説明

5−フェニルピラゾロピリジン誘導体、これの調製および治療的使用

式(I)


(式中、R1は、ハロゲン、(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルキル、−S(O)(C−C)アルキル、−S(O)(C−C)アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシ(C−C)アルキレン、CHO、COOH、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキレンオキシ、NRaRb、CONRaRb、SONRaRb、NRcCORd、OC(O)NRaRb、OCO(C−C)アルキル、NRcC(O)OReまたはNRcSOReから互いに独立して選択される1個以上の原子または基によって場合により置換された、フェニル基またはナフチル基を表し、Xは、互いに同じでありまたは異なり、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1から4個の置換基を表し、(C−C)アルキルがハロゲン、(C−C)アルコキシまたはヒドロキシルから選択される1個以上の基によって場合により置換されることが可能であり、R2およびR3は、互いに独立して、水素原子、Rf基によって場合により置換された(C−C)アルキル基またはCHOもしくはCOOH基を表し、XおよびR3は、これらを担持する炭素原子と一緒に、5から7個の炭素原子の炭素環を形成することができ、R4は、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、RaおよびRbは互いに独立して、水素原子もしくは(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキレンもしくはアリール基を表し、またはRaおよびRbは、これらを担持する窒素原子と一緒に、(C−C)アルキル、アリールまたはアリール(C−C)アルキレン基によって場合により置換された、アゼチジン、ピロリジン、ピペラジン、アゼピン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジンまたはホモピペラジン基を形成し、RcおよびRdは互いに独立して、水素原子もしくは(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキレンもしくはアリール基を表し、またはRcおよびRdは一緒に(C−C)アルキレン基を形成し、Reは、(C−C)アルキル,アリール(C−C)アルキレンもしくはアリール基を表し、またはRcおよびReは一緒に(C−C)アルキレン基を形成し、Rfは、ヒドロキシル、オキソ、CHOまたはCOOH基を表す。)の、塩基のまたは酸との付加塩の形の、化合物。
治療的使用および合成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−フェニルピラゾロピリジン誘導体、これの調製ならびにNR4A2、NOT、TINUR、RNR−1およびHZF3としても公知のNurr−1核内受容体に関係する疾患の処置または予防における治療的用途に関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の主題は、塩基のまたは酸との付加塩の形の、式(I):
【0003】
【化1】

の化合物であって、
式中、
R1は、
フェニル基またはナフチル基を表し、これらの2個の基は、互いに独立して、以下の原子または基:ハロゲン、(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルキル、−S(O)(C−C)アルキル、−S(O)(C−C)アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシ(C−C)アルキレン、CHO、COOH、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキレンオキシ、NRaRb、CONRaRb、SONRaRb、NRcCORd、OC(O)NRaRb、OCO(C−C)アルキル、NRcC(O)OReまたはNRcSOReから選択される1個以上の原子または基によって場合により置換されることが可能であり、
Xは、互いに同じでありまたは異なり、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1から4個の置換基を表し、(C−C)アルキル基がハロゲン、(C−C)アルコキシまたはヒドロキシルから選択される1個以上の基によって場合により置換されることが可能であり、
R2およびR3は、互いに独立して、
水素原子、
Rf基によって場合により置換された(C−C)アルキル基、
CHOまたはCOOH基
を表し、
XおよびR3は、これらを担持する炭素原子と一緒に、5から7個の炭素原子の炭素環を形成することができ、
R4は、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
RaおよびRbは互いに独立して、水素原子もしくは(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキレンもしくはアリール基を表し、
またはRaおよびRbは、これらを担持する窒素原子と一緒に、(C−C)アルキル、アリールまたはアリール(C−C)アルキレン基によって場合により置換された、アゼチジン、ピロリジン、ピペラジン、アゼピン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジンまたはホモピペラジン基を形成し、
RcおよびRdは互いに独立して、水素原子もしくは(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキレンもしくはアリール基を表し、
またはRcおよびRdは一緒に(C−C)アルキレン基を形成し、
Reは、(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキレンもしくはアリール基を表し、
またはRcおよびReは一緒に(C−C)アルキレン基を形成し、
Rfは、ヒドロキシル、オキソ、CHOまたはCOOH基を表す。
【0004】
式(I)の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を含むことができる。これらはこのため、エナンチオマーまたはジアステレオマーの形で存在することができる。これらのエナンチオマーおよびジアステレオマー、およびラセミ混合物を含むこれらの混合物は、本発明に含まれる。
【0005】
式(I)の化合物は、塩基のまたは酸との付加塩の形で存在することができる。このような付加塩は本発明に含まれる。
【0006】
これらの塩は医薬的に許容される酸によって調製することができるが、例えば式(I)の化合物の精製または単離で有用な他の酸の塩も、本発明に含まれる。
【0007】
式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物の形でも、即ち水の1個以上の分子または溶媒との化合または会合の形でも存在することができる。このような水和物および溶媒和物も、本発明に含まれる。
【0008】
本発明の状況において、
(C−C)基は、x個とt個の間の炭素原子を含む基を意味すると理解される。
【0009】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味すると理解される。
【0010】
アルキル基は、飽和直鎖、分枝または環式アルキル基によって場合により置換された飽和直鎖、分枝または環式脂肪族基を意味すると理解される。一例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロプロピルまたはシクロプロピルメチル基などが挙げられ得る。
【0011】
アルキレン基は、2価アルキル基を意味すると理解される。
【0012】
アルコキシ基は、アルキル基が上で定義された通りであるO−アルキル基(radical)を意味すると理解される。
【0013】
ハロアルキル基は、1個以上の同じまたは異なるハロゲン原子によって置換されたアルキル基を意味すると理解される。一例として、CF、CHCF、CHFまたはCCl基が挙げられ得る。
【0014】
ハロアルコキシ基は、アルキル基が上で定義した通りであり、1個以上の同じまたは異なるハロゲン原子によって置換されているO−アルキル基(radical)を意味すると理解される。一例として、OCF、OCHFまたはOCCl基が挙げられ得る。
【0015】
チオアルキル基は、アルキル基が上で定義された通りであるS−アルキル基(radical)を意味すると理解される。
【0016】
硫黄および窒素原子は、酸化状態(N−オキシド、スルホキシド、スルホン)であることができる。
【0017】
アリール基は、6から10個の原子を含む単環式または2環式芳香族基を意味すると理解される。アリール基の一例として、フェニルおよびナフチルが挙げられ得る。
【0018】
炭素環は、5から7個の炭素原子飽和、部分飽和または不飽和および単環式または2環式基を意味すると理解される。炭素環の一例として、インダンが挙げられ得る。
【0019】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、化合物の第1の群は、塩基のまたは酸との付加塩の形である化合物
(式中、
R1は、ハロゲンによって置換されたフェニル基を表し、
R2およびR3は、互いに独立して、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
R4は、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
Xは、1個以上の水素もしくはハロゲン原子を表し、またはXおよびR3は、これらを担持する炭素原子と一緒に、5個の炭素原子の炭素環を形成することができる。)
で構成される。
【0020】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、化合物の第2の群は、塩基のまたは酸との付加塩の形である化合物
