説明

5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形

【課題】インスリン抵抗性が病態生理学的な機構の基礎をなす疾患の処置、および高血圧の処置をより良い効力、作用強度および低毒性で行う。
【解決手段】本 発明は、式(I)を有する5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形に関する。本発明はまた、この新規な結晶形および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物に関する。本発明の新規な結晶 形は、抗糖尿病剤として、これまでに公知の5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩よりも活性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、以下の化学式(I)を有する、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形に関する。本発明は、新規な結晶形および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物にも関する。本発明の新規な結晶形は、これまでに公知の5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩と比べて、抗糖尿病剤として、より活性がある。
【0002】
【化6】

【0003】
本発明は、式(I)を有する5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の、新規な結晶形の調製プロセスにも関する。
【0004】
本発明の上記式(I)で定義される、新規な結晶形、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩は、血液中のグルコースを減少させ、冠状心臓疾患およびアテローム硬化症に有益な効果がある。
【0005】
糖尿病の処置に利用される多くの薬剤の中でも、チアゾリジンジオン誘導体には、硫化尿素に比べ、より顕著で、より優れていると考えられる効果がある。5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩は、正常血糖作用を示すチアゾリジンジオンの一つであり、本発明者らの米国特許第5,985,884号として報告されている。
【0006】
式(I)を有する5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形は、体重の減少ならびに高血圧、冠状心臓疾患、アテローム硬化症、脳卒中、末梢血管疾患および関連疾患のような疾患の処置、および/あるいは予防に有益である。式(I)を有する5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形は、糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化およびネフロパシーを含む特定の腎疾患の処置に使用可能である。式(I)を有する5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形は、インスリン抵抗性(II型糖尿病)、
レプチン抵抗性、耐糖能異常、異脂肪血症、高血圧、肥満、インスリン抵抗性、冠状心臓疾患および他の心臓血管障害を含むX症候群に関する疾患の処置および/あるいは予防にも有益である。式(I)を有する新規な結晶形5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩は、痴呆、糖尿病の合併症、内皮細胞の活性化に関する障害、乾癬、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、炎症性腸疾患、骨粗鬆症、筋強直性ジストロフィー、膵炎、動脈硬化、網膜症、黄色腫、癌による炎症および癌において認知の機能を改善するための、アルド−スレダクターゼ阻害薬としても有益であり得る。本発明の、式(I)を有する新規な結晶形5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩は、一つ以上のHMG CoAレダクターゼ阻害剤、抗高脂血症薬/低リポタンパク血症薬(例えばフィブリン酸誘導体、ニコチン酸、コレスチラミン、コレステポール、プロブコール)と併用/付随して、上記疾患の処置および/あるいは予防に有益である。
【背景技術】
【0007】
(発明の背景)
近頃、薬品産業が、薬物における多形、および既知の薬物の異なった多形形態における活性の差を研究する傾向にある。多形とは、異なる物理的構造、結晶形、結晶/液体結晶/非結晶(アモルファス)構造を包含するよう意味する。このことは、多くの抗生物質、抗菌剤、トランキライザーなどが多形を示し、既知の薬物の多形のいくつか/一つが、より優れた生物学的有効性(bio−availability)を示し、結果的に他の多形に比べてより高い活性を示すことが、認められた後、特に、大変興味深くなっている。セルトラリン、フレンチゾール、ランチジン、スルファチアゾール、インドメタシンなどは、多形を示すいくつかの重要な薬物である。薬物における多形は、最近の興味あるトピックであり、そして特許を付与された主なのは明らかである。いくつかを挙げると、米国特許第5700820号はトログリタゾンの6個の多形を開示し、米国特許第5248699号はセルトラリン塩酸塩の5個の多形について論議しており、一方で欧州特許第014590号は、フレンチゾールの4個の多形について記述している。欧州特許第490648号および欧州特許第022527号は、薬物の多形についても扱っている。
【0008】
