説明

5−HT2Aセロトニン受容体に関連する疾患の治療に有用な5−HT2Aセロトニン受容体モジュレーターの薬学的組成物

本発明は、5−HT2Aセロトニン受容体モジュレーターの特定の薬学的組成物およびこれに関連する薬学的組成物の調製方法に関する。薬学的組成物は、血小板凝集、冠状動脈疾患、心筋梗塞、一過性虚血発作、アンギナ、卒中、心房細動の治療、血餅形成リスク、喘息またはその症状、興奮またはその症状、行動障害、薬物誘導性精神病、興奮性精神病(excitative psychosis)、ジルドラトゥレット症候群、躁病性障害(manic disorder)、器質性精神病またはNOS精神病、精神病性障害、精神病、急性統合失調症、慢性統合失調症、NOS統合失調症および関連障害、睡眠障害、糖尿病関連障害、および進行性多巣性白質脳症の軽減などで有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、5−HT2Aセロトニン受容体モジュレーターの一定の薬学的組成物およびこれに関連する薬学的組成物の調製方法に関する。薬学的組成物は、血小板凝集、冠状動脈疾患、心筋梗塞、一過性虚血発作、アンギナ、卒中、心房細動の治療、血餅形成リスク、喘息またはその症状、興奮またはその症状、行動障害、薬物誘導性精神病、興奮性精神病(excitative psychosis)、ジルドラトゥレット症候群、躁病性障害(manic disorder)、器質性精神病またはNOS精神病、精神病性障害、精神病、急性統合失調症、慢性統合失調症、NOS統合失調症および関連障害、睡眠障害、糖尿病関連障害、および進行性多巣性白質脳症の軽減などで有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
特定の1,3−二置換尿素化合物が5−HT2Aセロトニン受容体のモジュレーターであり、したがって、これに関連する障害を罹患した患者の治療で有用であることが最近発見された。5−HT2Aセロトニン受容体に関連する障害には、例えば、血小板凝集、冠状動脈疾患、心筋梗塞、一過性虚血発作、アンギナ、卒中、心房細動、血餅形成リスク、喘息またはその症状、興奮またはその症状、行動障害、薬物誘導性精神病、興奮性精神病、ジルドラトゥレット症候群、躁病性障害、器質性精神病またはNOS精神病、精神病性障害、精神病、急性統合失調症、慢性統合失調症、NOS統合失調症および関連障害、睡眠障害、糖尿病関連障害、および進行性多巣性白質脳症などが含まれる。
【0003】
1,3−二置換尿素化合物は、国際出願番号PCT/US2004/023488号(特許文献1として公開)(その全体が本明細書中で参考として援用される)に開示されているか特許請求の範囲に記載されており、これに記載されている手順に従って調製することができる。
【0004】
特に、本明細書中で1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素と呼ばれる式(I)の化合物は、5−HT2Aセロトニン受容体のモジュレーターとして特に有用であることが見出された。
【0005】
【化1】

しかし、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、以下の各水系で約10μg/mLまたはそれ未満の水溶性しか有さないことが認められた:(a)脱イオン水、(b)0.01N HCl(約pH2)、(c)リン酸緩衝液(約pH7)、および(d)生理食塩水(約0.9%NaCl溶液)。したがって、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、極めて水溶性が低いと考えられ、経口生物学的利用能が非常に低いと予想される。任意の経路で投与された活性薬物は、体内吸収および治療応答のためにいくらか水溶性を示さなければならないことが周知である。溶解性の低い化合物は、しばしば、不完全または異常に吸収され、したがって、所望の投薬量での応答は最小である。
【0006】
問題を認識して、現在、本明細書中に開示の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の薬学的組成物により、(a)実質的に溶解し、(b)薬学的に許容され、(c)製品製造時に加工が容易であり、(d)経口生物学的利用能が高くなることが発見されている。特に、本発明の特定の組成物により、非常に高濃度(約350mg/mLまでの濃度など)で1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素を含む薬学的組成物を調製可能であり、したがって、都合よく経口投与することが可能であるのと同時に、水性懸濁液と比較して薬物動態学的パラメーターが改善される(少なくとも2倍の生物学的利用能など)ことが認められている。
【0007】
したがって、本発明は、5−HT2Aセロトニン受容体障害治療に有用な1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の新規の薬学的組成物に関する。
【特許文献1】国際公開第2005/012254号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明の1つの態様は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素ならびにグリコフロール(glycofurol)、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオイル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アシルポリオキシエチレン、ポリグリコール化グリセリド、およびヒドロキシアシルポリオキシエチレンから選択される少なくとも1つの薬学的賦形剤を含む薬学的組成物に関する。
【0009】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、5HT2A障害(本明細書中に記載の障害など)を治療する方法関する。
【0010】
いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。
【0011】
いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0012】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物を、経口、鼻腔内、舌下、口腔、経皮、膣、または直腸に投与する。
【0013】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物を経口投与する。
【0014】
本発明の1つの態様は、療法により人体または動物体の治療方法で使用するための、本明細書中に記載の薬学的組成物に関する。
【0015】
本発明の1つの態様は、療法により人体または動物体の5HT2A関連障害の治療方法で使用するための、本明細書中に記載の薬学的組成物に関する。
【0016】
本発明の1つの態様は、5HT2A関連障害の治療で使用する薬物の製造のための本明細書中に記載の薬学的組成物の使用に関する。
【0017】
本発明の1つの態様は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素ならびにポリオキシエチレンオイルおよびポリグリコール化グリセリドを含む薬学的組成物の調製方法であって、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素をポリオキシエチレンオイル、ポリグリコール化グリセリド、またはその混合物に溶解する工程を含む、方法に関する。
【0018】
本明細書中に開示の本発明のこれらの態様および他の態様を、特許開示が進められるようにより詳細に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
定義
本明細書中で使用される、「治療を必要とする」は、介護者(例えば、ヒトの場合、医師、看護師、臨床看護師など、動物(非ヒト哺乳動物が含まれる)の場合、獣医)が行う、個体または動物が必要とするか治療から利益を得られる判断をいう。介護者の専門知識の領域内の種々の要因(個体または動物が、疾患、容態、または障害の結果として、罹患状態であるか、罹患状態になり、本発明の化合物によって治療可能であるような知識が含まれる)に基づいてこの判断が行われる。したがって、本発明の化合物を防御または防止様式で使用することができるか、本発明の化合物を使用して、疾患、容態、または障害を緩和、阻害、または改善することができる。
【0020】
本明細書中で使用される、「個体」は、任意の動物(哺乳動物が含まれる)、好ましくは、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、最も好ましくは、ヒトをいう。
【0021】
「逆アゴニスト」は、内因性形態の受容体または構成性に活性化された形態の受容体に結合し、アゴニストまたは部分的アゴニストの非存在下で認められる通常の基本活性レベル未満で、受容体の活性形態によって引き起こされるベースライン細胞内応答を阻害するか膜へのGTP結合を減少させる部分を意味するものとする。好ましくは、逆アゴニストの存在下でのベースライン細胞内応答は、逆アゴニストの非存在下でのベースライン応答と比較して、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%阻害される。
【0022】
本明細書中で使用される、「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって追求される組織、系、動物、個体、またはヒトにおいて生物学的応答または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬品(pharmaceutical agent)の量をいい、1つまたは複数の以下の目的が含まれる:(1)疾患の防止(例えば、罹患、容態、または障害を罹患し得るが、依然として疾患の病状または症候を経験または示していない個体の疾患、容態、または障害の防止)、(2)疾患の阻害(例えば、罹患、容態、または障害の病状または症候を経験または示す個体の罹患、容態、または障害の阻害(すなわち、病状および/または症候のさらなる進行の停止))、および(3)疾患の改善(例えば、罹患、容態、または障害の病状または症候を経験または示す個体の罹患、容態、または障害の改善(すなわち、病状および/または症候の逆転))。
【0023】
本明細書中で使用される、用語「グリコフロール」は、テトラヒドロフルフリルアルコールおよびエチレンオキシドまたはテトラヒドロフルフリルアルコールおよびポリエチレングリコールから調製される単一の化合物または化合物の混合物を含むかこれらから本質的になる薬学的賦形剤クラスをいう。いくつかの実施形態では、本クラスの賦形剤は、以下の式:
【0024】
【化2】

(式中、「a」は、1〜23の整数である)の単一の化合物または化合物の混合物を含むかこれらから本質的になる。代表例には、グリコフロール(登録商標)75(平均分子量約190)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書中で使用される、用語「ポロキサマー」は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの合成ブロック共重合体から調製した単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる薬学的賦形剤クラスをいう。いくつかの実施形態では、この賦形剤クラスは、以下の式:
【0026】
【化3】

(式中、「b」は、それぞれ独立して、1〜102の整数であり、「c」は1と57との間の整数であり、b+c+bは3〜327であり、ポロキサマーの平均分子量は約17500以下である)の単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる。ポロキサマーは公知であるか、当該分野の方法によって調製することができる。多数のポロキサマーが市販されている。ポロキサマーの代表例には、ポロキサマー124(Pluronic(登録商標)L44NF)、ポロキサマー188(Pluronic(登録商標)F68NF)、ポロキサマー237(Pluronic(登録商標)F87NF)、ポロキサマー338(Pluronic(登録商標)F108NF)、およびポロキサマー407(Pluronic(登録商標)F127NF)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書中で使用される、用語「ポリエチレングリコール」(マクロゴールとも呼ばれる)は、以下の式:
【0028】
【化4】

(式中、「d」は1〜23から選択される整数である)の単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる薬学的賦形剤クラスをいう。ポリエチレングリコールは公知であるか、当該分野の方法によって調製することができる。多数のポリエチレングリコールが市販されている。他のポリエチレングリコールを、当業者に利用可能な合成方法によって調製することができる。ポリエチレングリコールの代表例には、PEG200(平均分子量約190〜210)、PEG300(平均分子量約285〜315)、PEG400(平均分子量約380〜420)、PEG540(平均分子量約500〜600)、PEG600(平均分子量約570〜613)、およびPEG900(平均分子量約855〜900)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
PEGに続く数字がポリマーの平均分子量を示すことが当該分野で理解されている。例えば、用語「PEG300」は、平均分子量が300、一般に、平均分子量の範囲が約285〜約315のPEGをいう。不運なことに、PEGを説明する別の方法が存在する。平均分子量の代わりに、「PEG」に続く数字は、存在するエチレンオキシド単位の数をいい、この数字を自然数で示す。したがって、この命名法を使用して、PEG6は、平均エチレンオキシド単位数が6であり、平均分子量が300のPEGを示すであろう。当業者は、両方の命名法を認識し、理解するであろう。
【0030】
平均分子量のPEG代わりに、正確な分子量のPEGを本発明の種々の実施形態で使用することもできることが理解される。したがって、PEGが本明細書中に記載の賦形剤の個別の一般的な説明の区分(separate)または一部である場合、正確な分子量のPEGおよび平均分子量のPEGの両方が本発明に含まれることが理解される。正確な分子量および平均分子量のPEGを調製および同定方法は、当業者に公知である。
【0031】
本明細書中で使用される、用語「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」は、C1〜25アルコールのポリエチレングリコールモノエーテルとして一般的に記載することができる単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる薬学的賦形剤クラスをいう。いくつかの実施形態では、アルコールには、メチル−OH、エチル−OH、プロピル−OH、ブチル−OH、ペンチル−OH、ヘキシル−OH、ラウリル−OH、ミリスチル−OH、セチル−OH、およびステアリル−OHなどが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、この賦形剤クラスは、以下の式:
【0032】
【化5】

