説明

5−HT2A受容体拮抗作用のための4−アリールスルホニルピペリジン誘導体

式(I):


の化合物は5−HT2A受容体の選択的拮抗薬であり、従って、睡眠障害や総合失調症等の中枢神経系障害の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセロトニン受容体(5−ヒドロキシトリプタミン又は5−HT受容体とも言う)に作用するスルホニル誘導体の類に関する。より詳細には、本発明は4位に弗素置換基をもつ4−アリールスルホニルピペリジン誘導体に関する。これらの化合物はヒト5−HT2A受容体の強力で選択的な拮抗薬であり、従って、特に不眠症等の睡眠障害、総合失調症等の精神病性障害、及び不安症等の精神障害を含む中枢神経系障害の治療及び/又は予防における薬剤として有用である。
【0002】
本発明の化合物は一般にD、5HT2C及びIKr受容体等の他のヒト受容体よりもヒト5−HT2A受容体に対して有効な結合を示す。従って、これらの化合物はこのような受容体間で結合親和性に差異のない化合物よりも副作用が少ないと予想できる。特に、これらの化合物はIKr受容体に対する作用が小さく、所望効果を心臓作用等の副作用から切り離すことができる。
【0003】
本発明の化合物はその強力なヒト5−HT2A受容体拮抗活性により、不眠症等の睡眠障害、総合失調症等の精神病性障害に加え、鬱病、不安症、パニック障害、強迫神経症、疼痛、拒食症等の摂食障害、及びLSDやMDMA等の麻薬に関連する依存症又は急性毒性を含む神経症状の治療に有効であり、更に、神経弛緩薬の投与に関連する錐体外路症状の抑制にも有益である。前記化合物は更に眼圧低下にも有効であると思われ、また、更年期症状、特にのぼせの治療にも有効であると思われる(Waldingerら,Maturitas,2000,36,165−8参照)。
【背景技術】
【0004】
WO00/43362、WO96/35666、EP−A−0261688、EP−0304888、米国特許第4,218,455号及び4,128,552号、DE−A−3901735並びにFletcherら,J.Med.Chem.,2002,45,492−503には特にスルホニル部分を含む各種化合物が記載されている。しかし、これらの文献のうちで本発明により提供される特定類の化合物を開示又は示唆しているものは皆無である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の化合物は一般にヒト5−HT2A受容体結合親和性(Ki)が100nM以下、一般に50nM以下、好ましくは10nM以下の強力で選択的な5−HT2A受容体拮抗薬である。本発明の化合物はヒトドーパミンD受容体に比較して少なくとも10倍の選択的親和性、適切には少なくとも20倍の選択的親和性、好ましくは少なくとも50倍の選択的親和性をヒト5−HT2A受容体に対してもつと思われる。本発明の化合物はIKrに比較して少なくとも10倍の選択的親和性、適切には少なくとも20倍の選択的親和性、好ましくは少なくとも50倍の選択的親和性をヒト5−HT2A受容体に対してもつと思われる。本発明の化合物はヒト5−HT2C受容体に比較して少なくとも10倍の選択的親和性、適切には少なくとも20倍の選択的親和性、好ましくは少なくとも50倍の選択的親和性をヒト5−HT2A受容体に対してもつと思われる。好ましい化合物はヒト5−HT2C受容体に比較して少なくとも100倍の選択性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は式I:
【0007】
【化3】

[式中、Arは各々置換基R、R及びRをもつフェニル、ベンゾイソチアゾール−3−イル又はベンゾチオフェン−3−イルであり;
は水素、弗素、塩素、臭素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、C2−6アルキニルオキシ、又は5個までの弗素原子で置換されたC1−6アルキルであり;
は水素、弗素、塩素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、5個までの弗素原子で置換されたC1−4アルキル又は5個までの弗素原子で置換されたC1−4アルコキシであり;
は水素、弗素、塩素、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシであり;
は水素;弗素;塩素;臭素;C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;C1−6アルコキシ;C2−6アルケニルオキシ;C2−6アルキニルオキシ;5個までの弗素原子で置換されたC1−6アルキル;ニトリル;COQもしくはCO(Qは水素又はC1−6アルキルである);NQ、CONQもしくはSONQ(Qは水素又はC1−6アルキルであり、Qは水素又はC1−6アルキルであるか、あるいはQとQは一緒になって1個の酸素又は更に1個の窒素環原子を含んでいてもよいいずれかの4〜7員複素環を形成し、前記複素環は場合により3個までの弗素原子、CF、メチル、エチル又はヒドロキシルで置換されていてもよい);ヒドロキシル;ニトロ;SOQもしくはSO(QはC1−4アルキルである);NQCOQ、NQCOもしくはNQSO(Qは水素又はC1−4アルキルであり、Qは水素又はC1−4アルキルであるか又はQと一緒になって5〜7員環を形成する);5員複素芳香環(但し、環原子のうちの1、2、3又は4個が窒素原子であるか、1又は2個が窒素原子であり且つ1個が酸素又は硫黄原子であるか、1個が酸素又は硫黄原子であって、前記複素芳香環は場合によりメチル、エチル又はヒドロキシルで置換されている);又は1もしくは2個の窒素環原子を含む6員複素芳香環又はフェニル基(そのいずれかが場合により1もしくは2個の弗素もしくは塩素原子又はC1−4アルキル、C1−4アルコキシもしくはトリフルオロメチル基で置換されている)であり;
は水素、弗素、塩素、ニトリル、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、5個までの弗素原子で置換されたC1−4アルキル、又は5個までの弗素原子で置換されたC1−4アルコキシであり;
は水素、弗素、塩素、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシであるか;
あるいはQとQは一緒になって5、6又は7員炭素環部分を形成し;
はH又はC1−4アルキルであり;
mは0又は1であり;
nは0、1又は2であり;
WはCH、CHF、CH(OH)又はCOである]の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
式Iの化合物のサブセットにおいて、RはHであり、mは1であり、nは0であり、WはCHであり、Arは置換基R、R及びRをもつフェニルであり、NQにより表される複素環は場合によりメチル、エチル又はヒドロキシルで置換されている。
【0009】
適切なC1−6アルキル基は直鎖でも分枝鎖でもよい。従って、このような基としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、並びに直鎖及び分枝鎖ペンチル及びヘキシル基が挙げられる。
【0010】
有利なC1−6アルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル等が挙げられる。
【0011】
好ましいC1−6アルキル基はメチル基である。
【0012】
適切なアルケニル基及びアルキニル基と有利なアルケニル基及びアルキニル基は適切なアルキル基及び有利なアルキル基と類似である。
【0013】
本明細書で使用する「C3−6シクロアルキル」なる用語は3〜6員環の非芳香族単環式炭化水素環系を意味する。例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘキセニルが挙げられる。
【0014】
医薬用として、式Iの化合物は医薬的に許容可能な塩の形態でもよい。他方、式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩の製造に他の塩が有用な場合もある。本発明の化合物の適切な医薬的に許容可能な塩としては、例えば本発明の化合物の溶液を塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、琥珀酸、酢酸、安息香酸、蓚酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸等の医薬的に許容可能な酸の溶液と混合することにより形成することができる酸付加塩酸が挙げられる。あるいは、本発明の化合物が酸性部分をもつ場合には、式Iの化合物は両性イオンとして存在してもよいし、前記酸性部分を適切な塩基で中和することにより医薬的に許容可能な塩を形成してもよい。こうして形成される医薬的に許容可能な塩の例としては、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;カルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;及びアミン塩(ピリジニウム塩を含む)や第4級アンモニウム塩等の適切な有機塩基と共に形成される塩が挙げられる。式Iの化合物は一般に遊離塩基、塩酸塩又はメタンスルホン酸塩の形態である。