いくつかの参考文献では、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の構造について開示しているが、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩が異なった多形形態を示すことについての可能性/認識にふれた参考文献は無い。これまでに刊行された文献で、そのような観察に関する物は無い。薬物の多形は、最近の興味あるトピックであり、そして特許を付与された主なのは明らかであり、いくつかを挙げると、米国特許第5248699号はセルトラリン塩酸塩の5個の多形について論議しており、一方で欧州特許第014590号は、フレンチゾールの4個の多形について記述しており、欧州特許第490648号および欧州特許第022527号は、6個のトログリタゾンWO97/27191について記載しており、WO97/27191は、薬物の多形も扱っている。5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形が早期に研究されていない事実は、薬物の多形分野における最近の興味と共に、本発明者らを本研究へと促した。本発明者らの観察および結果は、本発明の主題を形成している。
【0009】
慢性的な糖尿病の合併症の予防/治療の観点から、研究は、最近世界中で行われている。5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩は、効果的な抗糖尿病薬(anti−diabetic drug)の一つとして考えられており、この塩は、糖尿病そのものに働くのみならず、トリグリセリドの減少および上述の疾患に付随して起こる合併症の減少にも働き、多目的活性を有する。実際、上述の5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩は、糖尿病および関連障害の処置のために開発中である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
新規多形形態の開発の目的は、コレステロールの減少および体重の減少に伴う有益な効果として、脂肪量の増加、アテローム硬化症、冠状動脈疾患、X症候群(糖耐性、インスリン抵抗性、2型糖尿病を引き起こすインスリン抵抗性および糖尿病合併症に関する疾患の処置および/あるいは予防し、そのインスリン抵抗性が病態生理学的な機構の基礎をなす疾患の処置、および高血圧の処置をより良い効力、作用強度および低毒性で行うことであり、本発明者らは、上記で言及した疾患の処置に効果のある、新規多形形態の開発に、本発明者らの研究の照準を合わせた。この方向の試みは、式(I)を有する多形形態を導いた。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩、これらの立体異性体、これらの薬学的に受容可能な溶媒和化合物の新規な結晶形、およびそれらもしくはそれらの混合物を含む薬学的組成物を提供することであり、これらは、PPARαおよび/あるいはPPARγに対するアゴニスト活性を有し得、そしてPPARαおよび/あるいはPPARγに対してアゴニスト活性を有するのに加えて、必要に応じてHMG CoAレダクターゼを阻害する。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形、これらの立体異性体、これらの薬学的に受容可能な溶媒和化合物、およびそれらを含む薬学的組成物、もしくは、活性の亢進、毒性の除去または毒性の減少を有する混合物を含む薬学的組成物を提供することである。
【0013】
まだ、本発明のさらに他の目的は、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形、これらの立体異性体、薬学的に受容可能な溶媒和化合物の調製工程を提供することである。
【0014】
本発明のなおさらに他の目的は、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形、溶媒和化合物もしくはその混合物を適切なキャリア、溶媒和化合物、希釈液または、組成物の調製に通常使用される他の媒体と共に、包含する薬学的組成物を、提供することである。
【0015】
新規の多形を調製するための本発明者らの努力によって、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩は、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンおよびカリウムtert−ブトキシドからアセトニトリルキシレン混合物中で調製される。
【0016】
(発明の簡単な説明)
本発明は、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩が多形を示すというこれまでに報告が無い観察に関する。この結晶形は、アセトニトリル/キシレン溶媒和化合物中で調製されることにより得られ、融解吸熱を、296.24、307.64℃において、発熱を291.90℃において、小さい発熱を164.23℃において示す。
【0017】
本発明はまた、式Iとして本発明者らの国際出願番号PCT/US97/11522の実施例41に示す、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の調製プロセスに関する。式Iの5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩はまた、メタノール/キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、1,4−ジオキサン/キシレン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびDMSOより調製され、上記で言及した国際出願に記されている、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩についての報告したデータと同一であり、また対応している。
【0018】
