説明

5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ及びヌクレオシダーゼの3−ヒドロキシピロリジン阻害剤

本発明は、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼの阻害剤である、一般式(I)の3−ヒドロキシピロリジン化合物に関する。本発明は、さらに、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態(癌など)の治療における当該化合物の使用、及び、該化合物を含有する医薬組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、全般には、一定のヌクレオシド類似体、該ヌクレオシド類似体化合物の医薬品としての使用、該化合物を含有する医薬組成物、該化合物を調製する方法、及び、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態を治療する方法に関する。
【0002】
[背景]
米国特許第5,985,848号、米国特許第6,066,722号及び米国特許第6,228,741号には、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)及びプリンホスホリボシル−トランスフェラーゼ(PRT)の阻害剤であるヌクレオシド類似体が記載されている。該類似体は、寄生虫感染症、T細胞悪性腫瘍、自己免疫疾患及び炎症性障害の治療において有用である。該類似体は、臓器移植時の免疫抑制にも有用である。
【0003】
米国特許第6,693,193号には、一定のPNP阻害剤化合物を調製する方法が記載されている。本出願は、該化合物をPNP阻害剤と認め、該化合物を調製する、より簡素な方法の必要性に取り組むものである。米国特許出願公開第10/363,424号には、PNP及びPRTの阻害剤であるさらなるヌクレオシド類似体が開示されている。
【0004】
PNPは、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシド、例えば、グアニン及びヒポキサンチンのリボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドの加リン酸分解による切断を触媒して、対応する糖−1−リン酸、及び、グアニン、ヒポキサンチン又は他のプリン塩基をもたらす。
【0005】
PNPが欠損しているヒトは、刺激されたTリンパ球の増殖を防止するdGTPが蓄積することによる特定のT細胞免疫不全症に罹患する。したがって、PNP阻害剤は、免疫抑制性であり、T細胞悪性腫瘍及びT細胞増殖障害に対し活性がある。
【0006】
ヌクレオシドヒドロラーゼ(NH)は、ヌクレオシドの加水分解を触媒する。この酵素は、哺乳動物においては見出されないが、ある種の寄生性原虫のヌクレオシドサルベージには必要である。ある種の寄生性原虫は、この目的のために、ヌクレオシドヒドロラーゼの代わりに、又は同酵素に加えて、そのいずれかの形でヌクレオシドホスホリラーゼを使用する。ヌクレオシドヒドロラーゼ及びホスホリラーゼの阻害剤は、寄生虫の代謝を妨害することが期待でき、したがって、寄生性原虫対策として有用に用いることができる。
【0007】
5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP)及び5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼ(MTAN)は、ポリアミン生合成経路において、哺乳動物のプリンサルベージにおいて、又、細菌のクオラムセンシング経路において、機能する。MTAPは、メチルチオアデノシン(MTA)からアデニン及び5−メチルチオ−α−D−リボース−1−リン酸(MTR−1P)への可逆的な加リン酸分解を触媒する。MTANは、MTAからアデニン及び5−メチルチオ−α−D−リボースへの、又、S−アデノシル−L−ホモシステイン(SAH)からアデニン及びS−リボシルホモシステイン(SRH)への、可逆的加水分解を触媒する。形成されるアデニンは、次いで再利用され、ヌクレオチドに変換される。本質的には、ヒト細胞中の遊離アデニンが唯一生じるのは、これらの酵素の作用の結果としてである。MTR−1Pは、引き続き生じる酵素作用により、次いでメチオニンに変換される。
【0008】
MTAは、スペルミジンの形成の間の脱カルボキシル化されたS−アデノシルメチオニンからプトレシンへのアミノプロピル基の転移に関与する反応の副生成物である。この反応は、スペルミジン合成酵素により触媒される。同様に、スペルミン合成酵素は、スペルミジンからスペルミンへの変換を触媒し、同時に副生成物としてMTAを生成させる。スペルミジン合成酵素は、MTAの蓄積による生成物阻害に対し非常に感受性が高い。したがって、MTAP又はMTANを阻害すると、細胞において、ポリアミン生合成及びアデニンのサルベージ経路が大幅に制限される。
【0009】
MTAPは正常な細胞及び組織中では豊富に発現するが、多くの悪性腫瘍で、遺伝子欠失によるMTAP欠損が報告されている。悪性腫瘍細胞中でMTAP酵素機能が失われているのは、密接に連結したMTAP及びp16/MTS1腫瘍抑制遺伝子の、第9染色体上でのホモ接合性欠失によるものであることが公知である。p16/MTS1が存在しないことがおそらく腫瘍の原因であることから、MTAP活性の欠如は、遺伝子欠失の結果であり、癌の原因ではない。しかし、MTAPが存在しないと悪性腫瘍細胞においてプリン代謝が変質することから、細胞は、プリンの供給を新生経路に主に依存している。
【0010】
MTAは、癌細胞の分裂の際にはアポトーシスを誘導するが、肝実質細胞などの正常細胞の分裂の際には、逆の抗アポトーシス効果を有することが示されている(E.Ansorenaら、Hepatology、2002、35、274〜280ページ)。したがって、MTAP阻害剤は、癌の治療に使用できる。そのような治療は、米国特許出願公開第10/395,636号及び米国特許出願公開第10/524,995号に記載されている。
【0011】
糖環中の窒素原子の位置が変化しているか、又は2個の窒素原子が糖環の一部を形成する化合物も、MTAP及びMTANの阻害剤として同定されている。このような化合物は、米国特許出願公開第10/524,995号に記載されている。
【0012】
新しい癌療法が必要であることは、今も変わらない。有病率の高いいくつかの癌については、治療選択肢は未だに限られている。例えば、前立腺癌は、米国では、最も頻繁に診断される非上皮癌である。現在の治療選択肢としては、根治的な前立腺切除術、放射線療法、ホルモン療法及び無治療経過観察が挙げられる。こうした療法により、個体の状態が首尾よく治療される場合もあるが、潜在的なリスクは、相当望ましくないものであり、男性のクオリティーオブライフ全体の低下につながる。外科手術の結果、性交不能、不妊及び尿失禁に至ることは避けられないと考えられる。放射線療法に伴う副作用としては、膀胱及び直腸の損傷、並びに、徐々に性交不能に至ることが挙げられる。ホルモン療法は癌を治癒するとは考えられず、最終的には、大部分の癌が、この種の療法に対する耐性を獲得する。無治療経過観察に伴う主なリスクは、腫瘍が成長し、癌が進行及び転移する結果を招きかねないことである。したがって、前立腺癌であると診断された患者がとり得る代替的な治療選択肢が創出されることが望ましい。
【0013】
MTAP及びMTANの阻害剤は、細菌感染症又は寄生性原虫感染症など、MTAP/MTANが阻害されることが望ましい疾患の治療にも使用できる。そのような治療は、米国特許出願公開第10/395,636号及び米国特許出願公開第10/524,995号に記載されている。しかし、MTAP及びMTANの阻害剤を用いた、より有効な治療への探索は続いている。
【0014】
前述した特許明細書に記載されている化合物のイミノ糖部分は、1,4−ジデオキシ−1,4−イミノ−D−リビトール化合物を形成するように、C−1とC−4との間に位置する窒素原子を有する。リビトール環中の窒素原子の位置は、MTAP及びMTANという酵素と結合するために決定的に重要と考えられる。加えて、糖部分とヌクレオシド塩基類似体との間の連結の位置も、酵素阻害活性にとって決定的に重要と考えられる。前記の化合物は、糖環のC−1での当該連結を有する。
【0015】
本出願人らは、糖環中の窒素原子の位置が変化しており、加えて、2個の窒素原子が糖環の一部を形成する、他のMTAP及びMTAN阻害剤も開発済みである。糖部分と塩基類似体とを連結させる代替的な様式も調査してあり、その結果、糖部分がメチレン橋を介してヌクレオシド塩基類似体に連結する種類の阻害剤が得られている。このような他の阻害剤については、米国特許出願公開第10/395,636号に記載してある。
【0016】
前記化合物のイミノ糖環の三次元構造は、MTAP及びMTANとの有効な結合、ひいてはMTAP及びMTANという酵素の阻害にとって決定的に重要であると今日まで考えられてきた。環構造により、イミノ窒素及び多様なヒドロキシル基などの重要な官能基が、酵素と相互作用する際に選ぶことができる空間的位置は制約を受ける。
【0017】
本出願人らは、これまでに開示された化合物中に存在するCHSR置換基が他の部分に置き換わっている一定のヌクレオシド類似体化合物が、MTAN及び/又はMTAPの有効な阻害剤であることを見出している。
【0018】
これまでに報告したMTAN及び/又はMTAP阻害剤のいくつかは、in vivo実験において、半減期が短い(例えば、マウスにおいて、MTAP阻害の持続性により判断されるように)ことが示されている。半減期が短いのは、例えば、イオウでの酸化により阻害剤が非阻害物質に生物学的に変換することによると考えられる。
【0019】
したがって、本発明の目的は、MTAP若しくはMTANの阻害剤である3−ヒドロキシ−ピロリジン化合物を提供すること、又は、有用な選択肢を少なくとも提供することである。
【0020】
[発明の概要]
第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物
【化1】


[式(I)中、
Xは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアリール基であり、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基及びNR基からなる群から選択される1つ若しくは複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されており、又は、XはSRであり、若しくは、XはNRであり、
、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル及びアリールからなる群から独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基及びNR基からなる群から選択される1つ若しくは複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されており、
AはN又はCHであり、
BはNH又はNHRであり、
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アラルケニル(aralkenyl)基、アラルキニル(aralkynyl)基又はアリール基であり、それぞれは、1つ又は複数のハロゲン基又はヒドロキシ基で場合により置換されており、
Dは、H、OH、NH又はSCHである]
又はその互変異性体、その薬学的に許容できる塩、若しくはそのエステルプロドラッグ形態
[但し、BがNHであり、DがHであり、AがCHであるとき、Xは、プロピル、フェニルエチル、CHSQ、CHOH及びCHOQ(式中、Qは、場合により置換されているアルキル基、アラルキル基又はアリール基である)ではない]を提供する。
【0021】
第2の態様では、本発明は、式(Ia)の化合物
【化2】


[式(Ia)中、
Xは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアリール基であり、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基及びNR基からなる群から選択される1つ若しくは複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されており、又は、XはSRであり、若しくは、XはNRであり、
、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル及びアリールからなる群から独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基及びNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されており、
AはN又はCHであり、
BはNH又はNHRであり、
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基又はアリール基であり、それぞれは、1つ又は複数のハロゲン基又はヒドロキシ基で場合により置換されており、
Dは、H、OH、NH又はSCHである]
又はその互変異性体、その薬学的に許容できる塩、若しくはそのエステルプロドラッグ形態
[但し、BがNHであり、DがHであり、AがCHであるとき、Xは、プロピル、フェニルエチル、CHSQ、CHOH及びCHOQ(式中、Qは、場合により置換されているアルキル基、アラルキル基又はアリール基である)ではない]を提供する。
【0022】
第3の態様では、本発明は、式(Ib)の化合物
【化3】


[式(Ib)中、Xは先に定義したとおりであり、
但し、Xは、プロピル、フェニルエチル、CHSQ、CHOH又はCHOQ(式中、Qは、場合により置換されているアルキル基、アラルキル基又はアリール基である)ではない]である、前記化合物を提供する。
【0023】
別の態様では、本発明は、式(Ic)の化合物
【化4】


[式(Ic)中、
Xは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアリール基であり、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基及びNR基からなる群から選択される1つ若しくは複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されており、又は、XはSRであり、若しくは、XはNRであり、
、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル及びアリールからなる群から独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基及びNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されており、
AはN又はCHであり、
BはNH又はNHRであり、
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基又はアリール基であり、それぞれは、1つ又は複数のハロゲン基又はヒドロキシ基で場合により置換されており、
Dは、H、OH、NH又はSCHである]
又はその互変異性体、その薬学的に許容できる塩、若しくはそのエステルプロドラッグ形態
[但し、BがNHであり、DがHであり、AがCHであるとき、Xは、プロピル、フェニルエチル、CHSQ、CHOH及びCHOQ(式中、Qは、場合により置換されているアルキル基、アラルキル基又はアリール基である)ではない]を提供する。
【0024】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)のいくつかの例では、Qは、場合により置換されているアルキル基、アラルキル基又はアリール基である。例えば、Qは、1つ又は複数の
ハロゲン(例えば、塩素又はフッ素)、
アルキル基(例えば、メチル又はシクロヘキシルメチル)、
COOH、又は
NH
で場合により置換されていてもよい。
【0025】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)のいくつかの例では、Xは、アルケニル基又はアルキニル基であり、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている。Xは、例えば、低級アルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基又はプロパ−1−エン−2−イル基であってもよい。Xは、例えば、低級アルキニル基、例えば、エチニル基又はプロピン−3−イル基であってもよい。
【0026】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の他の例では、Xはアルキル基であり、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基(例えばベンジルチオ基)、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている。Xは、例えば、低級アルキル基(例えば、エチル、ブチル、イソブチル、ペンタ−3−イル)、又は、シクロアルキル基(例えばシクロヘキシル基)で置換されているアルキル基であってもよく、例えば、Xはシクロヘキサンメチルであってもよい。あるいは、Xは、例えば、アラルキルチオ基で置換されているアルキル基であってもよく、例えば、Xはベンジルチオプロピルであってもよい。
【0027】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の他の例では、Xはアルキル基であり、シクロアルキル、例えば、環炭素原子のうち1つ又は複数が、窒素、酸素又はイオウから選ばれるヘテロ原子により置換されているシクロアルキルからなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されている。いくつかの例では、Xは、シクロプロパンメチル、2−テトラヒドロフランメチル、2−チエタンメチル(thietanemethyl)、3−ピペリジンメチル、2−ピロリジンメチル又は4−チアシクロヘキサンメチル(thiacyclohexanemethyl)であってもよい。
【0028】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の他の例では、Xはシクロアルキル基であり、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている。Xは、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はアダマンチル基であってもよい。
【0029】
Xは、環原子のうち1つ又は複数がヘテロ原子、例えば、窒素原子、イオウ原子又は酸素原子であるシクロアルキル基であってもよい。Xは、例えば、2−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチエニル、1,2−ジチアン−3−イル、ピペリジン−3−イル、チエタン−2イル、2−ピロリジニル又は4−チアシクロヘキシルであってもよい。
【0030】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の他の例では、Xはアリール基であり、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている。アリール基は、環炭素原子のうち1つ又は複数がヘテロ原子、例えば、窒素原子、イオウ原子又は酸素原子であるヘテロアリール基であってもよい。Xは、例えば、フェニル基又は場合により置換されているトリアゾール基であってもよい。Xが、場合により置換されているトリアゾール基である場合、トリアゾール環は、アリール基(例えばフェニル)、アルキル基、例えば低級アルキル基、例えばプロピル基(アリール、ヒドロキシル又はアルコキシから選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよい)、アラルキル基(例えばベンジル)又はシクロアルキル基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよい。Xが、場合により置換されているトリアゾール基である場合、トリアゾール環は、トリアゾール環窒素原子又はトリアゾール環炭素原子のいずれかを介してピロリジン環に結合していてもよい。
【0031】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の他の例では、XはSR[式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル又はアリールであり、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている]である。例えば、Xは、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ、4−フルオロフェニルチオ、3−フルオロフェニルチオ、4−メチルフェニルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ペンチルチオ、3−フルオロプロピルチオ、2,3−ジヒドロキシプロピルチオ、3−ヒドロキシプロピルチオ、2−ヒドロキシエチルチオ、アリルチオ又は4−クロロブチルチオであってもよい。
【0032】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の他の例では、XはNR[式中、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル又はアリールから独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている]である。例えば、Xは、ジエチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、3−ヒドロキシプロピルアミノ、2,3−ジヒドロキシプロピルアミノ、3−フルオロエチルアミノ、トリフルオロエチルアミノ、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ、3−ブテニルアミノ、ベンジルアミノ、4−フルオロベンジルアミノ、4−クロロベンジルアミノ又はN−メチル−ベンジルアミノであってもよい。
【0033】
前記の式(I)、(Ic)及び(Ia)のいくつかの例では、BはNHである。前記の式(I)、(Ic)及び(Ia)のいくつかの例では、DはHである。前記の式(I)及び(Ia)のいくつかの例では、BはNHであり、DはHである。
【0034】
前記の式(I)、(Ic)及び(Ia)のいくつかの例では、AはCHである。前記の式(I)、(Ic)及び(Ia)の他の例では、AはNである。
【0035】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)のいくつかの例では、Xは、場合により置換されているアルキル基であり、このときアルキル基は、1つ又は複数のヒドロキシ基により置換されていてもよい。例えば、Xは、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ジヒドロキシブチル、トリヒロキシブチル(trihyroxybutyl)、ヒドロキシペンチル、ジヒドロキシペンチル又はトリヒドロキシペンチルであってもよい。
【0036】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の他の例では、Xは、1つ又は複数のチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はアラルキルチオ基により置換されているアルキル基である。例えば、Xは、メチルチオメチル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、メチルチオヒドロキシプロピル、メチルチオジヒドロキシプロピル、メチルチオブチル、メチルチオヒドロキシブチル、メチルチオジヒドロキシブチル、メチルチオトリヒドロキシブチル、メチルチオペンチル、メチルチオヒドロキシペンチル、メチルチオジヒドロキシペンチル、メチルチオトリヒドロキシペンチル又はメチルチオテトラヒドロキシペンチルであってもよい。
【0037】
前記の式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)のいくつかの例では、Xは、場合により置換されているアルキル基であり、このときアルキル基は、シクロアルキル基、例えば、環原子のうち1つ又は複数がヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子又は酸素原子)であるシクロアルキル基により置換されていてもよい。例えば、Xは、アジリジニル基、チイラニル基、1,2−ジチエタニル基、アゼチジニル基又はエポキシド基で置換されているアルキル基であってもよい。
【0038】
前記の式(I)、(Ic)及び(Ia)のいくつかの例では、Dは、OH、NH又はSCHである。
【0039】
いくつかの例では、ヒドロキシピロリジン環上の置換基X及びOHは、互いにtrans位である。他の例では、ヒドロキシピロリジン環上の置換基X及びOHは、互いにcis位である。いくつかの例では、式(I)及び(Ic)の化合物は、ピロリジン環の3位及び4位の置換基X及びOHに関し、実施例12の化合物20の立体化学と同じ立体化学を有する。
【0040】
別の態様では、本発明は、
i.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン;
ii.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ビニルピロリジン;
iii.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エテニル−3−ヒドロキシピロリジン;
iv.(±)−trans−4−アリル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
v.(±)−trans−4−シクロプロピル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
vi.(±)−trans−4−シクロヘキシル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
vii.(±)−trans−4−シクロヘキシルメチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
viii.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−プロプ−1−エン−2−イル−ピロリジン;
ix.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン;
x.(±)−trans−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xi.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ペンタ−3−イル−ピロリジン;
xii.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン;
xiii.(±)−trans−4−シクロペンチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xiv.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ピロリジン;
xv.(±)−trans−4−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xvi.(±)−trans−4−(3−ベンジルチオプロピル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xvii.(3R,4S)−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xviii.(±)−cis−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン;
xix.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン;
xx.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ビニルピロリジン;
xxi.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エテニル−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
xxii.(3R,4S)−4−アリル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxiii.(3R,4S)−4−シクロプロピル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxiv.(3R,4S)−4−シクロヘキシル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxv.(3R,4S)−4−シクロヘキシルメチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxvi.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−プロプ−1−エン−2−イル−ピロリジン;
xxvii.(3R,4S)−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxviii.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ペンタ−3−イル−ピロリジン;
xxix.(3R,4S)−4−シクロペンチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxx.(3S,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ピロリジン;
xxxi.(3R,4R)−4−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxxii.(3R,4S)−4−(3−ベンジルチオプロピル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxxiii.(3S,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン;
xxxiv.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−メチルプロピル)ピロリジン;
xxxv.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−メチルプロピル)ピロリジン;
xxxvi.(±)−trans−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxxvii.(3R,4S)−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxxviii.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(チアゾール−2−イル)−ピロリジン;
xxxix.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(チアゾール−2イル)−ピロリジン
xl.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(テトラゾール−5−イル)−ピロリジン;及び
xli.(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(テトラゾール−5−イル)−ピロリジン
からなる群から選択される化合物、又はその互変異性体、その薬学的に許容できる塩、若しくはそのエステルプロドラッグ形態を提供する。
【0041】
別の態様では、本発明は、
【化5】