【0015】
本発明の化合物が1個以上の不斉中心をもつ場合には、それに応じてエナンチオマーとして存在することができる。本発明の化合物が2個以上の不斉中心をもつ場合には、更にジアステレオ異性体として存在することができる。当然のことながら、これらの全異性体と任意比率のその混合物も本発明の範囲内に含まれる。
【0016】
式Iの化合物において、RはH又はC1−4アルキル(例えばメチル、エチル又はプロピル)、好ましくはH又はメチル、最も好ましくはHを表す。
【0017】
nは0、1又は2、好ましくは0又は1、最も好ましくは0を表す。
【0018】
mは0又は1、一般に1を表すが、Arがベンゾイソチアゾール又はベンゾチオフェン基を表す場合には、nとmはいずれも0であることが好ましい。
【0019】
WはCH、CHF、CH(OH)又はCO、好ましくはCH、CHF又はCOを表す。1特定態様では、m=1であり、WはCHを表し、n=0であり、RはHである。
【0020】
はSO基に対してパラ位に位置することが好ましい。Qの好ましい例としてはH、F、Cl、Br、CN、カルボキサミド、5員ヘテロアリール及びNQ(QとQは好ましくは上記に定義したような複素環の残余を形成する)が挙げられる。Qにより表される5員ヘテロアリール環の例としてはピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール及びチアゾールが挙げられる。このような環は炭素を介して結合していてもよいし、あるいはピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール及びテトラゾールの場合には窒素を介して結合していてもよい。NQにより表される複素環基の例としてはアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、4−トリフルオロメチルピペリジン−1−イル及び4,4−ジフルオロピペリジン−1−イルが挙げられる。
【0021】
はH、F、Cl、CF、メチル又はメトキシが好ましく、特にH、F又はClであり、H又はFが最も好ましい。
【0022】
はH又はFが好ましく、Hが最も好ましい。
【0023】
はArがフェニル基を表す場合には4位に結合していることが好ましい。Rの好ましい例としてはH、F、Cl、Br、C1−6アルキル(例えばメチル)、メトキシ及びCF、特にH、F、メチル及びCFが挙げられる。
【0024】
はArがフェニル基を表す場合には2位に結合していることが好ましい。Rの好ましい例としてはH、F、Cl、C1−4アルキル(例えばメチル)及びCF、特にH、F、メチル及びCFが挙げられる。
【0025】
はH又はFが好ましく、Hが最も好ましい。
【0026】
本発明の所定の有利な化合物としては式(II):
【0027】
【化4】

(式中、R1’は水素、弗素、塩素、メチル、トリフルオロメチル又はメトキシであり;
2’は水素、弗素又は塩素であり;
3’は水素又は弗素であり;
1’は水素、弗素、塩素、臭素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、カルボキサミド、ニトリル、又は1,2,3−トリアゾリルであり;
2’は水素、弗素又は塩素であり;
3’は水素又は弗素である)の化合物と医薬的に許容可能なその塩が挙げられる。
【0028】
式(II)の所定の好ましい化合物において、R1’は水素又は弗素であり、R2’は水素又は弗素であり、R3’は水素である。
【0029】
式(II)の所定の好ましい化合物において、Q1’は4位に位置し、水素、弗素、カルボキサミド、ニトリル又は1,2,3−トリアゾリルであり、Q2’は水素又は弗素であり、Q3’は水素である。
【0030】
本発明の化合物の好ましいサブセットは式IIA:
【0031】
【化5】

(式中、R13はHを表し、R14はH、F又はOHを表すか、あるいはR13とR14は一緒になってケトを表し;
、Q、R、R及びRは上記と同義であり、好ましい例も同様である)の化合物と医薬的に許容可能なその塩を含む。
【0032】
この態様において、RとRはH及びFから独立して選択すると非常に適切である。
【0033】
この態様において、QはH又はFが好ましい。
【0034】
この態様において、Qの好ましい例としてはH、F、Cl、Br、CN、CONH、モルホリン−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル、ピロール−1−イル、1−メチルピラゾール−5−イル、1−メチルイミダゾール−2−イル、2−メチルテトラゾール−5−イル、オキサゾール−2−イル、チアゾール−2−イル、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル及び4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イルが挙げられる。
【0035】
本発明の特定化合物としては後記実施例に例示する化合物とその医薬的に許容可能な塩が挙げられる。
【0036】
本発明の化合物はヒト5−HT2A受容体拮抗薬としての活性をもつため、5−HT2A受容体活性により媒介される疾患の治療又は予防に使用される。
【0037】
本発明は1種以上の本発明の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物も提供する。これらの組成物は経口、非経口、鼻腔内、舌下もしくは直腸投与用又は吸入もしくは吹送投与用として、タブレット、ピル、カプセル、散剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液もしくは懸濁液、定量エアゾールもしくは液体スプレー、滴剤、アンプル、経皮パッチ、自己注射器又は座剤等の単位剤形であることが好ましい。一般に主活性成分を例えば慣用錠剤化成分(例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はガム類)、分散剤、懸濁剤又は界面活性剤(例えばモノオレイン酸ソルビタン及びポリエチレングリコール)等の医薬キャリヤー及び他の医薬希釈剤(例えば水)と混合し、本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含有する均質プレ製剤組成物を形成する。これらのプレ製剤組成物が均質であるという場合には、組成物をタブレット、ピル及びカプセル等の均等に有効な単位剤形に容易に細分できるように活性成分が組成物全体に均等に分散していることを意味する。このプレ製剤組成物をその後、本発明の活性成分0.1〜約500mgを含有する上記型の単位剤形に細分する。典型的な単位剤形は1〜100mg、例えば1、2、5、10、25、50又は100mgの活性成分を含有する。新規組成物のタブレット又はピルは持続作用の利点を付与する剤形を提供するようにコーティング又は他の方法で加工することができる。例えば、タブレット又はピルは内側処方成分と外側処方成分から構成し、後者を前者のエンベロープとすることができる。胃での崩壊を阻止するように機能し、内側成分を無傷で十二指腸に導入するか又は放出を遅らせる腸溶層により2成分を分離することができる。このような腸溶層又はコーティングには種々の材料を使用することができ、このような材料としては多数のポリマー酸及びポリマー酸とシェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロース等の材料の混合物が挙げられる。
【0038】
本発明の新規組成物を経口又は注射投与用に配合することができる液体形態としては水溶液、液体又はゲルを充填したカプセル、適当なフレーバー入りシロップ、水性又は油性懸濁液、食用油(例えば綿実油、胡麻油又は椰子油)によるフレーバー入りエマルション、及びエリキシル剤等の医薬ビークルが挙げられる。水性懸濁液に適した分散剤又は懸濁剤としては合成及び天然ガム類、例えばトラガカントガム、アラビアガム、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン又はゼラチンが挙げられる。
【0039】
本発明は人体の治療方法で使用するための式Iの化合物又は医薬的に許容可能なその塩も提供する。5−HT2A受容体活性に媒介される症状の治療が好ましい。
【0040】
本発明は更に5−HT2A受容体活性により媒介される症状の治療又は予防用医薬の製造における式Iの化合物又は医薬的に許容可能なその塩の使用も提供する。
【0041】
5−HT2A受容体活性により媒介される症状をもつか又は発症する傾向のある対象の治療方法として、有効量の式Iの化合物又は医薬的に許容可能なその塩を前記対象に投与することを含む方法も開示する。
【0042】
本発明の1側面では、5−HT2A受容体活性により媒介される症状は睡眠障害、特に不眠症である。本発明の別の側面では、5−HT2A受容体活性により媒介される症状は精神病性障害(例えば総合失調症)、鬱病、不安症、パニック障害、強迫神経症、疼痛、摂食障害(例えば拒食症)、LSDやMDMA等の麻薬に関連する依存症又は急性毒性、及び更年期に関連するのぼせから選択される。
【0043】
本発明による例えば不眠症又は総合失調症の治療において、適切な用量レベルは約0.01〜250mg/kg/日、好ましくは約0.05〜100mg/kg/日、特に約0.05〜5mg/kg/日である。化合物は1日に1〜4回のレジメンで投与することができるが、1日1回、例えば就寝前に投与することが好ましい。
