説明

5−(1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール誘導体

【課題】血小板凝集抑制作用を示し、安全性、体内動態に優れた化合物の提供。
【解決手段】次式(I)


で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血小板凝集抑制作用を有するピラゾール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
血小板は、血管損傷時に凝集して止血血栓を形成して出血を防止する重要な役割を担っているが、その一方で、血管内の血管内皮が損傷された部位、狭窄した部位等には、凝集して血栓や塞栓を誘発する。これら血栓や塞栓が原因となって、心筋梗塞、狭心症、虚血性脳血管障害、末梢血管障害等の虚血性疾患が引き起こされる。従って、虚血性疾患の予防や治療には、血小板凝集抑制薬が用いられている。中でも、低用量のアスピリンは、古くから血小板凝集抑制薬として使用されてきており、その効果は10万人の患者に投与された複数の臨床試験結果をメタアナリシスしたAPT (Antiplatelet Trialist's Collaboration)で証明されている(非特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、アスピリンには、胃腸等の出血、いわゆるアスピリン潰瘍を引き起こすという副作用が知られており、その副作用は投与量に依存することなく、100人に1人の割合で起きている(非特許文献2参照)。
【0004】
アスピリンの血小板凝集抑制作用は、シクロオキシゲナーゼ(Cyclooxygenase) の抑制作用に基づくことが知られている。シクロオキシゲナーゼには、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)とシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)があるが、アスピリンは低用量でCOX−1を選択的、非可逆的に阻害して血小板の凝集を抑制するが、COX−1を阻害することがアスピリン潰瘍を引き起こす原因ともなっている(非特許文献3および4参照)。尚、非ステロイド性抗炎症薬は、COX−2を選択的に阻害して抗炎症作用を示すことが知られている。
【0005】
以上のように、アスピリンは血小板凝集抑制薬として有用であるが、その作用機作であるCOX−1阻害作用に基づく胃腸障害を副作用として伴うことから、COX−1阻害作用のない血小板凝集抑制薬が求められている。
【0006】
一方、これまでに抗血栓作用を有するピラゾール誘導体としては、化合物(A)(特許文献1および非特許文献5参照)および化合物(B)(特許文献2参照)が知られている。
【0007】
【化1】

【0008】
しかしながら、化合物(A)のコラーゲン誘発血小板凝集に対するIC50値は5.3×10-6Mであり、COX−2に対してはこれより強い阻害活性を示す(IC50値2.4×10-7M)。同様に、化合物(B)の血小板凝集抑制作用もそのCOX−2に対する阻害活性と比較して強いものではない。前述のように、COX−2の阻害は抗炎症作用に繋がるため、COX−2阻害活性を有することは血小板凝集抑制薬としては必ずしも好ましいものではない。
【0009】
一方、特許文献3はCOX−1およびCOX−2を阻害することのない血小板凝集抑制薬である化合物(C)などを開示するが、本化合物を構成するピペリジン環上の4位のジフルオロ基をメトキシ基に変換して得られる化合物(D)が腎毒性を示すことから、特許文献3が開示する血小板凝集抑制薬は安全性の面で確実に優れているものであるとはいい難い。
【0010】
【化2】

【0011】
【特許文献1】特許第2586713号明細書
【特許文献2】国際公開97/29774号パンフレット
【特許文献3】国際公開2006/014005号パンフレット
【非特許文献1】BMJ,308巻、81−106頁、1994年
【非特許文献2】BMJ,321巻、1183−1187頁、2000年
【非特許文献3】Neurology、57巻、Suppl..2、S5−S7頁
【非特許文献4】Drugs Today、35巻、251−265頁、1999年
【非特許文献5】Chem.Pharm.Bull.、45巻、987−995頁、1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、COX−1およびCOX−2を阻害することなくかつ腎毒性を示さない強力な血小板凝集抑制薬を提供することである。
【0013】
本発明者らは、このような血小板凝集抑制薬を求めて鋭意研究した結果、下記一般式(I)で表されるピラゾール誘導体が、COX−1およびCOX−2を阻害せず、かつ、腎毒性を示すことなく、強力な血小板凝集抑制作用を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、一般式(I)
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R2は、水素原子、置換されることもある低級アルキル基、低級アルキニル基、置換されることもあるカルバモイル基、シアノ基、置換されることもあるアミノ基、置換されることもある低級アルコキシ基および低級アルカノイル基から選ばれる基または原子を示し;式中Xは、一般式(II)
【0017】
【化4】

