説明

5−HT1A受容体サブタイプ作動薬

【課題】5−HT1A受容体サブタイプに関連した中枢神経系の障害、特に治療抵抗性統合失調症、認知障害を伴う治療抵抗性統合失調症、難治性統合失調症、認知障害を伴う難治性統合失調症、慢性統合失調症、又は認知障害を伴う慢性統合失調症を治療するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】5−HT1A受容体サブタイプに関連した中枢神経系の障害を治療するための医薬組成物であって、式(1):


のカルボスチリル化合物、及び医薬として許容されるその塩又は溶媒和物の治療有効量を含む医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、5−HT1A受容体サブタイプに関連した中枢神経系の障害に罹患した患者を治療するための医薬組成物に関する。有効成分は、カルボスチリル誘導体又はその塩を含む。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
米国特許第5,006,528号、欧州特許第367,141号及び特開平7−304740(1995)は、本発明におけるカルボスチリル誘導体として同じ化学構造式を包含しており、それらの薬理学的性質は、精神分裂病に対する治療に有益な薬物である。
【0003】
特開平9−301867(1997)に開示されたカルボスチリル化合物は、不安の治療に有用である。
【0004】
欧州特許第226,441号に開示されたカルボスチリル誘導体は、本発明におけるカルボスチリル誘導体の同類体を有しており、低酸素症の治療に有用である。
【0005】
上記に加えて、米国特許第4,734,416号、カナダ特許第1,117,110号、英国特許第2,017,701号、ドイツ特許第2,912,105号及び同第2,953,723号、特開昭54−130587(1979)、同55−127371(1980)及び同62−149664(1987)に開示されたカルボスチリル誘導体は、本発明におけるカルボスチリル誘導体の同類体を有しており、抗ヒスタミン活性及び中枢神経制御作用を有している。
【0006】
アリピプラゾール(7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリル、又は、OPC−14597、BMS−337,039及びOPS−31としても知られている)は、ドーパミンD2受容体に強い親和性で結合し、ドーパミンD3受容体及び5−HT7受容体に中等度の親和性で結合することが報告されている(Masashi Sasaら、CNS Drug Reviews,Vol.3,No.1,pp.24−33)。
【0007】
更に、アリピプラゾールは、シナプス前ドーパミン自己受容体作動活性、シナプス後D2受容体拮抗活性、及びD2受容体部分作動活性を有すると報告されている[T.Kikuchi,K.Tottori,Y.Uwahodo,T.Hirose,T.Miwa,Y.Oshiro and S.Morita:J.Pharmacol.Exp.Ther.,Vol.274,pp.329,(1995);T.Inoue,M.Domae, K.Yamada and T.Furukawa:J.Pharmacol.Exp.Ther.,Vol.277,pp.137,(1996)]。
【0008】
しかしながら、本発明の化合物が、5−HT1A受容体サブタイプにおける作動活性を有することは報告されていない。
【0009】
5−HT1A受容体リガンドを用いた治療介入は、アルコール中毒に対する薬物治療に有用であることが報告されている(Mark Klevenら、Eur.J.Pharmcol.,Vol.281,(1995)pp.219−228)。
【0010】
また、5−HT1A作動薬は、哺乳類における虚血の発生による神経細胞変性に関連した障害の治療及び/又は予防に有用であることが報告されている(米国特許第5,162,375号)。
【0011】
5−HT1A受容体過敏性は、ストレスの多い及び不安状態における片頭痛発作の頻度を増加させる生物学的基礎になり得ることが報告されている[Massimo Leoneら、Neuro Report,Vol.9,pp.2605−2608(1998)]。
【0012】
5−HT1A受容体作動薬、(−)−(R)−2−[4−[[(3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−イル)メチル]アミノ]ブチル]−1,2−ベンズイソチアゾール−3(2H)−オン 1,1−ジオキシド一塩酸塩(BAY−3702)は、動物モデルにおいてニューロン保護、不安緩解及び抗欝様効果を有することが最近報告された(Jean De Vryら、Eur.J.Pharmacol.,Vol.357,(1998),pp.1−8)。
【0013】
5−HT1A受容体作動薬は、広範囲抗嘔吐剤であると思われることが報告された(Mary C.Wolffら、Eur.J.Pharmacol.,Vol.340,(1997),pp.217−220;AB Alfieriら、Brit.J.Cancer,(1995),Vol.72,pp.1013−1015;Mary C.Wolffら、Pharmacology Biochemistry and Behavior,1995,Vol.52,No.3,pp.571−575;James B.Lucot,Eur.J.Pharmacol.,1997,Vol.253,pp.53−60)。
【0014】
セロトニンは、アルツハイマー病、鬱病、悪心及び嘔吐、摂食障害、及び片頭痛を含むいくつかの神経及び精神障害において役割を演じている(Rasmussenら、Annual Reports in Medicinal Chemistry,Vol.30,Section I,pp.1−9,1995,「第1章、セロトニン5−HT1A受容体活性調節因子(Recent Progress in Serotonin 5−HT1A Receptor Modulators)」、Academic Press)。WO 00/16777号は、5−HT1A受容体作動薬、ブスピロンが、ADHDに関連した種々の症状の治療において効能があり、そして、D2受容体作動薬と5−HT1A作動薬の併用が、ADHD及びパーキンソン病の治療に効果的であることを開示している。