(式中、
R1は、塩素またはフッ素原子によって置換されたフェニル基を表し、
R2およびR3は、互いに独立して、水素原子、メチルまたはシクロプロピル基を表し、
R4は、水素原子またはメチル基を表し、
Xは、1個以上の水素もしくはフッ素原子を表し、またはXおよびR3は、これらを担持する炭素原子およびベンゾ縮合環と一緒に、インダン基を形成することができる。)
で構成される。
【0021】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、特に以下の化合物が挙げられ得る:
{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール
2−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパン−2−オール
1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}エタノール
1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}シクロプロピルメタノール
{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]−2,6−ジフルオロフェニル}メタノール
{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール
2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパン−2−オール
1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}エタノール
2−(4−クロロフェニル)−5−(3−メトキシメチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
{4−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール
{2−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール
6−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]インダン−1−オール
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明により、一般式(I)の化合物は、スキーム1に記載された方法に従って調製できる。
【0023】
【化2】

【0024】
本発明の化合物は、例えばA.Gueiffier in Helv.Chim.Acta,2001,84,3610−3615によって記載された方法に従って、一般式(I)の化合物を得るために、一般式(II)のピラゾロピリジン(式中、R1は上で定義した通りであり、Yはハロゲン原子またはホウ素誘導体を表す。)と、一般式(III)の誘導体(式中、Xは上で定義した通りであり、Zは、Yがハロゲン原子を表す場合にはホウ素もしくはスズ誘導体を、あるいはYがホウ素誘導体を表す場合にはハロゲン原子を表し、およびR5は
【0025】
【化3】

基を表す。)との間の、パラジウムなどの金属によって触媒されたカップリング反応によって、スキーム1に従って調製することができる。
【0026】
本発明の化合物は、例えばA.Gueiffier in Helv.Chim.Acta,2001,84,3610−3615によって記載された方法に従って、一般式(IV)の化合物を得るために、一般式(II)のピラゾロピリジン(式中、R1は上で定義した通りであり、Yはハロゲン原子またはホウ素誘導体を表す。)と、一般式(III’)の誘導体(式中、Xは上で定義した通りであり、Zは、Yがハロゲン原子を表す場合にはホウ素もしくはスズ誘導体を、あるいはYがホウ素誘導体を表す場合にはハロゲン原子を表し、およびR5’はカルボニル誘導体R2COを表し、ここでR2は上で定義した通りであり、あるいはR5’はアルキルカルボキシラートまたはアルデヒドを表す。)との間の、パラジウムなどの金属によって触媒されたカップリング反応によって、スキーム1に従って調製することもできる。
【0027】
続いて、一般式(IV)の化合物は、有機マグネシウム誘導体、例えばR3MgBr(式中、R3は上で定義された通りである。)などの有機金属誘導体の作用によって、または水素化金属、例えばホウ化水素ナトリウムまたはこれの誘導体1つを使用するカルボニル基の還元、または当業者に公知の他のいずれかの方法によって、一般式(I)の化合物(式中、R4は水素原子を表す。)に変換することができる。
【0028】
本発明により、一般式(IIa)の化合物は、スキーム2に記載された方法に従って調製できる。
【0029】
【化4】

【0030】
スキーム2の経路Aにおいて、一般式(IIa)の化合物(式中、R1は上で定義された通りであり、Halはハロゲン原子を表す。)は、例えばY.Tamura,J.−H.Kim,Y.Miki,H.Hayashi and M.Ikeda,in J.Het.Chem.,1975,12,481によって記載された方法に従って、O−(メシチレンスルホニル)ヒドロキシルアミン(MSH)の一般式(VI)の化合物(式中、R1およびHalは上で定義された通りである。)に対する作用によって調製することができる。
【0031】
スキーム2の経路Bにおいて、一般式(IIa)の化合物(式中、R1は上で定義された通りであり、Halはハロゲン原子を表す。)は、例えばY.Tamura,J.−H.Kim,Y.Miki,H.Hayashi and M.Ikeda,in J.Het.Chem.,1975,12,481によって記載された方法に従って、O−(メシチレンスルホニル)ヒドロキシルアミンの一般式(VI’)のオキシム(式中、R1およびHalは上で定義された通りである。)に対する作用によっても調製することができる。化合物(VI’)は、ヒドロキシルアミンの化合物(VI)に対する作用によって得ることができる。
【0032】
化合物(VI)は、例えばK.S.Gudmundsson in Bioorg.Med.Chem.,2005,13,5346によって記載された方法に従って、強塩基の存在下で化合物(V)から一般式(VII)のエステル(式中、R1は上で定義された通りであり、Rはアルキル基を表す。)の作用によって得ることができる。
【0033】
本発明により、一般式(IIb)の化合物も、スキーム3に記載された方法に従って調製できる。
【0034】
【化5】

【0035】
化合物(IIb)(式中、Yはホウ素誘導体を表す。)は、スキーム3に従い、E.F.DiMauro and R.Vitullo,J.Org.Chem.,2006,71(10),3959によって記載された方法に従って、パラジウムなどの金属に触媒された、例えばビス(ピナコラート)ジボロンの化合物(IIa)に対するカップリング反応によって調製することができる。
【0036】
スキーム1、2および3において、開始化合物および反応物質は、これらの調製方法が記載されていないときは、市販されているか、または文献に記載されているか、あるいは文献に記載されているもしくは当業者に公知である方法に従って調製することができる。
【0037】
本発明の別の主題は、これの別の態様によって、式(IIb)の化合物、特に式(IIb1)の化合物である。これらの化合物は、式(I)の化合物の合成において中間体として有用である。
【0038】
【化6】

【0039】
以下の実施例は、本発明によるある化合物の調製について記載する。これらの実施例は限定的ではなく、本発明を例証する役割のみを果たす。実施例の化合物の番号は、下の表に示した番号を指し、表では本発明による幾つかの化合物の化学構造および物理的特性が例証されている。
【実施例】
【0040】
実施例1:{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール(表1の化合物)
1.1 2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−クロロフェニル)エタノン
4−ブロモ−2−メチルピリジン1.0g(5.8mmol)およびエチル 4−クロロベンゾアート2.14g(11.6mmol)をアルゴン流下で丸底フラスコに入れ、無水テトラヒドロフラン10mlに溶解させる。溶液を0℃まで冷却して、ヘキサメチルジシラザンリチウム(LiHMDS)溶液(テトラヒドロフラン中1M)12mlを添加する。添加後、混合物を45℃で3時間加熱して、周囲温度まで冷却し、次に水を添加する。続いてテトラヒドロフランを減圧下で蒸発させ、水相をエーテルで3回抽出する。有機相を分離、脱水して、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はジクロロメタンおよびヘプタンの混合物を用いて行う。化合物1.11g(62%)を得る。
【0041】
LC−MS:M+H=310
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.6(s,2H);6.4(s,1H);7.4(s,1H);7.5から7.6(m,6H);7.7(s,1H);7.9(d,2H);8.1(d,2H);8.3(d,1H);8.4(d,1H);15.0(s,1H)。(ケト/エノール比:43/57)。
【0042】
1.2 O−メシチレンスルホニルヒドロキシルアミン
エチルO−(2−メシチレンスルホニル)アセトヒドロキサメート5.00g(7.52mmol)を丸底フラスコ内の1,4−ジオキサン3ml中に入れる。混合物を0℃まで冷却して、過塩素酸HClO(水中70%)2ml(23.20mmol)を添加する。続いて混合物を0℃で15分間撹拌して、氷冷水をこれに添加する。沈殿が形成され、この沈殿を濾過により収集して、氷冷水および冷石油エーテルによって洗浄する。化合物5.26gを得る。
【0043】
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):2.2(s,3H);2.5(s,6H);6.8(s,2H);9.0(s,2H)。M+H=216。
【0044】
