々に使用するための説明書を含有する市販パッケージに関する。
【0341】
更に本発明は、唯一の有効成分としての1種以上の本発明による化合物を必須とし、それと一緒に、1種以上の標準的な治療剤、例えば当該技術分野で公知の抗癌剤、例えば本願に挙げられるもののいずれかと同時に、連続的に又は別々に使用するための説明書を含有する市販パッケージに関する。
【0342】
更に本発明は、1種以上の当該技術分野で公知の抗癌剤、例えば本願に挙げられる抗癌剤のいずれかを含有し、それと一緒に、1種以上の本発明による化合物と同時に、連続的に又は別々に使用するための説明書を含有する市販パッケージに関する。
【0343】
本発明による組合せ療法の文脈で挙げられた組成物、組合せ物、調剤、製剤、キット又はパッケージは、また本発明による化合物1種以上及び/又は1種以上の標準的な治療剤、例えば当該技術分野で公知の挙げられる抗癌剤も含む。
【0344】
加えて更に、本発明は、プロテインキナーゼ阻害特性、特にPKB/Akt阻害特性を有する本発明による医薬品組合せ物又は医薬組成物に関する。
【0345】
更に本発明は、抗(過剰)増殖活性及び/又はアポトーシス誘発活性を有する本発明による医薬品組合せ物又は医薬組成物に関する。
【0346】
更に、本発明は、患者において、プロテインキナーゼの阻害に反応を示す疾病及び/又は疾患、例えば癌を治療する方法において、それを必要とする患者に、本願に記載される組合せ物、組成物、製剤、調剤又はキットを投与することを含む方法に関する。
【0347】
更に、本発明は、プロテインキナーゼ、特にプロテインキナーゼB(PKB)/Aktの阻害に反応を示す疾病及び/又は疾患、例えば本願に挙げられる疾病、特に癌を治療、予防又は改善するための医薬製品、例えば市販パッケージ又は医薬品の製造における、組成物、組合せ物、製剤、調剤又はキットの使用に関する。
【0348】
更に、本発明は、1種以上の本発明による化合物を、癌の治療のため、特に前記に挙げられる癌の1つの治療のための化学療法薬又は標的特異的な剤、例えば本願に挙げられる抗癌剤のいずれかと組み合わせて使用するための医薬品の製造のために用いる使用に関する。
【0349】
本発明による組合せ物又は小分けキットの第一の有効成分と第二の有効成分は、組合せ療法において、同時に、連続的に、別々に又は時間的にずらして使用するために後に一緒にされる別々の製剤(すなわち互いに独立している)として提供することができ、又は組合せ療法において、同時に、連続的に、別々に又は時間的にずらして使用するための組合せパッケージの別々のコンポーネントとして一緒に包装され一緒に存在することができる。
【0350】
本発明による組合せ物又は小分けキットの第一の有効成分と第二の有効成分の医薬製剤の型は同様であってよい、すなわち両方の成分は、別々の錠剤又はカプセル剤で製剤されているか、又は前記の医薬製剤の型は異なってよい、すなわち異なる投与形に適合せることができる、例えば一方の有効成分を錠剤又はカプセル剤として製剤し、もう一方を、例えば静脈内投与用に製剤する。
【0351】
本発明による組合せ物、組成物又はキットの第一の有効成分と第二の有効成分の量は、一緒になって、(過剰)増殖性の疾病、特に本願に挙げられる疾病の1つの治療、予防又は改善のために治療学的に有効な量を含んでよい。
【0352】
更に、本発明による化合物は癌の術前又は術後の治療に使用することができる。
【0353】
更に加えて、本発明による化合物は、放射線療法と組み合わせて、標準的な放射線療法に対する癌患者の感作において使用することができる。
【0354】
本発明による組合せ物は、本発明による化合物と他の有効な抗癌剤との両者を固定組合せで含有する組成物(固定単位投与形)又は2種の有効成分を不連続な別々の投与形として含有する医薬品パッケージ(非固定組合せ物)を指すことができる。2種の有効成分を含有する医薬品パックの場合に、有効成分は、有利にはコンプライアンスの改善に適したブリスターカード中に入れられる。
【0355】
各ブリスターカードは、有利には一日の治療に摂取されるべき医薬品を含有する。それらの薬品が一日の異なる時点で摂取される場合には、これらの薬剤は、一日のなかでそれらが摂取される時間の種々の範囲に応じてブリスターカードの種々の区画に割り付けてよい。一日の特定の時点で一緒に摂取されるべき医薬品のためのブリスター空隙は一日の時間のそれぞれの範囲で調節される。一日の種々の時間は、もちろんまた明瞭に見えるようにブリスターに付けられる。またもちろん、例えば医薬品を摂取すべき期間を指示する、例えばそれらの時間を述べることも可能である。
【0356】
一日の区画は、ブリスターカードの1本の線に相当することがあり、そしてその際、一日の時間はこの列の時間的順序で確認される。
【0357】
一日の特定の時間で一緒に摂取せねばならない医薬品は、有利には距離を離さず、それらが容易にブリスターから押し出せ、そしてブリスターからその投与形を取り出すのを忘れないという趣旨で、ブリスターカードに適切な時間で一緒に配置される。
【0358】
本発明による医薬品組成物又は組合せ物の投与は、この分野で利用できる一般的に許容される任意の様式で実施できる。好適な投与様式の実例は、例えば静脈内、経口、経鼻、非経口、局所、経皮及び直腸内の送達である。経口及び静脈内の送達が好ましい。
【0359】
皮膚病の治療のためには、本発明による化合物を、特に局所適用のために適当な医薬品組成物の形で適用する。該医薬品組成物の製造のために、本発明による化合物(=有効化合物)を有利には適当な製薬学的賦形剤と混合し、更に加工して適当な医薬品製剤を得る。適当な医薬品製剤は、例えば粉剤、乳剤、懸濁剤、スプレー剤、オイル剤、軟膏剤、脂肪軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤又は液剤である。
【0360】
