説明

5−HT6および/または5−HT7セロトニン受容体のリガンドとして使用される5−ハロ−トリプタミン誘導体

【課題】5−HTおよび/または5−HTセロトニン受容体に対するアフィニティーを有するトリプタミン・ベースのリガンドの提供。
【解決手段】式(I)の化合物および医薬上許容されるその塩の、5−HTおよび/または5−HTセロトニン作動性受容体のリガンドとして有用な薬物の調製のための使用。


[式中:RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、HまたはC−C直鎖状または分枝鎖状アルキル;R=C−C直鎖状または分枝鎖状アルキル;R=ハロゲン]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において記載する本発明は、5−HTおよび/または5−HTセロトニン受容体のリガンドとして有用な5−ハロゲン化トリプタミン誘導体、その調製方法、その薬物としての使用、特にセロトニンレベル不足に伴う神経系疾患、心血管系、消化管を含む全身性疾患の治療薬としての使用、およびそれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の10年以上にわたる分子クローニングによって、14のセロトニンサブタイプが見出され、これらは7つのサブファミリーに分類された。セロトニン受容体のこのように大きな多重度は、5−HT系の進化年数の直接的結果であると示唆されている。リガンド依存性イオンチャンネルである5−HT受容体を除き、これら受容体はすべて、G−タンパク質に介されるエフェクター機能に結び付けられる受容体の大きなクラスに属するセロトニン受容体スーパーファミリーのメンバーである(Gerhardt, C.C. et al., Brain Res. 746:207-219, 1997; Hoyer, D. et al., Neuropharmacol. 36;419-428, 1997)。
【0003】
1994年に、5−HTセロトニン受容体がブタの核尾状核および小脳膜において発見された。それ以来、5−HTセロトニン受容体は、嗅結節、前頭および嗅内皮質、側坐核、線条体、海馬および小脳の分子層において観察されてきた。5−HTセロトニン受容体はほぼもっぱら脳および5−HT突起領域(projection fields)に存在し、縫線核の5−HTニューロンには存在しないようであり、これは5−HT受容体がおそらくシナプス後作用を有している可能性があることを示唆している。さらに5−HT受容体はG−タンパク質スーパーファミリーのメンバーであり、アデニル酸シクラーゼセカンドメッセンジャー系に積極的に連動していることが見出された。
【0004】
5−HT受容体に結合したセロトニンは、アデニル酸シクラーゼ酵素の活性化を誘導し、同時に細胞内cAMPレベルが上昇する。5−HTセロトニン受容体の最近の発見により5−HT−選択的リガンドに対する研究が刺激され、該新規な受容体サブファミリーの特異性およびその独自の確かな臨床的重要性が立証された。実際、多くの精神賦活剤(抗うつ薬、抗精神病薬)が、5−HTに対して高いアフィニティーを有することが知られているが、選択性が無く(Monsma、F.J. et al.、Molecular Pharmacology 43.320-327,1993; Roth、B.L. et al.、J. Pharmacol. Exp. Ther. 268、1403-1410; 1994)5−HT受容体は中枢神経系におけるコリン作動性神経伝達を調節している可能性がある。さらに、線条体におけるGABA−含有ニューロンおよび海馬のグルタミン酸−含有ニューロンに見られる5−HT受容体は、内因性セロトニン作用を媒介していると示唆されている。したがって5−HT受容体に対するリガンドは以下の疾患の治療に有用である可能性がある:運動障害、抑欝、不安、気分障害、記憶障害、ハンチントン病、パーキンソン病およびアルツハイマー病(Branchek、T.A. and Blackburn、T.P.、Annu. Rev. Pharm.Toxicol. 40: 319-34、2000)。
【0005】
5−HTセロトニン受容体は、いくつかのげっ歯類およびヒトの組織において同定された。ラットの脳において、5−HT受容体は視床下部、視床および海馬に特に高分布しているようであり、大脳皮質、線条体、嗅球および嗅結節においては、5−HT受容体RNAmレベルは低いことが観察された。5−HT受容体RNAmの存在は脳に限定されているわけではなく、末梢組織(脾臓、胃、腸、心臓、冠動脈)においても見られる。5−HT受容体は、アデニル酸シクラーゼ酵素系に機能的に連関している。薬理学的なインビトロでの証拠により、5−HT受容体刺激の後に細胞内cAMPレベルが上昇することが立証された。5−HTセロトニン受容体と同様には、5−HT受容体の臨床的価値は現在知られていない(Sleight、A.J.、Boess、F.G.、Bourson、A.、Sibley、D.R.、Monsma、F.J.、1997 DN&P 10 (4):214-224)。5−HT受容体は、血圧を調節する機構に関与している可能性があると示唆されている。5−HT受容体の血管での高分布および5−HT受容体へのセロトニンの結合に続く血管拡張を示す薬理学的なデータは、5−HTリガンドの血圧降下薬としての利用を示唆する(Martin、G.R. and Wilson、R.、(1995) British J. Pharmacol. 114: 383P)。さらに、視床下部において豊富に存在する5−HT受容体は、中枢神経系における自発的ニューロン電気的活性のサーカディアンリズムの制御に関与していることが以前に立証されている(Lowenberg、T.N. et al.、Neuron (1993) 11:449-58)。