この新規な結晶形は、溶液中では、他の構造と同一であることが、核磁気共鳴分析法(NMR)、紫外線スペクトルおよびマススペクトルの情報より立証された。他方で、示差走査熱量測定(DSC)、粉末X線回折法(XRD)および赤外線分光法(IR)のような固体状態の技術は、これらの形態間の相違を明らかにした。
【0019】
X線粉末回折図は、Θ/2 Θ幾何学における水平角度計を設置した、Rigaku D/Max 2200モデル回折計を用いて得た。銅Kα(λ=1.5418A)照射を使用し、試料は3〜45°2Θの間で走査した。
【0020】
示差走査熱量測定計は、コントローラーを備えたShimadzu DSC−50を装置として実施する。データを、Shimadzu TA−50ソフトウエアを使用してPentium(登録商標)PCにて収集した。アルミニウムセルで秤量した試料は、10℃/分の加熱速度で、室温から350℃まで熱した。空のアルミニウムセルを参照として使用した。乾燥した窒素ガスは、分析している間、30ml/分の流速で、DSCセル中に継続して充填した。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
以下の式(I)を有する、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形であって、以下のデータにより特徴づけられる、結晶形:
【化1】


DSC: 296.24、307.64℃における吸熱、
164.23℃における小さい発熱
291.90℃における発熱、
IR(KBr)、(cm−1):507.4、564.1、612.7、699.7、778.9、810.1、1038.9、1223.8、1314.2、1426、1466、1510.7、1580.9、1667.8、3432.4、
粉末X線回折(2θ):6.20、9.34、12.16、12.48、15.06、18.26、18.80、24.02、24.46、26.70、27.02、27.48、30.86。
(項目2)
項目1において規定される特徴を有する、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形の調製のためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
(i)公知の方法を用い、該5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンを合成し、アセトニトリルおよびキシレンの混合物中に溶解する、工程;
(ii)得られた該溶液を60〜90℃の間の温度で加熱して、透明な溶液を得る工程;
(iii)室温にてメタノール中に溶解しているカリウムtert−ブトキシドを、工程(ii)で得られた該溶液に、継続して攪拌しながらゆっくり加える工程;
(iv)0.5〜5時間の範囲の間、室温にて該反応混合物を攪拌して、沈殿物を得る工程;
(v)得られた該溶液を冷却し、上記の工程(iv)で得られた該沈殿物を濾過する、工程;ならびに
(vi)20〜60℃にて真空下で0.5〜5時間の範囲の間、乾燥させて、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形を得る工程、
を包含する、プロセス。
(項目3)
下式I:
【化2】


の5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形I型の調製のためのプロセスであって、該多形I型は、以下の特徴:
DSC: 301.17℃、311.82℃における吸熱、
297.68℃における発熱、
IR(KBr)(cm−1):503.9、559.7、609.7、658.8、609.7、701.3、772.9、809.7、1035.7、1058.4、1271.9、1329.7、1378.5、1426、1477.6、1511.8、1591.5、1675.4、1861.9、3039.1、3442.9、
X線粉末回折(2θ):6.44、7.42、9.28、10.76、11.24、15.06、16.16、18.60、25.06、28.42、30.40、
を有し、該プロセスは、以下の工程:
(i)公知の方法を用い、上記5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンを合成して、60〜80℃にて有機溶媒に溶解する、工程;
(ii)40〜60℃の温度にて、有機溶媒に溶解したカリウムtert−ブトキシドを加える、工程;
(iii)該反応混合物を、20〜90℃の温度にて1〜10時間の範囲の間、撹拌する工程;
(iv)得られた該溶液を冷却し、上記の工程(iii)で得られた該沈殿物を濾過する、工程;
(v)40〜70℃の温度で真空下にて1〜6時間の範囲の間、乾燥して、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩のI型を得る工程、
を包含する、プロセス。
(項目4)
上記有機溶媒は、メタノール、メタノールおよびキシレンの混合物、アセトンおよびキシレンの混合物、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ジエチルケトンならびにメチルイソブチルケトンより選択される、項目3に記載のプロセス。
(項目5)
下式I
【化3】


の5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形I型の調製のためのプロセスであって、以下の工程:
(i)公知の方法を用い、上記5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンを合成して、室温で有機溶媒に溶解する工程;
(ii)有機溶媒に溶解したカリウムtert−ブトキシドを室温にて加える工程;
(iii)該反応混合物を、室温で2〜20時間の範囲の間、撹拌する工程;
(iv)得られた該溶液を冷却し、上記の工程(iii)で得られた該沈殿物を濾過する工程;ならびに
(v)40〜70℃の温度で真空下にて、1〜6時間の範囲の間、乾燥させて、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩のI型を得る工程、
を包含する、プロセス。
(項目6)
上記有機溶媒は、DMF、1,4−ジオキサン、もしくは1,4−ジオキサンおよびキシレンの混合物より選択される、項目3に記載のプロセス。
(項目7)
下式I
【化4】


の5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形I型の調製のためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
(i)上記手順のいずれかにより、該5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩を合成する工程;
(ii)50〜80℃でDMSOに溶解して、透明な溶液を得る工程;
(iii)該反応混合物を、室温で1〜8週間、保存する工程;
(iv)上記の工程(iii)で得られた該沈殿物を濾過する、工程;および
(v)40〜70℃の温度で真空下にて1〜6時間の範囲の間、乾燥させて、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩のI型を得る工程、
を包含する、プロセス。
(項目8)
薬学的組成物であって、項目1において規定される、下式I
【化5】


を有する、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形、および薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤または溶媒化合物を含む、組成物。
(項目9)
錠剤、カプセル、粉末、シロップ、溶液、または懸濁液の形態である、項目8に記載の薬学的組成物。
(項目10)
項目8および9に記載の薬学的組成物であって、II型糖尿病、グルコース不耐症、レプチン抵抗性、異脂肪血症;高血圧、肥満、インスリン抵抗性、アテローム硬化症、高脂血症、冠状動脈疾患、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、および他の心臓血管障害を含むX症候群に関連する障害;糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化、ネフロパシーを含む腎疾患;内皮細胞の活性化に関する障害、乾癬、骨粗鬆症、痴呆、糖尿病の合併症、炎症性腸疾患、筋強直性ジストロフィー、膵炎、動脈硬化、網膜症もしくは黄色腫の処置および/または予防のための、薬学的組成物。
(項目11)
高脂血症、高コレステロール血症、高血糖、骨粗鬆症、肥満、耐糖能異常、アテローム硬化症、レプチン抵抗性、インスリン抵抗性またはインスリン耐性が病態生理学的な機構の基礎をなしている疾患の予防または処置の方法であって、項目1に記載の5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形または項目8もしくは項目9に記載の薬学的組成物を、該予防または処置を必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目12)
総コレステロール、体重、血漿中グルコース、トリグリセリド、LDL、VLDLもしくは遊離脂肪酸を減少させるか、または血漿中のHDLを増加させる方法であって、項目1に記載の5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形、または項目8もしくは項目9に記載の薬学的組成物を、該減少または増加を必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目13)
高脂血症、高コレステロール血症、高血糖、骨粗鬆症、肥満、耐糖能異常、アテローム硬化症、レプチン抵抗性、インスリン抵抗性またはインスリン抵抗性が病態生理学的な機構の基礎をなしている疾患を予防または処置する方法であって、項目1に記載の5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形、または項目8もしくは項目9に記載の薬学的組成物を、HMG CoAレダクターゼ阻害剤;コレステロール吸収阻害剤;抗肥満薬;リポタンパク質障害処置薬;フィブラート;血糖降下薬:インスリン;ビグアナイド;スルホニル尿素;チアゾリジンジオン;PPARαおよびγ二重アゴニストまたはその混合物もしくはその組み合わせと併用して、相乗的および/あるいは相加的に作用するような期間の間、該予防または処置を必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目14)
項目11および項目13に記載の方法であって、上記疾患は、II型糖尿病、耐糖能異常、異脂肪血症;高血圧、肥満、インスリン抵抗性、アテローム硬化症、高脂血症、冠状動脈疾患、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、および他の心臓血管障害を含むX症候群に関連する障害;糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化、ネフロパシーを含む腎疾患;内皮細胞の活性化に関する障害、乾癬、骨粗鬆症、痴呆、糖尿病の合併症、炎症性腸疾患、筋強直性ジストロフィー、膵炎、動脈硬化、網膜症または黄色腫である、方法。
(項目15)
総コレステロール、体重、血漿中グルコース、トリグリセリド、LDL、VLDLもしくは遊離脂肪酸を減少させるか、または血漿中のHDLを増加させる方法であって、項目1において規定される式Iの化合物、または項目8もしくは項目9に記載の薬学的組成物を、HMG CoAレダクターゼ阻害剤;コレステロール吸収阻害剤;抗肥満薬;リポタンパク質障害処置薬;フィブラート;血糖降下薬:インスリン;ビグアナイド;スルホニル尿素;チアゾリジンジオン;PPARαおよびγ二重アゴニストまたはその混合物と併用して、該減少または増加を必要とする患者に投与する工程であって、一緒に投与されても相乗的に一緒に作用するような期間内に投与されてもよい、工程を包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、新規な結晶形の特徴的な粉末X線回折パターンである。
