説明

5−HT1Fアゴニストとしての置換(4−アミノシクロヘキセン−1−イル)フェニルおよび(4−アミノシクロヘキセン−1−イル)ピリジニル化合物

本発明は、式Iの化合物、


または、
その薬学的に受容可能な酸付加塩に関し、ここで、
Xは、−C(R4)=または−N=であり、
Arは、フェニル、置換フェニル、複素環または置換複素環であり、
R1およびR2は、独立的に(independantly)水素またはC1−C3アルキルであり、
R3は、水素、フルオロまたはメチルであり、
Xが−C(R4)=である場合において、R3およびR4のうち1つ未満が水素以外であり得る場合、R4は、水素、フルオロまたはメチルであり、
R5は、水素、メチルまたはエチルである。
本発明の化合物は、5−HT1Fレセプタの活性化、硬膜タンパク質管外遊出の抑制、および哺乳類における片頭痛の治療または回避の際に有用である。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
最近まで、片頭痛の病態生理学に関する理論は、1938以降、GrahamおよびWolff.による著作「Arch. Neurol. Psychiatry、39:737〜63、1938」によって独占されてきた。GrahamおよびWolff.は、片頭痛の要因は、頭蓋外血管の拡張であると提案した。この見識は、血液脳関門を通過しない親水性5−HT1アゴニストである麦角アルカロイドおよびスマトリプタンが、頭部血管平滑筋の収縮を誘発し、片頭痛治療に効果的であるという知見によって支持されていた(Humphreyら、Ann. NY Acad. Sci.、600:587〜600、1990)。しかし、最近のMoskowitzの著書によれば、片頭痛発生は血管直径の変化に依存しないとの記述がある(Cephalalgia、12:5〜7、1992)。
【0002】
Moskowitzの提案によると、現在未知である痛みの要因により、頭部細胞内の血管系に神経を分布する三叉神経節に刺激が与えられ、その結果、当該血管系上の軸索から血管作用神経ペプチドが放出される。その後、これらの放出された神経ペプチドは、一連の事象を活性化させ、その結果、痛みが発生する。この神経性炎症は、5−HTレセプタを伴うメカニズムにより、スマトリプタンおよび麦角アルカロイドによってブロックされる。これらの5−HTレセプタは、三叉神経血管繊維上に存在する5−HT1D亜型に緊密に関連すると考えられている(Neurology、43(suppl.3):S16〜S20 1993)。実際、スマトリプタンは、5−HT1Bレセプタおよび5−HT1Dレセプタ(それぞれKi=10.3nMおよび5.1nM)に対して高い親和性を有し、その活性は、血管収縮剤活性を示し得る。片頭痛治療のために従来開発されてきたスマトリプタンおよび同様の化合物は、片頭痛の従来技術モデルの前提の下でこの血管収縮剤活性に基づいて選択されていた。
【0003】
セロトニン(5−HT)は、少なくとも7つのレセプタクラスによって仲介される多様な生理学的活性を示し、その最も異種は、5−HT1のように見える。これらの5−HT1レセプタ亜型のうち1つを発現するヒト遺伝子の名称は5−HT1Fであり、Kaoおよび同僚によって単離された(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:408〜412、1993)。この5−HT1Fレセプタは、さらに記述された任意のセロトニンレセプタと別の薬理プロファイルを示す。スマトリプタンは、上記の5−HT1Bレセプタおよび5−HT1Dレセプタに対する強い親和性に加えて、およそ23nMのKiを有する5−HT1Fレセプタ亜型に対しても親和性を有することが分かった。これは、片頭痛における5−HT1Fレセプタの潜在的役割を呈示している。
【0004】
その後、多様な5−HT1Fレセプタアゴニストが開発され、5−HT1Fレセプタサブクラスに対して相対的選択性を示し、このような選択性は、片頭痛および関連疾患の治療に関する潜在的薬剤として開発される他の化合物血管収縮剤活性特性を総じて低減させる。
【0005】
これらの5−HT1Fレセプタアゴニストに含まれるのは、下記の文献中で開示された化合物である。
【0006】
米国特許5,708,187および5,814,653(6−置換−3−アミノ(アルキル)−テトラヒドロカルバゾールおよび7−置換−4−アミノ(アルキル)シクロヘプタ(7、6b)インドールの族を記載)
【0007】
U.S.5,521,196、U.S.5,721,252、U.S.5,521,197、およびWO96/29075(5−置換ピペリジン−3−イル−インドールおよび5−置換1、2、3、6テトラヒドロピリジン−3−イル−インドールの多様な族を記載)
【0008】
WO97/13512(5−置換3−アミノエチルインドールの族を記載)
【0009】
WO98/46570(5−置換インドール、ピロロ(3、2−b)ピリジン、ベンゾフラン、およびベンゾチオフェンの族を記載。これは、オクタヒドロインドリジニル、オクタヒドロ−2H−キノリジニル、デカヒドロピリド(1、2−a)アゼピニル、1、2、3、5、8、8a−ヘキサヒドロインドリジニル、1、3、4、6、9、9a−ヘキサヒドロ−2H−キノリジニル、または1、4、6、7、8、9、10、10a−オクタヒドロピリド(1、2−a)アゼピニルと3−位置で置換される)
【0010】
WO98/20875およびWO99/25348(5−置換ピペリジン−3−イル−アザインドールおよび5−置換1、2、3、6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アザインドールの2つの族を記載)
【0011】
WO00/00487(5−置換(ピペリジン−3−イルまたは1、2、3、6−テトラヒドロピリジン−3−イル)インドール、アザインドール、ベンゾフランおよびベンゾチオフェンの族を記載)
【0012】
WO98/08502(8−置換−1、2、3、4−テトラヒドロ−2−ジベンゾフランアミンおよび9−置換−2−アミノシクロヘプタ(b)ベンゾフランの族を記載)
【0013】
WO98/55115(3−アミノ−1、2、3、4−テトラヒドロ−9H−カルバゾール−6−カルボキサミドおよび4−アミノ−10H−シクロヘプタ(7、6−b)インドール−7−カルボキサミドの族を記載)
【0014】
WO98/15545(3、5−二置換インドールおよびベンゾフランの選択族を記載)
【0015】
WO00/00490(5−アリル−置換(ピペリジン−3−イルまたは1、2、3、6−テトラヒドロピリジン−3−イル)インドール、アザインドール、ベンゾフランおよびベンゾチオフェンの族を記載)
【0016】
WO00/47559(4−(3−置換−ベンゾイル)ピペリジンの族を記載)
【0017】
WO00/50426(3、5−二置換アザベンゾフランの族を記載)
【0018】
WO00/34266(3−ヘテロアリール−5−(2−(アリールまたはヘテロアリール)−2−オキソエチル)インドールの族を記載)
【0019】
WO03/08455(ピリジノイルピペリジンの族を記載)
【0020】
継続的な研究により、驚くべきことに、新規かつ予期されなかったクラスの新規の選択的5−HT1Fアゴニストが得られている。このような5−HT1Fアゴニストは、明確な化学的およびレセプタ結合特性を持ち、大幅な血管収縮剤活性を回避しつつ硬膜タンパク質管外遊出を抑制するため、片頭痛および他の5−HT1Fレセプタ関連疾患の治療に有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、以下の一般的式Iの置換(4−アミノシクロヘキセン−1−イル)フェニルおよび(4−アミノシクロヘキセン−1−イル)ピリジニル化合物、または、
【化1】

