説明

5−HT受容体調節化合物

本発明は、5−ヒドロキシトリプタミン受容体調節活性を有する化合物、特に剛性リンカー基により5-HTファーマコフォアから離れて維持される酸性成分を有する化合物、そのような化合物を含む組成物、及びそれらを用いての処理方法に関する。そのような化合物は、5−NT受容体に対する高められた親和性及び低められたhERG効果を有する。本発明の一定の化合物はさらに、アンジオテンシンII受容体調節活性を示す。式I:HT-L-A [式中、HTは、塩基性窒素原子を含む5−HT受容体調節成分であり;Aは、酸成分であり;そして
Lは、リンカー成分である]の化合物が請求される。特定の好ましいHT基の例は、(a)(b)である。特定の好ましいL基の例は、式(VI)及び(VII)成分を含んで成る。酸成分の例は、-C(O)-OR1、-OP(O)(OR2)2、-P(O)(OR2)2、-SO2OR2、-SO3H、-OSO3H 、-P(O)(OH)2である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−ヒドロキシトリプタミン(この後、“5-HT”と称す)受容体調節活性を有する化合物、特に同じ分子上の酸性成分及び5-HTファーマコフォアの相互作用を妨げるために、リンカー基により5-HTファーマコフォアから離れて維持される酸性成分を有する化合物に関する。本発明はまた、そのモジュレーター化合物のプロドラッグ及び塩、及びそれらの化合物、塩及びプロドラッグを含んで成る組成物にも関する。
【0002】
セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン又は5-HT)は、モノアミン神経伝達物質である。セロトニンは、特に脳において、及びそれが嘔吐を刺激する胃腸管において広い活性を示す、中核神経系(CNS)において活性的である。
【0003】
5-HT又は5-HTx受容体としても知られている、セロトニンにより調節される多くの受容体ファミリー及びサブファミリーが同定されている。一定の5-HTx受容体サブタイプ、例えば5-HT1A、5-HT5A 及び5-HT6はCNS内に見出され、そして他のタイプ、例えば5-HT2BはCNS外に見出される。いくつかの受容体サブタイプ、例えば5-HT4は血液−脳バリヤーの両側上に見出され、ここでそれらは異なった位置で異なった効果を増強する。
【0004】
5-HT受容体のモジュレーター(すなわち、アゴニスト又はアンタゴニスト)は、広範囲の病状の処理において有用であることが示されており、そして抗抑鬱剤、抗不安薬、鎮吐薬、抗精神病薬及び抗片頭痛薬剤として使用される。
【0005】
5-HT受容体に対して調節活性を有する多くの天然に存在する及び合成の化合物は知られている。特に、ほとんどの受容体の両アゴニスト及びアンタゴニストは知られている。例えば、5-HT4受容体のアゴニストは、シサプリド、メトクロプラミド、レンザプリド及びテガセロドを包含し、そして5-HT4受容体の1つのアンタゴニストはピポセロドである。ピポセロドは、心房細動及び過敏性腸症候群の処理のために使用される選択的5-HT4受容体アンタゴニストであり、そして次の分子構造を有する:
【0006】
【化1】

【0007】
この構造においては、5-HTファーマコフォアは、n−ブチル鎖により置換される塩基性窒素原子(ピペリジン環における)を包含する。
【0008】
WO2007/007072号は、5-HT受容体モジュレーターの作用の特異性が結合基を通して5-HTファーマコフォト酸成分を結合することによりいかに増強され得るかを記載する。この修飾は、血液−脳バリヤーを通してのモジュレーターの通過を妨げ、そして従って、投与されるバリヤーの側への投与されたモジュレーターの効果を制限する。酸:5-HTファーマコフォア構造体の例は、WO 2007/007072号、WO 2007/149929号及びWO 2005/061483号に与えられる。
【0009】
それらの出版物に開示される酸:5-HTファーマコフォア構造体の大部分は、酸基とファーマコフォア内の塩基性窒素原子との間に容易な柔軟性リンカー、例えばWO2007/007072号の例50におけるようなペンタメチレン基、又はWO2007/149929号の化合物23におけるようなジメチレンアミノメチル−p−フェニレン基を包含する。
【0010】
しかしながら、本発明者は、そのような酸:5−HTファーマコフォア構造体の全体的性能が、酸基(又は、プロドラッグ形の場合、その前駆体)とファーマコフォアにおける塩基性窒素原子との間のリンカーが、数Å(0.1nm; 10-10m)間に距離を維持するよう作用する場合、改良されることを見出した。特に、得られる化合物は、それらの受容体についての高められた結合親和性を示す。
【0011】
塩基性窒素及び酸基のこの距離は、少なくとも一部、強固であるか、又は回転を妨げる大きな置換基により置換されるリンカーの使用により容易に達成され得る。強固性は、例えば融合された環、架橋された環、又は回転に基づいて窒素及び酸を一緒に密接にしない結合の環状基、特に不飽和基の組込みにより達成され得る。WO 2007/007072号、WO 2005/061483号及びWO 2007/149929号は、塩基性窒素及び酸基を結合する基における低い柔軟性が、重要であるか又は所望されることを提案していないが、しかしながら、WO2005/061483号及びWO2007/007072号は、メチレン−p−フェニレンリンカーを利用するいくつかの化合物を記載している。
【0012】
本発明の化合物は、従来技術の化合物よりも特別に且つ驚くべきことには、好都合である。特定の利点は、次の事象の1又は複数を包含する:酸性プロトンはファーマコフォアの活性塩基性窒素原子と干渉することができないと思われるので、5-HT受容体に対する高められた親和性;及びヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子(hERG)に対する低められたブロッキング効果。この低められたhERG効果は本発明の化合物の毒性学的効果の考慮のための決定的パラメーターであり;hERGブロッキング活性は臨床学的環境下での心室性不整脈及び突然の死に関連している。本発明の好ましい化合物のさらなる利点は、次の事象の1又は複数を包含する:末梢5-HT受容体、特に5-HT4受容体の調節のより高い選択性;アンジオテンシンII受容体に対する拮抗効果;臨床学的有効量を用いる場合、ほとんどか又はまったくない中枢神経毒性;5−HT受容体に対する高い親和性及び従って、低められた臨床学的用量;及び調製の容易性。
【0013】
従って、1つの観点においては、本発明は、下記式I:
HT-L-A (I)
[式中、HTは、塩基性窒素原子を含む5−HT受容体調節成分(5−HTファーマコフォア)であり;
Aは、酸成分であり;そして
Lは、前記塩基性窒素原子及び前記酸成分を、少なくとも0.4nm、好ましくは少なくとも0.5nm、より好ましくは少なくとも0.6nm、特に少なくとも0.65nm、例えば2nmまで分離して維持するよう作用するリンカー成分である]で表される5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)受容体調節化合物、又はそのプロドラッグ形又は塩を提供する。
1つの態様においては、式Iの化合物は、HT-CH2-p-フェニレン-A以外である。
【0014】
酸性成分の好ましいプロドラッグは、カルボン酸のエステル及びアミド、特にカルボン酸のメチルエステル、及びテトラゾールのN−アリール誘導体、特にテトラゾールのN−トリフェニルメチル誘導体を包含する。典型的なエステルは、アルキルエステル、置換されたアルキルエステル、アリールエステル、置換されたアリールエステル及びアシルオキシアルキルエステルを包含する。存在することができる置換基は、直鎖、枝分れ鎖及び環状アルキル基を包含する。そのような基は、飽和又は不飽和であり得、そしてさらに、酸素、硫黄、及び窒素から選択された1又は複数のヘテロ原子により中断され得る。置換基はさらに、1又は複数のカルボニル又はチオカルボニル基を含むことができる。好ましい置換基は、C1-6-アルキル(例えば、メチル)基を包含する。他の好ましい置換基は、1又は複数の酸素原子及び任意には少なくとも1つのカルボニル基を含む複素環式環を包含する。そのような基の例は、1,3−ジオキソラン及び1,3−ジオキソール−2−オンを包含する。
【0015】
本発明の化合物の好ましい塩は、医薬的に許容できる塩、例えば本発明の化合物のナトリウム、カリウム、マグネシウム及びアンモニウム塩、及びアニオン、例えばクロリド、スルフェート及びカーボネートとの塩である。
好ましい態様においては、HTは、5-HT4受容体サブグループに対する親和性を有する成分、例えば5-HT4受容体−特異的成分、特に好ましくは5-HT4拮抗活性を有する成分を示す。
【0016】
適切なHT基の例は、下記式II:
Ar-(C(O))n-(E)m-(G)p-BN- (II)
[式中、Arは、非芳香族の任意に置換された炭素環式環;非芳香族複素環式環、炭素環式芳香族環;及び複素芳香族環から選択された1又は複数の環により任意に融合される、任意に置換されたアリール環であり;
nは、O又は1、好ましくは1であり;
mは、O又は1、好ましくは1であり;
Eは、O又はNHであり;
pは、O又は1、好ましくは1であり;
Gは、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C1-6-アルキル-C3-7-シクロアルキル 又は C3-7-シクロアルキル-C1-6- アルキル基であり;そして
【0017】
BNは、塩基性窒素成分、好ましくはアミン基、アミド基、カルバメート又はカルバメート誘導体、ウレア又はウレア誘導体、カルバジミダミド、窒素含有複素環式環、窒素含有へテロアリール環及びアザビシクロ環から選択された塩基性窒素原子含有成分である]のそれらの基を包含する。
【0018】
用語“アリール”とは、本明細書において使用される場合、炭素環式芳香族環又は環系を意味する。さらに、用語“アリール”とは、融合された環系を包含し、ここで少なくとも2つのアリール環、又は少なくとも1つのアリール及び少なくとも1つのC3-8-シクロアルキルが少なくとも1つの化学結合を共有している。“アリール”環の実例は、任意に置換されたフェニル、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセニル、テトラリニル、フルオレニル、インデニル及びインダニルを包含する。好ましいアリール基はフェニルである。
【0019】
用語“アリール”は、環形成炭素原子の1つを通して結合され、そして任意には、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ、アシル、C1-6-アルコキシ、C1-6-アルキル、C1-6-ヒドロキシアルキル、C1-6-アミノアルキル、C1-6-アルキルアミノ、アルキルスルフェニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、スルファモイル又はトリフルオロメチルから選択された1又は複数の置換基を担持する、芳香族、好ましくはベンゼノイド基に関する。言及されるように、好ましいアリール基は、フェニル、及び最も適切には、同じであっても又は異なっていても良い、上記に列挙される置換基の1又は2個を担持する置換されたフェニル基である。
【0020】
適切なアリール基の他の好ましい例は、任意に置換されたベンジル、ナフタリン、インドリン、インドール、オキサジノインドリン、インドリジン、 イソインドリン、インデン、インダン、インダゾール、アズレン、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズチアゾール、プリン、 4H-キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、 1,3-ナフチリジン、プテリジン、クマラン、 ベンゾチオキサン、ベンゾピラン、クロマン、 イソクロマン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、チアンスレン、フェナントレン、アンスラセン、テトラリン、フルオレン、及びアセナフチレンを包含し、それらの個々は任意に置換され得る。より好ましくは、アリール基は、ベンジル、ナフタレン、インドール、ベンゾジオキサン、インダゾール及びオキサジノインドールから選択され得る。
【0021】
用語“複素環式環”とは、3,4,5,6,7及び8員の環を意味し、ここで1−3個のヘテロ原子と一緒に炭素原子が前記環を構成する。ヘテロシクリルは任意には、芳香族パイ電子系が生じないような手段で配置される1又は複数の不飽和結合を含むことができる。ヘテロ原子は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選択される。複素環式環はさらに、1又は複数のカルボニル又はチオカルボニル官能基を含むことができ、定義すると、オキソ系及びチオ系、例えばラクタム、ラクトン、環状イミド、環式チオイミド、環状カルバメート及び同様のものを包含する。複素環式環は任意には、アリール環に融合され得、その結果、ニ環式構造体を包含する。好ましいそのような融合されたヘテロシクリル基は、任意に置換されたベンゼン環と1つの結合を共有する。ベンゾ−融合されたヘテロシクリル基の例は、ベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン及びメチレンジオキシベンゼン環構造体を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0022】
“複素環式環”の実例は、複素環式化合物テトラヒドロチオピラン、 4H-ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、 1、3-ジオキシン、 1、3-ジオキサン、 1、4-ジオキシン、 1 、4-ジオキサン、ピペラジン、 1、3-オキサチアン、 1 、4-オキサチイン、 1 、4-オキサチアン、テトラヒドロ-l、4-チアジン、 2H-l、2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツル酸、チオバルビツル酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、モルホリン、トリオキサン、ヘキサヒドロ-l、3、5-トリアジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、 イミダゾリン、 イミダゾリジン、 1、3-ジオキソール、 1、3-ジオキソラン、 1、3-ジチオール、 1、3-ジチオラン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン及び1、3-オキサチオランである。複素環式化合物への結合は、ヘテロ原子の位置でか、又は複素環式化合物の炭素原子を通してか、又はベンゾ−融合された誘導体に関しては、ベンゼノイド環の炭素を通して存在することができる。
【0023】
塩基性窒素成分(BN)は、1連の窒素の有機形であり得る。塩基性窒素成分の適切な形は、アミン基、アミド基、カルバメート及びウレア誘導体、カルバジミダミド窒素含有複素環式又はヘテロアリール環、例えばアザニ環式を含んで成る群から選択され得る。アミン基は、第一、第二、又は第三アミンであり得る。
【0024】
適切な窒素含有複素環式又はヘテロアリールは、ピリジル(ピリジニル)、ピリミジニル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、インドリル、インドレニル、キノリニル、 イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、 4-ピペリドニル、ピロリジニル、 2- ピロリドニル、ピロリニル、 テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル 又はオクタヒドロキノリニル、 アゾシニル、トリアジニル、 6H- 1、2、5- チアジアジニル、 2H、6H-l、5、2-ジチアジニル、 フェノキサチイニル、 2H-ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、 インドジニル、 イソインドリル、 3H-インドリル、インドリル、 lH-インダゾリル、プリニル、 4H-キノリジニル、 イソキノリニル、キノリニル、 フタラジニル、 ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、 シンノリニル、 プテリジニル、 4a H-カルバゾール、カルバゾール、β-カルボリニル、 フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、 フェナルサジニル、フェノチアジニル、フラザニル、 フェノキサジニル、ピロリジニル、 ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、 ピラゾリジニル、 ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、インドリニル、 イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル又はオキサゾリジニルを包含する。
【0025】
好ましい複素環式基は、ピペリジノ、モルフィリノ、 チアモルフィリノ、ピロリジノ、ピラゾリノ、ピラゾリジノ、ピラゾリル、ピペラジニル、チエニル、オキサゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、ピロリジニル及びキノリルを包含し、それらの個々は任意に置換され得る。より好ましくは、塩基性窒素成分は、カルバジミダミド及び任意に置換されたピペリジニル、例えば置換されていないピペリジニルから成る群から選択される。
【0026】
典型的には、HT基は、下記式III :
Ar-C(O)-E-G-BN- (III )
[式中、Arは、単環式又は多環式芳香族又は複素芳香族であり;
Eは、O及びNHから成る群から選択され;
Gは、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C1-6-アルキル-C3-7-シクロアルキル 及びC3-7-シクロアルキル-C1-6- アルキル基から成る群から選択され;そして
BNは、本明細書に定義されるような塩基性窒素成分であり;又は
G-BNが一緒にC3-7-ヘテロアルキル又はC1-6-アルキル−C3-7-ヘテロアルキル基を形成する]の基を含んで成る。
【0027】
好ましいHT基は、下記式IV:
【化2】