【0015】
5−HT1A作動薬は、アルツハイマー病、パーキンソン病又は老人性痴呆における認知障害の治療に効果的である。米国特許第5,824,680号は、5−HT1A作動薬、イプサピロンが、記憶を改善することによるアルツハイマー病の治療に効果的であることを開示している。米国特許第4,687,772号は、5−HT1A部分作動薬、ブスピロンが、治療を必要とする患者において短期記憶を改善するのに有用であることを記載している。WO 93/04681号は、5−HT1A部分作動薬の使用が、アルツハイマー病、パーキンソン病又は老人性痴呆に関連した認知障害の治療又は予防に利用されてきたことを開示している。
【0016】
5−HT1A作動薬はまた、鬱病の治療に有効である。米国特許第4,771,053号は、5−HT1A部分作動薬、ゲピロンが重症鬱病、内因性鬱病、メランコリーを伴う大鬱病、及び非定型鬱病のような、ある種の一次抑鬱性障害の緩和に有用であることを記載している。WO 01/52855号は、5−HT1A部分作動薬ゲピロンと抗欝薬の併用により、鬱病を効果的に治療することができることを記載している。
【0017】
5−HT1A受容体部分作動薬ブスピロンは、神経遮断薬誘発パーキンソン症候群及び錐体外路症状のような運動不全を緩和する。これらの観察は、米国特許第4,438,119号に開示されている。更に、5−HT1A作動薬は、パーキンソン病においてみられる運動障害によく似た、げっ歯類での神経遮断薬誘発カタレプシーを逆転させる(Mark J.Millan, J.Pharmacol.Exp.Ther.,2000,Vol.295,p.853−861)。それ故、アリピプラゾールは、D2及び5−HT1A受容体における強力な部分作動活性を有しているので、老人患者における精神病、アルツハイマー病、パーキンソン病又は老人性痴呆に治療を施すのに使用することができる。更に、これらの患者は、アリピプラゾールのこの性質の故に、錐体外路症状を経験することはないであろうと思われる。
【0018】
これまで、精神分裂病は、脳内ドーパミン作動系における過剰活動に起因すると理解されてきた。この理由により、いくつかの薬物が、強力なドーパミン受容体遮断作用を有するものとして開発された。これら定型抗精神病薬は、幻覚、妄想等の精神分裂病の陽性症状の治療に効果的である。過去10年間に、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピンを含む種々の非定型抗精神病薬が開発された。これらの薬物は、錐体外路性副作用が少なく、DA受容体遮断作用に加えて他の活性を有している。クロルプロマジン、ハロペリドール等のような定型抗精神病薬とは対照的に、非定型抗精神病薬は、精神分裂病に関連した陰性症状及び認知障害に対して定型抗精神病薬よりも効果的であり、そして非定型抗精神病薬はまた、錐体外路性副作用がより少ないことが報告されている[S.Miyamoto,G.E.Duncan,R.B.Mailman and J.A.Lieberman:Current Opinion in CPNS Investigational Drugs,Vol.2,pp.25,(2000)]。しかしながら、非定型抗精神病薬が、精神分裂病に対して適切な薬物療法を提供したとしても、ある種の患者は、これら薬物の抗精神病療法に抵抗性である。これらの患者は、抗精神病療法に対して非応答性か、あるいは難治性になっているか(即ち、より不安を感じるか、抑鬱症であるか、或いは認知機能不全であるかであろう)のいずれかであると思われる。これら治療抵抗性患者は、いかに医師が適切な治療法を提供できるかという問題を提起している。
【0019】
現在、多くの治療抵抗性及び難治性精神分裂病患者が、定型或いは非定型抗精神病薬の種々の公知の有効な種類及び投与量に対して、適切に応答しない症状を示している。更に、これらの患者は、しばしば入院及び退院を繰り返す難治性の精神分裂病又は慢性精神分裂病患者である[R.R.Conely and R.W.Buchanan:Schizophr.Bull.,Vol.23,pp.663,(1997)]。
【0020】
治療抵抗性及び難治性精神分裂病患者に相当する患者の症状は、陽性症状のみならず、陰性症状及び情緒障害、並びに認知障害(即ち、認知機能不全又は認知障害)を含んでいる[K.Akiyama and S.Watanabe:Jpn.J.Clin.Psychopharmacol.,Vol.3,pp.423,(2000)]。
【0021】
認知障害は、精神分裂病患者個人における精神症状から分離して存在する。それ故、認知障害はこれら各個人の社会的適応行動を阻害することから、その医学的治療は、非常に重要である[C.Hagger,P.Buckley,J.T.Kenny,L.Friedman,D.Ubogy and H.Y.Meltzer:Biol.Psychiatry,Vol.34,pp.702,(1993);T.Sharma and D.Mockler:J.Clin.Psychopharmacol.Vol.18,(Suppl.1),pp.128,(1998)]。
【0022】
