説明

5−HT4レセプターアゴニストとしてのキノリノン−カルボキサミド化合物

本発明は、式(I)の新規キノリノン−カルボキサミド5−HTレセプターアゴニスト化合物、これを含有する薬学的組成物、5−HTレセプター活性に関連した疾患を処置するための上記化合物の使用、そして上記化合物の調製に有用な方法および中間体を提供する。ここで、Rは、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルコキシであり;Rは、C3〜4アルキルもしくはC3〜6シクロアルキルであり;Rは、水素もしくはC1〜3アルキルであり、Rは、−S(O)もしくは−C(O)Rであり;Rは、水素、C1〜3アルキル、−OHもしくはC1〜3アルコキシで置換されたC2〜3アルキル、または−CH-ピリジルであり;Rは、C1〜3アルキルであるか、またはRおよびRは、一緒になって、C3〜4アルキレニルを形成し;そしてRは、水素、C1〜3アルキルもしくはピリジルである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、5−HTレセプターアゴニストとして有用なキノリノン−カルボキサミド化合物に関する。本発明はまた、このような化合物を含有する薬学的組成物、このような化合物を使用して5−HTレセプター活性により媒介される病態を処置または予防する方法、ならびにこのような化合物を調製するために有用なプロセスおよび中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
(当該技術の状況)
セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン、5−HT)は、中枢神経系および末梢系の両方において、身体全体にわたって広く分布している神経伝達物質である。セロトニンレセプターのうちの少なくとも7つの亜型が同定されており、セロトニンとこれらの異なるレセプターとの間の相互作用は、多種多様な生理的機能と連関している。従って、特異的な5−HTレセプター亜型を標的にする治療薬を開発することは、非常な関心事とされてきた。
【0003】
特に、5−HTレセプターの特性付けおよびそれらと相互作用する薬学的因子の同定に、最近の活動が集中している。(例えば、非特許文献1による概説を参照のこと)。5−HTレセプターアゴニストは、消化管の運動性低下障害を処置するのに有用である。このような障害には、過敏性腸症候群(IBS)、慢性の便秘、機能性消化不良、胃内容排出の遅延、胃食道逆流疾患(GERD)、胃不全麻痺、術後腸閉塞、腸偽閉塞、および薬剤性遅延移行が挙げられる。それに加えて、いくつかの5−HTレセプターアゴニスト化合物は、中枢神経系の障害(これには、認知障害、行動障害、気分障害、および自律神経機能の制御障害が挙げられる)の処置で有用であり得ることが示唆されている。
【0004】
5−HTレセプターの活性を調節する薬学的因子は、広く有用であるにもかかわらず、現在、臨床的に使用されている5−HTレセプターアゴニスト化合物は、殆どない。1つの薬剤であるシサプリドは、消化管の運動障害を処置するために広範囲に利用されていたが、心臓に対する副作用が報告されたことが原因で、市場から回収された。他の薬剤であるプルカロプリド(prucalopride)の後期臨床試験は、停止されている。
【非特許文献1】LangloisおよびFischmeister,「J.Med.Chem.」,2003年,第46巻,p.319−344
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、副作用を最小限に抑えて所望の効果を達成する新規な5−HTレセプターアゴニストが必要とされている。好ましい薬剤は、他の特性のなかでも、感受性、効力、薬物動態特性、および/または作用の持続性を改善させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、5−HTレセプターアゴニスト活性を有する新規化合物を提供する。他の特性のなかでも、本発明の化合物は、強力かつ選択的な5−HTレセプターアゴニストであることが見出された。それに加えて、本発明の化合物は、好ましい薬物動態特性(これは、経口投与すると、良好なバイオアベイラビリティーが予測される)を示すことが見出された。
【0007】
従って、本発明は、式(I)の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を提供する:
【0008】
【化9】

ここで:
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1〜4アルキルまたはC1〜4アルコキシである;
は、C3〜4アルキルまたはC3〜6シクロアルキルである;
は、水素またはC1〜3アルキルである;
は、−S(O)または−C(O)Rである;
は、水素、C1〜3アルキル、−OHまたはC1〜3アルコキシで置換されたC2〜3アルキル、または−CH−ピリジルである;
は、C1〜3アルキルである;
またはRとRとは、一緒になって、C3〜4アルキレニルを形成する;そして
は、水素、C1〜3アルキルまたはピリジルである。
【0009】
本発明は、本発明の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含有する薬学的組成物を提供する。
【0010】
本発明はまた、5−HTレセプター活性に関連した疾患または状態(例えば、消化管の運動性低下障害)を処置する方法を提供し、上記方法は、哺乳動物に、本発明の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0011】
さらに、本発明は、哺乳動物における5−HTレセプター活性に関連した疾患または状態を処置する方法を提供し、上記方法は、上記哺乳動物に、本発明の薬学的組成物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0012】
本発明の化合物はまた、研究手段として(すなわち、生体系または試料を研究するため、または他の化学化合物の活性を研究するために)使用できる。したがって、その方法局面の別のものでは、本発明は、生体系または試料を研究するためか新規な5−HTレセプターアゴニストを発見するための研究手段として、式(I)の化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を使用する方法を提供し、上記方法は、生体系または試料と本発明の化合物とを接触させる工程および上記生体系または試料に対する上記化合物により引き起こされる効果を決定する工程を包含する。
【0013】
別の異なる局面では、本発明はまた、本明細書中で記述した合成プロセスおよび中間体(これらは、本発明の化合物を調製するのに有用である)を提供する。
【0014】
本発明はまた、医学的治療における使用、ならびに哺乳動物における5−HTレセプター活性に関連した疾患または状態(例えば、消化管の運動性低下障害)を処置するための処方物または医薬の製造における本発明の化合物の使用のために、本明細書中で記述した化合物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I)の新規キノリノン−カルボキサミド 5−HTレセプターアゴニスト、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を提供する。以下の置換基および値は、本発明の種々の局面の代表的な例を提供することを意図している。これらの代表的な値は、このような局面をさらに規定することを意図とし、他の値を除外したり本発明の範囲を限定したりすることを意図しない。
【0016】
本発明の特定の局面では、Rは、水素、ハロ、C1〜4アルキルまたはC1〜4アルコキシである。
【0017】
他の特定の局面では、Rは、水素、ハロまたはC1〜4アルキルである;あるいは、Rは、水素またはハロである;あるいは、Rは、フルオロである;あるいは、Rは、ブロモである。
【0018】
さらに別の特定の局面では、Rは、水素である。
【0019】
特定の局面では、Rは、C3〜4アルキルまたはC3〜6シクロアルキルである。
【0020】
別の特定の局面では、Rは、C3〜4アルキルである。代表的なR基には、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。
【0021】
別の特定の局面では、Rは、イソプロピルである。
【0022】
さらに他の特定の局面では、Rは、C3〜4アルキルまたはC4〜5シクロアルキルである;あるいは、Rは、イソプロピルまたはC4〜5シクロアルキルである。
【0023】
特定の局面では、Rは、水素またはC1〜3アルキルである。
【0024】
他の特定の局面では、Rは、水素であるか、あるいはRは、メチルである。
【0025】
特定の局面では、Rは、−S(O)であり、ここで、Rは、C1〜3アルキルである。
【0026】
別の特定の局面では、Rは、−S(O)CHである。
【0027】
特定の局面では、Rは、−C(O)Rであり、ここで、Rは、水素、C1〜3アルキルまたはピリジルである。
【0028】
他の特定の局面では、Rは、−C(O)Rであり、ここで、Rは、水素またはC1〜3アルキルである;あるいは、Rは、−C(O)Rであり、ここで、Rは、水素またはメチルである;あるいは、Rは、−C(O)Rであり、ここで、Rは、水素である;あるいは、Rは、−C(O)Rであり、ここで、Rは、メチルである。
【0029】
さらに別の特定の局面では、Rは、−C(O)Rであり、ここで、Rは、3−ピリジルまたは4−ピリジルである。
【0030】
特定の局面では、Rは、水素;C1〜3アルキル;−OHまたはC1〜3アルコキシで置換したC2〜3アルキル;または−CH−ピリジルである。
【0031】
他の特定の局面では、Rは、水素、C1〜3アルキルまたは−CH−ピリジルである;あるいは、Rは、水素またはC1〜3アルキルである。
【0032】
さらに他の特定の局面では、Rは、−CH−3−ピリジルである;あるいは、Rは、水素またはメチルである;あるいは、Rは、水素である;あるいは、Rは、メチルである。
【0033】
さらに他の特定の局面では、RおよびRは、一緒になって、−(CH−または−(CHを形成する;あるいは、RおよびRは、一緒になって、−(CH−を形成する。
【0034】
1局面では、本発明は、Rが水素である式(I)の化合物を提供する。
【0035】
別の局面では、本発明は、Rが−S(O)である式(I)の化合物を提供する。
【0036】
別の局面では、本発明は、Rが−C(O)Rである式(I)の化合物を提供する。
【0037】
本発明は、さらに、Rが水素またはハロである;RがイソプロピルまたはC4〜5シクロアルキルである;そしてR、R、R、RおよびRが式(I)で定義したとおりである式(I)の化合物を提供する。
【0038】
さらに別の局面では、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで:
は、水素である;
は、C3〜4アルキルまたはC4〜5シクロアルキルである;
は、水素である;
は、−S(O)または−C(O)Rである;
は、水素またはC1〜3アルキルである;
は、C1〜3アルキルである;そして
は、水素またはC1〜3アルキルである。
【0039】
さらに別の局面では、本発明は、式(II)の化合物の群を提供する:
【0040】
【化10】

ここで、Rは、水素であり、Rは、イソプロピルであり、そしてR、R、RおよびR、またはR、R、RおよびRは、それぞれ、表Iおよび表IIで示した値をとる。
【0041】
【表1−1】

【0042】
【表1−2】

本明細書中で使用する化学物質命名の慣習は、実施例1の化合物について例示される:
【0043】
【化11】

これは、MDL Information Systems,GmbH(Frankfurt,Germany)により提供されたAutoNomソフトウェアに従って、1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドと命名される。(1S,3R,5R)との名称は、実線および点線のくさび形状で描写した二環式環系に関連した結合の相対的な配向を述べる。この化合物は、代替的に、N−[(3−エンド)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1−(1−メチルエチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリンカルボキサミドとして、表示される。上で描写した本発明の化合物の全てについて、このキノリノン−カルボキサミドは、そのアザビシクロオクタン基に対して、エンドである。
【0044】
以下の化合物は、特に言及され得る:
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(S)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(アセチル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(ホルミル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−3−(アセチル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−3−(ホルミル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;および
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド。
【0045】
上で列挙した特定の化合物で例示されるように、本発明の化合物は、具体的には、式(I)または(II)にある炭素原子において、置換基−ORを持つキラル中心を含み得る。従って、本発明は、特に明記しない限り、ラセミ混合物、純粋立体異性体、およびこのような異性体の立体異性体に富んだ混合物を包含する。特定の立体異性体が示されている場合、特に明記しない限り、当業者は、本発明の組成物中にて少量の他の立体異性体が存在し得ることを理解するが、但し、この組成物の全体としてのいずれかの有用性は、このような他の異性体の存在によってなくなるものではない。
【0046】
(定義)
本発明の化合物、組成物および方法を記述する場合、以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有する。
【0047】
「アルキル」との用語は、一価飽和炭化水素基であって、直鎖状または分枝状またはそれらの組み合わせであり得るものを意味する。特に明記しない限り、このようなアルキル基は、代表的には、1個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なアルキル基には、例として、メチル、エチル、n−プロピル(n−Pr)、イソプロピル(i−Pr)、n−ブチル(n−Bu)、第二級ブチル、イソブチル、第三級ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが挙げられる。
【0048】
「アルキレニル」との用語は、二価飽和炭化水素基であって、直鎖状または分枝状またはそれらの組み合わせであり得るものを意味する。特に明記しない限り、このようなアルキレニル基は、代表的には、1個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なアルキレニル基には、例として、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、プロパン−1,2−ジイル(1−メチルエチレン)、2−メチルプロパン−1,2−ジイル(1,1−ジメチルエチレン)などが挙げられる。
【0049】
「アルコキシ」との用語は、一価基−O−アルキルを意味し、ここで、アルキルは、上で定義したとおりである。代表的なアルコキシ基には、例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、などが挙げられる。
【0050】
「シクロアルキル」との用語は、一価飽和炭素環式炭化水素基(これは、単環式または多環式であり得る)を意味する。特に明記しない限り、このようなシクロアルキル基は、代表的には、3個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なシクロアルキル基には、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。
【0051】
「ハロ」との用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0052】
「化合物」との用語は、合成的に調製された化合物または任意の他の様式で(例えば、代謝によって)調製された化合物を意味する。
【0053】
「治療有効量」とは、処置が必要な患者に投与した場合に、処置を達成するのに十分な量を意味する。
【0054】
本明細書中で使用する場合、「処置」との用語は、患者(例えば、哺乳動物(特に、ヒト))における疾患、障害または病態の処置を意味し、この用語は、以下を包含する:
(a)疾患、障害または病態が起こるのを防止すること(すなわち、患者の予防的処置);
(b)疾患、障害または病態を改善すること(すなわち、患者における疾患、障害または病態をなくすかその退行を引き起こすこと);
(c)疾患、障害または病態を抑制すること(すなわち、患者における疾患、障害または病態の進行を遅くするか阻止すること);または
(d)患者における疾患、障害または病態の症状を軽減すること。
【0055】
「薬学的に受容可能な塩」との用語は、患者(例えば、哺乳動物)に投与することが許容できる塩(これは、酸または塩基から調製される)を意味する。このような塩は、薬学的に受容可能な無機酸または有機酸および薬学的に受容可能な塩基から生じ得る。典型的には、本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩は、酸から調製される。
【0056】
薬学的に受容可能な酸から生じる塩には、酢酸、アジピン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、キナホイック(xinafoic)酸(1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
「溶媒和物」との用語は、溶質(すなわち、本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩)の1つ以上の分子と溶媒の1つ以上の分子とにより形成された錯体または凝集体を意味する。このような溶媒和物は、代表的には、実質的に不変のモル比の溶質および溶媒を有する結晶化した固形物である。代表的な溶媒には、例として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸などが挙げられる。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は、水和物である。
【0058】
「あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体」との用語は、塩、溶媒和物および立体異性体の全ての順列(例えば、式(I)の化合物の立体異性体の薬学的に受容可能な塩の溶媒和物)を含むことが意図される。
【0059】
「アミノ保護基」との用語は、アミノ窒素との望ましくない反応を防止するのに適当な保護基を意味する。代表的なアミノ保護基には、ホルミル;アシル基(例えば、アルカノイル基(例えば、アセチル));アルコキシカルボニル基(例えば、第三級ブトキシカルボニル(Boc));アリールメトキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc));アリールメチル基(例えば、ベンジル(Bn)、トリチル(Tr)および1,1−ジ−(4’−メトキシフェニル)メチル);シリル基(例えば、トリメチルシリル(TMS)および第三級ブチルジメチルシリル(TBDMS));などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
(一般合成手順)
本発明の化合物は、以下の一般方法および手順を使用して、容易に入手できる出発物質から調製され得る。本発明の特定の局面が以下のスキームに示されているが、当業者は、本発明の全ての局面が、本明細書中で記述される方法を使用して、または当業者に公知の他の方法、試薬および出発物質を使用することにより、調製され得ることを認識している。代表的または好ましい処理条件(例えば、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられるが、特に明記しない限り、他の処理条件もまた使用され得ることが理解される。最適な反応条件は、使用する特定の反応物または溶媒と共に変動し得るが、このような条件は、慣習的な最適化手順によって、当業者により決定され得る。
【0061】
さらに、当業者に明らかなように、特定の官能基が望ましくない反応を受けるのを防止するために、従来の保護基が必要とされ得る。特定の官能基に適当な保護基、ならびに保護および脱保護に適当な条件の選択は、当該分野で周知である。例えば、多数の保護基およびそれらの導入および除去は、T.W.GreeneおよびG.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,第3版,Wiley,New York,1999およびそこで引用される参考文献に記述されている。
【0062】
1つの合成方法では、式(I)の化合物は、スキームAで図示しているように調製される。(以下のスキームで示す置換基および変数は、特に明記しない限り、上で提供した定義を有する)。
【0063】
【化12】