【化6】


【化7】


からなる群から選択される化合物、又はその互変異性体、その薬学的に許容できる塩、若しくはそのエステルプロドラッグ形態を提供する。
【0042】
別の態様では、本発明は、薬学的に有効な量の式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物と、場合により、薬学的に許容できる担体とを含む組成物を提供する。
【0043】
別の態様では、本発明は、薬学的に有効な量の式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物と、場合により、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0044】
別の態様では、本発明は、式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物を少なくとも1つの他の化合物(例えば第2の薬物化合物)と組み合わせて提供する。他の化合物とは、例えば、メチルチオアデノシン、抗菌剤又は抗癌剤であってもよい。
【0045】
別の態様では、本発明は、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼを阻害するための式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物の使用を提供する。
【0046】
別の態様では、本発明は、式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物の医薬としての使用を提供する。
【0047】
別の態様では、本発明は、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態を治療又は予防するための式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物の使用を提供する。
【0048】
別の態様では、本発明は、細菌感染症又は癌を治療又は予防するための式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物の使用を提供する。
【0049】
別の態様では、本発明は、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態を治療又は予防するための、薬学的に有効な量の式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0050】
別の態様では、本発明は、細菌感染症又は癌を治療又は予防するための、薬学的に有効な量の式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0051】
別の態様では、本発明は、医薬の製造において使用するための式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物の使用を提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態を治療又は予防するための、式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0053】
別の態様では、本発明は、細菌感染症又は癌を治療又は予防するための、式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0054】
別の態様では、本発明は、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態の治療又は予防のための医薬の製造における、式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物の使用を提供する。
【0055】
別の態様では、本発明は、薬学的に有効な量の式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物を、治療を必要とする患者に投与することを含む、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態を治療又は予防する方法を提供する。
【0056】
別の態様では、本発明は、薬学的に有効な量の式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物を、治療を必要とする患者に投与することを含む、細菌感染症又は癌を治療又は予防する方法を提供する。
【0057】
別の態様では、本発明は、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態(例えば、細菌感染症又は癌)を治療又は予防するための、式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物の、少なくとも1つの他の化合物(例えば第2の薬物化合物、例えば、メチルチオアデノシン又は抗菌剤又は抗癌剤)と組み合わせた使用を提供する。別の態様では、本発明は、薬学的に有効な量の式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物を少なくとも1つの他の化合物(例えば第2の薬物化合物、例えば、メチルチオアデノシン又は抗菌剤又は抗癌剤)と組み合わせて投与することを含む、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態(例えば、細菌感染症又は癌)を治療又は予防する方法を提供する。式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物と他の化合物とは、別々に、同時に又は逐次的に投与してもよい。
【0058】
該疾患又は状態としては、以下が挙げられる:癌、例えば、前立腺癌又は頭部及び頸部の癌、並びに細菌感染症、例えば、ビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae)、エスケイキア・コリ(Escheichia coli)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)又はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)が原因のもの。
【0059】
式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物は、先に定義したとおりの化合物(i)〜(xii)から選択してもよい。
【0060】
式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物は、本明細書中では以後「本発明の化合物」と記載する。本発明の化合物は、任意の形態、例えば、遊離形態の、又は、塩若しくは溶媒和物の形態の化合物を包含する。
【0061】
[詳細な説明]
定義
用語「アルキル」は、最大30個の炭素原子を有する任意の飽和炭化水素基を意味し、任意のC〜C25、C〜C20、C〜C15、C〜C10又はC〜Cのアルキル基を包含し、直鎖及び分枝鎖のアルキル基を両方とも包含することを意図している。アルキル基の例としては、以下が挙げられる:メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、2−エチルプロピル基、n−ヘキシル基及び1−メチル−2−エチルプロピル基。
【0062】
用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する任意の飽和炭化水素基を意味し、直鎖及び分枝鎖のアルキル基を両方とも包含することを意図している。
【0063】
いずれのアルキル基も、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されており、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル又はアリールから独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている)で場合により置換されていてもよい。
【0064】
用語「シクロアルキル」は、好ましくは3〜8個の環炭素原子を有する、飽和している又は部分的に飽和している非芳香族の炭素環基を意味し、環炭素原子のうち1つ又は複数が、1つ又は複数のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素又はイオウ)で置き換わっている複素環を包含する。シクロアルキル基の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、ピラゾリジニル基、アジリジニル基、チイラニル基、1,2−ジチエタニル基、モルホリニル基、フラニル基、ピラニル基、チオフェニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、テトラヒドロフラニル基、チエタニル基、ピペリジニル基、アゼチジニル基、オキシラニル基、エポキシド基又はチアシクロヘキシル基。
【0065】
いずれのシクロアルキル基も、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されており、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル又はアリールから独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている)で場合により置換されていてもよい。
【0066】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有し、最大30個の炭素原子を有する任意の炭化水素基を意味し、任意のC〜C25、C〜C20、C〜C15、C〜C10又はC〜Cのアルケニル基を包含し、直鎖及び分枝鎖のアルケニル基を両方とも包含することを意図している。アルケニル基の例としては以下が挙げられる:エテニル基、n−プロペニル基、イソ−プロペニル基、n−ブテニル基、イソ−ブテニル基、sec−ブテニル基、t−ブテニル基、n−ペンテニル基、1,1−ジメチルプロペニル基、1,2−ジメチルプロペニル基、2,2−ジメチルプロペニル基、1−エチルプロペニル基、2−エチルプロペニル基、n−ヘキセニル基及び1−メチル−2−エチルプロペニル基。
【0067】
用語「低級アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有し、2〜6個の炭素原子を有する任意の炭化水素基を意味し、直鎖及び分枝鎖のアルケニル基を両方とも包含することを意図している。
【0068】
いずれのアルケニル基も、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されており、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル又はアリールから独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている)で場合により置換されていてもよい。
【0069】
用語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を有し、最大30個の炭素原子を有する任意の炭化水素基を意味し、任意のC〜C25、C〜C20、C〜C15、C〜C10又はC〜Cのアルキニル基を包含し、直鎖及び分枝鎖のアルキニル基を両方とも包含することを意図している。同じ用語法は、アラルキニル基の非芳香族部分にも適用される。アルキニル基の例としては以下が挙げられる:エチニル基、n−プロピニル基、イソ−プロピニル基、n−ブチニル基、イソ−ブチニル基、sec−ブチニル基、t−ブチニル基、n−ペンチニル基、1,1−ジメチルプロピニル基、1,2−ジメチルプロピニル基、2,2−ジメチルプロピニル基、1−エチルプロピニル基、2−エチルプロピニル基、n−ヘキシニル基及び1−メチル−2−エチルプロピニル基。
【0070】
用語「低級アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を有し、2〜6個の炭素原子を有する任意の炭化水素基を意味し、直鎖及び分枝鎖のアルキニル基を両方とも包含することを意図している。
【0071】
いずれのアルキニル基も、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されており、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル又はアリールから独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている)で場合により置換されていてもよい。
【0072】
用語「アリール」は、4〜18個の炭素原子を有する芳香族基を意味し、複素芳香族基を包含する。例としては、単環基、並びに、二環式の基及び三環式の基などの縮合基が挙げられる。いくつかの例としては以下が挙げられる:フェニル基、インデニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、シクロペンタシクロオクテニル基及びベンゾシクロオクテニル基、ピリジル基、ピロリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(1−H−1,2,3−トリアゾール−1−イル及び1−H−1,2,3−トリアゾール−4−イル基を包含する)、テトラゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、プリニル基、インダゾリル基、フリル基、ピラニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフリル基、チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサゾリル基及びイソキサゾリル基。
【0073】
いずれのアリール基も、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されており、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル又はアリールから独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基又はNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている)で場合により置換されていてもよい。
【0074】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を包含する。
【0075】
用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、in vivoで生体内変換されると式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)において定義するとおりの化合物が得られるような、式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物の薬理学的に許容できる誘導体を意味する。式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物のプロドラッグは、該化合物中に存在する官能基を、当該修飾がin vivoで切断されて親化合物が得られるような方式で修飾することにより調製してもよい。典型的には、式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物のプロドラッグは、エステルプロドラッグ形態であろう。
【0076】
式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物のエステルプロドラッグ形態は、生物学的利用率を高めるために有利と考えられる。適当なプロドラッグの例としては以下が挙げられる:式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物のピロリジン環上の3−ヒドロキシ基と、アルキルカルボン酸、アラルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチドのカルボン酸部分、又はジカルボン酸のカルボン酸の1つとの間で形成される式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物のエステル。エステルプロドラッグは、個体の体内で、例えば、内因性エステラーゼによる切断を通して代謝されると、薬学的に活性のある種(例えば、式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物)及びカルボン酸を生じることができる。
【0077】
用語「薬学的に許容できる塩」は、無機酸又は有機酸から誘導される非毒性の塩に適用されることを意図しており、例えば、以下の酸性塩を包含する:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩及びウンデカン酸塩。
【0078】
用語「保護基」は、有機官能基を選択的に保護して、当該官能基の化学的性質を一時的に遮蔽し、該官能基に影響を与えることなく分子中の他の部位を操作することを可能にする基を意味する。適当な保護基は当業者に公知であり、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis(第3版)、T.W.Greene及びP.G.M.Wuts、John Wiley&Sons Inc(1999)に記載されている。保護基の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:t−ブトキシカルボニル基、カルボベンジルオキシ基、スルホンアミドベースの保護基、L−メンチル(menthyl)オキシカルボニル基又はマンデレート(mandelate)基。
【0079】
用語「患者」は、ヒト及び非ヒト動物を包含する。
【0080】
用語「治療」、「治療すること」などは、以下を包含する:疾患又は障害に伴う1つ又は複数の症状の減少又は軽減、例えば、細菌感染症の場合、用語「治療」、「治療すること」は、細菌量の減少及び/又は感染症の予防、及び/又は毒素産生の減少を意味することがある。
【0081】
用語「予防すること」、「予防」などは、以下を包含する:疾患又は障害に伴う1つ又は複数の症状の予防。
【0082】
式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物が、互変異性体として存在できることは理解されよう。例えば、置換基Dがヒドロキシ基である場合、本化合物は、ケト又はエノールの形態として存在できる。本発明の範囲は、本化合物の可能性のある互変異性体形態を全て包含することを意図している。
【0083】
式(I)の化合物が、cis異性体及びtrans異性体として存在できることは理解されよう。例えば、ヒドロキシピロリジン環上の置換基X及びOHは、cis位又はtrans位のいずれかで存在できる。本発明の範囲は、本化合物のそのような異性体形態を全て包含することを意図している。
【0084】
式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物が、光学異性体、ラセミ化合物及びジアステレオマーの形態で存在できることも理解されよう。本発明の範囲は、式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物の可能性のある立体異性体形態を全て包含することを意図している。例えば、置換基X及びOHが結合するヒドロキシピロリジン環の炭素原子は、不斉炭素であり、R立体配置であってもS立体配置であってもよい。本発明の一定の化合物は、ピロリジン環の3位及び4位に関し、実施例12の化合物20の立体化学と同じ立体化学を有する。本発明の他の化合物は、ピロリジン環の3位及び4位に関し、実施例12の化合物20の立体化学と逆の立体化学を有する。
【0085】
本明細書中で使用する場合、「楔形の」表示を示す構造式、例えば
【化8】