【0044】
所望により、本発明の化合物は別の催眠薬又は総合失調症治療薬又は抗不安薬と併用投与してもよい。このような併用投与は患者が既に他の慣用医薬による催眠又は総合失調症治療又は抗不安治療レジメンに設定されている場合に望ましいと思われる。
【0045】
式(I)の化合物は式(III)の化合物と式(IV)の化合物:
【0046】
【化6】

[式中、Xは脱離基(特に、Br等のハロゲン化物)であり、他の全変数は上記と同義である]を反応させることにより製造することができる。反応は慣用アルキル化反応条件下で例えばテトラヒドロフランやアセトニトリル等の溶媒を使用して80℃〜90℃の温度でKCO、AgO又はCsCO等の塩基の存在下に実施される。触媒量のNaIを慣用方法で使用してもよい。
【0047】
あるいは、式(III)の化合物を式(IVA):
【0048】
【化7】

[式中、Ar、m、n、W及びRは上記と同義である(但し、WはCHが好ましい)]の化合物で還元アルキル化してもよい。反応はエタノール中でホウ水素化ナトリウムとチタンテトライソプロポキシドの存在下に実施される。
【0049】
あるいは、式(III)の化合物をエポキシド(IVB):
【0050】
【化8】

(式中、Arは上記と同義である)と反応させ、RがHであり、nが0であり、mが1であり、WがCH(OH)である式(I)の化合物を得ることもできる。
【0051】
式(III)の化合物は式(Va):
【0052】
【化9】

(式中、Prtは保護基であり、例えばトリフルオロ酢酸又はHCl/エタノールで処理することにより除去することができるt−ブトキシカルボニル基である)の化合物から保護基を除去することによりin situ製造することができる。
【0053】
式(Va)の化合物はnBuLi等の強塩基及び(PhSONF等の弗素化剤と反応させることにより式(Vb)の対応する化合物から製造することができる。この反応は通常はテトラヒドロフラン等の溶媒中で−78℃〜25℃の温度で実施される。
【0054】
化合物(Vb)は式(VI)のチオールを式(VII)のピペリジン:
【0055】
【化10】

[式中、Yは脱離基(好ましくはメシラート又は同様のスルホン酸エステル)であり、他の全変数は上記と同義である]と反応させ、得られたチオエーテルを酸化させることにより得られる。チオエーテルの形成は還流下のアセトニトリル中でKCO等の塩基の存在下に実施され、酸化は慣用手段により(例えばm−クロロペルオキシ安息香酸を使用するか又はクロロホルム中でオキソンと水和アルミナの存在下に還流させることにより)実施することができる。これらの方法の詳細はWO00/43362とJ.Med.Chem.,2002,45,492−503に記載されている。
【0056】
所望により、対応するスルホキシド中間体を介して(例えば第1段階として周囲温度でオキソン法を使用することにより)上記酸化を2段階で実施してもよい。スルホキシドは(一般に周囲温度のジクロロメタン等の不活性溶媒中で三弗化アンチモンの存在下に)三弗化ジエチルアミノ硫黄(DAST)等の弗素化剤で処理することによりピペリジン環の4位を弗素化することができる。得られた化合物を(例えば周囲温度のジクロロメタン等の不活性溶媒中で)メタクロロ過安息香酸等の酸化剤で処理すると、化合物(Va)が得られる。
【0057】
式(I)の化合物は式(I)の化合物の弗素原子の代わりに水素原子をもつ対応する化合物の弗素化により製造することもできる。これはテトラヒドロフラン等の不活性溶媒中で−78℃〜25℃にて(PhSONF等の弗素化剤とNaHMDS等の強塩基を使用して実施することができる。
【0058】
式VI及びVIIの出発材料が市販されていない場合には、後記実施例に記載の方法と同様の方法、又は当分野で周知の標準方法により製造することができる。
【0059】
当然のことながら、上記方法の任意のものから最初に得られた式Iの任意化合物をその後、当分野で公知の技術を使用して式Iの別の所望化合物に適宜変換してもよい。例えば、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)の存在下にシアン化銅(I)で処理するか又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下にシアン化亜鉛で処理することにより、Qがブロモを表す最初に得られた式Iの化合物をQがシアノを表す式Iの対応する化合物に変換することができる。こうして得られたQがシアノを表す式Iの化合物を無機酸(例えば85%硫酸)中で100℃に加熱するか又は一般に還流下のテトラヒドロフラン中にてカリウムトリメチルシラノラートで処理することによりQがカルボキサミドを表す式Iの対応する化合物に更に変換することができる。あるいは、Qがブロモを表す最初に得られた式Iの化合物を一酸化炭素雰囲気下で1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、ジイソプロピルアミン、酢酸パラジウム(II)及び1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンの存在下に加熱することによりQがカルボキサミドを表す式Iの対応する化合物に直接変換することもできる。例えば、式Iの化合物のQが場合により置換されたN結合複素環部分(例えばイミダゾール−1−イル、ピラゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル又はアゼチジン−1−イル)を表す場合には、これらの化合物はQがフルオロを表す式Iの対応する化合物を一般にDMSO中で加熱下に適当な場合により置換されたN−複素環で処理することにより製造することができる。例えば、式Iの化合物のQが場合により置換されたC結合5員複素芳香環(例えば2−メチルテトラゾール−5−イル又は1−メチル−1,2,4−トリアゾール−5−イル)を表す場合には、これらの化合物はQがブロモを表す式Iの対応する化合物を一般にN,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中で加熱下にテトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(0)等の遷移金属触媒の存在下に適当な複素芳香族化合物のトリブチル錫誘導体(例えば2−メチル−5−トリブチルスタニルテトラゾール又は1−メチル−5−トリブチルスタニル−1,2,4−トリアゾール)と反応させることにより製造することができる。
【0060】
同様に、WがCOである化合物を還元すると、WがCH(OH)である対応する化合物が得られる。これらの化合物をDASTで処理すると、WがCHFである化合物が得られる。
【0061】
本発明で使用される化合物の上記製造方法により立体異性体の混合物が生じる場合には、これらの異性体を分取クロマトグラフィー等の慣用技術により分離することができる。化合物はラセミ形で製造してもよいし、エナンチオ特異的合成又は分割により個々のエナンチオマーを製造してもよい。化合物は例えば、分取HPLC等の標準技術を用いるか又は光学活性酸(例えばジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又はジ−p−トルオイル−L−酒石酸)との塩形成によるジアステレオマー対の形成後、分別結晶化と遊離塩基の再生によりその成分エナンチオマーに分割することができる。化合物はジアステレオマーエステル又はアミドの形成後にクロマトグラフィー分離し、キラル助剤を除去することにより分割することもできる。
【0062】
上記任意合成シーケンスの間に、任意該当分子上の感受性又は反応性基を保護することが必要であるか及び/又は望ましい場合がある。これはProtective Groups in Organic Chemistry,J.F.W.McOmie編,Plenum Press,1973;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991に記載されているような慣用保護基により実施することができる。保護基は当分野で公知の方法を使用して適切な後続段階で除去することができる。
【0063】
Fletcherら,J.Med.Chem.,2002,45,492−503に記載の方法を使用して5−HT2A受容体と他の受容体(例えば5−HT2CやIKr)に対する結合について化合物を試験した。
【0064】
(実施例1)
4−(4−ブロモフェニルスルホニル)−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン
水和アルミナ(10%水,13g)のクロロホルム(60mL)懸濁液にN−BOC4−(4−ブロモフェニルチオ)ピペリジン(Fletcher,S.R.ら,J.Med.Chem.2002,45,492−503に従って製造)を加えた後、Oxone(登録商標)(24g)を加えた。反応混合物を3時間撹拌し、濾過し、50%EtOAc/イソヘキサンを溶離液としてシリカクロマトグラフィーにかけると、N−BOC4−(4−ブロモフェニルスルフィニル)ピペリジンが得られた(3.5g,69%):δ(400MHz,CDCl)1.44(9H,s),1.55−1.8(4H,m),2.6−2.75(3H,m),4.25(2H,m),7.47(2H,d),7.67(2H,d)。