【0018】
(式中の環状構造は、式中に記載の窒素原子以外に窒素原子または酸素原子を構成原子とすることもある4〜7員の脂環式複素環を示し、R1は、該環状構造が、置換されることもある低級アルキル基、置換されることもあるカルバモイル基、置換されることもあるアミノ基、水酸基、低級アルコキシ基、オキソ基、低級アルカノイル基、低級アルキルスルホニル基およびハロゲン原子から選ばれる1〜2個の基または原子で置換されていてもよいことを示す。)で表される基を示す。)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を提供する。
【0019】
本発明はまた、上記の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物;上記の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を含有する医薬;上記の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を有効成分とする血小板凝集抑制薬;上記の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を有効成分とする虚血性疾患の予防および/または治療薬を提供する。
本発明はまた、上記の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を有効成分としてその有効量を投与することを特徴とする虚血性疾患の予防および/または治療方法を提供する。
本発明はさらに、医薬製造のための、上記の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の使用;虚血性疾患の予防および/または治療剤製造のための、上記の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の使用を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の化合物(I)、その塩またはそれらの溶媒和物は、COX−1およびCOX−2を阻害することなく強力に血小板凝集を抑制し、血栓形成を阻害する作用を有する。従って、心筋梗塞、狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症等) 、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA) 、脳梗塞等) 、末梢血管障害、人工血管置換後閉塞、冠動脈インターベンション(冠動脈バイパス術(CABG) 、経皮経管冠動脈形成術(PTCA) 、ステント留置等) 後の血栓性閉塞、糖尿病網膜症・腎症、心人工弁置換時閉塞、急性冠動脈症候群など、血栓・塞栓を原因とする虚血性疾患の予防および/または治療に有用である。また、血管手術、血液体外循環等に伴う血栓・塞栓の予防および/または治療に有用である。さらに、慢性動脈閉塞症に伴う、潰瘍、疼痛、冷感等の阻血性症状の改善に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
一般式(I)について以下に説明する。
【0022】
2は、1)置換されることもある低級アルキル基、2)低級アルキニル基、3)置換されることもあるカルバモイル基、4)シアノ基、5)置換されることもあるアミノ基、6)置換されることもある低級アルコキシ基および7)低級アルカノイル基から選ばれる基を示す。
【0023】
本明細書における「低級アルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を意味する。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基を挙げることができる。
【0024】
本明細書における「低級アルコキシ基」とは、低級アルキル基をその構造に含むアルコキシ基を意味する。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、シクロペンチルオキシ基を挙げることができる。
【0025】
本明細書における「低級アルキニル基」とは、炭素数2〜6の直鎖状、分岐状または環状のアルキニル基を意味する。具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基が挙げられる。
【0026】
本明細書における「低級アルカノイル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルカノイル基を意味する。具体的には、ホルミル基、アセチル基、n−プロピオニル基、n−ブチリル基、イソブチリル基を挙げることができる。
【0027】
本明細書における「低級アルキルスルホニル基」とは、低級アルキル基で置換されたスルホニル基を意味する。具体的には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、n−ペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、シクロプロピルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基を挙げることができる。
【0028】
さらに、上記1)〜7)について説明する。
1)「置換されることもある低級アルキル基」とは、次に挙げるa)〜e)からなる置換基群から選ばれる1個または同一もしくは異なった2〜3個の置換基または原子で置換されていてもよい低級アルキル基を意味する。これらの置換基または原子は、置換し得る限り低級アルキル基における同じ炭素原子に置換していてもよいし、異なる炭素原子に置換していてもよい。置換されることもある低級アルキル基として、メチル基、エチル基またはn−プロピル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0029】
a)1個または同一もしくは異なった2個の低級アルキル基で置換されることもあるカルバモイル基:当該カルバモイル基とは、無置換のカルバモイル基または1〜2個の低級アルキル基で置換されるカルバモイル基を意味する。具体的には、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、N−メチル−N−エチルカルバモイル基を挙げることができる。これらの中で、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基またはジメチルカルバモイル基が好ましい。
【0030】
b)低級アルキル基、低級アルカノイル基および低級アルキルスルホニル基から選ばれる1個または同一もしくは異なった2個の置換基で置換されることもあるアミノ基:当該アミノ基とは、無置換のアミノ基、または、低級アルキル基、低級アルカノイル基および低級アルキルスルホニル基から選ばれる1個または同一もしくは異なった2個の置換基で置換されるアミノ基を意味する。具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、シクロペンチルメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−エチル−N−n−プロピルアミノ基、N−メチル−N−シクロペンチルメチルアミノ基、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、n−プロピオニルアミノ基、N−メチル−N−アセチルアミノ基、N−エチル−N−アセチルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルホニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基、シクロプロピルスルホニルアミノ基、シクロブタンスルホニルアミノ基、N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ基、N−エチル−N−メチルスルホニルアミノ基を挙げることができる。
【0031】
c)水酸基:
d)低級アルコキシ基:メトキシ基またはエトキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好ましい。
e)ハロゲン原子:フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を挙げることができ、フッ素または塩素が好ましく、特にフッ素が好ましい。
【0032】
2)低級アルキニル基として、エチニル基、1−プロピニル基または2−プロピニル基が好ましく、特にエチニル基が好ましい。
【0033】
3)「置換されることもあるカルバモイル基」とは、無置換のカルバモイル基、または、1個または同一もしくは異なった2個の低級アルキル基で置換されたカルバモイル基を意味する。具体的には、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−プロピルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、N−メチル−N−エチルカルバモイル基が挙げられる。
4)「シアノ基」
【0034】
5)「置換されることもあるアミノ基」とは、無置換のアミノ基、または、1個または同一もしくは異なった2個の低級アルキル基で置換されたアミノ基を意味する。具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基が挙げられる。この中で、無置換のアミノ基、メチルアミノ基またはジメチルアミノ基が好ましい。
【0035】
6)「置換されることもあるアルコキシ基」とは、無置換のアルコキシ基、または、前記1)におけるa)〜e)からなる置換基群から選ばれる1個または同一もしくは異なった2〜3個の置換基または原子で置換されていてもよいアルコキシ基を意味する。置換されることもあるアルコキシ基として、無置換の低級アルコキシ基またはカルバモイル基で置換された低級アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基またはカルバモイルメトキシ基がさらに好ましく、メトキシ基またはカルバモイルメトキシ基が最も好ましい。
【0036】
7)「低級アルカノイル基」として、アセチル基またはn−プロピオニル基が好ましく、特にアセチル基が好ましい。
【0037】
2としては、これら1)〜7)の置換基の中で、置換されることもある低級アルキル基が好ましく、無置換の低級アルキル基がさらに好ましく、その中でもメチル基が最も好ましい。
【0038】
次にXについて説明する。Xは一般式(II) で表される基を表すが、一般式(II)は、一般式(II)中に記載の窒素原子以外に窒素原子または酸素原子を構成原子とすることもある4〜7員の脂環式複素環基を意味する。
【0039】
4〜7員の脂環式複素環基として、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ヘキサヒドロピリダジニル基、ヘキサヒドロピリミジニル基、イミダゾリジニル基、ホモピペラジニル基、モルホリニル基、オキサゼパニル基を挙げることができる。これらの中で、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ヘキサヒドロピリダジニル基、モルホニル基またはオキサゼパニル基が好ましく、ピペラジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基またはピロリジニル基が特に好ましい。
【0040】
1は、前記4〜7員の脂環式複素環基における脂環式複素環を構成する炭素原子または窒素原子に置換する基であって、以下の(i)〜(ix)から選ばれる基を意味する。
【0041】
(i)置換されることもある低級アルキル基:前記R2における)置換されることもある低級アルキル基と同様の基を意味する。すなわち、前記a)〜e)からなる置換基群から選ばれる1個または同一もしくは異なった2〜3個の置換基または原子で置換されていてもよい低級アルキル基を意味する。さらに、置換されることもある低級アルキル基は、オキソ基が単独で置換している低級アルキル基であってもよい。また、置換されることもある低級アルキル基は、前記a)〜e)から選ばれる基または原子と組み合わせて置換されている低級アルキル基であってもよい。低級アルキル基として、メチル基またはシクロプロピル基が好ましい。さらに、低級アルキル基に置換する基または原子としては、ハロゲン原子、水酸基、低級アルコキシ基およびアミノ基が好ましい。従って、式(II)中の環状構造に置換する、置換されている低級アルキル基としては、ハロゲノ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基またはアミノ低級アルキル基が好ましい。ハロゲノ低級アルキル基とは、ハロゲン原子で置換されている低級アルキル基を意味する。ハロゲノ低級アルキル基として、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基が挙げられ、これらの中で、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基またはトリフルオロメチル基が好ましく、特にフルオロメチル基が好ましい。ヒドロキシ低級アルキル基とは、水酸基で置換された低級アルキル基を意味する。ヒドロキシ低級アルキル基として、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基が挙げられる。低級アルコキシ低級アルキル基とは、低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基を意味し、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基を例示することができる。この中で、メトキシメチル基が好ましい。アミノ低級アルキル基とは、アミノ基で置換された低級アルキル基を意味し、具体的にはアミノメチル基、2−アミノエチル基、1−アミノシクロプロピル基が挙げられ、この中で1−アミノシクロプロピル基が好ましい。
【0042】
(ii)置換されることもあるカルバモイル基:置換されることもあるカルバモイル基とは、前記R2における置換されることもあるカルバモイル基と同様の基を意味する。置換されることもあるカルバモイル基として、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基またはジメチルカルバモイル基が好ましく、特に無置換のカルバモイル基が好ましい
【0043】
(iii)置換されることもあるアミノ基:置換されることもあるアミノ基とは、前記R2における置換されることもあるアミノ基と同様の基を意味する。置換されることもあるアミノ基として、無置換のアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基またはジエチルアミノが好ましく、特に無置換のアミノ基またはジメチルアミノ基が好ましい。
【0044】
(iv)水酸基
(v)低級アルコキシ基:低級アルコキシ基として、メトキシ基またはエトキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好ましい。
(vi)オキソ基、
(vii)低級アルカノイル基:低級アルカノイル基として、ホルミル基、アセチル基、n−プロピオニル基、n−ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基を挙げることができ、これらの中で、特にホルミル基が好ましい。
【0045】
(viii)低級アルキルスルホニル基:低級アルキルスルホニル基として、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、n−ペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、シクロプロピルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基を挙げることができる。これらの中で、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基またはn−プロピルルホニル基が好ましい。
【0046】
(ix)ハロゲン原子:ハロゲン原子として、フッ素または塩素が好ましい。
これら(i)〜(ix)から選ばれる基または原子は、1個が前記脂環式複素環基に置換していてもよいし、置換し得る限り同一または異なった2〜4個が前記脂環式複素環基に置換していてもよい。また、複数の基が置換する場合、当該脂環式複素環基の同一の元素に置換してもよいし、異なった元素に置換してもよい。
【0047】
前記4〜7員の脂環式複素環基における脂環式複素環として、ピペラジン環、ピペリジン環またはモルホリン環が好ましい。
【0048】
Xとして、ピペラジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、4−メチル−ピペラジニル基、4−シクロプロピル−ピペラジニル基、(2−フルオロメチル)ピロリジニルまたは4−メトキシ−ピペリジニル基が好ましく、4−メトキシ−ピペリジニル基、4−メチル−ピペラジニル基、4−シクロプロピル−ピペラジニル基、モルホリニル基または(2−フルオロメチル)ピロリジニル基が特に好ましい。
【0049】
本発明の化合物としては、R2がメチル基であり;Xがピペラジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、4−メチル−ピペラジニル基、4−シクロプロピル−ピペラジニル基または4−メトキシ−ピペリジニル基である化合物が好ましい。さらに、R2がメチル基であり;Xが4−メトキシ−ピペリジニル基、4−メチル−ピペラジニル基、4−シクロプロピル−ピペラジニル基、モルホリニル基または(2−フルオロメチル)ピロリジニル基である化合物が特に好ましい。
【0050】
本発明の化合物のすべてが塩を形成するとは限らないが、本発明の化合物がカルボキシル基またはアミノ基を有する場合等には塩を形成する場合もある。さらに、その塩は溶媒和物を形成する場合もある。ここでいう塩とは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の塩;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸の塩;ナトリウム、カリウム、カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のイオンとの塩が挙げられる。
【0051】
本発明の化合物またはその塩の溶媒和物における溶媒和物とは、結晶の晶出等に用いた溶媒が付加した溶媒和物の他に、空気中の水分を吸収して形成されるものも含む。溶媒の例としては、例えば、水、メタノールまたはエタノール等の低級アルコール、アセトンまたはアセトニトリル等の有機溶媒が挙げられる。
【0052】
本発明の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物として、次式(Ia)〜(Ie)
【0053】
【化5】

