説明

5−置換ベンゾオキサジン

本発明は、式(I)で示される5−置換ベンゾオキサジン誘導体(式中、X、R及びRは、本明細書に記載されたとおりである)ならびにそれらの製法、それらを含む医薬組成物及び医薬としてのそれらの使用に関する。本発明の活性物質は、鬱病、不安障害、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用、パーキンソン病のような運動障害、精神障害又は胃腸障害の予防及び/又は治療に有用な5−HT5A受容体アンタゴニストである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−HT5A受容体アンタゴニストとしての5−置換ベンゾオキサジン誘導体、それらの製造、それらを含有する医薬組成物及び医薬としてのそれらの使用に関する。本発明の活性化合物は、鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用、パーキンソン病などの運動障害、精神障害又は胃腸障害の予防及び/又は治療に有用である。
【0002】
特に、本発明は、一般式(I)
【0003】
【化1】


(式中、X、R及びRは、本明細書中及び特許請求の範囲で記載するとおりである)
の化合物に関する。
【0004】
式(I)の化合物は、不斉炭素原子を含有していてもよい。したがって、本発明は、個々の鏡像異性体及びそれらの混合物、すなわち、それらの個々の光学異性体及びそれらの混合物を含む、式(I)の化合物の全ての立体異性体を含む。
【0005】
式(I)の化合物は、5−HT5A受容体に対して良好な活性を有していることが見出された。したがって、本発明は、式(I)の化合物又は薬学的に許容しうるそれらの塩、ならびに鬱病(この用語は、双極性鬱病;単極性鬱病;精神病性特徴、緊張性特徴、メランコリー性特徴、非定型的特徴又は分娩後発症を有するか若しくは有していない単発性若しくは再発性大鬱病エピソード;季節性情動障害及び気分変調;心筋梗塞、糖尿病、流産又は妊娠中絶を含むがこれらには限定されない全身病状に起因する抑鬱障害を含む)、不安症(全般性不安症及び社会不安症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害を含む)、精神病性障害(統合失調症、統合失調感情障害、双極性疾患、躁病、精神病性鬱病、ならびにパラノイア及び妄想を含む他の精神病を含む)、疼痛(特に神経疾患性疼痛)、記憶障害(認知症、健忘障害及び加齢性記憶障害を含む)、摂食行動障害(神経性及び神経性大食症を含む)、性機能障害、睡眠障害(概日リズムの障害、睡眠不全、不眠症、睡眠時無呼吸及びナルコレプシーを含む)、薬物(コカイン、ニコチン、ベンゾジアゼピン、アルコール(エタノール)、カフェイン、フェンシクリジン及びフェンシクリジン様化合物、アヘン剤、例えば、大麻、ヘロイン、モルヒネ、催眠鎮静薬、アンフェタミン又はアンフェタミン関連薬など)乱用からの禁断症状、運動障害、例えば、パーキンソン病、パーキンソン病における認知症、神経弛緩誘発パーキンソン病及び晩発性ジスキネシア、ならびに他の精神障害及び胃腸障害、例えば、過敏腸症候群(WO 2004/096771)の治療のための医薬の製造におけるそれらの使用を提供する。
【0006】
神経伝達物質5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT、セロトニン)は、不安症、睡眠調節、攻撃性、摂食及び鬱病を含む中枢神経系及び末梢における広範囲の生理的及び病的過程を調節する(Hoyer et al., Pharmacol. Rev. 46, 157−204, 1994)。いくつかの5−HT受容体遺伝子の薬理学的特性化及び分子クローニングの両方が、5−HTが様々な受容体サブタイプを介するその種々の生理作用を仲介することを明らかにした。これらの受容体は、少なくとも2つの異なるタンパク質スーパーファミリー:リガンド依存性イオンチャンネル受容体(5−HT)及びGタンパク質共役7−膜透過受容体(これまで13の特徴的な受容体がクローン化されている)に属する。さらに、Gタンパク質共役受容体内で、セロトニンは、様々なシグナル伝達機構を介してその作用を示す。
【0007】
FEBS Letters, 355, 242−246 (1994)において、ヒト5−HT5Aセロトニン受容体のクローニング及び特性化が記載された。配列は、既に知られているセロトニン受容体の配列とは密接には関連せず、ヒト5−HT1B受容体に対する最良の相同性は35%である。これは、Gタンパク質共役受容体と一致する7つの推定膜透過ドメインを有する予測357アミノ酸タンパク質をコードする。配列は、膜透過ドメインVと膜透過ドメインVIの間にイントロンを含むことを特徴としている。より最近になり、Gi/oα機構に対する共役が、ホルスコリン刺激cAMPを阻害することが明らとなり、また、より複雑なGタンパク質介在共役機構についての根拠が提案された(Francken et al. Eur. J. Pharmacol. 361, 299-309, 1998; Noda et al., J. Neurochem. 84, 222−232, 2003)。さらに、WO 2004/096771において、鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用からの禁断症状、運動障害、例えば、パーキンソン病、精神障害又は胃腸障害の処置のための5−HT5Aセロトニン受容体に対して活性な化合物の使用が記載されている。
【0008】
Pharmacology & Therapeutics, 111, 707−714 (2006)は、概日リズム障害、睡眠障害、気分障害、統合失調症、認知障害及び自閉症の治療のための5−HT5A受容体リガンドの治療的有用性についての可能性を記載している。Journal of Comparative Neurology, 476, 316-329 (2004)は、ラットの脊髄における5−HT5A受容体の局在パターンに基づいて、5−HT5A受容体が、中枢運動制御、痛覚及び自律神経機能、例えば、ストレス誘発尿失禁及び過活動膀胱において役割を果たすことがあることを示唆している。
【0009】
Journal of Psychiatric Research, 38, 371-376 (2004)は、統合失調症及びより具体的には高齢発症の患者における5−HT5A遺伝子の重要な役割の可能性の根拠を記載している。
【0010】
本発明に関する好ましい適応症は、不安症、鬱病、睡眠障害及び統合失調症の処置である。
【0011】
特に示されていない限り、以下の定義は、本明細書における発明を記述するために使用される種々の用語の意味及び範囲を説明及び定義するために示される。
【0012】
一般用語の以下の定義は、当該用語が単独で現れるか又は組み合わせで現れるかに無関係に適用される。
【0013】
本明細書で使用される用語「C1−7−アルキル」は、1個〜7個の炭素原子を有する、炭素及び水素原子のみからなる、一価の直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素部分、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどを示す。好ましいC1−7−アルキル基は、1、2、3又は4個の炭素原子を有する基である。特に好ましいのは、メチルである。