現在、クロザピンが、治療抵抗性精神分裂病に対して有効な抗精神病薬である。クロザピン(クロザリルの名称で市販されている)は、標準的な抗精神病療法に適切に応答しない重症精神分裂病患者の治療及び管理用として、FDAによって1990年に許可された[M.W.Jann:Pharmacotherapy,Vol.11,pp.179,(1991)]。クロザピンは、治療抵抗性精神分裂病患者における認知障害に対して有効であることが報告された[C.Hagger,P.Buckley,J.T.Kenny,L.Friedman,D.Ubogy and H.Y.Meltzer:Biol.Psychiatry,Vol.34,pp.702,(1993);M.A.Lee,P.A.Thompson and H.Y.Meltzer:J.Clin.Psychiatry,Vol.55(Suppl.B),pp.82,(1994);D.E.M.Fujii,I.Ahmed,M.Jokumsen and J.M.Compton:J.Neuropsychiatry Clin. Neurosci.,Vol.9,pp.240,(1997)]。例えば、クロザピンは、治療抵抗性精神分裂病患者における、注意力、応答時間、流暢な会話等の認知障害を改善することが報告されている[M.A.Lee,P.A.Thompson and H.Y.Meltzer:J.Clin.Psychiatry,Vol.55(Suppl.B),pp.82,(1994)]。又、クロザピンは、ウェクスラー成人知能検査−改定フルスケールの客観的評価尺度において、認知障害の効果的な改善をもたらすことが報告されている[D.E.M.Fujii,I.Ahmed,M.Jokumsen and J.M.Compton:J.Neuropsychiatry Clin.Neurosci.,Vol.9,pp.240,(1997)]。
【0023】
5−HT1A受容体は、治療抵抗性精神分裂病及び認知障害に対するクロザピンの治療効力における役割を演じていることが報告されている。この関係は、ヒト5−HT1A受容体を用いた結合実験によって明らかにされた[S.L.Mason and G.P.Reynolds:Eur.J.Pharmacol.,Vol.221,pp.397,(1992)]。更に、分子薬理学の進歩により、5−HT1A受容体作動作用或いは5−HT1A受容体部分作動作用は、治療抵抗性精神分裂病及び認知障害において重要な役割を演じていることが明らかにされている[A.Newman−Tancredi,C.Chaput, L.Verriele and M.J.Millan:Neuropharmacology,Vol.35,pp.119,(1996)]。更に加えて、5−HT1A受容体の数が、治療抵抗性と分類された慢性精神病患者の前頭葉前部皮質で増加していることが報告されている。この観察は、慢性精神病の重症症状の発現が、機能低下した5−HT1A受容体を介する、神経細胞機能の低下の結果による代償過程によって説明された[T.Hashimoto,N.Kitamura,Y.Kajimoto,Y.Shirai,O.Shirakawa,T.Mita,N.Nishino and C.Tanaka:Phycopharmacology,Vol.112,pp.S35,(1993)]。それ故、5−HT1A受容体を通して仲介される神経細胞伝達の低下が、治療抵抗性精神分裂病患者において予測される。このように、クロザピンの臨床効力は、5−HT1A受容体におけるその部分作動性効力に関係していると思われる[A.Newman−Tancredi,C.Chaput, L.Verriele and M.J.Millan:Neuropharmacology,Vol.35,pp.119,(1996)]。5−HT1A受容体作動作用は、クロザピンの臨床効果に関係していると思われ、この仮説は、クロザピンが治療有効量で脳5−HT1A受容体と相互作用することを示した、霊長類における陽電子放射断層撮影法(PET)での研究によって支持されている[Y.H.Chou,C.Halldin and L.Farde:Int.J.Neuropsychopharmacol.,Vol.4(Suppl.3),pp.S130,(2000)]。更に、選択的5−HT1A受容体作動薬として知られているタンドスピロンは、慢性精神分裂病患者において認知障害を改善した[T.Sumiyoshi,M.Matsui,I.Yamashita,S.Nohara,T.Uehara,M.Kurachi and H.Y.Meltzer:J.Clin.Pharmacol.、Vol.20,pp.386,(2000)]。もっとも、動物実験において、すべての報告が5−HT1A受容体作動作用が認知障害に関連しているらしいことを必ずしも示唆してはいない。しかしながら、選択的5−HT1A受容体作動薬として知られている8−OH−DPAT[8−ヒドロキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン]は、ムスカリン様受容体拮抗薬として知られているスコポラミンによって誘発される学習及び記憶障害を改善し、このことは5−HT1A受容体作動作用と認知障害における改善が関連することを示唆している[M.Carli,P.Bonalumi,R.Samanin:Eur.J.Neurosci.,Vol.10,pp.221,(1998);A.Meneses and E.Hong:Neurobiol.Learn.Mem.,Vol.71,pp.207,(1999)]。
【0024】
非定型抗精神病薬、例えば、リスペリドン及びオランザピンはクロザピンの後に市販され、これらの薬物は、治療抵抗性精神分裂病あるいは治療抵抗性精神分裂病患者の認知障害を改善すると報告されている[M.F.Green、B.D.Marshall,Jr.,W.C.Wirshing,D.Ames,S.R.Marder,S.McGurck,R.S.Kern and J.Mintz:Am.J.Psychiatry,Vol.154、pp.799、(1997);G.Bondolifi,H.Dufour,M.Patris,J.P.May,U.Billeter,C.B.Eap and P.Baumann, on behalf of the risperidone Study Group:Am.J.Psychiatry,Vol.155,pp.499,(1998);A.Breier,S.H.Hamilton:Biol.Psychiatry,Vol.45,pp.403,(1999)]。
【0025】
