説明

5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩を含む安定化粒子

本発明は、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶体、および少なくとも1つの保護剤を含んでなる小さな安定化粒子に関する。かかる粒子は、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩に安定性を与えるので、ウエハーなどの単位剤形に都合よく組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶体(crystalline form)および少なくとも1つの保護剤を含む小さな安定化粒子に関する。かかる粒子は、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩に安定性を与えるので、ウエハーなどの単位剤形(unit dosage form)に都合よく組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
妊婦において、低い葉酸塩血清レベルを矯正するのに少なくとも2カ月かかり、備蓄は数週間しかもたない。公衆衛生局の勧告によると、妊娠し得るすべての女性は、出生異常の危険を低減させるため一日400μgの葉酸を摂取しなくてはならない(MMWR Morb.Mortal.Wkly.Rep.1992;41(RR−14):1−7)。経口避妊薬の使用を中断する直前または妊娠テスト陽性結果を得た直後に葉酸を補充するのでは、発達する胎児を適正に保護するには不十分であるかもしれない。加えて、経口避妊薬を飲む女性についての多発の研究が、負の対照に比べた葉酸塩血清レベルの減少を示している。この現象について報告された仮定機序としては、ポリグルタメートの吸収低下、葉酸の排せつ増加、葉酸塩結合タンパク質の産生促進、および葉酸塩依存性肝ミクロソーム酵素の誘発が含まれる。かくして、経口避妊薬ユーザーの間での葉酸塩血清レベルの減少は、使用の中断から3〜6カ月以内に妊娠するユーザーについてさらなる危険性をもたらす。
【0003】
従って、受胎前後の期間の適切な葉酸摂取は、神経管欠損症、例えば二分脊椎症(脊髄および脊柱の不完全閉鎖)、無脳症(脳の重度発育不全)および脳ヘルニア(脳組織が頭蓋骨内の異常な開口部から外側へ皮膚まで突出している場合)などを含む数多くの先天性形成異常に対して防御する一助となることから、理想的には経口避妊薬に葉酸を添加すべきである。これらの欠陥はすべて、妊娠の最初の28日間に発生し、通常女性が自ら妊娠していることを知らないうちにさえ発生する。
【0004】
しかしながら、経口避妊薬中への葉酸の組み込みは、それが貧血症などのビタミンB12欠乏症の症状を抑制するという点で、重大な健康上の危険性をもたらし得る。例えば、葉酸はビタミンB12欠乏症に付随する貧血症を是正し得るが、残念ながら葉酸はビタミンB12欠乏症の結果としてもたらされる神経系の変化を是正することはない。したがって、ビタミンB12欠乏症が治療されない場合、永続的な神経損傷が発生する可能性がある。
【0005】
経口避妊薬中に、プロドラッグ葉酸のかなり複雑な異化経路内で形成される天然葉酸誘導体、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩などのテトラヒドロ葉酸を組み込むことが提案された。WO08/003432を参照のこと。経口避妊薬中への5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩の組み込みは、葉酸に付随するあらゆる有益な効果を提供することができ、しかもビタミンB12欠乏症による貧血を隠すという潜在的な欠点が無い。
【0006】
しかしながら、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩は、極めて不安定であり、酸化および湿気を非常に受けやすい。従って、経口避妊薬などの固体経口医薬中への5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩の組み込みは、製剤化の観点からみて大きな挑戦である。結果として得られる固体医薬組成物は、保管時に満足のいく安定性(5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩に関して)を示すべきであるのみならず、製造プロセス中における酸化性賦形剤、湿気および/または外気への曝露は5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩の分解を引き起こすものと予想されるので、回避されるべきであることから、組成物の製造そのものの問題が多いとみなされている。
【0007】
さらに、経口避妊薬中で5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩は活性成分とみなされる。そのため、過剰用量およびより広い仕様限界などの、ビタミン補助製品中で標準的に使用される標準的な安定化措置は、経口避妊薬に関しては利用できない。ビタミン補助製品中の典型的な過量摂取は最高25%であり、一部のビタミン補助製品内のメタフォリン(Metafolin)(登録商標)の用量は、推奨される日用量(0.45mg)より0.6〜5.6mg高いものである。低濃度で医薬組成物中に組み込まれた場合には安定性の問題がさらに顕著であることから、低用量の5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩を含有する安定した医薬組成物の調製は、それ自身取り組みがいのある仕事である。
【0008】
5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩を含有する安定した医薬組成物はWO08/003432に記載されている。
【0009】
WO03/070255は、1又は2以上のステロイド、例えばエストロゲンやプロゲストゲン;1又は2以上のテトラヒドロ葉酸塩成分;およびビタミンB12を含有する避妊およびホルモン補充療法用キットについて記載している。
【0010】
US6,190,693は、経口避妊薬としてまたはホルモン補充療法として好適な、葉酸を含有する医薬組成物を対象とする。
【0011】
US6,011,040は、ホモシステインレベルに影響を及ぼすため、特にホモシステインの再メチル化を補助するためのテトラヒドロ葉酸塩の使用に関する。
【0012】
US6,441,168は、5−メチルテトラヒドロ葉酸の安定した結晶塩について記載している。
【0013】
5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩を安定させるための代替法を提供する必要がある。本発明者は、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸塩が、例えばワックスなどの保護剤中に組み込まれるかまたはそれで被覆されることによって安定化され得ることが分かった。結果として得られる粒子はあらゆる好適な剤形(dosage form)に組み込まれることができるが、特に薄いウエハー(wafer)内に組み込まれるのに好適である。
【0014】
プロゲスチンおよび/またはエストロゲンなどの薬物は正確で一貫した用量を提供するために従来の標準的な経口錠剤またはカプセル製剤の中に含まれることもできるが、かかる送達形態は薬物の投与と調製の両方においていくつかの不都合な点がある。例えば、約50%の人々は錠剤を飲み込みにくいと試算されているので(J.Pharmacol.Pharm.1998;50;375−382中のSeagerを参照のこと)、錠剤またはカプセル剤を飲み込まない、または飲み込むことができない小児または高齢者などの患者が製薬業にとって課題である。製薬業は、口内急崩壊錠、摂取前に液体中で崩壊する錠剤、液体やシロップ、ガム、さらに経皮パッチまで含む多くの様々な薬物送達システムを開発することによってこの課題に対応しようとした。しかしながら、これらの薬物送達システムのそれぞれはそれら独自の問題を引き起こす可能性がある。
【0015】
経皮パッチは、不便であったり、不愉快であると同時に、作るのにはかなり費用がかかり得る。さらに、皮膚を通した薬物フラックス(drug flux)はまた、非常に複雑な投薬問題ももたらすことがある。液体は小児に関して特に有用である。しかしながら、液体は成人にとって不便であることがあり、そして製剤化、包装、および輸送に比較的費用がかかり得る。摂取前に液体中で溶解させることができる錠剤もまた有用であり得る。しかしながら、それらもまた、液体と飲用コンテナが提供される必要がある点でかなり不便である。さらに、発泡錠が使用されていても、崩壊および/または溶解には時間が必要である。最終的に、これらの薬物送達システムは、コップの中に粒子および/または膜を通常残すのでかなり扱いにくい。チュアブルまたは自己崩壊錠などの口内急崩壊錠はすばらしい利便性を提供する。しかしながら、チュアブルまたは自己崩壊錠では、咀嚼行為が保護被覆を崩壊させ得るので本当の味覚のマスキングの問題が生じる。さらに、チュアブルまたは自己崩壊錠は、不快な食感を伴うことが多い。そのうえ、かかる固形の造形物に対する飲み込み、咀嚼、または窒息の恐怖感は、特定の人々においてまだ懸念事項である。加えて、かかる多孔性、低圧成形錠剤の壊れやすさ/砕けやすさは、患者、特に子供や高齢者にとってそれらを持ち運び、保存し、取り扱い、そして投与することを難しくする。
【0016】
よって、改良された患者コンプライアンスを有する、すなわち、投薬が簡単であり、そして必要とされればどこでも、そしていつでも患者が別々にそれらの薬剤を服用できるようにする、信頼できる送達システムが必要である。水溶性フィルム(ウエハー)は、先に触れた薬物送達システムと比べて多くの利点を提供する。通常、かかるウエハーは、口内に存在している唾液中に急速に溶解することで、その結果、少なくとも一部が頬側経路を経由してその後吸収される1又は2以上の活性成分を放出し、それで肝臓による代謝(「初回通過代謝」)を低減するかまたは回避さえする。かかるウエハーは、多くの場合、先に触れた薬物送達システムに対する興味深い代替手段を示すが、口内における原薬の急速な溶解(したがって頬側投与(buccal administration))が必ずしも望まれるわけではない特定の状況が存在する。
【0017】
例えば、多くの活性成分には、合成ホルモンのドロスピレノンのような不快な味覚、例えば苦味がある。かかる活性成分がウエハーから急速に溶解された場合、このことが、不快な味覚のせいで患者に受け入れられない製品につながることもある。よって、かかる活性成分の味覚のマスキングが課題である。さらに、既に承認され、販売された経口錠剤またはカプセル剤と比較して、ウエハーによる頬側投与は用量の調整を必要とするだろう。このことは、監督機関がかかる修飾産物の安全と有効性を確立するためにかかる状況における完全な臨床試験を通常必要とすることを意味する。よって、既に承認され、販売された経口錠剤またはカプセル剤と生物学的に同等な代替手段が望まれ、また一方で、多くの利点のためウエハー技術をうまく利用することがそれでも望ましいこともある場合において、この特定の薬物送達システムを提供する(飲込み、咀嚼などの必要がない)。しかしながら、当該薬物送達システムは、頬側経路を経由した吸収が回避されるような方法で必ず修飾されなければならず、そしてそれが胃または場合により小腸に達するまで1又は2以上の活性成分が事実上溶解されないことが確保されなければならない。先に触れたように、有効な味覚のマスキングもまた絶対条件である。
【0018】
要約すれば、活性成分の不快な味覚が効果的にマスクされた薬物送達システムが必要である。加えて、またはその代わりに、標準的なIR経口錠剤またはカプセル剤と生物学的に同等であるが、同時にかかる標準的なIR経口錠剤またはカプセル剤の欠点を持たない薬物送達システムが必要である。
【発明の概要】
【0019】
本発明者は、一方で、ウエハーの魅力的な特性を利用するが、しかしもう一方で、1又は2以上の活性成分の不快な味覚を効果的にマスクすることを確実にする薬物送達システムを提供した。これは、ウエハー・マトリックスが唾液中に(素早く)溶解された時点では、適当な保護剤の存在により、治療活性を有する薬剤(therapeutically active agent)が口内では溶解されず(したがって、頬側経路を経由して投与されず)、むしろ、正常な嚥下によって、治療活性を有する薬剤が効果的に放出される胃および/または腸まで治療上活性な物質が輸送されるのを確実にすることによって達成された。本発明の薬物送達システムは、標準的なIR経口錠剤またはカプセル剤の基準製品と生物学的に同等なシステムに対してそれを容易に適合させることもできるという点では融通が利く。
【0020】
味覚をマスクしたチュアブル医薬組成物は、US4,800,087に記載されている。
【0021】
味覚をマスクした経口崩壊錠(ODT)は、US2006/0105038に記載されている。
【0022】
味覚マスキング・被覆・システムは、WO00/30617に記載されている。
【0023】
味覚をマスクしたウエハーは、WO03/030883に記載されている。
【0024】
味覚をマスクした散剤や顆粒剤は、EP1787640に記載されている。
【0025】
医薬を含有する粒子と、その粒子を含む固形製剤は、US2007/0148230に記載されている。
【0026】
非粘膜接着性フィルム剤形、ならびに頬側粘膜を経由しての経口崩壊型フィルムからの薬物の吸収を遅らせるための技術および方法論は、WO2008/040534に記載されている。この文書によると、Eudragit(登録商標)EPOとドネペジルの混合物は、活性化合物の即時放出特性を結果的にもたらす。
【0027】
味覚マスキング剤として食用アルカリ化剤を含む固形剤形は、WO2007/109057に記載されている。
【0028】
粘膜送達のための組成物と方法は、WO00/42992に記載されている。この文書は、活性物質がポリマー内に封入されている投薬単位をさらに開示している。
【0029】
コアセルベーションによって調製された味覚をマスクした医薬組成物は、WO2006/055142に記載されている。
【0030】
徐放性粒子を含む組成物は、US7,255,876に記載されている。
【0031】
WO2007/074472には、例えば、100μm超の粒径を有する充填剤粒子は、口内溶解錠として摂取すると、粗い、ザラザラしたまたは砂のような口内感触を与えることを教示されている。さらに、この文書は、口内感触を改善する手段を開示している。Xu et.al.,Int J Pharm 2008;359;63には、経口崩壊錠のための味覚マスキング・ミクロスフェアが記載されている。しかしながら、活性物質はこれらの粒子から比較的に速く放出されるため、完全な味覚マスキングは達成されていない。
【0032】
US2007/0292479には、経粘膜頬側適用のためのフィルム状のシステムを記載している。さらに、US2007/0292479に記載のフィルム状のシステムは、多量のシクロデキストリンを含む。
【0033】
SI Pather,MJ Rathbone and S Senel,Expert Opin Drug Deliv 2008;5;531は、頬側薬物送達システムの現状と未来を概説し、そして頬側剤形を開発することの困難と課題に対する洞察を与えている。
【0034】
これらの従来技術書類を踏まえると、本発明によって解決するべき問題としては、これだけに限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
【0035】
・製造および保管による分解を回避するように、薄い経口フィルム(ウエハー)中に5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩を製剤化(formulate)すること;
【0036】
・安定性を増強するように、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩をカプセルに包むこと;
【0037】
・薄いフィルム形態(ウエハー)の薬物送達システムに収まる程度のサイズを有する、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩を含む、カプセル封入された粒子を提供すること;
【0038】
・薬物送達システムから口内に放出されたときに、粗い、ザラザラしたまたは砂のような口内感触を与えないような方法で、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩を含む、カプセル封入された粒子を製剤化すること;
【0039】
・薄いフィルム形態(ウエハー)の単位剤形の中に、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩を含む、カプセル封入された粒子を均一に組み込むこと;
【0040】
・水溶性マトリックスポリマーを含む水溶性の薄いフィルム中に、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩を含むカプセル封入された粒子を、製造および/または保管中にその5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の安定な結晶体を溶解、抽出、またはそれ以外の形で変更することなしに組み込むこと。
【0041】
発明の概要
第1の態様において、本発明は、粒子を含む単位剤形であって、前記粒子が5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶体、および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子が280μm以下のd90粒径を有する当該単位剤形に関する。
【0042】
別の態様において、本発明は、粒子を含む組成物であって、前記粒子が5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶体と、少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子が280μm以下のd90粒径を有する当該組成物に関する。
【0043】
本発明の他の態様は、以下の説明と添付の請求項から明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明の詳細な説明
定義
本明細書の文脈中では、「5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩」という用語は、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のBe、Mg、Ca、SrおよびBa塩、特に、そのMgおよびCa塩を網羅する。特に好ましい塩は、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のカルシウム塩である。5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のカルシウム塩などの5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩は、US6,441,168中に詳細に記載されているI型結晶体などの結晶体であるべきである。5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸カルシウムのI型結晶体は、メタフォリン(登録商標)という商標でMerck KGaA社から市販されている。