【0014】
用語「C1−7−アルコキシ」は、基−O−R’(式中、R’は、上記で定義されるとおりのC1−7−アルキルである)を示し、好ましくはメトキシである。
【0015】
用語「ハロ」は、クロロ、ヨード、フルオロ及びブロモを示す。好ましいハロは、フルオロ、クロロ及びブロモであり、より好ましいものは、フルオロ及びクロロである。
【0016】
用語「シクロアルキル」は、3〜8個の環炭素原子の一価の飽和単環式又は二環式炭化水素ラジカルを指す。二環とは、2個の炭素原子を共有する2個の飽和炭素環からなることを意味し、すなわち、2個の環を分離している架橋は、単結合又は好ましくは1又は2個の炭素原子の鎖のいずれかである。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。二環式シクロアルキルの例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル及びビシクロ[2.2.2]オクタニルである。好ましいシクロアルキルは、3〜6個の環炭素原子の単環式炭化水素ラジカルであり、好ましい例は、シクロプロピル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。特に好ましいものは、シクロプロピル及びシクロペンチルである。
【0017】
用語「5員又は6員ヘテロシクロアルキル」は、上記で定義されるとおりの一価の飽和単環である。好ましくは、5員又は6員ヘテロシクロアルキルは、N、O又はSから選択される1又は2個の環ヘテロ原子を含有する一価の飽和単環である。5員又は6員ヘテロシクロアルキル部分の例は、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル及びピペラジニルである。好ましい例は、モルホリニル、ピペリジニル又はピペラジニルである。5員又は6員ヘテロシクロアルキル部分は、本明細書に記載のように場合により置換されている。好ましいヘテロシクロアルキルには、テトラヒドロフラニルがある。
【0018】
ここで定義される用語「5員又は6員ヘテロアリール」は、N、O又はSから選択される1、2又は3個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである、5又は6個の環原子の一価の単環又は二環、好ましくは単環芳香環系を示す。ヘテロアリール部分の例には、チオフェニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、[1,2,4]オキサジアゾリル、[1,3,4]オキサジアゾリル、[1,2,4]トリアゾリル、[1,2,3]トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピリダジニルがあるが、これらには限定されない。ヘテロアリールの好ましい例は、フラニルである。ヘテロアリールは、本明細書に定義されているように場合により置換されていてよく、原則としてフェニルについてと同様である。ヘテロアリール上の置換基の例には、C1−7−アルキル、シクロアルキル、C1−7−アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、OH、CNがあるが、これらには限定されず、あるいは縮合した(anellated)架橋は−O−CHCHO−、−O−CHCHCH−又は−O−C(CHCH−から選択される。ヘテロアリール上の好ましい置換基は、C1−7−アルキル又はC1−7−アルコキシである。
【0019】
ヘテロアリール系と同様に、フェニルは、非置換であっても、又はC1−7−アルキル、シクロアルキル、C1−7−アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、OH、CNから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいか、あるいは縮合した架橋は、−O−CHCHO−、−O−CHCHCH−又は−O−C(CHCH−から選択されるものである。フェニル上の好ましい置換基は、ハロ又はC1−7−アルコキシである。フェニル上の特に好ましい置換基は、フルオロ、クロロ又はメトキシである。
【0020】
特記のない限りは、用語「置換された」は、規定された基又は部分が1、2、3、4、5又は6個の置換基を有することができることを意味する。いずれかの基が複数の置換基を有していてもよく、種々の置換基が可能である場合には、置換基は独立的に選択され、同じである必要はない。用語「非置換の」は、規定の基が置換基を有していないことを意味する。用語「場合により置換された」は、規定の基が非置換であるか、又は独立して可能な置換基の群から選択された1個以上の置換基により置換されていることを意味する。置換基の数を示すとき、用語「1個以上」は、1個の置換基から置換の可能な最大数、すなわち、置換基による1個の水素の置換から全水素の置換までを意味する。特記のない限りは、1又は2個の置換基が好ましい。
【0021】
式(I)の化合物は、薬学的に許容しうる酸付加塩を形成することができる。このような薬学的に許容しうる塩の例は、式(I)の化合物と、生理学的に適合する鉱酸、例えば、塩酸、硫酸、亜硫酸もしくはリン酸との塩;又は有機酸、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸又はサリチル酸との塩である。用語「薬学的に許容しうる塩」は、このような塩を指す。酸性基、例えば、COOH基を含む式(I)の化合物は、更に塩基と塩を形成することができる。このような塩の例は、アルカリ塩、アルカリ土類塩及びアンモニウム塩、例えば、Na塩、K塩、Ca塩及びトリメチルアンモニウム塩である。また、用語「薬学的に許容しうる塩」は、このような塩を指す。
【0022】
詳細には、本発明は、一般式(I)
【0023】
【化2】


(式中、
Xは、結合、−NH−、−NH−S(O)−又は−NH−C(O)−CH−であり;
は、ハロ、C1−7−アルキル、−NR、シアノ、ニトロ、又は各々が1個以上のハロにより場合により置換されているフェニル若しくは3〜8員シクロアルキルであり;
は、各々が場合により独立して1個以上のハロ、C1−7−アルキル及び/又はC1−7−アルコキシにより置換されている、各々が場合によりフェニル又は5〜6員ヘテロアリールで縮合されている、シクロペンチル又は5〜6員ヘテロシクロアルキルであり;
及びRは、各々独立して水素又はC1−7−アルキルである)
で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩に関する。
【0024】
式(I)の化合物の特定の実施態様では、
Xは、結合、−NH−、−NH−S(O)−、又は−NH−C(O)−CH−であり;
は、ハロ、C1−7−アルキル、−NH、シアノ、ニトロ、又は1個以上のハロで場合により置換されているフェニル、又はシクロプロピルであり;
は、1個以上のC1−7−アルコキシで場合により置換されている、各々が場合によりフェニルで縮合されている、シクロペンチル又は5〜6員ヘテロシクロアルキルである。
【0025】
式(I)の化合物の特定の実施態様では、
Xは、結合、−NH−又は−NH−S(O)−であり;
は、C1−3−アルキル、−NH、又は1個以上のハロにより場合により置換されているフェニル又はシクロプロピルであり;
は、下記:
【0026】
【化3】