【0006】
したがって、5−HTリガンドは、特にその脱同期化が睡眠障害を引き起こすような睡眠周期などのサーカディアンリズムによって調節される多くのプロセスの調節剤である可能性がある。他の証拠により、5−HT受容体が抑欝の原因および治療に関与している可能性があることが示された。ラットの視床下部における5−HT受容体結合部位が、抗うつ薬であるフルオキセチンによる慢性治療の後のダウンレギュレーションを規定するという観察は、この治療効能を支持する(Sleight、A.J. et al.、Mol. Pharm. (1996)、47: 99-103)。抑欝と、利用可能な神経伝達物質の不足または主にノルアドレナリン作動性および/またはセロトニン作動性受容体系の低感度(subresponsivity)を関連付ける、神経伝達物質調節不全(disregulation)仮説の従来からの徹底した考えは、最近、生物的リズム調節の障害を含むように拡大している。リズム維持の効率の障害またはリズム脱同期化は、精神疲労および抑欝につながると示唆されている(Goodwin F.K.、Wirz-Justice A.、Wehr T.A.、1982. In Costa Ragni (eds.)、Typical and atypical antidepressant: Clinical pratical)。
【0007】
メラトニンは一般にサーカディアン機能の主要な調節物質であると考えられているが、セロトニンも重要な役割を果たしており、特に視床下部の視交差上核における、5−HT1a、5−HT1b、5−HT2a、5−HTサブタイプに作用する(Van Den Pol、A.N.、Dudek、F.E.、(1993) Neurosciensce 56:793-811; Mullins、U.L.、et al.、(1999): Neuropsychopharmacology 21、(3) 352-367)。
【0008】
分布密度は異なるものの注意および学習プロセスに機能的に関連する脳領域(海馬、前頭皮質)において5−HTおよび5−HT受容体部位が同時に局在しており、両受容体に対する刺激の後のこれら受容体の部分における細胞内cAMPレベルを上昇させる同じ能力により、5−HTおよび5−HT受容体の両方に結合する薬剤は個体の習得および学習プロセスの基礎となる神経可塑性機構を調節する可能性があると示唆されている。
【0009】
5−HTおよび5−HT受容体に対して同時にアフィニティーを有するリガンドは、認知プロセスの改善が要求される病状において治療上の用途を有する可能性がある(Menese、A.、(1999) Neurosci. Biobehav. Rev.、23 (8):1111-25)。
【0010】
最近の証拠により、過敏性大腸症候群の治療における5−HT−リガンドの使用可能性が示唆された。胃の運動性低下はこの症候群の病態生理機構の基礎となる機構の1つであると考えられており、いまだに注目されている治療標的である。実際、新規な運動促進剤の開発には5−HT受容体リガンドが含まれる(テガセロド(tegaserod)、プルカロプリド(prucalopride))。予備的証拠に刺激され、5−HT受容体リガンドの研究の興味が上記の治療標的に向けられるようになった(De Ponti、F.、Tonini、M.、(2001) Drugs、61 (3):317-332)。実際、5−HT受容体が平滑筋弛緩を媒介するという観察、および、5−HT結合部位が腸組織に局在しているということにより、5−HT受容体リガンドの治療的有用性が示唆される。
【0011】
現在、5−HT受容体に対してアフィニティーを有する化合物は様々な化学的分類に属することが確認されている。例えば、欧州特許第0815861号および欧州特許第0930302号(Hoffmann-La Roche)には、スルホンアミドおよびベンゾスルホナート誘導体が上記受容体に対する選択的リガンドであると記載されている;国際特許出願第WO98/27058号(SmithKline Beecham)には、カルボキシアミドインドール誘導体が5−HT受容体アンタゴニストであると記載されており、国際特許出願第WO98/27081号およびWO99/42465号(SmithKline Beecham)および米国特許第6187805号(Merck Sharp and Dohme)には、特にスルホンアミド誘導体が記載されている;国際特許出願第WO00/12623号(SmithKline Beecham)には、スルホナートおよびスルホンアミド誘導体が記載されている;国際特許出願第WO00/37452号(Merck Patent)には、スルホニルオキサゾリルアミンが記載されている;国際特許出願第WO00/63203号および米国特許第6133287号(Allelix Bio-pharmaceutical Inc.)には、ピペリジノインドールが5−HTアンタゴニストとして作用することが記載されている。
【0012】
トリプタミン誘導体は数々の薬理学的用途を有することがよく知られている。国際特許出願第WO97/06140号には、そのメラトニン障害に関連する疾患の治療のための使用が記載されている;国際特許出願第WO97/46525号およびWO98/23587号には、5−HT1D受容体の選択的リガンドであることおよびその偏頭痛の治療における使用が記載されている;国際特許出願第WO97/48680号には血管攣縮の治療について記載されている;国際特許出願第WO98/06695号には皮膚治療について記載されている;国際特許出願第WO98/47868号には、5−HT受容体の様々なサブタイプの併合活性アンタゴニストについて記載されている;国際特許出願第WO00/11619号には、5−HT2A受容体の選択的アンタゴニストであるとして記載されている;国際特許出願第WO99/51576号には、セロトニン作動性系に関連する神経疾患の治療について記載されている;国際特許出願第WO99/54301号には、抗菌薬であることが記載されている;国際特許出願第WO00/37441号には、心血管性疾患、虚血性疾患、寄生虫病、炎症性疾患、神経変性疾患、筋障害および鎌形赤血球貧血症の治療について記載されている;国際特許出願第WO00/78716号およびWO00/44721号には、アドレナリン作動性系に対する活性薬剤であると記載されている。