本発明による医薬品組成物は自体公知の方法によって製造される。有効化合物の投与は、プロテインキナーゼインヒビターについて慣用のオーダーで行われる。従って皮膚病の治療のための局所適用形(例えば軟膏)は有効化合物を、例えば0.1〜99%の濃度で含有する。全身療法の場合の慣用の用量は、経口で0.3〜30mg/kg/日であり、静脈内で0.3〜30mg/kg/時間である。
【0361】
その都度必要とされる最適な投与計画及び投薬期間、特に有効化合物の用量及び投与様式の選択は、当業者によってその専門知識に基づいて決定することができる。
【0362】
生物学的調査
ΔPHAkt1、Akt1(活性)、Akt1(不活性)、PDK1及びPKAの発現及び精製
その生化学的アッセイのために、GST融合タンパク質としてPHドメインを欠いたΔPHAkt1(GST−デルタPH−Akt1と呼称;107〜480aa;pAcG1ベクター(BD Biosciences Pharmingen)中にクローニングされる)を使用し、SF9昆虫細胞中でPDK1と同時発現させた。タンパク質は、グルタチオン親和性クロマトグラフィーを用いて標準的なプロトコールによって精製した。
【0363】
その生化学的Akt1アッセイのために、N末端His6タグを有する組み換えの全長ヒトAkt1をバキュウロウイルス感染されたSf21昆虫細胞中でクローニング及び発現を行った。Akt1を、GST−MAPKAP−K2及びPDK1で活性化させ、そしてNi2+/NTA−アガロースとグルタチオンアガロース(Upstate、英国;♯14−276)上で再精製した。
【0364】
その生化学的Akt1(不活性)アッセイのために、N末端His6タグを有する組み換えの全長ヒトAkt1aをバキュウロウイルス感染されたSf21昆虫細胞中でクローニング及び発現を行った。その酵素は、Ni2+/NTA−アガロース(Upstate、英国;♯14−279)上で精製する。
【0365】
その生化学的Akt1(不活性)アッセイのために、N末端His6タグを有する組み換えの全長ヒトPDK1をバキュウロウイルス感染されたSf21昆虫細胞中でクローニング及び発現を行った。その酵素は、Ni2+/NTA−アガロース上で精製する。
【0366】
その生化学的PKAアッセイのために、PKAの触媒サブユニットを、大腸菌中で、Hisタグされたヒト組み換えタンパク質として発現させ、そして相応して精製した(PanVera、米国;♯R3791)。
【0367】
生化学的ΔPH Akt1アッセイ
本発明によるAktの阻害を調査するために、フラッシュプレートを基礎とするアッセイを展開した。
【0368】
Akt1アッセイは、PHドメインを欠いたAkt1を用いて、昆虫細胞中でPDK1と同時発現させる生化学的アッセイである。GST−ΔPH−Akt1アッセイは、96ウェルプレート中で、100ng/ウェルのGST−ΔPH−Akt1、100ng/ウェルのヒストン2B(ロシュ、♯223514)を基質として、10μlの本発明の化合物(試験化合物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に10mMの溶液として溶解され、そして引き続き希釈される)及び100nMのATP(33P−ATPを含む)を100μlの反応バッファー(50nMのHEPES、pH7.5;3mMのMgCl;3mMのMnCl;3μMのNa−オルトバナジン酸塩;1mMのDTT;1μg/mlのPEG8000)中で30℃で80分間インキュベートすることによって行われる。その反応を、100μlの停止バッファー(2%のHPOで5分間)の添加によって停止させ、そして洗浄バッファー(0.9%のNaCl)を用いることによって3回洗浄する。P33をタンパク質基質であるヒストン2B中に導入するのに応じて、検出は、シンチレーター被覆されたフラッシュプレート(NEN、米国;♯SMP−200)の表面へのリン酸化されたタンパク質の接着に基づくものである。このリン酸化は、プレートリーダ(Wallac Microbeta;パーキンエルマー、米国)を用いて60秒間プレートを計数することによって測定される。データの解析は、生物統計学的プログラム(GraphPad Prism、米国)を用いて実施する。有利な化合物は、5μM未満のΔPH−Akt1のIC50を示す。
【0369】
前記のアッセイで測定されたデルタPHAkt1の阻害についての代表的なIC50値は以下の表Aからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0370】
表A:
Akt阻害:
【0371】
【表32】

【0372】
生化学的Akt1(活性)アッセイ(全長Akt1)
本発明によるAkt1の阻害(全長版)を調査するために、フラッシュプレートを基礎とするアッセイを展開した。
【0373】
全長Akt1アッセイは、N末端でGSTに融合されたAkt1を用いて、昆虫細胞中でPDK1と同時発現させる生化学的アッセイである。そのAkt1アッセイは、96ウェルプレート中で、500ng/ウェルのGST−Akt1、1μMのクロスタイド(Crosstide)(N末端でビオチン化された合成ペプチド(KGSGSGRPRTSSFAEG)Upstate、♯12−385)を基質として、10μlの試験化合物(試験化合物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に10mM溶液として溶解させ、そして引き続き希釈される)及び100nMのATP(33P−ATPを含む)を100μlの反応バッファー(50mMのHEPES、pH7.5;3mMのMgCl;3mMのMnCl;3μMのNa−オルトバナジン酸塩;1mMのDTT;1μg/mlのPEG8000)中で96ウェルのマイクロタイタープレート中で30℃で60分間インキュベートすることによって行われる。その反応は、100μlの停止バッファー(5MのNaCl、35mMのEDTA pH8.0)を添加することによって5分間で停止される。