【0054】
のうちいずれかIの式で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を好ましく挙げることができる。さらに、前記式(Ib)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を最も好ましく例示することができる。
【0055】
本発明の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物は、COX−1およびCOX−2を阻害せず、かつ、腎毒性を示すことなく、強力な血小板凝集抑制作用を示し、主薬効、安全性、経口吸収性、体内動態、溶解性といった観点から医薬品として極めて優れている。
【0056】
本発明の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物は、下記の方法により製造することができる。
【0057】
以下に、本発明の化合物(I)の代表的な製造方法について述べる。
【0058】
【化6】

【0059】
(上記式中、R2は前記R2と同じ基を示し、R3はメチル基あるいはエチル基を示す。)
【0060】
化合物(3)は、化合物(1)をテトラヒドロフラン等の不活性溶媒に溶解し−78℃冷却下、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等の塩基で処理し、シュウ酸ジアルキルエステル(シュウ酸ジメチルエステルまたはシュウ酸ジエチルエステル)(2)を添加し攪拌することによって製造できる。反応温度は、−78℃〜室温が好ましい。
【0061】
また、化合物(1)とシュウ酸ジアルキルエステル(シュウ酸ジメチルエステルまたはシュウ酸ジエチルエステル)(2)をナトリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシド)存在下にアルコール(メタノールまたはエタノール)溶液中で処理することにより、化合物(3)を得ることもできる。反応温度は、−10〜100℃が好ましい。
【0062】
なお、芳香族ケトン(1)は、S.Ohtaら(Chem.Pharm.Bull.,1997,45(7),1140)の方法、あるいは参考例に記載の方法またはその方法に準じた方法で製造して用いればよい。
【0063】
芳香族ケトン(1)が水酸基、アミノ基等の官能基を有する場合には、予めそれらの官能基を適当な保護基を用いて保護することが必要となることもある。水酸基の保護基としては、tert−ブチル基、ベンジル基等が挙げられ、アミノ基の保護基としては、トリフルオロアセチル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。これらの保護基はそれぞれの保護基に適った条件で脱離することが可能である。
【0064】
次いで、化合物(3)とヒドラジン誘導体((4)WO2004/069824)をアルコール(メタノールあるいはエタノール)に溶解し、30分〜5時間加温攪拌後、反応液に適当量の酢酸を加えてさらに1晩加温攪拌することにより化合物(5)を製造できる。反応温度は、10〜110℃が好ましい。その際、位置異性体が副生するが、シリカゲルカラムクロマトグラフィーあるいは結晶化により、容易に化合物(5)を分離精製することが可能である。
【0065】
次に、エステル体(6)は、化合物(5)とラネーニッケルのアルコール(メタノール、あるいはエタノール)懸濁液を加温攪拌することにより製造できる。反応温度は、50〜110℃が好ましい。この反応の条件や試薬等は、有機化学の通常の知識に基づいて適宜選択すればよい。
【0066】
また、エステル体(6a)は、下記化合物(8)より導くこともできる。
【0067】
【化7】

【0068】
(上記式中、R2は前記R2と同じ基を示し、R3はメチル基またはエチル基を示す。)
【0069】
化合物(8)とシュウ酸ジアルキルエステル(シュウ酸ジメチルエステルまたはシュウ酸ジエチルエステル)(2)をナトリウムアルコキシド(ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシド)存在下にアルコール(メタノールまたはエタノール)溶液中で処理することにより、化合物(9)を得ることができる。反応温度は、−10〜100℃が好ましい。
【0070】
また、化合物(9)は、化合物(8)をテトラヒドロフラン等の不活性溶媒に溶解し−78℃冷却下、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等の塩基で処理し、シュウ酸ジアルキルエステル(シュウ酸ジメチルエステルまたはシュウ酸ジエチルエステル)(2)を添加し攪拌することによっても製造できる。反応温度は、−78℃〜室温が好ましい。
【0071】
次いで、化合物(9)とヒドラジン誘導体((4)WO2004/069824)をアルコール(メタノールまたはエタノール)に溶解し、30分〜5時間加温攪拌後、反応液に適当量の酢酸を加えてさらに1晩加温攪拌することにより化合物(6a)を製造することができる。その際、位置異性体が副生するが、シリカゲルカラムクロマトグラフィーあるいは結晶化により、容易に化合物(6a)を分離精製することが可能である。
【0072】
なお、芳香族ケトン(8)は、下記化合物(1a)より導くことができる。また、文献記載の方法(Erik Van der Eyckenら、Org.Lett.2004、6(23)、4223−4225)を応用して、市販のアセチレン誘導体(10あるいは12)とアジド化合物とを用いる1,2,3−トリアゾール環形成反応で製造することもできる。
【0073】
【化8】

