説明

5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法

【課題】5−ヘテロ環イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の高収率かつ工業的に安価な製造方法の提供。
【解決手段】5−イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩を白金族元素触媒、配位子および塩基の存在下、脱離基を有するヘテロ環化合物と反応させることを特徴とする、一般式(III)で表される5−ヘテロ環イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類およびその塩の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、染料、蛍光色素、生体材料のラベル化剤等の分野で有用な5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5−イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩は古くは癌細胞の染色剤および抗癌剤あるいは結核治療薬として検討され、近年、原虫疾患治療薬、特に抗マラリア薬として有用であることが報告されている(非特許文献1)。
【0003】
5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩は、対応する9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチンの硝酸塩と3当量のヘテロ環アミンをエタノール中反応させることにより合成される(非特許文献1)。しかしこの方法は、高価なヘテロ環アミンを3当量使い、しかも収率が20−80%と基質により異なり、特に9−ジエチル体では25−50%と低収率であり、工業的製造においては高コストという欠点があった。
【0004】
【非特許文献1】 “ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサイエティー(Journal of the American Chemical Society)”1952年 72巻 584〜586頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は医薬品、染料、蛍光色素、生体材料のラベル化剤等の分野で有用な5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩を高収率かつ工業的に安価な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、前期課題を達成する5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の新規な合成法を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の方法によって達成される。
【0007】
<1> 一般式(I)で表される5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩を白金族元素触媒、配位子および塩基の存在下、一般式(II)で表される脱離基を有するヘテロ環化合物と反応させることを特徴とする一般式(III)で表される5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法。
【化1】

(式中、R、Rはそれぞれ独立して置換してもよいアルキル基を表す。Rは水素原子、置換してもよいアルキル基、またはアルコキシ基を表す。Rは置換してもよいアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。nは0、1、または2を表し、2の場合Rは同じでも異なっていてもよい。Xは対アニオンを表す。RとRは連結して環を形成してもよい。)
【化2】

(式中、Zは5員または6員の含窒素不飽和ヘテロ環残基を表し、Y以外の置換基を有してもよい。Yは脱離基を表す。)
【化3】

(式中、R〜R、Z、Xおよびnは前記と同じ意味を有する。)
<2> 一般式(I)のRおよびRがそれぞれ独立してメチル基、エチル基またはプロピル基を表し、Rは水素原子、メチル基またはメトキシ基を表し、Rはメチル基、メトキシ基、フッ素原子または塩素原子を表し、nは0または1を表し、Xは対アニオンを表す前記<1>項に記載の5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法。
<3> 一般式(II)のZで表される5員または6員の含窒素不飽和ヘテロ環残基が、置換していてもよいピリジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、イミダゾール、オキサゾールまたはチアゾールである前記<1>項に記載の5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法。
<4> 一般式(I)のRおよびRがそれぞれエチル基またはプロピル基、Rが水素原子またはメチル基、Rがメチル基またはメトキシ基、nが0または1、一般式(II)のZがピリジンまたはピリミジン、Yがハロゲン原子である前記<1>項〜<3>項のいずれか1項に記載の5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法。
<5> 白金族元素触媒が均一系パラジウム触媒または担持されたパラジウム触媒、配位子がホスフィン系リガンドである前記<1>項〜<4>項のいずれか1項に記載の5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、医薬品、染料、蛍光色素、生体材料のラベル化剤等の分野で有用な5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩を高収率かつ工業的に安価に製造することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明について更に詳しく説明する。
本発明の方法をより詳しく説明するために本発明の一態様一例として示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0010】
【化4】

【0011】
本発明で用いられる5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩は、具体的には、9位にジアルキル基が置換しており、これらのアルキル基はそれぞれ異なっても5員環または6員環の環を形成してもよく、置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、アルキルスルホンアミド基が挙げられる。ジアルキル基の好ましい例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、N−2−ヒドロキシエチル−N−エチル特に好ましくはジエチルアミノ基である。11位は水素原子、メチル基またはメトキシ基であり、より好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。1,2,3,4位の置換基はゼロまたは2個の置換基を有しており、好ましくはゼロ、モノメチル基、モノメトキシ基またはモノハロゲン原子であり、より好ましくはゼロ、モノメチル基またはモノメトキシ基であり、特に好ましくは置換基が無いものである。
【0012】
本発明で用いられる脱離基を有する5員または6員の含窒素不飽和ヘテロ環の具体例としては、ピリジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、イミダゾール、オキサゾールまたはチアゾールが挙げられ、好ましくはピリジン、ピリミジンまたはピペラジンであり、特に好ましくはピリジンである。また脱離基としては特に限定されないが、ハロゲン原子、スルホニルオキシ基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基等が挙げられるが、より好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくは塩素原子である。
【0013】
次に本発明で製造できる5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0014】
【化5】