は、trans異性体の純粋なエナンチオマー形態を表すことを意図している。
【0086】
「長方形の」表示を示す構造式、例えば
【化9】


は、trans異性体のラセミ混合物を表すことを意図している。
【0087】
同様に、「楔形の」表示を示す構造式、例えば
【化10】


は、cis異性体の純粋なエナンチオマー形態を表すことを意図している。
【0088】
「長方形の」表示を示す構造式、例えば
【化11】


は、cis異性体のラセミ混合物を表すことを意図している。
【0089】
本発明の化合物
本発明の化合物(特に、例示するもの)は、MTAP及び/又はMTANの阻害剤であり、特に、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態(例えば、癌又は細菌感染症)の治療又は予防のための医薬品として有用である。
【0090】
本発明の化合物は、遊離塩基形態及び塩及び/又は溶媒和物の形態の両方で有用である。
【0091】
有利なことに、本発明の一定の化合物(例えば、イオウ原子を含有しないもの)は、生物学的な半減期が改善していることが示されている。
【0092】
さらに、有利なことに、本発明の一定の化合物(例えば、実施例16のベンジルチオプロピル化合物、実施例15のトリアゾール化合物及び実施例14のベンジル−トリアゾール化合物)は、細菌のMTANにいくらか選択性を示す。
【0093】
本活性化合物は、経口的に、吸入スプレーにより非経口的に、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、頬側口腔に、又は埋込型のリザーバー経由など、さまざまな経路により、患者に投与してもよい。投与すべき化合物の量は、患者の性質、並びに治療対象となる障害の性質及び程度により、広範に変化するであろう。典型的には、成人のヒトの場合の投与量は、1ミリグラム未満〜1000ミリグラム、好ましくは0.1〜100ミリグラムの範囲であろう。任意の特定の患者に必要な特定の投与量は、患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別など、さまざまな因子に依存することになる。
【0094】
経口投与用には、本化合物は、固形又は液体の調製物、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、溶液剤、懸濁剤及び分散剤に製剤化できる。そのような調製物は当技術分野では周知であり、本明細書に記載していない他の経口投与レジメ(regime)についても同様である。錠剤形態では、本化合物は、乳糖、ショ糖及びコーンスターチなど従来の錠剤ベースと、結合剤、崩壊剤及び滑沢剤と共に錠剤化してもよい。結合剤は、例えば、コーンスターチ又はゼラチンであってもよく、崩壊剤は、バレイショデンプン又はアルギン酸であってもよく、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムであってもよい。カプセル剤の形態での経口投与用には、乳糖及び乾燥コーンスターチなどの賦形剤を用いてもよい。着色料、甘味料又は香味料など他の成分を加えてもよい。
【0095】
経口使用のために水性懸濁剤が必要なときは、活性成分を水及びエタノールなどの担体と組み合わせてもよく、乳化剤、懸濁化剤及び/又は界面活性剤を使用してもよい。着色料、甘味料又は香味料を加えることもできる。
【0096】
本化合物は、水又は生理食塩水など生理学的に許容できる賦形剤中の注射剤により投与することもできる。賦形剤は、エタノール、プロピレングリコール、油又は薬学的に許容できる界面活性剤など1つ又は複数の他の原料を含んでもよい。
【0097】
本化合物は、局所投与することもできる。本化合物を局所投与するための担体としては、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋及び水が挙げられる。本化合物は、皮膚又は粘膜に局所投与するためのローション剤又はクリーム剤中の原料として存在してもよい。そのようなクリーム剤は、1つ又は複数の薬学的に許容できる担体に懸濁又は溶解した本活性化合物を含有してもよい。適当な担体としては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられる。
【0098】
本化合物は、さらに、持続放出系により投与してもよい。例えば、本化合物は、徐溶解性の錠剤又はカプセル剤中に組み込んでもよい。
【0099】
本発明の化合物の合成
本発明の化合物は、さまざまな異なる方法により調製できる。以下は、代表的な非限定例である。
【0100】
一般的な手順1:1−(9−デアザ−アデニン−9−イルメチル)−3−ヒドロキシピロリジン(1)の合成
一般的な手順1(スキーム1)に従い、trans−3−ヒドロキシピロリジン出発物質11を、市販のジアリルアミンから5つのステップで調製する。ジアリルアミンの窒素を、t−ブトキシカルボニル基、カルボベンジルオキシ基、スルホンアミドベースの保護基、例えばトルエンスルホンアミド基又は2−ニトロフェニルスルホンアミド基、又はキラル補助基(ピロリジンを分割することが望ましい場合に用いることができる)、例えば1−(R)−1−(ナフチル)エチルアミノカルボニル基、L−メンチルオキシカルボニル基又はマンデレート基など適当な保護基で保護する。式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物は、スキーム1のステップfに示すように、又、下記の一般的な手順2、3、4及び5に記載されているように、3−ヒドロキシピロリジンから調製してもよい。最終生成物1のラセミ混合物を、例えば、キラル酸を用いた結晶化(例えば、Principles and Applications of Stereochemistry、M.North(Bangor University)著、Stanley Thornes、Cheltenham、UK、1998を参照のこと)による標準的な手法を用いて分割することにより、又は、キラルのヒドロキシピロリジン出発物質を用いることにより、式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)のキラル化合物を調製してもよい。そのようなキラルの出発物質は、ヒドロキシピロリジン11のラセミ混合物を分割することにより得ることができる。
【0101】
ラセミのアミン(11など)は、多様な方式で分割できる。例えば、そのようなラセミのアミンは、キラル酸を用いた結晶化(例えば、Principles and Applications of Stereochemistry、M.North(Bangor University)著、Stanley Thornes、Cheltenham、UK、1998を参照のこと)により分割できる。或いは、ラセミの二級アミン(11など)は、ジアステレオマーのカルバメート又は尿素誘導体(例えば、L−メンチルクロロホルメートなどキラルのカルバモイル化試薬(R.L.Eisenberg、The Chemical Educator、3、(1998)、1〜17ページ)、又は、1−(R)−1−(ナフチル)エチルイソシアネートなどのキラルのイソシアンテ(isocyante)(Handbook of Reagents for Organic Synthesis:Chiral reagents for asymmetric synthesis、Leo A.Paquette、Chichester、Hoboken、NJ、Wiley、2003)を用いた反応により作製されるもの)の分離により分割できる。
【0102】
ピロリジン4及び8の形成は、多様な方式で、例えば、1,4−ジクロロブテンを適当なアミンで処理する(例えば、Organic Process Research and Development、2009、13、638〜640ページを参照のこと)ことにより、達成できる。エクスポキシド(expoxide)5及び9の形成は、トリフルオロアセトン及びオキソン(OXONE)(例えば、Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters、2005、第15巻、第21号、4770〜4773ページを参照のこと)を用いても達成できる。エポキシドの開環は、有機リチウム/銅種、例えばRCuLi(式中、R=Me、n−Bu、n−Oct、Ph)(例えば、Eur.J.Org.Chem、2009、2474〜2489ページを参照のこと)を用いても達成できる。
【化12】

【0103】
試薬及び条件:(a)(Boc)O、MeOH又はCbz−Cl、EtN、CHCl、(b)第一世代グラブス触媒、(c)m−CBPA、DCM、50℃、又は(i)NBS、DMSO:HO、(ii)NaOH、MeOH、(d)XMgHal、CuBr.DMS、THF、−30℃、又は、トリメチシリルアセチレン(trimethysilylacetylene)、n−BuLi、BF.OEt、THF、−78℃、(e)Pd/C、MeOH、H又はHCl、MeOH、(f)ホルムアルデヒド、1,4−ジオキサン、HO(Hal=ハロゲン)。
【0104】
一般的な手順2:マンニッヒ反応
式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物は、前記のスキーム1のステップf、及び、下記のスキーム2及び2aに示すように、マンニッヒ反応で、式(II)のピロリジンを、式(III)に向けて、ホルムアルデヒド及び9−デアザプリン(例えば9−デアザアデニン)と反応させることにより調製してもよい。必要に応じ、マンニッヒ反応に次いで脱保護を行う。式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物は、国際公開第2004/069856号パンフレットに記載されているように、この方式で調製してもよい。
【化13】


【化14】

【0105】
一般的な手順3:還元的アミノ化
あるいは、式(I)、(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物は、アルデヒドを式(II)のラセミのピロリジンと(スキーム3に示すように)、又は、同様に式(III)のキラルのピロリジンと還元的アミノ化させることにより調製してもよい。この反応は、NaBHCN又はNa(OAc)BHを非限定的に含む試薬を用いて実現できる。4−tert−ブトキシ−から4−アミノ−5H−ピロロ−[3,2−d]−ピリミジンへの変換を、示すとおりに実現してもよい。適当な脱保護ステップを続ける。適当な保護されたアルデヒドは公知である(例えば、J.Org.Chem.、2004、69、2217〜2220ページ)。
【化15】

【0106】
4−チョロ(choro)化合物のアルデヒドの還元的アミノ化に次ぐ4−クロロから4−アミノへの変換を、下記のスキーム4に示すように用いることができる。例は、示すとおり、5−(ベンジルオキシメチル)−4−クロロ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−カルバルデヒドの調製及び還元的アミノ化である。
【化16】

【0107】
式(II)及び(III)の3−ヒドロキシピロリジンは、以下の文献に記載されているものなどいくつかの方法により調製することもできる:Hansen及びBols、1−Azaribofuranoside Analogues as Designed Inhibitors of Purine Nucleoside Phosphorylase. Synthesis and Biological Evaluation.、Acta.Chem.Scand.、1998、52、1214〜22ページ;並びに、Kamalら、Chemoenzymatic synthesis of (3R,4S)− and (3S,4R)−3−methoxy−4−methylaminopyrrolydine.、Tetrahedron Asymmetry、2006、17、2876〜83ページ。
【0108】
一般的な手順4:本発明のキラル化合物の合成
本発明のキラル化合物は、キラルのヒドロキシピロリジン出発物質(例えば、下記のスキーム5に示すように)を使用して合成することもできる。そのようなキラルのヒドロキシピロリジン及びその合成の方法は公知であり、例えば、化合物12は、国際公開第2005/118532号パンフレットに記載されているように調製できる。12のエナンチオマーも、国際公開第2005/118532号パンフレットに記載されているように調製できる。当業者には、これらのtransエナンチオマーのいずれも出発物質として使用でき、スキーム5に示すとおりの手順は、両方のtransエナンチオマーに適用できることは明らかであろう。同様に、当業者には、化合物12のcis異性体を合成でき(M.Godskesen及びI Lundt、Tetrahedron Letters、1998、39、5841ページを参照のこと)、このcis異性体を、式(I)の化合物を調製するための出発物質として使用できることは明らかであろう(このとき、ピロリジン環のOH置換基及びX置換基は互いにcis位である)。
【0109】
アルコール15からアルデヒド16への酸化は、スワーン酸化を用いて達成することもできる。
【化17】

【0110】
一般的な手順5:トリアゾール誘導体の合成
式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物(式中、Xは、場合により置換されているトリアゾリル基又はトリアゾリルメチル基である)は、スキーム6に示すように調製できる。
【化18】

【0111】
したがって、式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物(式中、Xは、エチニル基又はプロピン−3−イル基である)をCu触媒の存在下、クリック反応で有機アジドと反応させてもよい(H.C.Kolb、M.G.Finn及びK.B.Sharpless、Angewandte Chemie International、第40版、(2001)、2004〜2021ページ)。トリアゾールは、アリール基(例えばフェニル)、アルキル基(例えば、低級アルキル基、例えばプロピル基であり、アリール、ヒドロキシル、アルコキシから選択される1つ若しくは複数の置換基で場合により置換されていてもよい)又はシクロアルキル基で置換されていてもよい(スキーム6のR基)。
【0112】
当業者には、トリアゾリルピロリジン又はトリアゾリルメチルピロリジン部分を別々に合成してから、マンニッヒ反応を用いて(例えば、一般的な手順2に記載されているように)この部分を塩基と結合させて所望の生成物を得ることも可能であることは理解されよう。この手順をスキーム7で説明する。スキーム7はX=エチニルのピロリジン出発物質を用いた場合の反応を示すものであるが、当業者には、X=プロピン−3−イルのピロリジン出発物質も使用できることは理解されよう。フッ化テトラブチルアンモニウムを用いて、エチニル(又はプロピン−3−イル)ピロリジンからTMS基を選択的に除去すると、脱シリル化されたエチニルピロリジンが得られ、これを、SharplessのCuAAC条件下で適切なアジド(例えば、N−ベンジル置換されたトリアゾリル種の場合はベンジルアジド)と反応させて、N−置換されたトリアゾール−4−イルピロリジンを得ることができる。保護基を除去すると遊離ピロリジンが得られ、これを、標準的なマンニッヒ反応を用いて適切な塩基と結合させることができる。
【化19】

【0113】
あるいは、式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物(式中、Xは、1,2,3−トリアゾール−1−イルの環窒素を介してピロリジン部分に連結しているトリアゾリル基である)は、スキーム8に示すように調製できる。
【化20】

【0114】
したがって、エポキシド−ピロリジン出発物質は、Tsuzukiら((Tsuzuki,Y.、Chiba,K.、Mizuno,K.、Tomita,K.、Suzuki,K.、Practical Synthesis of (3S,4S)−3−methoxy−4−methylpyrolidine.、Tetrahedron:Asymmetry、2002、12、2989〜2997ページ)により報告されたように、アジ化ナトリウムを用いて開環される。その結果得られるアジド及びトリメチルシリルアセチレンを、還流下、トルエン中で加熱する。未精製混合物をフッ化テトラブチルアンモニウムで処理すると、TMS−トリアゾール及び所望の脱シリル化されたトリアゾールが良好な収率で得られる。窒素保護基の除去は、酸/アルコール、例えばHCl/MeOHの存在下で達成できる。このようにして得られたピロリジンを、マンニッヒ反応を用いて適切な塩基と反応させると、所望の化合物が得られる。
【0115】
一般的な手順6:置換されたアルキル誘導体の合成
式(I)、(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物(式中、Xは、アラルキルチオ基、アリールチオ基又はアルキルチオ基で置換されているアルキル基である)は、チオール−エン「クリック反応」(Becer,C.R.、Hoogenboom,R.、Schubert,U.S.、Click Chemistry beyond Metal−Catalyzed Cycloaddition.、Angew.Chem.Int.編、2009、48、4900〜4908ページ;Heidecke,C.D.、Lindhorst,T.K.、Iterative Synthesis of Spacered Glycodendrons as Oligomannoside Mimetics and Evaluation of Their Antiadhesive Properties.、Chem.Eur.J.、2007、13、9056〜9067ページ)を用いて、スキーム9に示すように調製できる。
【化21】