1.3 5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
O−メシチレンスルホニルヒドロキシルアミン(1.2に記載した手順に従って得られた化合物)705mg(3.27mmol)を丸底フラスコに入れて、ジクロロメタン10mlに溶解させる。溶液を0℃まで冷却して、2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−クロロフェニル)エタノン(1.1に記載された手順に従って得た化合物)705mg(2.27mmol)のジクロロメタン14mlによる溶液を滴加する。0℃にて1時間および周囲温度にて6時間の撹拌の後、ジクロロメタン3ml中のO−(メシチレンスルホニル)ヒドロキシルアミン150mgを反応混合物に添加して、撹拌を周囲温度にて16時間行う。ジクロロメタン1ml中のO−(メシチレンスルホニル)ヒドロキシルアミン300mgを次に再度、混合物に添加して、混合物を周囲温度にて7時間撹拌しておく。沈殿が形成され、この沈殿を濾過により取り除く。濾液を次に水,炭酸水素ナトリウム水溶液および塩化ナトリウム飽和溶液で連続して洗浄し、次に硫酸マグネシウムで脱水して、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はジクロロメタンを用いて行う。化合物126mg(18%)を得る。
【0045】
LC−MS:M+H=307
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.0(d,1H);7.1(s,1H);7.6(d,2H);8.0(s,1H);8.1(d,2H);8.7(d,1H)。
【0046】
1.4 {3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール(化合物番号1)
5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン(1.3に記載された手順に従って得た化合物)126mg(0.41mmol)、3−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸80mg(0.53mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム24mg(0.02mmol)を、アルゴン流下で事前に脱気されたジメトキシエタン4mlおよび炭酸ナトリウム水溶液(2M)1mlの混合物を含有する丸底フラスコにアルゴン流下で入れる。反応混合物を80℃にて6時間加熱して、次に冷却後に減圧下で濃縮する。残渣を酢酸エチルおよび水に取り、次に有機相を分離して、脱水し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はジクロロメタンおよびメタノールの混合物を用いて行う。得られた固体をエチルエーテルから粉砕して、濾過により収集し、次に減圧下で乾燥器にて脱水する。化合物57mg(41%)を得る。
【0047】
融点(℃):161−164。
【0048】
LC−MS:M+H=335
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.6(d,2H);5.3(t,1H);7.1(s,1H);7.3(d,1H);7.4(d,1H);7.5(t,1H);7.6(d,2H);7.7(d,1H);7.8(s,1H);8.0(s,1H);8.1(d,2H);8.8(d,1H)。
【0049】
実施例2:2−(4−クロロフェニル)−5−(3−メトキシメチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン(表の化合物9)
2.1 2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−クロロフェニル)エタノン
4−ブロモ−2−メチルピリジン5g(29.07mmol)およびエチル 4−クロロベンゾアート11.27g(61.04mmol)を窒素流下で丸底フラスコに入れ、無水テトラヒドロフラン50mlに溶解させる。溶液を5℃まで冷却して、ヘキサメチルジシラザンリチウム溶液(テトラヒドロフラン中1M)70ml(70mmol)を滴加する。添加後、混合物を周囲温度にて2時間撹拌して、5℃まで冷却し、次に水100mlを徐々に添加する。続いて媒体を酢酸エチル250mlおよび水100mlで希釈する。有機相を分離して、水相を酢酸エチル100mlで2回抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過する。続いてシリカ15gを濾液に添加して、混合物を減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(9/1)を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。化合物8.4g(93%)を黄色粉末の形で得る。
【0050】
LC−MS:M+H=310
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.6(s,2H);6.4(s,1H);7.4(s,1H);7.5から7.6(m,6H);7.7(s,1H);7.9(d,2H);8.1(d,2H);8.3(d,1H);8.4(d,1H);15.0(s,1H)。(ケト/エノール混合物:40/60)。
【0051】
2.2 2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−クロロフェニル)エタノンオキシム
2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−クロロフェニル)エタノン8.4g(27.05mmol)を丸底フラスコ内のエタノール150ml中に入れる。ピリジン22ml(272.56mmol)およびヒドロキシルアミンモノヒドロクロリド7.5g(107.93mmol)を添加する。続いて混合物を周囲温度にて5時間撹拌して、次に反応媒体をペースト状黄色固体が得られるまで減圧下で濃縮し、この固体を酢酸エチル400mlおよび水400mlに取る。有機相を分離して、水相を酢酸エチル200mlで3回抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過する。濾液を減圧下で濃縮する。化合物8.1g(91.9%)を青色粉末の形で得る。
【0052】
LC−MS:M+H=325
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.3(s,2H);7.45(m,2H);7.50(d,1H);7.55(s,1H);7.75(m,2H);8.35(d,1H);11.65(s,1H)。
【0053】
2.3 5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
エチルO−(2−メシチレンスルホニル)アセトヒドロキサメート12.9g(45.21mmol)を丸底フラスコ内の1,4−ジオキサン30ml中に入れる。混合物を0℃まで冷却して、過塩素酸(水中70%)13.5ml(156.60mmol)を添加する。続いて1,4−ジオキサン10mlを添加して、次に媒体を0℃にて2時間30分にわたって激しく撹拌した。続いて媒体を氷冷水350mlに注入する。媒体におよそ0℃にて10分間放置して、次に形成された白色固体を焼結ガラス漏斗(完全に乾燥させないこと。生成物は乾燥状態では爆発する可能性がある。)での濾過によって回収する。得られたペースト状白色固体を氷冷水350mlによって洗浄して、次におよそ約5gまで冷却された1,2−ジクロロエタン250mlおよび塩水150mlに取る。有機相を回収して、疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過する。濾液を回収して、およそ0℃まで冷却された2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−クロロフェニル)エタノンオキシム(ステージ2.2で得た化合物)8.1g(24.88mmol)の1,2−ジクロロエタン150mlによる溶液に滴加する。
【0054】
添加後、混合物を周囲温度まで戻して、周囲温度にて3時間撹拌する。続いてジクロロメタン250ml、水200mlおよびNaOH水溶液(1N)100mlを媒体に連続して添加する。混合物を撹拌したままにして、次に沈降により分離する。有機相を分離して、水相をジクロロメタン200mlで2回抽出する。続いて有機相を合せ、疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、次にシリカ15gと混合する。続いて濾液を減圧下で濃縮する。褐色粉末を得て、この粉末をシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用して、溶離をシクロヘキサンおよびジクロロメタンの混合物(1/1)を用いて行う。化合物5.8g(75%)をやや黄色の綿状固体の形で得る。
【0055】
LC−MS:M+H=307
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.0(d,1H);7.1(s,1H);7.6(d,2H);8.0(s,1H);8.1(d,2H);8.7(d,1H)。
【0056】
2.4 2−(4−クロロフェニル)−5−(3−メトキシメチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン(化合物番号9)
実施例1.3または2.3に記載された手順に従って得た5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン150mg(0.49mmol)、3−メトキシメチルフェニルボロン酸0.900g(0.54mmol)、炭酸セシウム0.475g(1.46mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.04g(0.05mmol)を、THF/水(9/1)混合物5mlを含有する反応容器に入れる。媒体を2時間かけて70℃として、次に周囲温度に戻す。続いて媒体をジクロロメタン40mlおよび水40mlで希釈する。媒体を疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、シリカ2gを得られた濾液に添加する。減圧下で濃縮した後に、得られた残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(7/3)を用いて行う。予期生成物0.14g(82%)を薄黄色粉末の形で得る。