【0045】
本明細書の文脈中では、「プロゲスチン」(「ゲスターゲン」または「プロゲストゲン」と呼ばれることもある)という用語は、プロゲステロン受容体作動薬である合成ホルモン化合物を網羅する。この用語はさらに、水和物、溶媒和物、塩および複合体、例えばシクロデキストリンとの複合体(complex)などを含む、プロゲスチンの異性体と物理的形態のすべてを包含することが意図されている。プロゲスチンの具体例としては、レボ−ノルゲストレル(levo−norgestrel)、ノルゲストレル(norgestrel)、ノルエチンドロン(norethindrone)(ノルエチステロン(norethisterone))、ジエノゲスト(dienogest)、酢酸ノルエチンドロン(norethindrone acetate)(酢酸ノルエチステロン(norethisterone acetate))、二酢酸エチノジオール(ethynodiol diacetate)、ジドロゲステロン(dydrogesterone)、酢酸メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone acetate)、ノルエチノドレル(norethynodrel)、アリルエストレノール(allylestrenol)、リネストレノール(lynestrenol)、酢酸キンゲスタノール(quingestanol acetate)、メドロゲストン(medrogestone)、ノルゲストリエノン(norgestrienone)、ジメチステロン(dimethisterone)、エチステロン(ethisterone)、酢酸クロルマジノン(chlomadinone acetate)、メゲストロール(megestrol)、プロメゲストン(promegestone)、デソゲストレル(desogestrel)、3−ケト−デソゲストレル(3−keto−desogestrel)、ノルゲスチメート(norgestimate)、ゲストデン(gestodene)、チボロン(tibolone)、酢酸シプロテロン(cyproterone acetate)、ジエノゲスト(dienogest)およびドロスピレノン(drospirenone)からなる群から選択されるプロゲスチンが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。好ましいプロゲスチンは、ゲストデン、ジエノゲストおよびドロスピレノンであり、特にドロスピレノンである。以下に述べるように、プロゲスチンは、シクロデキストリンと複合体化されていてもよい。
【0046】
「エストロゲン」という用語は、エストロゲン活性を示すすべての化合物(天然または合成、ステロイド系または非ステロイド系化合物)を包含するように意図されている。かかる化合物はとりわけ結合型エストロゲン(conjugated estrogen)、およびフィトエストロゲンを包含する。この用語はさらに、水和物、溶媒和物、塩、および複合体、例えばシクロデキストリンとの複合体などを含むエストロゲンのすべての異性体および物理的形態を包含するように意図されている。より具体的には、エストロゲンは、エチニルエストラジオール、治療上許容されるエストラジオール誘導体(エステルを含む)を含むエストラジオール、エストロン(estrone)、メストラノール(mestranol)、エストリオール(estriol)、コハク酸エストリオール(estriol succinate)、ならびに結合型ウマエストロゲン(conjugated equine estrogen)、例えば硫酸エストロン、17β−エストラジオールサルフェート、17α−エストラジオールサルフェート、エキリンサルフェート(equilin sulfate)、17β−ジヒドロエキリンサルフェート、17α−ジヒドロエキリンサルフェート、エキレニンサルフェート(equilenin sulfate)、17β−ジヒドロエキレニンサルフェートおよび17α−ジヒドロエキレニンサルフェートを含む結合型エストロゲン、からなる群から選択されることもできる。特に注目のエストロゲンは、エチニルエストラジオール、エストラジオール、スルファミン酸エストラジオール、吉草酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストロン、メストラノールおよび硫酸エストロンからなる群から選択される。より好ましくは、エストロゲンは、エチニルエストラジオールまたはエストラジオールである。最も好ましいエストロゲンはエチニルエストラジオールである。以下に述べるように、エストロゲンは、シクロデキストリンと複合体化されていてもよい。
【0047】
本明細書中に使用されるとき、「治療上許容されるエストラジオール誘導体」という用語は、エストラジオールのエステル;エストラジオールおよびエストラジオール・エステルの塩、例えばナトリウム塩など;ならびに当該技術分野で知られている他の誘導体を指す。典型的には、エストラジオールのエステルは、エストラジオールの3位または7位に存在する。エストラジオールの典型的なエステルの具体例としては、吉草酸エストラジオール、酢酸エストラジオール、プロピオン酸エストラジオール、エナント酸エストラジオール、ウンデシレン酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、シピオン酸エストラジオール、硫酸エストラジオール、スルファミン酸エストラジオール、ならびにその塩が挙げられる。吉草酸エストラジオールはエストラジオール・エステルの中でも特に好まれる。
【0048】
「エストラジオール」という用語は、エストラジオールが17−α−エストラジオールまたは17−β−エストラジオールの形態であってもよいことを意味するように意図されている。好ましくは、エストラジオールは17−β−エストラジオールの形態である。「エストラジオール」という用語はまた、エストラジオールの水和形態、特にエストラジオール半水和物にも及ぶ。
【0049】
「エストロゲン−シクロデキストリン複合体」または「シクロデキストリンと複合体化されたエストロゲン」という用語は、エストロゲン分子が少なくとも部分的にシクロデキストリン分子の空洞内に挿入されている、エストロゲンとシクロデキストリンとの間の複合体を意味するように意図されている。エストロゲンとシクロデキストリンの間のモル比は、あらゆる所望の値に調整され得る。本発明の興味深い実施形態において、エストロゲンとシクロデキストリンの間のモル比は、約2:1〜1:10、好ましくは約1:1〜1:5、最も好ましくは約1:1〜1:3、例えば1:1または1:2などである。さらに、エストロゲン分子は、少なくとも部分的に、2つ以上のシクロデキストリン分子の空洞内に挿入され得、例えば、単一のエストロゲン分子を2つのシクロデキストリン分子の中に挿入してエストロゲンとシクロデキストリンの間の1:2の比率を提供することもできる。同様に、複合体は、単一のシクロデキストリン分子内に少なくとも部分的に挿入された2つ以上のエストロゲン分子を含有していてよく、例えば2つのエストロゲン分子を少なくとも部分的に単一のシクロデキストリン分子内に挿入して、エストロゲンとシクロデキストリンの間の2:1の比率を提供することができる。エストロゲンとシクロデキストリンとの間の複合体は、例えばUS5,798,338およびEP1353700に記載されている当該技術分野において既知の方法によって得ることもできる。
【0050】
「エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体」という用語は、エチニルエストラジオールとβ−シクロデキストリンの間のあらゆるモル比の複合体を意味するように意図されている。しかしながら、エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体は通常、エチニルエストラジオールの1分子とβ−シクロデキストリンの2分子の間の複合体、すなわち1:2エチニルエストラジオール−β−シクロデキストリン複合体である。
【0051】
「プロゲスチン−シクロデキストリン複合体」または「シクロデキストリンと複合体化されたプロゲスチン」という用語は、プロゲスチン分子が少なくとも部分的にシクロデキストリン分子の空洞内に挿入されているプロゲスチンとシクロデキストリンの間の複合体を意味するように意図されている。プロゲスチンとシクロデキストリンの間のモル比は、あらゆる所望の値に調整することができる。本発明の興味深い実施形態において、プロゲスチンとシクロデキストリンの間のモル比は、約2:1〜1:10、好ましくは約1:1〜1:5、最も好ましくは約1:1〜1:3である。さらに、プロゲスチン分子は、少なくとも部分的に2つ以上のシクロデキストリン分子の空洞内に挿入され得、例えば、単一のプロゲスチン分子を2つのシクロデキストリン分子の中に挿入して、プロゲスチンとシクロデキストリンの間の1:2の比率を提供することもできる。同様に複合体は、単一のシクロデキストリン分子内に少なくとも部分的に挿入された2つ以上のプロゲスチン分子を含有していてもよく、例えば2つのプロゲスチン分子を少なくとも部分的に単一のシクロデキストリン分子内に挿入して、エストロゲンとシクロデキストリンの間の2:1の比率を提供することもできる。プロゲスチンとシクロデキストリンの間の複合体は、例えばUS6,610,670およびその中の参考文献に記載されている当該技術分野において既知の方法によって得ることもできる。
【0052】
US6,610,670に記載されているように、「ドロスピレノン−β−シクロデキストリン複合体」という用語は、ドロスピレノンとβ−シクロデキストリンとの間のあらゆるモル比の複合体を意味するように意図されている。しかしながら、ドロスピレノン−β−シクロデキストリン複合体は通常、ドロスピレノンの1分子とβ−シクロデキストリンの3分子の間の複合体、すなわち1:3ドロスピレノン−β−シクロデキストリン複合体である。
【0053】
「シクロデキストリン」という用語は、シクロデキストリンまたはその誘導体、ならびに様々なシクロデキストリンの混合物、様々なシクロデキストリンの誘導体の混合物、および様々なシクロデキストリンとその誘導体の混合物を意味するように意図されている。シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびその誘導体からなる群から選択されてもよい。シクロデキストリンは、大員環の1級または二級ヒドロキシル基の一部またはすべてがアルキル化されるかまたはアシル化されるように修飾され得る。これらのヒドロキシル基を修飾する方法は、当業者にとって周知であり、かかる修飾されたシクロデキストリンが数多く市販されている。よって、シクロデキストリンのヒドロキシル基の一部またはすべては、O−R基またはO−C(O)−R基で置換されている可能性があり、ここでRは場合により置換されたC1-6アルキル、場合により置換されたC2-6アルケニル、場合により置換されたC2-6アルキニル、場合により置換されたアリールまたはヘテロアリール基である。よってRは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシル基であってよく、すなわちO−C(O)−Rは酢酸塩であり得る。さらに、ヒドロキシル基は、大員環の一方の面でのみ、過ベンジル化または過ベンゾイル化、ベンジル化またはベンゾイル化され得、すなわち、1、2、3、4、5または6個のヒドロキシル基だけがベンジル化またはベンゾイル化され得る。通常、ヒドロキシル基はまた、大員環の一方の面でのみ過アルキル化または過アシル化、例えば過メチル化または過アシル化、アルキル化またはアシル化、例えばメチル化またはアセチル化され得、すなわち、1、2、3、4、5または6個のヒドロキシル基だけがアルキル化またはアシル化、例えばメチル化またはアセチル化され得る。一般的に使用されるシクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、DIMEB、RAMEBおよびスルホアルキルエーテル・シクロデキストリン、例えばスルホブチルエーテル・シクロデキストリン(商品名Captisol(登録商標)として入手可能)などである。シクロデキストリンと複合体化された活性成分が実際には意図されてはいるが、本発明の1つの実施形態において、組成物はいずれのシクロデキストリンも含んでいない。
【0054】
本明細書の文脈中では、「C1-6アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を持つ直鎖または分岐の飽和炭化水素鎖、例えばメチル;エチル;プロピル、例えばn−プロピルやイソプロピルなど;ブチル、例えばn−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなど;ペンチル、例えばn−ペンチル、イソペンチルおよびネオペンチルなど;ならびにヘキシル、例えばn−ヘキシルやイソヘキシルなどといったものを意味するように意図されている。同様に、「C1-4アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐の飽和炭化水素鎖、例えばメチル;エチル;プロピル、例えばn−プロピルやイソプロピルなど;ブチル、例えばn−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなどといったものを意味するように意図されている。
【0055】
プロゲスチンおよびエストロゲンの様々なシクロデキストリン複合体が上に記載されているが、現在のところ、プロゲスチンもエストロゲンもシクロデキストリンと複合体化されないことが好ましい。従って、好ましい実施形態において、本発明の単位剤形はシクロデキストリンを含んでいない。
【0056】
本明細書の文脈中では、「固体分散体(solid dispersion)」という用語は、その一般的に受け入れられている意味で、すなわち分散相が非結晶状粒子もしくは結晶状粒子、または個別の分子(分子分散体)からなる分散体として使用される。よって、本明細書中に使用されるとき、「固体分散体」という用語は、成分A(治療活性を有する薬剤など)が別の成分B(保護剤など)の中に小粒子のレベルで、または分子レベル(分子分散体)であっても分散されているあらゆる固体系を意味する。
【0057】
本明細書の文脈中では、「分子状に分散された」または「分子分散体」という用語は、その一般的に受け入れられている意味で、すなわち、分散相が別個の分子からなる分散体として使用される。よって、本明細書中に使用されるとき、「分子状に分散された」または「分子分散体」という用語は、成分A(治療活性を有する薬剤など)が別の成分B(保護剤など)の中に分子レベルで分散されているあらゆる固体系、半固体系、または液体系であって、成分AをX線回折分析によって結晶体で検出できず、あらゆる顕微鏡技術によっても微粒子形態で検出できないようなものを意味する。成分Aが成分Bの性質および物理状態にかかわらず成分Bの中に溶解されることもまた、理解されるべきである。よって、「分子状に分散された」という用語は、「分子状に溶解された」という用語と互換的に使用することもできる。
【0058】
安定性
先に示したとおり、驚いたことに、本明細書中に記載した粒子が5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩に顕著な安定性を付与することが分かった。
【0059】
5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の安定性に関しては、活性成分の通常の仕様限界を適用しなければならない。適切な参考文献は、USP XXIXモノグラフ「葉酸錠剤」であり、そこでは製品中に申告された量の90〜115%の含有量の葉酸が同定されなくてはならないと規定されている。本発明によって提供される粒子、組成物および単位剤形は、先に触れた規制基準を満たしている。別の言い方をすれば、本発明の粒子、組成物または単位剤形は、25℃および相対湿度60%で、24カ月密閉容器内で保管した後、粒子、組成物または単位剤形中に初期量の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、例えば少なくとも90%の5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩が存在するような安定性を有する。加えて、または代替的には、本発明の粒子、組成物または単位剤形は、25℃および相対湿度60%で、12カ月密閉容器ないで保管した後に、初期量の少なくとも90%の5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩がその粒子、組成物または単位剤形中に存在するような安定性を有する。
【0060】
本願明細書中において、「初期含有量(initial content)」という用語は、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩に関連して使用される場合、粒子、組成物または単位剤形の製造の直後または代替的には25℃および相対湿度60%で5日以内の時間だけ密閉容器内で保管した後に決定された5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の測定量を意味する。よって、「初期量(initial amount)」という用語は、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の申告量でもなく、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の(添加された)理論量でもなく、むしろ、その製造の直後または上述のとおり短期間保管した後に決定された粒子、組成物または単位剤形中に存在する5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の測定量を意味する。
【0061】
別の実施形態において、本発明の粒子、組成物または単位剤形は、25℃および相対湿度60%で24カ月密閉容器内に保管した後、粒子、組成物または単位剤形中に申告量の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、例えば少なくとも90%の5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩が存在するような安定性を有する。加えて、または代替的には、本発明の粒子、組成物または単位剤形は、25℃および相対湿度60%で、12カ月密閉容器内で保管した後、申告量の少なくとも90%の5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩がその粒子、組成物または単位剤形中に存在するような安定性を有する。この文脈中において、「申告量」という用語は、粒子、組成物または単位剤形の中に存在する5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の正式に申告された量を意味する。5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の申告量は、小冊子の形で提供される情報から通常明らかになる。