190μlの反応混合物を、ストレプトアビジン被覆されたフラッシュプレート(パーキンエルマー、♯SMP−103)中に移し、そして室温で更に30分間インキュベートする。そのプレートを、洗浄バッファー(0.9%のNaCl)を用いることによって3回洗浄する。P33をペプチド基質であるクロスタイド中に導入するのに応じて、検出は、シンチレーター被覆されたフラッシュプレート(NEN、米国;♯SMP−103)のストレプトアビジン被覆された表面へのビオチン化されたペプチドの特異的な結合に基づくものである。このリン酸化は、プレートリーダ(Wallac Microbeta;パーキンエルマー、米国)を用いて60秒間プレートを計数することによって測定される。データの解析は、生物統計学的プログラム(GraphPad Prism、米国)を用いて実施する。有利な化合物は、2μM未満のAkt1阻害のIC50を示す。
【0374】
前記のアッセイで測定されたAkt1(全長Akt1、活性)の阻害についての代表的なIC50値は以下の表Bからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0375】
表B:
Akt1阻害(全長Akt1、活性):
【0376】
【表33】

【0377】
生化学的Akt1(不活性)アッセイ(全長Akt1)
本発明による化合物のAkt1活性の阻害を調査するために、プロテインキナーゼBアルファ、PKBα(フルAkt1、不活性)について、IMAPを基礎とするアッセイを展開した。PDK1依存的活性と引き続いてのAkt1の酵素活性:精製されたヒトAkt1の活性は、酵素をまずPDK1によってホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリホスフェート(PIPS)の存在下で活性化させるアッセイで慣例のように測定する。活性化されたら、蛍光標識されたペプチド基質のAkt1依存性リン酸化を、IMAP技術(Molecular Devices)を用いて蛍光偏光によって測定する。
【0378】
このAkt活性化アッセイは、不活性の全長AKT1(Upstate、♯25675U)、全長PDK1、蛍光標識されたAKT1基質ペプチド(Thermo Electron GmbH、5−フルオレセイン−NH−RARTSSFAEPG−CONH)及びリン脂質ベシクル(PIP3、Biomol、カタログ番号PH−107;DOPC/DOPS “Upstate Lipid Blend”、Avanti Polar Lipids、カタログ番号790595P)を使用する。そのリン脂質は以下のようにして製造する:5mgのDOPC/DOPSを200μlの10mMのTris(pH7.4)中に溶解させ、そして300μgのPIP3を950μlの10mMのTris(pH7.4)中にピペッティングによって再懸濁させる。950μlの溶解されたPIP3を、50μlの溶解されたDOPC/DOPSと混合し、そして20℃未満の温度で2時間インキュベートする。次いで、該混合物を、最大出力で、半透明のリン脂質ベシクル調製物が得られるまで30分間超音波処理に供する。そのベシクル懸濁液のアリコートを、必要となるまで−80℃で凍結させ、溶解されたDOPC/DOPSも同様にする。
【0379】
アッセイは、384ウェルプレート中で実施する。インキュベートは、室温で60分間実施する。反応バッファー混合物は、25μlの最終容量において:10mMのTris(pH7.4)、10mMのMgCl、1mMのDTT及び0.1mg/mlのBSAを含有する。それに対して、活性化バッファーは、50ng/ウェルのAkt1、20ng/ウェルのPDK1、1.25μMのペプチド基質、50μMのATP及びリン脂質ベシクル(1:20)を含有する。試験化合物を、DMSO中の原液から添加した後に、Akt1をPDK1により活性化させる。インキュベートした後に、ビーズ(IMAP結合試薬;Molecular Devices;1:167)を添加し、そして蛍光偏光を測定する(励起485nm、発光530nm)。データの解析は、生物統計学的プログラムを用いて実施する。有利な化合物は、5μM未満のAkt1阻害のIC50を示す。
【0380】
前記のアッセイで測定されたAkt1(全長Akt1、不活性)の阻害についての代表的なIC50値は以下の表Cからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0381】
表C:
Akt1活性化の阻害(全長Akt1、不活性):
【0382】
【表34】

【0383】
生化学的PKAアッセイ
本発明による化合物のキナーゼ阻害活性を調査するために、セリン/トレオニンキナーゼであるPKAについてフラッシュプレートに基づくアッセイを展開した。該アッセイは、96ウェルプレート中で、1ng/ウェルのHis−PKA(PanVera、米国;♯R3791)、0.5μM/ウェルのPKAペプチド(♯12−394;Upstate、米国)を基質として、10μlの本発明の化合物(試験化合物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に10mMの溶液として溶解され、そして引き続き希釈される)及び100nMのATP(33P−ATPを含む)を100μlの反応バッファー(50nMのHEPES、pH7.5;3mMのMgCl;3mMのMnCl;3μMのNa−オルトバナジン酸塩;1mMのDTT)中で22℃で80分間インキュベートすることによって行われる。その反応を、100μlの停止バッファー(2%のHPOで5分間)の添加によって停止させ、そして洗浄バッファー(200μlの1×PBS)を用いることによって3回洗浄する。P33をペプチド基質中に導入するのに応じて、検出は、シンチレーター被覆されたフラッシュプレート(パーキンエルマー、米国;♯SMP−103)の表面へのリン酸化されたペプチドの接着に基づくものである。このリン酸化は、プレートリーダ(Wallac Microbeta;パーキンエルマー、米国)を用いて60秒間プレートを計数することによって測定される。この方法を用いることによって、PKA阻害のIC50を測定する。データの解析は、生物統計学的プログラム(GraphPad Prism、米国)を用いて実施する。有利な化合物は、10μM未満のPKA阻害のIC50を示す。