(式中、「f」は、0〜24から選択される整数であり、「g」は1〜60から選択される整数である)の単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる。いくつかの実施形態では、「f」は、1、11、13、15、および17から選択される(すなわち、末端メチル基が−(CH−と結合して、それぞれ、エチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、およびオクタデシル基を形成する)。いくつかの実施形態では、「f」は、1〜24から選択される整数である。いくつかの実施形態では、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、異なるポリマーの混合物である。一般に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを記載する場合、この記載は、直前の式などの賦形剤の主成分をいい、いくつかの例では、典型的には調製物に起因する他の副成分が存在し得る。多くのポリオキシエチレンアルキルエーテルが当該分野で公知であり、そのほとんどが市販されている。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの代表例には、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol P(登録商標))、セトマクロゴール1000、ポリオキシル2セチルエーテル、ポリオキシル10セチルエーテル、ポリオキシル20セチルエーテル、ポリオキシル4ラウリルエーテル、ポリオキシル9ラウリルエーテル、ポリオキシル23ラウリルエーテル、ポリオキシル2オレイルエーテル、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル20オレイルエーテル、ポリオキシル2ステアリルエーテル、ポリオキシル10ステアリルエーテル、ポリオキシル20ステアリルエーテル、およびポリオキシル100ステアリルエーテルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書中で使用される、用語「ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル」は、ポリオキシエチレンソルビタンのモノ、ジ、トリ、および/またはテトラ脂肪酸エステルを得るためにソルビトール、無水物、およびエチレンオキシドから調製した単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる薬学的賦形剤クラスをいう。いくつかの実施形態では、この賦形剤クラスは、以下の式:
【0034】
【化6】

(式中、「h」、「i」、「j」、および「k」は、それぞれ独立して、0〜20から選択される整数であり、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、Hまたは脂肪酸のアシル基であり、但し、「h+i+j+k」は、25以下の整数であり(ジアステレオマー、鏡像異性体、およびその混合物が含まれる)、R基、R基、R基、およびR基の少なくとも1つはH以外である)の単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる。1つの実施形態では、テトラヒドロ−フラニル環の立体化学は、以下のとおりである。
【0035】
【化7】

ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例には、ポリソルベート20[ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート]、ポリソルベート21[ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート]、ポリソルベート40[ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート]、ポリソルベート60[ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアラート]、ポリソルベート61[ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアラート]、ポリソルベート65[ポリオキシエチレン20ソルビタントリステアラート]、ポリソルベート80[ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレアート]、およびポリソルベート81[ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレアート]などが含まれるが、これらに限定されない。ポリソルベート20、40、60、65、および80については、h+i+j+k=20;ポリソルベート81については、h+i+j+k=5;ポリソルベート21および61については、h+i+j+k=4。特定のポリソルベートは、「TWEEN」の商標名でRoche Applied Scienceから市販されている。
【0036】
本明細書中で使用される、用語「アシルポリオキシエチレン」は、ポリエチレングリコールのモノおよび/またはジ脂肪酸エステルを得るために脂肪酸およびポリエチレングリコールから調製した単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる薬学的賦形剤クラスをいう。いくつかの実施形態では、この賦形剤クラスは、以下の式:
【0037】
【化8】

(式中、「m」は1〜50から選択される整数であり、RおよびRは、それぞれ独立して、Hまたは脂肪酸のアシル基であり、但し、RおよびRの少なくとも1つがH以外の基である(すなわち、RおよびRの両方がHではない))の単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる。いくつかの実施形態では、RおよびRの両方は、独立して、脂肪酸のアシル基である。アシルポリオキシエチレンの例には、ポリオキシル2ステアラート、ポリオキシル4ステアラート、ポリオキシル6ステアラート、ポリオキシル8ステアラート、ポリオキシル12ステアラート、ポリオキシル20ステアラート、ポリオキシル30ステアラート、ポリオキシル40ステアラート、ポリオキシル50ステアラート、ポリオキシル4ジステアラート、ポリオキシル8ジステアラート、ポリオキシル12ジステアラート、およびポリオキシル32ジステアラートなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書中で使用される、用語「ヒドロキシアシルポリオキシエチレン」は、以下の式:
【0039】
【化9】

(式中、「o」は、1〜50から選択される整数であり、Rは1つまたは複数の−OR基に置換されたC1〜20アルキルであり、RはHまたは脂肪酸のアシル基である)の単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる薬学的賦形剤クラスをいう。1つを超える−OR基が存在する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、Rは、1つの−OR基に置換されたC1〜20アルキルである。ヒドロキシアシルポリオキシエチレンの例には、ポリエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアラート(ポリエチレングリコール−15−ヒドロキシステアラート、およびSolutol(登録商標)HS15)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書中で使用される、用語「ポリグリコール化グリセリド」は、
1)グリセロールのモノ、ジ、および/またはトリエステル、ならびに
2)分子量が約100〜約2,200のポリエチレングリコールのカルボン酸(脂肪酸など)とのモノおよび/またはジエステル
を含むか本質的にこれらからなる化合物の組み合わせである薬学的賦形剤クラスをいう。
【0041】
いくつかの実施形態では、ポリグリコール化グリセリドは、少量のグリセロールおよび/またはポリエチレングリコールを含む(例えば、賦形剤の総重量の約50重量%〜約0.001重量%、約40重量%〜約0.001重量%、約30重量%〜約0.001重量%、約20重量%〜約0.001重量%、または約10重量%〜約0.001重量%で共にまたは個別に存在する)。
【0042】
いくつかの実施形態では、ポリグリコール化グリセリドは、
1)式(II)の単一の化合物または式(II)の化合物の組み合わせ、および
2)式(III)の単一の化合物または式(III)の化合物の組み合わせ:
【0043】
【化10】

(式中、「t」は1〜32から選択される整数であり、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、Hまたは脂肪酸のアシル基である(ジアステレオマー、鏡像異性体、およびその混合物が含まれる))の組み合わせを含むか本質的にこれらからなる。いくつかの実施形態では、「t」は、4〜32から選択される整数である。
【0044】
一般に、ポリグリコール化グリセリドは十分に定義された混合物であり、その多くが市販されているか、当該分野で公知の方法によって調製することができる。ポリグリコール化グリセリドの例には、(GELUCIRE(登録商標)35/10)、(GELUCIRE(登録商標)44/14)、(GELUCIRE(登録商標)46/07)、PEG1450パルミトステアリン酸グリセリド(PEG−32グリセリルパルミトステアラート、GELUCIRE(登録商標)50/13)、PEG1450ステアリン酸グリセリド、(PEG−32グリセリルステアラート、GELUCIRE(登録商標)53/10)、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド(PEG400カプリル酸/カプリン酸グリセリド、LABRASOL(登録商標)、Acconon(登録商標)MC−8)、PEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリド(SOFTIGEN(登録商標)767、Acconon(登録商標)CC−6EP)、PEG300オレイン酸グリセリド(Labrafil(登録商標)M1944CS)、PEG300リノール酸グリセリド(Labrafil(登録商標)M2125CS)、およびPEG1500ラウリン酸グリセリド(Acconon(登録商標)C−44EP)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書中で使用される、用語「ポリオキシエチレンオイル」は、種々の量のエチレンオキシドと一置換、二置換、および/または三置換グリセリドまたはその混合物(グリセリドの置換基はヒドロキシル置換脂肪酸アシル基であり、1つを超えるヒドロキシル置換脂肪酸アシル基が存在する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい)との反応から得た単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる薬学的賦形剤クラスをいう。いくつかの実施形態では、種々の量のエチレンオキシドをヒマシ油(ヒマシ油)または硬化ヒマシ油と反応させ、これらを、本明細書中で、それぞれ「ポリオキシエチレンヒマシ油」および「ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油」と呼ぶ。いくつかの実施形態では、この賦形剤クラスは、以下の式:
【0046】
【化11】

(式中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、Hまたは式(IV)および(V):
【0047】
【化12】