【0062】
さらに別の実施形態において、本発明の粒子、組成物または単位剤形は、25℃および相対湿度60%で6カ月または12カ月密閉容器内で保管した後、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩分解産物の合計が最大10%、好ましくは最大8%、より好ましくは最大6%、より一層好ましくは最大5%、最も好ましくは最大4%であるような安定性を有する。5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩分解産物の合計は、本明細書中の「分解産物の測定」と題する節に記載されているように測定することができる。
【0063】
その上もう1つの実施形態において、本発明の粒子、組成物または単位剤形は、25℃および相対湿度60%で、24カ月密閉容器内で保管した後、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩分解産物の合計が最大15%、好ましくは最大12%、例えば最大10%など、より好ましくは最大8%、例えば最大6%など、より一層好ましくは最大5%、最も好ましくは最大4%であるような安定性を有する。5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩分解産物の合計は、本明細書中の「分解産物の測定」と題する節に記載されているように測定することができる。
【0064】
さらに別の実施形態において、本発明の粒子、組成物または単位剤形は、40℃および相対湿度75%で1カ月、2カ月または3カ月密閉容器内で保管した後、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩分解産物の合計が最大10%、好ましくは最大8%、より好ましくは最大6%、より一層好ましくは最大5%、最も好ましくは最大4%であるような安定性を有する。5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩分解産物の合計は、本明細書中の「分解産物の測定」と題する節に記載されているように測定することができる。
【0065】
保護剤を含んでなる粒子
(すべて当業者にとって周知である)様々な材料を、本発明による保護剤として利用することができる。
【0066】
本発明の好ましい実施形態において、保護剤はワックスである。ワックスの例としては、動物系ワックス、例えば蜜蝋、イボタ蝋、シェラック蝋、鯨蝋およびウールワックスなど;植物系ワックス、例えばカルナバ蝋、ベーベリ蝋、キャンデリラ蝋、キャスター蝋、エスパルト蝋、オーリクリー蝋、米糠蝋およびイソワックスなど;鉱物系ワックス、例えばセレシンワックス、モンタンワックス、オゾセライトワックスおよびピートワックスなど;石油系ワックス、例えばパラフィンワックスおよびマイクロクリスタリンワックスなど;合成系ワックス、例えばポリエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、エステル型および/または鹸化ワックス、置換アミドワックスおよび重合α−オレフィンなどが挙げられる。好ましくは、ワックスは植物系ワックスであり、特にカルナバ蝋である。
【0067】
5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩とワックスの間の重量比は通常、1:1〜1:4の範囲内、例えば1:1、1:2、1:3または1:4などである。
【0068】
ワックスが保護剤として使用されるとき、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩が、保護剤で被覆されることが好ましい。
【0069】
粒子の粒径は、少なくともある程度、適用された保護剤に依存している。カルナバ蝋が保護剤として使用されるとき、d90粒径の測定値は、場合によっては二次凝集体や集塊物の形成に起因する信じ難い高値に至る。かかる凝集体や集塊物は、ウエハーの製造中に容易に分離される。以下で特定された粒径値は、一次粒子を指し、凝集体や集塊物の粒径のことではない。
【0070】
粒子は、280μm以下、例えば250μm以下、例えば200μm以下のd90粒径を有する。本発明の興味深い実施形態において、粒子は、175μm以下のd90粒径、例えば150μm以下のd90粒径、例えば100μm以下のd90粒径を有する。
【0071】
別の言い方をすれば、粒子は通常、30〜280μmの範囲内、例えば40〜250μmの範囲内、例えば50〜200μmの範囲内または50〜150μmの範囲内のd90粒径を有する。d90粒径の具体例としては、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm、および約150μmの値が挙げられる。同様に、d50粒径は通常、5〜80μmの範囲内、より通常的には10〜75μmの範囲内にある。d50粒径の具体例としては、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、および約80μmの値を含む。
【0072】
本明細書中に使用されるとき、「d90粒径」という用語は、粒径分布が、粒子の少なくとも90%が球状粒子という推定のもとで体積分配曲線から計算された特定の値未満の粒径であるようなものであることを意味するように意図されている。同様に、「d50粒径」という用語は、粒径分布が、粒子の少なくとも50%が球状粒子という推定のもとで体積分配曲線から計算された特定の値未満の粒径であるようなものであることを意味するように意図されている。
【0073】
そのため、本明細書中で「粒径」、「粒径分布」、「粒径」、「d90」、「d50」などの用語が使用される場合にはいつでも、それに関連して使用される特定の値または範囲を球状粒子という推定のものとで体積分配曲線から決定することが常に意図されていると理解されるべきであることに留意するのが重要である。粒径分布は、様々な技術、例えばレーザー回折などによって測定することもでき、当業者に知られている。粒子は、球状、実質的に球状、または非球状の粒子、例えば不規則な形状の粒子もしくは楕円形状の粒子などであってもよい。楕円形状の粒子または楕円体が望ましい。球状粒子と比較して沈殿しにくいため、フィルム形成マトリックス中での均一性を維持することができるからである。粒子の粒径分布は、ウエハーに組み込まれるとき、フィルム形成マトリックスを溶解させ、被保護粒子を分離し、そして被保護粒子を乾燥させることによって測定することもできる。得られた粒子の粒径分布は、先に記載したように、例えばレーザー回折によって測定することもできる。例えば、Sympatec Rhodosモジュール空中分散システムを備えたSympatec Helosレーザー回折計を使用することもできる。(焦点長125〜500mm、気流量2.5m3/h、プレ圧力2bar、分散圧力3〜4bar、光学的濃度0.8〜20%、計測時間:2秒、光学モデル:球状粒子としての仮定のもとでのFraunhofer)。
【0074】
本明細書中に与えられている例から理解されるべきことに、カプセル封入効率は高く、通常80%超、例えば85%超、例えば90%超である。よって、カプセル封入効率は、通常80〜100%の範囲内、例えば85〜100%の範囲内、例えば90〜100%の範囲内にある。本明細書中に使用されるとき、「カプセル封入効率(encapsulation efficiency)」という用語は、被保護粒子の中に組み込まれた治療活性を有する薬剤の量対被保護粒子の製造に使用した治療活性を有する薬剤の量の比率を意味する。
【0075】
5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩と保護剤を含んでなる粒子は、追加の賦形剤を含むこともできる。しかしながら、本発明の好ましい実施形態において、粒子は、本質的に5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩と保護剤からなる。
【0076】
単位剤形
5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩と保護剤を含んでなる粒子は、あらゆる好適な剤形、例えば錠剤、カプセル剤およびサシェ剤などに組み込むことができる。かかる単位剤形は、EP1214076、EP1257280、およびWO08/003432において詳細に記載されている。
【0077】
本発明の非常に好ましい実施形態において、本発明の単位剤形は、薄いフィルム形態(ウエハー)であるが、それは湿った口内環境に晒されたときにフィルムの広い表面積が素早く湿ることを主な要因として速く溶解する。通常軟らかく、砕けやすくおよび/またはもろい速溶性錠剤と違って、フィルムは固形であり、かつ、強いが、それでも柔軟なので、特殊な包装を必要としない。先に示したように、フィルムは薄いので、患者のポケット、財布またはポケットブックの中に入れて持ち運びできる。
【0078】
フィルムは、患者の舌下もしくは舌上、口蓋の上側、頬の内側またはあらゆる口内粘膜組織に適用することができる。フィルムは、長方形であっても、楕円形であっても、円形であっても、または所望であれば、舌、口蓋または頬の内側の形状に切られた固有の形状であってもよく、それが適用されてもよい。フィルムは、急速に水和され、そしてそれがその後急速に崩壊する適用部位に付着する。
【0079】
よって本発明の好ましい実施形態において、単位剤形は、薄い水溶性フィルムマトリックスを含んでなり、ここで
a)前記フィルムマトリックスは少なくとも1つの水溶性マトリックスポリマーを含んでなり、
b)前記フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで前記粒子は、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子は280μm以下のd90粒径を有し;そして
c)前記フィルムマトリックスは300μm以下の厚さを有する。
【0080】
「水溶性フィルムマトリックス」という用語は、本明細書中に使用されるとき、水溶性ポリマー、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩および少なくとも1つの保護剤を含んでなる粒子、および場合により水溶性ポリマー中に溶解または分散されたその他の補助剤を含んでなるかまたはそれらからなる薄いフィルムを指す。
【0081】
本明細書中に使用されるとき、「水溶性ポリマー」という用語は、水中に少なくとも一部が可溶性である、そして好ましくは水中に完全にまたは主に可溶である、あるいは水を吸収するポリマーを指す。水を吸収するポリマーは、「水膨潤性ポリマー」と呼ばれることも多い。本発明に有用な材料は、室温(約20℃)やその他の温度、例えば室温を超える温度などにて水溶性または水膨潤性であってもよい。その上、当該材料は、大気圧より低い圧力にて水溶性または水膨潤性であることもできる。好ましく、水溶性ポリマーは、少なくとも20重量%の水の組み込みがある水溶性または水膨潤性のものである。25重量%またはそれを超える水の組み込みがある水膨潤性ポリマーもまた有用である。かかる水溶性ポリマーから形成されている本発明の単位剤形は、望ましくは体液、特に唾液との接触で溶解可能であるくらい十分に水溶性である。
【0082】
(通常、水溶性フィルムマトリックスの大半を構成する)水溶性マトリックスポリマーは、セルロース系材料、合成ポリマー、ゴム、タンパク質、デンプン、グルカンおよびそれらの混合物からなる群から選択できる。
【0083】
本明細書中に記載されている目的に好適なセルロース系材料に関する例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびそれらの組み合わせを含む。特に好ましいセルロース系材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースであり、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0084】
合成ポリマーに関する例としては、医薬の即時放出(IR)被覆として一般的に使用されるポリマー、例えばポリビニールアルコール・ポリエチレングリコール(PVA−PEG)コポリマーなどが挙げられるが、それは商品名コリコート(Kollicoat)(登録商標)IRとして様々なグレードが市販されている。合成ポリマーに関するさらなる例としては、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸誘導体が挙げられる。先に挙げた合成ポリマー、特にPVA−PEGコポリマーを使用する更なる利点は、それらが6位および/または7位において無置換であるプロゲスチンおよびエストロゲンの酸化的分解反応を制限することによって単位剤形中に存在している治療活性を有する薬剤に対して安定化効果を与えることである。さらに、先に挙げた合成ポリマー、特にPVA−PEGポリマーが5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩に対して安定化効果を与えることが意図される。安定化効果は、治療活性を有する薬剤(通常、エストロゲン)がフィルムマトリックス中に分散されているとき、特に分子状に分散されているときにとりわけ顕著である。かかる分解は、当該技術分野で周知であり、そして最終的な固形製剤の保存期限と関連した定型的な問題である(例えばT. Hurley et al. Steroids 2002;67;165−174 and Van D. Reif et al. Pharmaceutical Research 1987; 4; 54−58を参照のこと)。
【0085】
安定化効果は、特に以下のエストロゲン化合物:
エチニルエストラジオール、治療上許容されるエストラジオール誘導体を含むエストラジオール、エストロン(estrone)、メストラノール(mestranol)、エストリオール(estriol)、コハク酸エストリオール(estriol succinate)、及び結合型エストロゲン(結合型ウマエストロゲン、例えば硫酸エストロン、17β−エストラジオールサルフェート、17α−エストラジオールサルフェートを含む)
ならびに以下のプロゲスチン:
レボ−ノルゲストレル、ノルゲストレル、ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、ジエノゲスト、酢酸ノルエチンドロン(酢酸ノルエチステロン)、二酢酸エチノジオール、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、リネストレノール、ノルゲストリエノン、エチステロン、プロメゲストン、デソゲストレル、3−ケト−デソゲストレル、ノルゲスチメートおよびゲストデン、
において観察され得る。
【0086】
水溶性ゴムに関する例としては、アラビアゴム、キサンタンガム、トラガント、アカシア、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸塩、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
有用な水溶性タンパク質ポリマーとしては、ゼラチン、ゼイン、グルテン、ダイズタンパク質、ダイズタンパク質分離物、ホエータンパク質、ホエータンパク質分離物、カゼイン、レビン(levin)、コラーゲン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0088】
有用なデンプンに関する例としては、ゼラチン化デンプン、加工デンプンまたは未加工デンプンが挙げられる。デンプンの起源は異なっていてもよく、プルラン、タピオカ、コメ、トウモロコシ、ジャガイモ、コムギ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
(本発明に従って使用され得る)追加の水溶性ポリマーとしては、デキストリン、デキストラン、およびそれらの組み合わせ、ならびにキチン、キトサン、およびそれらの組み合わせ、ポリデキストロースおよびフルクトース・オリゴマーが挙げられる。
【0090】
水溶性マトリックスポリマー、ならびに、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩および保護剤を含んでなる粒子に加えて、本発明の単位剤形は種々の様々な補助剤、例えば味覚マスキング作用物質など;感覚刺激剤、例えば甘味剤、味修飾物質および香味剤など;泡止め剤および消泡剤;可塑剤;界面活性剤;乳化剤;粒子の湿潤を改善する作用物質;増粘剤;結合剤;冷感剤;メントールなどの唾液刺激物質;抗微生物剤;着色剤などを含むこともできる。本発明の好ましい実施形態において、単位剤形は吸収促進薬を含んでいない。
【0091】
好適な甘味剤としては、天然甘味剤と人工甘味剤の両方が挙げられる。好適な甘味剤の具体例としては、例えば:
a)水溶性甘味剤、例えば糖アルコール、単糖、二糖および多糖など、例えばマルチット、キシリット、マンニット、ソルビット、キシロース、リボース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(レブロース)、スクロース(糖)、マルトース、転化糖(ショ糖由来のフルクトースとグルコースの混合物)、部分加水分解デンプン、コーンシロップ固体、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、およびグリチルリチンなど;
b)水溶性人工甘味剤、例えば可溶性サッカリン塩など、すなわちナトリウムもしくはカルシウム・サッカリン塩、シクラミン酸塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム、アンモニウムもしくはカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシド(アセスルファムK)のカリウム塩、サッカリンの遊離酸形態など;
c)ジペプチド・ベースの甘味剤、例えば甘味剤を誘導した、例えばL−アスパラギン酸由来の甘味剤など、例えばL−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、L−アルファ−アスパルチル−N−(2,2,4,4,5−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリンおよびL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニルグリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニンなど;
d)天然の水溶性甘味剤由来の水溶性甘味剤、例えば(例えばsucralose(登録商標)の製品記述で知られている)普通の糖(ショ糖)の塩素処理誘導体など;ならびに