クロザピンが、治療抵抗性精神分裂病に対して中等度に有効であったという報告とは対照的に、リスペリドン及びオランザピンは、治療抵抗性精神分裂病に対して、それらの効果において定型抗精神病薬より必ずしも一貫して優れているとは限らなかった。それ故、リスペリドン及びオランザピンは、ヒト5−HT1A受容体に対して低い親和性で結合し[S.Miyamoto,G.E.Duncan,R.B.Mailman and J.A.Lieberman:Current Opinion in CPNS Investigational Drugs,Vol.2,pp.25,(2000)]、そしてそれらの薬物は、それだけでは臨床有効量においてヒト5−HT1A受容体を通して活性を明らかに発揮することはできない。
【0026】
それ故に、現在、クロザピンが治療抵抗性精神分裂病に対して有効であると理解されている[D.W.Bradford,M.H.Chakos,B.B.Sheitman,J.A.Lieberman:Psychiatry Annals,Vol.28,pp.618,(1998);A.Inagaki:Jpn.J.Clin.Psychopharmacol.,Vol.3,pp.787,(2000)]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
上記で説明したように、5−HT1A受容体作動作用は、治療抵抗性精神分裂病又は治療抵抗性精神分裂病に起因する認知障害を改善するのに重要である。クロザピンは、治療抵抗性精神分裂病に対して効果的であるが、しかしながら、その使用は、患者に定期的な血液検査を実施する必要がある顆粒球減少症を生じさせるという、重篤な副作用の故に限定される。このような状況下において、強力で、5−HT1A受容体に完全に又は部分的に作動作用を有する安全な抗精神分裂病薬の開発が、真剣に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明のカルボスチリル化合物は、5−HT1A受容体と高い親和性で結合し、強力な部分作動作用を表し、クロザピンと比較して高い固有の活性(約68%)を有している。それ故、本発明の化合物は、クロザピンの作動作用よりも強力な5−HT1A受容体作動作用を有している。このように、本発明のカルボスチリル化合物は、その他の一般に入手できる薬物療法治療薬と比較して、治療抵抗性精神分裂病、治療抵抗性精神分裂病に起因する認知障害、難治性精神分裂病、難治性精神分裂病に起因する認知障害、慢性精神分裂病、慢性精神分裂病に起因する認知障害、その他を治癒するための、より強力で高い安全性を有する薬物となるものである。即ち、本発明の化合物は、クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、フルフェナジン、ペルフェナジン、チオリダジン、ピモジド、ゾテピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン、アミスルプリド等のような、一般に入手し得る抗精神病薬に適切に反応しない、治療抵抗性精神分裂病、治療抵抗性精神分裂病に起因する認知障害、難治性精神分裂病、難治性精神分裂病に起因する認知障害、慢性精神分裂病、慢性精神分裂病に起因する認知障害等に対する、強力でより安全な薬物療法に用いられることを立証するものである。
【0029】
特に、本発明のカルボスチリル化合物は、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから成る群から選択される1つ乃至3つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン、及びアミスルプリドから成る群から選択される1つの非定型抗精神病薬の両者に適切に反応しない、治療抵抗性精神分裂病、治療抵抗性精神分裂病に起因する認知障害、難治性精神分裂病、難治性精神分裂病に起因する認知障害、慢性精神分裂病、慢性精神分裂病に起因する認知障害等に対する、強力で高い安全性の薬物療法に用いられる。
【0030】
更に、本発明の化合物は、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから成る群から選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから成る群から選択される1つの非定型抗精神病薬の両者に適切に反応しない、治療抵抗性精神分裂病、治療抵抗性精神分裂病に起因する認知障害、難治性精神分裂病、難治性精神分裂病に起因する認知障害、慢性精神分裂病、慢性精神分裂病に起因する認知障害等に対する、強力で高い安全性の薬物療法に用いられる。
【0031】
更にまた、本発明の化合物は、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される1つ乃至2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから成る群から選択される1つの非定型抗精神病薬の両者に適切に反応しない、治療抵抗性精神分裂病、治療抵抗性精神分裂病に起因する認知障害、難治性精神分裂病、難治性精神分裂病に起因する認知障害、慢性精神分裂病、慢性精神分裂病に起因する認知障害等に対する、強力で高い安全性の薬物療法に用いられる。
【0032】
更にまた、本発明の化合物は、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから成る群から選択される1つの非定型抗精神病薬の両者に適切に反応しない、治療抵抗性精神分裂病、治療抵抗性精神分裂病に起因する認知障害、難治性精神分裂病、難治性精神分裂病に起因する認知障害、慢性精神分裂病、慢性精神分裂病に起因する認知障害等に対する、強力で高い安全性の薬物療法に用いられる。
【発明の効果】
【0033】
(発明の概要)