である。
【0027】
式(I)の化合物の特定の実施態様では、Xは結合、−NH−、−NH−C(O)−CH−又は−NH−S(O)−である。本発明のさらにより好ましい化合物は、Xが−NH−又は−NH−C(O)−CH−である化合物である。
【0028】
式(I)の化合物の特定の実施態様では、Rは、ハロ、C1−7−アルキル、−NH、シアノ、ニトロ、1個以上のハロにより置換されているフェニル又は3〜8員シクロアルキルである。本発明のさらにより好ましい化合物は、RがC1−7−アルキル、−NH、1個又は2個のハロにより置換されているフェニル又は3〜8員シクロアルキルである化合物である。最も好ましいものは、Rがメチル、NH、4−フルオロ−フェニル、4−クロロ−フェニル、3,5−ジフルオロ−フェニル又はシクロプロピルである化合物である。
【0029】
式(I)の化合物の特定の実施態様では、Rは、1個以上のC1−7−アルコキシで場合により置換されている、フェニルで縮合されている3〜8員シクロアルキル又は5〜6員ヘテロシクロアルキルである。本発明のさらにより好ましい化合物は、Rがフェニルで縮合されている3〜8員シクロアルキルである化合物である。最も好ましくは、Rがインダン−1−イルである化合物である。
【0030】
本発明の好ましい化合物は、R
【0031】
【化4】


であり、Rが(R)−立体異性体として存在する化合物である。
【0032】
式(I)の化合物の特定の実施態様では、
Xは、結合、−NH−、−NH−S(O)−又は−NH−C(O)−CH−であり;
は、ハロ、C1−7−アルキル、−NR、シアノ、ニトロ、又は各々が1個以上のハロにより場合により置換されているフェニル若しくは3〜8員シクロアルキルであり;
は、各々が1個以上のハロ、C1−7−アルキル及び/若しくはC1−7−アルコキシで場合により、独立して置換されている、各々がフェニル若しくは5〜6員ヘテロアリールで場合により縮合されているペンチル又は5〜6員ヘテロシクロアルキルであり;
及びRは、各々独立して水素又はC1−7−アルキルであるか、
又は薬学的に許容しうるその塩である。
【0033】
式(I)の化合物の特定の実施態様では、
Xは、結合、−NH−、−NH−S(O)−又は−NH−C(O)−CH−であり;
は、ハロ、C1−7−アルキル、−NH、シアノ、ニトロ、又は1個以上のハロにより場合により置換されているフェニル又はシクロプロピルであり;
は、1個以上のC1−7−アルコキシで場合により置換されている、各々がフェニルで場合により縮合されているペンチル又は5〜6員ヘテロシクロアルキルである。
【0034】
特に好ましい化合物は、個々の化合物として実施例に記載されている式(I)の化合物及び薬学的に許容しうるそれらの塩である。
【0035】
さらに、以下に記載する具体的実施例でみられる置換基は、個々に本発明の別個の好ましい実施例を構成する。
【0036】
式(I)の好ましい化合物は、
(5−クロロ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン;
(R)−インダン−1−イル−(5−ニトロ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−アミン;
(R)−N−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン;
−(4−メトキシ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−3−イル)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン;
2−(4−クロロ−フェニル)−N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−アセトアミド;
3,5−ジフルオロ−N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−ベンゼンスルホンアミド;
3,5−ジフルオロ−N−[2−(4−メトキシ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−3−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−ベンゼンスルホンアミド;
シクロプロパンスルホン酸[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−アミド;
(5−ブロモ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン;
N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−メタンスルホンアミド;
2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−カルボニトリル;
(5−シクロプロピル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン;
[5−(4−フルオロ−フェニル)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル]−(R)−インダン−1−イル−アミン;
−(4−フルオロ−フェニル)−N−(R)−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン;及び
−(4−クロロ−フェニル)−N−(R)−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン、
及び薬学的に許容しうるそれらの塩である。
【0037】
本発明の式(I)のさらにより好ましい化合物は、
(R)−N−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン;
3,5−ジフルオロ−N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−ベンゼンスルホンアミド;
シクロプロパンスルホン酸[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−アミド;
N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−メタンスルホンアミド;
−(4−フルオロ−フェニル)−N−(R)−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン;及び
−(4−クロロ−フェニル)−N−(R)−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン
からなる群から選択される化合物、及び薬学的に許容しうるそれらの塩である。
【0038】
式(I)の本発明の化合物、それらの出発原料、それらの薬学的に許容しうる塩及びそれらの光学異性体は、当該技術分野において既知の方法により調製することができる。例えば、式(I)(式中、R、R及びXは、上記で記載したような意味を有する)の代表的な化合物を合成する方法は、以下の工程のうちの一つを含むことができる:
a) 化合物(1):
【0039】
【化5】


(式中、R及びXは、請求項1において記載のように定義される)
のアルコール官能基を、好ましくは化合物(1)を、シリル基含有化合物、より好ましくはtert−ブチルジメチルシリル又はtert−ブチルジフェニルシリルと反応させることにより保護して、化合物(2):
【0040】
【化6】


(式中、アルコール官能基は、シリル保護基で保護されている)
を得る工程;
b) 好ましくは化合物(2)(式中、R及びXは、請求項1において記載のように定義される)を、塩素系溶媒、より好ましくはジクロロメタン又はクロロホルム中で、炭酸水素ナトリウムの存在下でチオホスゲンと反応させることにより、化合物(2)のアミノ基を、イソチオシアナートに変換して、化合物(3):
【0041】
【化7】