【図2】図2は、新規な結晶形の特徴的な示差走査熱量計の温度記録である。FT−IRスペクトルは、Perkin−Elmer 1650 FT−IR分光光度計を使用して、KBr分散として、固形段階において記録した。
【図3】図3は、KBrでの新規な結晶形の特徴的な赤外線吸収スペクトルである。
【図4】図4は、新規な結晶形の特徴的な粉末X線回折パターンである。
【図5】図5は、新規な結晶形の特徴的な示差走査熱量計の温度記録である。FT−IRスペクトルは、Perkin−Elmer 1650 FT−IR分光光度計を使用して、KBr分散として固体状態で記録した。
【図6】図6は、KBrでの新規な結晶形の特徴的な赤外線吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の詳しい説明)
本発明の特徴によれば、式I
【0023】
【化7】

【0024】
を有する5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形が提供され、これは、以下のデータにより特徴づけられる:
DSC:吸熱 296.24、307.64℃(図2)
小さい発熱 164.23℃
発熱 291.90℃
IR(KBr)、(cm−1):507.4、564.1、612.7、699.7、778.9、810.1、1038.9、1223.8、1314.2、1426、1466、1510.7、1580.9、1667.8、3432.4(図3)
粉末X線回折(2θ):6.20、9.34、12.16、12.48、15.06、18.26、18.80、24.02、24.46、26.70、27.02、27.48、30.86(図1)。
【0025】
本発明の他の特徴によれば、既にその特徴について述べた、式Iの5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形の調製のためのプロセスが提供され、この方法は、以下の工程を包含する:
(i)公知の方法を用いて、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンを合成し、アセトニトリルおよびキシレン混合物中に溶解する工程;
(ii)透明な液を得るために、得られた溶液を60〜90℃の間の温度で熱する工程;
(iii)室温のメタノール中に溶解しているカリウムtert−ブトキシドを、工程(ii)で得られた溶液に、継続して攪拌しながら、徐々に加える工程;
(iv)沈殿物を得るために、0.5〜5時間の範囲の間、室温で反応混合物を攪拌する工程;
(v)得られた溶液を冷却し、上記の工程(iv)で得られた沈殿物を濾過する工程;
(vi)5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形を得るために、20〜60℃の真空中で、0.5〜5時間の範囲の間、乾燥させる工程。
【0026】
本反応は、以下に示す模式図Iにより、示される:
【0027】
【化8】

【0028】
本発明はまた、式Iを有する、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物を包含する。
【0029】
本発明のさらに他の実施態様では、以下に示す特徴を有する、式Iを有する5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形I型の調製工程を提供する:
DSC:吸熱温度 301.17℃、311.82℃(図5)
発熱温度 297.68℃
IR(KBr)(cm−1):503.9、559.7、609.7、658.8、609.7、701.3、772.9、809.7、1035.7、1058.4、1271.9、1329.7、1378.5、1426、1477.6、1511.8、1591.5、1675.4、1861.9、3039.1、3442.9(図6)
X線粉末回折(2θ):6.44、7.42、9.28、10.76、11.24、15.06、16.16、18.60、25.06、28.42、30.40(図4)
このプロセスは、以下の工程を包含する:
(i)公知の方法を用い、60〜80℃で有機溶媒に溶解して、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンを合成する工程;
(ii)40〜60℃の温度で有機溶媒に溶解したカリウムtert−ブトキシドを加える工程;
(iii)20〜90℃の温度でこの反応混合物を、1〜10時間の範囲の間、撹拌する工程;および
(iv)得られた溶液を冷却し、上記の工程(iii)で得られた沈殿物を濾過する工程;
(v)40〜70℃の温度で真空下にて、1〜6時間の範囲の間乾燥させて、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩のI型を得る工程。
【0030】
有機溶媒は、メタノール、メタノールおよびキシレンの混合物、アセトンおよびキシレンの混合物、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ジエチルケトンならびにメチルイソブチルケトンより選択される。
【0031】
本発明のさらに他の実施態様によれば、上記の特徴を有する、式Iの5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形I型の調製のための代替のプロセスが提供され、このプロセスは、以下の工程を包含する:
(i)公知の方法を用い、室温で有機溶媒に溶解して、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンを合成する工程;
(ii)室温で有機溶媒に溶解したカリウムtert−ブトキシドを加える工程;
(iii)室温でこの反応混合物を、2〜20時間の範囲の間、撹拌する工程;