【0384】
前記のアッセイで測定されたPKA阻害についての代表的なIC50値は以下の表Dからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0385】
表D:
PKA阻害:
【0386】
【表35】

【0387】
細胞性PI3K/Akt経路アッセイ
本発明による化合物の細胞活性を調査するために、ELISAに基づくアッセイを確立した。該アッセイは、サンドウィッチ型ELISAキット(PathScan(商標)Phospho−Akt1(Ser473);Cell Signaling、米国;♯7160)に基づくものである。
【0388】
該アッセイにより、リン酸化されたAkt1タンパク質の内因性レベルが検出される。phospho−Akt(Ser473)抗体(Cell Signaling、米国;♯9271)を、マイクロウェル上で上に被覆した。細胞溶解物とともにインキュベートした後に、リン酸化されたAktタンパク質を、被覆された抗体によって捕捉する。激しい洗浄の後に、Akt1モノクローナル抗体(Cell Signaling、米国;♯2967)を添加して、捕捉されたphospho−Aktタンパク質を検出する。次いで、HRP結合された抗マウス抗体(Cell Signaling、米国;♯7076)を用いて、結合された検出抗体を認識する。HRP基質(=TMB;Cell Signaling、米国;♯7160)を添加して、呈色させる。この発色についての光学密度の程度は、リン酸化されたAkt1タンパク質の量に比例する。
【0389】
MCF7細胞(ATCC HTB−22)を、96ウェル平底プレート中に10000細胞/ウェルの密度で播種する。播種24時間後に、細胞を、エストロゲン不含培地(0.1%の活性炭で処理したFCSを含むIMEM)を用いて回収する。24時間後に、それぞれ1μlの化合物希釈物(試験化合物はDMSO中で10mMの溶液として溶解され、そして引き続き希釈される)を、96ウェルプレートの各ウェル中に添加し、そして5%のCOを含有する加湿された雰囲気中で37℃において48時間インキュベートする。Aktリン酸化を刺激するために、β−ヘレグリン(20ng/ml)を化合物と並行して添加する。刺激されていない対照細胞(β−ヘレグリン刺激なし)を含有するウェルを、希釈された化合物とともに又はそれを用いずにインキュベートする。未処理の対照細胞(化合物なし)を含有するウェルに、0.5%(容量:容量)のDMSOを含有する培地を満たし、そしてそれをβ−ヘレグリンで刺激するか又は刺激をしない。細胞を、非変性条件下で回収し、そして細胞を、1×細胞溶解バッファー(20mMのTris(pH7.5)、150mMのNaCl、1mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1mMのエチレングリコールビス−(2−アミノエチル)−N,N,N′,N′−四酢酸(EGTA)、1%のトライトンX−100、2.5mMのピロリン酸ナトリウム、1mMのβ−グリセロールホスフェート、1mMのNaVO、1μg/mlのロイペプチン)中で簡単な超音波処理により溶解させる。その溶解物を、4℃で10分間微量遠心分離にかけ、そして上清を新たな管に移す。100μlの試料希釈物(20×PBS中の0.1%のtween−20、0.1%のナトリウムアジド)を、微量遠心分離管中に添加し、そして100μlの細胞溶解物をその管に移して、ボルテックスにかける。それぞれ100μlの希釈された細胞溶解物を、好適なウェル(phospho−Akt(Ser473)抗体で被覆されたマイクロウェル;Cel Signaling、米国;♯7160)に添加し、そして4℃で一晩インキュベートする。該プレートを、1×洗浄バッファー(20×PBS中、1%tween−20、0.33%チモール)で4回洗浄する。次いで、100μlの検出抗体(Akt1(2H10)モノクローナル検出抗体;Cell Signaling、米国;♯2967)を各ウェルに添加し、そして37℃で1時間インキュベートする。洗浄手順を、各工程間で繰り返す。100μlのHRP結合された二次抗体(抗マウスIgG HRP結合抗体;Cell Signaling、米国;♯7076)を各ウェルに添加し、そして37℃で30分間インキュベートする。次いで、100μlのTMB基質(緩衝溶液中、0.05%の3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、0.1%の過酸化水素、複合ポリペプチド;Cell Signaling、米国;♯7160)を各ウェルに添加し、そして25℃で30分間インキュベートする。最後に、100μlの停止溶液(0.05%のα,β−不飽和カルボニル化合物)を各ウェルに添加し、そして数秒間優しく振り混ぜる。吸光度は、停止溶液の添加30分後以内に450nmで読み取る(Wallac Victor2;パーキンエルマー、米国)。データの解析は、統計学的プログラム(Excel;Microsoft、米国)を用いて実施する。
【0390】
前記のアッセイで測定されたAkt経路阻害についての代表的なIC50値は以下の表Eからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0391】
表E:
Akt経路阻害(pAkt−ELISA):
【0392】
【表36】

【0393】
細胞性pGSK3アッセイ