本発明の目的は、5−HT1A受容体サブタイプに関連した中枢神経系の障害に罹患した患者を治療する方法を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明に従って使用される5−HT1A受容体サブタイプ作動薬化合物としては、以下の式(1):
【化1】


(カルボスチリル骨格の3位及び4位の間の炭素−炭素結合は、単結合又は二重結合である);
で示されるカルボスチリル誘導体が使用される。
【0035】
上記の一般式(1)の化合物は公知化合物であり、米国特許第5,006,528号のような刊行物に開示されており、上記刊行物に記載されたプロセスによって容易に調製することができる。
【0036】
本発明の式(1)によって表されるカルボスチリル誘導体は、それと医薬として許容される酸を反応することによって、その酸付加塩に容易に変換することができる。そのような酸の例としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、その他、のような無機酸、例えばシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、その他、のような有機酸を包含する。
【0037】
溶媒和物の溶媒は、再結晶に通常使用される溶媒である。溶媒和物の例としては、半水和物、水和物、及びアルコラート、例えばエタノラート、メタノラート、イソプロパノラート、その他を包含する。
【0038】
上に挙げた反応によって調製される所望の化合物は、溶媒抽出、希釈、再結晶、カラムクロマトグラフィ、分取薄層クロマトグラフィ、その他のような通常の分離手段によって容易に単離精製することができる。
【0039】
本発明の強力な部分5−HT1A受容体作動薬は、双極性障害、例えば最近のエピソードが軽い躁、躁、混合状態、鬱、或いは特定できない症状の発現を有する双極性I型障害;エピソードが軽い躁症状の発現を伴った再発大鬱症状の発現及び循環型を有する双極性II型障害;鬱病、例えば内因性鬱病、大鬱病、メランコリー、及び治療抵抗性鬱病;パニック障害;強迫性障害(OCD);睡眠障害;性的機能不全;アルコール乱用及び薬物耽溺;認知障害;アルツハイマー病、パーキンソン病、その他のような神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病及び関連障害のような神経変性疾患に起因した認知障害;嘔吐;乗物酔い;肥満;片頭痛;自閉症;ダウン症候群;注意欠陥多動障害(ADHD);治療抵抗性、難治性又は慢性精神分裂病(一般に入手し得る抗精神病薬に適切に反応しない);治療抵抗性精神分裂病、難治性精神分裂病又は慢性精神分裂病その他に起因する認知障害、を誘発する、5−HT1A受容体サブタイプに関連した中枢神経系の種々の障害に有効である。
【0040】
本発明の化合物は、医薬として許容される処方に好適に調製され得る[米国特許第5,006,528号、欧州特許第367,141号及び特開平7−304740(1995)及び特願2000−194976を参照。これらは参照することによって本明細書の一部に組み込まれる]。
【0041】
本発明のこれら医薬品製剤の投与量は、投与方法、患者の年齢、性別及びその他の因子、疾病の重症度及びその他の因子によって適切に選択される。しかしながら、一般的には、有効成分の化合物の一日当りの投与量は、好ましくは、体重1kg当り約0.0001乃至約50mgの範囲内である。有効成分の化合物は、約0.001から約1000mg、特に0.01から100mg、更に詳しくは0.1から50mg、より更に詳しくは1mgから20mgの量で各単位投与形態の中に含有されることが望ましい。
【実施例】
【0042】
薬理学的試験
1.材料と方法
1.1.試験化合物
7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリル(アリピプラゾール)が、試験化合物として使用された。
【0043】
1.2.参照化合物
セロトニン(5−HT)及びWAY−100635(N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)−シクロヘキサンカルボキサミド、5−HT1A受容体拮抗薬、RBI(Natick,MA)製)が、参照化合物として使用された。
【0044】
1.3.溶剤
ジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma Chemicals Co.(St.Louis,MO)製)を溶剤として使用した。
【0045】
1.4.試験化合物及び参照化合物の調製
試験化合物を、100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、100μMの貯蔵溶液を得た(試験化合物を含有するすべての試験管中のDMSOの最終濃度は、1%、v/vであった)。すべてのその他の参照化合物は、DMSOでなく二回蒸留した水を用いて、同じ方法で調製された。
【0046】
1.5.[35S]GTPγS結合アッセイの試験手順
試験化合物及び参照化合物を、10種類の異なった濃度(0.01、0.1、1、5、10、50、100、1000、10000、及び50000nM)で、3回、h5−HT1ACHO細胞膜に対する基礎的[35S]GTPγSの結合への効果を試験した。反応は、GDP(1μM)、[35S]GTPγS(0.1nM)及びh5−HT1ACHO細胞膜(10μgタンパク質/反応;NEN Life Science Products,Boston,MA;カタログ番号CRM035、ロット番号501−60024、GenBank No.X13556)を含有するバッファ(25mM TrisHCl、50mM NaCl,5mM MgCl2、0.1mM EGTA、pH=7.4)792μlと混合した試験薬物/参照薬物、8μlを含有する5mlガラス試験管で行った。反応は、60分間、室温で進行させ、Brandelハーベスター及び4×3ml氷冷バッファ洗浄を使用して、WhatmanGF/B濾紙を通す急速濾過によって終了させた。濾紙に結合した35S放射能を、液体シンチレーション計測(1272Clinigamma,LKB/Wallach)を使用して測定した。