【0116】
アリルピロリジンは、実施例6.1に記載されているように合成できる。このピロリジン中間体を、アラルキルメルカプタン(例えばベンジルメルカプタン)、アルキルメルカプタン(例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン)、シクロアルキルメルカプタン(例えばシクロヘキシルメルカプタン)又はアリールメルカプタン(例えば、フェニルメルカプタン、トリルメルカプタン)などの適当なメルカプタン、及び、1,4−ジオキサン中の1,1’−アゾビス(シアノシクロヘキサン)と90℃で反応させると、保護されたピロリジンが得られ、次いでこれを脱保護し、マンニッヒ反応で適切な塩基と反応させる(例えば、一般的な手順2に記載されているように)と、所望の生成物を得ることができる。
【0117】
略語
NMR 核磁気共鳴
tlc 薄層クロマトグラフィー
MS 質量分析
Boc t−ブトキシカルボニル
NBS N−ブロモスクシンアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DCM ジクロロメタン
DMS 硫化ジメチル
【0118】
[実施例]
以下の実施例は、本発明をさらに例証するものである。本発明は実施例に限定されないことを理解されたい。
【0119】
一般的な方法
無水溶媒は商業的に入手する。空気の影響を受けやすい反応は、アルゴン下で実施する。有機溶液はMgSOで乾燥させ、溶媒は減圧下で蒸発させる。クロマトグラフィーの溶媒は、使用に先立ち蒸留する。薄層クロマトグラフィー(tlc)は、60F254シリカで被覆したガラス又はアルミニウムのシート上で実施する。有機化合物は、紫外線下で、又は、硫酸(2M)中の硫酸セリウム(IV)(0.2%w/v)及びモリブデン酸アンモニウム(5%)、HSO(M)中のI(0.2%)及びKI(7%)のうち一方、若しくはEtOH中の0.1%ニンヒドリンの浸漬を用いることにより、可視化する。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Scharlau又はMerckのシリカゲル60(40〜60μm)上で実施する。旋光度は、光路長が1dmのPerkin−Elmer241旋光計で記録し、10−1deg cm−1の単位であり、濃度はg/100mLの単位である。NMRスペクトルは、Bruker AC300Eで記録する。特に明記しない限り、300MHzでのH NMRスペクトルをCDCl、CDOD(内部基準MeSi、δ0)又はDO(内部基準なし)中で測定し、75.5MHzでの13C NMRスペクトルをCDCl(基準、溶媒中心線、δ77.4)、CDOD(基準、溶媒中心線δ49.5)又はDO(内部基準なし)中で測定する。正エレクトロスプレー質量スペクトルは、Waters Q−TOFプレミア(Premier)タンデム質量分析計で記録する。
【0120】
実施例1:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4フェニルピロリジン(1、X=フェニル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例1.1:ベンジルジアリルカルバメート(3)
CHCl(150mL)中のジアリルアミン(15mL、120mmol)の溶液を0℃に冷却し、EtN(23mL、160mmol)、次いでクロロギ酸ベンジル(20mL、140mmol)を滴加する。反応混合物を、16時間かけてゆっくり室温に温めてから、水(200mL)でクエンチする。相を分離し、水相をCHCl中に抽出する(3×200mL)。有機相を合わせたものをブライン(200mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(グラジエント、2%から10%へ、ガソリン中のEtOAc)にかけると、標題化合物が淡黄色の油として得られる(25.9g、92%)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.35〜7.29(5H,m)、5.77(2H,br.s)、5.17〜5.13(6H,br.m)及び3.88ppm(4H,br.s)。(Tetrahedron:Asymmetry、2006、17、2876〜2883ページ)。
【0121】
実施例1.2:ベンジル3−ピロリン−1−カルボキシレート(4)
第一世代グラブス触媒(173mg、0.21mmol)を、CHCl(300mL)中のベンジルジアリルカルバメート(6.78g、29mmol)の溶液に加える。反応混合物を16時間撹拌してから、さらなる触媒を加える(340mg、0.4mmol)。反応混合物をさらに16時間撹拌してから減圧下で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィー(1:9、次いで2:8、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物が黄色の油として得られる(5.74g、94%)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.39〜7.29(5H,m)、5.82〜5.80(1H,m)、5.77〜5.75(1H,m)、5.17(2H,s)、4.22〜4.18(4H,m)。(Tetrahedron:Asymmetry、2006、17、2876〜2883ページ)。
【0122】
実施例1.3:ベンジル3,4−エポキシピロリジン−1−カルボキシレート(5)
NBS(5.47g、31mmol)を、0℃のDMSO(65mL)及び水(3.4mL)中のオレフィン4(5.02g、25mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温に温め、1.5時間撹拌してから、さらなるNBS(1.1g、6.2mmol)を加える。さらに3.5時間撹拌の後、水(150mL)の添加により反応をクエンチし、次いでEtOAc中に抽出する(3×150mL)。有機相を合わせたものをブラインで洗浄し(3×100mL)、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をMeOH(80mL)に溶解し、0℃に冷却してから、NaOH水溶液(37mL、37mmol、1M)を一度に加える。反応物を室温に温め、5時間撹拌してから、減圧下でMeOHを除去する。残留物を水(100mL)で希釈し、EtOAc中に抽出する(3×200mL)。有機相を合わせたものをブライン(200mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(3:7、次いで4:6、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物が淡黄色の油として得られる(2ステップで3.69g、68%)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=155.3、136.6、128.5、128.0、127.9、67.0、55.5、54.9、47.5及び47.2ppm;MS(ESI):242([MNa],100%);HRMS(ESI):実測値:242.0791、C1213NONa([MNa])計算値:242.0793。(Tetrahedron:Asymmetry、2006、17、2876〜2883ページ)。
【0123】
実施例1.4:ベンジル(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン−1−カルボキシレート(6、X=フェニル)
THF(5.6mL)中のエポキシド5(149mg、0.68mmol)及びCuBr.SMe(30mg、0.15mmol)の溶液を−30℃に冷却する。臭化フェニルマグネシウム(1.5mL、1.5mmol、1M THF溶液)を10分かけて滴加し、温度を−25℃未満で維持する。添加完了後、反応物を1時間30分かけて−15℃に温めてから、−30℃に冷却し直し、さらなる臭化フェニルマグネシウムを加える(1.5mL、1.5mmol、1M THF溶液)。反応混合物を1時間かけて−20℃に温めてから、10%NHCl水溶液(20mL)及びEtOAc(20mL)でクエンチする。この混合物を室温で30分間撹拌してから層を分離する。水相をEtOAc中に抽出する(3×20mL)。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(グラジエント、3:7から1:1へ、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物6(X=フェニル)と未反応のエポキシド5との混合物が淡黄色の油として得られる[162mg、2:1、6(X=フェニル):5]。
【0124】
実施例1.5:(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン(11、X=フェニル)
パラジウム(25mg、0.02mmol、10重量%、炭素上)を、MeOH(12mL)中のCbz保護されたアミン6(X=フェニル)及びエポキシド5(160mg)の前記混合物の溶液にアルゴン下で加える。反応混合物を水素雰囲気下に置き、1時間15分撹拌してから、セライト(Celite)を通して濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:4.8:0.2、次いで5:4.6:0.4、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物11(X=フェニル)が黄色の油として得られる(2ステップで39mg、35%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=142.7、129.7、128.5、127.8、80.0、55.3、54.9及び53.6ppm;MS(ESI):164([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:164.1068、C1014NO([MH])計算値:164.1075。
【0125】
実施例1.6:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン(1、X=フェニル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(35μL、0.4mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(39mg、0.24mmol)を、1,4−ジオキサン(0.4mL)及び水(0.8mL)中のアミン11(X=フェニル)(30mg、0.22mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で17時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、10%から20%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、次いで5:4.8:0.2、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物1(X=フェニル、A=CH、B=NH、D=H)が白色の固形物(38mg、55%)として得られる。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、143.6、130.1、129.5、128.6、127.5、115.2、112.6、79.3、62.8、61.2、54.9及び49.1ppm;MS(ESI):332([MNa],100%);HRMS(ESI):実測値:332.1490、C171923Na([MNa])計算値:332.1487。
【0126】
実施例2:(±)−trans−4−(シクロヘキシルメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−ピロリジン(1、X=シクロヘキシルメチル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例2.1:ベンジル(±)−trans−4−(シクロヘキシルメチル)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(6、X=シクロヘキシルメチル)
THF(10mL)中のエポキシド5(243mg、1.1mmol)及びCuBr.SMe(50mg、0.22mmol)の溶液を−30℃に冷却する。臭化シクロヘキシルメチルマグネシウム(11mL、5.5mmol、0.5M THF溶液)を20分かけて滴加する。添加完了後、反応物を30分かけて−25℃に温めてから、10%NHCl水溶液(20mL)及びEtOAc(20mL)でクエンチする。この混合物を室温で30分間撹拌してから層を分離する。水相をEtOAc中に抽出する(3×30mL)。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(グラジエント、2:8から4:6へ、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物6(X=シクロヘキシルメチル)がオフホワイトの固形物として得られる(286mg、81%)。
【0127】
実施例2.2:(±)−trans−4−(シクロヘキシルメチル)−3−ヒドロキシピロリジン(11、X=シクロヘキシルメチル)
パラジウム(20mg、0.02mmol、10重量%、炭素上)を、MeOH(10mL)中のCbz保護されたアミン6(X=シクロヘキシルメチル)(286mg、0.9mmol)の溶液にアルゴン下で加える。反応混合物を水素雰囲気下に置き、1時間撹拌してから、さらなる触媒(20mg、0.02mmol、10重量%、炭素上)を加える。この混合物を水素雰囲気下でさらに1時間撹拌してから、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:4.8:0.2、次いで5:4.5:0.5、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物11(X=シクロヘキシルメチル)がオフホワイトの固形物として得られる(115mg、70%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=78.8、54.5、52.1、46.2、41.6、37.4、35.1、34.3、27.7及び27.4(x 2 C)ppm;MS(ESI):184([MH],100%);HRMS(ESI);実測値:184.1696、C1122NO([MH])計算値:184.1701
【0128】
実施例2.3:(±)−trans−4−(シクロヘキシルメチル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=シクロヘキシルメチル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(35μL、0.4mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(42mg、0.31mmol)を、1,4−ジオキサン(1.5mL)及び水(1.5mL)中のアミン11(X=シクロヘキシルメチル)(51mg、0.28mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で67時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、5%から30%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物1(X=シクロヘキシルメチル、A=CH、B=NH、D=H)が淡黄色の固形物として得られる(42mg、46%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.1、147.0、130.1、115.1、112.5、78.1、62.2、59.8、49.1、45.8、42.4、37.4、35.1、34.2、27.7及び27.4(2 x C)ppm;MS(ESI):330([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:330.2297、C1828O([MH])、計算値:330.2294
【0129】
実施例3:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(プロパ−1−エン−2−イル)ピロリジン(1、X=プロパ−1−エン−2−イル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例3.1:ベンジル(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−(プロパ−1−エン−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート(6、X=プロパ−1−エン−2−イル)
THF(12mL)中のエポキシド5(199mg、0.91mmol)及びCuBr.SMe(26mg、0.14mmol)の溶液を−30℃に冷却する。臭化イソプロペニルマグネシウム(10mL、5.0mmol、0.5M THF溶液)を20分かけて滴加する。添加完了後、反応物を66時間かけてゆっくり室温に温めてから、10%NHCl水溶液(50mL)及びEtOAc(50mL)でクエンチする。この混合物を室温で1.5時間撹拌してから、層を分離する。水相をEtOAc中に抽出する(3×50mL)。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(グラジエント、2:8から4:6へ、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物6(X=プロパ−1−エン−2−イル)が淡黄色の油として得られる(173mg、73%)。
【0130】
実施例3.2:(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−(プロパ−1−エン−2−イル)ピロリジン(11、X=プロパ−1−エン−2−イル、A=CH、B=NH、D=H)
KOH(4mL、8mmol、2Mイソプロパノール溶液)中のCbz保護されたアミン6(X=プロパ−1−エン−2−イル)(170mg、0.65mmol)の溶液を加熱して1.5時間還流する。さらなるKOH(4mL、8mmol、2Mイソプロパノール溶液)を加え、この混合物をさらに2.5時間還流する。次に、RMを冷却させ、シリカ上に吸収させ、フラッシュカラム(5:4.5:0.5、DCM:MeOH:NHOH)を通して溶出させると、標題化合物11(X=プロパ−1−エン−2−イル、A=CH、B=NH、D=H)が淡黄色の油として得られる(73mg、88%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=143.4、113.0、74.2、54.0、52.6、48.5及び21.7ppm;MS(ESI):128([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:128.1070、C14NO([MH])計算値:128.1075
【0131】
実施例3.3:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(プロパ−1−エン−2−イル)ピロリジン(1、X=プロパ−1−エン−2−イル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(70μL、0.9mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(74mg、0.55mmol)を、1,4−ジオキサン(2.6mL)及び水(2.6mL)中のアミン11(X=プロパ−1−エン−2−イル)(65mg、0.51mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で16時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、10%から30%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、CHCl:MeOH:NHOH)にかける。さらなる精製を分取用HPLCにより行うと、標題化合物1(X=プロパ−1−エン−2−イル、A=CH、B=NH、D=H)が淡黄色の固形物として得られる(24mg、17%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、145.8、130.1、115.2、112.6、111.3、75.6、62.6、57.9、55.8、49.9及び21.2ppm。
【0132】
実施例4:(±)−trans−4−シクロプロピル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=シクロプロピル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例4.1:ベンジル(±)−trans−4−シクロプロピル−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(6、X=シクロプロピル)
THF(10mL)中のエポキシド5(283mg、1.3mmol)及びCuBr.SMe(43mg、0.21mmol)の溶液を−30℃に冷却する。臭化シクロプロピルマグネシウム(10mL、5.0mmol、0.5M THF溶液)を25分かけて滴加する。添加完了後、反応物を45分かけて−15℃にゆっくり温めてから、10%NHCl水溶液(20mL)及びEtOAc(50mL)でクエンチする。この混合物を室温で40分間撹拌してから層を分離する。水相をEtOAc中に抽出する(3×50mL)。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(3:7、次いで4:6、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物6(X=シクロプロピル)が淡黄色の油として得られる(311mg、92%)。
【0133】
実施例4.2:(±)−trans−4−シクロプロピル−3−ヒドロキシピロリジン(11、X=シクロプロピル)
パラジウム(25mg、0.02mmol、10重量%、炭素上)を、MeOH(20mL)中のCbz保護されたアミン6(X=シクロプロピル)(310mg、1.2mmol)の溶液に、アルゴン下で加える。反応混合物を水素雰囲気下に置き、1時間撹拌してからセライトを通して濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:4.6:0.4、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物11(X=シクロプロピル)がオフホワイトの固形物として得られる(126mg、84%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=76.4、52.9、52.6、50.0、13.2、4.2及び3.6ppm;MS(ESI):127([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:128.1082、C14NO([MH])計算値:128.1075。
【0134】
実施例4.3:(±)−trans−4−シクロプロピル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=シクロプロピル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(50μL、0.6mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(60mg、0.45mmol)を、1,4−ジオキサン(1mL)及び水(1mL)中のアミン11(X=シクロプロピル)(51mg、0.40mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で41時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、5%から30%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.5:0.5、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物1(X=シクロプロピル、A=CH、B=NH、D=H)がオフホワイトの固形物として得られる(59mg、54%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、130.1、115.2、112.5、77.4、62.6、59.1、53.6、49.1、14.5、3.8及び3.5ppm;MS(ESI):274([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:274.1666、C1420O([MH])計算値:274.1668。
【0135】
実施例5:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ビニルピロリジン(1、X=ビニル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例5.1:tert−ブチルジアリルカルバメート(7)
ジ−tert−ブチルジカルボネート(42.2g、193mmol)を、0℃のメタノール(500mL)中のジアリルアミン(2)(20mL、162mmol)の溶液に少しずつ加える。添加完了後、反応混合物を室温に温め、1時間撹拌してから減圧下で濃縮する。残留物を乾燥真空クロマトグラフィー(グラジエント、0%から50%へ、ガソリン中のEtOAc)にかけると、標題化合物7が無色の油として得られる(31.9g、99%)。(Org.Biomol.Chem.、2004、2、2418〜2420ページ)。
【0136】
実施例5.2:tert−ブチル3−ピロリン−1−カルボキシレート(8)
第一世代グラブス触媒(920mg、1.1mmol)を、CHCl(370mL)中のtert−ブチルジアリルカルバメート7(31.9g、162mmol)の溶液に加える。反応混合物を17時間撹拌してから減圧下で濃縮する。残留物を乾燥真空クロマトグラフィー(グラジエント、0%から70%へ、ガソリン中のEtOAc)にかけると、標題化合物8が淡黄色の油として得られる(19.9g、73%)。(Org.Biomol.Chem.、2004、2、2418〜2420ページ)。
【0137】
実施例5.3:tert−ブチル3,4−エポキシピロリジン−1−カルボキシレート(9)
m−CPBA(44.3g、180mmol)を、CHCl(217mL)中のオレフィン8(13.7g、81mmol)の溶液に加える。その結果得られる懸濁液を加熱して4時間還流させ、冷却し、濾過してから、CHCl(200mL)で希釈する。有機相を合わせたものを、亜硫酸ナトリウムの飽和溶液(2×200mL)、NaHCO水溶液(2×200mL)及びブライン(2×200mL)で洗浄してから、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(2:8、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物9が淡黄色の油として得られる(9.1g、61%)。(Acta Chemica Scandinavica、1998、52、1214〜1222ページ)。
【0138】
実施例5.4:tert−ブチル(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−ビニルピロリジン−1−カルボキシレート(10、X=ビニル)
THF(15mL)中のエポキシド9(331mg、1.8mmol)及びCuBr.SMe(73mg、0.35mmol)の溶液を−30℃に冷却する。臭化ビニルマグネシウム(8mL、8.0mmol、1M THF溶液)を15分かけて滴加する。添加完了後、反応物を1時間かけて−10℃にゆっくり温めてから、10%NHCl水溶液(20mL)及びEtOAc(50mL)でクエンチする。この混合物を室温で1時間撹拌してから層を分離する。水相をEtOAc中に抽出する(3×50mL)。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、標題化合物10(X=ビニル)が得られる(286mg、75%)。さらなる精製は試みていない。(Acta Chemica Scandinavica、1998、52、1214〜1222ページ)。
【0139】
実施例5.5:(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−ビニルピロリジン(11、X=ビニル)
濃塩酸(1mL)を、MeOH(20mL)中のBoc保護されたアミン10(X=ビニル)(286mg、1.34mmol)の溶液に加える。反応混合物を減圧下で濃縮してから、MeOH(20ML)、次いでトルエン(20mL)で共沸させる。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:4.6:0.4、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物(11、X=ビニル)が茶色の油として得られる(95mg、63%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=139.4、116.1、78.3、54.6、53.5及び51.3ppm;MS(ESI):114([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:114.0911、C12NO([MH])計算値:144.0919。(Acta Chemica Scandinavica、1998、52、1214〜1222ページ)。
【0140】
実施例5.6:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ビニルピロリジン(1、X=ビニル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(45μL、0.56mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(61mg、0.46mmol)を、1,4−ジオキサン(1mL)及び水(1mL)中のアミン(11、X=ビニル)(42mg、0.37mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で17時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、5%から20%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.5:0.5、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物(1、X=ビニル、A=CH、B=NH、D=H)がオフホワイトの固形物として得られる(55mg、57%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、139.7、130.3、116.0、115.2、112.1、77.2、61.9、58.7、52.9及び49.1ppm;MS(ESI):260([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:260.1511、C1318O([MH])計算値:260.1511。
【0141】
実施例6:(±)−trans−4−アリル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=アリル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例6.1:tert−ブチル(±)−trans−4−アリル−3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボキシレート(10、X=アリル)
エーテル(2.6mL)中のエポキシド9(227mg、1.2mmol)の溶液を、0℃のエーテル(4.4mL)中の塩化アリルマグネシウム(1.4mL、2.8mmol、2M THF溶液)の溶液に滴加する。反応混合物を0℃で15分間撹拌してから室温に温める。1.5時間後、飽和NHCl水溶液(20mL)の添加により反応混合物をクエンチし、EtOAc中に抽出する(3×50mL)。有機相を合わせたものをブラインで洗浄し(2×50mL)、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:9、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物(10、X=アリル)が淡黄色の油として得られる(138mg、50%)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=154.8、135.8、116.7、79.5、74.7、74.0、52.7、52.4、49.0、48.7、45.5、45.0、35.6及び28.7ppm;MS(ESI):250([MNa],100%);HRMS(ESI):実測値:250.1416、C1221NONa([MNa])計算値:250.1419。
【0142】
実施例6.2:(±)−trans−4−アリル−3−ヒドロキシ−ピロリジン(11、X=アリル)
濃HCl(1mL、33mmol)を、メタノール(5mL)中のBoc保護されたアミン10(X=アリル)(59mg、0.26mmol)の撹拌溶液に加える。反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで、メタノール(10mL)、次にトルエン(10mL)で共沸させる。残留物をシリカ上に吸収させ、フラッシュカラム(5:4.5:0.5、DCM:MeOH:NHOH)を通して溶出させると、標題化合物(11、X=アリル)が黄色の油として得られる(40mg、95%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=136.7、116.7、77.4、54.3、51.0、48.3及び37.3ppm;MS(ESI):128([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:128.1072、C14NO([MH])計算値:128.1075。
【0143】