本発明による化合物の細胞活性を調査するために、リン酸化されたグリコゲン合成酵素キナーゼ3であるGSK3について、ELISAに基づくアッセイを確立した。該アッセイは、固相のサンドウィッチ型ELISA(BioSource International,Inc.;カタログ番号KHO0461)に基づくものであり、それはリン酸化されたGSK3の内因性レベルを検出する。phospho−GSK3(Ser9)抗体をマイクロウェル上に被覆した。細胞溶解物とともにインキュベートした後に、被覆された抗体は、リン酸化されたGSK3タンパク質を捕捉する。激しい洗浄後に、GSK3ポリクローナル抗体を添加して、捕捉されたphospho−GSK3タンパク質を検出する。次いで、HRP結合された抗マウス抗体(抗ウサギIgG−HRP)を用いて、結合された検出抗体を認識する。再度インキュベートし、洗浄して、全ての過剰の抗ウサギIgG−HRPを全て除去した後に、基質溶液を添加すると、それは結合された酵素によって影響を受けて発色する。この着色生成物の強度は、当初試料に存在するGSK−3β[pS9]の濃度に正比例する。MCF7細胞(ATCC HTB−22)を、96ウェルプレート中に10000細胞/ウェルの密度で播種する。24時間後に、それぞれ1μlの化合物希釈物(試験化合物はDMSO中で10mMの溶液として溶解され、そして引き続き希釈される)を、96ウェルプレートの各ウェル中に添加し、そして5%のCOを含有する加湿された雰囲気中で37℃において48時間インキュベートする。細胞を回収し、そして細胞抽出バッファー(10mMのTris(pH7.4)、100mMのNaCl、1mMのEDTA、1mMのEGTA、1mMのNaF、20mMのNa、2mMのNaVO、1%のトライトンX−100、10%のグリセロール、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコレート、1mMのPMSF)中で軽くボルテックスにかけて細胞を溶解させる。その溶解物を、4℃で10分間遠心分離にかけ、そして上清を新たな管に移す。50μlの試料希釈物(標準的な希釈バッファー、BioSource)を添加し、そして100μlの細胞溶解物をその管に移して、ボルテックスにかける。それぞれ100μlの希釈された細胞溶解物を、好適なウェル(phospho−GSK3(Ser9)抗体で被覆されたマイクロウェル;BioSource)に添加し、そして室温で3時間インキュベートする。そのプレートを、1×洗浄バッファー(BioSource)で4回洗浄する。50μlの検出抗体(GSK3(Ser9)検出抗体;BioSource)を各ウェルに添加し、そして室温で30分間インキュベートする。洗浄手順を、各工程間で繰り返す。100μlのHRP結合された二次抗体(抗マウスIgG HRP結合抗体)を各ウェルに添加し、そして室温で30分間インキュベートする。100μlのTMB基質(緩衝溶液中、0.05%の3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、0.1%の過酸化水素、複合ポリペプチド;BioSource)を各ウェルに添加し、そして室温で30分間インキュベートする。最後に、100μlの停止溶液(0.05%のα,β−不飽和カルボニル化合物)を各ウェルに添加し、そして数秒間優しく振り混ぜる。吸光度は、停止溶液の添加30分後以内に450nmで測定する(Wallac Victor2;パーキンエルマー、米国)。データの解析は、統計学的プログラム(Microsoft、米国)を用いて実施し、そしてpGSK3リン酸化の阻害を測定する。
【0394】
前記のアッセイで測定されたGSK3阻害についての代表的なIC50値は以下の表Fからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0395】
表F:
GSK3阻害(pGSK3−ELISA):
【0396】
【表37】

【0397】
細胞性増殖/細胞毒性アッセイ
本願に記載される化合物の抗増殖活性を、MCF7及びMDA−MB−468(ATCC HTB−22及びHTB−132)細胞系統で、Alamar Blue(レザズリン)細胞生存度アッセイ(O’Brien et al.Eur J Biochem 267,5421−5426,2000)を用いて評価した。レザズリンは、細胞性デヒドロゲナーゼ活性によって、生存可能で増殖している細胞と相関して、蛍光性のレゾルフィンへと還元される。試験化合物は、DMSO中に10mM溶液として溶解させ、そして引き続き希釈する。MCF7細胞又はMDA−MB−434細胞を、200μl/ウェルの容量で、10000細胞/ウェル(MCF7)又は5000細胞/ウェル(MDA−MB−468)の密度で96ウェル平底プレート中に播種した。播種24時間後に、それぞれ1μlの化合物希釈物を96ウェルプレートの各ウェルに添加する。各化合物の希釈物は少なくとも二重反復試験で試験する。未処理の対照細胞を含有するウェルを、0.5%(容量:容量)のDMSOを含有するDMEM200μlで満たした。次いでこれらの細胞を物質と一緒に37℃で48時間、5%の二酸化炭素を含有する加湿された雰囲気中でインキュベートする。細胞生存度を測定するために、20μlのレザズリン溶液(Sigma;90mg/l)を添加する。37℃で4時間インキュベートした後に、励起波長544nm及び蛍光波長590nmで蛍光を測定する(Wallac Victor2;パーキンエルマー、米国)。細胞生存度の計算のために、未処理の細胞からの蛍光値を100%の生存度に設定し、未処理の細胞の蛍光率を未処理の細胞の値について設定する。生存度は%値として表現する。化合物の細胞毒性活性についての相応のIC50値を濃度−作用曲線から非線形回帰によって測定した。データの解析は、生物統計学的プログラム(GraphPad Prism、米国)を用いて実施する。
【0398】
前記のアッセイで測定された抗増殖/細胞毒性効力についての代表的なIC50値は以下の表Gからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0399】