スキームAでは、Lは、脱離基(例えば、クロロ、ブロモ、ヨードまたはエトキシ)を表わすか、または試薬L−Rは、カルボン酸HO−C(O)Rであり、すなわち、Lは、正式には、ヒドロキシを表わす。
【0064】
スキームAの反応に最適な反応条件は、当業者に周知であるように、試薬L−Rの化学特性に依存して、変わり得る。
【0065】
例えば、Lがハロ脱離基(例えば、クロロ)であるとき、この反応は、典型的には、不活性希釈剤(例えば、ジクロロメタン)中で、過剰の塩基(例えば、約3当量と約6当量との間の塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)))の存在下にて、中間体(III)と、約1当量と約4当量との間の式L−Rの化合物とを接触させることにより、行われる。適当な不活性希釈剤には、また、N,N−ジメチルホルムアミド、トリクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。この反応は、典型的には、約−100℃〜約30℃の範囲の温度で、約4分の1時間〜約2時間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。代表的な試薬であるL−R(ここで、Lは、クロロである)には、塩化メタンスルホニルおよび塩化アセチルが挙げられる。
【0066】
試薬L−Rがカルボン酸であるとき、スキームAは、アミドカップリング反応を表わし、これは、典型的には、不活性希釈剤(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中で、カップリング剤(例えば、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBop))の存在下にて、中間体(III)と、約1当量と約4当量との間のカルボン酸L−Rの化合物とを接触させることにより、行われる。この反応は、典型的には、周囲温度で、約4分の1時間〜約2時間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。適当な代替的カップリング剤には、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)、および1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)と組み合わせたPyBopが挙げられる。
【0067】
中間体(III)とカルボン酸L−Rとのアミドカップリングは、あるいは、L−Rを活性化エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルまたはp−ニトロフェニルエステル)または酸イミダゾールに変換することにより、実行でき、これは、次いで、中間体(III)と反応させられる。
【0068】
あるいは、試薬L−Rが液体(例えば、ギ酸エチル)であるとき、この反応は、(III)を非常に過剰の試薬L−Rに溶解し、そして約12〜約24時間にわたって、約50℃と約100℃との間の温度に加熱することにより、実行できる。
【0069】
式(I)の生成物は、通常の手順により、単離され精製される。例えば、この生成物は、減圧下にて乾燥状態まで濃縮し、弱酸水溶液に溶かし、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製できる。
【0070】
あるいは、式(I)の化合物は、Rが水素である式(I)の化合物(これは、スキームAに従って、調製できる)をN−アルキル化することにより、調製できる。このN−アルキル化反応は、典型的には、Rが水素である式(I)の化合物を、約1当量と約4当量との間の式L’−Rの化合物(ここで、L’は、脱離基(例えば、ヨードまたはブロモである))と接触させることにより、行われる。この反応は、典型的には、極性非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)中で、約2当量と約4当量との間の強塩基(例えば、カリウム第三級ブトキシド)の存在下にて、行われる。典型的には、この反応は、約60℃と約100℃との間の温度で、約6時間と約24時間との間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。
【0071】
さらに他の代替例では、Rが水素以外のものである式(I)の化合物は、従来のプロセスにより、Rが水素である式(I)の化合物から調製される。
【0072】
式(III)の中間体は、容易に利用可能な出発物質から調製される。例えば、炭素を持つ置換基−ORがキラルではないとき、式(III)の中間体は、スキームBで図示した手順により、調製される。
【0073】
【化13】

ここで、L’は、別個に、ハロ脱離基(例えば、ブロモ、クロロまたはヨード)を表わす。負に荷電した対イオンはまた、正に荷電した中間体(V)または(V’)と会合して、存在している。
【0074】
最初に、式(IV)の中間体は、オキシラン化合物(例えば、2−ブロモメチルオキシラン(通例、エピブロモヒドリン)と反応して、式(V)のアゼチジン塩を形成する。この反応は、典型的には、極性希釈剤(例えば、エタノール)中で、(IV)と、約2当量と約4当量との間の2−ブロモメチルオキシランとを接触させることにより、行われる。この反応は、典型的には、周囲温度で、約24時間と約48時間との間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。
【0075】
スキームBのプロセスおよび中間体(IV)を使用する下記の他のプロセスでは、中間体(IV)は、当業者に公知であるように、必要な場合、反応条件を適切に調整して、遊離塩基の形態または塩形態で供給され得ることが理解される。
【0076】
がC1〜3アルキルである式(V’)の中間体は、不活性希釈剤中で、約1当量と約3当量との間の強塩基(例えば、カリウム第三級ブトキシドまたは水素化ナトリウム)の存在下にて、中間体(V)と、1当量より僅かに少ない量から約1当量までの式L’−Rの化合物(ここで、Rは、C1〜3アルキルである)とを接触させることにより、調製できる。この反応は、典型的には、周囲温度で、約4分の1時間〜1時間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。適当な不活性希釈剤には、ジクロロメタン、トリクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどが挙げられる。
【0077】
次に、アゼチジン中間体(V)または(V’)は、式HNRのアミンと反応して、中間体(III)を提供する。典型的には、このアゼチジン中間体は、不活性希釈剤(例えば、エタノール)に溶解され、そして約1当量と約8当量との間のアミンHNRと接触させられる。例えば、アミンHNRが揮発性試薬(例えば、メチルアミン)であるとき、好ましくは、約5当量と約7当量との間のアミンが使用される。この反応は、典型的には、約50℃と約100℃との間との温度で、約12時間と約24時間との間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。
【0078】
が水素である式(III)の中間体は、アンモニアに代えて、すなわち、スキームBで示した試薬HNRに代えて、ギ酸アンモニウムを使用して、アゼチジン中間体(V)または(V’)から調製できる。あるいは、Rが水素である中間体(III)を調製するために、(V)または(V’)のアゼチジン環は、アジド(例えば、アジ化ナトリウム)との反応により開環され、次いで、これに還元反応が続き、中間体(III)を提供し得るか、またはこの環は、水酸化アンモニウムとの反応により、開環され得る。
【0079】
実施例4aで詳述するように、RおよびRが水素であり、そして炭素を持つ置換基−ORがキラルではないとき、式(III)の中間体は、中間体(IV)と保護化窒素原子を有するオキシラニルメチル化合物とを反応させ、次いで脱保護することにより、調製できる。1つの有用な試薬は、2−オキシラニルメチル−イソインドール−1,3−ジオン(通例、エポキシプロピルフタルイミド)であり、これは、中間体(IV)と反応されて、以下のフタルイミジル置換2−ヒドロキシプロピル基:
【0080】
【化14】

が、式(IV)のアザビシクロオクタン環の窒素に結合された中間体を形成する。このフタルイミジル基は、次いで、ヒドラジン中で還流することにより除去されて、RおよびRが水素である式(III)の中間体が形成される。
【0081】
およびRが水素である式(III)の中間体はまた、アゼチジン(V)とフタルイミドのアニオンとの反応、および引き続いてのヒドラジンでの処理により、調製できる。
【0082】
代替合成方法では、Rが水素である式(III)の中間体は、中間体(IV)と保護化中間体(VI):
【0083】
【化15】

との反応、およびこれに続く脱保護工程により、調製できる。式(VI)では、Pは、アミノ保護基であり、L’は、ハロ脱離基であり、そして星印は、キラル中心を示す。式(VI)の中間体を利用するプロセスは、星印を付けた中心での立体配置が、特に(R)または(S)である中間体(III)の形態を調製するのに、また、非キラル形態の中間体(III)を調製するのに、有用である。
【0084】
典型的には、中間体(IV)は、極性希釈剤(例えば、メタノール)中で、1当量より多い塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下にて、約1当量と約2当量との間の中間体(VI)と接触させられる。この反応は、典型的には、約60℃と約100℃との間との温度で、約12時間と約24時間との間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。保護基Pは、標準的な手順により除去されて、式(III)の中間体が得られる。有用な保護基Pは、Bocであり、これは、典型的には、酸(例えば、トリフルオロ酢酸)で処理することにより、除去される。
【0085】
中間体(III)を調製するためのさらに別の代替プロセスでは、中間体(VI)は、まず、環化形態(VII):
【0086】
【化16】

に変換された後、中間体(IV)と反応して、中間体(III)を提供する。中間体(VII)は、典型的には、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下にて、中間体(VI)を不活性希釈剤(例えば、テトラヒドロフラン)に溶解させることにより、調製される。中間体(III)を得るための(VII)と(IV)との反応は、典型的には、極性希釈剤(例えば、メタノール)中で、中間体(IV)と、約1当量と約4当量との間の中間体(VII)とを接触させることより、実行される。この反応は、典型的には、約60℃〜約100℃との間の温度で、約1時間と約4時間との間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。保護基Pは、標準的な手順により除去されて、式(III)の中間体が得られる。
【0087】
保護化中間体(VI)は、キラルオキシランを使用してBoc−保護化キラル中間体(VI’)を形成する特定の例についてスキームCで図示しているように、オキシランから調製できる。この反応は、同様に、式(VI)の非キラル化合物の調製に有用である。
【0088】
【化17】

スキームCで示すように、ベンジルアミン2は、非極性希釈剤(例えば、ヘキサンまたはトルエン)中で、少なくとも1当量のキラルオキシラン1と接触して、2−ヒドロキシプロピルアミン3を形成する。この反応は、典型的には、室温で、約12時間と約24時間との間、または反応が実質的に完結するまで、行われる。中間体3は、典型的には、水素雰囲気下にて、遷移金属触媒の存在下にて、僅かに過剰(例えば、約1.1当量)の二炭酸ジ第三級ブチル(通例、(Boc)O)と反応して、Boc保護化中間体(VI’)が得られる。この反応は、典型的には、周囲温度で、約8時間〜約24時間の間、行われる。
【0089】
式(IV)の中間体を調製するプロセスは、スキームDで示す。
【0090】
【化18】

保護化アミノアザビシクロオクタン(または、通例、アミノトロパン)5は、最初に、置換キノリノンカルボン酸(VIII)と反応する。典型的には、この反応は、最初に、芳香族希釈剤(例えば、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)中で、(VIII)と少なくとも1当量(好ましくは、約1当量と約2当量との間)の活性剤(例えば、塩化チオニルまたは塩化オキサリル)とを接触させることにより、(VIII)を酸塩化物に変換することによって、行われる。この反応は、典型的には、約80℃〜約120℃の範囲の温度で、約15分間〜約4時間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。
【0091】
この酸塩化物の溶液は、典型的には、約1当量のアミノトロパン5の二相混合物に加えられて、保護化中間体が形成され、これは、標準的な手順により、抽出される。5の二相混合物は、一般に、5を芳香族希釈剤(例えば、上で使用したもの)に溶解し、そして過剰の塩基(好ましくは、約2当量〜5当量の塩基)(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)を含有する水溶液を加えることにより、調製される。
【0092】
あるいは、中間体5とカルボン酸(VIII)とのアミドカップリングは、中間体(III)とカルボン酸とのアミドカップリングについて上記されるように、カップリング剤(例えば、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)、またはベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBop);これは、必要に応じて、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)と組み合わされる)の存在下にて、実行できる。さらに別の代替例では、中間体5とカルボン酸(VIII)とのアミドカップリングは、(VIII)を活性化エステルに変換することにより、実行できる(これもまた、上で記述されている)。
【0093】
保護基Pは、標準的な手順により除去されて、式(IV)の中間体が得られる。例えば、この保護基がBocであるとき、典型的には、除去は、酸(例えば、トリフルオロ酢酸)で処理することによりなされ、この中間体の酸塩が得られる。中間体(IV)の酸塩は、望ましい場合、従来の塩基での処理により、遊離塩基に変換され得る。他の例として、保護基Cbzは、好都合には、適当な金属触媒(例えば、炭素上パラジウム)で水素化分解することにより、除去される。
【0094】
本願で記述された反応で使用される保護化アミノトロパン5は、容易に利用可能な出発物質から調製される。例えば、保護基PがBocであるとき、保護化アミノトロパン5’は、スキームEで図示した手順により、調製される。
【0095】
【化19】

以下の実施例1aで詳述するように、保護中間体5’を調製するために、最初に、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン6は、酸性水溶液中で、緩衝剤(例えば、亜リン酸水素ナトリウム)の存在下にて、約1当量と2当量との間(好ましくは、約1.5当量)のベンジルアミンおよび僅かに過剰(例えば、約1.1当量)の1,3−アセトンジカルボン酸7と接触する。その反応混合物は、約60℃と約100℃との間に加熱されて、生成物である8−ベンジル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オン8(通例、N−ベンジルトロパノン)中の任意のカルボキシル化中間体の脱カルボキシル化を確実にする。
【0096】
中間体8は、典型的には、水素雰囲気下にて、遷移金属触媒の存在下にて、僅かに過剰勝(例えば、約1.1当量)の二炭酸ジ第三級ブチル(通例、(Boc)O)と反応して、Boc保護化中間体9である,3−オキソ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸第三級ブチルエステルを提供する。この反応は、典型的には、周囲温度で、約12時間〜約72時間にわたって、行われる。最後に、中間体9は、不活性希釈剤(例えば、メタノール)中で、遷移金属触媒の存在下にて、非常に過剰(例えば、少なくとも約25当量)のギ酸アンモニウムと接触して、高い立体特異性(例えば、>99:1のエンド:エキソ比)のエンド立体配置で、生成物5’を提供する。この反応は、典型的には、周囲温度で、約12時間〜約72時間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。このギ酸アンモニウム試薬は、少しずつ加えることが有利である。例えば、中間体9は、初期部分の約15当量〜約25当量のギ酸アンモニウムと接触させられる。約12時間〜約36時間の間隔を開けた後、追加分の約5当量〜約10当量のギ酸アンモニウムが加えられる。この連続的添加は、同様の間隔の後に繰り返すことができる。生成物5’は、従来手順(例えば、アルカリ抽出)により、精製できる。
【0097】
代替合成方法では、式(I)の化合物は、スキームFで図示しているように、置換キノリノンカルボン酸(VIII)と式(IX)の中間体とをカップリングすることにより、調製される。
【0098】
【化20】

スキームFの反応は、典型的には、カルボン酸(VIII)と中間体5との反応について上記のアミドカップリング条件下にて、行われる。
【0099】
式(IX)の中間体は、式(X)の中間体を脱保護することにより、調製できる:
【0100】
【化21】

ここで、Pは、アミノ保護基を表わす。
【0101】
式(X)の中間体は、上記アルキル化および他の反応と類似の手順を使用して、および/または当業者に周知の代替反応を使用して、容易に利用可能な出発物質から調製できる。例えば、中間体(X)は、中間体10:
【0102】
【化22】