【0065】
N−BOC4−(4−ブロモフェニルスルフィニル)ピペリジン(3.17g,8.5mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶かし、三塩化アンチモン(194mg,0.85mmol)を加えた後、三弗化ジエチルアミノ硫黄(2.8mL,0.022mol)を加えた。反応混合物を16時間室温で撹拌した後に冷飽和重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させた。残渣をジクロロメタン(50mL)に溶かし、予めMgSOで乾燥して濾過しておいたmCPBA(50−55%;7.3g,0.021mol)のジクロロメタン(30mL)溶液に加えた。反応混合物を25℃で2時間撹拌した後に飽和メタ重亜硫酸ナトリウムでクエンチした。生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液とブラインで洗浄した。MgSOで乾燥した後に溶媒を減圧除去し、10%EtOAc/イソヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにかけると、N−BOC4−(4−ブロモフェニルスルホニル)−4−フルオロピペリジンが白色固体として得られた(2.3g,70%):δ(360MHz,CDCl)1.46(9H,s)1.9(2H,m),2.02−2.3(2H,m),2.9(2H,m),4.2(2H,m),7.8(4H,dd)。
【0066】
N−BOC4−(4−ブロモフェニルスルホニル)−4−フルオロピペリジン(2.3g,5.5mmol)を6N HCl(30mL)に溶かし、濁った溶液が透明になるまでエタノールを加えた(約20mL)。反応混合物を85℃まで加熱し、この温度で16時間撹拌した。反応混合物を冷却し、エタノールを蒸発させ、5N NaOHを加えることにより酸性溶液を塩基性にした。生成物をEtOAcで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒の減圧蒸発後に4−(4−ブロモフェニルスルホニル)−4−フルオロピペリジン塩酸塩が白色固体として得られた(1.4g,80%):δ(360MHz,CDCl)1.84(2H,dt),2.04−2.22(2H,m),2.82(2H,dt),3.09(2H,dt),7.75(4H,m)。m/z(ES)322,324(M+1)。
【0067】
4−(4−ブロモフェニルスルホニル)−4−フルオロピペリジン塩酸塩(1.4g,4mmol)をアセトニトリルに溶かし、炭酸カリウム(1.4g,0.01mol)を加えた後、臭化2,4−ジフルオロフェネチル(WO00/43362に記載されているように製造,1.3g,6mmol)を加えた。反応混合物を16時間加熱還流した。冷却後に反応混合物をEtOAcと水で分配し、有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させた。30%EtOAc/イソヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにかけると、標記化合物が白色固体として得られた(0.950g,51%):δ(360MHz,CDCl)1.86(2H,t),2.22−2.39(4H,m),2.57(2H,t),2.76(2H,t),2.93(2H,m),6.76(2H,m),7.13(1H,m),7.74(4H,m)。m/z(ES)462,464(M+1)。
【0068】
(実施例2)
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン
方法1
ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1.0M;0.3mL,0.3mmol)を1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン(95.8mg,0.25mmol)(Fletcher,S.R.ら,J.Med.Chem.2002,45,492−503に従って製造)の−78℃THF(0.5mL)溶液に撹拌下に滴下した。溶液を0℃まで昇温させ、5分間撹拌した後、−78℃まで再冷却した。N−フルオロビス(フェニルスルホニル)アミン(80.8mg,0.38mmol)のTHF(0.25mL)溶液を加え、混合物を周囲温度まで放置した後、15分間撹拌した。飽和NHCl水溶液(1mL)を加えて反応混合物をクエンチした後、水(20mL)とEtOAc(20mL)で分配した。有機フラクションをNaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ,30%EtOAc/イソヘキサン)により精製すると、標記化合物が白色固体として得られた(19mg):δ(500MHz,DMSO)1.79−1.83(2H,m),2.20−2.19(4H,m),2.52−2.55(2H,m),2.73−2.76(2H,m),2.95−2.97(2H,m),7.00−7.04(1H,m),7.14−7.19(1H,m),7.36−7.41(1H,m),7.56−7.61(2H,m),7.96−7.99(2H,m)。m/z(ES)402(100%,[MH])。
【0069】
方法2
n−ブチルリチウム(イソヘキサン中1.6M;13mL,20.8mmol)をN−BOC4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン(6g,17.4mmol)の−78℃THF(70mL)溶液に撹拌下に滴下した。1時間後にN−フルオロビス(フェニルスルホニル)アミン(6.04g,19mmol)のTHF(17mL)溶液を滴下し、混合物を周囲温度まで昇温させ、1時間撹拌した後に水(1mL)を加えてクエンチし、飽和NHCl水溶液(80mL)とEtOAc(80mL)で分配した。有機フラクションをブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ,20%EtOAc/イソヘキサン)により精製すると、N−BOC4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジンがオフホワイト固体として得られた(4.8g):δ(360MHz,CDCl)1.46(9H,s),1.80−1.95(2H,m),2.05−2.30(2H,m),2.90−3.00(2H,m),4.12−4.22(2H,m),7.28(2H,t,J8.5Hz),7.93−7.96(2H,m)。m/z(ES)261[M−BOC)H]
【0070】
N−BOC4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン(2g,5.5mmol)をEtOH(50mL)と6N HCl(25mL)の混合物に懸濁し、溶解が生じるまで混合物を80℃まで加熱した。次に溶液を減圧濃縮し、得られた残渣をEtOとEtOAcの10:1混合物(50mL)で洗浄すると、4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン塩酸塩が白色固体として得られた。
【0071】
4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン塩酸塩を実施例1に記載したように臭化ジフルオロフェネチルでアルキル化し、50%EtOAc/イソヘキサンから再結晶すると、分析により上記データに一致する標記化合物が得られた。
【0072】
(実施例3)
4−({1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンゾニトリル
方法1
4−(4−ブロモフェニルスルホニル)−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン(0.350g,0.758mmol)を無水DMF(10mL)に溶かし、シアン化亜鉛(0.090g,0.758mmol)を加えた。溶液を窒素で5分間脱気し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(100mg)を加えた。反応混合物を85℃まで2時間加熱した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を更に100mg加えた後、0.5時間後に更に100mgを加えた。次に、パラジウム触媒を更に100mg加え、反応混合物を95℃に72時間加熱した。反応混合物をEtOAcと水で分配し、有機層を合わせて水(×3)とブラインで洗浄した後、MgSOで乾燥した。溶媒を減圧除去し、10−25%EtOAc/イソヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにかけ、得られた固体をEtOAc/イソヘキサンから再結晶すると、標記化合物が白色固体として得られた(0.153g):δ(400MHz,CDCl)1.87(2H,m),2.33(4H,m),2.58(2H,m),2.76(2H,m),2.94(2H,m),6.78(2H,m),7.13(1H,m),7.88(2H,d),8.04(2H,d)。