【0074】
化合物(1)とラネーニッケルのアルコール(メタノールまたはエタノール)懸濁液を加熱還流することで、化合物(8)を製造することができる。この反応の条件や試薬等は、有機化学の通常の知識に基づいて適宜選択すればよい。
【0075】
3−ブチン−2−オール(10)、アジ化ナトリウム、ジメチル硫酸、およびヨウ化銅のt−ブタノールと水の混合懸濁液を室温で攪拌することで、1−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)エタノール(11)を製造することができる。この反応の条件や試薬等は、有機化学の通常の知識に基づいて適宜選択すればよい。
【0076】
化合物(11)のジクロロメタン溶液に、二酸化マンガンを加え室温で攪拌することでも化合物(8)を製造することができる。この反応の条件や試薬等は、有機化学の通常の知識に基づいて適宜選択すればよい。
【0077】
さらに、3−ブチン−2−オン(12)、アジ化ナトリウム、ジメチル硫酸、およびヨウ化銅のt−ブタノールと水の混合懸濁液を室温で攪拌することで、化合物(8)を製造することもできる。この反応の条件や試薬等は、有機化学の通常の知識に基づいて適宜選択すればよい。
【0078】
次に、エステル体(6)を常法により加水分解してカルボン酸体(7)に導くことができる。
【0079】
【化9】

【0080】
(上記式中、R2およびR3は前記R2およびR3と同じ基を示す)
【0081】
上記の加水分解反応は、塩基またはルイス酸の存在下で行うことができる。塩基としては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)の水酸化物が挙げられる。また、ルイス酸としては、例えば三臭化ホウ素が挙げられる。反応温度は、−20〜100℃が好ましく、−5〜50℃がより好ましい。
【0082】
上記の製造法により得られたカルボン酸体(7)を下記の処理をすることにより、本発明の化合物(I)を得ることができる。
【0083】
【化10】

【0084】
(上記式中、R1およびR2はそれぞれ前記R1およびR2と同じ基を示す。)
カルボン酸体(7)とアミン体(13)を縮合することにより本発明の化合物(I)を製造することができる。
【0085】
上記の縮合反応は、ペプチド合成法として一般的に用いられる方法を準用すればよい。一般的に用いられているペプチド合成法としては、例えば、アジド法、酸クロリド法、酸無水物法、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)法、活性エステル法、カルボニルジイミダゾール法、DCC/HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)法、水溶性カルボジイミドを使用する方法、ジエチルシアノホスフェートを使用する方法等を挙げることができ、それらの方法は、M.Bodanszky,Y.S.KlausnerおよびM.A.Ondetti著"Peptide Synthesis"(A Wiley−interscience publication,New York,1976年)、G.R.Pettit著"Synthetic Peptides"(Elsevier Scientific Publication Company,New York,1976年)、日本化学会編"第4版実験化学講座22巻,有機合成IV"(丸善株式会社、1992年)等に記載されている。この縮合反応に用いる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル等の溶媒、あるいはこれらの混合溶媒を挙げることができる。反応温度は、−20〜50℃が好ましく、−10〜30℃がより好ましい。アミン体(13)は、市販の化合物を用いてもよく、また文献に記載の方法もしくは製造例に記載の方法、あるいはそれらの方法に準じて製造したものを用いればよい。
【0086】
有機化学の通常の知識に基づいて、上記の方法により製造した本発明の化合物(I)をさらに修飾を加えることにより、本発明の別の化合物(I)に導くことができる。
【0087】
本発明の化合物(I)、その塩またはそれらの溶媒和物は、強力な抗血小板作用を有し、高シェアストレス誘発の血栓症モデルでも血栓形成を強く阻害した。また本発明の化合物は、前記特許文献3記載の化合物(B)に比べて、腎毒性が極めて弱く安全性の面で特に優れている。かかる安全性は、血小板凝集抑制薬が長期間投与されることを考慮すると、極めて重要である。従って、本発明の化合物(I)、その塩またはそれらの溶媒和物は、ヒトを含む哺乳類において、心筋梗塞、狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症等) 、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA) 、脳梗塞等) 、末梢血管障害、人工血管置換後閉塞、冠動脈インターベンション(冠動脈バイパス術(CABG) 、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)、ステント留置等) 後の血栓性閉塞、糖尿病網膜症・腎症、心人工弁置換時閉塞など、血栓・塞栓を原因とする虚血性疾患の予防および/または治療剤として有用である。また、血管手術、血液体外循環等に伴う血栓・塞栓の予防および/または治療剤として有用である。さらに、慢性動脈閉塞症に伴う、潰瘍、疼痛、冷感などの阻血性症状の改善にも有用である。
【0088】
本発明の化合物(I)、その塩またはそれらの溶媒和物を医薬として使用する場合、投与量は患者の年齢、性別、症状等により異なるが、成人1人当たりの日量は、0.1mg〜1gが好ましく、特に0.5mg〜500mgが好ましい。この場合、1日量を数回に分けて投与することも可能であり、必要な場合には上記の1日量を超えて投与することも可能である。
【0089】
本発明の化合物(I)、その塩またはそれらの溶媒和物を有効成分とする医薬は、必要に応じた投与法および剤形により使用可能であり、その製剤は通常用いられている各種製剤の調製法にて必要に応じて薬学的に許容される担体を配合して、投与法に合致した剤形を選択すればよく、投与法および剤形は特に限定されるものではない。
【0090】
経口用製剤としては、例えば、錠剤、散剤、頬粒剤、丸剤、カプセル剤等の固形製剤の他に、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤等の液体製剤を挙げることができる。
【0091】
注射剤としては、本発明の化合物(I)、その塩またはそれらの溶媒和物を溶解して容器に充填してもよく、またそれを凍結乾燥等によって固形として用時調製の製剤としてもよい。
【0092】
これらの製剤を調製する場合には、製剤学上許容される添加物、例えば、結合剤、崩壊剤、溶解促進剤、滑沢剤、充填剤、賦形剤等を必要に応じて選択して用いることができる。
【0093】
次に、参考例、実施例および試験例を挙げて本発明を詳細に説明する。
参考例1
1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル
【0094】
【化11】