を使用して、調製でき、これは、アミノアザビシクロオクタン5のアミノ窒素をアミノ保護基Pで保護し、次いで、そのアザビシクロオクタン基の窒素からPを除去することにより、形成され得る。保護基PおよびPは、それらが異なる条件下にて除去されるように、選択される。例えば、PがBocとして選択されるとき、Cbzは、Pとして使用できる。中間体(III)の調製について上記される反応において、中間体(IV)を保護化アミノトロパン10で置き換えると、式(X)の中間体が得られる。
【0103】
さらに別の合成方法では、Rが水素である式(I)の化合物(以下では、式(I’)として、表わす)は、スキームGで図示しているように、調製できる。
【0104】
【化23】

中間体(XI)は、保護化オキシラン中間体(VII)について明記しているように、キラル中心を含み得る。
【0105】
典型的には、中間体(IV)は、極性希釈剤(例えば、エタノール)中で、約1当量と約2当量との間のオキシラン中間体(XI)と接触させられて、生成物(I’)が形成される。中間体(IV)は、塩形態で供給され得、この場合、このオキシランの添加前に、その反応混合物に僅かにモル過剰のアルカリ塩基が含まれる。この反応は、典型的には、約60℃〜約100℃の温度で、約1時間と約3時間との間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。その生成物は、遊離塩基として、または酸塩として、結晶化により、不活性希釈剤から単離できる。
【0106】
式(XI)の中間体は、オキシラン中間体1(これは、スキームCで図示されている)と第二級アミンHNRとの反応により、調製できる。典型的には、約1当量の塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムまたは水酸化カリウム)を含有するアミンHNRの水溶液は、約1.5当量と約2.5当量との間のオキシラン中間体1と接触させられる。この反応は、典型的には、約0℃と約10℃との間の温度で、約12時間と約30時間との間にわたって、または反応が実質的に完結するまで、行われる。
【0107】
キノリノンカルボン酸(VIII)は、Suzukiら、Heterocycles,2000,53,2471−2485中の文献で報告された手順および以下の実施例で記述した手順と類似の手順により、容易に調製される。
【0108】
試薬L’−R、L’−R、L−R、HNRおよびHNRは、市販されているか、または標準的な手順により、通常の出発物質から容易に調製される。
【0109】
本発明の代表的な化合物またはその中間体を調製するための特定の反応条件および他の手順に関するさらなる詳細は、以下の実施例で記述される。
【0110】
従って、方法局面では、本発明は、式(I)の化合物、あるいはそれらの塩または立体異性体を調製するプロセスを提供し、上記プロセスは、以下の工程を包含する:
(a)式(III)の化合物と:
【0111】
【化24】

式L−Rの化合物とを反応させる工程(ここで、Lは、脱離基であるか、またはL−Rは、HO−C(O)Rを表わす)であるか;または
(b)式(VIII)の化合物と:
【0112】
【化25】

式(IX)の化合物:
【0113】
【化26】

とを反応させる工程であって、
式(I)の化合物、あるいはそれらの塩または立体異性体を提供する、工程。
【0114】
本発明は、さらに、式(III)の化合物、あるいはそれらの塩または立体異性体または保護化誘導体を提供し、ここで、R、R、RおよびRは、式(I)で定義したとおりである。
【0115】
さらに別の方法局面では、本発明は、式(I’)の化合物、あるいはそれらの塩または立体異性体を調製するプロセスを提供し、ここで、R、R、RおよびRは、式(I)で定義したとおりである。上記プロセスは、式(IV)の化合物と:
【0116】
【化27】

またはその塩と、式(XI)の化合物:
【0117】
【化28】

とを反応させて、式(I’)の化合物、あるいはそれらの塩または立体異性体を提供する工程を包含する。
【0118】
(薬学的組成物)
本発明のキノリノン−カルボキサミド化合物は、代表的には、薬学的組成物の形態で、患者に投与される。このような薬学的組成物は、任意の受容可能な投与経路(経口投与様式、直腸内投与様式、膣内投与様式、鼻腔内投与様式、吸入投与様式、局所(経皮を含めて)投与様式および非経口投与様式が挙げられるが、これらに限定されない)により、患者に投与され得る。
【0119】
従って、その組成物局面の1つでは、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と、式(I)の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の治療有効量とを含有する薬学的組成物に関する。必要に応じて、このような薬学的組成物は、所望される場合、他の治療剤および/または処方剤を含有し得る。
【0120】
本発明の薬学的組成物は、代表的には、本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の治療有効量を含有する。代表的には、このような薬学的組成物は、約0.1〜約95重量%の活性剤;好ましくは、約5〜約70重量%;さらに好ましくは、約10〜約60重量%の活性剤を含有する。
【0121】
本発明の薬学的組成物では、任意の従来のキャリアまたは賦形剤が使用され得る。特定のキャリアもしくは賦形剤、またはキャリアもしくは賦形剤の組合せの選択は、特定の患者または病態または疾患状態の型を処置するために使用されるべき投与様式に依存している。このことに関して、特定の投与様式に適当な薬学的組成物の調製は、十分に、薬学分野の当業者の範囲内である。さらに、このような化合物の成分は、例えば、Sigma,P.O.Box 14508,St.Louis,MO 63178から市販されている。さらなる例として、従来の処方技術は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第20版,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(2000);およびH.C.Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第7版,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(1999)で記述されている。
【0122】
薬学的に受容可能なキャリアとして働くことができる物質の代表例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)糖類(例えば、ラクトース、グルコースおよびショ糖);(2)デンプン(例えば、コーンスターチおよびジャガイモデンプン);(3)セルロース(例えば、微結晶セルロース)およびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース));(4)粉末化トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑石;(8)賦形剤(例えば、カカオ脂および坐薬ワックス);(9)油(例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、とうもろこし油および大豆油);(10)グリコール(例えば、プロピレングリコール);(11)ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール);(12)エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);(13)寒天;(14)緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);(15)アルギン酸;(16)発熱物質非含有の水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;ならびに(21)薬学的組成物で使用される他の非毒性の適合性物質。
【0123】
本発明の薬学的組成物は、代表的には、本発明の化合物を薬学的に受容可能なキャリアおよび1種またはそれ以上の任意の成分と十分かつ密接に混合またはブレンドすることより、調製される。必要な場合または所望される場合、得られる均一にブレンドした混合物は、次いで、通常の手順および装置を使用して、錠剤、カプセル、丸薬などに成型または充填され得る。
【0124】
本発明の薬学的組成物は、好ましくは、単位投薬量形態に包装される。「単位投薬量形態」との用語は、患者に投薬するのに適当な物理的に別個の単位を意味し、すなわち、各単位は、単独でまたは1種以上の追加単位と組み合わせてのいずれかで、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性剤を含有する。例えば、このような単位投薬量形態は、カプセル、錠剤、丸薬などであり得る。
【0125】
好ましい実施形態では、本発明の薬学的組成物は、経口投与に適当である。経口投与に適当な薬学的組成物は、カプセル、錠剤、丸薬、ロゼンジ、カシュ剤、糖衣錠、粉剤、顆粒;または水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液;または水中油型液状乳濁液もしくは油中水型液状乳濁液;またはエリキシル剤もしくはシロップなどの形態であり得る;各々は、活性成分として、所定量の本発明の化合物を含有する。
【0126】
固形投薬形態(すなわち、カプセル、錠剤、丸薬など)で経口投与することが意図される場合、本発明の薬学的組成物は、代表的には、活性剤としての本発明の化合物および1つ以上の薬学的に受容可能なキャリア(例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム)を含有する。必要に応じて、または代替的に、このような固形投薬形態はまた、以下を含有し得る:(1)充填剤または増量剤(例えば、デンプン、微結晶セルロース、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸);(2)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシア);(3)湿潤剤(例えば、グリセロール);(4)崩壊剤(例えば、寒天(agar−agar)、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および/または炭酸ナトリウム;(5)溶液遅延剤(solution retarding agent)(例えば、パラフィン);(6)吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物);(7)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよび/またはグリセリンモノステアレート;(8)吸収剤(例えば、カオリンおよび/またはベントナイト粘土);(9)滑沢剤(例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよび/またはそれらの混合物;(10)着色剤;ならびに(11)緩衝剤。
【0127】
離型剤、湿潤剤、被覆剤、甘味料、香料および芳香剤、防腐剤ならびに酸化防止剤もまた、本発明の薬学的組成物中に存在し得る。薬学的に受容可能な酸化防止剤の例には、以下が挙げられる:(1)水溶性酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど);(2)油溶性酸化防止剤(例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど);および(3)金属キレート化剤(例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など)。錠剤、カプセル、丸薬などの被覆剤には、腸溶コーティングに使用されるもの(例えば、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、酢酸ケイ酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)などが挙げられる。
【0128】
もし望ましいなら、本発明の薬学的組成物はまた、一例として、種々の割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース;または他の高分子マトリックス、リポソームおよび/もしくは微小球体を使用して、その活性成分の遅延放出または制御放出を生じるように、処方され得る。
【0129】
それに加えて、本発明の薬学的組成物は、必要に応じて乳白剤を含有し得、そして活性成分のみを放出するか、または優先的に、胃腸管の特定の部分において、必要に応じて遅延様式で放出するように、処方され得る。使用できる包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが挙げられる。この活性成分はまた、適切な場合に上記賦形剤の1種以上を含む、マイクロカプセルの形態であり得る。
【0130】
経口投与に適当な液体投薬量形態には、例として、薬学的に受容可能な乳濁液、微小乳濁液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。このような液体投薬量形態は、代表的には、この活性成分および不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳濁液(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール)、オイル(特に、綿実油、落花生油、とうもろこし油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物)を含有する。懸濁液は、この活性成分に加えて、懸濁剤(例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天(agar−agar)およびトラガカント、ならびにそれらの混合物)を含有し得る。
【0131】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、吸入による投与のために処方される。吸入による投与に適当な薬学的組成物は、代表的には、エアロゾルまたは粉末の形態である。このような組成物は、一般に、周知の送達デバイス(例えば、定量吸入器、乾燥粉末吸入器、噴霧器または類似の送達デバイス)を使用して、投与される。
【0132】
加圧容器を使用して吸入で投与するとき、本発明の薬学的組成物は、典型的には、この活性成分および適当な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当な気体)を含有する。
【0133】
さらに、この薬学的組成物は、本発明の化合物および粉末吸入器で使用するのに適当な粉剤を含有するカプセルまたはカートリッジ(これは、例えば、ゼラチンから製造される)の形態であり得る。適当な粉末基剤には、例として、ラクトースまたはデンプンが挙げられる。
【0134】
本発明の化合物はまた、公知の経皮送達システムおよび賦形剤を使用して、経皮的に投与され得る。例えば、本発明の化合物は、浸透向上剤(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレート、アザシクロアルカン−2−オンなど)と混合され得、そしてパッチまたは類似の送達システムに取り込まれ得る。ゲル化剤、乳濁液および緩衝液を含むさらなる賦形剤が、所望の場合、このような経皮組成物に使用され得る。
【実施例】
【0135】
以下の処方は、本発明の代表的な医薬組成物を例示する:
(処方実施例A)
以下のようにして、経口投与用の硬質ゼラチンカプセル剤を調製する:
【0136】
【表2】

代表的な手順:これらの成分を十分にブレンドし、次いで、硬質ゼラチンカプセルに充填する(カプセルあたり、260mgの組成物)。
【0137】
(処方実施例B)
以下のようにして、経口投与用の硬質ゼラチンカプセル剤を調製する:
【0138】
【表3】

代表的な手順:これらの成分を十分にブレンドし、次いで、No.45メッシュU.S.シーブに通し、そして硬質ゼラチンカプセルに充填する(カプセルあたり、200mgの組成物)。
【0139】
(処方実施例C)
以下のようにして、経口投与用のカプセル剤を調製する:
【0140】
【表4】

代表的な手順:これらの成分を十分にブレンドし、次いで、ゼラチンカプセルに充填する(カプセルあたり、310mgの組成物)。
【0141】
(処方実施例D)
以下のようにして、経口投与用の錠剤を調製する:
【0142】
【表5】

代表的な手順:この活性成分、デンプンおよびセルロースをNo.45メッシュU.S.シーブに通し、そして十分に混合する。ポリビニルピロリドンの溶液を得られた粉末と混合し、次いで、この混合物を、No.14メッシュU.S.シーブに通す。そのように製造した顆粒を、50〜60℃で乾燥し、そしてNo.18メッシュU.S.シーブに通す。次いで、これらの顆粒に、カルボキシメチルデンプン、ステアリン酸マグネシウムおよび滑石(あらかじめ、No.60メッシュU.S.シーブに通した)を加える。混合した後、その混合物を錠剤機で圧縮して、100mgの重量の錠剤を得る。
【0143】
(処方実施例E)
以下のようにして、経口投与用の錠剤を調製する:
【0144】
【表6】

代表的な手順:これらの成分を十分にブレンドし、次いで、圧縮して、錠剤を形成する(錠剤あたり、440mgの組成物)。
【0145】
(処方実施例F)
以下のようにして、経口投与用のシングルスコア(Single−scored)錠剤を調製する:
【0146】
【表7】

代表的な手順:これらの成分を十分にブレンドし、圧縮して、シングルスコア錠剤を形成する(錠剤あたり、215mgの組成物)。
【0147】
(処方実施例G)
以下のようにして、経口投与用の懸濁液を調製する:
【0148】
【表8】

代表的な手順:これらの成分を混合して、懸濁液を形成する(これは、懸濁液10mLあたり、活性成分10mgを含有する)。
【0149】
(処方実施例H)
以下のようにして、吸入投与用の乾燥粉剤を調製する:
【0150】
【表9】

代表的な手順:この活性成分を微粉にし、次いで、ラクトースとブレンドする。次いで、このブレンドした混合物をゼラチン吸入カートリッジに充填する。このカートリッジの内容物を、粉末吸入器を使用して、投与する。
【0151】
(処方実施例I)
以下のようにして、定量吸入器での吸入投与用の乾燥粉剤を調製する:
代表的な手順:微粉化粒子(これは、10μm未満の平均サイズを有する)としての活性化合物10gを溶液(これは、脱イオン水200mLに溶解したレシチン0.2gから形成した)に分散させることにより、本発明の化合物5重量%およびレシチン0.1重量%を含有する懸濁液を調製する。この懸濁液を噴霧乾燥し、得られた物質を、1.5μm未満の平均粒径を有する粒子へと微粉化する。これらの粒子を、加圧1,1,1,2−テトラフルオロエタンと共に、カートリッジに充填する。
【0152】
(処方実施例J)
以下のようにして、注射可能処方物を調製する:
【0153】
【表10】

代表的な手順:上記成分をブレンドし、そのpHを、0.5N HClまたは0.5N NaOHを使用して、4±0.5に調整する。
【0154】
(処方実施例K)
以下のようにして、経口投与用のカプセル剤を調製する:
【0155】
【表11】

代表的な手順:これらの成分を十分にブレンドし、次いで、ゼラチンカプセル(Size#1,White,Opaque)に充填する(カプセルあたり、264mgの組成物)
(処方実施例L)
以下のようにして、経口投与用のカプセル剤を調製する:
【0156】
【表12】