を得る工程;
c) 化合物(3)(式中、R及びXは、請求項1において記載のように定義される)を、アミンHN−R(式中、Rは、請求項1において記載のように定義される)と反応させて、化合物(4):
【0042】
【化8】


(ここで、化合物(3)のイソチオシアナート官能基とHN−Rのアミノ官能基との間の反応は、化合物(4)におけるチオ尿素官能基を形成する)を得る工程;
d) 好ましくは化合物(4)(式中、R、R及びXは、請求項1において記載のように定義される)をフッ化物化合物、より好ましくはテトラブチルアンモニウムフルオリドと反応させることにより、化合物(4)のアルコール官能保護基を除去して、一般式(5)
【0043】
【化9】


で示される(2−ヒドロキシメチル−フェニル)−チオ尿素を得る工程;及び
e) 一般式(5)(式中、R、R及びXは、請求項1において記載のように定義される)の(2−ヒドロキシメチル−フェニル)−チオ尿素を、カルボジイミド試薬、好ましくは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミドと反応させて、一般式(I)の4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2イル−アミンを得る工程。
【0044】
【化10】

【0045】
スキーム1に従って、式(I)の化合物は、4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2イル−アミンの一般的な合成の以下の説明に示すようにして調製できる。
【0046】
6位がX−Rで置換されている一般式(1)(式中、X及びRは、上記で記載するように定義される)を有する2−アミノベンジルアルコールのアルコール官能基は、例えば、tert−ブチルジメチル(クロロ)シラン(t−BuMeSiCl)又はtert−ブチルジフェニル(クロロ)シランのような対応するクロロシランと、例えば、イミダゾール、又はトリエチルアミン若しくはジイソプロピルエチルアミンと4−ジメチルアミノピリジン若しくはイミダゾールとの組み合わせのような塩基の存在下で、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド又はN−メチルピロリジノン中、0〜40℃の温度で反応させることで、例えば、tert−ブチルジメチルシリル又はtert−ブチルジフェニルシリルのようなシリル保護基で保護され、一般式(2)の化合物を生成する。例えば、Tetrahedron Letters 2006, 47, 3953に記載のように、一般式(2)(式中、X及びRは、上記記載のように定義される)の化合物のアミノ基を、例えば、チオホスゲンと、炭酸水素ナトリウムの存在下、例えば、ジクロロメタン(DCM)又はクロロホルムのような塩素系溶媒中、0〜35℃の温度で反応させることにより、一般式(3)(式中、X及びRは、上記記載のように定義される)のイソチオシアナートに変換する。一般式(3)(式中、X及びRは、上記記載のように定義される)のイソチオシアナートを、次に一般式R−NH(式中、Rは、上記記載のように定義される)のアミンと、例えば、アセトニトリル(MeCN)又はテトラヒドロフランのような有機溶媒中、−20〜50℃の温度で反応させて、一般式(4)(式中、X、R及びRは、上記で記載のとおりである)のチオ尿素を生成する。一般式(4)(式中、X、R及びRは、上記で記載のとおりである)の化合物におけるシリル保護基を、次に、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンのような有機溶媒中、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のようなフッ化物源と、−20〜35℃の温度で処理することにより除去して、一般式(5)(式中、X、R及びRは上記で記載したとおりである)の化合物を得る。一般式(5)(式中、X、R及びRは、上記で記載したとおりである)のこれらの(2−ヒドロキシメチル−フェニル)−チオ尿素を、次に、例えば、アセトニトリル又はテトラヒドロフランのような有機溶媒中、50〜90℃の温度で、例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はジイソプロピルカルボジイミドのようなカルボジイミド試薬で処理して、一般式(1)(式中、X、R及びRは、上記で記載したとおりである)の所望の4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2イル−アミンを得る。この環化と類似の手順が、Bulletin of the Korean Chemical Society 2001, 22 (11), 1270に記載されている。一般式(3)(式中、X及びRは、上記で定義されているとおりである)のイソチオシアナートを、一般式R−NH(式中、Rは、上記で記載したとおりである)のアミンと、一般式(1)(式中、X、R及びRは、上記で記載したとおりである)の所望の4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2イル−アミンを最終的に単離するまで反応させる工程は、上記した試薬を逐次的に加えることにより1つの反応容器でおこなうことができる。実験の詳細は、対応の実施例に含まれている。
【0047】
酸との対応の塩は、当業者に既知の標準的な方法により、例えば、式(1)の化合物を、例えば、ジオキサン又はTHFなどの好適な溶媒に溶解し、対応する酸の適量を加えることにより得ることができる。生成物は、通常濾過又はクロマトグラフィーにより単離できる。式(I)の化合物を塩基で薬学的に許容しうる塩に転化することは、このような化合物をこのような塩基で処理することにより実施できる。このような塩を形成する1つの可能な方法は、例えば、M(OH)(式中、M=金属又はアンモニウムカチオンであり、n=水酸化物アニオン数である)などの塩基性塩の1/n当量を、好適な溶媒(例えば、エタノール、エタノール−水混合物、テトラヒドロフラン−水混合物)中、化合物の溶液に加え、溶媒を蒸発又は凍結乾燥により除去することである。
【0048】
これらの調製が実施例において記載されていない場合、式(I)の化合物、さらに全ての中間体生成物を、上記した方法と類似の方法又は上記した方法に従って調製できる。出発原料は、市販のものでも、当該技術分野において既知のものでもよいし、又は当該技術分野において既知の方法又はそれに類似の方法により調製することもできる。
【0049】
本発明の一般式(I)の化合物を官能基のところで誘導化して、インビボで親化合物に逆に転化することができる誘導体を提供できることが理解されるであろう。
【0050】
上記したように、式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容しうる付加塩は、有益な薬学的性質を有している。本発明の化合物は、5−HT5A受容体に対して活性があり、したがって、鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用からの禁断症状、運動障害、例えば、パーキンソン病、精神障害又は胃腸障害の処置に好適であることが見出された。
【0051】
同様に、本発明は、医薬として使用するための式(I)の化合物を含む。
【0052】
したがって、本発明は、また、式(I)の少なくとも一種の化合物と、薬学的に許容しうる賦形剤とを含む、とりわけ鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用からの禁断症状、運動障害、パーキンソン病、精神障害又は胃腸障害の予防又は治療に使用される医薬組成物に関する。
【0053】
同様に、本発明は、治療活性物質、とりわけ5−HT5A受容体に関連する疾患の治療又は予防、特に鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用からの禁断症状、運動障害、パーキンソン病、精神障害又は胃腸障害の治療又は予防のための治療活性物質として使用するための式(I)の化合物を含む。
【0054】
別の好ましい実施態様において、本発明は、5−HT5A受容体に関連する疾患の治療又は予防、特に鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用からの禁断症状、運動障害、パーキンソン病、精神障害又は胃腸障害の治療又は予防のための方法であって、上記で定義されているような化合物をヒト又は動物に投与することを含む方法に関する。
【0055】
また、本発明は、5−HT5A受容体に関連する疾患の治療又は予防、特に鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用からの禁断症状、運動障害、パーキンソン病、精神障害又は胃腸障害の治療又は予防のための医薬を製造するための、式(I)の化合物の使用に関する。このような医薬は、上記で記載したような化合物を含む。
【0056】
鬱病、不安症、睡眠障害及び統合失調症の治療又は予防が好ましい。
【0057】
化合物を、以下で述べる試験に従って調査した:
【0058】
試験の説明
H]LSD放射性リガンド結合アッセイを使用して、ヒト胎児腎臓−EBNA(HEK−EBNA)細胞における一時的に(cDNA)発現した5−HT5A受容体からの膜における、組み換えヒト5−HT5A受容体に対する、化合物の親和性を測定した。アッセイ緩衝液は、1mM EGTA、10mM MgCl(pH7.4)及び10μMパージリンを含有するTris(50mM)緩衝液からなるものであった。結合アッセイを、96ウエルプレートにおいて、最終容積200μlの緩衝液中、[H]LSD(約1nM)、膜タンパク質約2μg/ウエル及びYsi−ポリ−l−リジンSPAビーズ0.5mgの存在下で実施した。非特異的結合を、メチオテピン2μMを用いて定義した。化合物を、10種の濃度で試験した。全てのアッセイを、二重でおこない、少なくとも2回反復した。アッセイプレートを、室温で120分間インキュベートしてから、遠心分離した。結合リガンドを、Packard Topcountシンチレーションカウンターを用いて測定した。IC50値を、非線形曲線適合プログラムを用い算出し、K値をCheng−Prussoff式を用いて算出した。
【0059】
本発明による化合物の活性を、下表1に例示する。
【表1】