その薬学的に受容可能な酸付加塩に関し、ここで、
Xは、−C(R4)=または−N=であり、
Arは、フェニル、置換フェニル、複素環または置換複素環であり、
R1およびR2は、独立的に(independantly)水素またはC1−C3アルキルであり、
R3は、水素、フルオロまたはメチルであり、
Xが−C(R4)=である場合において、R3およびR4のうち1つ未満が水素以外であり得る場合、R4は、水素、フルオロまたはメチルであり、
R5は、水素、メチルまたはエチルである。
【0022】
本発明はまた、式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な酸付加塩、および薬学的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む薬学的組成にも関する。別の実施形態において、本発明は、5−HT1Fレセプタの活性化、硬膜タンパク質管外遊出の抑制、および/または哺乳類(特にヒト)における片頭痛の治療または回避向けに適合された薬学的組成にも関する。上記薬学的組成は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な酸付加塩、および薬学的に受容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む。
【0023】
さらに、本発明は、哺乳類(特に、ヒト)における5−HT1Fレセプタを活性化させるための方法に関する。上記方法は、このような活性化を必要とする哺乳類に対し、有効量の式Iの化合物、または、その薬学的に受容可能な酸付加塩を投与する工程を含む。
【0024】
さらに、本発明は、哺乳類(特にヒト)における硬膜タンパク質管外遊出を抑制する方法に関する。上記方法は、このような抑制を必要とする哺乳類に対し、有効量の式Iの化合物、または、その薬学的に受容可能な酸付加塩を投与する工程を含む。
【0025】
さらに、本発明は、哺乳類(特にヒト)における片頭痛の治療または回避のための方法に関する。上記方法は、このような治療または回避を必要とする哺乳類に対し、有効量の式Iの化合物、または、その薬学的に受容可能な酸付加塩を投与する工程を含む。
【0026】
本発明の別の局面は、式Iの化合物の薬物(特に、5−HT1Fレセプタの活性化、硬膜タンパク質管外遊出の抑制、および/または哺乳類(特にヒト)における片頭痛の治療または回避向けに適合された薬物)としての使用に関する。すなわち、本発明は、5−HT1Fレセプタの活性化、硬膜タンパク質管外遊出の抑制、および/または、哺乳類(特にヒト)における片頭痛の治療または回避のための、式Iの化合物の使用に関する。
【0027】
さらに、本発明は、式Iの1つ以上の化合物の、5−HT1Fレセプタの活性化、硬膜タンパク質管外遊出の抑制、および/または、哺乳類(特にヒト)における片頭痛の治療または回避のための薬物の製造における使用、に関する。
【0028】
さらに、本発明は、5−HT1Fを媒介とする疾患の治療および/または回避のための方法を提供する。上記方法は、このような治療または回避を必要とする哺乳類(特にヒト)に対し、有効量の式Iの化合物、または、その薬学的に受容可能な酸付加塩を投与する工程を含む。好適な実施形態において、上記5−HT1Fを媒介とする疾患は、硬膜タンパク質管外遊出および/または片頭痛である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下の詳細な説明は、当業者による本発明の実施を支援するために、提供される。とはいえ、当業者であれば、本発明による発見の趣旨または範囲から逸脱することなく、本明細書中議論される実施形態の改変および変更が可能であり、以下の説明は、本発明を過度に限定するものとして解釈されるべきものではない。このような改変および変更は、本発明の範囲内のものとして企図される。
【0030】
本発明の一実施形態は、血管収縮性活性を回避しつつ、5−HT1Fレセプタの活性化を増加させることで、哺乳類中のセロトニンの神経伝達低減とリンクしている多様な疾患を治療する方法である。このような疾患を挙げると、偏頭痛、一般的痛み、三叉神経痛、歯痛または顎関節機能不全痛(temperomandibular)、不安、一般的不安疾患、パニック障害、うつ病、睡眠障害、慢性疲労症候群、月経前症候群または黄体期症候群(late luteal phase syndrome)、外傷後症候群、記憶喪失、認知症(加齢認知症を含む)、対人恐怖、自閉症、注意欠陥多動性障害、破壊的行動障害、衝動調節障害、境界性人格障害、強迫神経症障害、精液早漏、勃起障害、過食症、拒食症、アルコール依存症、タバコ濫用、無言症、および抜毛癖がある。本発明の化合物は、偏頭痛の予防的治療用途にも有用である。これらの方法のいずれも、式Iの化合物を用いている。好適な実施形態において、式Iの化合物の投与によって治療されるべき哺乳類はヒトである。
【0031】
セロトニン作動薬による治療が可能な疾患が、確立されかつ受容された分類によって公知である場合、その分類は、多様なソースから見つけることができる。例えば、現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM−IV(登録商標))の第4版(1994、American Psychiatric Association、Washington、D.C.)を参照すれば、本明細書中に記載される疾患の多くを特定するための診断ツールが得られる。また、International Classification of Diseases(第10改訂版(ICD−10)を参照すれば、本明細書中に記載される疾患の多くについての分類が得られる。当業者であれば、本明細書中に記載される疾患(DSM−IVおよびICD−10に記載のようなものも含む)に関する別の命名法、病気の知識、および分類システムが存在し、専門用語および分類システムは医学科学的伸展と共に発展することを、認識する。
【0032】
5−HT1Fレセプタの活性化目的のため、硬膜タンパク質管外遊出の抑制目的のため、(一般的な或いは特異的に三叉神経節の刺激による)、および/または上述した疾患のうちいずれかの治療の目的のために式Iの化合物を使用することは全て、本発明の実施形態である。1つの好適な実施形態において、本発明は、哺乳類(例えばヒト)における偏頭痛の治療方法を提供する。本方法は、このような治療を必要とする哺乳類に対して、薬剤的に有効な量の式Iの化合物を投与する工程を含む。別の好適な実施形態において、本発明は、哺乳類(例えばヒト)における偏頭痛を回避する方法を提供する。本方法は、このような治療を必要とする哺乳類に対して、薬剤的に有効な量の式Iの化合物を投与する工程を含む。
【0033】
同様に、式Iの化合物または2つ以上の式Iの化合物の組み合わせを、5−HT1Fレセプタの活性化のための薬物の製造、硬膜タンパク質管外遊出の抑制目的、(一般的な或いは特異的に三叉神経節の刺激による)、および/または上述した疾患のうちいずれかの治療の目的のために式Iの化合物を使用することもまた全て、本発明の実施形態である。
【0034】
至る所で用いられている一般的な化学用語は、その一般的な意味を有する。例えば、アルキルという用語は、分岐または非分岐飽和炭化水素基を指す。「n−アルキル」という用語は、非分岐アルキル基を指す。例示目的のため、しかし非限定的に、「C1−C2アルキル」という用語は、メチルおよびエチルを指す。「C1−C3n−アルキル」という用語は、メチル、エチル、およびn−プロピルを指す。「C1−C3アルキル」という用語は、メチル、エチル、n−プロピル、およびイソプロピルを指す。「C1−C4アルキル」という用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびt−ブチルを指す。「C1−C6アルキル」という用語は、1〜6の炭素原子を有する分岐および非分岐アルキル基全てを指す。「C2−C6アルキル」という用語は、2〜6の炭素原子を有する分岐および非分岐アルキル基全てを指す。「C3−C6シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを指す。「C3−C7シクロアルキル」という用語は、シクロヘプチルも含む。.シクロアルキルアルキルは、n−アルキル鎖を通じて結合されたシクロアルキル部分を指す(例えば、1〜3炭素n−アルキル鎖を通じて結合されたC3−C6シクロアルキル部分を指す「C3−C6シクロアルキル−C1−C3アルキル」(ただし、これに限定されない)。各アルキル、シクロアルキル、およびシクロアルキルアルキル基は、本明細書において提供されているように、必要に応じて置換してもよい。
【0035】
「アルコキシ」、「フェニロキシ」、「ベンジルオキシ」および「ピリミジニルオキシ」という用語は、アルキル基、フェニル基、ベンジル基またはピリミジニル基をそれぞれ指し、これらはそれぞれ、本明細書において提供されているように必要に応じて置換されてもよく、酸素原子を通じて結合される。
【0036】
「アルキルチオ」、「フェニルチオ」および「ベンジルチオ」という用語は、アルキル基、フェニル基、またはベンジル基をそれぞれ指し、これらはそれぞれ、置換本明細書において提供されているように必要に応じて置換されてもよく、硫黄原子を通じて結合される。
【0037】
「C1−C4アシル」という用語は、カルボニル部分を通じて結合されたホルミル基またはC1−C3アルキル基を指す。「C1−C4アルコキシカルボニル」とう用語は、カルボニル部分を通じて結合されたC1−C4アルコキシ基を指す。
【0038】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。好適なハロ基としては、フルオロ、クロロおよびブロモがある。より好適なハロ基としては、フルオロおよびクロロがある。
【0039】
「複素環」という用語は、窒素、酸素および硫黄から選択された1〜3のヘテロ原子を含む飽和または不飽和5員または6員環を意味するように受け取られ、前記環は、必要に応じてベンゼン環と融合される。本発明の目的のための例示的な複素環を挙げると、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピリジニル、N−メチルピロリル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンゾフラニイル、ベンゾチオフェニル、インドリルなどがある。これらは全て、必要に応じて置換されてもよく、当該複素環がベンゼン環と融合した場合、必要に応じてベンゾ環上で置換されたものを含む。
【0040】
置換アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシまたはアルキルチオは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシまたはアルキチオ基をそれぞれ意味し、ハロ、ヒドロキシおよびC1−C3アルコキシからなる群から選択される置換基と独立的に1回以上置換される。好適な置換を挙げると、ハロとの1〜5回の置換がある。このようなハロはそれぞれ、独立的に選択されるか、または、ハロと1〜3回置換され、ヒドロキシおよびC1−C3アルコキシから選択された基と独立的に1〜2回置換され、または、ヒドロキシおよびC1−C3アルコキシから選択された基と独立的に1〜3回置換される(ただし、1つ未満のヒドロキシおよび/またはアルコキシ置換基が同一炭素を通じて付着され得る場合)。
【0041】
「置換フェニル」および「置換複素環」という用語は、いずれかの場合の環状部分が、1〜5の(好適には1〜3の)ハロ置換基と置換されるか、または、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、シアノ、およびニトロからなる群から独立的に選択された1〜2の置換基と置換されたものを意味するものとして取られ、ここで、各アルキル、アルコキシおよびアルキルチオ置換基は、フルオロ、クロロ、およびブロモからそれぞれ独立的に選択された1〜5のハロ基と独立的にさらに置換してもよい。置換基がハロあるで場合、好適なハロ基は、フルオロおよびクロロである。
【0042】
本明細書中用いられる略語は、以下のように定義される。
【0043】
分析計算は、計算された元素分析を意味する。
【0044】
BINAPは、2、2’−bis(ジフェニルホスフィノ)−1、1’ビナフチルを意味する。
【0045】
DCMは、ジクロロメタンを意味する。
【0046】
DMFは、N、N−ジメチルホルムアミドを意味する。
【0047】
DMSOは、ジメチルスルホキシドを意味する。
【0048】
ESは、電子スプレーを意味する。
【0049】
EtOAcは、エチルアセテートを意味する。
【0050】
EtOHは、エタノールを意味する。
【0051】
MeOHは、メタノールを意味する。
【0052】
MSは、質量スペクトルを意味する。
【0053】
n−BuLiは、n−ブチルリチウムを意味する。
【0054】
Pd2(dba)3は、tris(ジベンジルイデネアセトン(ideneacetone))ジパラジウム(0)を意味する。
【0055】
Pd(OAc)2は、パラジウム(II)アセテ−トを意味する。
【0056】
p−TsOHは、パラ−トルエンスルホン酸を意味する。
【0057】
THFは、テトラヒドロフランを意味する。
【0058】
本明細書中において用いられるような「アミノ保護基」は、当該化合物上の他の官能基と反応しつつアミノ官能基をブロックまたは保護するために一般的にもちいられる置換基を指す。このようなアミノ保護基の例を挙げると、ホルミル基、トリチル基、フタリミド基、アセチル基、トリクロロアセチル基、クロロアセチル、ブロモアセチル、およびヨードアセチル基、ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(「FMOC」)、t−ブトキシカルボニル(t−BOC))、および同様のアミノ保護基がある。用いられるアミノ保護基の種は、当該誘導体化アミノ基が分子の他の位置上の後続反応の条件に対して安定しており、かつ、当該分子の残余を混乱させることなく適切な点において除去可能である限り、重要ではない。アミノ保護基の選択および使用(付加および後続除去)は、当業者に周知である。上記用語によって言及されるさらなる基については、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wutsによって著された「Protective Groups in Organic Synthesis」(第3版、JohnWileyおよびSons、New York、NY、1999、第7章(以下「Greene」と呼ぶ))中に記載がある。
【0059】
「薬学的」または「薬学的に受容可能な」という用語が本明細書中で形容詞として用いられる場合、受容者に対して実質的に非毒性でありかつ実質的に無害であることを意味する。
【0060】
「薬学的組成」により、担体、溶媒、賦形剤および塩が、当該組成の有効成分(例えば、Iの化合物)と適合しなければならないことがさらに意味される。当業者であれば、「薬学的処方」および「薬学的組成」という用語は、一般的に相互交換可能であり、本出願の目的のためにそのように用いられることを理解する。
【0061】
「酸付加塩」という用語は、化合物と鉱酸または有機酸との反応によって調製される化合物の塩を指す。本発明の化合物は、多様な有機酸および無機酸を持つ薬学的に受容可能な酸付加塩を形成し、薬学化学において頻繁に用いられる生理学的に受容可能な塩を含む。このような塩も、本発明の実施形態である。「薬学的に−受容可能な(酸)付加塩」は、当業界において周知の薬学的に受容可能な酸から形成される。このような塩を挙げると、当業者にとって周知であるBerge、S.M、Bighley、D.,およびMonkhouse,D.C.による「J.Pharm.Sci.」(66:1、(1977))において例示された、薬学的に受容可能な塩がある。
【0062】
このような塩を形成する際に一般的に用いられる無機酸を挙げると、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などがある。このような塩を形成する際に一般的に用いられる有機酸を挙げると、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などがある。よって、このような薬学的に受容可能な塩の例を挙げると、硫酸塩、ピロ硫酸、重硫酸塩、亜硫酸塩剤、重亜硫酸、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、アセテ−ト、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプロン酸塩、アクリレート、ギ酸塩、イソ酪酸、カプロン酸塩、ヘプタン酸、プロピオラート、シュウ酸塩、マロン酸、コハク酸、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸、マレイン酸塩、ブチン−1、4−ジオアート、ヘキシン−1、6−ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸エステル、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニルアセテ−ト、フェニルプロピオン酸塩、フェニルブチラート、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシブチラート、グリコレート、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸などがある。ことが周知である。このような化合物は、様々なモル比で塩を形成して、半酸、一酸、二酸塩などを提供することができる。
【0063】
「有効量」という用語は、5−HT1Fレセプタの活性化および/または硬膜タンパク質管外遊出の抑制を行うことが可能な式Iの化合物の量を意味する。
【0064】
「適切な溶媒」という用語は、任意の溶媒または溶媒混合物であって、反応物質を十分に可溶化させて、所望の反応を実施することが可能な媒体を提供する進行中の反応に対して不活性の溶媒または溶媒混合物を指す。
【0065】
本発明の化合物は、立体異性体として存在し得ることが理解される。そのため、全ての鏡像異性体、ジアステレオマーそのおよび混合物は、本発明の範囲に含まれる。特定の立体化学が本願において特定される場合、(R)−および(S)−のCahn−Prelog−Ingold指示ならびに相対立体化学のcisおよびtrans指示は、特定の異性体および相対的立体化学を指す際に用いられる。全ての鏡像異性体、ジアステレオマーおよびその混合物は本発明内にあると企図されるが、好適な実施形態は、単一鏡像異性体および単一ジアステレオマーである。
【0066】
本発明の化合物は全て、5−HT1Fアゴニストとして有用であるが、特定のクラス(例えば、以下に選択され列挙された置換基のうち任意のものを有する化合物)が好適である。
【0067】
1)Arは、フェニルまたは置換フェニルである。
【0068】
2)Arは、モノハロ、ジハロまたはトリハロ置換フェニルである。
【0069】
3)Arは、複素環または置換複素環である。
【0070】
4)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピリジニル、N−メチルピロリル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンゾフラン−イル、ベンゾチオフェニル、インドリルからなる群から選択される。
【0071】
5)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、フラニルからなる群から選択される。
【0072】
6)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、チオフェニルからなる群から選択される。
【0073】
7)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、ピロリルからなる群から選択される。
【0074】
8)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、ピリジニルからなる群から選択される。
【0075】
9)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、N−メチルピロリルからなる群から選択される。
【0076】
10)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、ピリミジニルからなる群から選択される。
【0077】
11)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、ピラジニルからなる群から選択される。
【0078】
12)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、ベンゾフラン−イルからなる群から選択される。
【0079】
13)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、ベンゾチオフェニルからなる群から選択される。
【0080】
14)Arは、複素環または置換複素環であり、ここで、上記複素環は、インドリルからなる群から選択される。
【0081】
15)R1はメチルである。
【0082】
16)R1およびR2はどちらとも、メチルである。
【0083】
17)R3は水素である。
【0084】
18)R3はフルオロである。
【0085】
19)R3は、アミド基に対するメタまたはパラである。
【0086】
20)R3は、アミド基に対するメタである。
【0087】
21)R3は、フルオロであり、アミド基に対するメタである。
【0088】
22)Xが−C(R4)=である場合、R4は水素である。
【0089】
23)Xが−C(R4)=である場合、R4はフルオロである。
【0090】
24)R5は水素である。
【0091】
25)R5はメチルである。
【0092】
26)Arは置換フェニルであり、R1およびR2はどちらともメチルであり、R3は水素またはフルオロであり、R4が存在する場合、そのR4は水素であり、R5は、水素またはメチルである。
【0093】
27)Arは置換フェニルであり、R1およびR2はどちらともメチルであり、R3は水素であり、R4が存在する場合、そのR4はフルオロであり、R5は水素またはメチルである。
【0094】
28)Arは置換フェニルであり、R1およびR2はどちらともメチルであり、R3は水素またはフルオロであり、R4が存在する場合、そのR4は水素であり、R5は水素である。
【0095】
29)Arは置換フェニルであり、R1およびR2はどちらともメチルであり、R3は水素であり、R4が存在する場合、そのR4はフルオロであり、R5は水素である。
【0096】
上記のクラスを組み合わせて、さらなる好適なクラス(例えば、2つ以上の置換基の好適な選択の組み合わせ)を形成してもよいことが理解される。
【0097】
本発明の化合物は、多数の別のルート(例えば、スキーム1〜4に示すもの)を通じて合成することができる。これらのスキームの工程のための適切な反応条件は、当業界において周知であり、溶媒および共反応物の適切な置換が、当業界の範囲内にある。同様に、当業者であれば、合成中間体の単離および/または合成中間体の精製を多様な周知の技術によって必要に応じてまたは所望な場合に行うことができ、また、後続合成工程において精製をほとんど行わないかまたは精製無しに様々な中間体を直接用いることが可能である場合が多いことを理解する。全ての置換基は、他に明記無き限り、上記にて定義したようなものであり、全ての試薬は周知であり、当業界において理解される。
【0098】
1つの好適な合成ルートにおいて、スキーム1に示すように、最終化合物は、適切なAr−ハロゲン化アシルと適切なアミノ中間体IIとの濃縮によって形成される。
【0099】
スキーム1
【化2】