から選択され、各R、R、およびRについての「u」、「v」、および「w」は、それぞれ独立して、0〜10から選択される整数であり、各R、R、およびRについての「x」は、独立して、1〜45から選択される整数である(ジアステレオマー、鏡像異性体、およびその混合物が含まれる))の単一の化合物または化合物の混合物のいずれかを含むか本質的にこれらからなる。いくつかの実施形態では、R、R、およびRは、独立して、式(IV)および(V)から選択される基(すなわち、非水素基)である。いくつかの実施形態では、各R、R、およびRについての「u」、「v」、および「w」は、同一である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの「u」、「v」、および「w」は、R、R、およびRで異なる。いくつかの実施形態では、「u」は7であり、「v」は0であり、「w」は6であり、各R、R、およびRは、同一の基である。一般に、ポリオキシエチレンオイルは十分に定義された混合物であり、その多くが市販されている。ポリオキシエチレンオイルの例には、ポリオキシル5ヒマシ油(Acconon CA−5;ポリオキシエチレン5ヒマシ油)、ポリオキシル9ヒマシ油(Acconon CA−9;ポリオキシエチレン9ヒマシ油)、ポリオキシル15ヒマシ油(Acconon CA−15;ポリオキシエチレン15ヒマシ油)、ポリオキシル35ヒマシ油(Cremophor(商標)EL;ポリオキシエチレン35ヒマシ油)、ポリオキシル40ヒマシ油(ヒマシ油POE−40;ポリオキシエチレン40ヒマシ油)、ポリオキシル40硬化ヒマシ油(Cremophor(商標)RH40;ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油)、およびポリオキシル60硬化ヒマシ油(Eumulgin HRE60;ポリオキシエチレン60硬化ヒマシ油)などが含まれるが、これらに限定されない。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の例には、ポリオキシル40硬化ヒマシ油(Cremophor(商標)RH40;ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油)、およびポリオキシル60硬化ヒマシ油(EumulginHRE60;ポリオキシエチレン60硬化ヒマシ油)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書中で使用される、用語「脂肪酸」は、式RC(=O)OH(式中、Rは直鎖または分岐C〜C25アルキル基または直鎖または分岐C〜C25アルケニル基であり、Rは、任意選択的に、1、2、3、または4個のヒドロキシル基に置換されている)によって示されるカルボン酸をいう。C〜C25アルケニルは、1つまたは複数の二重結合を有することができ、それぞれシスまたはトランスのいずれかであり得、1つを超えるが存在する場合、これらはシス、トランス、またはその混合物であり得ると理解される。
【0049】
いくつかの実施形態では、脂肪酸を、以下の式:CH(CHCH(R)(CHC(=O)OH(式中、RはHまたはヒドロキシルであり、「y」および「z」は、それぞれ独立して、0〜25から選択される整数であり、但し、y+z=23以下)によって示すことができる。したがって、この脂肪酸のアシル基を、式:CH(CHCH(R)(CHC(=O)−によって示すことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、脂肪酸を、以下の式:CH(CHCH=CH(CHC(=O)OH(式中、「y」および「z」は、それぞれ独立して、0〜25から選択される整数であり、但し、y+z=22以下)によって示すことができる。いくつかの実施形態では、二重結合はシスである。いくつかの実施形態では、二重結合はトランスである。したがって、この脂肪酸のアシル基を、式:CH(CHCH=CH(CHC(=O)−によって示すことができる。
【0051】
飽和脂肪酸の例には、プロピオン酸[CHCHC(=O)OH]、酪酸[CH(CHC(=O)OH]、ペンタン酸[CH(CHC(=O)OH]、ヘキサン酸[CH(CHC(=O)OH]、ヘプタン酸[CH(CHC(=O)OH]、カプリル酸[オクタン酸、CH(CHC(=O)OH]、ノナン酸[ペラルゴン酸、CH(CHC(=O)OH]、カプリン酸[デカン酸、CH(CHC(=O)OH]、ウンデカン酸[CH(CHC(=O)OH]、ラウリン酸[ドデカン酸、CH(CH10C(=O)OH]、トリデカン酸[CH(CH11C(=O)OH]、ミリスチン酸[テトラデカン酸、CH(CH12C(=O)OH]、パルミチン酸[ヘキサデカン酸、CH(CH14C(=O)OH]、ステアリン酸[オクタデカン酸、CH(CH16C(=O)OH]、12−ヒドロキシステアリン酸[12−ヒドロキシオクタデカン酸、CH(CHCH(OH)(CH10C(=O)OH]、およびアラキジン酸[エイコサン酸、CH(CH18C(=O)OH]などが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
不飽和脂肪酸の例には、(α)−リノレン酸[CHCHCH=CHCHCH=CHCHCH=CH(CHC(=O)OH]、ドコサヘキサエン酸(一般にDHAとして公知;22:6 ω−3)、エイコサペンタエン酸(一般にEPAとして公知;C2030、全シス脂肪酸20:5 ω−3)、リノール酸[CH(CH))CH=CHCHCH=CH(CHC(=O)OH、リシノール酸[ヒマシ油酸(castor oil acid);シス−12−ヒドロキシオクタデク−9−エノール酸、CH(CHCH(OH)CHCH=CH(CHC(=O)OH]、アラキドン酸[CH(CHCH=CHCHCH=CHCHCH=CHCHCH=CH(CHC(=O)OH]、オレイン酸[CH(CHCH=CH(CHC(=O)OH]、およびエルカ酸[CH(CHCH=CH(CH11C(=O)OH]などが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
用語「パルミトステアリン酸」は、パルミチン酸とステアリン酸との混合物をいう。いくつかの実施形態では、パルミチン酸とステアリン酸との混合物は、約2:3〜約3:2の比率である。
【0054】
本明細書中で使用される、句「脂肪酸のアシル基」は、カルボニル基の炭素に直接結合した脂肪酸のR基をいい、式:RC(=O)−(式中、Rは、上記と同一の定義を有する)によって示すことができる。
【0055】
本明細書中で使用される、用語「ヒドロキシル置換脂肪酸アシル基」は、カルボニル基の炭素に直接結合した脂肪酸のR基をいい、式:RC(=O)−(式中、Rは、直鎖または分岐C〜C25アルキル基または直鎖または分岐C〜C25アルケニル基であり、Rは、1、2、3、または4個のヒドロキシル基に置換されている)によって示すことができる。C〜C25アルケニルが1つまたは複数の二重結合を有することができ、それぞれ、シスまたはトランスであり、1つを超える二重結合が存在する場合、これらはシス、トランス、またはその混合物であり得ると理解される。
【0056】
本発明の薬学的組成物
明確にするために個別の実施形態に記載された本発明の特定の特徴を、単一の実施形態で組み合わせて提供することができると認識される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態に記載の本発明の種々の特徴を、個別または任意の適切な部分的組み合わせ(subcombination)で提供することもできる。
【0057】
本発明の1つの態様は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素;ならびに
グリコフロール、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオイル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アシルポリオキシエチレン、ポリグリコール化グリセリド、およびヒドロキシアシルポリオキシエチレンから選択される少なくとも1つの薬学的賦形剤を含む薬学的組成物に関する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本発明の薬学的組成物は、溶媒および1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の水和物を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬学的賦形剤は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオイル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、およびポリグリコール化グリセリドから選択される。
【0060】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬学的賦形剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、PEG300、PEG400、PEG600、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリソルベート20、PEG300オレイン酸グリセリド、PEG300リノール酸グリセリド、およびPEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリドから選択される。
【0061】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシエチレンオイルである第1の薬学的賦形剤、ならびにジエチレングリコールモノエチルエーテル、PEG300、PEG400、PEG600、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ポリソルベート80、ポリソルベート20、PEG300オレイン酸グリセリド、PEG300リノール酸グリセリド、およびPEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリドから選択される第2の薬学的賦形剤を含む薬学的組成物に関する。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリグリコール化グリセリドである第1の薬学的賦形剤、ならびにジエチレングリコールモノエチルエーテル、PEG300、PEG400、PEG600、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリソルベート20、PEG300オレイン酸グリセリド、PEG300リノール酸グリセリド、およびPEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリドから選択される第2の薬学的賦形剤を含む薬学的組成物に関する。
【0063】
いくつかの実施形態では、ポリオキシエチレンオイルはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。
【0064】
いくつかの実施形態では、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油はポリオキシル40硬化ヒマシ油である。
【0065】
いくつかの実施形態では、ポリグリコール化グリセリドはPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドである。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシエチレンオイルおよびポリグリコール化グリセリドを含む薬学的組成物に関する。
【0067】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む薬学的組成物に関する。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを、全組成物の少なくとも約60重量%、約62重量%、約64重量%、約66重量%、約68重量%、約70重量%、約72重量%、約74重量%、約76重量%、約78重量%、約80重量%、約82重量%、約84重量%、約85重量%、約86重量%、約87重量%、約88重量%、約89重量%、約90重量%、約91重量%、約92重量%、約93重量%、約94重量%、約95重量%、約96重量%、約97重量%、約98重量%、約99%、または約99.5重量%含む薬学的組成物に関する。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを全組成物の少なくとも約60重量%含む薬学的組成物に関する。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを全組成物の少なくとも約70重量%含む薬学的組成物に関する。
【0071】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを全組成物の少なくとも約80重量%含む薬学的組成物に関する。
【0072】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを全組成物の少なくとも約85重量%含む薬学的組成物に関する。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを全組成物の少なくとも約90重量%含む薬学的組成物に関する。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを全組成物の少なくとも約94重量%含む薬学的組成物に関する。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを全組成物の少なくとも約95重量%含む薬学的組成物に関する。
【0076】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを、それぞれ、約1:99〜約99:1、約2:98〜約98:2、約3:97〜約97:3、約4:96〜約96:4、約5:95〜約95:5、約6:94〜約94:6、約7:93〜約93:7、約8:92〜約92:8、約9:91〜約91:9、約1:9〜約9:1、約11:89〜約89:11、約12:88〜約88:12、約13:87〜約87:13、約14:86〜約86:14、約15:85〜約85:15、約16:84〜約84:16、約17:83〜約83:17、約18:82〜約82:18、約19:81〜約81:19、約1:4〜約4:1、約21:79〜約79:21、約22:78〜約78:22、約23:77〜約77:23、約24:76〜約76:24、約25:75〜約75:25、約26:74〜約74:26、約27:73〜約73:27、約28:72〜約72:28、約29:71〜約71:29、約3:7〜約7:3、約31:69〜約69:31、約32:68〜約68:32、約33:67〜約67:33、約34:66〜約66:34、約35:65〜約65:35、約36:64〜約64:36、約37:63〜約63:37、約38:62〜約62:38、約39:61〜約61:39、約2:3〜約3:2、約41:59〜約59:41、約42:58〜約58:42、約43:57〜約57:43、約44:56〜約56:44、約45:55〜約55:45、約46:54〜約54:46、約47:53〜約53:47、約48:52〜約52:48、または約49:51〜約51:49の重量比で含む薬学的組成物に関する。
【0077】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを約1:9〜約9:1の重量比で含む薬学的組成物に関する。
【0078】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを約2:3〜約3:2の重量比で含む薬学的組成物に関する。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを約45:55〜約55:45の重量比で含む薬学的組成物に関する。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを約1:1の重量比で含む薬学的組成物に関する。
【0081】
いくつかの実施形態では、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、全組成物の約40重量%〜約0.00001重量%存在する。
【0082】
いくつかの実施形態では、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、それぞれ、全組成物の約40重量%〜約0.001重量%、約39重量%〜約0.001重量%、約38重量%〜約0.001重量%、約37重量%〜約0.001重量%、約36重量%〜約0.001重量%、約35重量%〜約0.001重量%、約34重量%〜約0.001重量%、約33重量%〜約0.001重量%、約32重量%〜約0.001重量%、約31重量%〜約0.001重量%、約30重量%〜約0.001重量%、約29重量%〜約0.001重量%、約28重量%〜約0.001重量%、約27重量%〜約0.001重量%、約26重量%〜約0.001重量%、約25重量%〜約0.001重量%、約24重量%〜約0.001重量%、約23重量%〜約0.001重量%、約22重量%〜約0.001重量%、約21重量%〜約0.001重量%、約20重量%〜約0.001重量%、約19重量%〜約0.001重量%、約18重量%〜約0.001重量%、約17重量%〜約0.001重量%、約16重量%〜約0.001重量%、約15重量%〜約0.001重量%、約14重量%〜約0.001重量%、約13重量%〜約0.001重量%、約12重量%〜約0.001重量%、約11重量%〜約0.001重量%、約10重量%〜約0.001重量%、約9重量%〜約0.001重量%、約8重量%〜約0.001重量%、約7重量%〜約0.001重量%、約6重量%〜約0.001重量%、約5重量%〜約0.001重量%、約4重量%〜約0.001重量%、約3重量%〜約0.001重量%、約2重量%〜約0.001重量%、または約1重量%〜約0.001%存在する。
【0083】
いくつかの実施形態では、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、全組成物の約40%〜約0.001重量%存在する。
【0084】
いくつかの実施形態では、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、全組成物の約30重量%〜約0.001重量%存在する。
【0085】
いくつかの実施形態では、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、全組成物の約20重量%〜約0.001重量%存在する。
【0086】
いくつかの実施形態では、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、全組成物の約10重量%〜約0.001重量%存在する。
【0087】
いくつかの実施形態では、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、全組成物の約6重量%〜約0.001重量%存在する。
【0088】
いくつかの実施形態では、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、全組成物の約5重量%〜約0.001重量%存在する。
【0089】
いくつかの実施形態では、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、全組成物の約3重量%〜約重量0.001%存在する。
【0090】
いくつかの実施形態では、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素は、全組成物の約1重量%〜約0.001重量%存在する。
【0091】
いくつかの実施形態では、本発明は、全組成物の約40重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および約1:9〜約9:1の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物を含む薬学的組成物に関する。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明は、全組成物の約40重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および約2:3〜約3:2の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物を含む薬学的組成物に関する。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明は、全組成物の約40重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および約45:55〜約55:45の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物を含む薬学的組成物に関する。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明は、全組成物の約40重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および約1:1の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物を含む薬学的組成物に関する。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明は、全組成物の約40重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および約1:9〜約9:1の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物から本質的になる薬学的組成物に関する。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明は、全組成物の約40重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および約2:3〜約3:2の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物から本質的になる薬学的組成物に関する。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明は、全組成物の約40重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および約45:55〜約55:45の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物から本質的になる薬学的組成物に関する。