【0060】
式(I)の化合物及び式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし、投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内に、例えば注射液の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0061】
式(I)の化合物は、医薬製剤を製造するため、薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤のための適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール類等である。しかし、活性物質の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合は、通常担体を必要としない。液剤及びシロップ剤の製造に適切な担体は、例えば、水、ポリオール類、グリセロール、植物油等である。坐剤に適切な担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体のポリオール等である。
【0062】
医薬製剤は、さらに、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着香剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含有することができる。それらは、その他の治療上有用な物質も更に含有することができる。
【0063】
式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び治療上不活性な担体を含有する薬物もまた、式(I)の化合物及び/又は薬学的に許容される酸付加塩の1種以上と、所望により、他の治療上有用な物質の1種以上とを、治療上不活性な担体の1種以上と共に、ガレヌス製剤の投与形態にすることを含む調製方法と同様に、本発明の目的である。
【0064】
本発明の最も好ましい適応症は、中枢神経系の疾患を含むものであり、例えば、不安症、鬱病、睡眠障害及び統合失調症の処置である。
【0065】
用量は、広い範囲内で変えることができ、当然それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させなければならない。経口投与の場合、成人用の用量を、一般式(I)の化合物1日当たり約0.01mg〜約1000mg、又は薬学的に許容されるその塩を対応する量で変えることができる。1日量を、1回量として又は分割量として投与してよく、加えて、必要性が示される場合、上限を超えることもできる。
【0066】
錠剤の処方(湿式造粒)
品目 成分 mg/錠剤
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.無水乳糖 125 105 30 150
3.トウモロコシデンプン 6 6 6 30
4.微晶質セルロース 30 30 30 150
5.ステアリン酸マグネシウム 1 1 1 1
合計 167 167 167 831
【0067】
製造手順
1.品目1、2、3及び4を混合し、精製水と共に造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.品目5を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0068】
カプセルの処方
品目 成分 mg/カプセル
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.含水乳糖 159 123 148 −−−
3.トウモロコシデンプン 25 35 40 70
4.タルク 10 15 10 25
5.ステアリン酸マグネシウム 1 2 2 5
合計 200 200 300 600
【0069】
製造手順
1.品目1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.品目4及び5を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0070】
以下の実施例1〜15は、本発明の説明のために提供される。それらは、本発明の範囲を制限するものとみなされるべきではなく、単に本発明の代表的なものとしてみなされるべきである。
【0071】
中間体1:
2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−3−ニトロ−フェニルアミン
【0072】
【化11】

【0073】
N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)中の(2−アミノ−6−ニトロ−フェニル)−メタノール(CAS 98451−51−3))(6.89g、41mmol)及びイミダゾール(8.69g、127mmol)の混合物に、0℃で、tert−ブチル(クロロ)ジメチルシラン(10.73g、68mmol)を加え、混合物を攪拌し、一晩で23℃に到達させた。反応混合物を水に注ぎ、2回tert−ブチルメチルエーテルで抽出し、飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾別し、蒸発させて褐色液体を得、ヘプタン/酢酸エチル1:4を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して橙色の固体(9.72g、84%)を得た。
【0074】
中間体2:
tert−ブチル−(2−イソチオシアナート−6−ニトロ−ベンジルオキシ)−ジメチル−シラン
【0075】
【化12】