【0073】
方法2
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン(25mg,0.062mmol)、シアン化ナトリウム(20mg,0.41mmol)及びDMSO(0.5mL)を混合して120℃まで18時間加熱した。冷却後、水(5mL)を加え、得られた沈殿を濾過により単離した。残渣を水洗(10mL)し、連続空気流により乾燥すると、分析により上記データに一致する標記化合物(10mg)が得られた。
【0074】
方法3
N−BOC4−(4−ブロモフェニルスルホニル)ピペリジン(25g,62mmol)(Fletcher,S.R.ら,J.Med.Chem.2002,45,492−503に従って製造)、シアン化亜鉛(8.73g,74mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3.58g,3.1mmol)をN−メチルピロリジン(250mL)に加え、混合物を160℃に30分間加熱した。冷却後、反応混合物をEtOAc(250mL)と飽和NaHCO水溶液(200mL)で分配した。有機フラクションを水(2×150mL)とブライン(150mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、約100mLまで減圧濃縮すると、この時点で沈殿し始めた。EtO(500mL)を加え、得られた沈殿を濾別し、更にEtO(200mL)で洗浄し、真空炉で乾燥すると、N−BOC4−(ピペリジン−4−イルスルホニル)ベンゾニトリルが得られた(9.9g)。δ(500MHz,DMSO)1.30−1.40(2H,m),1.37(9H,s),1.80−1.85(2H,m),2.65−79(2H,m),3.60−3.68(1H,m),3.95−4.05(2H,m),8.04(2H,d,J8.5Hz),8.17(2H,d,J8.5Hz)。
【0075】
n−ブチルリチウム(イソヘキサン中1.6M;18.3mL,29mmol)を2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(5.4mL,32mmol)の−78℃THF(50mL)溶液に撹拌下に加えた後、5分後にN−BOC4−(ピペリジン−4−イルスルホニル)ベンゾニトリル(9.9g,29.3mmol)のTHF(100mL)溶液を加えた。溶液を−10℃まで昇温させ、90分間撹拌した後にN−フルオロビス(フェニルスルホニル)アミン(10.1g,32mmol)のTHF(40mL)溶液を加えた。反応混合物を周囲温度まで昇温させ、30分間撹拌した後にEtOAc(150mL)と飽和NHCl水溶液(150mL)で分配した。有機フラクションをMgSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ,20%EtOAc/イソヘキサン)により精製すると、N−BOC4−(4−フルオロピペリジン−4−イルスルホニル)ベンゾニトリルが得られた(6g):δ(500MHz,DMSO)1.41(9H,s),1.82−1.90(2H,m),1.96−1.11(2H,m),2.82−2.93(2H,m),3.95−4.05(2H,m),8.09(2H,d,J8.2Hz),8.22(2H,d,J8.5Hz)。
【0076】
N−BOC4−(4−フルオロピペリジン−4−イルスルホニル)ベンゾニトリルを夫々実施例2及び1に記載の方法により脱保護及びアルキル化すると、分析により上記データに一致する標記化合物が得られた。
【0077】
(実施例4)
4−({1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンズアミド
水(0.5mL)、KCO(9mg,0.065mmol)及び過酸化水素水(約50%,0.05mL,約0.7mmol)を4−({1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンゾニトリル(53mg,0.13mmol)のDMSO(1mL)溶液に激しく撹拌下に順次加えた。30分後に反応混合物をEtOAc(20mL)とブライン(20mL)で分配し、有機フラクションをNaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ,10%EtOH/EtOAc)により精製すると、標記生成物が白色固体として得られた(8mg):δ(500MHz,DMSO)1.75−1.85(2H,m),2.02−2.20(4H,m),2.50−2.55(2H,m),2.70−2.78(2H,m),2.91−2.99(2H,m),6.98−7.02(1H,m),7.11−7.18(1H,m),7.31−7.41(1H,m),7.81(1H,s),7.97(2H,d J8.4Hz),8.13(2H,d J8.3Hz),8.25(1H,s)。m/z(ES)427[MH]
【0078】
(実施例5)
4−({4−フルオロ−1−[2−(2−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンズアミド
N−BOC4−(4−フルオロピペリジン−4−イルスルホニル)ベンゾニトリル(1g,2.7mmol)とカリウムトリメチルシラノラート(346mg,2.7mmol)のトルエン(12mL)溶液を2時間加熱還流した。冷却後、反応混合物を飽和NHCl水溶液(20mL)とEtOAc(20mL)で分配し、水性部分を更にEtOAc(2×20mL)で抽出した。有機フラクションを合わせてMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ,30−80%EtOAc/イソヘキサン)により精製すると、N−BOC4−(4−フルオロピペリジン−4−イルスルホニル)ベンズアミドが得られた(350mg):δ(500MHz,DMSO)1.47(9H,s),1.82−1.94(2H,m),2.12−2.28(2H,m),2.89−2.99(2H,m),4.10−4.20(2H,m),5.90−6.00(1H,m),6.18−6.28(1H,m),8.02(4H,s)。
【0079】
N−BOC4−(4−フルオロピペリジン−4−イルスルホニル)ベンズアミドを夫々実施例2及び1に記載の方法により脱保護及びアルキル化すると、標記化合物が白色固体として得られた。δ(500MHz,DMSO)1.78−1.83(2H,m),2.05−2.20(4H,m),2.53−2.56(2H,m),2.74−2.77(2H,m),2.96−2.97(2H,m),7.10−7.14(2H,m),7.22−7.26(1H,m),7.30−7.34(1H,m),7.70(1H,s),7.97(2H,dJ8.3Hz),8.12−8.14(2H,m),8.25(1H,s)。m/z(ES)409[MH]
【0080】
実施例1−5と同様の方法を使用して以下の化合物(実施例6−22)を製造した。
4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)−1−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン m/z(ES)384[MH]
4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)−1−[2−(2−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン m/z(ES)384[MH]
4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)−1−(2−フェニルエチル)ピペリジン m/z(ES)366[MH]
4−({4−フルオロ−1−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンゾニトリル m/z(ES)391[MH]
4−({4−フルオロ−1−[2−(2−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンゾニトリル (ES)391[MH]
4−{[4−フルオロ−1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]スルホニル}ベンゾニトリル m/z(ES)373[MH]
4−({4−フルオロ−1−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンズアミド m/z(ES)409[MH]
4−{[4−フルオロ−1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]スルホニル}ベンズアミド m/z(ES)391[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン m/z(ES)384[MH]
4−フルオロ−1−[2−(2−フルオロフェニル)エチル]−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン m/z(ES)366[MH]
4−フルオロ−1−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン m/z(ES)366[MH]
