説明

4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体およびこれを含む抗癌剤組成物

【課題】ジヒドロベンゾジチオフェンジオンの新規な親水性の類似体を提供する。
【解決手段】下記式(D)または下記式(E)で示される4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体またはその製薬上許容できる塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの類似体/誘導体、特に抗癌剤として活性のある4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの類似体/誘導体、ならびにこれを含む薬剤組成物、特に抗癌剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我々による先の研究において、下記式で示されるような、ナフト[2,3−b]チオフェン−4,9−ジオン(A)、4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(B)及び、4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(C)が、抗癌剤として有用である可能性のあるものとして同定された(特許文献1、2参照)。これらのベンゾチオフェン類似体のうち、多くの化合物は、ヒトの腫瘍細胞系に対して非常に強い細胞毒性活性を有している。
【0003】
【化1】

【特許文献1】米国特許第6,174,913号明細書
【特許文献2】米国特許第6,337,346号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような化合物のほとんどは、親油性が高く、ゆえに、インビボや臨床研究には適さないという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、上記事情を鑑みでなされたものであり、ジヒドロベンゾジチオフェンジオンの新規な親水性の類似体を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の他の目的は、ジヒドロベンゾジチオフェンジオンの新規な親水性の類似体/誘導体、およびこれを含む抗癌剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、様々なベンゾジチオフェンジオンのうちから、抗癌剤として有用であると考えられる候補の選択についてさらに鋭意研究を行なった結果、ヒドロキシアルキル−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(I)及びヒドロキシアルキル−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(VI)由来の一連のスクシネート(D,E)及びアミド(XV)が抗癌作用を有する親水性の新規な類似体であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、上記目的は、下記式(D):
【0009】
【化2】

【0010】
または下記式(E):
【0011】
【化3】

【0012】
ただし、上記式(D)及び(E)において、Y及びZは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−NH−、または−Se−であり;
及びAは、それぞれ独立して、O、S、またはNRであり、この際、Rは、Hまたはアルキルであり;
、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、−CR−X−C(O)−(CHCOOH、−CR−X−(CHCOOH、−CR−X−(CHNR、−C(O)−NR−(CRCOOH、−C(O)−NR−(CRNR、−CR−C(O)−(CHCOOH、−CR−X−C(O)−(CHNR、−C(O)−(CRCOOH、−C(O)−(CRNR、−CR=N−(CHCOOH、−CR=N−(CHNR、−CR=NOH、若しくは下記式:
【0013】
【化4】

【0014】
で示される基であり、この際、Xは、−O−、−S−、または−NH−であり;Rは、上記と同様の定義であり;Rは、Hまたはアルキルであり;ならびに、nは、1〜5であり;
、R、R及びRの少なくとも一は水素及びアルキル以外の基である、
で示される4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体またはその製薬上許容できる塩によって達成される。
【0015】
また、上記他の目的は、抗癌剤として有効な量の、上記式(D)または式(E)の4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体またはその製薬上許容できる塩、および製薬上許容できる担体を含む、抗癌剤として使用される薬剤組成物によっても達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体及びその製薬上許容できる塩は、親水性及び抗癌作用を有する。したがって、本発明の4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体及びその製薬上許容できる塩は、インビボや臨床研究に好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の第一は、下記式(D):
【0019】
【化5】

【0020】
または下記式(E):
【0021】
【化6】

【0022】
で示される4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体またはその製薬上許容できる塩に関するものである。本発明の化合物は、抗癌活性がありかつ親水性を示す有用な化合物である。
【0023】
本明細書において、「アルキル」とは、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキルであるが、好ましくは炭素原子数1〜4の直鎖のアルキルである。また、アルキルは、飽和であってもあるいは不飽和であってもよいが、好ましくは飽和である。また、アルキルは、「アルコキシ」等の他の置換基の一部としても使用される。したがって、本発明において特に好ましいアルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルである。
【0024】
本明細書において、「ハロゲン原子」または「ハロ」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子、またはフルオロ、クロロ、ブロモ若しくはヨードを意味する。
【0025】
上記式(D)及び(E)において、Y及びZは、−O−、−S−、−NH−、または−Se−であり、この際、Y及びZは、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。好ましくは、Y及びZはSである。また、A及びAは、O、S、またはNRであり、この際、Rは、Hまたはアルキルである。この際、A及びAは、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。好ましくは、A及びAはOである。R、R、R及びRは、H、アルキル、−CR−X−C(O)−(CHCOOH、−CR−X−(CHCOOH、−CR−X−(CHNR、−C(O)−NR−(CRCOOH、−C(O)−NR−(CRNR、−CR−C(O)−(CHCOOH、−CR−X−C(O)−(CHNR、−C(O)−(CRCOOH、−C(O)−(CRNR、−CR=N−(CHCOOH、−CR=N−(CHNR、−CR=NOH、または下記式:
【0026】
【化7】

【0027】
で示される基である。この際、R、R、R及びRは、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。上記R、R、R及びRを表わす式において、Xは、−O−、−S−、または−NH−であり、好ましくはOである。Rは、上記で述べたのと同様の定義である。Rは、Hまたはアルキルである。この際、R及びRは、それぞれ独立して、Hまたはメチルであることが好ましい。さらに、nは、1〜5である。上記式(D)及び(E)において、R、R、R及びRの少なくとも一は水素及びアルキル以外の基である。
【0028】
本発明においては、R、R及びRは、Hであり、ならびにRは、−CR−X−C(O)−(CHCOOH、−CR−X−(CHCOOH、−CR−X−(CHNR、−C(O)−NR−(CRCOOH、または−C(O)−NR−(CRNRであることが好ましい。また、この際、A及びAはOであり、XはOであり、R及びRは、それぞれ独立して、Hまたはメチルであることが好ましい。
【0029】
したがって、本発明の式(D)の化合物の好ましい例としては、モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−メチル]スクシネート(IIa−1)、モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]スクシネート(IIb−1)、及びモノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]ペンタンジオエート(IIb−2)が挙げられる。また、本発明の式(E)の化合物の好ましい例としては、モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]スクシネート(VII−1)、モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]ペンタンジオエート(VII−2)、及び4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボキシレート−(2−ジメチルアミノ−エチル)−アミド(XV−2)が挙げられる。
【0030】
本発明の4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体は、製薬上許容できる塩の形態であってもよい。この際使用できる塩の形態は、製薬上許容できるものであれば特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩や、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、エナント酸などの、有機及び無機酸から誘導されるものなどが挙げられる。好ましくは、ナトリウム塩、アンモニウム塩、リン酸から誘導される塩である。
【0031】
本発明において、上記式(D)及び(E)の化合物の合成は、公知の方法によって行なわれ、特に制限されるものではない。以下、本発明の式(D)及び(E)の化合物の好ましい合成方法について説明するが、本発明は下記方法によって限定されるものではなく、様々な変更が当業者には明らかであろう。
【0032】
本発明の上記式(D)及び(E)の化合物は、ヒドロキシアルキル−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(I)(以下、「中間体I」と称する)及びヒドロキシアルキル−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(VI)(以下、「中間体VI」と称する)を中間体として用いて合成できる。この際、本発明の化合物を合成するにあたって使用される中間体、ヒドロキシアルキル−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(I)及びヒドロキシアルキル−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(VI)は、公知の方法によって調製でき、例えば、L. J. Huang, S. C. Kuo, C. Y. Perng, Y. H. Chao,T. S. Wu, A. T. Mcphail, A. Manger, H. Y. Cheng and K. H. Lee. Bioorg. Med. Chem. Lett 8, 2763-2768 (1998); Y. H. Chao, S. C. Kuo, C. H. Wu, C. Y. Lee, A. Manger, I. C. Sun, S. L. Morris-Natschke and K. H. Lee. J. Med. Chem. 41, 4658-4661 (1998); Y. H. Chao, S. C. Kuo, K. Ku, I. P. Chiu, C. H. Wu, A. Manger, H. K. Wang, 及び K. H. Lee. Bioorg. Med. Chem. 7, 1025-1031 (1999)]に記載される方法が使用できる。
【0033】
例えば、下記Scheme 1に示されるように、モノ−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェニル−アルキル)アルカンジオエート(D)は、有機または無機塩基の存在下で、ヒドロキシアルキル−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(中間体I)をアルカンジオン酸無水物(alkanedioic anhydride)で処理することによって得られる(下記Scheme 1の(i)の反応)。
【0034】
【化8】