実施例6.3:(±)−trans−4−アリル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=アリル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(44μL、0.54mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(44mg、0.33mmol)を、1,4−ジオキサン(0.6mL)及び水(1.2mL)中のアミン11(X=アリル)(40mg、0.32mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で17時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、5%から400%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物1(X=アリル、A=CH、B=NH、D=H)がオフホワイトの固形物として得られる(20mg、24%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、138.0、130.1、116.3、115.1、112.5、76.8、62.2、59.0、49.1、48.0及び38.2ppm;MS(ESI):274([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:274.1661、C1420O([MH])計算値:274.1668。
【0144】
実施例7:(±)−3,4−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチニル−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=エチニル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例7.1:tert−ブチル(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−((トリメチルシリル)エチニル)ピロリジン−1−カルボキシレート(10、X=トリメチルシリルエチニル)
n−ブチルリチウム(4.6mL、6.0mmol、1.3Mヘキサン溶液)を、−78℃のTHF(8.5mL)中のトリメチルシリルアセチレン(1.1mL、7.8mmol)の溶液に5分かけて加える。30分後、BF.OEt(1.4mL、11.4mmol)を5分かけて加える。−78℃でさらに30分間撹拌の後、THF(10mL)中のエポキシド(10、X=トリメチルシリルエチニル)(550mg、3.0mmol)の溶液を加える。反応混合物を−78℃で1.5時間撹拌してから室温に温める。この反応物を16時間撹拌してから、飽和NHCl水溶液(20mL)の添加によりクエンチし、次に水(50mL)とEtOAc(50mL)との間で分配する。層を分離し、水相をEtOAc中に抽出する(3×50mL)。有機相を合わせたものをブラインで洗浄(2×50mL)し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(2:8、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物が黄色の粘性物質として得られる(478mg、57%)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=154.7、104.7、87.8、79.8、75.5、74.7、52.4、52.1、39.2、38.7、28.5及び0.0ppm;MS(ESI):306([MNa],100%);HRMS(ESI):実測値:306.1505、C1425NONaSi([MNa])計算値:306.1501。
【0145】
実施例7.2:(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−((トリメチルシリル)エチニル)ピロリジン(11、X=トリメチルシリエチニル)
濃HCl(1mL、33mmol)を、メタノール(20mL)中のBoc保護されたアミン(10、X=トリメチルシリエチニル)(478mg、1.7mmol)の溶液に加えてから、減圧下で濃縮する。残留物をメタノール(20mL)及びトルエン(20mL)で共沸させてから、シリカ上に吸収させ、フラッシュカラム(5:4.8:0.2、DCM:MeOH:NHOH)を通して溶出させると、標題化合物(11、X=トリメチルシリルエチニル)が黄色の固形物として得られる(276mg、89%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=107.6、87.6、79.0、54.8、52.8、41.8及び0.0ppm;MS(ESI):184([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:184.1161、C18NOSi([MH])計算値:184.1158。
【0146】
実施例7.3:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−((トリメチルシリル)エチニル)ピロリジン(1、X=トリメチルシリルエチニル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(55μL、0.69mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(73mg、0.54mmol)を、1,4−ジオキサン(2.5mL)及び水(2.5mL)中のアミン11(X=トリメチルシリルエチニル)(81mg、0.44mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で66時間撹拌してから、減圧下で濃縮する。標題化合物1(X=トリメチルシリルエチニル、A=CH、B=NH、D=H)を含有する粗生成物を、次のステップで直接使用する。
【0147】
実施例7.4:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチニル−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=エチニル、A=CH、B=NH、D=H)
ナトリウムメトキシド(10μL、0.05mmol、30重量%メタノール溶液)を、メタノール(5mL)中のTMS保護されたアセチレン1(X=トリメチルシリルエチニル、A=CH、B=NH、D=H)(145mg、0.44mmol)を含有する前記粗生成物の溶液に加える。反応混合物を室温で2.5時間撹拌してから、さらなるナトリウムメトキシド(10μL、0.05mmol、30重量%メタノール溶液)を加える。さらに17時間撹拌の後、反応混合物をシリカ上に吸収させ、シリカカラム(5:4.95:0.05、CHCl:MeOH:NHOH)を通して溶出させると、粗生成物が得られる。分取用HPLCによるさらなる精製を行うと、標題化合物1(X=エチニル、A=CH、B=NH、D=H)が淡黄色の固形物として得られる(29mg、26%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.2、151.0、146.3、130.5、115.2、111.1、84.5、78.0、72.1、61.5、59.2、49.1及び39.8ppm。
【0148】
実施例8:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−ブチル−3−ヒドロキシピロリジン、(1、X=ブチル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例8.1:ベンジル(±)−trans−4−ブチル−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(6、X=ブチル)
THF(3mL)中のエポキシド5(80mg、0.4mmol)及びCuBr.SMe(7mg、0.03mmol)の溶液を−30℃に冷却する。n−ブチルマグネシウムクロリド(1mL、2mmol、2M THF溶液)を10分かけて滴加し、温度を−25℃未満で維持する。添加完了後、反応物を45分かけて−15℃に温めてから、10%NHCl水溶液(10mL)及びEtOAc(20mL)でクエンチする。この混合物を室温で1時間15分撹拌してから層を分離する。水相をEtOAc中に抽出する(2×20mL)。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(4:6、次いで1:1、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物6(X=ブチル)が淡黄色の油として得られる(72mg、71%)。
【0149】
実施例8.2:(±)−trans−4−ブチル−3−ヒドロキシピロリジン(11、X=ブチル)
パラジウム(10mg、0.01mmol、10重量%、炭素上)を、MeOH(4mL)中のCbz保護されたアミン6(X=ブチル)(70mg、0.3mmol)の溶液にアルゴン下で加える。反応混合物を水素雰囲気下に置き、1.5時間撹拌してから、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:4.8:0.2、次いで5:4.5:0.5、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物11(X=ブチル)が黄色の油として得られる(20mg、54%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=75.3、52.4、50.0、47.3、31.9、31.0、23.6及び14.3ppm;MS(ESI):144([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:144.1390、C18NO([MH])計算値:144.1388。
【0150】
実施例8.3:(±)−trans−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=ブチル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(95μL、1.2mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(100mg、0.7mmol)を、1,4−ジオキサン(1.2mL)及び水(2.5mL)中のアミン11(X=ブチル)(88mg、0.66mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で66時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、10%から20%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントを用い、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.8:0.2、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物1(X=ブチル、A=CH、B=NH、D=H)が淡黄色の固形物として得られる(89mg、47%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ= 152.1、151.0、147.0、130.1、115.2、112.4、77.7、62.3、59.69、49.0、48.5、34.0、31.5、23.8及び14.3ppm;MS(ESI):290([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:290.1989、C1524O([MH])計算値:290.1981。
【0151】
実施例9:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−イソブチルピロリジン(1、X=イソブチル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例9.1:ベンジル(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−イソブチルピロリジン−1−カルボキシレート
THF(8mL)中のエポキシド5(203mg、0.93mmol)及びCuBr.SMe(30mg、0.15mmol)の溶液を−30℃に冷却する。臭化イソ−ブチルマグネシウム(2.3mL、4.6mmol、2M THF溶液)を10分かけて滴加し、温度を−27℃未満で維持する。添加完了後、反応を1時間20分かけて−15℃に温めてから、10%NHCl水溶液(20mL)及びEtOAc(50mL)でクエンチする。この混合物を室温で45分間撹拌してから層を分離する。水相をEtOAc中に抽出する(2×50mL)。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、標題化合物6(X=イソブチル)を含有する粗生成物が得られる(193mg、75%)。この材料を、さらに精製せずに次のステップで使用する。
【0152】
実施例9.2:(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−イソブチルピロリジン
パラジウム(20mg、0.02mmol、10重量%、炭素上)を、MeOH(10mL)中のCbz保護されたアミン6(X=イソブチル)(190mg、0.7mmol)を含有する前記粗生成物の溶液にアルゴン下で加える。反応混合物を水素雰囲気下に置き、2時間撹拌してから、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(グラジエント、5:4.8:0.2から5:4:1へ、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物が黄色の油として得られる(50mg、49%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=75.6、52.5、50.2、45.3、41.4、27.4、23.2及び22.6ppm;MS(ESI):144([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:144.1382、C18NO([MH])計算値:144.1388。
【0153】
実施例9.3:(±)−3,4−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−イソブチルピロリジン(1、X=イソブチル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(75μL、0.9mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(52mg、0.4mmol)を、1,4−ジオキサン(0.6mL)及び水(1.2mL)中のアミン11(X=イソブチル)(49mg、0.34mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で17時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、CHCl中の10%(7N NH、MeOH中)を用い、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物1(X=イソブチル、A=CH、B=NH、D=H)がオフホワイトの固形物として得られる(42mg、42%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、150.1、147.0、130.1、115.1、112.6、78.1、62.3、59.8、49.1、46.2、43.9、27.7、23.6及び22.7ppm;MS(ESI):312([MNa]、35%)、290([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:290.1979、C1524O([MH])計算値:290.1981。
【0154】
実施例10:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ペンタ−3−イル)ピロリジン(1、X=ペンタ−3−イル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例10.1:ベンジル(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−(ペンタ−3−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート(6、X=ペンタ−3−イル)
THF(10mL)中のエポキシド5(230mg、1.05mmol)及びCuBr.DMS(28mg、0.22mmol)の溶液を−30℃に冷却する。3−ペンチルマグネシウムブロミド(2.3mL、4.6mmol、2Mエーテル溶液)を10分かけて滴加する。添加完了後、反応物を30分かけて−20℃に温めてから、10%NHCl水溶液(40mL)及びEtOAc(40mL)でクエンチする。この混合物を室温で1時間撹拌してから層を分離する。水相をEtOAc中に抽出する(3×40mL)。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(2:8、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物6(X=ペンタ−3−イル)と、同時に溶出してくる未知の不純物とが、淡黄色の油として得られる(195mg)。
【0155】
実施例10.2:(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−(ペンタ−3−イル)ピロリジン(11、X=ペンタ−3−イル)
パラジウム(35mg、0.03mmol、10重量%、炭素上)を、MeOH(10mL)中のCbz保護されたアミン6(X=ペンタ−3−イル)(195mg、0.9mmol)の溶液にアルゴン下で加える。反応混合物を水素雰囲気下に置き、1時間撹拌してから、セライトを通して濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、次いで5:4.8:0.2、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物11(X=ペンタ−3−イル)が淡黄色の粘性物質として得られる(2ステップで27mg、16%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=76.7、56.0、52.1、50.5、43.4、24.4、23.6、11.4及び11.0ppm;MS(ESI):158([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:158.1540、C20NO([MH])計算値:158.1545。
【0156】
実施例10.3:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(ペンタ−3−イル)ピロリジン(1、X=ペンタ−3−イル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(25μL、0.3mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(30mg、0.22mmol)を、1,4−ジオキサン(0.6mL)及び水(0.6mL)中のアミン11(X=ペンタ−3−イル)(27mg、0.17mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で17時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、5%から20%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物1(X=ペンタ−3−イル、A=CH、B=NH、D=H)が淡黄色の固形物として得られる(24mg、33%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、130.1、115.2、112.5、75.8、63.3、58.2、51.3、49.1、44.3、24.0、23.6、11.3及び10.7ppm;MS(ESI):304([MH],100%);HRMS(ESI):実測値:304.2137、C1626O([MH])計算値:304.2137
【0157】
実施例11:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=エチル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例11.1:ベンジル(±)−trans−4−エチル−3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボキシレート
THF(20mL)中のエポキシド5(467mg、2.13mmol)及びCuBr.DMS(53mg、0.26mmol)の溶液を−30℃に冷却する。臭化エチルマグネシウム(10mL、10mmol、1M THF溶液)を20分かけて滴加し、温度を−30℃未満で維持する。添加完了後、反応物を50分かけて−15℃に温めてから、10%NHCl水溶液(20mL)及びEtOAc(40mL)でクエンチする。この混合物を室温で45分間撹拌してから層を分離する。水相をEtOAc中に抽出する(3×50mL)。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(3:7、次いで4:6、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物6(X=エチル)が淡黄色の油として得られる(370mg、70%)。
【0158】
実施例11.2:(±)−trans−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン(11、X=エチル)
パラジウム(20mg、0.02mmol、10重量%、炭素上)を、MeOH(10mL)中のCbz保護されたアミン6(X=エチル)(270mg、1.1mmol)の溶液にアルゴン下で加える。反応混合物を水素雰囲気下に置き、1時間撹拌してからセライトを通して濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:4:1、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物11(X=エチル)が黄色の油として得られる(70mg、56%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=78.1、54.7、51.6、51.0、26.3及び12.9ppm;MS(ESI):116([MH],100%).;HRMS(ESI):実測値:116.1070、C14NO([MH])計算値:116.1075
【0159】
実施例11.3:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=エチル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(120μL、1.5mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(102mg、0.9mmol)を、1,4−ジオキサン(1.6mL)及び水(3.2mL)中のアミン11(X=エチル)(116mg、0.87mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で15時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、5%から30%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントを用い、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、次いで5:4.8:0.2、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物1(X=エチル、A=CH、B=NH、D=H)が淡黄色の固形物として得られる(175mg、77%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、130.1、115.1、112.5、77.4、62.4、59.4、50.4、49.1、27.1及び12.9ppm;MS(ESI):262([MH,100%);HRMS(ESI):実測値:262.1664、C1320O([MH])計算値:262.1668。
【0160】
実施例12:(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン(20、R=H)
実施例12.1:(3R,4R)−tert−ブチル4−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(13)
トルエン(60mL)中のアルコール12(4.10g、19mmol)及び酸化ジブチルスズ(5.17g、21mmol)の溶液を、ディーンスターク装置中で1時間還流する。この溶液を5℃に冷却し、塩化ベンゾイル(2.2mL、19mmol)を滴加し、その間、温度を10℃未満で維持する。この混合物を室温で17時間撹拌してから減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ガソリン中の40%EtOAc)にかけると、標題化合物13が黄色の油として得られる(2.48g、41%)。13C−NMR(125MHz,CDCl):δ=171.3、166.6、154.6、133.2、129.6、128.5、79.7、72.1、71.4、64.1、60.4、52.7、52.5、46.9、46.4、45.7、45.2及び28.5ppm。
【0161】
実施例12.2:(3R,4R)−tert−ブチル4−(ベンゾイルオキシメチル)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート(14)
tert−ブチルジメチルシリルクロリド(2.33g、15mmol)を、DMF(4mL)中のアルコール13(2.48g、7.7mmol)、イミダゾール(2.1g、31mmol)の撹拌溶液に加える。反応混合物を室温で17時間撹拌し、トルエン(50mL)及び水(50mL)で希釈する。相を分離し、水相をトルエン中に抽出する(2×50mL)。有機相を合わせたものを水(2×50mL)及びブライン(2×50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、標題化合物14が黄色の油として得られる(3.31g、98%)。さらなる精製は必要ない。H−NMR(500MHz,CDCl):δ=8.02〜7.99(2H,br.m)、7.58〜7.54(1H,br.m)、7.46〜7.41(2H,br.m)、4.36〜4.32(1H,br.m)、4.27〜4.18(2H,br.m)、3.72〜3.55(2H,br.m)、3.32〜3.15(2H,br.m)、2.54〜2.47(1H,br.m)、1.45(9H,d,J=4.6Hz)、0.85(9H,s)及び0.05ppm(6H,br.s)。
【0162】
実施例12.3:(3R,4R)−tert−ブチル3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(15)
ナトリウムメトキシド(1.8mL、7.9mmol、25重量%メタノール溶液)を、メタノール(10mL)中のベンゾイルエステル14(3.31g、7.6mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で撹拌し、3時間後、クロロホルム(40mL)で希釈する。この混合物を水で洗浄(2×20mL)し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ガソリン中の60%EtOAc)にかけると、標題化合物15が黄色の油として得られる(1.2g、47%)。13C−NMR(125MHz,CDCl):δ=154.6、79.4、72.8、72.1、62.5、62.4、53.2、52.5、48.9、48.3、46.4、45.9、28.5、25.8、17.9及び−0.04ppm。
【0163】
実施例12.4:(3R,4S)−tert−ブチル3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−ホルミルピロリジン−1−カルボキシレート(16)
アルコール15(1.1g、3.3mmol)を、CHCl(30mL)中のデスマーチンペルヨージナン(1.54g、3.6mmol)の懸濁液に加える。反応混合物を室温で2.5時間撹拌してから、エーテル(150mL)で希釈する。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム:10%チオ硫酸ナトリウム水溶液の1:1溶液で洗浄する(2×100mL)。有機相を乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:9、次いで2:8、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物16が淡黄色の油として得られる(980mg、90%)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=9.67(s,1H)、4.54〜4.52(m,1H)、3.68〜3.53(m,3H)、3.19(br.s,1H)、2.96(br.s,1H)、1.43(s,9H)、0.86(s,9H)及び0.06ppm(s,6H)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=199.7、154.2、79.8、71.5、70.9(回転異性体)、59.1、58.4(回転異性体)、53.6、53.0(回転異性体)、43.5、28.4、25.6、17.9、−4.8及び−4.9ppm。
【0164】
実施例12.5:(3R,4S)−tert−ブチル3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−ビニルピロリジン−1−カルボキシレート(17)
n−ブチルリチウム(4.3mL、6.8mmol、1.6Mヘキサン溶液)を、0℃のTHF(10mL)中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(2.44g、6.8mmol)の撹拌懸濁液に滴加する。30分後、この懸濁液を、−78℃に冷却したTHF(10mL)中のアルデヒド16(977mg、3.0mmol)の溶液に加える。−78℃で1時間の撹拌後、反応混合物を2.5時間かけて室温に温めてから水(30mL)でクエンチし、CHCl(100mL)中に抽出する。有機相を合わせたものを、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄してから乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:9、EtOAc:ガソリン)にかけると、標題化合物17が無色の油として得られる(867mg、89%)。13C−NMR(125MHz,CDCl):δ=154.5、136.6、116.8、79.3、75.8、74.8、52.8、52.3、50.8、50.0、48.5、48.0、28.5、25.7、18.0及び−4.8ppm;MS(ESI):350([MNa],100%);HRMS(ESI):実測値:350.2128、C1733NOSiNa([MNa])計算値:350.2127。
【0165】
実施例12.6:(3R,4S)−tert−ブチル3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−エチルピロリジン−1−カルボキシレート(18)
パラジウム(100mg、0.9mmol、10重量%、炭素上)を、エタノール(25mL)中のオレフィン17(870mg、2.7mmol)の溶液にアルゴン雰囲気下で加える。反応混合物を水素雰囲気下に置き、15時間撹拌してからセライトを通して濾過し、減圧下で濃縮すると、粗生成物18が得られる(770mg、88%)。さらなる精製は必要なかった。13C−NMR(125MHz,CDCl):δ=154.7、79.1、75.5、74.8、53.4、52.6、49.0、48.5、48.3、47.6、29.3、25.7、24.3、18.0、14.0及び−0.04ppm。
【0166】
実施例12.7:(3R,4S)−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン(19)
TFA(20mL、260mmol)中のBoc保護されたアミン18(772mg、2.3mmol)の溶液を、室温で17時間撹拌してから、減圧下で濃縮する。残留物を水(50mL)に溶解し、クロロホルムで洗浄する(2×50mL)。水相をシリカ上に吸収させ、シリカカラム(5:4.5:0.5、DCM:MeOH:NHOH)を通して溶出させると、標題化合物19が黄色の油として得られる(205mg、76%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=78.1、54.8、51.6、51.0、26.3及び13.0ppm;MS(ESI):116([MH],100%);[α]21=+5.04(c=1.15,MeOH)。
【0167】
実施例12.8:(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン(20、R=H)
ホルムアルデヒド(53μL、0.7mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(54mg、0.4mmol)を、1,4−ジオキサン(0.7mL)及び水(1.4mL)中の(3R,4S)−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン(19)(44mg、0.38mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で66時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、5%から30%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントを用い、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、次いで5:4.8:0.2、CHCl:MeOH:NHOH)にかけると、標題化合物20(R=H)がオフホワイトの固形物として得られる(67mg、67%)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、130.1、115.1、112.6、77.4、62.4、59.4、50.4、49.15、27.1及び12.9ppm;MS(ESI):262([MH,100%);HRMS(ESI):実測値:262.1665、C1320O([MH])計算値:262.1668;[α]21=+3.48(c=1.03,MeOH)。