4−フルオロ−1−(2−フェニルエチル)−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン m/z(ES)348[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−(2−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン m/z(ES)402[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−(3−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン m/z(ES)402[MH]
4−(4−クロロフェニルスルホニル)−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン m/z(ES)419[MH]
4−({4−フルオロ−1−[(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)メチル]ピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンゾニトリル m/z(ES)434[MH]
6−フルオロ−3−({4−フルオロ−4−[(4−フルオロフェニル)スルホニル]ピペリジン−1−イル}メチル)−1,2ベンゾイソチアゾール m/z(ES)427[MH]
【0081】
(実施例23)
4−[4−({1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン−4−イル}スルホニル)フェニル]モルホリン
4−(4−ブロモフェニルスルホニル)−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン(25mg,0.054mmol)を無水トルエン(1.5mL)に溶かした。モルホリン(0.01mL,0.108mmol)とrac−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(2.7mg;5mol%)を加えた。溶液を窒素で5分間脱気し、酢酸パラジウム(1.1mg;2mol%)と炭酸セシウム(26mg,0.082mmol)を加えた。反応混合物を90℃まで16時間加熱した。反応混合物をジクロロメタンと水で分配し、有機層を合わせて水とブラインで洗浄した後、NaSOで乾燥した。溶媒を減圧除去し、70%EtOAc/イソヘキサンを溶離液として残渣をシリカクロマトグラフィーにかけると、標記化合物が白色固体として得られた(16mg):δ(400MHz,DMSO)1.75(2H,m),1.97(2H,m),2.09(2H,m),2.71(2H,m),2.92(2H,m),3.34(4H,m),3.72(4H,m),6.97(1H,m),7.08(3H,m),7.35(1H,m),7.61(2H,m)。m/z(ES)469[MH]
【0082】
(実施例24)
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−[4−(ピロリジン−1−イル)フェニルスルホニル]ピペリジン
4−(4−フルオロフェニルスルホニル)−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン(100mg,2.44mmol)をDMSO(5ml)に溶かした。ピロリジン(0.61mL,7.32mmol)を加え、得られた溶液をマイクロ波反応器で150℃まで10分間加熱した。冷却後、反応混合物をEtOAc(30mL)と飽和NaHCO水溶液(30mL)で分配した。有機層を水洗し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮すると、標記化合物が精製を必要としない白色固体として得られた(102mg):δ(400MHz,DMSO)1.75(2H,m)2.0(4H,m)2.1(2H,m)2.5(2H,m)2.7(2H,m)2.95(2H,m)3.35(4H,m)6.7(2H,d)7.0(1H,m)7.15(1H,m)7.4(1H,m)7.6(2H,d)。m/z(ES)453[MH]
【0083】
実施例23−24と同様の方法を使用して以下の化合物(実施例25−31)を製造した。
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−[4−(ピペリジン−1−イル)フェニルスルホニル]ピペリジン m/z(ES)467[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−{4−[4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル]フェニルスルホニル}ピペリジン m/z(ES)535[MH]
4−[4−(アゼチジン−1−イル)フェニルスルホニル]−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン m/z(ES)439[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−[4−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)フェニルスルホニル]−4−フルオロピペリジン m/z(ES)503[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−[4−([1,2,3]トリアゾール−1−イル)フェニルスルホニル]ピペリジン m/z(ES)451[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−[4−(ピロール−1−イル)フェニルスルホニル]ピペリジン m/z(ES)449[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−[4−(ピラゾール−1−イル)フェニルスルホニル]ピペリジン m/z(ES)450[MH]
【0084】
実施例24と同様の方法により4−(3,4−ジフルオロフェニルスルホニル)−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジンから以下の化合物(実施例32−35)を製造した。
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−{[3−フルオロ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニル]スルホニル}ピペリジン m/z(ES)468[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−{[3−フルオロ−4−(イミダゾール−1−イル)フェニル]スルホニル}ピペリジン m/z(ES)468[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−{[3−フルオロ−4−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル]スルホニル}ピペリジン m/z(ES)469[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−{[3−フルオロ−4−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]スルホニル}ピペリジン m/z(ES)469[MH]
【0085】
(実施例36)
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−[4−(1,3−オキサゾール−2−イル)フェニルスルホニル]ピペリジン
4−(4−ブロモフェニルスルホニル)−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン(50mg,0.108mmol)と2−(トリブチルスタニル)オキサゾール(0.04mL,0.119mmol)を無水THF(0.25mL)に溶かし、溶液を窒素で5分間脱気した後に塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(3.8mg,5mol%)を加えた。反応混合物を80℃に72時間加熱した後にDCM(20mL)と水(20mL)で分配し、有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。得られた残渣をDCM(0.5mL)で希釈し、SCXカートリッジに通し、吸着物を更にDCM(10mL)で洗浄した。MeOH中アンモニア(2M,10mL)を導入すると、生成物が溶出した。フラクションを合わせ、揮発分を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ,65%EtOAc/イソヘキサン)により精製すると、標記化合物が白色固体として得られた(28mg):δ(400MHz,DMSO)1.8(2H,m)2.1(4H,m)2.55(2H,m)2.7(2H,m)2.95(2H,m)7.0(1H,m)7.15(1H,m)7.4(1H,m)7.55(1H,s)8.05(2H,d)8.29(2H,d)8.35(1H,s)。m/z(ES)451[MH]