【0047】
1.6.h5−HT1A受容体における試験化合物(アリピプラゾール)の結合親和性を求めるための実験的手順
試験化合物を、10種類の異なった濃度(0.01、0.1、1、10、50、100、500、1000、5000及び10000nM)で3回、CHO細胞膜のh5−HT1A受容体(15〜20μgタンパク質;NEN Life Science Products,カタログ番号CRM035、ロット番号501−60024)に結合する[3H]8−OH−DPAT(1nM;NEN Life Sciences;カタログ番号NET929、ロット番号3406035、比活性=124.9Ci/ミリモル)の置換を定量した。膜(396μl)を、[3H]8−OH−DPAT(396μl)、試験化合物又は溶剤(8μl)及びバッファA(50mM Tris.HCl、10mM MgSO4、0.5mM EDTA、0.1%(w/v) アスコルビン酸、pH=7.4)を含有する5mlガラス試験管中でインキュベートした。全てのアッセイは、60分間、室温で行われ、Brandelハーベスター及び4×1mlバッファBで氷冷洗浄を使用して、WhatmanGF/B濾紙(バッファBで前もって浸漬;50mM Tris.HCl)を通す急速濾過によって終了させた。非特異的結合は、10μM(+)8−OH−DPATの存在下で求めた。
【0048】
1.7.定量されたパラメーター
セロトニン(5−HT)は、組換えCHO細胞膜で、h5−HT1A受容体に結合する基礎的[35S]GTPγSの増加を促進する、完全5−HT1A受容体作動体である。試験化合物を10種類の濃度で試験して、それらの基礎的[35S]GTPγSの結合への効果を10μM5−HTによって得られた効果と比較して定量した。相対活性(EC50、95%信頼区間)及び固有作動作用(10μM5−HTに対するEmaxの%)を、完全濃度−効果データのコンピュータ化した非線形回帰分析によって、各化合物につき計算した。h5−HT1A受容体における試験化合物の結合親和性は、この受容体を発現するCHO細胞膜に結合する[3H]8−OH−DPATを妨げる能力によって定量した。競合結合データの非線形回帰分析を使用して、[3H]8−OH−DPATによって特異的に結合されたh5−HT1A部位の半分を占拠する試験化合物の濃度である、阻害定数(IC50、95%信頼区間)を計算した。試験化合物に対するh5−HT1A受容体の親和性(Ki、95%信頼区間)は、式、Ki=(IC50)/(1+([[3H]8−OH−DPAT]/Kd)、ここでh5−HT1Aにおける[3H]8−OH−DPATのKd=0.69nM(NEN Life Sciences)、によって計算した。h5−HT1A受容体における薬物結合親和性、力価及び固有の効果の全ての推定値は、Windows(登録商標)用のGraphPad Prism ver.3.00(GrapPad Software,San Diego,CA)を使用して計算した。
【0049】
2.結果
試験化合物及び5−HTは、基礎的[35S]GTPγS結合以上に濃度依存的に増加をもたらした。1%DMSOのみでの試験では、基礎的又は薬物誘発[35S]GTPγS結合には効果がなかった。
【0050】
試験化合物(EC50=2.12nM)及び5−HT(EC50=3.67nM)は、基礎的[35S]GTPγS結合を強く促進した。推定された力価及び固有の作動薬効能は、各例において、相関係数(r2)>0.98を有する非線形回帰分析によって導かれた(表1)。試験化合物は、65〜70%の範囲で部分作動薬効能を発揮した。WAY−100635は、試験した全ての濃度で、基礎的[35S]GTPγS結合における有意な変化を生じなかった(非対スチューデントt−検定)(表1)。しかし、WAY−100635は、CHO細胞膜のh5−HT1Aへの[35S]GTPγS結合に際して5−HT及び試験化合物の効果を完全に阻害した(表2)。表1及び2を以下に示す。
【0051】
試験化合物は、CHO細胞膜のh5−HT1Aに対する高い親和性結合を立証した(IC50=4.03nM、95%信頼区間=2.67〜6.08nM;Ki=1.65nM、95%信頼区間=1.09〜2.48nM)。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
本願は以下の発明の態様をも包含する。
(1)5−HT1A受容体サブタイプに関連した中枢神経系の障害を治療するための医薬組成物であって、式(1):
【化2】


(カルボスチリル骨格の3位及び4位の間の炭素−炭素結合は、単結合又は二重結合である);
のカルボスチリル化合物、及び医薬として許容されるその塩又は溶媒和物の治療有効量を含む医薬組成物。
(2)障害が、治療抵抗性精神分裂病、認知障害を伴う治療抵抗性精神分裂病、難治性精神分裂病、認知障害を伴う難治性精神分裂病、慢性精神分裂病、又は認知障害を伴う慢性精神分裂病である、(1)記載の医薬組成物。
(3)障害が、一般に入手し得る抗精神病薬に適切に反応しない、治療抵抗性精神分裂病、難治性精神分裂病又は慢性精神分裂病である、(2)記載の医薬組成物。
(4)障害が、一般に入手し得る抗精神病薬に適切に反応しない、認知障害を伴う治療抵抗性精神分裂病、認知障害を伴う難治性精神分裂病、又は認知障害を伴う慢性精神分裂病である、(2)記載の医薬組成物。
(5)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、フルフェナジン、ペルフェナジン、チオリダジン、ピモジド、ゾテピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン又はアミスルプリドである、(3)記載の医薬組成物。
(6)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、フルフェナジン、ペルフェナジン、チオリダジン、ピモジド、ゾテピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン又はアミスルプリドである、(4)記載の医薬組成物。