【0076】
塩化メチレン(220mL)中の2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−3−ニトロ−フェニルアミン(中間体1)(9.7g、34mmol)及び固体炭酸水素ナトリウム(14.4g、172mmol)の混合物に、0℃で、チオホスゲン(97%、2.9mL、37mmol)を加え、冷却浴を取り去り、混合物を23℃で16時間攪拌した。氷水(300mL)に注ぎ、相分離し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。真空中での溶媒の除去は、明褐色の油状物を残留させた(11g、99%)。
【0077】
中間体3:
3−ブロモ−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェニルアミン
【0078】
【化13】

【0079】
標記化合物の明黄色の油状物、MS(ES)m/e=315.0[(M)]を、中間体1について記載した手順に従って、(2−アミノ−6−ブロモ−フェニル)−メタノール[CAS番号861106−92−5]及びtert−ブチル(クロロ)ジメチルシランから調製した。
【0080】
中間体4:
(2−ブロモ−6−イソチオシアナート−ベンジルオキシ)−tert−ブチル−ジメチル−シラン
【0081】
【化14】

【0082】
標記化合物の黄色の油状物、MS(ES)m/e=357.0[(M)]を、中間体2について記載した手順に従って、3−ブロモ−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェニルアミン(中間体3)及びチオホスゲンから調製した。
【0083】
実施例1:
(R)−インダン−1−イル−(5−ニトロ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−アミン
【0084】
【化15】

【0085】
アセトニトリル(45mL)中のtert−ブチル−(2−イソチオシアナート−6−ニトロ−ベンジルオキシ)−ジメチル−シラン(中間体2)(3.0g、9.0mmol)の攪拌溶液に、23℃で、R−(−)−1−アミノインダン(1.24g、9.0mmol)を加え、混合物を23℃で45分間攪拌した。テトラブチルアンモニウムフルオリド(テトラヒドロフラン中1M、9.25mL、9.0mmol)を加え、23℃で1時間攪拌した。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)(2.71g、14mmol)を加え、4.5時間還流した。室温に冷却し、酢酸エチルと水で希釈し、少量の1M NaHPO・2HOを加えてpH4とし、相分離し、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。真空中での溶媒の除去は、黄色の泡状物を残留させ、これをジクロロメタン及びジイソプロピルエーテルから再結晶し、標記化合物を黄色の固体として得た(1.94g、68%)、MS(ISP)m/e=310.4[(M+H)]。
【0086】
実施例2:
(R)−N−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン
【0087】
【化16】

【0088】
テトラヒドロフラン(250mL)中の(R)−インダン−1−イル−(5−ニトロ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−アミン(実施例1)(1.90g、6.1mmol)に、23℃で、ラネーニッケル(すぐに使える10%水中懸濁液)の3パスツールピペットを加え、混合物を水素雰囲気圧下で23時間激しく攪拌した。触媒を濾別し、テトラヒドロフランで洗浄し、溶媒を真空中除去して、標記化合物を明黄色泡状物として得た(1.81g、99%)、MS(ISP)m/e=280.4[(M+H)]。
【0089】
実施例3:
−(4−メトキシ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−3−イル)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン
【0090】
【化17】

【0091】
標記化合物、MS(ISP)m/e=312.0[(M+H)]を、実施例1及び2について記載した手順に従って、tert−ブチル−(2−イソチオシアナート−6−ニトロ−ベンジルオキシ)−ジメチル−シラン(中間体2)及び4−メトキシ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−3−イルアミンから調製した。
【0092】
実施例4:
2−(4−クロロ−フェニル)−N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−アセトアミド
【0093】
【化18】

【0094】
4−クロロフェニル酢酸(122mg、0.65mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(245mg、1.9mmol)及び2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(254mg、0.79mmol)を、ジクロロメタン(5mL)及びジメチルホルムアミド(1mL)に溶解した。反応混合物を、室温で30分間攪拌した。(R)−N−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン(実施例2)(150mg、0.54mmol)を加え、攪拌を一晩継続した。反応混合物を水で希釈し、2回ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物を、イソプロパノール及びジイソプロピルエーテルから再結晶した。標記化合物(95mg、41%)を、白色固体として得た。MS:m/e=430.5(M−H)。
【0095】
実施例5:
3,5−ジフルオロ−N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−ベンゼンスルホンアミド
【0096】
【化19】

【0097】
(R)−N−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン(実施例2)(150mg、0.54mmol)を、ピリジン5mLに溶解し、3,5−ジフルオロ−ベンゼンスルホニルクロリド(112mg、0.53mmol)を添加した。反応混合物を、室温で一晩攪拌した。1N HClを、pH5となるまで添加した。混合物を、3回酢酸エチル(各50mL)で抽出した。有機相をプールし、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、ヘプタン/酢酸エチル1:1を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して白色固体(24mg、9%)を得た。MS:m/e=456.0(M+H)。
【0098】
実施例6:
3,5−ジフルオロ−N−[2−(4−メトキシ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−3−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−ベンゼンスルホンアミド
【0099】
【化20】

【0100】
標記化合物、MS(ISP)m/e=488.0[(M+H)]を、実施例5について記載した手順に従って、N−(4−メトキシ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−3−イル)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン(実施例3)及び3,5−ジフルオロ−ベンゼンスルホニルクロリドから調製した。
【0101】
実施例7:
シクロプロパンスルホン酸[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−アミド
【0102】
【化21】

【0103】
標記化合物、MS(ISP)m/e=384.1[(M+H)]を、実施例5について記載した手順に従って、(R)−N−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン(実施例2)及びシクロプロピルスルホニルクロリドから調製した。
【0104】
実施例8:
N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−メタンスルホンアミド
【0105】
【化22】

【0106】
標記化合物、MS(ISP)m/e=358.0[(M+H)]を、実施例5について記載した手順に従って、(R)−N−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン(実施例2)及びメタンスルホニルクロリドから調製した。
【0107】
実施例9:
(5−クロロ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン
【0108】
【化23】