代表的な手順:これらの成分を十分にブレンドし、次いで、ゼラチンカプセル(Size#1,White,Opaque)に充填する(カプセルあたり、148mgの組成物)
上記で考察される薬学的組成物中において、特定の投与様式に適切な本発明の化合物の任意の形態(すなわち、遊離塩基、薬学的塩または溶媒和物)が使用され得ることが理解される。
【0157】
(有用性)
本発明のキノリノン−カルボキサミド化合物は、5−HTレセプターアゴニストであり、したがって、5−HTレセプターによって媒介される病状または5−HTレセプター活性に関連する病状(すなわち、5−HTレセプターアゴニストでの処置により回復する病状)を処置するために有用であることが期待される。このような病状としては、過敏性腸症候群(IBS)、慢性の便秘、機能性消化不良、胃内容排出の遅延、胃食道逆流疾患(GERD)、胃不全麻痺、術後腸閉塞、腸偽閉塞、および薬物性遅延移行(drug−induced delayed transit)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、ある5−HTレセプターアゴニスト化合物は、中枢神経系障害(認知障害、行動障害、気分障害(mood disorder)および自律神経機能の制御の障害が挙げられる)の処置において使用され得ることが示唆されている。
【0158】
特に、本発明の化合物は、胃腸(GI)管の運動性を上昇させるため、ヒトを含む哺乳動物において、GI管の障害(低下した運動性によって引き起こされる)の処置のために有用であることが期待される。このようなGI運動性障害としては、例として、慢性の便秘、便秘支配的(constipation−predominant)過敏性腸症候群(C−IBS)、糖尿病性胃不全麻痺および特発性胃不全麻痺、ならびに機能性消化不良が挙げられる。
【0159】
したがって、一局面において、本発明は、哺乳動物において、胃腸管の運動性を上昇させる方法を提供し、この方法は、哺乳動物に、薬学的に受容可能なキャリアおよび本発明の化合物を含有する治療有効量の薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0160】
5−HTレセプターによって媒介されるGI管の運動性低下の障害または他の状態を処置するために使用する場合、本発明の化合物は、代表的に、1日に1用量または1日に複数用量で経口投与されるが、他の投与形態も使用され得る。投与される1用量あたりの活性薬剤の量、または1日に投与される総量は、代表的に、関連する状況(処置される状態、選択された投与経路、実際に投与される化合物およびその関連する活性、個々の患者の年齢、体重ならびに応答、患者の症状の重篤度、などが挙げられる)をふまえて、医師によって決定される。
【0161】
5−HTレセプターによって媒介されるGI管の運動性低下の障害または他の障害を処置するための適切な用量は、活性薬剤の約0.0007mg/kg/日から約20mg/kg/日までの範囲であり、約0.0007mg/kg/日から約1mg/kg/日までを含む。平均的な70kgのヒトについて、この用量は、活性薬剤の約0.05mg/日から約70mg/日までになる。
【0162】
本発明の一局面において、本発明の化合物は、慢性の便秘を処置するために使用される。慢性の便秘を処置するために使用される場合、本発明の化合物は、代表的に、1日に1用量または1日に複数用量で経口投与される。好ましくは、慢性の便秘を処置するための用量は、約0.05mg/日から約70mg/日までの範囲である。
【0163】
本発明の別の局面において、本発明の化合物は、過敏性腸症候群を処置するために使用される。便秘支配的過敏性腸症候群を処置するために使用される場合、本発明の化合物は、代表的に、1日に1用量または1日に複数用量で経口投与される。好ましくは、便秘支配的過敏性腸症候群を処置するための用量は、約0.05mg/日から約70mg/日までの範囲である。
【0164】
本発明の別の局面において、本発明の化合物は、糖尿病性胃不全麻痺を処置するために使用される。糖尿病性胃不全麻痺を処置するために使用される場合、本発明の化合物は、代表的に、1日に1用量または1日に複数用量で経口投与される。好ましくは、糖尿病性胃不全麻痺を処置するための用量は、約0.05mg/日から約70mg/日までの範囲である。
【0165】
本発明のなお別の局面において、本発明の化合物は、機能性消化不良を処置するために使用される。機能性消化不良を処置するために使用される場合、本発明の化合物は、代表的に、1日に1用量または1日に複数用量で経口投与される。好ましくは、機能性消化不良を処置するための用量は、約0.05mg/日から約70mg/日までの範囲である。
【0166】
本発明は、5−HTレセプター活性に関連する障害または状態を有する哺乳動物を処置する方法をも提供する。この方法は、哺乳動物に、治療有効量の本発明の化合物または本発明の化合物を含有する薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0167】
上述のように、本発明の化合物は、5−HTレセプターアゴニストである。したがって、本発明は、5−HTレセプターを哺乳動物において作用(agonizing)させる方法を、さらに提供する。この方法は、本発明の化合物を、哺乳動物に投与する工程を包含する。さらに、本発明の化合物は、5−HTレセプターを有する生物系もしくはサンプルの調査もしくは研究のため、または新規の5−HTレセプターアゴニストを発見するための、研究ツールとしてもまた有用である。その上、本発明の化合物は、他の5−HTサブタイプのレセプター(特に5−HTレセプター)への結合と比較して、5−HTレセプターへの結合選択性を示すので、このような化合物は、生物系またはサンプルにおける5−HTレセプターの選択的な作用(agonism)の効果を研究するために、特に有用である。このような研究において、5−HTレセプターを有する任意の適切な生物系またはサンプルが使用され得、このような研究は、インビトロで行われても、インビボで行われてもよい。このような研究のために代表的な生物系またはサンプルとしては、細胞、細胞抽出物、形質膜、組織サンプル、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
本発明のこの局面において、5−HTレセプターを含む生物系またはサンプルは、5−HTレセプター作用量の本発明の化合物と接触させられる。次いで、5−HTレセプターを作用させる効果が、従来の手順および設備(例えば、放射リガンド結合アッセイおよび機能アッセイ)を用いて決定される。このような機能アッセイとしては、以下が挙げられる:細胞内環状アデノシン一リン酸(cAMP)におけるリガンド媒介性変化、酵素アデニリルシクラーゼ(cAMPを合成する)の活性におけるリガンド媒介性変化、GTPアナログとGDPアナログとのレセプター触媒性交換を介した、単離した膜内へのグアノシン三リン酸(GTP)のアナログ(例えば、[35S]GTPγS(グアノシン5’−O−(γ−チオ)三リン酸)またはGTP−Eu)の取り込みにおけるリガンド媒介性変化、遊離の細胞内カルシウムイオンにおけるリガンド媒介性変化(例えば、蛍光結合イメージングプレートリーダーまたはMolecular Devices,Inc.からのFLIPR(登録商標)で測定される)、およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)活性化の測定。本発明の化合物は、上で列挙した機能アッセイのいずれか、または類似した性質のアッセイにおいて、5−HTレセプターの活性化に作用し得るかまたはこれを増大させ得る。5−HTレセプター作用量の本発明の化合物は、代表的に、約1ナノモル濃度から約500ナノモル濃度までの範囲である。
【0169】
さらに、本発明の化合物は、新規の5−HTレセプターアゴニストを発見するための研究ツールとして使用され得る。この実施形態において、試験化合物または試験化合物群についての5−HTレセプター結合データまたは5−HTレセプター機能データは、本発明の化合物についての5−HTレセプター結合データまたは5−HTレセプター機能データと比較され、優れた結合活性または優れた機能活性を有する試験化合物を(ある場合に)、同定する。本発明のこの局面には、別個の実施形態として、目的の試験化合物を同定するための、比較データの作成(適切なアッセイを使用する)および試験データの分析の、両方が含まれる。
【0170】
他の特徴の中でも、本発明の化合物は、5−HTレセプターの強力なアゴニストであることが見出され、かつ、放射リガンド結合アッセイにおいて、5−HTレセプターサブタイプについて5−HTレセプターサブタイプを凌ぐ実質的な選択性を示すことが見出されている。さらに、本発明の化合物は、ラットモデルにおいて、優れた薬物動態特性を実証している。したがって、本発明の化合物は、経口投与において、高度に生物学的に利用可能であることが期待される。さらに、これらの化合物は、hERG心臓カリウムチャネルを発現する単離された全細胞(whole cell)を用いたインビトロボルテージクランプモデルにおいて、カリウムイオン電流の受容不可能なレベルの阻害を示さないことが示されている。ボルテージクランプアッセイは、医薬品が心臓再分極(特に、不整脈に関連しているいわゆるQT延長を引き起こす心臓再分極)のパターンを変更する可能性を評価する、認められた前臨床方法である(Caveroら,Opinion on Pharmacotherapy,2000,1,947−73、Ferminiら,Nature Reviews Drug Discovery,2003,2,439−447)。したがって、本発明の化合物を含有する薬学的組成物は、受容可能な心臓プロフィールを有することが期待される。
【0171】
本発明の化合物の特性および有用性は、当業者に周知の種々のインビトロアッセイおよびインビボアッセイを使用して示され得る。代表的なアッセイは、以下の実施例にさらに詳細に記載される。
【0172】
(実施例)
以下の合成および生物学的実施例は、本発明を例示するために提供され、いかなる場合でも、本発明の範囲を限定するとは解釈されない。以下の実施例では、以下の略語は、特に明記しない限り、以下の意味を有する。定義されていない略語は、それらの一般に受け入れられている意味を有する。
【0173】
Boc = 第三級ブトキシカルボニル
(Boc)O = 二炭酸ジ第三級ブチル
DCM = ジクロロメタン
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
EtOAc = 酢酸エチル
mCPBA = m−クロロ安息香酸
MeCN = アセトニトリル
MTBE = 第三級ブチルメチルエーテル
PyBop = ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
= 保持因子
RT = 室温
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
試薬(第二級アミンを含めて)および溶媒は、業者(Aldrich、Fluka、Sigmaなど)から購入し、さらに精製することなく、使用した。反応は、特に明記しない限り、窒素雰囲気下にて、行った。反応混合物の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、分析用高速液体クロマトグラフィー(分析HPLC)および質量分析法でモニターし、それらの詳細は、特定の反応実施例において、以下で、別々に示す。反応混合物は、各反応において具体的に記述しているように、ワークアップした;通常、それらは、抽出および他の精製方法(温度および溶媒依存性結晶化、ならびに沈殿)により、精製した。それに加えて、反応混合物は、分取HPLCにより、慣習的に精製した:一般的なプロトコールは、以下で示す。反応生成物の特性付けは、質量分析法およびH−NMR分光法により、慣習的に実行した。NMR測定については、試料を重水素化溶媒(CDOD、CDClまたはDMSO−d)に溶解し、そして標準的な観察条件下にて、Varian Gemini 2000機器(300MHz)を使って、H−NMRスペクトルを得た。化合物の質量分析法による同定は、Applied Biosystems(Foster City、CA)モデルAPI 150 EX機器またはAgilent(Palo Alto、CA)モデル1100 LC/MSD機器を使って、エレクトロスプレーイオン化法(ESMS)により、実行した。含水量は、Brinkmann(Westbury、NY)Metrohm Karl Fischer Model 813電量計を使用して、カールフィッシャー滴定により、測定した。
【0174】
(実施例1:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
(a.8−ベンジル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オンの調製)
2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン(82.2g、0.622mol)の不均一水(170mL)溶液に、撹拌しながら、濃塩酸(30mL)を加えた。0℃(氷浴)まで冷却した別のフラスコにて、ベンジルアミン(100g、0.933mol)の水(350mL)溶液に、濃塩酸(92mL)をゆっくりと加えた。この2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン溶液をおよそ20分間撹拌し、水(250mL)で希釈し、次いで、このベンジルアミン溶液を加え、続いて、1,3−アセトンジカルボン酸(100g、0.684mol)の水(400mL)溶液を加え、次いで、水(200mL)中のリン酸水素ナトリウム(44g、0.31mol)を加えた。40%NaOHを使用して、そのpHをpH1からpH約4.5に調整した。得られた濁った淡黄色溶液を一晩撹拌した。次いで、50%塩酸を使用して、この溶液をpH7.5からpH3に酸性化し、85℃まで加熱し、そして2時間撹拌した。この溶液を室温まで冷却し、40%NaOHを使用してpH12に塩基化し、そしてDCM(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして減圧下にて濃縮して、粘性の褐色油状物(52g)として、粗表題中間体を生成した。
【0175】
この粗中間体のメタノール(1000mL)溶液に、0℃で、二炭酸ジ第三級ブチル(74.6g、0.342mol)を加えた。その溶液を室温まで温め、そして一晩撹拌した。減圧下にてメタノールを除去し、得られた油状物をジクロロメタン(1000mL)に溶解した。この中間体を1M HPO(1000mL)で抽出し、そしてジクロロメタン(3×250mL)で洗浄した。NaOH水溶液を使用して、水層をpH12に塩基化し、そしてジクロロメタン(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして減圧下にて濃縮して、粘性の淡褐色油状物として、表題中間体を得た。
【0176】
【数1】

(b.3−オキソ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸第三級ブチルエステルの調製)
8−ベンジル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オン(75g、0.348mol)のEtOAc(300mL)溶液に、二炭酸ジ第三級ブチル(83.6g、0.383mol、1.1当量)のEtOAc(300mL)溶液を加えた。得られた溶液およびリンス(100mL EtOAc)を、窒素流下にて、1L Parr水素化容器(これは、23gの水酸化パラジウム(20重量%Pd、乾燥基準、炭素上、水で約50%湿潤;例えば、パールマン触媒)を含む)に加えた。この反応容器を脱気し(交互に真空およびNで5回)、そして60psiのHガスまで加圧した。その反応溶液を2日間攪拌し、必要に応じて、シリカ薄層クロマトグラフィーでモニターしたときに反応が完結するまで、Hを再充填して、H圧を60psiに保った。次いで、この黒色溶液をセライト(登録商標)のパッドで濾過し、そして減圧下にて濃縮して、粘性の黄色から橙色の油状物として、定量的に、表題中間体を得た。それを、さらに処理することなく、次の工程で使用した。
【0177】
【数2】

(c.(1S,3R,5R)−3−アミノ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸第三級ブチルエステルの調製)
先の工程の生成物(75.4g、0.335mol)のメタノール(1L)溶液に、機械攪拌機によって撹拌しながら、N流下にて、ギ酸アンモニウム(422.5g、6.7mol)、水(115mL)および活性炭上パラジウム65g(乾燥基準で10%、水で約50%湿潤;Degussa型E101NE/W)を加えた。24時間および48時間後、それぞれ、追加分のギ酸アンモニウム(132g、2.1mol)を加えた。分析HPLCでモニターしたとき、一旦、反応の進行が止まると、セライト(登録商標)(>500g)を加え、得られた濃厚な懸濁液を濾過し、次いで、集めた固形物をメタノール(約500mL)でリンスした。濾液を合わせ、そして全てのメタノールが除去されるまで、減圧下にて濃縮した。次いで、得られた濁った二相溶液を、1Mリン酸で、pH2で、約1.5〜2.0Lの最終容量まで希釈し、そしてジクロロメタン(3×700mL)で洗浄した。40%NaOH水溶液を使用して、水層をpH12まで塩基化し、そしてジクロロメタン(3×700mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、そして回転蒸発(rotary evaporation)で濃縮し、次いで、高真空にかけると、白色から淡黄色の固形物として、52g(70%)の表題中間体(通例、N−Boc−エンド−3−アミノトロパン)が残った。この生成物のエンドアミンとエキソアミンの異性体比は、H−NMR分析に基づいて、>99:1であった(分析HPLCにより、>96%の純度)。
【0178】
【数3】

(d.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸の調製)
最初に、2−アミノフェニルメタノール(255.2g、2.07mol)および酢酸(3.56mL、62mmol)の水(2L)中撹拌懸濁液に、室温で、アセトン(228.2mL、3.11mol)を加えた。4時間後、その懸濁液を0℃まで冷却し、さらに2.5時間撹拌し、次いで、濾過した。固形物を集め、水で洗浄し、湿潤した固形物を冷却し、そして凍結乾燥して、灰白色固形物として、2,2−ジメチル−1,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,3]オキサジン(332.2g、98%)を得た。
【0179】
【数4】