【0028】
[式中、R13は、H、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br又はI)、NH2及びC1-6-アルキルから成る群から選択され;そして
R16は、H, ハロゲン、OH、 O−C1-6-アルキル及びC1-6-アルキルから成る群から選択される]を有する基を有するピボセロイドの誘導体である。
好ましくは、R13及びR16は両者ともHである。
【0029】
他の好ましいHT基は、下記式V:
【化3】

【0030】
[式中、Eは、O及びNHから成る群から選択され;
Gは、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C1-6-アルキル-C3-7-シクロアルキル 及びC3-7-シクロアルキル-C1-6- アルキル基から成る群から選択され;そして
BNは、本明細書に定義されるような塩基性窒素成分であり;又は
G-BNが一緒にC3-7-ヘテロアルキル又はC1-6-アルキル−C3-7-ヘテロアルキル基を形成し;
Xは、ハロゲンであり;
R8は、H及びC1-6-アルキルから独立して選択され;
R9及びR10は、H、O-C1-6-アルキル、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はアリールから成る群から独立して選択され;又は
R9及びR10は一緒に、C3-7-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はアリールを形成し;又は
NR82及びR10は一緒に、ヘテロシクロアルキル基を形成する]のそれらの基である。
【0031】
式Vの化合物は例えば、アミノベンズアミド誘導体又はアミノベンゾエートであり得る。
適切なHT基の特定の例は、WO 2007/007072号、WO 2007/149929 号及び WO 2005/061483号(それらの記録の個々の内容が引用により本明細書に組込まれる)に記載される5−HTモジュレーターのファーマコフォアを包含する。インドール誘導体、及び3個の縮合された環系を含んで成る化合物、すなわち三環式誘導体が好ましい。オキサジノインドール誘導体、例えば例1に示されるそれらが特に好ましい。HT基がオキサジノ−インドール誘導体を含んで成る場合、基Lはベンジル誘導体、例えば-CH2-p-フェニレンであり得る。
【0032】
特に好ましいHT基は、次の例に示されるそれらの基、特に下記式:
【化4】

【0033】
[式中、XはO又はNH、好ましくはNHを示し、そしてnはO又は1である]で表されるそれらの基である。
【0034】
一般的に、それが十分に長い剛性のセクションを含まない場合、酸及び窒素を分離するが、しかし2つをより密接せしめることができる自由回転を可能にする、その主鎖に3個又はそれ以上の結合を有するいずれかのリンカー(例えば、基L)が、2つの接近し過ぎるアプローチを、たぶん可能にする。所望には、酸基の結合部位と、ファーマコフォアの結合部位との間に、リンカーは、2以下の、より好ましくは1つ以下の主鎖結合(その回転が窒素及び酸の接近を引起す)を含む。窒素原子がリンカーの結合部位でない場合、ファーマコフォアの介在性部分は所望には、接近し過ぎるアプローチへの窒素及び酸についての十分な柔軟性を提供しない。しかしながら、柔軟性は、結合についての回転から生じるのではなく、配座変化から生じ、そしてそれらは、考慮すべきである。基間空間は、結合角度及び長さは容易に計算され得るか、又は標準参照から決定され得るので、従来の化学モデリングシステムを用いて単純に評価され得る。
【0035】
本発明の結合基は、5-HT調節成分の酸性成分及び塩基性窒素原子がより接近して接触しないように、剛性で且つ/又は立体的にヒンダードされるべきである。大きな置換基は、高く置換されたアルキル基、例えば1又は複数のアルキル又はアリール置換基、例えばイソプロピル及び第三ブチル置換基により置換されるC1-12-アルキル基を包含する。他のヒンダードリンカーは、疎水性環状基、例えばC3-8-シクロアルキル、C4-8-シクロアルケニル及びC6-10-シクロアリール基(例えば、ベンジル)を包含する。剛性の複素環式基、例えば1〜3個の窒素、酸素及び/又は硫黄原子を含んで成る5−又は6−員の環もまた、本発明のリンカーとして使用され得る。そのような複素環式基は、不飽和、飽和及び多不飽和(例えば、芳香族)環を含んで成ることができる。複素環式リンカーの例は、ピペリジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリジン及びベンゾチアゾール基を包含する。
【0036】
従って、本発明の好ましい観点においては、Lは、任意に置換された単−又は二−環式アリール又はヘテロアリール基;少なくとも1つの任意に置換されたC1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-10-シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、ヒドロキシ、アミド、クロリド又は、ヨージド基により、個々の炭素原子で独立して置換される線状C1-6-アルキル基;任意に置換されたC3-10-シクロアルキル又はC4-10-シクロアルケニル基;又は任意に置換された多環式アルキル又はアルケニル基、例えばステロイド主鎖を有する基を含んで成る。好ましくは、Lはしばしば、−CH2-p-フェニレン、-CO-p-フェニレン及び-p-フェニレン以外である。
【0037】
特に好ましい基Lは、ベンジル、例えばオルト−又はメタ−ベンジル基であり、それは任意には、1又は複数の置換基、例えばアルコール(ヒドロキシ)、アミン、ハロゲン化物(例えば、F, Cl, Br又はI)、アルキル(例えば、C1-6-アルキル)、アルケニル(例えば、C2-6-アルケニル)又はアルキニル(例えば、C2-6-アルキニル)置換基により置換され得る。Lがベンジル基である場合、それはパラ−ベンジル基ではなく、特に好ましくは、置換されていないパラ−ベンジル基ではないことが好ましい。
【0038】
もう1つの好ましい態様においては、Lは、任意に置換された、芳香族炭素環式又は芳香族複素環式基を包含する。そのような基は、本発明の剛性リンカーとしての使用のために特に十分に適合せしめる固有の剛性を有する。そのようなリンカーは、例えば式-(CH2)n-Ar'-(CRaRb)m-(式中、nは0又は1、好ましくは1であり、Ar’は任意に置換されたアリール環又は複素芳香族環であり;Ra及びRbはそれぞれ独立して、H、又はより好ましくは、任意に置換されたC1-6-アルキル(好ましくは、C1-4-アルキル、例えばメチル)であり;そしてmはO又は1、好ましくは1である)の基を含んで成る。
【0039】
好ましくは、アリール又は複素芳香族環(Ar’)上のHT成分及び酸成分(A)(又は存在するなら、それらの成分に結合される、-C(CH2)-及び/又は-(CRaRb)-基)の結合の点は、お互いに対してメタ−又はパラ−、最も好ましいパラであろう。特に好ましい基Lは、式-(CH2)-Ar’’-(CRaRb)-(式中、Ar’’は任意に置換されたフェニル、好ましくは置換されていないフェニルである)のそれらの基である。そのようなリンカー基においては、-(CH2)-及び-(CRaRb)-基は、お互いに対してメタ又はパラのいずれかに位置する。フェニル基がパラ−置換される場合、得られるリンカー及び酸成分は、下記式VI:
【0040】
【化5】