e)タンパク質ベースの甘味剤、例えばthaurnatoccous danielli(Thaurnatin IおよびII)など、
が挙げられる。
【0092】
一般に、特定の単位剤形に関して所望されるレベルの甘さを提供するために、有効量の甘味剤が利用されるが、この量は選択された甘味剤によって異なる。この量は通常、単位剤形の約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは約0.05重量%〜約10重量%になる。これらの量を使用して、任意の追加の香味剤オイルによって達成される香味レベルとは独立に、所望の甘さのレベルを達成することができる。
【0093】
有用な香味剤(着香剤)としては、天然香味剤と人工香味剤が挙げられる。これらの着香剤は、合成香味剤オイル及び着香芳香族化合物から選択され、および/または、植物、葉、花、果実などに由来する、オイル、含油樹脂および抽出物など、ならびにそれらの組み合わせから選択されることもできる。香味剤オイルの制限されることのない例としては:スペアミント油、シナモン油、ペパーミント油、チョウジ油、ベイ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油、およびビターアーモンド油が挙げられる。同様に、人工、天然、または合成果物香味剤、例えばバニラ、チョコレート、コーヒー、ココア、ならびに(レモン、オレンジ、ブドウ、ライムおよびグレープフルーツを含む)柑橘油、そして(リンゴ、セイヨウナシ、モモ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含む)フルーツエッセンスも有用である。これらの着香剤は、個別にまたは組み合わせで使用することができる。個別または組み合わせで使用されるかどうかは別として、一般的に使用される香味剤としては、ペパーミントなどのミント類、人工バニラ、シナモン誘導体、および様々な果物香味剤が挙げられる。シンナミルアセテート、シンナムアルデヒド、シトラール、ジエチルアセタール、ジヒドロカルビルアセテート、エウゲニルホルマート、p−メチルアニソールなどを含むアルデヒドやエステルなどの着香剤を使用することもできる。
【0094】
他のアルデヒド着香剤に関する更なる例としては、アセトアルデヒド(リンゴ);ベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド);シンナムアルデヒド(シナモン);シトラール、すなわちアルファ・シトラール(レモン、ライム);ネラール、すなわちベータ・シトラール(レモン、ライム);デカナール(オレンジ、レモン);エチルバニリン(バニラ、クリーム);ヘリオトロピン、すなわちピペロナール(バニラ、クリーム);バニリン(バニラ、クリーム);アルファ−アミルシンナムアルデヒド(スパイシーかつフルーティな香味剤);ブチルアルデヒド(バター、チーズ);バレルアルデヒド(バター、チーズ);シトロネラール(多くのタイプに改質される);デカナール(柑橘類の果実);アルデヒドC−8(柑橘類の果実);アルデヒドC−9(柑橘類の果実);アルデヒドC−12(柑橘類の果実);2−エチルブチルアルデヒド(ベリー類の果実);ヘキセナール、すなわちトランス−2(ベリー類の果実);トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド);ベラトルムアルデヒド(バニラ);12,6−ジメチル−5−ヘプテナール、すなわちメロナール(メロン);2−ジメチルオクタナール(緑の果実);及び2−ドデセナール(柑橘類、マンダリン);サクランボ;ブドウ;メントールのような精油;それらの混合物などが挙げられるがこれだけに限定されるものではない。
【0095】
利用される着香剤の量は通常好みの問題であり、香りの種類、個々の香り、および所望の強さなどの因子によって決まる。この量を変化させて、最終製品の所望の結果を得ることができる。変更は、必要以上の実験を必要としない当業者の能力の範疇にある。一般に、フィルムマトリックスの約0.01重量%〜約10重量%の量が利用される。
【0096】
先に述べたように、単位剤形はまた、泡止め剤(anti−foaming agent)および/または消泡剤(de−foaming agent)、例えばシメチコン(シメチコンはポリメチルシロキサンと二酸化ケイ素の組み合わせ物である)を含むこともできる。シメチコンは、フィルム組成物から空気を減少させるかまたは除去する泡止め剤または消泡剤のいずれかとして働く。泡止め剤は組成物中への空気の導入を予防するのに役立つ一方で、消泡剤は組成物から空気を除去するのに役立つ。
【0097】
先に述べたとおり、単位剤形はまた、1もしくは2以上の界面活性剤、1もしくは2以上の乳化剤および/またはその他の粒子の湿潤を改善する助けとなる作用物質を包含することもできる。これは、フィルムマトリックスがエストロゲン(特にエチニルエストラジオール)を含んでなる粒子を含んでなり、かつ、保護剤がワックス(特にカルナバ蝋)であるときに特に好まれる。
【0098】
界面活性剤に関する例としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性、および両性界面活性剤が挙げられる。特に、非イオン性界面活性剤が好まれる。
【0099】
非イオン性界面活性剤に関する例としては、以下のものが挙げられるがこれだけに限定されるものではない:
【0100】
−天然または水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応産物。天然または水素化ヒマシ油は、産物からPEG成分を場合により除去して約1:35〜約1:60のモル比でエチレンオキシドと反応させることもできる。Cremophor(登録商標)の商品名で入手可能なPEG−水素化ヒマシ油、特にCremophor(登録商標)S9(ポリオキシエチレン−400−モノステアラート)とCremophor(登録商標)EL(ポリオキシル35ヒマシ油)が好適である。
【0101】
−以下の製品:
−Tween(登録商標)20[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート]
−Tween(登録商標)40[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート]
−Tween(登録商標)60[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラート]
−Tween(登録商標)65[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアラート]
−Tween(登録商標)80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート]
−Tween(登録商標)81[ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート]
−Tween(登録商標)85[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート]
を含むTween(登録商標)の商品名で知られ、そして市販されているタイプのポリソルベート、例えばモノ−およびトリ−ラウリル、パルミチル、ステアリル、およびオレイルエステルとしても知られているポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
【0102】
PEG自体は界面活性剤として機能しないが、様々なPEG−脂肪酸エステルが有用な界面活性剤特性を有している。PEG−脂肪酸モノエステルの中でも、ラウリン酸、オレイン酸およびステアリン酸のエステルが最も有用である。
【0103】
−span、例えばソルビタンモノラウラート(span20)、ソルビタンモノステアラート(span60)、およびソルビタンモノオレアート(span80)などとしても知られているソルビタン脂肪酸エステル。
−ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば、Myrj(登録商標)の商品名で知られ、そして市販されているタイプのポリオキシエチレンステアレート。
−例えば、Pluronic(登録商標)、Emkalyx(登録商標)およびPoloxamer(登録商標)の商品名で知られ、そして市販されているタイプの、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびブロックコポリマー。
−ジオクチルスルホスクシナートまたはジ−[2−エチルヘキシル]−スクシネート。
−リン脂質、特にレシチン。好適なレシチンとしては、特にダイズ・レシチンが挙げられる。
【0104】
−PEGモノ−またジ−脂肪酸エステル、例えばMiglyol(登録商標)840の商品名で知られ、そして市販されているPEGジカプリレート、PEGジラウレート、PEGヒドロキシステアレート、PEGイソステアレート、PEGラウレート、PEGリシノレエート、およびPEGステアレートなど。
−ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばBrij(登録商標)、例えばBrij(登録商標)92VやBrij(登録商標)35の商品名で市販されているものなど。
−脂肪酸モノグリセリド、例えばグリセロールモノステアレートやグリセロールモノラウレート。
−サッカロース脂肪酸エステル。
−シクロデキストリン。
−トコフェロールエステル、例えばトコフェリルアセテートやトコフェリル酸スクシネート。
−コハク酸エステル、例えばジオクチルスルホスクシネートまたは関連化合物、例えばジ−[2−エチルヘキシル]−スクシネートなど。
【0105】
アニオン性界面活性剤に関する例としては、スルホスクシネート、ホスフェート、サルフェートおよびスルホネートが挙げられるがこれだけに限定されるものではない。アニオン性界面活性剤の具体例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、アルファオレフィンスルホン酸塩、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウレスエーテル硫酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、スルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウム、トリデシルエーテル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸トリエタノールアミンである。
【0106】
最終産物に望まれる結果を得るために量を変えることもできる。そうした変更は、必要以上の実験を必要としない当業者の能力の範疇にある。一般に、フィルムマトリックスの約0.01重量%〜約10重量%の量が利用され、好ましくはフィルムマトリックスの約0.05重量%〜5重量%が利用される。
【0107】
本発明の単位剤形の寸法に関して、水溶性フィルム形成マトリックスは、300μm以下、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下、最も好ましくは150μm以下、例えば120μm以下、例えば100μm以下の厚さを持つ乾燥フィルムに形成される。先の議論から理解されるべきことに、粒子の粒径に関して、粒径、ひいてはフィルムマトリックスの厚さの具体的な範囲も、実際に選択された保護剤にいくらか依存している。しかしながら、フィルムマトリックスの厚さは、一般的に10〜150μm、例えば20〜125μm、例えば30〜100μmの範囲内にあることが好まれる。より好ましくは、フィルムマトリックスの厚さは、35〜90μmの範囲内、特に40〜80μmの範囲内にある。具体的、かつ、好ましい例としては、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μmまたは約120μmの厚さが挙げられる。
【0108】
従って、本発明のいくつかの実施形態において、フィルムマトリックスの厚さが300μm以下であり、かつ、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩および保護剤を含んでなる粒子が250μm以下のd90粒径を有するか;フィルムマトリックスの厚さが250μm以下であり、かつ、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩および保護剤を含んでなる粒子が200μm以下のd90粒径を有するか;フィルムマトリックスの厚さが200μm以下であり、かつ、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩および保護剤を含んでなる粒子が175μm以下のd90粒径を有するか;フィルムマトリックスの厚さが200μm以下であり、かつ、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩および保護剤を含んでなる粒子が150μm以下のd90粒径を有するか;フィルムマトリックスの厚さが150μm以下であり、かつ、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩および保護剤を含んでなる粒子が100μm以下のd90粒径を有するか;またはフィルムマトリックスの厚さが120μm以下であり、かつ、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩および保護剤を含んでなる粒子が100μm以下のd90粒径を有する。
【0109】
フィルムマトリックスの表面の寸法(表面積)は、通常2〜10cm2の範囲内、例えば3〜10cm2の範囲内、例えば3〜9cm2の範囲内、より好ましくは4〜8cm2の範囲内である。具体的、かつ、好ましい表面積の例としては、約4cm2、4.5cm2、5cm2、5.5cm2、6cm2、6.5cm2、7cm2、7.5cm2または8cm2の表面積が挙げられる。最も好ましくは、表面積は、約5cm2、5.5cm2、6cm2、6.5cm2または7cm2である。
【0110】
フィルムマトリックスの総重量は通常、例えば、5〜200mgの範囲内、例えば5〜150mgの範囲内、例えば10〜100mgの範囲内にある。より好ましくは、フィルムマトリックスの総重量は10〜75mgの範囲内、例えば10〜50mgの範囲内である。フィルムマトリックスの重量の具体的、かつ、好ましい例としては、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mgまたは約50mgの重量が挙げられる。
【0111】
単位剤形を調製し、そして第2層、すなわち、積層後に、例えばウエハー製造の後期工程ステップ、包装中または使用前に、すなわち口腔内に導入される前にはそこから取り出されるところの支持体層または裏当て層(backing layer)(ライナー(liner))に付着させることもできる。好ましくは、支持体材料または裏当て材料は、水溶性ではなく、そして好ましくはポリエチレン−テレフタレート、または当業者に周知のその他の好適な材料からなることもできる。
【0112】
5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩および保護剤を含んでなる粒子に関して、これらの粒子は通常、単位剤形の50重量%未満、好ましくは単位剤形の25重量%未満、例えば単位剤形の20重量%未満、例えば単位剤形の15重量%未満、より好ましくは単位剤形の10重量%未満、例えば単位剤形の8重量%未満、例えば単位剤形の6重量%未満、または単位剤形の4重量%未満を構成する。従って、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩および保護剤を含んでなる粒子は通常、単位剤形の0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、例えば2〜40重量%、例えば単位剤形の2〜20重量%を構成する。具体的な値としては、単位剤形の約15%、約10%、約8%、約6%および約4重量%が挙げられる。
【0113】
単位剤形は通常、0.1〜1mg、例えば0.1〜0.9mg、例えば0.2〜0.75mg、好ましくは0.3〜0.6mg、より好ましくは0.4〜0.5mg、最も好ましくは0.42〜0.49mg、特に0.451mgの量で、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩を含有する。これまでに説明したとおり、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩は、好ましくは5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のカルシウム塩である。
【0114】
本発明の単位剤形がその他のビタミンを含有しないこと、特にビタミンB、例えばビタミンB6および/またはビタミンB12などを含有していないことが好ましい。従って、本発明の好ましい実施形態において、単位剤形は唯一のビタミン成分として5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩を含有する。
【0115】
被保護粒子/単位剤形からの5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の放出に関して、以下でプロゲスチンに関して議論されるのと同じ溶解特性が、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩に適用される。従って、プロゲスチンの放出特性に関する以下でされるすべての記載が、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の放出特性に対して必要な変更を加えた上で適用される。
【0116】
さらに、本発明の1つの実施形態において、単位剤形は、唯一の治療活性を有する薬剤として5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩を含有している。しかしながら、本発明の好ましい実施形態において、単位剤形は、さらに少なくとも1つの追加の治療活性を有する薬剤を含んでなる。
【0117】
プロゲスチン
本発明の興味深い実施形態において、単位剤形は、少なくとも1つのプロゲスチンをさらに含んでなる。
【0118】
従って、本発明の興味深い実施形態において、単位剤形は、薄い水溶性フィルムマトリックスを含んでなり、ここで
a)当該フィルムマトリックスは、少なくとも1つの水溶性マトリックスポリマーを含んでなり;
b)当該フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで、当該粒子は5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、当該粒子は280μm以下のd90粒径を有し;
c)当該フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで、当該粒子は少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、当該粒子は280μm以下のd90粒径を有し;そして