ここで、置換基は、上記にて定義された通りである。
【0100】
典型的には、アミノ中間体II、所望のR1−ハロゲン化アシル、プロトン捕捉剤(例えば、トリエチルアミンまたはピリジン)の混合物を適切な溶媒(例えば、ジオキサン、ピリジン)中で、例えばおよそ50℃〜還流で、反応が終了するまで(例えば、およそ2〜15時間)加熱する。ハロゲン化アシルの第2のアリコート(aliquote)を追加し、培養を数時間以上(hours more)継続して、最終生成物をより高い収率で提供すると有益である場合もある。その後、最終生成物を通常のワークアップ手順によって精製する。
【0101】
アミノ中間体IIは、スキーム2に従って、適切な1、3−ジブロモフェニルまたは2、6−ジブロモピリジニル化合物と、適切な4−アミノシクロヘキサノンとの反応によって合成可能である。アミノ基は、最終生成物についてR1およびR2と所望に二置換するか、または、当業界において周知の手順に従ってアミノ保護基によって保護すべきである。アミノ保護基を用いる場合、最終工程において除去して、所望の最終化合物を提供することができる。
【0102】
スキーム2
【化3】

【0103】
典型的には、ジブロモ試薬とアルキルリチウム試薬(例えば、n−BuLi)との反応を、およそ10〜およそ60分間適切な溶媒(例えば、無水エチルエーテル、DCM)中で冷温(例えば、−10℃〜−60℃)で行い、その後、適切なアミノシクロヘキサノンを追加する。およそ1〜4時間後、この反応物を、水、水性NaHCO3溶液などで急冷した後、所望であれば通常のワークアップ手順を行う。
【0104】
その後、残ったブロモ基のアミノ基への変換を、ベンゾフェノンイミン、tris(ジベンジルイデネアセトン(ideneacetone))ジパラジウム(0)、BINAPおよびナトリウムt−ブトキシドを用いた標準的条件下で、適切な溶媒(例えば、トルエン、1、4−ジオキサン)中で行う。通常のワークアップ手順を行うと、R5が水素である化合物の場合はアミノ中間体IIが得られる。R5がメチルまたはエチルである化合物の場合、スキーム2中のアミノ生成物(procduct)と、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドそれぞれとの還元的アルキル化を行うと、所望の中間体がえられる。所望であれば、鏡像異性体を、公知の手順(例えば、キラルクロマトグラフィー)によって分離してもよい。
【0105】
R3が水素以外である化合物は、適切に置換されたジブロモ試薬を用いて同様の条件下で調製可能である。
【0106】
R4がフルオロである化合物の場合、ジブロモ試薬の代わりに第2級アミン(例えば、2、2、6、6−テトラメチルピペリジン)の存在下で、1−ブロモ−2フルオロベンゼンを用いる。スキーム3を参照されたい。
【0107】
スキーム3
【化4】

【0108】
以下の調製および実施例は、本発明の実施をより明確にするために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとしていかようにも解釈されるべきではない。
【0109】
調製
調製1.(4−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン
【化5】

【0110】
1、3−ジブロモベンゼン(6.708g、28.4mmol)および無水エーテル(90mL)を結合させ、−25℃まで冷却する。上記溶液にn−BuLi(ヘキサン中の1.6M溶液、19.4mL、3.0mmol)を付加し、10分間撹拌する。その後、4−ジメチルアミノ−シクロヘキサノン(3.65g、25.8mmol)の溶液を、カニューレを通じて無水エーテル(10mL)中に追加する。この混合物を−10℃で1.5時間攪拌した後、飽和NaHCO3溶液で急冷する。有機層を分離し、水性層の抽出を3回行う。これらの有機層を結合させ、ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、濾過および濃縮を行って、残留物を得る。この残留物をクロマトグラフィーによって精製(シリカゲル、DCM中の7%の2MのNH3/MeOH)して、アルコール中間体を2つのジアステレオマー(6.01g)の混合物として得る。
【0111】
上記アルコールをトリフルオロ酢酸(15.5mL、0.20mol)中で溶解させ、50℃で5時間加熱する。減圧下で揮発性物質を除去し、DCM/水中で残留物を分配し、1NNaOH溶液でpH>11を調節する。水性層の抽出をDCMで3回行い、有機層を結合させ、ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、濾過および濃縮を行って、残留物を得る。クロマトグラフィーによって精製(シリカゲル、DCM中の7%の2MのNH3/MeOH)を行って、標記化合物(3.41g、47.1%二段階収率)を得る。キラルHPLC(ChiralpakAD4.6x250mm、アセトニトリル中で0.2%ジメチルアミン(dimethethylamine)で溶離、流量:1mL/min.)によって2つの鏡像異性体を分離して、2つの鏡像異性体を得る。異性体1A(tR=13.0min)、異性体1B(tR=16.1min)、MS(ES):m/z=280.0(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.54(br、1H)、7.38−7.29(m、2H)、7.22−7.16(m、1H)、6.10(br、1H)、2.55−2.41(m、4H)、2.37(s、6H)、2.27−2.13(m、2H)、1.58(m、1H)。
【0112】
調製2.3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニルアミン(鏡像異性体1)
【化6】

【0113】
キラル(4−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン(調製1、異性体1A、1.71g、6.10mmol)、ベンゾフェノンイミン(1.327g、7.32mmol)、tris(ジベンジルイデネアセトン(ideneacetone))ジパラジウム(0)(112mg、0.122mmol)、BINAP(228mg、0.366mmol)、ナトリウムt−ブトキシドおよびトルエンを結合させる。100℃で15時間加熱する。反応物を0.1N
【0114】
NaOH溶液で急冷し、EtOAcで3回抽出する。これらの有機層を結合させ、ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、濾過および濃縮を行って、黄色の残留物を得る。
【0115】
この残留物をTHF(30mL)中に溶解させ、5N HCl溶液(3mL)を付加し、室温で時間撹拌する。0.1N HCl溶液を付加し、EtOAc/ヘキサン(1:2)で2回抽出する。水性層を保持し、5NNaOH溶液でpH>11を調節し、DCMで3回抽出する。これらの有機層を結合させ、ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、濾過および濃縮を行って、残留物を得る。この残留物をクロマトグラフィーによって精製(シリカゲル、9%2MNH3/MeOHinDCM)して、標記化合物(1.048g、79.4%)を得る。MS(ES)217.4(M+H)+、1HNMR(CDCl3)δ7.12(t、1H)、6.81(m、1H)、6.72(t、1H)、6.61−6.57(m、1H)、6.05−6.03(m、1H)、3.66(br、2H)、2.56−2.46(m、3H)、2.37(s、6H)、2.17−2.10(m、3H)、1.56(m、1H)。
【0116】
調製3.
3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニルアミン(鏡像異性体2)
【化7】

【0117】
調製2と同様の手順を用い、キラル(4−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン(異性体1A、調製1、1.63g、5.82mmol)を用いて、標記化合物(939mg)を得る。MS(ES)217.4(M+H)+。
【0118】
調製4.
(4−(3−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン(鏡像異性体2)
【化8】

【0119】
乾燥ジエチルエーテル(300mL)中に1、3−ジブロモ−5−フルオロ−ベンゼン(19.8g、77.90mmol)を溶解させ、−60℃まで冷却する。1.6M n−BuLiをヘキサン(50.9mL、81.44mmol)中に滴下方向に15分間付加し、さらに15分間撹拌する。4−ジメチルアミノ−シクロヘキサノン(10.0g、70.8mmol)の事前冷却された(−60℃)溶液をジエチルエーテル(200mL)中に滴下方向に30分間付加する。−60℃〜−20℃で2時間撹拌する。その後、雰囲気まで加熱し、1時間撹拌する。反応物を水(200mL)で急冷し、エチルアセテート(3x200mL)で抽出する。ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、濾過および濃縮を行う。残留物の精製をフラッシュクロマトグラフィー(15%2MNH3/MeOHinDCM)によって行って、1−(3−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)−4−ジメチルアミノ−シクロヘキサノールを白泡(14.5g、64.8%)として得る。MS(ES)m/z=316(M−H)−、318(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.41(d、1H、J=2Hz)、7.15(m、2H)、2.3(m、8H)、1.78(m、8H)。
【0120】
1−(3−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)−4−ジメチルアミノ−シクロヘキサノール(14.5g、45.9mmol)、p−TsOH(21.8g、114.6mmol)およびトルエン(200mL)を結合させ、還流まで3時間加熱する。雰囲気まで冷却し、エチルアセテート(500mL)および1MNaOH溶液(250mL)間で分配する。この有機層を1M NaOH溶液(200mL)および飽和水性NaCl(200mL)で洗浄し、ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、濾過および濃縮を行う。この残留物をクロマトグラフィーによって精製(シリカゲル、10%2MNH3/MeOHinDCM)して、(4−(3−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン(10.8g、79%)を得る。MS(ES)m/z=298(M−H)−、300(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.25(d、1H、J=2Hz)、7.02(dd、1H、J=8Hz、J=2Hz)、6.9(dd、1H、J=8Hz、J=2Hz)、6.04(m、1H)、2.38(m、4H)、2.27(s、6H)、2.09(m、2H)、1.48(m、1H)。
【0121】
調製5.
3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−5−フルオロ−フェニルアミン
【化9】

【0122】
(4−(3−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン(10.8g、36.2mmol)、ベンズヒドリリデンアミン(7.88g、43.5mmol)、トルエン(250mL)、BINAP(0.90g、1.44mmol)およびナトリウムt−ブトキシド(4.87g、50.7mmol)を結合させ、90℃まで均質になるまで10分間加熱する。tris(ジベンジルイデネアセトン(ideneacetone))ジパラジウム(0)(0.66g、0.72mmol)を付加し、100℃まで3時間加熱する。6MHCl溶液(60mL)を注意深く付加し、100℃で1時間加熱を継続する。雰囲気まで冷却し、エチルアセテート(2x100mL)で洗浄する。5N NaOH溶液で水性層を塩基性化し、エチルアセテート(3x250mL)で抽出する。この有機層をナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、濾過および濃縮を行う。残留物の精製をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM中の10%の2MNH3/MeOH)によって行って、3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−5−フルオロ−フェニルアミン(2.84g、33.5%)を得る。
【0123】
鏡像異性体の分解を、キラルHPLC(ChiralpakAD、4.6x250mm、流量:1mL/min.)を用いて、0.2%ジメチルエチルアミンでの100%MeOHでの溶離により行って、ほぼ等量の2つの鏡像異性体を得る。異性体5A(tR=6.0min)および異性体5B(tR=7.1min)。双方の化合物のスペクトル:MS(ES)m/z=235(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ6.45(m、2H)、6.24(dd、1H、J=8Hz、J=2Hz)、6.03(m、1H)、3.75(bs、2H)、2.4(m、4H)、2.35(s、6H)、2.12(m、2H)、1.52(m、1H)。
【0124】
調製6.
1−(3−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−ジメチルアミノ−シクロヘキサノール
【化10】