【0098】
いくつかの実施形態では、本発明は、全組成物の約40重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および約1:1の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物から本質的になる薬学的組成物に関する。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が全組成物の約30重量%〜約0.001重量%で存在し、ポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物が全組成物の少なくとも約70重量%存在する、薬学的組成物に関する。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が全組成物の約20重量%〜約0.001重量%存在し、ポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物が全組成物の少なくとも約80重量%存在する、薬学的組成物に関する。
【0101】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が全組成物の約10重量%〜約0.001重量%存在し、ポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物が全組成物の少なくとも約90重量%存在する、薬学的組成物に関する。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が全組成物の約6重量%〜約0.001重量%存在し、ポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物が全組成物の少なくとも約94重量%存在する、薬学的組成物に関する。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明は、カプセルに封入された薬学的組成物に関する。
【0104】
いくつかの実施形態では、本発明は、軟ゼラチンカプセルに封入された薬学的組成物に関する。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明は、硬ゼラチンカプセルまたは非ゼラチンカプセルに封入された薬学的組成物に関する。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明は、経口投与に適切な薬学的組成物に関する。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明は、経口投与後に約30ng.hr/mL〜約1050ng.hr/mLのAUCが得られる薬学的組成物に関する。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明は、経口投与後に約30ng.hr/mL〜約660ng.hr/mLのAUCが得られる薬学的組成物に関する。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明は、経口投与後に約10ng/mL〜約245ng/mLのCmaxが得られる薬学的組成物に関する。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明は、経口投与後に約10ng/mL〜約170ng/mLのCmaxが得られる薬学的組成物に関する。
【0111】
いくつかの実施形態では、本発明は、経口投与後に約20分〜約150分のtmaxが得られる薬学的組成物に関する。
【0112】
いくつかの実施形態では、本発明は、経口投与後に約20分〜約130分のtmaxが得られる薬学的組成物に関する。
【0113】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が約1mg〜約160mg存在する薬学的組成物に関する。
【0114】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が、約5mg、約10mg、約20mg、または約40mg存在する薬学的組成物に関する。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明は、全組成物の約6重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および約1:1の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物であって、混合物が全組成物の少なくとも約94重量%で存在する、混合物から本質的になる経口投与のためのソフトゼラチンカプセルに封入された薬学的組成物であって、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の用量が約5mg〜約40mgの組成物の経口投与後に、約30ng.hr/mL〜約660ng.hr/mLのAUC、約10ng/mL〜約245ng/mLのCmax、または約20分〜約130分のtmaxが得られる、薬学的組成物に関する。
【0116】
いくつかの実施形態では、ポリオキシル40硬化ヒマシ油はCremophor(登録商標)RH40である。
【0117】
いくつかの実施形態では、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドはLabrasol(登録商標)である。
【0118】
本発明の1つの態様は、a)約0.001mg〜約1000mgの1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素、およびb)ポリオキシエチレンオイル、ポリグリコール化グリセリド、またはその混合物を含む投薬形態に関する。
【0119】
本発明の1つの態様は、a)約0.5mg〜約500mgの1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素、およびb)ポリオキシエチレンオイル、ポリグリコール化グリセリド、またはその混合物を含む投薬形態に関する。
【0120】
本発明の1つの態様は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg、140mg、145mg、150mg、155mg、160mg、165mg、170mg、175mg、180mg、185mg、190mg、195mg、または200mgの1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素を含む投薬形態に関する。
【0121】
本発明の1つの態様は、1mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、80mg、または100mgの1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素を含む投薬形態に関する。
【0122】
いくつかの実施形態では、投薬形態は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、投薬形態は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを約1:9〜約9:1の重量比で含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、投薬形態は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを約2:3〜約3:2の重量比で含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、投薬形態は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを約45:55〜約55:45の重量比で含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、投薬形態は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを約1:1の重量比で含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、投薬形態は固体形態である。
【0128】
いくつかの実施形態では、投薬形態はカプセル形態である。
【0129】
いくつかの実施形態では、投薬形態は軟ゲルカプセル形態である。
【0130】
いくつかの実施形態では、投薬形態は経口投与に適切である。
【0131】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油がCremophor(登録商標)RH40である薬学的組成物に関する。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明は、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドがLabrasol(登録商標)である薬学的組成物に関する。
【0133】
本発明の1つの態様は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素ならびにポリオキシエチレンオイルおよびポリグリコール化グリセリドを含む薬学的組成物の調製方法であって、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素をポリオキシエチレンオイル、ポリグリコール化グリセリド、またはその混合物に溶解する工程を含む方法に関する。
【0134】
いくつかの実施形態では、本発明は、溶解を約1:1の重量比のポリオキシエチレンオイルおよびポリグリコール化グリセリド中で行う、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシエチレンオイルがポリオキシル40硬化ヒマシ油である薬学的組成物の調製方法に関する。
【0136】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリグリコール化グリセリドがPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドである、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0137】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が全組成物の約40重量%〜約0.001重量%存在する薬学的組成物の調製方法に関する。
【0138】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が全組成物の約6重量%〜約0.001重量%存在する薬学的組成物の調製方法に関する。
【0139】
いくつかの実施形態では、本発明は、混合物が全組成物の少なくとも約60重量%存在する薬学的組成物の調製方法に関する。
【0140】
いくつかの実施形態では、本発明は、混合物が全組成物の少なくとも約94重量%存在する薬学的組成物の調製方法に関する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の溶解を、約25℃を超える温度で行う、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の溶解を、約25℃〜約80℃の範囲の温度で行う、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0143】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の溶解を、約40℃〜約70℃の範囲の温度で行う、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0144】
いくつかの実施形態では、本発明は、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の溶解を、約55℃〜約65℃の範囲の温度で行う、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0145】
いくつかの実施形態では、本発明は、薬学的組成物を約25℃に冷却する工程をさらに含む、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明は、薬学的組成物をカプセルに充填する工程をさらに含む、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本発明は、薬学的組成物を軟ゼラチンカプセルに充填する工程をさらに含む、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0148】
いくつかの実施形態では、本発明は、薬学的組成物を硬ゼラチンカプセルまたは非ゼラチンカプセルに充填する工程をさらに含む、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0149】
いくつかの実施形態では、本発明は、ポリオキシル40硬化ヒマシ油がCremophor(登録商標)RH40である、薬学的組成物の調製方法に関する。
【0150】
いくつかの実施形態では、本発明は、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドがLabrasol(登録商標)である、薬学的組成物の調製方法に関する。
適応症および治療方法
上記の有利な使用に加えて、本発明の薬学的組成物は、いくつかのさらなる疾患および障害の治療ならびにその症状の改善に有用である。制限されないが、これらには、以下が含まれる。
【0151】
1.抗血小板療法(5−HT2A媒介性血小板凝集):抗血小板薬(抗血小板物質)は、種々の容態のために処方されている。例えば、冠状動脈疾患では、これらを使用して、閉塞性血餅(例えば、冠状動脈血栓症)の発症リスクのある患者における心筋梗塞または卒中の防止を補助する。
【0152】
心筋梗塞(心臓発作)では、心筋は、冠状動脈の閉塞の結果として、十分な酸素を豊富に含む血液を受け取らない。発作の進行時または直後に(好ましくは、30分以内)投与した場合、抗血小板物質は心臓の損傷を軽減することができる。
【0153】
一過性虚血発作(「TIA」または軽い脳卒中」)は、脳への酸素流の短期間の中断であり、通常、血餅の閉塞による動脈の血流の減少に起因する。抗血小板薬は、TIAの防止に有効であることが見出されている。
【0154】
アンギナは、いくつかの心臓の部位への不適切な酸素を豊富に含む血流(虚血)に起因する一過性でしばしば再発性の胸痛、圧迫、または不快感である。アンギナ患者では、抗血小板療法により、アンギナの影響および心筋梗塞のリスクが軽減される。
【0155】
卒中は、脳が十分な酸素を豊富に含む血液を受け取らない事象であり、通常、血餅による脳血管の閉塞に起因する。高リスク患者では、抗血小板物質の投与により、第1および第2の卒中を生じる血餅の形成を防止することが見出されている。
【0156】
血管形成術は、血餅によって閉塞された動脈を拡張するために使用されるカテーテルベースの技術である。動脈の拡張を保持するためにこの手順後にステント留置を行うかどうかにかかわらず、抗血小板物質は、手順後のさらなる血餅の形成リスクを軽減することができる。
【0157】
冠状動脈バイパス形成手術は、動脈または静脈を体内の他の場所から採取し、閉塞した冠状動脈に移植し、新規に付着させた血管を通して閉塞周囲に血流を切り替える外科的手順である。手順後、抗血小板物質は、続発性血餅リスクを軽減することができる。
【0158】
心房細動は、持続的な不規則な心臓の鼓動(不整脈)の最も一般的な型である。心房細動は、年間約200万人の米国人が罹患している。心房細動では、心房(心室上部(heart’s upper chambers))が急激に電気信号を発し、それにより、正常に収縮するよりもむしろ振動する。その結果、心拍が異常に速くなり、非常に不規則になる。抗血小板物質は、心房細動エピソード後に投与した場合、心臓内の血餅形成および脳への輸送(塞栓症)リスクを軽減することができる。
【0159】
5−HT2A受容体は血管の平滑筋に発現し、活性化血小板によって分泌された5−HTにより、凝固時に収縮およびさらなる血小板の活性化を引き起こす。5−HT2A逆アゴニストが血小板凝集を阻害し、それにより、抗血小板療法としての潜在的治療法であるという証拠が存在する(Satimura,Kら、Clin Cardiol 2002 Jan.25(l):28−32;およびWilson,H.Cら、Thromb Haemost 1991 Sep 2;66(3):355−60を参照のこと)。
【0160】
本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストは、例えば、上記適応症における血小板凝集の血管収縮生成物の拮抗によって抗血小板療法を必要とする患者の微小循環を有利に改善することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを含む組成物を患者に投与する工程を含む、必要とする患者の血小板凝集を軽減する方法を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを含む組成物を患者に投与する工程を含む、治療を必要とする患者の冠状動脈疾患、心筋梗塞、一過性虚血発作、アンギナ、卒中、心房細動、または上記のいずれかの症状を治療する方法を提供する。
【0161】
いくつかの実施形態では、本発明は、血管形成術もしくは冠状動脈バイパス形成手術を受ける患者または心房細動を罹患している患者における血餅形成リスクを軽減する方法であって、このようなリスクが存在する時に本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを含む組成物を患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0162】
2.喘息
5−HT(5−ヒドロキシトリプタミン)が急性喘息の病態生理学で役割を果たすことが示唆されている(Cazzola,M.and Matera,M.G.,TIPS,2000,21,13;およびDe Bie,JJ.ら、British J.Pharm,1998,124,857−864を参照のこと)。本明細書中に開示の本発明の薬学的組成物は、喘息の治療およびその症状の治療に有用である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを含む組成物を患者に投与する工程を含む、治療を必要とする患者の喘息を治療する方法を提供する。さらなる実施形態では、本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを含む組成物を患者に投与する工程を含む、治療を必要とする患者の喘息の症状を治療する方法を提供する。
【0163】
3.興奮
興奮は、一連の症状(敵意、極度の興奮、不十分な衝動調節、緊張、および非共同性が含まれる)を有する十分に認識された行動症候群(behavioral syndrome)である(Cohen−Mansfield J,and Billig,N.,(1986),Agitated Behaviors in the Elderly.I.A Conceptual Review.J Am Geriatr Soc 34(10):711−721を参照のこと)。
【0164】
興奮は、高齢者に頻発し、しばしば、認知症(中枢神経系の変性疾患であるアルツハイマー病、レヴィ小体病、パーキンソン病、およびハンチントン病、ならびに卒中などの血管に影響を及ぼす疾患(すなわち、脳内において多発性卒中によって引き起こされ、認知症も誘導し得る多発性梗塞性認知症)によって引き起こされる認知症など)に関連する。アルツハイマー病は、全認知症の約50〜70%を占める(Koss Eら、(1997),Assessing patterns of agitation in Alzheimer’s disease patients with the Cohen−Mansfield Agitation Inventory.The Alzheimer’s Disease Cooperative Study.Alzheimer Dis Assoc Disord ll(suppl 2):S45−S50を参照のこと)。
【0165】
65歳以上の高齢者の約5%および80歳以上の高齢者の20%までが認知症を罹患し、これらの患者のほぼ半数が、行動障害(興奮、遊走、および暴力的行為(violent outbursts)など)を示す。
【0166】
激越性の行動は、認知症を引き起こしていない高齢者および認知症以外の精神障害を罹患した高齢者においても発症し得る。
【0167】
興奮を、しばしば、養護施設および他の介助施設(assisted care settings)でのハロペリドールなどの抗精神病薬の投与によって治療する。脳内で5−HT2A受容体に作用する薬剤が患者(アルツハイマー認知症患者が含まれる)における興奮の軽減に効果があるという証拠が得られつつある(Katz,I.R.ら、J Clin Psychiatry 1999 Feb.,60(2):107−115;およびStreet,J.S.ら、Arch Gen Psychiatry 2000 Oct.,57(10):968−976を参照のこと)。