(iv)得られた溶液を冷却し、上記の工程(iii)で得られた沈殿物を濾過する工程;および
(v)40〜70℃の温度で真空下にて1〜6時間の範囲の間乾燥させて、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩のI型を得る工程。
【0032】
有機溶媒は、DMF、1,4−ジオキサン、もしくは1,4−ジオキサンおよびキシレンの混合物より選択される。
【0033】
本発明のさらに他の実施態様によれば、上記の特徴を有する、式Iの5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形I型の調製のための代替のプロセスが提供され、このプロセスは、以下の工程を包含する:
(i)5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩を上記手順の任意のものから合成する工程;
(ii)50〜80℃でDMSOに溶解して透明な溶液を得る工程;
(iii)この反応混合物を、室温で1〜8週間保存する工程;
(iv)上記の工程(iii)で得られた沈殿物を濾過する工程;および
(v)40〜70℃の温度で真空下にて、1〜6時間の範囲の間、乾燥させて、5−[4[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩のI型を得る工程。
【0034】
薬学的組成物は、錠剤、カプセル、粉末、シロップ、溶液、懸濁液などのような通常使用される形態であり得、適した固体もしくは液体のキャリアもしくは希釈剤中か、または注射可能な溶液もしくは懸濁液を形成するために適した滅菌媒体中に香料、甘味料などを含み得る。このような組成物は、典型的には1〜25重量%、好ましくは1〜15重量%の活性成分を含み、組成物の残りの部分は、薬学的に受容可能なキャリア、希釈液または溶媒である。
【0035】
上で定義された、式(I)の新規な結晶形は、哺乳動物(ヒトを含む)に、経口、鼻、肺、経皮または非経口、直腸、蓄積、皮下、静脈内、尿管内、筋内、鼻腔内、点眼用の液剤または軟膏を介して、臨床的に投与される。より簡便で、予測される痛みおよび注射による刺激を回避する、経口経路による投与が好ましい。しかしながら、疾患あるいは他の異常により、患者が薬剤を飲み込めないか、もしくは、経口投与後の吸収が妨げられる状況では、薬剤を非経口的に投与することが必須である。どのような経路であれ、投与量は、1日あたり、被験体の体重1kgにつき約0.01〜約100mgの範囲の量もしくは、好ましくは1日あたり体重1kgにつき、約0.01〜約30mgの量であり、一回でもしくは分割用量として投与される。しかしながら、処置される個々の被験体についての最適投与量は、個人における処置への応答によって決定され、一般的には、初期には少ない量を投与し、その後、最も適した投与量を決定するために漸増する。
【0036】
適した薬学的に受容可能なキャリアは、固形の充填物もしくは希釈剤および滅菌水溶液もしくは滅菌有機溶液を含む。活性成分は、上記のような範囲の所望する投与量を提供するのに十分な量で薬学的組成物中に存在する。このように、経口投与については、多形形態は、適した固体もしくは液体のキャリアもしくは希釈剤と配合されて、カプセル、錠剤、粉末、シロップ、溶液、懸濁液などを形成し得る。もしも所望するのであれば、薬学的組成物は、香料、甘味料、賦形剤および類似物のようなさらなる成分を含み得る。非経口の投与については、新規な結晶形は、滅菌水性媒体もしくは滅菌有機媒体と配合されて注射可能な溶液もしくは懸濁液を形成し得る。例えば、ごま油溶液、ピーナツオイル溶液、水性プロピレングリコール溶液などが使用され得、化合物の塩基との薬学的に受容可能な水溶性酸付加塩の水溶液も同様に使用され得る。ポリヒドロキシル化ヒマシ油中に溶解した活性成分を有する水溶液はまた、注射液として使用され得る。次いで、このように調製された注射液は、静脈内、腹腔内、皮下、もしくは筋内に投与され得、ヒトにおいては筋内投与が好ましい。
【0037】
鼻への投与については、調製物は、液体キャリア(エアロゾル散布のためには特に水性キャリア)に溶解または懸濁された、本発明の新規な結晶形を含み得る。キャリアは、プロピレングリコールのような可溶化剤、界面活性剤、レシチン(フォスファチジルコリン)もしくはシクロデキストリンのような吸収促進剤、またはパラベンのような保存料のような添加物を含み得る。
【0038】
タルクおよび/または炭水化物担持結合剤などを有する錠剤、糖衣錠またはカプセルは、特に、任意の経口適用に適している。好ましくは、錠剤、糖衣錠もしくはカプセル用のキャリアとしては、ラクト−ス、コーンスターチおよび/またはジャガイモでん粉が挙げられる。シロップあるいはエリキシルは、甘味付けされた媒体が使用され得る場合に、使用され得る。
典型的な錠剤の製造方法を以下に例証する:
錠剤製造例:
a)1)活性成分 30g
2)ラクト−ス 95g
3)コーンスターチ 30g
4)カルボキシメチルセルロース 44g
5)マグネシウムステアレート 1g
200g(1000錠分)
成分1〜3を、一様に水と混和させ、減圧下で乾燥した後、顆粒化する。成分4および5を、この顆粒とよく混合し、錠剤製造機で圧縮して、各粒中に30mgの活性成分を含む1000粒の錠剤を調製する。
b)1)活性成分 30g
2)リン酸カルシウム 90g
3)ラクト−ス 40g
4)コーンスターチ 35g
5)ポリビニルピロリドン 3.5g
6)マグネシウムステアレート 1.5g
200g(1000錠分)
成分1〜4を、5の水溶液で一様に湿らせ、減圧下で乾燥した後、顆粒化する。成分6を添加し、錠剤製造機で圧縮して、30mgの成分1を含む1000粒の錠剤を調製する。
【0039】
本発明を、下記の実施例にて詳細に説明する。これらの実施例は、例示としてのみ提供され、本発明の範囲を限定すると解釈すべきものではない。
【0040】
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンの合成は、本発明者らのWO出公開番号WO97/41097に記載される。