2,2−ジメチル−1,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,3]オキサジン(125g、0.77mol)のTHF(1L)溶液をシンチレーション漏斗で濾過し、次いで、添加漏斗を経由して、2.5時間にわたって、0℃で、LiAlHの1.0M THF(800mL)撹拌溶液に滴下した。0℃で、1.5時間にわたって、NaSO・10HO(110g)を少しずつゆっくりと加えることにより、この反応をクエンチした。その反応混合物を一晩撹拌し、濾過し、そして固形塩をTHFで十分に洗浄した。その濾液を減圧下にて濃縮して、黄色油状物として、2−イソプロピルアミノフェニルメタノール(120g、95%)を得た。
【0180】
【数5】

2−イソプロピルアミノフェニルメタノール(118g、0.71mol)のトルエン(800mL)撹拌溶液に二酸化マンガン(85% 182.6g、1.79mol)を加え、その反応混合物を、4時間にわたって、117℃まで加熱した。この反応混合物を一晩室温まで冷却し、次いで、セライトのパッドで濾過し、これを、トルエンで溶出した。その濾液を減圧下にて濃縮して、橙色油状物として、2−イソプロピルアミノベンズアルデヒド(105g、90%)を得た。
【0181】
【数6】

2−イソプロピルアミノベンズアルデヒド(105g、0.64mol)、酢酸(73.6mL、1.29mol)およびエチレンジアミン(43.0mL、0.64mol)のメタノール(1L)撹拌溶液に、0℃で、2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4,6−ジオン(通例、メルドラム酸(Meldrum’s acid))(166.9g、1.16mol)を加えた。その反応混合物を、0℃で、1時間、次いで、室温で、一晩撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、固形物をメタノールで洗浄し、そして集めて、灰白色固形物として、表題中間体である1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(146g、98%)を得た。
【0182】
【数7】

(e.(1S,3R,5R)−3−[1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボニル)アミノ]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸第三級ブチルエステルの調製)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(80g、0.35mol)のトルエン(600mL)中撹拌懸濁液に、85℃で、塩化チオニル(36.6mL、0.52mol)を加え、次いで、その反応混合物を、2時間にわたって、95℃まで加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、次いで、25分間にわたって、℃で、激しく撹拌した、(1S,3R,5R)−3−アミノ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸第三級ブチルエステル(78.2g、0.35mol)および水酸化ナトリウム(69.2g、1.73mol)のトルエン/水(1:1)(1L)二相溶液に加えた。1時間後、層分離し、そして有機相を減圧下にて濃縮した。水相をEtOAc(1L)に次いで(500mL)で洗浄し、そして合わせた有機抽出物を使用して、濃縮有機残渣を溶解した。この溶液を、1M HPO(500mL)、NaHCO飽和水溶液(500mL)およびブライン(500mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて濃縮して、黄色固形物として、表題中間体(127.9g、およそ84%)を得た。
【0183】
【数8】

(f.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの調製)
先の工程の生成物(127.9g)のCHCl(600mL)撹拌溶液に、0℃で、TFA(300mL)を加えた。その反応混合物を室温まで温め、そして1時間撹拌し、次いで、減圧下にて濃縮した。次いで、その油状褐色残渣に、エーテル(3L)の激しく撹拌した溶液に注ぐと、直ちに、固形沈殿物が形成された。その懸濁液を一晩撹拌し、次いで、固形物を濾過により集め、そしてエーテルで洗浄して、淡黄色固形物として、そのトリフルオロ酢酸塩(131.7g、2段階にわたって、86%)として、表題中間体を得た。
【0184】
【数9】

(g.3−ヒドロキシ−3’−{[1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)カルボニル]アミノ}スピロ[アゼチジン−1,8’−(1S,3R,5R)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(R=H、R=イソプロピルを有する中間体(V))の調製)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドトリフルオロ酢酸塩(14.65g、43.2mmol)のエタノール(150mL)撹拌溶液に、室温で、2−ブロモメチルオキシラン(10.72mL、129.5mmol)を加えた。その反応混合物を36時間撹拌し、その時点で、固形沈殿物が形成された。この固形物を濾過により集め、そしてエタノール(70mL)で洗浄して、臭化物塩(8.4g)として、表題中間体を得た。(m/z):[M]2330に対する計算値396.23;実測値、396.5。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=4.13分。
【0185】
(h.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの調製)
臭化3−ヒドロキシ−3’−{[1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)カルボニル]アミノ}スピロ[アゼチジン−1,8’−(1S,3R,5R)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(678mg、1.4mmol)をエタノール(10mL)に溶解し、次いで、メチルアミン(41%水溶液)(510μL、8.0mmol)を加えた。その混合物を、80℃で、16時間加熱し、次いで、減圧下にて濃縮して、粗油状物として、表題中間体を得、これを、次の工程で、直接使用した。
【0186】
(i.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
先の工程の生成物をジクロロメタン(10mL)に溶解し、次いで、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(763μL、5.1mmol)を加え、その混合物を窒素下にて撹拌し、そして0℃まで冷却した。塩化メタンスルホニル(132μL、1.7mmol)を加え、この混合物を、0℃で、30分間撹拌した。水を加えることにより、この反応をクエンチし、そして減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(10mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(340mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]2536Sに対する計算値、505.25;実測値、505.4。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=4.17分。
【0187】
(実施例2:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−メトキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
(a.3−メトキシ−3’−{[1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)カルボニル]アミノ}スピロ[アゼチジン−1,8’−(1S,3R,5R)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(R=H、R=イソプロピル、R=メチルを有する中間体(V’))の調製)
臭化3−ヒドロキシ−3’−{[1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)カルボニル]アミノ}スピロ[アゼチジン−1,8’−(1S,3R,5R)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(3.45g、7.25mmol)のジクロロメタン(100mL)撹拌懸濁液に、室温で、カリウム第三級ブトキシド(1.63g、14.5mmol)を加えた。2分後、その反応混合物にヨウ化メチル(0.477mL、7.61mmol)を加えた。30分後、水(2mL)を加えて、この反応をクエンチし、その反応混合物を減圧下にて濃縮した。その残渣を最小容量の酢酸/水(1:1)に溶解し、そして分取HPLCで精製して、トリフルオロ酢酸塩(2.1g)として、表題中間体を得た。(m/z):[M]2432に対する計算値、410.24;実測値 410.5。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=4.36分。
【0188】
(b.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−メトキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの調製)
3−メトキシ−3’−{[1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)カルボニル]アミノ}スピロ[アゼチジン−1,8’−(1S,3R,5R)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタントリフルオロ酢酸塩(410mg、0.84mmol)をエタノール(10mL)に溶解し、次いで、メチルアミン(41%水溶液、320μL、5mmol)を加えた。その混合物を、80℃で、16時間加熱し、次いで、減圧下にて濃縮して、粗油状物として、生成物を得、これを、次の工程で、直接使用した。
【0189】
(c.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−メトキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
先の工程の生成物(53.6mg、0.12mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解し、次いで、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(89.7μL、0.6mmol)を加え、その混合物を窒素下にて撹拌し、そして0℃まで冷却した。塩化メタンスルホニル(18.6μL、0.24mmol)を加え、この混合物を、0℃で、30分間撹拌した。水を加えることにより、この混合物をクエンチし、そして減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(45.8mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]2638Sに対する計算値、519.27;実測値、519.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.72分。
【0190】
(実施例3:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(メタンスルホニル−ピリジン−3−イルメチル−アミノ)−2−メトキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
(a.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−{2−メトキシ−3−[(ピリジン−3−イルメチル)アミノ]プロピル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの調製)
3−メトキシ−3’−{[1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)カルボニル]アミノ}スピロ[アゼチジン−1,8’−(1S,3R,5R)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(410mg、0.84mmol)をエタノール(10mL)に溶解し、次いで、3−アミノメチルピリジン(153μL、1.5mmol)を加えた。その混合物を、60℃で、16時間加熱し、次いで、減圧下にて濃縮して、粗油状物として、表題中間体を得、これを、次の工程で、直接使用した。
【0191】
(b.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(メタンスルホニル−ピリジン−3−イルメチル−アミノ)−2−メトキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
先の工程の生成物(102.6mg、0.2mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解し、次いで、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(119.6μL、0.8mmol)を加え、その混合物を窒素下にて撹拌し、そして0℃まで冷却した。塩化メタンスルホニル(30.1μL、0.4mmol)を加え、この混合物を、0℃で、30分間撹拌した。水を加えることにより、この反応をクエンチし、その混合物を、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(63.5mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]3141Sに対する計算値、596.29;実測値、596.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.35分。
【0192】
(実施例4:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
(a.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの調製)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(3.39g、10mmol)をエタノール(40mL)に溶解し、次いで、2−オキシラニルメチルイソインドール−1,3−ジオン(通例、エポキシプロピルフタルイミド)(3.05g、15mmol)を加えた。その混合物を、80℃で、36時間加熱し、冷却し、次いで、減圧下にて濃縮した。得られた油状物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、ジクロロメタン/メタノールの9:1溶液で溶出する)にかけて、白色固形物として、表題中間体(4.95g)を得、これを、次の工程で、直接使用した。
【0193】
(b.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−アミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの調製)
先の工程の生成物(4.95g、9.13mmol)をエタノール(40mL)に溶解し、次いで、ヒドラジン(860μL、27.4mmol)を加えた。その混合物を16時間還流し、次いで、室温まで冷却した。この混合物を濾過し、その濾液を濃縮して、粗油状物として、表題中間体を得、これを、さらに精製することなく、直接使用した。
【0194】
(c.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
先の工程の生成物(82mg、0.2mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解し、次いで、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(60μL、0.4mmol)を加え、その混合物を窒素下にて撹拌し、そして−78℃まで冷却した。塩化メタンスルホニル(15.5μL、0.2mmol)を加え、この混合物を撹拌し、そして30分間にわたって、室温まで温めた。水を加えることにより、この反応をクエンチし、その混合物を、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(70.7mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]2434Sに対する計算値、491.23;実測値、491.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.43分。
【0195】
(実施例5:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(メタンスルホニル−ピリジン−3−イルメチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
(a.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−{2−ヒドロキシ−3−[(ピリジン−3−イルメチル)アミノ]プロピル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの調製)
臭化3−ヒドロキシ−3’−{[1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−イル)カルボニル]アミノ}スピロ[アゼチジン−1,8’−(1S,3R,5R)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(505mg、1.27mmol)をエタノール(10mL)に溶解し、次いで、3−(アミノメチル)−ピリジン(193μL、1.9mmol)を加えた。その混合物を、80℃で、16時間加熱し、次いで、減圧下にて濃縮して、粗油状物として、表題中間体を得、これを、次の工程で、直接使用した。
【0196】
(b.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(メタンスルホニル−ピリジン−3−イルメチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
先の工程の生成物(42.5mg、0.08mmol)をジクロロメタン(1.0mL)に溶解し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(74.8μL、0.5mmol)を加え、その混合物を窒素下にて撹拌し、そして0℃まで冷却した。塩化メタンスルホニル(6.1μL、0.08mmol)を加え、この混合物を、0℃で、30分間撹拌した。水を加えることにより、この反応をクエンチし、そして減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(22.8mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]3039Sに対する計算値、582.28;実測値、582.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.78分。
【0197】
(実施例6:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
(a.(S)−1−(ベンジル−メチル−アミノ)−3−クロロプロパン−2−オールの調製)
N−ベンジルメチルアミン(13.95mL、108.1mmol)および(S)−2−クロロメチルオキシラン(通例、(S)−エピクロロヒドリン)(8.48mL、108.1mmol)をヘキサン(40mL)に溶解し、そして16時間撹拌した。次いで、その溶液をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、10%メタノール/90%ジクロロメタンで溶出する)にかけた。生成物を含む画分を濃縮して、油状物(19.7g)として、表題中間体を得た。
【0198】
【数10】

(b.((S)−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)メチルカルバミン酸第三級ブチルエステルの調製)
(S)−1−(ベンジル−メチル−アミノ)−3−クロロプロパン−2−オール(8.4g、39.3mmol)を酢酸エチル(75mL)に溶解し、次いで、二炭酸ジ第三級ブチル(9.3g、43.23mmol)および水酸化パラジウム(2.5g)を加えた。その混合物を、水素(60atm)下にて、12時間振盪した。この混合物をセライト(登録商標)床で濾過し、そして減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。得られた油状物をシリカで濾過し、ヘキサンで溶出し、続いて、ジクロロメタンで溶出し、続いて、ジエチルエーテルで溶出した。エーテル層を濃縮して、油状物(7.1g)として、表題中間体を得た。
【0199】
【数11】

(c.((R)−2−ヒドロキシ−3−{3−[(1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボニル)アミノ]−(1S,3R,5R)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル}プロピル)メチルカルバミン酸第三級ブチルエステルの調製)
((S)−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)メチルカルバミン酸第三級ブチルエステル(335mg、1.5mmol)および1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(339mg、1.0mmol)をメタノール(5mL)に溶解し、次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(523μL、3.0mmol)を加えた。その混合物を、80℃で、16時間加熱し、次いで、減圧下にて濃縮した。得られた油状物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、10%メタノール/90%ジクロロメタンで溶出する)にかけた。生成物を含む画分を濃縮して、白色固形物(0.5g)として、表題中間体を得た。(m/z):[M+H]2942に対する計算値、527.33;実測値 527.6。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=4.75分。
【0200】
(d.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(S)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの調製)
((R)−2−ヒドロキシ−3−{3−[(1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボニル)アミノ]−(1S,3R,5R)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル}プロピル)メチルカルバミン酸第三級ブチルエステル(575mg、1.09mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、次いで、トリフルオロ酢酸(5mL)をゆっくりと加えた。その混合物を30分間撹拌し、次いで、減圧下にて濃縮した。得られた油状物をジエチルエーテルで粉砕し、次いで、濾過した。沈殿物を真空乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(0.68g)として、表題中間体を得た。(m/z):[M+H]2434に対する計算値、427.27;実測値 427.2。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=3.40分。
【0201】
(e.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(S)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(1.03g、1.57mmol)をジクロロメタン(6.0mL)に溶解し、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(747μL、5.0mmol)を加え、その混合物を窒素下にて撹拌し、そして0℃まで冷却した。塩化メタンスルホニル(124.4μL、1.6mmol)を加え、この混合物を、0℃で、30分間撹拌した。水を加えることにより、この反応をクエンチし、その混合物を、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(0.38g)として、表題化合物を得た。
【0202】
【数12】

(実施例7:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(S)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
実施例6に従って、工程aにおいて、(S)−2−クロロメチルオキシランを(R)−2−クロロメチルオキシランで置き換えて、以下の中間体および表題化合物を調製した。
【0203】
(R)−1−(ベンジル−メチル−アミノ)−3−クロロプロパン−2−オール:
【0204】
【数13】