【0057】
融点(℃):130−132。
【0058】
LC−MS:M+H=349
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):3.35(s,3H);4.55(s,2H);7.15(s,1H);7.30(d,1H);7.40(s,1H);7.55(m,3H);7.80(m,2H);8.05(m,3H);8.80(d,1H)。
【0059】
実施例3:{4−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール(表の化合物10)
5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン(実施例1.3または2.3に記載された手順に従って得た化合物)300mg(0.98mmol)、4−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸180mg(1.18mmol)、炭酸セシウム975mg(2.99mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)85mg(0.10mmol)を、THF/水(9/1)混合物5mlを含有する管型反応容器に入れる。反応混合物を60℃にて2時間加熱して、次に周囲温度に戻す。反応媒体を次に水50mlおよびジクロロメタン50mlで希釈して、次に疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過する。シリカ2gを濾液に添加してから、濾液を減圧下で濃縮する。得られた褐色粉末をシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用して、溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(7/3)を用いて行う。化合物262mg(80%)を灰色粉末の形で得る。
【0060】
融点(℃):214−216。
【0061】
LC−MS:M+H=335
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.60(d,2H);5.30(d,1H);7.20(s,1H);7.30(d,1H);7.45(d,2H);7.60(d,2H);7.80(d,2H);8.05(m,3H);8.80(d,1H)。
【0062】
実施例4:{2−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール(表の化合物11)
実施例3に記載された手順に従う。実施例1.3または2.3に記載された手順に従って得られた5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.3g(0.98mmol)、2−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸0.18mg(1.18mmol)、炭酸セシウム0.975g(2.99mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.085g(0.10mmol)およびTHF/水(9/1)混合物5mlから開始して、シリカゲルでクロマトグラフにかけた後、溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(7/3)によって行い、予期生成物0.303g(92%)を白色粉末の形で得る。
【0063】
融点(℃):144−146。
【0064】
LC−MS:M+H=335
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.50(d,2H);5.25(d,1H);7.00(d,1H);7.15(s,1H);7.40から7.50(m,3H);7.55から7.65(m,3H);7.75(s,1H);8.05(d,2H);8.75(d,1H)。
【0065】
実施例5:{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール(表の化合物6)
5.1 2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−フルオロフェニル)エタノン
4−ブロモ−2−ピコリン5.0g(29.07mmol)およびエチル 4−フルオロベンゾアート10.2g(60.95mmol)を窒素流下で丸底フラスコに入れ、無水テトラヒドロフラン50mlに溶解させる。溶液を0℃まで冷却して、ヘキサメチルジシラザンリチウム溶液(テトラヒドロフラン中1M)70ml(70mmol)を滴加する。添加後、混合物を周囲温度にて2時間撹拌して、5℃まで冷却し、次に水100mlを徐々に添加する。続いて媒体を酢酸エチル250mlおよび水100mlで希釈する。有機相を分離して、水相を酢酸エチル100mlで2回抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過する。続いてシリカ15gを濾液に添加して、混合物を撹拌し、次に減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよび酢酸エチル(9/1)の混合物を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。化合物7.5g(88%)を黄色粉末の形で得る。
【0066】
LC−MS:M+H=294(ケト/エノール比:43/57)
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.56(s,2H);6.34(s,1H);7.23から7.40(m,5H);7.53(d,1H);7.56(m,1H);7.70(d,1H);7.81から7.92(m,2H);8.04から8.16(m,2H);8.29(d,1H);8.37(d,1H);15.0(s,1H)。
【0067】
5.2 2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−フルオロフェニル)エタノンオキシム
2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−フルオロフェニル)エタノン7.5g(24.26mmol)を、無水エタノール100mlを含有する丸底フラスコに入れる。ピリジン20ml(247.78mmol)およびヒドロキシルアミンモノヒドロクロリド7.08g(101.88mmol)を添加してから、媒体を周囲温度にて3時間撹拌したままにする。続いてエタノールを真空下で蒸発させ、得られた残渣を水250mlおよび酢酸エチル250mlに取る。有機相を分離して、次に水相を酢酸エチル150mlで5回抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、真空下で濃縮する。化合物7.82gを得る。
【0068】
LC−MS:M+H=309
H NMR(d−DMSO,δ ppm):4.26(s,2H);7.19(t,2H);7.50(m,2H);7.75(m,2H);8.33(d,1H);11.50(s,1H)。(得られた(E)オキシム)。
【0069】
5.3 5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
2−(4−ブロモピリジン−2−イル)−1−(4−フルオロフェニル)エタノンオキシム7.82g(25.50mmol)を丸底フラスコに入れて、1,2−ジクロロエタン400mlに溶解させる。O−(メシチレンスルホニル)ヒドロキシルアミンの溶液(1,2−ジクロロエタン中0.27M、1.3に記載された手順に従って得た化合物)を、およそ0℃に冷却した媒体に滴加する。添加後、媒体を周囲温度にて1時間30分撹拌する。続いて媒体を水200mlおよび水酸化ナトリウム溶液(1N)200mlで希釈する。2相媒体を撹拌して、次に沈降により分離する。有機相を分離して、次に水相をジクロロメタン200mlで4回抽出する。続いて有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過する。続いてシリカ15gを濾液に添加して、次に混合物を減圧下で濃縮する。得られた粉末を、シクロヘキサンおよびジクロロメタンの混合物(1/1)を溶離液としたシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用する。化合物5.06g(68%)を白色綿状粉末として得る。
【0070】
LC−MS:M+H=291
H NMR(d−DMSO,δ ppm):7.00から7.10(m,2H);7.45(m,2H);8.05(m,3H);8.70(d,1H)。
【0071】
5.4 {3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール(化合物番号6)
実施例3に記載された手順に従う。ステージ5.3で得た5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.300g(1.03mmol)、3−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸0.190g(1.25mmol)、炭酸セシウム1.00g(3.07mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.085g(0.10mmol)およびTHF/水(9/1)混合物5mlから開始して、シリカゲルでクロマトグラフにかけた後、溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(7/3)によって行い、予期生成物0.245g(74%)を白色粉末の形で得る。