【0125】
ヘキサン(30mL)中の2、2、6、6−テトラメチルピペリジン(4.56g、32.6mmol)の溶液中に、n−BuLi(20.2mL、1.6Minヘキサン、32.3mmol)を−78℃で付加する。1−ブロモ−2−フルオロ−ベンゼン(4.71g、26.9mmol)を付加し、1時間撹拌する。4−ジメチルアミノ−シクロヘキサノン(3.80mL)をヘキサン(30mL)中にゆっくりと付加し、1時間撹拌する。冷却槽を除去し、さらに2時間撹拌する。反応混合物を飽和水性NaClとエチルアセテートとの間で分配し、無水ナトリウム硫酸塩で有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、この残留物を、シリカゲルカラム(DCM:MeOH中2M NH3、勾配)上のクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物(2.04g)を得る。MS(ES):m/z=318(M+H)+および316(M−H)−.1HNMR(CDCl3):δ7.43(m、2H)、6.98(m、1H)、2.45(m、2H)、2.21(s、6H)、2.13(m、1H)、1.92(m、2H)、1.64(m、4H)。
【0126】
調製7.
(4−(3−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン
【化11】

【0127】
1−(3−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−ジメチルアミノ−シクロヘキサノール(調製6、2.04g、6.45mmol)およびp−TsOH一水和物(3.07g、16mmol)をトルエン(50mL)中で還流で2時間加熱する。反応混合物を飽和水性NaClおよびエチルアセテート間で分配し、有機相を無水ナトリウム硫酸塩で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、この残留物を、シリカゲルカラム(DCM:MeOH中2M NH3、勾配)上のクロマトグラフィーによって精製して、標記生成物(1.70g)を得る。MS(ES):m/z=300(M+H)+および298(M−H)−。1HNMR(CDCl3):δ7.39(m、1H)、7.14(m、1H)、6.94(m、1H)、5.88(m、1H)、2.60−2.38(m、4H)、2.35(s、6H)、2.20(m、1H)、2.08(m、1H)、1.56(m、1H)。
【0128】
調製8.
3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−2−フルオロ−フェニルアミン
【化12】

【0129】
(4−(3−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン(調製7、1.70g、6.84mmol)、ベンゾフェノンイミン(1.24g、6.84mmol)、tris(ジベンジルイデネアセトン(ideneacetone))ジパラジウム(0)(0.104g、0.11mmol)、ラセミBINAP(0.142g、0.228mmol)、およびナトリウムt−ブトキシド(0.767g、0.8mmol)をトルエン(5mL)で結合させ、還流で2時間加熱する。反応混合物をMeOH中で溶解させ、SCXカラム(Bond Elute(登録商標)、10g)を通じて濾過し、MeOHで洗浄し、MeOH中の2M NH3で生成物を溶離させ、溶媒を蒸発させ、シリカゲルカラム(DCM:MeOH中2M NH3、勾配)上でさらに精製して、純粋なベンズヒドリリデン−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−2−フルオロ−フェニル)−アミン(2.39g)を得る。MS(ES):m/z=399(M+H)+.1HNMR(CDCl3):δ7.76(m、2H)、7.46(m、1H)、7.40(m、2H)、7.25(m、4H)、7.13(m、2H)、6.85(m、1H)、6.73(m、1H)、6.65(m、1H)、5.70(m、1H)、3.05(m、1H)、2.61(s、6H)、2.6−2.2(m、5H)、1.75(m、1H)。
【0130】
THF(20mL)中の上記ベンズヒドリリデン−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−2−フルオロ−フェニル)−アミン(2.27g、5.7mmol)の溶液中に濃縮塩酸(2mL)を付加し、還流で1時間加熱する。この濃縮物(conc)NH4OHで反応混合物を塩基性化させ、飽和水性NaClおよびDCM間で分配し、有機相を無水ナトリウム硫酸塩で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、この残留物を、シリカゲルカラム(DCM:MeOH中2M NH3、勾配)上のクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物(1.189g)を得る。MS(ES):m/z=235(M+H)+.1HNMR(CDCl3):δ6.85(m、1H)、6.64(m、1H)、6.87(m、1H)、5.87(m、1H)、3.70(brs、2H)、2.3−2.6(m、4H)、2.35(s、6H)、2.18(m、1H)、2.06(m、1H)、1.55(m、1H)。
【0131】
調製9.
(4−(6−ブロモ−ピリジン−2−イル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン
【化13】

【0132】
窒素雰囲気下で、2、6−ジブロモピリジン(10g、42.4mmol)を無水DCM(250mL)中に溶解させる。−78℃まで冷却する。n−BuLi(ヘキサン中1.6M)(29mL、46.2mmol)の溶液を、注射器を通じて非常にゆっくりと付加する。付加後、反応物を−78℃で1時間攪拌する。無水DCM(10mL)中の4−ジメチルアミノ−シクロヘキサノン(5.4g、38.5mmol)の溶液を、滴下方向に反応混合物に注射器を通じて付加する。反応物を−78℃で90分間撹拌する。その後、室温まで4時間よりも長くゆっくりと加熱する。反応物を飽和NaHCO3溶液で急冷する。より多くのDCMで希釈し、より多くの飽和NaHCO3溶液で洗浄する。有機層を分離させ、無水ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させる。この残留物をクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM中6%の2M NH3−MeOH)によって精製して、所望の1−(6−ブロモ−ピリジン−2−イル)−4−ジメチルアミノ−シクロヘキサノールをジアステレオマー(7.7g、67%収率)の混合物として得る。MS(ES):m/z=299(M+H)+。
【0133】
上記1−(6−ブロモ−ピリジン−2−イル)−4−ジメチルアミノ−シクロヘキサノール(7g、23.4mmol)、p−トルエンスルホン酸(sulfonic acic)一水和物(15.3g、80.5mmol)、無水トルエン(600mL)を混合する。還流でDean Stark trapで16時間加熱する。室温まで冷却する。減圧下で濃縮する。エチルアセテートおよび2M NaOH溶液間で分配する。有機層を分離させ、水性層の
抽出をエチルアセテートで2回行う。有機成分を結合させ、ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、残留物まで濃縮する。この残留物をクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM中6%の2M NH3−MeOH)によって精製して、(4−(6−ブロモ−ピリジン−2−イル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン(5.3g、81%収率)を得る。MS(ES):m/z=299(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.45(m、1H)、7.27(m、2H)、6.72(m、1H)、2.69(m、1H)、2.45(m、3H)、2.33(s、6H)、2.21(m、2H)、1.58(m、1H)。
【0134】
ラセミ混合物のキラルHPLC分解能(Chiralpak AD 4.6 X250mm、アセトニトリル中5%MeOH、流量:1mL/min.)により、標記化合物の2つの鏡像異性体を得る。異性体−9A(1.47g)(tR=9.2min)および異性体−9B(1.49g)(tR=13.7min)。
【0135】
調製10.
6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン(鏡像異性体1)
【化14】

【0136】
調製2と同様の手順を用い、(4−(6−ブロモ−ピリジン−2−イル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン(異性体9A、調製9、1.35g、4.80mmol)を用いて、標記化合物を淡黄色の油(912mg、80%収率)として得る。MS(ES):m/z=218.0(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.38(1H)、6.70(d、1H)、6.62(m、1H)、6.36(d、1H)、4.42(br、2H)、2.67(m、1H)、2.43(m、3H)、2.33(s、6H)、2.11(m、2H)、1.53(m、1H)。
【0137】
調製11.
6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン(鏡像異性体2)
【化15】

【0138】
調製2と同様の手順を用い、(4−(6−ブロモ−ピリジン−2−イル)−シクロヘクス−3−エニル)−ジメチルアミン(異性体9B、調製9、1.49g、5.30mmol)を用いて、標記化合物を淡黄色の油(711mg、62%収率)として得る。MS(ES):m/z=218.0(M+H)+。
【0139】
実施例
実施例1
N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化16】

【0140】
ピリジン(8mL)中の3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニルアミン(調製2、176mg、0.814mmol)の溶液に4−フルオロベンゾイル塩化物(155mg、0.976mmol)を付加し、55℃で一晩加熱する。減圧下で揮発性物質を除去し、残留物をDCM中に溶解させ、0.1N NaOHで洗浄し、ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、濾過および濃縮を行って、残留物を得る。この残留物をクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM中8%の2M NH3/MeOH)によって精製して、標記化合物の遊離塩基(203mg、74%)を得る。MS(ES):m/z=339.2(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.92(m、3H)、7.70(s、1H)、7.52(d、1H)、7.32(t、1H)、7.18(m、3H)、6.12(m、1H)、2.50(m、4H)、2.37(s、6H)、2.13(m、2H)、1.57(m、1H)。
【0141】
遊離塩基をMeOH中に溶解させ、0.6mLの1N HClをエーテル中に付加し、混合物を撹拌し、より多くのエーテルを付加して、標記化合物を沈殿させる。上清のほとんどをピペットで除去し、生成物を窒素ストリーム下で乾燥させる。
【0142】
実施例2
N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニル)−2、4、6−トリフルオロベンズアミド塩酸塩
【化17】

【0143】
実施例1と同様の方法を用い、2、4、6−トリフルオロベンゾイル塩化物(127mg、0.655mmol)および3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニルアミン(調製2、118mg、0.545mmol)を用いると、標記化合物(遊離塩基、180mg、88%)が得られる。遊離塩基:MS(ES):m/z=375.2(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.78(s、br、1H)、7.67(s、1H)、7.48(d、1H)、7.32(t、1H)、7.22(d、1H)、6.78(m、2H)、6.12(m、1H)、2.50(m、4H)、2.37(s、6H)、2.15(m、2H)、1.57(m、1H)。塩酸塩:C21H21F3N2OHClH2Oに関する分析計算:C、58.81;H、5.64;N、6.53。発見物:C、58.95;H、5.30;N、6.55。
【0144】
実施例3
3−クロロ−N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニル)−2、6−ジフルオロベンズアミド塩酸塩
【化18】

【0145】
実施例1と同様の方法を用い、3−クロロ−2、6−ジフルオロベンゾイル塩化物(142mg、0.67mmol)および3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニルアミン(調製2、121mg、0.56mmol)を用いると、標記化合物(遊離塩基166mg、76%)が得られる。遊離塩基:MS(ES):m/z=391.2(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.79(s、br、1H)、7.68(br、1H)、7.49(m、2H)、7.34(t、1H)、7.22(d、1H)、7.00(dt、1H)、6.12(m、1H)、2.46(m、4H)、2.38(s、6H)、2.15(m、2H)、1.59(m、1H)。塩酸塩:C21H21ClF2N2OHCl0.25H2Oに関する分析計算:C、58.41;H、5.25;N、6.49。発見物:C、58.65;H、5.16;N、6.51。
【0146】
実施例4
2−クロロ−N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニル)−6−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化19】

【0147】
実施例1と同様の方法を用い、2−クロロ−6−フルオロベンゾイル塩化物(132mg、0.69mmol)および3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニルアミン(調製2、124mg、0.57mmol)を用いると、標記化合物(遊離塩基208mg、98%)が得られる。遊離塩基:MS(ES):m/z=373.2(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7、68(m、2H)、7.52(d、1H)、7.36(m、2H)、7.25(m、1H)、7.23(t、1H)、7.10(m、1H)、6.12(m、1H)、2.50(m、4H)、2.36(s、6H)、2.15(m、2H)、1.58(m、1H)。塩酸塩:C21H22ClFN2OHCl0.6H2Oに関する分析計算:C、60.03;H、5.81;N、6.67。発見物:C、59.75;H、5.31;N、6.55。
【0148】
実施例5
2−クロロ−N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化20】

【0149】
実施例1と同様の方法を用い、2−クロロ−4−フルオロベンゾイル塩化物(128mg、0.66mmol)および3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニルアミン(調製2、119mg、0.55mmol)を用いると、標記化合物(遊離塩基187mg、91%)が得られる。遊離塩基:MS(ES):m/z=373.2(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ8.08(s、br、1H)、7.77(m、1H)、7.68(s、br、1H)、7.52(d、1H)、7.32(t、1H)、7.19(m、2H)、7.09(m、1H)、6.11(m、1H)、2.51(m、4H)、2.36(s、6H)、2、14(m、2H)、1.57(m、1H)。塩酸塩:C21H22ClFN2OHCl0.5H2Oに関する分析計算:C、60.29;H、5.78;N、6.70。発見物:C、60.17;H、5.45;N、6.65。
【0150】
実施例6
N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化21】