【0168】
本明細書中に開示の本発明の組成物は、興奮およびその症状の治療に有用である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを含む組成物を患者に投与する工程を含む、治療を必要とする患者の興奮を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、興奮は、認知症以外の精神障害に起因する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを含む組成物を患者に投与する工程を含む、認知症患者の興奮またはその症状を治療する方法を提供する。このような方法のいくつかの実施形態では、認知症は、神経系の変性疾患(例えば、アルツハイマー病、レヴィ小体病、パーキンソン病、およびハンチントン病が含まれるが、これらに限定されない)に起因するか、認知症は、血管に影響を及ぼす疾患(卒中および多発性梗塞性認知症が含まれるが、これらに限定されない)に起因する。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを含む組成物を患者に投与する工程を含む、治療を必要とする患者(患者は、認知症を罹患していない高齢者である)の興奮を治療する方法を提供する。
【0169】
4.統合失調症および他の障害の治療におけるハロペリドールの付加療法
統合失調症は、未知の起源の精神病質性障害であり、通常、成人早期に最初に発症し、多数の特徴、精神病の症状、進行、周期的発症(phasic development)、および社会的行動の悪化、ならびに以前に達成された最も高いレベル未満の領域における専門能力によって特徴づけられる。特徴的な精神病の症状は、思想内容の障害(多発性、断片的、滅裂性、信じ難い、または単純に妄想性の内容または被害妄想)および知能障害(関連性の喪失、想像の飛躍、不可解な散乱(incoherence up to incomprehensibility))、ならびに知覚障害(幻覚)、感情障害(表面上(superficial)または不適切な感情)、自己知覚障害、意図および欲求の障害、対人関係の障害、および最終的な心身症性障害(緊張病など)である。他の症状もこの障害に関連する(American Statistical and Diagnostic Handbookを参照のこと)。
【0170】
ハロペリドール(Haldol)は、強いドーパミンD受容体アンタゴニストである。これは、急性統合失調症の症状のために処方され、統合失調症の陽性症状に非常に有効である。しかし、Haldolは、統合失調症の陰性症状に有効ではなく、実際は、陰性症状および認知機能障害を誘導し得る。本発明のいくつかの方法によれば、Haldolに付随した5−HT2A逆アゴニストの付加により、利点(陰性症状に及ぼす誘導効果を軽減または消失しながら陽性症状に及ぼす影響を喪失せずにHaldolの用量を低くし、患者の次の統合失調症事象の再発を延長することができることが含まれる)を得ることができる。
【0171】
ハロペリドールは、種々の行動障害、薬物誘導性精神病、興奮性精神病、ジルドラトゥレット症候群、躁病性障害、精神病(器質性およびNOS)、精神病性障害、精神病、統合失調症(急性、慢性、およびNOS)の治療のために使用されている。さらなる使用には、乳児自閉症、ハンチントン舞踏病、ならびに化学療法および化学療法抗体由来の吐き気および嘔吐の治療における使用が含まれる。本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストのハロペリドールとの投与もこれらの適応症で有益であり得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、本発明は、ドーパミンD受容体アンタゴニストおよび本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを患者に投与する工程を含む、行動障害、薬物誘導性精神病、興奮性精神病、ジルドラトゥレット症候群、躁病性障害、精神病(器質性およびNOS)、精神病性障害、精神病、統合失調症(急性、慢性、およびNOS)を治療する方法を提供する。
【0173】
いくつかの実施形態では、本発明は、ハロペリドールおよび本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを患者に投与する工程を含む、行動障害、薬物誘導性精神病、興奮性精神病、ジルドラトゥレット症候群、躁病性障害、精神病(器質性およびNOS)、精神病性障害、精神病、統合失調症(急性、慢性、およびNOS)を治療する方法を提供する。
【0174】
いくつかの実施形態では、本発明は、ドーパミンD受容体アンタゴニストおよび本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを患者に投与する工程を含む、乳児自閉症、ハンチントン舞踏病、または化学療法または化学療法抗体由来の吐き気および嘔吐を治療する方法を提供する。
【0175】
いくつかの実施形態では、本発明は、ハロペリドールおよび本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを患者に投与する工程を含む、乳児自閉症、ハンチントン舞踏病、または化学療法または化学療法抗体由来の吐き気および嘔吐を治療する方法を提供する。
【0176】
さらなる実施形態では、本発明は、ドーパミンD受容体アンタゴニストおよび本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを患者に投与する工程を含む、必要な患者の統合失調症を治療する方法を提供する。好ましくは、ドーパミンD受容体アンタゴニストは、ハロペリドールである。
【0177】
ドーパミンD受容体アンタゴニストを5−HT2A逆アゴニストと共に投与することができるか、これらを異なる時期に投与することができる。当業者は、ハロペリドールの副作用を最も有効に軽減または消失するのに適切な投与計画を容易に決定することができるであろう。いくつかの実施形態では、ハロペリドールおよび5−HT2A逆アゴニストを、単回投薬形態で投与するか、他の実施形態ででは、これらを、個別の投薬形態で投与する。
【0178】
本発明は、さらに、本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを患者に投与する工程を含む、統合失調症を罹患した患者にハロペリドールを投与することにより誘導される、統合失調症の陰性症状を緩和する方法を提供する。
【0179】
5.睡眠障害
National Sleep Foundation’s 2002 Sleep In America Pollにおいて、調査した成人の過半数(58%)が過去1年以内に少なくとも数日間1つまたは複数の不眠症の症状を経験していることが報告されている。加えて、10人のうち約3人(35%)が、毎晩またはほぼ毎晩に不眠症様症状を経験したと訴えている。
【0180】
正常な睡眠周期および睡眠構造は、種々の器質的原因および環境の影響によって妨害され得る。睡眠障害国際分類(International Classification of Sleep Disorders)では、80種を超える睡眠障害が存在する。これらのうち、本発明の化合物は、例えば、1つまたは複数の以下の睡眠障害のいずれかに有効である(ICSD−International Classification of Sleep Disorders:Diagnostic and Coding Manual.Diagnostic Classification Steering Committee,American Sleep Disorders Association,1990)。
【0181】
A.睡眠異常
a.内因性睡眠障害:
精神生理性不眠症、睡眠状態誤認、特発性不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、中枢性睡眠時無呼吸症候群、中枢性肺胞低換気症候群、周期性四肢運動障害、レストレス・レッグ症候群、および特定不能な内因性睡眠障害。
【0182】
b.外因性睡眠障害:
不適切睡眠衛生、環境性睡眠障害、高度不眠症、適応睡眠障害、不十分睡眠症候群、限度設定睡眠障害、入眠時随伴障害、夜間摂食症候群、催眠剤依存性睡眠障害、刺激剤依存性睡眠障害、アルコール依存性睡眠障害、毒物因性睡眠障害、および特定不能の外因性睡眠障害。
【0183】
c.概日リズム性睡眠障害:
時差帯域移動症候群(ジェット時差症候群)、交代勤務睡眠障害、不規則型睡眠覚醒障害、睡眠相遅延症候群、睡眠相前進症候群、非24時間型睡眠覚醒障害、および特定不能の概日リズム性睡眠障害。
【0184】
B.睡眠時異常行動
a.覚醒障害:
もうろう覚醒、睡眠遊行症、および睡眠驚愕症。
【0185】
b.睡眠覚醒移行障害:
律動性運動障害、睡眠跳起症、寝言、および夜間むずむず脚。
【0186】
C.内科的障害や精神障害に伴う睡眠障害
a.心の障害に伴う睡眠障害:精神病、気分障害、不安障害、パニック障害、およびアルコール中毒症。
【0187】
b.神経学的障害に伴う睡眠障害:
大脳変性性障害、認知症、パーキンソン病、致死性家族性不眠症、睡眠関連癲癇、睡眠時電気的癲癇重積、および睡眠関連頭痛。
【0188】
c.他の内科的障害に伴う睡眠障害:
眠り病、夜間型心筋虚血、慢性閉塞性肺疾患、睡眠関連喘息、睡眠関連胃食道逆流、消化性潰瘍疾患、結合組織炎症候群、骨関節炎、関節リウマチ、線維筋痛、および術後睡眠障害。
【0189】
睡眠不足は、昼間に異常な眠気をおこす以上の影響を与える。慢性不眠症患者は、ストレスレベルの上昇、不安、抑鬱症、および内科的疾患が報告されている(National Institutes of Health,National Heart,Lung,and Blood Institute,Insomnia Facts Sheet,Oct.1995)。予備的証拠により、睡眠を著しく喪失させる睡眠障害は、免疫抑制に起因する感染症、心血管系の合併症(高血圧症、心不整脈、卒中、および心筋梗塞など)、耐糖能の妥協(compromised glucose tolerance)、肥満症の増加、および代謝症候群に対する感受性の増加に寄与し得ることが示唆される。本発明の化合物は、睡眠の質の改善によってこれらの合併症を防止または緩和するのに有用である。
【0190】
大多数の睡眠障害のための最も一般的な薬物クラスはベンゾジアゼピンであるが、ベンゾジアゼピンの副作用プロフィールには、昼間の鎮静(daytime sedation)、運動協調性の低下、および認識機能障害が含まれる。さらに、National Institutes of Health Consensus conference on Sleeping Pills and Insomnia in 1984は、薬物乱用、薬物依存症、薬物離脱、および反発性不眠症のために4〜6週間を超えるこのような睡眠鎮静薬の使用を防止するガイドラインを作成した。したがって、現在使用されている薬理学的作用因子よりも有効および/または副作用のより少ない不眠症治療のための薬理学的作用因子(pharmacological agent)を有することが望ましい。さらに、ベンゾジアゼピンを使用して睡眠を誘導するが、睡眠の維持、睡眠の強化(sleep consolidation)、および徐波睡眠に影響をほとんど及ぼさないか全く及ぼさない。したがって、睡眠維持障害は、現在、十分に治療されていない。
【0191】
本明細書中に開示の化合物と類似の作用機構を有する薬剤を使用した臨床研究により、正常で健康なボランティアならびに睡眠障害および気分障害の患者において客観的および主観的なパラメーターが有意に改善されることが証明されている(Sharpley ALら。Slow Wave Sleep in Humans:Role of 5−HT2A and 5HT2C Receptors.Neuropharmacology,1994,Vol.33(3/4):467−71;Winokur A,ら。Acute Effects of Mirtazapine on Sleep Continuity and Sleep Architecture in Depressed Patients:A Pilot Study.Soc of Biol Psych,2000,Vol.48:75−78;およびLandolt HPら。Serotonin−2 Receptors and Human Sleep:Effect of Selective Antagonist on EEG Power Spectra.Neuropsychopharmacology,1999,Vol.21(3):455−66)。
【0192】
いくつかの睡眠障害は、時折、他の病態と併せて見出される。したがって、これらの容態は、本発明の薬学的組成物によって治療可能である。例えば、限定されないが、気分障害を罹患した患者は、典型的には、本発明の薬学的組成物によって治療することができる睡眠障害を罹患している。本発明のような2つまたはそれを超える既存の容態または潜在的容態を治療する1つの薬理学的作用因子を有することにより、2つまたはそれを超える薬剤を摂取するよりも遵守し易く、副作用が少ない。
【0193】
本発明の目的は、睡眠障害の治療で使用される治療薬を提供することである。本発明の別の目的は、2つまたはそれを超える容態(容態のうちの1つは睡眠障害である)の治療で有用であり得る1つの薬学的作用因子(pharmaceutical agent)を提供することである。本明細書中に記載の本発明の組成物を、単独で使用するか、睡眠導入剤(すなわち、抗ヒスタミン薬)と組み合わせて使用することができる。
睡眠構造:
睡眠は、以下の2つの生理学的状態を含む:非急速眼球運動(NREM)睡眠および急速眼球運動(REM)睡眠。NREM睡眠は4段階からなり、それぞれ、段階的に遅くなる脳波パターンによって特徴づけられ、より遅いパターンほど眠りがより深い。いわゆるデルタ睡眠(NREM睡眠の第3段階および第4段階)は、最も深く且つ最もすっきりする睡眠型である。多くの睡眠障害患者は、第3段階および第4段階の回復睡眠(restorative sleep)を適切に達成することができない。臨床期間では、患者の睡眠パターンは、断片化(fragmented)と記載されており、これは、患者を第1段階と第2段階との間の変化(半覚醒状態)に多くの時間を費やして覚醒しており、熟睡にほとんど時間を費やしていないことを意味する。本明細書中で使用される、用語「睡眠構造の断片化」は、睡眠障害患者などの個体が睡眠時間の大部分をNREM睡眠段階1および2に費やして睡眠時間がより短く、それにより、個体が限られた外部刺激によって覚醒状態を容易に引き起こし得ることを意味する。結果として、個体は、睡眠期間を通して、頻繁な覚醒によって妨害される浅い眠りを頻繁に繰り返す。多数の睡眠障害は、睡眠構造の断片化によって特徴づけられる。例えば、不眠を訴える多くの高齢の患者は、長期間の深いすっきりする睡眠(NREM段階3および4)を達成するのが困難であり、代わりにその睡眠時間のほとんどをNREM睡眠段階1および2に費やす。
【0194】
睡眠構造の断片化と対照的に、本明細書中で使用される、用語「睡眠の強化」は、NREM睡眠(特に、第3段階および第4段階)の数およびその睡眠の長さが増加する一方で、覚醒の数および長さが減少する状態を意味する。本質的に、睡眠構造障害患者は、睡眠期間が増加し、夜間の覚醒数が少なく、徐波睡眠(第3段階および第4段階)により多くの時間を費やし、振動段階1および2の睡眠がより少ない睡眠状態と見なされる。本発明の組成物は、以前に睡眠が断片化された患者がその後により長く、より一貫した期間、デルタ波睡眠を達成することができるような睡眠パターンの強化に有効であり得る。
【0195】
睡眠が段階1からより後期の段階に移行するにつれて、心拍数および血圧が低下し、代謝率およびグルコース消費が低下し、筋肉が弛緩する。正常な睡眠構造では、NREM睡眠が全睡眠時間の約75%を占め、そのうち、第1段階が全睡眠時間の5〜10%を占め、第2段階が45〜50%を占め、第3段階が約12%を占め、第4段階が13〜15%を占める。睡眠開始から約90分後、NREM睡眠は、夜間の最初のREM睡眠エピソードに移行する。REMは、全睡眠時間の約25%を占める。NREM睡眠と対照的に、REM睡眠は、高い脈拍、呼吸数、および血圧ならびに活動的な覚醒段階に類似の他の生理学的パターンによって特徴づけられる。したがって、REM睡眠は、「逆説睡眠」としても公知である。NREM睡眠中に睡眠が開始され、健康な若年成人ではこれに10〜20分かかる。NREM睡眠の4つの段階はREM期と共に1つの完全な睡眠周期を形成し、これが睡眠中に、通常4〜5回繰り返される。睡眠の循環性は、規則的で信頼できる。REM期は、夜間に約90分毎に起こる。しかし、最初のREM期は最も短い傾向があり、しばしば、10分未満継続されるのに対して、その後のREM期は40分まで持続し得る。老化するにつれて、入眠から睡眠開始までの時間は増加し、睡眠持続および睡眠の質を低下させる睡眠構造の変化により、総夜間睡眠量は減少する。NREM(特に、第3段階および第4段階)およびREM睡眠の両方が減少する。しかし、最も浅い眠りである第1段階のNREM睡眠は、老化とともに増加する。
【0196】
本明細書中で使用される、用語「デルタパワー(delta power)」は、NREM睡眠時の0.5〜3.5Hzの範囲の脳波活動の持続時間の尺度を意味し、これは、より深く、よりすっきりする睡眠の尺度であると考えられている。デルタパワーは、S過程(Process S)と呼ばれる理論上の過程の尺度であると仮定され、与えられた睡眠時間における個別の経験が睡眠量に反比例すると考えられている。睡眠は、ホメオスタシス機構によって制御される。したがって、眠りが浅くなるほどより眠くなる。S過程は覚醒期を通して増加し、デルタパワー睡眠中に最も効率良く低下すると考えられている。デルタパワーは、睡眠期間前のS過程の規模の尺度である。より長く覚醒が維持されるとS過程が大きくなるか睡眠が促進され、それにより、NREM睡眠中のデルタパワーが大きくなる。しかし、睡眠障害を示す固体は、デルタ波睡眠の達成および維持が困難であり、それにより、S過程が非常に増加するが、睡眠中にこの増加を低下させる能力が制限される。臨床前試験および臨床試験を行った5−HT2Aアゴニストはデルタパワーに及ぼす断眠の影響を臨床的に模倣するので、5−HT2A逆アゴニストまたはアンタゴニストで処置した睡眠障害被験体はより深く、よりすっきりする睡眠を達成することができると示唆される。これらの同一の効果は、現在市販されている薬物療法薬では認められていなかった。さらに、現在市販されている睡眠のための薬物療法薬は、GABA受容体に関連する後遺症または依存症などの副作用がある。5−HT2A逆アゴニストは、GABA受容体をターゲティングせず、それにより、これらの副作用は影響しない。
【0197】
睡眠障害の主観的および客観的な決定:
睡眠(すなわち、非回復睡眠または回復睡眠)の開始、持続時間、または質が損なわれたか改善されたかについて多数の決定方法が存在する。1つの方法は、患者の主観的決定である(例えば、覚醒時に眠気を感じるか休息する(rested))。他の方法は、睡眠中の他人による患者の観察(例えば、患者が眠りにつく期間、患者が夜間に起きる回数、患者が睡眠中にどの程度落ち着かないかなど)を含む。別の方法は、ポリソムノグラフィを使用して睡眠段階を客観的に測定することである。
【0198】
ポリソムノグラフィは、睡眠中の複数の電気生理学的パラメーターのモニタリングであり、一般に、EEG活動、眼電図の活動(electroculographic activity)、および筋電図の活動(electromyographic activity)の測定、ならびに他の測定を含む。所見と併せたこれらの結果は、睡眠潜時(入眠に必要な時間)だけでなく、睡眠の質の指標であり得る睡眠連続性(眠りと覚醒状態との間の全体的なバランス)および睡眠の強化(デルタ波睡眠または回復睡眠に費やす睡眠時間の比率)も測定することができる。
【0199】
5つの異なる睡眠段階が存在し、これらを、ポリソムノグラフィ(急速眼球運動(REM)睡眠および非急速眼球運動(NREM)睡眠の4つの段階(第1段階、第2段階、第3段階、および第4段階)によって測定することができる。第1段階のNREM睡眠は、覚醒状態から睡眠への移行であり、健康な成人の睡眠時間の約5%を占める。特異的EEG波形(睡眠紡錘波およびK複合波)によって特徴づけられる第2段階のNREM睡眠は、睡眠時間の約50%を占める。第3段階のおよび第4段階のNREM睡眠(集合的に、徐波睡眠およびデルタ波睡眠としても公知)は、最も深いレベルの睡眠であり、睡眠時間の約10〜20%を占める。REM睡眠(この間にはっきりとした夢を見る)は、全睡眠の約20〜25%を占める。
【0200】
これらの睡眠段階は、夜間を通じた特徴的な一過性の機構を有する。NREMの第3段階および第4段階は夜間の最初の1/3〜1/2で起こり、断眠に応答して持続時間が増加する傾向がある。REM睡眠は、夜間に周期的に起こる。約80〜100分毎にNREM睡眠に切り替わる。REM睡眠期間は、朝方に向かって持続時間が増加する。ヒトの睡眠はまた、一生を通して特徴的に変化する。小児期および青年前期における長期間の徐波睡眠による相対的安定後、睡眠連続性(sleep continuity)および睡眠の深さは、成人年齢範囲を通して悪化する。この悪化は、覚醒状態および第1段階の睡眠の増加および第3段階および第4段階の睡眠の減少を反映する。
【0201】
さらに、本発明の組成物は、発作睡眠などの昼間過眠によって特徴づけられる睡眠障害の治療に有用であり得る。セロトニン5−HT2A受容体の逆アゴニストは、夜間の睡眠の質を改善し、過剰な昼間過眠を減少させることができる。
【0202】
したがって、本発明の別の態様は、睡眠障害治療のための本発明の組成物の治療用途に関する。本発明の組成物は、セロトニン5−HT2A受容体の強い逆アゴニストであり、それにより、REM睡眠に影響を及ぼさない睡眠開始潜伏期(睡眠誘導の尺度)の減少、夜間の覚醒数の減少、およびデルタ波睡眠時間(睡眠の質の向上および睡眠の強化の尺度)の延長のうちの1つまたは複数の促進によって睡眠障害治療で有効であり得る化合物を含む。さらに、本発明の組成物は、単剤療法または睡眠薬(例えば、抗ヒスタミン薬が含まれるが、これらに限定されない)との組み合わせで有効であり得る。