【0041】
[式中、Ra及びRbは、H及び任意に置換されたC1-6-アルキルから独立して選択され;そしてAは本明細書に記載されるような酸成分である]の基を含んで成ることができる。本発明のこの観点の好ましい態様においては、Ra及びRbの少なくとも1つは、C1-6-アルキル(例えば、メチル)であり、そして特に好ましくは、Ra及びRbの両者はC1-6-アルキル基(例えば、メチル)である。
【0042】
他の態様においては、Lは、任意に置換され、任意に架橋されたC4-C10-シクロアルキル、好ましくはC5-C8-シクロアルキル、例えばC5-C7-シクロアルキル基である。任意に置換され、任意に架橋されたシクロペンチル及びシクロヘキシル基が特に好ましい。この態様においては、好ましくは、シクロアルキル環上のHT及びA成分の結合の点はお互いに対して隣接していない。例えば、シクロアルキル基がシクロペンチル基である場合、HT及びA成分は好ましくは、1,3関係(すなわち、お互いに対してメタ)下に存在する。シクロアルキル環上の基のこの配置は一般的に、塩基性窒素及び酸官能基の高い分離を導き、それにより、本発明の所望する目的を達成する。
【0043】
しかしながら、HT及びA成分の隣接する位置、すなわち1,2−関係下で、相互作用を回避するために塩基性窒素及び酸成分を十分に離して維持するであろう一定の態様が存在することが理解されるであろう。例えば、シクロヘキサン環上の軸位置での2つの隣接する基は、シクロヘキサン環上の赤道位置での1又は複数の大きな置換基の存在により実質的に剛性の“パラ”位置で維持される。本発明のこの観点においては、シクロアルキル環は、直鎖又は枝分れ鎖のC1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル及びC2-C6-アルキニル基、ハロゲン(例えば、F, Cl, Br又はI)、オキソ、ヒドロキシ、C1-C6-アルコキシ、シアノ、アミノ、C1-C6-アルキルアミノ及びC1-C6-ジアルキルアミノ基から独立して選択された。
【0044】
1又は複数の基により置換され得る。好ましくは、置換基は、例えば立体又は電子相互作用によりシクロアルキル環の柔軟性を制限する基、例えば1又は複数のtert−ブチル基及び/又はハロゲン原子から選択される。シクロアルキル環の3個までの炭素が、酸素、硫黄及び窒素から選択された1又は複数のヘテロ原子により置換され得る。しかしながら、ヘテロ原子置換を有さないシクロアルキル基が好ましい。
【0045】
リンカーLにおけるシクロアルキル基の架橋は、構造体中により高い剛性を導入し、そしてその結果、本発明の好ましい観点である。“架橋基”は、シクロアルキル環の2つの原子を結合する単結合を表すことができるか、又はシクロアルキル環を架橋する1又は複数の炭素、酸素、硫黄又は窒素原子を含んで成ることができる。1つの結合、又は1又は2個の原子、特に1又は2個の炭素原子を含んで成る結合のいずれかから成る架橋基が一般的に好ましい。
【0046】
架橋原子は、シクロアルキル環に関して、本明細書に定義されるような1又は複数の置換基により独立して置換され得る。1又は複数の架橋基が供給される場合、酸成分(A)への結合は、シクロアルキル基の主環を通して、又は他方では、架橋基の1つの部分を形成する原子を通してであり得る。適切な架橋されたシクロアルキル基の例は、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(ノルボルナン)、ビシクロ[3,2,1]オクタン及びアダマンタンを包含する。特に好ましい架橋されたシクロアルキル基は、トリシクロ[2,2,1,02b]ヘプタンである。
【0047】
もう1つの特に好ましい基Lは、ビフェニル、特にメチレン−パラ−ビフェニルである。この態様においては、基L−Aは好ましくは、下記式VII :
【0048】
【化6】

【0049】
[式中、Xは、-C(O)OH、任意に置換された-C(O)O-C1-6-アルキル又は任意に置換された5−テトラゾリル基である]の基である。
【0050】
本発明の好ましい態様においては、Aは不安定プロトンを有するプロトン性酸性成分である酸成分を示す。好ましい態様においては、不安定プロトンは、前記酸成分においては、リンカー成分により、少なくとも0.6nm、HT成分の塩基性窒素原子からは離れて維持される。
【0051】
好ましい基Aは、WO2005/061483号に記載されるそれらを包含し、例えばここでAは、-C(O)-OR1、-OP(O)OR2OR2、-P(O)OR2OR2、-SO2OR2、-SO3H、-OSO3H 及び-PO3Hから成る群から選択され;ここでR1及びR2はH、M(Mは対イオンである)、C1-15-アルキル、C3-8-シクロアルキル、アリール及びR1,2(ここで、R1,2はR'-O-C(O)R"、R'-O-C(O)-O-R"、R'-C(0)-O-R"であり、ここでR’及びR’’はC1-15-アルキル、C3-8-シクロアルキル及びアリールから成る群から独立して選択される)から成る群から独立して選択される。
【0052】
特に好ましくは、Aは、オキシ酸又はテトラゾール基、又はそのエステル又は塩、例えばカルボン酸又は任意に置換されたテトラゾール基を示す。“オキシ酸”とは、そのプロトン化された形において、酸素、水素、及び少なくとも1つの酸素又はより好ましくはないが、硫黄に対して二重結合により結合される、C, S及びPから選択された原子を含む基を意味する。従って、例えばカルボキシル(COON)及びその硫黄類似体(CSSH, CSOH及びCOSH)が好ましいが、但しカルボキシルが特に好ましい。好ましいSオキシ酸はSO3H及びOSO3Hであり、そして好ましいPオキシ酸はOP(O)(OH)2及びPO3Hである。
【0053】
本発明の“剛性リンカー”の他に、本発明者はまた、一定の5−HTモジュレーターがレニン−アンジオテンシンシステム調節活性を有する酸性基を有益的に供給され得ることを決定した。特に、5−HT4調節活性及びアンジオテンシンII受容体調節活性を有する化合物が本明細書に記載される。そのようなニ重作用モジュレーターは、新規であり、そして本発明のさらなる観点を形成する。
【0054】
アンジオテンシンIIは、ペプチダーゼアンジオテンシン転換酵素(ACE)によりアンジオテンシンIから生成される血管活性ペプチドホルモンである。この酵素の活性を阻害する薬物(いわゆる、“ACEインヒビター”)は、アンジオテンシンIIの生合成を阻止することができ、そして心血管薬物として、例えば血圧降下剤として広く使用される。そのような薬物の例は、エナラプリル及びカプトプリルを包含する。もう1つの種類の心血管薬物は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニストであり、それらの例は、“サルタンス(sartans)”、例えばテルミサルタン、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン及びイルベサルタンを包含する。
【0055】
心血管系に対する、5−HT受容体モジュレーター、特に5−HT4受容体モジュレーターの効果の点で、5−HT調節活性とアンジオテンシン受容体調節とを兼ね備えた化合物は、心血管疾患、特にうっ血性心不全の処理への使用のために独得に認められる。
【0056】
この観点によれば、本発明は、下記式Ib
HT-Lb-Ab (Ib)
[式中、HTは、前記に定義される通りであり、そして、Lbは、不在であるか、又はHT(5−HT受容体調節)及びAb(レニン−アンジオテンシンシステム調節活性)のファーマコフォアの機能を可能にする]で表される化合物、及びそのプロドラッグ及び塩を提供する。
【0057】
Lbは好ましくは、この後に定義される剛性リンカーLであり、しかもまた、WO 2007/007072号、 WO 2007/149929号及びWO 2005/061483号に記載されるような非剛性リンカーでもあり得る。本発明のリンカーLbの例は、Lについて上記に定義されるそれらの他に、直鎖又は枝分れ鎖の任意に置換されたC1-10-アルキル、任意に置換されたC2-10-アルケニル、任意に置換されたC2-10-アルキニル、 C1-10-アルキルアミノ、 C1-10-アルコキシ、C2-10-アルケニルオキシ、C2-10-アルキニルオキシ、C1-10-アルコキシカルボニル、C2-10-アルケニルオキシカルボニル 及びC2-10-アルキニルオキシカルボニル基を包含する。
【0058】
好ましい態様においては、AbはACEインヒビター又はアンジオテンシンII受容体アンタゴニストのファーマコフォアを示す。好ましくは、Abは、アンジオテンシンII受容体アンタゴニストのファーマコファアを示す。本明細書における用語“ファーマコフォア”の定義及び範囲は、当業者に明白である。
【0059】
Abは好ましくは、酸性ファーマコフォアを示し、特に好ましくは、ビフェニル、特にメチレン−p−ビフェニル基を含んで成るファーマコフォアを示す。Xが、-C(O)OH、任意に置換された-C(O)O-C1-6-アルキル又は任意に置換された5−テトラゾリル基である場合、本明細書に定義されるような式VII の基が特に好ましい。式VII の好ましい基は、Xが-C(O)OH、 -C(O)OCH3又は任意に置換されたテトラゾール、例えばN−トリチル−テトラゾールであるそれらの基である。
【0060】
本発明の化合物は、5-HT受容体モジュレーター、典型的には5-HT4受容体モジュレーターである。前記化合物は、5-HT(例えば、5-HT4)アゴニスト又はアンタゴニストであり得る。他方では、それらは部分的アゴニストであり得る。
【0061】
“5−HT受容体モジュレーター”とは、本明細書に記載される5-HT受容体調節活性を有するいずれかの化合物を意味する。そのような化合物の例は、式I及びIbのそれらを包含する。特に好ましい5-HT受容体モジュレーターは、例に記載されるような化合物1-9、 11-15、17-21、22a-f 及び23-30を包含する。
【0062】
本明細書に記載される化合物を用いて処理され得る状態は、5-HT受容体作動性又は拮抗性に対して応答することができるいずれかを包含する。そのような状態は、例えば泌尿器系、胃腸系又心血管系の疾患に関連する。本発明の化合物を用いて処理され得る特定の状態の例は、胃食道逆流症、下痢、腹部痙攣、消化機能減退、軽症胃アトニー、便秘、術後性の腸閉塞症、腸偽閉塞、過敏性腸管症候群、膀胱疾患(例えば、過敏性膀胱、 等)、高血圧症、肺動脈高血圧、門脈圧高進、噴門肥大及び心臓弁疾患を包含する。
【0063】
さらなる観点においては、本発明は、5-HT受容体モジュレーター、例えば式I又はIbの化合物、又は生理学的に許容できるそのプロドラッグ形又は塩、及び少なくとも1つの医薬キャリヤー又は賦形剤を含んで成る医薬組成物を供給する。
【0064】
前記組成物に使用されるキャリヤー又は賦形剤は、医薬組成物に通常使用されるいずれかの材料、例えば溶媒(例えば、水)、pH調節剤、粘度調節剤、充填剤、希釈剤、結合剤、芳香剤、皮膚透過増強剤、酸化防止剤及び他の保存剤、等であり得る。その選択は、投与経路及び形に依存するであろう。典型的には、組成物は無菌であろう。
【0065】
本発明の組成物は、いずれかの従来の投与形、例えば溶液、分散液、懸濁液、シロップ、錠剤、被覆された錠剤、粉末、噴霧、坐薬、等であり得る。溶液、分散液及び錠剤が好ましい。それらは、従来の態様で調節され得る。
本発明の化合物及び組成物についての投与経路は、経腸、例えば経口、直腸又は管による、鼻、舌下、注射又は注入による。
【0066】
もう1つの観点においては、本発明は、本明細書に記載されるような5−HT受容体モジュレーター、例えば式Iの化合物、又は医薬への使用のためのその生理学的許容できるプロドラッグ形又は塩を供給する。
【0067】
さらなる観点においては、本発明は、5-HT関連状態の処理方法への使用のための薬物の製造のためへの、本明細書に記載されるような5−HT受容体モジュレーター、例えば式Iの化合物、又は5−HT関連状態の処理への使用のためのその生物学的に許容できるプロドラッグ形、又は塩の使用を提供する。5−HT関連状態の例は、当業者に知られており、そして心血管系、胃腸系又は泌尿器系の疾患、特に心不全を包含する。
【0068】
もう1つの観点においては、本発明は、治療的有効量の本明細書に記載されるような5−HT受容体モジュレーターを投与する段階を含んで成る、心血管系、胃腸系又は泌尿器系の疾患の疾患の処理方法を提供する。好ましい態様においては、本発明は、心不全の処理方法を提供する。
本発明の化合物を用いて特に容易に処理され得る泌尿系の疾患は、下部尿路の疾患である。
【0069】
本発明の方法においては、化合物は典型的には、約0.1mg〜約200mgの投与量で単一又は分割された用量として投与され得る。好ましくは、毎日の用量は、約1mg〜約100mg、より好ましくは約2mg〜約75mgであるべきである。いくつかの場合、それらの範囲以外の投与量を用いる必要があることは、当業者に明らかであろう。
【0070】
本発明の5−HTモジュレーターの合成は、有機化学において十分に知られている合成方法論を用いて実施され得る。典型的な方法は、酸性基又はその酸性基のプロドラッグを含んで成るアルキル化剤によるHT成分の塩基性窒素のアルキル化を包含する。例えば、HT成分は、保護された酸基を含んで成るブロモメチルビフェニル誘導体によりアルキル化され得る。他の方法は、芳香族シアノ基を含んで成るアルキル化剤を用いての窒素のアルキル化、テトラゾールを生成するためにアジ化物との続く反応を包含する。本発明者はまた、既知方法論を用いての酸性疎水性足場上での5−HTファーマコフォアの構築を計画している。
【0071】
本発明の代表的化合物の調製が、次の非制限的例により例示される:
【実施例】
【0072】
例1化合物1〜8
【化7】