((R)−3−クロロ−2−ヒドロキシ−プロピル)メチルカルバミン酸第三級ブチルエステル:
【0205】
【数14】

((S)−2−ヒドロキシ−3−{3−[(1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボニル)アミノ]−(1S,3R,5R)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル}プロピル)メチルカルバミン酸第三級ブチルエステル:(m/z):[M+H]2942に対する計算値、527.33;実測値 527.6。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=4.75分。
【0206】
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド:(m/z):[M+H]2434に対する計算値、427.27;実測値 427.2。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=3.40分。
【0207】
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(S)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド:(m/z):[M+H]2536Sに対する計算値、505.25;実測値 505.4。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=4.17分。
【0208】
(実施例8:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−[メチル−(ピリジン−4−カルボニル)アミノ]プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(71mg、0.17mmol)をDMF(0.5mL)に溶解し、次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(88.9μL、0.51mmol)を加えた。次に、イソニコチン酸(41.8mg、0.34mmol)およびPyBOP(177mg、0.34mmol)のDMF溶液を加えた。得られた混合物を、室温で、30分間振盪し、次いで、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(30.8mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]3037に対する計算値、532.29;実測値 532.7。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.11分。
【0209】
(実施例9:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−[(ピリジン−4−カルボニル)アミノ]プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−アミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(82.4mg、0.2mmol)をDMF(0.5mL)に溶解し、次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(69.7μL、0.4mmol)を加えた。次に、イソニコチン酸(49.2mg、0.4mmol)およびPyBOP(208.2mg、0.4mmol)のDMF溶液を加えた。得られた混合物を、室温で、30分間振盪し、次いで、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(82.1mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]2935に対する計算値、518.28;実測値 518.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.20分。
【0210】
(実施例10:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(アセチル−メチル−アミノ)−2−メトキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−メトキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(53.6mg、0.12mmol)をDMF(1.0mL)に溶解し、次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(104μL、0.6mmol)を加えた。その混合物を窒素下にて撹拌し、そして0℃まで冷却した。塩化アセチル(17.1μL、0.24mmol)を加え、その混合物を、0℃で、30分間撹拌し、次いで、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(40.4mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]2738に対する計算値、483.30;実測値 483.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.54分。
【0211】
(実施例11.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−メトキシ−3−[メチル−(ピリジン−4−カルボニル)アミノ]プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−メトキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(53.6mg、0.12mmol)をDMF(1.0mL)に溶解し、次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(104.5μL、0.6mmol)を加えた。その混合物を窒素下にて撹拌し、そして0℃まで冷却した。塩化イソニコチニル(42.7mg、0.24mmol)を加え、その混合物を、0℃で、30分間撹拌し、次いで、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(54.4mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]3139に対する計算値、546.31;実測値 546.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.29分。
【0212】
(実施例12.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(アセチル−ピリジン−3−イルメチル−アミノ)−2−メトキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(8−{2−メトキシ−3−[(ピリジン−3−イルメチル)アミノ]プロピル}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)アミド(102.6mg、0.2mmol)をDMF(1.0mL)に溶解し、次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(139.4μL、0.8mmol)を加えた。その混合物を窒素下にて撹拌し、そして0℃まで冷却した。塩化アセチル(28.5μL、0.4mmol)を加え、その混合物を、0℃で、30分間撹拌し、次いで、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(33.2mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]3241に対する計算値、560.33;実測値 560.4。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.27分。
【0213】
(実施例13.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−アセチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−アミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(82.4mg、0.2mmol)をDMF(0.5mL)に溶解し、次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(69.7μL、0.4mmol)を加えた。次に、酢酸(22.7μL、0.4mmol)およびPyBOP(208.2mg、0.4mmol)のDMF溶液を加えた。得られた混合物を、室温で、30分間振盪し、次いで、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(79.2mg)として、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]2534に対する計算値、455.27;実測値 455.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.33分。
【0214】
(実施例14.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(アセチル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(43mg、0.1mmol)をDMF(1.0mL)に溶解し、次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(87.1μL、0.5mmol)を加えた。その混合物を窒素下にて撹拌し、そして0℃まで冷却した。塩化アセチル(17.8μL、0.25mmol)を加え、その混合物を、0℃で、30分間撹拌した。この混合物を、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(17.1mg)として、表題中間体を得た。(m/z):[M+H]2636に対する計算値、469.28;実測値 469.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.49分。
【0215】
(実施例15.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(ホルミル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(43mg、0.1mmol)をギ酸エチル(1.0mL)に溶解した。その混合物を、65℃で、16時間加熱し、次いで、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(22.7mg)として、表題中間体を得た。(m/z):[M+H]2534に対する計算値、455.27;実測値 455.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.37分。
【0216】
(実施例16.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−ホルミルアミノ−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−アミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(41.2mg、0.1mmol)をギ酸エチル(1.0mL)に溶解した。その混合物を、65℃で、16時間加熱し、次いで、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(37.5mg)として、表題中間体を得た。(m/z):[M+H]2432に対する計算値、441.25;実測値 441.2。保持時間(分析HPLC:4分間にわたって、5〜40%MeCN/HO)=2.89分。
【0217】
(実施例17.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−3−(アセチル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(S)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(200mg、0.3mmol)をDMF(1.0mL)に溶解し、次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(160.3μL、0.92mmol)を加えた。次に、酢酸(17.3μL、0.3mmol)およびPyBOP(159mg、0.3mmol)のDMF溶液を加えた。得られた混合物を、室温で、30分間振盪し、次いで、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(130mg)として、表題中間体を得た。(m/z):[M+H]2636に対する計算値、469.28;実測値 469.5。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=3.94分。
【0218】
(実施例18.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−3−(ホルミル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(S)−2−ヒドロキシ−3−メチルアミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(235mg、0.36mmol)をギ酸エチル(5.0mL)に溶解した。その混合物を、65℃で、16時間加熱し、次いで、減圧下にて、乾燥状態まで濃縮した。生成物を酢酸/水(1:1)(1.5mL)に溶解し、そしてHPLCクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩(97.5mg)として、表題中間体を得た。(m/z):[M+H]2534に対する計算値、455.27;実測値 455.2。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=3.87分。
【0219】
(実施例19:5−ブロモ−1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
アセトニトリル(5mL)および酢酸(10mL)の混合物に溶解した1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(500mg、0.99mmol)の溶液に、臭素(0.30mL、5.9mmol)を加えた。その混合物を、周囲温度で、12時間撹拌し、そして減圧下にて濃縮して、淡黄色油状残渣を得た。この残渣を、水(0.5%TFA)(5mL)中の20%アセトニトリルに溶解し、そしてHPLCで精製した。主要生成物として表題化合物を得、そしてトリフルオロ酢酸塩(200mg)として、単離した。
【0220】
【数15】

(実施例20:((R)−2−ヒドロキシ−3−{3−[(1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボニル)アミノ]−(1S,3R,5R)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル}プロピル)メチルカルバミン酸第三級ブチルエステルの代替合成)
(a.メチル−(S)−1−オキシラニルメチルカルバミン酸第三級ブチルエステルの調製)
((S)−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)−メチルカルバミン酸第三級ブチルエステル(2.23g、10mmol)をTHF(30mL)に溶解し、次いで、水酸化ナトリウム水溶液(水10mL中で0.48g)を加えた。その混合物を2時間撹拌した。この混合物を減圧下にて濃縮して、殆どのTHFを除去し、残りの水溶液を酢酸エチルで抽出し、水で洗浄した。生成物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて濃縮して、油状物(1.6g)として、表題中間体を得た。
【0221】
【数16】

(b.((R)−2−ヒドロキシ−3−{3−[(1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボニル)アミノ]−(1S,3R,5R)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル}プロピル)メチルカルバミン酸第三級ブチルエステルの合成)
メチル−(S)−1−オキシラニルメチルカルバミン酸第三級ブチルエステル(9.53g、51.1mmol)および1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(8.7g、25.6mmol)をメタノール(100mL)に溶解した。その混合物を、80℃で、2時間加熱し、次いで、減圧下にて濃縮した。得られた油状物を酢酸エチルに溶解し、そして炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、続いて、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下にて濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、10%メタノール/90%ジクロロメタンで溶出する)にかけた。生成物を含む画分を濃縮して、白色固形物(13.5g)として、表題中間体を得た。(m/z):[M+H]2942に対する計算値、527.33;実測値 527.6。保持時間(分析HPLC:5分間にわたって、2〜50%MeCN/HO)=4.75分。
【0222】
(実施例21:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−エチルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
実施例1の手順に従って、工程hにおいて、メチルアミンをエチルアミンで置き換えて、表題化合物を調製した。(m/z):[M+H]2638Sに対する計算値、519.28;実測値 519.2。保持時間(分析HPLC:6分間にわたって、10〜70%MeCN/HO)=2.91分。
【0223】
(実施例22:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニルアミノ)−プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
(a1.(S)−2−オキシラニルメチルイソインドール−1,3−ジオンの調製)
(S)−1−オキシラニルメタノール(5g、67.5mmol)およびフタルイミド(9.9g、67.3mmol)のテトラヒドロフラン(200mL)冷溶液に、氷浴中で、トリフェニルホスフィン(17.9g、68.2mmol)およびアゾジカルボン酸ジエチル(12.3g、70.6mmol)を加えた。その混合物を、0Cで、2時間、そして周囲温度で、48時間撹拌した。この混合物を真空下にて濃縮し、その油状残渣をフラッシュシリカカラムクロマトグラフィーで精製して、淡黄色固形物として、所望生成物(10.1g)を得た:1:1 EtOAc/ヘキサン中のR=0.51。
【0224】
【数17】

(b1.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
実施例4の手順に従って、ラセミ体2−オキシラニルメチル−イソインドール−1,3−ジオンを先の工程のキラル中間体で置き換えて、表題化合物のトリフルオロ酢酸塩を調製した。(m/z):[M+H]2434Sに対する計算値、491.24;実測値 491.4。保持時間(分析HPLC:6分間にわたって、10〜50%MeCN/HO)=3.69分。
【0225】
【数18】

この表題化合物はまた、以下の手順により、調製した。
【0226】
(a2.N−((S)−オキシラニルメチル)メタンスルホンアミドの調製)
メタンスルホンアミド(10g、0.105mol)の冷水(100mL)溶液に、氷浴中で、ペレットとして、水酸化ナトリウム(8.4g、0.21mol)を加え、次いで、(S)−2−クロロメチルオキシラン(12.4g、0.158mol)を加えた。その混合物を、同じ温度で、2時間、そして室温で、12時間撹拌し、次いで、濃塩酸(18mL)を加えた。水層をジクロロメタン(2×300mL)で抽出することにより、生成物を単離した。有機層をMgSOで乾燥し、次いで、乾燥状態まで蒸発させて、無色液状物(2.5g)を得、これを、次の工程で、直接使用した。
【0227】
(b2.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(TFA塩;4g、8.8mmol)のメタノール(150mL)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.7mL、9.5mmol)、および先の工程の生成物(2.5g、18.2mmol)を加えた。その混合物を、80℃で、2日間撹拌した。真空下にて濃縮した後、その残渣を分取HPLCで精製して、表題化合物のトリフルオロ酢酸塩(1.3g)を得た。(m/z):[M+H]2434Sに対する計算値、491.24;実測値 491.4。保持時間(分析HPLC:6分間にわたって、10〜50%MeCN/HO)=3.69分。
【0228】
(実施例23:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(1,1−ジオキソ−2−イソチアゾリジニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
(a.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(3−クロロプロパンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの調製)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−アミノプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドTFA塩(0.125g、0.195mmol)のジクロロメタン(2mL)冷溶液に、氷浴中で、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.119mL、0.683mmol)および3−クロロプロパン塩化スルホニル(0.025mL、0.205mmol)を加えた。0℃で2時間撹拌した後、その混合物を、室温で、一晩撹拌した。それをジクロロメタン(50mL)で希釈し、そしてブラインおよび飽和NaHCO溶液で洗浄した。MgSOで乾燥した後、その有機溶液を乾燥状態まで蒸発させて、油状残渣を得た。粗生成物を、次の工程で、直接使用した。
【0229】
(b.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(1,1−ジオキソ−2−イソチアゾリジニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(3−クロロプロパンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(100mg、0.18mmol)の無水DMF(3mL)溶液に、炭酸カリウム(75mg、0.56mmol)を加えた。その反応混合物を、85℃で、12時間振盪し、そして真空下にて濃縮した。その残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解し、そして飽和NaHCOで洗浄した。MgSOで乾燥した後、その濾液を乾燥状態まで蒸発させ、その残渣を分取HPLCで精製して、表題化合物を得た。(m/z):[M+H]2636Sに対する計算値、517.26;実測値 517.3。
【0230】
(実施例24:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
(a.(1S,3R,5R)−3−[1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボニル)アミノ]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸第三級ブチルエステルの調製)
3Lフラスコにて、1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(112.4g、0.486mol、1.1当量)をトルエン(1L)に懸濁した。その混合物を85℃まで加熱し、そして70分間にわたって、塩化チオニル(86.74g、0.729mol)を滴下した。この混合物を、撹拌しつつ、95℃で、1.5時間加熱し、次いで、室温まで冷却した。
【0231】
別の12Lフラスコにて、(1S,3R,5R)−3−アミノ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸第三級ブチルエステル(100.0g、0.442mol、1当量)をトルエン(1L)に懸濁し、そして3M NaOH(4当量)を加えた。その混合物を、室温で、10分間撹拌し、次いで、約5℃まで冷却した。内部温度を10℃未満で保ちつつ、40分間にわたって、撹拌しつつ、上記酸塩化物溶液をゆっくりと加えた。この混合物を、3〜5℃で、30分間撹拌し、そして一晩層分離した。トルエン層(約2.5L)を集め、回転蒸発により、約半分(約1.2L)まで濃縮し、そして次の工程で、直接使用した。
【0232】
(b.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの調製)
先の工程で調製したトルエン溶液(約1.2L)に、撹拌しつつ、20℃で、20分間にわたって、トリフルオロ酢酸(200mL)を加えた。その混合物を、20℃で、2時間撹拌した。水(1.55L)を加え、この混合物を、20℃で、30分間撹拌した。30分後、この混合物を3層に分離した。底層(約350mL)である粘性の褐色油状物は、粗中間体を含んでいた。
【0233】
12Lフラスコ(これには、MTBE(2.8L)を充填した)に、撹拌しつつ、1〜2℃で、1時間にわたって、この粗褐色油状物を加えた。その懸濁液を、同じ温度で、1時間撹拌し、次いで、濾過した。その濾液をMTBE(2×300mL)で洗浄し、そして室温で、4日間にわたって、真空乾燥して、淡黄色粉末として、表題中間体のトリフルオロ酢酸塩(163.3g)を得た。
【0234】
(c.N−メチル−N−[(S)−2−オキシラン−2−イルメチル]メタンスルホンアミドの調製)
12Lフラスコに、水(1L)を充填し、続いて、NaOH(水中で50%、146.81g、1.835mol)を加えた。NaOHを含むビーカーを水(2×500mL)で洗浄し、そして洗浄液をこのフラスコに加えた。その混合物を、室温で、10分間撹拌し、そして約8℃まで冷却した。5分間にわたって、水(500mL)中の(N−メチル)メタンスルホンアミド(200.2g、1.835mol)を加えた。この混合物を、約4℃で、1時間撹拌し、そして(S)−2−クロロメチルオキシラン(339.6g、3.67mol)を加えた。この混合物を、3〜4℃で、20時間撹拌した。ジクロロメタン(2L)を加え、この混合物を、5〜10℃で、30分間撹拌した。10分間にわたって、2層を分離し、そして集めた。有機層(約2.5L)を12Lフラスコに戻し、そして1M HPO(800mL)およびブライン(800mL)で洗浄した。回転蒸発により、ジクロロメタンを除去した。粗生成物に、トルエン(400mL)を加え、そして回転蒸発により、除去した。このトルエンプロセスをさらに3回繰り返した後、表題中間体(228.2g)を得、これを、さらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0235】
(d.1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの合成)
3Lフラスコにて、1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドトリフルオロ酢酸塩(105.0g、0.232mol)を無水エタノール(400mL)に懸濁した。この懸濁液に、室温で、NaOH(水中で50%、0.243mol.1.05当量)(これは、無水エタノール(100mL)に溶解した)を加えた。このNaOHを含むビーカーをエタノール(2×50mL)で洗浄し、そして洗浄液を反応混合物に加えた。30分間撹拌した後、N−メチル−N−[(S)−2−オキシラン−2−イルメチル]メタンスルホンアミド(62.0g、1.5当量)の無水エタノール(100mL)溶液を加えた。その混合物を2時間還流し、室温まで冷却し、そして表題化合物のシード結晶を加えた。約5分間撹拌した後、白色固形物が形成された。この混合物を3〜5℃まで冷却し、そして2時間撹拌した。この白色固形物を濾過し、そして湿潤ケーキを冷無水エタノール(3×50mL)で洗浄した。固形物を、30℃で、60時間にわたって、真空乾燥して、表題化合物(93.8g、カールフィッシャー法による含水量2.03%)を得た。
【0236】
【数19】