【0035】
または、上記中間体Iをアルカリの存在下で様々なハロアルカノエート[X(CHCOOEt]と反応させると、対応するアルコキシアルノカノエート(III)が得られる。このアルコキシアルノカノエート(III)をトリフルオロ酢酸(TFA)またはNaOHで加水分解することによって、対応する酸(IV)が得られ、この酸(IV)をさらに水溶性の塩の形態に変換してもよい(下記Scheme 1の(ii)の反応)。または、上記中間体Iを様々なハロアルキルアミンと反応させることによって、対応するアルコキシアルキルアミン(V)が得られ、これを、例えば、HClで処理することによって水溶性の塩の形態にしてもよい(下記Scheme 1の(iii)の反応)。
【0036】
一方、ヒドロキシアルキル−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(VI)(中間体VI)を出発物質として使用する場合には、下記Scheme 2に示されるように、上記Scheme 1で化合物(II)、(IV)及び(V)の調製について記載したのと同様の方法によって、この中間体(VI)から親水性の目的化合物(VII)、(IX)及び(X)が製造できる。
【0037】
【化9】

【0038】
または、下記Scheme 3に示されるように、4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン−2−カルボン酸(XI)を、カップリング剤の存在下でアミノ酸で処理することによって、アミド(XII)を形成し、さらにこれを対応する酸(XIII)に変換してもよい。一方、この4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン−2−カルボン酸(XI)をNHで処理すると、対応するアンモニウム塩(XI−NH)が得られる。他方、4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン−2−カルボン酸(XI)をSOClと反応させると、対応する酸塩化物が得られ、これはさらに様々なアミノアルキルアミンで処理することによって対応するアミド(XVII)が得られ、さらにこれをHPOで処理すると、水溶性の塩の形態になる(XVII−HPO)。
【0039】
【化10】

【0040】
また、4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン−2−カルボン酸(XIV)を出発物質として使用すると、下記Scheme 4に示されるように、上記Scheme 3で化合物(XIII−Na)、化合物(XI−NH)及び化合物(XVII−HPO)を調製するのと同様の方法を適用すると、当該出発物質(XIV)から、本発明の化合物(XVI−Na)、(XVI−NH)及び(XVII−HPO)が得られる。
【0041】
【化11】

【0042】
上記本発明の化合物は、抗癌作用を有する。したがって、本発明の第二は、抗癌剤として有効な量の、本発明の式(D)または式(E)の4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体またはその製薬上許容できる塩、および製薬上許容できる担体を含む、抗癌剤として使用される薬剤組成物に関するものである。
【0043】
本発明の薬剤組成物は、癌のうち非肺小細胞癌、乳癌、上咽頭癌、前立腺癌、大腸癌、肝癌、回盲癌、白血病及び中枢神経系癌に対して抗癌作用を発揮し、これらのうち特に非肺小細胞癌、乳癌、上咽頭癌及び前立腺癌に対して抗癌作用を発揮する。
【0044】
本発明の薬剤組成物は、上記式(D)または式(E)の4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体またはその製薬上許容できる塩(以下、一括して「誘導体/塩」と称する)を、製薬上許容される担体と組合わせて配合した、または製薬上許容される溶剤に溶解もしくは懸濁した組成物として、癌化学治療の施行前または施行中、または施行後に、経口的または非経口的に患者に投与される。
【0045】
本薬剤組成物を経口投与用とする場合には、誘導体/塩を、適当な添加剤、例えば、乳糖、ショ糖、マンニット、トウモロコシデンプン、合成もしくは天然ガム、結晶セルロース等の賦形剤、デンプン、セルロース誘導体、アラビアゴム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボシキメチルセルーロースカルシウム、カルボシキメチルセルーロースナトリウム、デンプン、コーンスターチ、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム等の滑沢剤、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム等の充填剤または希釈剤等と適宜混合して、錠剤、散剤(粉末)、丸剤、および顆粒剤等の固型製剤にすることができる。また、硬質または軟質のゼラチンカプセル等を用いてカプセル剤としてもよい。これらの固型製剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート、メタアクリレートコポリマー等の被覆用基剤を用いて腸溶性被覆を施してもよい。さらに、本発明の誘導体/塩を、精製水、生理食塩水等の一般的に用いられる不活性希釈剤に溶解して、必要に応じて、この溶液に浸潤剤、乳化剤、分散助剤、界面活性剤、甘味料、フレーバー、芳香物質等を適宜添加することにより、シロップ剤、エリキシル剤等の液状製剤とすることもできる。
【0046】
また、本発明の誘導体/塩は、親水性を有するものである。したがって、本発明の誘導体/塩を含む薬剤組成物は、非経口投与にも好適に使用でき、このようなには、本発明の誘導体/塩を精製水、リン酸緩衝液等の適当な緩衝液、生理的食塩水、リンガー溶液、ロック溶液等の生理的塩類溶液、エタノール、グリセリン及び慣用される界面活性剤等と適当に組み合わせた滅菌された水溶液、非水溶液、懸濁液、リポソームまたはエマルジョンとして、好ましくは注射用滅菌水溶液として、静脈内、皮下、筋肉内等に投与される。この際、液状製剤は、生理学的なpH、好ましくは6〜8の範囲内のpHを有することが好ましい。また、本発明の薬剤組成物は、ローション剤、懸濁剤、乳剤等の液状製剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏等の半固形製剤、散剤、粉剤もしくは用時溶解して塗布するための顆粒剤等の固形製剤として、標的部位およびその周辺部位に経皮的に投与してもよい。さらに、ペレットによる埋め込み、または坐薬用基剤を用いた坐薬として投与されることも可能である。上述したうち、好ましい製剤や投与形態等は、担当の医師によって選択される。
【0047】
本発明の薬剤組成物に含まれる誘導体/塩の濃度は、投与形態、疾病の種類や重篤度や目的とする投与量などによって様々であり、正確な量は医師により決定されるものである。また、本発明の薬剤組成物の用量もまた、患者の年齢、体重及び症状、目的とする投与形態や方法、治療効果、および処置期間等によって異なり、正確な量は医師により決定されるものである。
【0048】
本発明はまた、下記構造(F)または(G)を有する親水性化合物、またはその製薬上許容できる塩を開示するものである。
【0049】
【化12】