【0095】
1)4−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステル
アルゴン雰囲気下、1−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]エタノン(1.84g,S.Ohtaら,Chem.Pharm.Bull.,1997,45(7),1140)のテトラヒドロフラン(37ml)溶液に、−78℃冷却下リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.0Mのテトラヒドロフラン溶液,8.68ml)を滴下し80分間攪拌した。反応液に、同温でシュウ酸ジエチル(2.14ml)を滴下し15分間し、0℃で30分間した。さらに室温で3時間攪拌した。反応液に、水とジエチルエーテルを加え分液し、水層に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、減圧下溶媒を留去し、4−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステル(1.60g,61%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.38−1.42(3H,m),3.95(3H,s),4.36−4.42(2H,m),7.22−7.35(5H,m),7.52(1H,s).
MS(EI)m/z:333(M+).
【0096】
2)標題化合物
4−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステル(1.59g)と5−ヒドラジノ−2−メトキシピリジン(0.730g,WO2004/069824)のエタノール(32ml)懸濁液を45分間加熱還流した。反応液に、酢酸(1.37ml)を加え、さらに18時間加熱還流した。空冷後、反応液に、飽和炭酸水素ナトリウムとクロロホルムを加え分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、標題化合物(1.08g,52%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.39−1.43(3H,m),3.93(3H,m),3.96(3H,s),4.41−4.47(2H,m),6.72(1H,d,J=8.8Hz),6.90−6.93(2H,m),7.21−7.26(4H,m),7.66−7.69(1H,m),8.10(1H,d,J=2.7Hz).
MS(EI)m/z:436(M+).
【0097】
参考例2
1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸
【0098】
【化12】

【0099】
1)1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル
ラネーニッケル(NIKKO RICA R−100,20g)にエタノールを加え洗浄し(エタノールをデカンテーションし除去)、得られた残渣のエタノール(40ml)懸濁液に、アルゴン雰囲気下、1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(1.07g)のエタノール(60ml)懸濁液を加え、3.5時間加熱還流した。空冷後、反応液中の固体をセライトで濾別した。得られた濾液の溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−アセトン)で精製し、1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(0.607g,75%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.40−1.44(3H,m),3.99(3H,s),4.07(3H,s),4.42−4.48(2H,m),6.83(1H,d,J=8.8Hz),7.21(1H,s),7.31(1H,s),7.70(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),8.22(1H,d,J=2.7Hz).
MS(EI)m/z:328(M+).
【0100】
2)標題化合物
1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(0.600g)のメタノール(12ml)およびテトラヒドロフラン(12ml)混合溶液に、室温で1N水酸化ナトリウム水溶液(4.57ml)を加え1時間攪拌した。反応液に、1N塩酸水溶液(4.57ml)を加え中和後、水、およびクロロホルムとメタノール(10対1)混合溶媒を加え分液した。有機層の溶媒を減圧下留去し、標題化合物(0.540g,98%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:3.93(3H,m),4.04(3H,m),6.94(1H,d,J=8.8Hz),7.16(1H,m),7.80−7.83(1H,m),8.09(1H,m),8.27(1H,d,J=2.7Hz),13.03(1H,br).
MS(EI)m/z:300(M+).
【0101】
参考例3
1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル
1)1−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)エタノン
ラネーニッケル(NIKKO RICA R−100,50g)をエタノールで洗浄し(エタノールをデカンテーションで除去)、得られた残渣のエタノール(100ml)懸濁液に、アルゴン雰囲気下、1−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]エタノン(5.00g,S.Ohtaら,Chem.Pharm.Bull.,1997,45(7),1140)のエタノール(100ml)懸濁液を加え、4時間加熱還流した。空冷後、反応液中の固体をセライトで濾別した。得られた濾液の溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、1−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)エタノン(0.685g,26%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.69(3H,s),4.16(3H,s),8.05(1H,s).
MS(ESI)m/z:126(M+H)+
【0102】
2)4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステル
アルゴン雰囲気下、ナトリウムエトキシド(20%エタノール溶液,3.70g)のエタノール(6.8ml)溶液に、室温でシュウ酸ジエチル(1.48ml)を加え15分間攪拌した。反応液に、1−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)エタノン(0.680g)のエタノール(13.6ml)溶液を加え2時間攪拌した。反応液に、水とジエチルエーテルを加え分液し、水層に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、減圧下溶媒を留去し、4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステル(0.904g,74%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.39−1.42(3H,m),4.20(3H,s),4.37−4.42(2H,m),7.42(1H,s),8.16(1H,s).
MS(EI)m/z:225(M+).
【0103】
3)標題化合物
4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステル(0.896g)と5−ヒドラジノ−2−メトキシピリジン(0.554g,WO2004/069824)のエタノール(18ml)懸濁液を30分間加熱還流した。反応液に、5−ヒドラジノ−2−メトキシピリジン(0.111g)を追加し1時間加熱還流した。さらに、反応液に、酢酸(1.14ml)を加え19時間加熱還流した。空冷後、反応液に、飽和炭酸水素ナトリウムとクロロホルムを加え分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン−アセトン)で精製し、標題化合物(0.881g,67%)を固体として得た。
【0104】
参考例4
2−メトキシ−5−[3−[(4−メトキシピペリジン−1−イル)カルボニル]−5−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン
【0105】
【化13】

【0106】
1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(184mg,WO2006/014005),4−メトキシピペリジン塩酸塩(185mg,WO2004/094407)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(16mg)、トリエチルアミン(425μl)、および3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド塩酸塩(176mg)のジクロロメタン(30ml)溶液を室温下で終夜攪拌した。反応液に、水と10%メタノール−クロロホルムを加え、分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、標題化合物(109mg,45%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.66(2H,brs),1.93(2H,brs),3.37(3H,s),3.49(2H,brs),3.69(1H,brs),3.90(3H,s),3.98(3H,s),4.07(1H,s),4.23(1H,s),6.80(1H,d,J=8.79Hz),7.22(1H,d,J=0.49Hz),7.71(1H,dd,J=8.79,2.20Hz),7.99(1H,s),8.23(1H,d,J=2.69Hz).
MS(ESI)m/z:398(M+H)+
【0107】
参考例5
1−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)エタノン
A法)
t−ブタノール(1.5ml)と水(1.5ml)溶液に、3−ブチン−2−オン(82μl)、アジ化ナトリウム(65mg)、ジメチル硫酸(97μl)、およびヨウ化銅(I)(38mg)を加え室温で17時間撹拌した。反応液の固体を濾過した後、濾液の溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し、標題化合物(21mg)を固体として得た。
MS(EI)m/z:125(M+).
【0108】
B法)
1)1−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)エタノール
t−ブタノール(1.5ml)と水(1.5ml)溶液に、3−ブチン−2−オール(81μl)、アジ化ナトリウム (65mg)、ジメチル硫酸(97μl)、およびヨウ化銅(I)(38mg)を加え室温で撹拌した。反応液の固体を濾過後、濾液の溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し、1−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)エタノール(54mg)を油状物質として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ: 1.59(3H,d,J=6.62Hz),2.38(1H,d,J=4.17Hz),4.09(3H,s),5.09(1H,dt,J=12.01,5.21Hz),7.46(1H、s).
13C−NMR(400MHz,CDCl3)δ:23.1,36.6,62.9,121.1,152.7.
MS(ESI)m/z:128(M+H)+
【0109】
2)標題化合物
1−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)エタノール(635mg)のジクロロメタン(10ml)溶液に、二酸化マンガン(4.9g)を加え室温で15時間撹拌した。反応液をセライト濾過し、濾液の溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)で精製し、標題化合物(627mg)を得た。
【0110】
実施例1
2−メトキシ−5−[3−[(4−メトキシピペリジン−1−イル)カルボニル]−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン
【0111】
【化14】