本実施例の方法により、表題化合物の先の調製から、より小さい規模で、シード結晶を得た。結晶化は、自然に起こった。
【0237】
(実施例25:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド塩酸塩の合成)
1Lフラスコにて、1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(34.7g、0.069mol)を無水エタノール(210mL)に懸濁させた。室温で、撹拌しつつ、濃HCl(1.1当量)を加えた。その混合物を、還流状態で、30分間撹拌し、室温まで冷却し、そして2時間撹拌した。固形物を濾過し、そして湿潤ケーキを冷無水エタノール(3×50mL)で洗浄した。固形物を、30℃で、48時間にわたって、真空乾燥して、表題化合物(34.5g、収率93.7%、カールフィッシャー法による含水量0.13%)を得た。
【0238】
(実施例26:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドのクエン酸塩の合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(0.1g、0.2mmol)をエタノール(1mL)に懸濁させた。この懸濁液に、クエン酸の1Mエタノール(0.072mL、0.072mmol、0.33当量)溶液を加えた。その混合物を、透明になるまで、短時間超音波処理し、蓋を付け、そして一晩置いた。次いで、蓋を取り除き、この混合物を、固形物が観察されるまで、周囲条件下にて、蒸発させた。次いで、この混合物に再度蓋を付け、そして72時間置いた。得られた固形物を濾過し、そして冷エタノールで洗浄して、固形物(74.3mg)として、表題化合物を得た。
【0239】
(実施例27:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの酸塩の合成)
実施例26の手順に従って、以下の表IIIで列挙した1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの酸塩を、示される当量の酸を使用して、固形形態で調製した。
【0240】
【表13】

(実施例28:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドのメタンスルホン酸塩の合成)
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド(0.1g、0.2mmol)の50%アセトニトリル/水(1mL)溶液に、メタンスルホン酸の1Mエタノール(0.2mL、0.2mmol、1当量)溶液を加えた。次いで、その混合物を凍結させ、そして一晩にわたって、乾燥状態まで凍結乾燥した。得られた固形物を、穏やかに温めつつ、イソプロパノール(1mL)に溶解し、そして冷却した。得られた固形物を濾過により集め、そして冷イソプロパノールで洗浄して、固形物(90mg)として、表題化合物を得た。
【0241】
(実施例29:1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの酸塩の合成)
実施例28の手順に従って、以下の表IVで列挙した1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミドの酸塩を、示される当量の酸を使用して、固形形態で調製した。
【0242】
【表14】