表G:
抗増殖/細胞毒性活性:
【0400】
【表38】

【0401】
表A〜表Gの1つ以上に挙げられる式Iの化合物並びにそれらの塩は、本発明における有利な対象である。
【0402】
化学的感作アッセイ
ここに開示される化合物は、アポトーシス性刺激に対して癌細胞を感作させる能力について評価される。本発明に記載される化合物は、単独と、化学療法薬及び標的癌治療薬との組合せにおいて試験して、アポトーシス誘導についての効果が測定される。癌細胞を、96ウェルプレート中に、各増殖培地中で2×10〜1×10細胞/ウェルの範囲の濃度で播種する。48〜72時間後に、アポトーシスアッセイを以下のように構成する:
a)カンプトテシンのような化学療法剤との組合せアッセイのために、化合物を指示されるそれぞれの濃度で添加し、そしてプレートをCOインキュベーター中で37℃で18時間インキュベートする。カンプトテシンでの処理を用いる標準的な組合せアッセイのために、それを同時に指示されるそれぞれの濃度で添加する。
【0403】
b)デス受容体リガンドTRAIL/Apo2L(Research Diagnostics)のような前アポトーシス剤の添加に関連する組合せアッセイのために、化合物を1.5時間にわたり添加してから、TRAILを添加し、そしてプレートをTRAIL添加後に更に3〜4時間インキュベートする。時間経過について言えば、プレートをTRAILリガンドと一緒に2時間、3時間、4時間及び6時間インキュベートした後に、アッセイを終了させる。
【0404】
両方の手順について、全体の最終容量は、250μlを超えない。インキュベート時間の完了時に、細胞を遠心分離(200×g;10分間室温)によってペレット化し、そして上清を破棄する。その細胞を溶解バッファーを用いて再懸濁させ、そして室温で30分間インキュベートする(Cell Death Detection ELISAPLUS、ロシュ、カタログ番号11 774 725 001)。遠心分離を繰り返した後に(200×g;10分間室温)、上清のアリコートをマイクロプレートのストレプトアビジン被覆されたウェルに移す。それに引き続き、インキュベート(2時間室温)を行い、そして上清中のヌクレオソームと、2種のモノクローナル抗体、つまり抗ヒストン(ビオチン標識された)及び抗DNA(ペルオキシダーゼ結合された;Cell Death Detection ELISAPLUS、ロシュ、カタログ番号11 774 725 001)とを結合させる。抗体−ヌクレオソーム複合体はマイクロプレートに結合される。固定化された抗体−ヒストン複合体を室温で3回洗浄して、免疫反応性でない細胞成分を除去する。基質溶液(ABTS;Cell Death Detection ELISAPLUS、ロシュ、カタログ番号11 774 725 001)を添加し、そして試料を室温で15分間インキュベートする。着色した生成物の量(従って固定化された抗体−ヒストン複合体の量)を分光測定的(405nmでの吸光度)に測定する。データは、ポジティブコントロールとして使用したシスプラチンとの対照の百分率の活性として表現する。50μMのシスプラチンによるアポトーシス誘導は、100シスプラチン単位(100CPU)として任意に定義する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
R1は、Ar1、Har1、Aa1、Hh1、Ah1又はHa1であり、その際、
Ar1は、フェニル、R11及び/又はR12で置換されたフェニル、ナフチル、R13で置換されたナフチル又はフルオレニルであり、その際、
R11は、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルコキシ、ハロゲン、フェノキシ、C〜C−アルキルカルボニル又はフェニル−C〜C−アルコキシであり、
R12は、C〜C−アルコキシであり、
R13は、C〜C−アルコキシであり、
Har1は、R14によって場合により置換されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式、縮合二環式又は縮合三環式の5員ないし14員のヘテロアリール基であり、その際、
R14は、C〜C−アルキル又はフェニルスルホニルであり、
Aa1は、R15によって場合により置換されており、かつ2個のアリール基から構成されるビスアリール基であり、前記アリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から無関係に選択され、かつそれらは単結合を介してともに結合されており、かつ
R15は、ハロゲンであり、
Hh1は、2個のヘテロアリール基から構成されるビスヘテロアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基からなる群から無関係に選択され、かつそれらは単結合を介してともに結合されており、
Ah1は、アリール基とヘテロアリール基とから構成されるアリールヘテロアリール基であり、前記アリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から選択され、かつ前記ヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基からなる群から選択され、その際、前記アリール基とヘテロアリール基とは単結合を介してともに結合されており、
Ha1は、ヘテロアリール基とアリール基とから構成されるヘテロアリールアリール基であり、前記ヘテロアリール基は、窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1又は2個のヘテロ原子を有する単環式の5員又は6員のヘテロアリール基からなる群から選択され、かつ前記アリール基は、フェニル及びナフチルからなる群から選択され、その際、前記ヘテロアリール基とアリール基とは単結合を介してともに結合されており、