【0151】
実施例1と同様の方法を用い、3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニルアミン(鏡像異性体2、調製3、169mg、0.78mmol)および4−フルオロベンゾイル塩化物(149mg、0.94mmol)を用いると、89mg(34%)の標記化合物の遊離塩基のが得られる:MS(ES):m/z=339.2(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.91(m、3H)、7.69(br、1H)、7.50(d、1H)、7.33(t、1H)、7.18(m、3H)、6.13(m、1H)、2.51(m、4H)、2.37(s、6H)、2.13(m、2H)、1.57(m、1H)。塩酸塩:C21H23FN2OHCl0.5H2Oに関する分析計算:C、65.70;H、6.56;N、7.30。発見物:C、65.30;H、6.16;N、7.21。
【0152】
実施例7
N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニル)−2、4、6−トリフルオロベンズアミド塩酸塩
【化22】

【0153】
実施例1と同様の方法を用い、2、4、6−トリフルオロベンゾイル塩化物(105mg、0.54mmol)およびキラル3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−フェニルアミン(鏡像異性体2、調製3、97mg、0.45mmol)を用いると、標記化合物の遊離塩基(遊離塩基142mg、85%)が得られる:遊離塩基:MS(ES):m/z=375.2(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.80(s、br、1H)、7.66(t、1H)、7.48(d、1H)、7.32(t、1H)、7.21(dt、1H)、6.78(m、2H)、6.12(m、1H)、2.54(m、4H)、2.37(s、6H)、2.14(m、2H)、1.57(m、1H)。塩酸塩:C21H21F3N2OHCl1.2H2Oに関する分析計算:C、58.32;H、5.69;N、6.48。発見物:C、58.21;H、5.03;N、6.39。
【0154】
実施例8
2−クロロ−N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘセ−1−ニル)−フェニル)−6−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化23】

【0155】
実施例1と同様の方法を用い、2−クロロ−6−フルオロベンゾイルクロリド(103mg、0.53mmol)および3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘキセ−1−ニル)−フェニルアミン(鏡像異性体2、標品3、96mg、0.44mmol)を用いると、標記化合物(遊離塩基150mg、91%)が得られる:遊離塩基:MS(ES):m/z=373.1(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ7.90(s、1H)、7.67(t、1H)、7.52(d、1H)、7.27(m、4H)、7.08(m、1H)、6.10(m、1H)、2.52(m、4H)、2.34(s、6H)、2.12(m、2H)、1.55(m、1H)。塩酸塩:C21H22ClFN2OHCl0.25H2Oに対する元素分析計算値:C、60.95;H、5.72;N、6.77.実験値:C、60.81;H、5.57;N、6.81。
【0156】
実施例9
2−クロロ−N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘキセ−1−ニル)−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化24】

【0157】
実施例1と同様の方法を用い、2−クロロ−4−フルオロベンゾイルクロリド(106mg、0.55mmol)および3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘキセ−1−ニル)−フェニルアミン(鏡像異性体2、標品3、99mg、0.46mmol)を用いると、標記化合物(遊離塩基162mg、94%):MS(ES)が得られる:m/z=373.2(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ8.04(s、br、1H)、7.78(m、1H)、7.68(s、1H)、7.50(d、1H)、7.33(t、1H)、7.20(m、2H)、7.10(m、1H)、6.12(m、1H)、2.55(4H)、2.37(s、6H)、2.15(m、2H)、1.57(m、1H)。塩酸塩:C21H22ClFN2OHCl0.5H2Oに対する元素分析計算値:C、60.29;H、5.78;N、6.70。実験値:C、60.11;H、5.42;N、6.62。
【0158】
実施例10
2−クロロ−N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘキセ−1−ニル)−5−フルオロ−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化25】

【0159】
キラル3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘキセ−1−ニル)−5−フルオロ−フェニルアミン(異性体5A、標品5、0.25g、1.07mmol)、2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルクロリド(0.31g、1.6mmol)および1、4−ジオキサン(5mL)を組み合わせ、加熱して3時間還流する。外界温度まで冷却し、揮発性物質を除去する。残留物の精製をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM中10%の2M NH3/MeOH)により行って、標記化合物の遊離塩基(0.34g、81%)が得られる。塩酸塩への変換を、エーテル中への溶解およびエーテル中の1M HClでの処理によって行う:MS(ES)m/z=391(M+H)+;遊離塩基の1H NMR(CDCl3):δ8.19(s、1H)、7.72(m、1H)、7.42(d、1H、J=10Hz)、7.26(s、1H)、7.16(m、1H)、7.06(m、1H)、6.86(d、1H、J=10Hz)、6.09(bs、1H)、2.40(m、4H)、2.32(s、6H)、2.11(m、2H)、1.53(m、1H)。
【0160】
実施例11
N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘキセ−1−ニル)−5−フルオロ−フェニル)−2、4、6−トリフルオロベンズアミド塩酸塩
【化26】

【0161】
実施例10と同様の方法を用い、2、4、6−トリフルオロベンゾイルクロリド
および3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘキセ−1−ニル)−5−フルオロ−フェニルアミン(異性体5A、標品5)を用いると、標記化合物が得られる。遊離塩基MS(ES)m/z=393(M+H)+;遊離塩基の1HNMR(CDCl3):δ7.68(s、1H)、7.42(d、1H、J=10Hz)、7.28(s、1H)、6.91(dd、1H、J=10Hz、J=2Hz)、6.77(dd、2H、J=10Hz、J=10Hz)、6.11(bs、1H)、2.43(m、4H)、2.35(s、6H)、2.16(m、2H)、1.58(m、1H)。
【0162】
実施例12
2−クロロ−N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−5−フルオロ−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化27】

【0163】
実施例10と同様の方法を用い、2−クロロ−4−フルオロベンゾイル塩化物およびアミン異性体5B(調製5)を用いると、標記化合物が得られる。MS(ES)m/z=391(M+H)+;遊離塩基の1H NMR(CDCl3):δ8.19(s、1H)、7.72(m、1H)、7.42(d、1H、J=10Hz)、7.26(s、1H)、7.16(m、1H)、7.06(m、1H)、6.86(d、1H、J=10Hz)、6.09(bs、1H)、2.40(m、4H)、2.32(s、6H)、2.11(m、2H)、1.53(m、1H)。
【0164】
実施例13
N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−5−フルオロ−フェニル)−2、4、6−トリフルオロベンズアミド塩酸塩
【化28】

【0165】
実施例10と同様の方法を用い、2、4、6−トリフルオロベンゾイル塩化物およびアミン異性体5B(調製5)を用いると、標記化合物が得られる。MS(ES)m/z=393(M+H)+;遊離塩基の1H NMR(CDCl3):δ7.68(s、1H)、7.42(d、1H、J=10Hz)、7.28(s、1H)、6.91(dd、1H、J=10Hz、J=2Hz)、6.77(dd、2H、J=10Hz、J=10Hz)、6.11(bs、1H)、2.43(m、4H)、2.35(s、6H)、2.16(m、2H)、1.58(m、1H)。
【0166】
実施例14
N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−2−フルオロ−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化29】

【0167】
3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−2−フルオロ−フェニルアミン(調製8、0.115g、0.49mmol)および4−フルオロ−ベンゾイル塩化物(93mg、0.586mmol)の混合物をジオキサン(20mL)中で2時間還流させる。SCXカラム(Bond Elute(登録商標)、10g)を通じて反応混合物を濾過し、MeOHで洗浄し、生成物の溶離をMeOH中の2M NH3で行い、溶媒を蒸発させ、シリカゲルカラム(DCM:MeOH中の2M NH3、勾配)上でさらに精製して、標記化合物の遊離塩基(0.125g、72%)を得る。MS(ES):m/z=357(M+H)+.1HNMR(CDCl3):δ8.30(m、1H)、8.00(m、1H)、7.91(m、2H)、7.18(m、2H)、7.12(m、1H)、6.99(m、1H)、5.90(m、1H)、2.68(m、1H)、2.50(m、3H)、2.43(s、6H)、2.26(m、1H)、2.15(m、1H)、1.64(m、1H)。
【0168】
N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−2−フルオロ−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド(0.115g)をDCM中に溶解させ、1N HClをエチルエーテル(0.35mL)中に付加し、蒸発させて、標記化合物を得る。
【0169】
実施例15
N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−2−フルオロ−フェニル)−2、4、6−トリフルオロベンズアミド塩酸塩
【化30】

【0170】
実施例14と同様の方法を用い、2、4、6−トリフルオロベンゾイル塩化物を用いると、標記化合物が得られる。MS(ES):m/z357(M+H)+;遊離塩基の1H NMR(CDCl3):δ8.28(m、1H)、7.90(brs、1H)、7.10(m、1H)、7.01(m、1H)、6.75(m、2H)、5.89(m、1H)、2.35−2.60(m、4H)、2.36(s、6H)、2.20(m、1H)、2.08(m、1H)、1.58(m、1H)。
【0171】
実施例16
2−クロロ−N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−2−フルオロ−フェニル)−4−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化31】

【0172】
実施例14と同様の方法を用い、2−クロロ−4−フルオロベンゾイル塩化物を用いると、標記化合物が得られる。MS(ES):m/z391(M+H)+;遊離塩基の1H NMR(CDCl3):8.30(m、2H)、7.86(m、1H)、7.21(m、1H)、7.12(m、2H)、7.00(m、1H)、5.90(m、1H)、2.35−2.60(m、4H)、2.37(s、6H)、2.21(m、1H)、2.10(m、1H)、1.59(m、1H)。
【0173】
実施例17
2−クロロ−N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−2−フルオロ−フェニル)−6−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩
【化32】

【0174】
実施例14と同様の方法を用い、2−クロロ−6−フルオロベンゾイル塩化物を用いると、標記化合物が得られる。MS(ES):m/z391(M+H)+;遊離塩基の1H NMR(CDCl3):δ8.31(m、1H)、7.76(brs、1H)、7.35(m、1H)、7.26(m、1H)、7.12(m、2H)、7.02(m、1H)、5.89(m、1H)、2.35−2.60(m、4H)、2.36(s、6H)、2.21(m、1H)、2.10(m、1H)、1.58(m、1H)。
【0175】
実施例18
2、4、6−トリクロロ−N−(3−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−2−フルオロ−フェニル)−ベンズアミド塩酸塩
【化33】

【0176】
実施例14と同様の方法を用い、2、4、6−トリクロロベンゾイル塩化物を用いると、標記化合物が得られる。MS(ES):m/z441(M)、443(M+2);遊離塩基の1H NMR(CDCl3):δ8.28(m、1H)、7.64(brs、1H)、7.40(s、2H)、7.13(m、1H)、7.03(m、1H)、5.89(m、1H)、2.35−2.63(m、4H)、2.38(s、6H)、2.22(m、1H)、2.10(m、1H)、1.59(m、1H)。
【0177】
実施例19
N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−2、4、6−トリフルオロベンズアミド二塩酸塩異性体1
【化34】

【0178】
ピリジン(6mL)中の6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体1(調製10、100mg、0.46mmol)の溶液に2、4、6−トリフルオロベンゾイル塩化物(117mg、0.60mmol)を付加し、55℃で一晩加熱する。2、4、6−トリフルオロベンゾイル塩化物(50mg、0.26mmol)の別の部位を再度付加し、65℃で4時間加熱する。減圧下で揮発性物質を除去し、1N HCl中に残留物を溶解させ、エチルエーテルでの抽出を2回行う。5N NaOHで水性層をpH>11まで調節する。水性層の抽出をDCMで3回(there times)行う。有機層を結合させ、ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、濾過および濃縮togivea残留物.この残留物をクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM中5%の2M NH3/MeOH)によって精製して、標記化合物の遊離アミンを無色油(84mg、49%)として得る。MS(イオンスプレー):m/z=376.2(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ8.91(s、br、1H)、8.20(d、1H)、7.73(t、1H)、7.14(d、1H)、6.71(m、2H)、6.61(m、1H)、2.65(m、1H)、2.44(m、3H)、2.35(s、6H)、2.12(m、2H)、1.53(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、二塩酸塩が得られる。二塩酸塩:C20H20F3N3O2HClに関する分析計算:C、53.58;H、4.95;N、9.37。発見物:C、53.42;H、4.91;N、9.23。
【0179】
実施例20
2−クロロ−N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−ベンズアミド二塩酸塩、異性体1
【化35】

【0180】
実施例1と同様の方法を用い、2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイル塩化物(116mg、0.60mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体1(調製10、100mg、0.46mmol)を用いると、標記化合物が無色油(135mg、78%)として得られる。MS(ES):m/z=374.1(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ8.80(s、br、1H)、8.19(d、1H)、7.69(m、2H)、7.18(m、2H)、7.05(m、1H)、6.64(m、1H)、2.70(m、1H)、2、46(m、3H)、2.36(s、6H)、2.16(m、2H)、1.54(m、1H)。二塩酸塩:C20H21ClFN3O2HClに関する分析計算:C、53.77;H、5.19;N、9.41。発見物:C、54.13;H、5.34;N、9.41。
【0181】
実施例21
2−クロロ−N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−6−フルオロ−ベンズアミド二塩酸塩、異性体1
【化36】