d)当該フィルムマトリックスは300μm以下の厚さを有する。
【0119】
5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶およびと少なくとも1つの保護剤を含んでなる粒子に関しての本明細書中におけるすべての記載は、少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなる粒子に対して必要な変更を加えた上で適用されるが、唯一の例外が粒子内に組み込まれるプロゲスチンの量であることが理解されるべきである(以下)。
【0120】
よって、好ましい保護剤はワックス、特にカルナバ蝋であるが、少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなる粒子に関して、保護剤としてカチオン性ポリメタクリレートを使用することもまた好まれる。同じことは、本発明の単位剤形が少なくとも1つのエストロゲンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなる粒子を含んでなる状況に対して当てはまる(以下)。この実施形態によると、保護剤は、好ましくはジ−C1-4−アルキル−アミノ−C1-4アルキルメタクリレートと中性メタクリル酸C1-6アルキルエステルをベースとしたカチオン性ポリメタクリレート・コポリマーである。本発明のより好ましい実施形態において、当該カチオン性ポリメタクリレートは、ジメチルアミノエチルメタクリレートと中性メタクリル酸C1-4アルキルエステルをベースとしたコポリマー、例えばジメチル−アミノエチルメタクリレート、メタクリル酸メチルエステル、およびメタクリル酸ブチルエステルをベースとしたコポリマーなどである。特定の好ましいカチオン性ポリメタクリレートは、ポリ(ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、メチルメタクリレート)1:2:1である。先に触れたカチオン性ポリメタクリレートは通常、100,000〜500,000Daの範囲内の平均分子量、例えば100,000〜300,000Daの範囲内の平均分子量、例えば100,000〜250,000Daの範囲内の平均分子量、好ましくは100,000〜200,000の範囲内の平均分子量、例えば125,000〜175,000Daの範囲内の平均分子量、例えば約150,000Daの平均分子量がある。
【0121】
かかるカチオン性ポリメタクリレートは、Eudragit(登録商標)Eという商品名でDegussa、Germanyから入手可能である。特に、Eudragit(登録商標)E100が好まれる。
【0122】
プロゲスチンは、レボ−ノルゲストレル、ノルゲストレル、ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、ジエノゲスト、酢酸ノルエチンドロン(酢酸ノルエチステロン)、二酢酸エチノジオール、ジドロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、リネストレノール、酢酸キンゲスタノール、メドロゲストン、ノルゲストリエノン、ジメチステロン、エチステロン、酢酸クロルマジノン、メゲストロール、プロメゲストン、デソゲストレル、3−ケト−デソゲストレル、ノルゲスチメート、ゲストデン、チボロン、酢酸シプロテロン、ジエノゲストおよびドロスピレノンからなる群から選択され得る。好ましいプロゲスチンは、ゲストデン、ジエノゲストおよびドロスピレノンであり、特にドロスピレノンである。
【0123】
先に示したとおり、プロゲスチンを含む粒子は、口ではできるだけ少量のプロゲスチンしか放出されず、その一方で胃または場合により小腸において、できるだけ多量のプロゲスチンが放出されるような方法で調製されるべきである。これは、本明細書中に記載したようなプロゲスチンを保護剤と組み合わせることによって達成できる。
【0124】
当業者によって知られているように、口内での崩壊型剤形の典型的な滞留時間は通常、3分未満である。(微小)粒子が口内においてかかる剤形から放出される場合に、同じことをこれらの(微小)粒子に当てはめる。よって、口内でのこれらの(微小)粒子の典型的な滞留時間は約3分である(これは摂取から剤形の崩壊までの時間を含むことが意図されている)。その結果、有効な味覚マスキングを、少量の唾液を模した液体における試験管内溶出試験によって調査することもでき、そして味覚マスキングであることが、0〜3分の初期の時点で、10mlの溶解液(通常、pH6の水溶液)中の原薬が検出されないか、または検出された量がその味覚を特定するための閾値(threshold)未満であるときに、有効な味覚マスキングが達成されることを合理的に推定することができる。原薬の味覚を特定するための絶対閾値が、原薬の性質と用量に依存していることは明らかである。ドロスピレノンの場合では、ドロスピレノンが3mgの投与量レベルで適用されるとき、当該閾値は約25%(w/w)超である。
【0125】
よって、保護剤は、プロゲスチンの不快な味覚を事実上マスクするために、および/またはプロゲスチンを含んでなる標準的なIR経口錠剤との生物学的同等性を確保するために、口内を支配している条件を模した条件下でプロゲスチンが溶解されないか、または非常に限られた量のプロゲスチンしか溶解されないことを確保しなければならない。より具体的には、口内に条件に相当する試験管内溶出実験で測定される際に、3分以内に25%(w/w)未満、例えば20%(w/w)未満、より好ましくは15%(w/w)未満、例えば10%(w/w)未満、最も好ましくは5%(w/w)未満のプロゲスチンが単位剤形から溶解されることが好ましい。好適な試験管内溶出実験が本明細書中の実施例8Aに記載されている。基本的には、単位剤形がガラスビーカーの底に置かれる。そして、溶解液として37℃、10mlの擬似唾液pH6.0(組成:1.436gのリン酸二ナトリウム二水和物、7.98gのリン酸−カリウム、および8.0gの塩化ナトリウムを950mlの水中に溶解させ、pH6.0に調整し、そして1000mlとする)がビーカーに加えられる。通常、実験は、その単位剤形がこの手順を適用した3分以内に完全に崩壊するような方法で製剤化されているのであれば、(剤形の完全な湿潤を保証するために実験の最初の5秒以内に緩やかに振盪することを除いて)撹拌または振盪をせずに実施される。単位剤形がかかる方法で製剤化されていなければ、3分以内にその単位剤形の崩壊完了を確実にする方法で撹拌または振盪を適用することができる。3分後に、ビーカーの内容が目視により調べられ、その後液体のサンプルが取り出され、濾過され、そして原薬の内容物に関して分析される。
【0126】
本発明の単位剤形への組み込みの前に被保護粒子の味覚マスキング特性を調査し、そして評価するために、Xu et al.,Int J Pharm 2006;359;638に記載されている溶出試験を適用することもできる。本発明の好ましい実施形態において、溶解液として37℃の蒸留水を使用し、および撹拌速度として100rpmを使用した溶解装置II型によって測定したときに、5分以内にプロゲスチンの10%(w/w)未満、より好ましくは15%(w/w)未満、最も好ましくは20%(w/w)未満が被保護粒子から溶解される。
【0127】
先に示したように、プロゲスチンが胃および/または腸において迅速かつ効果的に放出されることが最重要事項である。当業者に理解されるべきことに、この効果は、試験管内溶出試験によって模擬試験されることができ、そして37℃の900〜1000mlの好適な溶解液と、撹拌速度として50〜100rpm、好ましくは50、75または100rpmのいずれかを使用した米国薬局方(USP)XXXIパドル法(装置2)によって測定したときに、30分以内にプロゲスチンの少なくとも70%(w/w)、より好ましくは少なくとも80%(w/w)、最も好ましくは少なくとも90%(w/w)が単位剤形から溶解されるのであれば、胃および/または腸におけるプロゲスチンの有効な放出が達成されると合理的に推定することができる。あるいは、単位剤形は、類似の条件下、より短い期間でアッセイされることもできる。こうした場合、溶解液として37℃の900〜1000mlの好適な溶解液と、撹拌速度として50〜100rpm、好ましくは50、75または100rpmのいずれかを使用したUSP XXXIパドル法(装置2)によって測定したときに、20分以内に、より好ましくは15分以内にプロゲスチンの少なくとも70%(w/w)、より好ましくは少なくとも80%(w/w)、最も好ましくは少なくとも90%(w/w)が単位剤形から溶解されることが好ましい。
【0128】
典型的な試験管内溶出実験が、実施例8Bに記載されている。好適な溶解液は、胃および/または腸内の生理的条件、ならびに単位剤形の固有の性質を反映するように選択されることもできる。よって、好適な溶解液は、例えば水、pH1〜8(例えばpH1.0、1.2、1.3、2.0、4.5、6.0および6.8など)の水性緩衝液、0.1〜3%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを添加したpH1〜8(pH1.0、1.2、1.3、2.0、4.5、6.0および6.8など)の水性緩衝液、人工胃液、擬似腸液(断食または給餌状態)から選択されることもできる。
【0129】
1つの実施形態において、好適な溶解液は、900〜1000mlの、0.05Mのリン酸緩衝液pH6.0;0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含む0.05Mのリン酸緩衝液pH6.0;および1%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含む0.05Mのリン酸緩衝液pH6.0から選択される。最も好ましくは、好適な溶解液は、1000mlの、0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含む0.05Mのリン酸緩衝液pH6.0である。
【0130】
別の実施形態において、好適な溶解液は、900mlの、0.05Mの酢酸緩衝液pH4.5;0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含む0.05Mの酢酸緩衝液pH4.5;および1%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含む0.05Mの酢酸緩衝液pH4.5から選択される。好ましい実施形態において、好適な溶解液は、保護剤がワックスであるときには、900mlの、0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウムを含む0.05Mの酢酸緩衝液pH4.5である。
【0131】
先に議論した溶出試験は、本明細書中の実施例8B、8Cおよび8Dにより詳細に記載されている。
【0132】
擬似胃液と擬似腸液に関する例は、USP XXXIに記載されている。しかしながら、薬学文献で知られている擬似体液のその他の組成が存在する。上述したとおり、溶解液の厳密な組成物は、胃および/または腸の生理的条件、ならびに単位剤形の特性を反映するような形で選択されるべきである。
【0133】
理解されるべきことに、プロゲスチンの放出特性に関して先に議論したもののすべてが、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩に対して必要な変更を加えた上で適用される。
【0134】
先に述べたとおり、プロゲスチンおよび保護剤を含んでなる粒子は、口ではできるだけ少量のプロゲスチンしか放出すべきでなく、その一方で胃および/または腸においてできるだけ多量のプロゲスチンが溶出されるべきである。これは、例えばプロゲスチンを保護剤に埋め込むこと(embedding)によって、例えばプロゲスチンが保護剤中に固体分散体(solid dispersion)で存在しているような方法によって達成できる。
【0135】
あるいは、プロゲスチンは、保護剤で被覆されてもよい。この実施形態は、保護剤がワックスであるときに特に好ましい。
【0136】
プロゲスチンおよび保護剤を含んでなる粒子に関して、これらの粒子は通常、単位剤形の60重量%未満、好ましくは単位剤形の50重量%未満、より好ましくは単位剤形の40重量%未満を構成する。理解されるべきことに、プロゲスチンおよび保護剤を含んでなる粒子の量は、選択されたプロゲスチンの効力に依存している。従って、プロゲスチンおよび保護剤を含んでなる粒子は通常、単位剤形の0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、例えば2〜40%、例えば単位剤形の5〜30重量%を構成する。具体的な値としては、単位剤形の約12重量%、約15重量%、約20重量%、および約30重量%が挙げられる。
【0137】
本発明の単位剤形中に組み込まれるプロゲスチンの量もまた、もちろん選択されたプロゲスチンの効力に依存しているが、通常、単位剤形に基づいて計算された0.1〜30%(w/w)の範囲内にある。通常、本発明の単位剤形に組み込まれるプロゲスチンの量は、0.5〜25%(w/w)、例えば1〜20%(w/w)、好ましくは1〜15%(w/w)、2〜10%(w/w)、例えば約6%(w/w)または約7.5%(w/w)である。
【0138】
先に述べたとおり、単位剤形は好ましくはプロゲスチン成分としてドロスピレノンを含む。そして、単位剤形は通常、0.25〜5mgのドロスピレノン、例えば1〜4mgのドロスピレノン、例えば2〜4mgのドロスピレノン、好ましくは2.5〜3.5mgのドロスピレノン、最も好ましくは約3mgのドロスピレノンを含む。先に述べたとおり、ドロスピレノンは、シクロデキストリンと複合体化されることもできる。
【0139】
好ましいプロゲスチンはドロスピレノンであるが、実際にはその他のプロゲスチンの組み込みもまた本発明の範囲内にある。より具体的には、単位剤形は、0.05〜0.5mg、好ましくは0.075〜0.25mg、例えば0.1mg、0.125mgまたは0.15mgの量でデソゲストレルを含んでなることもでき;0.25〜2mg、好ましくは0.75〜1.5mg、例えば1mgの量で二酢酸エチノジオールを含んでなることもでき;0.025〜0.3mg、好ましくは0.075〜0.25mg、例えば0.1mgまたは0.15mgの量でレボノルゲストレルを含んでなることもでき;0.2〜1.5mg、好ましくは0.3〜1.25mg、例えば0.4mg、0.5mgまたは1mgの量でノルエチンドロン(ノルエチステロン)を含んでなることもでき;0.5〜2mg、好ましくは1〜1.5mg、例えば1mgまたは1.5mgの量で酢酸ノルエチンドロン(酢酸ノルエチステロン)を含んでなることもでき;0.1〜1mg、好ましくは0.25〜0.75mg、例えば0.3mgまたは0.5mgなどの量におけるノルゲストレルを含んでなることもでき;0.1〜0.5mg、好ましくは0.15〜0.3mg、例えば0.18mg、0.215mgまたは0.25mgの量でノルゲスチメートを含んでなることもでき;0.5〜3mg、好ましくは1〜2mg、例えば2mgの量で酢酸シプロテロンを含んでなることもでき;0.25〜4mg、例えば1〜4mg、好ましくは2〜3mg、より好ましくは2mgの量でジエノゲストを含んでなることもでき;0.01〜0.1mg、例えば0.025〜0.1mg、例えば0.05〜0.1mg、好ましくは0.06〜0.075mg、例えば0.060mgまたは0.075mgの量でゲストデンを含んでなることもでき;そして2〜3mg、例えば2.5mgの量でチボロンを含んでなることもできる。先に述べたとおり、最も好ましいプロゲスチンは、ゲストデン、ジエノゲストおよびドロスピレノンであり、特にドロスピレノンである。
【0140】
さらに、本発明の1つの実施形態において、単位剤形は、治療活性を有する薬剤として5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩およびプロゲスチンしか含有していない。しかしながら、本発明の好ましい実施形態において、単位剤形は、さらに少なくとも1つの追加の治療活性を有する薬剤を含む。
【0141】
エストロゲン
本発明の興味深い実施形態において、単位剤形は、少なくとも1つのエストロゲンをさらに含んでなる。
【0142】
本発明の1つの実施形態において、(プロゲスチンのように)エストロゲンは、エストロゲンを頬側経路を経由して吸収させないような方法で、すなわちできるだけ少量のエストロゲンしか口内に溶解されない一方で、できるだけ多量のエストロゲンが胃および/または腸で溶解されるように単位剤形に組み込まれる。これは、プロゲスチンおよび5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩に関して先に述べたのと同様の方法でエストロゲンを保護剤と組み合わせることによって達成することもできる。
【0143】
従って、本発明の非常に興味深い実施形態において、単位剤形は、薄い水溶性フィルムマトリックスを含んでなり、ここで
a)当該フィルムマトリックスは、少なくとも1つの水溶性マトリックスポリマーを含んでなり;
b)当該フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで、当該粒子は5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、当該粒子は280μm以下のd90粒径を有し;
c)当該フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで、当該粒子は少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、当該粒子は280μm以下のd90粒径を有し;
d)当該フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで、当該粒子は少なくとも1つのエストロゲンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、当該粒子は280μm以下のd90粒径を有し;そして
e)当該フィルムマトリックスは300μm以下の厚さを有する。
【0144】
エストロゲンは、エチニルエストラジオール、治療上許容されるエストラジオール誘導体を含むエストラジオール、エストロン、メストラノール、エストリオール、コハク酸エストリオール、および結合型エストロゲンからなる群から選択されることができる。より好ましくは、エストロゲンは、エチニルエストラジオール、エストラジオール、スルファミン酸エストラジオール、吉草酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストロン、メストラノールおよび硫酸エストロンからなる群から選択される。本発明の非常に好ましい実施形態において、エストロゲンは、エチニルエストラジオールまたはエストラジオールであり、特にエチニルエストラジオールである。
【0145】