【0013】
5−HTの他のセロトニン作動性受容体に対する活性についてその他のトリプタミン誘導体が注目されている。例えば、国際特許出願第WO95/14004号、WO95/24200号、WO96/26922号、WO96/26923号、WO97/13512号、WO99/51576号、欧州特許第1023898号および国際特許出願第WO00/52002号が挙げられる。
【0014】
5−HT受容体に対する特異的活性を有する化合物に関しては、国際特許出願第WO99/47516号(Slassi et. al.)に、3位がアルキルピロリジンで置換された1−アシルまたは1−スルホニルインドールであって5−HT受容体に対してアフィニティーを有するものが記載されている。国際特許出願第WO99/65906号(Allelix Biopharmaceuticals Inc.)には、インドール残基に結合した二環式ピペリジンおよびピペラジンが5−HT受容体の阻害剤として開示されている。
【0015】
国際特許出願第WO00/34242号(Virginia Commonwealth University)には、5−HT受容体に対するアフィニティーおよび選択性が高いセロトニン誘導体が開示されている。国際特許出願第WO00/63203号(Allelix Bio-pharmaceuticals Inc.)には、3位がピペリジンで置換されている1−アシルまたは1−スルホニルインドールであって、5−HT受容体に対してアフィニティーを有するものが開示されている。
【0016】
5−HT受容体については、国際特許出願第WO00/37082号(SmithKline Beecham)に、WO97/29097号、WO98/48681号およびWO97/49695号において記載された5−HT受容体アンタゴニストの、虚血現象に起因する神経変性症の治療のための使用が開示されている;欧州特許第0998923号(BASF)には、虚血、特に梗塞の予防における5−HT受容体アンタゴニストの使用が開示されている;国際特許出願第WO99/54303号およびWO98/00400号(Meiji)には、精神疾患および循環性疾患の治療のためのテトラヒドロベンズインドールが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
(発明の概要)
本発明は、5−HTおよび/または5−HTセロトニン受容体に対するアフィニティーを有するトリプタミン・ベースのリガンドに関する。治療的観点からこれらの薬剤は、セロトニンレベル不足に関する神経系疾患、心蔵循環(cardiocirculatory)系(高血圧)および消化管(過敏性大腸症候群)を含む全身性疾患の治療に用いることができる。
【0018】
中枢神経系の多くの疾患は、セロトニン受容体と特異的に相互作用しうる薬剤の使用によって効果的に治療されることが知られており、このため、偏頭痛、抑欝、高血圧、精神病および精神疲労、睡眠障害およびその他のサーカディアンリズムの脱同期化に由来する効果の治療に該試薬が臨床的に認められている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このたび、式(I)の化合物が5−HTおよび/または5−HT受容体に対してアフィニティーを有することが見出された。
【化1】

[式中:RおよびRは、同じであっても異なっていてもよい、HまたはC−C直鎖状または分枝鎖状アルキル;
=C−C直鎖状または分枝鎖状アルキル;
=ハロゲン]。
【0020】
したがって、本発明の目的は上記式(I)の化合物および医薬上許容されるその塩の、5−HTおよび/または5−HTセロトニン作動性受容体のリガンドとして有用な薬物の調製のための使用であり、これは特にセロトニンレベル不足に関する神経系疾患、心臓循環系、特に高血圧;消化管、特に過敏性大腸症候群を含む全身性疾患の治療に有用である。
【0021】
本発明の別の目的は、Rがフルオロ、クロロまたはブロモであって、Rがメチルまたはエチルであって、RおよびRが、同じであっても異なっていてもよい水素およびメチルである化合物を除く、式(I)の新規化合物;該式(I)の新規化合物の調製方法、その薬物としての使用、特にセロトニンレベル不足に関する神経系疾患、心血管系、特に高血圧;消化管、特に過敏性大腸症候群を含む全身性疾患の治療薬としての使用、および該化合物を活性成分として含有する医薬組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の詳細な説明)
式(I)の化合物において、C−Cアルキルの語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびすべての可能性のある異性体を意味し、好ましくはメチルおよびエチルである。
【0023】
ハロゲンとは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味し、好ましくはクロロおよびブロモである。
【0024】
式(I)の化合物のなかで、第一の好ましいグループは、基RおよびRが同一であって、特にメチルである化合物である。
【0025】