【0112】
参考例2の1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(0.254g)、4−メトキシピペリジン塩酸塩(0.192g、WO2004/094407)、3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.178g)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.126g)のジクロロメタン(5.1ml)溶液に、室温でトリエチルアミン(0.307ml)を加え、21時間攪拌した。反応液に、水とクロロホルムを加え分液し、有機層の溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、標題化合物(0.239g,71%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.71(3H,m),1.94(2H,m),3.38(3H,s),3.47−3.56(2H,m),3.68−3.74(1H,m),3.98(3H,s),4.09(3H,s),4.21−4.26(1H,m),6.81(1H,d,J=8.5Hz),7.07(1H,s),7.32(1H,s),7.68−7.70(1H,m),8.22(1H,d,J=2.4Hz).
MS(EI)m/z:397(M+).
【0113】
実施例2
4−{[1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]カルボニル}モルホリン
【0114】
【化15】

【0115】
(A法)
参考例2の1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(0.260g)、3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.183g)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.129g)のジクロロメタン(5.2ml)溶液に、室温でモルホリン(90.5μl)とトリエチルアミン(0.133ml)を加え、17時間攪拌した。反応液に、水とクロロホルムを加え分液し、有機層の溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、標題化合物(0.277g,87%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.73−3.82(6H,m),3.98(3H,s),4.09(3H,s),4.10(2H,m),6.82(1H,d,J=8.8Hz),7.14(1H,s),7.33(1H,s),7.66−7.69(1H,m),8.22(1H,d,J=2.4Hz).
MS(EI)m/z:369(M+).
【0116】
(B法)
参考例2の1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(9.00g)、3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド塩酸塩(6.32g)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(4.45g)のジクロロメタン(180ml)溶液に、室温でモルホリン(3.13ml)とトリエチルアミン(4.60ml)を加え、17時間攪拌した。反応液に、水とクロロホルムを加え分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、減圧下溶媒を留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、標題化合物を固体として得た。得られた固体のメタノール懸濁液を加熱還流下溶解した。反応液を氷冷下、攪拌し析出晶を濾取した。さらに、濾液の溶媒を減圧下留去し、得られた固体にメタノールを加え、この反応液を加熱還流下溶解した。反応液を氷冷下、攪拌し析出晶を濾取し、先に得られた分と合わせ、標題化合物(10.2g,92%)を得た。
【0117】
実施例3
1−{[1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]カルボニル}−4−メチルピペラジン
【0118】
【化16】

【0119】
参考例2の1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(0.200g)、3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.140g)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(99.0mg)のジクロロメタン(4ml)溶液に、室温で1−メチルピペラジン(0.111ml)とトリエチルアミン(0.102ml)を加え、15時間攪拌した。反応液に、水とクロロホルムを加え分液し、有機層の溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、標題化合物(0.176g,69%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.34(3H,s),2.47−2.53(4H,m),3.86(2H,m),3.98(3H,s),4.07(2H,m),4.09(3H,s),6.80−6.82(1H,m),7.10(1H,s),7.32(1H,s),7.67−7.70(1H,m),8.22(1H,m).
MS(EI)m/z:382(M+).
【0120】
実施例4
1−シクロプロピル−4−{[1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]カルボニル}ピペラジン
【0121】
【化17】

【0122】
参考例2の1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(250.0mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)溶液に、1−シクロプロピルピペラジン塩酸塩(245.8mg、WO2004/069824)、3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド塩酸塩(192.2mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(112.9mg)、およびトリエチルアミン(0.350ml)を加えて、15時間攪拌した。反応液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とクロロホルムを加え分液し、有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、有機溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、標記化合物(250.7mg,74%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:0.46(4H,m),1.62−1.67(1H,m),2.64−2.72(4H,m),3.75−3.81(2H,m),3.94−4.01(5H,m),4.09(3H,s),6.81(1H,d,J=8.8Hz),7.10(1H,s),7.32(1H,s),7.69(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),8.22(1H,d,J=2.7Hz).
MS(ESI)m/z:409(M+H)+
【0123】
実施例5
4−{[1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]カルボニル}モルホリン
1)1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール
0℃に冷却下、1H−1,2,3−トリアゾール(150g)およびヨウ化メチル(189ml)のテトラヒドロフラン(2.25l)溶液に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(389ml)を2時間かけて滴下した。反応液を室温で16時間攪拌した。反応液の不溶物を濾別し、濾液の溶媒を減圧下留去し、得られた残渣を減圧蒸留(6mmHgで72℃)し、1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール(117g,65%)を油状物として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.13(3H,s),7.56−7.56(1H,m),7.70−7.71(1H,m).
【0124】
2)1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール
−50℃に冷却下、1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール(117g)の無水テトラヒドロフラン(1.2l)溶液に、n−ブチルリチウム(1.59Mのn−ヘキサン溶液,1.06l)を1.5時間かけて滴下後、2時間攪拌した。反応液に、ジフェニルジスルフィド(369g)の無水テトラヒドロフラン(1.2l)溶液を2時間かけて滴下後、反応液を室温で18時間攪拌した。反応液に、水(1l)を加えて酢酸エチルで4回抽出した、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、有機溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール(224g,83%)を油状物として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.97(3H,s),7.11−7.14(2H,m),7.23−7.32(3H,m),7.86(1H,s).
MS(ESI)m/z:192(M+H)+
【0125】
3)1−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]エタノン
−50℃に冷却下、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(237ml)の無水テトラヒドロフラン(2l)溶液に、n−ブチルリチウム(1.60Mのn−ヘキサン溶液,878ml)を30分かけて滴下した。さらに、反応液に、1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール(224g)の無水テトラヒドロフラン(1.5l)溶液を1.5時間かけて滴下後、2時間攪拌した。反応液に、N−メトキシ−N−メチルアセトアミド(133g)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液に、水(1.3l)と酢酸エチル(5l)を加えて分液し、有機層を水(1.3l)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、有機溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、1−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]エタノン(236g,86%)を油状物として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.72(3H,s),3.92(3H,s),7.21−7.33(5H,m).
【0126】
4)4−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステル
ナトリウムエトキシド(82.6g)のエタノール(1l)溶液に、シュウ酸ジエチル(177g)を加えた。反応溶液に、1−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]エタノン(236g)のエタノール(750ml)溶液を15分かけて滴下し、2.5時間攪拌した。反応液に、1N塩酸水溶液(1.2l)を加えて中和し、析出固体を濾取し、4−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステル(254g,76%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.40(3H,t,J=7.1Hz),3.95(3H,s),4.39(2H,q,J=7.1Hz),7.21−7.25(2H,m),7.29−7.34(3H,m),7.52(1H,s).
【0127】
5)1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル
4−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2,4−ジオキソブタン酸エチルエステル(147g)および5−ヒドラジノ−2−メトキシピリジン(67.8g,WO2004/069824)のエタノール(1.48l)懸濁液を内温75℃で4.5時間攪拌した。反応液に、酢酸(133g)を10分間で滴下し、さらに、内温75℃で4.5時間攪拌した。空冷後、反応液にエタノール(1l)を加え攪拌し、析出晶を濾取し、1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(152g,79%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.41(3H,t,J=7.1Hz),3.93(3H,s),3.96(3H,s),4.44(2H,q,J=7.1Hz),6.72(1H,d,J=8.8Hz),6.89−6.93(2H,m),7.21−7.27(4H,m),7.68(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),8.10(1H,d,J=2.7Hz).
【0128】
6)1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル
1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−[1−メチル−5−(フェニルチオ)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(152g)に、ラネーニッケル(1kg)のエタノール(1.5l)懸濁液を加え、内温74℃で1時間攪拌した。空冷後、反応液にクロロホルムを加え攪拌後、反応液をセライト濾過した。濾液の有機溶媒を水で2回洗った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、有機溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン−クロロホルム)で精製し、1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(101g,88%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.42(3H,t,J=7.1Hz),3.99(3H,s),4.07(3H,s),4.45(2H,q,J=7.1Hz),6.83(1H,d,J=8.8Hz),7.21(1H,s),7.30(1H,s),7.71(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),8.22(1H,d,J=2.7Hz).
MS(ESI)m/z:329(M+H)+
【0129】
7)1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸
1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(101g)のメタノール(1l)とテトラヒドロフラン(1l)の混合懸濁液に、室温で1N水酸化ナトリウム水溶液(768ml)を加え2.5時間攪拌した。反応液の溶媒を減圧下留去し、約半量となったところで不溶物を濾別した。濾液に、1N塩酸(768ml)を加え生じた固体を濾取し、1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(88.4g,96%)を得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:3.93(3H,s),4.04(3H,s),6.96(1H,d,J=8.8Hz),7.17(1H,s),7.83(1H,dd,J=8.8,2.7Hz),8.12(1H,s),8.28(1H,d,J=2.7Hz),13.05(1H,brs).
MS(ESI)m/z:301(M+H)+
【0130】
8)標題化合物
氷冷下、1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(88.4g)、3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド塩酸塩(62.1g)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(43.8g)のジクロロメタン(1.8l)懸濁液に、モルホリン(30.8g)とトリエチルアミン(32.8g)を加え15分間攪拌後、反応液を室温で23時間攪拌した。反応液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1.5l)を加え分液後、さらに、水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾別後、有機溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール−クロロホルム)で精製し、標題化合物を固体として得た。得られた固体のメタノール懸濁液を加熱還流下溶解した。反応液を熱時濾過し、濾液を空冷放置し析出晶を濾取し、標題化合物(58.8g,54%)を得た。
【0131】
実施例6
5−[3−{[(2S)−2−(フルオロメチル)ピロリジン−1−イル]カルボニル}−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル]−2−メトキシピリジン
【0132】
【化18】