【0182】
実施例1と同様の方法を用い、2−クロロ−6−フルオロ−ベンゾイル塩化物(116mg、0.60mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体1(調製10、100mg、0.46mmol)を用いると、標記化合物の遊離アミンが無色油(78mg、45%)として得られる:MS(ES):m/z=374.1(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ9.03(s、br、1H)、8.26(d、1H)、7.73(t、1H)、7.30(m、1H)、7.19(d、1H)、7.09(d、1H)、6.98(dt、1H)、6.62(m、1H)、2.58(m、1H)、2.38(m、3H)、2.34(s、6H)、2.15(m、2H)、1.53(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、二塩酸塩が得られる。
【0183】
実施例22
2、4−ジクロロ−N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド二塩酸塩、異性体1
【化37】

【0184】
実施例1と同様の方法を用い、2、4−ジクロロ−ベンゾイル塩化物(126mg、0.60mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体1(調製10、100mg、0.46mmol)を用いると、標記化合物の遊離塩基が無色油(120mg、67%)として得られる:MS(ES):m/z=390.1(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ8.90(s、br、1H)、8.20(d、1H)、7.73(t、1H)、7.57(d、1H)、7.45(d、1H)、7.28(dd、1H)、7.14(d、1H)、6.63(m、1H)、2.67(m、1H)、2.44(m、3H)、2.36(s、6H)、2.15(m、2H)、1.54(m、1H)。二塩酸塩:C20H21Cl2N3O2HClに関する分析計算:C、51.86;H、5.00;N、9.07。発見物:C、51.78;H、5.04;N、8.99。
【0185】
実施例23
2、4−ジフルオロN−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド二塩酸塩
【化38】

【0186】
実施例1と同様の方法を用い、2、4−ジフルオロベンゾイル塩化物(106mg、0.60mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン(調製10、100mg、0.46mmol)を用いると、標記化合物の遊離アミンが無色油(59mg、36%)として得られる:MS(ES):m/z=358.2(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ8.94(d、1H)、8.21(m、2H)、7.72(t、1H)、7.19(d、1H)、7.04(m、2H)、6.71(m、1H)、2.78(m、1H)、2.49(m、3H)、2.38(s、6H)、2.17(m、2H)、1.59(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、二塩酸塩が得られる:二塩酸塩:C20H21F2N3O2HClに関する分析計算:C、55.82;H、5.39;N、9.76。発見物:C、56.15;H、5.49;N、9.73。
【0187】
実施例24
N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−ベンズアミド塩酸塩、異性体2
【化39】

【0188】
4−フルオロ−ベンゾイル塩化物(127mg、0.80mmol)、6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体2(調製11、145mg、0.67mmol)、トリエチルアミン(81mg、0.80mmol)および1、4−ジオキサン(6mL)を結合させ、55℃で15時間加熱する。混合物をDCMで希釈し、0.1N NaOH溶液で洗浄する。水性層の抽出をDCMで2回行う。これらの有機層を結合させ、ナトリウム硫酸塩上で乾燥させ、濾過および濃縮を行って、残留物を得る。この残留物をクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM中5%の2M NH3/MeOH)によって精製して、標記化合物の遊離アミンを淡黄色の油(183mg、80%)として得る。MS(ES):m/z=340.1(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ8.55(s、br、1H)、8.19(d、1H)、7.95(m、2H)、7.73(t、1H)、7.18(m、2H)、6.66(m、1H)、2.73(m、1H)、2.47(m、3H)、2.37(s、6H)、2.15(m、2H)、1.57(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、以下の塩酸塩が得られる。塩酸塩:C20H22FN3O1.5HCl0.5H2Oに関する分析計算:C、59.59;H、6.13;N、10.42。発見物:C、59.71;H、5.56;N、10.31。
【0189】
実施例25
2、4−ジフルオロN−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド塩酸塩、異性体2
【化40】

【0190】
実施例24と同様の方法を用い、2、4−ジフルオロベンゾイル塩化物(141mg、0.80mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体2(調製11、145mg、0.67mmol)を用いると、標記化合物の遊離アミンが無色油(225mg、94%)として得られる。MS(ES):m/z=358.1(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ8.94(d、1H)、8.21(m、2H)、7.72(t、1H)、7.19(d、1H)、7.04(m、2H)、6.71(m、1H)、2.78(m、1H)、2.49(m、3H)、2.38(s、6H)、2.17(m、2H)、1.59(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、二塩酸塩が得られる。
【0191】
実施例26
2−クロロ−N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド塩酸塩、異性体2
【化41】

【0192】
実施例24と同様の方法を用い、2−クロロ−ベンゾイル塩化物(140mg、0.80mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体2(調製11、145mg、0.67mmol)を用いると、標記化合物の遊離アミンが淡黄色の油(218mg、91%)として得られる。MS(ES):m/z=356.1(M+H)+;1HNMR(CDCl3):δ8.69(s、br、1H)、8.22(d、1H)、7.67(m、2H)、7.45(m、3H)、7.15(d、1H)、6.64(m、1H)、2.69(m、1H)、2.45(m、3H)、2.36(s、6H)、2.13(m、2H)、1.56(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、以下の塩酸塩が得られる。一塩酸塩:C20H22ClN3OHCl1.2H2Oに関する分析計算:C、57.91;H、6.20;N、10.13。発見物:C、58.18;H、5.98;N、9.74。
【0193】
実施例27
2−クロロ−N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−6−フルオロ−ベンズアミド二塩酸塩(dihydrochloride salt)、異性体2
【化42】

【0194】
実施例1と同様の方法を用い、2−クロロ−6−フルオロ−ベンゾイル塩化物(134mg、0.69mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体2(調製11、100mg、0.46mmol)を用いると、標記化合物の遊離アミンが油(82mg、48%)として得られる。MS(ES):m/z=374(M+H)+;1HNMR(CD3OD):δ8.15(t、1H)、7.57(m、3H)、7.34(d、1H)、7.20(t、1H)、6.71(m、1H)、3.52(m、1H)、2.86(s、6H)、2.69(m、4H)、2.35(m、1H)、1.87(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、二塩酸塩が得られる。
【0195】
実施例28
N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−2、4−ジフルオロベンズアミド二塩酸塩、異性体2
【化43】

【0196】
実施例1と同様の方法を用い、2、4−ジフルオロベンゾイル塩化物(122mg、0.69mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン(調製11、100mg、0.46mmol)を用いると、標記化合物の遊離アミンが油(52mg、32%)として得られる。MS(ES):m/z=358(M+H)+;1HNMR(CD3OD):δ8.23(t、1H)、7.89(m、1H)、7.64(m、2H)、7.14(m、2H)、6.74(m、1H)、3.52(m、1H)、2.86(s、6H)、2.69(m、4H)、2.35(m、1H)、1.87(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、二塩酸塩が得られる。
【0197】
実施例29
2−ブロモ−N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−ベンズアミド二塩酸塩、異性体2
【化44】

【0198】
実施例1と同様の方法を用い、2−ブロモベンゾイル塩化物(151mg、0.69mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体2(調製11、100mg、0.46mmol)を用いると、標記化合物の遊離アミンが油(63mg、34%)が得られる。MS(ES):m/z=400(M+H)+、403(M+3);1HNMR(CD3OD):δ8.30(t、1H)、7.69(d、2H)、7.67(d、1H)、7.49(m、3H)、6.78(m、1H)、3.55(m、1H)、2.87(s、6H)、2.73(m、4H)、2.37(m、1H)、1.87(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、二塩酸塩が得られる。
【0199】
実施例30
N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−2、4、6−トリフルオロベンズアミド二塩酸塩、異性体2
【化45】

【0200】
実施例1と同様の方法を用い、2、4、6−トリフルオロベンゾイル塩化物(134mg、0.69mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体2(調製11、100mg、0.46mmol)を用いると、標記化合物の遊離アミンが油(80mg、46%)として得られる。MS(ES):m/z=376.2(M+H)+;1HNMR(CD3OD):δ8.25(t、1H)、7.67(d、1H)、7.74(d、1H)、7.12(t、2H)、6.81(m、1H)、3.62(m、1H)、2.96(s、6H)、2.73(m、4H)、2.45(m、1H)、1.95(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、二塩酸塩が得られる。
【0201】
実施例31
2−クロロ−N−(6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イル)−4−フルオロ−ベンズアミド二塩酸塩(dihydrochloride salt)、異性体(siomer)2
【化46】