【0203】
6.糖尿病関連病変:
高血糖は糖尿病性合併症(糖尿病性末梢神経ニューロパシー(DPN)、糖尿病性腎症(DN)、および糖尿病性網膜症(DR)など)の主な原因であるにもかかわらず、糖尿病患者の血漿セロトニン濃度の増加も疾患の進行の一因となるとされている(Pietraszek,M.H.ら。Thrombosis Res.1992,66(6),765−74;およびAndrzejewska−Buczko Jら、Klin Oczna.1996;98(2),101−4)。セロトニンは、血管痙攣および血小板凝集性の増加の一因となると考えられている。微小血管の血流の改善は、糖尿病性合併症に有益であり得る。
【0204】
Cameron and Cotter in Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol.2003 Jun;367(6):607−14による最近の研究は、5−HT2Aアンタゴニスト実験的薬剤AT−1015および他の非特異的5−HT2Aアンタゴニスト(リタンセリンおよびサルポグレラートが含まれる)を使用している。これらの研究により、3つ全ての薬物が糖尿病ラットの19.8%の坐骨神経中の運動神経の伝達欠損(sciatic motor conduction deficit)を顕著に(82.6〜99.7%)補正することができることが見出された。同様に、坐骨神経内血流および伏在神経中の感覚神経の伝達速度(saphenous sensory conduction velocity)の44.7%および14.9%の減少が、完全に逆転した。
【0205】
個別の患者研究では、サルポグレラートを、糖尿病性腎症の発症または進行の防止について評価した(Takahashi,T.ら、Diabetes Res Clin Pract.2002 Nov;58(2):123−9)。24ヶ月の治療試験では、サルポグレラートは、尿中アルブミン排泄レベルを有意に低下させた。
【0206】
7.緑内障
5−HT2受容体アンタゴニストの局所眼内投与により、サル(Changら、J.Ocul Pharmacol 1:137−147(1985))およびヒト(Mastropasquaら、Acta Ophthalmol Scand Suppl 224:24−25(1997))の眼圧(IOP)が減少し、緑内障に関連する高眼圧症の治療における5−HT2A逆アゴニストなどの類似の化合物の有用性が示されている。5−HT2受容体アンタゴニストであるケタンセリン(Mastropasqua、前出)およびサルポグレラート(Takenakaら、Investig Ophthalmol Vis Sci 36:S734(1995))は、緑内障患者のIOPを有意に低下させることが示されている。
【0207】
8.進行性多巣性白質脳症
進行性多巣性白質脳症(PML)は、免疫無防備状態の乏突起神経膠細胞の日和見ウイルス感染に起因する致死性脱髄疾患である。原因物質はJCウイルス(成人期以前の大部分の集団に感染し、腎臓に潜在性感染する遍在性パポバウイルス)である。免疫無防備状態宿主では、ウイルスが復活し、乏突起神経膠細胞に生産的に感染することができる。1984年までは主に潜在的リンパ増殖性障害を有する患者で報告されていたこの以前は稀であった条件は、現在、AIDS患者の4%で起こるので、より一般的である。患者は、通常、高進行性限局性神経学的欠陥(不全片麻痺または視野欠損(visual field deficit)など)または精神状態の変化を示す。脳MRIにおいて、1つまたは複数の白質病変が存在し、これらは、T2強調画像にて高信号を呈し、T1強調画像にて低信号を呈する。質量効果は認められず、造影増強は稀である。脳生検によって診断を確認することができ、in situハイブリッド形成または免疫細胞化学によってウイルスが証明される。CSF由来のJCウイルス配列のポリメラーゼ連鎖反応による増幅により、生検を必要とせずに診断を確認することができる(例えば、Antinoriら、Neurology(1997)48:687−694;Berger and Major,Seminars in Neurology(1999)19:193−200;およびPortegiesら、Eur.J.Neurol.(2004)11:297−304を参照のこと)。現在、有効な治療法は存在しない。診断後の生存期間は、AIDS患者で3〜5ヶ月である。
【0208】
JCウイルスは、受容体媒介性クラスリン依存性エンドサイトーシスによって細胞に侵入する。ヒト膠細胞(例えば、乏突起神経膠細胞)へのJCウイルスの結合により、リガンド誘導性クラスリン依存性機構による侵入および感染に重要な細胞内シグナルが誘導される(Querbesら、J Virology(2004)78:250−256)。最近、5−HT2Aは、クラスリン依存性エンドサイトーシスによるヒト膠細胞媒介性JCウイルスの感染性侵入における受容体であることが示された(Elphickら、Science(2004)306:1380−1383)。5−HT2Aアンタゴニスト(ケタンセリンおよびリタンセリンが含まれる)は、ヒト膠細胞のJCウイルス感染を阻害した。ケタンセリンおよびリタンセリンは、5−HT2Aに逆アゴニスト活性を有する。
【0209】
5−HT2Aアンタゴニスト(逆アゴニストが含まれる)は、PML治療で有用であることが予想されている(Elphickら、Science(2004)306:1380−1383)。5−HT2AアンタゴニストでのHIV感染患者の予防的治療は、JCウイルスの中枢神経系への拡大およびPMLの発症を防止すると予想されている。PML患者の積極的な治療上の処置は、中枢神経系へのウイルスの拡大を減少させ、さらなる脱髄エピソードを防止すると予想されている。
【0210】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示の5−HT2A逆アゴニストを含む組成物を患者に投与する工程を含む、治療を必要とする患者の進行性多病巣性白質脳症を治療する方法を提供する。
【0211】
本発明の代表的方法:
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、個体の5HT2A障害を治療する方法に関する。
【0212】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、個体の睡眠障害を治療する方法に関する。
【0213】
いくつかの実施形態では、睡眠障害は睡眠異常である。いくつかの実施形態では、睡眠異常は、精神生理性不眠症、睡眠状態誤認、特発性不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、中枢性睡眠時無呼吸症候群、中枢性肺胞低換気症候群、周期性四肢運動障害、レストレス・レッグ症候群、不適切睡眠衛生、環境性睡眠障害、高度不眠症、適応睡眠障害、不十分睡眠症候群、限度設定睡眠障害、入眠時随伴障害、夜間摂食症候群、催眠剤依存性睡眠障害、刺激剤依存性睡眠障害、アルコール依存性睡眠障害、毒物因性睡眠障害、時差帯域移動症候群(ジェット時差症候群)、交代勤務睡眠障害、不規則型睡眠覚醒障害、睡眠相遅延症候群、睡眠相前進症候群、および非24時間型睡眠覚醒障害から選択される。
【0214】
いくつかの実施形態では、睡眠障害は睡眠時異常行動である。いくつかの実施形態では、睡眠時異常行動は、もうろう覚醒、睡眠遊行症、睡眠驚愕症、律動性運動障害、睡眠跳起症、寝言、および夜間むずむず脚から選択される。
【0215】
いくつかの実施形態では、睡眠障害は身体疾患および精神障害に伴う。いくつかの実施形態では、身体疾患または精神障害は、精神病、気分障害、不安障害、パニック障害、アルコール中毒症、大脳変性性障害、認知症、パーキンソン病、致死性家族性不眠症、睡眠関連癲癇、睡眠時電気的癲癇重積、睡眠関連頭痛、眠り病、夜間型心筋虚血、慢性閉塞性肺疾患、睡眠関連喘息、睡眠関連胃食道逆流、消化性潰瘍疾患、結合組織炎症候群、骨関節炎、関節リウマチ、線維筋痛、および術後睡眠障害から選択される。
【0216】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を治療を必要とする個体に投与する工程を含む、個体の血小板凝集を治療する方法に関する。
【0217】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を治療を必要とする個体に投与する工程を含む、冠状動脈疾患、心筋梗塞、一過性虚血発作、アンギナ、卒中、および心房細動を治療する方法に関する。
【0218】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、血管形成術または冠状動脈バイパス形成手術を受ける個体の血餅形成リスクを軽減する方法に関する。
【0219】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、心房細動を罹患した個体の血餅形成リスクを軽減する方法に関する。
【0220】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、個体の喘息を治療する方法に関する。
【0221】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、個体の喘息の症状を治療する方法に関する。
【0222】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、個体の興奮またはその症状を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、個体は、認知症を引き起こしていない高齢の個体である。
【0223】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、認知症を罹患した個体の興奮またはその症状を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、認知症は、神経系の変性疾患に起因する。いくつかの実施形態では、認知症は、アルツハイマー病、レヴィ小体病、パーキンソン病、またはハンチントン病である。いくつかの実施形態では、認知症は、血管に影響を及ぼす疾患に起因する。いくつかの実施形態では、認知症は、卒中または多発性梗塞性認知症に起因する。
【0224】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物およびドーパミンD受容体アンタゴニストを必要とする個体に投与する工程を含む、行動障害、薬物誘導性精神病、興奮性精神病、ジルドラトゥレット症候群、躁病性障害、器質性精神病またはNOS精神病、精神病性障害、精神病、急性統合失調症、慢性統合失調症、およびNOS統合失調症から選択される適応症の少なくとも1つを罹患した個体を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、ドーパミンD受容体アンタゴニストはハロペリドールである。
【0225】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物およびドーパミンD受容体アンタゴニストを必要とする個体に投与する工程を含む、乳児自閉症、ハンチントン舞踏病、または化学療法もしくは化学療法抗体由来の吐き気および嘔吐を罹患した個体を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、ドーパミンD受容体アンタゴニストはハロペリドールである。
【0226】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物およびドーパミンD受容体アンタゴニストを必要とする個体に投与する工程を含む、個体の統合失調症を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、ドーパミンD受容体アンタゴニストはハロペリドールである。
【0227】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、統合失調症を罹患した個体へのハロペリドール投与によって誘導された統合失調症の陰性症状を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、ドーパミンD受容体アンタゴニストまたはハロペリドールおよび薬学的組成物を、個別の投薬形態で投与する。
【0228】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、個体の糖尿病関連障害を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、糖尿病関連障害は糖尿病性末梢神経ニューロパシーである。いくつかの実施形態では、糖尿病関連障害は糖尿病性腎症である。いくつかの実施形態では、糖尿病関連障害は糖尿病性網膜症である。
【0229】
本発明の1つの態様は、緑内障または眼圧が異常な他の眼疾患を治療する方法に関する。
【0230】
本発明の1つの態様は、治療有効量の本明細書中に記載の薬学的組成物を必要とする個体に投与する工程を含む、個体の進行性多巣性白質脳症を治療する方法に関する。
【0231】
いくつかの実施形態では、必要とする個体は、リンパ増殖性障害を罹患している。いくつかの実施形態では、リンパ増殖性障害は白血病またはリンパ腫である。いくつかの実施形態では、白血病またはリンパ腫は慢性リンパ球性白血病またはホジキン病などである。
【0232】
いくつかの実施形態では、必要とする個体は、骨髄増殖性障害を罹患している。
【0233】
いくつかの実施形態では、必要とする個体は、癌腫症を罹患している。
【0234】
いくつかの実施形態では、必要とする個体は、肉芽腫性疾患または炎症性疾患を罹患している。いくつかの実施形態では、肉芽腫性疾患または炎症性疾患は、結核またはサルコイドーシスである。
【0235】
いくつかの実施形態では、必要とする個体は、免疫無防備状態である。いくつかの実施形態では、免疫無防備状態の個体は、細胞性免疫が低下している。いくつかの実施形態では、細胞性免疫の低下は、T細胞免疫の低下を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、必要とする個体は、HIVに感染している。いくつかの実施形態では、HIV感染個体は、CD4+細胞数が200/mm以下である。いくつかの実施形態では、HIV感染個体は、AIDSを罹患している。いくつかの実施形態では、HIV感染個体は、AIDS関連症候群(ARC)を罹患している。特定の実施形態では、ARCは、連続する2回のCD4+細胞数が200/mm未満であり、以下の徴候または症状のうちの少なくとも2つを有すると定義する:口腔毛状白板症、再発性口腔カンジダ症、最後の6ヶ月以内の少なくとも2.5kgまたは10%の体重減少、多皮膚節(multidermatomal)帯状ヘルペス、連続して14日間を超えるか、30日のうち15日を超える38.5℃を超える体温、または少なくとも30日間で1日当たり3回を超える液状便を伴う下痢(例えば、Yamadaら、Clin.Diagn.Virol.(1993)1:245−256を参照のこと)。
【0237】
いくつかの実施形態では、必要とする個体は、免疫抑制療法を受けている。いくつかの実施形態では、免疫抑制療法は、免疫抑制薬の投与を含む(例えば、Mueller,Ann Thorac Surg(2004)77:354−362;およびKrieger and Emre,Pediatr Transplantation(2004)8:594−599を参照のこと)。いくつかの実施形態では、免疫抑制療法は、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾンなど)、カルシニューリンインヒビター(例えば、シクロスポリンおよびタクロリムスなど)、抗増殖薬(例えば、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、およびエベロリムスなど)、T細胞枯渇薬(T−cell depleting agent)(例えば、OKT(登録商標)3モノクローナル抗体(mAb)、抗CD3免疫毒素FN18−CRM9、キャンパス−1H(抗CD52)mAb、抗CD4mAb、および抗T細胞受容体mAbなど)、抗IL−2受容体(CD25)mAb(例えば、バシリキシマブ、およびダクリズマブなど)、同時刺激のインヒビター(例えば、CTLA4−Igおよび抗CD154(CD40リガンド)mAbなど)、デオキシスペルグアリンおよびそのアナログ(例えば、15−DSG、LF−08−0299、およびLF14−0195など)、レフルノミドおよびそのアナログ(例えば、レフルノミド、FK778、およびFK779など)、FTY720、抗α−4−インテグリンモノクローナル抗体、ならびに抗CD45RBモノクローナル抗体から選択される免疫抑制薬の投与を含む。いくつかの実施形態では、免疫抑制薬および化合物または薬学的組成物を、個別の投薬形態で投与する。いくつかの実施形態では、免疫抑制薬および化合物または薬学的組成物を、単一の投薬形態で投与する。
【0238】
いくつかの実施形態では、必要とする個体は、臓器移植後に免疫抑制療法を受けている。いくつかの実施形態では、臓器は、肝臓、腎臓、肺、または心臓などである(例えば、Singhら、Transplantation(2000)69:467−472を参照のこと)。
【0239】
いくつかの実施形態では、必要とする個体は、リウマチ性疾患の治療を受けている。いくつかの実施形態では、リウマチ性疾患は、全身性エリテマトーデスなどである。
【0240】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、ヒト膠細胞のJCウイルス感染を阻害する。
【0241】
必要に応じて、本発明の組成物は、従来の薬学的添加物(共界面活性剤(co−surfactants)(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、香味物質、香料、防腐剤、安定剤、抗酸化剤および/または増粘剤など)をさらに含むことができる。
【0242】
本明細書中に記載の薬学的組成物は、ヒトでの使用だけでなく、非ヒト哺乳動物での使用も意図されることに留意されたい。実際、動物医療領域における近年の進歩により、家畜(例えば、ネコおよびイヌ)および他の家畜(例えば、ウシ、ニワトリ、魚など)の5−HT2A媒介性疾患または障害の治療のための活性成分(active agent)(5−HT2A受容体モジュレーターなど)の使用が考慮されることが示唆される。当業者は、このような背景におけるこのような化合物の有用性を容易に理解している。
【0243】
本発明の薬学的組成物は、以下の実施例に関連してより深く理解されるであろう。これらの実施例は、本発明の例示を意図し、本発明の範囲を制限することを意図しない。さらに詳述することなく、当業者は、前記説明および以下の実施例に示す情報を使用して、本発明をその最も広い範囲で実施すると考えられる。
【実施例】
【0244】
実施例1:選択された賦形剤への1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の溶解性の決定
1mLのガラスバイアルに、過剰量の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および賦形剤を添加し、懸濁させた。いくつかの賦形剤について、懸濁は認められず、それにより、溶解度が特定の体積の添加量を超えていると考えられる(例えば、Transcutol(商標)P、PEG300、PEG600、Tween(商標)20、およびSoftigen767(以下の表を参照のこと)。ウイルス内容物を、VWR mini vortexterを使用して30秒間混合し、その後に1分間超音波処理(Branson1510)を行った。バイアルを一定温度の浴(すなわち、約25℃)に入れ、12時間も平衡化した。得られた懸濁液を、それぞれ0.2μmのナイロンフィルター(Costar8168)を備えたエッペンドルフチューブに移し、14,000rpmで10分間遠心分離した。各エッペンドルフチューブ由来の上清を回収し、HPLC用のアセトニトリルまたはメタノールで適切な希釈係数で希釈した。各溶液を、HPLC法によって分析した。
【0245】
例として、以下のHPLCアッセイを使用して、1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の水溶性を決定した。
【0246】
HPLCシステム:Waters2795;固定相:Xterraカラム(MSC18、3.5μm、4.6x50mm);移動相:ラインA:Millipore100%脱イオン水;ラインB:1.0% NHOH;ラインC:100% HPLC用アセトニトリル;勾配:A:80%〜0%で8分間;B:10%で8分間一定;C:10%〜90%で8分間;流速:1.50mL/分;カラム温度:40℃±5℃;サンプル温度:25℃±5℃。
【0247】
光ダイオードアレイ検出器:Waters 2996(UVランプ付き):3Dデータ収集;開始波長:210nm;終了波長:320nm。
【0248】
処理波長:220nm。
【0249】
各試験溶液のHPLCピークと標準的な濃度プロットから得たピーク領域対既知濃度の標準のピーク領域との比較によって定量した。従来通り、標準濃度の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素を、使用したUV検出器についての濃度対吸収の直線範囲内に含まれるように選択した。標準濃度の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素を、連続様式で希釈して、検量線を得た。移動相由来のアセトニトリルの添加によって希釈した。試験バイアル溶液の濾過後に得た1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の各飽和平衡溶液を、標準プロットの直線範囲に到達するように適切な希釈係数にてアセトニトリルまたはメタノールで希釈した。
【0250】
種々の賦形剤について認められた溶解性を、以下の表に示す。
【0251】
【表1】