【0015】
【化6】

【0016】
次に本発明の製造方法について述べる。
本発明で用いられる5−イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類およびその塩は一部市販されており入手可能であるが、開示されている方法、例えば、“ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサイエティー (Journal of the American Chemical Society)”1952年 72巻574〜578頁、“ヨーロッペアン ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(European Journal of Organic Chemistry)”1999年 923−930、及び“テトラヘドロン(Tetrahedron)”2006年 62巻 11021〜11037頁に従い、出発原料に所望の置換基を導入したものを用いて容易に合成することが出来る。
【0017】
本発明で脱離基を有するヘテロ環化合物の使用量は5−イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩に対し0.5〜2当量であり、好ましくは0.8〜1.5当量であり、より好ましくは0.9〜1.2当量である。
【0018】
本発明で用いられる白金族元素触媒は、担体に担持された白金族元素触媒または均一系白金族元素触媒を表す。具体的な元素としてはパラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金が挙げられ、好ましくはパラジウムまたは白金であり、より好ましくはパラジウムである。
【0019】
不均一系白金族元素触媒の担体としては、炭素、シリカゲル、アルミナ、絹フィブロイン等のファイバー、ポリスチレンビーズ等の人口ポリマー等が挙げられる。これらの中でも特に好ましくは容易に入手可能な炭素の担持されたパラジウムである。これらの担体に担持された白金族元素触媒に用いる配位子は特に制限されないが、好ましくはホスフィン系リガンドである。具体的には、トリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のモノホスフィンリガンド、あるいは、1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(以下DPPFと略記する)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1‘−ビナフチル(以下BINAPと略記する)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)ビフェニルエーテル(以下DPEPhosと略記する)等のビスホスフィンリガンドが挙げられる。このららの中でより好ましくはビスホスフィンリガンドが挙げられ、さらに好ましくはDPPF、BINAPおよびDPEPhosが挙げられる。これらの不均一系白金族元素触媒の担体に用いられる配位子の使用量は、金属元素とこれに配位する原子比に換算して好ましくは1:0.001〜1:10であり、より好ましくは1:0.01〜1:4であり、特に好ましくは1:0.1〜1:2である。
【0020】
均一系パラジウム触媒として使用されるパラジウム化合物としては、特に限定されるものではないが、PdCl、PdBr、Pd(OCOCH、Pd(CHCOCHCOCH)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(エチレン)パラジウム、PdCl(NH、PdCl[N(C、Pd[P(CH、Pd(C)[P(C、PdBr[P(n−C、PdCl[P(OCH、ベンジルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロリド、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられ、より好ましくはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(エチレン)パラジウムまたはビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)であり、特に好ましくはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムである。これらの均一系パラジウム触媒と同時に使用されるホスフィン系配位子としては特に限定されないが、前述の不均一系パラジウム触媒に使用されるものを同様に使用することが出来る。
【0021】
これらの均一系白金族元素触媒の担体に用いられる配位子の使用量は、金属元素とこれに配位する原子比に換算して好ましくは1:0.001〜1:10であり、より好ましくは1:0.01〜1:4であり、特に好ましくは1:0.1〜1:2である。
【0022】
本発明に用いる塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムヒドリド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドが挙げられ、より好ましくはナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドである。
塩基の使用量は用いる塩基の種類や基質によって異なるが、5−イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類およびその塩に対し、通常0.5〜5当量、好ましくは0.8〜3当量、より好ましくは1〜2当量である。
【0023】
本発明の反応に使用できる溶媒としては、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソピロピルエーテル、イソプロピルメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルミアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒が挙げられる。これらは単独でも混合溶媒として使用してもよい。溶媒の使用量は特に限定されないが、5−イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類およびその塩に対して0.1〜100倍質量であり、より好ましくは1〜50倍質量、特に好ましくは2〜30倍質量である。
【0024】
本発明の反応温度は0℃〜200℃が好ましく、より好ましくは10℃〜150℃、特に好ましくは20℃〜120℃である。反応時間は反応する基質や溶媒によって異なるが、1〜72時間であり、より好ましくは2〜48時間、特に好ましくは3〜24時間である。また本発明は不活性ガス、例えば窒素、アルゴン雰囲気下で実施するのが好ましい。
反応終了後、セライト等を用いて反応液中のパラジウム錯体を除去あるいは抽出、洗浄によるパラジウム錯体を除去後、溶媒を留去後、得られた結晶を取り出すことで5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩を得ることが出来るが、更に再結晶あるいはカラムクロマトグラフィーによって精製することにより高純度の化合物を得ることが出来る。
【0025】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
9−N,N−ジエチルアミノ−5−(ピリジン−4−イルイミノ)−5H−ベンゾ[a]フェノキサチン(1A)の合成
9−N,N−ジエチルアミノ−5−イミノベンゾ[a]フェノキサチニウムクロリド、(500mg=1.41ミリモル)を30ml二口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、4−クロロピリジン塩酸塩(212mg=1.41ミリモル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(28mg=2モル%)、BINAP(69mg=8モル%)を加え、最後にナトリウムtert−ブトキシド(288mg=3ミリモル)を加えた。更にその混合物にトルエン(5ml)を加え、アルゴン雰囲気下100℃にて24時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却後、セライトろ過し、セライトをクロロホルム(200ml)で洗浄した後、有機溶媒を留去して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム)により精製し赤紫色の結晶1Bを得た(450mg:81%)。
【0027】
比較例1 9−N,N−ジエチルアミノ−5−(ピリジン−4−イルイミノ)−5H−ベンゾ[a]フェノキサチン(1A)の合成(“ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサイエティー (Journal of the American Chemical Society)”1952年 72巻 574〜578頁)
9−N,N−ジエチルアミノ−5−イミノベンゾ[a]フェノキサチン硝酸塩(365mg=1ミリモル)および4−アミノピリジン(246mg=3ミリモル)をエタノール(5ml)に加え、24時間加熱還流した。溶媒を留去後、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、1Aを得た(150mg:収率38%)。
【0028】
上記の比較例と比べ、本発明の方法は従来知られている方法より収率が格段に高く優れている。
【実施例2】
【0029】
9−N,N−ジエチルアミノ−11−メチル−5−(ピリジン−4−イルイミノ)−5H−ベンゾ[a]フェノキサチン(1B)の合成
9−N,N−ジエチルアミノ−5−イミノベンゾ[a]フェノキサチニウムクロリド9(518mg=1.41ミリモル)を30ml二口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、4−クロロピリジン塩酸塩(212mg=1.41ミリモル)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(15mg=2モル%)、DPPF(61mg=8モル%)を加え、最後にカリウムtert−ブトキシド(339mg=3ミリモル)を加えた。更にその混合物にトルエン(5ml)を加え、アルゴン雰囲気下120℃にて12時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却後、セライトろ過し、セライトをクロロホルム(200ml)で洗浄した後、有機溶媒を留去して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム)により精製し赤紫色の結晶1Bを得た(420mg:74%)。
【実施例3】
【0030】
9−N,N−ジエチルアミノ−5−(ピリジン−2−イルイミノ)−5H−ベンゾ[a]フェノキサチン(1C)の合成
9−N,N−ジエチルアミノ−5−イミノベンゾ[a]フェノキサチニウムクロリド、(500mg=1.41ミリモル)を30ml二口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、4−クロロピリジン塩酸塩(212mg=1.41ミリモル)、10w/w%パラジウム炭素(Pd−C)(130mg)、DPEphos(64mg=8モル%)を加え、最後にナトリウムtert−ブトキシド(288mg=3ミリモル)を加えた。更にその混合物にトルエン(5ml)を加え、アルゴン雰囲気下100℃にて24時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却後、セライトろ過し、セライトをクロロホルム(200ml)で洗浄した後、有機溶媒を留去して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム)により精製し赤紫色の結晶1Cを得た(433mg:78%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される5−イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩を白金族元素触媒、配位子および塩基の存在下、一般式(II)で表される脱離基を有するヘテロ環化合物と反応させることを特徴とする一般式(III)で表される5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法。
【化1】