【0050】
ただし、A及びAは、それぞれ独立して、−U−C(O)−(CHCOOH、−U−(CH−COOH、−U(CH−NR、または下記式のいずれかであり、
【0051】
【化13】

【0052】
この際、Uは、O、S、またはNHであり、Rは、Hまたはアルキルであり;Rは、Hまたはアルキルであり;ならびにnは、1〜5であり;ならびにY、Z、R、R、R及びRは、上記と同様の定義である。
【0053】
本発明はまた、腫瘍を治療するのに有効な量の、上記式(F)若しくは(G)を有する化合物、またはこれらの製薬上許容できる塩を、このような治療の必要な患者に、投与する段階を有する、腫瘍の治療方法をも包含する。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を、下記実施例を参照しながらより詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0055】
なお、下記実施例において、融点(mp)は、Yanaco MP−500D装置(Yanaco MP-500D apparatus)で測定し、修正は行なわなかった。IRスペクトルは、KBrペレットとしてNicolet Impact 440 FT−IR分光光度計(Nicolet Impact 440 FT-IR spectrophotometer)で記録した。NMRスペクトルは、DMSO−d6またはCDCl中でVarian Unity Inova−500分光計(Varian Unity Inova-500 spectrometer)で得た。化学シフト値はδ値(ppm(parts per million))
で表わす。また、下記略称を使用する:s=一重項(singlet);d=二重項(doublet);t=三重項(triplet);q=四重項(quartet);m=多重項(multiplet);及びbr=ブロー
ド(broad)。マススペクトル(MS)は、JEOL SX102A GC−MS装置(JEOL
SX102A GC-MS instrument)を用いて測定した。
【0056】
また、以下の実施例では、各化合物を化合物番号のみで表わすこともある(例えば、実施例1では、化合物(Ia)を単に(Ia)と表わす、など)。
【0057】
実施例1:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−メチル]スクシネート(IIa−1)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIa−1)を合成した。
【0058】
【化14】

【0059】
CHCl(10ml)における化合物(Ia)(30mg、0.12mmole)の攪拌溶液に、無水コハク酸(120mg、1.2mmole)、EtN(25mg、1.23mmole)及び触媒量のDMAP(ジメチルアミノピリジン)を添加した。この反応混合物を窒素雰囲気下で室温で3時間攪拌した後、水(HO)で洗浄した。有機層をNaHCO水溶液で抽出した。水層に、CHClを添加して、pHを6N HClで1に調節した。有機層を水で洗浄し、還元した。固体沈殿物をジエチルエーテルで再度スラリー化することによって精製して、黄色の固体(IIa−1)を得た(13.2mg、30%)。
【0060】
【化15】

【0061】
実施例2:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−メチル]コハク酸ナトリウム(IIa−1−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIa−1−Na)を合成した。
【0062】
【化16】

【0063】
酢酸エチル(EA)における化合物(IIa−1)(100.7mg、0.29mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(sodium 2-ethylhexanoate)(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで
洗浄した後、真空中で乾燥した。黄色の固体(IIa−1−Na)が得られた(100.6mg、93%)。
【0064】
【化17】

【0065】
実施例3:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]スクシネート(IIb−1)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIb−1)を合成した。
【0066】
【化18】

【0067】
化合物(Ib)(45mg、0.18mmole)及びCHCl(10ml)の攪拌溶液に、無水コハク酸(150mg、1.5mmole)、EtN(150mg、1.54mmole)及び触媒量のDMAP(ジメチルアミノピリジン)を添加した。この反応混合物を窒素雰囲気下で室温で3時間攪拌した後、水(HO)で洗浄した。有機層をNaHCO水溶液で抽出した。水層に、CHClを添加して、pHを6N HClで1に調節した。CHCl層を分離し、これを水で洗浄し、還元した。固体沈殿物をジエチルエーテルで再度スラリー化することによって精製して、黄色の固体(IIb−1)を得た(11.7mg、17%)。
【0068】
【化19】

【0069】
実施例4:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ−[1,2−b;5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]コハク酸ナトリウム(IIb−1−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIb−1−Na)を合成した。
【0070】
【化20】

【0071】
酢酸エチル(EA)における化合物(IIb−1)(100.8mg、0.28mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(sodium 2-ethylhexanoate)(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで
洗浄した後、真空中で乾燥した。黄色の固体(IIb−1−Na)が得られた(96.5mg、89%)。
【0072】
【化21】

【0073】
実施例5:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]スクシネート(VII−1)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(VII−1)を合成した。
【0074】
【化22】

【0075】
化合物(VI)(50.0mg、0.19mmole)及びCHCl(3ml)の攪拌溶液に、無水コハク酸(44.8mg、0.45mmole)、EtN(0.10ml、0.43mmole)及びDMAP(3.0mg、0.02mmole)を添加した。この反応混合物を窒素雰囲気下で室温で1.5時間攪拌した。水(HO)(1ml)及び6N HCl(1ml)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(15ml×3)。有機層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、黄緑色の固体(VII−1)を得た(62.0mg、90%)。
【0076】
【化23】

【0077】
実施例6:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ−[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]コハク酸ナトリウム(VII−1−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(VII−1−Na)を合成した。
【0078】
【化24】

【0079】
EAにおける化合物(VII−1)(200.0mg、0.55mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄緑色の固体(VII−1−Na)が得られた(191.0mg、90%)。
【0080】
【化25】

【0081】
実施例7:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−メチル]ペンタンジオエート(IIa−2)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIa−2)を合成した。
【0082】
【化26】

【0083】
化合物(Ia)(54.0mg、0.22mmole)及びCHCl(3ml)の攪拌溶液に、無水グルタル酸(49.7mg、0.44mmole)、DMAP(3.0mg、0.02mmole)及びEtN(0.06ml、0.40mmole)を添加した。この反応混合物を窒素雰囲気下で室温で3.5時間攪拌した。水(HO)(1ml)及び2N HCl(3ml)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(15ml×3)。有機層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、CHOH:CHCl(1:40)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物(IIa−2)を得た(45.9mg、58%)。
【0084】
【化27】

【0085】
実施例8:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−メチル]ペンタン二酸ナトリウム(IIa−2−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIa−2−Na)を合成した。
【0086】
【化28】

【0087】
EAにおける化合物(IIa−2)(67.1mg、0.18mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄色がかった茶色の固体(IIa−2−Na)が得られた(65.0mg、94%)。
【0088】
【化29】

【0089】
実施例9:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]ペンタンジオエート(IIb−2)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIb−2)を合成した。
【0090】
【化30】

【0091】
化合物(Ib)(100.0mg、0.4mmole)及びCHCl(3ml)の攪拌溶液に、無水グルタル酸(136.9mg、1.2mmole)、DMAP(5.0mg、0.04mmole)及びEtN(121mg、1.19mmole)を添加した。この反応混合物を窒素雰囲気下で室温で一晩攪拌した。水(HO)(1ml)及び2N HCl(3ml)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(15ml×3)。CHCl層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、CHOH:CHCl(1:40)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物(IIb−2)を得た(128.0mg、88%)。
【0092】
【化31】

【0093】
実施例10:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]ペンタン二酸ナトリウム(IIb−2−Na)
の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIb−2−Na)を合成した。
【0094】
【化32】

【0095】
EAにおける化合物(IIb−2)(83.0mg、0.22mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄色がかった茶色の固体(IIb−2−Na)が得られた(83.1mg、94%)。
【0096】
【化33】