【0133】
参考例2の1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(0.200g)、(2S)−フルオロメチルピロリジン塩酸塩(0.139g,WO2006/004027)、3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.140g)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(99.0mg)のジクロロメタン(4ml)溶液に、室温でトリエチルアミン(0.241ml)を加え、63時間攪拌した。反応液に、水とクロロホルムを加え分液し、有機層の溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール)で精製し、標題化合物(0.178g,69%)を固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.88−2.15(4H,m),3.67−4.16(8H,m),4.36−5.18(3H,m),6.80−6.82(1H,m),7.21−7.23(1H,m),7.35−7.40(1H,m),7.66−7.71(1H,m),8.21−8.24(1H,m).
MS(EI)m/z:385(M+).
【0134】
[試験例1]血小板凝集抑制作用
血液凝固阻止剤として1/10容の3.8%クエン酸ナトリウムを用いてヒト血液を採取し、180gで10分間遠心して多血小板血漿(PRP)を分離した。上層のPRPを分取後、下層を1600gで10分間遠心して上層の乏血小板血漿(PPP)を分取した。PRP200μlに被験化合物の溶液1μlを加えて37℃で2分間加温後、コラーゲン2μlを添加して血小板凝集を誘起した。血小板凝集率はPAM−12C(MCメディカル)を用いて測定した。PPPの光透過率を100%凝集値とし、化合物の各濃度における凝集率を求め、IC50値を算出した。結果を表1に示す。
【0135】
[試験例2]シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用
被験化合物のCOX−1およびCOX−2阻害活性の測定には、Cayman Chemical CompanyのCOX阻害薬スクリーニングアッセイキット(カタログ番号560101,560121)を用いた。
測定前に反応緩衝液、ヘム、アラキドン酸、SnCl2、EIA緩衝液、洗浄緩衝液、プロスタグランジン(PG)スクリーニングEIA標準液、PGスクリーニングアセチルコリンエステラーゼ(AchE)、トレーサー(発色酵素HRPコンジュゲート)、PGスクリーニングEIA抗血清を用意した。
(1)COX−1またはCOX−2によるPGF2αの産生
被験化合物(50μM)およびCOX−1またはCOX−2を含む反応液を37℃で10分間静置後、アラキドン酸10μlを加えて37℃で2分間静置した。反応後に1N−塩酸50μlを加えて反応を停止した後、SnCl2溶液100μlを加えて5分間室温で静置した。
【0136】
(2)ELISAによるPGF2αの定量
マウス抗ウサギIgGでコーティングした96穴(ウェル)プレートの各ウェルに抗血清(ウサギ抗PGF2α抗体)50μlを加えた後、上記のPGF2α産生反応液を2000倍に希釈した溶液50μl、AchEトレーサー50μlを順次加えて室温で18時間静置した。洗浄緩衝液で各ウェルを5回洗浄して過剰のAchEトレーサーを除去後、エルマン(Ellman)試薬200μlを添加した。60分間暗室に静置した後、405nmで吸光度を測定した。
【0137】
(3)被験化合物の阻害活性の算出
PGスクリーニングEIA標準液を用いて標準曲線を作成し、上記の吸光度からPGF2αの産生量を求めた。被験化合物各濃度におけるCOX−1またはCOX−2の阻害率を算出し、IC50を求めた。結果を表1に示す。
なお、阻害率の算出においては、被験化合物を含まない反応液を用いて得たPGF2αの産生量を100%とした。
【0138】
【表1】