(7)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される1つ乃至3つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(3)記載の医薬組成物。
(8)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される1つ乃至3つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(4)記載の医薬組成物。
(9)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(3)記載の医薬組成物。
(10)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(4)記載の医薬組成物。
(11)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される1つ乃至2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(3)記載の医薬組成物。
(12)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される1つ乃至2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(4)記載の医薬組成物。
(13)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(3)記載の医薬組成物。
(14)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(4)記載の医薬組成物。
(15)障害が、自閉症、ダウン症候群又は注意欠陥多動障害(ADHD)である、(1)記載の医薬組成物。
(16)障害が神経変性疾患である、(1)記載の医薬組成物。
(17)神経変性疾患がアルツハイマー病又はパーキンソン病である、(1)記載の医薬組成物。
(18)障害が、パニック障害、強迫性障害(OCD)、睡眠障害、性的機能不全、アルコール及び薬物耽溺、嘔吐、乗物酔い、肥満又は片頭痛である、(1)記載の医薬組成物。
(19)カルボスチリル化合物が、7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリルである、(1)乃至18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(20)障害が、性的機能不全;アルコール及び薬物耽溺;認知障害;アルツハイマー病又はパーキンソン病のような神経変性疾患;自閉症;注意欠陥多動障害(ADHD);治療抵抗性精神分裂病に起因する認知障害、難治性精神分裂病に起因する認知障害、又は慢性精神分裂病に起因する認知障害である、(1)記載の医薬組成物。
(21)障害が、治療抵抗性精神分裂病に起因する認知障害、難治性精神分裂病に起因する認知障害、慢性精神分裂病に起因する認知障害である、(1)記載の医薬組成物。
(22)障害が、一般に入手し得る抗精神病薬に適切に反応しない、治療抵抗性精神分裂病に起因する認知障害、難治性精神分裂病に起因する認知障害、慢性精神分裂病に起因する認知障害である、(21)記載の医薬組成物。
(23)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、フルフェナジン、ペルフェナジン、チオリダジン、ピモジド、ゾテピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン又はアミスルプリドである、(22)記載の医薬組成物。
(24)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される1つ乃至3つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(22)記載の医薬組成物。
(25)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(22)記載の医薬組成物。
(26)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される1つ乃至2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(22)記載の医薬組成物。
(27)一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、(22)記載の医薬組成物。
(28)障害が神経変性疾患に起因する認知障害である、(1)記載の医薬組成物。
(29)神経変性疾患に起因する認知障害がアルツハイマー病又はパーキンソン病である、(28)記載の医薬組成物。
(30)カルボスチリル化合物が、7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリルである、(20)乃至(29)のいずれか一項に記載の医薬組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、フルフェナジン、ペルフェナジン、チオリダジン、ピモジド、ゾテピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される一般に入手し得る抗精神病薬に適切に反応しない治療抵抗性統合失調症、認知障害を伴う治療抵抗性統合失調症、難治性統合失調症、認知障害を伴う難治性統合失調症、慢性統合失調症、又は認知障害を伴う慢性統合失調症;クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、フルフェナジン、ペルフェナジン、チオリダジン、ピモジド、ゾテピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される一般に入手し得る抗精神病薬に適切に反応しない治療抵抗性統合失調症に起因する認知障害、難治性統合失調症に起因する認知障害、又は慢性統合失調症に起因する認知障害からなる群から選ばれた5−HT1A受容体サブタイプに関連した中枢神経系の障害を治療するための医薬組成物であって、式(1):