【0097】
実施例11:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]ペンタンジオエート(VII−2)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(VII−2)を合成した。
【0098】
【化34】

【0099】
化合物(VI)(50.0mg、0.19mmole)及びCHCl(3ml)の攪拌溶液に、無水グルタル酸(45.2mg、0.4mmole)、DMAP(3.0mg、0.02mmole)及びEtN(0.05ml、0.4mmole)を添加した。この反応混合物を窒素雰囲気下で室温で15時間攪拌した。水(HO)(1ml)及び2N HCl(3ml)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(15ml×3)。CHCl層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、CHOH:CHCl(1:50)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物(VII−2)を得た(32.7mg、46%)。
【0100】
【化35】

【0101】
実施例12:モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]ペンタン二酸ナトリウム(VII−2−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(VII−2−Na)を合成した。
【0102】
【化36】

【0103】
EAにおける化合物(VII−1)(109.4mg、0.29mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄緑色の固体(VII−2−Na)が得られた(79.0mg、68%)。
【0104】
【化37】

【0105】
実施例13:4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:5,4−b’]−ジチオフェン−2−イル−メトキシ酢酸t−ブチル(IIIa−1)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIIa−1)を合成した。
【0106】
【化38】

【0107】
化合物(Ia)(9.4mg、0.04mmole)及びトルエン(2ml)の攪拌溶液に、テトラブチル硫酸水素アンモニウム(tetrabutylammonium hydrogen sulfate)(4
.0mg、0.01mmole)、50% NaOH(水溶液)(1ml)及び臭化酢酸t−ブチル(0.02ml、0.1mmole)を添加した。この混合物を室温で2時間攪拌した。水(HO)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(15ml×3)。CHCl層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、酢酸エチル:ヘキサン(1:8)で溶出するプレート液体クロマトグラフィー(plate liquid chromatography)によって精製して、黄色の固体(IIIa
−1)を得た(2.7mg、20%)。
【0108】
【化39】

【0109】
実施例14:4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:5,4−b’]−ジチオフェン−2−イル−メトキシ酢酸エチル(IIIa)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIIa)を合成した。
【0110】
【化40】

【0111】
化合物(Ia)(40mg、0.17mmole)及びトルエン(10ml)の攪拌溶液に、テトラブチル硫酸水素アンモニウム(tetrabutylammonium hydrogen sulfate)(2
0mg、0.06mmole)、50% NaOH(水溶液)(1ml)及び臭化酢酸エチル(0.1ml、0.9mmole)を添加した。この混合物を室温で2時間攪拌した。水(HO)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(25ml×3)。CHCl層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、CHClで溶出するプレート液体クロマトグラフィー(plate liquid chromatography)によって精製して、黄色の固体(IIIa)を得た(18mg、33%
)。
【0112】
【化41】

【0113】
実施例15:4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:5,4−b’]−ジチオフェン−2−イル−メトキシ酢酸(IVa)の合成
方法A
下記反応式に従って、上記化合物(IVa)を合成した。
【0114】
【化42】

【0115】
化合物(IIIa−1)(2.7mg、0.007mmole)及びCHCl(1ml)の攪拌溶液に、トリフルオロ酢酸(0.1ml)を添加し、窒素雰囲気下で室温で1.5時間攪拌した。濃縮後、黄色の固体(IVa)が得られた。
【0116】
方法B
下記反応式に従って、上記化合物(IVa)を合成した。
【0117】
【化43】

【0118】
25mLのフラスコに、化合物(IIIa)(15mg、0.05mmole)及びMeOH(10ml)を入れた。次に、HO(8ml)におけるLiOH(10mg)を加えて、この反応混合物を加水分解が終了するまで室温で攪拌した。HOAc(〜0.4ml)を滴下して、中和した。MeOHを真空中で除去して、残渣をNaCO水溶液で処理した後、CHClで抽出した。水層をpHが約4になるまでHCl希釈液で酸性にし、CHClで抽出した。CHCl層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、黄色の固体(IVa)を得た(12.5mg、91%)。
【0119】
【化44】

【0120】
実施例16:4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:5,4−b’]−ジチオフェン−2−イル−メトキシ酢酸ナトリウム(IVa−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IVa−Na)を合成した。
【0121】
【化45】

【0122】
EAにおける化合物(IVa)(47.8mg、0.16mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄緑色の固体(IVa−Na)が得られた(35.4mg、70%)。
【0123】
【化46】

【0124】
実施例17:1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:5,4−b’]−ジチオフェン−2−イル−エトキシ)−酢酸t−ブチル(IIIb−1)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIIb−1)を合成した。
【0125】
【化47】

【0126】
化合物(Ib)(9.4mg、0.04mmole)及びトルエン(2ml)の攪拌溶液に、テトラブチル硫酸水素アンモニウム(4.0mg、0.01mmole)、50%
NaOH(水溶液)(1ml)及び臭化酢酸t−ブチル(0.02ml、0.1mmole)を添加した。この反応混合物を室温で2時間攪拌した。水(HO)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(15ml×3)。有機層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、酢酸エチル:ヘキサン(1:15)で溶出するプレート液体クロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体(IIIb−1)を得た(6.9mg、51%)。
【0127】
【化48】

【0128】
実施例18:1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:5,4−b’]−ジチオフェン−2−イル−エトキシ)−酢酸エチル(IIIb)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IIIb)を合成した。
【0129】
【化49】

【0130】
化合物(Ib)(100mg、0.4mmole)及びトルエン(20ml)の攪拌溶液に、テトラブチル硫酸水素アンモニウム(40mg、0.11mmole)、50% NaOH(水溶液)(1ml)及び臭化酢酸エチル(0.2ml、1.8mmole)を添加した。この混合物を室温で2時間攪拌した。水(HO)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(20ml×3)。CHCl層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、CHClで溶出するプレート液体クロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体(IIIb)を得た(65mg、48%)。
【0131】
【化50】

【0132】
実施例19:1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:5,4−b’]−ジチオフェン−2−イル−エトキシ)−酢酸(IVb)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IVb)を合成した。
【0133】
【化51】

【0134】
100mLのフラスコに、化合物(IIIb)(65mg、0.19mmole)及びMeOH(15ml)を入れた。次に、HO(12ml)におけるLiOH(25.0mg)を加えて、この反応混合物を加水分解が終了するまで室温で攪拌した。HOAc(〜1.4ml)を滴下して、中和した。MeOHを真空中で除去して、残渣をNaCO水溶液で処理した後、CHClで抽出した。水層をpHが約4になるまでHCl希釈液で酸性にし、CHClで抽出した。CHCl層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、黄色の固体(IVb)を得た(54mg、90%)。
【0135】
【化52】

【0136】
実施例20:1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:5,4−b’]−ジチオフェン−2−イル−エトキシ)−酢酸ナトリウム(IVb−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IVb−Na)を合成した。
【0137】
【化53】

【0138】
EAにおける化合物(IVb)(53.0mg、0.16mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄緑色の固体(IVb−Na)が得られた(33.1mg、58%)。
【0139】
【化54】

【0140】
実施例21:1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン−2−イル−エトキシ)−酢酸t−ブチル(VIII−1)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(VIII−1)を合成した。
【0141】
【化55】