【0109】
テトラヒドロフラン(4ml)中の市販の2−アミノ−6−クロロベンジルアルコール(CAS番号39885−08−0)(315mg、2mmol)の攪拌溶液に、23℃で、市販の(R)−(−)−1−インダニルイソチオシアナート(CAS番号737000−97−4)(324ul、2mmol)を加え、混合物を23℃で18時間攪拌し、その後3時間、還流した。23℃に冷却し、溶媒を真空中で除去し、残留物をアセトニトリル(4ml)に溶解し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(619mg、3.0mmol)を加え、2時間還流した。室温まで冷却し、酢酸エチルと水で希釈し、1M NaHPO・2HO溶液を少量加えてpH4とし、相分離し、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。真空中での溶媒の除去は、黄色の泡状物を残留させ、n−ヘプタン及び酢酸エチルを用いたシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して標記化合物を明黄色の油状物(215mg、36%)として得た。MS(ISP)m/e=299.1[(M+H)]。
【0110】
実施例10:
(5−ブロモ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン
【0111】
【化24】

【0112】
標記化合物である明褐色のガム、MS(ISP)m/e=342.9[(M+H)]を、実施例1の手順に従って、(2−ブロモ−6−イソチオシアナート−ベンジルオキシ)−tert−ブチル−ジメチル−シラン(中間体4)及びR−(−)−1−アミノインダンから調製した。
【0113】
実施例11:
2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−カルボニトリル
【0114】
【化25】

【0115】
DMF(9ml)中の(5−ブロモ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン(実施例10)(1.03g、3.79mmol)、シアン化亜鉛(528mg、4.5mmol)及びテトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(347mg、0.3mmol)の攪拌混合物を、マイクロ波反応器中、160℃で15分間加熱した。反応混合物を、水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(2×40ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させた。粗生成物を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製して標記化合物を白色泡状物として得た(540mg、62%)。MS(ISN)m/e=288.2[(M−H)]。
【0116】
実施例12:
(5−シクロプロピル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン
【0117】
【化26】

【0118】
トルエン(2ml)及び水(0.1ml)中の(5−ブロモ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン(実施例10)(171.6mg、0.5mmol)、シクロプロピルボロン酸(85.9mg、1.0mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(28mg、0.1mmol)、リン酸カリウム(371.5mg、1.75mmol)及び酢酸パラジウム(11.2mg、0.05mmol)の攪拌混合物を、封管中、110℃で17時間加熱した。反応混合物を、水(20ml)に注ぎ、酢酸エチル(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層を、水(20ml)及びブライン(20ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させた。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)及び結晶化(ジクロロメタン/ヘプタン)によるさらなる精製は、標記化合物を無色ガムとして生じた(83mg、49%)。MS(ISP):m/e=305.2(M+H)。
【0119】
実施例13:
[5−(4−フルオロ−フェニル)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル]−(R)−インダン−1−イル−アミン
【0120】
【化27】

【0121】
1,2−ジメトキシエタン(2.5ml)中の(5−ブロモ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン(実施例10)(171.6mg、0.5mmol)、4−フルオロフェニル−ボロン酸(84mg、0.6mmol)、1M炭酸ナトリウム溶液(1.25ml、1.25mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(17.3mg、0.015mmol)の攪拌混合物を、80℃で17時間加熱した。反応混合物を、水(20ml)に注ぎ、酢酸エチル(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層を、水(20ml)及びブライン(20ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させた。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)によるさらなる精製は、標記化合物を白色泡状物(164mg、92%)として生じた。MS(ISP)m/e=359.1[(M+H)]。
【0122】
実施例14:
−(4−フルオロ−フェニル)−N−(R)−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン
【0123】
【化28】

【0124】
(5−ブロモ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン(実施例10)(343mg、1.0mmol)、市販の4−フルオロ−アニリン(222mg、2.0mmol)、XPhos(95mg、0.2mmol)、酢酸パラジウム(22mg、0.1mmol)、ナトリウムtert−ブチラート(192mg、2.0mmol)、tert−ブタノール(1ml)及びトルエン(5ml)の混合物を、封管中、120℃で16時間加熱した。反応混合物を、水(50ml)に注ぎ、酢酸エチル(2×40ml)で抽出した。合わせた有機層を、水(20ml)及びブライン(20ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させた。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)によるさらなる粗生成物の精製は、標記化合物(40mg、11%)を黄色の泡状物として生じた。MS(ISP)m/e=374.2[(M+H)]。
【0125】
実施例15:
−(4−クロロ−フェニル)−N−(R)−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン
【0126】
【化29】

【0127】
標記化合物である黄色の泡状物、MS(ISP)m/e=390.2[(M+H)]を、実施例14の手順に従って、(5−ブロモ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン(実施例10)及び4−クロロアニリンから調製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化30】


(式中、
Xは、結合、−NH−、−NHS(O)−又は−NH−C(O)−CH−であり;
は、ハロ、C1−7−アルキル、−NR、シアノ、ニトロ、又は各々が1個以上のハロで場合により置換されているフェニル若しくは3〜8員のシクロアルキルであり;
は、各々が場合により独立して1個以上のハロ、C1−7−アルキル及び/又はC1−7−アルコキシで置換されている、各々が場合によりフェニル又は5〜6員ヘテロアリールで縮合されている、シクロペンチル又は5〜6員ヘテロシクロアルキルであり;
及びRは、各々が独立して、水素又はC1−7−アルキルである)
で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩。
【請求項2】
Xが、結合、−NH−、−NH−S(O)−又は−NH−C(O)−CH−であり;
が、ハロ、C1−7−アルキル、−NH、シアノ、ニトロ、又は1個以上のハロで場合により置換されているフェニル、又はシクロプロピルであり;
が、1個以上のC1−7−アルコキシで場合により置換されている、各々が場合によりフェニルにより縮合されているシクロペンチル又は5〜6員ヘテロシクロアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Xが、結合、−NH−又は−NH−S(O)−であり;
が、C1−3−アルキル、−NH又は場合により1個以上のハロにより置換されているフェニル、又はシクロプロピルであり;
が、下記:
【化31】