【0072】
融点(℃):141−143。
【0073】
LC−MS:M+H=319
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.65(d,2H);5.30(t,1H);7.10(s,1H);7.25から7.40(m,4H);7.50(m,1H);7.70(d,1H);7.80(s,1H);8.00(s,1H);8.05(t,2H);8.80(d,1H)。
【0074】
実施例6:1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}エタノール(表の化合物3)
6.1 3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド
実施例1.3または2.3に記載された手順に従って得た5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.300g(0.98mmol)、3−ホルミルフェニルボロン酸0.292g(1.95mmol)および炭酸セシウム0.94g(2.88mmol)をテトラヒドロフランおよび水の9/1混合物5ml中に窒素流下で導入する。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.08g(0.10mmol)を添加して、媒体を70℃にて2時間加熱する。続いて媒体を周囲温度に戻して、次にジクロロメタンおよび水で希釈する。媒体を疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、有機相を回収し、これにシリカ2gを添加する。溶媒を蒸発させた後、残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(9/1)を用いて行う。予期生成物0.302g(93%)を黄色粉末の形で得る。
【0075】
融点(℃):152−154
LC−MS:M+H=333
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.2(s,1H);7.35(d,1H);7.55(d,2H);7.75(t,1H);7.95(d,1H);8.05(d,2H);8.15(s,1H);8.20(d,1H);8.40(s,1H);8.85(d,1H);10.15(s,1H)。
【0076】
6.2 1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}エタノール(表の化合物3)
3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド0.085g(0.26mmol)を窒素流下でテトラヒドロフラン8mlに溶解させる。媒体を5℃まで冷却してから、メチルマグネシウムブロミド溶液(エチルエーテル中3M)0.30ml(0.90mmol)をゆっくり添加する。続いて媒体を周囲温度にて2時間撹拌する。冷却条件下で塩化アンモニウム飽和水溶液を滴加することによって中和を行い、次に酢酸エチルおよび水を用いて希釈を行う。有機相を分離して、次に水相を酢酸エチルで2回抽出する。有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、濾過し、真空下で濃縮する。残渣を(固体析出物により)シリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)を用いて行う。予期生成物0.048g(53%)を白色粉末の形で得る。
【0077】
融点(℃):93−95。
【0078】
LC−MS:M+H=349
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):1.45(d,3H);4.85(m,1H);5.25(d,1H);7.15(s,1H);7.30(d,1H);7.45(m,2H);7.60(m,2H);7.70(d,1H);7.80(s,1H);8.05(m,3H);8.80(d,1H)。
【0079】
実施例7:1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}シクロプロピルメタノール(表の化合物4)
ステージ6.2に記載された手順に従う。テトラヒドロフラン8mlに溶解させた6.1に記載された工程に従って得られた3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド0.15g(0.45mmol)から開始して、続いてシクロプロピルマグネシウムブロミド溶液1.80ml(0.9mmol)(テトラヒドロフラン中0.5M)を添加して、シリカゲルでのクロマトグラフの後、溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)を用いて行い、予期生成物0.1g(59%)をベージュ色粉末の形で得る。
【0080】
融点(℃):141−143。
【0081】
LC−MS:M+H=375
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):0.45(m,4H);1.15(m,1H);4.10(m,1H);5.25(s,1H);7.15(s,1H);7.30(d,1H);7.50(m,2H);7.60(d,2H);7.70(m,1H);7.80(s,1H);8.00(s,1H);8.10(d,2H);8.80(d,1H)。
【0082】
実施例8:1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}エタノール(表の化合物8)
8.1 3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド
ステージ5.3で得られた5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.200g(0.69mmol)、3−ホルミルフェニルボロン酸0.125g(0.83mmol)および炭酸セシウム0.670g(2.06mmol)を窒素流下でテトラヒドロフランおよび水の9/1混合物5ml中に導入する。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.055g(0.07mmol)を添加して、媒体を70℃にて3時間加熱する。70℃にて4時間撹拌したまま、続いてさらなる3−ホルミルフェニルボロン酸0.063g(0.42mmol)、炭酸セシウム0.335g(1.03mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.028g(0.03mmol)を添加する。続いて媒体を周囲温度に戻して、次にジクロロメタンおよび水で希釈する。2相媒体を疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、有機相を回収し、これにシリカ1.2gを添加する。溶媒を蒸発させた後、残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)を用いて行う。予期生成物0.175g(80%)を白色粉末の形で得る。
【0083】
LC−MS:M+H=317
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.15(s,1H);7.30から7.37(m,3H);7.77(t,1H);7.98(m,1H);8.08(m,2H);8.15(m,1H);8.20(m,1H);8.38(s,1H);8.82(d,1H);10.15(s,1H)。
【0084】
8.2 1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}エタノール(表の化合物8)
3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンズアルデヒド0.072g(0.23mmol)を窒素流下でテトラヒドロフラン10mlに溶解させる。メチルマグネシウムブロミド溶液(エチルエーテル中3M)0.23ml(0.68mmol)の低速での添加のために、媒体を0℃まで冷却する。続いて媒体を周囲温度に戻して、1時間30分撹拌する。中和を冷却条件下で塩化アンモニウム飽和水溶液を滴加することによって行い、次にジクロロメタンおよび水を用いて希釈を行う。炭酸ナトリウム飽和溶液の添加により、媒体のpHを9から10に調整する。媒体を疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、有機相を回収し、シリカ0.8gの添加後に減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、固体析出物の溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)を用いて行う。予期生成物0.056g(74%)を白色粉末の形で得る。
【0085】
融点(℃):132−134。
【0086】
LC−MS:M+H=333
H NMR(d−DMSO,δ ppm):1.42(d,3H);4.85(q,1H);5.25(s,1H);7.11(s,1H);7.25(d,1H);7.34(m,2H);7.40から7.50(m,2H);7.69(d,1H);7.80(d,1H);8.00(s,1H);8.08(m,2H);8.75(d,1H)。
【0087】
実施例9:2−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパン−2−オール(表の化合物2)
9.1 メチル 3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンゾアート
実施例3に記載された手順に従う。実施例1.3または2.3に記載された手順に従って得られた5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン1.5g(4.88mmol)、3−メトキシカルボニルフェニルボロン酸1.05mg(5.83mmol)、炭酸セシウム4.6g(14.61mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.400g(0.49mmol)およびTHF/水(9/1)混合物20mlから開始して、シリカゲルでクロマトグラフにかけた後、溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(9/1)によって行い、予期生成物1.6g(90%)を黄色−白色粉末の形で得る。
【0088】
融点(℃):180−182
LC−MS:M+H=363
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):3.95(s,3H);7.20(s,1H);7.35(d,1H);7.60(d,2H);7.70(t,1H);8.00から8.20(m,5H);8.35(s,1H);8.85(d,1H)。
【0089】
9.2 2−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパン−2−オール(化合物番号2)
メチル 3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンゾアート0.13g(0.36mmol)を窒素流下でテトラヒドロフラン8mlに溶解させる。メチルマグネシウムブロミド溶液(エチルエーテル中3M)0.6ml(1.80mmol)の低速での添加のために、媒体を0℃まで冷却する。続いて媒体を周囲温度に戻して、2時間撹拌する。中和を冷却条件下で塩化アンモニウム飽和水溶液を滴加することによって行い、次に媒体をジクロロメタン50mlおよび水50mlで希釈する。媒体を疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、有機相を回収し、シリカ0.4gの添加後に減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、固体析出物をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)で溶離させる。予期生成物0.08g(61%)を白色粉末の形で得る。
【0090】
融点(℃):159−161。
【0091】
LC−MS:M+H=363
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):1.50(s,6H);5.10(s,1H);7.15(s,1H);7.30(d,2H);7.45(t,1H);7.55(m,2H);7.70(m,1H);7.90(s,1H);8.00(m,1H);8.05(m,2H);8.80(d,1H)。
【0092】
実施例10:2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパン−2−オール(表の化合物7)
10.1 メチル 3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンゾアート
ステージ5.3で得られた5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.400g(1.37mmol)、3−メトキシカルボニルフェニルボロン酸0.300g(1.67mmol)および炭酸セシウム1.330g(4.08mmol)を窒素流下でテトラヒドロフランおよび水の9/1混合物5ml中に導入する。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.11g(0.13mmol)を添加して、媒体を70℃にて4時間加熱する。
【0093】
続いて媒体を周囲温度に戻して、次にジクロロメタン40mlおよび水40mlで希釈する。続いて媒体を疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、有機相を回収し、シリカ2gの添加後に減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(9/1)を用いて行う。予期生成物0.340g(71%)を白色粉末の形で得る。
【0094】
LC−MS:M+H=347
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):3.95(s,3H);7.15(s,1H);7.30から7.40(m,3H);7.70(t,1H);8.00から8.15(m,5H);8.35(s,1H);8.80(d,1H)。
【0095】
10.2 2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパン−2−オール(化合物番号7)
メチル 3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]ベンゾアート0.200g(0.58mmol)を窒素流下でテトラヒドロフラン15mlに溶解させる。メチルマグネシウムブロミド溶液(エチルエーテル中3M)1ml(3.00mmol)の低速での添加のために、媒体を5℃まで冷却する。続いて媒体を周囲温度に戻して、2時間撹拌する。中和を冷却条件下で塩化アンモニウム飽和水溶液10mlを滴加することによって行い、次にジクロロメタン100mlおよび水100mlを用いて希釈を行う。水相をジクロロメタン50mlで2回抽出する。続いて有機相を合せ、疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、シリカ2gを添加した後に真空下で濃縮する。残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、固体析出物の溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(7/3)を用いて行う。予期生成物0.165g(82%)を白色粉末の形で得る。
【0096】
融点(℃):162−164。
【0097】
LC−MS:M+H=347
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):1.50(s,6H);5.10(s,1H);7.10(s,1H);7.25(d,1H);7.35(t,2H);7.45(t,1H);7.55(m,1H);7.65(m,1H);7.90(s,1H);8.00(s,1H);8.10(t,2H);8.80(d,1H)。
【0098】
実施例11:{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]−2,6−ジフルオロフェニル}−メタノール(表の化合物5)
11.1 3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]−2,6−ジフルオロベンズアルデヒド
実施例1.3または2.3に記載された手順に従って得た5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.200g(0.65mmol)、2,4−ジフルオロ−3−ホルミルフェニルボロン酸0.145g(0.78mmol)および炭酸セシウム0.640g(1.96mmol)をテトラヒドロフランおよび水の9/1混合物5ml中に窒素流下で導入する。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.055g(0.07mmol)を添加して、媒体を60℃にて2時間加熱する。続いて媒体を周囲温度に戻して、次にジクロロメタン50mlおよび水50mlで希釈する。有機相を回収して、疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過する。シリカ1.8gを回収した濾液に添加して、次に混合物を減圧下で濃縮する。得られた粉末をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)を用いて行う。予期生成物0.195g(81%)を白色粉末の形で得る。
【0099】
融点(℃):187−189
LC−MS:M+H=369
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):7.15(d,1H);7.25(s,1H);7.45(t,1H);7.60(d,2H);7.95(s,1H);8.10(m,3H);8.85(d,1H);10.35(s,1H)。
【0100】
11.2 {3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]−2,6−ジフルオロフェニル}メタノール(化合物番号5)
水素化ホウ素ナトリウム0.040g(1.06mmol)を、およそ5℃に冷却された3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]−2,6−ジフルオロベンズアルデヒド0.135g(0.37mmol)のメタノールおよびテトラヒドロフランの混合物(1/1)10mlによる溶液に、数回に分けて添加する。媒体を周囲温度にて1時間撹拌して、次に5℃まで冷却して、次に塩化アンモニウム飽和水溶液10mlおよび水10mlの滴加によって加水分解する。混合物を減圧下で濃縮して、得られた残渣をジクロロメタン50mlおよび水50mlに取る。続いて媒体を疎水性カートリッジ(70ml液体/液体抽出カラム、Radleys(登録商標))で濾過して、有機相を回収し、シリカ1gの添加後に減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)を用いて行う。予期生成物0.065g(48%)を白色粉末の形で得る。
【0101】
融点(℃):190−192。
【0102】
LC−MS:M+H=371
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):4.60(d,2H);5.35(t,1H);7.10(d,1H);7.20(s,1H);7.25(t,1H);7.60(d,2H);7.70(m,1H);7.90(s,1H);8.05(d,2H);8.80(d,1H)。
【0103】