【0142】
化合物(VI)(9.0mg、0.03mmole)及びトルエン(2ml)の攪拌溶液に、テトラブチル硫酸水素アンモニウム(4.0mg、0.01mmole)、50%
NaOH(水溶液)(1ml)及び臭化酢酸t−ブチル(0.02ml、0.1mmole)を添加した。この混合物を室温で2時間攪拌した。水(HO)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(15ml×3)。有機層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、酢酸エチル:ヘキサン(1:15)で溶出するプレート液体クロマトグラフィー(plate liquid chromatography)に
よって精製して、黄色の油(VIII−1)を得た(5.0mg、39%)。
【0143】
【化56】

【0144】
実施例22:1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン−2−イル−エトキシ)−酢酸エチル(VIII)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(VIII)を合成した。
【0145】
【化57】

【0146】
化合物(VI)(9.7mg、0.04mmole)及びトルエン(2ml)の攪拌溶液に、テトラブチル硫酸水素アンモニウム(4.0mg、0.01mmole)、50%
NaOH(水溶液)(1ml)及び臭化酢酸エチル(0.1mmole)を添加した。この反応混合物を室温で2時間攪拌した。水(HO)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(15ml×3)。有機層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、CHClで溶出するプレート液体クロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体(VIII)を得た(2.5mg、19%)。
【0147】
【化58】

【0148】
実施例23:1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン−2−イル−エトキシ)−酢酸(IX)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IX)を合成した。
【0149】
【化59】

【0150】
25mLのフラスコに、化合物(VIII)(192.7mg、0.55mmole)及びMeOH(30ml)を入れた。次に、HO(30ml)におけるLiOH(0.36g)を加えて、この反応混合物を加水分解が終了するまで室温で攪拌した。HOAc(〜1.1ml)を滴下して、中和した。MeOHを真空中で除去して、残渣をNaCO水溶液で処理した後、EAで抽出した。水層をpHが約4になるまでHCl希釈液で酸性にし、EAで抽出した。EA層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、黄色の固体(IX)を得た(160.0mg、90%)。
【0151】
【化60】

【0152】
実施例24:1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン−2−イル−エトキシ)−酢酸ナトリウム(IX−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(IX−Na)を合成した。
【0153】
【化61】

【0154】
EAにおける化合物(IX)(85.0mg、0.28mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄緑色の固体(IX−Na)が得られた(83.0mg、92%)。
【0155】
【化62】

【0156】
実施例25:2−[1−(2−ピロール−1−イル−プロポキシ)−エチルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(X)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(X)を合成した。
【0157】
【化63】

【0158】
化合物(VI)(10.5mg、0.04mmole)及びトルエン(2ml)の攪拌溶液に、テトラブチル硫酸水素アンモニウム(4.0mg、0.01mmole)、50% NaOH(水溶液)(2ml)及び1−(3−ブロモプロピル)ピロール(0.1mmole)を添加した。この混合物を室温で3時間攪拌した。水(HO)を添加した後、この反応混合物をCHClで抽出した(15ml×3)。CHCl層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、CHClで溶出するプレート液体クロマトグラフィーによって精製して、黄色の油(X)を得た(5.0mg、34%)。
【0159】
【化64】

【0160】
実施例26:4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b;5,4−b’]ジチオフェン−2−カルボキシレート−(2−ジメチルアミノエチル)−アミド(XVII)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XVII)を合成した。
【0161】
【化65】

【0162】
SOCl(5ml)における化合物(XI)(60mg、0.23mmole)、を、2時間、加熱、還流した。過剰のSOClを除去して、未精製の酸塩化物を得た。得られた酸塩化物を、精製せずに、直接使用した。これを、CHCl(4ml)で希釈し、N,N−ジメチルエチレンジアミン(1.5ml)、EtN(2ml)及びCHCl(4ml)の混合物に添加し、室温で1.5〜2時間、攪拌した。水を添加し、反応混合物をCHClで抽出した。CHCl層を濃縮して、未精製物をMeOH:CHCl=1:8を溶出液として用いたカラムに通して精製した。黄色の固体(XVII)が得られた(50.0mg、67%)。
【0163】
【化66】

【0164】
実施例27:4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b;5,4−b’]ジチオフェン−2−カルボキシレート−(2−ジメチルアミノエチル)−アミドリン酸塩(XVII−HPO)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XVII−HPO)を合成した。
【0165】
【化67】

【0166】
THFにおける化合物(XVII)(31mg、0.093mmole)の攪拌溶液に、85% HPO(1.2〜1.5当量)を加えて、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、THFで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄色の固体(XVII−HPO)を得た(39mg、97%)。
【0167】
【化68】

【0168】
実施例28
(a)4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−カルボン酸アンモニウム塩(XI−NH)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XI−NH)を合成した。
【0169】
【化69】

【0170】
水酸化アンモニウム水溶液(29.5%)を、IPA(40mL)における化合物(XI)(230mg、0.87mmole)の溶液に塩基性になるまで添加した。しばらく攪拌した後、すべての揮発性の溶剤を除去して、緑−黄色の固体(XI−NH)を得た(200mg、82%)。
【0171】
【化70】

【0172】
(b)4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−カルボン酸ナトリウム塩(XI−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XI−Na)を合成した。
【0173】
【化71】

【0174】
EAにおける化合物(XI)(206.7mg、0.83mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄色がかった茶色の固体(XI−Na)が得られた(202.5mg、90%)。
【0175】
【化72】

【0176】
実施例29:(2S)−[(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;5,4−b’]ジチオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−フェニル−酢酸メチルエステル(XII−1)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XII−1)を合成した。
【0177】
【化73】

【0178】
化合物(XI)(40.0mg、0.15mmole)及びTHF(2ml)の攪拌溶液に、(S)−フェニルグリシンメチルエステルHCl塩(31mg、0.15mmole)、EDC(30.5mg、0.16mmole)、HOBt(21mg、0.15mmole)及び4−エチルモルホリン(0.02ml、0.15mmole)を添加した。窒素雰囲気下で室温で一晩攪拌した後、溶剤を減圧下で除去した。CHCl(3ml)を残渣に添加して、不溶性の固体を除去した。次に、CHCl層を、飽和NaHCO溶液、1M KHSO、飽和NaHCO溶液及びHOで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥した後、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、EA:ヘキサン(1:3)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体(XII−1)を得た(21.1mg、34%)。
【0179】
【化74】

【0180】
実施例30:[(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;5,4−b’]ジチオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸イソプロピルエステル(XII−2)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XII−2)を合成した。
【0181】
【化75】

【0182】
化合物(XI)(52.6mg、0.20mmole)及びTHF(2ml)の攪拌溶液に、グリシン酸イソプロピルHCl塩(30.4mg、0.21mmole)、EDC(40.1mg、0.21mmole)、HOBt(27.0mg、0.21mmole)及び4−エチルモルホリン(0.03ml、0.21mmole)を添加した。窒素雰囲気下で室温で一晩攪拌した後、溶剤を減圧下で除去した。CHCl(3ml)を残渣に添加して、不溶性の固体を除去した。次に、CHCl層を、飽和NaHCO溶液、1M KHSO、飽和NaHCO溶液及びHOで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥した後、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、EA:CHCl(1:20)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体(XII−2)を得た(31.7mg,44%)。
【0183】
【化76】

【0184】
実施例31:(2S)−[(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−プロピオン酸メチルエステル(XII)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XII)を合成した。
【0185】
【化77】