【0073】
【表1】

【0074】
化合物1
N−トリチル−5−[(4’−ブロモメチル)−ビフェニル−2−イル]テトラゾール(1.05g、3.0mモル)を、アセトン(30ml)中、N−(4−ピペリジルメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−[1,3]オキサジン[3,2−a]インドール−10−カルボキサミド(1.05g、3.0mモル)及びK2CO3(1.65g、12.0mモル)の撹拌された懸濁液に添加し、そして24時間、加熱還流した。その混合物を室温に冷却し、そして濾過した。濾液を真空下で蒸発し、そして残渣をCH2Cl2(50ml)に添加し、そして水(3×25ml)により洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/メタノール、9:1)により分離し、中間体1を黄色の油状物(0.60g、25.3%)として得た。
【0075】
1H NMR (CDCl3): δ 8.32 (d, 1 H), 7.87 (d, 1 H), 7.41-7.17 (m, 16 H), 7.10-7.08 (m, 6 H), 6.89-6.84 (m, 6 H), 6.54 (t, 1 H), 4.51 (t, 2 H), 4.06 (t, 2 H), 3.40 (br s, 2 H), 3.30 (t, 2 H), 2.90-2.82 (m, 2 H), 2.37-2.26 (p, 2 H), 2.02-1.88 (m, 2 H) 1.71-1.50 (m, 2 H), 1.35-1.24 (m, 2 H)。 MS (ES): 790.1 [M + H] +
【0076】
化合物2
化合物1(0.50g、0.63mモル)を、CH2Cl2/TFA/H2O(97:2:1、25ml)の混合物において室温で一晩、撹拌し、そして真空蒸発した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/メタノール、9:1)により分離し、遊離テトラゾール化合物2を白色固形物(0.31g、90.1%)として得た。1H NMR (DMSOd6): δ 11.07 (br s, 1 H), 8.61 (br s, 1 H), 8.01 (d, 1 H), 7.87-7.04 (m, 12 H), 6.91 (t, 1 H), 4.49 (t, 2 H), 4.27 (br s, 2 H), 4.13 (t, 2 H), 3.34-3.24 (m, 2 H), 2.95-2.85 (m, 2 H), 2.28-2.23 (m, 2 H), 1.89-1.60 (m, 5 H)。MS (ES): 548.1 [M + H] +
【0077】
化合物3
化合物1について概略される方法に従って、N−(4−ピペリジルメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−[1,3]オキサジノ[3,2−a]インドール−10−カルボキシレート(0.31g、0.88mモル)及びN−トリチル−5−[(4’−ブロモメチル)−ビフェニル−2−イル]テトラゾール(0.49g、0.88mモル)を、白色固形物(0.34g、48.7%)として中間体3に転換した。1H NMR (CDCl3): δ 7.93-7.88 (m, 2 H), 7.29-7.06 (m, 18 H), 6.89-6.84 (m, 6 H), 4.51 (t, 2 H), 4.17-4.05 (m, 4 H), 3.38 (br s, 2 H), 2.85-2.80 (m, 2 H), 2.37-2.26 (p, 2 H), 2.02-1.72 (m, 6 H) 1.71-1.50 (m, 2 H)。 MS (ES): 791.1 [M + H]+
【0078】
化合物4
化合物2について概略される方法に従って、化合物3(0.24g、0.30mモル)のトリチル基を切除し、遊離テトラゾール化合物4を白色固形物(0.14g、85.3%)として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 9.70 (br s, 1 H), 7.75 (d, 1 H), 7.69- 7.67 (m, 2 H), 7.62-7.57 (m, 2 H), 7.44 (d, 2 H), 7.31 (d, 2 H), 7.19-7.08 (m, 4 H), 4.49 (t, 2 H), 4.27 (br s, 2 H), 4.13-3.94 (m, 4 H), 3.40-3.37 (m, 2 H), 2.96 (t, 2 H), 2.28-2.23 (m, 2 H), 2.02, 1.90 (m, 3 H), 1.52-1.40 (m, 2 H)。MS (ES): 549.1 [M + H]+
【0079】
化合物5
化合物1について概略される方法に従って、N−(4−ピペリジルメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−[1,3]オキサジノ[3,2−a]インドール−10−カルボキサミド(1.05g、3.0mモル)及び4−ブロモメチル−(1,1−ビフェニル)−2−カルボン酸メチルエステル(0.91g、3.0mモル)を、化合物5に白色固形物(0.65g、40.3%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 8.31 (d, 1 H), 7.82 (d, 1 H), 7.53-7.10 (m, 16 H), 7.10-7.08 (m, 6 H), 6.89-6.84 (m, 6 H), 6.54 (t, 1 H), 4.51 (t, 2 H), 4.06 (t, 2 H), 3.40 (br s, 2 H), 3.30 (t, 2 H), 2.90-2.82 (m, 2 H), 2.37-2.26 (p, 2 H), 2.02-1.88 (m, 2 H) 1.71-1.50 (m, 2 H), 1.35-1.24 (m, 2 H)。MS (ES): 538.1 [M + H] +
【0080】
化合物6
化合物5(0.40g、0.74mモル)を、2MのNaOH水溶液(1ml)及びメタノール(4ml)の混合物において撹拌し、そして12時間、加熱還流し、室温に冷却し、そして真空蒸発した。残渣を水(5ml)に再溶解し、そしてその溶液を、2Mの水性HClによりpH2に酸性化した。遊離カルボン酸6を、その溶液から沈殿し、沈殿物を濾過し、そして残渣をアセトンから再結晶化した(0.20g、51.6%)。1H NMR (DMSOd6): δ 8.04 (d, 1 H), 7.71 (d, 1 H), 7.58-7.34 (m, 7 H), 7.27 (d, 1 H), 7.08-7.03 (m, 2 H), 6.87 (t, 1 H), 4.54 (t, 2 H), 4.10 (t, 2 H), 3.96 (br s, 2 H), 3.20 (t, 2 H), 3.10 (d, 2 H), 2.52-2.48 (m, 2 H), 2.30-2.25 (m, 2 H), 1.77-1.70 (m, 3 H), 1.50-1.42 (m, 2 H)。MS (ES): 524.1 [M + H] +
【0081】
化合物7
化合物1について概略される方法に従って、N−(4−ピペリジルメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−[1,3]オキサジン[3,2−a]インドール−10−カルボキシレート(1.05g、3.0mモル)及び4−ブロモメチル−(1,1−ビフェニル)−2−カルボン酸メチルエステル(0.91g、3.0mモル)を、化合物7に白色固形物(0.86g、53.0%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 7.95 (d, 1 H), 7.77 (d, 1 H), 7.49-7.10 (m, 10 H), 4.50 (t, 2 H), 4.17 (d, 2 H), 4.06 (t, 2 H), 3.59 (s, 2 H), 3.52 (s, 2 H), 2.95-2.84 (m, 2 H), 2.37-2.27 (m, 2 H), 2.06-1.79 (m, 5 H) 1.71-1.50 (m, 2 H), 1.49-1.41 (m, 2 H)。MS (ES): 539.1 [M + H]+
【0082】
化合物8
化合物6について概略される方法に従って、例7からの化合物(1.51g、2.80mモル)を、遊離酸8に白色固形物(1.04g、71.5%)として転換した。1H NMR (DMSO-d6): δ 7.81 (d, 1 H), 7.60 (d, 1 H), 7.42-7.28 (m, 8 H), 7.13-7.07 (m, 2 H), 4.49 (t, 2 H), 4.10 (t, 2 H), 4.04 (d, 2 H), 3.66 (s, 2 H), 2.84 (d", 2 H), 2.28-2.22 (m, 2 H), 2.01 (t, 2 H), 1.74-1.70 (m, 3 H), 1.37-1.31 (m, 2 H)。 MS (ES): 525.1 [M + H]+
【0083】
例2化合物9〜20
【化8】