R2は、水素、ハロゲン又はC〜C−アルキルであり、
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合、C〜C−アルキレン又は、アミノ−C〜C−アルキルで置換されたC〜C−アルキレンであり、
Ar2は、フェニル又は、R31及び/又はR32及び/又はR321で置換されたフェニルであり、その際、
R31は、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アミジノ又は−W−R311であり、その際、
Wは、結合又はC〜C−アルキレンであり、
R311は、−N(R312)R313、ハロゲン又はHet1であり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシカルボニル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
R313は、水素、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルであり、
Het1は、R314によって場合により置換されており、かつ単環式の3員ないし7員の飽和の複素環式の環であり、前記環は、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1又は2個のヘテロ原子を有し、かつ環炭素原子又は環窒素原子を介して部分Wに結合されており、かつ
R314は、C〜C−アルキル又はC〜C−アルコキシカルボニルであり、
R32は、C〜C−アルコキシ又はハロゲンであるか、もしくは
R31及びR32は、フェニル環に互いにオルト位で結合して、一緒になってC〜C−アルキレンジオキシ基を形成し、
R321は、C〜C−アルコキシであり、
Vは、結合であり、
Har2は、R33及び/又はR34によって場合により置換されており、かつ窒素、酸素及び硫黄からなる群からそれぞれ選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、単環式又は縮合二環式の5員ないし10員の不飽和又は部分的に飽和のヘテロアリール基であり、その際、
R33は、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル、シアノ又は−W−R311であり、
R34は、C〜C−アルキルである]で示される化合物及びこれらの化合物の塩。
【請求項2】
請求項1記載の化合物であって、その式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イル、ジベンゾチオフェン−4−イル、4−ベンジルオキシ−フェニル、4−フェノキシ−フェニル又はチアントレン−1−イルであり、
R2は、水素又はメチルであり、
R3は、−U−Ar2、−V−Har2又は2−アミノ−フェニルであり、その際、
Uは、結合であり、かつ
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は3−(R31)−フルオロフェニルもしくは4−(R31)−フルオロフェニルであり、その際、
R31は、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキル、シアノ、塩素、アミジノ、−W−R311、ピロリジン−1−イル又はピペリジン−3−イルであり、その際、
Wは、結合であり、かつ
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−エチル又はt−ブトキシカルボニルであり、
R313は、水素又はC〜C−アルキルであるか、もしくは
Wは、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313又は臭素であり、その際、
R312は、水素、C〜C−アルキル又はt−ブトキシカルボニルであり、
R313は、水素又はC〜C−アルキルであるか、もしくは
Uは、メチレン又はエチレンであり、かつ
Ar2は、フェニル又は3−(R31)−フェニルもしくは4−(R31)−フェニルであり、その際、
R31は、フッ素、C〜C−アルコキシ又はアミノメチルであるか、もしくは
Uは、結合又はアミノメチル−メチレンであり、かつ
Ar2は、3,4−ジクロロフェニルであり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチル又はトリフルオロメチルである、化合物及びこれらの化合物の塩。
【請求項3】
請求項1又は2記載の化合物であって、但し、その式中、
置換基−N(H)C(O)R3が、フェニル環がピリミジン−アミノ部に結合される結合位置に対してメタ位で結合されている場合には、
R1は、Har1、Ah1又はHh1ではない、化合物及びこれらの化合物の塩。
【請求項4】
請求項1又は2記載の化合物であって、式Ia
【化2】

で示される、化合物及びこれらの化合物の塩。
【請求項5】
請求項1記載の化合物であって、請求項4記載の式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾチオフェン−4−イル、4−ベンジルオキシ−フェニル、チアントレン−1−イル又はジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素又はメチルであり、
R3は、−U−Ar2、−V−Har2又は2−アミノ−フェニルであり、その際、
Uは、結合であり、かつ
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は3−(R31)−フルオロフェニルもしくは4−(R31)−フルオロフェニルであり、その際、
R31は、アミジノ、−W−R311、ピロリジン−1−イル又はピペリジン−3−イルであり、その際、