【0186】
化合物(XI)(40.0mg、0.15mmole)及びTHF(2ml)の攪拌溶液に、(S)−アラニンメチルエステルHCl塩(21mg、0.15mmole)、EDC(30.5mg、0.16mmole)、HOBt(21mg、0.15mmole)及び4−エチルモルホリン(0.02ml、0.15mmole)を添加した。窒素雰囲気下で室温で一晩攪拌した後、溶剤を減圧下で除去した。CHCl(3ml)を残渣に添加して、不溶性の固体を除去した。次に、CHCl層を、飽和NaHCO溶液、1M KHSO、飽和NaHCO溶液及びHOで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥した後、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、EA:ヘキサン(1:2)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体(XII)を得た(27.5mg、52%)。
【0187】
【化78】

【0188】
実施例32:(L)−2−{(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b;5,4−b’]ジチオフェン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸(XIII)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XIII)を合成した。
【0189】
【化79】

【0190】
25mLのフラスコに、化合物(XII)(130mg、0.37mmole)及びMeOH(37ml)を入れた。次に、HO(30ml)におけるLiOH(322.5mg)を加えて、この反応混合物を加水分解が終了するまで室温で攪拌した。HOAc(〜1.0ml)を滴下して、中和した。MeOHを真空中で除去して、残渣をNaCO水溶液で処理した後、EAで抽出した。水層をpHが約4になるまでHCl希釈液で酸性にし、EAで抽出した。EA層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、黄色の固体(XIII)を得た(120mg、96%)。
【0191】
【化80】

【0192】
実施例33:(L)−2−{(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b;5,4−b’]ジチオフェン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸ナトリウム(XIII−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XIII−Na)を合成した。
【0193】
【化81】

【0194】
EAにおける化合物(XIII)(50.5mg、0.15mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄色の固体(XIII−Na)が得られた(27.8mg、52%)。
【0195】
【化82】

【0196】
実施例34:4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボン酸アンモニウム塩(XIV−NH)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XIV−NH)を合成した。
【0197】
【化83】

【0198】
化合物(XIV)(140mg、0.53mmole)をIPA(20mL)に添加し、60℃で30分間攪拌した。IPAに溶解しない固体を濾過した。水酸化アンモニウム水溶液(29.5%)を塩基性になるまで濾液に加えた。しばらく攪拌した後、溶剤を蒸発させて、緑−黄色の固体(XIV−NH)を得た(68.5mg、46%)。
【0199】
【化84】

【0200】
実施例35:[(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸イソプロピルエステル(XV)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XV)を合成した。
【0201】
【化85】

【0202】
化合物(XIV)(244.6mg、0.90mmole)及びTHF(8ml)の攪拌溶液に、グリシン酸イソプロピルHCl塩(140.0mg、0.92mmole)、EDC(190.0mg、0.99mmole)、HOBt (125.0mg、0.93mmole)及び4−エチルモルホリン(0.12ml、0.80mmole)を添加した。窒素雰囲気下で室温で一晩攪拌した後、溶剤を減圧下で除去した。CHCl(12ml)を残渣に添加して、不溶性の固体を除去した。次に、CHCl層を、飽和NaHCO溶液、1M KHSO、飽和NaHCO溶液及びHOで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥した後、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、EA:CHCl(1:30)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体(XV)を得た(75.1mg,21%)。
【0203】
【化86】

【0204】
実施例36:(L)−2−{(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸メチル(XV−1)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XV−1)を合成した。
【0205】
【化87】

【0206】
化合物(XIV)(79.8mg、0.30mmole)及びTHF(10ml)の攪拌溶液に、(S)−アラニンメチルエステルHCl塩(42.0mg、0.30mmole)、EDC(61.0mg、0.32mmole)、HOBt(42mg、0.30mmole)及び4−エチルモルホリン(0.04ml、0.30mmole)を添加した。窒素雰囲気下で室温で一晩攪拌した後、溶剤を減圧下で除去した。CHCl(3ml)を残渣に添加して、不溶性の固体を除去した。次に、CHCl層を、飽和NaHCO溶液、1M KHSO、飽和NaHCO溶液及びHOで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥した後、濾過、濃縮することによって、粗精製物を得た。これを、EA:ヘキサン(1:2)で溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体(XV−1)を得た(38.1mg、36%)。
【0207】
【化88】

【0208】
実施例37:(L)−2−{(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸(XVI)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XVI)を合成した。
【0209】
【化89】

【0210】
25mLのフラスコに、化合物(XV−1)(17.6mg、0.05mmole)及びMeOH(5ml)を入れた。次に、HO(4ml)におけるLiOH(45.0mg)を加えて、この反応混合物を加水分解が終了するまで室温で攪拌した。HOAc(〜0.14ml)を滴下して、中和した。MeOHを真空中で除去して、残渣をNaCO水溶液で処理した後、EAで抽出した。水層をpHが約4になるまでHCl希釈液で酸性にし、EAで抽出した。EA層をNaSOで乾燥し、濾過、濃縮することによって、黄色の固体(XVI)を得た(16.8mg、99%)。
【0211】
【化90】

【0212】
実施例38:(L)−2−{(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸ナトリウム(XVI−Na)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XVI−Na)を合成した。
【0213】
【化91】

【0214】
EAにおける化合物(XVI)(73.8mg、0.22mmole)の攪拌溶液に、EAにおける2−エチルヘキサン酸ナトリウム(1.2〜1.5当量)を添加して、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、EAで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄緑色の固体(XVI−Na)が得られた(47.5mg、60%)。
【0215】
【化92】

【0216】
実施例39:4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボキシレート−(2−ジメチルアミノ−エチル)−アミド(XV−2)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XV−2)を合成した。
【0217】
【化93】

【0218】
化合物(XIV)(0.6086g、2.0mmole)、SOCl(50ml)、さらには少量のNaClを、2時間、加熱、還流した。過剰のSOClを回収し、CHClを残渣に加えた。NaClを濾過し、濾液を濃縮することによって、未精製の酸塩化物を得た(0.5453g)。得られた酸塩化物を、精製せずに、直接使用した。これを、CHCl(40ml)で希釈し、N,N−ジメチルエチレンジアミン(16ml)、EtN(20ml)及びCHCl(40ml)の混合物に添加し、室温で12時間、攪拌した。水を添加し、反応混合物をCHClで抽出した。CHCl層を濃縮して、未精製物をMeOH:CHCl=1:10を溶出液として用いたカラムに通して精製した。黄色の固体(XV−2)が得られた(255.2mg、33%)。
【0219】
【化94】

【0220】
実施例40:4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボキシレート−(2−ジメチル−アミノエチル)−アミドリン酸塩(XV−2−HPO)の合成
下記反応式に従って、上記化合物(XV−2−HPO)を合成した。
【0221】
【化95】

【0222】
THFにおける化合物(XV−2)(100mg、0.30mmole)の攪拌溶液に、85% HPO(1.2〜1.5当量)を加えて、一晩攪拌した。沈殿物を濾過して、THFで洗浄した後、真空中で乾燥した。黄色の固体(XV−2−HPO)を得た(120mg、93%)。
【0223】
【化96】