【0084】
【表2】

【0085】
化合物9
DMF(40ml)中、4−アミノ−1−Boc−ピペリジン(2.0g、10.0mモル)、4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ安息香酸(2.01g、10.0mモル)及びNEt3(1.01g、10.0mモル)の混合物を、0℃で1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)(1.91g、10.0mモル)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(1.35g、10.0mモル)に添加した。その反応混合物を室温で一晩撹拌し、そして真空下で濃縮した。得られる残渣を、CH2Cl2(100ml)に再溶解し、そして水性K2CO3(3×50ml)により抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして真空蒸発し、中間体4−アミノ−5−クロロ−2−メチル−N(1−Boc−4−ピペリジル)ベンズアミド9を白色固形物(3.93g、98.4%)として得た。
【0086】
1H NMR (CDCl3): δ 8.06 (s, 1 H), 7.60 (d, 1 H), 6.26 (s, 1 H), 4.40 (s, 2 H), 4.10-4.08 (m, 1 H), 3.94 (d, 2 H), 3.85 (s, 3 H), 2.96 (t, 2 H), 1.98-1.93 (m, 2 H), 1.43 (s, 9 H), 1.40-1.36 (m, 2 H)。
【0087】
化合物10
ジオキサン(25ml)中、4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−Boc−4−ピペリジル)ベンズアミド(3.93g、9.84mモル)の溶液を0℃に冷却し、そしてジオキサン中、4MのHCl溶液(2.0ml)を添加し、そして室温で4時間、撹拌した。その混合物を真空下で蒸発し、メタノール(20ml)を添加し、そして1時間、還流下で加熱した。その反応混合物を真空下で蒸発し、そして残渣をエタノールから再結晶化し、中間体4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(4−ピペリジル)ベンズアミド塩酸塩10を、白色の結晶性固形物(2.01g、62.8%)として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 9.19-9.13 (m, 2 H), 7.76 (d, 1 H), 7.60 (s, 1 H), 6.52 (s, 1 H), 6.16 (br s, 3 H), 4.99 (br s, 2 H), 3.81 (s, 3 H), 3.23-3.19 (m, 2 H), 2.99-2.95 (m, 2 H), 2.01-1.97 (m, 2 H),. 1.78-1.67 (m, 2 H)。
【0088】
化合物11
化合物5について概略される方法に従って、4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(4−ピペリジル)ベンズアミド塩酸塩(1.60g、5.0mモル)及び4−ブロモメチル−(1,1−ビフェニル)−2−カルボン酸メチルエステル(1.52g、5.0mモル)を、化合物11に黄色の固形物(0.59g、23.2%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 8.07 (s, 1 H), 7.81-7.76 (m, 1 H), 7.62 (d, 1 H), 7.54-7.34 (m, 5 H), 7.31-7.22 (m, 3 H), 6.26 (s, 1 H), 4.33 (s, 2 H), 4.11-3.97 (m, 1 H), 3.84 (s, 3 H), 3.60 (s, 3 H), 3.54 (s, 2 H), 2.85- 2.74 (m, 2 H), 2.28-2.18 (m, 2 H), 2.02-1.97 (m, 2 H), 1.63-1.48 (m, 4 H)。MS (ES): 508.2 [M + H]+
【0089】
化合物12
化合物6について概略される方法に従って、例11からの化合物(0.51g、1.00mモル)を、遊離酸12に白色固形物(0.34g、69.3%)として転換した。1H NMR (DMSO-d6): δ 7.68-7.54 (m, 3 H), 7.52-7.25 (m, 7 H), 6.49 (s, 1 H), 5.94 (s, 2 H), 3.83 (s, 3 H), 3.60 (s, 2 H), 2.75-2.82 (m, 2 H), 2.30-2.20 (m, 2 H), 1.90-1.80 (m, 2 H), 1.67-1.55 (m, 2 H)。MS (ES): 494.2 [M + H] +
【0090】
化合物13
化合物1について概略される方法に従って、4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(4−ピペリジル)ベンズアミド塩酸塩(0.80g、2.50mモル)及びN−トリチル−5−[(4’−ブロモメチル)−ビフェニル−2−イル]テトラゾール(1.39g、2.5mモル)を、中間体13に白色の固形物(98mg、6.4%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 8.07 (s, 1 H), 7.85-7.80 (m, 1 H), 7.6 (d, 1 H), 7.51-7.30 (m, 4 H), 7.30-7.15 (m, 7 H), 7.06 (s, 4 H), 6.89-6.84 (m, 6 H), 6.26 (s, 1 H), 4.34 (s, 2 H), 4.12-4.04 (m, 1 H), 3.84 (s, 3 H), 3.37 (s, 2 H), 2.77-2.66 (m, 2 H), 2.17-2.07 (m, 2 H), 1.94-1.90 (m, 2 H), 1.61-1.43 (m, 5 H)。
【0091】
化合物14
化合物2について概略される方法に従って、例13からの化合物(1.05g、1.38mモル)を、遊離テトラゾール14に白色固形物(0.43g、56.3%)として転換した。1H NMR (DMSO-d6): δ10.8 (br s, 1 H), 7.71-7.45 (m, 7 H), 7.16-7.12 (m, 2 H), 6.46 (s, 1 H), 4.34-4.21 (m, 2 H), 3.95-3.80 (m, 1 H), 3.77 (s, 3 H), 3.31-3.20 (m, 2 H), 3.10-2.97 (m, 2 H), 2.04-1.80 (m, 4 H)。MS (ES): 518.2 [M + H]+
【0092】
化合物15
化合物9について概略される方法に従って、4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ安息香酸(2.01g、10.0mモル)及び1−Boc−4−(アミノメチル)ピペリジンを、4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−Boc−4−メチルピペリジル)ベンズアミド15に、白色固形物(3.90g、94.8%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 8.11 (s, 1 H), 7.28 (s, 5 H), 6.31 (s, 1 H), 4.12 (d, 2 H), 3.91 (s, 3 H), 3.33 (d, 2 H), 2.70 (t, 2 H), 1.81-1.66 (m, 3 H), 1.46 (s, 9 H), 1.26-1.12 (m, 2 H)。
【0093】
化合物16
化合物10について概略される方法に従って、4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(1−Boc−4−メチルピペリジル)ベンズアミド(3.90g、9.46mモル)を、中間体4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(4−メチルピペリジル)ベンズアミド塩酸塩16に白色固形物(2.35g、74.6%)として転換した。1H NMR (DMSOd6): δ 9.24 (d, 1
H), 9.03-8.96 (m, 1 H), 7.99 (t, 1 H), 7.65 (s, 1 H), 6.55 (s, 1 H), 3.82 (s, 3 H), 3.22- 3.14 (m, 4 H), 2.83-2.72 (m, 2 H), 1.79-1.71 (m, 3 H), 1.45-1.33 (m, 2 H)。
【0094】
化合物17
化合物5について概略される方法に従って、4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(4−メチルピペリジル)ベンズアミド塩酸塩(1.67g、5.0mモル)及び4−ブロモメチル−(1,1−ビフェニル)−2−カルボン酸メチルエステル(1.52g、5.0mモル)を、化合物17に白色固形物(0.67g、25.6%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 8.08 (s, 1 H), 7.80-7.72 (m, 2 H), 7.53-7.20 (m, 8 H), 6.26 (s, 1 H), 4.35 (s, 2 H), 3.86 (s, 3 H), 3.60 (s, 3 H), 3.51 (s, 2 H), 3.31 (t, 2 H), 2.94-2.85 (m, 2 H), 2.02-1.92 (m, 2 H), 1.73-1.56 (m, 4 H), 1.43-1.20 (m, 2 H)。
【0095】
化合物18
化合物6について概略される方法に従って、化合物17(0.52g、1.00mモル)を、遊離酸18に白色固形物(0.29g、57.1%)として転換した。MS (ES): 508.1 [M + H]+
【0096】
化合物19
化合物1について概略される方法に従って、4−アミノ−5−クロロ−2−メトキシ−N−(4−メチルピペリジル)ベンズアミド塩酸塩(1.67g、5.00mモル)及びN−トリチル−5−[(4’−ブロモメチル)−ビフェニル−2−イル]テトラゾール(2.78g、5.0mモル)を、中間体19に白色固形物(1.05g、29.1%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 8.07 (s, 1 H), 7.98 (s, 1 H), 8.00-7.98 (m, 1 H), 7.90-7.85 (m, 1 H), 7.77 (t, 1 H), 7.44-7.16 (m, 11 H), 7.04 (s, 4 H), 6.89-6.84 (s, 6 H), 6.27 (s, 1 H), 4.24 (s, 2 H), 3.82 (s, 3 H), 3.34 (s, 2 H), 3.28 (t, 2 H), 2.85-2.77 (m, 2 H), 1.92-1.81 (m, 3 H), 1.64-1.54 (m, 3 H), 1.35- 1.23 (m, 2 H)。
【0097】
化合物20
化合物2について概略される方法に従って、化合物19(1.03g、1.33mモル)を、遊離テトラゾール化合物20に白色固形物(0.49g、64.9%)として転換した。1H NMR (DMSOd6): δ10.59 (br s, 1 H), 7.95 (t, 1 H), 7.80-7.49 (m, 6 H), 7.15-7.11 (m, 2 H), 6.44 (s, 1 H), 4.29-4.18 (m, 2 H), 3.78 (s, 3 H), 3.47-3.23 (m, 2 H), 3.20-3.01 (m, 3 H), 2.90-2.69 (m, 2 H), 1.80-1.43 (m, 4 H)。MS (ES): 532.2 [M + H]+
【0098】
例3化合物4及び8のプロドラッグ
【化9】