実施例2:経口投与後の健康な男性および女性のボランティアにおける1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の薬物動態学
カプセル処方した用量の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素およびCremephorRH40の経口投与後の健康な男性および女性のボランティアにおける1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の血漿薬物動態学を決定した。
【0252】
健康な男性および女性のボランティアにおける1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の単回経口用量
【0253】
【表2】

実施例3:経口投与後の雄Sprague−Dawleyラットにおける種々の賦形剤を含む1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の薬物動態学
10mg/kgの1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の経口投与後の雄Sprague−Dawleyラットにおける1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の血漿薬物動態学を決定した。1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素を、ポリエチレングリコール400(PEG400)、Labrasol、Cremaphor RH40、80% Tween80、および20%水(Tween)、CremaphorRH40:Labrasol(1:1、v/v)、40%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPCD)、およびジメチルアセトアミド(DMAC)を含む水性懸濁液として処方した。用量処方物(dose formulation)を、経口強制飼養チューブを介して投与した。
【0254】
10mg/kgの経口用量の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素を投与した雄Sprague−Dawleyラットの平均薬物動態学パラメーター
【0255】
【表3】

実施例4:カニクイザルにおける1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素カプセル投薬形態の薬物動態学の比較
1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の血漿薬物動態学を、30mgの(1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素)経口溶液の投与(PEG400)および10、30、および80mgの(1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素)を含む2つのカプセル投薬形態の経口投与後の雄カニクイザルにおいて決定した。サルを、群当たり3匹のサルを含む7つの群に分けた。以下の投薬形態を比較した:CremephorRH40中に処方したカプセル用量の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素、ポリエチレングリコール4000中に処方したカプセル用量の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素、およびPEG400中に処方した溶液用量の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素。
【0256】
雄カニクイザルへの経口投与後の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の平均薬物動態学パラメーター
【0257】
【表4】