【0224】
<細胞毒性アッセイ>
細胞毒性アッセイ法A(細胞系:HUVEC、MCF−7、HT−29、Hep 3B及びNCI−H460)[S. A. Ahmed, R. M. Gogal Jr., and J. E. Walsh, Journal of
Immunological Methods 170: 211-224, (1994); M. R. Boyd, Status of the NCI preclinical antitumordrug discovery screen. (Published by J. B. LippincottCompany, Philadelphia, PA 19105, USA) Principles & Practices of Oncology Updates 3 # 10: 1-12, (1989); M. R. Boyd, et al. Data display and analysis strategies for the NCI disease-oriented in vitro antitumordrug screen. In: Cytotoxic anti-cancer drugs: models and concepts for drug discovery and development. Boston: KluwerAcademic, Pages: 11-34, (1992)]
1.材料及び装置
(1)試験物質及び投与パターン
試験化合物を100% DMSOに溶かした後、滅菌水で希釈して、80% DMSOにおける20000、2000、200、20及び2μMの初期作業溶液を調製した。200倍希釈液をさらに培養液中で作製して、0.4% DMSOにおける100、10、1、0.1及び0.01μMの最終アッセイ濃度を得た。
【0225】
(2)細胞培養液
【0226】
【表1】

【0227】
上記培養液にはすべて、1% Antibiotics-Antimycoticが添加された。
【0228】
(3)細胞系
【0229】
【表2】

【0230】
ヒト腫瘍細胞系及びHUVECはすべて、American Type Culture Collection(ATCC)から得た。細胞はすべて、空気雰囲気中で5% COで37℃でインキュベートされた。
【0231】
(4)化学物質
AlamarBlue (Biosource, USA)、Antibiotics-Antimycotic (GIBCO BRL, USA)、ジメチ
ルスルホキシド(Merck、Germany)、内皮細胞成長用培養液(CELL APPLICATIONS, INC., USA)、ウシ胎児血清(HyClone, USA)、マッコイ5A培養液(McCoy's 5A Medium)(GIBCO BRL,
USA)、最小必須培養液(GIBCO BRL, USA)、マイトマイシン(Kyowa, Japan)及びRPMI
1640(HyClone, USA)を使用した。
【0232】
(5)装置
COインキュベーター(Forma Scientific Inc., USA)、遠心器5810R(Centrifuge 5810R)(Eppendorf, Germany)、血球計算板(Hausser Scientific Horsham, USA)、倒立
顕微鏡CK−40(Olympus, Japan)、システム顕微鏡E−400(System Microscope E-4009(Nikon, Japan)、Spectrafluor Plus (Tecan, Austria)及びVertical Laminar Flow (TsaoHsin, R. O. C.)を使用した。
【0233】
2.方法
(1)試験物質の増殖抑制活性の評価
細胞懸濁液(約1.5〜3.0×10/ウェル)の100μlアリコートを、37℃で5% COの雰囲気中で96ウェルのマイクロタイタープレートに入れた。24時間後、100μlの成長用培養液及び1μlの試験溶液またはベヒクル(80% DMSO)を、それぞれ、各ウェルに2連で加え、さらに72時間インキュベートした。この際、DMSOの最終濃度は、0.4%であった。試験化合物(IIa−1)、(IIb−1)及び(VII−1)を、100、10、1、0.1及び0.01μMの濃度で評価した。インキュベーション終了時に、20μlのalamarBlue 90%試薬を各ウェルに添加して、さらに6時間インキュベートした後、蛍光強度によって細胞生存率を測定した。蛍光強度は、Spectraflour Plusプレートリーダーを用いて測定し、この際、530nmで励起し、590nmで発光させた。
【0234】
(2)IC50、TGI及びLC50の測定
測定結果は、下記式によって算出した。
【0235】
【数1】

【0236】
上記式において、
PGは、成長率(%)を表わし;
Mean Ftime0は、細胞を試験物質に暴露する直前の還元されたalamarBlueの
2つの蛍光強度の測定結果の平均値であり;
Mean Ftestは、細胞を試験物質に暴露してから72時間後のalamarBlueの
2つの蛍光強度の測定結果の平均値であり;
Mean Fctrlは、試験物質の不存在下での72時間インキュベーション後の
alamarBlueの2つの蛍光強度の測定結果の平均値であり;
Mean Fblankは、72時間インキュベーション後の細胞を含まない培養液中の
alamarBlueの2つの蛍光強度の測定結果の平均値である。
【0237】
ベヒクルで処理したコントロールに対して蛍光強度が50%以上減少したものを、有意に細胞増殖抑制または細胞毒性効果があるものと見なした。次に、IC50、TGI及びLC50に関する半定量値を、GraphPad Prism (GraphPad Software, USA)を用いた非線
形回帰によって測定した。
【0238】
IC50(50%阻害濃度):処理された細胞の数または質量の0時間からの増加が、実験終了時のベヒクルコントロールの対応する増加の50%である際の試験化合物濃度。
【0239】
TGI(全成長阻害):実験終了時の処理された細胞の数または質量が0時間の際の値に等しい場合の試験化合物濃度。
【0240】
LC50(50%致死濃度):実験終了時の処理された細胞の数または質量が半分になる場合の試験化合物濃度。
【0241】
細胞毒性アッセイ法B(細胞系:HL−60)[H. M. Chen et al. Chin. Pharm. J. 53, 157-167 (2001)]
細胞及び培養
ヒトの前骨髄白血病HL−60細胞は、American Type Culture Collection (Manassas, VA, USA)及びCulture Collection and Research Center(CCRC)(Taiwan, ROC)か
ら得た。ヒトの前骨髄白血病HL−60細胞を、空気における5% COの加湿雰囲気中で37℃で、10%ウシ胎児血清(GIBCO, Grand Is land, USA)、100単位/mL
ペニシリン、100mL/mL ストレプトマイシン及び1% L−グルタミンを含むRPMI−1640培地(GIBCO, Grand Is land, USA)に懸濁して培養した。2〜5×10
細胞/mLの細胞数を維持できるように、細胞を毎日分けた。細胞数は、血球計算板を用いた標準的な白血球計測方法によって測定し、細胞の生存率は細胞のトリパンブルー排除能(ability of cells to exclude Trypan blue)によってチェックした。
【0242】
MTT増殖アッセイ
細胞増殖を、MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド]によって測定した。簡単にいうと、10mLのMTT(5mg/mL)を、4日間、様々なサンプルで処理した後、1×10個の細胞を含む96ウェルプレートの各ウェルに加えた。イソプロパノールにおける0.04N HCl100mLを添加することによって、2時間後に反応を止め、微小比色分析リーダー(minicolorimetric reader)によってOD570nmを測定した。なお、各濃度処理は3連で行
った。
【0243】
細胞毒性アッセイ法C(細胞系:KB、KB−VIN、AS49、HCT−8、PC−3)[K. H. Lee et. al. Planta Med. 54, 308-312 (1998), Monk A et. al. J. Natl. Cancer Inst. 83, 757-766 (1991)]。
【0244】
細胞系として、上咽腔の類表皮癌(KB)、上咽腔のp−gp−発現性類表皮癌(KB−VIN)、肺癌(A−549)、回盲癌(ileocecal carinoma)(HCT−8)及び前立腺癌(PC−3)の細胞系を使用した。各化合物の細胞毒性効果は、IC50(μg/mL)として得、72時間連続して暴露した後の細胞の成長の50%阻害をもたらす濃度の変動は2連間で5%未満であった。
【0245】
抗癌活性
本アッセイを用いて、alamarBlueの酸化状態から還元状態への変化を引き起こす生存細胞の能力に基づいて細胞増殖の変化を検出した。alamarBlue反応から得られた結果から、細胞増殖が定量化でき、さらに生存細胞の代謝活性が試験できる。
【0246】
化合物のスクシネート誘導体である、化合物(IIa−1)、(IIb−1)及び(VII−1)について、一連の10倍希釈により、0.01〜100μMのアッセイ濃度で、4種のヒト腫瘍細胞系、即ち、MCF−7(胸部)、HT−29(結腸)、Hep3B(肝臓)、及びNCI−H 460(肺)、ならびに1種のヒトの臍静脈の内皮細胞(HUVEC)の増殖に関する効果を試験した。
【0247】
3種の試験化合物のIC50(50%阻害濃度)、TGI(全成長阻害)及びLC50(50%致死濃度)を下記表3に要約する。
【0248】
【表3】