実施例12:6−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]インダン−1−オール(表の化合物12)
12.1 2−(4−クロロフェニル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
5−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン1.75g(5.69mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン1.73g(6.82mmol)および酢酸カリウム1.67g(17.03mmol)を2個のマイクロ波反応容器内の1,4−ジオキサン15ml中に入れた。次に[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)930mg(0.57mmol)を添加して、2つの媒体それぞれを140℃にて20分間照射した。
【0104】
2つの反応媒体を次に混合して、次にジクロロメタン300mlおよび水200mlで希釈した。有機相を分離して、水相をジクロロメタン200mlで3回抽出する。続いて有機相を合せて、次にシリカ10gを得られた溶液に添加してから、これを減圧下で濃縮する。産生した黒色粉末をシリカゲルによるクロマトグラフィーに固体析出物として使用して、溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(9/1)を用いて行う。化合物3.0g(74%)をオレンジ色がかった固体の形で得る。
【0105】
LC−MS:M+H=355(生成物の分解、ボロン酸の形成M+H=273)
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):1.35(s,12H);7.0(d,1H);7.22(s,1H);7.55(m,2H);8.0(m,3H);8.1(d,2H);8.7(d,1H)。
【0106】
12.2 6−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−α]ピリジン−5−イル]インダノン
実施例3に記載された手順に従う。ステージ12.1で得た2−(4−クロロフェニル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン0.2g(0.56mmol)、6−ブロモ−1−インダノン0.24mg(1.14mmol)、炭酸セシウム0.55g(1.69mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.046g(0.06mmol)およびTHF/水(9/1)混合物5mlから開始して、シリカゲルでクロマトグラフにかけた後、溶離をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)によって行い、予期生成物0.127g(62%)を黄色粉末の形で得る。
【0107】
LC−MS:M+H=359
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):2.72(m,2H);3.20(m,2H);7.15(s,1H);7.35(dd,1H);7.55(m,2H);7.75(m,1H);8.05から8.20(m,5H);8.80(d,1H)。
【0108】
12.3 6−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]インダン−1−オール(化合物番号12)
水素化ホウ素ナトリウム0.040g(1.06mmol)を、およそ5℃に冷却された6−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]インダノン0.12g(0.33mmol)のメタノールおよびテトラヒドロフランの1/1混合物16mlによる溶液に、数回に分けて添加する。媒体を70℃にて2時間撹拌して、次に0℃まで冷却して、次に塩化アンモニウム飽和水溶液10mlの滴加によって加水分解する。続いて媒体を酢酸エチル50mlおよび水30mlで希釈する。有機相を回収して、水相を酢酸エチル30mlで抽出する。有機相を合せ、硫酸ナトリウムで脱水して、次に減圧下で濃縮する.固体析出によって得られた残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーによって精製して、溶離はシクロヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(8/2)を用いて行う。予期生成物0.080g(66%)を白色粉末の形で得る。
【0109】
融点(℃):181−183。
【0110】
LC−MS:M+H=361
H NMR(d−DMSO)δ(ppm):1.9(m,1H);2.45(m,1H);2.80(m,1H);3.00(m,1H);5.15(m,1H);5.30(d,1H);7.10(s,1H);7.20(d,1H);7.35(d,1H);7.55(d,2H);7.65(d,1H);7.75(s,1H);7.95(s,1H);8.05(m,2H);8.80(d,1H)。
【0111】
続く表は、本発明による化合物の幾つかの例の一般式(I)の化学構造(表1)および物理化学的特徴(表2)を例証する。
【0112】
これらの表において、
「位置」列は、フェニル核における
【0113】
【化7】

基の置換位置を表す(2、3または4)。
【0114】
Phはフェニルを意味する。
【0115】
「融点」列は、生成物の融点を摂氏温度(℃)で表す。
【0116】
【化8】

【0117】
【表1】

【0118】
【表2】


本発明による化合物を、NOTに対するこれらの調節効果を判定できるようにする薬理学的アッセイの対象とした。
【0119】
N2A細胞に対するインビトロ活性の評価
本発明による化合物の活性を、マウスNurrl受容体を内因的に発現し、ルシフェラーゼレポーター遺伝子にカップリングされたNOT結合応答要素(NBRE)が安定的にトランスフェクトされた株化細胞(N2A)に対して評価した。アッセイは、下に記載した手順に従って行った。
【0120】
Neuro−2A株化細胞を標準商業的供給源(ATCC)から入手する。Neuro−2Aクローンは、R.J Klebe et al.によるアルビノマウス株A由来の自然発生腫瘍から取得した。このNeuro−2A系統は続いて、8NBREルシフェラーゼに安定的にトランスフェクトされる。N2A 8NBRE細胞を、10%のウシ胎仔血清、4.5g/lのグルコースおよび0.4mg/mlのジェネティシンが添加されたDMEMを含有する75cm培養フラスコ内でコンフルエントまで培養する。1週間の培養の後、細胞を、0.25%トリプシンを用いて30秒間回収して、次に4.5g/lのグルコースおよび10%のHyclone脱脂血清を含有する、フェノールレッドなしのDMEMに再懸濁させ、透明底96ウェル・ホワイト・プレート内に配置する。細胞を75μl中60000/ウェルの割合で24時間配置してから、生成物を添加した。生成物を25μl加えて、さらに24時間インキュベートする。測定日に同量(100μl)のSteadyliteを各ウェルに添加して、次に、完全な細胞溶解および最大シグナル産生を得るために、30分の期間にわたって放置する。続いて、接着フィルムで密封した後に、プレートをマイクロプレート用ルミネッセンスカウンタで測定する。生成物を10−2Mの原液の形で調製して、次に100%のDMSOで希釈する。各生成物濃縮物は細胞によるインキュベーションの前に培養媒体で事前に希釈され、このため0.625%のDMSO最終濃度を含有していた。
【0121】
最良の化合物は、0.1nMと10μMとの間のEC50を有する。
【0122】
例えば化合物番号1、11および12は、それぞれ0.2、1.7および164nMのEC50値を示した。
【0123】
このため本発明による化合物がNOTに対する調節効果を有することが明らかである。
【0124】
本発明の化合物は、薬物の開発に必要とされるすべての特性、特に改良された安全性プロフィールおよび活性プロフィールも有する。
【0125】
本発明による化合物はこのため、NOT受容体に関係する疾患の処置または予防におけるこれらの治療的用途のための薬物の調製に使用することができる。
【0126】
従って、別の態様により、本発明の主題は、式(I)の化合物または式(I)の化合物の医薬的に許容される酸との付加塩を含む薬物である。
【0127】
これらの薬物は特に、神経変性疾患、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病またはタウオパチー(例えば進行性核上性麻痺、前頭側頭型認知症、大脳皮質基底核変性症またはピック病);脳外傷、例えば虚血および頭蓋外傷およびてんかん;精神疾患、例えば統合失調症、うつ病、物質依存または注意欠陥過活動性障害;中枢神経系の炎症性疾患、例えば多発性硬化症、脳炎、脊髄炎および脳脊髄炎、ならびに他の炎症性疾患、例えば血管病変、アテローム性動脈硬化、関節の炎症、関節症または関節リウマチ;変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎;アレルギー性炎症性疾患、例えば喘息;自己免疫疾患、例えば1型糖尿病、狼瘡、強皮症、ギラン−バレー症候群、アジソン病および他の免疫媒介疾患;骨粗鬆症;または癌の処置および予防で治療的に使用される。
【0128】
これらの化合物は、幹細胞移植および/またはグラフトに関連する処置としても使用でき得る。
【0129】
本発明は、別の態様により、本発明による化合物を活性成分として含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、有効量の本発明による少なくとも1つの化合物、または前記化合物の医薬的に許容される塩と、少なくとも1つ医薬的に許容される賦形剤も含む。
【0130】
前記賦形剤は、医薬形態および所望の投与方法に応じて、当業者に公知である通常の賦形剤から選択される。