(発明の効果)
【0041】
(発明の利点)
・5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態は、より活性があり/生物学的に利用可能であり、それ故に、処置あるいは予防に非常に有用である。
・これらの形態を含む処方の簡便さから、結果として、血漿中の血糖および血漿トリグリセリドの低下の点について、より高い活性/生物学的有効性を生じる。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
アセトニトリル(25ml)およびキシレン(7ml)中に溶解した、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(1.0g、0.00253M)を、75〜80℃に熱し、透明な溶液を得た。これに、メタノール(1ml)中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.32g、0.00278M)の溶液を、攪拌しながら室温で、ゆっくりと加えた。添加完了後、反応系を2時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、アセトニトリル(1ml)で洗浄し、室温にて真空下で1時間乾燥して、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の新規な結晶形(1.2g)を得た。
【0043】
(実施例2)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(40g)を、還流温度でキシレン(280ml)およびメタノール(280ml)の混合物中に溶解し、透明な溶液を得た。メタノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(12.52g)をゆっくりと滴下して加えた。添加完了後、反応塊を室温で1時間攪拌した。沈殿した化合物を濾過し、メタノールで洗浄し、この化合物を60〜80℃のオーブン中で乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(40g)を得た。
【0044】
(実施例3)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(1.0g)を、65〜75℃のメタノール(60ml)に溶解し、透明な溶液を得た。メタノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.32g、0.00278M)の溶液を、50〜55℃で、攪拌しながら、ゆっくりと加えた。全量を加えた後、反応混合物を室温まで冷却し、3時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、メタノールで洗浄し、60〜70℃の真空下で1時間乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(0.85g)を得た。
【0045】
(実施例4)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(1.0g)を、65〜75℃でエタノール(60ml)に溶解した。エタノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.32g、0.00278M)の溶液を、50〜55℃の温度で攪拌しながら、ゆっくりと加えた。全量を加えた後、反応系の大部分の温度を室温まで下げ、継続して3時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、エタノールで洗浄し、60〜70℃で真空下にて1時間乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(0.9g)を得た。
【0046】
(実施例5)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(1.0g)を、イソプロパノール(60ml)に溶解し、65〜75℃まで熱した。イソプロパノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.32g、0.00278M)の溶液を、50〜55℃で攪拌しながら、ゆっくりと加えた。全量を加えた後、この反応混合物を室温まで冷却し、3時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、60〜70℃にて真空下で1時間乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(1.05g)を得た。
【0047】
(実施例6)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(1.0g)を、65〜75℃にて酢酸エチル(60ml)に溶解した。メタノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.32g、0.00278M)の溶液を、50〜55℃で攪拌しながら、ゆっくりと加えた。全量を加えた後、この反応混合物を室温まで冷却し、継続して3時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、60〜70℃にて真空下で1時間乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(1.05g)を得た。
【0048】