第二の好ましいグループは、Rが先に定義したアルキル、特にメチルまたはエチルであって、Rがクロロである化合物である。Rがクロロである式(I)の化合物は5−HTセロトニン受容体に対して選択的アフィニティーを有するため5−HTのリガンドとして有用な薬物、例えば、抑欝、気分障害、精神病、統合失調症、運動障害、認知障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病の治療薬の調製に有用である。
【0026】
第三の好適なグループは、Rが先に定義したアルキル、特にメチルであって、Rがブロモである式(I)の化合物である。
【0027】
特に、Rがブロモである場合、該分子は5−HT受容体サブタイプに対するアフィニティーも獲得する。
【0028】
この特性により、該化合物は、抑欝、偏頭痛、高血圧の治療に用いられ、特に個体の学習プロセスの向上によって、生物学的リズムの脱同期化およびそれに由来する多くの変化(精神疲労、抑欝、睡眠障害)に対抗する。
【0029】
特に好ましい化合物は、5−ブロモ−2−メチル−N,N−ジメチルトリプタミン(ST1938)、5−クロロ−2−エチル−N,N−ジメチルトリプタミン(ST2253)および5−クロロ−2−メチル−N,N−ジメチルトリプタミン(ST1936)である。
【0030】
式(I)の化合物であって、Rがメチル、RおよびRが同じであっても異なっていてもよい水素およびメチルである化合物は、Chapman、N.B. et. al.、J. Chem. Soc. 1965; 1424-1428に記載されている。
【0031】
本発明による化合物は、下記のスキームにおいて例示した方法によって調製することができ、これは類似の化合物について文献において報告された手順にしたがうものである(Spadoni、G. et. al.、J. Med. Chem.、1993;36 (25): 4069-74)。
【0032】
当業者であれば、上記式(I)の所望の最終生成物に関する適切な開始化合物、対応する試薬および反応条件を選択することができるであろう。
【0033】
本発明による方法は、以下のスキーム1にしたがって行われる。
【化2】

【0034】
開始化合物、5−ハロ−2−アルキル−インドールは市販されており、J. Med. Chem. 1993、36、4069に記載の方法と同様にして調製することができるが、JOC 1994、59、6372-6377も参照されたい。
【0035】
式(1)の化合物を市販されている1−ジメチルアミノ−2−ニトロエチレンと反応させる。モル比は重要ではなく、一例として、たとえ異なる式(I)の最終生成物に関して一方または他方が過剰になると予想されるとしても便宜に等モル量の化合物を反応させればよい。反応はトリフルオロ酢酸中で、使用される試薬、その濃度および溶媒に応じて選択される温度および時間で行なう。好ましくは反応は低温で行なうとよく、例えば0℃から、反応条件に適合し、二次生成物または分解が無いか量的に少ないような温度までで、数分から数時間の反応時間で行なうとよい。
【0036】
所望の場合、化合物(2)を当業者に知られた常套技術によって反応媒体から単離し、ニトロ基のとなりのエーテル二重結合の還元を行なって、対応する飽和誘導体(3)を得る。反応条件に関して考慮すべきことは当業者であればここまでの記載によって理解できるであろう。
【0037】
最終段階により、一級アミノ基をRおよびRについての定義に記載した基によって官能基付与する。これは文献、例えば、J. Org. Chem. 37、1673-1674 (1972)に記載の常套方法によって行なう。
【0038】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0039】
(E)−5−ブロモ−2−メチル−3−(2−ニトロエテニル)−1H−インドール
攪拌し、0℃に冷却した5mLのトリフルオロ酢酸中の0.58gの1−(ジメチルアミン)−2−ニトロエチレン(5mmol)の溶液に、1.05g(5mmol)の5−ブロモ−2−メチル−インドールを添加し、その結果得られた混合物を放置して室温で窒素下で30分間反応させた。反応混合物を次いで冷水浴中に入れた。水溶液を酢酸エチルで抽出し、有機相を混合し、次いで飽和炭酸水素塩溶液および水で洗浄し、最後に無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、溶媒を減圧下で除去し、個体の橙色の残渣を得、これを酢酸エチル−エーテル混合物に懸濁してろ過した。
【0040】
収率:89%
Rf=0.3(シクロヘキサン/EtOAc :1)
M.p.:196−198℃(dec.)
1H−NMR(200MHz)(DMSO−d6):δ2.59(s、3H)、7.34(m、2H)、7.97(d、1H、J=13.2Hz)、8.06(m、1H)、8.26(d、1H、J=13.2Hz)
EIMS:m/z 280、282(M+)、154(100)
【0041】
5−ブロモ−2−メチルトリプタミン塩酸塩
25mLの無水THF中のニトロエテニルインドール(2)(1.7g、6mmol)の溶液を、0℃で窒素下で、THF(6.5mL)中のLiAlH(1.2g、36mmol)の懸濁液に滴下し、その結果得られた混合物を室温で5時間攪拌した。0℃まで冷却後、過剰のLiAlHを注意深く水を添加することによって破壊し、その結果得られた懸濁液をセライトでろ過した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を2N HClで酸性とし、次いで水と酢酸エチルに分配した。次いで水相を6N NaOHでアルカリ性にし、酢酸エチルで3回抽出した。混合有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。その結果得られた遊離アミンを次いで無水メタノール中のHCl溶液の添加により塩酸塩に変換した。塩を次いで酢酸エチル中での結晶化によって精製した。
【0042】
収率:69%.