エチニルエストラジオールが単位剤形中に存在しているとき、その単位剤形は通常、0.01〜0.05mgのエチニルエストラジオール、好ましくは0.02〜0.03mgのエチニルエストラジオールを含む。エチニルエストラジオールの具体的な量としては、約0.01mg、約0.015mg、約0.020mg、約0.025mgまたは約0.030mgが挙げられる。最も好ましくは、エチニルエストラジオールの量は、約0.02mgのエチニルエストラジオールまたは約0.03mgのエチニルエストラジオールである。先に述べたとおり、エチニルエストラジオールは、シクロデキストリンと複合体化されていてもよい。よって、本発明の1つの特定の興味深い実施形態において、単位剤形は、約3mgのドロスピレノンおよび約0.02mgのエチニルエストラジオールを含んでなるが、ここで、当該エチニルエストラジオールは、場合によりシクロデキストリンと複合体化される。本発明の別の特定の興味深い実施形態において、単位剤形は、約3mgのドロスピレノンおよび約0.03mgのエチニルエストラジオールを含んでなる。
【0146】
エストラジオールが単位剤形中に存在しているとき、その単位剤形は通常、1〜3mgのエストラジオール、例えば約1mgのエストラジオール、約2mgのエストラジオールまたは約3mgのエストラジオールなどを含む。最も好ましくは、当該単位剤形は、約1mgのエストラジオールを含む。よって、本発明の特定の興味深い実施形態において、単位剤形は、0.5、1または2mgのドロスピレノンおよび約1mgのエストラジオールを含んでなる。
【0147】
理解されるべきことに、その粒子中に組み込まれるべきエストロゲンの量は別として、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶および少なくとも1つの保護剤を含んでなる粒子に関する本明細書中でなされたすべての記載が、少なくとも1つのエストロゲンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなる粒子に対して必要な変更を加えた上で適用される。さらに、その粒子中に組み込まれるべきエストロゲンの具体的な量は別として、プロゲスチンおよび保護剤を含んでなる粒子に関してなされたすべての記載が、かかる粒子が少なくとも1つのエストロゲンを含む態様および実施形態に対して必要な変更を加えた上で適用される。別の言い方をすれば、保護剤、溶解特性などに関するすべての記載もまた、エストロゲンを含んでなる粒子に適用される。
【0148】
上記されたとおり、保護剤がワックスであれば、界面活性剤をフィルムマトリックス中に含んでなることは、本発明の実施形態にとって好ましい。エストロゲンとワックスの間の重量比は通常、1:1〜1:4の範囲内にあり、例えば約1:1、約1:2、約1:3または約1:4である。
【0149】
本発明の他の実施形態において、(5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩やプロゲスチンとは対照的に)エストロゲンは、エストロゲンを頬側経路を経由して吸収させるように、すなわちできるだけ多量のエストロゲンが口内で溶解され、したがって口内粘膜経路を経由して吸収されるような方法で単位剤形中に組み込まれる。これは、水溶性マトリックスポリマー中に(いずれの保護剤も伴うことなく)エストロゲンを溶解することによって達成することができる。
【0150】
よって、本発明のさらに別の実施形態において、単位剤形は、薄い水溶性フィルムマトリックスを含んでなり、ここで、
a)当該フィルムマトリックスは、少なくとも1つの水溶性マトリックスポリマーを含んでなり、ここで、少なくとも1つのエストロゲンは当該水溶性マトリックスポリマー中に分散されており、好ましくは分子状に分散されており;
b)当該フィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、当該粒子は5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、当該粒子は280μm以下のd90粒径を有し;
c)当該フィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで、当該粒子は少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、当該粒子は280μm以下のd90粒径を有し;そして
d)当該フィルムマトリックスは300μm以下の厚さを有する。
【0151】
エストロゲンは、エチニルエストラジオール、治療上許容されるエストラジオール誘導体を含むエストラジオール、エストロン、メストラノール、エストリオール、コハク酸エストリオール、および結合型エストロゲンからなる群から選択されることができる。より好ましくは、エストロゲンは、エチニルエストラジオール、エストラジオール、スルファミン酸エストラジオール、吉草酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストロン、メストラノール、および硫酸エストロンからなる群から選択される。本発明の非常に好ましい実施形態において、エストロゲンは、エチニルエストラジオールまたはエストラジオールであり、特にエチニルエストラジオールである。
【0152】
理解されるべきことに、エストロゲン成分が本発明の先の実施形態(頬側投与)による単位剤形に組み込まれるとき、エストロゲンのバイオアベイラビリティは、エストロゲンが保護剤を伴う本発明の実施形態と比較して増強される。このことは、今度は、先に述べたものより著しく低い投薬量のエストロゲンを使用することもできるという結果をもたらす。
【0153】
よって、エストラジオールが本発明のこの特定の実施形態による単位剤形に組み込まれるのであれば、その単位剤形は、5〜1000μgのエストラジオール、例えば10〜750μgのエストラジオール、例えば25〜500μgのエストラジオール)を含有する。通常、単位剤形は、10〜200μgのエストラジオール、例えば10〜60μgのエストラジオールまたは60超〜200μgのエストラジオールを含んでなる。
【0154】
好ましい実施形態において、単位剤形は、「超少(ultra−low)」量のエストラジオール、すなわち10〜60μgのエストラジオール、例えば25〜60μgのエストラジオール、好ましくは30〜50μgのエストラジオール、より好ましくは40〜50μgのエストラジオール、例えば約40、45、46または50μgのエストラジオールを含有する。あるいは、「超少」量は、10〜60μgのエストラジオール、例えば10〜50μgのエストラジオール、好ましくは20〜40μgのエストラジオール、より好ましくは25〜35μgのエストラジオール、例えば約30μgのエストラジオールである。
【0155】
単位剤形はまた、「非常に少(very low)」量のエストラジオール、すなわち60超〜200μgのエストラジオール、例えば70〜160μgのエストラジオール、例えば70〜150μgのエストラジオール、好ましくは80〜150μgのエストラジオール、例えば80〜120μgのエストラジオールまたは120〜150μgのエストラジオールを含有することもできる。具体的なエストラジオール用量としては、80、85、90、100、115、120、130、150および160μgのエストラジオールが挙げられる。
【0156】
単位剤形はまた、「中程度に少(medium low)」量のエストラジオール、すなわち200超〜500μgのエストラジオール、例えば250〜300μgのエストラジオール、例えば260〜280μgのエストラジオール、より好ましくは265〜275μgのエストラジオール、例えば約270μgのエストラジオールを含有することもできる。
【0157】
さらに他の実施形態において、単位剤形は、「少(low)」量のエストラジオール、すなわち500超〜1000μgのエストラジオール、例えば500超〜750μgのエストラジオールを含有することもできる。
【0158】
単位剤形に組み込むことができるエストラジオールの用量の具体例としては、約10、12.5、15、20、30、40、45、46、50、60、70、80、85、90、100、115、120、130、150、160、180、200または270μgのエストラジオールの用量が挙げられる。
【0159】
先に触れた用量は、好ましくは日用量(daily dose)に相当している。先に触れた用量が、無水エストラジオールに関して示されていることを理解すべきである。エストラジオールの水和物、例えばエストラジオール半水和物など、または医薬として許容されるエストラジオールのエステル、例えば吉草酸エストラジオールなどが利用されるのであれば、理解されるべきことに、記載された用量の無水エストラジオールと治療的に同等である用量が使用されるべきである。無水エストラジオールの有効量が知られているとき、薬理学的/治療的に同等な用量のかかるその他の形態を決定することは、当業者にとって日常的なことである。
【0160】
エチニルエストラジオールが本発明のこの特定の実施形態による単位剤形中に組み込まれるのであれば、その単位剤形は通常、10〜20μgのエチニルエストラジオール、例えば約15または20μgのエチニルエストラジオールを含有する。
【0161】
製造
本発明の単位剤形は、実施例に示されている、およびWO2007/073911に記載されている工程および方法によって製造されることができる。
【0162】
被保護粒子は通常、好適な有機溶媒中に保護剤を溶解させ、その後に治療活性を有する薬剤(例えば5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩、プロゲスチンおよび/またはエストロゲン)が加えられることによって調製される。保護剤の選択によって、(例えば保護剤としてカルナバ蝋が使用される場合には)保護剤が治療活性を有する薬剤の表面上に被覆されるか、または治療活性を有する薬剤が固体分散体として粒子中に組み込まれる。
【0163】
有機溶媒の除去後に、得られた微小粒子が乾かされ、そして場合により製粉され、ふるいにかけられる。製粉装置は、粒子の特性と所望の粒径に従って選択され、例えばローターミルまたはエアージェットミルが使用されてもよい。
【0164】
マトリックスポリマー水溶液(被覆溶液)は通常、好適な溶剤、例えば水やアルコールと水の混合物などに水溶性マトリックスポリマーを加えることによって調製される。先に触れたように、被保護粒子がエストロゲン(特にエチニルエストラジオール)を含んでなり、かつ、保護剤がワックス(特にカルナバ蝋)であれば、界面活性剤が加えられることが好ましい。理解されるべきことに、水溶性マトリックスポリマーを溶解するのに必要な時間と条件は、使用されるポリマーと溶媒に依存する。よって、場合によっては、水溶性マトリックスポリマーは、室温にて緩やかに撹拌するだけで容易に溶解できるのに対して、他の場合では、形に熱と激しい撹拌を加えることが必要である。典型的な実施形態において、混合物は、1〜4時間、好ましくは約2時間または溶液を得るまで撹拌される。その溶液は、通常60〜80℃、例えば約70℃の温度にて撹拌される。室温に冷ました後に、被保護粒子は、少量の溶媒または溶媒混合物中に場合により分散され、その後上記マトリックスポリマー溶液中に注ぎ込まれ、そして完全に混合される。最終的な混合ステップ、さらに任意のプレ分散ステップもまた、例えば乳棒と乳鉢を使用することによって、または適当なスターラー、例えばプロペラスターラーなどで撹拌することによって、またはハイシアーミキシング(high sheer mixing)によって、またはローター−ステーター混合装置、例えばultra−turraxなどを使用することによって、および/または超音波を適用することによって、当業者に知られているいずれかの方法によって実施できる。得られた溶液(被覆溶液)は、すぐにまたは数日以内であれば、好ましくは一日以内であれば被覆処理に使用できる。様々な量の溶媒、マトリックスポリマーなどが、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、特に20〜40重量%、例えば約25重量%、約30重量%、約33重量%、約35重量%および約40重量%の被覆溶液の固形分含量に達するように調整される。
【0165】
その他の賦形剤、補助剤および/または活性原薬を、先に触れたステップのいずれの間にも加えることができる。
【0166】
先に述べたとおり、本発明の単位剤形はエストロゲンを含むことができるが、そのエストロゲンは水溶性フィルムマトリックス中に分散され、好ましくは分子状に分散される。この場合、そのエストロゲンは、好適な溶剤、例えばプロピレングリコールなどの中に溶解される。この溶液は、水溶性マトリックスポリマーの添加前に被覆溶液に使用される溶媒中に添加されることができる。あるいは、その溶液はまた、水溶性マトリックスポリマーが既に溶解された後に添加されることもできる。この場合、その溶液は、最終的な混合ステップが実施されるより先に、被保護粒子の添加前、添加と一緒にまたは添加後のいずれかで添加されることができる。
【0167】
必要とされれば、被覆溶液は、好適な支持体または裏当て層(ライナー)上に広げられる前に脱気される。好適なライナーに関する例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)ライナー、例えばPerlasic(登録商標)LF75(Perlen Convertingから入手可能)、Loparex(登録商標)LF2000(Loparex BVから入手可能)およびScotchpack(登録商標)9742(3M Drug delivery Systemsから入手可能)などが挙げられる。本発明の1つの実施形態において、被覆溶液は、好適なライナー上に展開箱(spreading box)を用いて広げられ、そして室温にて12〜24時間乾かされる。そして、薄い不透明なフィルムが作製される。そのフィルムは、続いて所望の大きさや形状のピースに切断されるかまたは打ち抜かれる。あるいは、上記被覆溶液は、40〜100℃の乾燥温度を使用して(例えばCoatema Coating Machinery GmbH、Dormagen, Germanyによる)自動化された被覆および乾燥装置を使用することで好適なライナー上に薄いフィルムとして被覆され、そしてインライン乾燥される。そして、薄い不透明なフィルムが作製される。そのフィルムは、続いて所望の大きさや形状のピースに切断されるかまたは打ち抜かれる。
【0168】
治療上の使用と投与
本明細書中の開示から明らかなように、本発明の単位剤形は、雌の哺乳動物の排卵抑制、すなわち雌の哺乳動物の避妊を提供するのに好適である。
【0169】
さらなる興味深い実施形態において、本発明は、基本的には21、22、23または24個、特に21または24個の包装単位に入れられた個別に取り出し可能な本発明による単位剤形(ウエハー)、および7、6、5または4個、特に7または4個のあらゆる治療活性を有する薬剤も含まないかまたは唯一の治療活性を有する薬剤として5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩を含んでなる,個別に取り出し可能な単位剤形(ウエハー)からなる医薬製剤またはキットに関する。
【0170】
本発明の他の実施形態において、上記の医薬製剤またはキットはいずれもプラセボ・ウエハーを含まない。すなわち本発明は、基本的には21、22、23または24個、特に21または24個の包装単位に入った、本発明による個別に取り出し可能な単位剤形(ウエハー)からなる医薬製剤またはキットに関する。
【0171】
当該単位剤形(ウエハー)は、例えば単独のパウチ、複数単位のブリスター包装で個別に包装されてもよいし、当該単位剤形(ウエハー)は、例えば複数単位のディスペンサーの中に一緒に包装されてもよい。
【0172】
当該製剤(またはキット)は、単相製剤(one−phase preparation)、すなわちプロゲスチンおよびエストロゲンの量が全21、22、23または24日間一定のままである製剤であってもよい。あるいは、いずれかまたは両方の活性物質(すなわちプロゲスチンとエストロゲン)の量が、21、22、23または24日間を通して変化させて、多相製剤(multipe−phase preparation)、例えば二相(two−phase preparation)または三相製剤(three−phase preparation)、例えばUS4,621,079に記載されているようなもの、を作り出してもよい。
【0173】
別の態様において、本発明は、不十分な内因性エストロゲンレベルによって引き起こされる雌の哺乳動物の身体状態、例えば骨粗鬆症、頭痛、吐き気、うつ病、血管運動症状、泌尿生殖器萎縮の症状、骨ミネラル濃度の低下、または骨折の危険性もしくは発生などを処置するか、緩和するかまたは予防するための,本発明の単位剤形に関する。本発明の好ましい実施形態において、本発明に従って処置されるべき雌の哺乳動物は、閉経後の女性、特に子宮を摘出していない閉経後の女性である。
【0174】
さらなる態様において、本発明は、雌の哺乳動物の排卵を同時に抑制するための、すなわち雌の哺乳動物の避妊を提供するための、および不十分な内因性エストロゲンレベルによって引き起こされる雌の哺乳動物の身体状態、例えば骨粗鬆症、頭痛、吐き気、うつ病、血管運動症状、泌尿生殖器萎縮の症状、骨ミネラル濃度の低下または骨折の危険性の増大もしくは発生などを処置するか、緩和するかまたは予防するための、本発明の単位剤形に関する。特にこの処置の恩恵を受けることができる女性の群は、閉経周辺期(「閉経期移行期」と呼ばれることもある、North American Menopause Society:Menopause Practice:A Clinician’s Guide,3.Edition,2007を参照のこと)にある女性であり、それらの女性は、ホルモン補充療法を必要としているが、まだ避妊のための保護が必要である。本発明のこの実施形態によると、28日間の投与サイクルを通して、治療活性を有する薬剤を含むウエハーが23日間または24日間、特に24日間投与され、その後にいずれの治療活性を有する薬剤も含まないウエハーの投与が5日間または4日間、特に4日間続くのが好ましい。
【0175】
さらに別の態様において、本発明は、にきびを処置するか、緩和するかまたは予防するための、本発明の単位剤形に関する。
【0176】
また別の態様において、本発明は、月経前症候群(PMS)および/または月経前不快気分障害(PMDD)を処置するか、緩和するかまたは予防するための、本発明の単位剤形に関する。
【0177】
さらに別の態様において、本発明は、高血圧症を処置するか、緩和するかまたは予防するための、本発明の単位剤形に関する。
【0178】
本発明は、以下の制限されることのない実施例によってさらに例示される。
【0179】
材料と方法
分解産物の測定
5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸カルシウムならびにその分解物の分離および定量化を、外部の較正基準を用いて逆相カラム上のHPLC(Ph.Eur.2.2.9,USP<621>,JP No.27)により行なう。サンプルは、遅延なく分析されなければならないか、または好適な抗酸化剤、例えばアスコルビン酸などによって安定化され、その後遅延なく分析されなければならない。
【0180】
【表1】