【0168】
実施例13:(±)−trans−4−シクロペンチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=シクロペンチル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例13.1:ベンジル(±)−trans−4−シクロペンチル−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(6、X=シクロペンチル)
臭化シクロペンチル(0.5mL、4.7mmol)を、THF(10mL)中のマグネシウム(221mg、9mmol)の懸濁液に滴加し、1,2−ジブロモエタンで活性化させる。添加完了後、反応混合物を室温で1時間撹拌してから、−30℃(内部温度)のTHF(10mL)中のエポキシド8(230mg、1mmol)及びCuBr・DMS(55mg、0.3mmol)の溶液に10分かけて滴加する。反応混合物を75分間撹拌してから、10%NHCl水溶液(20mL)及びEtOAc(20mL)でクエンチする。この二相混合物を1時間撹拌してから、層を分離し、水相をEtOAcで抽出する(2×50mL)。有機相を合わせたものを乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、未精製物6(X=シクロペンチル)が淡黄色の油として得られ、これを、特徴付けせずに、直ちに次のステップで使用する。
【0169】
実施例13.2:(±)−trans−4−シクロペンチル−3−ヒドロキシピロリジン(11、X=シクロペンチル)
パラジウム(50mg、0.05mmol、10重量%、炭素上)を、MeOH(20mL)中の未精製物6、X=シクロペンチルの溶液にアルゴン下で加えた。反応混合物を水素雰囲気下に置き、1時間撹拌してから、さらなる触媒(50mg)を加える。反応混合物を水素雰囲気下にさらに1時間置いてから、セライト(Celite)(登録商標)を通して濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:4.6:0.4、CHCl:MeOH:28%NHOH水溶液)にかけると未精製物11(X=シクロペンチル)(43mg)が得られ、これを、さらに精製及び特徴付けせずに次のステップで使用する。
【0170】
実施例13.3:(±)−trans−4−シクロペンチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=シクロペンチル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(35μL、0.4mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(42mg、0.3mmol)を、1,4−ジオキサン(1mL)及び水(1mL)中の未精製物11(X=シクロペンチル)(43mg)の溶液に加える。反応混合物を室温で94時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、5%から30%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.95:0.05、CHCl:MeOH:28%NHOH水溶液)にかけると、標題化合物1(X=シクロペンチル、A=CH、B=NH、D=H)がオフホワイトの固形物として得られる(3ステップで28mg、10%)。H NMR(500MHz,CDOD):δ=8.16(s,1H)、7.50(s,1H)、3.97〜3.94(m,1H)、3.85(d,J=13.4Hz,1H)、3.80(d,J=13.4Hz,1H)、3.06(dd,J=9.6,8.1Hz,1H)、2.76〜2.68(m,2H)、2.39(dd,J=9.7,8.1Hz,1H)、1.89〜1.50(m,8H)、1.34〜1.30(m,1H)及び1.21〜1.08ppm(m,1H)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、130.2、115.2、112.4、76.7、63.0、59.1、54.2、49.1、44.7、32.2、31.8及び26.1(2C)ppm。ESI−HRMS:C1623ONa [MNa] 計算値、324.1800;実測値、324.1802。
【0171】
実施例14:(±)−trans−4−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例14.1:tert−ブチル(±)−trans−4−エチニル−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(22)
フッ化テトラブチルアンモニウム(3mL、3mmol、1.0M THF溶液)を、THF(15mL)中の21(調製については、実施例7.1、化合物10、X=トリメチルシリルエチニルを参照のこと)(569mg、2mmol)の撹拌溶液に滴加する。1時間室温で撹拌の後、反応混合物を、水(100mL)の添加によりクエンチしてから、EtOAcで抽出する(3×75mL)。有機相を合わせたものをブライン(80mL)で洗浄してから乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、未精製物22が黄色の油として得られる(420mg、99%)。さらなる精製は必要ない。H NMR(500MHz,CDCl):δ=4.26(dd,J=8.4,3.8Hz,1H)、3.63〜3.56(m,2H)、3.39〜3.32(m,1H)、3.22(t,J=11.5Hz,1H)、2.83(br.s,1H)、2.11(br.s,1H)及び1.37ppm(s,9H)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=154.7、82.7、79.9、75.0、74.2(回転異性体)、71.3、52.3、52.1(回転異性体)、49.7、49.2(回転異性体)、37.8、37.2(回転異性体)及び28.4ppm。ESI−HRMS:C1117NO23Na [MNa] 計算値、234.1106;実測値、234.1108。
【0172】
実施例14.2:tert−ブチル(±)−trans−4−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(23)
アスコルビン酸ナトリウム(14mg、0.07mmol)、次いで硫酸銅(II)(20μL、0.02mmol、1.0M水溶液)を、t−BuOH(1mL)及び水(1mL)中の22(122mg、0.6mmol)及びベンジルアジド(111mg、0.8mmol)の溶液に加える。室温で18.5時間撹拌の後、この混合物を水(10mL)とEtOAc(10mL)との間で分配させる。層を分離し、水相をEtOAcで抽出した(2×20mL)。有機相を合わせたものを5%NHOH水溶液(2×20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(グラジエント、50%から100%へ、ガソリン中のEtOAc)にかけると、23が黄色の油として得られる(114mg、57%)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.34〜7.30(m,4H)、7.22〜7.21(m,2H)、5.44(s,2H)、4.43(br. d,J=38Hz,1H)、4.18(d,J=11.0Hz,1H)、3.83(dd,J=11.0,7.6Hz,1H)、3.67〜3.58(m,1H)、3.51〜3.44(m,1H)、3.41〜3.33(m,1H)、3.29〜3.25(m,1H)及び1.40ppm(s,9H)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=154.6、154.5(回転異性体)、147.2、147.0(回転異性体)、134.5、129.1、128.8、128.1、120.9、79.6、74.9、74.1(回転異性体)、54.2、52.2、51.9(回転異性体)、49.1、48.6(回転異性体)、43.5、43.0(回転異性体)及び28.5ppm。ESI−HRMS:C1824Na [MNa] 計算値、367.1746;実測値、367.1747。
【0173】
実施例14.3:(±)−trans−4−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3−ヒドロキシピロリジン(24)
36%HCl水溶液(500μL、16mmol)を、メタノール(10mL)中の23(114mg、0.3mmol)の溶液に加える。反応混合物を減圧下で濃縮してから、メタノール(2×20mL)、次いでトルエン(10mL)で共沸させる。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中の20%(7N NH、MeOH中))にかけると、24がオフホワイトの固形物として得られる(60mg、74%)。H NMR(500MHz,CDOD):δ=7.81(s,1H)、7.38〜7.31(m,5H)、5.55(s,2H)、4.36(dt,J=5.7,3.9Hz,1H)、3.43(dd,J=11.4,7.8,1H)、3.29〜3.25(m,1H)、3.14(dd,J=12.1,5.7Hz,1H)、2.97(dd,J=11.4、6.5Hz,1H)及び2.85ppm(dd,J=12.0、3.7Hz,1H)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=149.8、136.8、130.0、129.6、126.2、123.1、78.9、55.1、54.9、52.4及び46.8ppm。ESI−HRMS:C1317O [MH] 計算値、245.1402;実測値、245.1401。
【0174】
実施例14.4:(±)−trans−4−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(1、X=1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(35μL、0.44mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(40mg、0.30mmol)を、1,4−ジオキサン(0.6mL)及び水(1.2mL)中の24(60mg、0.25mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で17時間撹拌してから、さらなるホルムアルデヒド(20μL、0.25mmol、37重量%水溶液)を加える。60時間撹拌の後、反応混合物をシリカ上に吸収させ、10%から30%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、CHCl:MeOH:28%NHOH水溶液)にかけると、1(X=1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル、A=CH、B=NH、D=H)がオフホワイトの固形物として得られる(49mg、51%)。H NMR(500MHz,CDOD):δ=8.14(s,1H)、7.79(s,1H)、7.48(s,1H)、7.37〜7.29(m,5H)、5.53(s,2H)、4.33〜4.30(m,1H)、3.89(d,J=13.4Hz,1H)、3.84(d,J=13.4Hz,1H)、3.25〜3.21(m,1H)、2.96(dd,J=10.3,6.8Hz,1H)、2.77(dd,J=10.3,4.0Hz,1H)及び2.68〜2.65ppm(m,1H)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、150.3、147.0、136.8、130.0(2 C)、129.6、129.1、123.1、115.2、112.7、77.8、62.2、59.4、54.9、48.9及び46.2ppm。ESI−HRMS:C2023O [MH] 計算値、391.1995;実測値、391.1994。
【0175】
実施例15:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)ピロリジン(1、X=1−H−1,2,3−トリアゾール−1−イル、A=CH、B=NH、D=H)
実施例15.1:tert−ブチル(±)−trans−4−アジド−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(25)(Tsuzuki,Y.、Chiba,K.、Mizuno,K.、Tomita,K.、Suzuki,K.、Practical Synthesis of (3S,4S)−3−methoxy−4−methylpyrolidine.、Tetrahedron:Asymmetry、2002、12、2989〜2997ページ)
アジ化ナトリウム(1.02g、15.7mmol)を、1,4−ジオキサン(9mL)及び水(1.8mL)中のエポキシド5(保護=COBu)(1.0g、5.4mmol)の溶液に加える。その結果得られる懸濁液を65時間かけて100℃に加熱してから0℃に冷却し、水(20mL)を加える。この混合物をEtOAcで抽出し(3×50mL)、有機相を合わせたものをブライン(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(3:7、次いで4:6、EtOAc:ガソリン)にかけると、25が淡黄色の油として得られる(1.21g、98%)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=4.23(br.s,1H)、3.93(br.s,1H)、3.70〜3.66(m,1H)、3.60〜3.56(m,1H)、3.46〜3.16(m,3H)及び1.46ppm(s,9H)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=154.6、80.3、74.1、73.3(回転異性体)、65.4、64.9(回転異性体)、51.9、51.6(回転異性体)、48.7、48.2(回転異性体)及び28.4ppm。ESI−HRMS:C16Na [MNa] 計算値、251.1120;実測値、251.1121。
【0176】
実施例15.2:tert−ブチル(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−(5−(トリメチルシリル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート(26)
トリメチルシリルアセチレン(2.2mL、15.6mmol)を、トルエン(35mL)中の25(730mg、3.2mmol)の溶液に加える。その結果得られる混合物を加熱して、88時間還流してから、冷却させ、減圧下で濃縮すると、26と27との混合物が得られる。この混合物を、特徴付けせずに、次のステップで直接使用する。
【0177】
実施例15.3:tert−ブチル(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート(27)
26と27との混合物をTHF(20mL)中に取り、TBAF(4.8mL、4.8mmol、1M THF溶液)を加える。反応混合物を4時間撹拌してから、さらなるTBAF(1.6mL、1.6mmol、1M THF溶液)を加えた。反応混合物をさらに16時間撹拌してから、EtOAc(30mL)と水(30mL)との間で分配する。層を分離し、水相をEtOAcで抽出する(2×50mL)。有機相を合わせたものをブラインで洗浄(2×50mL)し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(100%EtOAc)にかけると、27が淡黄色の粘性物質として得られ(2ステップで510mg、63%)、26が淡黄色の油として得られる(140mg、14%)。27。H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.63(d,J=6.8Hz,1H)、7.58(s,1H)、5.44(br.s,1H)、4.93〜4.89(m,1H)、4.60(d,J=15.9Hz,1H)、4.00(dd,J=9.5,7.2Hz,1H)、3.77〜3.67(m,2H)、3.36(dd,J=11.8,4.6Hz,1H)及び1.38ppm(s,9H)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=154.4、154.2(回転異性体)、133.6、123.1、80.4、74.2、73.4(回転異性体)、65.4、64.9(回転異性体)、51.7、51.1(回転異性体)、48.8、48.4(回転異性体)及び28.4ppm。ESI−HRMS:C1118Na [MNa] 計算値、277.1277;実測値、277.1275. 26。H NMR(500MHz,CDCl):δ= 7.51(s,1H)、4.92〜4.78(m,2H)、4.49(br.s,1H)、4.10〜4.03(m,1H)、3.89〜3.79(m,2H)、3.44(br.s,1H)、1.47(s,9H)及び0.29ppm(s,9H)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=155.6、155.4(回転異性体)、147.7、129.5、81.5、75.5、74.6(回転異性体)、66.5、66.0(回転異性体)、52.6、52.1(回転異性体)、50.2、49.7(回転異性体)、29.6及び0.0ppm. ESI−HRMS:C1426NaSi [MNa] 計算値、349.1672;実測値、349.1669。
【0178】
実施例15.4:(±)−trans−3−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ピロリジン 28
36%HCl水溶液(1mL、33mmol)を、メタノール(25mL)中の27(500mg、2.0mmol)の溶液に加える。反応混合物を減圧下で濃縮し、続いて、メタノール(2×20mL)、次いでトルエン(10mL)で共沸させる。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:4.6:0.4、CHCl:MeOH:28%NHOH水溶液)にかけると、28がオフホワイトの泡として得られる(185mg、61%)。H NMR(500MHz,CDOD):δ=8.06(d,J=0.9Hz,1H)、7.75(d,J=0.9Hz,1H)、4.94〜4.91(m,1H)、4.54〜4.51(m,1H)、3.58(dd,J=12.5,7.3Hz,1H)、3.37〜3.34(m,1H)、3.27(dd,J=12.6,4.7Hz,1H)及び2.92ppm(dd,J=12.2,3.9Hz,1H)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=134.5、125.4、78.7、69.8、54.7及び52.3ppm. ESI−HRMS:C11O [MH] 計算値、155.0933;実測値、155.0931。
【0179】
実施例15.5:(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)ピロリジン(1、X=1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル、A=CH、B=NH、D=H)
ホルムアルデヒド(75μL、0.9mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(100mg、0.75mmol)を、1,4−ジオキサン(1.5mL)及び水(1.5mL)中の28(96mg、0.62mmol)の溶液に加える。66時間撹拌の後、反応混合物をシリカ上に吸収させ、10%から20%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.98:0.02、CHCl:MeOH:28%NHOH水溶液)にかけると、(1、X=1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル、A=CH、B=NH、D=H)が得られる(58mg、31%)。試料は、分取用HPLCにより、TFA塩として分析純度まで精製する。H NMR(500MHz,CDOD):δ=8.45(s,1H)、8.14(d,J=0.8Hz,1H)、8.08(s,1H)、7.80(d,J=0.7Hz,1H)、5.33(dt,J=7.3,2.8Hz,1H)、4.82(s,2H)、4.66(p,J=2.2Hz,1H)、4.33(dd,J=13.2,7.5Hz,1H)、4.15(dd,J=13.2,3.6Hz,1H)、3.92(dd,J=12.4,4.5Hz,1H)及び3.66ppm(dd,J=12.3、1.7Hz,1H)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.0、145.1、139.9、136.1、135.1、126.6、114.1、104.6、75.8、66.6、60.3、57.2及び49.9ppm(CFCOOHによる共鳴シグナルは引用していない)。C1317OについてのESI−HRMS [MH] calcd,301.1525;found,301.1530。
【0180】
実施例16:(±)−trans−4−[3−(ベンジルチオ)プロピル]−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン[1、X=3−(ベンジルチオ)プロピル、A=CH、B=NH、D=H]
実施例16.1:(±)−tert−ブチルtrans−4−[3−(ベンジルチオ)プロピル]−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(29)
1,1’−アゾビス(シアノシクロヘキサン)(20mg、0.08mmol)を、1,4−ジオキサン(1.9mL)中の10(X=アリル)(245mg、1.1mmol)及びベンジルメルカプタン(1.9mL、16mmol)の溶液に加える。反応混合物を22時間かけて90℃に加熱しながら、3時間、5時間及び6時間の間隔で、さらなる1,1’−アゾビス(シアノシクロヘキサン)(32mg、0.1mmol)を加える。反応物を冷却させ、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:9、次いで1:1、EtOAc:ガソリン)にかけると、29:10(X=アリル)の5:1混合物が無色の油として得られる(272mg)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.31〜7.22(m,5H)、3.96(br.s,1H)、3.70(s,1H)、3.62〜6.52(m,2H)、3.25〜3.16(m,1H)、3.03〜2.98(m,1H)、2.43〜2.41(m,2H)、2.21〜1.95(m,2H)、1.61〜1.51(m,2H)、1.45(s,9H)及び1.30〜1.24ppm(m,1H)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=154.6、138.5、128.8、128.5、127.0、79.4、75.5、74.7(回転異性体)、52.8、52.5(回転異性体)、49.4、48.9(回転異性体)、45.9、45.4(回転異性体)、36.4、35.7(回転異性体)、31.3、30.6、28.5及び27.3ppm。ESI−HRMS:C1929NONaS [MNa] 計算値、374.1766;実測値、374.1761。
【0181】
実施例16.2:(±)−trans−4−[3−(ベンジルチオ)プロピル]−3−ヒドロキシピロリジン(30)
36%HCl水溶液(500μL、16mmol)を、メタノール(10mL)中の29:10(X=アリル)(272mg、5:1)の溶液に加える。反応混合物を減圧下で濃縮してから、メタノール(2×20mL)、次いでトルエン(10mL)で共沸させる。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:4.6:0.4、CHCl:MeOH:28%NHOH水溶液)にかけると、30が黄色の油として得られる(2ステップで115mg、60%)。H NMR(500MHz,CDOD):δ=7.33〜7.28(m,4H)、7.23〜7.20(m,1H)、4.14(s,1H)、3.72(s,2H)、3.53〜3.49(m,1H)、3.38〜3.35(m,1H)、3.14(d,J=12.3Hz,1H)、2.96(dd,J=11.6,5.5Hz,1H)、2.47〜2.44(m,2H)、2.16(br.s,1H)、1.64〜1.50(m,3H)及び1.39〜1.32ppm(m,1H)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=140.3、130.0、129.5、128.0、75.1、52.5、49.9、47.0、37.1、32.1、31.2及び28.5ppm。ESI−HRMS:C1422NOS [MH] 計算値、252.1422;実測値、252.1417。
【0182】
実施例16.3:(±)−trans−4−[3−(ベンジルチオ)プロピル]−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン[1、X=3−(ベンジルチオ)プロピル、A=CH、B=NH、D=H]
ホルムアルデヒド(40μL、0.5mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(46mg、0.3mmol)を、1,4−ジオキサン(0.8mL)及び水(0.8mL)中の30(75mg、0.3mmol)の溶液に加える。16時間撹拌の後、反応混合物をシリカ上に吸収させ、5%から50%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントで、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.95:0.05、次いで5:4.8:0.2、CHCl:MeOH:28%NHOH水溶液)にかけると、1(X=3−(ベンジルチオ)プロピル、A=CH、B=NH、D=H)がオフホワイトの固形物として得られる(23mg、20%)。H NMR(500MHz,CDOD):δ= 8.16(s,1H)、7.48(s,1H)、7.30〜7.23(m,4H)、7.18〜7.15(m,1H)、3.83〜3.79(m,3H)、3.67(s,2H)、3.00(t,J=8.3Hz,1H)、2.74(dd,J=10.4,6.4Hz,1H)、2.67(dd,J=10.3,4.0Hz,1H)、2.38(t,J=7.0Hz,1H)、2.13(dd,J=9.6,8.0Hz,1H)、1.92〜1.86(m,1H)、1.97〜1.48(m,3H)及び1.37〜1.30ppm(m,1H)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、140.3、130.1、130.0、129.4、127.8、115.2、112.6、77.6、62.4、59.5、49.1、48.2、36.9、33.4、32.2及び28.9ppm. ESI−HRMS:C2128OS [MH] 計算値、398.2015;実測値、398.2013。
【0183】
実施例17:(3R,4S)−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(20、R=Et)
実施例17.1:tert−ブチル(3R,4S)−4−(ブタ−1−エニル)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−ピロリジン−1−カルボキシレート(17、R=Et)
n−ブチルリチウム(2.7mL、3.8mmol、1.4Mヘキサン溶液)を、0℃のTHF(20mL)中のn−プロピルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.743g、4.52mmol)の撹拌懸濁液に滴加する。20分後、この懸濁液を−40℃に冷却し、THF(10mL)中の6(調製については実施例12.4を参照のこと)(497mg、1.5mmol)の溶液を加え、その結果得られる混合物を−10℃に温め、その温度で30分間維持する。次に、反応混合物を水(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(50mL)で抽出する。有機層を分離し、水(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄してから、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。その結果得られる残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:19、EtOAc:ガソリン)にかけると、17(R=Et)が油として得られる(300mg、56%)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=5.51(dt,J=10.8,7.3Hz,1H)、5.10(brt,J=10.1Hz,1H)、3.99〜3.91(m,1H)、3.67〜3.58(m,1H)、3.56〜3.49(m,1H)、3.17〜2.89(m,3H)、2.17〜2.00(m,2H)、1.45(s,9H)、0.97(t,J=7.6Hz,3H)、0.87(s,9H)及び0.04ppm(s,6H)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=154.6、135.0、127.6、79.3、76.3、75.6(回転異性体)、53.0、52.5(回転異性体)、49.6、49.2(回転異性体)、45.2、44.5(回転異性体)、28.6、25.8、21.0、18.1、14.4及び−4.8ppm。ESI−HRMS:C1937NNaOSi [MNa] 計算値、378.2440;実測値、378.2438。
【0184】
実施例17.3:(3R,4S)−4−ブチル−3−ヒドロキシピロリジン(19、R=Et)
エタノール(5mL)中の17(R=Et)(260mg、0.73mmol)及びパールマン触媒(50mg、cat.、20%b/w)の懸濁液を、水素雰囲気下、室温で18時間撹拌する。次に、反応混合物を、セライト(登録商標)を通して濾過し、減圧下で濃縮すると、おそらく(3R,4S)−tert−ブチル−4−(ブチル)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−ピロリジン−1−カルボキシレート(18、R=Et)が無色の油として得られる。H NMRから、オレフィンのプロトンが一切存在しないことが確認され、化合物18(R=Et)は、さらなる特徴付け又は精製を行うことなく、次のステップに送る。36%HCl水溶液(1mL、12mmol)を、メタノール(2mL)中の18(R=Et)(270mg、0.76mmol)の溶液に加え、その結果得られる溶液を減圧下で濃縮する。その結果得られる残留物を濃HCl(1mL、12mmol)に溶解し、減圧下で濃縮し、その結果得られる残留物を水(10mL)とCHCl(5mL)との間で分配する。水層をCHCl(5mL)で再び洗浄し、減圧下で濃縮すると、19(R=Et)の塩酸塩が白色の泡として得られる(136mg、100%)。H NMR(500MHz,DO):δ=4.18〜4.14(m,1H)、3.47(dd,J=11.9,7.4Hz,1H)、3.34(dd,J=12.7,5.3Hz,1H)、3.11(dd,J=12.7,2.9Hz,1H)、2.93(dd,J=11.9,6.1Hz,1H)、2.16〜2.08(m,1H)、1.42〜1.31(m,1H)、1.25〜1.14(m,5H)及び0.75ppm(t,J=7.1Hz,3H)。13C NMR(125MHz,DO):δ=73.9、51.1、48.9、45.3、30.1、29.1、21.9及び13.3ppm。ESI−HRMS:C18NO [MH] 計算値、144.1388;実測値、144.1383。
【0185】
実施例17.4:(3R,4S)−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン(20、R=Et)
ホルムアルデヒド(86μL、1.1mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(112mg、0.84mmol)を、1,4−ジオキサン(1mL)及び水(2mL)中の19(R=Et)(100mg、0.56mmol)の溶液に加える。反応混合物を85℃に温め、1時間後、未精製の反応混合物をシリカ上に吸収させ、5%から30%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントを用い、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.5:0.5、CHCl:MeOH:28%NHOH水溶液)にかけると、20(R=Et)がオフホワイトの固形物として得られる(90mg、56%)。H NMR(500MHz,CDOD):δ=8.17(s,1H)、7.49(s,1H)、3.86〜3.83(m,1H)、3.81(q,J=13.2Hz,2H)、3.05(dd,J=9.6,8.0Hz,1H)、2.74(dd,J=10.4,6.3Hz,1H)、2.69(dd,J=10.4,4.0Hz,1H)、2.17(dd,J=9.7,8.0 Hz. 1H)、1.98〜1.90(m,1H)、1.57〜1.47(m,1H)、1.34〜1.24(m,5H)及び0.89ppm(t,J=6.9Hz,3H)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、130.1、115.1、112.6、77.8、62.4、59.7、49.1、48.6、34.0、31.5、23.8及び14.4ppm。ESI−HRMS:C1524O [MH] 計算値、290.1981;実測値、290.1988
【0186】
実施例18:(±)−cis−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン(34)
【化22】