【0243】
(アッセイ1:5−HT4(c)ヒトレセプターにおける放射リガンド結合アッセイ)
(a.膜調製5−HT4(c)
ヒト5−HT4(c)レセプターcDNAで安定にトランスフェクトしたHEK−293(ヒト胚腎臓)細胞(Bmax=約6.0pmol/mgタンパク質、[H]−GR113808膜放射リガンド結合アッセイを用いて決定)を、T−225フラスコ中の、10%ウシ胎仔血清(FBS)(GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号10437)、2mM L−グルタミンおよび(100単位)ペニシリン−(100μg)ストレプトマイシン/ml(GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号15140)を補充したDulbecco改変イーグル培地(DMEM)(4,500mg/L D−グルコースおよび塩化ピリドキシン含有)(GIBCO−Invitrogen Corp.,Carlsbad CA:カタログ番号11965)中で、5% COインキュベーター加湿インキュベーター内で37℃で増殖させた。細胞を、800μg/mLジェネテシン(GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号10131)の培地への添加による連続的な淘汰圧の下で、増殖させた。
【0244】
細胞を、およそ60〜80%コンフルーエンシーまで増殖させた(35代未満の継代培養)。回収の20〜22時間前、細胞を2回洗浄し、そして無血清DMEMを供給した。膜調製の全ての工程を、氷上で行った。細胞単層を、ゆっくりした機械的撹拌および25mLピペットでの破砕により、持ち上げた。細胞を、1000rpmでの遠心分離(5分間)により、回収した。
【0245】
膜調製のために、細胞ペレットを、氷冷50mM 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、pH7.4(膜調製緩衝液)(40mL/30〜40個のT225フラスコから得られた細胞総数)中に再懸濁し、そしてポリトロン破砕機(設定19、2回×10秒)を用いて、氷上で均質化した。得られたホモジネートを、1200gで5分間、4℃で遠心分離した。ペレットを捨て、そして上清を、40,000gで遠心分離した(20分間)。ペレットを、膜調製緩衝液を用いた再懸濁により1回洗浄し、40,000gで遠心分離した(20分間)。最終ペレットを、50mM HEPES(pH7.4、アッセイ緩衝液)(1つのT225フラスコ/1mLに相当)中に再懸濁した。膜懸濁液のタンパク質濃度を、Bradford(Bradford,1976)の方法により決定した。膜を、−80℃でアリコート中で凍結保存した。
【0246】
(b.放射リガンド結合アッセイ)
放射リガンド結合アッセイを、1.1mL 96ディープウェルポリプロピレンアッセイプレート(Axygen)中で、総アッセイ容量400μL(50mM HEPES pH7.4中2μg膜タンパク質含有、0.025%ウシ血清アルブミン(BSA)含有)中で行った。放射リガンドのK値決定のための飽和結合研究を、[H]−GR113808(Amersham Inc.,Bucks,UK:カタログ番号TRK944;約82Ci/mmolの特異的活性)を用い、0.001nM〜5.0nMの範囲の8〜12の異なる濃度で実施した。化合物のpK値の決定のための置き換えアッセイを、0.15nMでの[H]−GR113808、および10pM〜100μMの範囲の11の異なる濃度の化合物で実施した。
【0247】
試験化合物を、DEMSO中の10mMストック溶液として入れ、そして0.1% BSA含有の50mM HEPES(pH7.4)中に400μMまで25℃で希釈し、次いで、同じ緩衝液中で、連続希釈(1:5)を行った。非特異結合を、1μMの非標識GR113808の存在下で決定した。アッセイを、室温で60分間インキュベートし、次いで、結合反応を、事前に0.3%ポリエチレンイミン中に浸しておいた96ウェルGF/Bグラスファイバーフィルタープレート(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)を通した迅速な濾過により、停止させた。フィルタープレートを、濾過緩衝液(氷冷した50mM HEPES、pH7.4)で3回洗浄し、非結合の放射活性を除去した。プレートを乾燥させ、35μLのMicroscint−20液体シンチレーション液(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)を各ウェルに加え、そしてプレートを、Packard Topcount液体シンチレーションカウンター(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)中で計数した。
【0248】
結合データを、1部位競合につき3パラメータのモデルを使用したGraphPad Prismソフトウェアパッケージ(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)で非線形回帰分析により分析した。底(BOTTOM)(曲線最小値)を、非特異結合についての値として固定した(1μM GR113808の存在下で決定した)。試験化合物についてのK値を、Prismにおいて、最適(best−fit)IC50および放射リガンドのK値から、Cheng−Prusoff方程式(ChengおよびPrusoff,Biochemical Pharmacology,1973,22,3099−108)を用いて計算した:K=IC50/(1+[L]/K)、ここで、[L]=濃度[H]−GR113808。結果を、K値の負の10進法対数、pKとして表す。
【0249】
このアッセイにおいてより高いpK値を有する試験化合物は、5−HTレセプターに対しより高い結合親和性を有する。このアッセイにおいて試験した本発明の化合物は、約6.3から約9.0までの範囲、代表的には、約6.5から約8.5までの範囲のpK値を有した。
【0250】
(アッセイ2:5−HT3Aヒトレセプターにおける放射リガンド結合アッセイ:レセプターサブタイプ選択性の決定)
(a.膜調製5−HT3A
ヒト5−HT3AレセプターcDNAで安定にトランスフェクトしたHEK−293(ヒト胚腎臓)細胞を、Michael Bruess博士(University of Bonn,GDR)から得た(Bmax=約9.0pmol/mgタンパク質、[H]−GR65630膜放射リガンド結合アッセイを用いて決定)。細胞を、T−225フラスコまたは細胞ファクトリー(cell factories)中の、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)(Hyclone,Logan,UT:カタログ番号SH30070.03)および(50単位)ペニシリン−(50μg)ストレプトマイシン/ml(GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号15140)を補充した50%Dulbecco改変イーグル培地(DMEM)(GIBCO−Invitrogen Corp.,Carlsbad CA:カタログ番号11965)および50%Ham’s F12(GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号11765)中で、5% COにて、加湿インキュベーター内で37℃で増殖させた。
【0251】
細胞を、およそ70〜80%コンフルーエンシーまで増殖させた(35代未満の継代培養)。膜調製の全ての工程を、氷上で行った。細胞を回収するため、培地を吸引によって除去し、そして細胞を、Ca2+、Mg2+非含有Dulbeccoリン酸緩衝化生理食塩水(dPBS)でリンスした。細胞単層を、ゆっくりした機械的撹拌により、持ち上げた。細胞を、1000rpmでの遠心分離(5分間)により、回収した。膜調製のその後の工程は、5−HT4(c)レセプターを発現する膜について上で記載したプロトコールに従った。
【0252】
(b.放射リガンド結合アッセイ)
放射リガンド結合アッセイを、96ウェルポリプロピレンアッセイプレート中で、総アッセイ容量200μL(50mM HEPES pH7.4中1.5〜2μg膜タンパク質含有、0.025%BSAアッセイ緩衝液含有)中で行った。放射リガンドのK値決定のための飽和結合研究を、[H]−GR65630(PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston,MA:カタログ番号NET1011、約85Ci/mmolの特異的活性)を用い、0.005nM〜20nMの範囲の12の異なる濃度で実施した。化合物のpK値の決定のための置き換えアッセイを、0.50nMでの[H]−GR65630、および10pM〜100μMの範囲の11の異なる濃度の化合物で実施した。化合物を、DEMSO(3.1節を参照)中の10mMストック溶液として入れ、そして0.1% BSA含有の50mM HEPES(pH7.4)中に400μMまで25℃で希釈し、次いで、同じ緩衝液中で、連続希釈(1:5)を行った。非特異結合を、10μMの非標識MDL72222の存在下で決定した。アッセイを、室温で60分間インキュベートし、次いで、結合反応を、事前に0.3%ポリエチレンイミン中に浸しておいた96ウェルGF/Bグラスファイバーフィルタープレート(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)を通した迅速な濾過により、停止させた。フィルタープレートを、濾過緩衝液(氷冷した50mM HEPES、pH7.4)で3回洗浄し、非結合の放射活性を除去した。プレートを乾燥させ、35μLのMicroscint−20液体シンチレーション液(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)を各ウェルに加え、そしてプレートを、Packard Topcount液体シンチレーションカウンター(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)中で計数した。
【0253】
結合データを、上述の非線形回帰手順により分析し、K値を決定した。底(曲線最小値)を、非特異結合についての値として固定した(10μM MDL72222の存在下で決定した)。Cheng−Prusoff方程式における量[L]を、濃度[H]−GR65630として規定した。
【0254】
5−HTレセプターサブタイプに対する5−HTレセプターサブタイプの選択性を、K(5−HT3A)/K(5−HT4(c))比として計算した。このアッセイにおいて試験した本発明の化合物は、約50から約8000までの範囲、代表的には約100から約4000までの範囲の5−HT/5−HTレセプターサブタイプ選択性を有した。
【0255】
(アッセイ3:ヒト5−HT4(c)レセプターを発現するHEK293細胞での全細胞cAMP蓄積フラッシュプレートアッセイ)
このアッセイにおいて、試験化合物の機能効力を、5−HTレセプターを発現するHEK−293細胞が異なる濃度の試験化合物と接触させられた場合、産生された環状AMPの量を測定することによって決定した。
【0256】
(a.細胞培養)
クローン化ヒト5−HT4(c)レセプターcDNAで安定にトランスフェクトしたHEK−293(ヒト胚腎臓)細胞を、以下の2つの異なる密度でレセプターを発現するように調製した:(1)約0.5〜0.6pmol/mgタンパク質の密度([H]−GR113808膜放射リガンド結合アッセイを用いて決定)、および(2)約6.0pmol/mgタンパク質の密度。細胞を、T−225フラスコ中の、10%ウシ胎仔血清(FBS)(GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号10437)および(100単位)ペニシリン−(100μg)ストレプトマイシン/ml(GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号15140)を補充したDulbecco改変イーグル培地(DMEM)(4,500mg/L D−グルコース含有)(GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号11965)中で、5% COにて、加湿インキュベーター内で37℃で増殖させた。細胞を、ジェネテシン(800μg/mL:GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号10131)の培地への添加による連続的な淘汰圧の下で、増殖させた。
【0257】
(b.細胞調製)
細胞を、およそ60〜80%コンフルーエンシーまで増殖させた。回収の20〜22時間前、細胞を2回洗浄し、そして4,500mg/L D−グルコース含有無血清DMEM(GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号11965)を供給した。細胞を回収するため、培地を吸引によって除去し、そして各T−225フラスコに、10mLヴァルセン(GIBCO−Invitrogen Corp.:カタログ番号15040)を加えた。細胞を室温で5分間インキュベートし、次いで、機械的撹拌により、フラスコから引きはがした。この細胞懸濁液を、等量の予熱した(約37℃)dPBSを含む遠心チューブに移し、5分間1000rpmで遠心分離した。上清を捨て、そしてペレットを、予熱した(37℃)刺激緩衝液(2〜3のT−225フラスコにつき10mL当量)中に再懸濁した。この時間を記録し、そして時間0として印を付けた。細胞を、Coulter counterで計数した(8μmより上で計数、フラスコ収量は1〜2×10細胞/フラスコであった)。細胞を、予熱した(37℃)の刺激緩衝液(フラッシュプレートキット中に提供される)中に、5×10細胞/mlの濃度で再懸濁し、そして37℃で10分間予熱した。
【0258】
cAMPアッセイを、125I−cAMPでのフラッシュプレートアデニリルシクラーゼ活性化アッセイシステム(SMP004B,PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston,MA)を用いたラジオイムノアッセイ様式で、製造業者の指示に従って実施した。
【0259】
細胞を、上述のように、増殖しそして調製した。このアッセイにおける細胞の終濃度は、25×10細胞/ウェルであり、最終アッセイ容量は100μLであった。試験化合物を、DMSO中の10mMストック溶液として入れ、25℃で、0.1% BSA含有50mM HEPES(pH7.4)中に400μMまで希釈し、次いで、同じ緩衝液中に連続希釈(1:5)した。環状AMP蓄積アッセイを、10pMから100μM(最終アッセイ濃度)までの範囲の11の異なる濃度の化合物で実施した。5−HT濃度応答曲線(10pM〜100μM)は、全てのプレート上に含まれる。細胞を、振とうしながら37℃で15分間インキュベートし、そして反応を、各ウェルへの100μlの氷冷検出緩衝液(フラッシュプレートキット中に提供される)の添加により停止させた。このプレートを、密閉し、そして4℃で一晩インキュベートした。結合放射活性を、Topcount(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)を用いたシンチレーション近似分光法によって、定量した。
【0260】
産生された1mLあたりのcAMPの量を、製造業者の使用者用手引きにおいて提供される指示に従い、cAMP標準曲線から外挿した。データを、3パラメータシグモイド用量応答モデルを用いて、GraphPad Prismソフトウェアパッケージで、非線形回帰分析により分析した。効力データを、pEC50値(EC50値の負の10進法対数)として報告する。ここで、EC50は、最大応答の50%に対する有効濃度である。
【0261】
このアッセイにおいてより高いpEC50値を示す試験化合物は、5−HTレセプターを作用させるより高い効力を有する。このアッセイにおいて試験した本発明の化合物は、例えば、(1)約0.5〜0.6pmol/mgタンパク質の密度を有する細胞株において、約7.0から約9.0までの範囲のpEC50値を有し、代表的には、約7.5から約8.5までの範囲のpEC50値を有する。
【0262】
(アッセイ4:hERG心臓カリウムチャネルを発現する全細胞における、カリウムイオン電流のインビトロボルテージクランプアッセイ)
hERG cDNAで安定にトランスフェクトしたCHO−K1細胞を、the University of WisconsinのGail Robertsonから得た。細胞を、必要になるまで冷凍保存した。細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)および200μg/mlジェネテシンを補充したDulbecco改変イーグル培地/F12中で、増殖させ、そして継代した。細胞を、35mmディッシュ(2mL培地含有)中のポリ−D−リジン(100μg/mL)コートしたカバーガラス上に、単離された細胞を、全細胞ボルテージクランプ研究のために選別し得る密度で、播種した。このディッシュを、加湿した、5% CO環境で、37℃で維持した。
【0263】
細胞外溶液を、少なくとも7日毎に調製し、そして使用しない場合、4℃で保存した。細胞外溶液は、以下を含有する(mM):NaCl(137)、KCl(4)、CaCl(1.8)、MgCl(1)、グルコース(10)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)(10)、NaOHでpH7.4とする。細胞外溶液(試験化合物含有または非含有)を、レザバ内に入れた。細胞外溶液は、ここから、約0.5mL/分で記録チャンバ内へ流れた。細胞内溶液を調製し、分割しそして−20℃で使用する日まで保存した。細胞内溶液は、以下を含有する(mM):KCl(130)、MgCl(1)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’−テトラ酢酸塩(EGTA)(5)、MgATP(5)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)(10)、KOHでpH7.2とする。全ての実験を、室温(20〜22℃)で実施した。
【0264】
細胞が上に播種されているカバーガラスを、記録チャンバに移動し、そして連続的に灌流した。ギガオームシールを、細胞とパッチ電極との間に形成した。一旦、安定なパッチが達成されると、−80mVにおける初期保持電位でボルテージクランプ様式で記録を開始した。安定な全細胞電流が達成された後、細胞を、試験化合物に曝した。標準電圧プロトコールは、以下であった:4.8秒間の−80mVの維持電位から+20mVへのステップから、5秒間−50mVまで再分極し、次いで、最初の維持電位(−80mV)に戻す。電圧プロトコールを、15秒毎に1回実施した(0.067Hz)。再分極期の間のピーク電流振幅を、pClampソフトウェアを使用して決定した。3μMの濃度で試験化合物を、細胞上に5分間灌流し、その後、化合物非存在での5分間の洗浄を行った。最終的に、ポジティブコントロール(シサプリド、20nM)を、灌流液に加え、細胞の機能を試験した。−80mV〜+20mVのステップは、hERGチャネルを活性化し、外向き電流を生じる。−50mVへ戻る工程は、チャネルが不活性化(inactivation)から回復し、非活性化(deactivate)するのにしたがって、外向きテール電流を生じる。
【0265】
再分極期の間のピーク電流振幅を、pCLAMPソフトウェアを用いて決定した。コントロールデータおよび被験物品データを、Origin(登録商標)(OriginLab Corp.,Northampton MA)に書き出し、ここで、個々の電流振幅は、化合物非存在での初期電流振幅に対し、正規化される。各条件の正規化した電流の平均および標準誤差を計算し、そして実験の時間経過に対し、プロットした。
【0266】
被験物品またはビヒクルコントロール(通常、0.3% DMSOである)のどちらかへの5分間の曝露後に観察された、K電流阻害の間での、比較を行った。実験群の間での統計学的比較を、2つの集団の、独立したt検定(Microcal Origin v.6.0)を用いて行った。差は、pが0.05未満で有意だとみなした。
【0267】
このアッセイにおいて、カリウムイオン電流の阻害の百分率が小さくなるほど、治療剤として用いた場合に、試験化合物が心臓再分極のパターンを変化する可能性がより低くなる。このアッセイにおいて、3μMの濃度で試験した本発明の化合物は、約20%未満(代表的に、約15%未満)のカリウムイオン電流の阻害を示した。
【0268】
(アッセイ5:経口生体利用可能性のインビトロモデル:Caco−2浸透アッセイ)
経口投与の後、試験化合物の腸を通って血流に入る能力をモデリングする、Caco−2浸透アッセイを実施した。溶液中の試験化合物が、ヒト小腸単層の密着結合を模倣するように設計した細胞の単層に浸透する速度を、決定した。
【0269】
Caco−2(結腸、線癌;ヒト)細胞を、ATCC(American Type Culture Collection;Rockville,MD)から得た。浸透研究のために、細胞を、63,000細胞/cmの密度で、事前に湿らせておいたtranswellポリカーボネートフィルター(Costar;Cambridge,MA)上に播種した。細胞単層を、培養21日後に形成した。transwellプレート中での細胞培養後、細胞単層を含む膜を、transwellプレートから引きはがし、拡散チャンバ(Costar;Cambridge,MA)内に挿入した。拡散チャンバを、温度制御のため、外部を循環(circulating external)する、サーモスタットで調節した37℃の水を備えた加熱ブロック内に挿入した。空気マニフォールドは、95% O/5% COを、拡散チャンバの各半分に送達し、細胞単層を横切る層流パターンを作り出した。これは、非撹拌境界層の減少に有効である。
【0270】
100μMの濃度の試験化合物および14C−マンニトールを用いて浸透研究を行い、単層の完全性をモニタリングした。全ての実験を、約37℃で60分間行った。サンプルを、チャンバの供給者および受容者の両方から、0分、30分および60分で採取した。サンプルを、試験化合物濃度およびマンニトール濃度についてHPLCまたは液体シンチレーション計数により分析した。cm/秒での浸透計数(K)を、計算した。
【0271】
このアッセイにおいて、約10×10−6cm/秒を超えるK値は、好ましい生体利用可能性を示すとみなされる。このアッセイにおいて試験した本発明の化合物は、約10×10−6cm/秒と約50×10−6cm/秒との間、代表的には、約20×10−6cm/秒と40×10−6cm/秒との間のK値を示した。
【0272】
(アッセイ6:ラットにおける薬物動態学研究)
試験化合物の水溶液処方物を、0.1%乳酸中に、約pH5と約pH6との間のpHで調製した。雄のSprague−Dawleyラット(CD系統、Charles River Laboratories,Wilmington,MA)に、試験化合物を、静脈内投与(IV)を介して2.5mg/kgの用量、または、経口胃管栄養法(oral gavage)(OP)により5mg/kgの用量で投薬した。投薬量は、IVについて1mL/kg、PO投与について2mL/kgであった。連続的な血液サンプルを、動物から、投薬前、および投薬の2分後(IVのみ)、5分後、15分後および30分後、ならびに1時間後、2時間後、4時間後、8時間後および24時間後に採集した。血漿中の試験化合物の濃度を、液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS/MS)(MDS SCIEX,API 4000,Applied Biosystems,Foster City,CA)によって、1ng/mLの最低定量限度で決定した。
【0273】
標準的薬物動態パラメーターを、WinNonlin(バージョン4.0.1,Pharsight,Mountain View,CA)を用いた非区画分析(non−compartmental analysis)(IVについて201モデル、POについて200モデル)によって評価した。Cmaxは、血漿中試験化合物濃度対時間の曲線における最大値を意味する。投薬の時間から最後の測定可能な濃度までの、濃度対時間曲線下の面積(AUC(0−t))を、線形台形公式によって計算した。経口生体利用可能性(F(%))、すなわちIV投与についてのAUC(0−t)に対するPO投与についてのAUC(0−t)の用量正規化比率を、以下のように計算した:
F(%)=AUCPO/AUCIV×用量IV/用量PO×100%
このアッセイにおいて、より大きな値の、Cmax、AUC(0−t)およびF(%)のパラメーターを示す試験化合物は、経口投与された場合、より高い生体利用可能性を有すると期待される。このアッセイにおいて試験した本発明の化合物は、代表的に、約0.1μg/mLから約0.25μg/mLまでの範囲のCmax値、および代表的に約0.4μg・時間/mLから0.9μg・時間/mLまでの範囲のAUC(0−t)値を有した。例として、実施例1の化合物は、0.17μg/mLのCmax値、0.66μg・時間/mLのAUC(0−t)値、およびラットモデルにおいて約35%の経口生体利用可能性(F(%))を有した。
【0274】
本発明は、その具体的な実施態様を参照して記述されているが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされ得、そして等価物が置き換えられ得ることを、当業者は理解すべきである。加えて、特定の状況、物質、組成物、プロセス、プロセス工程を本発明の客観的な精神および範囲に適合させる、多くの改変がなされ得る。このような改変の全ては、添付の請求の範囲の範囲内であることが意図される。さらに、本明細書において上記で引用した全ての刊行物、特許および特許文献は、あたかも個別に本明細書中で参考として援用されているかのごとく、本明細書中で参考として詳細に援用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体であって、ここで:
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1〜4アルキルまたはC1〜4アルコキシである;
は、C3〜4アルキルまたはC3〜6シクロアルキルである;
は、水素またはC1〜3アルキルである;
は、−S(O)または−C(O)Rである;
は、水素、C1〜3アルキル、−OHもしくはC1〜3アルコキシで置換されたC2〜3アルキル、または−CH−ピリジルである;
は、C1〜3アルキルである;
またはRとRとは、一緒になって、C3〜4アルキレニルを形成する;そして
は、水素、C1〜3アルキルまたはピリジルである、
化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体。
【請求項2】
が、水素、C1〜3アルキル、−OHまたはC1〜3アルコキシで置換されたC2〜3アルキル、または−CH−ピリジルである;そして
が、C1〜3アルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、水素またはハロである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、C3〜4アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
が、−S(O)である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が、−S(O)CHである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が、−C(O)Rである、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
が、水素またはメチルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、水素またはメチルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
が、水素である;
が、C3〜4アルキルまたはC4〜5シクロアルキルである;
が、水素である;
が、−S(O)または−C(O)Rである;
が、水素またはC1〜3アルキルである;
が、C1〜3アルキルである;そして
が、水素またはC1〜3アルキルである、
請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が、以下から選択される、請求項1に記載の化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩および溶媒和物および立体異性体:
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−メトキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(メタンスルホニル−ピリジン−3−イルメチル−アミノ)−2−メトキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(メタンスルホニル−ピリジン−3−イルメチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(S)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−[メチル−(ピリジン−4−カルボニル)アミノ]プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−[(ピリジン−4−カルボニル)アミノ]プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(アセチル−メチル−アミノ)−2−メトキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−メトキシ−3−[メチル−(ピリジン−4−カルボニル)アミノ]プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(アセチル−ピリジン−3−イルメチル−アミノ)−2−メトキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−アセチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(アセチル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(ホルミル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−ホルミルアミノ−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−3−(アセチル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−3−(ホルミル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
5−ブロモ−1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−エチルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;および
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(1,1−ジオキソ−2−イソチアゾリジニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド。
【請求項12】
前記化合物が、以下から選択される、請求項2に記載の化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩および溶媒和物および立体異性体:
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(S)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(アセチル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[3−(ホルミル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−3−(アセチル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−3−(ホルミル−メチル−アミノ)−2−ヒドロキシプロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリノン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド。
【請求項13】
前記化合物が、以下から選択される、請求項12に記載の化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な塩および溶媒和物および立体異性体:
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(S)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド;
1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニルアミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}アミド。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物の治療有効量と、薬学的に受容可能なキャリアとを含有する、薬学的組成物。
【請求項15】
治療において使用するための請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
医薬を製造するための請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項17】
前記医薬が、5−HTレセプター活性に関連した哺乳動物における病態の処置のためのものである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記疾患または病態が、消化管の運動性低下障害である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
5−HTレセプター活性に関連した病態を有する哺乳動物を処置する方法であって、該哺乳動物に、薬学的に受容可能なキャリアと請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物の治療有効量とを含有する薬学的組成物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項20】
前記病態が、過敏性腸症候群、慢性の便秘、機能性消化不良、胃内容排出の遅延、胃食道逆流疾患、胃不全麻痺、術後腸閉塞、腸偽閉塞、および薬剤性遅延移行からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
哺乳動物における消化管の運動性低下障害を処置する方法であって、該哺乳動物に、薬学的に受容可能なキャリアと請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物とを含有する薬学的組成物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項22】
前記運動性低下障害が、慢性の便秘、便秘支配的過敏性腸症候群、糖尿病性胃不全麻痺および特発性胃不全麻痺、ならびに機能性消化不良からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、以下:
(a)式(III)の化合物と:
【化2】

式L−Rの化合物とを反応させる工程であって、ここで、Lは、脱離基であるか、もしくはL−Rは、HO−C(O)Rを表わす工程であるか;または
(b)式(VIII)の化合物と:
【化3】

式(IX)の化合物:
【化4】

とを反応させる工程であって、
式(I)の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を提供する、工程、
を包含する、プロセス。
【請求項24】
式(I’)の化合物:
【化5】

あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を調製するプロセスであって、
ここで、R、R、RおよびRは、請求項1で定義されており;該プロセスは、式(IV)の化合物:
【化6】

またはその塩と、式(XI)の化合物:
【化7】

とを反応させて、式(I’)の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を提供する工程を包含する、プロセス。
【請求項25】
請求項23または請求項24に記載のプロセスにより調製された、生成物。
【請求項26】
式(III)の化合物:
【化8】

あるいはそれらの塩または立体異性体または保護化誘導体であって、ここで:
は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1〜4アルキルまたはC1〜4アルコキシである;
は、C3〜4アルキルまたはC3〜6シクロアルキルである;
は、水素またはC1〜3アルキルである;
は、−S(O)または−C(O)Rである;そして
は、水素、C1〜3アルキル、−OHまたはC1〜3アルコキシで置換されたC2〜3アルキル、または−CH−ピリジルである、
化合物、あるいはそれらの塩または立体異性体または保護化誘導体。
【請求項27】
5−HTレセプターを含む生体系または試料を研究する方法であって、該方法は、以下:
(a)該生体系または試料を請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程;および
(b)該生体系または試料に対して該化合物により引き起こされる効果を決定する工程、を包含する、方法。

【公表番号】特表2007−532546(P2007−532546A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507409(P2007−507409)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/011393
【国際公開番号】WO2005/100350
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(500154711)セラヴァンス, インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】