【0086】
実施例36と同様の方法を使用して以下の化合物(実施例37−40)を製造した。
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−[4−(1−メチルピラゾール−5−イル)フェニルスルホニル]ピペリジン m/z(ES)464[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−[4−(1−メチルイミダゾール−2−イル)フェニルスルホニル]ピペリジン m/z(ES)464[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−[4−(2−メチルテトラゾール−5−イル)フェニルスルホニル]ピペリジン m/z(ES)466[MH]
1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−[4−(1,3−チアゾール−2−イル)フェニルスルホニル]ピペリジン m/z(ES)467[MH]
【0087】
(実施例41)
4−[(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)スルホニル]−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロピペリジン
n−ブチルリチウム(イソヘキサン中1.6N;1.0mL,1.6mmol)をN−BOC4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン(500mg;1.4mmol)の−78℃ジエチルエーテル(16mL)溶液に撹拌下に滴下した。1時間後に1,2−ジブロモテトラフルオロエタン(0.54g,2.1mmol)を素早く加え、混合物を5分間撹拌した後に0℃まで昇温させ、この温度で更に1.5時間撹拌した。飽和NHCl水溶液(1mL)を加え、混合物を水(20mL)とEtOAc(20mL)で分配した。有機部分をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、得られた粗生成物を夫々実施例2及び1に記載したように脱保護及びアルキル化した。最終生成物を50%EtO/イソヘキサンで洗浄すると、標記化合物が白色固体として得られた(117mg):δ(400MHz,DMSO)1.75−1.90(2H,m),2.04−2.22(4H,m),2.50−2.55(2H,m),2.70−2.75(2H,m),2.95−3.00(2H,m),6.98−7.02(1H,m),7.12−7.18(1H,m),7.35−7.40(1H,m),7.58−7.62(1H,m),7.98−8.00(1H,m),8.10−8.13(1H,m)。m/z(ES)482,480[MH]。生成物は実施例2に記載したデータに一致する3.6%の不純物1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エチル]−4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジンも含有していた。
【0088】
(実施例42)
(RS)−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−フルオロエチル]−4−フルオロ−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン
4−フルオロ−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン塩酸塩(300mg,mmol)を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で処理し、遊離塩基をEtOAcで抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、溶媒を減圧除去すると、4−フルオロ−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン(187mg)が白色固体として得られた。
【0089】
2−(2,4−ジフルオロフェニル)オキシラン(0.17ml,1.08mmol)を4−フルオロ−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン(187mg,0.9mmol)のDMSO(5ml)溶液に加え、得られた溶液を105℃まで10時間加熱した。冷却後、反応溶液をブライン溶液(10ml)に注入し、EtOAcで抽出した。有機層を水洗(3×10ml)し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ,30%EtOAc/イソヘキサン)により精製すると、(RS)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−[4−フルオロ−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン−1−イル]エタノールが白色固体として得られた(108mg):δ(400MHz,DMSO)1.75(2H,m)2.05(2H,m)2.2(2H,m)2.5(2H,m)2.95(2H,m)4.95(1H,m)5.39(1H,d)7.05(1H,m)7.15(1H,m)7.5(1H,m)7.72(2H,m)7.85(3H,m)。m/z(ES)399[MH]
【0090】
(RS)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−[4−フルオロ−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン−1−イル]エタノール(40mg,0.10mmol)の冷却(−78℃)無水DCM(0.5ml)溶液に窒素雰囲気下に三弗化(ジエチルアミノ)硫黄(0.02ml,0.15mmol)を加えた。溶液を10分間−78℃で撹拌した後、室温まで放置し、2時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20ml)を加えて反応混合物をクエンチし、EtOAc(3×20ml)で抽出した。有機フラクションを合わせてNaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ,25%EtOAc/イソヘキサン)により精製すると、標記化合物が白色固体として得られた(29mg):δ(400MHz,DMSO)1.8(2H,m)2.1(2H,m)2.2(2H,m)2.7(2H,m)2.95(3H,m)5.8−5.9(1H,ddd)7.15(1H,m)7.25(1H,m)7.55(1H,m)7.72(2H,m)7.85(3H,m)。m/z(ES)402[MH]
【0091】
(実施例43)
2−[4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−1−イル]−1−(4−フルオロフェニル)エタノン
4−フルオロ−2’−ブロモアセトフェノン(55mg,0.25mmol)を4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン塩酸塩(60mg,0.23mmol)とトリエチルアミン(0.064mL,0.50mmol)のMeCN(1.2mL)中の混合物に加えた。溶液を周囲温度で4時間撹拌した後に水(20mL)とEtOAc(20mL)で分配した。有機部分をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ,50%EtOAc/イソヘキサン)により精製すると、標記化合物が白色固体として得られた(30mg):δ(500MHz,DMSO)1.95(2H,t,J11.6),2.20−2.35(2H,m),3.08(2H,d,J6.5),4.06(2H,s),7.48(2H,t,J8.9),7.71(2H,t,J8.8),8.11(2H,dd,J5.2及び8.7),8.20(2H,dd,J5.6及び8.9)。m/z(ES)398[MH]
【0092】
(実施例44)
(RS)−4−フルオロ−1−[2−フルオロ−2−(4−フルオロフェニル)エチル]−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン
ホウ水素化ナトリウム(20mg,0.5mmol)を2−[4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−1−イル]−1−(4−フルオロフェニル)エタノン(40mg,0.1mmol)のEtOH(5mL)懸濁液に加え、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。得られた溶液を減圧濃縮し、残渣を水(20mL)とEtOAc(20mL)で分配した。有機部分をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、(RS)−2−[4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−1−イル]−1−(4−フルオロフェニル)エタノールが白色固体として得られた:m/z(ES)418[MH]