【0139】
[試験例3]雄ラット経口単回投与毒性試験
被験物質(実施例1、2、および参考例4)をそれぞれ200mg/kgを雄ラットに経口投与し、翌日に屠殺して毒性を調べた。対照群には、0.5% methylcelluloseを同様に投与(20ml/kg)した。
【0140】
<方法>
(1)ラット
雄性ラット(Crl:CD(SD),6週齢,日本チャールス・リバー株式会社)を用いて試験を行なった。動物の餌および水の摂取は自由としたが、投与前日夕方より投与約2時間後までは絶食させた。動物は投与前日に、体重を基準とした層別無作為化割付により、群間で平均体重が近似するように、各群5匹に割り付けた[安全性試験コンピュータシステム(富士通)]。
【0141】
(2)使用した試薬
i)0.5% w/v Methyl Cellulose 400cP Solution,Sterilized(0.5% MC、和光純薬株式会社)
ii)10% 中性緩衝ホルマリン液(和光純薬株式会社)
(3)試験デザイン
ラットに被験物質を経口単回投与し、翌日に屠殺して毒性を調べた。
(4)薬液の調整
薬液は用時調整とした。被験物質(実施例1、2、および参考例4)は0.5% MCに10mg/mlの濃度となるように懸濁した。
(5)対照群
対照群には、0.5% MCを経口投与(20ml/kg)した。
【0142】
(6)投与方法
i)投与経路:経口
ii)頻度:単回
iii)投与液量:20ml/kg
iv)投与に使用した器具:ラット用ディスポーザブル胃ゾンデ(フチガミ器機店)およびディスポーザブルシリンジ(テルモ)
v)溶媒対照群の投与:0.5% MCを同様の方法で投与(20ml/kg)した。
vi)絶食処置:投与前日夕方から投与約2時間後まで全動物を絶食させた。
【0143】
(7)検査
i)症状観察:投与直後から屠殺時までの死亡の有無および腎毒性を観察した。
ii)体重:投与前と屠殺時に天秤(LP−4200、ザルトリウス)を用いて体重を測定した。
iii)剖検:頚動脈を切断して動物を放血致死させた後、胸腹腔内の主要臓器を肉眼にて観察した。
iv)病理組織学的検査:肝、脾、腎、心、肺および消化管を採取し、10% 中性緩衝ホルマリン液で固定した後、HE(Hematoxylin and eosin)染色標本を病態組織学的に観察した。
【0144】
<結果>
i)症状観察:被験物質(実施例1、2、および参考例4)投与群で、死亡および毒性症状は認められなかった。
ii)体重:被験物質(実施例1、2、および参考例4)投与群で、変化は認められなかった。
iii)剖検:被験物質(実施例1、2、および参考例4)投与群で、投薬に関連した変化は認められなかった。
iv)病理組織学的検査:
【0145】
【表2】

【0146】
表2の結果から、本発明化合物は、1,2,4−トリアゾール環を有するWO 2006/014005に記載の化合物に比べて腎毒性が弱く、安全性が高いことがわかる。
【0147】
[試験例4]実施例2の雄ラット経口単回投与毒性試験 (高用量)
被験物質(実施例2)を500,1000および2000mg/kgを雄ラットに経口投与し、翌日に屠殺して毒性を調べた。対照群には、0.5% methylcelluloseを同様に投与(20ml/kg)した。
【0148】
<方法>
(1)ラット
雄性ラット(Crl:CD(SD)),6週齢,日本チャールス・リバー株式会社)を用いて試験を行なった。動物の餌および水の摂取は自由としたが、投与前日夕方より投与約2時間後までは絶食させた。動物は投与前日に、体重を基準とした層別無作為化割付により、群間で平均体重が近似するように、各群5匹に割り付けた[安全性試験コンピュータシステム(富士通)]。
(2)使用した試薬
i)0.5% w/v Methyl Cellulose 400cP Solution,Sterilized(0.5% MC、和光純薬株式会社)
ii)10% 中性緩衝ホルマリン液(和光純薬株式会社)
【0149】
(3)試験デザイン
ラットに被験物質を経口単回投与し、翌日に屠殺して毒性を調べた。
(4)薬液の調整
薬液は用時調整とした。被験物質(実施例2)は0.5% MCに25、50および100 mg/mlの濃度となるように懸濁した。
(5)対照群
対照群には、0.5% MCを経口投与(20ml/kg)した。
(6)投与方法
i)投与経路:経口
ii)頻度:単回
iii)投与液量:20ml/kg
iv)投与に使用した器具:ラット用ディスポーザブル胃ゾンデ(フチガミ器機店)およびディスポーザブルシリンジ(テルモ)
v)溶媒対照群の投与:0.5% MCを同様の方法で投与(20ml/kg)した。
vi)絶食処置:投与前日から投与約2時間後まで全動物を絶食させた。
【0150】
(7)検査
i)症状観察:投与直後から屠殺時までの死亡の有無および毒性症状を観察した。
ii)体重:投与前と屠殺時に天秤(LP−4200、ザルトリウス)を用いて体重を測定した。
iii)剖検:頚動脈を切断して動物を放血致死させた後、胸腹腔内の主要臓器を肉眼にて観察した。
iv)病理組織学的検査:肝、脾、腎、心、肺および消化管を採取し、10%中性緩衝ホルマリン液で固定した後、HE(Hematoxylin and eosin)染色標本を病態組織学的に観察した。なお、消化管(盲腸)を除く組織では、2000mg/kg群で投薬に基づく変化が認められなかったので、500および1000mg/kg群は検査を実施しなかった。消化管(盲腸)は1000mg/kg群で投薬に基づく変化が認められなかったので、500mg/kg群は検査を実施しなかった。
【0151】
<結果>
i)症状観察:被験物質(実施例2)投与群で、死亡は認められなかった。500mg/kg群の1例で一過性の流涎がみられた以外、毒性症状はみられなかった。
ii)体重:被験物質(実施例2)投与群で、変化は認められなかった。
iii)剖検:被験物質(実施例2)投与群で、投薬に関連した変化は認められなかった。
iv)病理組織学的検査:
【0152】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、R2は、水素原子、置換されることもある低級アルキル基、低級アルキニル基、置換されることもあるカルバモイル基、シアノ基、置換されることもあるアミノ基、置換されることもある低級アルコキシ基および低級アルカノイル基から選ばれる基または原子を示し;式中Xは、一般式(II)
【化2】

(式中の環状構造は、式中に記載の窒素原子以外に窒素原子または酸素原子を構成原子とすることもある4〜7員の脂環式複素環を示し、R1は、該環状構造が、置換されることもある低級アルキル基、置換されることもあるカルバモイル基、置換されることもあるアミノ基、水酸基、低級アルコキシ基、オキソ基、低級アルカノイル基、低級アルキルスルホニル基およびハロゲン原子から選ばれる1〜2個の基または原子で置換されていてもよいことを示す。)で表される基を示す。)で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
2が置換されることもある低級アルキル基である、請求項1に記載の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項3】
2がメチル基である、請求項1に記載の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項4】
Xが、置換されることもある低級アルキル基、置換されることもあるカルバモイル基、置換されることもあるアミノ基、水酸基、低級アルコキシ基、オキソ基、低級アルカノイル基、低級アルキルスルホニル基およびハロゲン原子から選ばれる1〜2個の基または原子で置換されていてもよい、ピペラジニル基、ピペリジニル基またはモルホリニル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項5】
Xが、ピペラジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、ピロリジニル基、4−メチル−ピペラジニル基、4−シクロプロピル−ピペラジニル基、4−メトキシ−ピペリジニル基または(2−フルオロメチル)ピロジニル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項6】
2がメチル基であり;Xが、ピペラジニル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、ピロリジニル基、4−メチル−ピペラジニル基、4−シクロプロピル−ピペラジニル基、4−メトキシ−ピペリジニル基または2−フルオロメチルピロジニル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項7】
次式(Ia)〜(Ie)
【化3】

のうちいずれか1の式で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項8】
次式(Ib)
【化4】

で表される化合物、その塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項9】
4−{[1−(6−メトキシピリジン−3−イル)−5−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]カルボニル}モルホリン、その塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を含有する医薬。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を有効成分とする虚血性疾患の予防および/または治療剤。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物も有効成分とする血小板凝集抑制薬。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物を有効成分としてその有効量投与することを特徴とする、虚血性疾患の予防および/または治療方法。
【請求項14】
虚血性疾患の予防および/または治療剤の製造のための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物の使用。

【公開番号】特開2009−184925(P2009−184925A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298603(P2006−298603)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】