(式中、R、Rはそれぞれ独立して置換してもよいアルキル基を表す。Rは水素原子、置換してもよいアルキル基、またはアルコキシ基を表す。Rは置換してもよいアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。nは0、1、または2を表し、2の場合Rは同じでも異なっていてもよい。Xは対アニオンを表す。RとRは連結して環を形成してもよい。)
【化2】

(式中、Zは5員または6員の含窒素不飽和ヘテロ環残基を表し、Y以外の置換基を有してもよい。Yは脱離基を表す。)
【化3】

(式中、R〜R、Z、Xおよびnは前記と同じ意味を有する。)
【請求項2】
一般式(I)のRおよびRがそれぞれ独立してメチル基、エチル基またはプロピル基を表し、Rは水素原子、メチル基またはメトキシ基を表し、Rはメチル基、メトキシ基、フッ素原子または塩素原子を表し、nは0または1を表し、Xは対アニオンを表す請求項1に記載の5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法。
【請求項3】
一般式(II)のZで表される5員または6員の含窒素不飽和ヘテロ環残基が、置換していてもよいピリジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、イミダゾール、オキサゾールまたはチアゾールである請求項1に記載の5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法。
【請求項4】
一般式(I)のRおよびRがそれぞれエチル基またはプロピル基、Rが水素原子またはメチル基、Rがメチル基またはメトキシ基、nが0または1、一般式(II)のZがピリジンまたはピリミジン、Yがハロゲン原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法。
【請求項5】
白金族元素触媒が均一系パラジウム触媒または担持されたパラジウム触媒、配位子がホスフィン系リガンドである請求項1〜4のいずれか1項に記載の5−ヘテロ環置換イミノ−9−ジアルキルアミノベンゾ[a]フェノキサチン類またはその塩の製造方法。

【公開番号】特開2011−37813(P2011−37813A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204089(P2009−204089)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(508075834)株式会社 シンスター・ジャパン (4)
【Fターム(参考)】