【0099】
【表3】

【0100】
化合物21
クロロメチルビバレート(0.054g、0.36mモル)を、DMF(1.0ml)中、テトラゾール化合物4(0.158g、0.29mモル)及び炭酸セシウム(0.094g、0.29mモル)の混合物に添加した。その混合物を60℃に12時間、加熱し、室温に冷却し、そして真空蒸発した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2, CH2Cl2:メタノール 9:1)により分離し、プロドラッグ21を白色固形物(0.030g、15.6%)として得た。1H NMR (CDCl3): δ 7.97 (d, 1 H), 7.80 (d, 1 H), 7.55-7.45 (m, 3 H), 7.26-7.10 (m, 7 H), 6.36 (s, 2 H), 4.54 (t, 2 H), 4.20 (d, 2 H), 4.11 (t, 2 H), 3.49 (br s, 2 H), 2.95-2.88 (m, 2 H), 2.37-2.32 (m, 2 H), 2.04-1.82 (m, 5 H), 1.60-1.45 (m, 2 H), 1.17 (s, 9 H)。
【0101】
化合物22a
化合物21について概略される方法に従って、化合物8(0.20g、0.38モル)及びクロロメチルビバレート(0.057g、0.38mモル)を、プロドラッグ22aに白色固形物として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 7.94 (d, 1 H), 7.82 (d, 1 H), 7.53-7.10 (m, 10 H), 5.74 (s, 2 H), 4.51 (t, 2 H), 4.18 (d, 2 H), 4.08 (t, 2 H), 3.55 (br s, 2 H), 2.99-2.92 (m, 2 H), 2.37-2.25 (m, 2 H), 2.10-1.86 (m, 5 H), 1.49-1.44 (m, 2 H), 1.16 (s, 9 H)。
【0102】
化合物22b
化合物21について概略される方法に従って、化合物8(0.20g、0.38モル)及びクロロメチルアセテート(0.041g、0.38mモル)を、プロドラッグ22bに白色固形物(0.040g、16.7%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 7.94 (d, 1 H), 7.82 (d, 1 H), 7.53- 7.11 (m, 10 H), 5.71 (s, 2 H), 4.52 (t, 2 H), 4.18 (d, 2 H), 4.09 (t, 2 H), 3.53 (br s, 2 H), 2.97-2.93 (m, 2 H), 2.38-2.26 (m, 2 H), 2.07-1.97 (m, 5 H), 1.86-1.80 (m, 3 H), 1.53-1.41 (m, 2 H)。
【0103】
化合物22c
化合物21について概略される方法に従って、化合物8(0.10g、0.19モル)及びn-ブチルブロミド(0.035g、0.19mモル)を、プロドラッグ22cに白色固形物(0.028g、25.4%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 7.94 (d, 1 H), 7.80 (d, 1 H), 7.52- 7.11 (m, 10 H), 4.50 (t, 2 H), 4.18 (d, 2 H), 4.10-3.98 (m, 4 H), 3.52 (br s, 2 H), 2.97- 2.92 (m, 2 H), 2.36-2.25 (m, 2 H), 2.07-1.96 (m, 2 H), 1.85-1.80 (m, 3 H), 1.53-1.25 (m, 4 H), 1.14-1.02 (m, 2 H), 0.77 (t, 2 H)。
【0104】
化合物22d
化合物21について概略される方法に従って、化合物8(0.20g、0.38モル)及び3−メチル−1−ブロモブタン(0.057g、0.38mモル)を、プロドラッグ22dに白色固形物(0.049g、21.7%)として転換した。その対応するメシル酸塩を調整した。1H NMR (DMSO-d6): δ 9.46 (br s, 1 H), 7.76-7.74 (m, 2 H), 7.63-7.57 (m, 4 H), 7.54- 7.36 (m, 3 H), 7.29 (d, 1 H), 7.12-7.10 (m, 2 H), 4.51-4.47 (m, 2H), 4.35-4.33 (m, 2 H), 4.11-4.07 (m, 4 H), 4.01 (t, 2 H), 3.51-3.47 (m, 2 H), 3.33-3.30 (m, 1 H), 3.14- 3.11 (m, 2 H), 2.35 (s, 3 H), 2,27-2.23 (m, 2 H), 2.01-1.98 (m, 2 H), 1.55-1.52 (m, 2 H), 1.31-1.29 (m, 1 H), 1.25-1.22 (m, 2 H), 0.74 (d, 6 H)。
【0105】
化合物22e
化合物21について概略される方法に従って、化合物8(0.20g、0.38モル)及び4−クロロメチル−5−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン(0.056g、0.38mモル)を、プロドラッグ22eに白色固形物(0.039g、16.2%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 7.95 (d, 1 H), 7.78 (d, 1 H), 7.53-7.11 (m, 10 H), 4.78 (s, 2 H), 4.52 (t, 2 H), 4.18 (d, 2 H), 4.08 (t, 2 H), 3.57 (br s, 2 H), 2.94-2.90 (m, 2 H), 2.35-2.29 (m, 2 H), 2.07-2.04 (m, 5 H), 1.86-1.81 (m, 3 H), 1.53-1.39 (m, 3 H)。
【0106】
化合物22f
化合物21について概略される方法に従って、化合物8(0.20g、0.38モル)及び臭化ベンジル(0.065g、0.38mモル)を、プロドラッグ22fに白色固形物(0.044g、21.0%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 10.09 (br s, 1 H), 7.92 (d, 2 H), 7.45- 7.43 (m, 1 H), 7.37-7.28 (m, 6 H), 7.17-7.12 (m, 8 H), 5.12 (s, 2 H), 4.55 (t, 2 H), 4.28-4.24 (m, 4 H), 4.10 (t, 2 H), 3.65-3.61 (m, 2 H), 2.95 (s, 3 H), 2.71-2.69 (m, 2 H), 2.36-2.33 (m, 2 H), 2.00-1.95 (m, 4 H)。その対応する塩酸塩を調製した。
【0107】
例4:化合物23〜30:
【化10】