当業者は、本発明の精神を逸脱することなく本明細書中に記載の例証となる実施例の種々の修正形態、付加形態、置換形態、および変形形態を行うことができ、それにより、これらが本発明の範囲内と見なさせると認識するであろう。上記で参照した全ての書類(刊行物、ならびに仮出願および通常の特許出願が含まれるが、これらに限定されない)は、その全体が本明細書中で参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素;および
グリコフロール、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオイル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アシルポリオキシエチレン、ポリグリコール化グリセリド、およびヒドロキシアシルポリオキシエチレンから選択される少なくとも1つの薬学的賦形剤、
を含む薬学的組成物。
【請求項2】
ポリオキシエチレンオイルである第1の薬学的賦形剤;および
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、PEG300、PEG400、PEG600、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ポリソルベート80、ポリソルベート20、PEG300オレイン酸グリセリド、PEG300リノール酸グリセリド、およびPEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリドから選択される第2の薬学的賦形剤、
を含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレンオイルがポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である、請求項1または請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がポリオキシル40硬化ヒマシ油である、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
ポリグリコール化グリセリドである第1の薬学的賦形剤;ならびに
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、PEG300、PEG400、PEG600、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリソルベート20、PEG300オレイン酸グリセリド、PEG300リノール酸グリセリド、およびPEG300カプリル酸/カプリン酸グリセリドから選択される第2の薬学的賦形剤、
を含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記ポリグリコール化グリセリドがPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドである、請求項1または請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
ポリオキシエチレンオイルおよびポリグリコール化グリセリドを含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを、全組成物の少なくとも約60重量%含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを、全組成物の少なくとも約85重量%含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを、約1:9〜約9:1の重量比で含む、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを、約1:1の重量比で含む、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が全組成物の約40重量%〜約0.001重量%存在する、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が全組成物の約10重量%〜0.001重量%存在する、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
全組成物の約40重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素、および
約1:9〜約9:1の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物
を含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
全組成物の約40重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素、および
約1:1の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物
を含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が全組成物の約30重量%〜約0.001重量%存在し、
前記ポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物が全組成物の少なくとも約70重量%存在する、請求項15または請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記薬学的組成物を軟ゼラチンカプセルに封入する、請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記薬学的組成物が経口投与に適切である、請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記薬学的組成物の経口投与後に約30ng.hr/mL〜約1050ng.hr/mLのAUCが得られる、請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記薬学的組成物の経口投与後に約10ng/mL〜約170ng/mLのCmaxが得られる、請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記薬学的組成物の経口投与後に約20分〜約130分のtmaxが得られる、請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が約1mg〜約160mg存在する、請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素が、約5mg、約10mg、約20mg、または約40mg存在する、請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
全組成物の約6重量%〜約0.001重量%の1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素、および
約1:1の重量比のポリオキシル40硬化ヒマシ油とPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドとの混合物であって、前記混合物が全組成物の少なくとも約94重量%で存在する、混合物
から本質的になる経口投与のためのソフトゼラチンカプセルに封入された薬学的組成物であって、
1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の用量が約5mg〜約40mgの前記組成物の経口投与後に、約30ng.hr/mL〜約660ng.hr/mLのAUC、約10ng/mL〜約245ng/mLのCmax、または約20分〜約130分のtmaxが得られる、薬学的組成物。
【請求項26】
前記ポリオキシル40硬化ヒマシ油がCremophor(登録商標)RH40である、請求項4〜請求項25のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドがLabrasol(登録商標)である、請求項2〜請求項4、請求項6、および請求項8〜請求項25のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
a)約0.5mg〜約500mgの1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素、および
b)ポリオキシエチレンオイル、ポリグリコール化グリセリド、またはその混合物
を含む、投薬形態。
【請求項29】
前記投薬形態が、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む、請求項28に記載の投薬形態。
【請求項30】
前記投薬形態が、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドを約1:1の重量比で含む、請求項28または請求項29に記載の投薬形態。
【請求項31】
経口投与に適切である、請求項28〜請求項30のいずれか1項に記載の投薬形態。
【請求項32】
前記ポリオキシル40硬化ヒマシ油がCremophor(登録商標)RH40であり、前記PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドがLabrasol(登録商標)である、請求項29〜請求項31のいずれか1項に記載の投薬形態。
【請求項33】
個体の5HT2A障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1〜請求項27のいずれか1項に記載の薬学的組成物を、治療を必要としている前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項34】
個体の睡眠障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1〜請求項27のいずれか1項に記載の薬学的組成物を、治療を必要としている前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項35】
療法により人体または動物体の治療方法で使用するための、請求項1〜請求項27のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項36】
療法により人体または動物体の5HT2A関連障害の治療方法で使用するための、請求項1〜請求項27のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
療法により人体または動物体の睡眠障害の治療方法で使用するための、請求項1〜請求項27のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素および
ポリオキシエチレンオイルおよびポリグリコール化グリセリド
を含む薬学的組成物の調製方法であって、
1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素を前記ポリオキシエチレンオイルもしくは前記ポリグリコール化グリセリド、またはその混合物に溶解する工程を含む、方法。
【請求項39】
前記溶解を、約1:1の重量比の前記ポリオキシエチレンオイルおよび前記ポリグリコール化グリセリド中で行う、請求項38に記載の薬学的組成物の調製方法。
【請求項40】
前記ポリオキシエチレンオイルがポリオキシル40硬化ヒマシ油であり、前記ポリグリコール化グリセリドがPEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドである、請求項38または請求項39に記載の薬学的組成物の調製方法。
【請求項41】
前記1−[3−(4−ブロモ−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メトキシ−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−尿素の溶解を、約25℃〜約80℃の範囲の温度で行う、請求項38〜請求項40のいずれか1項に記載の薬学的組成物の調製方法。
【請求項42】
前記薬学的組成物を軟ゼラチンカプセルに充填する工程をさらに含む、請求項38〜請求項41のいずれか1項に記載の薬学的組成物の調製方法。
【請求項43】
前記ポリオキシル40硬化ヒマシ油がCremophor(登録商標)RH40であり、前記PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドがLabrasol(登録商標)である、請求項40〜請求項42のいずれか1項に記載の薬学的組成物の調製方法。

【公表番号】特表2009−510115(P2009−510115A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533725(P2008−533725)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/038267
【国際公開番号】WO2007/041409
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(500478097)アリーナ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (97)
【Fターム(参考)】