H NMR(200MHz、(DMSO−d6):δ2,33(s、3H)、7.09(dd、1H、J=1,9およびJ=8,3Hz)、7.21(d、1H、J=8,3Hz)、7.65(d、1H、J=1,5Hz)、7.94(br、s、3H)、11,15(s、1H)、7.94(br、s、3H)、11.15(s、1H)
【0043】
5−ブロモ−2−メチル−N,N−ジメチルトリプタミン(ST1938)
16mLのMeOH中のHCHOの40%溶液(0.95mL)を、5−ブロモ−2−メチルトリプタミン(0.8g、3.16mmol)、AcOH(0.47mL)およびNaCNBH(0.35g)の攪拌溶液に滴下した。これを攪拌下で室温で2.5時間反応させた;5mLのKCOの飽和水溶液を次いで添加した;メタノールを減圧下で蒸発させ、水相を酢酸エチルで抽出した。
【0044】
有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下での溶媒の蒸発後、橙色油を得、これをシリカゲルでのろ過および続くジクロロメタン−ヘキサンからの結晶化により精製した。
【0045】
収率:56%
M.p.:135−136℃
Rf=0,52(CHCl/MeOH/TEA 9:0,4:0,4)
H NMR(200MHz、(CDCl):δ2,35(s、6H)、2,37(s、3H)、2,44−2,52(m、2H)、2,78−2,86(m、2H)、7,11(d、1H、J=8,5Hz)、7,18(dd、1H、J=1,6およびJ=8,5Hz)、7,60(d、1H、J=1,6Hz)、7,95(br s、1H)
EIMS:m/z 280、282(M)、222、224 (100)
【実施例2】
【0046】
上記のスキームおよび実施例により記載された方法にしたがって、以下の化合物を調製した:
【0047】
(E)−5−クロロ−2−メチル−3−(2−ニトロエテニル)−1H−インドール
橙色固体
収率:85%;
M.p..191−193℃
H NMR(200MHz、(アセトン−d):δ2,68(s、3H)、7,21(dd、1H、J=1,95およびJ=8,5Hz)、7,5(d、1H、J=8,5Hz)、7,85(d、1H、J=13,3Hz)、7,86(d、1H、J=1,95Hz)、8,30(d、1H、J=13,3Hz);EIMS:m/z 236(M)、154(100)
【0048】
5−クロロ−2−メチルトリプタミン塩酸塩
ベージュ色固体結晶をEtOH/EtOから沈殿させた。
収率:72%
H NMR(200MHz、(DMSO−d):δ2,33(s、3H)、6,97(dd、1H、J=1,9およびJ=8,3Hz)、7,25(d、1H、J=8,3Hz)、7,52(d、1H、J=1,5Hz)、8,03(br、s、3H)、11,15(s、1H)
【0049】
5−クロロ−2−メチル−N,N−ジメチルトリプタミン(ST1936)
白色固体;
収率:75%;
M.p.=126−127℃
H NMR(200MHz、CDCl):δ2,35(s、6H)、2,38(s、3H)、2,44−2,52(m、2H)、2,79−2,87(m、2H)、7,05(d、1H、J=1,9およびJ=8,6Hz)、7,17(d、1H、J=8,2Hz)、7,45(d、1H、J=1,9Hz)、7,86(br s、1H)
EIMS:m/z 236(M)、178(100)
【実施例3】
【0050】
【化3】

【0051】
試薬:(a)t−BuLi,THF,−20℃;EtI、−78℃から室温、2時間;(b)2N NaOH、MeOH、還流、40時間;(c)1−(ジメチルアミノ)−2ニトロエチレン、TFA、0℃、0,5時間;(d)LiAlH、THF、室温、6時間;(e)NaCNBH、40%、HCHO、MeOH、AcOH、室温、2,5時間。
【0052】
N−(ベンゼンスルホニル)−5−クロロ−2−エチルインドール(2)
t−BuLi(ペンタン中1.7M溶液、3.7mL)をTHF(35mL)中のN−(ベンゼンスルホニル)−5−クロロインドール(1)(J. Org. Chem. 1981、46、3859)(1.5g、5.14mmol)の溶液に−70℃で窒素雰囲気下で滴下した。混合物を15分間攪拌し、20分以上かけて室温まで昇温し、−70℃に冷却し、そして乾燥THF(5mL)中のヨー化エチル溶液(0.84mL、10.5mmol)で処理した。混合物を−78℃で1時間攪拌し、室温まで昇温させ、2時間攪拌し、氷(15g)およびNHCl飽和水溶液に注ぎ、エーテル(3x20mL)で抽出した。混合有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて残渣を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル、8:2)および酢酸エチル/シクロヘキサンからの結晶化によって精製した。
【0053】
収率:80%
M.p.:108℃(dec.)