【化1】


(カルボスチリル骨格の3位及び4位の間の炭素−炭素結合は、単結合又は二重結合である);
のカルボスチリル化合物、及び医薬として許容されるその塩又は溶媒和物の治療有効量を含む医薬組成物。
【請求項2】
障害が、クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、フルフェナジン、ペルフェナジン、チオリダジン、ピモジド、ゾテピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される一般に入手し得る抗精神病薬に適切に反応しない治療抵抗性統合失調症、難治性統合失調症又は慢性統合失調症である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
障害が、クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、フルフェナジン、ペルフェナジン、チオリダジン、ピモジド、ゾテピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される一般に入手し得る抗精神病薬に適切に反応しない認知障害を伴う治療抵抗性統合失調症、認知障害を伴う難治性統合失調症又は認知障害を伴う慢性統合失調症である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される1つ乃至3つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項5】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される1つ乃至3つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項6】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項7】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項8】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される1つ乃至2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項9】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される1つ乃至2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項10】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項11】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項12】
障害が、クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、フルフェナジン、ペルフェナジン、チオリダジン、ピモジド、ゾテピン、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される一般に入手し得る抗精神病薬に適切に反応しない治療抵抗性統合失調症に起因する認知障害、難治性統合失調症に起因する認知障害、慢性統合失調症に起因する認知障害である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項13】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される1つ乃至3つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール及びペルフェナジンから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項15】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される1つ乃至2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項16】
一般に入手し得る抗精神病薬が、クロルプロマジン及びハロペリドールから選択される2つの定型抗精神病薬、及びリスペリドン、オランザピン、ケチアピン及びアミスルプリドから選択される1つの非定型抗精神病薬である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項17】
カルボスチリル化合物が、7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリルである、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2011−225587(P2011−225587A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133032(P2011−133032)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【分割の表示】特願2007−179275(P2007−179275)の分割
【原出願日】平成14年1月29日(2002.1.29)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】