【0249】
表3に示されるように、3種の試験化合物は、NCI−H 460細胞系に対して、in
vitroで高い細胞毒性を示すことが分かる。これらの化合物のうち、化合物(IIa−1)及び(IIb−1)は、MCF−7及びHep3B細胞系に対して有意な活性を有していることもまた示される。これらの2種の化合物は、HT−29細胞系に対しては中程度の活性を示すかまたはほとんど活性を示さなかった。また、化合物(VII−1)は、MCF−7及びHep3Bに対しては有意な細胞毒性を示したが、HT−29細胞系に対しては中程度の活性を示した。一方、3種の試験化合物はすべて、HUVECアッセイでは実質的に不活性であるかほとんど活性を示さなかった。
【0250】
化合物(IIa−1)、(IIa−2)、(IIb−1)、(IIb−2)、(VII−1)、(VII−2)、(IX)及び(XV−2−HPO)について、ヒトの前骨髄白血病(HL−60)細胞系に対するin vitroでの細胞毒性効果を評価した。結果を下記表4に示す。
【0251】
【表4】

【0252】
表4に示されるように、これらの試験化合物はすべて、有意な細胞毒性を示した。これらのうち、化合物(XV−2−HPO)が最も強い効果を示した。ゆえに、本化合物を用いてさらに評価を行なった。
【0253】
モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−メチル]スクシネート(IIa−1)、モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−メチル]ペンタンジオエート(IIa−2)、モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]スクシネート(IIb−1)、モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]ペンタンジオエート(IIb−2)、4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:5,4−b’]−ジチオフェン−2−イル−メトキシ酢酸エチル(IVa)、モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]スクシネート(VII−1)、モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]ペンタンジオエート(VII−2)、1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b:4,5−b’]−ジチオフェン−2−イル−エトキシ)−アセテート(IX)、4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b;5,4−b’]ジチオフェン−2−カルボン酸(XI)、4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボン酸(XIV)、4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボキシレート−(2−ジメチルアミノ−エチル)−アミドホスフェート(XV−2−HPO)、(L)−2−{(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ−[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボニル)−アミノ}−プロピオン酸(XVI)、ならびにこれらの塩について、上咽腔の表皮癌(KB)、上咽腔のp−gp−発現性類表皮癌(KB−VIN)、肺癌(A−549)、回盲癌(ileocecal carinoma)(HCT−8)及び前立腺癌(PC−3)の細胞系に対するin vitroでの細胞毒性を評価した。結果を下記表5及び表6に示す。
【0254】
【表5】

【0255】
【表6】

【0256】
表5及び表6に示されるように、これらの試験化合物のほとんどが有意な細胞毒性を示した。これらのうち、化合物(XV−2−HPO)が最も顕著な効果を示した。加えて、化合物(IIb−1)、(IIb−2)、(VII−1)及び(VII−2)は、MDR細胞系(KB−VIN)及びアンドロゲン不感性前立腺癌細胞系(PC−3)に対して強力な活性を示した。したがって、化合物(XV−2−HPO)、(IIb−1)、(IIb−2)、(VII−1)及び(VII−2)についてさらに薬理学的な研究を行なう価値がある考察される。要約すると、本発明は、癌の治療においてベンゾジチオフェノン類似体に関する顕著な治療効果を示した。
【0257】
さらに、本発明の化合物について、水溶性を評価し、結果を下記表7及び8に要約する。
【0258】
【表7】

【0259】
【表8】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(D):
【化1】

または下記式(E):
【化2】

ただし、上記式(D)及び(E)において、Y及びZは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−NH−、または−Se−であり;
及びAは、それぞれ独立して、O、S、またはNRであり、この際、Rは、Hまたはアルキルであり;
、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、−CR−X−C(O)−(CHCOOH、−CR−X−(CHCOOH、−CR−X−(CHNR、−C(O)−NR−(CRCOOH、−C(O)−NR−(CRNR、−CR−C(O)−(CHCOOH、−CR−X−C(O)−(CHNR、−C(O)−(CRCOOH、−C(O)−(CRNR、−CR=N−(CHCOOH、−CR=N−(CHNR、−CR=NOH、若しくは下記式:
【化3】

で示される基であり、この際、Xは、−O−、−S−、または−NH−であり;Rは、上記と同様の定義であり;Rは、Hまたはアルキルであり;ならびに、nは、1〜5であり;
、R、R及びRの少なくとも一は水素及びアルキル以外の基である、
で示される4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項2】
、R及びRは、Hであり、ならびにRは、−CR−X−C(O)−(CHCOOH、−CR−X−(CHCOOH、−CR−X−(CHNR、−C(O)−NR−(CRCOOH、または−C(O)−NR−(CRNRである、請求項1に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項3】
Y及びZはSである、請求項1または2に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項4】
及びAはOである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項5】
XはOである、請求項4に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項6】
及びRは、それぞれ独立して、Hまたはメチルである、請求項5に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項7】
は、−CR−X−C(O)−(CHCOOHである、請求項6に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項8】
は、−CR−X−(CHCOOHである、請求項6に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項9】
は、−CR−X−(CHNRである、請求項6に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項10】
は、−C(O)−NR−(CRCOOHである、請求項6に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項11】
は、−C(O)−NR−(CRNRである、請求項6に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項12】
式(D)で示される、請求項6〜11のいずれか1項に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項13】
式(E)で示される、請求項6〜11のいずれか1項に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項14】
モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−メチル]スクシネート(IIa−1)、モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]スクシネート(IIb−1)、またはモノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]ペンタンジオエート(IIb−2);モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]スクシネート(VII−1),モノ−[1−(4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロキシベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−イル)−エチル]ペンタンジオエート(VII−2)、または4,8−ジオキソ−4,8−ジヒドロベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−2−カルボキシレート−(2−ジメチルアミノ−エチル)−アミド(XV−2)である、請求項6に記載の誘導体またはその製薬上許容できる塩。
【請求項15】
抗癌剤として有効な量の、請求項1〜14のいずれか1項に記載の式(D)または式(E)の4,8−ジヒドロベンゾジチオフェン−4,8−ジオンの誘導体またはその製薬上許容できる塩、および製薬上許容できる担体を含む、抗癌剤として使用される薬剤組成物。
【請求項16】
癌は、非肺小細胞癌、乳癌、上咽頭癌、前立腺癌、大腸癌、肝癌、回盲癌、白血病及び中枢神経系癌からなる群より選択されるものである、請求項15に記載の薬剤組成物。
【請求項17】
癌は、非肺小細胞癌、乳癌、上咽頭癌及び前立腺癌からなる群より選択されるものである、請求項15に記載の薬剤組成物。

【公開番号】特開2006−96756(P2006−96756A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282475(P2005−282475)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【出願人】(594048817)永信薬品工業股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】