H NMR(MHz,)(CDCl):δ1.33(τ、3H)、3.01(q、2H)、6.35(s、1H)、7.23(dd、1H)、7.39−7.74(m、6H)、8.11(d、1H)
EIMS:m/z 319(M);178、143(100%)
【0054】
5−クロロ−2−エチルインドール(3)
2(1.3g、4.07mmol)、2N NaOH(12mL)、およびMeOH(62mL)の混合物を40時間還流した。有機溶媒を蒸発させ、残った残渣をEtOAcで抽出した。混合抽出物を塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして減圧下で蒸発させて残渣を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル、8:2)およびエーテル/シクロヘキサンからの結晶化によって精製した。
【0055】
M.p.=89℃
収率 90%
H NMR(CDCl)δ1.35(t,3H)、2.79(q、2H)、6.19(s、1H)、7.06(dd、1H)、7.21(d、1H)、7.49(s、1H)、7.92(br s、1H)
EIMS:m/z 179(M);164(100)
【0056】
(E)−5−クロロ−2−エチル−3−(2−ニトロエテニル)−1H−インドール(4)
インドール3(5mmol)をトリフルオロ酢酸(5mL)中の1−(ジメチルアミノ)−2−ニトロエチレン(0.58g、5mmol)の攪拌氷冷溶液に添加した。混合物を室温でN下で0.5時間攪拌し、氷水に注いだ。水溶液を酢酸エチルで抽出し、混合有機層をNaHCO飽和溶液、そして水で洗浄した。NaSOでの乾燥後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗橙色固体を得、これをEtOAc−EtO混合物に懸濁してろ過するかあるいはシリカゲルでのクロマトグラフィーにかけた(シクロヘキサン/EtOAc、1:1、溶出液)。
【0057】
収率:89%
M.p.:188℃dec.
H(CDCl)δ1,42(t,3H)、3,02(q,2H)、7,21−7,34(m,2H)、7,68(m,1H)、7,72(d,1H)、8,3(d,1H)、8,68(br s,1H)
EIMS:m/z 250(M)、203、188(100)
【0058】
5−クロロ−2−エチルトリプタミン(5)
乾燥THF(25mL)中のニトロエテニルインドール4(6mmol)の溶液を、窒素下で乾燥THF(65mL)中のLiAlH(1.2g、36mmol)の攪拌氷冷懸濁液に少しずつ添加し、混合物を室温で5時間攪拌した。0℃に冷却した後、未反応のLiAlHを水を注意深く添加することによって破壊した。その結果得られた混合物をセライト(登録商標)パッドでろ過した;ろ液を減圧下で濃縮し、次いで2N HClで酸性にし、水と酢酸エチルに分配した。水相を6N NaOHでアルカリ性にし、次いでEtOAcで3回抽出した;混合有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして減圧下で濃縮して粗油性アミンを得た。
【0059】
(油);EIMS:m/z 222(M);192(100)、177
【0060】
5−クロロ−2−エチル−N,N−ジメチルトリプタミン(6)(ST2253)
MeOH(16mL)中の40%HCHO(0.95mL)を、(5)(3.16mmol)、AcOH(0.47mL)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.35g)の攪拌冷却(0℃)溶液に滴下した。その結果得られた混合物を25℃で2.5時間攪拌した。KCO飽和水溶液(5mL)を添加し、MeOHを減圧下で除去し、水相をEtOAcで抽出した。NaSOでの乾燥後、溶媒を減圧下で蒸発させて粗残渣を得、これをシリカゲルでのろ過によって精製した。
【0061】
(非晶質固体);H NMR(CDCl)δ1.3(t,3H);2.42(s、6H);2.55(m、2H)、2.83(m、4H)、7.06(dd、1H)、7.19(d、1H),7.45(m、1H)、7.88(br s、1H)
EIMS:m/z 250(M);192、177、58(100)
【0062】
本発明による化合物は、5−HTおよび/または5−HTセロトニン作動性受容体のリガンドである;それゆえ薬物、特にセロトニンレベル不足が関連する神経系疾患、心臓循環系(高血圧)、消化管(過敏性大腸症候群)を含む全身性疾患の治療用の薬物として有用である。
【0063】
本発明の化合物によって治療される疾患としては以下のものが例示される:偏頭痛、抑欝、高血圧、精神病およびその他のサーカディアンリズム(覚醒/睡眠周期、メラトニン合成)の脱同期化および/または喪失によってもたらされる機能変化に関するプロセス。
【0064】
式(I)の化合物であって、RがメチルでありRがブロモまたはクロロであり、そして特にRがブロモであるような好適な式(I)の化合物のグループの1つでは、該分子は5−HT受容体サブタイプに対するアフィニティーを獲得する。この特性により、ST1938と称される化合物の使用が、抑欝、偏頭痛および高血圧の治療、特に個人の学習プロセスを促進および向上させる場合や、精神疲労、抑欝および睡眠障害をもたらすヒトの生物学的リズムの脱同期化に対抗する場合に推奨される。
【0065】