【0131】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、外用、局所、気管内、鼻内、経皮または経直腸投与のための本発明の医薬組成物において、上の式(I)の活性成分、またはこれの塩は単位投与形で、在来の医薬賦形剤との混合物として、上の障害または疾患の予防または処置のために動物またはヒトに投与することができる。
【0132】
適切な単位投与形は、経口形、例えば錠剤、軟または硬ゼラチンカプセル剤、粉剤、顆粒剤および経口液剤または懸濁剤、舌下、頬側、気管内、眼内もしくは鼻内投与形または吸入投与形、外用、経皮、皮下、筋肉内もしくは静脈内投与形、経直腸投与形およびインプラントを含む。外用用途では、本発明による化合物はクリーム、ゲル、軟膏またはローションで使用することができる。
【0133】
一例として、錠剤形の本発明による化合物の単位投与形は、以下の構成成分を含むことができる:
本発明による化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカルメロースナトリウム 6.0mg
トウモロコシデンプン 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
より多いまたはより少ない用量が適切である特定の症例があり得る。このような用量は、本発明の範囲から逸脱しない。通常の実施により、各患者に適切な用量は、投与方法ならびに前記患者の体重および応答に従って、医師により決定される。
【0134】
本発明は、別の態様により、患者への有効量の本発明による化合物またはこれの医薬的に許容される塩の1つの投与を含む、上記に示された病状の処置のための方法にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物であって、式中、
R1は、
フェニル基またはナフチル基を表し、これらの2個の基は、互いに独立して、以下の原子または基:ハロゲン、(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)チオアルキル、−S(O)(C−C)アルキル、−S(O)(C−C)アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシ(C−C)アルキレン、CHO、COOH、(C−C)アルコキシ(C−C)アルキレンオキシ、NRaRb、CONRaRb、SONRaRb、NRcCORd、OC(O)NRaRb、OCO(C−C)アルキル、NRcC(O)OReまたはNRcSOReから選択される1個以上の原子または基によって場合により置換されることが可能であり、
Xは、互いに同じでありまたは異なり、水素、ハロゲン、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシから選択される1から4個の置換基を表し、(C−C)アルキル基がハロゲン、(C−C)アルコキシまたはヒドロキシルから選択される1個以上の原子または基によって場合により置換されることが可能であり、
R2およびR3は、互いに独立して、
水素原子、
Rf基によって場合により置換された(C−C)アルキル基、
CHOまたはCOOH基
を表し、
XおよびR3は、これらを担持する炭素原子と一緒に、5から7個の炭素原子の炭素環を形成することができ、
R4は、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
RaおよびRbは互いに独立して、水素原子または(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキレンもしくはアリール基を表し、
またはRaおよびRbは、これらを担持する窒素原子と一緒に、(C−C)アルキル、アリールまたはアリール(C−C)アルキレン基によって場合により置換された、アゼチジン、ピロリジン、ピペラジン、アゼピン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジンまたはホモピペラジン基を形成し、
RcおよびRdは互いに独立して、水素原子もしくは(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキレンもしくはアリール基を表し、
またはRcおよびRdは一緒に(C−C)アルキレン基を形成し、
Reは、(C−C)アルキル、アリール(C−C)アルキレンまたはアリール基を表し、
またはRcおよびReは一緒に(C−C)アルキレン基を形成し、
Rfは、ヒドロキシル、オキソ、CHOまたはCOOH基を表す、
塩基のまたは酸との付加塩の形の、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)の化合物であって、
R1は、ハロゲンによって置換されたフェニル基を表し、
R2およびR3は、互いに独立して、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
R4は、水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
Xは、1個以上の水素もしくはハロゲン原子を表し、またはXおよびR3は、これらを担持する炭素原子と一緒に、5個の炭素原子の炭素環を形成することができる
ことを特徴とする、塩基のまたは酸との付加塩の形の、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)の化合物であって、
R1は、塩素またはフッ素によって置換されたフェニル基を表し、
R2およびR3は、互いに独立して、水素原子、メチルまたはシクロプロピル基を表し、
R4は、水素原子またはメチル基を表し、
Xは、1個以上の水素もしくはフッ素原子を表し、またはXおよびR3は、これらを担持する炭素原子およびベンゾ縮合環と一緒に、インダン基を形成することができる
ことを特徴とする、塩基のまたは酸との付加塩の形の、化合物。
【請求項4】
化合物、
{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール
2−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパン−2−オール
1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}エタノール
1−{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}シクロプロピルメタノール
{3−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]−2,6−ジフルオロフェニル}メタノール
{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール
2−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}プロパン−2−オール
1−{3−[2−(4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}エタノール
2−(4−クロロフェニル)−5−(3−メトキシメチルフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン
{4−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール
{2−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]フェニル}メタノール
6−[2−(4−クロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル]インダン−1−オール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物と医薬的に許容される酸との付加塩を含むことを特徴とする、薬物。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物の医薬的に許容される塩、および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項7】
神経変性疾患の処置または予防を目的とする薬物の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項8】
脳外傷およびてんかんの処置または予防を目的とする薬物の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
精神疾患の処置または予防を目的とする薬物の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
炎症性疾患の処置または予防を目的とする薬物の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
骨粗鬆症および癌の処置または予防を目的とする薬物の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
パーキンソン病、アルツハイマー病、タウオパチーまたは多発性硬化症の処置または予防を目的とする薬物の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項13】
統合失調症、うつ病、物質依存または注意欠陥過活動性障害の処置または予防を目的とする薬物の調製での、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
式(IIb1):
【化2】

の化合物。
【請求項15】
請求項1に記載の一般式(I)の生成物の合成における、請求項14に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2013−505227(P2013−505227A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529329(P2012−529329)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051932
【国際公開番号】WO2011/033230
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】