である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
Xが、結合、−NH−、−NH−C(O)−CH−又は−NH−S(O)−である、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
Xが、−NH−又は−NH−C(O)−CH−である、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
が、ハロ、C1−7−アルキル、−NH、シアノ、ニトロ、1個以上のハロで置換されているフェニル、又は3〜8員シクロアルキルである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
が、C1−7−アルキル、−NH、1つ若しくは2つのハロで置換されているフェニル、又は3〜8員シクロアルキルである、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
が、メチル、NH、4−フルオロ−フェニル、4−クロロ−フェニル、3,5−ジフルオロ−フェニル又はシクロプロピルである、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
が、場合により1個以上のC1−7−アルコキシで置換されている、フェニルで縮合されている、3〜8員シクロアルキル又は5〜6員ヘテロシクロアルキルである、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
が、フェニルで縮合されている3〜8員シクロアルキルである、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
が、インダン−1−イルである、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
が、下記:
【化32】


であり、Rが、(R)−立体異性体として存在している、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
化合物が、
5−クロロ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン;
(R)−インダン−1−イル−(5−ニトロ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−アミン;
(R)−N−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン;
−(4−メトキシ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−3−イル)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン;
2−(4−クロロ−フェニル)−N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−アセトアミド;
3,5−ジフルオロ−N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]ベンゼンスルホンアミド;
3,5−ジフルオロ−N−[2−(4−メトキシ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−3−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−ベンゼンスルホンアミド;
シクロプロパンスルホン酸[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−アミド;
(5−ブロモ−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン;
N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−メタンスルホンアミド;
2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−カルボニトリル;
(5−シクロプロピル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル)−(R)−インダン−1−イル−アミン;
[5−(4−フルオロ−フェニル)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−イル]−(R)−インダン−1−イル−アミン;
−(4−フルオロ−フェニル)−N−(R)−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン;及び
−(4−クロロ−フェニル)−N−(R)−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン、
ならびにそれらの薬学的に許容しうる塩から選択される、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
化合物が、
(R)−N−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン;
3,5−ジフルオロ−N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]ベンゼンスルホンアミド;
シクロプロパンスルホン酸[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−アミド;
N−[2−((R)−インダン−1−イルアミノ)−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−5−イル]−メタンスルホンアミド;
−(4−フルオロ−フェニル)−N−(R)−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン;及び
−(4−クロロ−フェニル)−N−(R)−インダン−1−イル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,5−ジアミン、
ならびにそれらの薬学的に許容しうる塩から選択される、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
、R及びXが、請求項1で与えられた意味を有する式(I)の化合物を製造するための方法であって、以下の工程:
a) 化合物(1):
【化33】


(式中、R及びXは、請求項1において記載のように定義される)のアルコール官能基を、好ましくは化合物(1)を、シリル基含有化合物、より好ましくはtert−ブチルジメチルシリル又はtert−ブチルジフェニルシリルと反応させることにより保護して、化合物(2):
【化34】


(式中、アルコール官能基はシリル保護基で保護されている)を得る工程;
b) 好ましくは化合物(2)(式中、R及びXは、請求項1において記載のように定義される)を、塩素系溶媒中、より好ましくはジクロロメタン又はクロロホルム中で、炭酸水素ナトリウムの存在下でチオホスゲンと反応させることにより、化合物(2)のアミノ基を、イソチオシアナートに変換して、化合物(3):
【化35】


を得る工程;
c) 化合物(3)(式中、R及びXは、請求項1において記載のように定義される)を、アミンHN−R(式中、Rは、請求項1において記載のように定義される)と反応させて、化合物(4):
【化36】


(ここで、化合物(3)のイソチオシアナート官能基とHN−Rのアミノ官能基との間の反応は、化合物(4)におけるチオ尿素官能基を形成する)
を得る工程;
d) 好ましくは化合物(4)(式中、R、R及びXは、請求項1において記載のように定義される)をフッ化物化合物、より好ましくはテトラブチルアンモニウムフルオリドと反応させることにより化合物(4)のアルコール官能基保護基を除去し、一般式(5):
【化37】


で示される(2−ヒドロキシメチル−フェニル)−チオ尿素を得る工程;
e) 及び、一般式(5)(R、R及びXは、請求項1において記載のように定義される)の(2−ヒドロキシメチル−フェニル)−チオ尿素を、カルボジイミド試薬、好ましくは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミドと反応させて、一般式(I)の4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2イル−アミンを得る工程、
を含む方法。
【請求項16】
請求項15の方法によって得ることができる、請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項17】
医薬として用いるための、請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項18】
治療活性物質として用いるための、請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項19】
5−HT5A受容体に関連する疾患の治療又は予防のための治療活性物質として用いるための、請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項20】
鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用からの禁断症状、運動障害、パーキンソン病、精神障害又は胃腸障害の予防又は治療における使用のための、請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項21】
5−HT5A受容体に関連する疾患の治療又は予防のための医薬の製造のための、請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項22】
医薬が、鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用からの禁断症状、運動障害、パーキンソン病、精神障害又は胃腸障害の治療又は予防に有用である、請求項21記載の使用。
【請求項23】
少なくとも1つの請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)の化合物及び薬学的に許容しうる賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項24】
鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用からの禁断症状、運動障害、パーキンソン病、精神障害又は胃腸障害の予防又は治療に用いるための、請求項23記載の医薬組成物。
【請求項25】
5−HT5A受容体に関連する疾患の治療又は予防、特に鬱病、不安症、統合失調症、パニック障害、広場恐怖症、対人恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、疼痛、記憶障害、認知症、摂食行動障害、性機能障害、睡眠障害、薬物乱用からの禁断症状、運動障害、パーキンソン病、精神障害又は胃腸障害の治療又は予防のための、請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物をヒト又は動物に投与することを含む方法。
【請求項26】
上記本明細書に記載された発明。

【公表番号】特表2012−501994(P2012−501994A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525516(P2011−525516)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061157
【国際公開番号】WO2010/026112
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】