5−HT受容体に対する結合の阻害は、公表された方法にしたがって測定した(Monsma、F.J. et al.、Molecular Pharm.,1993、43:320-327)。結合アッセイを、放射性リガンドとして[H]−LSD(リゼルギン酸ジエチルアミド)を用い、ラット5−HTを安定にトランスフェクトしたHEK293(ヒト胎児由来腎臓細胞)を用いて行なった。予め、各化合物をDMSOに溶解して10mMのストック溶液を調製し、次いでHOに溶解して最終濃度0.1mMとした。段階希釈の後、8種類の濃度(10μMから0.001nM)を二連で用いて競合曲線を得、これによって各被験化合物の5−HT受容体に対する結合アフィニティーを評価した。用いた実験条件は、2nM[H]−LSD、非特異的結合を測定するための100μMセロトニンクレアチニン硫酸塩、各サンプルの37℃での60分間のインキュベーションであった。インキュベーション後、膜を迅速にグラスファイバーフィルター(GF/B、Packard)により減圧下でろ過した。結合した放射能をシンチレーションカウンター(Topcount、Packard)によって測定し、この際液体シンチレーション混合物(Microscint 0、Packard)を用いた。各化合物についてのIC50を、Hill式曲線フィッティングを利用して競合曲線の非線型回帰分析によって決定した。次いでこれらの値を用いて阻害定数(Ki)の値を算出し、これによって各被験化合物の5−HT受容体に対するアフィニティーが表される。Ki値はCheng Prusoff式によって規定された:Ki=IC50/1+([L]/Kd)(ここでIC50値は、特異的放射性リガンドを受容体から50%置換する被験化合物の濃度(nM)であり、[L]はアッセイにおける特異的放射性リガンドの濃度であり、そしてKdは放射性リガンドの受容体に対するアフィニティーである)。
【0066】
5−HT受容体に対する物質のアフィニティーを測定するために置換実験を、公表された方法(Shen、Y. et al.. (1993) Journal Biological Chemistry 268: 18220-18204)にしたがって行なった。試験を行なうために、ヒト5−HT受容体を安定にトランスフェクトされたCHO細胞(ヒト卵巣細胞)および放射性リガンドとして[H]−LSD(4nM)を用いた。その他の実験条件は、非特異的リガンドとして10μMセロトニン、各サンプルの22℃での120分間のインキュベーションであった。それぞれの被験化合物について8種類の濃度(10−5Mから10−12M)で二連で実験し、完全な競合曲線を得た。各化合物を予めDMSOに溶解しておき10−3Mのストック溶液を得、そしてHOに溶解して最終濃度を10−5Mとした。各被験化合物の結合反応を、グラスファイバーフィルター(GF/B、Packard)により減圧下で迅速にろ過して停止させた。フィルターを数回氷冷バッファーで洗浄した。結合した放射能を液体シンチレーション混合物(Microscint 0、Packard)を用いてシンチレーションカウンター(Topcount、Packard)によって測定した。上記のように、各競合曲線の非線型回帰分析によりIC50値を決定し、Ki値をChen Prusoff式(Ki=IC50/(1+L/Kd)により算出した。
【0067】
表1において、各被験化合物の5−HTおよび5−HT結合アフィニティー値を報告する。
【0068】
【表1】

【0069】
ST1936、ST1938、ST2253は、ラット組換え5−HT受容体に対して高いアフィニティーを示した。さらに、それらの結合アフィニティーはセロトニンについて観察されたものよりも高かった。
【0070】
これらの化合物のなかで、ST1938と称されるものは、ヒト組換え5−HT受容体に対しても最も高いアフィニティーを示したが、ST1936およびST2253はそれぞれ中程度および無視可能なアフィニティーを示した。
【0071】
選択した化合物についてその5−HT受容体に対する結合の特異性を判定した。予めその他のセロトニン部位に対する結合アフィニティーを評価した。
【0072】
表2において、選択した化合物のいくつかのセロトニンサブタイプに対するアフィニティー値(Ki、nM)を示す。
【0073】
【表2】

【0074】
化合物ST1936およびST2253は選択的に、5−HT受容体に結合することができることが示される。さらに、その他の神経伝達物質に関するいくつかの受容体に対する結合アフィニティーを評価した後に、ST1936およびST2253の5−HT受容体結合特異性を調べた。
【0075】
ST1936およびST2253について23の部位で調査した。それらの受容体のほとんどにおいて選択した化合物は無視可能なアフィニティーしか示さなかった。特にST1936およびST2253のアフィニティー値は以下の受容体については1000nM程度またはそれより大であった:アルファ1aおよびベータアドレナリン作動性;D、D、D、D4,4、Dドーパミン作動性;NMDA、ムスカリン性(非−選択的);Nニューロン性(α−BGTX−sens.)、Nニューロン性(α−BGTX−ins.)ニコチン性、Hヒスタミン作動性、オピエート(非−選択的)、バソプレッシンのV1a、V1b、V、メラトニンのMLおよびML、NAトランスポーター、DAトランスポーター。さらに、化合物ST1936およびST2253はそれぞれ53nMおよび69nMの中程度のアフィニティーを、アルファ1bアドレナリン作動性受容体について示した。しかし選択した化合物のアルファ1b受容体に対する相互作用能は、5−HT受容体について評価されたものの約2分の1および3分の1であった。これらすべてのデータは、化合物ST1936およびST2253が5−HT受容体に対して選択的アフィニティーを有することを示すものであった。
【0076】
5−HTおよび5−HTセロトニン受容体に対して混合した活性を示すようであるST1938と称される選択した化合物については、以下の部位に対して無視可能なアフィニティー(Ki>1000nM)を示した:H;NMDA;PCP;ムスカリン性受容体;ニコチン性受容体、オピエート;バソプレッシンVおよびV;D、D、D、D4,4、D;DAトランスポーター、NAトランスポーター。
【0077】