【0181】
【表2】

【実施例】
【0182】
実施例
実施例1:保護剤を含んでなる粒子の調製
実施例1A:メタフォリン(登録商標)/カルナバ蝋
80gのカルナバ蝋(Pharm.Grade)を、透明な溶液を得るまで400rpmで撹拌しながら、2リットルの二重壁ガラスビーカー内、60℃にて1kgのn−ヘプタン中に溶解させる。
【0183】
撹拌速度を600rpmに調整しながら、80gの微粉化メタフォリン(登録商標)を、塊にならないようにゆっくり当該溶液に加える。混合物を、20℃/時間の冷却速度で20℃まで冷まして、カルナバ蝋で被覆された薬物含有微小粒子を得る。
【0184】
微粉化メタフォリン(登録商標)含有微小粒子を、酢酸セルロース濾過膜とガラスフィルターユニットを使用して濾過する。その微小粒子を、続いて300mlのエタノール(96%)で洗浄して、n−ヘプタン残留物および封入されなかったメタフォリン(登録商標)を取り除く。
【0185】
濾過した微小粒子を、ガラスボールに移し、そして30℃にて2時間乾燥させる。
【0186】
(メタフォリン(登録商標)含有微小粒子が保護剤で被覆されている)得られた被保護粒子のバッチは、以下の粒径を有する。
【0187】
【表3】

【0188】
実施例1B:メタフォリン(登録商標)/カルナバ蝋
メタフォリン(登録商標)含有微小粒子を、80gの微粉化メタフォリン(登録商標)の代わりに40gの微粉化メタフォリン(登録商標)を使用して、実施例1Aに記載のとおり調製する。
【0189】
(メタフォリン(登録商標)含有微小粒子が保護剤で被覆されている)得られた被保護粒子のバッチは、以下の粒径を有する。
【0190】
【表4】

【0191】
実施例1C:ドロスピレノン/カルナバ蝋
80gのカルナバ蝋(Pharm.Grade)を、透明な溶液を得るまで400rpmで撹拌しながら、2リットルの二重壁ガラスビーカー内、60℃にて1kgのn−ヘプタン中に溶解させた。
【0192】
撹拌速度を600rpmに調整しながら、80gの微粉化(d50=2.2μm;d90=4.8μm)ドロスピレノンを、塊にならないようにゆっくり上記溶液に加えた。混合物を、20℃/時間の冷却速度で20℃まで冷まして、カルナバ蝋で被覆された薬物含有微小粒子を得た。
【0193】
微粉化ドロスピレノン含有微小粒子を、酢酸セルロース濾過膜とガラスフィルターユニットを使用して濾過した。その微小粒子を、続いて300mlのエタノール(96%)で洗浄して、n−ヘプタン残留物および封入されなかったドロスピレノンを取り除いた。
【0194】
濾過した微小粒子を、ガラスボールに移し、そして30℃にて2時間乾燥させた。
【0195】
(ドロスピレノンが保護剤で被覆されている)得られた被保護粒子のバッチは、以下の粒径を有する。いくつかのバッチに関して、計測されたd90粒径が二次的な凝集に起因して高いことが明らかである。一次粒子の本当のd90粒径の値は、40〜60μmであると推定される。
【0196】
【表5】

【0197】
カプセル封入効率は90%超であった。
【0198】
実施例1D:エチニルエストラジオール/カルナバ蝋
エチニルエストラジオール含有微小粒子を、80gのドロスピレノンの代わりに80gの微粉化(d50=1.5μm;d90=4.0μm)エチニルエストラジオールを使用して、実施例1Cに記載のとおり調製した。
【0199】
(エチニルエストラジオールが保護剤で被覆されている)得られた被保護粒子のバッチは、以下の粒径を有する。いくつかのバッチにおいて、計測されたd90粒径が二次的な凝集に起因して高いことが明らかである。一次粒子の本当のd90粒径の値は、30〜75μmであると推定される。
【0200】
【表6】

【0201】
カプセル封入効率は90%超であった。
【0202】
実施例2:
粒子含有フィルムマトリックス(被覆)溶液の調製
実施例2A:コリコート(登録商標)IRマトリックス/メタフォリン(登録商標)/ドロスピレノン/エチニルエストラジオール粒子
【0203】
43.96gのコリコート(登録商標)IRを、100rpmにて2時間撹拌しながら、ガラスビーカー内で60〜80℃にて100mlの精製水中に溶解させた。透明な溶液を得た(ポリマー水溶液)。除熱後に、蒸発した水分を戻した。
【0204】
実施例1Aに記載の粒子(メタフォリン(登録商標))0.902g、実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)6g、および実施例1Dで調製した粒子(エチニルエストラジオール)40mgを、撹拌しながらゆっくりポリマー水溶液に加えた。撹拌スピードと時間を調製して、均一な分散液を得た(被覆溶液)。
【0205】
実施例2B:コリコート(登録商標)IRマトリックス/メタフォリン(登録商標)/ドロスピレノン/エチニルエストラジオール粒子
【0206】
被覆溶液を、粒子の添加後に混合物をハイシアーホモジナイザー(high shear homogenizer)によって均質化したことを除いて、実施例2Aに記載のとおり調製した。
【0207】
実施例2C:コリコート(登録商標)IRマトリックス/メタフォリン(登録商標)/ドロスピレノン/エチニルエストラジオール粒子
43.96gのコリコート(登録商標)IRを、100rpmにて2時間撹拌しながら、ガラスビーカー内で60〜80℃にて80mlの精製水中に溶解させた。透明な溶液を得た(ポリマー水溶液)。除熱後に、蒸発した水分を戻した。実施例1Aに記載の粒子(メタフォリン(登録商標))0.902g、実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)6g、および実施例1Dで調製した粒子(エチニルエストラジオール)40mgを、8mlのエタノールと12mlの水の混合物中に分散させ、次に撹拌しながらポリマー水溶液を加えた。撹拌スピードと時間を調整して、均一な分散液を得た(被覆溶液)。
【0208】
実施例2D:コリコート(登録商標)IRマトリックス/メタフォリン(登録商標)/ドロスピレノン/エチニルエストラジオール粒子
実施例1Aに記載の粒子(メタフォリン(登録商標))13.4g、実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)89g、および実施例1Dで調製した粒子(エチニルエストラジオール)0.593gを、ハイシアーホモジナイザー(Becomix RW2.5)により222gの精製水と116gのエタノール96%の混合物中に均一に分散させた。1121gの精製水を加え、そして粒子分散液と混合した。粒子分散液を60〜80℃に温めた。638gのPVA−PEGコポリマー(コリコート IR(登録商標))を加え、そして溶解させて、均一に分散された被保護粒子を含有するポリマー水溶液を得た(被覆溶液)。被覆溶液を室温まで冷ました後に、それを減圧下で一晩脱気した。
【0209】
実施例2E:コリコート(登録商標)IRマトリックス/メタフォリン(登録商標)/ドロスピレノン/エチニルエストラジオール粒子
実施例1Aに記載の粒子(メタフォリン(登録商標))13.4g、実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)89g、および実施例1Dで調製した粒子(エチニルエストラジオール)0.593gを、ハイシアーホモジナイザー(Becomix RW2.5)により0.05%(w/w)のTween(登録商標)80を含有している精製水の混合物460gの中に均一に分散させた。0.05%(w/w)のTween(登録商標)80を含有している精製水1000gを加え、そして粒子分散液と混合した。粒子分散液を60〜80℃に温めた。637gのPVA−PEGコポリマー(コリコート IR(登録商標))を加え、均一に分散した被保護粒子を含有しているポリマー水溶液を得た(被覆溶液)。被覆溶液を室温に冷ました後に、それを減圧下で一晩脱気した。
【0210】
実施例2F:コリコート(登録商標)IRマトリックス含有エチニルエストラジオールおよびメタフォリン(登録商標)/ドロスピレノン粒子
222mgのエチニルエストラジオールを、ハイシアーミキサー(high shear mixer)(Becomix 2.5RW)の周囲条件下で撹拌しながら116.4gのエタノール(96%)中に溶解させた。続いて、222gの精製水を加えた(エタノール/水の溶液)。
【0211】
実施例1Aに記載の粒子(メタフォリン(登録商標))13.4g、実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)89gを、エタノール/水の溶液中に分散させた。次に、1121gの精製水を加え、分散液と混合し、そして60〜80℃に加熱した。638gのコリコート(登録商標)IRを加え、そして溶解させて、溶液を得た(被覆溶液)。
【0212】
実施例2G:コリコート(登録商標)IRマトリックス含有エストラジオールおよびメタフォリン(登録商標)/ドロスピレノン粒子
【0213】
実施例1Aに記載の粒子(メタフォリン(登録商標))13.4gおよび実施例1Cで調製した粒子(ドロスピレノン)88.9gを、周囲温度にてハイシアーミキサー(Becomix 2.5RW)によりエタノール(96%)と精製水の1:1混合物474gの中に分散させた(分散液)。
【0214】
1.39gのエストラジオール半水和物を、周囲条件下で撹拌しながら46.3gのエタノール(96%)中に溶解させた(エタノール溶液)。エタノール溶液を、次に分散液に加え、そして均質化した。続いて、155.6gのエタノール(96%)と785gの精製水の混合物を、滴下して加え、そして均質化した。そして、その混合物を60〜80℃に加熱した。637gのコリコート(登録商標)IRを加え、そして溶解させて、溶液を得た(被覆溶液)。
【0215】
実施例3:
ウエハーの調製
実施例3A
被覆溶液を、脱気し、鋳造ナイフを用いてポリエチレン−テレフタレート(PET)ライナー(Perlasic(登録商標)LF75)上に広げ、そして室温にて24時間乾燥させた。約70μmの厚さを有する不透明なフィルムを生じた。7cm2のサイズのサンプルを打ち抜くことによって、0.451mgのメタフォリン(登録商標)および3mgのドロスピレノンの含有量を含むウエハーを得た。
【0216】
実施例3B
被覆溶液を、脱気し、そして自動被覆および乾燥装置(Coatema Coating Machinery GmbH、Dormagen, Germany)を使用してポリエチレン−テレフタレート(PET)ライナー(Perlasic(登録商標)LF75)上に薄いフィルムとして被覆し、そしてインライン乾燥させた。70℃の乾燥温度は適用した。約70μmの厚さを有する不透明なフィルムを生じた。7cm2サイズのサンプルを打ち抜くことによって、0.451mgのメタフォリン(登録商標)および3mgのドロスピレノンの含有量、そして約50mgの総重量を有するウエハーを得た。
【0217】
実施例3C
被覆溶液を、脱気し、そして自動被覆および乾燥装置(Coatema Coating Machinery GmbH、Dormagen, Germany)を使用してポリエチレン−テレフタレート(PET)ライナー(Perlasic(登録商標)LF75)上に薄いフィルムとして被覆し、そしてインライン乾燥させた。70℃の乾燥温度を適用した。約90μmの厚さを有する不透明なフィルムを生じた。5cm2サイズのサンプルを打ち抜くことによって、0.451mgのメタフォリン(登録商標)および3mgのドロスピレノンの含有量、ならびに約50mgの総重量を有するウエハーを得た。
【0218】
実施例3D
被覆溶液を、脱気し、そして自動被覆および乾燥装置(Coatema Coating Machinery GmbH、Dormagen, Germany)を使用してポリエチレン−テレフタレート(PET)ライナー(Perlasic(登録商標)LF75)上に薄いフィルムとして被覆し、そしてインライン乾燥させた。70℃の乾燥温度を適用した。約70μmの厚さを有する不透明なフィルムを生じた。5cm2サイズのサンプルを打ち抜くことによって、0.451mgのメタフォリン(登録商標)および3mgのドロスピレノンの含有量、ならびに約35mgの総重量を有するウエハーを得た。
【0219】
実施例4:
ポリスチレン標準粒子を含有するウエハーの調製
3.75gのソルビトールおよび3.75gのプロピレングリコールを、ガラスビーカー内で60〜80℃にて60mlの精製水中に溶解させた。27.3gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を当該水溶液上にばらまき、そして2時間、それ以上加熱せずに撹拌下で溶解させた。溶液を4つ調製した。
【0220】
それぞれ10μm、20μm、40μm、および50μmの直径を有する4種類の異なった標準ポリスチレン粒子(Polymer Standard Servicesから入手)3.5gを、撹拌しながらゆっくり4つの溶液に加えた。撹拌スピードと時間を調整して、均一な分散液を得た(被覆溶液)。
【0221】
被覆溶液を、鋳造ナイフを用いてポリエチレン−テレフタレート(PET)ライナー(Perlasic(登録商標)LF75)上に広げ、そして室温にて24時間乾燥させた。約100μmの厚さを有する4枚の不透明なフィルムが生じ、それぞれのフィルムは、約50%の異なった直径のポリスチレン標準粒子を含有していた。そのフィルムを5cm2サイズのサンプルに切った。5人の試験官からなる試験員が、ウエハーの官能口内感触を評価した。ウエハーを完全に無作為化し、かつ、すべてのウエハーが同じく見えた。試験官には、ウエハーがいずれの活性化合物も含んでいないことが知らされたが、ウエハーの製剤化および組成に関するそれ以上の情報は与えられなかった。スコアは、1(感じない)から5(砂のようなおよびザラザラした口内感触)であった。得られた結果(平均値)を以下にまとめる:
【0222】
【表7】