実施例18.1:ベンジル(±)−cis−3−(ベンゾイルオキシ)−4−エチルピロリジン−1−カルボキシレート(31)
安息香酸(430mg、3.5mmol)及びトリフェニルホスフィン(909mg、3.5mmol)を、THF(24mL)中の6(X=エチル)(719mg、2.8mmol)の撹拌溶液に加える。反応混合物を−10℃に冷却し、DIAD(680μL、3.5mmol)を10分かけて滴加する。−10℃で45分間撹拌の後、反応混合物を室温に温め、22時間撹拌してから、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:9、次いで2:8、EtOAc:ガソリン)にかけると、31が、輝きのない無色の油として得られる(995mg、98%)。H NMR(500MHz,CDCl):δ= 8.12〜8.00(m,2H)、7.60〜7.56(m,1H)、7.49〜7.28(m,7H)、5.57〜5.53(m,1H)、5.20〜5.09(m,2H)、3.89〜3.67(m,3H)、3.29(dt,J=19.1,10.7Hz,1H)、2.35〜2.24(m,1H)、1.68〜1.46(m,2H)及び0.98〜0.94ppm(m,3H)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=166.0、165.9、154.8、136.9、136.7、133.5、133.3、133.2、130.2、130.0、129.9、129.7、128.5、128.4、127.9、74.7、73.8(回転異性体)、67.0、66.9(回転異性体)、53.3、53.0(回転異性体)、49.8、49.5(回転異性体)、45.1、44.3(回転異性体)、20.1及び12.4ppm。ESR−HRMS:C2123NONa [MNa] 計算値、376.1525;実測値、376.1521。
【0187】
実施例18.2:ベンジル(±)−cis−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(32)
水(20mL)中のKCO(583mg、4.2mmol)の溶液を、エタノール(40mL)中の31(995mg、2.8mmol)の溶液に加える。その結果得られる混合物を加熱して90分間還流させてから、冷却させ、減圧下で濃縮する。残留物をDCM(50mL)と水(50mL)との間で分配し、層を分離し、水相をEtOAcで抽出する(3×50mL)。有機相を合わせたものをブラインで洗浄(2×50mL)し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(3:7、EtOAc:ガソリン)にかけると、32が黄色の油として得られる(476mg、68%)。H NMR(500MHz,CDCl):δ=7.35〜7.29(m,5H)、5.15〜5.08(m,2H)、4.23(br.s,1H)、3.67〜3.47(m,3H)、3.14(dd,J=10.8,3.6Hz,1H)、2.24(br. d,J=45Hz,1H)、2.01〜1.94(m,1H)、1.61〜1.53(m,1H)、1.51〜1.43(m,1H)及び0.98〜0.94ppm(m,3H)。13C NMR(125MHz,CDCl):δ=155.2、155.0、136.9、128.4、127.9、127.8、71.7、70.7(回転異性体)、66.8、66.7(回転異性体)、55.5、55.0(回転異性体)、49.0、48.8(回転異性体)、46.0、45.3(回転異性体)、19.6及び12.4ppm。ESI−HRMS:C1419NONa [MNa] 計算値、272.1263;実測値、272.1268。
【0188】
実施例18.3:(±)−cis−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン(33)
パラジウム(10mg、0.01mmol、10重量%、炭素上)を、MeOH(10mL)中の32(146mg、0.5mmol)の溶液にアルゴン下で加える。反応混合物を水素雰囲気下に置き、1時間撹拌してから、セライト(登録商標)を通して濾過し、減圧下で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(グラジエント、10%から40%へ、DCM中の(7N NH、MeOH中))にかけると、33が黄色の油として得られる(42mg、62%)。H NMR(500MHz,CDOD):δ=4.17(td,J=4.5,1.4Hz,1H)、3.04(dd,J=12.2,4.4Hz,1H)、2.99(dd,J=10.5,7.9Hz,1H)、2.84(dd,J=12.2,1.3Hz,1H)、2.61(t,J=10.6Hz,1H)、1.86〜1.79(m,1H)、1.65〜1.56(m,1H)、1.46〜1.37(m,1H)及び0.98ppm(t,J=7.4Hz,3H)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=73.2、56.0、50.6、48.6、21.0及び13.3ppm。ESI−HRMS:C14NO [MH] 計算値、116.1075;実測値、116.1077。
【0189】
実施例18.4:(±)−cis−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン(34)
ホルムアルデヒド(35μL、0.4mmol、37重量%水溶液)、次いで9−デアザアデニン(52mg、0.4mmol)を、1,4−ジオキサン(1mL)及び水(1mL)中の33(32mg、0.3mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で68時間撹拌し、シリカ上に吸収させ、10%から50%へのCHCl中の(7N NH、MeOH中)のグラジエントを用い、シリカカラムを通して溶出させる。粗生成物を回収し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(5:4.9:0.1、次いで5:4.8:0.2、CHCl:MeOH:28%NHOH水溶液)にかけると、34がオフホワイトの固形物として得られる(45mg、62%)。H NMR(500MHz,CDOD):δ=8.16(s,1H)、7.49(s,1H)、4.20(td,J=5.8,3.3Hz,1H)、3.89(s,2H)、3.17(dd,J=10.9,5.5Hz,1H)、2.95(dd,J=9.4,7.5Hz,1H)、2.57(dd,J=10.9,3.3Hz,1H)、2.41(t,J=9.9Hz,1H)、2.00〜1.92(m,1H)、1.61〜1.53(m,1H)、1.38〜1.28(m,1H)及び0.92ppm(t,J=7.5Hz,3H)。13C NMR(125MHz,CDOD):δ=152.1、151.0、147.0、130.1、115.1、112.7、72.5、63.0、58.3、49.4、46.6、21.4及び13.2ppm。ESI−HRMS:C1320O [MH] 計算値、262.1668;実測値、262.1663。
【0190】
実施例19:阻害試験
エスケイキア・コリのMTAN及びヒトのMTAPを、報告された方法に従って入手する(Singhら、Biochemistry、44、11647〜11659ページ、(2005);Singh及びSchramm、J.Am.Chem.Soc.、128、14691〜14696ページ、(2006)。ナイセリア・メニンギティディスMC58及びヘリコバクター・ピロリJ99のMTANの遺伝子配列をゲノムのDNA(ATCC)から増幅させ、改変したpET−32ベクター中にクローン化して、非切断性のN末端の6Hisタグを有するMTANが高レベルで発現するようにする。MTANコンストラクトを有するBL21(DE3)の培養液1.5Lを、0.5mMのIPTGを用いて25℃で20時間、激しく振盪させて誘導する。細胞ペレットを洗浄し、細胞破砕器を15K psiで用いて、40mLの溶解緩衝液(25mMのHEPES、0.5MのNaCl、10mMのイミダゾール、pH7.6、プロテアーゼ阻害剤及び0.25mMのTCEP)に溶解する。細胞の破片を遠心分離により除去した後、可溶性の細胞溶解物をニッケル担持キレート化セファロース(GE Healthcare)上に載せ、20〜150mMのイミダゾールを含有する溶解緩衝液で洗浄する。6His−MTANを250mMのイミダゾール中で溶出させ、セファデックス(Sephadex)G−15(GE Healthcare)ゲル濾過カラムを用いて脱塩し、低塩緩衝液(100mMのHEPES、30mMのKCL、pH7.6)で平衡化し、40mg/mLに濃縮する。
【0191】
阻害剤の濃度は274nmでの吸光度から得るが、9−デアザアデニン部分についての吸光係数は8.5mM−1cm−1である。
【0192】
連続的な分光光度アッセイを用いて、本発明の化合物、及びin vivoでのMTAPの阻害を特徴付ける。MTAからアデニンへの変換を274nmでの吸光度の減少として測定する。274nmでは、スペクトル特性の差が最大であり、MTAからアデニンへの変換については、ミリモル吸光係数(cm−1)は1.6である。
【0193】
MTAN活性を、報告されているとおりにアッセイする(Singhら、(2006)、Biochemistry、45、12929〜12941ページ;Singhら、(2005)、J.Biol.Chem.、280、18265〜18273ページ)。簡潔に言えば、全ての実験は、25℃の条件で、100mMのHEPES緩衝液、pH7.5及び50mMのKClを含有する総反応物体積1mLで、5’−デオキシメチルチオアデノシン(MTA)を基質として用いて実施する。速度定数(kcat及びK)を、274nmでのMTA加水分解をモニターすることにより決定する(このとき、ΔεMTA=1.6mM−1cm−1)。阻害剤の解離定数(K)の測定については、キサンチンオキシダーゼ結合アッセイを実施する。このアッセイにおいては、飽和レベル(1〜2mM)のMTA及び多様な濃度の阻害剤を、キサンチンオキシダーゼ(0.5unit/mL)と混合するが、この酵素は、MTANの生成物アデニンを2,8−ジヒドロキシアデニンに変換させるために使用する(293nmでは、ε2,8−ジヒドロクスアデニン(dihydroxadenine)=15.2mM−1cm−1)。反応は、8〜10nMのMTANの添加により開始され、293での吸光度をモニターする。対照実験は、阻害剤又はMTANのいずれかの不在下で実施する。10倍超過剰な阻害剤の存在下で遅く開始する場合の解離定数Kを、以下の式を用いて得る:
【数1】