本発明のさらなる目的は、活性成分として少なくとも1つの式(I)の化合物を、単独でまたは1または複数のその他の式(I)の化合物とともに含有するか、あるいは該1または複数の式(I)の化合物とその他の本明細書において記載した疾患の治療に用いられる活性成分と組合せて、別々の投与形態または併合療法に適した形態で含有する医薬組成物に関する。その他の活性成分としては例えば、5−HTおよび/または5−HTセロトニン作動性受容体に対して活性を有する他の化合物が挙げられる。本発明による活性成分は薬学分野で通常用いられる適切な媒体および/または賦形剤と混合すればよく、媒体および/または賦形剤としては例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences Handbook、latest editionに記載のものが挙げられる。本発明による組成物は治療的に有効な量の活性成分を含むものである。投与用量は、当業者、例えば臨床医または医師によって、治療される疾患のタイプや患者の状態、あるいはその他の活性成分の投与に応じて決定される。
【0078】
医薬組成物の例としては、経口、非経口、静脈内、筋肉内、皮下、経皮投与用のものが挙げられる。
【0079】
この目的に好適な医薬組成物としては、丸剤、硬または軟カプセル剤、散剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、即時溶解組成物用の固体形態のものが挙げられる。非経口投与用組成物としては、注射可能な形態、例えば筋肉内、静脈内、皮下の、溶液、懸濁液および乳濁液の形態のものが挙げられる。リポソーム製剤も挙げられる。活性成分の徐放形態も含まれ、適当な被覆物質でコーティングされたもの、マイクロカプセルに入れられた粉末、シクロデキストリン複合体などの経口投与用のもの、および、皮下使用またはインプラントとしての使用のためなどの持効性製剤も含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物および医薬上許容されるその塩の、5−HTおよび/または5−HTセロトニン作動性受容体のリガンドとして有用な薬物の調製のための使用。
【化1】

[式中:RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、HまたはC−C直鎖状または分枝鎖状アルキル;
=C−C直鎖状または分枝鎖状アルキル;
=ハロゲン]。
【請求項2】
該薬物がセロトニンレベル不足に関連する神経系疾患、心血管系および消化管を含む全身性疾患の治療に用いられる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
該薬物が高血圧の治療に有用である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
該薬物が過敏性大腸症候群の治療に有用である、請求項2に記載の使用。
【請求項5】
該薬物が、偏頭痛、抑欝、高血圧、精神病およびサーカディアンリズム(覚醒/睡眠周期およびメラトニン合成)の脱同期化および/または喪失から起こる症状の治療に有用である、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
該薬物が5−HTセロトニン作動性受容体のリガンドであり、抑欝、気分障害、精神病、統合失調症、運動障害、認知障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病の治療に有用である、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
式(I)の化合物であってRがRと同じである請求項1に記載の使用。
【請求項8】
式(I)の化合物であってRがメチルでありRがブロモまたはクロロである請求項1または4に記載の使用。
【請求項9】
式(I)の化合物であってRがブロモである請求項1または5に記載の使用。
【請求項10】
式(I)の化合物が5−ブロモ−2−メチル−N,N−ジメチルトリプタミンである請求項9に記載の使用。
【請求項11】
式(I)の化合物であってRがクロロである請求項1または6に記載の使用。
【請求項12】
式(I)の化合物が5−クロロ−2−メチル−N,N−ジメチルトリプタミンまたは5−クロロ−2−エチル−N,N−ジメチルトリプタミンである請求項11に記載の使用。
【請求項13】
該薬物が5−HTセロトニン作動性受容体のリガンドとして有用である請求項9に記載の使用。
【請求項14】
該薬物が5−HTセロトニン作動性受容体のリガンドとして有用である請求項11または12に記載の使用。
【請求項15】
抑欝、偏頭痛および高血圧の治療に有用であって、特に個体の学習プロセスを補助または向上させ、精神疲労、抑欝および睡眠障害をもたらすヒトの生物的リズムの脱同期化に対抗する薬物の調製のための請求項13に記載の使用。
【請求項16】
抑欝、気分障害、精神病、統合失調症、運動障害、認知障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病の治療に有用な薬物の調製のための請求項14に記載の使用。
【請求項17】
式(I)の化合物および医薬上許容されるその塩
【化2】

[式中:RおよびRは同じであっても異なっていてもよいHまたはC−Cアルキル;
=C−Cアルキル;
=ハロゲン,
ただし、Rがフルオロ、クロロまたはブロモ、Rがメチルの場合、同じであっても異なっていてもよいRおよびRはHまたはメチルではない]。
【請求項18】
以下のスキームに従う、請求項17に記載の化合物の調製方法。
【化3】

【請求項19】
請求項17に記載の化合物の薬物としての使用。
【請求項20】
活性成分として少なくとも1つの請求項17に記載の化合物を、医薬上許容される媒体および/または賦形剤と混合して含む医薬組成物。

【公開番号】特開2011−16835(P2011−16835A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204733(P2010−204733)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【分割の表示】特願2003−506898(P2003−506898)の分割
【原出願日】平成14年6月17日(2002.6.17)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】