【0223】
先の結果から、粒径が、得られたウエハーの口内感触の点で重要なことであると結論づけることができた。明らかに、粒子の直径が短いほど、口内感触がより改善した。
【0224】
実施例5:
ドロスピレノンを含有し、かつ、保護剤を含有していないウエハーの調製
500mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、2mlの精製水上にばらまき、60〜80℃にて2時間、撹拌下で溶解させた。
【0225】
30mgの微粉化ドロスピレノンを、室温にて200rpmで1時間撹拌しながら上記溶液にゆっくり加えた。均一な分散液を得た(被覆溶液)。
【0226】
被覆溶液を、実施例3Aに記載のとおり不透明なウエハーに成形した。
【0227】
実施例6:
味覚の評価
味覚の審査員が、実施例2A、2E、および実施例5(未保護ドロスピレノン)に記載の被覆溶液から調製したウエハーの苦さ(ドロスピレノンには苦味がある)を評価した。すべてのウエハーを、実施例3Aに記載のとおり製造した。ウエハーを完全に無作為化し、かつ、すべてのウエハーが同じく見えた。試験官には、ウエハー中に存在している活性製剤原薬と用量について知らされたが、ウエハーの具体的な製剤化については少しの情報も与えられなかった。試験官は、ウエハーを舌の上に置いて、そして3分間飲み込まずに崩壊させるようにアドバイスされた。その後、試験官は、すべての残留物を口から吐き出し、次いで水で口をすすがなければならなかった。
【0228】
実施例5に従って調製したウエハーには苦味がなかった。その他のウエハーのいずれについても苦味を検出できなかった。
【0229】
さらに、試験官は、サンプルの官能口内感触を説明するように求められた。すべてのウエハー製剤化が許容できると評価された。
【0230】
実施例7:
製剤
【0231】
【表8】

【0232】
【表9】

【0233】
【表10】

【0234】
【表11】

【0235】
【表12】

【0236】
先に記載した50mgのウエハーは、7cm2の表面積を有する。先に記載したものと類似しているが、35mg、40mgまたは45mgの総重量があるウエハーを、対応するより少量のマトリックスポリマーを使用することによって同じように調製できる。35mgの総重量があるウエハーは、通常5cm2の表面積を有する。理解されるべきことに、治療活性を有する薬剤の量は、ウエハーの総重量と表面寸法とは無関係に同じになる。
【0237】
先に触れたウエハー中に含まれる活性化合物は、「無保護」であると別段の表示がない限り、常に保護された形態である。
【0238】
実施例8:
試験管内溶出試験
実施例8A:口内の条件に相当する試験管内溶出試験
【0239】
剤形を100mlのガラスビーカーの底に置く。そして、37℃、10.0mlの擬似唾液pH6.0(組成:1.436gのリン酸カルシウム二ナトリウム二水和物、7.98gのリン酸−カリウム、および8.0gの塩化ナトリウムを950mlの水中に溶解させ、pH6.0に調整し、そして1000mlに合わせる)を、そのビーカーに加える(溶解液)。実験を(剤形の完全な湿潤を保証するために実験の最初の5秒以内に緩やかに振盪することを除いて)撹拌または振盪をせずに実施する。3分後に、ビーカーの内容を目視により調べ、その後液体のサンプルを取出し、濾過し(Spartan 30Bフイルター)、そしてドロスピレノンの内容物に関して分析する。
【0240】
実施例2Aに記載の被覆溶液から調製し、そして実施例3Aに記載したとおり製造したウエハーを、先の口内の条件に相当する試験管内溶出試験にかけた。実験を三重反復試験で実施した。すべてのウエハーが3分後に完全に崩壊した。3分後に放出された個々のドロスピレノンの量は、それぞれ3.5%、2.8%、および3.5%であった(平均3.3%)。同様の放出実験を、メタフォリン(登録商標)について行うことができる。この場合、好適な抗酸化剤、例えばアスコルビン酸などを溶解液に加えるべきである。
【0241】
実施例8B:腸内の条件に相当する試験管内溶出試験
1又は2以上の原薬の放出を、溶解液として37℃の0.5%のドデシル硫酸ナトリウムを含有する0.05Mのリン酸緩衝液pH6.0を1000ml、および撹拌速度として50rpmを使用したUSP XXXIパドル法(装置2)で調査する。
【0242】
実施例2Aに記載した被覆溶液から調製し、実施例3Aに記載したとおり製造したウエハーを、先の腸内の条件に相当する試験管内溶出試験にかけた。約75%のドロスピレノンが15分後には溶解し、そして約80%のドロスピレノンが30分後には溶解することがわかった。同様の放出実験をメタフォリン(登録商標)について行うことができる。この場合、好適な抗酸化剤、例えばアスコルビン酸などを溶解液に加えるべきである。
【0243】
実施例8C:胃腸管内の条件に相当する試験管内溶出試験
1又は2以上の原薬の放出を、溶解液として37℃の0.5%(m/V)のドデシル硫酸ナトリウムを含有する0.05Mの酢酸緩衝液pH4.5を1000ml、および撹拌速度として50rpmを使用したUSP XXXIパドル法(装置2)で調査する。
【0244】
実施例7A、7E、7Gに記載した被覆溶液から調製し、そして実施例3Bに記載したとおり製造したウエハーを、先の胃腸管内の条件に相当する試験管内溶出試験にかけた。約95%のドロスピレノンが15分後には溶解することがわかった。同様の放出実験をメタフォリン(登録商標)について行うことができる。この場合、好適な抗酸化剤、例えばアスコルビン酸などを溶解液に加えるべきである。
【0245】
実施例8D:胃腸管内の条件に相当する試験管内溶出試験
1又は2以上の原薬の放出を、溶解液として37℃の0.05Mの酢酸緩衝液pH4.5を1000ml、および撹拌速度として50rpmを使用したUSP XXXIパドル法(装置2)で調査する。
【0246】
実施例9:安定性試験
実施例1Aおよび1Bに従って調製した粒子を、安定性研究のために40℃および75%の相対湿度にて保存した。得られたデータを以下の表中にまとめる。すべてのパーセンテージ値は、メタフォリン(登録商標)の名目上の含有量に合致する。
【0247】
【表13】

【0248】
加えて、被保護粒子の水分含量を安定性試験の開始時点に測定した。以下のデータを得た:メタフォリン(登録商標)含有量に基づいて、それぞれ実施例1Aに従って調製した被保護粒子について12.3%、および、実施例1Bに従って調製した被保護粒子について13.0%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含んでなる単位剤形(unit dosage form)であって、前記粒子が5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶体および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子が280μm以下のd90粒径を有する、前記単位剤形。
【請求項2】
薄い水溶性フィルムマトリックスを含んでなり、ここで
a)前記フィルムマトリックスは、少なくとも1つの水溶性マトリックスポリマーを含んでなり;
b)前記フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで前記粒子は5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ前記粒子は280μm以下のd90粒径を有し;そして
c)前記フィルムマトリックスは300μm以下の厚さを有する、
請求項1に記載の単位剤形。
【請求項3】
前記5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩が前記保護剤中に埋め込まれている、請求項1または2に記載の単位剤形。
【請求項4】
前記5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩が前記保護剤中に固体分散体の状態で存在している、請求項3に記載の単位剤形。
【請求項5】
前記5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩が前記保護剤で被覆されている、請求項1または2に記載の単位剤形。
【請求項6】
前記保護剤がワックスである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項7】
前記ワックスがカルナバ蝋である、請求項6に記載の単位剤形。
【請求項8】
前記粒子が、250μm以下のd90粒径、例えば200μm以下のd90粒径、好ましくは175μm以下のd90粒径、例えば150μm以下のd90粒径、例えば100μm以下のd90粒径を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項9】
前記粒子が、30〜300μmの範囲内、例えば40〜250μmの範囲内、例えば50〜200μmの範囲内または50〜150μmの範囲内のd90粒径を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項10】
前記水溶性マトリックスポリマーが、セルロース系材料、ゴム、タンパク質、デンプン、合成ポリマー、グルカン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項11】
前記フィルムマトリックスが、250μm以下、好ましくは200μm以下、例えば150μm以下、より好ましくは120μm以下、例えば100μm以下の厚さを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項12】
前記フィルムマトリックスが、10〜150μm、例えば20〜125μm、例えば30〜100μm、好ましくは35〜90μm、より好ましくは40〜80μmの範囲内の厚さを有する、請求項11に記載の単位剤形。
【請求項13】
前記単位剤形が、0.1〜1mg、例えば0.1〜0.9mg、例えば0.2〜0.75mg、好ましくは0.3〜0.6mg、より好ましくは0.4〜0.5mg、最も好ましくは0.42〜0.49mgの前記5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩を含んでなる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項14】
前記5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩が、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸カルシウムである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項15】
前記単位剤形が、少なくとも1つのプロゲスチンをさらに含んでなる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項16】
a)前記フィルムマトリックスは少なくとも1つの水溶性マトリックスポリマーを含んでなり;
b)前記フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで前記粒子は5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子は280μm以下のd90粒径を有し;
c)前記フィルムマトリックスは粒子を含んでなるが、ここで前記粒子は少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子が280μm以下のd90粒径を有し;そして
d)前記フィルムマトリックスは300μm以下の厚さを有する、
請求項15に記載の単位剤形。
【請求項17】
前記プロゲスチンが前記保護剤中に埋め込まれている、請求項16に記載の単位剤形。
【請求項18】
前記プロゲスチンが前記保護剤中に固体分散体の状態で存在している、請求項17に記載の単位剤形。
【請求項19】
前記プロゲスチンが前記保護剤で被覆されている、請求項16に記載の単位剤形。
【請求項20】
前記プロゲスチンが、レボ−ノルゲストレル、ノルゲストレル、ノルエチンドロン(ノルエチステロン)、ジエノゲスト、酢酸ノルエチンドロン(酢酸ノルエチステロン)、二酢酸エチノジオール、ジドロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、リネストレノール、酢酸キンゲスタノール、メドロゲストン、ノルゲストリエノン、ジメチステロン、エチステロン、酢酸クロルマジノン、メゲストロール、プロメゲストン、デソゲストレル、3−ケト−デソゲストレル、ノルゲスチメート、ゲストデン、チボロン、酢酸シプロテロン、ジエノゲストおよびドロスピレノンからなる群から選択される、請求項15〜19のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項21】
前記プロゲスチンが、ゲストデン、ジエノゲストおよびドロスピレノンからなる群から選択される、請求項20に記載の単位剤形。
【請求項22】
前記単位剤形が、0.25〜5mgのドロスピレノン、例えば1〜4mgのドロスピレノン、例えば2〜4mgのドロスピレノン、好ましくは2.5〜3.5mgのドロスピレノン、最も好ましくは約3mgのドロスピレノンを含んでなる、請求項21に記載の単位剤形。
【請求項23】
前記単位剤形が、少なくとも1つのエストロゲンをさらに含んでなる、請求項1〜22のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項24】
a)前記フィルムマトリックスは少なくとも1つの水溶性マトリックスポリマーを含んでなり;
b)前記フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで前記粒子は5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子は280μm以下のd90粒径を有し;
c)前記フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで前記粒子は少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子は280μm以下のd90粒径を有し;
d)前記フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで前記粒子は少なくとも1つのエストロゲンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子は280μm以下のd90粒径を有し;そして
e)前記フィルムマトリックスは300μm以下の厚さを有する、
請求項23に記載の単位剤形。
【請求項25】
前記エストロゲンが前記保護剤中に埋め込まれている、請求項24に記載の単位剤形。
【請求項26】
前記エストロゲンが前記保護剤中に固体分散体の状態で存在している、請求項25に記載の単位剤形。
【請求項27】
前記エストロゲンが前記保護剤で被覆されている、請求項26に記載の単位剤形。
【請求項28】
前記エストロゲンが、エチニルエストラジオール、治療上許容されるエストラジオール誘導体を含むエストラジオール、エストロン、メストラノール、エストリオール、コハク酸エストリオールおよび結合型エストロゲンからなる群から選択される、請求項23〜27のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項29】
前記エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項28に記載の単位剤形。
【請求項30】
前記フィルムマトリックスが、少なくとも1つの界面活性剤を含んでなる、請求項23〜29のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項31】
a)前記フィルムマトリックスは少なくとも1つの水溶性マトリックスポリマーを含んでなり、ここで、少なくとも1つのエストロゲンが前記水溶性マトリックスポリマー中に分散されており;
b)前記フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで、前記粒子は5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子は280μm以下のd90粒径を有し;
c)前記フィルムマトリックスは粒子を含んでなり、ここで、前記粒子は少なくとも1つのプロゲスチンおよび少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子は280μm以下のd90粒径を有し;そして
d)前記フィルムマトリックスは300μm以下の厚さを有する、
請求項23に記載の単位剤形。
【請求項32】
前記エストロゲンが、エチニルエストラジオール、治療上許容されるエストラジオール誘導体を含むエストラジオール、エストロン、メストラノール、エストリオール、コハク酸エストリオールおよび結合型エストロゲンからなる群から選択される、請求項31に記載の単位剤形。
【請求項33】
前記エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項32に記載の単位剤形。
【請求項34】
前記単位剤形を、溶解液としての37℃、pH6.0の擬似唾液10mlの入ったビーカーの中に入れた場合に、3分以内に25%(w/w)未満、好ましくは20%(w/w)未満、より好ましくは15%(w/w)未満、最も好ましくは5%(w/w)未満のプロゲスチンが単位剤形から溶解される、請求項15〜33のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項35】
医薬としての使用のための、請求項1〜34のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項36】
雌の哺乳動物の排卵抑制のための、請求項15〜34のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項37】
雌の哺乳動物の避妊を提供するための、請求項15〜34のいずれか1項に記載の単位剤形。
【請求項38】
粒子を含んでなる組成物であって、ここで前記粒子が5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶体および少なくとも1つの保護剤を含んでなり、かつ、前記粒子が280μm以下のd90粒径を有する、前記組成物。
【請求項39】
前記粒子が、請求項2〜14のいずれか1項に規定されたとおりのものである、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸のアルカリ土類金属塩の結晶体および少なくとも1つの保護剤を含んでなる粒子であって、かつ280μm以下のd90粒径を有する、前記粒子。
【請求項41】
請求項2〜14のいずれか1項に規定されたとおりのものである、請求項40に記載の粒子。

【公表番号】特表2013−501753(P2013−501753A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524231(P2012−524231)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061703
【国際公開番号】WO2011/018482
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】