【0108】
【表4】

【0109】
化合物23
抗−3−オキソトリシクロ[2,2,1,02b]−ヘプタン−7−カルボン酸(0.12g、0.76mモル)を、無水メタノール(2.0ml)中、N−(4−ピペリジルメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−[1,3]オキサジノ[3,2−a]インドール−10−カルボキシレート(0.20g、0.64mモル)、NaCNBH3(1.65g、12.0mモル)及び分子節(4Å)の懸濁液に添加し、そして室温で24時間、撹拌した。その反応混合物を濾過し、真空蒸発し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/メタノール−9:1)により分離し、化合物23を白色固形物(0.17g、49.5%)として得た。1H NMR (DMSO-d6): δ 12.1 (br s, 1 H), 7.81 (d, 1 H), 7.29 (d, 1 H), 7.14-7.07 (m, 2 H), 4.51 (t, 2 H), 4.10 (t, 2 H), 4.01 (d, 2 H), 3.06 (br d, 2 H), 2.91-2.85 (m, 2 H), 2.26-2.23 (p, 2 H), 2.13-2.02 (m, 2 H), 1.90-1.63 (m, 5 H), 1.39-1.13 (m, 6 H)。 MS (ES): 451.1 [M + H]+
【0110】
化合物24
化合物23について概略される方法に従って、N−(4−ピペリジルメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−[1,3]オキサジノ[3,2−a]インドール−10−カルボキシレート(0.20g、0.64mモル)及び3−オキソ−1−シクロペンタンカルボン酸(0.090g、0.69mモル)を、化合物24に白色固形物(0.12g、44.1%)として転換した。1H NMR (DMSO-d6): δ 12.1 (br s, 1 H), 7.81 (d, 1 H), 7.29 (d, 1 H), 7.15-7.06 (m, 2 H), 4.49 (t, 2 H), 4.11 (t, 2 H), 4.01 (d, 2 H), 2.96 (br d, 2 H), 2.64-2.48 (m, 2 H), 2.28-2.23 (p, 2 H), 2.00-1.87 (m, 3 H), 1.78-1.58 (m, 8 H), 1.29-1.25 (m, 2 H)。MS (ES): 427.5 [M + H] +
【0111】
化合物25
化合物23について概略される方法に従って、N−(4−ピペリジルメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−[1,3]オキサジノ[3,2−a]インドール−10−カルボキシレート(0.20g、0.64mモル)及び3−オキソ−1−シクロヘキサンカルボン酸(0.099g、0.69mモル)を、化合物25に白色固形物(0.11g、39.4%)として転換した。1H NMR (DMSO-d6): δ 12.1 (br s, 1 H), 7.83 (d, 1 H), 7.28 (d, 1 H), 7.16-7.06 (m, 2 H), 4.50 (t, 2 H), 4.11 (t, 2 H), 4.02 (d, 2 H), 2.89- 2.83 (m, 2 H), 2.61-2.12 (m, 5 H),1.97-1.36 (m, 8 H), 1.28-1.11 (m, 6 H)。MS (ES): 441.5 [M + H] +
【0112】
化合物26
化合物1について概略される方法に従って、N−(4−ピペリジルメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−[1,3]オキサジノ[3,2−a]インドール−10−カルボキシレート(0.31g、0.88mモル)及びメチル−2−[4−(ブロモメチル)フェニル]プロパノエート(0.23g、0.88mモル)を、化合物26に白色固形物(0.26g、61.2%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 7.99 (d, 1 H), 7.30-7.15 (m, 7 H), 4.55 (t, 2 H), 4.21 (d, 2 H), 4.12 (t, 2 H), 3.76-3.69 (q, 1 H), 3.67 (s, 3 H), 3.49 (br s, 2 H), 2.92 (br d, 2 H), 2.39-2.34 (p, 2 H), 2.05-1.67 (m, 6 H), 1.51 (d, 3 H), 1.47-1.14 (m, 2 H)。
【0113】
化合物27
化合物6について概略される方法に従って、化合物26(1.10g、2.24mモル)を、遊離酸27に白色固形物(0.57g、53.5%)として転換した。1H NMR (DMSO- d6): δ 12.38 (br s, 1 H), 7.79 (d, 1 H), 7.55 (d, 2 H), 7.33-7.14 (m, 3 H), 7.13-7.08 (m, 2 H), 4.50 (t, 2 H), 4.20-4.03 (m, 6 H), 3.76-3.70 (m 1 H), 3.12-3.01 (m, 3 H), 2.27- 2.24 (m, 2 H), 2.05- 2.00 (m, 3 H), 1.93-1.87 (m, 2 H), 1.36 (d, 3 H)。
【0114】
化合物28
化合物1について概略される方法に従って、N−(4−ピペリジルメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−[1,3]オキサジノ[3,2−a]インドール−10−カルボキシレート(0.47g、1.5mモル)及びメチル−2−[4−(ブロモメチル)フェニル]−2−メチルプロパノエート(0.40g、1.5mモル)を、化合物28に白色固形物(0.34g、44.9%)として転換した。1H NMR (CDCl3): δ 7.97-7.92 (m, 1 H), 7.25-7.10 (m, 7 H), 4.51 (t, 2 H), 4.17 (d, 2 H), 4.08 (t, 2 H), 3.63 (s, 3 H), 3.47 (s, 2 H), 2.92-2.86 (m, 2 H), 2.37-2.29 (p, 2 H), 2.02-1.92 (m, 2 H), 1.91-1.66 (m, 3 H). 1.55 (s, 6 H), 1.43-1.38 (m, 2 H)。
【0115】
化合物29
化合物6について概略される方法に従って、化合物27(0.34g、0.67mモル)を、遊離酸28に白色固形物(0.15g、45.4%)として転換した。1H NMR (DMSO- d6): δ 12.10 (br s, 1 H), 7.83-7.78 (m, 1 H), 7.31-7.13 (m, 5 H), 7.12-7.06 (m, 2 H), 4.48 (t, 2 H), 4.13-4.01 (m, 4 H), 3.70 (br s, 2 H), 2.84-2.80 (m, 2 H), 2.26- 2.21 (p, 2 H), 1.96 (t, 2 H), 1.91-1.72 (m, 3 H), 1.44 (s, 6 H), 1.32-1.22 (m, 2 H)。
【0116】
化合物30
4−クロロメチル−5−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン(0.078g、0.53mモル)を、DMA(1.0ml)中、遊離酸化合物24(0.20g、0.40mモル)及びK2CO3(0.16g、1.22mモル)の混合物に添加した。その混合物を室温で12時間撹拌し、そして真空蒸発した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、CH2Cl2:メタノール−9:1)により分離し、プロドラッグ30を白色固形物(0.12g、50.0%)として得た。その対応する塩酸塩を調製した。1H NMR (DMSO-d6): δ 10.30 (br s, 1 H), 7.80 (d, 1 H), 7.58-7.52 (m, 2 H), 7.37-7.28 (m, 2 H), 7.15-7.06 (m, 2 H), 4.97 (s, 2 H), 4.50 (t, 2 H), 4.21 (d, 2 H), 4.11 (t, 2 H), 4.04 (d, 2 H), 3.31 (br s, 2 H), 2.94-2.91 (m, 2 H), 2.26-2.22 (m, 2 H), 2.11 (s, 3 H), 1.93-1.89 (m, 3 H), 1.63-1.55 (m, 2 H), 1.51 (s, 6 H)。
【0117】
例5結合アッセイ及びアデニリルシクラーゼアッセイにおける親水性5−HT4リガンドのインビトロ生物学的試験
材料及び方法
ヒト5−HT4(b)受容体を安定して発現するHEK293細胞系の確立
ヒト5−HT4(b)受容体を安定して発現するHEK293細胞系の開発は、これまでに記載されており、そして公開されている(Bachなど、2001)。手短には、HEK293細胞(ATCC)を、10%ウシ胎児血清、ペニシリン(100U/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)と共にダルベッコ変性イーグル培地において増殖した。細胞を、SuperFect Transfection Reagent (QIAGEN)を用いて、その製造業者のプロトコールに従って、プラスミドDNA(ヒト5−HT4(b)受容体cDNAを含むpcDNA3.1(-))によりトランスフェクトした。
【0118】
トランスフェクトされた細胞の一連の希釈物を、0.4mg/mlでG418(ゲネチシン;Amersham)を含む96ウェルプレートにプレートし、そしてネオマイシン耐性表現型に形質転換された細胞の単離された単一コロニーを、拡張し、そしてセロトニン−刺激されたアデニリルシクラーゼ活性を測定することにより、セロトニン受容体の発現について試験した(Themmenなど:1993)。形質転換された細胞は常に、G418(0.4mg/ml)の存在下で増殖された。結合及びアデニリルシクラーゼ分析に関して、安定した細胞系を、L−グルタミン(2mM)、ペニシリン(100U/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)により補充されたUltraCULTURETM一般目的 血清フリー培地(BioWhittaker, Walkersville, MD, USA)において増殖し、そして維持した。
【0119】
放射性リガンド結合及びアデニリルシクラーゼアッセイのための膜調製
膜を、150mmの細胞培養皿上で培養され、そしてペニシリン(10U/ml)及び2mMのL−グルタミン(BioWhittaker)を含む血清フリー培地(UltraCULTURETM, BioWhittaker)において80%集密性まで増殖された、安定してトランスフェクトされた、HEK293細胞から調製した。細胞を10mlの氷冷却されたHBSSにより2度、洗浄し、10mlの氷冷却されたHBSSにおいてゴム製ポリスマンにより削り落とし、そして800gで4℃で5分間の遠心分離により集めた。細胞ペレットを、皿当たり1mlの氷冷却されたSTE緩衝液(27% (w/v)スクロース、50 mM のトリス-HCl、 pH 7.5 、20 °C、5 mMの EDTA)に再懸濁し、そしてバースト間での氷水での30秒の冷却を伴っての5回の10秒間のバーストを用いて、Ultra-Turrax(IKA)ホモジナイザーにより均質化した。
【0120】
核を除くために、前記均質物を、300gで4℃で5分間、遠心分離し、そして上清液をさらに、17000gで4℃で20分間、遠心分離し、そして上清液を除いた。粗膜ペレットを、皿当たり1mlの氷冷却されたTE(50 mM のトリス-HCl、pH 7.5 、RT, 5 mMの EDTA)を含むDounceガラス−ガラスホモジナイザーにおいて、強く固定された乳棒Bの10回のストロークにより、再懸濁した。この方法を2度、反復し、そして再懸濁された膜を最終的に分割し、そして液体窒素においてすぐに凍結し、そして使用まで-70℃で貯蔵した。
【0121】
放射性リガンド結合アッセイ
結合アッセイを、50 mMの トリス-HCl (pH 7.5 、 RT)、1 mMの EDTA、5 mM のEGTA、2 mMの MgCl2、1 mMの アスコルベート、0.1 % BSA 及び100 μMの GTPを含む結合緩衝液において、ラベルされていない競争リガンドを伴って又は伴わないで、示される濃度の[3H]GR113808を含む、50〜200μlの合計反応体積の96ウェル丸底マイクロタイタープレートにおいて、ヒト5−HT4(b)受容体(対照)を安定して発現するHEK293細胞のメンバーに対して実施した。
【0122】
プレートを23ECで60分間インキュベートし、そして96−ウェル形のPackard FilterMate Universal Harvesterを用いて、0.3%ポリエチレンイミン(Sigma)に含浸され、そして50mMのトリス−HCl(RTでpH7.0)及び2mMのMgCl2を含む氷冷却された緩衝液約0.25mlによりプレート当たり4〜6度、洗浄されるUniFilterTM-96 GF/CTM (Packard Instrument Co., Meriden, CT, USA)上に収穫した。フェルターを乾燥し、そしてフィルターウェル当たり20μlのMicro−Scint液体シンチレーションカクテル(Packard)を用いて、Top−Count液体シンチレーションカウンター(Packard)において約40%の効率で計数した。
【0123】
アデニリルシクラーゼアッセイ
アデニリルシクラーゼ活性を、強く適合する乳棒による10回のストロークによる、Dounceガラス−ガラスホモジナイザーにおいて、上記のようにして増殖され、そして洗浄された細胞の均質化により、STEにおいて調製された膜における[α−32P]ATPから[32P]cATPへの転換を決定することにより、ヒト5-HT4(b)受容体(対照)を安定して発現するHEK293細胞の膜において測定した。膜は、アッセイの前、氷上で維持された。アデニリルシクラーゼ活性を、0.1 mMの [α-32P]ATP (1-2 x 106 cpm/アッセイ)、4 mMの MgCl2、20 μMの GTP、 1 mMの EDTA、1 mMの [3H]cAMP (約 10,000 cpm/アッセイ)、1 μM の3-イソブチル-l- メチルキサンチン(IBMX; Sigma)、20mMのクレアチンリン酸(Sigma)、0.2mg/mlのクレアチンホスホキナーゼ(Sigma)及び40U/mlのミオキナーゼ(Sigma)から成るヌクレオシド三リン酸再生システム、及びテキスト及び図に記載される添加剤の存在下で、50μlの最終体積で、10μlのアリコートにおいて測定した。
【0124】
ホルスコリン(Calbiochem, La Jolla, CA, USA)が使用される場合、その濃度は100μMであった。インキュベーションは、32℃で20分間であった。形成される環状ATPを、Bockaertなど。(1976)により改良されたようなSalamonなど。(1974)の二重カラムクロマトグラフィーシステムにより定量化した。
【0125】
結合及びアデニリルシクラーゼデータの分析
結合及びアデニリルシクラーゼデータを、下記等式を用いて、Solver add-inと共にMicrosoft Excelを用いて非直線回帰により分析した:
競争結合アッセイ−データは、次の等式に適合された:
Y=a+(b−a)/(1+x/c) [1]
式中、aは非特異的結合であり、bは競争体の不在下での合計結合であり、cはIC50であり、そしてxは競争体の濃度である。適切な場合、相対的結合データを、a=0及びb=100を用いてデータを再計算することにより得た。
【0126】
アルデニリルシクラーゼの活性化−データは、次の等式に適合された:
Y=a+(b−a)x/(c+x) [2]
式中、aは基本アルデニリルシクラーゼ活性であり、bはアゴニストにより刺激された最大アデニリルシクラーゼ活性であり、cはEC50であり、そしてxはアゴニストの濃度である。
競争結合アッセイからのIC50値を、Cheng and Prusoff(1973)の方法によりKb値に転換した。
【0127】
タンパク質測定
膜調製物におけるタンパク質濃度を、標準としてウシ血清アルブミン(BSA)に用いて、Micro BCA Protein Assay Reagent Kit (Pierce, Rockford, IL, USA)により測定した。
【0128】
放射性化学
[3H]GRl13808 (84 Ci/mモル)、[α-32P]ATP (400 Ci/mモル) 及び[3H]cAMP (30-50 Ci/mモル)は、Amersham (Buckinghamshire, England)からであった。
【0129】
化合物
5−ヒドロキシトリプタミン塩酸塩(5−HT, セロトニン)は、Sigma (St. Louis, MO, USA)からであった。GR113808(1−メチル−1H−インドール−3−カルボン酸、[1−[2−[(メチルスルホニル)アミノ]エチル]−4−ピペリジニル]メチルエステル)マレエートは、Tocris (Avonmouth, UK)からであった。試験される他の化合物は、Drug Discovery Laboratories AS (DDL) (Oslo, Norway)により合成された。
【0130】
化合物により組織化された、アデニリルシクラーゼにおける5−HT4リガンドのインビトロ生物学的試験及び結合アッセイの結果(表5):
【0131】
【表5】