【0093】
(RS)−2−[4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−1−イル]−1−(4−フルオロフェニル)エタノールを実施例42に記載したように標記化合物に変換した:δ(500MHz,DMSO)1.78−1.82(2H,m),2.05−2.20(2H,m),2.25−2.32(2H,m),2.63−2.72(1H,m),2.88−3.04(3H,m),5.67−5.79(1H,m),7.21−7.25(2H,m),7.43−7.48(2H,m),7.56−7.60(2H,m),7.96−7.99(2H,m)。m/z(ES)402[MH]
【0094】
実施例42−44と同様の方法を使用して以下の化合物(実施例45−48)を製造した。
4−({4−フルオロ−1−[2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソエチル]ピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンゾニトリル m/z(ES)405[MH]
1−(4−フルオロフェニル)−2−[4−フルオロ−4−(フェニルスルホニル)ピペリジン−1−イル]エタノン m/z(ES)380[MH]
(RS)−4−({1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−フルオロエチル]−4−フルオロピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンズアミド m/z(ES)445[MH]
(RS)−4−({4−フルオロ−1−[2−フルオロ−2−(4−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}スルホニル)ベンズアミド m/z(ES)427[MH]
【0095】
(実施例49)
(RS)−1−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−メチルエチル]−4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン
チタンテトライソプロポキシド(0.29mL,1.4mmol)を4−フルオロ−4−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン(179mg,0.68mmol)と2,4−ジフルオロフェニルアセトン(116mg,0.68mmol)のEtOH(3.4mL)溶液に加え、混合物を周囲温度で16時間撹拌した。ホウ水素化ナトリウムを加え(41mg,1.0mmol)、撹拌を2時間続けた。水(20mL)とEtOAc(20mL)を加え、二相混合物をHyflo(登録商標)で濾過した。濾液を分配し、有機部分をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ,50%EtOAc/イソヘキサン)により精製すると、半純生成物が得られ、HClの1N EtO溶液で処理することにより更に精製した後に固体残渣を更にEtOで洗浄すると、標記化合物が塩酸塩として得られた:δ(500MHz,DMSO)1.09−1.19(3H,m),2.14−2.21(2H,m),2.53−2.60(1H,m),2.68−2.85(3H,m),3.13−3.56(5H,m).7.08−7.14(1H,m),7.22−7.28(1H,m),7.41−7.48(1H,m),7.60−7.67(2H,m),8.00−8.07(2H,m),11.10−11.20(br s)。m/z(ES)416[MH]

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、Arは各々置換基R、R及びRをもつフェニル、ベンゾイソチアゾール−3−イル又はベンゾチオフェン−3−イルであり;
は水素、弗素、塩素、臭素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルオキシ、C2−6アルキニルオキシ、又は5個までの弗素原子で置換されたC1−6アルキルであり;
は水素、弗素、塩素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、5個までの弗素原子で置換されたC1−4アルキル又は5個までの弗素原子で置換されたC1−4アルコキシであり;
は水素、弗素、塩素、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシであり;
は水素;弗素;塩素;臭素;C1−6アルキル;C3−6シクロアルキル;C2−6アルケニル;C2−6アルキニル;C1−6アルコキシ;C2−6アルケニルオキシ;C2−6アルキニルオキシ;5個までの弗素原子で置換されたC1−6アルキル;ニトリル;COQもしくはCO(Qは水素又はC1−6アルキルである);NQ、CONQもしくはSONQ(Qは水素又はC1−6アルキルであり、Qは水素又はC1−6アルキルであるか、あるいはQとQは一緒になって1個の酸素又は更に1個の窒素環原子を含んでいてもよいいずれかの4〜7員複素環を形成し、前記複素環は場合により3個までの弗素原子又は、CF、メチル、エチル又はヒドロキシルで置換されていてもよい);ヒドロキシル;ニトロ;SOQもしくはSO(QはC1−4アルキルである);NQCOQ、NQCOもしくはNQSO(Qは水素又はC1−4アルキルであり、Qは水素又はC1−4アルキルであるか又はQと一緒になって5〜7員環を形成する);5員複素芳香環(但し、環原子のうちの1、2、3又は4個が窒素原子であるか、1又は2個が窒素原子であり且つ1個が酸素又は硫黄原子であるか、1個が酸素又は硫黄原子であってもよく、前記複素芳香環は場合によりメチル、エチル又はヒドロキシルで置換されている);又は1もしくは2個の窒素環原子を含む6員複素芳香環又はフェニル基(そのいずれかが場合により1もしくは2個の弗素もしくは塩素原子又はC1−4アルキル、C1−4アルコキシもしくはトリフルオロメチル基で置換されている)であり;
は水素、弗素、塩素、ニトリル、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、5個までの弗素原子で置換されたC1−4アルキル、又は5個までの弗素原子で置換されたC1−4アルコキシであり;
は水素、弗素、塩素、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシであるか;
あるいはQとQは一緒になって5、6又は7員炭素環部分を形成し;
はH又はC1−4アルキルであり;
mは0又は1であり;
nは0、1又は2であり;
WはCH、CHF、CH(OH)又はCOである]
の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項2】
Arが各々置換基R、R及びRをもつベンゾイソチアゾール−3−イル又はベンゾチオフェン−3−イルを表し、mとnがいずれも0である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arが各々置換基R、R及びRをもつフェニルを表し、mが1であり、nが0である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式IIA:
【化2】

(式中、R13はHを表し、R14はH、F又はOHを表すか、あるいはR13とR14は一緒になってケトを表し;
、Q、R、R及びRは請求項1に定義した通りである)
の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項5】
がH、F、Cl、Br、CN、カルボキサミド、5員ヘテロアリール及びNQ(QとQは複素環部分を形成する)から選択され;
がH、F又はClであり;
がH又はFであり;
がH、F、メチル又はCFであり;
がH、F、メチル又はCFであり;
がHである
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項7】
人体の治療方法で使用するための請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
5−HT2A受容体活性により媒介される症状の治療又は予防用医薬の製造における請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項9】
5−HT2A受容体活性により媒介される症状をもつか又は発症する傾向のある対象の治療方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を前記対象に投与することを含む前記方法。

【公表番号】特表2006−528675(P2006−528675A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530481(P2006−530481)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001998
【国際公開番号】WO2004/101518
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】