【0202】
実施例1と同様の方法を用い、2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイル塩化物(133mg、0.69mmol)および6−(4−ジメチルアミノ−シクロヘクス−1−エニル)−ピリジン−2−イルアミン、異性体2(調製11、100mg、0.46mmol)を用いると、標記化合物の遊離アミンが油(110mg、64%)として得られる。MS(ES):m/z=374.2(M+H)+;1HNMR(CD3OD):δ8.36(t、1H)、7.73(m、3H)、7.47(d、1H)、7.32(t、1H)、6.86(m、1H)、3.62(m、1H)、2.97(s、6H)、2.74(m、4H)、2.47(m、1H)、1.99(m、1H)。実施例1と同様の塩生成方法を用いると、二塩酸塩が得られる。
【0203】
本発明の化合物は、5−HTlFレセプタの活性を増加する際に有用である。5−HTlFレセプタの活性を増加させると、哺乳類中のセロトニンの神経伝達の低下に関連する多様な疾患(例えば、片頭痛)の治療に有用である。5−HTlFレセプタの活性と片頭痛との間の関係を示す米国特許No.5,708,008を参照されたい。片頭痛の治療における本発明の化合物の使用を示すように、5−HTlFレセプタ結合親和力を決定する。5−HTlFレセプタ亜型に結合する本発明の化合物の能力を、N.AdhamらによるProceedings of the National 15 Academy of Sciences(USA)、90:408−412、1993に記載されているように、実質的に測定する。
【0204】
細胞膜調製
100%密集度まで成長したトランスフェクトされたLtk細胞(ヒト5−HTlFレセプタ配列でトランスフェクトされたもの)から細胞膜を調製する。リン酸塩緩衝食塩水で細胞を2回洗浄し、当該細胞を培養皿から5mLの氷冷リン酸塩緩衝食塩水中にこそげ落とし、200xgで4℃で5分間遠心分離する。2.5mLの氷冷トリスバッファ(20mMのトリスHCl、pH7.4で23℃、5mMEDTA)中で沈殿物を再度懸濁させ、Wheaton細胞粉砕装置で均質化する。200xgで溶解物の遠心分離を4℃で5分間行って、不要な大型フラグメントを沈殿させる。上清を収集し、40、000xgで4℃で20分間円心分離する。得られた沈殿物を氷冷トリス洗浄緩衝液において1回洗浄し、(50mMのトリスHClおよび0.5mMのEDTAを含みpH7.4の)最終緩衝液中で23℃で再度懸濁させる。氷上の細胞膜調製を保持し、これらの細胞膜を、2時間の調製以内の放射性リガンド結合分析の際に用いる。Bradford.のAnal.Biochem.(72:248−254、1976)の方法により、タンパク質濃度を決定する。
【0205】
放射性リガンド結合:
Herrick−DavisおよびTiteler(J.Neurochem.、50:1624−1631、1988)によって報告された5−HTlD分析条件を少し変更した条件用いて[3H]5−HT結合を行い、その際、マスキングリガンドは省略する。96ウェルマイクロタイタープレート中の総量250μLの緩衝液(50mMのトリス、10mMのMgCl2、0.2mMのEDTA、10μMのパーギリン、0.1%のアスコルビン酸塩、37℃においてpH7.4)において、37℃で放射性リガンド結合研究を行う。12種類の異なる濃度(0.5nM〜100nM)で[3H]5−HTを用いて飽和について調査する。4.5〜5.5nMの[3H]5−HTを用いて変位について調査する。6〜12種類の濃度の化合物を用いて、競争実験における薬物の結合プロファイルを得る。平衡結合条件を決定した初期調査に基づいて、飽和調査および変位調査双方において培養を30分間行う。10μMの5−HTの存在下での非特定的結合を規定する。50μLの細胞膜ホモジネート(10〜20μg)を付加することにより、結合を開始する。48R Brandel Cell Harvester(Gaithersburg、MD)を用いた予浸された(0.5%のポリエチレンイミン(poyletyleneimine))フィルタを通じた急速濾過により、反応を終了させる。氷冷緩衝液(50mMトリスHCl、pH=7.4、4℃)これらのフィルタを5秒間洗浄し、フィルタを乾燥させ、その後、2.5mLのReadi−Safe(Beckman、Fullerton、CA)を含むバイアル中にこれらのフィルタを個々に配置し、Beckman LS 5000TA 液体シンチレーションカウンタを用いて放射活性を測定する。[3H]5−HTの計測効率の平均は45〜50%である。結合データの分析をコンピュータ支援による非線形回帰分析によって行う(Accufit and Accucomp、Lunden Software、Chagrin Falls、OH)。IC50値のKi値への変換をCheng−Prusoff方程式を用いて行う(Biochem. Pharmacol.、22:3099−3108(1973))。実験を3回行う。代表的な本発明の化合物を実質的に上記したように測定し、5−HTlFレセプタに対する高い親和性(例えばKi値が約700nM以下)を持つことが分かった。好適な本発明の化合物は、約300nM以下のKi値を有する。さらに好適な化合物は、約200 nM以下のKi値を有するものである。特に好適な化合物は、約50 nM以下のKi値を有するものである。例示的な化合物は、約50nM以下のKi値を有するものである。
【0206】
cAMP形成の測定
R.L.WeinshankらによってW093/14201において報告されているように、5−HT1FレセプタでトランスフェクトされたNIH3T3細胞中のホルスコリンで刺激されたcAMP生成を抑制するセロトニンおよびセロトニン作動薬物の能力によって測定されたように、5−HTlFレセプタはG−タンパク質に機能的に結合される。標準的技術を用いて、アデニル酸シクラーゼ活性を判定する。最大効果が達成される。セロトニンにより、最大効果が達成される。この最大効果による試験化合物の抑制を分割し、抑制パーセントを決定することにより、Emaxを決定する。N.Adhamら(上記を参照)、R.L.Weinshankらによる「Proceedings of the National Academy of Sciences(USA)」(89:3630〜3634、1992)および同文書中にて引用されている参考文献を参照のこと。
【0207】
ヒト5−HTlFレセプタトランスフェクトNIH3T3細胞(ワンポイント競争研究=488fmol/mgのタンパク質から推定されたBmax)の培養を、DMEM、5mMのテオフィリン、10mMのHEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエサンスルホン酸)および10μMパーギリン中で37℃において5%CO2で20分間を行う。培養と並行して一連の6終末濃度の試験化合物を用いて、薬物線量効果曲線を得る。競合的拮抗作用を示すために用いられる固定用量のメチオセピン(methiothepin)(0.32μM)を用いて、並行して測定された5−HTに関する用量反応曲線を入手する。当該試験化合物または5−HTをこれらの細胞に付加した直後、ホルスコリン(10μM)の付加を開始して、刺激されたcAMP生成を開始する。細胞培養を37℃で5%CO2で10分間行う。媒体を吸引し、反応物を100mMのHClで急冷する。プレートの冷却を4℃で15分間行い、遠心分離を行って細胞残屑を沈殿させ(5分間、500xg)、上清をバイアル中に等分し、−20℃で保存する。その後、cAMP形成の評価をラジオイムノアッセイ(cAMPラジオイムノアッセイキット;Advanced Magnetics、Cambridge、MA)によって行う。Packard COBRA Auto Gamma counter(データ整理ソフトウェア付き)を用いて放射活性を定量化する。代表的な本発明の化合物の分析を上述したように行うと、5−HTlFレセプタのアゴニストであることが分かる。
【0208】
硬膜タンパク質管外遊出の分析
硬膜タンパク質の管外遊出の抑制は、片頭痛の神経細胞メカニズムに関する機能分析である。硬膜タンパク質管外遊出を抑制する化合物の能力を、以下の分析において上述したように試験することができる。
【0209】
Charles River Laboratories(225〜325g)からのHarlan Sprague−Dawleyラット(225〜325g)またはモルモットに、ナトリウムペントバルビタール(腹腔内注射、それぞれ65mg/kgまたは45mg/kg)で麻酔をかける。各動物について、当該動物を定位フレーム(David Kopf Instruments)内に配置し、その際、ラットの場合切歯棒を−3.5mmに配置し、モルモットの場合−4.0mmに配置する。中線矢状(sagital)頭皮切開を行い、頭蓋中に2対の左右穴を穿孔する(ラットの中線の両側において6mm後方、2.0mmおよび4.0mm横方向;モルモットの中線の両側において4mm後方および3.2mmおよび5.2横方向、全座標はブレグマを基準とする)。下側のステンレススチール刺激電極対は、端以外において絶縁されており(Rhodes Medical Systems,Inc.)、双方の脳半球中のこれらの穴を通じて、硬膜から1つの電極を穴に入れる(深さ9mmまで(ラット)または深さ10.5mmまで(モルモット)。
【0210】
大腿静脈を露出させ、1回分の試験化合物または生理食塩水負制御を経静脈的に投与する(1mL/kg)。おそと7分後、50mg/kgの投与量のEvans Blueを経静脈的に投与する。Evans Blueは、血液中のタンパク質と複合体を形成する蛍光染料であり、硬膜タンパク質管外遊出に対するマーカーとして機能する。試験化合物の注射後ちょうど10分経過後、モデル273ポテンショスタット/ガルバノスタット(EG&G Princeton Applied Research)により、左三叉神経節に電流強さ1.0mA(5Hz、4msec期間)で刺激を3分間与える。
【0211】
刺激後15分経過後、生理食塩水20mLにより当該動物を放血死させる。頭蓋上部を除去して、硬膜細胞膜サンプルの収集を容易にする。両脳半球から細胞膜サンプルを取り出し、水で洗浄処理し、顕微鏡用スライド上に平坦に塗布し、顕微鏡用スライドウォーマー上で細胞を乾燥させ、70%グリセロール/水溶液でカバースリップを塗布する。
【0212】
グレーチングモノクロノメータ(grating monochronomator)(これは、分光光度計、コンピュータ駆動モーター駆動ステージ、およびパーソナルコンピュータへのインターフェースを備える)を備えた蛍光顕微鏡(Zeiss)により、各サンプル中のEvans Blue染料の量を定量化する。各硬膜l細胞膜サンプルについて、25点における蛍光を測定する(2.5x2.5平方mmの面積を網羅する500μm工程)。この測定の際、およそ535nmの励起波長を用い、波長600nmにおける発光強度を測定する。これらの測定値の平均偏差および標準偏差を決定する。
【0213】
三叉神経節の電気刺激によって誘発される管外遊出は同側効果である(すなわち、当該管外遊出は、三叉神経節が刺激を受けた側の硬膜のみにおいて発生する)。そのため、刺激された硬膜を試験組織として用い、残りの刺激を受けていない半分の硬膜を制御として用いることができる。刺激を受けた側からの硬膜中の管外遊出量の刺激を受けていない側に対する比を計算する。生理食塩水は、ラットにおいておよそ2.0およびモルモットにおいておよそ1.8の比率(yield a ratio)を制御する。それとは対照的に、刺激を受けた側からの硬膜中の管外遊出を効果的に回避する化合物はおよそ1.0の比率を有する。各用量レベルにおいて一定範囲の化合物投与量および複数の動物を用いて、当該試験化合物について用量反応曲線を生成し、管外遊出を50%(ID50)抑制する投与量を概算する。代表的な本発明の化合物を実質的に上述したように分析する。その結果、これらの化合物が硬膜タンパク質の管外遊出を有意に抑制することが分かったため、これらの化合物は、片頭痛に関する神経性血漿タンパク質の管外遊出モデルにおいて有効(efficatious)である。
【0214】
ウサギの伏在静脈の収縮
致死量のナトリウムペントバルビタール(325mg)を耳静脈に注射することにより、オスのニュージーランドホワイトウサギ(3〜6lbs)(Hazleton、Kalamazoo、MI)を犠牲にする。結合組織の無い伏在静脈組織を解剖し、ポリエチレンチュービング(PE50、外径=0.97mm)によってin situでカニューレを挿入し、変性Kreb’s溶液(118.2mMolNaCl、4.6mMolKCl、1.6mMolCaCl2H2O、1.2mMolKH2PO4、1.2mMolMgSO4、10.0mMolデキストロースおよび24.8mMolNaHCO3)を含むペトリ皿内に配置する。2本の30ゲージステンレススチール皮下注射器の先端をL字型に曲げ、これらの先端をポリエチレンチュービングのルーメン中にスリップさせる。カニューレから静脈組織を針上に静かに押し出す。針を離し、スレッド付き下部針を固定ガラス棒に取り付け、スレッド付き上部針を力変換器(StathamUC−3)に取り付ける。
変性Krebs溶液10mLを含む組織槽中に当該組織を取り付ける。組織槽溶液を37℃で保持し、95%O2および5%CO2.で通気する。初期最適resting force(4グラム)を静脈組織に付与する。Beckman Dynograph(StathamUC−3トランスデューサおよびマイクロスケールアクセサリアタッチメント付き)上で、等尺性収縮をグラム重量の変化として記録する。組織を1〜2時間平衡させた後、試験化合物に晒す。槽に67mMのKClを追加し、最大収縮を記録する。槽を洗い流し、組織を4グラム重量下で再平衡させ、試験化合物を付加し、収縮力を記録する。さらなる化合物を付加して、各試験化合物についての累積的アゴニスト濃度反応曲線を生成するための化合物濃縮範囲内の次の濃度を達成する。組織を用いて、アゴニスト濃度反応曲線を2本まで生成することができる。平均EC50および最大化合物反応を計算する。この最大化合物反応は、各組織に初期投与された67mMのKClに反応する組織の最大収縮のパーセンテージとして表される。
【0215】
この血管収縮分析、伏在静脈収縮(EC50)、および最大KCl反応のパーセント(%maxKCl)による最大収縮により、2つの重要なパラメータを測定することができる。伏在静脈収縮(EC50)は、特定の化合物が媒介として機能することができる最大反応の50%まで組織を収縮させるために必要な投与量の指標である。高濃度(67mM)のKClの投与後、伏在静脈が示すことのできる最大反応を測定する。%maxのKCl収縮は、KClによる刺激を受けたときに当該組織が生成し得る最大反応によって分割される媒介機能を特定の化合物が果たすことができる最大反応の比である。本願の目的のため、実質的に上述したような分析において、100 μMまでの化合物濃度における67mMのKCl正制御によって生成される収縮の5%以下の最大収縮をある化合物が生成する場合、当該化合物は実質的に上述したような分析を持たないものとみなされる。
【0216】
実質的に上述したようなウサギ伏在静脈分析における血管収縮活性について代表的な本発明の化合物を試験すると、本発明の化合物は、有意な血管収縮性を示さないことが分かる。全ての試験された本発明の化合物の%maxKClは10%以下であった。この結果は、片頭痛治療のための神経血管収縮モデルをターゲットとする片頭痛治療のための従来技術化合物(これらの化合物は、強い血管収縮活性(例えば、実質的に上述したように試験されたときに0.66mMのEC50および64.20%maxKClを有するスマトリプタン)に基づいて選択された)と好対照である。
【0217】
5−HT1Fレセプタに関する選択性
本発明の(the prevent invention)の化合物は、(特に他の5−HTレセプタ亜型(特に5−HT1サブクラスにおける他のレセプタ(例えば、5−HT1Aレセプタ亜型、5−HT1Bレセプタ亜型、5−HT1Dレセプタ亜型、および5−HT1Eレセプタ亜型(ただし、これらに限定されない)と比較して)5−HT1Fレセプタについて比較的選択性を持つ。これらの他のレセプタ亜型に対する親和性は、5−HT1Fレセプタ亜型でトランスフェクトされた細胞の代わりに所望のレセプタ亜型でトランスフェクトされた細胞を用いた上記の放射性リガンドレセプタ結合分析を若干変更することにより、容易に決定可能である。代表的な本発明の化合物の結合親和性はこのような分析によって決定され、5−HT1Fレセプタについて選択性を持つことが分かった;すなわち、5−HT1Fレセプタについての化合物の親和性は、他のレセプタ亜型(特に5−HT1Bレセプタ亜型および5−HT1Dレセプタ亜型)に対してよりも全体的に高かった。
【0218】
特異性指数
硬膜タンパク質管外遊出の5−HT1F媒介抑制に関する本発明の化合物の特異性の血管収縮活性に対する関係は、特異性指数によって表すことができる。特異性指数は、硬膜タンパク質管外遊出の抑制有効性に対する血管収縮の比である:
特異性指数= 修正血管収縮EC50(M)/管外遊出ID50(mMol/kg)
【0219】
修正血管収縮は、各個々の化合物におけるKClに対する最大収縮を考慮し、血管収縮EC50値を%maxKClによって除算した値として定義される。
【0220】
例えば、スマトリプタンの場合、修正血管収縮EC50は1.03x10−8M(0.66mMEC50÷64.20%maxKCl)であり管外遊出抑制ID50は2.6x10−8mMol/Kgであるため、特異性指数は0.40である。
【0221】
よって、任意の所与の化合物の特異性指数を決定する手順は以下のようになる。
1.上述した放射性リガンド結合方法を用いた5−HT1Fレセプタのための化合物の親和性を測定する。
2.5−HT1Fレセプタについての親和性が確立された後、当該化合物が5−HT1Fレセプタのアゴニスト、部分アゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかの決定を、上記cAMP分析におけるその反応により、行う。
3.当該化合物が少なくとも約50%のEmaxを有するアゴニストまたは部分アゴニストであることが分かった場合、上記分析を用いて、当該化合物の硬膜タンパク質管外遊出および伏在静脈収縮の抑制有効性を測定する。
4.上記のような特異性指数を計算する。
特異性指数が1よりも大きな化合物は本発明の方法および利用において有用であるが、より大きな特異性指数値が好適である。より大きな特異性指数は、血管収縮を通じた硬膜タンパク質管外遊出の抑制有効性についてより大きな特異性を示す。よって、好適な化合物の特異性指数は、10以上(少なくとも10)であり、好適には100以上(少なくとも100)である。より好適な化合物の特異性指数は1000以上(少なくとも1000)であり、さらに好適な化合物の特異性指数は5000以上(少なくとも5000)である。
【0222】
製剤組成物
本発明の方法において用いられる化合物の投与に使用される製剤組成物の種類は、選択された特定の化合物、投与経路から所望される薬物動態プロファイルの種類、および患者の状態によって決定され得る。
【0223】
経口投与、舌下投与、経鼻投与または注射投与に調整が容易な製剤組成物の調製は医薬分野において周知の様式で行われ、これらの組成物は、少なくとも1つの活性化合物を含む。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(第16版、1980)を参照されたい。
【0224】
一般的に、本発明の製剤組成物は、有効成分(式Iの化合物)を含み、通常は賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈されるか、またはカプセル、小袋、紙または他の容器の形態にすることができるこのような担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、当該賦形剤は、活性成分のビヒクル、担体または媒体として作用する固体材料、半固体材料、または液体材料であり得る。このようにして、これらの製剤組成物は、錠剤、ピル、粉末、ドロップ、小袋、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、エマルジョン(乳濁液)、溶液、シロップ、(固体媒体または液体媒体としての)エアロゾル、例えば10重量%までの活性化合物を含む軟膏、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセル、ジェル、坐薬、無菌注射溶液、および無菌包装粉末の形態にすることができる。
【0225】
製剤組成物を調製する場合、当該活性化合物を粉末にして適切な粒径を得た後、他の成分と組み合わせることが必要な場合がある。当該活性化合物が実質的に不溶性である場合、当該活性化合物は、通常、粒径が200メッシュ未満になるまで粉末状にされる。当該活性化合物が実質的に水溶性である場合、その粒径は、製剤組成物における実質的に均等な分布(例えば、約40メッシュ)を提供するように粉末状にすることにより、調節されることが多い。本発明の一実施形態において、その粒径範囲は約0.1μm〜約100μmである。
【0226】
適切な賦形剤の例をいくつか挙げると、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、およびメチルセルロースがある。これらの製剤組成物は、以下のものをさらに含んでもよい:平滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油)、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、保存剤(例えば、メチルおよびプロピルヒドロキシ安息香酸塩)、甘味剤、および香料添加剤。当該分野において公知の手順を用いることにより、本発明の化合物を製剤化して、患者への投与後に有効成分の迅速放出、持続放出または徐放(出)をもたらすようにすることが可能である。
【0227】
本発明の方法において用いられる化合物は、いかなる製剤形態も持たずに直接投与することが可能であるが、これらの化合物は、薬学的に受容可能な賦形剤および少なくとも1つの有効成分を含む製剤組成物の形態で投与されることが多い。これらの製剤組成物は、多様なルート(例えば、経口、口腔、直腸、経鼻、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、および鼻腔内を含む)によって投与可能である。本発明の方法において用いられる化合物の多くは、注射組成物および経口組成物のどちらとしても効果的である。
【0228】
経皮投与を行うためには、経皮送達デバイス(「パッチ」)が必要となる。このような経皮パッチを用いて、本発明の制御量の化合物の連続的注入または非連続的注入を行えばよい。医薬剤の送達のための経皮パッチの構成および利用は、当該分野において周知である(例えば、米国特許第5,023,252号を参照)。このようなパッチの構造は、医薬剤の連続的送達、脈動的送達、または必要送達に合わせて行われ得る。
【0229】
製剤組成物を直接的または間接的に脳内に導入することが所望されるかまたは必要となることが頻繁にある。直接的技術においては、血液脳関門を迂回するために、通常は薬物送達カテーテルをホスト(患者)の脳室系内に配置する。1つのこのような移植可能な送達システムは、生物学的ファクターを身体の特定解剖学的領域に移動させるために用いられ、このシステムについての記載が米国特許5,011,472号に開示されており、本明細書中に参照して組み込まれている。親水性薬物の送達は、血液脳関門を一時的に開くことができる高張液の動脈内注入により、高められ得る。
【0230】
本発明の1つの好適な実施形態において、口腔投与および/または舌下投与または経鼻投与に適合された製剤組成物において、上述したような少なくとも1つの化合物を含む製剤組成物が提供される。この実施形態は、消化合併症(例えば、消化系によるおよび/或いは肝臓を通じた初回通過代謝)を回避する様式で活性化合物の投与を提供する。この投与ルートは吸収時間も低減し得、これにより、治療的利点をより迅速に開始させる。本発明の化合物は、特に好適な溶解プロファイルを提供し得、これにより舌下/口腔用製剤組成物を容易化する。このような製剤組成物は典型的には、当該製剤組成物が舌下/口腔粘膜の限定された表面領域と接触する比較的短い期間の間に十分な量の有効成分を当該表面領域に送達させるための比較的高濃度の有効成分を必要とし、これにより、当該有効成分の吸収を可能とする。よって、本発明の化合物の極めて高い活性により、舌下/口腔用製剤組成物に対するその適合性が容易化される。
【0231】
式Iの化合物は好適には、単位用量形に製剤化され、各用量は、約0.001〜約100mgの有効成分、より一般的には約1.0〜約30mgの有効成分を含む。「単位用量形」という用語は、ヒトおよび他の哺乳類向けの単位用量として適切な物理的に別個の単位を指し、各単位は、上述したような適切な製剤賦形剤と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性物質を含む。
【0232】
本発明の化合物は一般的には、広範囲の用量範囲において効果的である。例えば、1日あたりの用量は通常は、体重当り、約0.0001〜約30mg/kgの範囲内に収まる。成人の治療の場合、約0.1〜約15mg/kg/日の単一投与量または分割投与量が特に好適である。しかし、当然のことながら、当該化合物の実際の投与量は医師によって関連状況(例えば、治療対象の状態、選択された投与ルート、実際の投与化合物(単数または複数)、年齢、体重、および個々の患者の反応、患者の症状の重篤度)に鑑みて決定されるため、上記用量範囲は本発明の範囲を何ら限定するものではない。いくつかの場合において、上記範囲の下限を下回る用量レベルで適切以上である場合もあり、他の場合において、より高い投与量が有害な副作用無く用いられ得ることもある。ただし、このようなより高い投与量を先ず1日におけるいくつかのより小さな用量に分割すればである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、
【化1】