【0132】
例6hERG(Huntigdon)に対する化合物2,7,8,24及び27の効果
この研究の目的は、適切なインビトロ試験システムにおけるhERGイオンチャネルに対する試験化合物の急性効果を試験することにより、hERG(ヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子)末尾電流に対する上記化合物の効果を評価することであった。hERGイオンチャネルcDNAにより安定してトランスフェクトされたヒト胚腎細胞(HEK-293)は、この目的のために適切であると思われる調製物である。
【0133】
個々の試験化合物の4種の濃度を、hERGチャネルを阻止する傾向を決定するためにスクリーニングアッセイにおいて試験した。パッチ−クランプ技法を用いて、ピークhERG末尾電流振幅を、次の呼称濃度で化合物に暴露する前及びその後で約7〜32分間、測定した。(n=個々の濃度について3つの細胞):
化合物2 - 10 nM、1 μM、10 μM、30 μM及び50 μM;
化合物7 - 100 nM、1μM 及び10 μM;
化合物8 - 100 nM、1 μM、10 μM及び100 μM;
化合物24 -100 nM、1 μM、10 μM及び100 μM; 並びに
化合物27 -100 nM、1 μM、10 μM及び100 μM。さらに、ピークhERG末尾電流振幅を、同時ビークルデータ補正のために、ビークル(0.1%DMSO)への暴露の前及びその後、3細胞の別々のグループにおいて測定した。テルフェナジン(50nMの亜最大有効濃度で、n=3)、すなわちIKr電流の既知インヒビターを、正の対照化合物として使用した。
【0134】
試験化合物データを、ビークルの平均効果及び概要のために補正し、そして濃度−応答データをプロットし、そしてS状関数と適合し、これから、個々の化合物についてのIC50値を計算した。
化合物2,7,8,24及び27についてのIC50値は、それぞれ27.5μM、131nM、47.5μM、209μM 及び25μMであることが計算された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
HT-L-A (I)
[式中、HTは、塩基性窒素原子を含む5−HT受容体調節成分であり;
Aは、酸成分であり;そして
Lは、前記塩基性窒素原子及び前記酸成分を、少なくとも0.4nm、好ましくは少なくとも0.5nm、より好ましくは少なくとも0.6nm、特に少なくとも0.65nm、例えば2nmまで分離して維持するよう作用するリンカー成分である]で表される5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)受容体調節化合物、又はそのプロドラッグ形又は塩。
【請求項2】
前記酸成分が、前記酸成分において、前記塩基性窒素原子から少なくとも0.6nm、前記リンカー成分により分離されて維持される、不安定プロトンを有するプロトン性酸性成分である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記酸成分が、-C(O)-OR1、-OP(O)OR2OR2、-P(O)OR2OR2、-SO2OR2、-SO3H、-OSO3H 及び-PO3Hから成る群から選択され、ここでR1及びR2はH、M(Mは対イオンである)、C1-15-アルキル、C3-8-シクロアルキル、アリール及びR1,2(ここで、R1,2はR'-O-C(O)R"、R'-O-C(O)-O-R"、R'-C(0)-O-R"であり、ここでR’及びR’’はC1-15-アルキル、C3-8-シクロアルキル及びアリールから成る群から独立して選択される)から成る群から独立して選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Lが、任意に置換された単−又は二−環式アリール又はヘテロアリール基;少なくとも1つの任意に置換されたC1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-10-シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ニトリル、ヒドロキシ、アミド、クロリド又は、ヨージド基により、個々の炭素原子で独立して置換される線状C1-6-アルキル基;任意に置換されたC3-10-シクロアルキル又はC4-10-シクロアルケニル基;又は任意に置換された多環式アルキル又はアルケニル基、例えばステロイド主鎖を有する基を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
Lが、−CH2-p-フェニレン及び-CO-p-フェニレン以外である、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
Lが、式-(CH2)n-Ar'-(CRaRb)m-(式中、nは0又は1、好ましくは1であり、Ar’は任意に置換されたアリール環又は複素芳香族環であり;Ra及びRbはそれぞれ独立して、H、又はより好ましくは、任意に置換されたC1-6-アルキル(好ましくは、C1-4-アルキル、例えばメチル)であり;そしてmはO又は1、好ましくは1である)の基を含んで成る、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
Lが、任意に置換された、任意に架橋されたC4-C10-シクロアルキル、好ましくはC5-C8-シクロアルキル、例えばC5-C7-シクロアルキル基である、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
Aが、オキシ酸又はテトラゾール基、又は酸又はそのエステル又は塩である、請求項1〜7のいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項9】
HTが、下記式II:
Ar-(C(O))n-(E)m-(G)p-BN- (II)
[式中、Arは、非芳香族の任意に置換された炭素環式環;非芳香族複素環式環、炭素環式芳香族環;及び複素芳香族環から選択された1又は複数の環により任意に融合される、任意に置換されたアリール環であり;
nは、O又は1であり;
mは、O又は1であり;
Eは、O又はNHであり;
pは、O又は1であり;
Gは、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C1-6-アルキル-C3-7-シクロアルキル 又は C3-7-シクロアルキル-C1-6- アルキル基であり;そして
BNは、塩基性窒素成分、好ましくはアミン基、アミド基、カルバメート又はカルバメート誘導体、ウレア又はウレア誘導体、カルバジミダミド、窒素含有複素環式環、窒素含有へテロアリール環及びアザビシクロ環から選択された塩基性窒素原子含有成分である]の基である、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
HTが、下記式III :
Ar-C(O)-E-G-BN- (III )
[式中、Arは、単環式又は多環式芳香族又は複素芳香族であり;
Eは、O及びNHから成る群から選択され;
Gは、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C1-6-アルキル-C3-7-シクロアルキル 及びC3-7-シクロアルキル-C1-6- アルキル基から成る群から選択され;そして
BNは、塩基性窒素成分であり;又は
G-BNが一緒にC3-7-ヘテロアルキル又はC1-6-アルキル−C3-7-ヘテロアルキル基を形成する]の基である、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
HTが、下記式IV:
【化1】

[式中、R13は、H、ハロゲン、NH2及びC1-6-アルキルから成る群から選択され;そして
R16は、H, ハロゲン、OH、 O−C1-6-アルキル及びC1-6-アルキルから成る群から選択される]を有する基である、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
HTが、下記式V:
【化2】

[式中、Eは、O及びNHから成る群から選択され;
Gは、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C1-6-アルキル-C3-7-シクロアルキル 及びC3-7-シクロアルキル-C1-6- アルキル基から成る群から選択され;そして
BNは、塩基性窒素成分であり;又は
G-BNが一緒にC3-7-ヘテロアルキル又はC1-6-アルキル−C3-7-ヘテロアルキル基を形成し;
Xは、ハロゲンであり;
R8は、H及びC1-6-アルキルから独立して選択され;
R9及びR10は、H、O-C1-6-アルキル、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はアリールから成る群から独立して選択され;又は
R9及びR10は一緒に、C3-7-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はアリールを形成し;又は
NR82及びR10は一緒に、ヘテロシクロアルキル基を形成する]の基である、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
L−Aが、下記式VII :
【化3】

[式中、Xは、-C(O)OH、任意に置換された-C(O)O-C1-6-アルキル又は任意に置換された5−テトラゾリル基である]の基である、請求項1〜12のいずれか1項記載の式Iの化合物、又はそのプロドラッグ形又は塩。
【請求項14】
下記式Ib
HT-Lb-Ab (Ib)
[式中、HTは、5-HT受容体調節活性を有する基であり、そして請求項1に定義される通りであり;
Abは、レニン−アンジオテンシンシステム調節活性を有する基であり;そして
Lbは、不在であるか、又はHT及びAbのファーマコフォアの機能を可能にするリンカー]で表される化合物、又はそのプロドラッグ及び/又は塩。
【請求項15】
Abが、請求項13に定義されるような式VII の基を示す、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項記載の5-HT受容体調節化合物、又は生理学的に許容できるそのプロドラッグ形又は塩、及び少なくとも1つの医薬キャリヤー又は賦形剤を含んで成る医薬組成物。
【請求項17】
医薬への使用のための、請求項1〜15のいずれか1項記載の5-HT受容体調節化合物、又は生理学的に許容できるそのプロドラッグ形又は塩。
【請求項18】
5-HT関連状態の処理、例えば心血管系、胃腸系又は泌尿器系の疾患の処理のための、請求項1〜15のいずれか1項記載の5-HT受容体調節化合物、又は生理学的に許容できるそのプロドラッグ形又は塩。
【請求項19】
5-HT関連状態の処理、例えば心血管系、胃腸系又は泌尿器系の疾患の処理のための医薬の製造のためへの、請求項1〜15のいずれか1項記載の5-HT受容体調節化合物、又は生理学的に許容できるそのプロドラッグ形又は塩の使用。
【請求項20】
有効量の請求項1〜15のいずれか1項記載の5-HT受容体調節化合物、又は生理学的に許容できるそのプロドラッグ形又は塩を、その必要な患者に投与することを含んで成る、心血管系、胃腸系又は泌尿器系の疾患の疾患の処理方法。

【公表番号】特表2012−522758(P2012−522758A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502774(P2012−502774)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000656
【国際公開番号】WO2010/112865
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(508255126)
【Fターム(参考)】