Wは、結合であり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素、メチル又は2−メトキシエチルであり、
R313は、メチルであるか、もしくは
Wは、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素又はメチルであり、
R313は、水素であるか、もしくは
Uは、メチレンであり、かつ
Ar2は、4−(アミノメチル)−フェニルであるか、もしくは
Uは、アミノメチル−メチレンであり、かつ
Ar2は、3,4−ジクロロフェニルであり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチルである
、化合物及びこれらの化合物の塩。
【請求項6】
請求項1記載の化合物であって、請求項4記載の式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−U−Ar2又は−V−Har2であり、その際、
Uは、結合であり、
Ar2は、3−(R31)−フェニル、4−(R31)−フェニル又は2−フルオロ−4−(R31)−フェニルであり、その際、
R31は、アミジノ又は−W−R311であり、その際、
Wは、メチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素又はメチルであり、
R313は、水素であり、
Vは、結合であり、
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イル又はR33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチルである、化合物及びこれらの化合物の塩。
【請求項7】
請求項1記載の化合物であって、請求項4記載の式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−U−Ar2であり、その際、
Uは、結合であり、
Ar2は、3−(R31)−フェニル又4−(R31)−フェニルであり、その際、
R31は、アミジノ又は−W−R311であり、その際、
Wは、メチレンであり、
R311は、−N(R312)R313であり、その際、
R312は、水素であり、
R313は、水素である、化合物及びこれらの化合物の塩。
【請求項8】
請求項1記載の化合物であって、請求項4記載の式Iaで示され、その式中、
R1は、ジベンゾフラン−4−イルであり、
R2は、水素であり、
R3は、−V−Har2であり、その際、
Vは、結合であり;
Har2は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル又は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イルであるか;又は
Har2は、R33で置換されたピリジルであり、その際、
R33は、アミノメチルである、例えば
6−(R33)−ピリジ−3−イル、6−(R33)−ピリジ−2−イル、2−(R33)−ピリジ−4−イル、4−(R33)−ピリジ−2−イル又は5−(R33)−ピリジ−2−イルであり、その際、
R33は、アミノメチルである、化合物及びこれらの化合物の塩。
【請求項9】
疾病の治療で使用するための、請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項記載の1種以上の化合物と一緒に、1種以上の慣用の医薬品賦形剤及び/又はビヒクルを含有する医薬組成物。
【請求項11】
請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物から選択される1種以上の第一の有効成分と、化学療法抗癌剤及び標的特異的抗癌剤から選択される1種以上の第二の有効成分とを含有する、療法において、例えば哺乳動物における、良性又は悪性の挙動の過剰増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患を治療、予防又は改善するために、別々に、連続的に、同時に又は時間的にずらして使用するための組合せ物。
【請求項12】
請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物を、単独のプロテインキナーゼ、例えばPKB/Aktの機能調節不全又は規定の経路又はシグナル伝達ネットワーク内の複数のプロテインキナーゼの機能調節不全によって媒介される疾病、例えば良性又は悪性の挙動の過剰増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患の治療、予防又は改善において使用するための医薬組成物の製造のために用いる使用。
【請求項13】
請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物を、良性及び/又は悪性の新形成、例えば癌の治療において使用するための医薬組成物の製造のために用いる使用。
【請求項14】
患者において、良性又は悪性の挙動の過剰増殖性の疾病及び/又はアポトーシスの誘導に反応を示す疾患、例えば癌を治療するための方法において、その患者に、請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物の治療学的に有効な量を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2008−504251(P2008−504251A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517306(P2007−517306)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053019
【国際公開番号】WO2006/000589
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】