(実施例7)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(2.5g)を、65〜75℃にてアセトン(62.5ml)、キシレン(17.5ml)の混合物に溶解した。メタノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.78g、0.00696M)の溶液を、室温で、攪拌しながらゆっくりと加え、継続して2時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、アセトンで洗浄し、真空下で1時間乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(2.5g)を得た。
【0049】
(実施例8)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(1.0g)を、ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解した。メタノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.32g、0.00278M)の溶液を、室温で、攪拌しながらゆっくりと加えた。全量を加えた後、この反応混合物を14〜16時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、60〜70℃にて真空下で1時間乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(0.15g)を得た。
【0050】
(実施例9)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(1.0g)を、1,4−ジオキサン(25ml)に溶解した。メタノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.32g、0.00278M)の溶液を、室温で攪拌しながらゆっくりと加えた。全量を加えた後、この反応系を3〜4時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、1,4−ジオキサンで洗浄し、60〜70℃の真空下で1時間乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(0.85g)を得た。
【0051】
(実施例10)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(1.0g)を、1,4−ジオキサン(25ml)、キシレン(7.0ml)の混合物に溶解した。メタノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.32g、0.00278M)の溶液を、室温で攪拌しながらゆっくりと加えた。全量を加えた後、この反応混合物を3〜4時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、1,4−ジオキサンで洗浄し、室温にて真空下で1時間乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(0.8g)を得た。
【0052】
(実施例11)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(1.0g)を、75〜80℃の温度にてジエチルケトン(60ml)に溶解した。メタノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.32g、0.00278M)の溶液を、50〜60℃で、攪拌しながらゆっくりと加えた。全量を加えた後、反応混合物を室温まで冷却し、継続して3〜4時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、ジエチルケトンで洗浄し、60〜70℃の真空中で2時間乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(1.02g)を得た。
【0053】
(実施例12)
5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(1.0g)を、60〜70℃の温度でメチルイソブチルケトン(50ml)に溶解した。メタノール中に溶解したカリウムtert−ブトキシド(0.32g、0.00278M)の溶液を、室温で攪拌しながらゆっくりと加えた。全量加えた後、この反応混合物を3〜4時間攪拌した。沈殿した生成物を濾過し、メチルイソブチルケトンで洗浄し、65〜75℃にて真空下で1時間乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(1.00g)を得た。
【0054】
(実施例13)
上記で定義した実施例2〜12のいずれかにより調製した5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩(0.5g)を、50〜80℃にてジメチルスルホキシド(5ml)に溶解した。結果として得られた透明な溶液を、室温で1〜8週間保存した。沈殿した生成物を濾過し、真空下で乾燥させ、5−[4−[[3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル]メトキシ]ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンカリウム塩の多形形態1(150mg)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−248246(P2010−248246A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171223(P2010−171223)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【分割の表示】特願2003−576430(P2003−576430)の分割
【原出願日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【出願人】(399131150)ドクター・レディーズ・ラボラトリーズ・リミテッド (19)
【Fターム(参考)】