またはその薬学的に受容可能な酸付加塩であって、
Xは、−C(R4)=または−N=であり、
Arは、フェニル、置換フェニル、複素環または置換複素環であり、
R1およびR2は、独立的に(independantly)水素またはC1−C3アルキルであり、
R3は、水素、フルオロまたはメチルであり、
Xが−C(R4)=である場合において、R3およびR4のうち1つ以下が水素以外であり得る場合、R4は、水素、フルオロまたはメチルであり、
R5は、水素、メチルまたはエチルである、
化合物。
【請求項2】
Arはフェニルまたは置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arは置換フェニルであり、前記
フェニル基は、1〜3のハロ置換基と置換されるか、あるいは、
ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、シアノおよびニトロからなる群から独立的に選択される1〜2の置換基と置換され、各アルキル、アルコキシおよびアルキルチオ置換基は、フルオロおよびクロロから独立的に選択される1〜5のハロ基とさらに独立的に置換可能である、
請求項2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
Arは置換フェニルであり、前記フェニル基は、1〜3のハロ基と置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
Arは複素環または置換複素環であり、ここで、前記複素環は、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピリジニル、N−メチルピロリル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンゾフラニイル、ベンゾチオフェニル、およびインドリルからなる群から選択され、
置換複素環は、前記環部分が1〜3のハロ置換基と置換されることを意味するように取られ、あるいは、
ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4アルキルチオ、シアノおよびニトロからなる群から独立的に選択される1〜2の置換基と置換され、各アルキル、アルコキシおよびアルキルチオ置換基は、フルオロおよびクロロからそれぞれ独立的に選択される1〜5のハロ基とさらに独立的に置換可能である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R5は水素である、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
R1およびR2はメチルである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物および薬剤の(剤用の)担体、希釈剤または賦形剤を含む薬剤組成物。
【請求項9】
哺乳類において5−HT1Fレセプタを活性化させる方法であって、このような活性化を必要とする哺乳類に対し、有効量の式Iの化合物か、または、
【化2】

その薬学的に受容可能な酸付加塩を投与する工程を含み、
Xは、−C(R4)=または−N=であり、
Arは、フェニル、置換フェニル、複素環、または置換複素環であり、
R1およびR2は、独立的に(independantly)水素またはC1−C3アルキルであり、
R3は、水素、フルオロまたはメチルであり、
Xが−C(R4)=である場合において、R3およびR4のうち1つ未満が水素以外であり得る場合、R4は、水素、フルオロまたはメチルであり、
R5は、水素、メチルまたはエチルである、
方法。
【請求項10】
前記哺乳類はヒトである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
哺乳類における硬膜タンパク質管外遊出を抑制する方法であって、このような抑制を必要とする哺乳類に対し、有効量の式Iの化合物、
【化3】

または、その薬学的に受容可能な酸付加塩を投与する工程を含み、ここで、
Xは、−C(R4)=または−N=であり、
Arは、フェニル、置換フェニル、複素環または置換複素環であり、
R1およびR2は、独立的に(independantly)水素またはC1−C3アルキルであり、
R3は、水素、フルオロまたはメチルであり、
Xが−C(R4)=である場合において、R3およびR4のうち1つ未満が水素以外であり得る場合、R4は、水素、フルオロまたはメチルであり、
R5は、水素、メチルまたはエチルである、
方法。
【請求項12】
前記哺乳類はヒトである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
哺乳類における偏頭痛の治療または予防の方法であって、このような治療または予防を必要とする哺乳類に対し、有効量の式Iの化合物、または、
【化4】

その薬学的に受容可能な酸付加塩を投与する工程を含み、ここで、
Xは、−C(R4)=または−N=であり、
Arは、フェニル、置換フェニル、複素環または置換複素環であり、
R1およびR2は、独立的に(independantly)水素またはC1−C3アルキルであり、
R3は、水素、フルオロまたはメチルであり、
Xが−C(R4)=である場合において、R3およびR4のうち1つ未満が水素以外であり得る場合、R4は、水素、フルオロまたはメチルであり、
R5は、水素、メチルまたはエチルである、
方法。
【請求項14】
前記哺乳類はヒトである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
薬剤として用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
哺乳類における5−HT1Fレセプタの活性化のために用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
哺乳類における硬膜タンパク質管外遊出の抑制のために用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
哺乳類における偏頭痛の治療または予防のために用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
前記哺乳類はヒトである、請求項16〜18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
哺乳類における5−HT1Fレセプタの活性化のための薬物の製造における、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項21】
哺乳類における硬膜タンパク質管外遊出の抑制のための薬物の製造における、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項22】
哺乳類における偏頭痛の治療または予防のための薬物の製造における、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項23】
哺乳類における前記5−HT1Fレセプタの機能不全と関連する疾患の治療のための薬物の製造における、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項24】
前記5−HT1Fレセプタ関連疾患は、硬膜タンパク質管外遊出である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記5−HT1Fレセプタ関連疾患は偏頭痛である、請求項26に記載の使用。
【請求項26】
前記哺乳類はヒトである、請求項20〜25のいずれか一つに記載の使用。
【請求項27】
偏頭痛の治療または予防に適合された薬剤組成物であって、1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤、担体またはそのための希釈剤と組み合わされた、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を含む、薬剤組成物。

【公表番号】特表2007−516266(P2007−516266A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545653(P2006−545653)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/038226
【国際公開番号】WO2005/061439
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】