式中、ν’及びνは、阻害剤の存在下及び不在下それぞれにおける定常状態比であり、Kは、前述のように得られる基質のミカエリス定数であり、[S]及び[I]は、それぞれ、基質MTA及び阻害剤の濃度である。阻害剤の濃度が酵素の10倍の濃度より小さい場合には、以下の補正を施す:
【数2】


式中、I’は、有効な阻害剤濃度であり、Iは、このアッセイにおいて使用する阻害剤の濃度であり、ν’及びνは、それぞれ、阻害剤の存在下及び不在下での初速度であり、Eは、このアッセイにおいて使用する総MTAN濃度である。データの当てはめは全て、カレイダグラフ(KaleidaGraph)(商標)、ver.3.5(Synergy Software)を用いて実施する。
【0194】
【表1】

【0195】
本発明を、実施例を用いて記載してきたが、本発明の範囲から逸脱せずに変形又は改変がなされてもよいことは理解されるべきである。さらに、特定の特徴に対し公知の等価物が存在する場合、そのような等価物は、本明細書において具体的に言及されている場合と同様に組み込まれる。
【0196】
[産業上の応用可能性]
本発明は、MTAP及び/又はMTANの阻害剤である化合物に関する。したがって、本化合物は、MTAP又はMTANの阻害が望ましい疾患(例えば、癌及び細菌感染症)の治療又は予防に適応される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその互変異性体、その薬学的に許容できる塩、若しくはそのエステルプロドラッグ形態。
【化1】


[式(I)中、
Xは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアリール基であり、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基及びNR基からなる群から選択される1つ若しくは複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されており、又は、XはSR若しくは、NRであり、
、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル又はアリールから成る群から独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基及びNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されており、
AはN又はCHであり、
BはNH又はNHRであり、
は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基又はアリール基であり、それぞれは、1つ又は複数のハロゲン基又はヒドロキシ基で場合により置換されており、
Dは、H、OH、NH又はSCHである。
但し、BがNHであり、DがHであり、AがCHであるとき、Xは、プロピル、フェニルエチル、CHSQ、CHOH又はCHOQ(式中、Qは、場合により置換されているアルキル基、アラルキル基又はアリール基である)ではない。]
【請求項2】
前記化合物が、式(Ia)の化合物である、請求項1に記載の化合物又はその互変異性体、その薬学的に許容できる塩、若しくはそのエステルプロドラッグ形態。
【化2】


[式(Ia)中、X、A、B及びDは請求項1に記載のとおりである。
但し、BがNHであり、DがHであり、AがCHであるとき、Xは、プロピル、フェニルエチル、CHSQ、CHOH又はCHOQ(式中、Qは、場合により置換されているアルキル基、アラルキル基及びアリール基である)ではない。]
【請求項3】
前記化合物が、式(Ib)の化合物である、請求項1に記載の化合物又はその互変異性体、その薬学的に許容できる塩、若しくはそのエステルプロドラッグ形態。
【化3】


[式(Ib)中、Xは請求項1に記載のとおりである。
但し、Xは、プロピル、フェニルエチル、CHSQ、CHOH及びCHOQ(式中、Qは、場合により置換されているアルキル基、アラルキル基又はアリール基である)ではない。]
【請求項4】
Xが、アルケニル基又はアルキニル基であり、それぞれが、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基及びNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Xが、アルキル基であり、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基及びNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Xが、シクロアルキル基であり、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基及びNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Xが、環原子のうち1つ又は複数がヘテロ原子であるシクロアルキル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Xが、アリール基であり、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基及びNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
XがSR[式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル又はアリールであり、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基及びNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている]である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
XがNR[式中、R及びRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル又はアリールから独立に選択され、それぞれは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ハロゲン基、カルボン酸基、カルボキシレートアルキルエステル基、ニトロ基、シアノ基、チアゾール基及びNR基からなる群から選択される1つ又は複数の置換基(アルキルチオ基、アリールチオ基及びアラルキルチオ基はそれぞれ、1つ又は複数のアルキル基、ハロゲン基、アミノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基で場合により置換されている)で場合により置換されている]である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
BがNHである、請求項1、2又は4〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
AがCHである、請求項1、2又は4〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
i.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン;
ii.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ビニルピロリジン;
iii.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エテニル−3−ヒドロキシピロリジン;
iv.(±)−trans−4−アリル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
v.(±)−trans−4−シクロプロピル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
vi.(±)−trans−4−シクロヘキシル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
vii.(±)−trans−4−シクロヘキシルメチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
viii.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−プロプ−1−エン−2−イル−ピロリジン;
ix.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン;
x.(±)−trans−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xi.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ペンタ−3−イル−ピロリジン;
xii.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン;
xiii.(±)−trans−4−シクロペンチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xiv.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ピロリジン;
xv.(±)−trans−4−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xvi.(±)−trans−4−(3−ベンジルチオプロピル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xvii.(3R,4S)−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xviii.(±)−cis−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン;
xix.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン;
xx.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ビニルピロリジン;
xxi.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エテニル−3−ヒドロキシ−ピロリジン;
xxii.(3R,4S)−4−アリル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxiii.(3R,4S)−4−シクロプロピル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxiv.(3R,4S)−4−シクロヘキシル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxv.(3R,4S)−4−シクロヘキシルメチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxvi.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−プロプ−1−エン−2−イル−ピロリジン;
xxvii.(3R,4S)−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxviii.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−ペンタ−3−イル−ピロリジン;
xxix.(3R,4S)−4−シクロペンチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxx.(3S,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ピロリジン;
xxxi.(3R,4R)−4−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxxii.(3R,4S)−4−(3−ベンジルチオプロピル)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxxiii.(3S,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−4−エチル−3−ヒドロキシピロリジン;
xxxiv.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−メチルプロピル)ピロリジン;
xxxv.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(2−メチルプロピル)ピロリジン;
xxxvi.(±)−trans−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxxvii.(3R,4S)−4−ブチル−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシピロリジン;
xxxviii.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(チアゾール−2−イル)−ピロリジン;
xxxix.(3R,4S)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(チアゾール−2イル)−ピロリジン
xl.(±)−trans−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(テトラゾール−5−イル)−ピロリジン;及び
xli.(3R,4R)−1−[(9−デアザ−アデニン−9−イル)メチル]−3−ヒドロキシ−4−(テトラゾール−5−イル)−ピロリジン
からなる群から選択される化合物、又はその互変異性体、その薬学的に許容できる塩、若しくはそのエステルプロドラッグ形態。
【請求項14】
薬学的に有効な量の請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項15】
薬学的に有効な量の請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物を、治療を必要とする患者に投与するステップを含む、5’−メチルチオアデノシンホスホリラーゼ又は5’−メチルチオアデノシンヌクレオシダーゼが阻害されることが望ましい疾患又は状態を治療又は予防する方法。
【請求項16】
前記疾患又は状態が、細菌感染症又は癌である、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2012−533538(P2012−533538A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520557(P2012−520557)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/NZ2010/000148
【国際公開番号】WO2011/008110
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(303065887)アルバート・アインシュタイン・カレッジ・オブ・メディシン・オブ・イエシヴァ・ユニバーシティー (3)
【出願人】(500084016)インダストリアル リサーチ リミテッド (8)
【Fターム(参考)】